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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/74 20180101AFI20241101BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20241101BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20241101BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20241101BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20241101BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20241101BHJP
【FI】
F24F11/74
F24F11/64
F24F11/56
F24F11/65
F24F110:20
F24F110:10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023534587
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2022003528
(87)【国際公開番号】W WO2023286298
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/026385
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】細見 奨太
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸治
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-009539(JP,A)
【文献】特開平11-083125(JP,A)
【文献】特開2007-032933(JP,A)
【文献】特開2019-184218(JP,A)
【文献】特許第6847328(JP,B1)
【文献】国際公開第2020/035909(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台の室外機と、前記室外機から送出された冷媒が流れる冷媒配管が接続された少なくとも2台の室内機とを備える空気調和装置であって、
前記室内機は、
少なくとも蒸発器が前記冷媒配管に接続された冷媒回路と、
運転状態に応じて前記冷媒回路を制御する運転制御部と、
室内湿度を測定する湿度センサと、
前記蒸発器に対して送風を行う少なくとも2つの室内ファンと、
を備え、
前記運転制御部は、
除湿運転時に、前記湿度センサにより測定された湿度が予め設定された湿度しきい値以下の場合には、前記少なくとも2つの室内ファンのうちの少なくとも1つの室内ファンの回転を停止させ、
前記湿度センサにより測定された湿度が前記予め設定された湿度しきい値より高い場合には、前記少なくとも2つの室内ファンの回転を維持する、
空気調和装置。
【請求項2】
室内温度を測定する温度センサを備え、
前記運転制御部は、
前記温度センサにより測定された温度が予め設定された温度しきい値以下であって且つ前記湿度センサにより測定された湿度が予め設定された湿度しきい値以下の場合には、前記少なくとも2つの室内ファンのうちの少なくとも1つの室内ファンの回転を停止させ、前記温度センサにより測定された温度が前記予め設定された温度しきい値以下の場合であっても前記湿度センサにより測定された湿度が前記予め設定された湿度しきい値より高い場合には、前記少なくとも2つの室内ファンの回転を維持する、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記予め設定された温度しきい値よりも温度が高い第1温度しきい値と、前記予め設定された温度しきい値としての第2温度しきい値と、が予め設定されており、
前記運転制御部は、
前記温度センサにより測定された温度が、前記第1温度しきい値より高い場合には前記少なくとも2つの室内ファンのそれぞれを第1の回転数で回転させ、前記第1温度しきい値以下且つ前記第2温度しきい値より高い場合には前記少なくとも2つの室内ファンのうちの少なくとも1つの室内ファンを前記第1の回転数で回転させるとともに当該少なくとも1つの室内ファン以外の室内ファンを前記第1の回転数より低速の第2の回転数で回転させる、
請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記運転制御部は、
一定時間が経過すると、回転させる室内ファンと回転を停止させる室内ファンとを切り替える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記湿度センサは、前記室内機以外の場所に設けられている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記湿度センサは、前記室内機の運転を操作するためのリモートコントローラに設けられている、
請求項5に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記温度センサは、前記室内機以外の場所に設けられている、
請求項2または請求項のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記温度センサは、前記室内機の運転を操作するためのリモートコントローラに設けられている、
請求項に記載の空気調和装置。
【請求項9】
1台の前記室外機に接続されている前記室内機のうち、少なくとも1台の室内機は冷房運転を行っており、他の少なくとも1台の室内機は除湿運転を行っている、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置に関する。
本願は、2021年7月14日に国際出願されたPCT/JP2021/026385に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来から冷媒回路を用いたヒートポンプ式の空気調和装置があり、この空気調和装置において除湿運転を行う機能を有するものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、除湿運転時に室内ファンの回転数を制御することにより、熱交換器温度、潜熱比を制御する空気調和装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-153008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、1つの室内ファンの回転数を制御するのみでは、風量の制御範囲が狭いため、室内の空気から奪う潜熱と顕熱のバランスが悪くなったり、熱交換器に付着した水分が再蒸発したりすることにより、除湿運転であるにもかかわらず、室内湿度があまり低下せず、室内温度が下がりすぎてしまうことがある。
【0005】
本開示は、上記した事情に鑑みてなされたもので、室内温度の下がりすぎを抑制しつつ室内の除湿を行うことができる空気調和装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る空気調和装置は、1台の室外機と、前記室外機から送出された冷媒が流れる冷媒配管が接続された少なくとも2台の室内機とを備える空気調和装置であって、前記室内機は、少なくとも蒸発器が前記冷媒配管に接続された冷媒回路と、運転状態に応じて前記冷媒回路を制御する運転制御部と、室内温度を測定する温度センサと、前記蒸発器に対して送風を行う少なくとも2つの室内ファンと、を備え、前記運転制御部は、除湿運転時に、前記温度センサにより測定された温度が、予め設定された温度しきい値より高い場合には前記少なくとも2つの室内ファンのそれぞれを第1の回転数で回転させ、前記予め設定された温度しきい値以下の場合には前記少なくとも2つの室内ファンのうちの少なくとも1つの室内ファンを前記第1の回転数で回転させるとともに、当該少なくとも1つの室内ファン以外の室内ファンを前記第1の回転数より低速の第2の回転数で回転させる。
【0007】
また、本開示に係る空気調和装置は、1台の室外機と、前記室外機から送出された冷媒が流れる冷媒配管が接続された少なくとも2台の室内機とを備える空気調和装置であって、前記室内機は、少なくとも蒸発器が前記冷媒配管に接続された冷媒回路と、運転状態に応じて前記冷媒回路を制御する運転制御部と、室内湿度を測定する湿度センサと、前記蒸発器に対して送風を行う少なくとも2つの室内ファンと、を備え、前記運転制御部は、除湿運転時に、前記湿度センサにより測定された湿度が予め設定された湿度しきい値以下の場合には、前記少なくとも2つの室内ファンのうちの少なくとも1つの室内ファンの回転を停止させ、前記湿度センサにより測定された湿度が前記予め設定された湿度しきい値より高い場合には、前記少なくとも2つの室内ファンの回転を維持する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、室内温度の下がりすぎを抑制しつつ室内の除湿を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る空気調和装置の概略構成例を示すブロック図。
図2】第1の実施形態に係る室内機の内部構成の一例を示す模式図。
図3】第1の実施形態に係る空気調和装置の冷房運転時におけるp-h線図。
図4】第1の実施形態に係る除湿運転時の室内ファンの制御モードの設定例を示す模式図。
図5】第1の実施形態に係る除湿運転時の室内ファンの制御の一例を示すタイミングチャート。
図6】第1の実施形態に係る除湿運転時の室内ファンの制御の別の例を示すタイミングチャート。
図7】第2の実施形態に係る空気調和装置の室内機が設置されている室内空間の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態について説明する。
[空気調和装置の構成]
図1は、本実施形態に係る空気調和装置の概略構成例を示すブロック図である。図示する空気調和装置1は、1台の室外機2に対して複数の室内機3が接続されたマルチ型の空気調和装置である。空気調和装置1は、例えばビルやマンション等に設置され、1台の室外機2に接続された複数の室内機3のそれぞれが、それぞれの空調の対象領域である室内(被調和室内)に設置されている。空気調和装置1は、複数の室内機3のそれぞれが設置された室内空間のそれぞれを冷房、暖房、及び除湿する機能を有する。なお、空気調和装置1は、少なくとも冷房と除湿の機能を有する装置としてもよい。
【0011】
この図1では、室内機3A及び室内機3Bの2台の室内機3が1台の室外機2に接続されている例を示している。なお、室外機2に接続される室内機3の台数は、3台以上であってもよい。空気調和装置1は、室外機2に室内機3A及び室内機3Bが冷媒配管により接続された冷媒回路10を有している。
【0012】
室外機2は、例えばビルやマンション等の屋外に設置されている。室外機2は、冷媒配管により室内機3A及び室内機3Bに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。つまり、室外機2と室内機3A及び室内機3Bとは、冷媒配管を介して冷媒が循環されるように構成されている。室外機2は、冷媒回路10を介して冷媒を循環させることにより、室内機3A及び室内機3Bに冷熱又は温熱を供給する。
【0013】
図示する室外機2は、圧縮機21と、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の流れ方向を切り替える切替弁22と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23とを備えており、それぞれが冷媒回路10の一部として冷媒配管を介して直列に接続されている。また、室外機2は、室外熱交換器23に送風を行う室外ファン24を備えている。
【0014】
室内機3(3A、3B)は、例えばビルやマンション等の室内の天井に埋め込まれた天井埋込形、天井に吊り下げられた天吊形、もしくは室内の壁面に壁掛けられる壁掛形の室内機である。なお、ここでは、室内機3A及び室内機3Bの基本的な構成は同様である。室内機3A及び室内機3Bのそれぞれを特に区別しない場合は室内機3と記載して説明する。室内機3は、室外機2から冷熱又は温熱の供給を受け、それぞれが設置されている室内の空気を冷房または暖房する。
【0015】
図示する室内機3は、膨張機構としての絞り装置31と、利用側熱交換器としての室内熱交換器32とを備えており、それぞれが冷媒回路10の一部として冷媒配管を介して直列に接続されている。また、室内機3は、室内熱交換器32に送風を行う2つの室内ファン33A、33Bを備えている。室内機3は、室内ファン33A、33Bの回転を駆動する駆動部330を備えている。駆動部330は、室内ファン33Aの回転を駆動するためのアクチュエータ331Aと、室内ファン33Bの回転を駆動するためのアクチュエータ331Bとを備えている。
【0016】
図2は、室内機3の内部構成の一例を示す模式図である。配管部品30には、絞り装置31、当該絞り装置31と室内熱交換器32とを接続する冷媒配管などが設けられている。また、室内ファン33A、33Bは、長軸(回転軸X)方向が室内熱交換器32の長手方向と対応するように、回転軸Xの方向に並んで設けられている。室内ファン33A、33Bは、回転軸Xを中心として回転することにより、室内から取り込んだ空気を室内熱交換器32に対して送風する。この空気の流れにより、室内熱交換器32で熱交換された空気が室内機3から送出され室内空間へ戻る。冷房運転時は、室内熱交換器32で熱交換されて冷やされた冷気が室内へ送出される。暖房運転時は、室内熱交換器32で熱交換されて暖められた暖気が室内へ送出される。室内ファン33A、33Bの回転数を上げて高速回転にするほど、室内熱交換器32へ送風する風量が増加し、室内へ送出される冷気又は暖気の風量が増加する。
【0017】
本実施形態では、通常は1つの室内ファンが設けられるのに対し、長軸(回転軸X)方向に分割された2つの室内ファン33A、33Bが設けられている。ここでは、2つの室内ファン33A、33Bのそれぞれは、室内ファンが1つの場合に比較して室内熱交換器32に送風する範囲が約半分であり、熱交換させる空気の量も約半分であるものとする。即ち、1つの室内ファンと、1つの室内ファンを2つに分割した室内ファン33A、33Bとを同じ回転数で回転させたとき、2つの室内ファン33A、33Bのそれぞれの能力(冷房又は暖房の能力)は、1つの室内ファンの能力の約半分に相当する。換言すると、2つの室内ファン33A、33Bの両方をまとめた能力が1つの室内ファンの能力に相当する。
【0018】
なお、ここでは2つの室内ファン33A、33Bが搭載されている場合について例示しているが、3つ以上搭載されたものであってもよい。その場合、室内機3は、各室内ファンを駆動するためのアクチュエータの数も室内ファンの数に合わせて備えられている。なお、3つ以上の室内ファンが搭載されている場合、室内ファンの数とアクチュエータの数とが一致しない構成としてもよい。即ち、2以上のアクチュエータの一部が複数の室内ファンを駆動する構成としてもよい。
【0019】
図1に戻り、室内機3は、運転制御部40を備えている。運転制御部40は、冷房または暖房などの運転状態に応じて冷媒回路10を制御する。また、運転制御部40は、アクチュエータ331Aを制御することにより室内ファン33Aの回転及び停止、回転時の回転数(回転速度)などを制御する。また、運転制御部40は、アクチュエータ331Bを制御することにより室内ファン33Bの回転及び停止、回転時の回転数(回転速度)などを制御する。つまり、運転制御部40は、室内ファン33Aと室内ファン33Bとを個別に制御することができる。
【0020】
また、室内機3は、室内環境を測定するセンサを備えている。例えば、室内機3は、室内温度を測定するための温度センサ41及び室内湿度を測定するための湿度センサ42を備えている。運転制御部40は、ユーザにより設定された運転条件(例えば、温度設定、風量設定など)や、温度センサ41及び湿度センサ42の測定結果などに基づいて、室内ファン33A、33Bのそれぞれを制御する。なお、本実施形態では、図1に示すように、温度センサ41及び湿度センサ42は、室内ファン33A、33Bのうち室内ファン33A側に設けられているものとする。
【0021】
図3は、空気調和装置1の冷房運転時におけるp-h線図の一例を示している。図1及び図3を参照して空気調和装置の動作例について説明する。まず、室外機2において、低温・低圧の冷媒が圧縮機21により圧縮され、高温・高圧のガス冷媒となって吐出される(図2に示す点a)。圧縮機21から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン24の送風作用により室外空気に放熱しながら凝縮し液化する(図2に示す点b)。
【0022】
その後、室外熱交換器23から流出した高圧液冷媒は、絞り装置31により減圧されて低圧の気液二相冷媒となり(図2に示す点c)、室外機2から流出する。室外機2から流出した低圧ガス冷媒は室内機3に流入して室内熱交換器32に流入し、室内ファン33A、33Bの送風作用により空気から吸熱することで蒸発ガス化する(図2に示す点d)。この際、室内熱交換器32及び室内ファン33A、33Bにより室内の冷房が行われる。その後、冷媒は室外機2に流入し、圧縮機21に再度吸入される。
【0023】
ここで、空気調和装置1は、上述した冷房運転のほかに、室内を除湿する除湿運転を行う機能を有している。空気調和装置1は、除湿運転では、冷房運転と同じ冷媒の流れ(冷房サイクル)で顕熱比(SHF:Sensible Heat Factor)が冷房運転よりも低くなるように運転を行う弱冷房除湿運転を行う。
【0024】
従来は除湿運転(弱冷房除湿運転)を行う場合、室内温度が必要以上に低下してしまい、快適性が損なわれることがあった。除湿運転(弱冷房除湿運転)では、冷房運転時よりも顕熱比を低くするためには、例えば室内熱交換器32における冷媒温度と室内ファンの風量を制御することが考えられる。
【0025】
しかしながら、図1に示すようなマルチ型の空気調和装置1の場合、例えば室内機3Aでは除湿運転を行うが、室内機3Bでは冷房運転を行う場合もある。つまり、複数の室内機3が接続されている場合、1台の室内機3の運転状態によって冷媒温度を決めてしまうことができない。そのため、室内熱交換器32における冷媒温度の制御には頼らず、室内ファンの風量を制御することにより、除湿運転の際に冷房運転時よりも顕熱比を低くする必要がある。また、室内環境を測定するためには室内機3に備えられた温度センサ41及び湿度センサ42に風を通しておく必要がある。そのため、従来のように室内ファンが1つしかない場合には、風量の設定範囲が狭くなり、顕熱比を低くすることが困難である。
【0026】
そこで、本実施形態では、複数の室内機3のうち少なくとも2台(ここでは、室内機3A及び3B)が冷房サイクルで運転中であり、そのうち少なくとも一方が除湿運転を行っている状態において、少なくとも除湿運転を行っている室内機3は、2つの室内ファン33A、33Bのそれぞれの風量を個別に制御する。例えば、運転制御部40は、2つの室内ファン33A、33Bのそれぞれを異なる回転数で制御する。前述したように2つの室内ファン33A、33Bのそれぞれの能力は室内ファン33A、33Bを1つにまとめた室内ファンの能力の約半分であるため、室内ファン33A、33Bのそれぞれを異なる回転数で制御することにより、風量をより細かく調整することが可能となる。これにより、風量の設定範囲が広くなり、適切に顕熱比を制御することが可能となる。
【0027】
例えば、1つの室内ファンで、最も低速に運転した場合の風量を「1」とした場合、この風量「1」を本願のような2つの室内ファン33A、33Bで実現しようとすると、2つの室内ファン33A、33Bのそれぞれの最も低速に運転した場合の風量は約半分の「0.5」ずつとなる。そうすると、2つの室内ファン33A、33Bのうち、いずれか一方の室内ファンを最も低速な回転となるように運転し、残りの室内ファンを停止させる制御を行った場合、風量を「1」ではなく「0.5」とすることができる。これにより、1つの室内ファンを用いる場合に比べて、複数の室内ファンを用いる場合の方が、より低い風量とすることができるため、風量の設定可能な範囲を広げることができる。風量の設定範囲を広くすることができるため、より適切に顕熱比を制御することが可能となる。
【0028】
また、設定湿度に到達した後に室内ファンが回転している状態では、室内熱交換器32に付着した水分が蒸発し、除湿運転をしているにもかかわらず室内が加湿されてしまうことがある。
【0029】
そこで、運転制御部40は、2つの室内ファン33A、33Bを異なる回転数で回転させることにより風量の設定範囲を広くするだけでなく、室内ファン33A、33Bのうち回転させる室内ファンと回転を停止させる室内ファンとを混在させてもよい。例えば、運転制御部40は、室内ファン33Aを回転させて温度センサ41及び湿度センサ42への送風を維持することにより室内の温度及び湿度の測定を可能にしつつ、室内ファン33Bを停止させることにより室内熱交換器32へ送風する風量を抑えて水分の再蒸発を抑制することができる。
【0030】
図4は、除湿運転時の室内ファン33A、33Bの制御モードの設定例を示す模式図である。この図において、縦軸は温度センサ41により測定された室内温度Tinであり、第1温度しきい値T1refと、第1温度しきい値T1refよりも低い第2温度しきい値T2refとが予め設定されている。一方、横軸は湿度センサ42により測定された室内湿度RHであり、第1湿度しきい値RH1refと、第1湿度しきい値RH1refよりも低い第2湿度しきい値RH2refとが予め設定されている。室内ファン33A、33Bの制御モードが室内温度及び室内湿度のしきい値により分類されて設定されている。
【0031】
ここでは、室内ファン33A、33Bの制御モードとしての回転数の設定を、「高速回転」、「低速回転」、及び「停止」と分類して示している。「高速回転」は、「低速回転」よりも相対的に回転数を高く制御する高速な回転である。「低速回転」は、「高速回転」よりも相対的に回転数を低く制御する低速な回転である。「停止」は、回転を停止させた状態である。
【0032】
室内温度Tinが第1温度しきい値T1refより高い場合、室内湿度RHによらず室内ファン33A、33Bともに高速回転に設定されている。室内温度Tinが第1温度しきい値T1ref以下であるが第2温度しきい値T2refより高い場合、室内湿度RHに寄らず室内ファン33Aが高速回転、室内ファン33Bが低速回転に設定されている。
【0033】
室内温度Tinが第2温度しきい値T2ref以下である場合、室内湿度RHが第1湿度しきい値RH1refより高いときには、室内ファン33Aが高速回転から所定の割合で徐々に減速して低速回転へ移行させる設定となっており、室内ファン33Bが低速回転に設定されている。また、室内温度Tinが第2温度しきい値T2ref以下である場合、室内湿度RHが第1湿度しきい値RH1ref以下のときには、室内ファン33Aが低速回転、室内ファン33Bが停止に設定されている。
【0034】
運転制御部40は、図4に示す制御モードの設定を参照して、温度センサ41により測定された室内温度及び湿度センサ42により測定された室内湿度に基づいて室内ファン33A、33Bを制御する。
【0035】
図5は、除湿運転時の室内ファン33A、33Bの制御の一例を示すタイミングチャートである。この図では、横軸が時刻であり、縦軸に室内湿度RH、室内温度Tin、及び室内ファン33A、33Bの制御を示している。
【0036】
時刻tm0~tm2の期間は、時刻tm1から徐々に室内温度Tin及び室内湿度RHが下がり始めているものの、室内温度Tinが第1温度しきい値T1refより高い。そのため、運転制御部40は、室内湿度RHによらず室内ファン33A、33Bをともに高速回転に制御する。
【0037】
時刻tm2において室内温度Tinが第1温度しきい値T1ref以下になると、運転制御部40は、室内ファン33Aは高速回転のまま、室内ファン33Bを低速回転に変更する。これにより、顕熱比が下がり、室内ファン33Bを低速回転に変更する前に比較して室内温度の低下が抑制される。但し、室内温度の低下速度は減少したものの、この制御でも徐々に室内温度は低下している。
【0038】
なお、時刻tm3において室内湿度RHが第1湿度しきい値RH1ref以下となるが、室内温度Tinが第1温度しきい値T1refと第2温度しきい値T2refとの間である。そのため、運転制御部40は、引き続き時刻tm4まで、室内ファン33Aを高速回転、室内ファン33Bを低速回転のままに制御する。これにより、室内湿度は徐々に低下していくが、引き続き室内温度も徐々に低下していく。
【0039】
次に、時刻tm4において室内温度Tinが第2温度しきい値T2ref以下となる。時刻tm4では、室内温度Tinが第2温度しきい値T2ref以下となり、室内湿度RHも第1湿度しきい値RH1refより低い。そのため、運転制御部40は、室内ファン33Aを高速回転から低速回転へ変更するとともに、室内ファン33Bを停止させる。これにより、運転制御部40は、冷房作用をさらに抑制し、室内温度が低下しすぎないようにすることができる。また、運転制御部40は、室内ファン33Aを停止させずに低速回転で制御することにより、室内温度及び室内湿度の測定は継続して行うことが可能である。
【0040】
その後、室内ファン33Bの回転が停止したことにより時刻tm5以降において室内温度Tinが徐々に上昇する。しかし、時刻tm5及び時刻tm6においては、室内温度Tinが第2温度しきい値T2ref以下、且つ室内湿度RHが第2湿度しきい値RH2ref以下である。そのため、運転制御部40は、室内ファン33Aを低速回転のまま、室内ファン33Bも停止させたままに制御する。
【0041】
なお、室内温度Tinが第2温度しきい値T2refより高くなると、運転制御部40は、室内ファン33Aを高速回転に変更し、停止させていた室内ファン33Bを低速回転に変更する。
【0042】
以降、運転制御部40は、室内湿度RHが第1湿度しきい値RH1ref以下の状態で、再び室内温度Tinが第2温度しきい値T2ref以下になると室内ファン33Bを停止させ(室内ファン33Aは低速回転)、室内温度Tinが第2温度しきい値T2refより高くなると室内ファン33Bを低速回転(室内ファン33Aは高速回転)させる。運転制御部40は、この制御を繰り返すことにより微調整を行い、室内温度の下がりすぎを抑制しつつ、一定湿度を維持した快適な温湿度環境を実現する除湿運転を行うことができる。
【0043】
図6は、除湿運転時の室内ファン33A、33Bの制御の別の例を示すタイミングチャートである。この図6は、図5とは異なる運転状態の除湿運転時の室内ファン33A、33Bの制御の一例を示している。図6に示す例では、室内熱交換器32の温度(≒吹出温度)が露点温度を下回らず、湿度が下がりにくい条件を示している。なお、図5と同様に、横軸が時刻であり、縦軸に室内湿度RH、室内温度Tin、及び室内ファン33A、33Bの制御を示している。
【0044】
時刻tm0’~tm1’の期間は、室内温度Tinが第1温度しきい値T1refより高い。そのため、運転制御部40は、室内湿度RHによらず室内ファン33A、33Bをともに高速回転に制御する。
【0045】
時刻tm1’において室内温度Tinが第1温度しきい値T1ref以下になると、運転制御部40は、室内ファン33Aを高速回転に制御したまま、室内フン33Bを低速回転に変更する。風量が低下すると、室内熱交換器32の温度が下がるため露点温度以下となり、湿度が下がり始める。ただし、室内温度は徐々に低下する。
【0046】
時刻tm2’において室内温度Tinが第2温度しきい値T2ref以下となるが、室内湿度RHが第1湿度しきい値RH1refより高い。そのため、運転制御部40は、室内ファン33Aを高速回転から徐々に低速回転に変更する。室内ファン33Bは低速回転のままである。
【0047】
時刻tm3’において室内湿度RHが第1湿度しきい値RH1ref以下になると、運転制御部40は、室内ファン33Aを低速回転に制御したまま、室内ファン33Bを停止させる。運転制御部40は、室内湿度が低下したことにより、室内ファン33Bの回転を停止させて、冷房作用をさらに抑制する。これにより、室内温度が低下しすぎないようにすることができる。また、運転制御部40は、室内ファン33Aを低速回転のまま制御することにより、室内温度及び室内湿度の測定は継続して行うことが可能である。
【0048】
その後、室内ファン33Bの回転が停止したことにより室内温度Tinが徐々に上昇するが、室内湿度RHが第1湿度しきい値RH1ref以下の状態で第2温度しきい値T2refを超えないうちは、運転制御部40は、室内ファン33Aを低速回転のまま、室内ファン33Bも停止させたままに制御する。
【0049】
なお、室内温度Tinが第2温度しきい値T2refより高くなると、運転制御部40は、室内ファン33Aを高速回転に変更し、停止させていた室内ファン33Bを回転させて低速回転に制御する。
【0050】
以降、運転制御部40は、室内湿度RHが第1湿度しきい値RH1ref以下の状態で、再び室内温度Tinが第2温度しきい値T2ref以下になると室内ファン33Bを停止させ(室内ファン33Aは低速回転)、室内温度Tinが第2温度しきい値T2refより高くなると室内ファン33Bを低速回転(室内ファン33Aは高速回転)させる。運転制御部40は、この制御を繰り返すことにより微調整を行い、室内温度の下がりすぎを抑制しつつ、一定湿度を維持した快適な温湿度環境を実現する除湿運転を行うことができる。
【0051】
また、第1温度しきい値T1refと第2温度しきい値T2refとの間、及び第1湿度しきい値RH1refと第2湿度しきい値RH2refとの間に幅を持たせることにより、空調の対象となる室内の状況に合った快適な空間を形成することができるとともに、運転が切り替わる際のハンチングを防止することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る空気調和装置1は、室外機2と、室外機2から送出された冷媒が流れる冷媒配管が接続された複数の室内機3とを備える。室内機3は、少なくとも室内熱交換器32が冷媒配管に接続された冷媒回路10と、運転状態に応じて冷媒回路10を制御する運転制御部40と、室内環境を測定するセンサ(例えば、温度センサ41、湿度センサ42)と、室内熱交換器32に対して送風を行う複数の室内ファン33A、33Bとを備えている。そして、運転制御部40は、除湿運転時に、上記センサ(例えば、温度センサ41、湿度センサ42)の測定結果に基づいて、複数の室内ファン33A、33Bのそれぞれを異なる回転数で制御する。
【0053】
これにより、空気調和装置1は、室内環境の測定結果に基づいて複数の室内ファン33A、33Bのそれぞれを異なる回転数で制御することができるため、風量の設定範囲が広くなり、適切に顕熱比を制御することが可能となり、室内温度の下がりすぎを抑制しつつ室内の除湿を行うことができる。よって、空気調和装置1は、室内環境に合わせた除湿運転により、室内温度の下がりすぎを抑制しつつ、一定湿度を維持し快適な温湿度環境を実現することができる。
【0054】
また、複数の室内ファン33A、33Bを備える室内機3では、室内ファン33A、33Bが同じような回転数で運転すると、耳障りな音(うなり音)が発生することがある。しかしながら、空気調和装置1は、複数の室内ファン33A、33Bを異なる回転数で個別に制御することができるため、うなり音の発生を抑制した静音性に優れた運転を行うこともできる。
【0055】
また、運転制御部40は、除湿運転時に、上記センサ(例えば、温度センサ41、湿度センサ42)の測定結果に基づいて、複数の室内ファン33A、33Bのうち回転させる室内ファンと回転を停止させる室内ファンとを混在させて制御する。
【0056】
これにより、空気調和装置1は、例えば、室内ファン33Aを回転させて温度センサ41及び湿度センサ42への送風を維持することにより室内の温度及び湿度の測定を可能にしつつ、室内ファン33Bを停止させることにより室内熱交換器32へ送風する風量を抑えて水分の再蒸発を抑制することができる。よって、空気調和装置1は、室内環境に合わせた除湿運転により、室内温度の下がりすぎを抑制しつつ、一定湿度を維持し快適な温湿度環境を実現することができる。即ち、空気調和装置1は、室内温度の下がりすぎを抑制しつつ室内の除湿を行うことができる。
【0057】
例えば、運転制御部40は、温度センサ41により測定された温度が第1温度しきい値T1refより高い場合には、複数の室内ファン33A、33Bのそれぞれを高速回転(第1の回転数)で回転させる。一方、運転制御部40は、温度センサ41により測定された温度が第1温度しきい値T1ref以下の場合には、複数の室内ファン33A、33Bのうちの一部の室内ファン(例えば、室内ファン33A)を高速回転(第1の回転数)で回転させるとともに、当該一部の室内ファン以外の室内ファン(例えば、室内ファン33B)を低速回転(第1の回転数より低速の第2の回転数)で回転させる。
【0058】
これにより、空気調和装置1は、室内温度に応じて室内ファン33A、33Bのそれぞれを個別に適切に制御することができ、室内温度の下がりすぎを抑制しつつ室内の除湿を行うことができる。
【0059】
また、運転制御部40は、温度センサ41により測定された温度が第1温度しきい値T1refよりも温度が低い第2温度しきい値T2ref以下の場合には、当該一部の室内ファン(例えば、室内ファン33A)を低速回転(第1の回転数より低速の第2の回転数)で回転させるとともに、当該一部の室内ファン以外の室内ファン(例えば、室内ファン33B)の回転を停止させる。
【0060】
これにより、空気調和装置1は、室内温度に応じて室内ファン33A、33Bのそれぞれを個別に適切に制御することができ、室内温度の下がりすぎを抑制しつつ室内の除湿を行うことができる。
【0061】
また、運転制御部40は、温度センサ41により測定された温度が第2温度しきい値T2ref以下の場合であっても、湿度センサ42により測定されて湿度が第1湿度しきい値RH1refより高い場合には、複数の室内ファンの回転を停止させないで、低速回転(第1の回転数より低速の第2の回転数)で回転させる。即ち、運転制御部40は、湿度センサ42により測定されて湿度が第1湿度しきい値RH1refより高い場合には、複数の室内ファンの回転を維持する。
【0062】
これにより、空気調和装置1は、室内温度と室内湿度に応じて室内ファン33A、33Bのそれぞれを個別に適切に制御することができ、室内温度の下がりすぎを抑制しつつ室内の除湿を行うことができる。
【0063】
なお、運転制御部40は、一定時間が経過すると、相対的に高速で回転させる室内ファン(例えば、室内ファン33A)と相対的に低速で回転させる室内ファン(例えば、室内ファン33B)とを切り替えてもよい。
【0064】
これにより、空気調和装置1は、高速で回転する室内ファンと低速で回転する室内ファンとを一定の頻度で切り替えることにより、それぞれの室内ファンを回転させる電動機(例えば、アクチュエータ331A、331B)の寿命を長くすることができる。
【0065】
なお、運転制御部40は、一定時間が経過すると、回転させる室内ファン(例えば、室内ファン33A)と回転を停止させる室内ファン(例えば、室内ファン33B)とを切り替えてもよい。図1に示すように温度センサ41及び湿度センサ42が室内ファン33Aの側に設けられている場合、室内ファン33Aより室内ファン33Bを停止させた方が室内環境の測定には好ましいが、室内ファン33Aを停止させたとしても、室内ファン33Bを回転させていれば、それぞれの室内ファンの吸込風路が完全に仕切られていない限り、温度センサ41及び湿度センサ42へも室内から取り込まれた空気が流れるため、室内環境の測定は可能である。また、温度センサ41及び湿度センサ42が室内ファン33Aと室内ファン33Bと中間付近に設けられてもよい。また、後述する第2の実施形態のように、温度センサ41及び湿度センサ42が室内機3以外の場所に設けられている場合、室内ファン33Aと室内ファン33Bとのいずれを停止させても、室内環境の測定には影響しない。
【0066】
このように、空気調和装置1は、回転させる室内ファンと停止させる室内ファンとを一定の頻度で切り替えることにより、それぞれの室内ファンを回転させる電動機(例えば、アクチュエータ331A、331B)の寿命を長くすることができる。
【0067】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、室内機3に設けられているセンサで室内環境を測定する構成例について説明したが、室内環境を測定するセンサは、室内機3以外に設けられてもよい。
【0068】
図7は、本実施形態に係る空気調和装置1の室内機3が設置されている室内空間の一例を示す斜視図である。ここでは、天井埋込形の室内機3が設置されている例を示している。室内機3が天井に設置されているため、人が存在する床面に近い空間から離れた位置に設置されていることになる。これは、室内機3から吹き出す風が直接人に当たることを抑制する等の狙いが考えられるが、離れているがゆえに人が存在する空間の環境と室内機3付近の環境では大きく異なることがある。なお、天井埋込形に限らず、天吊形や壁掛形の場合でも、室内機3が設置されている場所と人が存在する空間とが離れていることがある。このような場合、室内機3に備えられた室内環境を測定するセンサで測定される環境に基づいて室内ファン33A、33Bの制御を行うと、快適性が著しく低下する恐れがある。
【0069】
そこで、本実施形態では、室内機3とは別の場所にも室内環境を測定する別置きセンサ43を備える。例えば、別置きセンサ43は、リモコン51の内部又は筐体の外面に備えられている。リモコン51は、室内機3を遠隔操作するためのリモートコントローラであり、室内機3と有線又は無線で通信接続される。別置きセンサ43は、少なくとも温度センサ及び湿度センサのいずれか一方又は両方を備えている。運転制御部40は、別置きセンサ43から室内温度及び室内湿度の測定結果を取得することにより、人が存在する空間により近い場所の温度や湿度を取得できる。
【0070】
例えば、運転制御部40は、別置きセンサ43の測定結果に基づいて、アクチュエータ331A及びアクチュエータ331Bを制御することにより室内ファン33A及び室内ファン33Bの回転及び停止、回転時の回転数(回転速度)などを制御する。このように、運転制御部40は、リモコン51に備えられた別置きセンサ43の測定結果に基づいて室内ファンを制御することにより、快適性を低下させることなく除湿運転を行うことができる。
【0071】
なお、運転制御部40は、別置きセンサ43の測定結果に基づいて室内ファン33A、33Bの制御を行う場合、室内機3が温度センサ41及び湿度センサ42を備えていない構成としてもよい。また、運転制御部40は、室内機3に備えられた温度センサ41及び湿度センサ42の測定結果を利用せずに別置きセンサ43の測定結果に基づいて室内ファン33A、33Bの制御を行ってもよい。
【0072】
なお、運転制御部40は、別置きセンサ43の測定結果と、室内機3に備えられた温度センサ41及び湿度センサ42の測定結果との両方に基づいて室内ファン33A、33Bの制御を行ってもよい。例えば、運転制御部40は、別置きセンサ43の測定結果と、室内機3に備えられた温度センサ41及び湿度センサ42の測定結果とのうち、測定温度が低い側のセンサの測定結果に基づいて室内ファン33A、33Bの制御を行ってもよい。また、運転制御部40は、別置きセンサ43の測定結果と、室内機3に備えられた温度センサ41及び湿度センサ42の測定結果との平均又は加重平均などに基づいて室内ファン33A、33Bの制御を行ってもよい。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る空気調和装置1において、室内環境を測定するセンサ(例えば、温度センサ41、湿度センサ42)は、室内機3以外の場所に設けられている。
【0074】
これにより、空気調和装置1は、室内機3が設置されている場所と人が存在する空間とが離れている場合であっても、室内環境を測定するセンサ(例えば、温度センサ41、湿度センサ42)を人が存在する空間に付近に設置できるため、室内環境に合わせて適切な運転を行うことができる。
【0075】
例えば、室内環境を測定するセンサ(例えば、温度センサ41、湿度センサ42)は室内機3の運転を操作するためのリモコン51に設けられている。
【0076】
これにより、空気調和装置1は、人が操作を行うリモコン51に室内環境を測定するセンサ(例えば、温度センサ41、湿度センサ42)が設けられているため、室内環境に合わせて適切な運転を行うことができる。また、空気調和装置1は、リモコン51との通信を利用してセンサの測定結果を取得できるため、別途通信機能有するセンサ機器を個別に用意するよりも低コストで容易に実現することができる。
【0077】
以上、各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、各実施形態を組み合わせたり、各実施形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0078】
室内機3と通信する端末装置の一例としてリモコン51を例示したが、リモコン51に代えて、スマートフォンやタブレット型のPC(Personal Computer)などを用いてもよい。また、スマートフォンやタブレット型のPCに温度センサや湿度センサなどが設けられてもよい。
【0079】
上記実施形態では、室内機3が備える運転制御部40が室内ファン33A、33Bの制御を行う例を示したが、室外機2が複数の室内機3(3A、3B)のそれぞれから室内環境の測定結果を取得して、複数の室内機3(3A、3B)のそれぞれの室内ファン33A、33Bの制御を行ってもよい。
【0080】
また、前述したように、室外機2に接続される複数の室内機3は、2台に限られるものではなく、3台以上であってもよい。また、1台の室内機3が備える室内ファンの数は、2つに限られるものではなく、3つ以上であってもよい。
【0081】
なお、運転制御部40の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより運転制御部40の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0082】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記のプログラムを所定のサーバに記憶させておき、他の装置からの要求に応じて、当該プログラムを通信回線を介して配信(ダウンロード等)させるようにしてもよい。
【0083】
また、運転制御部40の機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 空気調和装置、2 室外機、3(3A、3B) 室内機、10 冷媒回路、21 圧縮機、22 切替弁、23 室外熱交換器、24 室外ファン、30 配管部品、31 絞り装置、32 室内熱交換器、33A,33B 室内ファン、330 駆動部、331A,331B アクチュエータ、40 運転制御部、41 温度センサ、42 湿度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7