IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

特許7580608冷凍サイクル装置および冷凍空気調和装置
<>
  • 特許-冷凍サイクル装置および冷凍空気調和装置 図1
  • 特許-冷凍サイクル装置および冷凍空気調和装置 図2
  • 特許-冷凍サイクル装置および冷凍空気調和装置 図3
  • 特許-冷凍サイクル装置および冷凍空気調和装置 図4
  • 特許-冷凍サイクル装置および冷凍空気調和装置 図5
  • 特許-冷凍サイクル装置および冷凍空気調和装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置および冷凍空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
F25B49/02 520M
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023536225
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 JP2021026917
(87)【国際公開番号】W WO2023002520
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康太
(72)【発明者】
【氏名】佐多 裕士
(72)【発明者】
【氏名】アバスタリ
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/208714(WO,A1)
【文献】特開2016-70568(JP,A)
【文献】特開平10-103820(JP,A)
【文献】特開2005-331187(JP,A)
【文献】特開2004-125215(JP,A)
【文献】特開2015-206509(JP,A)
【文献】特開2005-140409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、減圧装置および蒸発器が配管によって接続され、前記配管を冷媒が循環する冷媒回路を有する冷凍サイクル装置であって、
前記冷媒回路から漏洩した前記冷媒を検知して検知信号を送る冷媒漏洩検知器と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記冷媒漏洩検知器からの前記検知信号に基づいて前記冷媒回路からの前記冷媒の漏洩検出を行うとともに、前記冷媒回路が有する機器または前記冷媒回路内の前記冷媒の状態に基づいて前記冷媒の冷媒漏洩判定処理を行って前記冷媒の漏洩検出を行い
前記冷媒漏洩判定処理に基づいて前記冷媒回路からの前記冷媒の漏洩を検出すると、第一警報信号を出力して前記冷媒回路の運転を継続し、前記冷媒漏洩検知器の検知に基づいて前記冷媒回路からの前記冷媒の漏洩を検出すると、第二警報信号を出力して前記冷媒回路の運転を停止させる冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記冷媒回路における前記冷媒の過冷却度に基づいて前記冷媒漏洩判定処理を行う請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記凝縮器と前記減圧装置との間に設置され、前記凝縮器から流出した前記冷媒を過冷却する過冷却熱交換器を備え、
前記制御装置は、前記過冷却熱交換器における前記冷媒の温度効率が、設定された効率閾値以下である場合に、前記冷媒が漏洩していると判定する前記冷媒漏洩判定処理を行う請求項1または請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記冷媒回路内において前記冷媒を溜めるレシーバと、
前記レシーバに溜まった前記冷媒における液面の高さを検出する冷媒高さ検出装置とを備え、
前記制御装置は、定期的に前記冷媒回路内の前記冷媒を前記レシーバに回収させる運転を行い、前記レシーバに溜まった前記冷媒の前記液面の高さが液面高さ閾値以下である場合に、前記冷媒が漏洩していると判定する前記冷媒漏洩判定処理を行う請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記圧縮機の駆動開始および停止の回数に基づいて前記冷媒漏洩判定処理を行う請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記冷媒回路において、前記減圧装置から前記圧縮機の吸入側までの間に設置され、前記冷媒回路の低圧側における低圧圧力を検出する低圧圧力センサを備え、
前記制御装置は、前記圧縮機を停止しているときの、前記低圧圧力があらかじめ定めた低圧閾値以下である場合に、前記冷媒が漏洩していると判定する前記冷媒漏洩判定処理を行う請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記冷媒回路において、前記圧縮機の吐出側から前記減圧装置までの間に設置され、前記冷媒回路の高圧側における高圧圧力を検出する高圧圧力センサを備え、
前記制御装置は、前記圧縮機を停止しているときの、前記高圧圧力があらかじめ定めた高圧閾値以下である場合に、前記冷媒が漏洩していると判定する前記冷媒漏洩判定処理を行う請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記冷媒回路内において前記冷媒を溜めるレシーバと、
前記圧縮機が吐出側から前記減圧装置までの間に設置され、前記冷媒回路の高圧側における高圧圧力を検出する高圧圧力センサとを備え、
前記制御装置は、前記レシーバに前記冷媒を回収するポンプダウン運転後の前記圧縮機を停止しているときにおいて、前記高圧圧力に基づく前記冷媒の飽和液温度が、設定したポンプダウン閾値以下である場合に、前記冷媒が漏洩していると判定する前記冷媒漏洩判定処理を行う請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
外部空気の温度を検出する外気温度検出装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記外気温度検出装置の検出に係る外気温度に基づいて前記ポンプダウン閾値を設定する請求項8に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記冷媒漏洩検知器から前記検知信号が送られると、前記冷媒回路が有する機器または前記冷媒の状態に基づいて、前記冷媒漏洩検知器の検知が誤検知かどうかを判定する誤検知判定処理を行う請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項11】
前記冷媒回路内において前記冷媒を溜めるレシーバを備え、
前記制御装置は、前記冷媒回路から前記冷媒の漏洩を検出して前記第一警報信号を出力すると、前記レシーバに前記冷媒を回収するポンプダウン運転を行う請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項12】
報知に係る信号に基づいて報知を行う報知装置を備え、
前記制御装置は、前記報知装置に前記第一警報信号または前記第二警報信号を出力する請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項13】
前記第一警報信号および前記第二警報信号の少なくとも一方は、複数の信号にレベル分けされる請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項14】
熱負荷に熱供給する負荷側ユニットと、前記負荷側ユニットに熱供給する熱源側ユニットとを備え、
前記負荷側ユニットと前記熱源側ユニットとを配管接続して、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置の冷媒回路を構成する冷凍空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、冷凍サイクル装置および冷凍空気調和装置に関するものである。特に、冷媒漏洩などの対応に係るものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍装置、空気調和装置などの冷凍サイクル装置の冷媒として多く用いられているフロン冷媒ガスは、地球温暖化をもたらす温室効果ガスである。現在、温室効果ガスを削減するために、代替フロン冷媒への移行が進められているが、代替フロン冷媒のうち、地球温暖化係数の低い冷媒は、燃焼性を有するものが多い。冷凍サイクル装置の運転に係る冷媒が燃焼性を有する冷媒などの場合、法規上、冷媒が漏洩したときの対策が必要となる(たとえば、特許文献1参照)。燃焼性を有していない冷媒の場合でも、冷媒漏洩などによる冷媒回路内の冷媒不足に早期に対応できる方がよい。そこで、冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知器が冷凍サイクル装置に設置されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6735774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒漏洩検知器は、赤外線方式、半導体方式など様々な方式の機器が用いられる。ここで、一般的な冷媒漏洩検知器は、検知動作の精度を保証する温度範囲が定められている。しかし、冷凍倉庫内などのような低温の環境は保証範囲外となってしまうことが多いため、このような環境下に設置された冷媒漏洩検知器が検知する精度の信頼性が低くなる。
【0005】
そこで、冷媒回路の冷媒漏洩を精度よく検出することができる冷凍サイクル装置および冷凍空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示に係る冷凍サイクル装置は、圧縮機、凝縮器、減圧装置および蒸発器が配管によって接続され、配管を冷媒が循環する冷媒回路を有する冷凍サイクル装置であって、冷媒回路から漏洩した冷媒を検知して検知信号を送る冷媒漏洩検知器と、制御装置とを備え、制御装置は、冷媒漏洩検知器からの検知信号に基づいて冷媒回路からの冷媒の漏洩検出を行うとともに、冷媒回路が有する機器または冷媒回路内の冷媒の状態に基づいて冷媒の冷媒漏洩判定処理を行って冷媒の漏洩検出を行い、冷媒漏洩判定処理に基づいて冷媒回路からの冷媒の漏洩を検出すると、第一警報信号を出力して冷媒回路の運転を継続し、冷媒漏洩検知器の検知に基づいて冷媒回路からの冷媒の漏洩を検出すると、第二警報信号を出力して冷媒回路の運転を停止させるものである。
【0007】
また、開示に係る冷凍空気調和装置は、熱負荷に熱供給する負荷側ユニットと、負荷ユニットに熱供給する熱源側ユニットとを備え、負荷側ユニットと熱源側ユニットとを配管接続して、上記の冷凍サイクル装置の冷媒回路を構成するものである。
【発明の効果】
【0008】
この開示に係る冷凍サイクル装置および冷凍空気調和装置によれば、制御装置は、冷媒漏洩検知器の検知信号からだけでなく、冷媒回路内における冷媒の温度または圧力に基づく冷媒漏洩判定処理を行って冷媒漏洩を判定する。このため、冷媒漏洩検知器の検知だけでは精度の確保が困難であった、たとえば、-10℃以下のような低温環境下などにおいても、冷媒漏洩を精度よく検出することができ、早期の対応をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る冷凍空気調和装置100の構成の一例を示す概略図である。
図2】実施の形態1に係る制御装置3の構成の一例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る冷凍空気調和装置100における冷媒漏洩判定処理の流れを示す図である。
図4】実施の形態2に係る冷凍空気調和装置100における冷媒漏洩判定処理の流れを示す図である。
図5】実施の形態5に係る冷凍空気調和装置100における冷媒漏洩判定処理の流れを示す図である。
図6】実施の形態7の冷凍空気調和装置100における警報処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態に係る冷凍サイクル装置などについて、図面などを参照しながら説明する。以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。明細書に記載された機器がすべて含まれていなくてもよい場合がある。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。また、圧力および温度の高低については、特に絶対的な値との関係で高低が定まっているものではなく、装置などにおける状態、動作などにおいて相対的に定まるものとする。また、添字で区別などしている複数の同種の機器などについて、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、符号、添字などを省略して記載する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る冷凍空気調和装置100の構成の一例を示す概略図である。実施の形態1においては、冷凍サイクル装置の一例として、対象空間の空気を冷却する冷凍空気調和装置100について説明する。図1に示すように、実施の形態1における冷凍空気調和装置100は、熱源側ユニット1および負荷側ユニット2を有する。そして、冷凍空気調和装置100において、熱源側ユニット1と負荷側ユニット2とが冷媒配管10cおよび冷媒配管10dで接続されることにより、冷媒を循環する冷媒回路が形成される。特に、後述する圧縮機11、凝縮器12、減圧装置21および蒸発器22が接続されることで、主冷媒回路が形成される。ここで、図1に示す冷凍空気調和装置100の例では、熱源側ユニット1に接続される負荷側ユニット2は1台としているが、台数は限定しない。たとえば、冷凍空気調和装置100は、熱源側ユニット1に対して、2台以上の負荷側ユニット2が並列に接続された構成でもよい。また、冷凍空気調和装置100が負荷側ユニット2を複数台有する場合、それぞれの負荷側ユニット2における熱交換に係る容量について限定するものではない。各負荷側ユニット2は、すべて同一の容量でもよいし、異なる容量であってもよい。
【0012】
冷凍空気調和装置100における冷媒回路を循環する冷媒種類は、たとえば、R32およびR1234yfなどの微燃性冷媒、プロパンなどの可燃性冷媒を用いる。
【0013】
熱源側ユニット1は、室外に設置され、負荷側ユニット2に熱供給を行う。図1に示す実施の形態1の熱源側ユニット1は、圧縮機ユニット1A、凝縮器ユニット1Bおよび制御装置3を有する。圧縮機ユニット1Aと凝縮器ユニット1Bとは、冷媒配管10aおよび冷媒配管10bによって接続されている。ここで、特に限定しない場合には、冷媒配管10a~冷媒配管10dは、冷媒配管10として説明することがある。圧縮機ユニット1Aは、圧縮機11、レシーバ13、過冷却熱交換器14および流量調整装置15を有する。また、凝縮器ユニット1Bは、凝縮器12および凝縮器ファン12aを有する。
【0014】
圧縮機11は、低温および低圧の冷媒を吸入し、圧縮して、高温および高圧の冷媒にして吐出する。実施の形態1の圧縮機11は、スクロール圧縮機であるものとする。そして、圧縮機11は、圧縮室の中間圧部にインジェクションポートを有する。インジェクションポートには、過冷却熱交換器14の冷媒流出口側で主冷媒回路から分岐バイパス配管16が接続されている。分岐バイパス配管16は、インジェクション流路となる。ここで、図1に示す熱源側ユニット1は、1台の圧縮機11を有する構成であるが、これに限らない。たとえば、熱源側ユニット1は、負荷側ユニット2における負荷の大きさに応じて、並列に接続された2台以上の圧縮機11を有する構成であってもよい。
【0015】
また、圧縮機11は、たとえば、駆動周波数を変化させることにより、単位時間あたりの冷媒送出量である容量を制御することが可能なインバータ圧縮機が用いられる。このため、熱源側ユニット1は、インバータ装置4を有する。インバータ装置4は、圧縮機11の駆動周波数を変更する回路基板を有する。後述する制御装置3が、インバータ装置4に指示を送り、圧縮機11の駆動周波数を制御する。
【0016】
レシーバ13は、冷媒配管10bを介して、凝縮器ユニット1Bの凝縮器12における冷媒流出側に接続される。レシーバ13は、凝縮器12から流出した冷媒を一時的に滞留させるとともに、液冷媒とガス冷媒とを分離させる。また、レシーバ13は、滞留させた冷媒の液面高さを検出する液面高さ検出装置となる液面検出センサ46が取り付けられる。液面検出センサ46は、冷媒の液面高さを示す液面信号を後述する制御装置3に送る。
【0017】
過冷却熱交換器14は、冷媒配管10bおよびレシーバ13を介して、凝縮器12に接続される。過冷却熱交換器14は、凝縮器12から流出した冷媒を過冷却する。過冷却熱交換器14は、主冷媒回路部分を流れる冷媒と主冷媒回路から分岐したインジェクション流路となる分岐バイパス配管16を流れる冷媒との間で熱交換を行う。ここでは、過冷却熱交換器14を設置して過冷却を行っているが、冷媒回路において必須の構成ではない。
【0018】
流量調整装置15は、制御装置3の制御に基づき、過冷却熱交換器14の冷媒流出口側から分岐バイパス配管16へ分岐する冷媒の流量を調整する。たとえば、流量調整装置15は電子式膨張弁を有する。
【0019】
また、圧縮機ユニット1Aは、低圧圧力センサである吸入側圧力センサ41を備える。吸入側圧力センサ41は、圧縮機11の吸入側に設けられ、圧縮機11に吸入される冷媒の吸入側圧力を検出する。吸入側圧力は、主冷媒回路における低圧側の低圧圧力とみなすことができる。さらに、熱源側ユニット1は、高圧圧力センサである吐出側圧力センサ42を備える。吐出側圧力センサ42は、圧縮機11の吐出側に設けられ、圧縮機11から吐出する冷媒の吐出側圧力を検出する。吐出側圧力は、主冷媒回路における高圧側の高圧圧力とみなすことができる。
【0020】
凝縮器ユニット1Bが有する凝縮器12は、冷媒配管10aを介して、圧縮機11の吐出側と接続される。凝縮器12は、空気などの流体と冷媒との間で熱交換を行って冷媒を凝縮する。流体は、たとえば、水、空気、冷媒またはブラインなどである。ここでは、流体は、熱源側ユニット1における外部空気である外気とする。凝縮器ファン12aは、凝縮器12に空気を送り、凝縮器12における熱交換を促す。後述する制御装置3は、凝縮器ファン12aの回転数を制御する。
【0021】
また、凝縮器ユニット1Bは、凝縮器12の近傍に吸い込み温度センサ43を有する。吸い込み温度センサ43は、凝縮器ファン12aの駆動により、凝縮器12を通過する空気の吸い込み温度を検出し、制御装置3に信号を送る。したがって、吸い込み温度センサ43は、外気温度検出装置として機能する。吸い込み温度は外気温度とみなすことができる。
【0022】
そして、熱源側ユニット1は、熱源側電磁弁17を有する。熱源側電磁弁17は、通常は開放している。熱源側電磁弁17が閉止することにより、冷媒の通過を遮断し、熱源側電磁弁17を介した熱源側ユニット1への冷媒の流入並びに熱源側ユニット1からの冷媒の流出を防止する。ここでは、熱源側ユニット1における冷媒の流入側および流出側に熱源側電磁弁17を有するが、流出側の熱源側電磁弁17にない場合もある。また、実施の形態1の熱源側ユニット1は、報知装置6を有する。報知装置6は、制御装置3からの信号に基づいて、音または表示などにより、報知を行う装置である。ここでは、報知装置6は、制御装置3からの警報信号に基づいて冷媒漏洩に係る報知を行う。図1では、熱源側ユニット1が報知装置6を有するものとして説明するが、これに限定するものではない。たとえば、負荷側ユニット2が有してもよい。
【0023】
負荷側ユニット2は、冷凍空気調和装置100における熱負荷となる室内空間内に設置され、熱源側ユニット1から供給される熱を熱負荷に供給する。負荷側ユニット2が設置される空間には、人がいたり、物品が載置されたりする。実施の形態1の負荷側ユニット2は、室内の空気を冷却するものとする。負荷側ユニット2は、冷媒配管10cおよび冷媒配管10dを介して、熱源側ユニット1の圧縮機ユニット1Aと接続されている。負荷側ユニット2は、減圧装置21および蒸発器22を有する。
【0024】
減圧装置21は、過冷却熱交換器14で過冷却された冷媒を減圧して膨張させるとともに、冷媒流量を調整する。たとえば、減圧装置21は、電子式膨張弁または温度式膨張弁を有する。蒸発器22は、空気などの流体と冷媒との間で熱交換を行う。蒸発器22は、減圧装置21で減圧および膨張された冷媒を吸熱して蒸発させる。ここでは、流体は、冷却対象の空気であるものとする。蒸発器22は、たとえば、伝熱管と多数のフィンとを有するフィンアンドチューブ型熱交換器を有する。
【0025】
実施の形態1の冷凍空気調和装置100は、設置された位置およびその周辺における冷媒の漏洩を検知して検知信号を送る冷媒漏洩検知器5を有する。冷媒漏洩検知器5は、たとえば、居住空間内、倉庫内などのように、冷媒からの保護を優先的に行う場所に設置される。このため、負荷側ユニット2が冷媒漏洩検知器5を有するものとする。冷媒漏洩検知器5は、赤外線を発する光源、気体が通過するセルおよび赤外線を検出する赤外センサ(図示せず)を有する赤外線方式であるものとする。冷媒漏洩検知器5は、赤外線センサの検出に基づき、冷媒に含まれるガス分子構造によって決定される特定波長の吸収波長によって、ガスの種別を判別することができる。ここで、冷媒漏洩検知器5は、赤外線式の装置を挙げたが、これに限定するものではない。冷媒漏洩検知器5の方式は、半導体式など、他の方式であってもよい。また、冷媒漏洩検知器5は、負荷側ユニット2に限らず、熱源側ユニット1、冷媒配管10または室内の壁面などに設置されてもよい。さらに、冷凍空気調和装置100は、異なる位置に設置される複数の冷媒漏洩検知器5を有してもよい。
【0026】
また、負荷側ユニット2は、負荷側電磁弁23を有する。負荷側電磁弁23は、通常は開放している。負荷側電磁弁23が閉止することにより、冷媒の通過を遮断し、負荷側電磁弁23を介した負荷側ユニット2への冷媒の流入並びに負荷側ユニット2からの冷媒の流出を防止する。
【0027】
図2は、実施の形態1に係る制御装置3の構成の一例を示す図である。制御装置3は、冷凍空気調和装置100の各機器を制御する。制御装置3は、制御演算処理装置31を有する。制御演算処理装置31は、機器制御処理部31A、演算処理部31B、判定処理部31C、計数処理部31Dおよび報知処理部31Eを有する。機器制御処理部31Aは、圧縮機11などの冷凍空気調和装置100の各機器を制御する処理を行う。演算処理部31Bは、たとえば、判定処理部31Cが判定を行うために必要とする値を演算する。判定処理部31Cは、各種判定処理を行う。ここでは、特に冷媒回路から冷媒が漏洩しているかどうかを判定する処理を行う。そして、計数処理部31Dは、たとえば、圧縮機11の駆動および停止の回数などを計数する。報知処理部31Eは、判定処理部31Cの判定に基づき、報知装置6に信号を送って報知させる処理を行う。ここで、制御演算処理装置31は、マイクロコンピュータをハードウェアとして有する。マイクロコンピュータは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置を有する。また、制御装置3は、各種信号の入出力を管理するI/Oポートをハードウェアとして有する。
【0028】
また、制御装置3は、記憶装置32を有する。記憶装置32は、たとえば、データを一時的に記憶できるランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性記憶装置(図示せず)およびハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の補助記憶装置(図示せず)をハードウェアとして有する。記憶装置32は、制御演算処理装置31が行う処理手順をプログラムとしたデータを有する。そして、制御演算処理装置31がプログラムのデータに基づいて処理を実行して各部の処理を実現する。ただ、これに限定するものではない。制御演算処理装置31は、各部を専用機器(ハードウェア)で構成するものであってもよい。また、制御装置3は、タイマなど、計時を行う計時装置33を有する。ここで、図1の冷凍空気調和装置100は、熱源側ユニット1内に制御装置3を設置している。ただし、制御装置3の設置位置については、特に限定するものではない。制御装置3は、たとえば、通信装置(図示せず)を有し、冷凍空気調和装置100の機器と通信を行って、制御してもよい。以下に示す冷凍空気調和装置100に対する機器の制御などの処理は、制御装置3が行うものとして説明する。
【0029】
制御装置3は、具体的には、たとえば、蒸発器22における蒸発温度が目標値となるように、圧縮機11の駆動周波数を制御する。また、制御装置3は、凝縮器12における凝縮温度が設定された目標温度となるように、凝縮器ファン12aの回転数を制御する。さらに、制御装置3は、圧縮機11の吐出側圧力から換算される冷媒の吐出温度に基づき、流量調整装置15の開度を調整する。
【0030】
ここでは、特に、制御装置3は、冷媒漏洩検知器5の検知に係る検知信号に基づいて冷媒漏洩を検出する。さらに、制御装置3は、検知信号に基づく検出に加え、冷媒回路内における冷媒の温度または圧力など、冷凍空気調和装置100が有する各種センサの検出に係る物理量に基づき、冷媒回路内の冷媒量が不足しているか否かを判定する冷媒漏洩判定処理を行う。
【0031】
図3は、実施の形態1に係る冷凍空気調和装置100における冷媒漏洩判定処理の流れを示す図である。図3に基づいて、実施の形態1の冷媒漏洩判定処理について説明する。実施の形態1における冷媒漏洩判定処理は、制御装置3が行う。
【0032】
冷媒漏洩などにより冷媒量が不足していると、凝縮器12での凝縮が不十分となり、気液二相冷媒が過冷却熱交換器14に流入する。このため、過冷却熱交換器14における過冷却度が小さくなる。そこで、実施の形態1の制御装置3は、過冷却熱交換器14における過冷却度に係る冷媒漏洩判定処理を行う。
【0033】
制御装置3は、冷凍空気調和装置100の運転中、過冷却器流入口温度センサ44の検出に係る入口温度Tinと過冷却器流出口温度センサ45の検出に係る出口温度Toutとを取得する(ステップS1)。そして、制御装置3は、取得した入口温度Tinと出口温度Toutとに基づき、過冷却熱交換器14の温度効率として表すことができる評価値Pを算出する(ステップS2)。ここで、評価値Pは、過冷却熱交換器14の過冷却度を過冷却熱交換器14の最大温度差で除算した値であり、過冷却熱交換器14の性能を示す値である。評価値Pは、次式(1)を用いて算出することができる。評価値Pは、過冷却熱交換器14における過冷却度と比べると、運転条件による変動が小さい。このため、冷凍空気調和装置100の運転条件ごとに閾値を設定することなく、冷媒漏洩を判定することができる。
評価値P=(Tin-Tout)/(Tin-外気温度) …(1)
【0034】
制御装置3は、算出した評価値Pに基づき、冷媒回路内の冷媒が漏洩しているかどうかを判定する。制御装置3は、効率閾値となる設定評価閾値Bと評価値Pとを比較し、評価値Pが設定評価閾値Bよりも小さいかどうかを判定する(ステップS3)。制御装置3は、評価値Pが設定評価閾値Bよりも小さいと判定すると、冷媒が漏洩していると判定し、冷媒漏洩判定処理を終了する(ステップS4)。ここで、設定評価閾値Bは、あらかじめ設定された値としてもよいし、入力装置(図示せず)などから操作者が入力して設定した値としてもよい。一方、制御装置3は、評価値Pが設定評価閾値B以上であると判定すると、冷媒漏洩判定処理を終了する。
【0035】
以上のように、実施の形態1の冷凍空気調和装置100は、冷媒漏洩検知器5を有し、制御装置3は、冷媒漏洩検知器5から送られる検知信号に基づく冷媒回路に封入した冷媒漏洩の有無を判定する。さらに、制御装置3は、冷媒回路に設置された過冷却熱交換器14の温度効率である評価値Pを算出する。制御装置3は、評価値Pと設定評価閾値Bとの比較に基づいて、冷媒回路内における冷媒量の不足を判定する冷媒漏洩判定処理を行う。したがって、実施の形態1の冷凍空気調和装置100は、制御装置3が冷媒漏洩検知器5の検知による検出だけでなく、冷媒回路における冷媒の温度など、冷媒の状態に基づいて冷媒漏洩を判定し、検出を行うことができる。このため、冷媒漏洩検知器5が設置された位置が、冷蔵倉庫などの-10℃以下のような検知の信頼性が低くなる低温環境下の場合でも、冷媒漏洩検知器5だけを用いた冷媒漏洩の誤検出を防ぎ、より精度よく冷媒漏洩を検出し、早期の対応をはかることができる。
【0036】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係る冷凍空気調和装置100における冷媒漏洩判定処理の流れを示す図である。実施の形態1の冷凍空気調和装置100においては、制御装置3は、過冷却熱交換器14の評価値Pに基づく冷媒漏洩判定処理を行った。実施の形態2では、制御装置3は、冷凍空気調和装置100の機器を制御して、冷媒回路に封入された冷媒を、一時的に熱源側ユニット1のレシーバ13に溜める。そして、制御装置3は、レシーバ13内に溜まった冷媒の液面高さに基づいて、冷媒漏洩判定処理を行う。
【0037】
制御装置3は、熱源側ユニット1の熱源側電磁弁17に指示を送り、閉止させる(ステップS11)。ここで、制御装置3は、負荷側電磁弁23を閉止させるようにしてもよい。また、制御装置3は、圧縮機11を駆動させ、冷媒回路内の冷媒を、一時的に熱源側ユニット1のレシーバ13に回収する冷媒回収運転を開始する(ステップS12)。ここで、冷媒回収運転を行うときには、制御装置3は、インバータ装置4に指示を送り、駆動周波数を低くして圧縮機11を駆動させるとよい。圧縮機11の駆動周波数を低くすることで、冷凍空気調和装置100は、冷媒回路に負荷側ユニット2および冷媒配管10cにおいて残留する冷媒を限りなく減らして、レシーバ13に回収させることができる。このため、制御装置3が、より正確に冷媒漏洩を判定することができる。
【0038】
制御装置3は、冷媒回収運転を終了したと判定すると(ステップS13)、液面検出センサ46から送られる液面信号に基づいて、レシーバ13に回収された冷媒の液面高さ値Aを取得する(ステップS14)。制御装置3は、取得した液面高さ値Aと設定された液面高さ閾値Cとを比較する(ステップS15)。制御装置3は、液面高さ値Aが液面高さ閾値Cよりも小さいと判定すると、冷媒が漏洩したと判定し、冷媒漏洩判定処理を終了する(ステップS16)。液面高さ閾値Cは、あらかじめ記憶装置32に記憶した値を設定してもよい。また、入力装置などを有する入力部(図示せず)などを用いて操作者が入力して設定してもよい。一方、制御装置3は、液面高さ値Aが液面高さ閾値C以上であると判定すると、冷媒漏洩判定処理を終了する。
【0039】
制御装置3は、上述した冷媒漏洩判定処理を、たとえば、1時間に1回、定期的に冷媒回収運転を行って処理を行う。ただし、制御装置3が行う冷媒漏洩判定処理の頻度は、1時間に1回に限定するものではなく、任意に変更することができる。
【0040】
以上のように、実施の形態2の冷凍空気調和装置100によれば、制御装置3は、定期的に冷媒回収運転を行って、レシーバ13に冷媒を回収させ、レシーバ13に溜まった冷媒の液面高さに基づいて冷媒判定処理を行う。このため、制御装置3は、冷媒漏洩検知器5の検知だけでなく、より精度よく冷媒漏洩を検出し、早期の対応をはかることができる。実施の形態2の冷媒回収運転における冷媒漏洩判定処理は、液面検出センサ46を必要とし、対象空間の空気を冷却する通常運転ではなく、特殊な運転のタイミングで行う判定処理である。実施の形態2の冷媒漏洩判定処理は、レシーバ13へ回収した冷媒の液面高さに基づく判定を行うことで、より精度の高い冷媒漏洩の判定を行うことができる。
【0041】
実施の形態3.
上述した実施の形態2では、制御装置3は、定期的にレシーバ13に冷媒を回収し、回収した冷媒の液面高さに基づいて、冷媒漏洩判定処理を行った。実施の形態3の冷凍空気調和装置100では、制御装置3は、圧縮機11の駆動および停止回数に基づいて、冷媒漏洩かどうかを判定する冷媒漏洩判定処理を行う。
【0042】
冷凍空気調和装置100において、制御装置3は、通常の運転を行う際、目標蒸発圧力を設定し、蒸発器22の蒸発圧力が目標蒸発圧力となるように圧縮機11を制御する。このため、制御装置3は、吸入側圧力センサ41の検出した吸入側圧力が目標吸入側圧力に達すると、圧縮機11の駆動を停止させる。
【0043】
ここで、冷媒回路から冷媒が漏洩していると、冷凍空気調和装置100の運転に必要な冷媒量が不足する。このとき、冷媒回路では、圧縮機11が駆動を開始してから短時間の間に吸入側圧力が目標吸入側圧力に達して停止する。このため、圧縮機11が駆動開始および停止を繰り返す。
【0044】
そこで、制御装置3は、圧縮機11の駆動および停止の回数をカウントする。制御装置3は、計時装置33があらかじめ設定した設定時間以内に、駆動および停止の回数が設定回数値を超えたと判定すると、冷媒回路内の冷媒が漏洩していると判定する。
【0045】
以上のように、実施の形態3の冷凍空気調和装置100によれば、制御装置3は、圧縮機11の駆動および停止回数による、冷媒回路が有する機器の状態基づいて冷媒判定処理を行う。このため、制御装置3は、たとえば、冷媒漏洩検知器5が設置された位置が、-10℃以下のような検知の信頼性が低くなる低温環境下である場合でも、冷媒漏洩検知器5の検知だけでなく、より精度よく冷媒漏洩を検出し、早期の対応をはかることができる。
【0046】
実施の形態4.
冷凍空気調和装置100の冷媒回路から冷媒が漏洩すると、冷媒が不足することで、冷媒回路内の圧力が低下する。そこで、実施の形態4の冷凍空気調和装置100では、圧縮機11が駆動を停止しているときの冷媒回路内の圧力に基づいて冷媒の漏洩を判定する冷媒漏洩判定処理を行う。
【0047】
制御装置3は、圧縮機11が駆動を停止しているときに、吸入側圧力センサ41の検出に係る吸入側圧力が、あらかじめ定められた設定低圧閾値以下であると判定すると、冷媒が漏洩していると判定する。
【0048】
また、制御装置3は、圧縮機11が駆動を停止しているときに、吐出側圧力センサ42の検出に係る吐出側圧力が、あらかじめ定められた設定高圧閾値以下であると判定すると、冷媒が漏洩していると判定してもよい。
【0049】
以上のように、実施の形態4の冷凍空気調和装置100によれば、制御装置3は、圧縮機11が駆動を停止しているときに、吸入側圧力または吐出側圧力が設定閾値以下であると判定すると、冷媒回路内における冷媒量の不足を判定する冷媒漏洩判定処理を行う。したがって、実施の形態4の冷凍空気調和装置100は、制御装置3が冷媒漏洩検知器5の検知だけでなく、冷媒回路における冷媒の圧力など、冷媒の状態に基づいて、冷媒の漏洩を判定することができる。このため、冷媒漏洩検知器5が設置された位置が、たとえば、-10℃以下のような検知の信頼性が低くなる低温環境下である場合でも、より精度よく冷媒漏洩を検出し、早期の対応をはかることができる。
【0050】
実施の形態5.
実施の形態1の冷凍空気調和装置100においては、過冷却熱交換器14の評価値Pに基づく冷媒漏洩判定処理を行った。冷媒をレシーバ13に回収して冷媒漏洩に関する保護をはかるポンプダウン運転を行った後、圧縮機11を停止した状態では、通常、熱源側ユニット1に設置された凝縮器12における冷媒の温度は、最大でも外気温度までしか下がらない。しかしながら、冷媒回路から冷媒が漏洩していると、冷媒回路の高圧側圧力が下がるため、通常よりも低くなる場合がある。
【0051】
そこで、実施の形態5では、制御装置3は、冷媒回路に封入された冷媒を熱源側ユニット1のレシーバ13に溜めるポンプダウン運転を行う。制御装置3は、ポンプダウン運転を行った後、圧縮機11が駆動を停止しているときに、吐出側圧力センサ42の検出に係る吐出側圧力から得られる飽和液温度の値が、ポンプダウン閾値以下であると判定すると、冷媒が漏洩していると判定する。ここで、ポンプダウン閾値は、外気温度、温度勾配を有するなど冷媒の物性、センサのばらつきなどに基づいて定まり、制御装置3が設定する。外気温度は、吸い込み温度センサ43の検出に係る吸い込み温度を用いる。ここでは、制御装置3は、吸い込み温度センサ43の検出する温度に基づいてポンプダウン閾値を得るものとしたが、これに限定するものではない。
【0052】
図5は、実施の形態5に係る冷凍空気調和装置100における冷媒漏洩判定処理の流れを示す図である。制御装置3は、負荷側ユニット2の負荷側電磁弁23に指示を送り、閉止させる(ステップS21)。ここで、制御装置3は、熱源側電磁弁17を閉止させるようにしてもよい。また、制御装置3は、圧縮機11を駆動させ、冷媒回路内の冷媒を、熱源側ユニット1のレシーバ13に回収するポンプダウン運転を開始する(ステップS22)。
【0053】
制御装置3は、ポンプダウン運転を終了したと判定すると(ステップS23)、圧縮機11の駆動を停止させる(ステップS24)。そして、制御装置3は、吐出側圧力センサ42の検出に係る吐出側圧力を取得する(ステップS25)。制御装置3は、吐出側圧力に基づいて、さらに飽和液温度を取得する(ステップS26)。ここで、飽和液温度の取得については、特に限定するものではない。制御装置3が演算を行って飽和液温度を算出してもよい。また、制御装置3は、記憶装置32が記憶する吐出側圧力と飽和液温度との関係を示すテーブル形式のデータに基づいて、飽和液温度を取得してもよい。
【0054】
制御装置3は、得られた飽和液温度の値がポンプダウン閾値以下であるかどうかを判定する(ステップS27)。制御装置3は、飽和液温度がポンプダウン閾値以下であると判定すると、冷媒漏洩していると判定する(ステップS28)。制御装置3は、飽和液温度がポンプダウン閾値より高いと判定すると、ステップS25に戻って、圧縮機11が停止している間、設定期間ごとに判定を繰り返す。
【0055】
以上のように、実施の形態5では、制御装置3は、ポンプダウン運転を終了した後、圧縮機11が停止しているときに、吐出側圧力センサ42の検出に係る吐出側圧力から飽和液温度の値を得る。そして、制御装置3は、飽和液温度が、ポンプダウン閾値以下であると判定すると、冷媒が不足していると判定する冷媒漏洩判定処理を行う。このため、冷媒漏洩検知器5が設置された位置が、たとえば、-10℃以下のような検知の信頼性が低くなる低温環境下である場合でも、より精度よく冷媒漏洩を検出し、早期の対応をはかることができる。実施の形態5のポンプダウン運転後の冷媒漏洩判定処理は、対象空間の空気を冷却する通常運転における判定処理ではなく、特殊な運転のタイミングで行う判定処理であるが、より精度の高い冷媒漏洩の判定を行うことができる。
【0056】
実施の形態6.
上述した実施の形態1~実施の形態5では、制御装置3が行う冷媒漏洩判定処理が別々の処理であるものとして説明したが、これに限定するものではない。制御装置3は、実施の形態1~実施の形態5で説明した冷媒漏洩判定処理のうち、2以上の処理を組み合わせた判定処理を行ってもよい。
【0057】
たとえば、外気温度が40℃以上の場合、冷媒回路が外部の温度による影響を受けることで、制御装置3が行う冷媒漏洩判定処理における判定精度が低下する場合がある。このため、制御装置3は、たとえば、吸い込み温度センサ43の検出に係る吸い込み温度が設定した外気温度閾値を超えていると判定すると、1つの冷媒漏洩判定処理から即座に冷媒漏洩検出とせず、誤判定を防ぐようにする。そこで、冷媒における複数の物理量に基づいて複数の冷媒漏洩判定処理を行うことで、たとえば、2以上の冷媒漏洩判定処理において漏洩であると判定して冷媒漏洩を検出することで、判定の信頼性を高めるようにする。
【0058】
また、上述した実施の形態1~実施の形態5では、制御装置3は、冷媒漏洩検知器5からの検知信号および冷媒漏洩判定処理のいずれか一方冷媒漏洩を検出するものとして説明した。ここで、前述したように、たとえば、冷媒漏洩検知器5が-10℃以下などの低温環境下に設置されていると、冷媒漏洩検知器5の検知に対する信頼性が低い場合がある。このため、制御装置3は、検知信号から即座に冷媒漏洩検出とせず、冷媒漏洩検知器5の誤検知を防ぐことが望ましい。
【0059】
そこで、冷媒漏洩検知器5からの検知信号が送られると、制御装置3は、冷媒回路における冷媒の状態に基づき、冷媒漏洩検知器5の検知が誤検知であるかどうかを判定するようにしてもよい。たとえば、制御装置3は、実施の形態1~実施の形態5に記載した冷媒漏洩判定処理で行われる処理と同様の処理を、誤検知判定処理として行う。このとき、実施の形態1~実施の形態5の冷媒漏洩判定処理において、判定に用いた閾値よりも低い閾値を用いて、冷媒漏洩検知器5の検知が誤検知であるかどうかの判定を行って、冷媒漏洩判定処理における冷媒漏洩の検出と区別をしてもよい。また、上述した複数の冷媒漏洩判定処理の組み合わせのように、複数の判定処理を行った場合に、2以上の冷媒判定処理において誤検知でないと判定すると、冷媒漏洩検知器5の検知に基づく冷媒漏洩の検出としてもよい。
【0060】
実施の形態7.
実施の形態7に係る冷凍空気調和装置100では、制御装置3が行う警報処理について説明する。実施の形態7では、制御装置3が冷媒が漏洩していることを検出すると、報知装置6に警報信号を出力する。ここで、制御装置3が出力する警報信号は、複数種類あるものとする。実施の形態7においては、警報信号は2種類であるものとする。制御装置3は、冷凍空気調和装置100内の各種センサが検出する物理量に基づいて、冷媒漏洩判定処理の判定により間接的に冷媒漏洩を検出したときには第一警報信号を出力する。一方、制御装置3は、冷媒漏洩検知器5により直接的に冷媒漏洩を検出したときには第二警報信号を出力する。
【0061】
図6は、実施の形態7の冷凍空気調和装置100における警報処理について説明する図である。ここでは、制御装置3が行う警報処理について説明する。制御装置3は、冷媒漏洩を検出すると、警報処理を開始する。制御装置3は、冷媒漏洩判定処理により、冷媒漏洩を検出したかどうかを判定する(ステップS31)。
【0062】
制御装置3は、冷媒漏洩判定処理により冷媒漏洩を検出したと判定すると、第一警報信号を出力する(ステップS32)。ここで、制御装置3が行う冷媒漏洩判定処理については、特に限定するものではない。上述した実施の形態1~実施の形態5で説明した冷媒漏洩処理の少なくとも1つの処理に基づいて、制御装置3は、冷媒が漏洩したかどうかを判定すればよい。
【0063】
制御装置3は、冷媒漏洩判定処理により冷媒漏洩を検出しなかったと判定したときは、負荷側ユニット2が有する冷媒漏洩検知器5の検知信号によって冷媒漏洩を検出したものとして、第二警報信号を出力する(ステップS33)。
【0064】
ここで、実施の形態7においては、制御装置3は、報知装置6に警報信号を出力するものとして説明するが、これに限定するものではない。たとえば、制御装置3は、通信接続された外部装置(図示せず)に、警報信号を出力してもよい。これにより、外部装置が遠隔地に設置されている場合でも、冷媒漏洩を報知することができる。
【0065】
また、制御装置3は、冷媒漏洩処理によって冷媒の漏洩を検出して第一警報信号を出力する場合と冷媒漏洩検知器5が冷媒の漏洩を検出して第二警報信号を出力する場合とで、冷凍空気調和装置100の運転が異なるようにしてもよい。たとえば、第一警報信号を出力する場合には、制御装置3は、冷凍空気調和装置100にポンプダウン運転させて、レシーバ13に冷媒を回収させて保護をはかる。第二警報信号を出力する場合には、制御装置3は、圧縮機11を駆動停止させて、冷凍空気調和装置100の運転を停止させる。
【0066】
さらに、ここでは、制御装置3は、冷媒の漏洩を検出したときに、第一警報信号および第二警報信号を出力する場合について説明したが、これに限定するものではない。たとえば、制御装置3は、第一警報信号および第二警報信号の少なくとも一方について、さらにレベル分けしておき、冷媒が漏洩している位置、危険の度合い、冷媒の漏洩程度などに応じた警報信号を出力するようにしてもよい。たとえば、複数の冷媒漏洩検知器5が設置されている場合に、制御装置3は、室内における負荷側ユニット2に設置された冷媒漏洩検知器5の検知信号に基づいて冷媒の漏洩を検出したときは、よりレベルの高い第一警報信号を出力するなどする。また、制御装置3は、冷媒漏洩判定処理により冷媒漏洩の程度が判定できる場合には、漏洩量などに応じた第二警報信号を出力する。
【0067】
以上のように、実施の形態7の冷凍空気調和装置100によれば、制御装置3は、冷媒漏洩判定処理によって間接的に冷媒漏洩を検出したときには第一警報信号を出力し、冷媒漏洩検知器5が直接的に冷媒漏洩を検出したときには第二警報信号を出力する。制御装置3が複数種類の警報信号を出力することで、冷媒漏洩に係る警報をレベル分けすることができる。たとえば、冷媒漏洩判定処理により運転が可能であるが冷媒漏洩を警報して早期のメンテナンスを行う場合には第一警報信号を出力した上で、運転を継続することができる。また、制御装置3が負荷側ユニット2が有する冷媒漏洩検知器5の検知により冷媒漏洩を検出した場合には、冷凍空気調和装置100は、冷却などの対象物を保護するために運転を停止するなどの対処を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
上述した実施の形態1~実施の形態7においては、冷凍空気調和装置100について説明したが、たとえば、給湯装置などの、他の冷凍サイクル装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 熱源側ユニット、1A 圧縮機ユニット、1B 凝縮器ユニット、2 負荷側ユニット、3 制御装置、4 インバータ装置、5 冷媒漏洩検知器、6 報知装置、10,10a,10b,10c,10d 冷媒配管、11 圧縮機、12 凝縮器、12a 凝縮器ファン、13 レシーバ、14 過冷却熱交換器、15 流量調整装置、16 分岐バイパス配管、17 熱源側電磁弁、21 減圧装置、22 蒸発器、23 負荷側電磁弁、31 制御演算処理装置、31A 機器制御処理部、31B 演算処理部、31C 判定処理部、31D 計数処理部、31E 報知処理部、32 記憶装置、33 計時装置、41 吸入側圧力センサ、42 吐出側圧力センサ、43 吸い込み温度センサ、44 過冷却器流入口温度センサ、45 過冷却器流出口温度センサ、46 液面検出センサ、100 冷凍空気調和装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6