(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】空調システム、制御装置、空調制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/08 20060101AFI20241101BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20241101BHJP
F24F 11/58 20180101ALI20241101BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20241101BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20241101BHJP
【FI】
F24F7/08 A
F24F7/007 B
F24F11/58
F24F11/77
F24F11/46
(21)【出願番号】P 2023520575
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 JP2021017644
(87)【国際公開番号】W WO2022239052
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 教詞
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-153589(JP,A)
【文献】特開2014-055743(JP,A)
【文献】特開2014-085077(JP,A)
【文献】特開2015-197241(JP,A)
【文献】特表2012-517727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/08
F24F 7/007
F24F 11/58
F24F 11/77
F24F 11/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の空気を換気する空調機器と、
前記部屋内にある情報処理端末をネットワークに接続するルータと、
前記部屋に人がいるか否か検知し、人がいるか否かを示す検知情報を出力する人感センサと、
前記空調機器、前記ルータおよび前記人感センサと接続され、前記空調機器を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記部屋について使用予定者数の情報を含む予定情報と、前記部屋の面積の情報を含む環境情報とを記憶する記憶手段と、
前記ルータに接続された前記情報処理端末の台数である接続数の情報を取得するネットワーク管理手段と、
前記検知情報、前記接続数および前記使用予定者数に基づいて前記部屋の使用者数を推定する推定手段と、
前記環境情報に含まれる前記部屋の面積の情報と、前記推定手段によって推定された前記使用者数とを用いて、単位面積あたりの人数である密集度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記密集度
と第1閾値および前記第1閾値よりも低い第2閾値とを比較し、前記密集度が前記第1閾値以上であるときは換気が必要と判定し、前記密集度が前記第2閾値未満であるときは換気が不要と判定し、また、前記密集度が前記第2閾値以上前記第1閾値未満であるときは、一定時間内に換気が必要と判定して換気の開始時間および換気の時間を設定して、前記部屋の換気が必要か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって換気が必要と判定されると、前記空調機器に換気運転を実行させる機器制御手段と、を有する、
空調システム。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記部屋の最大収容人数の情報を含む前記環境情報を記憶し、
前記推定手段は、
前記検知情報が前記部屋に人がいる在室状態を示す場合、前記使用予定者数がゼロか否かを判定し、前記使用予定者数がゼロでない場合、前記使用予定者数を前記部屋の使用者数と推定し、
前記使用予定者数がゼロか否かの判定の結果、前記使用予定者数がゼロである場合、前記接続数が1以上か否かを判定し、前記接続数が1以上である場合、前記接続数を前記部屋の前記使用者数と推定し、前記接続数がゼロである場合、前記最大収容人数を前記部屋の前記使用者数と推定する、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記推定手段は、
前記検知情報が前記部屋に人がいない不在状態を示す場合、前記接続数が1以上か否かを判定し、前記接続数が1以上である場合、前記接続数を前記部屋の前記使用者数と推定し、前記接続数がゼロである場合、予め決められた人数を前記部屋の前記使用者数と推定する、
請求項1または2に記載の空調システム。
【請求項4】
それぞれが複数の前記部屋のそれぞれに設けられた複数の前記空調機器と、
それぞれが前記複数の部屋のそれぞれに設けられた複数の前記人感センサと、
複数の前記ルータと、を有し、
各ルータは、前記複数の部屋のうち、1または2以上の前記部屋内にある前記情報処理端末と接続し、
前記記憶手段は、前記複数の部屋毎の前記予定情報および前記環境情報を記憶し、
前記推定手段は、
前記複数の部屋毎に、前記検知情報、前記接続数および前記使用予定者数に基づいて前記使用者数を推定する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項5】
前記各ルータの通信範囲は、
それぞれの前記ルータが設置された前記部屋をカバーするものである、
請求項4に記載の空調システム。
【請求項6】
前記算出手段は、
前記予定情報の前記複数の部屋毎に記載された前記使用予定者数を、実績人数として前記複数の部屋毎に推定された前記使用者数に書き換えた履歴情報を作成し、作成した履歴情報を前記記憶手段に記憶させる、
請求項4または5に記載の空調システム。
【請求項7】
前記制御装置は、時刻を計測するタイマーを有し、
前記予定情報および前記履歴情報は、前記複数の部屋毎に、前記部屋の使用開始時刻および前記部屋の使用に関連する情報を含み、
前記推定手段は、
前記予定情報および前記履歴情報を参照し、前記予定情報および前記履歴情報のそれぞれに含まれる前記部屋の使用に関連する情報が一致する部屋を特定し、特定された部屋の前記使用開始時刻が前記タイマーによって計測される時刻よりも前である場合、前記履歴情報に記録された前記実績人数を前記特定された部屋の前記使用者数と推定し、
前記機器制御手段は、
前記判定手段によって前記特定された部屋の換気が必要と判定されると、前記使用開始時刻前に前記特定された部屋に設けられた前記空調機器に換気運転を実行させる、
請求項6に記載の空調システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記推定手段によって推定された使用者数を補正し、補正後の使用者数を前記算出手段に通知する補正手段を有し、
前記記憶手段は、前記複数の部屋に対して、前記各ルータの通信範囲の情報を含む前記環境情報を記憶し、
前記補正手段は、
前記推定手段によって推定された使用者数に対して、決められた演算式、前記接続数、前記使用予定者数、および前記環境情報に対応する重み付け係数を用いて補正する、
請求項4~7のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項9】
前記制御装置と接続され、前記補正手段が実行する処理のアルゴリズムを変更する更新プログラムを記憶するサーバを有し、
前記記憶手段は、プログラムを記憶し、
前記制御装置は、
前記プログラムにしたがって処理を実行するプロセッサと、
前記記憶手段が記憶するプログラムを更新するブートローダと、を有し、
前記プロセッサが、前記プログラムを実行することで、少なくとも前記補正手段の機能が実現され、
前記ブートローダは、前記サーバから前記更新プログラムを読み出し、前記記憶手段が記憶するプログラムを前記更新プログラムに書き換える、
請求項8に記載の空調システム。
【請求項10】
前記制御装置および前記情報処理端末と接続され、前記部屋に設置された前記空調機器の換気運転の状態の情報を含む予約情報を記憶するサーバを有し、
前記情報処理端末は、
前記空調機器の換気運転の状態を表示する表示部と、
前記換気運転の状態を変更する旨の指示が入力されると、前記換気運転の状態を変更する情報を含む状態変更情報を前記サーバに送信する端末制御部と、を有し、
前記機器制御手段は、
前記サーバが記憶する前記予約情報に前記状態変更情報が記録されると、前記状態変更情報に対応して前記空調機器の換気運転の状態を変更する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項11】
部屋の空気を換気する空調機器、前記部屋内にある情報処理端末をネットワークに接続するルータ、および前記部屋に人がいるか否かを示す検知情報を出力する人感センサと接続され、前記空調機器を制御する制御装置であって、
前記部屋について使用予定者数の情報を含む予定情報と、前記部屋の面積の情報を含む環境情報とを記憶する記憶手段と、
前記ルータに接続された前記情報処理端末の台数である接続数の情報を取得するネットワーク管理手段と、
前記検知情報、前記接続数および前記使用予定者数に基づいて前記部屋の使用者数を推定する推定手段と、
前記環境情報に含まれる前記部屋の面積と、前記推定手段によって推定された前記使用者数とを用いて、単位面積あたりの人数である密集度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記密集度
と第1閾値および前記第1閾値よりも低い第2閾値とを比較し、前記密集度が前記第1閾値以上であるときは換気が必要と判定し、前記密集度が前記第2閾値未満であるときは換気が不要と判定し、また、前記密集度が前記第2閾値以上前記第1閾値未満であるときは、一定時間内に換気が必要と判定して換気の開始時間および換気の時間を設定して、前記部屋の換気が必要か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって換気が必要と判定されると、前記空調機器に換気運転を実行させる機器制御手段と、
を有する制御装置。
【請求項12】
部屋の空気を換気する空調機器、前記部屋内にある情報処理端末をネットワークに接続するルータ、および前記部屋に人がいるか否かを示す検知情報を出力する人感センサと接続される制御装置による空調制御方法であって、
前記部屋について使用予定者数の情報を含む予定情報と、前記部屋の面積の情報を含む環境情報とを記憶するステップと、
前記ルータに接続された前記情報処理端末の台数である接続数の情報を取得するステップと、
前記検知情報、前記接続数および前記使用予定者数に基づいて前記部屋の使用者数を推定するステップと、
前記環境情報に含まれる前記部屋の面積と、推定された前記使用者数とを用いて、単位面積あたりの人数である密集度を算出するステップと、
算出された前記密集度
と第1閾値および前記第1閾値よりも低い第2閾値とを比較し、前記密集度が前記第1閾値以上であるときは換気が必要と判定し、前記密集度が前記第2閾値未満であるときは換気が不要と判定し、また、前記密集度が前記第2閾値以上前記第1閾値未満であるときは、一定時間内に換気が必要と判定して換気の開始時間および換気の時間を設定して、前記部屋の換気が必要か否かを判定するステップと、
前記判定によって換気が必要と判定されると、前記空調機器に換気運転を実行させるステップと、
を有する空調制御方法。
【請求項13】
部屋の空気を換気する空調機器、前記部屋内にある情報処理端末をネットワークに接続するルータ、および前記部屋に人がいるか否かを示す検知情報を出力する人感センサと接続されるコンピュータに、
前記部屋について使用予定者数の情報を含む予定情報と、前記部屋の面積の情報を含む環境情報とを記憶する記憶手段と、
前記ルータに接続された前記情報処理端末の台数である接続数の情報を取得するネットワーク管理手段と、
前記検知情報、前記接続数および前記使用予定者数に基づいて前記部屋の使用者数を推定する推定手段と、
前記環境情報に含まれる前記部屋の面積と、前記推定手段によって推定された前記使用者数とを用いて、単位面積あたりの人数である密集度を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記密集度
と第1閾値および前記第1閾値よりも低い第2閾値とを比較し、前記密集度が前記第1閾値以上であるときは換気が必要と判定し、前記密集度が前記第2閾値未満であるときは換気が不要と判定し、また、前記密集度が前記第2閾値以上前記第1閾値未満であるときは、一定時間内に換気が必要と判定して換気の開始時間および換気の時間を設定して、前記部屋の換気が必要か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって換気が必要と判定されると、前記空調機器に換気運転を実行させる機器制御手段と、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調対象空間の換気を行う空調システム、制御装置、空調制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
外気を室内に取り込み換気を行うことが、密閉度の高い室内の環境を維持するための有効な手段のひとつであることが、知られている。例えば、室内の汚染要素として、COおよびCO2に着目し、これらの汚染要素の濃度を計測する室内センサと、換気装置と、空気清浄装置とを有する換気空調システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された換気空調システムは、室内センサによって計測された濃度が設定値を超えると、換気装置を運転させるとともに、空気清浄装置を運転させることで、外から室内に取り込まれる空気を清浄化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された換気空調システムにおいては、COまたはCO2などの汚染要素の濃度を計測する特殊なセンサを室内に設ける必要がある。また、汚染要素が感染性のある病原体等の浮遊飛沫である場合、浮遊飛沫をセンサで計測することは困難である。そのため、室内の汚染要素を抑制するための換気が行われないおそれがある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、汚染要素の濃度を計測する特殊なセンサを用いなくても、自動的に部屋の換気を行う空調システム、制御装置、空調制御方法およびプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る空調システムは、部屋の空気を換気する空調機器と、前記部屋内にある情報処理端末をネットワークに接続するルータと、前記部屋に人がいるか否か検知し、人がいるか否かを示す検知情報を出力する人感センサと、前記空調機器、前記ルータおよび前記人感センサと接続され、前記空調機器を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記部屋について使用予定者数の情報を含む予定情報と、前記部屋の面積の情報を含む環境情報とを記憶する記憶手段と、前記ルータに接続された前記情報処理端末の台数である接続数の情報を取得するネットワーク管理手段と、前記検知情報、前記接続数および前記使用予定者数に基づいて前記部屋の使用者数を推定する推定手段と、前記環境情報に含まれる前記部屋の面積の情報と、前記推定手段によって推定された前記使用者数とを用いて、単位面積あたりの人数である密集度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された前記密集度と第1閾値および前記第1閾値よりも低い第2閾値とを比較し、前記密集度が前記第1閾値以上であるときは換気が必要と判定し、前記密集度が前記第2閾値未満であるときは換気が不要と判定し、また、前記密集度が前記第2閾値以上前記第1閾値未満であるときは、一定時間内に換気が必要と判定して換気の開始時間および換気の時間を設定して、前記部屋の換気が必要か否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって換気が必要と判定されると、前記空調機器に換気運転を実行させる機器制御手段と、を有するものである。
【0007】
本開示に係る制御装置は、部屋の空気を換気する空調機器、前記部屋内にある情報処理端末をネットワークに接続するルータ、および前記部屋に人がいるか否かを示す検知情報を出力する人感センサと接続され、前記空調機器を制御する制御装置であって、前記部屋について使用予定者数の情報を含む予定情報と、前記部屋の面積の情報を含む環境情報とを記憶する記憶手段と、前記ルータに接続された前記情報処理端末の台数である接続数の情報を取得するネットワーク管理手段と、前記検知情報、前記接続数および前記使用予定者数に基づいて前記部屋の使用者数を推定する推定手段と、前記環境情報に含まれる前記部屋の面積と、前記推定手段によって推定された前記使用者数とを用いて、単位面積あたりの人数である密集度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された前記密集度と第1閾値および前記第1閾値よりも低い第2閾値とを比較し、前記密集度が前記第1閾値以上であるときは換気が必要と判定し、前記密集度が前記第2閾値未満であるときは換気が不要と判定し、また、前記密集度が前記第2閾値以上前記第1閾値未満であるときは、一定時間内に換気が必要と判定して換気の開始時間および換気の時間を設定して、前記部屋の換気が必要か否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって換気が必要と判定されると、前記空調機器に換気運転を実行させる機器制御手段と、を有するものである。
【0008】
本開示に係る空調制御方法は、部屋の空気を換気する空調機器、前記部屋内にある情報処理端末をネットワークに接続するルータ、および前記部屋に人がいるか否かを示す検知情報を出力する人感センサと接続される制御装置による空調制御方法であって、前記部屋について使用予定者数の情報を含む予定情報と、前記部屋の面積の情報を含む環境情報とを記憶するステップと、前記ルータに接続された前記情報処理端末の台数である接続数の情報を取得するステップと、前記検知情報、前記接続数および前記使用予定者数に基づいて前記部屋の使用者数を推定するステップと、前記環境情報に含まれる前記部屋の面積と、推定された前記使用者数とを用いて、単位面積あたりの人数である密集度を算出するステップと、算出された前記密集度と第1閾値および前記第1閾値よりも低い第2閾値とを比較し、前記密集度が前記第1閾値以上であるときは換気が必要と判定し、前記密集度が前記第2閾値未満であるときは換気が不要と判定し、また、前記密集度が前記第2閾値以上前記第1閾値未満であるときは、一定時間内に換気が必要と判定して換気の開始時間および換気の時間を設定して、前記部屋の換気が必要か否かを判定するステップと、前記判定によって換気が必要と判定されると、前記空調機器に換気運転を実行させるステップと、を有するものである。
【0009】
本開示に係るプログラムは、部屋の空気を換気する空調機器、前記部屋内にある情報処理端末をネットワークに接続するルータ、および前記部屋に人がいるか否かを示す検知情報を出力する人感センサと接続されるコンピュータに、前記部屋について使用予定者数の情報を含む予定情報と、前記部屋の面積の情報を含む環境情報とを記憶する記憶手段と、前記ルータに接続された前記情報処理端末の台数である接続数の情報を取得するネットワーク管理手段と、前記検知情報、前記接続数および前記使用予定者数に基づいて前記部屋の使用者数を推定する推定手段と、前記環境情報に含まれる前記部屋の面積と、前記推定手段によって推定された前記使用者数とを用いて、単位面積あたりの人数である密集度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された前記密集度と第1閾値および前記第1閾値よりも低い第2閾値とを比較し、前記密集度が前記第1閾値以上であるときは換気が必要と判定し、前記密集度が前記第2閾値未満であるときは換気が不要と判定し、また、前記密集度が前記第2閾値以上前記第1閾値未満であるときは、一定時間内に換気が必要と判定して換気の開始時間および換気の時間を設定して、前記部屋の換気が必要か否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって換気が必要と判定されると、前記空調機器に換気運転を実行させる機器制御手段と、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、部屋の使用予定者数の情報を含む予定情報と、ルータの接続数と、人感センサの検知情報とに基づいて、部屋の使用者数が推定され、推定された使用者数および部屋の面積によって算出される密集度から換気が必要か否か判定される。部屋の換気が必要と判定される場合、部屋に設置された空調機器が換気運転を行う。そのため、汚染要素の濃度を計測する特殊なセンサがなくても、密集度が高くなると、自動的に部屋の換気が行われる。その結果、室内の空気環境を、汚染要素を抑制した状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る空調システムの一構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る空調システムの別の構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る空調システムにおいて、通信接続の別の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図3に示したルータの通信範囲の一例を示す模式図である。
【
図5】
図3に示した情報処理端末の一構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図3に示した制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図6に示した補助記憶部が記憶するデータの一例を示す図である。
【
図8】
図6に示したプロセッサの一構成例を示す機能ブロック図である。
【
図15】実施の形態1に係る空調システムにおいて、換気制御に必要な情報収集を行う制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
【
図16】実施の形態1に係る空調システムにおいて、制御装置による換気制御の動作手順を示すフローチャートである。
【
図17】実施の形態1に係る空調システムにおいて、制御装置による換気制御の動作手順を示すフローチャートである。
【
図18】実施の形態1に係る空調システムにおいて、制御装置による換気制御の動作手順を示すフローチャートである。
【
図19】
図17および
図18に示したフローを制御装置が実行することによって推定される使用者数を示すテーブルである。
【
図20】実施の形態2に係る空調システムの制御装置に含まれるプロセッサの一構成例を示す機能ブロック図である。
【
図21】実施の形態2に係る空調システムにおいて、制御装置による換気制御の動作手順を示すフローチャートである。
【
図22】実施の形態2に係る空調システムにおいて、制御装置による換気制御の動作手順を示すフローチャートである。
【
図23】
図22に示すステップS201における補正手段による動作手順を示すフローチャートである。
【
図24】実施の形態3に係る空調システムにおいて、
図3に示したサーバの一構成例を示すブロック図である。
【
図25】
図24に示した記憶部が記憶する会議予約情報の一例を示すテーブルである。
【
図26】実施の形態3に係る空調システムにおいて、情報処理端末の動作手順を示すフローチャートである。
【
図27】実施の形態3に係る空調システムにおいて、制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
本実施の形態1の空調システムの構成を説明する。
図1は、実施の形態1に係る空調システムの一構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、空調システム10は、空調対象空間を換気する空調機器2と、空調機器2を制御する制御装置1と、ルータ3および13とを有する。ルータ3および13は広域ネットワークNW1と接続される。制御装置1は局所ネットワークNW2を介して空調機器2と接続される。
【0013】
広域ネットワークNW1は、例えば、インターネットである。本実施の形態1においては、
図1に示すように、広域ネットワークNW1にサーバ5が接続されている。局所ネットワークNW2は、例えば、イーサネット(登録商標)のような通信規格に適合したLAN(Local Area Network)である。局所ネットワークNW2は、有線および無線のうち、一方の通信ネットワークであってもよく、両方を組み合わせた通信ネットワークであってもよい。局所ネットワークNW2が無線ネットワークである場合、局所ネットワークNW2は、例えば、Wi-Fi(登録商標)のような国際標準規格であるIEEE802.11規格にしたがってデータを伝送する。以下では、局所ネットワークNW2が無線ネットワークの場合で説明する。また、空調システム10が1つの会社に設置される場合で説明する。
【0014】
ルータ3に複数の情報処理端末4-1~4-mが接続される。mは2以上の任意の整数である。情報処理端末4-1~4-mは、例えば、PC(Personal Computer)およびスマートフォン等のタブレット端末である。本実施の形態1においては、情報処理端末4-1~4-mがノート型PCまたはタブレット端末の場合で説明する。
【0015】
情報処理端末4-1~4-mの各端末のユーザが自分のデスクで仕事をする際、情報処理端末4-1~4-mのそれぞれはルータ13および広域ネットワークNW1を介して、サーバ5と接続される。情報処理端末4-1~4-mはサーバ5を介して制御装置1と通信する。本実施の形態1では、情報処理端末4-1~4-mの各端末のユーザは同じ会社の社員である。
【0016】
空調機器2は、局所ネットワークNW2を介して制御装置1と接続される。空調機器2は、例えば、換気扇である。空調機器2は、換気扇に限らず、外気と部屋内の空気とを入れ換える換気機能を備えた機器であればよい。空調機器2は、冷媒回路を備えた空気調和装置であってもよい。空調機器2は、空調対象空間である部屋に設けられている。空調機器2が設置される部屋は、例えば、会議室CRである。空調機器2が設置される部屋は会議室に限らない。空調機器2は、会議室CR内の空気を換気する。会議室CRは、ルータ3の通信範囲にカバーされる。
【0017】
ルータ3および13は、異なる複数のネットワークを接続する装置である。ルータ13は、制御装置1と情報処理端末4-1~4-mとの間で伝送される情報の授受を中継する。例えば、ルータ13は、制御装置1と情報処理端末4-1~4-mとの間で、サーバ5を介して伝送される情報の授受を中継する。
図1に示していないが、情報処理端末4-iのユーザが情報処理端末4-iを携帯して会議室CRに移動すると、情報処理端末4-iはルータ3と接続される。iは1~mの任意の整数とする。ルータ3は、制御装置1と情報処理端末4-iとの間で、サーバ5を介して伝送される情報の授受を中継する。
【0018】
会議室CRには、会議室CR内に人がいるか否かを検知する人感センサ6が設けられている。人感センサ6は、例えば、焦電センサである。人感センサ6は、制御装置1と接続されている。人感センサ6は、会議室CR内に人がいるか否かを示す在室状態を検知し、在室状態の情報を含む検知情報を制御装置1に出力する。人感センサ6は、人の有無だけでなく、会議室CRにいる人の人数を簡易的に検出できるものであってもよい。
【0019】
図2は、実施の形態1に係る空調システムの別の構成例を示すブロック図である。
図2に示す空調システム10は、複数の会議室の換気制御を行うものである。
図2は、換気制御の対象となる空調対象空間が第1会議室CR1~第q会議室CRqの場合を示す。qは2以上の整数である。
図2に示す空調システム10においては、ルータ3-1~3-nが設けられている。
【0020】
なお、
図1および
図2に示した通信接続の構成は一例であって、
図1および
図2に示した構成に限らない。
図3は、実施の形態1に係る空調システムにおいて、通信接続の別の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、局所ネットワークNW2を介して、情報処理端末4-1~4-m、空調機器2-1~2-q、ルータ3-1~3-nおよび制御装置1が互いに通信できるように接続されてもよい。
【0021】
以下では、本実施の形態1の空調システム10について、
図3に示した構成例の場合で説明するが、
図1または
図2に示した構成例であってもよい。
【0022】
図4は、
図3に示したルータの通信範囲の一例を示す模式図である。
図4は、ルータ3-1~3-3のルータ毎の通信範囲を模式的に示す。第1会議室CR1は、ルータ3-1の通信範囲Cell1にカバーされる。第2会議室CR2は、ルータ3-2の通信範囲Cell2にカバーされる。情報処理端末4-iは、第1会議室CR1にある場合、ルータ3-1と接続され、第2会議室CR2にある場合、ルータ3-2と接続される。
【0023】
一方、第3会議室CR3~第5会議室CR5は、同じルータ3-3の通信範囲Cell3にカバーされる。第3会議室CR3~第5会議室CR5においては、情報処理端末4-iは、どの会議室CRにあってもルータ3-3と接続される。このように、ルータ3-1~3-nについて、各ルータの通信範囲が1つの会議室CRをカバーしてもよく、2つ以上の会議室CRをカバーしてもよい。
【0024】
次に、
図3に示したサーバ5の構成を説明する。サーバ5は、例えば、制御装置1のメーカが保有するクラウドサーバである。サーバ5は、広域ネットワークNW1、ルータ13および局所ネットワークNW2を介して、制御装置1と接続される。サーバ5は、制御装置1および情報処理端末4-1~4-mに関する認証処理を実行する。サーバ5は、空調システム10と無関係な他の装置が外部から不正に制御装置1および情報処理端末4-1~4-mと通信できないようにする。
【0025】
図3に示した情報処理端末4-1~4-mの構成を説明する。情報処理端末4-1~4-mは同じ構成なので、ここでは、情報処理端末4-iの場合について説明する。
図5は、
図3に示した情報処理端末の一構成例を示すブロック図である。
【0026】
情報処理端末4-iは、端末記憶部41と、端末制御部42と、操作部43と、表示部44とを有する。端末記憶部41は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。表示部44は、例えば、ディスプレイである。端末制御部42は、プログラムを記憶するメモリ(図示せず)と、メモリが記憶するプログラムにしたがって処理を実行するプロセッサ(図示せず)とを有する。各情報処理端末4-iの端末記憶部41は、スケジュール管理のためのアプリケーションソフトウェアであるスケジュールプログラムを記憶している。各情報処理端末4-iには、各情報処理端末4-iに固有の識別子である端末識別子T4-iが予め割り当てられている。端末制御部42は、他の装置に情報を送信する際、自端末に割り当てられた端末識別子T4-iを添付して送信する。
【0027】
ユーザが情報処理端末4-iを操作して会議予約情報を登録する方法を説明する。ユーザは、会議の予定が入ると、操作部43を操作してスケジュールプログラムを起動する指示を入力する。会議の予定は、例えば、ユーザの所属する課のリーダからユーザに口頭で通知される。端末制御部42は、スケジュールプログラムの起動の指示が入力されると、端末記憶部41からスケジュールプログラムを読み出し、スケジュールプログラムを実行する。続いて、端末制御部42は、会議予約入力項目を表示部44に表示させる。会議予約入力項目は、例えば、会議室名、会議名、使用開始時刻および使用終了時刻である。ユーザは、表示部44の表示を参照しながら、操作部43を操作して、会議予約入力項目の各項目の欄に入力する。端末制御部42は、会議予約入力項目に入力された情報と端末識別子とを含む会議予約情報を作成し、会議予約情報を端末記憶部41に記憶させる。端末制御部42は、制御装置1から会議予約情報の要求があると、会議予約情報を制御装置1に送信する。
【0028】
ここでは、ユーザが自分で情報処理端末4-iを操作して情報処理端末4-iに会議予約情報を作成させる場合で説明したが、この方法に限らない。例えば、課のリーダが自分の情報処理端末4-iを操作して、会議予約情報を電子メールに添付して、課内の他の社員の情報処理端末4-iに送信してもよい。この場合、課内の他の社員の情報処理端末4-iの端末制御部42は、電子メールを受信すると、電子メールに添付された会議予約情報を端末記憶部41に記憶させる。また、会議室CRの予約が重複しないように、サーバ5が会議室CRの予約を管理してもよく、会議室CRの予約を管理する別のサーバが設けられていてもよい。
【0029】
また、本実施の形態1においては、ユーザが自分のデスクで使用する情報処理端末4-iと会議室CRで使用する情報処理端末4-iとが同じ場合で説明するが、別々であってもよい。例えば、ユーザが自分のデスクで使用する情報処理端末はデスクトップ型のPCであってもよい。
【0030】
次に、
図3に示した制御装置1の構成を説明する。
図6は、
図3に示した制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御装置1は、空調機器2-1~2-qを制御するコンピュータである。制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ101と、記憶部15と、第1の通信インタフェース104と、第2の通信インタフェース105と、ブートローダ106とを有する。記憶部15は、主記憶部102および補助記憶部103を有する。記憶部15は、本実施の形態1の空調制御方法に関連する情報を記憶する記憶手段である。プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、第1の通信インタフェース104、第2の通信インタフェース105およびブートローダ106は、バス109を介して接続される。
【0031】
補助記憶部103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置である。補助記憶部103は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであってもよい。主記憶部102は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリであるが、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであってもよい。
【0032】
補助記憶部103が記憶する情報を説明する。
図7は、
図6に示した補助記憶部が記憶するデータの一例を示す図である。補助記憶部103内は、プログラムが記憶される領域と、制御データが記憶される領域とに分かれている。補助記憶部103は、プログラムが記憶される領域に、2つ以上のプログラムを記憶できる。プログラムが記憶される領域に2つ以上のプログラムが記憶される場合、プログラム毎に異なる識別子が割り当てられ、プログラムが記憶される領域には、識別子が記録される領域も設けられている。各プログラムに識別子を割り当てることで、制御装置1が起動する際、ブートローダ106が補助記憶部103から主記憶部102に読み出すプログラムを識別子で識別できるようにしている。
【0033】
ブートローダ106は、制御装置1が起動したときに、プロセッサ101に実行させるプログラムを補助記憶部103から読み出して主記憶部102に書き込む。プロセッサ101に実行させるプログラムを書き換えたい場合、例えば、次のように行う。書き換えたいプログラムをサーバ5に保存する。このプログラムを更新プログラムと称する。制御装置1が現状のプログラムで動作している間に、ブートローダ106は、サーバ5から更新プログラムを取得する。そして、ブートローダ106は、補助記憶部103のプログラム領域に更新プログラムを保存し、起動時に実行させるプログラムの識別子を更新プログラムの識別子に書き換えておく。このようにして、次に制御装置1が起動したに動作するプログラムを更新プログラムに切り替えることができる。
【0034】
第1の通信インタフェース104は、ルータ13および広域ネットワークNW1を介して、サーバ5と情報を送受信し、さらにサーバ5経由で情報処理端末4-1~4-mと情報を送受信する。第2の通信インタフェース105は、局所ネットワークNW2を介して、空調機器2-1~2-qと情報を送受信する。
【0035】
図8は、
図6に示したプロセッサの一構成例を示す機能ブロック図である。プロセッサ101は、演算手段16と、タイマー17とを有する。演算手段16は、例えば、算術論理演算ユニットである。演算手段16は、情報取得手段21と、ネットワーク管理手段22と、在室管理手段23と、推定手段24と、算出手段25と、判定手段26と、機器制御手段27とを有する。
【0036】
制御装置1が起動するとき、プロセッサ101が主記憶部102からプログラムを読み出す。プロセッサ101がプログラムを実行することで、情報取得手段21、ネットワーク管理手段22、在室管理手段23、推定手段24、算出手段25、判定手段26および機器制御手段27の各手段の機能が実現される。
【0037】
補助記憶部103に記憶される制御データについて説明する。制御データは、会議予約情報、予定情報、在室情報、接続情報、環境情報および履歴情報を含むデータである。ただし、本実施の形態1の換気制御を制御装置1が実行する際、演算手段16が補助記憶部103から制御データを読み出したり、制御データを補助記憶部103に書き込んだりすると処理速度が遅くなる。そのため、制御装置1は、換気制御を行う際、制御データを補助記憶部103から読み出して主記憶部102に書き込み、主記憶部102は主記憶部102との間で情報の送受信を行う。以下では、主記憶部102が制御データを記憶する場合で説明する。
【0038】
はじめに、会議予約情報について説明する。
図9は、会議予約情報の一例を示すテーブルである。会議予約情報は、各会議室の予約に関する情報である。各情報処理端末4-iの端末記憶部41が記憶する会議予約情報は、情報処理端末4-iの端末識別子、会議名、会議室名、使用開始時刻および使用終了時刻の情報を含む。
図9に示す会議予約情報は、情報取得手段21によって情報処理端末4-1~4-mから取得された会議予約情報が集約されたものである。
図9に示す会議予約情報が主記憶部102に記憶される。
図9に示すように、会議予約情報は、情報処理端末4-iの端末識別子に対応して、会議名、会議室、使用開始時刻および使用終了時刻が登録された情報である。
【0039】
図9に示すように、会議名として、X1打合、X2打合、工程会議、進捗会議、課内会議、全体会議および社外打合などが登録されている。X1打合は、社員が製品X1に関して行う打合である。X2打合は、社員が製品X2に関して行う打合である。工程会議は、予め決められた製品の製造工程に関する会議である。進捗会議は、予め決められた製品の製造進捗に関する会議である。課内会議は、課内の社員を対象とする会議である。全体会議は、製品製造に携わる社員全員を対象とする会議である。社外打合は、社員が社外の人と行う打合である。
【0040】
図9に示す会議予約情報では、情報処理端末4-iの端末識別子T4-1~T4-mに対応して、使用開始時刻および使用単位時間毎と、会議室名とが記載されている。
図9に示す会議予約情報においては、使用単位時間が30分なので、使用開始時刻から使用終了時刻を算出することができる。使用単位時間は一例であって、30分に限らない。
図9に示す会議予約情報では、会議室CRを使用できる最終時刻を17時30分としている。
【0041】
図9は、例えば、情報処理端末4-1から取得された会議予約情報は、9:00~10:00に第3会議室CR3で工程会議が予約され、10:00~10:30に第2会議室CR2で製品X2の打合せが予約され、16:30~17:30に第5会議室CR5で社外打合が予約されていることを示す。
【0042】
次に、予定情報について説明する。
図10は、予定情報の一例を示すテーブルである。予定情報は、会議室CRに対応して、会議名と、使用予定者数と、使用開始時刻および使用終了時刻と、使用者名とが登録された情報である。予定情報は、
図9に示した会議予約情報を基に作成される。
図10では、会議名および使用者名を図に示すことを省略している。端末識別子とユーザ名とが対応付けられたユーザ情報テーブル(図示せず)が補助記憶部103に予め記憶されており、情報取得手段21によって、予約された会議毎に、ユーザ名が使用者名として読み出される。また、使用予定者数は、情報取得手段21によってユーザ情報テーブル(図示せず)から読み出された使用者名の数をカウントすることで算出される。
【0043】
図10は、例えば、第1会議室CR1において、9:00~9:30は使用予定者数=0名、9:30~10:00は使用予定者数=5名、10:00~10:30は使用予定者数=0名、16:30以降は使用予定者数=0名であることを示す。なお、予定情報は会議予約情報と関連付けられていてもよい。この場合、予定情報の会議室CRおよび使用時間から、予約された会議の会議名などの情報を会議予約情報で特定することができる。
【0044】
次に、環境情報について説明する。
図11は、環境情報の一例を示すテーブルである。環境情報は、各会議室CRのユーザの利用環境に関する情報である。具体的には、環境情報は、会議室CRに対応して、接続できるルータ3、人感センサ6、会議室CRの面積、最大収容人数、使用者数初期値、および閾値thdが登録された情報である。閾値thdは、後述の密集度Denに基づいて、換気が必要か否かの判定基準となる値である。本実施の形態1では、閾値thdとして、第1閾値thd1および第2閾値thd2が環境情報に予め登録されているが、閾値thdは1つでもよい。第1閾値thd1および第2閾値thd2は、thd1>thd2の関係である。
図11は、第1閾値thd1が0.15、第2閾値thd2が0.1の場合を示しているが、第1閾値thd1および第2閾値thd2の値はこれらの値に限定されない。
【0045】
図11は、例えば、第1会議室CR1について、ルータ3-1の局所ネットワークNW2の通信範囲でカバーされ、人感センサ6-1が設けられ、会議室の面積が約25m
2であり、最大収容人数が10名であることを示す。
図4を参照して説明したように、
図11は、情報処理端末4-iが、第1会議室CR1および第2会議室CR2のそれぞれの部屋において別のルータ3と接続されるが、第3会議室CR3~第5会議室CR5では同じルータ3-3と接続されることを示す。
【0046】
次に、在室情報について説明する。
図12は、在室情報の一例を示すテーブルである。在室情報は、会議室CRに対応して、使用開始時刻および使用終了時刻と、会議室に人がいる状態である在室状態または会議室に人がいない状態である不在状態とが登録された情報である。在室情報は、在室管理手段23によって、人感センサ6から取得される検知情報と環境情報とを用いて作成される。
【0047】
図12は、例えば、第1会議室CR1は、9:00~9:30は会議室が無人であり、9:30~10:00は会議室が有人であり、10:00~10:30および16:00以降は会議室が無人であることを示す。
【0048】
次に、接続情報について説明する。
図13は、接続情報の一例を示すテーブルである。接続情報は、ルータ3-1~3-nの各ルータ3に接続される情報処理端末4-iの台数である接続数Ctを示す情報である。接続情報はネットワーク管理手段22によって作成される。
【0049】
例えば、
図13は、ルータ3-1について、9:00~9:30は接続なし、9:30~10:00は5台の情報処理端末4-iが接続され、10:00~10:30および16:00以降は接続なしであることを示す。
【0050】
次に、履歴情報について説明する。
図14は、履歴情報の一例を示すテーブルである。履歴情報は、過去に実施された会議について、会議室CRに対応して、会議名、使用者名、実績人数および環境に関する情報が登録された情報である。履歴情報は、例えば、予定情報を基にして、使用予定者数の替わりに実績人数が登録されることで作成される。
図14に示すように、履歴情報に会議室の環境情報が登録されてもよい。
【0051】
次に、
図8を参照して、プロセッサ101の各手段の構成を説明する。タイマー17は、プログラムを時間通りに正確にプロセッサ101に実行させるための基準時間(クロック)を生成する。情報取得手段21は、
図3に示したサーバ5を介して、一定の周期で、情報処理端末4-1~4-mから会議予約情報を取得する。情報取得手段21は、取得した会議予約情報を用いて予定情報を作成する。情報取得手段21は、作成した予定情報を主記憶部102に記憶させる。
【0052】
在室管理手段23は、一定の周期で、人感センサ6-1~6-qから検知情報を取得する。在室管理手段23は、取得した検知情報を用いて会議室CR毎に在室状態を示す在室情報を作成する。在室管理手段23は、作成した在室情報を主記憶部102に記憶させる。
【0053】
ネットワーク管理手段22は、一定の周期で、ルータ3-1~3-nから接続数Ctの情報を取得する。ネットワーク管理手段22は、取得した接続数Ctの情報を用いて、ルータ3-1~3-nに接続する情報処理端末4-iの接続数Ctを示す接続情報を作成する。ネットワーク管理手段22は、作成した接続情報を主記憶部102に記憶させる。
【0054】
推定手段24は、主記憶部102に記憶された予定情報、接続情報および在室情報に基づいて、会議室CR毎に使用者数を推定する。推定手段24は、予定情報、接続情報および在室情報の他に、主記憶部102に記憶された環境情報を用いて、会議室CR毎に使用者数を推定してもよい。
【0055】
算出手段25は、会議室CR毎に、推定される使用者数と会議室CRの面積とを用いて、各会議室CRの密集度Denを算出する。密集度Denは単位面積あたりの人数で表される。例えば、面積20[m2]の会議室CRに使用者が5人の場合、密集度Denは、0.25[人/m2]と算出される。算出手段25は、推定手段24によって推定された使用者数を実績人数として、予定情報および会議予約情報を参照して履歴情報を作成する。算出手段25は、作成した履歴情報を主記憶部102に記憶させる。
【0056】
判定手段26は、算出手段25によって算出された、各会議室CRの密集度Denに基づいて、会議室CR毎に換気が必要か否かを判定する。具体的には、判定手段26は、算出された密集度Denと予め決められた第1閾値thd1および第2閾値thd2とを比較する。判定手段26は、密集度Denが第1閾値thd1以上である場合、換気が必要と判定し、密集度Denが第2閾値thd2未満である場合、換気が不要と判定する。一方、判定手段26は、密集度Denが第2閾値以上第1閾値thd1未満である場合、常時換気は不要だが、一定時間内に換気が必要と判定し、換気の開始時間tsおよび換気の時間tvを設定する。換気の開始時間tsは、対象の会議室CRについて、会議開始時刻または会議が開始されていると判定された時刻を計測開始時刻とする経過時間tpである。換気の開始時間tsは、例えば、20分である。換気時間tvは、例えば、5分間である。
【0057】
機器制御手段27は、会議室CRについて判定手段26によって換気が必要と判定される場合、換気運転の実行を指示する旨の指令情報を、局所ネットワークNW2を介して、会議室CRに設置された空調機器2に送信する。jを1~qの任意の整数とし、会議室CRjの換気が必要と判定された場合、機器制御手段27は、換気運転の実行を指示する旨の指令情報を、局所ネットワークNW2を介して、空調機器2-jに送信する。機器制御手段27は、判定手段26から換気時間tvの情報を受信すると、換気時間tvを含む指令情報を局所ネットワークNW2を介して、空調機器2-jに送信する。空調機器2-jは、換気時間tvを含む指令情報を受信すると、換気時間tvだけ、換気運転を行う。
【0058】
次に、
図3に示した空調システム10の動作を説明する。制御装置1と情報処理端末4-1~4-mとの通信は、サーバ5が実行する認証処理によって認証された後に開示されるが、以下では、サーバ5による認証処理の説明を省略する。
【0059】
はじめに、制御装置1が情報処理端末4-1~4-mから情報を収集して、主記憶部102に記憶させる情報を作成する動作について説明する。
図15は、実施の形態1に係る空調システムにおいて、換気制御に必要な情報収集を行う制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
図15に示すフローは、例えば、制御装置1へ電源が投入されたことを契機として開始される。
【0060】
タイマー17は、予め設定された周期である基準周期Trefの時間が到達したか否かを判定する(ステップS001)。基準周期Trefの時間に到達していない場合(ステップS001:No)、制御装置1は処理を終了し、次の基準周期Trefの時間が到達するまで待機する。一方、基準周期Trefの時間に到達した場合(ステップS001:Yes)、タイマー17は、基準周期Trefの時間に到達したことを、情報取得手段21、在室管理手段23およびネットワーク管理手段22に通知する。
【0061】
情報取得手段21は、タイマー17から通知を受けると、局所ネットワークNW2、広域ネットワークNW1およびサーバ5を経由して、情報処理端末4-1~4-mから会議予約情報を取得する(ステップS002-1)。情報取得手段21は、取得した会議予約情報を用いて予定情報を作成し(ステップS003-1)、作成した予定情報を主記憶部102に記憶させる(ステップS004-1)。
【0062】
在室管理手段23は、タイマー17から通知を受けると、人感センサ6-1~6-qから検知情報を取得する(ステップS002-2)。在室管理手段23は、取得した検知情報を用いて在室情報を作成し(ステップS003-2)、作成した在室情報を主記憶部102に記憶させる(ステップS004-2)。
【0063】
ネットワーク管理手段22は、ルータ3-1~3-nから情報処理端末4-iの接続数Ctの情報を取得する(ステップS002-3)。ネットワーク管理手段22は、取得した接続数Ctの情報を用いて接続情報を作成し(ステップS003-3)、作成した接続情報を主記憶部102に記憶させる(ステップS004-3)。
【0064】
このようにして、制御装置1は制御データを定期的に更新する。なお、制御装置1が人感センサ6-1~6-qおよびルータ3-1~3-nから情報をポーリングで取得する場合で説明したが、これらの機器は在室状態または接続数の状態が変化したとき、変化した状態を示す情報を制御装置1に送信してもよい。また、制御装置1は、人感センサ6等の機器からの情報収集について、ポーリングと状態変化時の受信とを併用してもよい。さらに、
図15は、制御装置1が予定情報、在室情報および接続情報について並列処理を行う場合を示しているが、順次処理で行ってもよい。
【0065】
次に、
図3に示した空調システム10において、制御装置1が実行する換気制御を、
図16~
図18を参照して説明する。
図16~
図18は、実施の形態1に係る空調システムにおいて、制御装置による換気制御の動作手順を示すフローチャートである。
図16を参照しながら、会議室CRの使用開始時刻前の空調システム10の動作について説明する。
【0066】
推定手段24は、主記憶部102が記憶する予定情報を参照し、各会議室CRの使用開始時刻を確認する(ステップS101)。推定手段24は、タイマー17から現在の時刻の情報を取得し、現在の時刻が各会議室CRの使用開始時刻前か否かを判定する(ステップS102)。現在の時刻が各会議室CRの使用開始時刻前である場合(ステップS102:Yes)、推定手段24は、主記憶部102が記憶する履歴情報を参照する(ステップS103)。履歴情報には、会議室CR毎に、過去に行われた会議毎に参加した人数である実績人数などの情報が記録されている。また、ステップS103において、推定手段24は、予定情報を参照し、使用開始時刻が現在の時刻に最も近い会議を特定する。特定した会議が開催される会議室CRを会議室CRjとする。
【0067】
推定手段24は、特定した会議について、予定情報に関連付けられた使用者名を読み出す。推定手段24は、読み出した使用者名と同じ使用者名が履歴情報にあるか否かを判定する(ステップS104)。予定情報に関連付けられた使用者名と同じ使用者名が履歴情報にある場合(ステップS104:Yes)、推定手段24は、その使用者名の会議に出席した人の人数を実績人数として履歴情報から読み出し、読み出した実績人数を算出手段25に通知する。算出手段25は、推定手段24から実績人数が通知されると、ステップS106の処理に進む。
【0068】
一方、ステップS104において、予定情報に関連付けられた使用者名と同じ使用者名が履歴情報にない場合(ステップS104:No)、推定手段24は、予定情報に関連付けされた会議名を読み出す。そして、推定手段24は、予定情報に関連付けられた会議名と同じ会議名が履歴情報にあるか否かを判定する(ステップS105)。予定情報に関連付けられた会議名と同じ会議名が履歴情報にある場合(ステップS105:Yes)、推定手段24は、同じ会議名で過去に実施された会議の参加人数を実績人数として履歴情報から読み出し、読み出した実績人数を算出手段25に通知する。算出手段25は、推定手段24から実績人数が通知されると、ステップS106の処理に進む。
【0069】
ステップS106において、算出手段25は、環境情報から会議室CRjの面積を読み出す。算出手段25は、推定手段24から通知された実績人数を会議室CRjの面積で除算して密集度Denを算出する(ステップS107)。判定手段26は、密集度Denが第1閾値thd1以上か否かを判定する(ステップS108)。ステップS108の処理において、判定手段26は、会議室CRjで会議が開始されると、換気が必要なほど、人が密集する可能性があるか否かを判定する。
【0070】
ステップS108の判定の結果、密集度Denが第1閾値thd1以上である場合(ステップS108:Yes)、判定手段26は、会議が開始されると、換気が必要なほど会議室CRjに人が密集する可能性があると判断する。この場合、機器制御手段27は、会議室CRjに設置された空調機器2-jに換気運転の実行を指示する旨の指令情報を送信する(ステップS109)。
【0071】
一方、ステップS108の判定の結果、密集度Denが第1閾値thd1未満である場合(ステップS108:No)、判定手段26は、会議室CRjに人が密集する可能性が低く、換気は不要と判断する。この場合、制御装置1は処理を終了する。また、ステップS105の判定の結果、予定情報に関連付けられた会議名と同じ会議名が履歴情報にない場合(ステップS105:No)にも、制御装置1は処理を終了する。
【0072】
このようにして、密集度が高くなると予想される会議があると、会議が開始される前から、空調機器2-jが自動的に換気運転を開始する。なお、会議室CRjの会議名および使用者名は、条件に一致する会議室CRjを特定するための、会議室CRjの使用に関連する情報の一例である。会議室CRjの使用に関連する情報は、会議名および使用者名に限らない。
【0073】
続いて、
図16に示したステップS102の判定において、現在の時刻が、例えば、会議室CRjの使用開始時刻以降の場合の処理について、
図17および
図18を参照して説明する。会議室CRjは、現在の時刻が予約された会議の使用開始時刻と同じか、現在の時刻が使用開始時刻を過ぎている会議室とする。ここでは、会議室CRjがルータ3-jによる局所ネットワークNW2の通信範囲に入っているが、会議室CRj以外の会議室はルータ3-jによる局所ネットワークNW2の通信範囲に入っていない場合で説明する。
【0074】
図16に示したステップS102の判定の結果、現在の時刻が会議室CRjの使用開始時刻以降である場合(ステップS102:No)、推定手段24は、主記憶部102から予定情報、在室情報および接続情報を読み出す(ステップS151)。推定手段24は、これらの情報を基に、次のようにして、会議室CRjの使用者数を推定する。また、現在の時刻が会議室CRjの使用開始時刻以降である場合(ステップS102:No)、判定手段26は、タイマー17が計測する経過時間tpを監視する。
【0075】
推定手段24は、会議室CRjの在室情報を参照し、会議室CRjに人がいるか否かを判定する(ステップS152)。在室情報が会議室CRjに人がいることを示している場合(ステップS152:Yes)、推定手段24は、予定情報の使用予定者数を会議室CRjの使用者数に仮設定する(ステップS153)。
【0076】
続いて、推定手段24は、ルータ3-jの接続数Ctと会議室CRjの予約の有無との組み合わせによって、会議室CRjの使用者数を推定する。具体的には、推定手段24は、接続情報を参照し、ルータ3-jの接続数Ctが1以上か否かを判定する(ステップS154)。ルータ3-jの接続数Ctが1以上でない場合(ステップS154:No)、つまり、接続数Ctがゼロの場合、推定手段24は、予定情報を参照し、会議室CRjが予約されているか否かを判定する。会議室CRjが予約されている場合、使用予定者数は1以上であるが、会議室CRjが予約されていない場合、使用予定者数はゼロである。推定手段24は、予定情報を参照し、使用予定者数がゼロか否かを判定することによって(ステップS155)、会議室CRjが予約されているか否かを判定する。
【0077】
会議室CRjが予約されており、使用予定者数がゼロでない場合(ステップS155:No)、推定手段24は、使用予定者数を会議室CRjの使用者数と推定する(ステップS156)。一方、ステップS155の判定の結果、会議室CRjが予約されておらず、使用予定者数がゼロである場合(ステップS155:Yes)、推定手段24は、環境情報を参照し、会議室CRjの最大収容人数を使用者数と推定する(ステップS157)。
【0078】
ステップS154の判定の結果、ルータ3-jの接続数Ctが1以上である場合(ステップS154:Yes)、推定手段24は、会議室CRjが予約されているか否かを判定する。具体的には、推定手段24は、ステップS155と同様に、予定情報を参照し、使用予定者数がゼロか否かを判定する(ステップS158)。会議室CRjが予約されており、使用予定者数がゼロでない場合(ステップS158:No)、推定手段24は、使用予定者数を会議室CRjの使用者数と推定する(ステップS159)。一方、ステップS158の判定の結果、会議室CRjが予約されておらず、使用予定者数がゼロである場合(ステップS158:Yes)、推定手段24は、ルータ3-jの接続数Ctを、会議室CRjの使用者数と推定する(ステップS160)。
【0079】
ステップS152の判定の結果、在室情報が会議室CRjに人がいないことを示している場合(ステップS152:No)、推定手段24は、環境情報を参照し、使用者数を初期値に仮設定する(ステップS161)。初期値は、予め決められた人数であり、例えば、ゼロである。続いて、接続情報を参照し、ルータ3-jの接続数Ctが1以上か否かを判定する(ステップS162)。ステップS162の判定の結果、ルータ3-jの接続数Ctが1以上である場合(ステップS162:Yes)、推定手段24は、会議室CRjの予約の有無によらず、ルータ3-jの接続数Ctを、会議室CRjの使用者数と推定する(ステップS160)。一方、ステップS162の判定の結果、ルータ3-jの接続数Ctが1以上でない場合(ステップS162:No)、推定手段24は、使用者数を初期値の人数と推定する(ステップS163)。ここでは、推定手段24は、使用者数がゼロと推定する。
【0080】
推定手段24は使用者数を推定すると、推定した使用者数を算出手段25に通知する。算出手段25は、推定手段24から使用者数が通知されると、環境情報から会議室CRjの面積を読み出す。そして、算出手段25は、推定手段24から通知された使用者数を会議室CRjの面積で除算して密集度Denを算出する(ステップS164)。判定手段26は、算出手段25によって算出された密集度Denが第1閾値thd1以上か否かを判定する(ステップS165)。
【0081】
ステップS165の判定の結果、密集度Denが第1閾値thd1以上である場合(ステップS165:Yes)、判定手段26は、換気が必要なほど会議室CRjに人が密集していると判断する。この場合、機器制御手段27は、会議室CRjに設置された空調機器2-jに換気運転の実行を指示する旨の指令情報を送信する(ステップS169)。
【0082】
一方、ステップS165の判定の結果、密集度Denが第1閾値thd1未満である場合(ステップS165:No)、判定手段26は、密集度Denが第1閾値thd1未満第2閾値thd2以上であるか否かを判定する(ステップS166)。密集度Denが第1閾値thd1未満第2閾値thd2以上である場合(ステップS166:Yes)、判定手段26は、換気の開始時間tsおよび換気時間tvを設定する(ステップS167)。判定手段26は、タイマー17が計測する経過時間tpが換気の開始時間ts以上であるか否かを判定する(ステップS168)。経過時間tpが換気の開始時間tsに到達すると(ステップS168:Yes)、機器制御手段27は、換気時間tvの情報を含む指令情報を、会議室CRjに設置された空調機器2-jに送信する(ステップS169)。ステップS166の判定の結果、密集度Denが第2閾値thd2未満である場合、判定手段26は、会議室CRjに人が密集しておらず、換気は不要と判断する。
【0083】
会議室CRjに人が密集しているか否かによらず、算出手段25は、推定手段24によって推定された使用者数を、会議室CRjの使用者数の実績人数として履歴情報に記録する(ステップS170)。例えば、算出手段25は、予定情報の会議室CRjに記載された使用予定者数を、実績人数として、推定手段24によって推定された使用者数に書き換えた履歴情報を作成し、作成した履歴情報を主記憶部102に記憶させる。このようにして、算出手段25が会議室CR毎および会議毎に、実績人数を履歴情報に書き加えることで、履歴情報が順次、更新される。
【0084】
図19は、
図17および
図18に示したフローを制御装置が実行することによって推定される使用者数を示すテーブルである。
図19は、在室情報、接続情報および予約情報と、推定手段24によって推定される使用者数との関係を示す。
【0085】
このようにして、会議室CRの使用開始時刻以降に、予定情報に登録された使用予定者数および接続情報の接続数Ctに基づいて、会議室の使用者数がより正確に推定され、密集度が高い場合に適切に換気を行うことができる。会議室CRを使用する人が会議室の予約を忘れても、ステップS158において、使用者数が接続数Ctを基に推定される。その結果、密集度が高い状態で会議が長時間行われることを回避できる。
【0086】
また、接続数Ctがゼロでも、人感センサ6によって在室状態と判定された場合、ユーザが情報処理端末4-iを会議室CRに携帯しないで会議に参加していると考えられる。そのため、ステップS156において、予定情報の使用予定者数が使用者数と推定される。その結果、密集度がより適切に判定される。また、ステップS157において、会議室CRの最大収容人数を使用者数と推定することで、会議室CRを事前に予約せずに使用する人がいても、室内の空気環境が悪化してしまうことを抑制できる。
【0087】
また、人感センサ6に異常があって、会議室CRに人がいるにも関わらず、不在状態と判定されても、接続数Ctを基に使用者数が推定される。その結果、密集度が高い状態で会議が長時間行われることを回避できる。さらに、人感センサ6によって不在状態と判定され、接続数Ctもゼロである場合、予約された会議が実際に行われていないと考えられ、ステップS163において、使用者数が初期値に推定される。この場合、換気運転が不要となる。
【0088】
本実施の形態1の空調システム10は、部屋の空気を換気する空調機器2と、部屋内にある情報処理端末4-iをネットワークに接続するルータ3と、部屋に人がいるか否か検知し、人がいるか否かを示す検知情報を出力する人感センサ6と、空調機器2、ルータ3および人感センサ6と接続され、空調機器2を制御する制御装置1とを有する。制御装置1は、記憶手段と、ネットワーク管理手段22と、推定手段24と、算出手段25と、判定手段26と、機器制御手段27とを有する。記憶手段は、部屋について使用予定者数の情報を含む予定情報と、部屋の面積の情報を含む環境情報とを記憶する。ネットワーク管理手段22は、ルータ3に接続された情報処理端末4-iの台数である接続数Ctの情報を取得する。推定手段24は、検知情報、接続数および使用予定者数に基づいて部屋の使用者数を推定する。算出手段25は、環境情報に含まれる部屋の面積の情報と、推定手段24によって推定された使用者数とを用いて、単位面積あたりの人数である密集度Denを算出する。判定手段26は、算出手段25によって算出された密集度Denに基づいて部屋の換気が必要か否かを判定する。機器制御手段27は、判定手段26によって換気が必要と判定されると、空調機器2に換気運転を実行させる。
【0089】
本実施の形態1によれば、部屋の使用予定者数の情報を含む予定情報と、ルータ3の接続数Ctと、人感センサ6の検知情報とに基づいて使用者数が推定され、推定された使用者数および部屋の面積によって算出される密集度から部屋の換気が必要か否か判定される。部屋の換気が必要と判定される場合、部屋に設置された空調機器が換気運転を行う。そのため、汚染要素の濃度を計測する特殊なセンサがなくても、密集度が高くなると、自動的に部屋の換気が行われる。その結果、室内の空気環境を、汚染要素を抑制した状態に維持することができる。汚染要素が感染性のある病原体等の浮遊飛沫の場合でも、密集度が高くなると、自動的に飛沫感染を回避するための十分な換気が行われるため、飛沫感染を抑制する空気環境を提供できる。
【0090】
また、本実施の形態1の空調システム10において、開始時刻の近い会議と同種の会議について、過去の実績人数を用いて換気の要否を判定し、会議が開始される前に換気運転を行ってもよい。この場合、人が多く集まる部屋の空気環境について、事前に安全衛生性を高められるだけでなく、換気の効率性を高めることができる。
【0091】
実施の形態2.
本実施の形態2の空調システムは、推定手段24によって推定される使用者数を補正するものである。本実施の形態2においては、実施の形態1で説明した構成と同一の構成に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、本実施の形態2においては、実施の形態1で説明した構成および動作について詳細な説明を省略し、実施の形態1と異なる構成および動作を詳細に説明する。
【0092】
本実施の形態2の空調システムの構成を説明する。
図20は、実施の形態2に係る空調システムの制御装置に含まれるプロセッサの一構成例を示す機能ブロック図である。
図20に示すプロセッサ101の演算手段16aは、
図8に示した構成の他に、補正手段29を有する。補正手段29は、推定手段24によって推定された使用者数を補正し、補正後の使用者数を算出手段25に通知する。
【0093】
本実施の形態2の空調システム10の換気制御の動作を説明する。
図21および
図22は、実施の形態2に係る空調システムにおいて、制御装置による換気制御の動作手順を示すフローチャートである。制御装置1は、実施の形態1で説明した
図16に示すフローチャート、ならびに
図21および
図22に示すフローチャートにしたがって処理を実行するが、本実施の形態2では、実施の形態1で説明した処理と同様な処理の詳細な説明を省略する。
【0094】
図21に示すステップS156、S157、S159、S160およびS163のいずれかの処理において、推定手段24は、会議室CRjの使用者数を推定する。そして、推定手段24は、推定した使用者数の情報を補正手段29に通知する。
図22に示すステップS201において、補正手段29は、推定された使用者数の情報が推定手段24から通知されると、推定された使用者数を補正する処理を行う。
【0095】
例えば、会議を予約したときに会議への参加が想定されていなかった人が会議に参加する場合などが考えられる。この場合、使用予定者数よりも実際の使用者数が多くなる。このように、使用予定者数と実際の使用者数との差異が大きいと、密集しているか否かの判定精度が低くなってしまう。そのため、補正手段29が、推定手段24によって推定された使用者数を補正する。
【0096】
図22に示すステップS201において、補正手段29が行う補正処理について、
図23を参照して、詳しく説明する。
図23は、
図22に示すステップS201における補正手段による動作手順を示すフローチャートである。ここでは、推定手段24から通知された使用者数の対象となる会議室が会議室CRjとする。
【0097】
はじめに、補正手段29は、重み付け係数の役目を果たす使用者係数の初期値を1.0に設定する(ステップS210)。補正手段29は、主記憶部102から環境情報を読み出す(ステップS211)。補正手段29は、環境情報および在室情報を参照し、会議室CRjで情報処理端末4-iと接続されるルータ3-k(kは1~nの任意の整数)が使用される他の会議室のうち、在室状態の会議室があるか否かを判定する(ステップS212)。在室状態の会議室が他にない場合(ステップS212:No)、補正手段29は、ステップS214の処理に進む。一方、在室状態の会議室が他にもある場合(ステップS212:Yes)、補正手段29は、ルータ3-kが使用される会議室CRであって、在室状態の会議室CRの総数Nを求める。そして、補正手段29は、総数Nの逆数を使用者係数として算出する(ステップS213)。その後、補正手段29はステップS214の処理に進む。
【0098】
例えば、k=3である場合、
図4に示したように、ルータ3-3の通信範囲Cell3に第3会議室CR3~第5会議室CR5の3つの会議室CRが含まれる。第3会議室CR3~第5会議室CR5の在室情報が全て在室状態であれば、N=3となる。
【0099】
ステップS214において、補正手段29は、決められた演算式にしたがって、暫定使用者数を算出する。演算式は、例えば、以下の式(1)である。
暫定使用者数=接続数Ct×使用者係数+使用予定者数・・・(1)
【0100】
補正手段29は、式(1)にしたがって、接続数Ctと使用者係数とを乗算した値に使用予約者数を加算して、暫定参加者数を算出する(ステップS214)。補正手段29は、推定手段24によって推定された使用者数と暫定参加者数とを比較し、暫定使用者数が使用者数より多いか否かを判定する(ステップS215)。暫定使用者数が推定された使用者数よりも多い場合(ステップS215:Yes)、補正手段29は、暫定参加者数を使用者数に変更する(ステップS216)。暫定使用者数が推定された使用者数以下である場合(ステップS215:No)、補正手段29は、推定手段24によって推定された使用者数を採用する。
【0101】
なお、
図23を参照して説明した、使用者数を補正する処理のアルゴリズムでは、在室状態の会議室の数の逆数を使用者係数としているが、会議室毎に使用者係数を設定するなど、設置条件および使用実績に合わせて、使用者係数に重みづけを細かく行ってもよい。
【0102】
また、実施の形態1において、補助記憶部103の構成で説明したように、空調システム10の運用が開始された後でも、制御装置1のプログラムを変更できるので、使用者数を補正する処理のアルゴリズムを容易に変更することができる。例えば、サーバ5が、補正手段29が実行する処理のアルゴリズムを変更する更新プログラムを記憶する。ブートローダ106は、サーバ5から更新プログラムを読み出し、補助記憶部103が記憶するプログラムを更新プログラムに書き換える。
【0103】
また、人感センサ6が焦電センサである場合、会議室CR等の空間の床面をX軸座標およびY軸座標で表される2次元座標として、簡易的に人の密集度を検出できる素子を有する焦電センサがある。この人感センサ6によって検出される密集度を、簡易密集度と称する。補正手段29は、簡易密集度に対応して、
図23に示すステップS213において、使用者係数を重み付けしてもよい。以下に、具体的に説明する。
【0104】
人感センサ6は、検出する2次元の温度分布のうち、床面の温度を基準として、床面の温度よりも温度が高い部分を人と判定し、人と判定した部分の面積の検出範囲の面積に対する割合を、簡易密集度を示す値として制御装置1に出力する。例えば、検出範囲の面積10に対して、人と判定された部分の面積が1.5の場合、簡易密集度は、0.15と表される。在室管理手段23は、簡易密集度の情報を在室情報に記録する。補正手段29は、簡易密集度の値に対応して、各会議室CRに居る人の人数を3つのランクに分類する。3つのランクは、人数の少ない第1ランク、第1ランクよりも人数が多い第2ランク、および第2ランクよりも人数が多い第3ランクである。そして、補正手段29は、各会議室CRに居る人の人数のランクが高いほど値が大きくなる比率を使用者係数に乗算する。これにより、会議室CR毎に簡易密集度に対応して重み付けが設定され、各会議室CRについて算出される密集度Denの精度が向上する。
【0105】
本実施の形態2の空調システム10によれば、種々のケースにおいて、密集しているか否かの判定精度が低下することを抑制し、飛沫感染を回避する効果を向上させることができる。種々のケースとは、例えば、会議に参加する予定の人が、会議に参加せずに、情報処理端末4-iを局所ネットワークNW2に接続させる場合である。また、別のケースとして、会議に参加する予定のなかった人が、会議に参加して、情報処理端末4-iを局所ネットワークNW2に接続させる場合が考えられる。また、別のケースとして、会議に参加する予定の人が、会議に参加したが、情報処理端末4-iを局所ネットワークNW2に接続しない場合が考えられる。さらに、別のケースとして、会議に参加する予定の人が、会議に参加しなかった場合が考えられる。これらのどのケースの場合においても、飛沫感染を回避の効果を向上させることができる。
【0106】
また、重み付け係数を変更することで、使用者数を補正する処理のアルゴリズムを変更できる。そのため、会議室CRの多種多様な環境に対応することができ、空調システム10の設備を変更することなく、利便性を高めることができる。また、サーバ5から制御装置1への遠隔制御によるプログラムの書き換えを行うことができるので、空調システム10の運用開始後であっても、使用者数を補正する処理のアルゴリズムを変更でき、保守性が高まる効果が得られる。
【0107】
実施の形態3.
本実施の形態3の空調システムは、サーバ5が会議予約情報を記憶し、ユーザが情報処理端末4-iを介してサーバ5が記憶する会議予約情報を編集できるようにするものである。本実施の形態3においては、実施の形態1で説明した構成と同一の構成に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、本実施の形態3においては、実施の形態1で説明した構成および動作について詳細な説明を省略し、実施の形態1と異なる構成および動作を詳細に説明する。
【0108】
本実施の形態3の空調システムの構成を説明する。本実施の形態3の空調システム10は、
図3に示した構成例において、サーバ5が会議予約情報を記憶する。ユーザが情報処理端末4-iを操作して、サーバ5が記憶する情報を読み出したり、サーバ5に情報に書き込んだりする。
【0109】
本実施の形態3におけるサーバ5の構成を説明する。
図24は、実施の形態3に係る空調システムにおいて、
図3に示したサーバの一構成例を示すブロック図である。サーバ5は、記憶部51と、制御部52とを有する。制御部52は、プログラムを記憶するメモリ(図示せず)と、メモリが記憶するプログラムにしたがって処理を実行するプロセッサ(図示せず)とを有する。記憶部51は、例えば、HDD等の記憶装置である。
【0110】
記憶部51は、会議室CRの環境情報を含む会議予約情報を記憶する。環境情報は、例えば、会議室CRの換気運転の状態を示す情報である。換気運転の状態とは、換気運転が実施されている状態、または換気が実施されていない状態である。
【0111】
制御部52は、広域ネットワークNW1と、ルータ3または13と、局所ネットワークNW2とを介して、制御装置1および情報処理端末4-1~4-mと接続される。制御部52は、制御装置1および情報処理端末4-1~4-mに関する認証処理を実行する。また、制御部52は、一定の周期で、空調機器2-1~2-qの換気運転の状態を制御装置1から受信する。空調機器2-1~2-qのうち、いずれかの空調機器の換気運転の状態が変化している場合、制御部52は、変化した状態を記憶部51が記憶する会議予約情報に記録する。また、制御部52は、情報処理端末4-1~4-mのうち、いずれかの情報処理端末から空調機器の換気運転の状態を変更する情報を含む状態変更情報を受信すると、状態変更情報を記憶部51が記憶する会議予約情報に記録する。
【0112】
図25は、
図24に示した記憶部が記憶する会議予約情報の一例を示すテーブルである。
図25に示すように、会議予約情報は、情報処理端末4-1~4-mの端末識別子T4-1~T4-mに対応して、会議室名と、会議の使用開始時刻および使用終了時刻と、換気運転の状態とが登録された情報である。換気運転の状態として、換気運転が実施されている状態を示す換気中、または換気が実施されていない状態を示す換気未実施が書き込まれている。第3会議室CR3において、終了した工程会議には、換気運転の状態として、換気終了が記録されている。
【0113】
次に、本実施の形態3における制御装置1の構成を、
図8を参照して説明する。
図8に示す機能ブロック図において、制御装置1は、
図3に示した局所ネットワークNW2および広域ネットワークNW1を介して
図24に示したサーバ5と接続される。
【0114】
情報取得手段21は、
図24に示したサーバ5から、一定の周期で、会議予約情報を取得する。情報取得手段21は、取得した会議予約情報を用いて予定情報を作成する。情報取得手段21は、作成した予定情報を主記憶部102に記憶させる。
【0115】
推定手段24は、予定情報とリンク付けられた会議予約情報を参照し、会議予約情報に記録された換気運転の状態に変化があるか否かを判定する。会議予約情報の換気運転の状態に変化がある場合、機器制御手段27は、変化の状態に対応して、対象となる空調機器2の運転を制御する。
【0116】
次に、情報処理端末4-iの動作を、
図26を参照して説明する。
図26は、実施の形態3に係る空調システムにおいて、情報処理端末の動作手順を示すフローチャートである。ここでは、詳細な説明を省略するが、情報処理端末4-1~4-mのユーザは、会議室CRを予約する際、自分の情報処理端末4-iを操作して、事前に会議予約情報をサーバ5に登録している。
【0117】
情報処理端末4-iの端末制御部42は、一定の周期で、サーバ5から会議予約情報を受信する。端末制御部42は、今回、受信した会議予約情報と前回に受信した会議予約情報とを比較し、会議予約情報に変化があるか否かを判定する(ステップS301)。会議予約情報に変化がない場合(ステップS301:No)、端末制御部42は、ステップS304の処理に進む。一方、会議予約情報に変化がある場合(ステップS301:Yes)、端末制御部42は、会議予約情報の換気運転状態に変化があるか否かを判定する(ステップS302)。
【0118】
ステップS302の判定の結果、会議予約情報の換気運転状態に変化がない場合(ステップS302:No)、端末制御部42は、ステップS304の処理に進む。一方、会議予約情報の換気運転状態に変化がある場合(ステップS302:Yes)、端末制御部42は、換気運転の状態を表示部44に表示させる(ステップS303)。端末制御部42は、ユーザが操作部43を介して、空調機器2の換気運転の状態を変更する旨の指示が入力されたか否かを判定する(ステップS304)。換気運転を変更する旨の指示が入力された場合(ステップS304:Yes)、端末制御部42は、サーバ5が記憶する会議予約情報の換気運転状態の情報を更新するために(ステップS305)、状態変更情報をサーバ5に送信する。換気運転を変更する旨の指示が入力されない場合(ステップS304:No)、端末制御部42は、処理を終了する。
【0119】
次に、制御装置1の動作を、
図27を参照して説明する。
図27は、実施の形態3に係る空調システムにおいて、制御装置の動作手順を示すフローチャートである。例えば、
図27に示すフローは、制御装置1に電源が投入されたことを契機として開始される。なお、本実施の形態3では、実施の形態1において
図15を参照して説明した処理と同様な処理についての詳細な説明を省略する。
【0120】
タイマー17は、予め設定された基準周期Trefの時間が到達したか否かを判定する(ステップS001)。基準周期Trefの時間に到達した場合(ステップS001:Yes)、タイマー17は、基準周期Trefの時間に到達したことを、情報取得手段21、在室管理手段23およびネットワーク管理手段22に通知する。
【0121】
情報取得手段21は、タイマー17から通知を受けると、サーバ5から会議予約情報を取得する(ステップS311)。情報取得手段21は、取得した会議予約情報を用いて予定情報を作成し(ステップS003-1)、作成した予定情報を主記憶部102に記憶させる(ステップS004-1)。
【0122】
ステップS004-1~S004-3の処理の後、推定手段24は、会議予約情報を参照し、会議予約情報に記録された換気運転の状態に変更があるか否かを判定する(ステップS321)。会議予約情報の換気運転の状態に変更がある場合(ステップS321:Yes)、機器制御手段27は、状態変更情報に対応して換気運転の状態を変更するための指令情報を、対象となる空調機器2に送信する(ステップS322)。会議予約情報の換気運転の状態に変更がない場合(ステップS321:No)、制御装置1は処理を終了する。
【0123】
本実施の形態3に係る空調システム10によれば、各会議室CRにおける換気中または換気未実施などの環境状態の情報を、制御装置1および情報処理端末4-1~4-mで共有している。そのため、ユーザは、自分がこれから使用する会議室CRの換気状態を、会議の開始前に知ることができる。また、ユーザは情報処理端末4-iを介して、遠隔制御で換気運転を実施させることができる。そのため、利便性が高くなる効果がある。
【0124】
なお、上述の実施の形態2および3において、実施の形態1をベースに、実施の形態1と異なる構成および動作を説明したが、実施の形態2と実施の形態3とを組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
上述した実施の形態1~3は、遠隔で制御する空調システムに好適である。
【符号の説明】
【0126】
1 制御装置、2、2-1~2-q 空調機器、3、3-1~3-n ルータ、4-1~4-m 情報処理端末、5 サーバ、6、6-1~6-q 人感センサ、10 空調システム、13 ルータ、15 記憶部、16、16a 演算手段、17 タイマー、21 情報取得手段、22 ネットワーク管理手段、23 在室管理手段、24 推定手段、25 算出手段、26 判定手段、27 機器制御手段、29 補正手段、41 端末記憶部、42 端末制御部、43 操作部、44 表示部、51 記憶部、52 制御部、101 プロセッサ、102 主記憶部、103 補助記憶部、104 第1の通信インタフェース、105 第2の通信インタフェース、106 ブートローダ、109 バス、Cell1~Cell3 通信範囲、NW1 広域ネットワーク、NW2 局所ネットワーク。