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特許7580603微結晶ガラス、微結晶ガラス製品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】微結晶ガラス、微結晶ガラス製品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 10/04 20060101AFI20241101BHJP
   C03C 3/097 20060101ALI20241101BHJP
   C03B 32/02 20060101ALI20241101BHJP
   C03C 21/00 20060101ALI20241101BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241101BHJP
   C03C 3/083 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
C03C10/04
C03C3/097
C03B32/02
C03C21/00 101
G09F9/00 313
C03C3/083
【請求項の数】 53
(21)【出願番号】P 2023528126
(86)(22)【出願日】2021-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2021120633
(87)【国際公開番号】W WO2022142526
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】202011645700.8
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512264046
【氏名又は名称】成都光明光▲電▼股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CDGM GLASS CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.359,Sec.3,Chenglong Avenue,Long quan yi District,Chengdu,Sichuan China
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】原 保平
(72)【発明者】
【氏名】于 天来
(72)【発明者】
【氏名】李 賽
(72)【発明者】
【氏名】蒋 ▲タオ▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 雪梅
(72)【発明者】
【氏名】粟 勇
(72)【発明者】
【氏名】聶 小兵
(72)【発明者】
【氏名】劉 振禹
【審査官】安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/167850(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/161949(WO,A1)
【文献】特開2008-272779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
C03B 32/02
C03C 21/00
G09F 9/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で以下の成分を含む、微結晶ガラス製品:SiO253~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:13.5~25%、ZrO27.5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3:0より多く8%以下、K 2 O:0~4.5%、BaO:0~1.5%、TiO 2 :0~1.5%、(Li 2 O+ZrO 2 +P 2 O 5 )/Y 2 O 3 が9.0~50.0である。
【請求項2】
重量%で以下の成分をさらに含む、請求項1に記載の微結晶ガラス製品:MgO:0~2%、及び/又はZnO:0~2%、及び/又はNa2O:0~6%、及び/又はSrO:0~5%、及び/又はCaO:0~5%、及び/又はB2O3:0~5%、及び/又はLn2O3:0~5%、及び/又は清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3のうちの一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrのうちの一種または複数種である。
【請求項3】
前記成分は重量%で表され、各成分の含有量が以下の4つの状況のうちの1つ以上を満たす、請求項1又は2に記載の微結晶ガラス製品:
1) Y2O3/ZrO2が0より多い;
2) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)が0.16~0.9である;
3) Na2O/Y2O3が6.0以下であり;
4) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0より多く0.15以下である。
【請求項4】
重量%で以下の成分を含む、請求項1又は2に記載の微結晶ガラス製品:SiO253~65%、及び/又はAl2O3:8~15%、及び/又はLi2O:13.5~22%、及び/又はP2O5:3.5~9%、及び/又はK2O:0~4%、及び/又はMgO:0~1%、及び/又はZnO:0~1%、及び/又はNa2O:1~5%、及び/又はY2O3 :1~7%、及び/又はSrO:0~3%、及び/又はCaO:0~3%、及び/又はB2O3:0~3%、及び/又はLn2O3:0~4%、及び/又は清澄剤:0~1%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3のうちの一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrのうちの一種または複数種である。
【請求項5】
前記成分は重量%で表され、各成分の含有量が以下の5つの状況のうちの1つ以上を満たす、請求項1又は2に記載の微結晶ガラス製品:
1) Y2O3/ZrO2が0.1~1.0である;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O39.0~40.0である;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)が0.18~0.6である;
4)Na2O/Y2O3が0.1~5.0である;
5)Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0.01~0.12である。
【請求項6】
重量%で以下の成分を含む、請求項1又は2に記載の微結晶ガラス製品:SiO2:53~63%、及び/又はAl2O3:8~12%、及び/又はLi2O:14~21%、及び/又はZrO27.5~12%、及び/又はP2O5:4~8%、及び/又はK2O:0~2%、及び/又はY2O3:2~6%、及び/又はB2O3:0~2%、及び/又はNa2O:1.5~4%、及び/又はSrO:0~1%、及び/又はTiO2:0~1%、及び/又はBaO:0~1%、及び/又はCaO:0~1%、及び/又はLn2O3:0~3%、及び/又は清澄剤:0~0.5%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3のうちの一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrのうちの一種または複数種である。
【請求項7】
前記成分は重量%で表され、各成分の含有量が以下の5つの状況のうちの1つ以上を満たす、請求項1又は2に記載の微結晶ガラス製品:
1) Y2O3/ZrO2が0.2~0.6である;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O39.0~21.0である;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)が0.19~0.5である;
4) Na2O/Y2O3が0.3~2.0である;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0.03~0.09である。
【請求項8】
前記微結晶ガラス製品の結晶相が主に一ケイ酸リチウムを含み、一ケイ酸リチウムの重量%が他の結晶相よりも高く、一ケイ酸リチウムが微結晶ガラス製品の10%~63.5%を占める、請求項1又は2に記載の微結晶ガラス製品。
【請求項9】
前記微結晶ガラス製品の結晶相が主に一ケイ酸リチウムを含み、一ケイ酸リチウムの重量%が他の結晶相よりも高く、一ケイ酸リチウムが微結晶ガラス製品の15~55%を占める、請求項1又は2に記載の微結晶ガラス製品。
【請求項10】
前記微結晶ガラス製品がリン酸リチウム結晶相を含み、微結晶ガラス製品に占めるリン酸リチウム結晶相の重量%が3~15%である、請求項1又は2に記載の微結晶ガラス製品。
【請求項11】
前記微結晶ガラス製品の表面応力が600MPa以上であり、及び/又は4点曲げ強度が600MPa以上であり、及び/又はイオン交換層深さが20μm以上であり、及び/又は落球試験高さが1300mm以上であり、及び/又は破断靭性が1MPa・m1/2以上であり、及び/又はビッカース硬度が700kgf/mm2以上である、及び/又は結晶度が50%以上であり、及び/又は結晶粒径が50nm以下であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の曇り度が0.15%以下であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の400~800nm波長の平均透過率が89%以上であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の550nm波長の平均透過率が91%以上であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の400~800nmの平均光|B|値が0.6以下である、請求項1又は2に記載の微結晶ガラス製品。
【請求項12】
前記微結晶ガラス製品の表面応力が700MPa以上であり、及び/又は4点曲げ強度が700MPa以上であり、及び/又はイオン交換層深さが40μm以上であり、及び/又は落球試験高さが1500mm以上であり、及び/又は破断靭性が1.2MPa・m1/2以上であり、及び/又はビッカース硬度が730kgf/mm2以上であり、及び/又は結晶度が70%以上であり、及び/又は結晶粒径が30nm以下であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の曇り度が0.1%以下であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の400~800nmの平均光|B|値が0.5以下である、請求項1又は2に記載の微結晶ガラス製品。
【請求項13】
前記微結晶ガラス製品の厚さが0.2~1mmである、請求項11に記載の微結晶ガラス製品。
【請求項14】
前記微結晶ガラス製品が着色剤を含み、前記着色剤が重量%で以下の成分を含む:NiO:0~4%、及び/又はNi2O3:0~4%、及び/又はCoO:0~2%、及び/又はCo2O3:0~2%、及び/又はFe2O3:0~7%、及び/又はMnO2:0~4%、及び/又はEr2O3:0~8%、及び/又はNd2O3 :0~8%、及び/又はCu2O:0~4%、及び/又はPr2O3:0~8%、及び/又はCeO2 :0~4%、請求項1又は2に記載の微結晶ガラス製品。
【請求項15】
重量%で以下の成分を含む、微結晶ガラス:SiO253~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:13.5~25%、ZrO27.5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3 :0より多く8%以下、K 2 O:0~4.5%、BaO:0~1.5%、TiO 2 :0~1.5%、(Li 2 O+ZrO 2 +P 2 O 5 )/Y 2 O 3 が9.0~50.0である。
【請求項16】
重量%で以下の成分をさらに含む、請求項15に記載の微結晶ガラス:MgO:0~2%、及び/又はZnO:0~2%、及び/又はNa2O:0~6%、及び/又はSrO:0~5%、及び/又はCaO:0~5%、及び/又はB2O3:0~5%、及び/又はLn2O3:0~5%、及び/又は清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3のうちの一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrのうちの一種または複数種である。
【請求項17】
前記成分は重量%で表され、各成分の含有量が以下の4つの状況のうちの1つ以上を満たす、請求項15又は16に記載の微結晶ガラス:
1) Y2O3/ZrO2が0より多い;
2) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)が0.16~0.9である;
3) Na2O/Y2O3が6.0以下である;
4) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0より多く0.15以下である。
【請求項18】
重量%で以下の成分を含む、請求項15又は16に記載の微結晶ガラス:SiO253~65%、及び/又はAl2O3:8~15%、及び/又はLi2O:13.5~22%、及び/又はP2O5:3.5~9%、及び/又はK2O:0~4%、及び/又はMgO:0~1%、及び/又はZnO:0~1%、及び/又はNa2O:1~5%、及び/又はY2O3 :1~7%、及び/又はSrO:0~3%、及び/又はCaO:0~3%、及び/又はB2O3:0~3%、及び/又はLn2O3:0~4%、及び/又は清澄剤:0~1%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3のうちの一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrのうちの一種または複数種である。
【請求項19】
前記成分は重量%で表され、各成分の含有量が以下の5つの状況のうちの1つ以上を満たす、請求項15又は16に記載の微結晶ガラス:
1) Y2O3/ZrO2が0.1~1.0である;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O39.0~40.0である;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)が0.18~0.6である;
4) Na2O/Y2O3が0.1~5.0である;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0.01~0.12である。
【請求項20】
重量%で以下の成分を含む、請求項15又は16に記載の微結晶ガラス:SiO2:53~63%、及び/又はAl2O3:8~12%、及び/又はLi2O:14~21%、及び/又はZrO27.5~12%、及び/又はP2O5:4~8%、及び/又はK2O:0~2%、及び/又はY2O3:2~6%、及び/又はB2O3:0~2%、及び/又はNa2O:1.5~4%、及び/又はSrO:0~1%、及び/又はTiO2:0~1%、及び/又はBaO:0~1%、及び/又はCaO:0~1%、及び/又はLn2O3:0~3%、及び/又は清澄剤:0~0.5%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3のうちの一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrのうちの一種または複数種である。
【請求項21】
前記成分は重量%で表され、各成分の含有量が以下の5つの状況のうちの1つ以上を満たす、請求項15又は16に記載の微結晶ガラス:
1) Y2O3/ZrO2が0.2~0.6である;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O39.0~21.0である;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)が0.19~0.5である;
4) Na2O/Y2O3が0.3~2.0である;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0.03~0.09である。
【請求項22】
前記微結晶ガラスの結晶相が主に一ケイ酸リチウムを含み、一ケイ酸リチウムの重量%が他の結晶相よりも高く、一ケイ酸リチウムが微結晶ガラスの10%~63.5%を占める、請求項15又は16に記載の微結晶ガラス。
【請求項23】
前記微結晶ガラスの結晶相が主に一ケイ酸リチウムを含み、一ケイ酸リチウムの重量%が他の結晶相よりも高く、一ケイ酸リチウムが微結晶ガラスの15%~55%を占める、請求項15又は16に記載の微結晶ガラス。
【請求項24】
前記微結晶ガラスの結晶相がリン酸リチウム結晶相を含み、微結晶ガラスに占めるリン酸リチウム結晶相の重量%が3~15%である、請求項15又は16に記載の微結晶ガラス。
【請求項25】
前記微結晶ガラスの結晶度が50%以上であり、及び/又は結晶粒径が50nm以下であり、及び/又は熱膨張係数が75~95×10-7/Kであり、及び/又は屈折率が1.5700~1.5800であり、及び/又は本体落球試験高さが1000mm以上であり、及び/又はビッカース硬度が650kgf/mm2以上であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラスの曇り度度が0.15%以下であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラスの400~800nm波長の平均透過率が89%以上であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラスの550nm波長の平均透過率が91%以上であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラスの400~800nmの平均光|B|値が0.6以下である、請求項15又は16に記載の微結晶ガラス。
【請求項26】
前記微結晶ガラスの結晶度が70%以上であり、及び/又は結晶粒径が30nm以下であり、及び/又は本体落球試験高さが1200mm以上であり、及び/又はビッカース硬度が700kgf/mm2以上であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラスの曇り度度が0.1%以下であり、及び/又は厚さ1mm以下の微結晶ガラスの400~800nmの平均光|B|値が0.5以下である、請求項15又は16に記載の微結晶ガラス。
【請求項27】
前記微結晶ガラスの厚さは0.2~1mmである、請求項25に記載の微結晶ガラス。
【請求項28】
前記微結晶ガラスが着色剤を含み、前記着色剤が重量%で以下の成分を含む:NiO:0~4%、及び/又はNi2O3:0~4%、及び/又はCoO:0~2%、及び/又はCo2O3:0~2%、及び/又はFe2O3:0~7%、及び/又はMnO2:0~4%、及び/又はEr2O3:0~8%、及び/又はNd2O3 :0~8%、及び/又はCu2O:0~4%、及び/又はPr2O3:0~8%、及び/又はCeO2 :0~4%、請求項15又は16に記載の微結晶ガラス。
【請求項29】
重量%で以下の成分を含む、マトリックスガラス:SiO253~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:13.5~25%、ZrO27.5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3 :0より多く8%以下、K 2 O:0~4.5%、BaO:0~1.5%、TiO 2 :0~1.5%、(Li 2 O+ZrO 2 +P 2 O 5 )/Y 2 O 3 が9.0~50.0である。
【請求項30】
重量%で以下の成分をさらに含む、請求項29に記載のマトリックスガラス:MgO:0~2%、及び/又はZnO:0~2%、及び/又はNa2O:0~6%、及び/又はSrO:0~5%、及び/又はCaO:0~5%、及び/又はB2O3:0~5%、及び/又はLn2O3:0~5%、及び/又は清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3のうちの一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrのうちの一種または複数種である。
【請求項31】
前記成分は重量%で表され、各成分の含有量が以下の4つの状況のうちの1つ以上を満たす、請求項29又は30に記載のマトリックスガラス:
1)Y2O3/ZrO2が0より多い;
2)Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)が0.16~0.9である;
3)Na2O/Y2O3が6.0以下である;
4)Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0より多く0.15以下である。
【請求項32】
前記成分は重量%で表され、各成分の含有量が以下の5つの状況のうちの1つ以上を満たす、請求項29又は30に記載のマトリックスガラス:
1) Y2O3/ZrO2が0.1~1.0である;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O39.0~40.0である;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)が0.18~0.6である;
4) Na2O/Y2O3が0.1~5.0である;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0.01~0.12である。
【請求項33】
前記成分は重量%で表され、各成分の含有量が以下の5つの状況のうちの1つ以上を満たす、請求項29又は30に記載のマトリックスガラス:
1) Y2O3/ZrO2が0.2~0.6である;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O39.0~21.0である;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)が0.19~0.5である;
4) Na2O/Y2O3が0.3~2.0である;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0.03~0.09である。
【請求項34】
重量%で以下の成分を含む、請求項29又は30に記載のマトリックスガラス: SiO253~65%、及び/又はAl2O3:8~15%、及び/又はLi2O:13.5~22%、及び/又はP2O5:3.5~9%、及び/又はK2O:0~4%、及び/又はMgO:0~1%、及び/又はZnO:0~1%、及び/又はNa2O:1~5%、及び/又はY2O3 :1~7%、及び/又はSrO:0~3%、及び/又はCaO:0~3%、及び/又はB2O3:0~3%、及び/又はLn2O3:0~4%、及び/又は清澄剤:0~1%、であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3のうちの一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrのうちの一種または複数種である。
【請求項35】
重量%で以下の成分を含む、請求項29又は30に記載のマトリックスガラス:SiO2:53~63%、及び/又はAl2O3:8~12%、及び/又はLi2O:14~21%、及び/又はZrO27.5~12%、及び/又はP2O5:4~8%、及び/又はK2O:0~2%、及び/又はNa2O:1.5~4%、及び/又はY2O3 :2~6%、及び/又はSrO:0~1%、及び/又はBaO:0~1%、及び/又はTiO2:0~1%、及び/又はCaO:0~1%、及び/又はB2O3:0~2%、及び/又はLn2O3:0~3%、及び/又は清澄剤:0~0.5%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3のうちの一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrのうちの一種または複数種である。
【請求項36】
前記マトリックスガラスの熱膨張係数が50×10-7/K~70×10-7/Kであり、及び/又は前記マトリックスガラスの屈折率が1.5600~1.5700である、請求項29又は30に記載のマトリックスガラス。
【請求項37】
前記マトリックスガラスが着色剤を含み、前記着色剤が重量%で以下の成分を含む:NiO:0~4%、及び/又はNi2O3:0~4%、及び/又はCoO:0~2%、及び/又はCo2O3:0~2%、及び/又はFe2O3:0~7%、及び/又はMnO2:0~4%、及び/又はEr2O3:0~8%、及び/又はNd2O3 :0~8%、及び/又はCu2O:0~4%、及び/又はPr2O3:0~8%、及び/又はCeO2 :0~4%、請求項29又は30に記載のマトリックスガラス。
【請求項38】
請求項1~14のいずれか一項に記載の微結晶ガラス製品、及び/又は請求項15~28のいずれか一項に記載の微結晶ガラス、及び/又は請求項29~37のいずれか一項に記載のマトリックスガラスを含む、ガラス蓋板。
【請求項39】
請求項1~14のいずれか一項に記載の微結晶ガラス製品、及び/又は請求項15~28のいずれか一項に記載の微結晶ガラス、及び/又は請求項29~37のいずれか一項に記載のマトリックスガラスを含む、ガラス素子。
【請求項40】
請求項1~14のいずれか一項に記載の微結晶ガラス製品、及び/又は請求項15~28のいずれか一項に記載の微結晶ガラス、及び/又は請求項29~37のいずれか一項に記載のマトリックスガラス、及び/又は請求項38に記載のガラス蓋板、及び/又は請求項39に記載のガラス素子を含む、表示装置。
【請求項41】
請求項1~14のいずれか一項に記載の微結晶ガラス製品、及び/又は請求項15~28のいずれか一項に記載の微結晶ガラス、及び/又は請求項29~37のいずれか一項に記載のマトリックスガラス、及び/又は請求項38に記載のガラス蓋板、及び/又は請求項39に記載のガラス素子を含む、電子機器。
【請求項42】
請求項1~14のいずれか一項に記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記方法は以下のステップを含む:
マトリックスガラスを形成し、前記マトリックスガラスに対して結晶化工程により微結晶ガラスを形成し、さらに前記微結晶ガラスに対して化学強化工程により微結晶ガラス製品を形成する。
【請求項43】
前記結晶化工程は以下のステップを含む、請求項42に記載の微結晶ガラス製品の製造方法:所定の結晶化処理温度に昇温し、結晶化処理温度になった後、その温度を一定の時間保持し、その後に温度を下げ;この結晶化処理温度が600~750℃であり、結晶化処理温度の保持時間が0~8時間である。
【請求項44】
前記結晶化工程は以下のステップを含む、請求項42に記載の微結晶ガラス製品の製造方法:所定の結晶化処理温度に昇温し、結晶化処理温度になった後、その温度を一定の時間保持し、その後に温度を下げ;この結晶化処理温度が650~700℃であり、結晶化処理温度の保持時間が1~6時間である。
【請求項45】
前記結晶化工程は以下のステップを含む、請求項42に記載の微結晶ガラス製品の製造方法:第1温度で核形成工程の処理を行い、その後、核形成工程の温度よりも高い第2温度で結晶成長工程の処理を行い、第1温度が470~630℃であり、第2温度が650~750℃であり、第1の温度での保持時間が0~24時間であり、第2温度での保持時間が0~10時間である。
【請求項46】
前記結晶化工程は以下のステップを含む、請求項42に記載の微結晶ガラス製品の製造方法:第1温度で核形成工程の処理を行い、その後、核形成工程の温度よりも高い第2温度で結晶成長工程の処理を行い、第1温度が470~630℃であり、第2温度が650~750℃であり、第1の温度での保持時間が2~15時間であり、第2温度での保持時間が0.5~6時間である。
【請求項47】
前記化学強化工程は以下のステップを含む、請求項42に記載の微結晶ガラス製品の製造方法:微結晶ガラスを430℃~470℃温度のNa塩を溶融した塩浴に6~20時間浸漬し、及び/又は微結晶ガラスを400℃~450℃温度のK塩を溶融した塩浴に1~8時間浸漬する。
【請求項48】
前記化学強化工程は以下のステップを含む、請求項42に記載の微結晶ガラス製品の製造方法:微結晶ガラスを435℃~460℃温度のNa塩を溶融した塩浴に8~13時間浸漬し、及び/又は微結晶ガラスを400℃~450℃温度のK塩を溶融した塩浴に2~4時間浸漬する。
【請求項49】
請求項15~28のいずれか一項に記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記方法が以下のステップを含む:
マトリックスガラスを形成し、結晶化工程により前記マトリックスガラスを微結晶ガラスに加工する。
【請求項50】
前記結晶化工程は以下のステップを含む、請求項49に記載の微結晶ガラスの製造方法:所定の結晶化処理温度に昇温し、結晶化処理温度になった後、その温度を一定の時間保持し、その後に温度を下げ、この結晶化処理温度が600~750℃であり、結晶化処理温度の保持時間が0~8時間である。
【請求項51】
前記結晶化工程は以下のステップを含む、請求項49に記載の微結晶ガラスの製造方法:所定の結晶化処理温度に昇温し、結晶化処理温度になった後、その温度を一定の時間保持し、その後に温度を下げ、この結晶化処理温度が650~700℃であり、結晶化処理温度の保持時間が1~6時間である。
【請求項52】
前記結晶化工程は以下のステップを含む、請求項49に記載の微結晶ガラスの製造方法:第1温度で核形成工程の処理を行い、その後、核形成工程の温度よりも高い第2温度で結晶成長工程の処理を行い、第1温度が470~630℃であり、第2温度が650~750℃であり、第1の温度での保持時間が0~24時間であり、第2温度での保持時間が0~10時間である。
【請求項53】
前記結晶化工程は以下のステップを含む、請求項49に記載の微結晶ガラスの製造方法:第1温度で核形成工程の処理を行い、その後、核形成工程の温度よりも高い第2温度で結晶成長工程の処理を行い、第1温度が470~630℃であり、第2温度が650~750℃であり、第1の温度での保持時間が2~15時間であり、第2温度での保持時間が0.5~6時間である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微結晶ガラス、微結晶ガラス製品及びその製造方法に関し、特に優れた機械的性能と光学的性能を有し、電子機器又は表示装置に適した微結晶ガラス、微結晶ガラス製品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微結晶ガラスは、ガラスを熱処理することによってガラス内部に結晶を析出させる材料であり、通常のガラスよりも優れた機械的性能を有し、ガラス内に微結晶を形成し、その耐曲げ性、耐摩耗性及び耐落下性などの性能は、通常のガラスよりもはるかに優れる。一方、微結晶ガラスは化学強化により、その機械的性能をさらに向上させることもできる。
【0003】
上記の利点に基づき、現在、微結晶ガラス又はその処理後に得られたガラス製品を耐落下、耐圧、耐スクラッチなどの性能に対する要求の高い表示装置又は電子機器に応用され、特にポータブル電子機器(携帯電話、腕時計、PADなど)のフロント・リアカバーによく使用されている。
【0004】
科学技術の発展に伴い、電子機器又は表示装置に利用されるガラス材料の光学性能に対する要求がより高くなった。光学性能とは、物質の光線に対する吸収、反射と屈折時に表現される性能を指し、透過率、曇り度、|B|値及び屈折率などを含む。しかし、現在市販されている微結晶ガラスは化学強度性能が悪く、曇り度が高く、|B|値が大きいなどの問題が存在し、性能要求が高い表示装置や電子機器になかなか使用できない。
【0005】
従って、優れた機械的性能と光学性能を有し、表示装置や電子機器に適した微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品の開発は、科学技術者が追求する目標となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、優れた機械的性能及び光学的性能を有する微結晶ガラス製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は次のとおりである。
【0008】
(1) 重量%で以下の成分を含む、微結晶ガラス製品: SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3:0超8%以下である。
【0009】
(2) 重量%で以下の成分をさらに含む、(1)に記載の微結晶ガラス製品: K2O:0~5%、及び/又はMgO:0~2%、及び/又はZnO:0~2%、及び/又はNa2O:0~6%、及び/又はSrO:0~5%、及び/又はBaO:0~5%、及び/又はCaO:0~5%、及び/又はTiO2:0~5%、及び/又はB2O3:0~5%、及び/又はLn2O3:0~5%、及び/又は清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0010】
(3) SiO2、Al2O3、Li2O、ZrO2、P2O5及びY2O3を含む微結晶ガラス製品であり、前記微結晶ガラス製品の結晶相が一ケイ酸リチウムを含み、この一ケイ酸リチウムの重量%が他の結晶相よりも高い。
【0011】
(4) SiO2、Al2O3、Li2O、ZrO2及びP2O5を含む微結晶ガラス製品であり、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品400~800nmの平均光|B|値が0.6以下である。
【0012】
(5) 一ケイ酸リチウム結晶相を含有する微結晶ガラス製品であって、前記微結晶ガラス製品の落球試験高さは1300mm以上である。
【0013】
(6) 重量%で以下の成分を含む、(3)~(5)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品: SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%であり、Y2O3 :0超8%以下である。
【0014】
(7) 重量%で以下の成分をさらに含む、(3)~(6)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品: K2O:0~5%、及び/又はMgO:0~2%、及び/又はZnO:0~2%、及び/又はNa2O:0~6%、及び/又はSrO:0~5%、及び/又はBaO:0~5%、及び/又はCaO:0~5%、及び/又はTiO2:0~5%、及び/又はB2O3:0~5%、及び/又はLn2O3:0~5%、及び/又は清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0015】
(8) 重量%で以下の成分からなる、微結晶ガラス製品: SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3 :0超8%以下、K2O:0~5%、MgO:0~2%、ZnO:0~2%、Na2O:0~6%、SrO:0~5%、BaO:0~5%、CaO:0~5%、TiO2:0~5%、B2O3:0~5%、Ln2O3:0~5%、清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0016】
(9) 各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす、(1)~(8)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品:
1) Y2O3/ZrO2が0超である;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は2.5~50.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.16~0.9;
4) Na2O/Y2O3が6.0以下であり;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0超0.15以下である。
【0017】
(10) 重量%で以下の成分を含む、(1)~(9)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品: SiO2:50~65%、及び/又はAl2O3:8~15%、及び/又はLi2O:13~22%、及び/又はZrO2:6~12%、及び/又はP2O5:3.5~9%、及び/又はK2O:0~4%、及び/又はMgO:0~1%、及び/又はZnO:0~1%、及び/又はNa2O:1~5%、及び/又はY2O3 :1~7%、及び/又はSrO:0~3%、及び/又はBaO:0~3%、及び/又はCaO:0~3%、及び/又はTiO2:0~3%、及び/又はB2O3:0~3%、及び/又はLn2O3:0~4%、及び/又は清澄剤:0~1%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0018】
(11) 各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす、(1)~(10)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品:
1) Y2O3/ZrO2は0.1~1.0;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は3.0~40.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.18~0.6;
4) Na2O/Y2O3は0.1~5.0;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)は0.01~0.12。
【0019】
(12) 重量%で以下の成分を含む、(1)~(11)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品:SiO2:53~63%、及び/又はAl2O3:8~12%、及び/又はLi2O:14~21%、及び/又はZrO2:7~12%、及び/又はP2O5:4~8%、及び/又はK2O:0~2%、及び/又はY2O3:2~6%、及び/又はB2O3:0~2%、及び/又はNa2O:1.5~4%、及び/又はSrO:0~1%、及び/又はTiO2:0~1%、及び/又はBaO:0~1%、及び/又はCaO:0~1%、及び/又はLn2O3:0~3%、及び/又は清澄剤:0~0.5%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0020】
(13) 各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす、(1)~(12)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品:
1) Y2O3/ZrO2は0.2~0.6;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は4.0~21.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.19~0.5;
4) Na2O/Y2O3は0.3~2.0;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)は0.03~0.09。
【0021】
(14) 前記成分がSrOを含まない、及び/又はBaOを含まない、及び/又はCaOを含まない、及び/又はZnOを含まない、及び/又はPbOを含まない、及び/又はAs2O3を含まない、及び/又はTiO2を含まない、及び/又はB2O3を含まない、及び/又はLn2O3を含まない、及び/又はFを含まない、及び/又はTa2O5を含まない、(1)~(13)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0022】
(15) 前記微結晶ガラス製品の結晶相が一ケイ酸リチウム、及び/又はリン酸リチウムを含む、(1)~(14)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0023】
(16) 前記微結晶ガラス製品の結晶相が主に一ケイ酸リチウムを含み、一ケイ酸リチウムの重量%が他の結晶相よりも高く、一ケイ酸リチウムが微結晶ガラス製品の10%~63.5%、好ましくは15~55%を占める、(1)~(15)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0024】
(17) 前記微結晶ガラス製品がリン酸リチウム結晶相を含み、微結晶ガラス製品に占めるリン酸リチウム結晶相の重量%が3~15%、好ましくは5~12%である、(1)~(16)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0025】
(18) 前記微結晶ガラス製品の表面応力が600MPa以上、好ましくは650MPa以上、より好ましくは700MPa以上である、(1)~(17)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0026】
(19) 前記微結晶ガラス製品の4点曲げ強度が600MPa以上、好ましくは650MPa以上、より好ましくは700MPa以上である、(1)~(18)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0027】
(20) 前記微結晶ガラス製品のイオン交換層深さが20μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上である、(1)~(19)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0028】
(21) 前記微結晶ガラス製品の落球試験高さが1300mm以上、好ましくは1400mm以上、より好ましくは1500mm以上である、(1)~(20)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0029】
(22) 前記微結晶ガラス製品の破断靭性が1MPa・m1/2以上、好ましくは1.1MPa・m1/2以上、より好ましくは1.2MPa・m1/2以上である、(1)~(21)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0030】
(23) 前記微結晶ガラス製品のビッカース硬度が700kgf/mm 2以上、好ましくは720kgf/mm 2以上、より好ましくは730kgf/mm 2以上である、(1)~(22)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0031】
(24) 前記微結晶ガラス製品の結晶度が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である、(1)~(23)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0032】
(25) 前記微結晶ガラス製品の結晶粒径が50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下である、(1)~(24)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0033】
(26) 厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の曇り度が0.15%以下、好ましくは0.12%以下、より好ましくは0.1%以下である、(1)~(15)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0034】
(27) 厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の400~800nm波長の平均透過率が89%以上である、(1)~(26)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0035】
(28) 厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の550nm波長の透過率が91%以上である、(1)~(27)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0036】
(29) 厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の400~800nmの平均光|B|値が0.6以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.5以下である、(1)~(28)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0037】
(30) 前記微結晶ガラス製品の厚さが0.2~1mm、好ましくは0.3~0.9mm、より好ましくは0.5~0.8mm、さらに好ましくは0.55mmまたは0.6 mmまたは0.68mmまたは0.72mmまたは0.75mmである、(26)~(29)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0038】
(31) 前記微結晶ガラス製品が着色剤を含む、(1)~(7)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0039】
(32) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(31)に記載の微結晶ガラス製品: NiO:0~4%、及び/又はNi2O3:0~4%、及び/又はCoO:0~2%、及び/又はCo2O3:0~2%、及び/又はFe2O3:0~7%、及び/又はMnO2:0~4%、及び/又はEr2O3:0~8%、及び/又はNd2O3 :0~8%、及び/又はCu2O:0~4%、及び/又はPr2O3:0~8%、及び/又はCeO2 :0~4%。
【0040】
(33) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(31)又は(32)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品: NiO:0.1~4%、及び/又はNi2O3:0.1~4%、及び/又はCoO:0.05~2%、及び/又はCo2O3:0.05~2%、及び/又はFe2O3:0.2~7%、及び/又はMnO2:0.1~4%、及び/又はEr2O3:0.4~8%、及び/又はNd2O3 :0.4~8%、及び/又はCu2O:0.5~4%、及び/又はPr2O3:0.4~8%、及び/又はCeO2 :0.5~4%。
【0041】
(34) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(31)又は(32)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品: NiO:0.1~3%、及び/又はNi2O3:0.1~3%、及び/又はCoO:0.05~1.8%、及び/又はCo2O3:0.05~1.8%、及び/又はFe2O3:0.2~5%、及び/又はMnO2:0.1~3%、及び/又はEr2O3:0.4~6%、及び/又はNd2O3:0.4~6%、及び/又はCu2O:0.5~3%、及び/又はPr2O3:0.4~6%、及び/又はCeO2:0.5~3%。
【0042】
(35) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(31)又は(32)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品: NiO:0.1~3%、及び/又はNi2O3:0.1~3%。
【0043】
(36) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(31)又は(32)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品: CoO:0.05~1.8%、及び/又はCo2O3:0.05~1.8%。
【0044】
(37) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(31)又は(32)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品: Cu2O:0.5~3%、及び/又はCeO2:0.5~3%。
【0045】
(38) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(31)又は(32)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品: Fe2O3:0.2~5%、CoO:0.05~0.3%、又はFe2O3:0.2~5%、Co2O3:0.05~0.3%、又はFe2O3:0.2~5%、CoO:0.05~0.3%、NiO:0.1~1%、又はFe2O3:0.2~5%、Co2O3:0.05~0.3%、NiO:0.1~1%。
【0046】
(39) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(31)又は(32)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品: Pr2O3:0.4~6%、又はFe2O3:0.2~5%、又はMnO2:0.1~3%、又はEr2O3:0.4~6%、又はNd2O3:0.4~6%。
【0047】
(40) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(31)又は(32)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品: Er2O3:0.4~6%、Nd2O3:0.4~4%、MnO2:0.1~2%。
【0048】
本発明はまた、優れた機械的性能と光学的性能を有する微結晶ガラスを提供する。
【0049】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は次のとおりである。
【0050】
(41) 重量%で以下の成分を含む、微結晶ガラス: SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3 :0超8%以下。
【0051】
(42) 重量%で以下の成分をさらに含む、(41)に記載の微結晶ガラス: K2O:0~5%、及び/又はMgO:0~2%、及び/又はZnO:0~2%、及び/又はNa2O:0~6%、及び/又はSrO:0~5%、及び/又はBaO:0~5%、及び/又はTiO2:0~5%、及び/又はCaO:0~5%、及び/又はB2O3:0~5%、及び/又はLn2O3:0~5%、及び/又は清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0052】
(43) SiO2、Al2O3、Li2O、ZrO2、P2O5及びY2O3を含む微結晶ガラスであり、前記微結晶ガラスの結晶相が一ケイ酸リチウムを含み、この一ケイ酸リチウムの重量%が他の結晶相よりも高い。
【0053】
(44) SiO2、Al2O3、Li2O、ZrO2及びP2O5を含む微結晶ガラスであり、厚さ1mm以下の微結晶ガラス400~800nmの平均光|B|値が0.6以下である。
【0054】
(45) 一ケイ酸リチウム結晶相を含有する微結晶ガラスであり、前記微結晶ガラスの落球試験高さは1000mm以上である。
【0055】
(46) 重量%で以下の成分を含む、(43)~(45)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス:SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%であり、Y2O3 :0超8%以下である。
【0056】
(47) 重量%で以下の成分をさらに含む、(43)~(46)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス: K2O:0~5%、及び/又はMgO:0~2%、及び/又はZnO:0~2%、及び/又はNa2O:0~6%、及び/又はSrO:0~5%、及び/又はBaO:0~5%、及び/又はCaO:0~5%、及び/又はTiO2:0~5%、及び/又はB2O3:0~5%、及び/又はLn2O3:0~5%、及び/又は清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0057】
(48) 重量%で以下の成分からなる、微結晶ガラス: SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3 :0超8%以下、K2O:0~5%、MgO:0~2%、ZnO:0~2%、Na2O:0~6%、SrO:0~5%、BaO:0~5%、CaO:0~5%、TiO2:0~5%、B2O3:0~5%、Ln2O3:0~5%、清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0058】
(49) その成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす、(41)~(48)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス:
1) Y2O3/ZrO2が0超である。
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は2.5~50.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.16~0.9;
4) Na2O/Y2O3が6.0以下であり;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0超0.15以下である。
【0059】
(50) 重量%で以下の成分を含む、(41)~(49)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス: SiO2:50~65%、及び/又はAl2O3:8~15%、及び/又はLi2O:13~22%、及び/又はZrO2:6~12%、及び/又はP2O5:3.5~9%、及び/又はK2O:0~4%、及び/又はMgO:0~1%、及び/又はZnO:0~1%、及び/又はNa2O:1~5%、及び/又はY2O3 :1~7%、及び/又はSrO:0~3%、及び/又はTiO2:0~3%、及び/又はBaO:0~3%、及び/又はCaO:0~3%、及び/又はB2O3:0~3%、及び/又はLn2O3:0~4%、及び/又は清澄剤:0~1%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0060】
(51) その成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす、(41)~(50)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス:
1) Y2O3/ZrO2は0.1~1.0;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は3.0~40.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.18~0.6;
4) Na2O/Y2O3は0.1~5.0;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)は0.01~0.12。
【0061】
(52) 重量%で以下の成分を含む、(41)~(51)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス: SiO2:53~63%、及び/又はAl2O3:8~12%、及び/又はLi2O:14~21%、及び/又はZrO2:7~12%、及び/又はP2O5:4~8%、及び/又はK2O:0~2%、及び/又はY2O3:2~6%、及び/又はB2O3:0~2%、及び/又はNa2O:1.5~4%、及び/又はSrO:0~1%、及び/又はTiO2:0~1%、及び/又はBaO:0~1%、及び/又はCaO:0~1%、及び/又はLn2O3:0~3%、及び/又は清澄剤:0~0.5%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0062】
(53) その成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす、(41)~(52)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス:
1) Y2O3/ZrO2は0.2~0.6;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は4.0~21.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.19~0.5;
4) Na2O/Y2O3は0.3~2.0;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)は0.03~0.09。
【0063】
(54) 前記成分がSrOを含まない、及び/又はBaOを含まない、及び/又はCaOを含まない、及び/又はZnOを含まない、及び/又はPbOを含まない、及び/又はAs2O3を含まない、及び/又はTiO2を含まない、及び/又はB2O3を含まない、及び/又はLn2O3を含まない、及び/又はFを含まない、及び/又はTa2O5を含まない、(41)~(53)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0064】
(55) 前記微結晶ガラスの結晶相が一ケイ酸リチウム、及び/又はリン酸リチウムを含む、(41)~(54)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0065】
(56) 前記微結晶ガラス製品の結晶相が主に一ケイ酸リチウムを含み、一ケイ酸リチウムの重量%が他の結晶相よりも高く、一ケイ酸リチウムが微結晶ガラスの10%~63.5%、好ましくは15~55%を占める、(41)~(55)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0066】
(57) 前記微結晶ガラスの結晶相がリン酸リチウム結晶相を含み、微結晶ガラスに占めるリン酸リチウム結晶相の重量%が3~15%、好ましくは5~12%である、(41)~(56)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0067】
(58) 前記微結晶ガラスの結晶度が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である、(41)~(57)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0068】
(59) 前記微結晶ガラスの結晶粒径が50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下である、(41)~(58)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0069】
(60) 前記微結晶ガラスの熱膨張係数が75~95×10-7/Kである、(41)~(59)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0070】
(61) 前記微結晶ガラスの屈折率が1.5700~1.5800である、(41)~(60)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0071】
(62) 前記微結晶ガラスの本体落球試験高さが1000mm以上、好ましくは1100mm以上、より好ましくは1200mm以上である、(41)~(61)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0072】
(63) 前記微結晶ガラスのビッカース硬度が650kgf/mm2以上、好ましくは680 kgf/mm 2以上、より好ましくは700kgf/mm 2以上である、(41)~(62)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0073】
(64) 厚さ1mm以下の微結晶ガラスの曇り度が0.15%以下、好ましくは0.12%以下、より好ましくは0.1%以下である、(41)~(63)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0074】
(65) 厚さ1mm以下の微結晶ガラスの400~800nm波長の平均透過率が89%以上である、(41)~(64)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0075】
(66) 厚さ1mm以下の微結晶ガラスの550nm波長の透過率が91%以上である、(41)~(65)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0076】
(67) 厚さ1mm以下の微結晶ガラスの400~800nmの平均光|B|値が0.6以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.5以下である、(41)~(66)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品。
【0077】
(68) 前記微結晶ガラスの厚さは0.2~1mm、好ましくは0.3~0.9mm、より好ましくは0.5~0.8mm、さらに好ましくは0.55mmまたは0.6 mmまたは0.68mmまたは0.72mmまたは0.75mmである、(64)~(67)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0078】
(69) 前記微結晶ガラスが着色剤を含む、(41)~(47)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス。
【0079】
(70) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(69)に記載の微結晶ガラス:NiO:0~4%、及び/又はNi2O3:0~4%、及び/又はCoO:0~2%、及び/又はCo2O3:0~2%、及び/又はFe2O3:0~7%、及び/又はMnO2:0~4%、及び/又はEr2O3:0~8%、及び/又はNd2O3:0~8%、及び/又はCu2O:0~4%、及び/又はPr2O3:0~8%、及び/又はCeO2:0~4%。
【0080】
(71) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(69)又は(70)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス: NiO:0.1~4%、及び/又はNi2O3:0.1~4%、及び/又はCoO:0.05~2%、及び/又はCo2O3:0.05~2%、及び/又はFe2O3:0.2~7%、及び/又はMnO2:0.1~4%、及び/又はEr2O3:0.4~8%、及び/又はNd2O3 :0.4~8%、及び/又はCu2O:0.5~4%、及び/又はPr2O3:0.4~8%、及び/又はCeO2 :0.5~4%。
【0081】
(72) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(69)又は(70)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス: NiO:0.1~3%、及び/又はNi2O3:0.1~3%、及び/又はCoO:0.05~1.8%、及び/又はCo2O3:0.05~1.8%、及び/又はFe2O3:0.2~5%、及び/又はMnO2:0.1~3%、及び/又はEr2O3:0.4~6%、及び/又はNd2O3:0.4~6%、及び/又はCu2O:0.5~3%、及び/又はPr2O3:0.4~6%、及び/又はCeO2:0.5~3%。
【0082】
(73) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(69)又は(70)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス: NiO:0.1~3%、及び/又はNi2O3:0.1~3%。
【0083】
(74) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(69)又は(70)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス:CoO:0.05~1.8%、及び/又はCo2O3:0.05~1.8%。
【0084】
(75) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(69)又は(70)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス: Cu2O:0.5~3%、及び/又はCeO2:0.5~3%。
【0085】
(76) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(69)又は(70)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス: Fe2O3:0.2~5%、CoO:0.05~0.3%、又はFe2O3:0.2~5%、Co2O3:0.05~0.3%、又はFe2O3:0.2~5%、CoO:0.05~0.3%、NiO:0.1~1%、又はFe2O3:0.2~5%、Co2O3:0.05~0.3%、NiO:0.1~1%。
【0086】
(77) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(69)又は(70)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス:Pr2O3:0.4~6%、又はFe2O3:0.2~5%、又はMnO2:0.1~3%、又はEr2O3:0.4~6%、又はNd2O3:0.4~6%。
【0087】
(78) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(69)又は(70)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス:Er2O3:0.4~6%、Nd2O3:0.4~4%、MnO2:0.1~2%。
【0088】
本発明はまた、マトリックスガラスを提供する。
【0089】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は次のとおりである。
【0090】
(79) 重量%で以下の成分を含む、マトリックスガラス: SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3 :0超8%以下。
【0091】
(80) 重量%で以下の成分をさらに含む、(79)に記載のマトリックスガラス: K2O:0~5%、及び/又はMgO:0~2%、及び/又はZnO:0~2%、及び/又はNa2O:0~6%、及び/又はSrO:0~5%、及び/又はBaO:0~5%、及び/又はCaO:0~5%、及び/又はTiO2:0~5%、及び/又はB2O3:0~5%、及び/又はLn2O3:0~5%、及び/又は清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0092】
(81) 重量%で以下の成分からなる、マトリックスガラス: SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3 :0超8%以下、K2O:0~5%、MgO:0~2%、ZnO:0~2%、Na2O:0~6%、SrO:0~5%、BaO:0~5%、CaO:0~5%、TiO2:0~5%、B2O3:0~5%、Ln2O3:0~5%、清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0093】
(82) その成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす、(79)~(81)のいずれか一つに記載のマトリックスガラス:
1) Y2O3/ZrO2が0超である。
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は2.5~50.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.16~0.9;
4) Na2O/Y2O3が6.0以下であり;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0超0.15以下である。
(83) 重量%で以下の成分を含む、(79)~(82)のいずれか一つに記載のマトリックスガラス: SiO2:50~65%、及び/又はAl2O3:8~15%、及び/又はLi2O:13~22%、及び/又はZrO2:6~12%、及び/又はP2O5:3.5~9%、及び/又はK2O:0~4%、及び/又はMgO:0~1%、及び/又はZnO:0~1%、及び/又はNa2O:1~5%、及び/又はY2O3 :1~7%、及び/又はSrO:0~3%、及び/又はTiO2:0~3%、及び/又はBaO:0~3%、及び/又はCaO:0~3%、及び/又はB2O3:0~3%、及び/又はLn2O3:0~4%、及び/又は清澄剤:0~1%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0094】
(84) その成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす、(79)~(83)のいずれか一つに記載のマトリックスガラス:
1) Y2O3/ZrO2は0.1~1.0;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は3.0~40.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.18~0.6;
4) Na2O/Y2O3は0.1~5.0;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)は0.01~0.12。
【0095】
(85) 重量%で以下の成分を含む、(79)~(84)のいずれか一つに記載のマトリックスガラス: SiO2:53~63%、及び/又はAl2O3:8~12%、及び/又はLi2O:14~21%、及び/又はZrO2:7~12%、及び/又はP2O5:4~8%、及び/又はK2O:0~2%、及び/又はY2O3:2~6%、及び/又はB2O3:0~2%、及び/又はNa2O:1.5~4%、及び/又はSrO:0~1%、及び/又はTiO2:0~1%、及び/又はBaO:0~1%、及び/又はCaO:0~1%、及び/又はLn2O3:0~3%、及び/又は清澄剤:0~0.5%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0096】
(86) その成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす、(79)~(85)のいずれか一つに記載のマトリックスガラス:
1) Y2O3/ZrO2は0.2~0.6;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は4.0~21.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.19~0.5;
4) Na2O/Y2O3は0.3~2.0;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)は0.03~0.09。
【0097】
(87) 前記成分がSrOを含まない、及び/又はBaOを含まない、及び/又はCaOを含まない、及び/又はZnOを含まない、及び/又はPbOを含まない、及び/又はAs2O3を含まない、及び/又はTiO2を含まない、及び/又はB2O3を含まない、及び/又はLn2O3を含まない、及び/又はFを含まない、及び/又はTa2O5を含まない、(79)~(86)のいずれか一つに記載のマトリックスガラス。
【0098】
(88) 前記マトリックスガラスの熱膨張係数が50×10-7/K~70×10-7/Kである、(79)~(87)のいずれか一つに記載のマトリックスガラス。
【0099】
(89) 前記マトリックスガラスの屈折率が1.5600~1.5700である、(79)~(88)のいずれか一つに記載のマトリックスガラス。
【0100】
(90) 前記マトリックスガラスが着色剤を含む、(79)~(80)のいずれか一つに記載のマトリックスガラス。
【0101】
(91) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(90)に記載のマトリックスガラス: NiO:0~4%、及び/又はNi2O3:0~4%、及び/又はCoO:0~2%、及び/又はCo2O3:0~2%、及び/又はFe2O3:0~7%、及び/又はMnO2:0~4%、及び/又はEr2O3:0~8%、及び/又はNd2O3:0~8%、及び/又はCu2O:0~4%、及び/又はPr2O3:0~8%、及び/又はCeO2:0~4%。
【0102】
(92) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(90)又は(91)に記載のマトリックスガラス: NiO:0.1~4%、及び/又はNi2O3:0.1~4%、及び/又はCoO:0.05~2%、及び/又はCo2O3:0.05~2%、及び/又はFe2O3:0.2~7%、及び/又はMnO2:0.1~4%、及び/又はEr2O3:0.4~8%、及び/又はNd2O3 :0.4~8%、及び/又はCu2O:0.5~4%、及び/又はPr2O3:0.4~8%、及び/又はCeO2 :0.5~4%。
【0103】
(93) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(90)又は(91)に記載のマトリックスガラス:NiO:0.1~3%、及び/又はNi2O3:0.1~3%、及び/又はCoO:0.05~1.8%、及び/又はCo2O3:0.05~1.8%、及び/又はFe2O3:0.2~5%、及び/又はMnO2:0.1~3%、及び/又はEr2O3:0.4~6%、及び/又はNd2O3:0.4~6%、及び/又はCu2O:0.5~3%、及び/又はPr2O3:0.4~6%、及び/又はCeO2:0.5~3%。
【0104】
(94) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(90)又は(91)に記載のマトリックスガラス: NiO:0.1~3%、及び/又はNi2O3:0.1~3%。
【0105】
(95) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(90)又は(91)に記載のマトリックスガラス:CoO:0.05~1.8%、及び/又はCo2O3:0.05~1.8%。
【0106】
(96) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(90)又は(91)に記載のマトリックスガラス:Cu2O:0.5~3%、及び/又はCeO2:0.5~3%。
【0107】
(97) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(90)又は(91)に記載のマトリックスガラス:Fe2O3:0.2~5%、CoO:0.05~0.3%、又はFe2O3:0.2~5%、Co2O3:0.05~0.3%、又はFe2O3:0.2~5%、CoO:0.05~0.3%、NiO:0.1~1%、又はFe2O3:0.2~5%、Co2O3:0.05~0.3%、NiO:0.1~1%。
【0108】
(98) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(90)又は(91)に記載のマトリックスガラス: Pr2O3:0.4~6%、又はFe2O3:0.2~5%、又はMnO2:0.1~3%、又はEr2O3:0.4~6%、又はNd2O3:0.4~6%。
【0109】
(99) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(90)又は(91)に記載のマトリックスガラス: Er2O3:0.4~6%、Nd2O3:0.4~4%、MnO2:0.1~2%。
【0110】
本発明はまた、ガラス蓋板を提供する。
【0111】
(100) (1)~(40)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品、及び/又は(41)~(78)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス、及び/又は(79)~(99)のいずれか一つに記載のマトリックスガラスを含む、ガラス蓋板。
【0112】
本発明はまた、ガラス素子を提供する。
【0113】
(101) (1)~(40)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品、及び/又は(41)~(78)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス、及び/又は(79)~(99)のいずれか一つに記載のマトリックスガラスを含む、ガラス素子。
【0114】
本発明はまた、表示装置を提供する。
【0115】
(102) (1)~(40)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品、及び/又は(41)~(78)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス、及び/又は(79)~(99)のいずれか一つに記載のマトリックスガラス、及び/又は(100)に記載のガラス蓋板、及び/又は(101)に記載のガラス素子を含む、表示装置。
【0116】
本発明はまた、電子機器を提供する。
【0117】
(103) (1)~(40)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品、及び/又は(41)~(78)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス、及び/又は(79)~(99)のいずれか一つに記載のマトリックスガラス、及び/又は(100)に記載のガラス蓋板、及び/又は(101)に記載のガラス素子を含む、電子機器。
【0118】
本発明はまた、微結晶ガラス製品の製造方法を提供する。
【0119】
(104) 微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記方法は以下のステップを含む:
マトリックスガラスを形成し、前記マトリックスガラスは重量%で以下の成分を含む: SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3 :0超8%以下。
前記マトリックスガラスに対して結晶化工程により微結晶ガラスを形成し、さらに前記微結晶ガラスに対して化学強化工程により微結晶ガラス製品を形成する。
【0120】
(105) (104)に記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記マトリックスガラスは重量%で以下の成分をさらに含む: K2O:0~5%、及び/又はMgO:0~2%、及び/又はZnO:0~2%、及び/又はNa2O:0~6%、及び/又はSrO:0~5%、及び/又はTiO2:0~5%、及び/又はBaO:0~5%、及び/又はCaO:0~5%、及び/又はB2O3:0~5%、及び/又はLn2O3:0~5%、及び/又は清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0121】
(106) 微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記方法は以下のステップを含む:
マトリックスガラスを形成し、前記マトリックスガラスは重量%で以下の成分からなる: SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3 :0超8%以下、K2O:0~5%、MgO:0~2%、ZnO:0~2%、Na2O:0~6%、SrO:0~5%、TiO2:0~5%、BaO:0~5%、CaO:0~5%、B2O3:0~5%、Ln2O3:0~5%、清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
前記マトリックスガラスに対して結晶化工程により微結晶ガラスを形成し、さらに前記微結晶ガラスに対して化学強化工程により微結晶ガラス製品を形成する。
【0122】
(107) (104)~(106)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記マトリックスガラスの成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす:
1) Y2O3/ZrO2が0超である。
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は2.5~50.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.16~0.9;
4) Na2O/Y2O3が6.0以下であり;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0超0.15以下である。
【0123】
(108) (104)~(107)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記マトリックスガラスは重量%で以下の成分を含む: SiO2:50~65%、及び/又はAl2O3:8~15%、及び/又はLi2O:13~22%、及び/又はZrO2:6~12%、及び/又はP2O5:3.5~9%、及び/又はK2O:0~4%、及び/又はMgO:0~1%、及び/又はZnO:0~1%、及び/又はNa2O:1~5%、及び/又はY2O3 :1~7%、及び/又はSrO:0~3%、及び/又はTiO2:0~3%、及び/又はBaO:0~3%、及び/又はCaO:0~3%、及び/又はB2O3:0~3%、及び/又はLn2O3:0~4%、及び/又は清澄剤:0~1%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0124】
(109) (104)~(108)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記マトリックスガラスの成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす:
1) Y2O3/ZrO2は0.1~1.0;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は3.0~40.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.18~0.6;
4) Na2O/Y2O3は0.1~5.0;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)は0.01~0.12。
【0125】
(110) (104)~(109)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記マトリックスガラスは重量%で以下の成分を含む: SiO2:53~63%、及び/又はAl2O3:8~12%、及び/又はLi2O:14~21%、及び/又はZrO2:7~12%、及び/又はP2O5:4~8%、及び/又はK2O:0~2%、及び/又はY2O3:2~6%、及び/又はB2O3:0~2%、及び/又はNa2O:1.5~4%、及び/又はSrO:0~1%、及び/又はTiO2:0~1%、及び/又はBaO:0~1%、及び/又はCaO:0~1%、及び/又はLn2O3:0~3%、及び/又は清澄剤:0~0.5%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0126】
(111) (104)~(110)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記マトリックスガラスの成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす:
1) Y2O3/ZrO2は0.2~0.6;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は4.0~21.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.19~0.5;
4) Na2O/Y2O3は0.3~2.0;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)は0.03~0.09。
【0127】
(112) (104)~(111)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記マトリックスガラスの成分がSrOを含まない、及び/又はBaOを含まない、及び/又はCaOを含まない、及び/又はZnOを含まない、及び/又はPbOを含まない、及び/又はAs2O3を含まない、及び/又はTiO2を含まない、及び/又はB2O3を含まない、及び/又はLn2O3を含まない、及び/又はFを含まない、及び/又はTa2O5を含まない。
【0128】
(113) 前記マトリックスガラスが着色剤を含む、(104)~(105)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法。
【0129】
(114) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(113)に記載の微結晶ガラスの製造方法: NiO:0~4%、及び/又はNi2O3:0~4%、及び/又はCoO:0~2%、及び/又はCo2O3:0~2%、及び/又はFe2O3:0~7%、及び/又はMnO2:0~4%、及び/又はEr2O3:0~8%、及び/又はNd2O3 :0~8%、及び/又はCu2O:0~4%、及び/又はPr2O3:0~8%、及び/又はCeO2 :0~4%。
【0130】
(115) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(113)又は(114)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法: NiO:0.1~4%、及び/又はNi2O3:0.1~4%、及び/又はCoO:0.05~2%、及び/又はCo2O3:0.05~2%、及び/又はFe2O3:0.2~7%、及び/又はMnO2:0.1~4%、及び/又はEr2O3:0.4~8%、及び/又はNd2O3 :0.4~8%、及び/又はCu2O:0.5~4%、及び/又はPr2O3:0.4~8%、及び/又はCeO2 :0.5~4%。
【0131】
(116) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(113)又は(114)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法: NiO:0.1~3%、及び/又はNi2O3:0.1~3%、及び/又はCoO:0.05~1.8%、及び/又はCo2O3:0.05~1.8%、及び/又はFe2O3:0.2~5%、及び/又はMnO2:0.1~3%、及び/又はEr2O3:0.4~6%、及び/又はNd2O3:0.4~6%、及び/又はCu2O:0.5~3%、及び/又はPr2O3:0.4~6%、及び/又はCeO2:0.5~3%。
【0132】
(117) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(113)又は(114)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法: NiO:0.1~3%、及び/又はNi2O3:0.1~3%。
【0133】
(118) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(113)又は(114)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法: CoO:0.05~1.8%、及び/又はCo2O3:0.05~1.8%。
【0134】
(119) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(113)又は(114)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法: Cu2O:0.5~3%、及び/又はCeO2:0.5~3%。
【0135】
(120) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(113)又は(114)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法: Fe2O3:0.2~5%、CoO:0.05~0.3%、又はFe2O3:0.2~5%、Co2O3:0.05~0.3%、又はFe2O3:0.2~5%、CoO:0.05~0.3%、NiO:0.1~1%、又はFe2O3:0.2~5%、Co2O3:0.05~0.3%、NiO:0.1~1%。
【0136】
(121) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(113)又は(114)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法: Pr2O3:0.4~6%、又はFe2O3:0.2~5%、又はMnO2:0.1~3%、又はEr2O3:0.4~6%、又はNd2O3:0.4~6%。
【0137】
(122) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(113)又は(114)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法: Er2O3:0.4~6%、Nd2O3:0.4~4%、MnO2:0.1~2%。
【0138】
(123) (104)~(122)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記結晶化工程は以下のステップを含む:所定の結晶化処理温度に昇温し、結晶化処理温度になった後、その温度を一定の時間保持し、その後に温度を下げる。この結晶化処理温度が600~750℃、好ましくは650~700℃、結晶化処理温度の保持時間が0~8時間、好ましくは1~6時間である。
【0139】
(124) (104)~(122)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記結晶化工程は以下のステップを含む:第1温度で核形成工程の処理を行い、その後、核形成工程の温度よりも高い第2温度で結晶成長工程の処理を行う。
【0140】
(125) (124)に記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記結晶化工程は以下のステップを含む:第1温度が470~630℃、第2温度が650~750℃、第1の温度での保持時間が0~24時間、好ましくは2~15時間、第2温度での保持時間が0~10時間、好ましくは0.5~6時間である。
【0141】
(126) (104)~(125)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記化学強化工程は以下のステップを含む:微結晶ガラスを430℃~470℃温度のNa塩を溶融した塩浴に6~20時間浸漬し、温度範囲は好ましくは435℃~460℃、時間範囲は好ましくは8~13時間、及び/又は微結晶ガラスを400℃~450℃温度のK塩を溶融した塩浴に1~8時間浸漬し、時間範囲は好ましくは2~4時間である。
【0142】
(127) (104)~(126)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品の結晶相が一ケイ酸リチウム、及び/又はリン酸リチウムを含む。
【0143】
(128) (104)~(127)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品の結晶相が主に一ケイ酸リチウムを含み、一ケイ酸リチウムの重量%が他の結晶相よりも高く、一ケイ酸リチウムが微結晶ガラス製品の10%~63.5%、好ましくは15~55%を占める。
【0144】
(129) (104)~(128)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品がリン酸リチウム結晶相を含み、微結晶ガラス製品に占めるリン酸リチウム結晶相の重量%が3~15%、好ましくは5~12%である。
【0145】
(130) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品の表面応力が600MPa以上、好ましくは650MPa以上、より好ましくは700MPa以上である。
【0146】
(131) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品の4点曲げ強度が600 MPa以上、好ましくは650 MPa以上、より好ましくは700 MPa以上である。
【0147】
(132) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品のイオン交換層深さが20μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上である。
【0148】
(133) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品の落球試験高さが1300 mm以上、好ましくは1400 mm以上、より好ましくは1500 mm以上である。
【0149】
(134) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品の破断靭性が1 MPa・m 1/2以上、好ましくは1.1 MPa・m 1/2以上、より好ましくは1.2 MPa・m 1/2以上である。
【0150】
(135) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品のビッカース硬度が700 kgf/mm 2以上、好ましくは720 kgf/mm 2以上、より好ましくは730 kgf/mm 2以上である。
【0151】
(136) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品の結晶度が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
【0152】
(137) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品の結晶粒径が50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下である。
【0153】
(138) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の曇り度が0.15%以下、好ましくは0.12%以下、より好ましくは0.1%以下である。
【0154】
(139) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の400~800nm波長の平均透過率が89%以上である。
【0155】
(140) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の550nm波長の透過率が91%以上である。
【0156】
(141) (104)~(112)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の400~800nmの平均光|B|値が0.6以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.5以下である。
【0157】
(142) (138)~(141)のいずれか一つに記載の微結晶ガラス製品の製造方法であって、前記微結晶ガラス製品の厚さが0.2~1mm、好ましくは0.3~0.9mm、より好ましくは0.5~0.8mm、さらに好ましくは0.55mmまたは0.6 mmまたは0.68mmまたは0.72mmまたは0.75mmである。
【0158】
本発明はまた、微結晶ガラスの製造方法を提供する。
【0159】
(143) 微結晶ガラスの製造方法であって、前記方法が以下のステップを含む。
マトリックスガラスを形成し、前記マトリックスガラスは重量%で以下の成分を含む: SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3 :0超8%以下。
結晶化工程により前記マトリックスガラスを微結晶ガラスに加工する。
【0160】
(144) (143)に記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記マトリックスガラスは重量%で以下の成分をさらに含む: K2O:0~5%、及び/又はMgO:0~2%、及び/又はZnO:0~2%、及び/又はNa2O:0~6%、及び/又はSrO:0~5%、及び/又はTiO2:0~5%、及び/又はBaO:0~5%、及び/又はCaO:0~5%、及び/又はB2O3:0~5%、及び/又はLn2O3:0~5%、及び/又は清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0161】
(145) 微結晶ガラスの製造方法であって、前記方法が以下のステップを含む。
マトリックスガラスを形成し、前記マトリックスガラスは重量%で以下の成分からなる: SiO2:45~70%、Al2O3:8~18%、Li2O:10~25%、ZrO2:5~15%、P2O5:2~10%、Y2O3 :0超8%以下、K2O:0~5%、MgO:0~2%、ZnO:0~2%、Na2O:0~6%、SrO:0~5%、TiO2:0~5%、BaO:0~5%、CaO:0~5%、B2O3:0~5%、Ln2O3:0~5%、清澄剤:0~2%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
結晶化工程により前記マトリックスガラスを微結晶ガラスに加工する。
【0162】
(146) (143)~(145)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記マトリックスガラスの成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす:
1) Y2O3/ZrO2が0超である。
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は2.5~50.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.16~0.9;
4) Na2O/Y2O3が6.0以下であり;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)が0超0.15以下である。
【0163】
(147) (143)~(146)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記マトリックスガラスは重量%で以下の成分を含む: SiO2:50~65%、及び/又はAl2O3:8~15%、及び/又はLi2O:13~22%、及び/又はZrO2:6~12%、及び/又はP2O5:3.5~9%、及び/又はK2O:0~4%、及び/又はMgO:0~1%、及び/又はZnO:0~1%、及び/又はNa2O:1~5%、及び/又はY2O3 :1~7%、及び/又はSrO:0~3%、及び/又はTiO2:0~3%、及び/又はBaO:0~3%、及び/又はCaO:0~3%、及び/又はB2O3:0~3%、及び/又はLn2O3:0~4%、及び/又は清澄剤:0~1%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0164】
(148) (143)~(147)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記マトリックスガラスの成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす:
1) Y2O3/ZrO2は0.1~1.0;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は3.0~40.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.18~0.6;
4) Na2O/Y2O3は0.1~5.0;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)は0.01~0.12。
【0165】
(149) (143)~(148)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記マトリックスガラスは重量%で以下の成分を含む: SiO2:53~63%、及び/又はAl2O3:8~12%、及び/又はLi2O:14~21%、及び/又はZrO2:7~12%、及び/又はP2O5:4~8%、及び/又はK2O:0~2%、及び/又はY2O3:2~6%、及び/又はB2O3:0~2%、及び/又はNa2O:1.5~4%、及び/又はSrO:0~1%、及び/又はTiO2:0~1%、及び/又はBaO:0~1%、及び/又はCaO:0~1%、及び/又はLn2O3:0~3%、及び/又は清澄剤:0~0.5%であり、前記Ln2O3がLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の一種または複数種であり、清澄剤がSb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種である。
【0166】
(150) (143)~(149)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記マトリックスガラスの成分が重量%で表し、各成分の含有量が以下の5つの状況の1つ以上を満たす:
1) Y2O3/ZrO2は0.2~0.6;
2) (Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3は4.0~21.0;
3) Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)は0.19~0.5;
4) Na2O/Y2O3は0.3~2.0;
5) Y2O3/(Al2O3+SiO2)は0.03~0.09。
【0167】
(151) (143)~(150)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記マトリックスガラスの成分がSrOを含まない、及び/又はBaOを含まない、及び/又はCaOを含まない、及び/又はZnOを含まない、及び/又はPbOを含まない、及び/又はAs2O3を含まない、及び/又はTiO2を含まない、及び/又はB2O3を含まない、及び/又はLn2O3を含まない、及び/又はFを含まない、及び/又はTa2O5を含まない。
【0168】
(152) (143)~(144)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記マトリックスガラスが着色剤を含む。
【0169】
(153) (152)に記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記着色剤が重量%で以下の成分を含む: NiO:0~4%、及び/又はNi2O3:0~4%、及び/又はCoO:0~2%、及び/又はCo2O3:0~2%、及び/又はFe2O3:0~7%、及び/又はMnO2:0~4%、及び/又はEr2O3:0~8%、及び/又はNd2O3 :0~8%、及び/又はCu2O:0~4%、及び/又はPr2O3:0~8%、及び/又はCeO2 :0~4%。
【0170】
(154) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(152)又は(153)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法: NiO:0.1~4%、及び/又はNi2O3:0.1~4%、及び/又はCoO:0.05~2%、及び/又はCo2O3:0.05~2%、及び/又はFe2O3:0.2~7%、及び/又はMnO2:0.1~4%、及び/又はEr2O3:0.4~8%、及び/又はNd2O3 :0.4~8%、及び/又はCu2O:0.5~4%、及び/又はPr2O3:0.4~8%、及び/又はCeO2 :0.5~4%。
【0171】
(155) 前記着色剤が重量%で以下の成分を含む、(152)又は(153)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法: NiO:0.1~3%、及び/又はNi2O3:0.1~3%、及び/又はCoO:0.05~1.8%、及び/又はCo2O3:0.05~1.8%、及び/又はFe2O3:0.2~5%、及び/又はMnO2:0.1~3%、及び/又はEr2O3:0.4~6%、及び/又はNd2O3:0.4~6%、及び/又はCu2O:0.5~3%、及び/又はPr2O3:0.4~6%、及び/又はCeO2:0.5~3%。
【0172】
(156) (152)又は(153)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記着色剤が重量%で以下の成分を含む: NiO:0.1~3%、及び/又はNi2O3:0.1~3%。
【0173】
(157) (152)又は(153)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記着色剤が重量%で以下の成分を含む:CoO:0.05~1.8%、及び/又はCo2O3:0.05~1.8%。
【0174】
(158) (152)又は(153)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記着色剤が重量%で以下の成分を含む:Cu2O:0.5~3%、及び/又はCeO2:0.5~3%。
【0175】
(159) (152)又は(153)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記着色剤が重量%で以下の成分を含む: Fe2O3:0.2~5%、CoO:0.05~0.3%、又はFe2O3:0.2~5%、Co2O3:0.05~0.3%、又はFe2O3:0.2~5%、CoO:0.05~0.3%、NiO:0.1~1%、又はFe2O3:0.2~5%、Co2O3:0.05~0.3%、NiO:0.1~1%。
【0176】
(160) (152)又は(153)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記着色剤が重量%で以下の成分を含む: Pr2O3:0.4~6%、又はFe2O3:0.2~5%、又はMnO2:0.1~3%、又はEr2O3:0.4~6%、又はNd2O3:0.4~6%。
【0177】
(161) (152)又は(153)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記着色剤が重量%で以下の成分を含む:Er2O3:0.4~6%、Nd2O3:0.4~4%、MnO2:0.1~2%。
【0178】
(162) (143)~(161)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記結晶化工程は以下のステップを含む:所定の結晶化処理温度に昇温し、結晶化処理温度になった後、その温度を一定の時間保持し、その後に温度を下げる。この結晶化処理温度が600~750℃、好ましくは650~700℃、結晶化処理温度の保持時間が0~8時間、好ましくは1~6時間である。
【0179】
(163) (143)~(161)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記結晶化工程は以下のステップを含む:第1温度で核形成工程の処理を行い、その後、核形成工程の温度よりも高い第2温度で結晶成長工程の処理を行う。
【0180】
(164) (163)に記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記結晶化工程は以下のステップを含む:第1温度が470~630℃、第2温度が650~750℃、第1の温度での保持時間が0~24時間、好ましくは2~15時間、第2温度での保持時間が0~10時間、好ましくは0.5~6時間である。
【0181】
(165) (143)~(164)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記微結晶ガラスの結晶相が一ケイ酸リチウム、及び/又はリン酸リチウムを含む。
【0182】
(166) (143)~(165)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記微結晶ガラスの結晶相が主に一ケイ酸リチウムを含み、一ケイ酸リチウムの重量%が他の結晶相よりも高く、一ケイ酸リチウムが微結晶ガラス製品の10%~63.5%、好ましくは15~55%を占める。
【0183】
(167) (143)~(166)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記微結晶ガラスがリン酸リチウム結晶相を含み、微結晶ガラスに占めるリン酸リチウム結晶相の重量%が3~15%、好ましくは5~12%である。
【0184】
(168) (143)~(151)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記微結晶ガラスの結晶度が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
【0185】
(169) (143)~(151)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記微結晶ガラスの結晶粒径が50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下、及び/又は熱膨張係数が75~95×10-7/Kである。
【0186】
(170) (143)~(151)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記微結晶ガラスの屈折率が1.5700~1.5800である。
【0187】
(171) (143)~(151)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記微結晶ガラスの本体落球高さが1000mm以上、好ましくは1100mm以上、より好ましくは1200mm以上である。
【0188】
(172) (143)~(151)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記微結晶ガラスのビッカース硬度が650kgf/mm2以上、好ましくは680kgf/mm2以上、より好ましくは700kgf/mm2以上である。
【0189】
(173) (143)~(151)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、厚さ1mm以下の微結晶ガラスの曇り度が0.15%以下、好ましくは0.12%以下、より好ましくは0.1%以下である。
【0190】
(174) (143)~(151)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、厚さ1mm以下の微結晶ガラスの400~800nm波長の平均透過率が89%以上である。
【0191】
(175) (143)~(151)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、厚さ1mm以下の微結晶ガラスの550nm波長の透過率が91%以上である。
【0192】
(176) (143)~(151)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、厚さ1mm以下の微結晶ガラスの400~800nmの平均光|B|値が0.6以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.5以下である。
【0193】
(177) (173)~(176)のいずれか一つに記載の微結晶ガラスの製造方法であって、前記微結晶ガラスの厚さが0.2~1mm、好ましくは0.3~0.9mm、より好ましくは0.5~0.8mm、さらに好ましくは0.55mmまたは0.6 mmまたは0.68mmまたは0.72mmまたは0.75mmである。
【発明の効果】
【0194】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。合理的な成分設計により、本発明により得られる微結晶ガラスと微結晶ガラス製品が優れた機械的性能と光学的性能を有し、電子機器や表示装置に適す。
【発明を実施するための形態】
【0195】
本発明の微結晶ガラスと微結晶ガラス製品が非晶質固体とは異なる結晶相及びガラス相を有する材料である。微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品の結晶相は、X線回折分析のX線回折パターンに現れるピーク角度により識別及び/又はTEMEDXにより測定することができる。
【0196】
本発明者らが試験と研究を重ねた結果、微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品を構成する特定成分について、その含有量及び含有量の比率を特定値に規定して特定の結晶相を析出させることにより、より低いコストで本発明の微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品を得た。
【0197】
以下に、本発明のマトリックスガラス、微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品の構成要素(成分)の範囲について説明する。本明細書において、各成分の含有量は、特に指定のない限り、酸化物組成物に換算したマトリックスガラス、又は微結晶ガラス、又は微結晶ガラス製品に対する重量パーセントで(wt%)で表すものとする。ここでいう「酸化物組成物に換算した」とは、本発明のマトリックスガラス、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品の組成物の原料として用いた酸化物、錯塩、水酸化物等が溶融時に分解して酸化物に変換された場合の酸化物物質の総重量を100%とした場合のことである。なお、本明細書において、ガラスというものは微結晶前のマトリックスガラス、微結晶されたマトリックスガラスが微結晶ガラスと呼ばれ、微結晶ガラス製品は化学強化を行った微結晶ガラスのことである。
【0198】
具体的には、本明細書に記載されている数値範囲には、上限値および下限値が含まれ、「以上」および「以下」には端点値、ならびに範囲に含まれるすべての整数および分数が含まれ、範囲が限定されている場合に記載されている具体的な値に限定されるものではない。本明細書で使用される「約」という用語は、レシピ、パラメータとその他の数量、及び特徴が精密ではなく、かつ精密である必要がなく、必要に応じて近似及び/又はより大きく、あるいはより低くすることができ、公差、換算係数、測定誤差などを反映するものである。本明細書で「及び/又は」と呼ばれるものは包括的であり、例えば「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、またはAとBの両方を意味する。
【0199】
本発明の微結晶ガラスと微結晶ガラス製品において、結晶相が一ケイ酸リチウム、及び/又はリン酸リチウムを含む。
【0200】
本発明のいくつかの実施形態では、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品の結晶相が主に一ケイ酸リチウム結晶相を含み、、一ケイ酸リチウムの重量%が他の結晶相よりも高く、一ケイ酸リチウムが微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品の10%~63.5%を占め、いくつかの実施形態では、重量%範囲が15~55%である。
【0201】
本発明のいくつかの実施形態では、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品の結晶相がリン酸リチウム結晶相を含み、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品に占めるリン酸リチウム結晶相の重量%範囲が3~15%、いくつかの実施形態では、重量%範囲が5~12%である。
【0202】
SiO2が本発明のガラスの必須成分であり、熱処理後に結晶を形成する主要成分の1つであり、SiO2の含有量が45%以下である場合は、ガラスにおける結晶の形成が困難となる。従って、SiO2の含有量の下限値が45%、好ましくは50%、さらに好ましくは53%であり、SiO2の含有量が70%以上になると、ガラスの成形に不利であり、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の曇り度と|B|値に影響を与える。従って、SiO2の含有量の上限値が70%、好ましくは65%、さらに好ましくは63%である。いくつかの実施形態では、約45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%のSiO2を含むことができる。
【0203】
Al2O3がガラスネットワーク構造として、ガラスの成形に有利であり、ガラスの微結晶温度を下げ、ガラスの微結晶に有利である。Al2O3は微結晶ガラス結晶を形成する成分の1つであり、微結晶ガラスの化学強化に有利であり、微結晶ガラス製品のイオン交換層深さを増加させることができるが、その含有量が8%未満である場合は、上記の効果が低いため、Al2O3の含有量の下限値が8%である。一方、Al2O3の含有量が18%を超えると、微結晶ガラスの化学強化後の破片の大きさに影響するため、Al2O3の含有量の上限値が18%、好ましくは15%、さらに好ましくは12%である。いくつかの実施形態では、約8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%のAl2O3を含むことができる。
【0204】
Li2Oがガラスの溶融を促進し、溶融温度を下げることができ、結晶形成の主要成分であり、化学強化処理において主にナトリウム、カリウムイオンと置換する成分でもあり、化学強化後の微結晶ガラス製品の表面応力を増大させ、微結晶ガラス製品の落球高さを向上させることができるが、その含有量が10%未満の場合、一ケイ酸リチウム結晶相の形成効果が悪く、微結晶ガラス製品の落球高さと破片の大きさに影響を与える。従って、Li2Oの含有量の下限値が10%、好ましくは13%、さらに好ましくは14%である。一方、Li2Oの含有量が多すぎると、微結晶時にガラスが相分離しやすくなり、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の透過率に影響を与える。従って、Li2Oの含有量の上限値が25%、好ましくは22%、さらに好ましくは21%である。いくつかの実施形態では、約10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、25%のLi2Oを含むことができる。
【0205】
Na2Oはオプション成分であり、ガラスの溶融温度を下げることができ、ガラスまたは微結晶ガラスの化学強化工程の調整に有利である。従って、本発明におけるNa2Oの含有量の下限値が、好ましくは1%、より好ましくは1.5%である。一方、ガラス中のNa2Oの含有量が多すぎると、ガラスの位相分離を促進し、微結晶後の微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の透過率が低下する。従って、Na2Oの含有量の上限値が6%、好ましくは5%、さらに好ましくは4%である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%のNa2Oを含むことができる。
【0206】
K2Oがガラスの成形に有利であり、ガラスの粘度を低下させるが、K2Oの含有量が多すぎると、ガラスの化学的安定性及び硬度が低下する。従って、K2Oの含有量の上限値が5%、好ましくは4%、さらに好ましくは2%である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%のK2Oを含むことができる。
【0207】
P2O5がガラス結晶化工程において結晶核を形成し、結晶の形成を促進し、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の結晶度を高め、化学強化に有利であり、微結晶ガラス製品の硬度、落球高さと曲げ強度を増加することができる。従って、P2O5の含有量の下限値が2%、好ましくは3.5%、さらに好ましくは4%である。しかし、P2O5の含有量が多すぎると、ガラスの相分離とガラスの化学的安定性が低下する。従って、P2O5の含有量の上限値が10%、好ましくは9%、さらに好ましくは8%である。いくつかの実施形態では、約2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、10%のP2O5を含むことができる。
【0208】
ZrO2とP2O5が相互に溶解でき、P2O5のガラス成形時の分相を低下させ、微結晶時にガラスの微結晶温度を上昇させ、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品における一ケイ酸リチウム結晶相の完全性を保証し、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の曇り度と|B|値を低下させ、微結晶ガラス製品の耐落下性を向上させることができる。従って、ZrO2の含有量の下限値が5%、好ましくは6%、さらに好ましくは7%である。一方、ZrO2の含有量が多すぎると、ガラスの溶融が困難になるので、ZrO2の含有量の上限値が15%、好ましくは12%である。いくつかの実施形態では、約5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、10.0%、10.5%、11.0%、11.5%、12%、12.5%、13.0%、13.5%、14.0%、14.5%、15.0%のZrO2を含むことができる。
【0209】
Y2O3がZrO2の溶融を促進し、ガラスの熔融難度を下げ、ガラス中の相分離を減らし、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の曇り度と|B|値を下げることができる。従って、Y2O3の含有量の下限値が0%超、好ましくは1%、さらに好ましくは2%である。一方、Y2O3の含有量が多すぎると、ガラス微結晶時の結晶の形成が困難になり、微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品の結晶度が低下する。従って、Y2O3の含有量の上限値が8%、好ましくは7%、さらに好ましくは6%である。いくつかの実施形態では、約0%超、0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%のY2O3を含むことができる。
【0210】
本発明者らが大量の試験と研究を重ねた結果、いくつかの実施形態では、Y2O3とZrO2の相対含有量が微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の曇り度と|B|値に重要な影響を与え、特にY2O3/ZrO2が0超の場合は、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の曇り度と|B|値を下げ、端末製品の撮影と写真効果を改善できることを判明した。従って、好ましくはY2O3/ZrO2が0超、より好ましくはY2O3/ZrO2が0.1~1.0、さらに好ましくはY2O3/ZrO2が0.2~0.6である。いくつかの実施形態では、Y2O3/ZrO2の値が0超、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0であり得る。
【0211】
本発明のいくつかの実施形態では、(Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3を2.5~50.0の範囲内にすると、結晶化工程でマトリックスガラスの結晶粒を微細化させ、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品がより微細な結晶粒を得ることができるようにし、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の曇り度を低下させることができる。従って、好ましくは(Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3が2.5~50.0、より好ましくは(Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3が3.0~40.0、さらに好ましくは(Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3が4.0~21.0である。いくつかの実施形態では、(Li2O+ZrO2+P2O5)/Y2O3の値が2.5、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、21.0、22.0、23.0、24.0、25.0、26.0、27.0、28.0、29.0、30.0、31.0、32.0、33.0、34.0、35.0、36.0、37.0、38.0、39.0、40.0、41.0、42.0、43.0、44.0、45.0、46.0、47.0、48.0、49.0、50.0であり得る。
【0212】
本発明者らが大量の試験と研究を重ねた結果、Al2O3とP2O5、Li2OとZrO2の合計含有量Li2O+ZrO2+P2O5の比Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)を0.16~0.9範囲に制御することにより、微結晶ガラス製品が1300mm以上の落球の衝撃に耐えることができ、より好ましくはAl2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)を0.18~0.6の範囲に制御する。さらに、いくつかの実施形態では、さらに好ましくはAl2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)を0.19~0.5の範囲内に制御する場合、一ケイ酸リチウム結晶相を形成しやすく、かつ、微結晶ガラス製品が優れた破断靭性を得ることができ、破断靭性が1MPa・m1/2以上、好ましくは1.1MPa・m1/2以上、より好ましくは1.2MPa・m1/2以上である。また、落球試験の高さに耐えられる能力をさらに最適化することができるので、さらに好ましくはAl2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)が0.19~0.5である。いくつかの実施形態では、Al2O3/(Li2O+ZrO2+P2O5)が0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90であり得る。
【0213】
本発明者らが大量の試験と研究を重ねた結果、Na2OとY2O3の相対含有量が微結晶ガラス製品の表面応力とイオン交換層深さに重要な影響を与え、特にNa2O/Y2O3が6.0以下である場合は、微結晶ガラス製品の表面応力とイオン交換層深さを高めることができ、より好ましくはNa2O/Y2O3が0.1~5.0である。いくつかの実施形態では、さらに好ましくはNa2O/Y2O3が0.3 ~ 2.0であり、微結晶ガラス製品の破片の大きさを改善することもでき、いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品の表面応力は600 MPa以上、好ましくは650 MPa以上、より好ましくは700 MPa以上であり、微結晶ガラス製品のイオン交換層深さは20μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上である。いくつかの実施形態では、Na2O/Y2O3の値が0、0超、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.3、2.5、2.7、3.0、3.3、3.5、3.7、4.0、4.3、4.5、4.7、5.0、5.3、5.5、5.7、6.0であり得る。
【0214】
本発明のいくつかの実施形態では、Y2O3とAl2O3及びSiO2の合計含有量(Al2O3+SiO2)との含有量の比Y2O3/(Al2O3+SiO2)を0超0.15以下に制御する場合、ガラスの微結晶性能を最適化し、微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品が適切な微結晶度を有し、微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品が優れた性能を持つようにすることができる。従って、好ましくはY2O3/(Al2O3+SiO2)が0.01~0.12、より好ましくは0.03~0.09であり、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の落球試験高さが大きくなる、いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品の落球試験高さは、好ましくは1300mm以上、より好ましくは1400mm以上、さらに好ましくは1500mm以上である。いくつかの実施形態では、Y2O3/(Al2O3+SiO2)の値が0超、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15であり得る。
【0215】
B2O3がガラスのネットワーク構造を改善し、ガラスと微結晶ガラスの化学強化性能を最適化し、微結晶ガラス製品の落球高さを向上させることができるが、B2O3の含有量が5%を超えると、ガラス成形に不利であり、成形時に結晶を析出しやすい。従って、B2O3の含有量の上限値が5%、好ましくは3%、より好ましくは2%、さらに好ましくはB2O3を含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%のB2O3を含むことができる。
【0216】
ZnOがガラスの熔融難度を下げることができるが、含有量が高いとガラスの低温微結晶を促進し、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の結晶度と透過率を下げ、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の曇り度を高めるため、その含有量の上限値が2%、好ましくは1%、より好ましくはZnOを含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%のZnOを含むことができる。
【0217】
MgOがガラスの熔融難度を下げ、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の落球高さを増加させるのに有利であるが、ガラスの低温微結晶を促進し、微結晶ガラスと微結晶ガラス製品の結晶度と透過率を低下させるため、その含有量の上限値が2%、好ましくは1%である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%のMgOを含むことができる。
【0218】
SrOはガラスの低温溶融性を高め、ガラス成形時の結晶析出を抑制するオプション成分である。含有量が多すぎると、ガラスの成形に影響し、成形時に結晶が析出しやすい。従って、本発明におけるSrOの含有量範囲が0~5%、好ましくは0~3%、より好ましくは0~1%、さらに好ましくはSrOを含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%のSrOを含むことができる。
【0219】
BaOはガラスのガラス形成性能を向上させるのに役立つオプション成分であり、含有量が多すぎるとガラスの成形に不利である。従って、本発明におけるBaOの含有量範囲が0~5%、好ましくは0~3%、より好ましくは0~1%、さらに好ましくはBaOを含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%のBaOを含むことができる。
【0220】
CaOはガラスの硬度を高めることができるが、含有量が多すぎると、ガラス成形時に乳化しやすくなる。従って、本発明におけるCaO含有量の範囲が0~5%、好ましくは0~3%、より好ましくは0~1%、さらに好ましくはCaOを含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%のCaOを含むことができる。
【0221】
TiO2はマトリックスガラスの溶融温度を下げ、化学的安定性を高めるのに役立つオプション成分であり、本発明には5%以下のTiO2が含まれ、マトリックスガラスの結晶化工程を制御しやすくすることができ、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下である。いくつかの実施形態では、さらに好ましくはTiO2を含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.3%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%のTiO2を含むことができる。
【0222】
Ln2O3(Ln2O3はLa2O3、Gd2O3、Yb2O3の1種または複数種)は微結晶ガラスの硬度と化学安定性を高め、ガラス成形時の結晶を制御するオプション成分であり、含有量が多すぎると、ガラスの化学強化性能に影響し、微結晶ガラス製品の強度が低下する。したがって、本発明におけるLn2O3の含有量の範囲が0~5%、好ましくは0~4%、より好ましくは0~3%、さらに好ましくはLn2O3を含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%のLn2O3を含むことができる。
【0223】
いくつかの実施形態では、ガラス、微結晶ガラス、または微結晶ガラス製品は、ガラス、微結晶ガラス、または微結晶ガラス製品の脱泡能力を高めるために、0~2%の清澄剤を含むこともできる。このような清澄剤は、Sb2O3、SnO2、SnO、CeO2、F、Cl及びBrの一種または複数種を含むがこれらに限定されず、好ましくはSb2O3を清澄剤として使用される。上記の清澄剤が単独又は組み合わせて使用する場合、その含有量の上限値は、好ましくは1%、より好ましくは0.5%である。いくつかの実施形態では、上記の清澄剤の一種または複数種の含有量が約0%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%である。
【0224】
本発明のガラス、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品に期待される機械的性能、光学的性能、生産性及び化学強化性能等の優れた性能を得るために、本発明のいくつかの実施形態では、好ましくはFを含まない、及び/又はTa2O5を含まないことである。
【0225】
PbO及びAs2O3が有毒物質であり、少量を添加しても環境保護の要求に合致しないため、本発明のいくつかの実施形態では、好ましくはPbO及びAs2O3を含まない。
【0226】
本発明のいくつかの実施形態では、着色剤を添加することにより、カラー付きのマトリックスガラス、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品を製造し、マトリックスガラス、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品が異なる色を呈することができる。着色剤が以下を含む:NiO:0~4%、及び/又はNi2O3:0~4%、及び/又はCoO:0~2%、及び/又はCo2O3:0~2%、及び/又はFe2O3:0~7%、及び/又はMnO2:0~4%、及び/又はEr2O3:0~8%、及び/又はNd2O3 :0~8%、及び/又はCu2O:0~4%、及び/又はPr2O5:0~8%、及び/又はCeO2 :0~4%。以下は、着色剤の重量%とその役割について詳しく説明する:
【0227】
本発明で製造する褐色または緑色のマトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品は、NiO、Ni2O3及びPr2O5を着色剤として使用する。NiOとNi2O3は着色剤であり、褐色または緑色のマトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の製造に使用される。2つの成分が単独で使用または混合して使用することができ、それぞれの含有量が一般的に4%以下、好ましくは3%以下であり、含有量が4%を超えると、着色剤がマトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品によく溶解できないことである。従って、それぞれの含有量の下限値が0.1%以上であり、0.1%未満の場合、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の色が明らかではないことである。いくつかの実施形態では、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%のNiO及びNi2O3を含むことができる。混合して使用する場合は、NiOとNi2O3の合計含有量が一般的に4%以下、合計含有量の下限値が0.1%以上である。いくつかの実施形態では、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%のNiOとNi2O3を含むことができる。緑色マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の着色剤としてPr2O5を使用し、単独で使用し、一般的に含有量が8%以下、好ましくは含有量が6%以下、その含有量の下限値が0.4%以上である。0.4%未満の場合、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の色は明らかではないことである。いくつかの実施形態では、約0.4%、0.6%、0.8%、1.0%、1.2%、1.4%、1.6%、1.8%、2.0%、2.2%、2.4%、2.6%、2.8%、3.0%、3.2%、3.4%、3.6%、3.8%、4.0%、4.2%、4.4%、4.6%、4.8%、5.0%、5.2%、5.4%、5.6%、5.8%、6.0%、6.2%、6.4%、6.6%、6.8%、7.0%、7.2%、7.4%、7.6%、7.8%、8.0%のPr2O5を含むことができる。
【0228】
本発明で製造する青色のマトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品は、着色剤としてCoOとCo2O3を使用し、2つの着色剤成分が単独で使用または混合して使用することができ、それぞれの含有量が一般的に2%以下、好ましくは1.8%以下であり、含有量が2%を超えると、着色剤がマトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品によく溶解できないことである。従って、それぞれの含有量の下限値が0.05%以上であり、0.05%未満の場合、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の色が明らかではないことである。いくつかの実施形態では、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%のCoO 又はCo2O3を含むことができる。混合して使用する場合、CoO とCo2O3の合計含有量が2%を超えず、合計含有量の下限値が0.05%以上である。いくつかの実施形態では、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%のCoOとCo2O3を含むことができる。
【0229】
本発明で製造する黄色のマトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品は、着色剤としてCu2OとCeO2を使用し、2つの着色剤成分が単独で使用または混合して使用することができ、それぞれの含有量の下限値が0.5%以上であり、含有量が0.5%未満の場合、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の色が明らかではないことである。従って、Cu2Oを単独で使用する場合は、4%以下、好ましくは3%以下であり、含有量が4%を超えると、マトリックスガラスが結晶を析出しやすくなる。いくつかの実施形態では、約0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%のCu2Oを含むことができる。CeO2を単独で使用する場合は、その含有量が一般的に4%以下、好ましくは3%以下であり、含有量が4%を超えると、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の光沢度が悪くなる。いくつかの実施形態では、約0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%のCeO2を含むことができる。同時に、少量のCeO2をガラスに添加すると泡除去効果があり、CeO2はガラス中で清澄剤としても使用できる。2つの着色剤を混合して使用する場合は、その合計含有量が一般的に4%以下、合計含有量の下限値が0.5%以上である。いくつかの実施形態では、約0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%のCeO2とCu2Oを含むことができる。
【0230】
本発明で製造する黒又はスモークグレーのマトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品は、着色剤として単独でFe2O3を使用し、又はFe2O3とCoOの2つの着色剤、又はFe2O3とCo2O3の2つの着色剤、又はFe2O3、CoOとNiOの3つの着色剤、又はFe2O3、Co2O3とNiOの3つの着色剤を混合して使用する。黒又はスモークグレーのマトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の製造に使用する着色剤は、主にFe2O3で着色し、その含有量が7%以下、好ましくは5%以下、その含有量の下限値が0.2%以上であり、いくつかの実施形態では、約0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%のFe2O3を含むことができる。CoOとCo2O3が可視光で吸収され、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の着色度を深めることができ、Fe2O3と混合して使用する場合、それぞれの含有量が一般的に0.6%以下、下限値が0.2%以上である。いくつかの実施形態では、約0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%のCoO及び/又はCo2O3を含むことができる。NiOが可視光で吸収され、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の着色度を深めることができ、混合して使用する場合、その含有量が1%以下、合計含有量の下限値が0.2%以上である。いくつかの実施形態では、約0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%のNiOを含むことができる。
【0231】
本発明で製造する紫のマトリックスガラス、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品は、着色剤としてMnO2を使用し、その含有量が一般的に4%以下、好ましくは3%以下、その含有量の下限値が0.1%以上であり、0.1%未満の場合、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の色が明らかではないことである。いくつかの実施形態では、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%のMnO2を含むことができる。
【0232】
本発明で製造するピンクのマトリックスガラス、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品は、着色剤としてEr2O3を使用し、その含有量が一般的に8%以下、好ましくは6%以下である。希土類元素であるEr2O3は着色効率が低いため、使用量が8%を超えても、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の色をさらに深くすることはできず、かえってコストを増加させる。従って、その含有量の下限値が0.4%以上であり、0.4%未満の場合、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の色が明らかではないことである。いくつかの実施形態では、約0.4%、0.6%、0.8%、1.0%、1.2%、1.4%、1.6%、1.8%、2.0%、2.2%、2.4%、2.6%、2.8%、3.0%、3.2%、3.4%、3.6%、3.8%、4.0%、4.2%、4.4%、4.6%、4.8%、5.0%、5.2%、5.4%、5.6%、5.8%、6.0%、6.2%、6.4%、6.6%、6.8%、7.0%、7.2%、7.4%、7.6%、7.8%、8.0%のEr2O3を含むことができる。
【0233】
本発明で製造する紫紅色のマトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品は、着色剤としてNd2O3を使用し、その含有量が一般的に8%以下、好ましくは6%以下である。希土類元素であるNd2O3は着色効率が低いため、使用量が8%を超えても、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の色をさらに深くすることはできず、かえってコストを増加させる。従って、その含有量の下限値が0.4%以上であり、0.4%未満の場合、マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の色が明らかではないことである。いくつかの実施形態では、約0.4%、0.6%、0.8%、1.0%、1.2%、1.4%、1.6%、1.8%、2.0%、2.2%、2.4%、2.6%、2.8%、3.0%、3.2%、3.4%、3.6%、3.8%、4.0%、4.2%、4.4%、4.6%、4.8%、5.0%、5.2%、5.4%、5.6%、5.8%、6.0%、6.2%、6.4%、6.6%、6.8%、7.0%、7.2%、7.4%、7.6%、7.8%、8.0%のNd2O3を含むことができる。
【0234】
本発明で製造される赤色のマトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品は、Er2O3、Nd2O3とMnO2の混合着色剤色を使用し、ガラス中のErイオンが400~500nmで吸収され、Mnイオンが主に500nmで吸収され、Ndイオンが主に580nmで強く吸収され、3種類の物質の混合により、赤色のマトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品を製造することができる。Er2O3とNd2O3とが希土類着色であり、着色能力が比較的弱いため、Er2O3の使用量が6%以内、Nd2O3の使用量が4%以内であり、MnO2の着色能力が強いため、その使用量が2%範囲以内で、混合着色剤の合計含有量の下限値が0.9%以上である。
【0235】
本明細書に記載されている「含まない」、「0%」という用語は、化合物、分子又は元素などを本発明のマトリックスガラス、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品の原料として意図的に添加しなかったことを意味する。しかし、マトリックスガラス、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品を製造するための原料及び/又は設備として、意図的に添加されていない不純物や成分が、最終的なマトリックスガラス、微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品中に少量または微量に存在することがあり、それらも本発明の特許の対象となる。
【0236】
本発明のいくつかの実施形態では、微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品中の結晶相は一ケイ酸リチウム結晶を含み、本発明の微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品に高い強度を賦与し、微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品の破断靭性が高くなり、微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品の落球試験高さ及び4点曲げ強度が高くなる。本発明の微結晶ガラスは化学強化性能に優れ、化学強化により追加の機械的強度を得ることもできる。合理的な成分設計により、本発明により得られる微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品の結晶粒径が適切であり、本発明の微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品が高い強度を有する。本発明の微結晶ガラスと微結晶ガラス製品が良好な結晶度を有するので、本発明の微結晶ガラスと微結晶ガラス製品が優れた機械的性能を持つ。本明細書で記載する結晶度とは結晶の完全度を指し、完全な結晶の結晶内部の質点の配置が比較的規則であり、回折線が強く、鋭くて対称的であり、回折ピークの半値幅が計器測定で測定した幅に近い、結晶度の悪い結晶にはずれの欠陥があり、回折線のピーク形状が広くて分散する。 結晶性が悪いほど回折能力が弱くなり、背景に消えるまで回折ピークが広くなる。いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品または微結晶ガラスの結晶度が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
【0237】
本発明の微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品の結晶粒径及び種類は微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品の曇り度と透過率に影響を与え、結晶粒が小さいほど透過率が高く、曇り度が小さいほど透過率が高くなる。いくつかの実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品または微結晶ガラスの曇り度が0.15%以下、好ましくは0.12%以下、より好ましくは0.1%以下である。いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品または微結晶ガラスの結晶粒径が50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下である。
【0238】
いくつかの実施形態では、本発明の微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品中の結晶相含有量と屈折率が微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品の|B|値に影響を与え、可視光範囲で微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品の青みまたは黄色みが現れ、製品の光学性能に影響し、LAB(物質色の色度値)に|B|値を用いて表示する。微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品が可視光範囲において低い|B|値を呈し、いくつかの実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品又は微結晶ガラス400~800nmの平均光|B|値が0.6以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.5以下である。
【0239】
いくつかの実施形態では、本発明の微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品が可視光範囲内で高い透明度を示す(すなわち、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品が透明である)。微結晶ガラス又は微結晶ガラス製品が可視光範囲内で高い透過率を示し、いくつかの実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品又は微結晶ガラス400~800nmの平均光透過率は、好ましくは89%以上である。いくつかの好ましい実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品または微結晶ガラス550nmの光透過率は、好ましくは91%以上である。
【0240】
いくつかの実施形態では、マトリックスガラス、微結晶ガラス、または微結晶ガラス製品に抗菌成分を添加することができる。本明細書に記載の微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品は、有害細菌に曝露される可能性が高い台所または飲食テーブルなどの用途に使用することができる。マトリックスガラス、微結晶ガラスまたは微結晶ガラス製品に添加できる抗菌成分としては、Ag,AgO,Cu,CuO,Cu2Oなどが挙げられるが、これらに限定されない。 いくつかの実施形態では、上記抗菌成分の単独または混合含有量が2%以下、好ましくは1%以下である。
【0241】
本発明のマトリックスガラス、微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品は、以下の方法により生産及び製造することができる:
【0242】
マトリックスガラスの生成:原料を成分比で均一に混合し、均一に混合された混合物を白金製または石英製のるつぼに入れ、ガラス組成の溶融難易度に応じて、電気炉またはガス炉で1250~1650℃の温度範囲内で5~24時間熔融する。溶融、均一に攪拌した後、適切な温度に下げて金型に流し込み、ゆっくり冷却して生成する。
【0243】
本発明のマトリックスガラスは、周知の方法により成形することができる。
【0244】
本発明のマトリックスガラスは、成形後又は成形加工後に結晶化工程により微結晶処理を行い、ガラスの内部で均一に結晶を析出する。この微結晶処理は1段階か、2段階で行うことができ、好ましくは2段階で微結晶処理を行う。第1温度で核形成工程の処理を行い、その後核形成工程の温度よりも高い第2温度で結晶成長工程の処理を行う。第1温度で行う微結晶処理を第1微結晶処理と呼び、第2温度で行う微結晶処理を第2微結晶処理と呼ぶ。
【0245】
微結晶ガラスが期待される物性を得ることができるように、好ましくは結晶化工程が以下の通りである。
【0246】
上記1段階で微結晶処理を行うことにより、核形成工程と結晶成長工程を連続的に行うことができる。すなわち、所定の結晶化処理温度に昇温し、結晶化処理温度に達した後、その温度を一定の時間保持した後、降温する。この結晶化処理温度は、好ましくは600~750℃であり、期待される結晶相を析出させるために、より好ましくは650~700℃、結晶化処理温度での保持時間として、好ましくは0~8時間、より好ましくは1~6時間である。
【0247】
上記2段階により微結晶処理を行う場合、第1温度は、好ましくは470~630℃、第2温度は、好ましくは650~750℃である。第1温度では保持時間は、好ましくは0~24時間、より好ましくは2~15時間である。第2温度では保持時間は、好ましくは0~10時間、より好ましくは0.5~6時間である。
【0248】
上記保持時間0時間とは、その温度に到達してから1分も経たないうちに再び降温または昇温を開始することをいう。
【0249】
いくつかの実施形態では、さまざまな技術によって本明細書に記載のマトリックスガラス又は微結晶ガラスを成形体に製造することができる。前記成形体は、シートを含むがこれに限定されない、前記プロセスは、スリット引っ張り、フロート法、ロール圧延及び当技術分野で公知の他のシート形成技術を含むが、これらに限定されない。又は、当技術分野で公知のフロート法またはロール圧延法によりマトリックスガラスまたは微結晶ガラスを形成することができる。
【0250】
本発明のマトリックスガラス又は微結晶ガラスは、研磨又は艶出し加工等の方法を用いてシート状のガラス成形体を製造することができるが、ガラス成形体を製造する方法は、これらの方法に限定されるものではない。
【0251】
本発明のマトリックスガラスまたは微結晶ガラス成形体は、一定の温度で熱曲げやプレスなどの方法を用いてさまざまな形状に製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0252】
本発明に記載のマトリックスガラス、微結晶ガラス及び微結晶ガラス製品は、合理的で有用な任意の厚さを有することができる。
【0253】
本発明の微結晶ガラスは、結晶を析出することによって機械的特性を向上させるほか、圧縮応力層を形成することでより高い強度を得、さらに微結晶ガラス製品を製造することができる。
【0254】
いくつかの実施形態では、マトリックスガラスまたは微結晶ガラスをシート状に加工し、及び/又は(穴あけ、熱曲げなど)造形し、定形後に艶出し及び/又は研磨を行い、化学強化工程により化学強化を行うことができる。
【0255】
本発明に記載の化学強化は、すなわちイオン交換法である。本発明のマトリックスガラス、微結晶ガラスはいずれも、当技術分野で公知の方法によりイオン交換することができる。イオン交換では、マトリックスガラスまたは微結晶ガラス中のより小さな金属イオンは、マトリックスガラスまたは微結晶ガラスに近い同じ原子価状態を有するより大きな金属イオンによって置換または「交換」される。より小さなイオンをより大きなイオンで置換し、マトリックスガラスまたは微結晶ガラスに圧縮応力を発生させ、圧縮応力層を形成する。
【0256】
いくつかの実施形態では、金属イオンは1価のアルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+、Rb+、Cs+など)であり、イオン交換は、マトリックスガラスまたは微結晶ガラスをより小さな金属イオンを含む少なくとも1つの溶融塩の塩浴に浸漬して行い、このより大きな金属イオンは、マトリックスガラス中のより小さな金属イオンを置換するのに使用される。又は、Ag+、Tl+、Cu+などの他の1価金属イオンを用いて1価イオンを交換することもできる。マトリックスガラスまたは微結晶ガラスを化学的に強化するための1つまたは複数のイオン交換工程には、単一の塩浴に浸漬すること、または同じ組成或いは異なる組成を有する複数の塩浴に浸漬すること、浸漬間に洗浄及び/又はアニーリングステップがあることが挙げられるが、これらに限定されない。
【0257】
いくつかの実施形態では、マトリックスガラスまたは微結晶ガラスは約430℃~470℃の温度のNa塩(例えばNaNO3)を溶融した塩浴に約6~20時間浸漬することでイオン交換することができ、その温度範囲は、好ましくは435℃~460℃、時間範囲は、好ましくは8~13時間である。この実施形態では、Naイオンはマトリックスガラスまたは微結晶ガラス中のLiイオンの一部を置換し、それにより表面圧縮層を形成し、高い機械的特性を示す。いくつかの実施形態では、マトリックスガラスまたは微結晶ガラスは、約400℃~450℃の温度でK塩(例えばKNO3)を溶融した塩浴中に1~8時間浸漬してイオン交換することができ、その時間範囲は、好ましくは2~4時間である。
【0258】
いくつかの実施形態では、マトリックスガラスまたは微結晶ガラスの表層にイオンを注入するイオン注入法、およびマトリックスガラスまたは微結晶ガラスを加熱し、その後急速に冷却する熱強化法もある。
【0259】
本発明の微結晶ガラス及び/又は微結晶ガラス製品及び/又はマトリックスガラスの各性能指標は、以下の方法に従って試験されている。
【0260】
[曇り度]
曇り度測定器EEL57 Dを用いて、1mm以下の試料を製造し、GB 2410-80に従って測定される。
【0261】
[結晶粒径]
SEM走査電子顕微鏡を用いて測定し、微結晶ガラスはHF酸中で表面処理を行い、更に微結晶ガラス表面に熔融金属を噴霧し、SEM走査電子顕微鏡で表面走査を行い、その結晶粒径を確定する。
【0262】
[光透過率]
本明細書に記載する光透過率は外部透過率であり、透過率と略称する場合がある。
試料を1mm以下に加工して対向面平行艶出しを行い、日立U-41000分光光度計を用いて400~800 nmの平均光透過率を測定する。
試料を1mm以下に加工して対向面平行艶出しを行い、日立U-41000分光光度計を用いて550nmの光透過率を測定する。
【0263】
[結晶度]
XRD回折ピークをデータベーススペクトルと比較し、結晶度は結晶相回折強度の全体スペクトル強度に占める割合を計算し、純石英結晶を用いて内部標定を行う。
[表面応力]と[イオン交換層深さ]
ガラス表面応力計FSM-6000 LEUVを用いて表面応力を測定する。
ガラス表面応力計SLP-2000を用いてイオン交換層深さを測定する。
測定条件として試料の屈折率1.54、光学弾性定数25.3[(nm/cm)/Mpa]で計算する。
【0264】
[落球試験高さ]
150×57×0.55mmの微結晶ガラス製品試料をガラス固定治具上に置き、132gの鋼球を所定の高さから落下させ、試料が破断せずに耐えられる衝撃の最大落球試験高さは落球試験高さである。具体的には、落球試験高さ800mmから試験を実施し、破断が発生しない場合は850mm、900mm、950mm、1000mm以上の順で高さを変更する。「落球試験高さ」の具体的な実施例については、微結晶ガラス製品を試験対象としている。実施例において1000mmとして記録された試験データは、1000mmの高さから鋼球を微結晶ガラス製品に落下させても破断せずに衝撃に耐えられたことを示す。本発明の落球試験高さは落球高さと略称する場合がある。
【0265】
[本体落球高さ]
150×57×0.55mmの微結晶ガラス試料をガラス固定治具上に置き、32gの鋼球を所定の高さから落下させ、試料が破断せずに衝撃に耐えられる最大落球試験高さは本体落球高さである。具体的には、落球試験高さ500mmから試験を実施し、破断が発生しない場合は550mm、600mm、650mm、700mm以上の順で高さを変更する。「本体落球高さ」の具体的な実施例については、微結晶ガラスを試験対象としている。実施例において1000mmとして記録された試験データは、1000mmの高さから鋼球を微結晶ガラスに落下させても破断せずに衝撃に耐えられたことを示す。
【0266】
[破断靭性]
圧痕拡張亀裂の寸法を直接測定する方法を用い、試料の規格は2mm×4mm×20mm、面取り、研磨、艶出し加工を行い、試料の製造が完了した後、ビッカース硬度圧子を用いて試料に49Nの力を加えて30s保持し、打痕を打った後、3点曲げの方法でその破断強度を測定する。
【0267】
[4点曲げ強度]
マイコン制御の電子万能試験機CMT 6502を用い、試料規格は1mm以下の厚さであり、ASTM C 158-2002に従って試験される。
試料の厚さは、好ましくは0.2~1mm、より好ましくは0.3~0.9mm、さらに好ましくは0.5~0.8mm、よりさらに好ましくは0.55mm又は0.6mm又は0.68mm又は0.72mm又は0.75mmである。
【0268】
[ビッカース硬度]
相対面で形成された角度が136°であるダイヤモンド四角錐圧子を用いて試験面にピラミッド形状の窪みを圧入した際の荷重(N)を窪みの長さで算出した表面積(mm2)で割った値で表す。試験負荷100(N)、保持時間15(秒)で試験を行う。本発明ではビッカース硬度を硬度と略称する場合がある。
【0269】
[|B|値]
ミノルタCMー700dを用いてB値を測定する。付属の校正長筒と短筒でそれぞれ計器のゼロ校正と白板校正を行い、校正後に長筒で空白試験を行い、計器の校正安定性と信頼性を判定し(B≦0.05)、計器校正後、製品をゼロ長筒に置いて測定する。
|B|値はB値の絶対値である。
【0270】
[熱膨張係数]
熱膨張係数(α20℃-120℃)は、GB/T7962.16-2010に規定された方法に従って試験される。
【0271】
[屈折率]
屈折率(nd)は、GB/T7962.1-2010に規定された方法に従って試験される。
【0272】
本発明の微結晶ガラス製品が以下の性能を有する:
1) いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品の表面応力が600MPa以上、好ましくは650MPa以上、より好ましくは700MPa以上である。
2) いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品の4点曲げ強度が600MPa以上、好ましくは650MPa以上、より好ましくは700MPa以上である。
3) いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品のイオン交換層深さが20μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上である。
4) いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品の落球試験高さが1300mm以上、好ましくは1400mm以上、より好ましくは1500mm以上である。
5) いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品の破断靭性が1MPa・m1/2以上、好ましくは1.1MPa・m1/2以上、より好ましくは1.2MPa・m1/2以上である。
6) いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品のビッカース硬度(Hv)が700kgf/mm2以上、好ましくは720kgf/mm2以上、より好ましくは730kgf/mm2以上である。
7) いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品の結晶度が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
8) いくつかの実施形態では、微結晶ガラス製品の結晶粒径が50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下である。
9) いくつかの実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の曇り度が0.15%以下、好ましくは0.12%以下、より好ましくは0.1%以下である。この厚さは、好ましくは0.2~1mm、より好ましくは0.3~0.9mm、さらに好ましくは0.5~0.8mm、よりさらに好ましくは0.55mm又は0.6mm又は0.68mm又は0.72mm又は0.75mmである。
10) いくつかの実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の400~800nm波長の平均透過率が89%以上である。この厚さは、好ましくは0.2~1mm、より好ましくは0.3~0.9mm、さらに好ましくは0.5~0.8mm、よりさらに好ましくは0.55mm又は0.6mm又は0.68mm又は0.72mm又は0.75mmである。
11) いくつかの実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の550nm波長の透過率が91%以上である。この厚さは、好ましくは0.2~1mm、より好ましくは0.3~0.9mm、さらに好ましくは0.5~0.8mm、よりさらに好ましくは0.55mm又は0.6mm又は0.68mm又は0.72mm又は0.75mmである。
12) いくつかの実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の400~800nmの平均光|B|値が0.6以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.5以下である。この厚さは、好ましくは0.2~1mm、より好ましくは0.3~0.9mm、さらに好ましくは0.5~0.8mm、よりさらに好ましくは0.55mm又は0.6mm又は0.68mm又は0.72mm又は0.75mmである。
【0273】
本発明の微結晶ガラスが以下の性能を有する:
1) いくつかの実施形態では、微結晶ガラスの結晶度が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
2) いくつかの実施形態では、微結晶ガラスの結晶粒径が50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下である。
3) いくつかの実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラスの曇り度が0.15%以下、好ましくは0.12%以下、より好ましくは0.1%以下である。この厚さは、好ましくは0.2~1mm、より好ましくは0.3~0.9mm、さらに好ましくは0.5~0.8mm、よりさらに好ましくは0.55mm又は0.6mm又は0.68mm又は0.72mm又は0.75mmである。
4) いくつかの実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の400~800nm波長の平均透過率が89%以上である。この厚さは、好ましくは0.2~1mm、より好ましくは0.3~0.9mm、さらに好ましくは0.5~0.8mm、よりさらに好ましくは0.55mm又は0.6mm又は0.68mm又は0.72mm又は0.75mmである。
5) いくつかの実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラス製品の550nm波長の透過率が91%以上である。この厚さは、好ましくは0.2~1mm、より好ましくは0.3~0.9mm、さらに好ましくは0.5~0.8mm、よりさらに好ましくは0.55mm又は0.6mm又は0.68mm又は0.72mm又は0.75mmである。
6) いくつかの実施形態では、微結晶ガラス本体落球高さが1000mm以上、好ましくは1100mm以上、より好ましくは1200mm以上である。
7) いくつかの実施形態では、厚さ1mm以下の微結晶ガラスの400~800nmの平均光|B|値が0.6以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.5以下である。この厚さは、好ましくは0.2~1mm、より好ましくは0.3~0.9mm、さらに好ましくは0.5~0.8mm、よりさらに好ましくは0.55mm又は0.6mm又は0.68mm又は0.72mm又は0.75mmである。
8) いくつかの実施形態では、微結晶ガラスのビッカース硬度(Hv)が650kgf/mm2以上、好ましくは680kgf/mm2以上、より好ましくは700kgf/mm2以上である。
9) いくつかの実施形態では、微結晶ガラスの熱膨張係数(α20℃-120℃)が75~95×10-7/Kである。
10) いくつかの実施形態では、微結晶ガラスの屈折率(nd)が1.5700~1.5800である。
【0274】
本発明のマトリックスガラスが以下の性能を有する:
1) いくつかの実施形態では、マトリックスガラスの熱膨張係数(α20℃-120℃)が50×10-7/K~70×10-7/Kである。
2) いくつかの実施形態では、マトリックスガラスの屈折率(nd)が1.5600~1.5700である。
【0275】
本発明の微結晶ガラス、微結晶ガラス製品及びマトリックスガラスは、上述の優れた性能を有するため、ガラス蓋板又はガラス素子として幅広く作製することができる。また、本発明の微結晶ガラス、微結晶ガラス製品及びマトリックスガラスが携帯電話、腕時計、コンピュータ、タッチスクリーンなどの電子機器又は表示装置に応用され、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、PDA、テレビ、パソコン、MTA機器または産業用ディスプレイの製造、又はタッチスクリーン、保護窓、自動車窓、列車窓、航空機器窓、タッチスクリーン保護ガラスの製造、又はハードディスク基板や太陽電池基板の製造、冷蔵庫部品や調理器具など、白物家電の製造に用いる。
【0276】
実施例
本発明の技術的解決策をさらに明確に説明するために、以下の非限定的な実施例を提供する。本発明の実施例は、努力を重ねて数値(例えば、数量、温度など)の正確性を確保しているが、いくつかの誤差と偏差があることを考慮しなければならない。組成自体は酸化物に基づいて重量%で割り当て、100%に標準化されている。
【0277】
<マトリックスガラスの実施例>
本実施例は、上記マトリックスガラスの製造方法を用いて、表1~表4に示す組成を有するマトリックスガラスを得る。また、本発明に記載の試験方法によりマトリックスガラスの特性を測定し、測定結果を表1~表4に示す。
【0278】
【表1】
【0279】
【表2】
【0280】
【表3】
【0281】
【表4】
【0282】
<微結晶ガラスの実施例>
本実施例は、上記微結晶ガラスの製造方法を用いて、表5~表8に示す組成を有する微結晶ガラスを得る。また、本発明に記載の試験方法により微結晶ガラスの特性を測定し、測定結果を表5~表8に示す。
【0283】
【表5】
【0284】
【表66】
【0285】
【表7】
【0286】
【表8】
【0287】
<微結晶ガラス製品の実施例>
本実施例は、上記微結晶ガラス製品の製造方法を用いて、表9~表12に示す組成を有する微結晶ガラス製品を得る。また、本発明に記載の試験方法により微結晶ガラス製品の特性を測定し、測定結果を表9~表12に示す。
【0288】
【表9】
【0289】
【表10】
【0290】
【表11】
【0291】
【表12】