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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】電気自動車回路
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/22 20190101AFI20241101BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241101BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20241101BHJP
   B60L 53/24 20190101ALI20241101BHJP
   H02J 1/00 20060101ALN20241101BHJP
   H02J 7/00 20060101ALN20241101BHJP
【FI】
B60L53/22
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/24
H02J1/00 306B
H02J7/00 P
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023514154
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2021073740
(87)【国際公開番号】W WO2022043495
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】2013551.3
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512308720
【氏名又は名称】ジャガー ランド ローバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jaguar Land Rover Limited
【住所又は居所原語表記】Abbey Road Whitley Coventry CV3 4LF UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ニコルズ,スティーブン
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-129558(JP,A)
【文献】特開2020-018078(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0097436(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0165713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 50/00
B60L 53/00
B60L 55/00
B60L 58/00
H01M 10/42
H02J 1/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の電力回路であって、
車両のトラクションバッテリを充電するために、第1の電圧または第2の電圧に等しい電圧で電気エネルギを受け取るための充電入力と、
前記トラクションバッテリに電気的に接続し、前記トラクションバッテリを前記第1の電圧または前記第2の電圧で充電するために前記充電入力から電気エネルギを供給し、前記第2の電圧で前記車両の1つまたは複数のトラクションモータに電力供給するために前記トラクションバッテリから電気エネルギを受け取るためのバッテリ接続端子と、
前記充電入力と出力に結合されたDCDCコンバータとを有し、
前記出力は、所定出力電圧で前記車両の1つ以上の電気ユニットに電力を供給するために前記DCDCコンバータを前記車両の電気バスに電気的に接続し、
前記DCDCコンバータは、
前記充電入力から電気エネルギを受け取り、
前記第1の電圧又は前記第2の電圧で前記トラクションバッテリが充電されているか否かに拘わらず、前記出力電圧で前記出力に電気エネルギの安定出力を提供し、
前記トラクションバッテリが利用可能な電圧で充電されている間は前記電気ユニットに対して好ましい電圧で前記電気ユニットが動作するように、構成されている、電力回路。
【請求項2】
前記第1の電圧は、前記第2の電圧よりも高い、請求項1に記載の電力回路。
【請求項3】
前記第1の電圧および前記第2の電圧は、重複しない範囲である、請求項1又は2に記載の電力回路。
【請求項4】
前記出力電圧は、前記第1の電圧および前記第2の電圧よりも低い、請求項1又は2に記載の電力回路。
【請求項5】
前記出力電圧は前記第2の電圧である、請求項1又は2に記載の電力回路。
【請求項6】
AC充電入力を備え、
前記DCDCコンバータは、前記AC充電入力から電気エネルギを受け取り、前記トラクションバッテリを充電するために、前記第1の電圧で前記バッテリ接続端子に電気エネルギを供給するように構成され、
選択的に、前記出力は、前記トラクションバッテリが前記AC充電入力によって充電されている間、前記出力電圧で前記車両の1つまたは複数の補助電気ユニットに電力を供給するために、前記DCDCコンバータを前記車両の電気バスに電気的に接続するためのものである、請求項1又は2に記載の電力回路。
【請求項7】
前記DCDCコンバータに結合されたオンボードチャージャを備え、
前記オンボードチャージャは、AC電流を受け取り、前記DCDCコンバータにDC電流を供給するように構成された、請求項1又は2に記載の電力回路。
【請求項8】
トラクションバッテリと、請求項1の電力回路とを含むバッテリアセンブリであって、
前記トラクションバッテリは、バッテリ入力/出力を備え、
前記バッテリ入力/出力は、バッテリ接続ターミナルに電気的に接続され、
選択的に、前記トラクションバッテリは、第1の複数のセルと、第2の複数のセルと、バッテリ制御回路とを有し、
前記バッテリ制御回路は、
第1の動作モードにおいて、前記バッテリ出力に第1のバッテリ電圧を提供するために前記第1の複数のセルと前記第2の複数のセルを選択的に直列に相互接続し、
第2の動作モードにおいて、前記バッテリ出力に第2のバッテリ電圧を提供するために前記第1の複数のセルと前記第2の複数のセルを選択的に並列に相互接続する、バッテリ制御回路。
【請求項9】
車両の電力回路を制御するための制御システムであって、
前記制御システムは、1つ以上のコントローラを含み、
前記制御システムは、
前記車両のトラクションバッテリを充電するために、第1の電圧または第2の電圧に等しい電圧で電気エネルギを受け取るための充電入力と、
前記トラクションバッテリに電気的に接続し、前記トラクションバッテリを前記第1の電圧または前記第2の電圧で充電するために前記充電入力から電気エネルギを供給し、前記第2の電圧で前記車両の1つまたは複数のトラクションモータに電力供給するために前記トラクションバッテリから電気エネルギを受け取るためのバッテリ接続端子と、
前記充電入力と出力に結合されたDCDCコンバータであって、前記出力は、所定の出力電圧で前記車両の1つまたは複数の電気ユニットに電力を供給するために、前記DCDCコンバータを前記車両の電気バスに電気的に接続する、DCDCコンバータと、を備える電力制御回路において、
前記DCDCコンバータを制御して、
前記充電入力から電気エネルギを受け取り、
前記トラクションバッテリが前記第1の電圧で充電されている間、前記出力電圧で電気エネルギを前記出力に供給する、制御システム。
【請求項10】
請求項8に記載のバッテリアセンブリと、請求項9に記載の制御システムと、を有するシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の電力回路、請求項8に記載のバッテリアセンブリ、請求項9に記載の制御システム、または請求項10に記載のシステムを含む車両。
【請求項12】
車両用の電力回路を制御する方法であって、前記電力回路は、
車両のトラクションバッテリを充電するための第1の電圧または第2の電圧に等しい電圧で電気エネルギを受信するための充電入力と、
前記トラクションバッテリに電気的に接続し、前記トラクションバッテリを前記第1の電圧または前記第2の電圧で充電するために前記充電入力から電気エネルギを供給し、前記第2の電圧で前記車両の1つまたは複数のトラクションモータに電力供給するために前記トラクションバッテリから電気エネルギを受け取るためのバッテリ接続端子と、
前記充電入力と出力とに結合されたDCDCコンバータであって、前記出力は、前記DCDCコンバータを前記車両の電気バスに電気的に接続し、前記車両の1つまたは複数の電気ユニットに所定の出力電圧で電力を提供する、DCDCコンバータとを備え、
前記方法は、前記DCDCコンバータを、
前記充電入力から電気エネルギを受け取り、
前記トラクションバッテリが前記第1の電圧で充電されている間、前記出力電圧で電気エネルギを出力に供給するように制御する、方法。
【請求項13】
実行されると、請求項12に記載の方法を実行するように構成されるコンピュータソフトウェアであって、任意に、コンピュータソフトウェアは、コンピュータ可読媒体に格納される、コンピュータソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のための電力回路に関する。形態は、電力回路と、バッテリアセンブリと、制御システムと、システムと、車両と、方法と、コンピュータソフトウェアとに関連する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド電気自動車は、トラクションモータと、トラクションモータに電気エネルギを供給するためのトラクションバッテリを有する。一部のトラクションバッテリは、電力網からの電気エネルギなど、車外からの電気エネルギで充電することができる。
【文献】特開2019-129558号公報
【文献】特開2020-18078号公報
【0003】
最近まで、バッテリ式(乗員)電気自動車(BEV)は、公称電圧400Vで動作していた。BEVの充電速度を上げるためには、より高い充電電力が必要である。充電電力が増加すると、充電電流が増加する。ケーブルなどの電気部品の発熱は電流に依存するため、関連する損失(熱損失など)も増加する(電力は電流の2乗に抵抗値を掛けたものP=I2Rに等しい)。動作電圧を2倍にすれば、同じ電力伝達でも電流は半分になる(P=IV)。しかし、既存の車両部品/電気システムは400Vで動作しており、異なる電圧を扱い、出力を維持するために、全く新しい異なる部品/電気システムを使用することは望ましくない。さらに、動作電圧を変更する理由は、バッテリを充電するためであり、例えば、(車両回路が動作している時間の大半を占めると思われる)車両の運転中には使用されない。
【0004】
多くの BEV 充電設備は 400V で動作している。しかし、400Vよりも高速に充電が行われる可能性があるため、800Vの充電が可能であることが望まれる。しかし、車両の電気部品/回路が800Vで動作するように設計されている場合、ほとんどの(400V)充電設備を使用することも不可能であろう。BEVのバッテリパックや車両の高電圧(例えば350V以上)システムが400Vで動作するように設計されている場合、そのようなシステムを800Vで充電することは大きな課題である。逆に、システムが800V動作用に設計されている場合、400Vでの充電ができないため、同様の問題が発生する。
【0005】
BEVのバッテリパック内の設定可能な制御ギアの組み合わせを使用することにより、バッテリパックの動作電圧を、例えば400Vと800Vの間で調整することができる。これは、例えば、400Vのバッテリパックを2つ並列または直列に配置し、スイッチングギアを用いてそれらの構成を切り替えることによって達成され得る。
【0006】
バッテリパックの熱的状態を管理するために使用される補助ユニット(例えば、チラーシステム、加熱システム)などの車両補助ユニットを使用することが望まれる場合、800Vでのバッテリパックの充電中に問題が生じることがある。これらの車両補助装置は、バッテリパックの充電に使用される800Vの電源ではなく、400Vの電源を必要とする場合がある。さらに、車両電気回路およびコンポーネントが、HVアーキテクチャの異なる構成オプションに対応できることが望ましい。
【0007】
さらに、電気自動車のDC-DCおよびOBC(オンボードチャージャ)回路は、一般に、固定電圧出力である。しかし、電気自動車の設計では、車内のシステムに応じて複数の電圧出力が存在する場合がある。例えば、駆動用インバータは400V、先進運転支援システム(ADAS)は12V/48Vで動作し、HVバッテリは800Vで充電する場合がある。そのため、車両の回路や部品は、特に車両のバッテリパックが800Vなどの異なる電圧で充電されている間に、400Vや12Vなどの異なる出力電圧を提供できることが望ましい。車両内部で複数のDC-DCコンバータを使用することは、車両の電気的アーキテクチャの複雑さとコストの増加に寄与するため、望ましくない。
【0008】
先行技術に関連する1つ以上の欠点に対処することが、本明細書に開示される実施例の目的である。
【発明の概要】
【0009】
上述の問題に対する可能な解決策は、充電電圧(例えば400Vまたは800V)に関係なく、車両の補助回路に安定した出力(例えば高電圧例えば400Vおよび/または低電圧例えば12V)を提供することができる1つのシステムである。このようなシステムは、例えば、LV(低電圧)およびHV(高電圧)システムの両方を同時にサポートすることができる。
【0010】
これにより、柔軟で再構成可能な電気システムを提供することができ、この電気システムは、最初に設計され提供されるが、その後、異なる用途や車両の様々な構成で使用することができる。異なる出力電圧を提供するための電気回路の柔軟性を向上させることは、特に、電気回路に共通の設計を使用することが望ましい自動車産業において、望ましい場合がある。これにより、製造コスト及び設計コスト及び労働力を低減することができ、なおかつ、異なる車両、すなわち異なる顧客及び市場に対して適用するための電気的構成の柔軟性を提供することができる。このようなシステムは、例えば、800Vおよび400Vの両方のトラクションシステムをサポートすることができる。
【0011】
本明細書に開示される態様は、電力回路に、バッテリアセンブリに、制御システムに、システムに、車両に、方法に、およびコンピュータソフトウェアに提供する。
【0012】
本発明の一形態によれば、車両のための電力回路が提供される。この電力回路は、車両のトラクションバッテリを充電するための第1の電圧または第2の電圧に等しい電圧で電気エネルギを受け取るための充電入力と;第1の電圧または第2の電圧でトラクションバッテリを充電するために充電入力から電気エネルギを供給し、第2の電圧で車両の1つまたは複数のトラクションモータを駆動するためにトラクションバッテリから電気エネルギを受け取るためにトラクションバッテリに電気接続するバッテリ接続端子と;充電入力および出力に連結されたDCDCコンバータを有し、前記出力は、出力電圧で車両の1つまたは複数の電気ユニットに電力を供給するために、DCDCコンバータを車両の電気バスに電気的に接続する。DCDCコンバータは、充電入力から電気エネルギを受け取り、トラクションバッテリが第1の電圧で充電されている間、その出力電圧で電気エネルギを出力に供給するように構成される。
【0013】
いくつかの例では、第1の電圧は第2の電圧より高くてもよい。第1の電圧および第2の電圧は、重複しない範囲であってもよい。出力電圧は、第1の電圧および第2の電圧よりも低くてもよい。
【0014】
第1の電圧は、600V~1000Vの範囲の公称電圧を含んでいてもよく、第2の電圧は、300V~500Vの範囲の公称電圧を含んでいてもよく、出力電圧は、12V~48Vの範囲の公称電圧を含んでいてもよい。
【0015】
出力電圧は、いくつかの例において、第2の電圧であってもよい。
【0016】
400Vで動作するヒータまたはクーラなどの補助ユニットへの電力提供のため、および/またはバッテリが400Vまたは800Vで充電されているかどうかにかかわらず、12Vで車内デバイス充電ポイントなどの補助ユニットへの電力提供のために、例えば、充電入力は、トラクションバッテリに例えば800Vの高い充電電圧(または利用可能な場合は異なる電圧例えば400V)を提供する一方で、出力/電気バスに例えば400Vまたは12Vの低い電圧を提供してもよい。このように、バッテリが利用可能な電圧で充電されている間、補助装置は好みの電圧で動作することができ、その電圧は補助装置に必要な電圧よりも高い場合がある。これにより、動作効率および/またはバッテリの劣化に対する保護を確保するように、バッテリの動作条件を維持することができる。
【0017】
DCDCコンバータは、第1のDCDCコンバータモジュールと第2のDCDCコンバータモジュールとを有する。第1のDCDCコンバータモジュールは、充電入力と第1の出力とに結合されてもよい。第1の出力は、第1の出力電圧で車両の1つ以上の第1の電気ユニットに電力を供給するために、第1のDCDCコンバータモジュールを車両の第1の電気バスに電気的に接続するためのものである。第2のDCDCコンバータモジュールは、充電入力と第2の出力に結合してもよい。第2の出力は、第2のDCDCコンバータモジュールを車両の第2の電気バスに電気的に接続し、第2の出力電圧で車両の1つ以上の第2の電気ユニットに電力を提供するためのものである。DCDCコンバータは、充電入力から電気エネルギを受け取り、第1の出力電圧で電気エネルギを第1の出力に供給し、トラクションバッテリが第1の電圧または第2の電圧で充電されている間、第2の出力電圧で電気エネルギを第2の出力に供給するように構成され得る。
【0018】
先行する請求項のいずれかに記載の電力回路は、AC充電入力を含んでいてもよい。DCDCコンバータは、AC充電入力から電気エネルギを受け取り、トラクションバッテリを充電するための第1の電圧でバッテリ接続端子に電気エネルギを供給するように構成されることがある。
【0019】
出力は、トラクションバッテリがAC充電によって充電されている間、出力電圧で車両の1つまたは複数の補助電気ユニットに電力を供給するために、DCDCコンバータを車両の電気バスに電気的に接続するためであってもよい。
【0020】
電気ユニットは、ヒータ、冷却器、空調コンプレッサ、パワーアシストステアリングシステム、アクティブロールコントロールポンプ、サスペンションコンプレッサ、およびヒータ付きフロントガラスのうちの1つまたは複数を有することがある。また、電気ユニットは、12Vでの動作から400Vでの動作に変換することができる他の任意の補助装置であってもよい。これには、家庭用電化製品に供給するための交流(AC)を供給するための電力インバータが含まれ得る。
【0021】
電力回路は、DCDCコンバータに結合されたオンボードチャージャを含んでいてもよく、オンボードチャージャは、AC電流を受け取り、DCDCコンバータにDC電流を供給するように構成されている。
【0022】
いくつかの例では、オンボードチャージャは独立して動作してもよく、そのようないくつかの例では、車両用の電力回路が提供されてもよく、オンボードチャージャは、車両のトラクションバッテリを充電するための電気エネルギを受け取るためのAC充電入力と、トラクションバッテリを充電するためにAC充電入力から電気エネルギを供給するためにトラクションバッテリに電気的に接続するバッテリ接続端子と、AC充電入力とバッテリ接続端子に結合されるACDC変換器とを含む。ACDCコンバータは、AC充電入力から電気エネルギを受け取り、第1の電圧範囲の第1の電圧または第2の電圧範囲の第2の電圧でバッテリ接続端子に電気エネルギを供給するように構成されてよく、第1および第2の電圧範囲は、重複しない電圧範囲である。OBCの出力は、バッテリ接続端子に接続されるHVバスを供給することができる。したがって、いくつかの例では、外部バッテリパック106は、電気エネルギを提供する電力回路のDCDCコンバータ(複数可)の動作と同時に電力を受け取るように構成されることがある。
【0023】
さらなる態様では、トラクションバッテリと、任意の先行する請求項の電力回路とを含むバッテリアセンブリが提供され、トラクションバッテリは、バッテリ入力/出力を備え、バッテリ入力/出力は、バッテリ接続端子と電気的に接続される。
【0024】
トラクションバッテリは、第1の複数のセルと、第2の複数のセルと、第1の動作モードにおいてバッテリ出力に第1のバッテリ電圧を提供するために第1および第2の複数のセルを選択的に直列に相互接続し、第2の動作モードにおいてバッテリ出力に第2のバッテリ電圧を提供するために第1および第2の複数のセルを選択的に並列に相互接続するバッテリ制御回路とからなり得る。
【0025】
さらなる態様では、車両の電力回路を制御するための制御システムが提供される。制御システムは、1つまたは複数のコントローラを含む。制御システムは、
車両のトラクションバッテリを充電するために第1の電圧または第2の電圧に等しい電圧で電気エネルギを受け取るための充電入力と、
第1の電圧または第2の電圧でトラクションバッテリを充電するために充電入力から電気エネルギを供給し、第2の電圧で車両の1つまたは複数のトラクションモータに電力を供給するためにトラクションバッテリから電気エネルギを受け取るためにトラクションバッテリに電気接続するバッテリ接続端子と
充電入力に結合され、かつ、出力に結合されたDCDCコンバータであって、前記出力は、出力電圧で車両の1つまたは複数の電気ユニットに電力を供給するために、DCDCコンバータを車両の電気バスに電気的に接続するための出力である、DCDCコンバータと、を含む電力回路において、
充電入力から電気エネルギを受け取り、
トラクションバッテリが第1の電圧で充電されている間、出力電圧で電気エネルギを出力に供給するように、前記DCDCコンバータを制御するように、構成される。
【0026】
一つまたは複数のコントローラは、1つまたは複数のセンサおよび/または1つまたは複数の外部コントローラから情報を受信するための電気入力を有する少なくとも1つの電子プロセッサと、少なくとも1つの電子プロセッサに電気的に結合され、そこに格納された命令を有する少なくとも1つの電子メモリデバイスとを集合的に含んでよい。また、少なくとも1つの電子プロセッサは、情報に依存して制御システムにDCDCコンバータを制御させるために、少なくとも1つのメモリデバイスにアクセスしてその上で命令を実行するように構成されていてよい。
【0027】
第1の電圧は、第2の電圧よりも高くてもよい。第1の電圧および第2の電圧は、重複しない範囲であってもよい。出力電圧は、第1の電圧および第2の電圧よりも低くてもよい。
【0028】
第1の電圧は、600V~1000Vの範囲の公称電圧であってもよい。第2の電圧は、300V~500Vの範囲の公称電圧であってもよい。出力電圧は、12V~48Vの範囲の公称電圧であってもよい。出力電圧は、第2の電圧であってもよい。
【0029】
電力回路は、AC充電入力を含んでいてもよい。制御システムは、DCDCコンバータを制御して、AC充電入力から(例えばAC-DC変換素子を介して)電気エネルギを受け取り、トラクションバッテリを充電するために第1の電圧でバッテリ接続端子に電気エネルギを供給するように構成され得る。
【0030】
さらなる態様において、本明細書に開示されるようなバッテリアセンブリと、本明細書に開示されるような制御システムとを含むシステムが提供される。
【0031】
さらなる態様において、本明細書に開示されるような電力回路、本明細書に開示されるようなバッテリアセンブリ、本明細書に開示されるような制御システム、または本明細書に開示されるようなシステムを備える、車両が提供される。
【0032】
車両は、電気バスを含んでいてもよい。電気バスは、第2の電圧で車両の1つまたは複数の補助ユニットに電気エネルギを提供するように構成された高電圧(HV)補助電源バスを含んでもよい。
【0033】
さらなる態様では、車両のための電力回路を制御する方法が提供される。電力回路は、車両のトラクションバッテリを充電するための第1の電圧または第2の電圧に等しい電圧で電気エネルギを受け取るための充電入力と;トラクションバッテリに電気的に接続し、第1の電圧または第2の電圧でトラクションバッテリを充電するために充電入力から電気エネルギを供給し、第2の電圧で車両の1つまたは複数のトラクションモータを駆動するためにトラクションバッテリから電気エネルギを受け取るためのバッテリ接続端子と;充電入力および出力に結合されたDCDCコンバータであって、該出力は出力電圧で車両の1つまたは複数の電気ユニットに電力を供給するために、DCDCコンバータを車両の電気バスに電気的に接続するための出力である、DCDCコンバータと;を備える。この方法は、DCDCコンバータを制御して、充電入力から電気エネルギを受け取り、トラクションバッテリが第1の電圧で充電されている間、出力電圧で電気エネルギを出力に供給することを含む。
【0034】
さらなる態様では、実行されると、本明細書に開示された任意の方法を実行するように構成されるコンピュータソフトウェアが提供される。任意選択で、コンピュータソフトウェアは、コンピュータ可読媒体に格納される。任意選択で、コンピュータソフトウェアは、コンピュータ可読媒体にタンジブルに記憶される。
【0035】
本出願の範囲内において、前の段落、特許請求の範囲および/または以下の説明および図面に記載された様々な側面、実施形態、例および代替案、特にその個々の特徴は、独立してまたは任意の組み合わせで取ることができることが明示的に意図される。すなわち、すべての実施形態および/または任意の実施形態の特徴は、そのような特徴が両立しない場合を除き、任意の方法および/または組み合わせで組み合わせることが可能である。本出願人は、元々そのように請求されていないが、他の請求項の特徴に依存し、及び/又はそれを取り込むために、元々提出された請求項を修正する権利を含め、それに応じて元々提出された請求項を変更する権利又は新しい請求項を提出する権利を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
次に、本発明の1つまたは複数の実施形態が、添付の図面を参照しながら、例示としてのみ説明される:
【0037】
図1図1は、本明細書に開示された実施例に係る電力回路を示す。
図2図2は、本明細書に開示された例によるAC入力を有する電力回路を示す。
図3図3は、本明細書で開示される例によるオンボードチャージャを有する電力回路を示す。
図4図4は、本明細書で開示される例によるトラクションバッテリに接続される電力回路を示す。
図5図5は、本明細書で開示される例によるトラクションバッテリに接続された電力回路を示す。
図6図6は、本明細書に開示された例による制御システムを示す。
図7図7は、本明細書で開示された例によるシステムを示す。
図8図8は、本明細書に開示された例による車両を示す。
図9図9は、本明細書に開示された実施例による方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここに開示された実施例は、電気自動車で使用するための柔軟な電圧出力を提供することができる。特定の実施例は、800Vと400Vの両方のトラクションシステムをサポートすることができる。車両のバッテリが、車両回路に供給される出力電圧に異なる電圧で充電されることが望ましい場合がある。例えば、400Vの電圧が車両回路に供給される間、車両のバッテリが、400V供給または800V供給のいずれかで充電されることが望ましい場合がある。例えば、バッテリの充電中に車両のヒータユニットやチラーユニットを動作させることが望ましい場合がある。バッテリの充電は800Vで可能であるが、ヒータ/チラーの動作には400Vなどの異なる電圧が必要である場合がある。
【0039】
また、LV(低電圧)システムとHV(高電圧)システムの両方を同時にサポートする例もある。同じ入力で、例えば実質的に800V(例えば650Vから850Vの間の電圧)または実質的に400V(例えば270Vから470Vの間の電圧)を受け入れる能力を持つことにより、異なる電圧要件で動作できる柔軟なシステムを実現することができる。双方向の動作(すなわち、車両のバッテリを充電することを可能にし、車両のバッテリに蓄積された充電を車両の電力供給に使用することを可能にする)を可能にすることは望ましいことである。
【0040】
本明細書で説明する例は、自動車産業で使用するための回路を提供する。この回路は、既存のシステムを柔軟に使用できるように有利である。すなわち、特定の固定電圧入力及び/又は出力用に設計された全く新しい異なる電気回路を必要とせずに、充電用の入力で異なる電圧を受け入れ、充電中使用のために異なる電圧を提供することができる。
【0041】
図1は、車両用の電力回路100を示す。回路100は、電気エネルギを受け取るための充電入力102を備える。電気エネルギは、車両のトラクションバッテリを充電するために、第1の電圧V1または第2の電圧V2に等しい電圧で受け取られることがある。例えば、充電入力102は、電気エネルギを供給する充電ステーションで使用される電圧に応じて、例えばV1=800Vまたは650Vから850Vの間のV1、または例えばV2=400Vまたは270Vから470Vの間のV2でエネルギを受け入れてもよい。
【0042】
回路100は、車両のトラクションバッテリ106に電気的に接続するためのバッテリ接続端子104を備え、第1の電圧V1または第2の電圧V2でトラクションバッテリ106を充電するために充電入力102から電気エネルギを供給し、第2の電圧V2で車両の1以上のトラクションモータ108に電力供給するためにトラクションバッテリ106から電気エネルギを受ける。例えば、充電入力102からの電気エネルギをV1=800VまたはV2=400Vで供給してトラクションバッテリ106を充電し、トラクションモータ108にはトラクションバッテリ106によってV2=400Vで電力を供給してもよい。
【0043】
回路100は、充電入力102と出力110に結合されたDCDCコンバータ112を有する。出力110は、所定の出力電圧で車両の1つまたは複数の電気ユニットに電力を供給するために、DCDCコンバータ112を車両の電気バスに電気的に接続するためのものである。DCDCコンバータ112は、充電入力102から電気エネルギを受け取り、出力電圧で電気エネルギを出力110に提供するように構成されている。一方、トラクションバッテリ106は第1の電圧で充電される。第1の電圧は、出力電圧と異なっていてもよい。すなわち、トラクションバッテリ106の充電中(すなわち、接続されたバッテリ106を充電するために、回路100に電気エネルギが入力されている間)、出力110に電気エネルギが提供される。
【0044】
例えば、DCDCコンバータ112は、充電入力102から電気エネルギを受け取り、出力電圧、例えば400V、または例えば12Vで電気エネルギを出力110に供給することができる。その間、トラクションバッテリ106が例えば800Vの第1の電圧で充電される。したがって、回路100を通じて、バッテリ106に電気バスを介して接続された車両補助ユニットが、例えば400Vまたは12Vの異なる動作電圧を必要する場合でも、例えば800Vでの高電圧充電を利用することができるし、バッテリが充電されている間、例えば補助ユニットの動作電圧とは異なる電圧で、それらの補助ユニットを動作させることができる。これは、例えば、バッテリが例えば800Vで充電されている間に、バッテリを暖めるためにヒータを例えば400Vで使用する場合に有用であり得る。
【0045】
したがって、いくつかの例では、第1の電圧(例えば800V)は、第2の電圧(例えば400V)より高くてもよい。いくつかの例では、第1の電圧および第2の電圧は、重複しない範囲であってもよい(例えば、第1の電圧は650Vと850Vの間であってもよく、第2の電圧は270Vと470Vの間であってもよい)。いくつかの例では、出力電圧(例えば12V、または例えば5Vから48Vの低電圧範囲)は、第1の電圧(例えば800V、または650Vと850V)および第2の電圧(例えば400V、または270Vから470V)より低くてもよい。
【0046】
したがって、いくつかの例では、第1の電圧は、600V~1000Vの範囲の公称電圧であってもよいし、第2の電圧は、300V~500Vの範囲の公称電圧であってもよく、および/または出力電圧は、例えば、12V~48Vの範囲の公称電圧であってもよい。400Vの出力電圧で動作するユニットは、いくつかの例では、15kWの電力で動作することができる。12Vの低出力電圧で動作するユニットは、いくつかの例では、4kWの電力で動作する可能性がある。
【0047】
いくつかの例では、出力電圧は、第2の電圧であってもよい。例えば、バッテリは、800Vまたは400Vのいずれかの第1の電圧で充電されてもよく、トラクションモータに電力を供給するために使用される第2の電圧は400Vであってもよく、例えばチラーユニットに電力を供給するために使用される出力電圧も400Vであってよい。いくつかの例では、出力電圧は第2の電圧でない場合がある。例えば、バッテリは800Vまたは400Vのいずれかの第1の電圧で充電されてもよく、トラクションモータに電力を供給するために使用される第2の電圧は400Vであってもよく、例えば個人デバイス充電ポイントに電力を供給するために使用される出力電圧は、例えば5V~48Vの範囲の電圧、例えば12V、24V、36Vまたは48Vなどの低い電圧であってもよい。
【0048】
出力電圧(トラクションモータ(複数可)に電力を供給するために使用される第2の電圧であってもなくてもよい)で電力の供給を受ける電気ユニットは、例えば、ヒータ、チラー、空調コンプレッサ、パワーアシストステアリングシステム、アクティブロールコントロールポンプ、サスペンションコンプレッサ、ヒータ付きフロントガラス、およびパーソナルデバイスチャージャポイントなどである。
【0049】
この例では、充電入力102は、例えば充電供給ステーションに接続するための外部接続を形成し、DCDCコンバータ112に接続される。バッテリ接続端子104は、例えば外部バッテリパック/トラクションバッテリ106に接続するための外部接続を形成し、DCDCコンバータ112に接続される。また、充電入力102とバッテリ接続端子104との間には、DCDCコンバータ112を介して接続しない直接の接続が存在する。また、バッテリ接続端子104と、DCDCコンバータ112を経由しない1つまたは複数のトラクションモータ108への接続出力との間には、直接接続がある。出力110は、例えば、車両の電気バスへの接続のための外部接続を形成し、この接続は、順に、車両の1つまたは複数の電気ユニットに電力を供給するためのものである。出力110は、DCDCコンバータ112に接続される。
【0050】
図2は、AC充電入力114を有する電力回路100を示す。図1の回路と共通する特徴については、ここで改めて詳細に説明しない。この例のDCDCコンバータ112は、AC充電入力114から(例えばAC-DC変換素子を介して)電気エネルギを受け取り、トラクションバッテリを充電するために、第1の電圧V1でバッテリ接続端子104に電気エネルギを供給するように構成される。この例における出力110は、トラクションバッテリがAC充電によって充電されている間、出力電圧Voutで車両の1つまたは複数の補助電気ユニットに電力を供給するために、DCDCコンバータ112を車両の電気バスに電気的に接続するためである。この例では、AC充電入力114は、例えばAC充電供給装置に接続するための外部接続を形成し、DCDCコンバータ112に接続される。
【0051】
図3は、オンボードチャージャ(OBC)116を有する電力回路100を示す。図1の回路と共通する特徴については、ここで改めて詳細に説明しない。オンボードチャージャ116は、DCDCコンバータ112に結合されている。オンボードチャージャ116は、AC充電入力端子114で、電圧VinでAC電流電気エネルギを受け取り、DC電流電気エネルギをDCDCコンバータ112に供給するように構成される。この例では、AC充電入力114は、例えばAC充電電源への接続のための外部接続を形成し、AC入力電力を受け取り、DCDCコンバータ112にDC電力を供給するOBC116に接続される。
【0052】
図4は、トラクションバッテリ106に接続された電力回路100を示す。図1の回路と共通する特徴については、ここで改めて詳しく説明しない。バッテリパック/トラクションバッテリ106と回路100の組み合わせは、「バッテリアセンブリ」150と称されることがある。トラクションバッテリ106はバッテリ入出力118を有する。バッテリ入出力118により、バッテリ接続端子104に電気的に接続され、バッテリパック106を電力回路100に接続することができる。本実施例のトラクションバッテリ106は、第1の複数のセルと、第2の複数のセルと、バッテリ制御回路を有する。バッテリ制御回路は、第1の動作モードにおいて、第1および第2の複数のセルを選択的に直列に相互接続してバッテリ出力に第1のバッテリ電圧を提供し、第2の動作モードにおいて、第1および第2の複数のセルを選択的に並列に相互接続してバッテリ出力に第2のバッテリ電圧を提供する。例えば、第1のバッテリ電圧は800Vであってもよく、第2のバッテリ電圧は400Vであってもよい。
【0053】
図5は、本明細書に開示された例による車両用バッテリアセンブリ150を形成するためにトラクションバッテリ106に接続された電力回路100を示す。この例の回路100は、バッテリ電気モジュール(BEM)として表示される。BEM100内にはモジュール電気電子アーキテクチャMEEAモジュール120がある。この例では、モジュール電気電子アーキテクチャMEEAモジュール120は、第1の高電圧DCDCコンバータ112a、第2のDCDCコンバータ112b、およびOBC116を収容する。
【0054】
回路100は、電気エネルギを受け取るための「400V/800V HV DC Charger」とラベル付けされた充電入力102を有する。この入力は、DCDCコンバータ112a、112bに、またOBC116に、さらにバッテリ接続端子104a、104bを介して外部バッテリパック106に接続されている。充電入力102からバッテリパック106への接続は、トラクションバッテリ106を第1の電圧V1または第2の電圧V2で充電するために、充電入力102から電気エネルギを供給するためである。電気エネルギは、トラクションバッテリ106を充電するための第1の電圧V1(この例では、800V)または第2の電圧V2(この例では、400V)で受け取ることができる。
【0055】
バッテリ接続端子104aおよび104bは、トラクションバッテリ106をBEM100に電気的に接続する。バッテリ接続端子104aは、DCDCコンバータ112a、112bおよびOBC116に電気的に接続する。トラクションバッテリ106は、バッテリ接続端子104bを介して、第2の電圧(この例では、HV DCフロントトラクションモータおよびHV DCリアトラクションモータ108への400Vでの出力が示されている)で車両の1つまたは複数のトラクションモータ108に電力供給する電気エネルギを提供することができる。例えば、充電入力102からの電気エネルギが800Vまたは400Vで供給されてトラクションバッテリ106を充電し、トラクションモータ108が400Vでトラクションバッテリ106によって電力供給されてもよい。一つのDCDCコンバータ112aは、800Vまたは400V入力のいずれかを400V出力に変換するように構成されたものとして示されている(ただし、異なる例では他の高電圧出力が提供されることもある)。別のDCDCコンバータ112bは、800Vまたは400V入力のいずれかを12V出力に変換するように構成されたものとして示されている(ただし、異なる実施例において他の低電圧出力が提供される場合がある)。他の実施例は、1つ、3つ、または3つ以上のDCDCコンバータで構成されてもよい。
【0056】
DCDCコンバータ112a、112bはそれぞれ、充電入力102と出力110a、110bに結合されている(この例では、対応するDCDCコンバータ112a、112bにそれぞれ接続された2つの出力がある)。HV DCDCコンバータ112aは、この例では「400V 15kW Auxiliary Units」とラベル付けされたHV出力110aに接続されている(出力110a自体は2つの出力チャネルからなり、第1はHV DC Heaterへ、第2はHC DC Chillerへ)。LV DCDCコンバータ112bは、この例では「4kW LV DCDC」と表示されたLV出力110bに接続されている。出力110a,110bはそれぞれ、示された出力電圧(この例では2つのHV出力110aと1つのLV出力110b)で車両の電気ユニットに電力を供給するために、車両の電気バスに接続される。DCDCコンバータ112a、112bはそれぞれ、充電入力102から電気エネルギを受け取り、トラクションバッテリ106が第1の電圧で充電されている間に、出力電圧(複数可)で出力110a、110bに電気エネルギを提供するように構成される。この例では、第1の出力110aは、400Vで出力を提供することができ、これは、場合によっては、入力102で提供されるものと同じ電圧である400Vであることがある。
【0057】
この例のDCDCコンバータ112a、112bはまた、AC充電入力114(「HV AC Charger」と表示)から電気エネルギを受け取り、トラクションバッテリを充電するために第1の電圧でバッテリ接続端子104に電気エネルギを提供するように構成される。オンボードチャージャ116は、DCDCコンバータ112a、112bに結合される。オンボードチャージャ116は、AC充電入力端子114でAC電流を受信し、DCDCコンバータ112a,112bにDC電流を供給するように構成されている。この例では、OBC116は、800Vまたは400Vの入力電圧を受け入れるように構成されたものとして示されている。この実施例では、AC充電入力114は、例えばAC充電供給装置に接続するための外部接続を形成し、AC入力電力を受け取り、DCDCコンバータ112a、112bにDC電力を提供するOBC116に接続される。また、この例では、BEMの接続テストのための電気的アクセスを可能にするように構成されたサービステストポイント124が示されている。サービステストポイント124の目的は、車両からのバッテリパック106の安全かつ迅速な切り離しを可能にすることである。このようなテストポイント124により、オペレータは、バッテリ106へのすべての接続が安全な動作電圧まで低下しており、したがって安全に切断できることを確認することができる。
【0058】
この例のトラクションバッテリ106は、バッテリ接続端子104a、104bに電気的に接続されて示されており、バッテリパック106を電力回路100に接続することを可能にする。この例のトラクションバッテリ106は、第1の複数のセル122aと、第2の複数のセル122bと、バッテリ制御回路(図示しない)を有する。バッテリ制御回路は、第1の動作モードで
第1および第2の複数のセル122a,122bを選択的に直列に相互接続してバッテリ出力104bに第1のバッテリ電圧を提供し、第2の動作モードで第1および第2の複数のセル122a,122bを選択的に並列に相互接続してバッテリ出力104bに第2のバッテリ電圧を提供する。この例では、第1および第2の複数のセル122a、122bはそれぞれ400Vのセルであり、第1のバッテリ電圧は800Vであってもよく、第2のバッテリ電圧は400Vであってもよい。
【0059】
図6は、図1図5に示されるような車両の電力回路を制御するための制御システム600を示す。制御システム600は、1つまたは複数のコントローラ608を備える。制御システム600は、電力回路100を制御するように構成される。電力回路100は、車両のトラクションバッテリ106を充電するための第1の電圧または第2の電圧に等しい電圧で電気エネルギを受け取るための充電入力102と;第1の電圧または第2の電圧でトラクションバッテリ106を充電するために充電入力102から電気エネルギを供給し、第2の電圧で車両の一つまたは複数のトラクションモータ108に電力供給するためにトラクションバッテリ106から電気エネルギを受け取るためにトラクションバッテリ106に電気接続するバッテリ接続端子104と; 充電入力102および出力110に結合されたDCDCコンバータ112であって、前記出力110が、出力電圧で車両の1つまたは複数の電気ユニットに電力を供給するために、DCDCコンバータ112を車両の電気バスに電気的に接続するための出力110である、DCDCコンバータ112を備える。
【0060】
制御システム600は、トラクションバッテリ106が第1の電圧で充電されている間、充電入力102から電気エネルギを受け取り、出力電圧で電気エネルギを出力110に供給するようにDCDCコンバータ112を制御するように構成される。
【0061】
一つ以上のコントローラ608は、1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の外部コントローラから情報を受信するための電気入力602を有する少なくとも1つの電子プロセッサ612と、少なくとも1つの電子プロセッサ612に接続され、そこに格納された命令を有する少なくとも1つの電子メモリデバイス610とを集合的に含んでよい。少なくとも1つの電子プロセッサ612は、情報に依存して制御システム600にDCDCコンバータを制御させるように、少なくとも1つのメモリデバイス610にアクセスし、その上で命令を実行するように構成され得る。例えば、DCDCコンバータが特定の第1の電圧例えば800Vで電気エネルギを受け取ることを示す入力が入力602に提供されることがある。次に、コントローラは、例えば400Vの電力がDCDCコンバータによって提供されることを示すために、DCDCコンバータに送信するための出力信号を出力604に提供してもよく、および/または、800V入力電圧で動作し400V出力電圧で電気エネルギを提供するようにDCDCコンバータに信号を出力604から提供することができる。
【0062】
電源回路100がAC充電入力114を備える例では、制御システム600は、DCDCコンバータ112を制御して、AC充電入力114から電気エネルギを受け取り、トラクションバッテリ106を充電するための第1の電圧でバッテリ接続端子104に電気エネルギを提供するように構成されることがある。例えば、DCDCコンバータが特定の第1の電圧例えば400VでAC電気エネルギを受信することを示す入力が入力602に提供されることがある。コントローラは、次に、400VのAC電力が提供されることを示すためにDCDCコンバータに送信し、および/または、DCDCコンバータを400V AC入力電圧で動作して12V DC出力電圧で電気エネルギを提供するようにDCDCコンバータに信号を送るために、出力604で出力信号を提供する。
【0063】
コントローラ(複数可)600はそれぞれ、1つまたは複数の電子プロセッサ612を有する制御ユニット608または計算デバイスを含んでよい。車両(図8参照)および/またはそのシステム(図7参照)は、単一の制御ユニット608または電子コントローラ600を含んでいてもよく、あるいは代替的に、コントローラ(複数可)600の異なる機能が、異なる制御ユニット608またはコントローラ600に具現化されるか、またはホストされてもよい。実行されると、前記コントローラ(複数可)600または制御ユニット(複数可)608に、本明細書に記載の制御技術(記載の方法(複数可)を含む)を実施させる一組の命令が提供され得る。命令のセットは、1つまたは複数の電子プロセッサ612に埋め込まれ得るか、あるいは、命令のセットは、1つまたは複数の電子プロセッサ(複数可)612によって実行されるようにソフトウェアとして提供され得る。例えば、第1のコントローラ608は、1つまたは複数の電子プロセッサ612上で実行されるソフトウェアで実装され得、1つまたは複数の他のコントローラ608も、1つまたは複数の電子プロセッサ612上、または任意に、第1のコントローラ608と同じ1つまたは複数のプロセッサ612上で実行されるソフトウェアで実装され得る。しかしながら、他の配置も有用であり、したがって、本開示は、任意の特定の配置に限定されることを意図していないことが理解されよう。いずれにせよ、上述の命令のセットは、機械または電子プロセッサ/計算機によって読み取り可能な形態で情報を記憶するための任意の機構を構成し得るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体)に埋め込まれ得るが、これには限定されない、記憶媒体は、磁気記憶媒体(例えば、磁気記憶媒体(例えば、フロッピディスク);光学記憶媒体(例えば、CD-ROM);光磁気記憶媒体;読み取り専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);消去可能プログラム可能メモリ(例えば、EPROMおよびEEPROM);フラッシュメモリ;または情報/命令を記憶するための電気もしくは他のタイプの媒体で、それらに限定されない。
【0064】
図7は、入力702と、例えば図6に例示されるような制御システム600と、本明細書に開示される例えば図4および5に例示されるような、制御システム600によって制御されるバッテリアセンブリ150と、出力704とを備えるシステム700を例示する。
【0065】
図8は、上述のような電力回路100、上述のようなバッテリアセンブリ150、上述のような制御システム600、または上述のようなシステム700を含む車両800を示す。車両は、電気バスを含んでいてもよく、電気バスは、電力回路によって提供される第2の電圧で車両800の1つまたは複数の補助ユニットに電気エネルギを提供するように構成された補助電力バス(例えば、高電圧(HV)バス)を含んでいる。例示的な車両800は、乗用車または自動車とも呼ばれる乗用車であってもよく、または他の例では、車両800は産業車両であってもよい。車両800は、電気自動車(EV)であってもよいし、ハイブリッド電気自動車(HEV)であってもよい。車両800がHEVである場合、車両800は、プラグインHEVまたはマイルドHEVであってもよい。車両800がプラグインHEVである場合、車両800は、シリーズHEVまたはパラレルHEVである可能性がある。パラレルHEVでは、トラクションモータと内燃機関とが並列に作動可能であり、同時にトラクティブトルクを提供する。シリーズHEVでは、内燃機関が電気を発生し、トラクションモータが専ら牽引トルクを提供する。
【0066】
図9は、本明細書に開示されるような車両のための電力回路を制御する方法900を示す。方法900は、DCDCコンバータを制御して:充電入力902から電気エネルギを受け取り、トラクションバッテリが第1の電圧904で充電されている間に出力電圧で電気エネルギを出力に提供することを含む。
【0067】
図9に図示されたブロックは、方法900におけるステップおよび/または方法ステップを実行するために上述のような電力回路を制御するように構成されたコンピュータプログラムにおけるコードのセクションを表すことができる。ブロックに対する特定の順序の図示は、必ずしもブロックに必要なまたは好ましい順序があることを意味するものではなく、ブロックの順序および配置は変化し得る。さらに、他の実施例において、いくつかのステップを省略または追加することが可能であり得る。したがって、本開示は、実行されると、図9に例示されるような、本明細書に開示される任意の方法を実行するように構成されるコンピュータソフトウェアも含む。任意選択で、コンピュータソフトウェアは、コンピュータ可読媒体に格納され、タンジブルに格納されることができる。
【0068】
本明細書に開示される実施例は、複数の可能な電圧のうちの第1の電圧で車両のバッテリパックを交換することを可能にし、一方、1つまたは複数のさらなる電圧-入力における充電電圧と一致してもしなくてもよい-で車両の1つまたは複数の補助ユニットに電力を提供する。例えば、バッテリパックは800Vで充電され、一方、バッテリヒータユニットには400Vで電力が供給され、および/または車両補助ユニットには12Vで電力が供給されることがある。さらに、本明細書に開示される実施例は、ポート電圧を複数の方法で構成することを可能にし、これは、複数の車両/車両構成で使用するために望ましいかもしれない。異なる車両に対するこれらの異なる電圧要件は、「クロスカー要件」と表現されることがある。さらに、本明細書に記載の回路の構成は、ユーザによって「オンザフライ」で適応され得る。例えば、回路入力で400V又は800Vを許容するスイッチング手段を使用することにより、車両のハードウェアを更新する必要なく、800V又は400Vのチャージャを使用して車両バッテリを充電することができる。これは、既存のトポロジでは不可能なことである。
【0069】
添付の特許請求の範囲によって定義される本願の範囲から逸脱することなく、ここに開示された実施例に様々な変更および修正を加えることができることが理解されるであろう。
【0070】
ここで使用される「モジュール」は、最終製造業者またはユーザによって追加されるであろう特定の部品/コンポーネントを除外したユニットまたは装置を意味する。
【0071】
ここで使用される「接続」とは、直接的または間接的に「電気的に相互接続された」ことを意味する。電気的相互接続は、ガルバニックである必要はない。制御システムに関する場合、接続されているとは、適切な通信手段を介してメッセージが送受信される程度に動作可能に結合されていることをいう。
【0072】
「電流」は、電流を意味する。「電圧」とは、電位差を意味する。用語「直列」は、電気的直列を意味する。パラレル」とは、電気的な並列を意味する。用語「電力」は、電気的な電力を意味する。用語『充電』は、バッテリの電気的な再充電を意味する。用語「巻線」は、変圧器巻線及び分割巻線に関して、「コイル」と同義である。分割巻線のうちの1つが回路内で接続される例では、例えば、2つの分割巻線の両方が回路内で直列に接続される場合よりも低い電圧を受容/提供するために、他の(複数の)分割巻線が回路内で接続されない、すなわち「浮いた」状態にされると理解され得る。
【0073】
先行する段落において、様々な実施例を参照して実施例を説明したが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、与えられた実施例に対する変更を行うことができることを理解されたい。先の説明で説明した機能は、明示的に説明した組み合わせ以外の組み合わせで使用することができる。特定の特徴を参照して機能を説明してきたが、それらの機能は、説明されているか否かにかかわらず、他の特徴によって実行可能であり得る。ある実施形態を参照して特徴を説明したが、それらの特徴は、説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態にも存在する可能性がある。
【0074】
前述の明細書では、特に重要であると考えられる特徴に注意を向けるように努めているが、出願人は、特に強調されているかどうかにかかわらず、本明細書で言及した、および/または図面に示した特許可能な特徴または特徴の組み合わせに関して保護を主張することを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9