(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】血栓吸引システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/221 20060101AFI20241101BHJP
A61M 25/01 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
A61B17/221
A61M25/01 500
(21)【出願番号】P 2023521892
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 IB2021059378
(87)【国際公開番号】W WO2022079618
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-11
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 裕文
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/147985(WO,A1)
【文献】特表2007-522881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/221
A61M 25/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血餅を真空吸引によって除去する際に使用するシステムであって、前記システムは、
第1のチューブと;
前記第1のチューブ内で摺動可能な第2のチューブと;
膜を有し、前記第2のチューブ内に少なくとも部分的に位置する自己拡張型レシーバであって、
前記レシーバは、前記レシーバの近位部および前記第2のチューブが前記第1のチューブの遠位端部内に位置し、前記第2のチューブの遠位端が前記レシーバの近位端より近位側に位置するまで前記第2のチューブが前記レシーバに対して近位側に動くとき、径方向に拡張可能であり、前記レシーバの前記近位部は、径方向に拡張し、前記第1のチューブの前記遠位端部と接触し;
前記レシーバの遠位部は、内径が前記第1のチューブの内径より少なくとも10%大きくなるように、径方向に拡張する、レシーバと
を備え、
前記第1のチューブの前記遠位端部は、径方向に拡張可能であり、
前記レシーバの前記近位部が、前記第1のチューブの径方向に拡張可能な遠位端部と接触したときに、前記レシーバの近位部が拡張して前記第1のチューブの遠位端部に圧力を与えることにより、前記自己拡張型レシーバの前記近位部が、前記径方向に拡張可能な遠位端部より近位側の位置での前記第1のチューブの内径と少なくとも同じ大きさの内径を有するように、径方向に拡張可能な前記第1のチューブの遠位端部を径方向に拡張させながら、前記レシーバの近位部が前記第1のチューブの遠位端部と係合してシールを形成する、システム。
【請求項2】
前記レシーバに接続されたプッシャーワイヤをさらに含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記レシーバに接続されず、前記レシーバを残して抜去可能なプッシャーをさらに備えている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2のチューブ内における前記レシーバの近位端を位置決め可能で、前記第2のチューブ内で前記レシーバの前記近位端と接触するようなサイズであるプッシャーをさらに備えている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
前記レシーバは、ストラットを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記レシーバは、ニチノールを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記膜は、ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記膜は、ウレタンを含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記レシーバは、前記レシーバの遠位端から1ミリメートル以内もしくはそれ未満の所に位置する放射線不透過性マーカを有する、請求項1~
8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記レシーバは、前記レシーバの近位端から1ミリメートル以内もしくはそれ未満の所に位置する放射線不透過性マーカを有する、請求項1~
9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のチューブの内腔内に位置し、前記第2のチューブに対して移動可能なガイドワイヤをさらに備えている、請求項1~
10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のチューブは、近位側取り付け部品を有し;
前記システムは、
マルチポートアダプタであって、
前記第1のチューブの前記近位側取り付け部品に連結されるように構成された第1のポートと;
第2のポートであって、前記第2のポートを通る円筒構造の周囲をシールするように構成される、第2のポートと;
ルアーロックを有する第3のポートと
を有するマルチポートアダプタをさらに備えている、
請求項1~
11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ルアーロックに連結可能な真空源をさらに備えている、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記真空源は、ポンプを備えている、請求項
13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月13日に出願された「THROMBUS ASPIRATION SYSTEMS AND RELATED METHODS」と題する米国仮出願第63/091,258号に対する優先権を主張するものであり、同文献の内容を参照してその全容を本願に援用する。
【0002】
本発明は全体的に、血栓を除去するためのシステムに関し、さらに詳細には、吸引を介して血栓を除去するのに適したシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
血栓(血餅ともいう)は、血管を通る血流を遮断し、それによって組織から血液および酸素を奪い、損傷を引き起こすおそれがある。血栓は脳卒中の主な原因であり、長期にわたる障害および死亡のリスクを軽減するために迅速な治療が必要である。
【0004】
血栓摘出術は、脳卒中を治療するための一般的な処置である。血栓摘出術では、患者の鼠径部の脈管構造にガイドカテーテルを挿入し、そこを通して血栓に向けて押し込む。次に、ステントリトリーバをガイドカテーテルに通し、血栓をからめて捕捉できる。血栓を捕捉すれば、ステントリトリーバおよびカテーテルを取り外して脳への血流を回復させることがきる。あるいは、小口径の吸引カテーテルをガイドカテーテルに通すことができ、カテーテルの遠位端が血栓にあるときに、カテーテルの近位端で真空を適用して吸引カテーテルの口に血栓を引き付けて除去できる。過去10年間で、血栓摘出術は脳卒中治療の成功率を改善し、処置の約85%で再疎通を達成している。
【0005】
しかしながら、本発明者は、あらゆる血栓摘出術で再疎通の成功を妨げてきた多くの課題を認識している。例えば、血栓に対する血流は、除去を妨げるように作用する。内頸動脈(ICA)でバルーンガイドカテーテルを用いてこれに対処しようとした人もいるが、これは血栓へのICA血流を遮断し、他の血管が神経血管系に血液を供給し続け、それによって血栓除去を妨げ続ける可能性がある。
【0006】
また、血栓は、(1)主に血小板を含む白色血栓、および(2)主に赤血球を含む赤色血栓を含んでいる。これらの異なる血栓組成は、異なる機械特性をもたらし、白色血栓はヤング率および引張強度が高い傾向があり、赤色血栓はヤング率および引張強度が低い傾向がある。したがって、ステントリトリーバは、赤色血栓との機械的係合を容易に達成して除去できるが、赤色血栓よりも硬い白色血栓を捕捉できないことがある。
【0007】
吸引カテーテルは、ステントリトリーバがそのような血栓に機械的に係合できなくても、真空が適用されるとその口で血栓の保持を維持できる。しかし、吸引カテーテルも課題に直面している。吸引カテーテルは、脳卒中の場合、血栓が位置している脈管構造(一般的にはICAもしくは中大脳動脈(MCA)(例えばそのM1セグメント))にアクセスできる必要があるため、通常、吸引カテーテルは比較的細く、直径が血管の直径の50%未満である。 このような細い吸引カテーテルは、血管全体に広がっている脳卒中を誘発する血栓を吸い込めないことがある。その結果、血栓除去は、真空源が内腔を通って血栓を引き寄せるのではなく、大半の血栓が内腔の外側にある状態で吸引カテーテルを引っ込めることで達成されることが多い。曝露された血栓は、カテーテルの抜去中に剥離するリスクがあり、再疎通の失敗につながる可能性がある。
【0008】
標的の脈管構造に到達できる設計になっている直径の大きい吸引カテーテルを用いることで、そのサイズにもかかわらず吸引の成功率を向上させた人もいる。例えば、吸引カテーテルは、一般には内径が0.066インチだが、Micro Vention,Inc.は、内径が0.070インチだがMCAに到達できるSOFIA(登録商標)Plusカテーテルを開発し、Perfuze Ltd.は、内径が0.088インチのMillipede CISカテーテルを開発している。これらの吸引カテーテルは、内腔の断面積が大きいため、吸引中により大きな吸引力を生み出すことができるが、依然として血栓を吸い込めないことがあり、血栓の直径はおよそ2倍の大きさ(例えば約0.157インチ)であることが多い。
【0009】
吸引の別の手法は、小径のシース内に配置した自己拡張型ステントを血栓まで前進させ、ステントの遠位部が動脈壁まで径方向に拡張するようにシースからステントを遠位方向に配置させることを含むものである。このようにして、ステントは、拡張した口を通して血栓を吸い込むことができる。このようなデバイスの一例が、Anaconda Biomed S.L.ANCD Advanced Thrombectomy Systemである。このようなデバイスは、血栓が容易に通過し得る拡張した口を有することができるが、そのステントは、近位部で、ステントが取り付けられているシースの直径よりも直径が小さいほどに細くなっている。例えば、ANCD Advanced Thrombectomy Systemのステントは、内径0.043インチまで細くなっている。この細径は、吸引中にシースを通して血栓を吸い込むのを妨げるおそれがある。
【0010】
したがって、再疎通成功の可能性を高めるために、血栓をより良く吸い込める血栓摘出システムが当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本システムは、第1のチューブと、第1のチューブ内で摺動可能な第2のチューブと、第2のチューブ内に少なくとも部分的に位置する自己拡張型レシーバとを用いて先行技術に対処するものである。第1のチューブは、比較的大きい内側横断寸法(例えば少なくともおよそ0.090インチ)を有することができ、鼠径部で患者の脈管構造に挿入して、患者のICAまで、もしくはその前に前進させることができる。レシーバおよび第2のチューブ(第1のチューブよりも細い)は、第1のチューブを通って第1のチューブの遠位端を越えて患者の神経脈管構造内の血栓に到達できる。次にレシーバを、(例えばレシーバもしくはプッシャーコイルに接続されたプッシャーワイヤを介して)遠位側に押すことができ、かつ/もしくはレシーバの遠位部が第2のチューブの遠位端を越えて前進し、それによって径方向に拡張して動脈壁と接触するように第2のチューブを近位側に引っ張ることができる。 現在のシステムとは対照的に、第2のチューブを第1のチューブから抜去して、レシーバの近位部を第1のチューブの内壁の方へ径方向に拡張させることができる。レシーバの近位部は、拡張した遠位部よりも細いが、それ故に、現在の血栓摘出システムで使用されている自己拡張型ステントよりも大きい内側横断寸法を有することができる(例えば少なくともおよそ0.071インチ)。
【0012】
首部が大きいと、レシーバは、レシーバの近位端に真空を適用したときに血栓をより簡単に吸い込んで第1のチューブまで通すことができ、それによって真空源が血栓を引き込んで第1のチューブの内腔を通して除去することが可能になる。レシーバの遠位部と近位部との間の細くなる移行部により、血栓を第1のチューブに吸い込むのを容易にでき、これは、このようにしなければ、遠位部が動脈壁まで拡張するレシーバを含まないSOFIA(登録商標)PlusもしくはMillipede CISのような吸引カテーテルでは起こらない可能性がある。
【0013】
血栓を吸い込む能力をさらに促進するために、第1のチューブは、レシーバの近位部が第1のチューブの内壁まで拡張するときに、径方向に拡張可能な遠位端部を拡張させるように、径方向に拡張可能な遠位端部を有することができる。このように拡張すると、レシーバの近位部の内側横断寸法を遠位端部の近位側の位置(例えば少なくともおよそ0.090インチ)で、少なくとも第1のチューブの内側横断寸法と同じ大きさにでき、血栓の吸い込みにさらにいっそう適応している首部になる。
【0014】
このように、第2のチューブおよびレシーバは、直径の大きい第1のチューブでは簡単にアクセスできない可能性がある場所にある血栓へのアクセスが容易になるように、挿入中の断面を細くすることができ、レシーバは、第1のチューブを通して血栓の除去を達成できるように、吸引のために遠位端と近位端の両方でさらに大きい血管と第1のチューブの壁のそれぞれまで拡張できる。
【0015】
血餅を除去する際に使用する本システムのいくつかは、第1のチューブ、第2のチューブ、および自己拡張型レシーバを備えている。第2のチューブは、いくつかのシステムでは、第1のチューブ内で摺動可能である。自己拡張型レシーバは、いくつかのシステムでは、第2のチューブ内に少なくとも部分的に位置している。いくつかのシステムでは、レシーバは、径方向に拡張可能である。このようなシステムのいくつかでは、第2のチューブおよびレシーバの近位部が第1のチューブの遠位端部内に位置し、第2のチューブの遠位端がレシーバの近位端の近位側に位置するまで第2のチューブがレシーバに対して近位側に動くとき、レシーバの近位部は、径方向に拡張して第1のチューブの遠位端部と接触し、レシーバの遠位部は、内径が第1のチューブの内径よりも大きくなるように、任意で第1のチューブの内径より少なくとも10%大きくなるように、径方向に拡張する。いくつかの方法では、レシーバは、レシーバの遠位部とレシーバの近位部との間が細くなる移行部を有する。
【0016】
いくつかのシステムは、第1のポート、第2のポート、および第3のポートを有するマルチポートアダプタを備えている。いくつかのシステムでは、第1のチューブは、近位側取り付け部品を有し、第1のポートは、第1のチューブの近位側取り付け部品に連結されるように構成される。第2のポートは、いくつかのシステムでは、第2のポートを通って位置する円筒構造の周囲をシールするように構成される。第3のポートは、いくつかのシステムでは、ルアーロックを有する。
【0017】
いくつかのシステムは、真空源を備えている。いくつかのシステムでは、真空源は、マルチポートアダプタの第3のポートのルアーロックに連結可能である。
【0018】
いくつかのシステムは、第2のチューブの内腔内に位置することができ、第2のチューブに対して移動可能なガイドワイヤを備えている。
【0019】
血餅を除去する本方法のいくつかは、第1のチューブを患者の脈管構造を通して前進させることと、第2のチューブを第1のチューブに通して前進させ、第2のチューブ内で、レシーバの近位部が第1のチューブの遠位端部内に位置するまで自己拡張型レシーバを強制した向きに位置決めすることとを含む。いくつかの方法は、少なくとも第2のチューブの遠位端がレシーバの近位端の近位側にあり、レシーバの遠位部が拡張して血管と接触し、レシーバの近位部が第1のチューブの遠位端部と接触するまで、第2のチューブをレシーバに対して近位側に動かすことを含む。このような方法のいくつかでは、レシーバの遠位部と血管との接触は、血管の血液が流れるのを妨げるのに十分である。いくつかの方法は、第1のチューブに真空を適用することを含む。真空の適用により、いくつかの方法では、血餅をレシーバの中に吸引する。このような方法のいくつかは、レシーバを通して血餅を第1のチューブの中に吸引することと、レシーバを第1のチューブの中に引き込むこととを含む。いくつかの方法は、第1のチューブ、レシーバ、および血餅を患者から抜去することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1のチューブの遠位端部は、径方向に拡張可能である。このような実施形態のいくつかでは、レシーバの近位部は、第1のチューブの径方向に拡張可能な遠位端部と接触したときに、径方向に拡張可能な遠位端部を径方向に拡張させることができ、任意で、自己拡張型レシーバの近位部が、径方向に拡張可能な遠位端部の近位側の位置で少なくとも第1のチューブの内径と同じ大きさの内径を有するようにする。いくつかの方法では、レシーバの近位部は、第1のチューブの遠位端部をこのように径方向に拡張させる。
【0021】
いくつかの実施形態では、自己拡張型レシーバは、膜を有する。 膜は、いくつかの実施形態では、ポリテトラフルオロエチレンを含む。いくつかの実施形態では、膜は、ウレタンを含む。レシーバは、いくつかの実施形態では、ストラットを含む。いくつかの実施形態では、レシーバは、ニチノールを含む。レシーバは、いくつかの実施形態では、レシーバの遠位端から1ミリメートル以内もしくはそれ未満の所に位置する放射線不透過性マーカおよび/もしくはレシーバの近位端の1ミリメートル以内もしくはそれ未満の所に位置する放射線不透過性マーカを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、システムは、プッシャーを備えている。いくつかの方法は、少なくとも何らかの動きがある間に、プッシャーを通してレシーバに圧力を印加することを含む。プッシャーは、いくつかの実施形態では、レシーバに接続されたプッシャーワイヤを含む。いくつかの実施形態では、プッシャーは、第2のチューブ内に位置決め可能で、第2のチューブ内でレシーバの近位端と接触するようなサイズである。プッシャーは、いくつかの実施形態では、レシーバに接続されない。 このような実施形態のいくつかでは、本方法は、プッシャーを抜去することを含む。
【0023】
「連結した(coupled)」という用語は、接続している状態であると定義するが、必ずしも直接である必要はなく、機械的である必要はなく、「連結した」2つの部材は、互いに一体であってよい。「a」および「an」という用語は、本開示が明示的に別段の要求をしない限り、1つ以上であると定義する。「実質的に」という用語は、指定したものの大部分であると定義するが、必ずしも全体である必要はなく、指定したものを含み、例えば、当業者が理解するように、実質的に90度とは、90度を含み、実質的に平行とは、平行であることを含む。開示したいずれの実施形態でも、「実質的に」および「およそ」という用語は、指定したものの「~以内[パーセンテージ]」に置き換えてよく、そのパーセンテージは、0.1パーセント、1パーセント、5パーセント、および10パーセントを含む。
【0024】
「備える(comprise)」およびそのあらゆる形態である「comprises」および「comprising」など、「有する(have)」およびそのあらゆる形態である「has」および「having、」など、そして「含む(include)」およびそのあらゆる形態である「includes」および「including」などの用語は、制限のない連結動詞である。その結果、1つ以上の要素を「備える(comprises)」、「有する(has)」、もしくは「含む(includes)」製品もしくはシステムは、それらの1つ以上の要素を有しているが、それらの要素のみを有していると限定されるわけではない。同じように、1つ以上の工程を「備える(comprises)」、「有する(has)」、もしくは「含む(includes)」方法は、それらの1つ以上の工程を有しているが、それらの1つ以上の工程のみを有していると限定されるわけではない。
【0025】
いずれの製品、システム、および方法のいずれの実施形態も、記載した工程、要素、および/もしくは特徴(を備える/含む/有するのではなく)からなる、もしくは本質的にこれらからなるとすることができる。そのため、いずれの請求項においても、「~からなる」もしくは「本質的に~からなる」という用語を、上記に引用した制限のない連結動詞の代わりに使用して、特定の請求項の範囲を、その制限のない連結動詞を使用した場合のそれ以外の範囲から変更することができる。
【0026】
さらに、特定の方法で構成されたデバイスもしくはシステムは、少なくともその方法で構成されているが、具体的に記載した方法以外の方法で構成することもできる。
【0027】
1つの実施形態の1つもしくは複数の特徴は、本開示もしくは実施形態の性質によって明示的に禁止されていない限り、記載もしくは図示されていなくても、他の実施形態に適用されてよい。
【0028】
上記の実施形態に関連するいくつかの詳細およびその他を以下に説明する。
【0029】
以下の図面は、例として例示するものであって、限定するものではない。簡潔かつ明確にするため、特定の構造のすべての特徴が、その構造が現れているすべての図に常に表記されているわけではない。同一の符号が必ずしも同一の構造を指しているわけではない。むしろ、同じ符号は、類似の特徴もしくは類似の機能性を有する特徴を指すために使用されていることがあり、同一ではない符号が使用されていることもある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1Aは、第1のチューブ、第1のチューブ内で摺動可能な第2のチューブ、およびプッシャーワイヤが接続されている自己拡張型レシーバを含む、血栓を除去するための本システムの側面図である。
【0031】
図1Bは、
図1Aのシステムが挿入構成にあり、第2のチューブが第1のチューブ内に配置され、レシーバが第2のチューブ内で圧縮されて配置されている様子を描いた図である。
【0032】
図2Aは、第1のチューブを
図1Aの線2A-2Aに沿って切った断面図である。
【0033】
図2Bは、第2のチューブを
図1Aの線2B-2Bに沿って切った断面図である。
【0034】
図2Cは、レシーバを
図1Aの線2C-2Cに沿って切った断面図であり、レシーバが拡張状態にある図である。
【0035】
図3Aは、
図1Aのシステムを
図1Bの線3A-3Aに沿って切った部分断面図であり、システムが挿入構成にある図である。
【0036】
【0037】
図4Aは、
図1Aのシステムが第1の展開構成にある部分断面図であり、レシーバの遠位部が拡張して内側横断寸法が近位部よりも大きくなるように、レシーバの近位部が第2のチューブ内に配置され、レシーバの遠位部が第2のチューブの遠位端を越えて配置されている図である。
【0038】
【0039】
図5Aは、第2の展開構成にある
図1Aのシステムの部分断面図であり、レシーバの近位部が拡張して第1のチューブの内壁と接触するように第2のチューブが第1のチューブから取り外されている図である。
【0040】
【0041】
図6Aは、本システムの第2の実施形態の部分断面図であり、
図1Aのシステムと実質的に同じだが、
図6Aのシステムの第1のチューブは、径方向に拡張可能な遠位端部を有し、この遠位端部は、システムが第2の展開構成にあるときにレシーバの近位部によって拡張できる点が異なっている図である。
【0042】
図6Bは、
図6Aのシステムを線6B-6Bに沿って切った断面図である。
【0043】
図7は、膜、ストラット、および放射線不透過性マーカを有する本システムのいくつかで使用するのに適しているレシーバの側面図である。
【0044】
図8Aは、本システムの第3の実施形態の部分断面図であり、
図1Aのシステムと実質的に同じだが、
図8Aのプッシャーがレシーバと接続されていないコイルである点が異なっている図である。
【0045】
図8Bは、
図8Aのシステムの部分断面図であり、プッシャーコイルが第1のチューブから取り外されている図である。
【0046】
図9Aは、マルチポートアダプタの側面図であり、マルチポートアダプタが、第1のチューブの近位側取り付け部品に連結されるように構成されている第1のポートと、第2のポートであって、このポートを通る円筒構造の周囲をシールするように構成された第2のポートと、真空源に連結するように構成された第3のポートとを有する図である。
【0047】
図9Bは、第1のチューブと、
図9Aのマルチポートアダプタの第1のポートに取る付け可能な近位側取り付け部品との側面図である。
【0048】
図9Cは、第1のチューブの側面図であり、近位側取り付け部品がマルチポートアダプタの第1のポートに取り付けられ、第2のチューブがマルチポートアダプタの第2のポートを通って第1のチューブ内に配置され、レシーバが展開位置で第2のチューブ内に部分的に配置され、真空源が、マルチポートアダプタの第3のポートに取り付けられたシリンジを含んでいる図である。
【0049】
図10は、
図9Cに示した図と実質的に類似しているが、
図10の真空源がシリンジではなく真空ポンプである点が異なっているシステムの図である。
【0050】
図11Aは、中大脳動脈のM1セグメントに血栓があり、血栓までガイドワイヤが延在し、
図1Aのシステムの第1のチューブが内頸動脈の底部まで延在している患者の脈管構造を描いた図である。
【0051】
図11Bは、
図1Aシステムの第2のチューブが第1のチューブ内に配置され、第1のチューブを越えて血栓まで延在している
図11Aの脈管構造を描いた図である。
【0052】
図12Aは、
図11Aの脈管構造に配置された
図1Aのシステムの部分断面図であり、システムが、第2のチューブの遠位端およびレシーバが血栓に位置するような挿入構成にある図である。
【0053】
図12Bは、
図11Aの脈管構造に配置された
図1Aのシステムの部分断面図であり、レシーバの遠位端が血栓に位置して血管壁の方へ拡張するように、システムが第1の展開構成にある図である。
【0054】
図12Cは、
図11Aの脈管構造に配置された
図1Aのシステムの部分断面図であり、システムが、レシーバの近位部が第1のチューブの内壁と接触するように第2のチューブが第1のチューブから抜去される第2の展開構成にある図である。
【0055】
図12Dは、
図11Aの脈管構造内に配置された
図1Aのシステムの部分断面図であり、血栓がレシーバ内を移動して移行区画までいくように、システムが第2の展開構成にある間に第1のチューブに真空を適用している図である。
【0056】
図12Eは、
図11Aの脈管構造に配置された
図1Aのシステムの部分断面図であり、第1のチューブに真空が適用された際に血栓が第1のチューブ内でレシーバの近位部に引き込まれる図である。
【0057】
図12Fは、
図11Aの脈管構造に配置された
図1Aのシステムの部分断面図であり、第1のチューブに真空が適用された際に血栓が第1のチューブの内腔の中に引き込まれる図である。
【0058】
図13A~
図13Dは、モデルの白色血栓を直径1.5mmのカテーテルを通して吸引することを試行した実験の図である。 図示したように、モデルの血栓をカテーテルの口を通して吸い込むことはできなかった。
【0059】
図14A~
図14Cは、直径1.5mmのカテーテルの遠位端に接続した漏斗を通してモデルの白色血栓を吸引した実験の図である。 図示したように、モデル血栓を漏斗の直径1.0mmの首部に通すことができた。
【0060】
図15A~
図15Dは、プッシャーを使用して自己拡張型レシーバをカテーテルから展開させることを実証する実験の図である。
【0061】
図16A~
図16Cは、レシーバの近位部が6Fシースの内壁の方へ拡張し、レシーバの遠位部が直径0.157インチのチューブの方へ拡張するように、6Fシース内に配置された4Fシースから自己拡張型レシーバを展開させることを実証する実験の図である。
【0062】
図17A~
図17Dは、直径6mmのチューブの内でモデル血栓を、8Fカテーテルから展開した自己拡張型レシーバを通して吸引した実験の図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1Aおよび
図1Bを参照すると、血栓を除去する本システムの第1の実施形態10が示されており、本システムは、第1のチューブ14、第2のチューブ18、および自己拡張型レシーバ22を含んでいる。第1のチューブ14および第2のチューブ18はそれぞれ、そのチューブの近位端(例えば62a、66a)と遠位端(例えば62b、66b)との間に延在する内腔を画定する、例えば、カテーテルもしくはシースを備えることができる。
図1Bに示したように、第2のチューブ18は、第1のチューブ14の内腔内に配置可能である。 レシーバ22は、拡張状態(
図1A)から圧縮でき、第2のチューブ18の内腔内に少なくとも部分的に位置できる(
図1B)。
【0064】
第1のチューブ14、第2のチューブ18、および自己拡張型レシーバ22は、システム10がICAもしくはMCA(例えばM1セグメント内の)などの患者の神経脈管構造にある血栓に到達してそこから血栓を除去できるようなサイズにできる。さらに
図2A~
図2Cを参照すると、第1のチューブ14および第2のチューブ18の各々は、内側横断寸法30a、34aおよび外側横断寸法30b、34b(例えば直径)をそれぞれ有することができる。第1のチューブ14の内側横断寸法30aは、0.070インチ、0.075インチ、0.080インチ、0.085インチ、0.090インチ、0.095インチ、もしくは0.100インチのいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間とすることができ(例えば少なくとも0.085インチもしくは少なくともおよそ0.090インチ)、その外側横断寸法30bは、0.080インチ、0.085インチ、0.090インチ、0.095インチ、0.100インチ、0.105インチ、もしくは0.110インチのいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間とすることができる(例えば少なくとも0.100インチ)(例えば第1のチューブは、8Fカテーテルもしくは6Fシースとすることができる)。本明細書に英国単位で記載した各寸法は、最も近いミリメートルに丸めることによって、対応するメートル単位に変換されてよい。このような横断寸法にすると、第1のチューブ14は、ICAまでアクセスするのに十分な柔軟性を有することができるとともに、吸引しやすいように比較的大きい内側横断寸法30aを有し、これについて以下にさらに詳細に説明する。患者の鼠径部にある挿入点からICAまで移動させるために、第1のチューブ14の長さ42を、70cm、80cm、90cm、100cm、110cm、120cm、もしくは130cmのいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間とすることができる(例えば少なくとも90cm)。
【0065】
第2のチューブ18の外側横断寸法34bは、第2のチューブが第1のチューブ内を摺動してICAもしくはMCA(例えばM1セグメント)などの患者の神経脈管構造の細い血管にアクセスできるように、第1のチューブ14の内側横断寸法30aよりも小さくすることができる。例えば、第2のチューブ18の外側横断寸法34bは、0.095インチ、0.090インチ、0.085インチ、0.080インチ、0.075インチ、0.070インチ、もしくは0.065インチのいずれか1つ以下、もしくはいずれか2つの間とすることができ(例えば0.085インチ未満)、その内側横断寸法34aは、0.090インチ、0.085インチ、0.080インチ、0.075インチ、0.070インチ、0.065インチ、もしくは0.060インチのいずれか1つ以下、もしくはいずれか2つの間とすることができる(例えば0.080インチ未満)(例えば第2のチューブは、6Fカテーテルもしくは4Fシースとすることができる)。また、第2のチューブ18の長さ46は、第2のチューブが第1のチューブの遠位端62bを越えて前進して血栓に到達できるように、第1のチューブ14の長さ42よりも長くすることができる。例えば、長さ46は、90cm、100cm、110cm、120cm、130cm、140cm、もしくは150cmのいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間とすることができる(例えば少なくとも110cm)。
【0066】
図2Cに示したように、拡張状態にあるとき、レシーバ22は、第1のチューブ14および第2のチューブ18の内側横断寸法および外側横断寸法よりも大きい内側横断寸法38aおよび外側横断寸法(例えば直径)38bを有することができる。例えば、完全に拡張したとき、レシーバ22の内横断寸法38aは、第1のチューブ14の内横断寸法30aよりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、100%、もしくは200%大きくなることができ、例えば0.100インチ、0.125インチ、0.150インチ、0.175インチ、0.200インチ、0.225インチ、もしくは0.250インチのいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間とすることができ(例えば少なくとも0.125インチ)、その外横断寸法38bは、0.150インチ、0.175インチ、0.200インチ、0.225インチ、0.275インチ、もしくは0.300インチのいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間とすることができる(例えば少なくとも0.175インチ)。サイズに応じて、レシーバ22は、患者の神経脈管構造の血管壁と接触するように径方向に拡張でき、それによって、以下にさらに詳細に説明するように、血栓の吸い込みが容易になる。
【0067】
さらに
図3Aおよび
図3Bを参照すると、レシーバ22は、拡張状態にあるときは第1のチューブ14および第2のチューブ18よりも幅広だが、第1のチューブを通って前進し、第2のチューブを使用して容易に血栓まで移動できるように、圧縮されて第2のチューブ内に少なくとも部分的に位置できる。レシーバ22は、第2のチューブ18内にあるとき、レシーバの圧縮された外側横断寸法が第2のチューブの内側横断寸法34aと等しくなるように、第2のチューブの内壁と接触状態となり得る。レシーバ22は、圧縮されていない内側横断寸法38aよりも小さい圧縮された第1の内側横断寸法58aも有することができ、例えば圧縮された第1の内側横断寸法は、圧縮されていない内側横断寸法の80%、70%、60%、50%、40%、もしくは30%のいずれか1つ以下、もしくはいずれか2つの間である。
【0068】
レシーバ22は、第1のチューブの遠位端部82から患者の神経脈管構造内の血栓まで延在し得る長さ50を有することができるが、この長さは第1のチューブ14および第2のチューブ18の長さ42および46よりも短い。例えば、長さ50は、9cm、10cm、11cm、12cm、13cm、14cm、15cm、16cm、17cm、18cm、19cm、20cm、21cm、22cm、23cm、24cm、もしくは25cmのいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間とすることができる。レシーバが患者の体内に配置されている間にレシーバ22の操作ができるように(例えば第2のチューブ18から展開させるため)、システム10は、レシーバの近位端70aに接続できるプッシャー26を備えることができる。レシーバが第1のチューブの遠位端62bを越えて配置されるか少なくとも部分的に越えて配置された状態で、プッシャーが第1のチューブおよび第2のチューブの近位端62aおよび66aから延在するように(
図1B)、レシーバ22の長さ50とプッシャー26の長さ54は、合わせて第1のチューブ14の長さ42と第2のチューブ18の長さ46よりも長くすることができる。例えば、プッシャー26の長さ54は、80cm、90cm、100cm、110cm、120cm、130cm、もしくは140cmのいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間とすることができる。
【0069】
図4Aおよび
図4Bを参照すると、血栓を吸い込むようにレシーバ22を展開させるため、レシーバは、第2のチューブ18に対して摺動可能とすることができる。このように、レシーバ22を(例えばプッシャー26を用いて圧力を印加することで)遠位側に押すことができ、かつ/もしくは第2のチューブ18を(例えば患者の体外にある近位端66aから)近位側に引くことができ、それによってレシーバの遠位端70bが第1のチューブ14および第2のチューブ18の遠位端62bおよび66bの遠位側に配置される。レシーバ22が展開されたとき、その遠位部74bは、レシーバの内側横断寸法がレシーバの圧縮されていない最大内側横断寸法38aまで増大するように径方向に拡張でき、血栓を吸い込む能力を高める。拡張した遠位部74bは、患者の血管壁に係合でき、それによって血栓への流れを止めて血栓を除去しやすくする。レシーバ22の近位端70aは、レシーバの移行部78がレシーバの拡張した遠位部74bから圧縮した近位部に向けて細くなった状態で、レシーバの近位部74aが圧縮したままになるように、第1のチューブ14の遠位端62bの近位側に留まることができる。
【0070】
図4Aおよび
図4Bに示したように、第2のチューブ18は、レシーバ22の近位部74aをこれと接触した状態で圧縮するように第1のチューブ14内に配置される。そのため、レシーバ22の近位部74aは、圧縮された第1の内側横断寸法58aと等しい内側横断寸法を有する。ただし、さらに
図5Aおよび
図5Bを参照すると、第2のチューブ18は、レシーバ22に対して近位側に引っ張ることができるため、レシーバの近位部74a(例えば近位端70aを含む)が第1のチューブの遠位端部の内壁まで径方向に拡張できるように、第1のチューブ14から抜去できる。その結果、レシーバ22の近位部74aの圧縮された第2の内側横断寸法58bは、圧縮された第1の内側横断寸法58aよりも大きくでき、例えば圧縮された第1の内側横断寸法よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、もしくは60%(例えば少なくとも40%)大きくできる。例えば、圧縮された第2の内側横断寸法58bは、0.055インチ、0.060インチ、0.065インチ、0.070インチ、0.075インチ、0.080インチ、もしくは0.085インチのいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間とすることができ(例えば少なくとも0.065インチもしくは少なくともおよそ0.071インチ)、任意で、レシーバ22の圧縮されていない横断寸法38aの少なくとも40%、50%、60%、もしくは70%である。レシーバ22の近位部74aの拡張が可能なことにより、第1のチューブの近位端に真空が適用されたときに血栓を第1のチューブ14に吸い込みやすくでき、それによって細い首部が吸い込みを妨げている現在の拡張型ステントシステムよりも再疎通が成功する率が高まる。
【0071】
レシーバ22の近位部74aは、第1のチューブの近位端62aに真空が適用されたときに第1のチューブ14の内腔に血液が流入するのを妨げるために、第1のチューブ14の遠位端部82と係合できることによってこの遠位端部とシールを形成できる。この係合は、第1のチューブ14を患者の脈管構造から抜去するときにレシーバ22の抜去が可能となるのに十分なものとすることもできる。このような係合は、レシーバ22の近位部74aおよび第1のチューブ14の遠位端部82に連結している摩擦用かつ/もしくは固定用の構成要素を介して達成できる。例えば、レシーバ22の近位部74aは、40kPa、50kPa、60kPa、70kPa、80kPa、90kPa、100kPa、もしくは110kPaのいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間(例えば50~100kPa)である圧力を第1のチューブ14の遠位端部82にかけるように構成でき、このような圧力は、レシーバと第1のチューブとの間にシールを生み出して両者の間の境界に血液が流れるのを妨げることができ、かつレシーバと第1のチューブを患者の脈管構造から抜去するときに、両者の間の接続を維持するのに十分な摩擦を生み出すことができる。
【0072】
さらに
図6Aおよび
図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、第1のチューブ14の遠位端部82は、径方向に拡張可能である。このような実施形態では、レシーバ22の近位部74aは、第1のチューブ14の遠位端部82と接触したときに遠位端部を径方向に拡張し、それによって遠位端部に圧力をかけることができる。 遠位端部82が拡張した後、レシーバ22の近位部74aは、圧縮された第2の内側横断寸法58bより大きい圧縮された第3の内側横断寸法58cを有することができる。図示したように、レシーバ22の近位部74aは、圧縮された第3の内側横断寸法58cが遠位端部の近位側の位置での第1のチューブ14の内側横断寸法30aと少なくとも同じ大きさになるように、例えば内側横断寸法30aの100%、105%、110%、115%、もしくは120%のいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間になるように、遠位端部82に十分な力をかけることができる。例えば、圧縮された第3の内側横断寸法58cは、レシーバ22の圧縮されていない横断寸法38aの0.070インチ、0.075インチ、0.080インチ、0.085インチ、0.090インチ、0.095インチ、もしくは0.100インチ(例えば少なくとも0.085インチもしくは少なくともおよそ0.090インチ)のいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間とすることができ、かつ/もしくは少なくとも50%、60%、70%、もしくは80%とすることができる。さらに大きな首部を生み出すことによって、この拡張の可能性を追加することで、レシーバ22および第1のチューブ14に血栓をさらに吸い込みやすくすることができる。
【0073】
レシーバ22は、前述の拡張性をもたらし、レシーバがレシーバの近位側および遠位側にある患者の血管部分どうしの間の流れを妨げるようにするのに適した任意の構造を有することができる。
図7を参照すると、例えばレシーバ22は、その外面を画定する膜86を含むことができる。膜86は、レシーバの遠位部74bが拡張して血管壁と接触したときに、レシーバ22が血栓への血流を妨げることができるとともに、吸引のために血栓と第1のチューブ14との間の流体連通を可能にするように、液体不透過性とすることができる。膜86に適している材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびウレタンなどのポリマーがある。例えばPTFEは、有利なことに、他の表面との摩擦が少ないことが見受けられるため、レシーバ22の挿入および展開が容易になる。
【0074】
拡張性を高めるために、レシーバ22はストラット90を有することができる。ストラット90は、レシーバが径方向に圧縮されたときにレシーバ22の径方向の拡張を促すように構成できる。例えば、ストラット90は、ストラットにかかった機械的負荷が解放されたときにストラットが元の形状に戻れるように、超弾性であるニチノール(すなわちニッケルとチタンの合金)を含むことができる。ストラット90と膜86との結合は、様々な方法で達成できる。一例として、レシーバ22は、レシーバの内壁を画定する第2の膜(例えばPTFEおよび/もしくはウレタンなど、膜86と同じ材料を含む)を含むことができ、この膜は、ストラット90が2つの膜の間に配置されるように膜86に接着される。このような膜の構成により、膜86がPTFEを含み、ストラット90がニチノールを含んでいる場合に(ストラットの構成に好適であるように)、膜とストラットとの接続を強化するのを容易にできる。これは、ストラット90を保持している膜どうしの接着が、PTFEとニチノールとの間の接着よりも強い可能性があるためである。それにもかかわらず、ストラット90は、反対側に配置される第2の膜がなくても膜86の内壁に接着させることができる。この構成は、2膜構成と同じほど強くない可能性があるが、吸引中にレシーバ22にかかる力に耐えるのに十分な強さを生み出すことができる。
【0075】
他の実施形態では、レシーバ22は、編組ワイヤ(例えばニチノールを含む)が膜86に取り付けられている編組構造を有することができる。このような実施形態のいくつかでは、編組ワイヤは、編組構造用のウレタンを含んでいることが好ましい膜86に包むことができる。
【0076】
レシーバ22は、1つ以上の放射線不透過性マーカ94も含むことができる。 放射線不透過性マーカ94は、X線の通過を抑制できるため、レシーバ22が患者の体内に配置されたときにX線透視法で見ることができる。例えば、各放射線不透過性マーカ94は、タンタルもしくはプラチナを含むことができる。したがって、放射線不透過性マーカ94は、治療者がレシーバを挿入して展開する過程で患者の脈管構造内でレシーバ22の位置を決定するのを補助できる。少なくとも1つの放射線不透過性マーカ94は、レシーバ22の近位端70aよりも遠位端70bに近い方に配置でき、遠位端からの距離98bが5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、もしくは0.5mmのいずれか1つ以下、もしくはいずれか2つの間である(例えば1mm以下)ようにする。このように遠位側に位置している放射線不透過性マーカ94は、治療者が血栓に対するレシーバ22の位置を決定するのを補助でき、それによってレシーバを血栓に隣接して配置して、吸引のための適切な係合を達成することができる。これに加えて、もしくはこれに代えて、少なくとも1つの放射線不透過性マーカ94は、レシーバ22の遠位端70bよりも近位端70aに近い方に配置でき、近位端からの距離98aが5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、もしくは0.5mmのいずれか1つ以下、もしくはいずれか2つの間である(例えば1mm以下)ようにする。このように近位側に位置している放射線不透過性マーカ94は、遠位側に位置している放射線不透過性マーカと組み合わせることで、展開したときに治療者がレシーバ22の長さを決定することができる。いくつかの実施形態では、長さ50にわたって広がるレシーバ22の構成要素(例えばストラット90全体)を、その少なくとも一部がレシーバの長さに沿ってX線透視法で見えるように、放射線不透過性にできる。
【0077】
前述したように、レシーバが血栓に向かって前進できるように、レシーバ22にプッシャー26を接続できる。 このようなプッシャー26は、慣習的にガイドワイヤに使用されているワイヤのように、例えばステンレス鋼を含むプッシャーワイヤを含むことができる。プッシャー26に適している1つのワイヤが、朝日インテック株式会社から入手可能なCHIKAI black18 Neurovascular Guide Wireに使用されているワイヤである。ただし、
図8Aおよび
図8Bを参照すると、他の実施形態では、プッシャーは、レシーバに接続する必要がなく、代わりに第2のチューブ18内に配置可能とすることができ、レシーバ22の近位端70aと接触させるようなサイズにできる。例えば、プッシャー26は、遠位端が第2のチューブ18の遠位部でレシーバ22に到達できる一方で、近位端が第1のチューブ14および第2のチューブ18の外側にアクセスできるように、ワイヤではなく前述のいずれかのプッシャー長さを有するコイルを含むことができ、かつ第2のチューブの内側横断寸法34aよりも小さいがレシーバの近位端70aと係合するのに十分大きい外側横断寸法を有することができる。 そのため、レシーバ22を押して展開させるために、接続されていないプッシャー26を第2のチューブ18に通して前進させることができる(
図8A)。レシーバ22が展開すると、プッシャー26患者から抜去でき(
図8B)、レシーバ22の近位側の第1のチューブ14の内腔の断面全体を血栓の吸い込みに利用できる。
【0078】
図9A~
図9Cを参照すると、システム10は、第2のチューブ18およびレシーバ22を第1のチューブ14に通して前進させやすくできるマルチポートアダプタ102を備えることができ、吸引のために真空源114に連結できる。図示したように、マルチポートアダプタ102は、そのために少なくとも3つのポート106a~106c(
図9A)を有することができる。第1のポート106aは、マルチポートアダプタ102の内腔が第1のチューブの内腔と流体連通するように、第1のチューブ14の近位側取り付け部品110に連結するように構成できる(
図9Bおよび
図9C)。第2のポート106bは、第1のチューブの近位側取り付け部品110が第1のポート106aに連結されたときに、第2のチューブ18がマルチポートアダプタ102の内腔を通過でき、かつ第1のチューブ14の内腔を通過できるように構成できる(
図9C)。このように、第2のチューブ18およびレシーバ22は、前述のように患者の神経脈管構造内の血栓まで前進できる。また、第2のチューブ18は、レシーバ22を展開させる間に第1のチューブ14から第2のポート106bを通して抜去できる。
【0079】
吸引のために、マルチポートアダプタ102は、真空源114に連結可能な第3のポート106cを有することができる。(
図9C)。第3のポート106cは、そのような真空源の接続を達成するためのルアーロックを有することができる。真空源114が第3のポート106cに連結されると、マルチポートアダプタ102の内腔と流体連通でき、それに伴い第1のチューブ14の内腔と流体連通できる。よって真空源114は、第3のポート106cで圧力を下げることによって第1のチューブ14に真空を適用でき、それによって血栓をレシーバ22の中に第1のチューブ18を通して引き込む。真空の効率的な適用を促進し、マルチポートアダプタ102からの血液漏れを軽減するために、流体が流出できないように吸引中に第2のポート106bを閉じることができる。例えば、第2のポート106bは、もしプッシャー26がレシーバ22に接続されていて吸引中に第1のチューブ14に留まっていれば、第2のチューブ18を抜去した後に第2のポートがプッシャーの周囲にシールを形成できるように、このポートを通って位置している円筒構造体をシールするように構成できる(例えばTuohy-Borstアダプタを備えることができる)。
【0080】
システム10の真空源114は、第1のチューブ14の近位端62aに真空を適用して、展開したレシーバ22の中に血栓を引き込み、第1のチューブを通して除去できる任意の適切なデバイスを備えることができる。例えば、図示したように、真空源114は、シリンジを備えることができ、シリンジは、任意で、40mL、50mL、60mL、70mL、もしくは80mLのいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間の流体を保持するように構成された胴部を有する。シリンジが吸引中に第1のチューブ14の近位端64aとレシーバ22の遠位端70bとの間にもたらすことのできる比較的小さい負の圧力差は、少なくとも一因としてレシーバ22の口および首部の断面積が比較的大きいことにより、血栓を吸い込んで除去するのに十分となり得る。例えば、このような圧力差は、180、160、140、120、もしくは100mmHgのいずれか1つ以下、もしくはいずれか2つの間とすることができる。
【0081】
図10を参照すると、他の実施形態では、真空源114は、真空ポンプを備えることができ、真空ポンプは、ポンピングユニット118(例えばモータを有する)と、ポンピングユニットと流体連通している容器122とを含むことができ、それによってポンピングユニットが容器に真空を引けるようにする。一方、容器122は、チューブ126を介してマルチポートアダプタ102の第3のポート106cに連結でき、ポンピングユニット118が容器を介して第1のチューブ14の近位端62aと流体連通し、それに伴い第1のチューブ14の近位端62aで容器を介して真空を適用できるようにし、容器は、吸引中に患者の脈管構造から引き抜かれた流体を受け入れることができる。ポンピングユニット118は、第1のチューブ14の近位端62aでの圧力を(例えばレギュレータ130で)制御して、血栓除去に十分な圧力差を生み出すように構成できる。
【0082】
本システムのいずれもキットに含めることができる。このようなキットでは、自己拡張型レシーバ22を既に第2のチューブ18の中に少なくとも部分的に配置でき、レシーバを患者の体内へ挿入できる状態にすることによって迅速な治療ができるようにする。
【0083】
図11Aおよび
図11Bを参照すると、血栓(例えば138)(例えば赤色血栓もしくは白色血栓)を除去する本方法のいくつかは、患者の脈管構造(例えば134)を通って第1のチューブ(例えば14)(例えば前述したもののいずれか)を前進させることを含む(
図11A)。前述したように、第1のチューブを患者の鼠径部の脈管構造に挿入し、ICA(例えば142)まで、例えばICAの5cm以内、4cm以内、3cm以内、もしくは1cm以内まで前進させることができる。システム10は、任意で、ガイドワイヤ150を備え、ガイドワイヤは、第1のチューブがガイドワイヤに被さって通ることができて第1のチューブが患者の脈管構造を通って前進しやすくなるように、第1のチューブを挿入する前に血栓まで前進させることができる。
【0084】
第1のチューブが患者の脈管構造内に配置された状態で、いくつかの方法は、第2のチューブ(例えば18)(例えば前述の第2のチューブのいずれか)を第1のチューブに通して前進させることを含む(
図11B)。第2のチューブは、遠位端(例えば66b)がICAもしくはMCA(例えばM1セグメント)で第1のチューブの遠位端(例えば62b)の遠位側に位置するように前進できる。このように、第2のチューブの遠位端は、血栓の5cm以内、4cm以内、3cm以内、2cm以内、もしくは1cm以内のように、血栓の近くに位置できる。第1のチューブを通って前進させると、第2のチューブの近位端(例えば66a)を、治療者がアクセスできるように患者の体外に留めることができる。
【0085】
図12A~
図12Cを参照すると、いくつかの方法では、自己拡張型レシーバ(例えば22)(例えば前述した自己拡張型レシーバのいずれか)も血栓まで前進させることができる。例えば、自己拡張型レシーバは、レシーバが第2のチューブと一緒に前進するように、第2のチューブ(例えば第2のチューブの遠位部)内で強制された向きで位置できる。このような方法では、第2のチューブは、レシーバの近位部(例えば74a)が第1のチューブの遠位端部(例えば82)内に位置するまで前進できる。あるいは、第2のチューブの遠位端がICAもしくはMCAにくるように第2のチューブを第1のチューブに通して前進させた後、レシーバの近位部が第1のチューブの遠位部に位置するまで、レシーバを、(例えば前述したプッシャーのいずれかを含むことができるプッシャー26を用いて)第2のチューブに通して押すことができる。
【0086】
レシーバを展開させるために、いくつかの方法は、第2のチューブの近位部を引っ張るなどにより、第2のチューブをレシーバ(
図12Bおよび
図12C)に対して近位側に動かすことを含む。この動きの少なくとも一部の過程で(例えばレシーバの一部が第2のチューブに配置されている間に)、プッシャーを通してレシーバに圧力を印加でき、それによってレシーバが抜けやすくなる。第2のチューブは、第2のチューブの遠位端がレシーバの遠位端の近位側に位置するように動かすことができ、それによってレシーバの遠位部(例えば74b)を径方向に拡張させて血管と接触させることが可能になる。拡張した遠位部が血管に十分な圧力をかけて血液の流入を妨げられるように、レシーバの圧縮されていない外側の最大横断寸法を血管の内部横断寸法(例えば直径)よりも大きくすることができる。例えば、レシーバの遠位部は、40kPa、50kPa、60kPa、70kPa、80kPa、90kPa、100kPa、もしくは110kPa(例えば50~100kPa)のいずれか1つ以上、もしくはいずれか2つの間である圧力を血管壁にかけることができる。
【0087】
第2のチューブを動かすのは、少なくとも第2のチューブの遠位端がレシーバの近位端の近位側にくるまで行うことができる。第2のチューブからレシーバを抜いた状態では、レシーバの近位部は、径方向に拡張して第1のチューブの遠位端部と接触できる(
図12C)。上記に説明したように、これによってレシーバの首部の内側横断寸法を大きくして吸引しやすくする。もし第1のチューブの遠位端部が前述したように径方向に拡張可能であれば、レシーバの近位部は、レシーバの近位部が、第1のチューブの遠位端部の近位側の位置での第1のチューブと少なくとも同じ大きさの内側横断寸法(例えば58c)を有するように、径方向に拡張可能な遠位端部を径方向に拡張させることができる。展開したとき、レシーバは、レシーバの拡張した遠位部と第2のチューブ内に配置されたレシーバの近位部との間で細くなる移行部分(例えば78)を有することができる。
【0088】
展開中に、血栓に対するレシーバの位置は、プッシャーを用いて調整できる。例えば、プッシャーを介してレシーバに圧力を印加すると、レシーバの遠位端が血栓に接触するようにレシーバを前進させることができ、それによって血栓の吸引を容易にできる。前述したように、プッシャーをレシーバに接続する必要はなく、この構成では、いくつかの方法は、患者からプッシャーを抜去して第1のチューブの断面のより大きい部分を吸引に利用できるようにすることを含む。
【0089】
図12D~
図12Fを参照すると、いくつかの方法は、(例えばシリンジもしくは真空ポンプを用いるなど、前述のいずれかの方法で)第1のチューブに真空を適用することを含む。その結果、第1のチューブの近位端の圧力を下げることができ、レシーバの遠位端と第1のチューブの近位端との間に負の圧力差が生じ、血栓をレシーバの中に吸引させることができる(
図12D)。レシーバの遠位部は血管壁まで拡張するため、このような吸い込みが容易に起こり得る。また、
図12Eおよび
図12Fを参照すると、真空の適用により、血栓をレシーバに通して第1のチューブの中に吸引させることができる。図示したように、レシーバの細くなっている移行区画および径方向に拡張した近位部により、血栓が第1のチューブに入れるように血栓の変形および圧縮が容易になる。この吸い込みは、血栓が赤色血栓よりも圧縮に対する抵抗が強い白色血栓であっても起こり得る。真空により、吸い込んだ血栓を第1のチューブを通して第1のチューブの近位端から引き出すことを継続できる。もし吸引に真空ポンプを使用すれば、ポンプの圧力に変化が生じたときに再疎通を確認できる。いくつかの方法では、レシーバを第1のチューブの中に引き込むことができ(例えば、もしプッシャーがレシーバに接続していれば患者の体外にあるプッシャーの近位部を引っ張って)、第1のチューブを患者の脈管構造から抜去できる。
【0090】
いくつかの手順では、血栓は、レシーバの首部が比較的大きくても真空が適用されたときに第1のチューブの中に吸引されないことがある。これが起きた場合は、血栓を除去するために、血栓がレシーバ内にある状態で第1のチューブおよびレシーバを患者から抜去できる。あるいは、レシーバは、真空が第1のチューブに適用されている間に(例えばプッシャーを用いて)第1のチューブの中に引き込むことができ、これにより血栓を第1のチューブの中に吸い込んで除去することが可能になり得る。
【実施例】
【0091】
本発明を具体的な実施例としてさらに詳細に説明する。以下の実施例は、例示を目的として提示するのであって、決して本発明を限定することを意図するものではない。 当業者は、変更もしくは修正して本質的に同じ結果をもたらし得る重要ではない様々なパラメータを容易に認識するであろう。
【実施例1】
【0092】
図13A~
図13Dおよび
図14A~
図14Cを参照すると、吸引過程でモデルの白色血栓をカテーテルに吸い込む能力を、細くなるレシーバ(もしくは漏斗)を用いる場合と用いない場合で評価した。いずれの実験でも、真空を引いたカテーテルの直径は、1.5mmであった。この実験では漏斗を使用し、漏斗を直径1.0mmまで細くした。
図13A~
図13Dに示したように、漏斗がない場合は、モデルの白色血栓をカテーテルの口まで引っ張ったがカテーテルに通すことはできなかった。ところが、
図14A~
図14Cに示したように、モデルの白色血栓は、漏斗を通過でき、首部の直径1.0mmは、血栓を吸い込めなかったカテーテルの直径よりも小さかったが、首部から出ることができた。これは、いかに漏斗のテーパで血栓の吸い込みが容易になったかを示したものである。
【実施例2】
【0093】
図15A~
図15Dを参照すると、プッシャー(例えば26)を用いてシースから展開させたストラットおよび膜を含む例示的なレシーバ(例えば22)が示されている。 図示したように、プッシャーを前方に進ませたとき、レシーバは、シースから出て径方向に拡張した(
図15Bおよび
図15C)。その後、プッシャーを抜去した(
図15D)。
【実施例3】
【0094】
図16A~
図16Cを参照すると、第1のチューブ(例えば14)が内径0.090インチの6Fシースで、第2のチューブ(例えば18)の内径が0.070インチの4Fシースで、自己拡張型レシーバ(例えば22)がストラットおよび膜を備えていた一例のシステムが示されている。MCAのM1セグメントへ挿入する模擬実験をするために、4Fシースが中に配置されて6Fシースの遠位端を越えて延在し、レシーバが4Fシース内で圧縮されて配置されている、内径0.157インチのチューブの中にシステムを挿入した。4Fシースを後退させている間にレシーバをしかるべき場所に保持するためにプッシャー(例えば26)を使用した(
図16B)。4Fシースを6Fシースから後退させたとき、レシーバは、径方向に拡張したため、遠位部は直径0.157インチのチューブの内壁に係合し、近位部は6Fシースの内壁に係合し、両者の間の移行部分が狭くなった(
図16C)。
【実施例4】
【0095】
図17A~
図17Dを参照すると、カテーテルの遠位部が直径6mmのチューブの内壁に対して径方向に拡張し、カテーテルの近位部が8Fカテーテルの内壁まで径方向に拡張するように、自己拡張型レシーバ(例えば22)を8Fカテーテルから展開させて吸引実験を実施した。モデル血栓(例えば138)をレシーバ(
図17A)の遠位側で直径6mmのチューブ内に配置した。8Fカテーテルの近位端で真空を適用し、モデル血栓をレシーバの中に向けて引っ張った(
図17Bおよび
図17C)。モデル血栓は、レシーバの首部および8Fカテーテルを通過できた(
図17D)。
【0096】
以上の明細および例は、例示的な実施形態の構造および使用を完全に説明するものである。特定の実施形態をある程度の詳細度で、1つ以上の個々の実施形態に言及して上記に説明したが、当業者は、本発明の範囲を逸脱しないかぎり、本発明に多くの変化を加えてよい。このように、製品、システム、および方法の様々な例示的な実施形態は、開示した特定の形態に限定することを意図してはいない。むしろ、特許請求の範囲内に収まるあらゆる修正および代替が含まれ、提示したもの以外の実施形態は、図示した実施形態の特徴の一部もしくはすべてを含んでいてよい。例えば、要素を省略したり単一の構造体として合体させたりしてよく、かつ/もしくは接続部を置き換えてよい。さらに、必要に応じて、上記のいずれの例の態様も、記載した他の例のいずれかの態様と組み合わせて、同等もしくは異なる特性および/もしくは機能を有し、同じもしくは異なる問題に対処するさらに他の例を形成してよい。同じように、上記の利益および利点は、1つの実施形態に関連するものであってもよいし、いくつかの実施形態に関連するものであってもよいことが理解されるであろう。
【0097】
特許請求の範囲は、ミーンズ・プラス・ファンクションもしくはステップ・プラス・ファンクションの制限を含むことを意図してはおらず、そのように解釈すべきではない。ただし、このような制限が、これに対応する「~の手段」もしくは「~の工程」という語句を使用している特定の請求項に明示的に記載されている場合を除く。