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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】光半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02325 20210101AFI20241101BHJP
   H01S 5/0239 20210101ALI20241101BHJP
   H01S 5/02255 20210101ALI20241101BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20241101BHJP
   G02F 2/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H01S5/02325
H01S5/0239
H01S5/02255
H01L31/02 B
G02F2/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023531132
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2021024280
(87)【国際公開番号】W WO2023275913
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 光一
(72)【発明者】
【氏名】望月 敬太
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-98893(JP,A)
【文献】特開2017-97293(JP,A)
【文献】特開2019-120881(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047069(WO,A1)
【文献】特開2019-165128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0119064(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0006044(US,A1)
【文献】特開2018-133381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00- 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出力する半導体レーザ及び外部からの信号光を受信する半導体受光素子がパッケージに搭載されており、外部とデジタルコヒーレント光通信を行う光半導体装置であって、
前記パッケージの底部に搭載された前記半導体レーザと、
外部からの前記信号光を前記半導体レーザから出力された前記レーザ光である局発光源光を用いて受信する受信部と、
前記半導体受光素子を含む前記受信部が搭載された受信部搭載基板と、
を備えており、
前記受信部は前記半導体レーザに対向する面と反対側の面に配置されており、
前記受信部搭載基板は、
前記レーザ光が透過しない非透過基板であり、
前記半導体レーザが出力する前記局発光源光が通過する光通過部を有しており、かつ前記パッケージの外周部で囲まれた前記底部を前記外周部との隙間が無い又は隙間がある状態で覆っており、
前記受信部搭載基板が前記パッケージの前記外周部で囲まれた前記底部を前記外周部との隙間がある状態で覆っている場合は、前記パッケージの前記外周部と前記受信部搭載基板との隙間の長さが前記受信部搭載基板の厚み以下である、
光半導体装置。
【請求項2】
前記受信部搭載基板は金属基板である、請求項1記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記受信部搭載基板は、前記半導体レーザに対向する面に金属めっき層が形成されている、請求項1記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記受信部搭載基板は、前記半導体レーザに対向する面と反対側の面に金属めっき層が形成されている、請求項3記載の光半導体装置。
【請求項5】
前記受信部搭載基板は、前記半導体レーザに対向する面に前記レーザ光を吸収する黒色めっき層が形成されている、請求項1記載の光半導体装置。
【請求項6】
前記受信部搭載基板は、前記半導体レーザに対向する面と反対側の面に前記レーザ光を吸収する黒色めっき層が形成されている、請求項5記載の光半導体装置。
【請求項7】
前記受信部搭載基板は、前記半導体レーザに対向する面に前記局発光源光と同じ周波数の光を多重反射する凹部が複数形成されている、請求項1または2に記載の光半導体装置。
【請求項8】
前記受信部搭載基板における前記局発光源光が通過する前記光通過部は、前記受信部搭載基板を貫通する孔である、請求項1から7のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項9】
前記受信部搭載基板は、
基材が、前記レーザ光が透過するガラス基板であり、
前記半導体レーザに対向する面及びこの面と反対側の面に、前記半導体レーザが出力する前記局発光源光が通過する開口を有する金属めっき層が形成されており、
前記局発光源光が通過する前記光通過部は、前記開口により露出された前記ガラス基板の部分である、
請求項1記載の光半導体装置。
【請求項10】
前記パッケージは、
前記外周部の内側に延伸して設けられ、前記受信部搭載基板を配置する基板配置部と、
前記基板配置部に形成され、前記受信部搭載基板と導電性接続部材により接続する金属の基板接続パターンと、を備えている、
請求項1から9のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項11】
前記パッケージは、
前記外周部の内側に延伸して設けられ、前記受信部搭載基板を配置する基板配置部と、
前記基板配置部に形成され、前記受信部搭載基板と導電性接続部材により接続する金属のグランドパターンと、を備えており、
前記グランドパターンは、当該光半導体装置の接地電位になっている、
請求項1から9のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、4つの異なる波長の光信号を多重化して送受信する光モジュールが開示されている。特許文献1の光モジュールは半導体レーザ、半導体受光素子を1つのパッケージに搭載した送受一体型光アセンブリを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-197635号公報(図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体レーザ、半導体受光素子を1つのパッケージに搭載した光半導体装置は、一般的に送信側である半導体レーザと受信側である半導体受光素子とが同一基板の平面内に配置されている。特許文献1の送受一体型光アセンブリも、送信側である半導体レーザと受信側である半導体受光素子とが同一基板の平面内に配置されている。また、特許文献1の送受一体型光アセンブリは、送信側の光学系と受信側の光学系とが壁などの光学的遮蔽を設けることなく配置されている。この構造では送信側の光が受信側に漏れる迷光が発生した場合には、この迷光がノイズになり受信側の特性劣化につながる可能性がある。
【0005】
特許文献1の送受一体型光アセンブリは、送信側と受信側とが独立して動作するので、送信側の迷光が受信側へ漏れないようにするために、それぞれ独立のパッケージにしたり、双方搭載した同一パッケージにおいても遮蔽のための壁を設けたりすることが可能である。しかしながら、昨今のデジタルコヒーレント光通信を行う光半導体装置では、受信の際に送信側の光(局発光源光)を受信側に送る必要があり、信号光源と局発光源とが兼用されている場合には、送信側と受信側とを独立したパッケージにすることは困難である。また一つのパッケージに送信側と受信側とが配置されており、信号光源と局発光源とが兼用されている場合に、更なるパッケージサイズの小型化への要求から、水平方向に配置された送信側と受信側との間に迷光を完全に遮蔽する壁を配置するスペースを設けることが困難であり、壁の配置が困難である。
【0006】
本願明細書に開示される技術は、デジタルコヒーレント光通信を行う場合でも、小型でありながら送信側から受信側への迷光を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に開示される一例の光半導体装置は、レーザ光を出力する半導体レーザ及び外部からの信号光を受信する半導体受光素子がパッケージに搭載されており、外部とデジタルコヒーレント光通信を行う光半導体装置である。光半導体装置は、パッケージの底部に搭載された半導体レーザと、外部からの信号光を半導体レーザから出力されたレーザ光である局発光源光を用いて受信する受信部と、半導体受光素子を含む受信部が搭載された受信部搭載基板と、を備えている。受信部は半導体レーザに対向する面と反対側の面に配置されている。受信部搭載基板は、レーザ光が透過しない非透過基板であり、半導体レーザが出力する局発光源光が通過する光通過部を有しており、かつパッケージの外周部で囲まれた底部を外周部との隙間が無い又は隙間がある状態で覆っている。受信部搭載基板がパッケージの外周部で囲まれた底部を外周部との隙間がある状態で覆っている場合は、パッケージの外周部と受信部搭載基板との隙間の長さが受信部搭載基板の厚み以下である。
【発明の効果】
【0008】
本願明細書に開示される一例の光半導体装置は、レーザ光を出力する半導体レーザがパッケージの底部に搭載されており、パッケージの外周部で囲まれた底部を外周部との隙間が無い又は隙間がある状態で覆っている受信部搭載基板における半導体レーザと反対側に受信部が搭載されているので、デジタルコヒーレント光通信を行う場合でも、小型でありながら送信側から受信側への迷光を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る光半導体装置を示す図である。
図2】実施の形態1に係る光半導体装置におけるパッケージの底部側を示す図である。
図3図1のA-Aで示した破線に沿った断面図である。
図4図1のB-Bで示した破線に沿った断面図である。
図5図2の送信光が通過するプリズムが配置された基板及びサーモモジュールを示す図である。
図6図1の受信部搭載基板の光通過部を示す図である。
図7図1の隙間を説明する図である。
図8】実施の形態1に係るパッケージの他の例を示す図である。
図9】実施の形態1に係る光半導体装置の受信経路を示す図である。
図10】実施の形態1に係る光半導体装置の局発光源光経路を示す図である。
図11】実施の形態1に係る光半導体装置の送信経路を示す図である。
図12】実施の形態1に係る受信部搭載基板の他の例を示す図である。
図13】実施の形態1に係る受信部搭載基板の他の例を示す図である。
図14】実施の形態2に係る光半導体装置を示す図である。
図15】実施の形態3に係る光半導体装置を示す図である。
図16】実施の形態4に係る光半導体装置を示す図である。
図17】実施の形態4に係る光半導体装置におけるパッケージの底部側を示す図である。
図18図16のA-Aで示した破線に沿った断面図である。
図19図16のB-Bで示した破線に沿った断面図である。
図20図17のグランドパターンと受信部搭載基板との接続例を示す図である。
図21図17のグランドパターンと受信部搭載基板との接続例を示す図である。
図22】実施の形態5に係る光半導体装置を示す図である。
図23図22の受信部搭載基板の光通過部を示す図である。
図24図23の光透過部の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る光半導体装置を示す図であり、図2は実施の形態1に係る光半導体装置におけるパッケージの底部側を示す図である。図3図1のA-Aで示した破線に沿った断面図であり、図4図1のB-Bで示した破線に沿った断面図である。図5図2の送信光が通過するプリズムが配置された基板及びサーモモジュールを示す図であり、図6図1の受信部搭載基板の光通過部を示す図である。図7図1の隙間を説明する図であり、図8は実施の形態1に係るパッケージの他の例を示す図である。図9は実施の形態1に係る光半導体装置の受信経路を示す図であり、図10は実施の形態1に係る光半導体装置の局発光源光経路を示す図である。図11は、実施の形態1に係る光半導体装置の送信経路を示す図である。図12及び図13は、実施の形態1に係る受信部搭載基板の他の例を示す図である。光半導体装置100は、パッケージ110、送信光25を外部に出力するレセプタクル51、外部からの信号光である受信光24を入力するレセプタクル52、パッケージ110内部からレセプタクル51へ送信光25を通過させる窓62、レセプタクル52からパッケージ110内部へ受信光24を通過させる窓63、半導体受光素子22を含む受信部10、受信部10が搭載された受信部搭載基板30、半導体レーザ21を含んでおり、パッケージ110の底部103に搭載された送信部11を備えている。なお、送信部11は信号光を送信する際に用いる部品以外に信号光を受信する際に用いる部品を備えているが、信号光を送信する際に用いる部品を備えているのでパッケージ110の底部103に搭載された部品全体を送信部と表現した。なお、受信部10は信号光を受信する際に用いる部品のみを備えている。
【0011】
光半導体装置100は、レーザ光を出力する半導体レーザ21及び外部からの信号光である受信光24を受信する半導体受光素子22を含む受信部10がパッケージ110に搭載されており、外部とデジタルコヒーレント光通信を行う。デジタルコヒーレント光通信は、受信光24を受信する際に半導体レーザ21から出力されたレーザ光である局発光源光26を用いて受信する。本願明細書では、外部に送信する信号光である送信光25を出力する信号光源と受信光24を受信する際に用いるレーザ光を出力する局発光源とを兼用している例を説明する。
【0012】
受信部10は、例えば、プリズム53、偏波合分波プリズム54、偏波回転板55、プリズム56、3つのレンズ57、58、59、90度ハイブリッド91、レンズ60、半導体受光素子22、増幅器92を備えている。送信部11は、例えば、3つのサーモモジュール71、72、76、各サーモモジュール71、72、76に配置された基板68、65、77、基板77に配置された半導体レーザ21、レンズ69、基板65に配置されたプリズム67、偏波回転板66、偏波合分波プリズム64、基板68に配置された2つのプリズム14、15を備えている。受信部搭載基板30は、レーザ光が透過しない非透過基板37である。非透過基板37の材料は、光が透過しない物質であり、例えば金属、セラミックである。受信部搭載基板30は、受信光24を通過させる通過部であり、貫通した孔12、半導体レーザ21が出力するレーザ光である局発光源光26を通過させる通過部であり、貫通した孔13を有している。孔12、13は、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面とこの面と反対側の面を貫通している。適宜、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面を受信部搭載基板30の内側面、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面と反対側の面を受信部搭載基板30の外側面と表現する。非透過基板37の材料すなわち基板の基材が金属の場合、受信部搭載基板30は金属基板である。非透過基板37の材料すなわち基板の基材がセラミックの場合、受信部搭載基板30はセラミック基板である。
【0013】
パッケージ110は、外周部102、底部103、外周部102の内側に延伸して設けられ、受信部搭載基板30を配置する基板配置部104、基板配置部104に形成され、受信部搭載基板30と導電性接続部材35により接続する金属の基板接続パターン105、外部と電気的に接続する電極パターン106を備えている。基板配置部104は、底部103の垂直方向において底部103から最も離れた外周部の端部よりも底部103側に形成さており、底部103の垂直方向に垂直な水平方向においてパッケージ110の内側に外周部102が延伸して形成されている。基板配置部104は外周部102の一部ということもできる。電極パターン106を介して、パッケージ110内の半導体素子、サーモモジュール等は外部の機器に接続される。受信部搭載基板30はパッケージ110の底部103を覆っており、パッケージ110の底部103に搭載された半導体レーザ21を含む送信部11を覆っている。実施の形態1の光半導体装置100は、レーザ光を出力する半導体レーザ21を含む送信部11と外部からの信号光である受信光24を受信する半導体受光素子22を含む受信部10とが受信部搭載基板30を挟んで配置された立体配置構造を備えている。実施の形態1の光半導体装置100は、立体配置構造により、パッケージ110内部の搭載領域を拡大することができる。すなわち、実施の形態1の光半導体装置100は、受信光24及び送信光25の進行方向に垂直な方向の長さを短縮することができ、小型にすることができる。なお、パッケージ110は、送信部11、受信部搭載基板30に搭載された受信部10が搭載された後に、底部103と接続されていない側の外周部102における底部103に略平行な表面にて蓋(図示せず)により接続され、内部は蓋により密閉される。ここで、略平行は、完全な平行に限らず、許容される角度ずれまでも含んでいる。
【0014】
プリズム14、15、53、56、67は、レーザ光等の光の進行方向を変える部品である。偏波合分波プリズム54、64は、X偏波、Y偏波の光を合波したり分波したりするプリズムである。偏波回転板55、66は、偏波の方向を変える板状の部品である。レンズ57、58、59、60、69は、レーザ光等の光のビーム径を縮小する部品である。窓62、63は、信号光が通過するガラス製の部品である。基板65、68、77は、搭載される部品の高さを調整する板状の部品である。サーモモジュール71、72、76は、温度調整用部品であり、例えばペルチェ素子である。サーモモジュール71、72、76により、基板68、65、77に配置された半導体レーザ21が出力するレーザ光の周波数、プリズム67、14、15、他の部品の特性等が安定に保たれている。
【0015】
90度ハイブリッド91は、信号光と局発光源光(基準波)とを合成し、偏波に応じた光出力を得るための部品である。例えば、信号光の変調方式がQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式の場合は、90度ハイブリッド91は4つの信号光を出力する。半導体受光素子22は90度ハイブリッド91から出力された4つの信号光をそれぞれ受光する4つの受光部23を備えている。半導体受光素子22は、例えば導波路型のフォトダイオードである。増幅器92は、半導体受光素子22が出力する4つの信号を増幅する。
【0016】
レセプタクル51、52は外周部102の同一辺に配置されている。図3において、破線81aと破線81bとの間がレセプタクル51、52と反対側の外周部102に設けられた基板配置部104である。また、受信光24及び送信光25の進行方向に垂直な方向の外周部102の内側にも基板配置部104は形成されており、この部分の断面を図4に示した。適宜、レセプタクル51、52側を前側、レセプタクル51、52と反対側を後側と表現する。また、適宜、図1図2の向きを正面と表現する。図3において、電極パターン106は省略し、孔12、13を白抜きで示した。図3図4では、パッケージ110の底部103と受信部搭載基板30とが略平行になっている例を示した。
【0017】
図6には、受信部搭載基板30の正面における2つの光通過部である孔12、13を含んだ要部を示した。図6の左側が光半導体装置100の前側であり、図6の右側が光半導体装置100の後側である。プリズム53は孔12を覆うように配置されており、プリズム56は孔13を覆うように配置されている。孔12の中心軸すなわち前側の光通過部の中心軸41を含むように、プリズム14が基板68に配置されている。孔13の中心軸すなわち孔12よりも後側の光通過部の中心軸42を含むように、プリズム15が基板68に配置されている。プリズム53とプリズム14とは、中心軸41を含むように配置されている。同様に、プリズム56とプリズム15とは、中心軸42を含むように配置されている。
【0018】
図1には受信部搭載基板30とパッケージ110の外周部102との間に隙間43がある例を示した。図1に示した光半導体装置100は、受信部搭載基板30がパッケージ110の外周部102で囲まれた底部103の大部分を覆っている例、すなわちパッケージ110の外周部102で囲まれた底部103を外周部102との隙間43であり、送信部11と受信部10とが連通する隙間43がある状態で覆っている例である。この場合でも図7に示すように、パッケージ110の外周部102と受信部搭載基板30との隙間43の長さである隙間長dが、受信部搭載基板30の厚みである基板厚h以下になっていればよい。破線82aはパッケージ110の外周部102の内面の位置を示し、破線82bは受信部搭載基板30のパッケージ110の外周部102に対向する側面の位置を示している。基板配置部104が設けられた外周部102では、送信部11と受信部10とが連通する隙間43は無い。隙間43の隙間長dが基板厚h以下になっていれば、パッケージ110の底部103に搭載される部品によって半導体レーザ21から出力されたレーザ光が後述する受信の際及び送信の際の光経路から外れて、迷光が発生したとしても、迷光が隙間43に直接進行する部品配置は採用されないので、受信側へ到達することなく迷光は消滅する。したがって、受信部搭載基板30がパッケージ110の外周部102で囲まれた底部103の大部分を覆っている場合は、パッケージ110の外周部102と受信部搭載基板30との隙間43の長さ(隙間長d)が受信部搭載基板30の厚み(基板厚h)以下であればよい。
【0019】
図8に示した他のパッケージ110は、パッケージ110の外周部102の内側における窓62、63が配置されていない部分に基板配置部104が設けられている例である。図8に示した他のパッケージ110を備えた光半導体装置100は、受信部搭載基板30がパッケージ110の外周部102で囲まれた底部103の全てを覆っている例、すなわちパッケージ110の外周部102で囲まれた底部103を外周部102との隙間43であり、送信部11と受信部10とが連通する隙間43が無い状態で覆っている例である。この場合には、パッケージ110の外周部102と受信部搭載基板30との間に隙間43がないので、パッケージ110の底部103に搭載する部品配置の自由度を高めることができる。
【0020】
図9図11を用いて、受信の際の光経路及び送信の際の光経路を説明する。図9には受信部10の受信経路を示した。なお、図9では、パッケージ110の底部103に搭載されたプリズム14、15を破線で示し、このプリズム14、15と相対する位置の窓63を破線の窓63aも示した。図10には、パッケージ110の底部103に搭載された送信部11における、受信光24の受信経路及び受信の際に用いる局発光源光26の光経路を示した。なお、図10では、受信部搭載基板30に搭載されたプリズム53、56を破線で示した。図11には、パッケージ110の底部103に搭載された送信部11の送信経路を示した。
【0021】
受信光24は、光経路s1のように窓63を通過してプリズム14に入射する。受信光24は、光経路s2のように、プリズム14にて受信部搭載基板30の孔12側へ反射して、孔12を通過してプリズム53に入射する。その後、受信光24の一部、例えばX偏波の信号光は、光経路s3のように、偏波合分波プリズム54を通過してレンズ59に入射する。受信光24の一部、例えばY偏波の信号光は、光経路s4のように、偏波合分波プリズム54で分離され、偏波回転板55を通過してレンズ57に入射する。
【0022】
半導体レーザ21から出力されたレーザ光である局発光源光26は、光経路a1のように、レンズ69を通過してプリズム67に入射する。局発光源光26は、光経路a2のように、プリズム67にて反射してプリズム15に入射する。局発光源光26は、光経路a3のように、プリズム15にて受信部搭載基板30の孔13側へ反射して、孔13を通過してプリズム56に入射する。その後、局発光源光26は、光経路a4のようにレンズ58に入射する。受信光24のX偏波の信号光は、光経路s6のようにレンズ59から90度ハイブリッド91に入射する。受信光24のY偏波の信号光は、光経路s5のようにレンズ57から90度ハイブリッド91に入射する。局発光源光26は、光経路a5のようにレンズ58から90度ハイブリッド91に入射する。
【0023】
90度ハイブリッド91は、受信光24のX偏波の信号光及び局発光源光26に基づいて、受信光24のX偏波における同相成分の信号光XI、直交成分の信号光XQを出力する。受信光24のX偏波における同相成分の信号光XI、直交成分の信号光XQは、それぞれ光経路s10、s9のように、レンズ60を通過して半導体受光素子22の2つの受光部23に入射する。また、90度ハイブリッド91は、受信光24のY偏波の信号光及び局発光源光26に基づいて、受信光24のY偏波における同相成分の信号光YI、直交成分の信号光YQを出力する。受信光24のY偏波における同相成分の信号光YI、直交成分の信号光YQは、それぞれ光経路s8、s7のように、レンズ60を通過して半導体受光素子22の2つの受光部23に入射する。図9に示した4つの受光部23を右から順番に、第一の受光部、第二の受光部、第三の受光部、第四の受光部とする。第一の受光部23は受信光24の信号光XIを受光し、第二の受光部23は受信光24の信号光XQを受光する。第三の受光部23は受信光24の信号光YIを受光し、第四の受光部23は受信光24の信号光YQを受光する。
【0024】
光半導体装置100が送信光25を出力する際に、半導体レーザ21は変調前のレーザ光である信号光を出力する。半導体レーザ21から出力された変調前の信号光は、光経路t1のようにレンズ69を通過してレーザ光処理器95に入射する。レーザ光処理器95は、例えば、信号光の変調方式がQPSK方式の場合は、4つの変調信号TXI、TXQ、TYI、TYQに基づいて変調されたX偏波用の信号光TX、Y偏波用の信号光TYを出力する。X偏波用の信号光TXは、光経路t2のように偏波合分波プリズム64に入射する。Y偏波用の信号光TYは、光経路t3のように偏波回転板66を通過して偏波合分波プリズム64に入射する。光経路t4のように偏波合分波プリズム64にて信号光TXと信号光TYとが合波された送信光25は窓62を通過して、レセプタクル51から外部に出力される。偏波合分波プリズム64にて、X偏波の信号光TXとY偏波の信号光TYとが合波される。
【0025】
なお、図1図3図10では、送信光25に合波される2つの信号光を出力するレーザ光処理器95は、省略した。レーザ光処理器95は、例えば、局発光源光26を通過させる導波路を備えていてもよい。この場合、レーザ光処理器95の導波路を通過した局発光源光26が、プリズム67に入射する。
【0026】
仮に半導体レーザから出力されたレーザ光が送信部11の部品にて反射して、光経路a1、a2、a3、t1、t2、t3と異なる経路の光すなわち迷光が発生したとしても、受信部搭載基板30が物理的遮蔽物となる。このため実施の形態1の光半導体装置100は、受信部搭載基板30にて迷光を跳ね返すことで、受信部搭載基板30を挟んだ送信部11と反対側の受信部10に迷光が漏れることがなく、受信光24の光学的特性の劣化を防ぐことができる。
【0027】
前述したように、特許文献1の送受一体型光アセンブリは、送信側である半導体レーザと受信側である半導体受光素子とが同一基板の同一平面内に搭載されているので、送信側の変調信号等の高周波信号から漏れる電気ノイズが受信側に届き、特性劣化につながる可能性があった。これに対して、実施の形態1の光半導体装置100は、半導体レーザ21を含む送信部11と半導体受光素子22を含む受信部10とが受信部搭載基板30を挟んで配置されているので、受信部搭載基板30によって送信部11側からの電気ノイズが受信部10側への漏れることを防止することができる。受信部搭載基板30が金属基板の場合は、受信部搭載基板30がセラミック基板の場合よりも受信部10側への電気ノイズの漏れ防止効果を高めることができる。なお、半導体受光素子22、増幅器92は絶縁基板に形成されているので、金属基板の受信部搭載基板30に搭載しても動作することができる。なお、半導体受光素子22、増幅器92が絶縁基板に形成されていない場合は、アルミナ、窒化アルミ等の絶縁基板を金属基板の受信部搭載基板30との間に介在させる。
【0028】
特許文献1の送受一体型光アセンブリにおいて、送信側と受信側との間に壁を配置する場合には、パッケージとパッケージを密閉する蓋とが干渉することを防ぐために、蓋と壁との間に隙間を設ける必要がある。この蓋と壁との間に生じる隙間は、パッケージの長手方向すなわち送信光及び受信光に平行な方向に長くなるので、長手方向に垂直な水平方向に配置された送信側と受信側との間の隙間から迷光が漏れ易い構造になってしまう。これに対して、実施の形態1の光半導体装置100は、半導体レーザ21を含む送信部11と半導体受光素子22を含む受信部10とが受信部搭載基板30を挟んで配置されているので、送信側から受信側への迷光を防止することができる。実施の形態1の光半導体装置100は、受信部搭載基板30とパッケージ110の外周部102との間に僅かな隙間43があったとしても、受信部搭載基板30とパッケージ110の外周部102との間に迷光が直接進行する部品配置は採用されないので、仮に迷光が発生したとしても受信側へ到達することなく迷光は消滅する。
【0029】
受信部搭載基板30は、半導体レーザ21に対向する面が平面に限らず、図12図13のように半導体レーザ21に対向する面に複数の凹部38を備えていてもよい。隣接する凹部38の間は凸部39になっている。図12に示した凹部38は深さ、形状が不均一な例であり、図13に示した凹部38は深さ、形状が均一な例である。迷光34aが受信部搭載基板30の凹部38に入射すると凹部38内で多重反射して、減衰した迷光34bが受信部搭載基板30の凹部38からパッケージ110の底部103側へ出射される。凹部38の深さが深いほど、凹部38内での多重反射の回数が多くなるので、深い凹部38を有する方が、迷光を減衰させる効果が高い。受信部搭載基板30に形成された凹部38は、局発光源光26と同じ周波数の光を多重反射により減衰することができる。従って、半導体レーザ21に対向する面に複数の凹部38が形成された受信部搭載基板30を備えた実施の形態1の光半導体装置100は、半導体レーザ21に対向する面に凹部38が形成されていない受信部搭載基板30を備えた実施の形態1の光半導体装置100よりも、送信側から受信側への迷光を防止する効果を高めることができる。
【0030】
以上のように、実施の形態1の光半導体装置100は、レーザ光を出力する半導体レーザ21及び外部からの信号光(受信光24)を受信する半導体受光素子22がパッケージ110に搭載されており、外部とデジタルコヒーレント光通信を行う光半導体装置である。実施の形態1の光半導体装置100は、パッケージ110の底部103に搭載された半導体レーザ21と、外部からの信号光(受信光24)を半導体レーザ21から出力されたレーザ光である局発光源光26を用いて受信する受信部10と、半導体受光素子22を含む受信部10が搭載された受信部搭載基板30と、を備えている。受信部10は半導体レーザ21に対向する面と反対側の面に配置されている。受信部搭載基板30は、レーザ光が透過しない非透過基板37であり、半導体レーザ21が出力する局発光源光26が通過する光通過部(孔13)を有しており、かつパッケージ110の外周部102で囲まれた底部103を外周部102との隙間43が無い又は隙間43がある状態で覆っている。受信部搭載基板30がパッケージ110の外周部102で囲まれた底部103を外周部102との隙間43がある状態で覆っている場合は、パッケージ110の外周部102と受信部搭載基板30との隙間43の長さ(隙間長d)が受信部搭載基板30の厚み(基板厚h)以下である。実施の形態1の光半導体装置100は、この構成により、レーザ光を出力する半導体レーザ21がパッケージ110の底部103に搭載されており、パッケージ110の外周部102で囲まれた底部103を外周部102との隙間43が無い又は隙間43がある状態で覆っている受信部搭載基板30における半導体レーザ21と反対側に受信部10が搭載されているので、デジタルコヒーレント光通信を行う場合でも、小型でありながら送信側から受信側への迷光を防止することができる。
【0031】
実施の形態2.
図14は、実施の形態2に係る光半導体装置を示す図である。図14に示した断面図は、実施の形態1の図3に対応する図である。実施の形態2の光半導体装置100は、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面及びこの面と反対側の面に金属めっき層31が形成されている点で、実施の形態1の光半導体装置100と異なる。実施の形態1の光半導体装置100と異なる部分を主に説明する。
【0032】
実施の形態2の受信部搭載基板30は、非透過基板37、非透過基板37の内側面及び外側面に形成された金属めっき層31を備えている。金属めっき層31は、孔12、13の部分に開口33が形成されている。非透過基板37の材料は、光が透過しない物質であり、例えば金属、セラミックである。受信光24は、受信部搭載基板30の内側面の開口33、孔12、受信部搭載基板30の外側面の開口33を通過して、送信部11から受信部10に入力される。局発光源光26は、受信部搭載基板30の内側面の開口33、孔13、受信部搭載基板30の外側面の開口33を通過して、送信部11から受信部10に入力される。なお、図14において、電極パターン106は省略し、孔12、13、開口33を白抜きで示した。実施の形態2の光半導体装置100は、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面及びこの面と反対側の面に金属めっき層31が形成されているので、セラミック基板の受信部搭載基板30に比べて、送信部11側から受信部10側への電気ノイズを防止する効果を高めることができる。
【0033】
実施の形態2の光半導体装置100は、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面及びこの面と反対側の面に金属めっき層31が形成されていること以外は実施の形態1の光半導体装置100と同じ構造を備えているので、実施の形態1の光半導体装置100と同様に、デジタルコヒーレント光通信を行う場合でも、小型でありながら送信側から受信側への迷光を防止することができる。実施の形態2の光半導体装置100は、実施の形態1の光半導体装置100と同様に、受信部搭載基板30にて迷光を跳ね返すことで、受信部搭載基板30を挟んだ送信部11と反対側の受信部10に迷光が漏れることがなく、受信光24の光学的特性の劣化を防ぐことができる。
【0034】
図14では、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面及びこの面と反対側の面に金属めっき層31が形成されている例を示したが、少なくとも受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面に金属めっき層31が形成されていればよい。内側面すなわち半導体レーザ21に対向する面に金属めっき層31が形成された受信部搭載基板30を備えた実施の形態2の光半導体装置100も、内側面及び外側面に金属めっき層31が形成された受信部搭載基板30を備えた実施の形態2の光半導体装置100と同様の効果を奏する。
【0035】
実施の形態3.
図15は、実施の形態3に係る光半導体装置を示す図である。図15に示した断面図は、実施の形態1の図3に対応する図である。実施の形態3の光半導体装置100は、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面及びこの面と反対側の面に黒色めっき層32が形成されている点で、実施の形態1の光半導体装置100と異なる。実施の形態1の光半導体装置100と異なる部分を主に説明する。
【0036】
実施の形態3の受信部搭載基板30は、非透過基板37、非透過基板37の内側面及び外側面に形成された黒色めっき層32を備えている。黒色めっき層32は、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)のめっき層である。黒色めっき層32は、孔12、13の部分に開口33が形成されている。非透過基板37の材料は、光が透過しない物質であり、例えば金属、セラミックである。受信光24は、受信部搭載基板30の内側面の開口33、孔12、受信部搭載基板30の外側面の開口33を通過して、送信部11から受信部10に入力される。局発光源光26は、受信部搭載基板30の内側面の開口33、孔13、受信部搭載基板30の外側面の開口33を通過して、送信部11から受信部10に入力される。なお、図15において、電極パターン106は省略し、孔12、13、開口33を白抜きで示した。黒色めっき層32は半導体レーザ21が出力するレーザ光を吸収する。このため、迷光が発生した場合でも受信部搭載基板30の黒色めっき層32で迷光が吸収されるので、送信側から受信側への迷光を防止することができる。実施の形態3の光半導体装置100は、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面及びこの面と反対側の面に黒色めっき層32が形成されているので、セラミック基板の受信部搭載基板30に比べて、送信部11側から受信部10側への電気ノイズを防止する効果を高めることができる。
【0037】
実施の形態3の光半導体装置100は、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面及びこの面と反対側の面に黒色めっき層32が形成されていること以外は実施の形態1の光半導体装置100と同じ構造を備えているので、実施の形態1の光半導体装置100と同様に、デジタルコヒーレント光通信を行う場合でも、小型でありながら送信側から受信側への迷光を防止することができる。実施の形態3の光半導体装置100は、受信部搭載基板30の黒色めっき層32が迷光を吸収するので、実施の形態1の光半導体装置100と同様に、受信部搭載基板30を挟んだ送信部11と反対側の受信部10に迷光が漏れることがなく、受信光24の光学的特性の劣化を防ぐことができる。
【0038】
図15では、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面及びこの面と反対側の面に黒色めっき層32が形成されている例を示したが、少なくとも受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面に黒色めっき層32が形成されていればよい。内側面すなわち半導体レーザ21に対向する面に黒色めっき層32が形成された受信部搭載基板30を備えた実施の形態3の光半導体装置100も、内側面及び外側面に黒色めっき層32が形成された受信部搭載基板30を備えた実施の形態3の光半導体装置100と同様の効果を奏する。
【0039】
実施の形態4.
図16は実施の形態4に係る光半導体装置を示す図であり、図17は実施の形態4に係る光半導体装置におけるパッケージの底部側を示す図である。図18図16のA-Aで示した破線に沿った断面図であり、図19図16のB-Bで示した破線に沿った断面図である。図20図21は、それぞれ図17のグランドパターンと受信部搭載基板との接続例を示す図である。なお、図18において、電極パターン106は省略し、孔12、13を白抜きで示した。実施の形態4の光半導体装置100は、パッケージ110の基板配置部104に当該光半導体装置の接地電位になっている金属のグランドパターン108が形成されており、受信部搭載基板30が導電性接続部材35によりグランドパターン108に接続されている点で、実施の形態1~3の光半導体装置100と異なる。実施の形態1の光半導体装置100と異なる部分を主に説明する。
【0040】
実施の形態4の光半導体装置100は、実施の形態1の光半導体装置100における金属の基板接続パターン105が当該光半導体装置の接地電位になっているということもできる。実施の形態4の光半導体装置100は、受信部搭載基板30が当該光半導体装置の接地電位になっているので、実施の形態1の光半導体装置100よりも送信部11側から受信部10側への電気ノイズを防止する効果を高めることができる。
【0041】
導電性接続部材35は、例えばはんだ、導電性接着剤である。導電性接続部材35がはんだ16の場合におけるパッケージ110のグランドパターン108と受信部搭載基板30との接続例を図20に示した。導電性接続部材35が導電性接着剤17の場合におけるパッケージ110のグランドパターン108と受信部搭載基板30との接続例を図21に示した。なお、実施の形態1~3の光半導体装置100における導電性接続部材35も、例えばはんだ、導電性接着剤である。
【0042】
実施の形態4の光半導体装置100は、受信部搭載基板30が導電性接続部材35によりパッケージ110のグランドパターン108に接続されていること以外は実施の形態1の光半導体装置100と同じ構造を備えているので、実施の形態1の光半導体装置100と同様に、デジタルコヒーレント光通信を行う場合でも、小型でありながら送信側から受信側への迷光を防止することができる。実施の形態4の光半導体装置100は、実施の形態1の光半導体装置100と同様に、受信部搭載基板30にて迷光を跳ね返すことで、受信部搭載基板30を挟んだ送信部11と反対側の受信部10に迷光が漏れることがなく、受信光24の光学的特性の劣化を防ぐことができる。
【0043】
また、実施の形態2の受信部搭載基板30を備えた実施の形態4の光半導体装置100は、実施の形態2の光半導体装置100と同様の効果を奏する。実施の形態3の受信部搭載基板30を備えた実施の形態4の光半導体装置100は、実施の形態3の光半導体装置100と同様の効果を奏する。
【0044】
実施の形態5.
図22は、実施の形態5に係る光半導体装置を示す図である。図23図22の受信部搭載基板の光通過部を示す図であり、図24図23の光透過部の断面を示す図である。図22に示した断面図は、実施の形態1の図3に対応する図である。実施の形態5の光半導体装置100は、レーザ光が通過しない非透過基板である受信部搭載基板30の基材がガラス基板36である点で、実施の形態2の光半導体装置100と異なる。実施の形態2の光半導体装置100と異なる部分を主に説明する。
【0045】
ガラス基板36は平面度が高く、搭載する部品の配置精度を高めることができる。また、ガラス基板36は、成型が容易であるため、金属基板、セラミック基板よりも安価に作製することができる。
【0046】
実施の形態5の受信部搭載基板30は、ガラス基板36、ガラス基板36の内側面及び外側面に形成された金属めっき層31を備えている。金属めっき層31は、受信光24が通過する光通過部であるガラス基板36の光透過部18の部分及び、局発光源光26が通過する光通過部であるガラス基板36の光透過部19の部分に開口33が形成されている。図23では開口33が円形の例を示した。図24には受信光24が通過する光透過部18の断面を示した。破線83aと破線83bとの間に開口33が形成され、ガラス基板36における破線83aと破線83bとの間が光透過部18になっている。光透過部18は、開口33により露出されたガラス基板36の部分である。局発光源光26が通過する光透過部19も光透過部18と同様の構造である。なお、図22において、電極パターン106は省略し、開口33、開口33により露出した光透過部を白抜きで示した。
【0047】
受信光24は、受信部搭載基板30の内側面の開口33、光透過部18、受信部搭載基板30の外側面の開口33を通過して、送信部11から受信部10に入力される。局発光源光26は、受信部搭載基板30の内側面の開口33、光透過部19、受信部搭載基板30の外側面の開口33を通過して、送信部11から受信部10に入力される。実施の形態5の光半導体装置100は、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面及びこの面と反対側の面に金属めっき層31が形成されているので、実施の形態2の光半導体装置100と同様の効果を奏する。受信部搭載基板30は金属めっき層31の代わりに黒色めっき層32が形成されていてもよい。ガラス基板36の内側面及び外側面に形成された黒色めっき層32を備えた実施の形態5の受信部搭載基板30は、実施の形態3の光半導体装置100と同様の効果を奏する。
【0048】
図22では、受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面及びこの面と反対側の面に金属めっき層31が形成されている例を示したが、少なくとも受信部搭載基板30の半導体レーザ21に対向する面に金属めっき層31が形成されていればよい。内側面すなわち半導体レーザ21に対向する面に金属めっき層31が形成された受信部搭載基板30を備えた実施の形態5の光半導体装置100も、内側面及び外側面に金属めっき層31が形成された受信部搭載基板30を備えた実施の形態5の光半導体装置100と同様の効果を奏する。
【0049】
以上のように、実施の形態5の光半導体装置100は、レーザ光を出力する半導体レーザ21及び外部からの信号光(受信光24)を受信する半導体受光素子22がパッケージ110に搭載されており、外部とデジタルコヒーレント光通信を行う光半導体装置である。実施の形態5の光半導体装置100は、パッケージ110の底部103に搭載された半導体レーザ21と、外部からの信号光(受信光24)を半導体レーザ21から出力されたレーザ光である局発光源光26を用いて受信する受信部10と、半導体受光素子22を含む受信部10が搭載された受信部搭載基板30と、を備えている。受信部10は半導体レーザ21に対向する面と反対側の面に配置されている。受信部搭載基板30は、レーザ光が透過しない非透過基板であり、半導体レーザ21が出力する局発光源光26が通過する光通過部(光透過部19)を有しており、かつパッケージ110の外周部102で囲まれた底部103を外周部102との隙間43が無い又は隙間43がある状態で覆っている。受信部搭載基板30がパッケージ110の外周部102で囲まれた底部103を外周部102との隙間43がある状態で覆っている場合は、パッケージ110の外周部102と受信部搭載基板30との隙間43の長さ(隙間長d)が受信部搭載基板30の厚み(基板厚h)以下である。更に、非透過基板である受信部搭載基板30は、基材が、レーザ光が透過するガラス基板36である。受信部搭載基板30は、半導体レーザ21に対向する面及びこの面と反対側の面に、半導体レーザ21が出力する局発光源光26が通過する開口33を有する金属めっき層が形成されている。局発光源光が通過する光通過部(光透過部19)は、開口33により露出されたガラス基板の部分である。実施の形態5の光半導体装置100は、この構成により、レーザ光を出力する半導体レーザ21がパッケージ110の底部103に搭載されており、パッケージ110の外周部102で囲まれた底部103を外周部102との隙間43が無い又は隙間43がある状態で覆っている受信部搭載基板30における半導体レーザ21と反対側に受信部10が搭載されているので、デジタルコヒーレント光通信を行う場合でも、小型でありながら送信側から受信側への迷光を防止することができる。
【0050】
なお、実施の形態1~5では、デジタルコヒーレント光通信を行う場合の光半導体装置100を説明したが、レーザ光を出力する半導体レーザ21を含む送信部11と外部からの信号光である受信光24を受信する半導体受光素子22を含む受信部10とが受信部搭載基板30を挟んで配置された立体配置構造は、デジタルコヒーレント光通信と異なる光通信を行う場合の光半導体装置100にも適用できる。
【0051】
なお、本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0052】
10…受信部、13…孔(光通過部)、19…光透過部(光通過部)、21…半導体レーザ、22…半導体受光素子、24…受信光、26…局発光源光、30…受信部搭載基板、31…金属めっき層、32…黒色めっき層、33…開口、35…導電性接続部材、36…ガラス基板、37…非透過基板、38…凹部、43…隙間、100…光半導体装置、110…パッケージ、102…外周部、103…底部、104…基板配置部、105…基板接続パターン、108…グランドパターン、d…隙間長、h…基板厚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24