(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】T細胞療法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20241101BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20241101BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20241101BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20241101BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20241101BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20241101BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20241101BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241101BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241101BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241101BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241101BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241101BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20241101BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20241101BHJP
C12N 5/0786 20100101ALI20241101BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241101BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20241101BHJP
【FI】
G01N33/53 Y
A61K31/337
A61K31/513
A61K31/675
A61K31/704
A61K31/7068
A61K35/17
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K45/00
A61P35/00
A61P37/02
A61P43/00 121
C07K16/28 ZNA
C07K19/00
C12N5/0786
C12N5/10
C12N5/0783
(21)【出願番号】P 2023541537
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 US2022011606
(87)【国際公開番号】W WO2022150582
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-07-18
(32)【優先日】2021-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514266932
【氏名又は名称】カイト ファーマ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Kite Pharma, Inc
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボット エイドリアン アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブッカ ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ズ-ティン
(72)【発明者】
【氏名】ミレッティ フランシスカ
(72)【発明者】
【氏名】プラクス ヴィッキー
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ ジョン エム.
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/102770(WO,A1)
【文献】特表2019-511226(JP,A)
【文献】国際公開第2020/047452(WO,A2)
【文献】国際公開第2020/193045(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/232510(WO,A2)
【文献】国際公開第2019/213282(WO,A1)
【文献】WOREL, Nina et al.,Blood,2019年,Vol.134 (Supplement_1): 1935,https://doi.org/10.1182/blood-2019-126191
【文献】MOUSSET, Charlotte M. et al.,Cytometry Part A,2019年,95A,647-654
【文献】WANG, J. et al.,Oncotarget,2017年,Vol.8, No.3,pp.5414-5425
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測するための方法であって、
前記患者からのアフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞
及び中間単球のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞
及び中間単球の前記レベルから少なくとも部分的に前記患者の前記生存の可能性を
判定することと、
を含み、
前記患者は、CD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を超え
、且つ、中間単球の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を下回る場合、生存の可能性が増加していると判定され、前記患者は、CD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を下回
り、且つ、中間単球の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を上回る場合、生存の可能性が減少していると判定される、方法。
【請求項2】
全白血球のパーセンテージとして測定されるCD27+CD28+ナイーブTh細胞のカットオフパーセンテージ値
が、0~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、又は40~50%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
全白血球のパーセンテージとして測定される中間単球のカットオフパーセンテージ値
が、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、又は20%である、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者からの前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルから少なくとも部分的に前記患者の前記生存の可能性を判定することと、を更に含み、
CD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を上回る場合、前記患者は生存の可能性が増加していると判定され、CD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を下回る場合、前記患者は生存の可能性が減少していると判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
全白血球のパーセンテージとして測定されるCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のカットオフパーセンテージ値
が、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1~5%、5~10%、又は10~20%である、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対白血球比を測定することと、
前記リンパ球対白血球比から少なくとも部分的に前記患者の前記生存の可能性を判定することと、を更に含み、
前記リンパ球対白血球比がカットオフ値を上回る場合、前記患者は生存の可能性が増加していると判定され、前記リンパ球対白血球比が前記カットオフ値を下回る場合、前記患者は生存の可能性が減少していると判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
リンパ球対白血球比のカットオフ値が、1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、又は30~35%である、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対単球比を測定することと、
前記リンパ球対単球比から少なくとも部分的に前記患者の前記生存の可能性を判定することと、を更に含み、
前記リンパ球対単球比がカットオフ値を上回る場合、前記患者は生存の可能性が増加していると判定され、前記リンパ球対単球比が前記カットオフ値を下回る場合、前記患者は生存の可能性が減少していると判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
リンパ球対単球比のカットオフ値が、0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、又は10~15の間である、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
免疫療法生成物を製造するための方法であって、
対象由来の血液試料からアフェレーシス産物を調製することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞
及び中間単球のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルが、前記アフェレーシス産物中の全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を下回る場合、処理のために回収されるCD27+CD28+ナイーブTh細胞の量を増加させることと、
前記アフェレーシス産物中の中間単球の前記レベルが、前記アフェレーシス産物中の全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を上回る場合、更なる処理の前に前記アフェレーシス産物中の中間単球の前記レベルを減少させることと、を含む、方法。
【請求項11】
全白血球のパーセンテージとして測定されるCD27+CD28+ナイーブTh細胞のカットオフパーセンテージ値
が、0~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、又は40~50%である、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
全白血球のパーセンテージとして測定される中間単球のカットオフパーセンテージ値
が、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、又は20%である、請求項
10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルが、前記アフェレーシス産物中の全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を下回る場合、処理のために回収されるCD27-CD28+TEMRA Treg細胞の量を増加させることと、を更に含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
全白血球のパーセンテージとして測定されるCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のカットオフパーセンテージ値
が、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1~5%、5~10%、又は10~20%である、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
患者における悪性腫瘍の治療のためのT細胞を含む組成物であって、
前記患者からのアフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞
及び中間単球のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞
及び中間単球の前記レベルから少なくとも部分的に、前記患者に、キメラ受容体を含む前記T細胞を含む組成物を投与すべきか、又はキメラ受容体を含む前記T細胞を含む組成物の投与及び併用療法を施すべきかどうかを決定することと、によって特徴付けられ、
前記患者は、CD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を超え
、且つ、中間単球の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を下回る場合、キメラ受容体を含む前記T細胞を含む組成物を投与され、前記患者は、CD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を下回
り、且つ、中間単球の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を上回る場合、キメラ受容体を含む前記T細胞を含む組成物の投与及び前記併用療法を施される、ことによって特徴付けられる、組成物。
【請求項16】
全白血球のパーセンテージとして測定されるCD27+CD28+ナイーブTh細胞のカットオフパーセンテージ値
が、0~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、又は40~50%である、請求項
15に記載の組成物。
【請求項17】
全白血球のパーセンテージとして測定される中間単球のカットオフパーセンテージ値
が、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、又は20%である、請求項
15に記載の組成物。
【請求項18】
前記患者からの前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルから少なくとも部分的に、前記患者に、キメラ受容体を含むT細胞を含む組成物を投与すべきか、又はキメラ受容体を含むT細胞を含む組成物の投与及び併用療法を施すべきかどうかを決定することと、を更なる特徴とし、
前記患者は、CD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を上回る場合、キメラ受容体を含む前記T細胞を含む組成物を投与され、前記患者は、CD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を下回る場合、キメラ受容体を含む前記T細胞を含む組成物の投与及び前記併用療法を施される、ことによって特徴付けられる、請求項
15に記載の組成物。
【請求項19】
全白血球のパーセンテージとして測定されるCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のカットオフパーセンテージ値
が、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1~5%、5~10%、又は10~20%である、請求項
18に記載の組成物。
【請求項20】
前記患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対白血球比を測定することと、
前記リンパ球対白血球比から少なくとも部分的に、前記患者に、キメラ受容体を含むT細胞を含む組成物を投与すべきか、又はキメラ受容体を含むT細胞を含む組成物の投与及び併用療法を施すべきかどうかを決定することと、を更なる特徴とし、
前記患者は、前記リンパ球対白血球比がカットオフ値を上回る場合、キメラ受容体を含む前記T細胞を含む組成物を投与され、前記患者は、前記リンパ球対白血球比が前記カットオフ値を下回る場合、キメラ受容体を含む前記T細胞を含む組成物の投与及び前記併用療法を施される、ことによって特徴付けられる、請求項
15に記載の組成物。
【請求項21】
リンパ球対白血球比のカットオフ値が、1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、又は30~35%である、請求項
20に記載の組成物。
【請求項22】
前記患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対単球比を測定することと、
前記リンパ球対単球比から少なくとも部分的に、前記患者に、キメラ受容体を含むT細胞を含む組成物を投与すべきか、又はキメラ受容体を含むT細胞
を含む組成物の投与及び併用療法を施すべきかどうかを決定することと、を更なる特徴とし、
前記患者は、前記リンパ球対単球比がカットオフ値を上回る場合、キメラ受容体を含む前記T細胞
を含む組成物を投与され、前記患者は、前記リンパ球対単球比が前記カットオフ値を下回る場合、キメラ受容体を含む前記T細胞
を含む組成物の投与及び前記併用療法を施される、ことによって特徴付けられる、請求項
15に記載の組成物。
【請求項23】
リンパ球対単球比のカットオフ値が、0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、又は10~15の間である、請求項
22に記載の組成物。
【請求項24】
前記併用療法が、免疫療法、SRCキナーゼ阻害剤、T細胞性二重特異性抗体、抗CD20モノクローナル抗体、抗4-1BB、抗CD47、TGF-ベータ阻害剤又はドミナントネガティブTGF-ベータ、mTOR/AKTアゴニスト、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、シクロホスファミド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ドキソルビシン、タキサン、化学療法若しくは放射線療法、低分子阻害剤、抗腫瘍免疫の増強を標的とする抗体、又は抗炎症薬を含む、請求項
15~
23のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年1月10日に出願された米国仮特許出願第63/135,711号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、診断及び予後診断の方法、免疫療法のための組成物、当該組成物を改善する方法、及びそれを使用する免疫療法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトがんは、その性質上、異常ながん細胞になるように遺伝的又は後成的変換をされた正常細胞から構成される。そうすることで、がん細胞は、正常細胞によって発現されるものとは異なるタンパク質及び他の抗原を発現し始める。これらの異常な腫瘍抗原は、がん細胞を特異的に標的化して死滅させるために身体の自然免疫系によって使用され得る。しかしながら、がん細胞は、Tリンパ球及びBリンパ球などの免疫細胞ががん細胞をうまく標的化するのを防ぐために様々な機構を用いる。
【0004】
ヒトT細胞療法は、患者におけるがん細胞を標的化し、死滅させるための、濃縮された又は改変されたヒトT細胞に依存する。特定のがん細胞を標的化し、死滅させるT細胞の能力を増加させるために、T細胞を特定の標的がん細胞に指向する構築物を発現させるようにT細胞を操作するための方法が開発されている。特定の腫瘍抗原と相互作用することができる結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor、CAR)及びT細胞受容体(T cell receptor、TCR)により、T細胞は特定の腫瘍抗原を発現するがん細胞を標的化して死滅させることができる。
【0005】
CAR陽性T細胞、TCR陽性T細胞及び他の細胞ベースの免疫療法、並びに患者の免疫学的状態の属性が臨床転帰とどのように相関するかを理解する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、本開示は、任意のがん療法前のがん患者からのアフェレーシス材料の回収が、CAR T細胞免疫療法等の免疫療法のための細胞の改善された供給源を提供し得ることを提供する。一実施形態では、本開示は、免疫療法(例えば、CAR T細胞免疫療法)が、免疫療法の有効性を最大化するために、最も初期ではないとしても初期の治療ラインの一部として投与され得ることを提供し、ここで、免疫療法(例えば、CAR T細胞)を生成するために使用され得るアフェレーシス産物からの免疫細胞の品質に対する他の療法の負の影響が存在する。一実施形態では、本方法は、診断段階におけるがん患者からのアフェレーシス材料の回収を提供し、本方法は、アフェレーシス材料に由来する免疫療法の質を改善する。一実施形態では、本開示は、免疫療法(例えば、CAR T細胞療法)に対する予測される奏効(例えば、客観的奏効及び継続奏効)に基づいて患者を層別化するのに役立つ、免疫療法患者に対して行われる治療前血液検査を可能にする予測バイオマーカーを提供する。一実施形態では、本方法は、CAR T細胞治療単独で持続的奏効を達成する可能性が高い患者の同定を可能にする。一実施形態では、本方法は、併用療法から恩恵を受け得る患者の同定を可能にする。一実施形態では、併用療法は、有効性を最大化するために前もって与えられる(一次/二次治療の失敗後ではない)。一実施形態では、本方法は、CAR T細胞産物産生のための改変された製造プロセスから利益を得ることができる患者の同定を可能にし、プロセスに対する改変は、免疫療法により適したT細胞産物をもたらす。一実施形態では、同種異系又は既製のCAR T細胞のより良い候補であり得る患者の同定を可能にする。
【0007】
一実施形態では、本開示は、免疫療法生成物の最適化のための方法を提供する。一実施形態では、免疫療法生成物は、CAR T細胞を含む。一実施形態では、患者の血液(例えば、アフェレーシス試料)中の治療前バイオマーカーのレベルは、免疫療法奏効に関連する患者の血液から調製された免疫療法生成物(例えば、CAR T細胞生成物)の特徴と相関する。一実施形態では、患者の血液中の治療前バイオマーカーのレベルを使用して、免疫療法細胞(例えば、CAR T細胞)の製造プロセスに対する改変を知らせる。一実施形態では、製造プロセスに対する改変は、免疫療法生成物中のある特定のT細胞の濃縮をもたらし、これは次に、より良好なCAR T細胞有効性を有する免疫療法生成物をもたらす。一実施形態では、免疫療法生成物は、自己CAR T細胞を含む。一実施形態では、免疫療法生成物は、同種異系CAR T細胞を含む。一実施形態では、免疫療法は、T細胞受容体改変T細胞を含む。一実施形態では、免疫療法は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。一実施形態では、免疫療法生成物は、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む。一実施形態では、免疫療法は、がんを治療するために使用される。一実施形態では、がんは、白血病又はリンパ腫である。一実施形態では、がんは、固形腫瘍である。
【0008】
一実施形態では、製造プロセスは、投入材料を増加させるように調整される。一実施形態では、製造プロセスは、特定の表現型を有するT細胞において免疫療法生成物を濃縮するための細胞選択プロセスに調整される。一実施形態では、製造プロセスは、骨髄細胞の免疫療法生成物を枯渇させるように調整される。一実施形態では、骨髄細胞は中間単球である。一実施形態では、製造プロセスに対する調整は、免疫細胞増殖培地組成に対する調整を含む。いくつかの実施形態では、製造プロセスに対する調整は、製造プロセスの長さの調整を含む。一実施形態では、プロセスに対する調整は、血液又はアフェレーシス細胞集団における低リンパ球数及び/又は低パーセンテージの特殊化細胞サブセット、例えばCD4+CD27+CD28+T細胞及びCD4+CD127+CD25dim CD27+CD28+CCR7+CD45RA+T細胞、及び/又は低中間単球CD14+CD16+細胞、又はそれらの組み合わせ等の負の製品因子を克服するのに役立つ。
【0009】
一実施形態では、本方法は、治療抵抗性の潜在的な機構を克服するための治療前バイオマーカーに基づく注入T細胞用量の調整を提供する。一実施形態では、フローサイトメトリーによって測定される治療前バイオマーカーは、CD3+CD4+CD127+CD25dim CCR7+CD45RA+CD27+CD28+(CD27+CD28+ナイーブTh);CD3-CD19-CD56-CD11c+CD14+CD16+(中間単球);CD3+CD4+CD127dim CD25+CCR7+CD45RA-CD27-CD28+(CD27-CD28+TEMRA Treg);リンパ球対白血球/比(血液学ベースライン細胞数);及び/又はリンパ球対単球比(血液学ベースライン細胞数)等の予め製造されたPBMC集団のレベルを含む。
【0010】
一実施形態では、本開示は、CAR T細胞注入後に、陰性予測バイオマーカーに関連する治療耐性の機構を克服することを目的とした他の治療を統合する治療方法を提供する。一実施形態では、バイオマーカーは、CD3+CD4+CD127+CD25dim CCR7+CD45RA+CD27+CD28+(CD27+CD28+ナイーブTh);CD3-CD19-CD56-CD11c+CD14+CD16+(中間単球);CD3+CD4+CD127dim CD25+CCR7+CD45RA-CD27-CD28+(CD27-CD28+TEMRA Treg);リンパ球対白血球比(血液学ベースライン細胞数);リンパ球対単球比(血液学ベースライン細胞数)を含む。一実施形態では、他の治療(複数可)は、ガンマ鎖受容体サイトカイン(例えば、IL-15)、骨髄細胞モジュレーター(例えば、JAK/STAT阻害剤、中間単球等の有害な骨髄細胞サブセットを調節する薬剤)、二重特異性エンゲージャー、iMiD(例えば、レナリドマイド、ポマリドマイド)等の免疫モジュレーターを伴う又は伴わないモノクローナル抗体(例えば、抗CD20)、抗CD20抗体を伴う又は伴わないCD47遮断を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、T細胞の集団はアフェレーシス材料から得られる。いくつかの実施形態では、本方法は、CARを発現するようにT細胞の集団を操作すること、を更に含む。いくつかの実施形態では、CAR T細胞は、腫瘍抗原を標的とするキメラ抗原受容体を発現するように操作される。いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体は、腫瘍関連表面抗原、例えば5T4、アルファフェトプロテイン(AFP)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、BCMA、B-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CA-125、癌胎児性抗原(CEA)、癌胎児性抗原(CEA)、CD123、CD133、CD138、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD34、CD4、CD40、CD44、CD56、CD8、CLL-1、c-Met、CMV特異的抗原、CS-1、CSPG4、CTLA-4、DLL3、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、EBV特異的抗原、EGFR変異体III(EGFRvIII)、ELF2M、エンドグリン、エフリンB2、上皮増殖因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮腫瘍抗原、ErbB2(HER2/neu)、線維芽細胞関連タンパク質(fap)、FLT3、葉酸結合タンパク質、GD2、GD3、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、HBV特異的抗原、HCV特異的抗原、HER1-HER2、HER2-HER3の組み合わせ、HERV-K、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HPV特異的抗原、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、IGFI受容体、IGF-II、IL-11Rα、IL-13R-a2、インフルエンザウイルス特異的抗原;CD38、インスリン増殖因子(IGFl)-l、腸管カルボキシルエステラーゼ、カッパ鎖、LAGA-la、ラムダ鎖、ラッサウイルス特異的抗原、レクチン反応性AFP、系統特異的抗原又は組織特異的抗原、例えばCD3、MAGE、MAGE-A1、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、M-CSF、メラノーマ関連抗原、メソテリン、MN-CA IX、MUC-1、mut hsp70-2、変異型p53、変異型ras、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY-ESO-1、p53、PAP、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺癌腫腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺特異的抗原タンパク質、STEAP1、STEAP2、PSMA、RAGE-1、ROR1、RU1、RU2(AS)、表面接着分子、サバイビン及びテロメラーゼ、TAG-72、フィブロネクチンの余分なドメインA(EDA)及び余分なドメインB(EDB)並びにテネイシン-CのAlドメイン(TnC Al)、サイログロブリン、腫瘍間質抗原、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR2)、HIV特異的抗原等のウイルス特異的表面抗原(HIV gpl20等)、並びにこれらの表面抗原の任意の誘導体又は変異体から選択される腫瘍抗原を標的とする。
【0012】
いくつかの実施形態では、悪性腫瘍は、固形腫瘍、肉腫、癌腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、原発性縦隔大B細胞リンパ腫(PMBC)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫(SMZL)、慢性又は急性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(非T細胞ALLを含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、T細胞リンパ腫、B細胞性急性リンパ性白血病(「BALL」)のうちの1種以上、T細胞性急性リンパ性白血病(「TALL」)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物、キットバー卜リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、小細胞リンパ腫又は大細胞リンパ腫、悪性リンパ増殖性状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞新生物、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、形質細胞増殖性障害(例えば、無症候性骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫又は緩徐進行型骨髄腫))、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、形質細胞腫(例えば、形質細胞異常、孤立性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、髄外形質細胞腫及び多発性形質細胞腫)、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス、POEMS症候群(Crow-Fukase症候群、Takatsuki病、PEP症候群としても知られている)、又はそれらの組み合わせである。
【0013】
いくつかの実施形態では、治療有効用量は、75~200×106の間の操作されたT細胞である。いくつかの実施形態では、治療有効用量は、体重1キログラム当たり2×106個のCAR T細胞である。いくつかの実施形態では、操作されたT細胞は、自己又は同種T細胞である。いくつかの実施形態では、奏効は、操作されたT細胞の投与後約1ヶ月、約3ヶ月、約6ヶ月、約9ヶ月、又は約12ヶ月以内に測定される。
【0014】
更なる例示的な実施形態を以下に提供する。
1.免疫療法生成物(例えば、CAR T細胞)製造の最適化の方法であって、製造前PBMC集団におけるナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)のレベルを増加させることによって、生成物T細胞集団適合性が改善される、方法。
【0015】
2.これが、対象アフェレーシスの後にナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)を富化することによって、ナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)の閾値が達成されて製造プロセスが開始されるまで、回収されるアフェレーシス材料の量を増加させることによって、kg当たりの総CAR数を通してではなく、代わりにkg当たりのナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)の数を利用することによってCAR T細胞の投与用量を選択することによって、及び/又はナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)のレベルを増加させるためにT細胞生成物製造条件(例えば、限定されないが、製造の長さ及び/又は増殖培地の組成)を調整することによって達成され得る、実施形態1の方法。
【0016】
3.患者から得られた製造前PBMC集団におけるナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)等の十分な正の因子の欠如を克服するために、がん患者を同種異系/既製のCAR又はTCR T細胞のより良好な候補として層別化する方法。
【0017】
4.患者から得られた製造前PBMC集団におけるナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)等の十分な正の因子の欠如を克服するために、CAR又はTCR T細胞の活性を増強するか、又は負の因子の影響を低減してCAR T療法の臨床有効性を改善することができる併用療法のより良好な候補であり得る患者を層別化する方法。
【0018】
5.併用療法が、免疫療法(チェックポイント阻害剤、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4等、又はそれらの任意の組み合わせを含む)、SRCキナーゼ阻害剤(ダサチニブ等)、T細胞性二重特異性抗体、抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ等)、抗4-1BB、抗CD47、TGF-ベータ阻害剤又はドミナントネガティブTGF-ベータ、mTOR/AKTアゴニスト、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、シクロホスファミド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ドキソルビシン、タキサン及び任意の他の形態の化学療法又は放射線療法、低分子阻害剤又は抗腫瘍免疫の増強を標的とする抗体から選択され得るがこれらに限定されない、実施形態4の方法。
【0019】
6.患者が、製造前PBMC集団におけるナイーブ表現型(CCR7+CD45RA+)のCD27+CD28+Th細胞のパーセンテージに基づいて製造最適化のために層別化され、及び/又は細胞療法の有効性を最大化するために同種異系/既製のCAR若しくはTCR T細胞又は併用療法から利益を得る患者として同定される、実施形態3~5のいずれか1つの方法。
【0020】
7.患者の製造前PBMC産物中の中間単球及び/又は全単球を定量化することによって、がん患者の炎症状態及び/又は患者のCAR若しくはTCR T細胞の臨床有効性を予測する方法。
【0021】
8.末梢における炎症シグナル伝達を無効にするための抗炎症薬の潜在的使用の指標として使用される、実施形態7の方法。
【0022】
9.抗炎症薬が、IL-6経路に対する抗体(トシリズマブ及びシルツキシマブ等)、コルチコステロイド(デキサメタゾン等)、TNF経路を阻害する抗体(エタナーセプト、インフリキシマブ等)、アナキンラ、及び抗GM-CSF(レンジルマブ等)から選択されるが、これらに限定されない、実施形態8の方法。
【0023】
10.がん患者におけるIPIスコアを予測する方法であって、製造前PBMC集団中の中間単球(白血球の%)のレベルが、より高いIPIスコアを有する患者において濃縮されており、より高いIPIスコアを有する患者のマーカーである、方法。
【0024】
11.CAR及びTCR T細胞の臨床的有効性を推定する方法であって、製造前PBMC産物中の中間単球及び/又は全単球を定量すること、を含み、これにより、CAR T細胞の臨床的有効性の負の指標であることが示されている患者の腫瘍負荷の推定が可能になる、方法。
【0025】
12.中間単球及び/又は全単球のレベルが、化学療法、放射線抗体及び小分子ベースの療法、免疫療法(限定されないが、チェックポイント阻害剤、二重特異性エンゲージャーを含む)、並びに腫瘍負荷が負の予後及び/又は予測バイオマーカーであることが示されている細胞療法(それだけに限らないが、CAR-T、TCRに基づくリンパ球及び腫瘍浸潤リンパ球を含む)等のより大きな推定腫瘍負荷を克服するのを助けるための追加の治療薬の使用を示す、実施形態11の方法。
【0026】
13.CAR又はTCR T細胞の臨床的有効性の負の指標であることが示されている、患者の低酸素状態の推定を可能にするバイオマーカー(例えば、中間単球及び/又は全単球)を定量化する方法。
【0027】
14.中間単球及び/又は全単球のレベルが、低酸素腫瘍微小環境(TME)を克服するための補足治療薬の指標として使用される、実施形態13の方法。
【0028】
15.補足治療薬が、より正常なTMEを確立する代謝調節剤、VEGF阻害剤(ベバシズマブ等)、HIF阻害剤、及びLDH阻害剤から選択されるが、これらに限定されない、実施形態13及び14のいずれか1つの方法。
【0029】
16.免疫療法(例えば、CAR T細胞治療)に対する奏効を予測する方法であって、製造前PBMC集団における単球、特に中間単球が、TME中のT細胞特徴と負に関連し、CD27+CD28+ナイーブTh細胞及びリンパ球が、奏効に関連しているTME中のT細胞特徴と正に関連する方法。
【0030】
17.奏効に関連しているTMEにおけるT細胞特徴としては、活性化CD8+T細胞サブセット(CD3+CD8+PD-1+Lag3+/-Tim3-細胞)並びに活性化T細胞シグネチャ(例えば、CXCL10、CXC11、GZMA、GZMB、GZMK及びImmunosign21)に関連する遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない、実施形態16の方法。
【0031】
18.がん患者におけるTMEの全体的な状態を解明する方法であって、末梢血バイオマーカーのレベルが、TME内の免疫砂漠、骨髄不均衡、免疫抑制等の様々なクラスへの腫瘍免疫状況の推定を可能にする方法。
【0032】
19.これらのバイオマーカーが、限定されないが、免疫療法(チェックポイント阻害剤、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4等、又はそれらの任意の組み合わせを含む)、SRCキナーゼ阻害剤(ダサチニブ等)、T細胞性二重特異性抗体、抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ等)、抗4-1BB、抗CD47、TGF-ベータ阻害剤又はドミナントネガティブTGF-ベータ、mTOR/AKTアゴニスト、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、シクロホスファミド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ドキソルビシン、タキサン及び任意の他の形態の化学療法又は放射線療法、低分子阻害剤又は抗腫瘍免疫の増強を標的とする抗体から選択され得る、可能性のある併用療法を選択するために使用される、実施形態18の方法。
【0033】
20.製造後の患者の最終的な注入バッグナイーブ状態及びT細胞に富む腫瘍免疫状況の推定を可能にする単純なバイオマーカー(CD27+CD28+ナイーブTh)を定量化する方法であって、これらは両方ともCAR T細胞の臨床的有効性の陽性指標であることが示されており、低レベルのこれらのCD27+CD28+ナイーブTh細胞は、抗炎症薬、既製/同種CAR若しくはTCR T細胞、製造最適化、又はCAR T細胞の有効性を改善するために腫瘍微小環境を改変するのに役立つ併用療法の潜在的な使用を示す、方法。
【0034】
21.炎症状態を予測する方法であって、製造前PBMC集団中の中間単球が、治療前の炎症(INTL8、フェリチン、CRP、アミロイドA)/腫瘍低酸素状態(LDH)と正に関連し、T細胞に富む腫瘍免疫状況(例えば、活性化T細胞シグネチャ、CD3+CD8+PD1+LAG3-TIM3-細胞;GZMA、TGIT、LAG3、CXCL10、GZMB、PRF1、STAT1、EOMES、CXCL9、GZMK、CXCL11、HAVCR2、CD3D、IS21)で規定される治療前と負に関連する、方法。
【0035】
22.高レベルの中間単球が、抗炎症薬(コルチコステロイド又はトシリズマブ等)及び/又は不十分なTICを克服するのを助ける免疫調節薬(例えば、TME調節薬[チェックポイント阻害剤、抑制性骨髄細胞を標的とし抗原提示を増強する薬物、血管系を安定化する薬物、又は腫瘍代謝を正常化する薬物等])の使用を示す、方法。
【0036】
23.薬物が、免疫療法の前、間及び/又は後に投与される、実施形態22の方法。
【0037】
24.製造前PBMC集団中の中間単球のレベルに基づいて、患者がCAR又はTCR T細胞療法に奏効する可能性があるかどうかを予測する方法であって、製造前PBMC集団中の中間単球のレベルが、それ自体が奏効に負に関連する治療前腫瘍負荷と正の関連を有する、方法。
【0038】
25.製造前PBMC集団中の中間単球及び/又は全単球のレベルを使用して患者の腫瘍負荷を推定する方法であって、これは次にCAR T細胞の臨床有効性の負の指標であることが示されており、中間単球のレベルは、腫瘍負荷が負の予後及び/又は予測バイオマーカーであることが示されている、化学療法、放射性抗体及び小分子ベースの療法、免疫療法(チェックポイント阻害剤、二重特異性エンゲージャーを含むが、これらに限定されない)、並びに細胞療法(CAR-T、TCRベース及び腫瘍浸潤リンパ球を含むが、これらに限定されない)等のより大きな推定腫瘍負荷を克服するのを助けるための追加の治療薬の使用に対する指標として役立つ、方法。
【0039】
26.CAR T細胞産物を調製するために使用されるアフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベル(白血球の%)に基づいて、CAR T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法であって、アフェレーシス産物/製造前PBMC集団中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベル(白血球の%)が、改善された全生存期間(OS)及び無増悪生存期間(PFS)(最適カットオフ)の予測マーカーである方法(すなわち、それらの間に正の関連がある、すなわち、列挙されるカットオフを上回る治療前のCD27+CD28+ナイーブTh細胞を有する対象は、選択されたカットオフを下回るの対象よりも生存の可能性が高い)。
【0040】
27.CAR又はTCR T細胞産物を調製するために使用されるアフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞(白血球の%)のレベルに基づいて、CAR又はTCR T細胞療法を必要とする患者のPFSを予測する方法であって、選択されたカットオフを上回る対象について、完全奏効率、客観的奏効率、及びCAR又はTCR T細胞の増殖が改善される、方法。
【0041】
28.低レベル(例えば、0.27%を下回る)のCD27+CD28+ナイーブTh細胞を有する対象が、生存の可能性を改善するための別の形態の治療(併用療法、同種異系CAR T細胞等)又は製造最適化から利益を得る層別化の方法。
【0042】
29.低レベルが、評価可能な臨床試験対象の中央値を下回る、又は0.1~0.5%、0.5~1.0%、1~1.5%、1.5~2%、2~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~50%の間等、又は95~100%を下回るレベルである、実施形態28の方法。
【0043】
30.アフェレーシス産物中の中間単球レベル(白血球の%)がおよそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%又は20%、好ましくは1~5%の間、更により好ましくはおよそ3%を下回る、カットオフを下回る対象が、カットオフを上回る対象よりも生存の可能性が高いと予測される方法。
【0044】
31.CAR又はTCR T細胞療法を必要とする対象におけるOS及びPFSを予測する方法であって、CAR又はTCR T細胞産物を調製するために使用されるアフェレーシス産物中の中間単球のレベル(白血球の%)を測定すること、及びレベルがカットオフを上回るか下回るかを判定すること、を含み、完全奏効率及び客観的奏効率、並びにおよそ3%のカットオフを下回るそれらの対象についてのCAR又はTCR T増殖が改善される、方法。
【0045】
32.高レベルの中間単球(およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%又は20%を上回る、好ましくは1~5%の間、更により好ましくはおよそ3%を上回るレベル)を有する対象が、生存の可能性を改善するために別の形態の治療(例えば、免疫療法との併用療法、同種異系CAR T細胞等)又は製造最適化から利益を得ることができる、患者層別化の方法。
【0046】
33.CAR又はTCR T細胞産物の調製に使用される中間単球(白血球の%)に対するアフェレーシス産物中のCD27+CD28p+ナイーブTh細胞の比(白血球の%)を測定することと、そのレベルがおよそ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1~5、5~10、10~20、好ましくは0.05~0.2、0.2~0.25、0.25~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~5、5~10、10~15等、95~100、100~200、200~300等、より好ましくは0.1~1、更により好ましくは0.1705のカットオフを上回るか下回るかを判定することと、を含む、CAR T細胞療法を必要とする対象におけるOS及びPFS、奏効、並びにCAR又はTCR T細胞の増殖速度を予測する方法。
【0047】
34.選択された0.1705のカットオフを上回る対象について、完全奏効率、客観的奏効率、及びCAR又はTCR T細胞増殖における改善がある、実施形態33の方法。
【0048】
35.低レベルのCD27+CD28+ナイーブTh細胞(例えば、およそ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1~5、5~10、10~20、好ましくは0.05~0.2、0.2~0.25、0.25~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~5、5~10、10~15、より好ましくは0.1~1、更により好ましくは0.1705のレベル)を有する対象が、生存の可能性を改善するための別の形態の治療(併用療法、同種異系CAR T細胞等)又は製造最適化のために利益を得る/推奨され得る、患者層別化の方法。
【0049】
36.CD27+CD28+ナイーブThレベル及び低中間単球のレベルを測定すること、を含む、CAR T細胞療法を必要とする対象における客観的奏効を予測する方法であって、それにより、0.08%(中央値を上回るレベル、又は0.05%、0.1%、0.2~1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%等を上回るレベル、95~100%)の/を上回るCD 27+CD 28+ナイーブThレベル、及び/又は3%(中央値を下回る、又は1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%等を下回る、95%~100%)の/を下回る中間単球のレベルは、客観的奏効の可能性の増加を示す、方法。
【0050】
37.これらのレベルが、既製の/同種異系のCAR又はTCR T細胞、免疫調節剤、二重特異性エンゲージャー、併用療法等から利益を得ることができる患者を層別化するために使用される、実施形態36の方法。
【0051】
38.治療前アフェレーシスPBMC及びCAR又はTCR T細胞増殖における中間単球のレベルを測定し、注入後に患者を能動的に追跡して長期奏効が何であるかを推定し、補足治療薬が有用であり得るかを推定するために使用する方法であって、製造前PBMC集団における高レベルの中間単球(ここで、高レベルは、一般集団中の中間単球の中央値を上回るレベルであり、中央値は、0~1%、1~2%、2~3%、3~4%、4~5%、5~6%、6~7%、7~8%、8~9%、9~10%、10~15%、15~20%等、好ましくは約1.7~1.8%であり得る)及び低レベルのCAR T細胞増殖(ここで、低レベルは、一般集団におけるCAR T細胞増殖の中央レベルを下回るレベルであり、中央値は、0~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100である)が、非レスポンダーの最高率と相関する方法。
【0052】
39.方法が、注入後のベースライン中間単球レベル及びCAR又はTCR増殖に基づいて奏効を推定する、実施形態38の方法。
【0053】
40.増加したCAR T細胞ピーク増殖(ここで、増殖したレベルは、一般的なCAR T細胞治療集団におけるCAR T細胞増殖の中央レベルを上回るレベルであり、中央値は、0~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100の間、好ましくは40~50の間である)、及びより低い中間単球レベル(ここで、低レベルは、一般集団中の中間単球の中央値を下回るレベルであり、中央値は、0~1%、1~2%、2~3%、3~4%、4~5%、5~6%、6~7%、7~8%、8~9%、9~10%、10~15%、15~20%等、好ましくは約1.7~1.8%であり得る)を有する対象では、他の四分円と比較して増加した継続奏効率及び減少した再発率又は非レスポンダー率があった、実施形態39の方法。
【0054】
41.治療前アフェレーシスPBMC及びCAR T細胞増殖における中間単球のレベルを測定し、注入後の患者を能動的に追跡して、継続奏効、再発の可能性がどのようなものであるか、及び補足治療薬が上記の相関に基づいて有用であり得るかを推定するために使用する方法。
【0055】
42.対象が、中央値レベルを上回るベースライン腫瘍負荷、高い中間単球(中央値を上回る、中央値は、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、10~15%、15~20%、20~25%等、95~100%、好ましくはおよそ1.1%であり得る。)及び低いCAR-T細胞ピーク増殖(中央値を下回る、中央値は、およそ5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%、50~55%、55~60%、60~65%、65~70%等、95~100%、好ましくはおよそ43%であり得る。)を有する場合、奏効の可能性は低い(1%~-10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%の継続奏効率及び1%~-10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%の客観的奏効率)、実施形態41の方法。
【0056】
43.治療前アフェレーシスPBMC中の中間単球のレベル、ベースライン腫瘍負荷、及びCAR又はTCR T細胞増殖を測定し、注入後の患者を能動的に追跡して、上記の相関に基づいて、継続奏効及び客観的奏効の可能性が何であるか、及び補足治療薬が有用であり得るかを推定するために使用する、実施形態42の方法。
【0057】
44.CAR又はTCR T細胞治療を必要とする対象におけるCAR又はTCR T細胞治療に対する奏効の可能性を予測する方法であって、製造前PBMC集団におけるCD27+CD28+ナイーブThのレベル(白血球の%)を測定することと、そのレベルが最適なカットオフポイント(例えば、0.1036%、0~0.1%、0.1%、-0.5%、0.5%、-1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%)を上回るか又は中央値(例えば、0.89%、0~0.1%、0.1%、-0.5%、0.5%、-1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%)を上回る場合に、高い奏効の可能性を予測すること、を含む、方法。
【0058】
45.製造前のPBMC集団中のCD27+CD28+ナイーブTh(白血球の%)のレベルが選択されたカットオフ点又は中央値範囲を下回る場合、製造最適化、併用療法、又は既製/同種CAR又はTCR T細胞療法のために患者を選択する方法であって、これはまた、継続奏効の可能性がより低いことの指標である、方法。
【0059】
46.CAR又はTCR T細胞治療を必要とする対象においてCAR又はTCR T細胞治療に対する奏効の可能性を予測する方法であって、製造前PBMC集団中の中間単球(白血球の%)のレベルを測定することと、このレベルが最適なカットポイント(例えば、3.02%、0~0.1%、0.1%、-0.5%、0.5%、-1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%)を下回るか、又は中央値(例えば、1.77%、0~0.1%、0.1%、-0.5%、0.5%、-1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%)を下回る場合、奏効の高い可能性を予測することと、を含み、製造前PBMC集団レベル中の中間単球(白血球の%)は、再発を経験するか又は非レスポンダーである対象と比較して、継続(持続的)奏効を有する対象においてより低い、方法。
【0060】
47.製造前PBMC集団中の中間単球のレベル(白血球の%)を測定し、継続奏効の可能性がより低い範囲を上回る対象のための製造最適化、併用療法、又は既製/同種異系CAR又はTCR T細胞療法を選択する方法において使用する、方法。
【0061】
48.製造前PBMC集団中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルに基づいてCAR又はTCR T細胞療法に対する奏効を予測する方法であって、それにより、これらの細胞のより高いレベルを有する患者は、CAR T療法に奏効しない可能性よりも高く、介入を必要としない可能性よりも低く、より低いレベルを有する患者は、併用療法、最適化された製造アプローチ、既製/同種CAR又はTCR T細胞、次世代CARコンストラクト等の治療に対する更なる改変を考慮する必要があり得る、方法。
【0062】
49.CAR又はTCR T細胞療法に対する奏効を予測する方法であって、それにより、CD27+CD28+ナイーブTh細胞のより高いレベル(0~0.005%、0.005~0.010%、0.01%~0.05%、0.05~0.1%、0.1~0.5%、0.5%~1.0%、1~5%、5~10%、10~15%を上回る、好ましくは0.1%を上回る)を有する患者は、CAR T療法に対してより応答性であり、介入を必要とする可能性がより低いと予測される、方法。
【0063】
50.より低いレベル(0~0.005%、0.005~0.010%、0.01%~0.05%、0.05~0.1%、0.1~0.5%、0.5%~1.0%、1~5%、5~10%、10~15%を下回る、好ましくは0.08%を下回る)のCD27+CD28+ナイーブTh細胞を有する患者を層別化する方法であって、併用療法、最適化された製造アプローチ、既製/同種異系CAR T細胞、次世代CARコンストラクト等の治療に対する更なる改変が考慮される方法。
【0064】
51.そうでなければCD27+CD28+ナイーブTh細胞を大幅に減少させる以前の化学療法薬を後の治療ラインに移して、CAR T療法のためのアフェレーシスPBMC産物の製造前及び末梢/腫瘍環境においてCD27+CD28+ナイーブTh細胞を保存する治療方法。
【0065】
52.製造前のアフェレーシスPBMC製品中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルが、アフェレーシス時のこれらの細胞が製品適合性に及ぼすプラスの影響と共に、がんを有する対象に対して任意の治療を開始する前に、アフェレーシスバッグを凍結してCAR又はTCR T細胞療法のための最良の移入細胞を得ることを示す方法。
【0066】
53.CAR又はTCR T療法に対する奏効及び更なる介入の必要性を予測する方法であって、それによって、これらの細胞の中間単球のレベルのより低い(0~1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%を下回る、好ましくは3%を下回る)患者は、CAR T療法に対してより応答性であり、更なる介入を必要とする可能性がより低い、方法。一実施形態では、より高いレベルを有する患者は、併用療法、最適化された製造アプローチ、既製/同種異系CAR又はTCR T細胞、次世代CARコンストラクト等の治療に対する更なる改変を考慮する必要があり得る。
【0067】
54.これらの細胞を増加させる以前の化学療法剤が、CAR又はTCR T療法の前にこれらの細胞が末梢/TMEにおいて増加するのを防ぐために後の治療ラインに移され、がんを有する対象のために任意の療法が開始される前に、アフェレーシスバッグを凍結してCAR T細胞療法のための最良の流入細胞を得るべきである、実施形態53の方法。
【0068】
55.予後を評価する方法であって、国際予後指数(IPI)スコア及びアフェレーシス産物中の中間単球のレベルが正に関連しており、これらの細胞がより悪い予後を有する対象と関連していることを更に示し、中間単球がベースライン腫瘍負荷と正に関連していた、方法。A
【0069】
56.中間単球のレベルが、CAR又はTCR T細胞の有効性にとってあまり最適でない状態を示し、これらの細胞のレベルが3%を上回る場合(又は0~1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%を上回る)、CAR T療法の有効性を改善するために更なる介入/最適化が必要とされ得る、実施形態55の方法。
【0070】
57.中間単球のレベルに基づいて、中間単球の除去及びナイーブ産物細胞のレベルの増加、次世代CARコンストラクトの使用、及び/又は免疫調節剤若しくはチェックポイント遮断、既製/同種異系CAR又はTCR T細胞等との併用療法の使用に対する製造最適化のために、患者を層別化する、実施形態55及び56のいずれか1つの方法。
【0071】
58.CAR又はTCR T細胞治療を必要とする対象におけるCAR又はTCR T細胞治療に対するOS及びPFSを予測する方法であって、アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベル(白血球の%)を測定することと、そのレベルがカットオフを上回るか下回るかに基づいて生存及びPFSの可能性を決定することと、を含み、アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベル(白血球の%)がOS及びPFSと正に関連し、OS及びPFSの予測マーカーである、方法。
【0072】
59.CD27-CD28+TEMRA Tregについて、より高いレベルのこれらの細胞(例えば、0.17%の閾値を上回る)を有する対象が、より高い完全奏効率、客観的奏効率及び継続奏効率を有する、実施形態58の方法。
【0073】
60.カットオフ閾値が0.17%である、実施形態59の方法。
【0074】
61.カットオフが、およそ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1~5、5~10、10~20、好ましくは0.05~0.2、0.2~0.25、0.25~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~5、5~10、10~15の間等、95~100、100~200、200~300等、より好ましくは約0.1705である、実施形態59の方法。
【0075】
62.患者が層別化され、それによって、低レベルのCD27-CD28+TEMRA Tregを有する対象が、CAR療法による生存の可能性を改善するために、別の形態の療法(併用療法、同種異系CAR又はTCR T細胞等)、製造最適化、次世代CAR等から利益を得ることができる、実施形態59~61のいずれか1つの方法。
【0076】
63.CAR又はTCR T細胞増殖及び治療奏効を予測する方法であって、それにより、CD27+CD28+ナイーブTh細胞は、CAR Tピーク増殖と正に関連し、これは、奏効と正に相関することが示されており、これらの細胞が奏効に対して正の影響を有することを示す、方法。
【0077】
64.低レベルのCD27+CD28+ナイーブTh細胞及びCAR T細胞の両方のピーク増殖が、より高い非レスポンダー率と相関する一方で、両方のレベルの増加が、より高い奏効率をもたらす、実施形態63の方法。
【0078】
65.中間単球のレベルを使用して製造最適化のために患者を層別化し、産物中のこの集団を減少させて最終CAR T細胞を増強し、それによって方法がCAR又はTCRの増殖及び奏効率を改善する方法であって、アフェレーシス産物中の中間単球のレベル対CAR-TピークとCAR-Tピーク/ベースライン腫瘍負荷との間に関連があり、中間単球のレベルとCAR T細胞ピーク増殖(腫瘍負荷によって正規化)との間に負の関連がある、方法。中間単球のレベルは、奏効と正に相関することが示されているCAR Tピーク増殖(CAR/TB)と負に関連し、これらの細胞が注入後の奏効及びCAR機能に対して負の影響を有するはずであることを示し、高い中間単球は、更なる治療薬、次世代CARコンストラクト、既製/同種異系CAR若しくはTCR T細胞の利用、又は有効性を改善するための製造最適化の指標である。
【0079】
66.中間単球のレベル及びCAR Tピーク増殖レベルを測定することによってCAR又はTCR T細胞療法に対する奏効を予測する方法であって、それにより、アフェレーシス産物中の高レベル(中央値を上回る、又は0~1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%を上回る、好ましくは3%を上回る)の中間単球及び低レベル(中央値を下回る、又は5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%、50~55%、55~60%を下回る、好ましくは43%を下回る)のCAR-Tピークは、より高いノンレスポンダー率と相関し、一方、中間単球レベルの低下及びCAR Tピーク増殖の増加は、より高い奏効率をもたらす、方法。
【0080】
67.CAR又はTCR T細胞治療を必要とする対象におけるCAR又はTCR T細胞治療に対する完全奏効、客観的奏効、及び継続奏効の可能性を予測する方法であって、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比を測定することと、その比に基づいて完全奏効、客観的奏効、及び継続奏効の可能性を予測することと、を含む、方法。一実施形態では、比が最適なカットオフを上回る場合(例えば、最適カットオフが約0~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%等であり得る場合)、完全奏効、客観的奏効及び継続奏効の可能性は、比がカットオフを下回る場合(例えば、カットオフが約0~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%等であり得る場合)よりも高い。
【0081】
68.白血球に対するリンパ球のレベルが低い対象が、生存/奏効の可能性を改善するために別の形態の治療(併用療法、同種異系CAR T細胞、次世代CARコンストラクト等)で治療され、及び/又は製品適合性を改善するために最適化された製造に供される、患者層別化の方法。
【0082】
69.患者層別化の方法であって、それによって、白血球対リンパ球の低レベル(中央値を下回る、又は1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%等を下回る、好ましくは5.2を下回る)が毒性事象を有するより高い可能性を示し、及び毒性を予防するための抗炎症薬(例えば、トシリズマブ、ステロイド)の患者への予防的投与を示す、方法。
【0083】
70.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比を測定することによってCAR又はTCR T細胞療法に対する奏効を予測する方法であって、それによって、比は腫瘍負荷と負に関連し、それによって奏効と正に関連する、方法。
【0084】
71.製造前のPBMCリンパ球対白血球比が低い(中央値を下回る、又は1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%等を下回る、好ましくは5.2を下回る)及び/又は患者が高い腫瘍負荷を有する場合、有効性を改善するために追加の介入について患者を層別化する方法。
【0085】
72.炎症性サイトカインCRP、フェリチン、IL 6のレベルを推定する方法。ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比を測定することによって、より悪い予後と関連する、がん患者におけるCRP、フェリチン及びIL6(ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比は、DLBCLにおける奏効と負に相関する薬力学的マーカーであることが以前に示されているサイトカインと負に関連し、任意選択的に、白血球に対するリンパ球の低レベルが定量化される場合、患者は、CAR T細胞療法の前及び/又は後に抗炎症薬を投与するために選択される)。
【0086】
73.患者の骨髄系細胞のレベルを予測する方法であって、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比は、骨髄系細胞(より具体的には、奏効と負に関連する中間単球)と負に関連し、CD8及びEM/エフェクターT細胞と正に関連する、方法。
【0087】
74.リンパ球対白血球の比率が低い(中央値を下回る、又は1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%等を下回る、好ましくは5.2を下回る)患者が、骨髄区画の活性を無効化しようとする併用療法のため、及び/又は製品中のそれらの集団を枯渇させるための製造プロセスの最適化のために考慮される、実施形態73の方法。
【0088】
75.がん治療における層別化の方法であって、単球に対するリンパ球のレベルが低い対象が、生存の可能性を改善するためにCAR T細胞療法(例えば、併用療法、同種異系CAR T細胞、次世代CARコンストラクト等)に加えて、又は代替として別の形態の療法を投与され、及び/又は対象が、製品適合性を改善するためにCAR T細胞産物の最適化された製造に供され、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比がOS及びPFSと正に関連し、OS及びPFSの予測バイオマーカーとして役立ち得る、方法。
【0089】
76.リンパ球対単球の比が0.79を上回るか、又は比が0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、10~15の間等である対象において、より高い完全奏効率、客観奏効率及び継続奏効率が観察される、奏効を予測する方法。
【0090】
77.免疫療法(例えば、CAR T細胞)に対する奏効を予測する方法であって、低レベルの単球対リンパ球(中央値を下回る、又は1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%を下回る、好ましくは8%を下回る)は、毒性事象を有するより高い可能性を示し、毒性を予防するための抗炎症薬(例えば、トシリズマブ、ステロイド)の予防的使用を示す、方法。
【0091】
78.CAR T細胞の臨床的有効性の負の指標であることが示されている患者の腫瘍負荷の推定を可能にするベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比を定量する方法。
【0092】
79.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比は、化学療法、放射性抗体及び小分子ベースの療法、免疫療法(チェックポイント阻害剤、二重特異性エンゲージャーを含むが、これらに限定されない)、並びに腫瘍負荷が負の予後及び/又は予測バイオマーカーであることが示されていた細胞療法(それだけに限らないが、CAR-T、TCRに基づくリンパ球及び腫瘍浸潤リンパ球を含む)等のより大きな推定腫瘍負荷を克服するのを助けるための追加の治療薬の使用を示し得る、実施形態78の方法。
【0093】
80.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比を測定することによって、がん患者の血清中のCRP及びIL6のレベル、及び/又は免疫療法(例えば、CAR T細胞療法)予後を推定する方法であって、CRP及びIL6のレベルは、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比のレベルと負に関連し、悪い予後と正に関連する、方法。
【0094】
81.リンパ球から単球への低レベル(又は中央値を下回るレベル、又は0.05%、0.05~0.1%、0.1~0.5%、0.5~1.0%、1~5%、5~10%、10~15%を下回るレベル、好ましくは0.78を下回るレベル)が定量される場合、患者に抗炎症薬を投与する、患者を層別化する方法。
【0095】
82.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比を測定することによって、最終注入製品中の骨髄系細胞、CD8及び/又はEM/エフェクター細胞のレベルを予測する方法であって、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比が、骨髄系細胞と負に関連し、CD8及びEM/エフェクターT細胞と正に関連し、任意選択的に、この方法を更に使用して、骨髄区画の活性を無効にすることを試みる併用療法について及び/又はそれらの集団を枯渇させるための製造前材料の最適化について患者を層別化する、方法。
【0096】
83.がん患者におけるT細胞産物の適合性及び奏効を予測する方法であって、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比が中間単球と負に関連し、CD27-CD28+TEMRA及びTreg並びにCD27+CD28+ナイーブ及びTh細胞を含む奏効に関連するアフェレーシス集団と相関し、製造前PBMC集団における単球対リンパ球の高レベル(又は中央値よりを上回る、又は0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、10~15を上回る、好ましくは0.8%を上回る)が、産物の適合性及び奏効と正に追跡する流入するアフェレーシス材料を示し、低レベル(中央値を下回る、又は0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、10~15を下回る、好ましくは0.78%下回る)が、製造最適化、併用療法、又は次世代CAR療法若しくはTCR療法の必要性を示す、方法。
【0097】
本開示の一実施形態は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法であって、患者由来のアフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルを測定することと、アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルから少なくとも部分的に患者の生存の可能性を判定することと、を含む、方法に関する。そのような実施形態では、患者は、CD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を超える場合、生存の可能性が増加していると判定され、患者は、CD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルがカットオフパーセンテージ値を下回る場合、生存の可能性が減少していると判定される。
【0098】
本開示の一実施形態は、上記のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法に関し、カットオフパーセンテージ値は、およそ0~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、又はより好ましくはおよそ0.27%である。
【0099】
本開示の一実施形態は、上記のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法であって、患者由来のアフェレーシス産物中の中間単球のレベルを測定することと、アフェレーシス産物中の中間単球のレベルから少なくとも部分的に患者の生存の可能性を判定することと、を更に含む、方法に関する。そのような方法では、患者は、中間単球の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を下回る場合、生存の可能性が増加していると判定され、患者は、中間単球のレベルがカットオフパーセンテージ値を上回る場合、生存の可能性が減少していると判定される。
【0100】
本開示の一実施形態は、上記のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法に関し、カットオフパーセンテージ値は、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%又は20%、好ましくは1~5%の間であり、更により好ましくはおよそ3%を下回る。
【0101】
本開示の一実施形態は、上記のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法であって、患者由来のアフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルを測定することと、アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルから少なくとも部分的に患者の生存の可能性を判定することと、を更に含む、方法に関する。そのような方法では、CD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を上回る場合、患者は生存の可能性が増加していると判定され、CD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルがカットオフパーセンテージ値を下回る場合、患者は生存の可能性が減少していると判定される。
【0102】
本開示の一実施形態は、上記のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法に関し、カットオフパーセンテージ値はおよそ0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1~5%、5~10%、10~20%、好ましくは0.05~0.2%、0.2~0.25%、0.25~0.5%、0.5~0.6%、0.6~0.7%、0.7~0.8%、0.8~0.9%、0.9~1%、1~5%、5~10%、10~15%の間、より好ましくはおよそ0.1705%である。
【0103】
本開示の一実施形態は、上記のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法であって、患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対白血球比を測定することと、リンパ球対白血球比から少なくとも部分的に患者の生存の可能性を決定することと、を更に含む、方法に関する。そのような方法では、リンパ球対白血球比がカットオフ値を上回る場合、患者は生存の可能性が増加していると判定され、リンパ球対白血球比がカットオフ値を下回る場合、患者は生存の可能性が減少していると判定される。
【0104】
本開示の一実施形態は、上記のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法に関し、カットオフ値は、1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%であり、好ましくは5.2%を下回る。
【0105】
本開示の一実施形態は、上記のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法であって、患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対単球比を測定することと、リンパ球対単球比から少なくとも部分的に患者の生存の可能性を判定することと、を更に含む、方法に関する。そのような方法では、リンパ球対単球比がカットオフ値を上回る場合、患者は生存の可能性が増加していると判定され、リンパ球対単球比がカットオフ値を下回る場合、患者は生存の可能性が減少していると判定される。
【0106】
本開示の一実施形態は、上記のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法に関し、カットオフ値は、0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、10~15の間、好ましくは0.79である。
【0107】
本開示の一実施形態は、免疫療法生成物を製造する方法であって、対象由来の血液試料からアフェレーシス産物を調製することと、アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルを測定することと、アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルが、アフェレーシス産物中の全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を下回る場合、処理のために回収されるCD27+CD28+ナイーブTh細胞の量を増加させることと、を含む、方法に関する。
【0108】
本開示の一実施形態は、上記の免疫療法生成物を製造する方法に関し、カットオフパーセンテージ値は、およそ0~0.1%、0.1%、-0.5%、0.5%、-1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、又はより好ましくはおよそ0.27%である。
【0109】
本開示の一実施形態は、上記の免疫療法生成物を製造するための方法であって、アフェレーシス産物中の中間単球のレベルを測定することと、アフェレーシス産物中の中間単球のレベルが、アフェレーシス産物中の全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を上回る場合、更なる処理の前にアフェレーシス産物中の中間単球のレベルを低下させることと、を含む、方法に関する。
【0110】
本開示の一実施形態は、上記の免疫療法生成物を製造する方法に関し、カットオフパーセンテージ値は、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、又は20%、好ましくは1~5%、更により好ましくはおよそ3%である。
【0111】
本開示の一実施形態は、上記の免疫療法生成物を製造するための方法であって、アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルを測定することと、アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルが、アフェレーシス産物中の全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を下回る場合、処理のために回収されるCD27-CD28+TEMRA Treg細胞の量を増加させること、を更に含む、方法に関する。
【0112】
本開示の一実施形態は、上記の免疫療法生成物を製造する方法に関し、カットオフパーセンテージ値は、およそ0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1~5%、5~10%、10~20%、好ましくは0.05~0.2%、0.2~0.25%、0.25~0.5%、0.5~0.6%、0.6~0.7%、0.7~0.8%、0.8~0.9%、0.9~1%、1~5%、5~10%、10~15%の間、より好ましくはおよそ0.1705%である。
【0113】
本開示の一実施形態は、患者の悪性腫瘍を治療する方法であって、患者由来のアフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルを測定することと、アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルから少なくとも部分的に、患者に、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与すべきかどうかを決定することと、決定するステップに基づいて、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又は有効用量のT細胞及び併用療法を投与することと、を含む、方法に関する。このような方法では、CD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルが全白血球のパーセンテージとして測定されたカットオフパーセンテージ値を超える場合、患者はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞を投与され、CD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルがカットオフパーセンテージ値を下回る場合、患者はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与される。
【0114】
本開示の一実施形態は、上記の患者の悪性腫瘍を治療する方法に関し、カットオフパーセンテージ値は、およそ0~0.1%、0.1%、-0.5%、0.5%、-1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、又はより好ましくはおよそ0.27%である。
【0115】
本開示の一実施形態は、上記の患者の悪性腫瘍を治療する方法であって、患者からのアフェレーシス産物中の中間単球のレベルを測定することと、アフェレーシス産物中の中間単球のレベルから少なくとも部分的に、患者に、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与すべきかどうかを決定することと、決定するステップに基づいて、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又は有効用量のT細胞及び併用療法を投与することと、を更に含む、方法に関する。このような方法では、中間単球のレベルが全白血球のパーセンテージとして測定されたカットオフパーセンテージ値を下回る場合、患者はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞を投与され、中間単球のレベルがカットオフパーセンテージ値を上回る場合、患者はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与される。
【0116】
本開示の一実施形態では、上記の患者の悪性腫瘍を治療する方法に関し、カットオフパーセンテージ値は、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、又は20%、好ましくは1~5%の間、更により好ましくはおよそ3%である。
【0117】
本開示の一実施形態は、上記の患者の悪性腫瘍を治療する方法であって、患者由来のアフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルを測定することと、アフェレーシス産物中のCD 27-CD 28+TEMRA Treg細胞のレベルから少なくとも部分的に、患者に、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与すべきかどうかを決定することと、決定するステップに基づいて、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又は有効用量のT細胞及び併用療法を投与することと、を更に含む、方法に関する。このような方法では、CD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルが全白血球のパーセンテージとして測定されたカットオフパーセンテージ値を上回る場合、患者はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞を投与され、CD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルがカットオフパーセンテージ値を下回る場合、患者はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与される。
【0118】
本開示の一実施形態は、上記の患者の悪性腫瘍を治療する方法に関し、カットオフパーセンテージ値は、およそ0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1~5%、5~10%、10~20%、好ましくは0.05~0.2%、0.2~0.25%、0.25~0.5%、0.5~0.6%、0.6~0.7%、0.7~0.8%、0.8~0.9%、0.9~1%、1~5%、5~10%、10~15%、より好ましくはおよそ0.1705%である。
【0119】
本開示の一実施形態は、上記の患者の悪性腫瘍を治療する方法であって、患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対白血球比を測定することと、リンパ球対白血球比から少なくとも部分的に、患者に、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与すべきかどうかを決定することと、決定するステップに基づいて、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又は有効用量のT細胞及び併用療法を投与することと、を更に含む、方法に関する。このような方法では、リンパ球対白血球比がカットオフ値を上回る場合、患者にキメラ受容体を含む有効用量のT細胞を投与し、リンパ球対白血球比がカットオフ値を下回る場合、患者にキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与する。
【0120】
本開示の一実施形態は、上記の患者の悪性腫瘍を治療する方法に関し、カットオフ値は1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、好ましくは5.2%である。
【0121】
本開示の一実施形態は、上記の患者の悪性腫瘍を治療する方法であって、患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対単球比を測定することと、リンパ球対単球比から少なくとも部分的に、患者に、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与すべきかどうかを決定することと、決定するステップに基づいて、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又は有効用量のT細胞及び併用療法を投与することと、を更に含む、方法に関する。このような方法では、リンパ球対単球比がカットオフ値を上回る場合、患者にキメラ受容体を含む有効用量のT細胞を投与し、リンパ球対単球比がカットオフ値を下回る場合、患者にキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与する。
【0122】
本開示の一実施形態は、上記の患者の悪性腫瘍を治療する方法に関し、カットオフ値は、0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、10~15、好ましくは0.79である。
本開示の一実施形態は、上記患者における悪性腫瘍を治療するための方法であって、併用療法が、免疫療法、SRCキナーゼ阻害剤、T細胞性二重特異性抗体、抗CD20モノクローナル抗体、抗4-1BB、抗CD47、TGF-ベータ阻害剤又はドミナントネガティブTGF-ベータβ、mTOR/AKTアゴニスト、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、シクロホスファミド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ドキソルビシン、タキサン、化学療法若しくは放射線療法、低分子阻害剤、抗腫瘍免疫の増強を標的とする抗体、又は抗炎症薬を含む、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0123】
特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有するこの特許又は特許出願公開のコピーは、要求及び必要な料金の支払いに応じて米国特許商標庁によって提供される。
【0124】
【
図1A】臨床研究からのアフェレーシス材料の分析に利用されるフローサイトメトリーマーカーの概要。
【
図1B】臨床試験からのアフェレーシス材料の分析に利用されるNK/単球/DCサブセットのフローサイトメトリーマーカー及びゲーティング戦略の概要。
【
図1C】(血液から決定されるような)既存の免疫系状態、腫瘍免疫状況、及びアキシカブタゲンシロロイセル産物属性の間の比較及び主要な所見の概略図。
【0125】
【
図2】治療前免疫集団と主要な産物属性との間の関連。スピアマンの順位相関により、アキシカブタゲンシロロイセル産物属性(x軸)と比較した、臨床試験対象の製造前PBMC集団から選択された免疫集団のヒートマップ(y軸)。赤色の値は正の相関を表し、青色の値は負の相関を表す。製造前PBMC集団中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞の%は、CD27+CD28+ナイーブ産物表現型と関連する。
【0126】
【
図3】製造前の免疫集団とベースライン、炎症性サイトカイン、CAR T細胞増殖、及びベースライン腫瘍負荷における免疫集団との間の関連。臨床試験対象の製造前PBMC集団から選択された免疫集団のヒートマップ(y軸)を、ベースライン、炎症性サイトカイン、CAR T細胞増殖、及びスピアマンの順位相関によるベースライン腫瘍負荷(x軸)で免疫集団と比較した。赤色の値は正の相関を表し、青色の値は負の相関を表す。製造前PBMC集団中の中間単球及び全単球の%は、治療前の循環炎症マーカー、腫瘍負荷及び低酸素症(LDH)と関連し、CD27+CD28+ナイーブTh、CD27-CD28+TEMRA Treg及びB細胞は、CAR T細胞増殖と正に関連する。
【0127】
【
図4】製造前免疫集団と腫瘍微小環境のシグネチャとの間の関連。スピアマンの順位相関による腫瘍微小環境のナノストリング(x軸)による遺伝子発現プロファイリングと比較した、臨床試験対象の製造前のPBMC集団から選択された免疫集団のヒートマップ(y軸)。赤色の値は正の相関を表し、青色の値は負の相関を表す。製造前のPBMC集団中のCD27+CD28+ナイーブTh及びCD27-CD28+TEMRA Treg細胞の%は、T細胞(「ホット」TME)及び骨髄シグネチャに富むTMEと関連し、製造前のPBMC集団中の単球集団は、免疫細胞のない免疫TME、すなわち免疫砂漠(中間単球)又は骨髄シグネチャの優位性を有する不均衡なTMEと関連する。
【0128】
【
図5】ベースラインサイトカイン、ベースライン実験室化学値、アキシカブタゲンシロロイセル産物属性及びベースライン治療前TMEシグネチャと比較した、臨床試験対象の製造前PBMC集団中のナイーブTh細胞のボルケーノプロット。x軸は値間のスピアマンの順位相関を表し、y軸は相関の有意性を表す。ナイーブThは製造前にサブセット化し、製品注入バッグ中のナイーブT細胞%と正に関連し、T細胞が豊富な腫瘍免疫状況であり、治療前の炎症性/腫瘍低酸素状態と負に関連する。IS 21、Immunosign 21遺伝子発現シグネチャ。
【0129】
【
図6】ベースラインサイトカイン、ベースライン実験室化学値、アキシカブタゲンシロロイセル産物属性及び治療前TMEシグネチャと比較した、臨床試験対象の製造前PBMC集団中の中間単球細胞のボルケーノプロット。x軸は値間のスピアマンの順位相関を表し、y軸は相関の有意性を表す。製造前の中間単球は、治療前の炎症性/腫瘍低酸素状態と正に関連し、治療前のT細胞に富む腫瘍免疫状況と負に関連する。
【0130】
【
図7A】製造前の%CD27+CD28+ナイーブTh細胞によってグループ分けされた臨床試験対象の全生存曲線。製造前PBMC集団における%CD27+CD28+ナイーブTh細胞の最適カットオフ選択を伴うカプラン・マイヤー全生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、進継続奏効、悪性度3+の毒性及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る製造前のPBMC集団における%CD27+CD28+ナイーブTh細胞を有する対象について求めた。
【
図7B】製造前の%CD 27+CD 28+ナイーブTh細胞によってグループ分けされた臨床試験対象の無増悪生存曲線。製造前PBMC集団における%CD27+CD28+ナイーブTh細胞の最適カットオフ選択を用いたカプラン・マイヤー無増悪生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、継続奏効、グレード3+毒性及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る製造前PBMC集団中の%CD27+CD28+ナイーブTh細胞を有する対象について決定した。
【0131】
【
図8A】製造前の中間単球細胞%によってグループ分けされた臨床試験対象の全生存曲線。製造前のPBMC集団中の中間単球細胞%に対する最適カットオフ選択を用いたカプラン・マイヤー全生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、継続奏効、悪性度3+の毒性及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る製造前PBMC集団中の中間単球細胞%を有する対象について決定した。
【
図8B】製造前の中間単球細胞%によってグループ分けされた臨床試験対象の無増悪生存曲線。製造前のPBMC集団中の中間単球細胞%に対する最適カットオフ選択を用いたカプラン・マイヤー無増悪生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、継続奏効、グレード3+毒性及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る製造前PBMC集団中の%中間単球細胞を有する対象について決定した。
【0132】
【
図9A】製造前の中間単球に対するCD27+CD28+ナイーブTh細胞の比によってグループ分けされた臨床試験対象の全生存曲線。製造前PBMC集団における中間単球に対するCD27+CD28+ナイーブTh細胞の比についての最適なカットオフ選択を伴うカプラン・マイヤー全生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、継続奏効、悪性度3+の毒性、及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る対象について決定した。
【
図9B】製造前の中間単球に対するCD27+CD28+ナイーブTh細胞の比によってグループ分けされた臨床試験対象の無増悪生存曲線。製造前PBMC集団における中間単球に対するCD27+CD28+ナイーブTh細胞の比についての最適カットオフ選択を用いたカプラン・マイヤー無増悪生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、継続奏効、悪性度3+の毒性、及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る対象について決定した。
【0133】
【
図10A】客観的奏効状態によって色付けされた製造前のPBMC集団における%CD27+CD28+ナイーブTh対%中間単球の散布図。製造前のPBMC集団中の%CD27+CD28+ナイーブThと%中間単球との間の線形結合(黒線)。青のボックスは、レスポンダーが、高い%CD27+CD28+ナイーブTh細胞及び低い%の中間単球を有する曲線上にクラスター化することを示す領域を囲む。
【
図10B】継続奏効状態によって色付けされた製造前のPBMC集団における%CD27+CD28+ナイーブTh対%中間単球の散布図である。製造前のPBMC集団中の%CD27+CD28+ナイーブThと%中間単球との間の線形結合(黒線)。
【0134】
【
図11】継続奏効状態によって色付けされた、製造前のPBMC集団における%中間単球対ピークCAR T細胞増殖の散布図。散布図は、中間単球の状態及びそれらの共変量の各中央値を上回る又は下回るピークCAR T細胞増殖に基づいて、四分円(Q1~Q4)に分割される。高い中間単球及び低いCAR-Tピークを有する高いSPDクラスターのノンレスポンダーと、高いCAR-Tピークを有する高いSPDクラスターを有するレスポンダーとに留意されたい。SPD-二方向積和。
【0135】
【
図12A】
図11からのピークCAR-T細胞増殖散布図に対する%中間単球の四分円からの継続奏効率。
【
図12B】中央値レベル(SPDhi)を上回るベースライン腫瘍負荷を有した対象についての
図11からのピークCAR T細胞増殖散布図に対する%中間単球の四分円からの継続奏効率。
【
図12C】中央値レベル(SPD lo)を下回るベースライン腫瘍負荷を有した対象についての
図11からのピークCAR T細胞増殖散布図に対する%中間単球の四分円からの継続奏効率。
【0136】
【
図13】奏効カテゴリーによってグループ分けされた製造前のPBMCにおけるCD27+CD28+ナイーブTh(白血球の%)のバイオリンプロットである。
【0137】
【
図14】奏効カテゴリーによってグループ化された製造前のPBMC中の中間単球(白血球の%)のバイオリンプロット。
【0138】
【
図15A】2以下の治療ラインを受けた患者におけるそれらの濃縮を示す、先行治療ラインの数によってグループ化された製造前PBMC中のCD27+CD28+ナイーブTh(白血球の%)の箱ひげ図。
【
図15B】IPIスコアによってグループ分けされた製造前PBMCにおけるCD27+CD28+ナイーブTh(白血球の%)の箱ひげ図。
【
図15C】ベースライン腫瘍負荷(SPD)によってグループ分けされた製造前PBMCにおけるCD27+CD28+ナイーブTh(白血球の%)の箱ひげ図。
【0139】
【
図16B】IPIスコアによってグループ分けされた製造前PBMC中の中間単球(白血球の%)の箱ひげ図。これは、先行治療ラインの数によってグループ分けされた製造前PBMC中のIPIスコア(白血球の%)がより高い患者におけるそれらの濃縮を示している。
【
図16C】ベースライン腫瘍負荷(SPD)によってグループ分けされた製造前PBMC中の中間単球(白血球の%)の箱ひげ図。
【0140】
【
図17A】製造前の%CD27-CD28+TEMRA Treg細胞によってグループ分けされた臨床試験対象の全生存曲線。製造前PBMC集団における%CD27-CD28+TEMRA Treg細胞の最適カットオフ選択を伴うカプラン・マイヤー全生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、継続奏効、グレード3+毒性及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る製造前PBMC集団中の%CD27-CD28+TEMRA Treg細胞を有する対象について決定した。
【
図17B】製造前の%CD27-CD28+TEMRA Treg細胞によってグループ分けされた臨床試験対象の無増悪生存曲線。製造前PBMC集団における%CD27-CD28+TEMRA Treg細胞の最適カットオフ選択を用いたカプラン・マイヤー無増悪生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、継続奏効、グレード3+毒性及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る製造前PBMC集団中の%CD27-CD28+TEMRA Treg細胞を有する対象について決定した。
【0141】
【
図18A】継続奏効状態によって色付けされた、製造前PBMC集団における%CD27+CD28+ナイーブTh対ピークCAR T細胞増殖の散布図。製造前PBMC集団における%CD27+CD28+ナイーブThとピークCAR T細胞増殖との間の線形関連(黒線)。
【
図18B】客観的奏効状態によって色付けされた、製造前PBMC集団における%CD27+CD28+ナイーブTh対ピークCAR T細胞増殖の散布図。製造前PBMC集団中の%CD27+CD28+ナイーブThとピークCAR T細胞増殖との間の直線的関連(黒線)。青色のボックスは、高いピークCAR T細胞増殖及びCD27+CD28+ナイーブTh細胞による高い奏効率領域を示す。
【
図18C】継続奏効状態によって色付けされた、製造前PBMC集団における%CD27+CD28+ナイーブTh対ピークCAR T細胞増殖/ベースライン腫瘍負荷の散布図。製造前PBMC集団における%CD27+CD28+ナイーブThとピークCAR T細胞増殖/ベースライン腫瘍負荷(二方向積和、SPDによって決定される場合)との間の線形関連(黒線);
【
図18D】客観的奏効状態によって色付けされた、製造前PBMC集団における%CD27+CD28+ナイーブTh対ピークCAR T細胞増殖/ベースライン腫瘍負荷の散布図。製造前PBMC集団中の%CD27+CD28+ナイーブThとピークCAR T細胞増殖/ベースライン腫瘍負荷との間の直線的関連(黒線)。青色のボックスは、高いピークCAR T細胞増殖/ベースライン腫瘍負荷及びCD27+CD28+ナイーブTh細胞による高い奏効率領域を示す。
【0142】
【
図19A】継続奏効状態によって色付けされた、製造前のPBMC集団における%中間単球対ピークCAR T細胞増殖の散布図である。製造前PBMC集団中の%中間単球とピークCAR T細胞増殖との間の線形関連(黒線)。青色のボックスは、高いピークCAR-T細胞増殖及び低い中間単球が存在する、高い継続奏効率のクラスターを有することを示す。
【
図19B】客観的奏効状態によって色付けされた、製造前PBMC集団における中間単球%対ピークCAR T細胞増殖の散布図。製造前PBMC集団中の%中間単球とピークCAR T細胞増殖との間の直線的関連(黒線)。青色のボックスは、高いピークCAR T細胞増殖及び低い中間単球が存在する高い奏効率のクラスターを示す:
【
図19C】は、継続奏効状態によって色付けされた、ピークCAR T細胞増殖/ベースライン腫瘍負荷に対する製造前PBMC集団における中間単球%の散布図。製造前PBMC集団中の%中間単球とピークCAR T細胞増殖/ベースライン腫瘍負荷との間の直線的関連(黒線)。青色のボックスは、高いピークCAR-T細胞増殖/ベースライン腫瘍負荷及び低い中間単球が存在する、高い継続奏効率のクラスターを有することを示す。
【
図19D】客観的奏効状態によって色付けされた、製造前PBMC集団における中間単球%対ピークCAR T細胞増殖/ベースライン腫瘍負荷の散布図。製造前PBMC集団中の%中間単球とピークCAR T細胞増殖/ベースライン腫瘍負荷との間の直線的関連(黒線)。青色ボックスは、高いピークCAR T細胞増殖/ベースライン腫瘍負荷及び低い中間単球が存在する高い奏効率のクラスターを示す。
【0143】
【
図20A】ベースライン時の白血球に対するリンパ球の%によってグループ分けされた臨床試験対象の全生存曲線。ベースラインでの白血球に対するリンパ球の%の最適カットオフ選択を伴うカプラン・マイヤー全生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、継続奏効、悪性度3+の毒性、及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る対象について決定した。
【
図20B】ベースライン時の白血球に対するリンパ球の%によってグループ分けされた臨床試験対象の全生存曲線。ベースラインでの白血球に対するリンパ球の%の最適カットオフ選択を伴うカプラン・マイヤー全生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、継続奏効、悪性度3+の毒性、及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る対象について決定した。
【0144】
【
図21】評価可能な臨床試験対象についての奏効カテゴリーによってグループ化されたベースラインでの白血球に対するリンパ球の%のバイオリンプロット。白血球に対するリンパ球の%は、奏効と正に関連する。
【0145】
【
図22】最悪グレードの毒性によってグループ化されたベースラインでの白血球に対するリンパ球の%のバイオリンプロット。ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球は、最悪のグレードの毒性との負の関連に向かう傾向がある。CRS-サイトカイン放出症候群。NE-神経学的事象。
【0146】
【
図23】ベースライン血液学細胞数及びベースラインでのSPDによる腫瘍負荷におけるリンパ球と白血球との間の関連。白血球に対するリンパ球の%は、ベースラインでの腫瘍負荷SPDのカテゴリーによってグループ化された散布図(左)、及び箱ひげ図によって示されるように、腫瘍負荷と負の関連がある。
【0147】
【
図24】ベースライン血液学細胞数及びグループ化された先行治療ラインの数における白血球に対するリンパ球の%の間の関係の箱ひげ図である。白血球に対するリンパ球の%は、先行治療ラインの数と負の関連がある。
【0148】
【
図25】ベースライン血清サイトカインのボルケーノプロット(Volcano plot)、及びベースライン血液学細胞数における白血球に対するリンパ球の%とのそれらのスピアマン順位相関。白血球に対するリンパ球の%は、CRP、フェリチン、IL6等の炎症性及び急性期サイトカインと負に関連する。
【0149】
【
図26】製造前のPBMC集団のボルケーノプロット、及びベースライン血液学細胞数における白血球に対するリンパ球の%とのそれらのスピアマン順位相関。ベースライン血液学細胞数における白血球に対するリンパ球の%は、負に関連する骨髄細胞であり、CD 8及びEM/エフェクターT細胞と正に関連する。
【0150】
【
図27A】ベースラインでのリンパ球対単球の比によってグループ分けされた臨床試験対象の全生存曲線。ベースラインでの単球に対するリンパ球の比の最適なカットオフ選択を伴うカプラン・マイヤー全生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、継続奏効、悪性度3+の毒性、及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る対象について決定した。
【
図27B】ベースラインでの単球に対するリンパ球の比によってグループ分けされた臨床試験対象の無増悪生存曲線。ベースラインにおける単球に対するリンパ球の比についての最適なカットオフ選択を伴うカプラン・マイヤー無増悪生存曲線(Log-Rank検定によって決定された有意性を伴う)。完全奏効、客観的奏効、継続奏効、悪性度3+の毒性、及びCAR T細胞増殖の割合を、最適カットオフを上回る又は下回る対象について決定した。
【0151】
【
図28】評価可能な臨床試験対象についての奏効カテゴリーによってグループ化されたベースラインでの単球に対するリンパ球の比のバイオリンプロット。単球に対するリンパ球の比は、奏効と正に関連する。
【0152】
【
図29】最悪グレードの毒性によってグループ分けされたベースラインでのリンパ球対単球の比のバイオリンプロット。ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比は、最悪のグレードの毒性との負の関連に向かう傾向がある。CRS-サイトカイン放出症候群。NE-神経学的事象。
【0153】
【
図30】ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比とベースラインでのSPDによる腫瘍負荷との間の関連。単球に対するリンパ球の比は、ベースラインでの腫瘍負荷SPDのカテゴリーによってグループ化された散布図(左)及び箱ひげ図によって示されるように、腫瘍負荷と負の関連がある。
【0154】
【
図31】ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比と治療の前系統のグループ化数との間の関係の箱ひげ図である。単球に対するリンパ球の比は、先行治療ラインの数と負の関連がある。
【0155】
【
図32】ベースライン血清サイトカインのボルケーノプロット、及びベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比とのそれらのスピアマン順位相関。リンパ球対単球の比は、CRP及びIL6等の炎症性及び急性期サイトカインと負に関連する。
【0156】
【
図33】製造前PBMC集団のボルケーノプロット、及びベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比とのそれらのスピアマン順位相関。ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比は、負に関連する骨髄細胞であり、CD8及びEM/エフェクターT細胞と正に関連する。
【発明を実施するための形態】
【0157】
本開示は、アフェレーシス材料及び操作されたCAR T細胞の注入前属性(例えば、T細胞適合性)、並びに持続的奏効、グレード≧3サイトカイン放出症候群及びグレード≧3神経学的事象を含む臨床的有効性及び毒性に関連し得る患者の免疫因子の治療前特性の発見に部分的に基づく。
定義
【0158】
本開示をより容易に理解するために、特定の用語を以下で最初に定義する。以下の用語及び他の用語の追加の定義は、本明細書全体に記載されている。
【0159】
本明細書及び添付の実施形態で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0160】
本明細書で使用される場合、特に明記されるか、又は文脈から明らかでない限り、「又は」という用語は包括的であると理解され、「又は」及び「及び」の両方を包含する。
【0161】
本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、他のものの有無にかかわらず、2つの指定された特徴又は構成要素の各々の具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書で、「A及び/又はB」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、A及びB、A又はB;A(単独);並びにB(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、次の態様、A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)の各々を包含することを意図している。
【0162】
本明細書で使用される場合、「例えば」及び「すなわち」という用語は、単に例として使用され、限定を意図するものではなく、本明細書で明示的に列挙された項目のみを指すと解釈されるべきではない。
【0163】
「以上」、「少なくとも」、「以上」などの用語、例えば、「少なくとも1つ」は、限定するものではないが、少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、若しくは、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、又は記載された値を超える値を含むものと理解される。その間の任意のより大きい数又は分数も含まれる。
【0164】
逆に、「以下」という用語は、記載された値よりも小さい各値を含む。例えば、「100個以下のヌクレオチド」には、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、及び0個のヌクレオチドが含まれる。その間の任意のより少ない数又は分数も含まれる。
【0165】
「複数」、「少なくとも2つ」、「2つ以上」、「少なくとも第2」などの用語は、限定するものではないが、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、若しくは、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、又はそれ以上を含むものと理解される。その間の任意のより大きい数又は分数も含まれる。
【0166】
本明細書全体を通して、「含む(comprising)」という語又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変化形は、記載された要素、整数若しくは工程(ステップ)、又は要素、整数若しくは工程の群を含むことを意味するが、任意の他の要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を除外することを意味しないと理解される。態様が「含む(comprising)」という文言で本明細書に記載されている場合は常に、「からなる(consisting of)」及び/又は「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で記載されている他の類似の態様もまた提示されていることが理解される。
【0167】
本明細書で使用される場合、具体的に述べられているか、又は文脈から明らかである場合を除き、「約」という用語は、当業者によって決定される特定の値又は組成について許容可能な誤差範囲内にある値又は組成を指し、これは、その値又は組成がどのように測定又は決定されるか、すなわち測定系の限界にある程度依存する。例えば、「約」又は「およそ」は、当技術分野の慣行によって1×以上の標準偏差の範囲内であることを意味し得る。「約」又は「およそ」は、最大10%(すなわち、±10%)の範囲を意味し得る。したがって、「約」は、記載された値よりも、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、又は0.001%大きいか又は小さいと理解し得る。例えば、約5mgは、4.5mg~5.5mgの任意の量を含み得る。更に、特に生物学的な系又はプロセスに関して、この用語は、最大で1桁違いの値又は最大で5倍の値を意味し得る。本開示において特定の値又は組成が提示される場合、特に明記しない限り、「約」又は「およそ」の意味は、その特定の値又は組成物について許容可能な誤差範囲内にあると想定すべきである。
【0168】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ(百分率)範囲、比の範囲、又は整数の範囲は、特に明記しない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、及び適宜その分数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0169】
本明細書で使用される単位、接頭辞及び記号は、Systeme International de Unites(SI)で受け入れられている形式を使用して提示される。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。
【0170】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Juo、「The Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology」、第2版、(2001)、CRCプレス;「The Dictionary of Cell&Molecular Biology」、第5版、(2013)、Academic Press;及び「The Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology」、Cammackら編、第2版、(2006)、Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の多くについて全般的な辞書を当業者に提供している。
【0171】
「投与すること」は、当業者に公知の様々な方法及び送達システムのいずれかを使用した、対象への薬剤の物理的導入を指す。本明細書中に開示される製剤のための例示的な投与経路としては、例えば、注射又は注入による、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄又は他の非経口投与経路が挙げられる。本明細書に開示される組成物のための例示的な投与経路としては、例えば、注射又は注入による、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄又は他の非経口投与経路が挙げられる。本明細書で使用される場合、「非経口投与」という語句は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び、胸骨下の注射及び注入、並びにインビボ電気穿孔を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、製剤は、非経口経路を介して、例えば、経口的に投与される。他の非経口でない経路としては、局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸、舌下、又は局所が挙げられる。投与はまた、例えば、1回、複数回、及び/又は1回以上の長期間にわたって行われ得る。一実施形態では、CAR T細胞治療は、CAR T細胞を含む「注入製品」を介して投与される。
【0172】
「抗体」(antibody、Ab)という用語は、抗原に特異的に結合する糖タンパク質免疫グロブリンを含むが、これに限定されない。概して、抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖、又はその抗原結合分子を含み得る。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメインCLを含む。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域に組み入れられている、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域に更に細分することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4の順序で配置される3つのCDR及び4つのFRを含む。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。Abの定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)など、宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
【0173】
抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、組換え産生された抗体、単一特異的抗体、多重特異的抗体(二重特異的抗体を含む)、ヒト抗体、操作された抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖分子と2つの軽鎖分子とを含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖対、イントラボディ、抗体融合物(本明細書では「抗体コンジュゲート」と呼ばれることもある)、ヘテロコンジュゲート抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、一本鎖抗体又は一本鎖Fv(scFv)、ラクダ化(camelized)抗体、アフィボディ、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「抗体ミメティック」と呼ばれることもある)、及び上記のいずれかの抗原結合フラグメントを挙げることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。
【0174】
「抗原結合分子」、「抗原結合部分」、又は「抗体フラグメント」は、分子が由来する抗体の抗原結合部分(例えば、CDR)を含む任意の分子を指す。抗原結合分子は、抗原相補性決定領域(CDR)を含み得る。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメント、dAb、線状抗体、scFv抗体、及び抗原結合分子から形成された多重特異的抗体が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチボディ(すなわち、ペプチド結合ドメインを含むFc融合分子)は、好適な抗原結合分子の別の例である。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、腫瘍細胞上の抗原に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原又はウイルス抗原若しくは細菌抗原に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、CD19に結合する。更なる実施形態では、抗原結合分子は、抗原に特異的に結合する抗体フラグメントであり、その相補性決定領域(CDR)のうちの1つ以上を含む。更なる実施形態では、抗原結合分子は、一本鎖可変フラグメント(single chain variable fragment、scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、アビマーを含むか、又はアビマーからなる。
【0175】
「抗原」は、免疫応答を誘発するか、又は抗体若しくは抗原結合分子によって結合され得る任意の分子を指す。免疫応答は、抗体産生又は特定の免疫担当細胞の活性化のいずれか、又はその両方を含み得る。当業者は、実質的に全てのタンパク質又はペプチドを含む任意の巨大分子が抗原として機能し得ることを容易に理解するであろう。抗原は、内因的に、すなわちゲノムDNAによって、発現され得、又は組換えによって発現され得る。抗原は、がん細胞などの特定の組織に特異的であり得、又は広く発現され得る。更に、より大きな分子のフラグメントが抗原として作用し得る。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍抗原である。
【0176】
「中和する」という用語は、リガンドに結合し、そのリガンドの生物学的作用を防止又は低減する抗原結合分子、scFv、抗体、又はそのフラグメントを指す。いくつかの実施形態では、抗原結合分子、scFv、抗体、又はそのフラグメントは、リガンド上の結合部位を直接遮断するか、さもなければ間接的手段(リガンドの構造的又はエネルギー的変化など)を介して結合するリガンドの能力を変化させる。いくつかの実施形態では、抗原結合分子、scFv、抗体、又はそのフラグメントは、それが結合しているタンパク質が生物学的機能を果たすのを妨げる。
【0177】
「自己」という用語は、後に再導入される同じ個体に由来する任意の材料を指す。例えば、本明細書に記載の操作された自己細胞療法(eACT(商標))の方法は、患者からのリンパ球の採取を含み、その後、そのリンパ球は、例えばCAR構築物を発現するように操作され、次いで、同じ患者に投与される。
【0178】
「同種異系」という用語は、1つの個体に由来し、次いで同じ種の別の個体に導入される任意の材料、例えば、同種異系T細胞移植を指す。
【0179】
用語「形質導入」及び「形質導入された」は、外来DNAがウイルスベクター(Jonesら、「Genetics:principles and analysis」、Boston:Jones&Bartlett Publ.(1998)を参照)を介して細胞に導入される過程を指す。いくつかの実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクター、DNAベクター、RNAベクター、アデノウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルス関連ベクター、レンチウイルスベクター、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0180】
「がん」は、体内の異常細胞の制御されていない増殖を特徴とする様々な疾患の広範な群を指す。調節されない細胞分裂及び増殖は、隣接組織に侵入し、リンパ系又は血流を介して身体の遠位部分に転移することもある悪性腫瘍の形成をもたらす。「がん」又は「がん組織」は、腫瘍を含み得る。本出願において、がんという用語は悪性腫瘍と同義である。本明細書中に開示される方法によって治療され得るがんの例としては、リンパ腫、白血病、骨髄腫及び他の白血球悪性腫瘍を含む免疫系のがんが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、例えば、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚又は眼内悪性黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん、精巣がん、子宮がん、ファロピウス管のがん、子宮内膜がん、子宮頸がん、膣がん、外陰がん、[他の固形腫瘍を追加する]多発性骨髄腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBC)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換型濾胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫(SMZL)、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺のがん、副腎がん、軟部肉腫、尿道がん、陰茎がん、慢性又は急性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(非T細胞ALLを含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓又は尿管のがん、腎盂のがん、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘発されたものを含む環境的に誘発されたがん、他のB細胞悪性腫瘍、及びがんの組み合わせに由来する腫瘍の腫瘍サイズを縮小するために使用され得る。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、NHLである。特定のがんは、化学療法又は放射線療法に反応性であり得、又は特定のがんは難治性であり得る。難治性がんは、外科的介入に適していないがんを指し、難治性がんは、最初から化学療法又は放射線療法に応答しないか、又はがんが時間の経過と共に非応答になるかのいずれかである。
【0181】
本明細書で使用される場合、「抗腫瘍効果」は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞の数の減少、腫瘍細胞増殖の減少、転移の数の減少、全生存期間又は無増悪生存期間の増加、平均余命の延長、又は腫瘍に関連する様々な生理学的症状の改善として提示され得る生物学的効果を指す。抗腫瘍効果はまた、腫瘍の発生の予防、例えば、ワクチンを指し得る。
【0182】
本明細書で使用される場合、「サイトカイン」は、特定の抗原との接触に応答して1つの細胞によって放出される非抗体タンパク質を指し、サイトカインは第2の細胞と相互作用して第2の細胞における応答を媒介する。本明細書で使用される場合、「サイトカイン」は、細胞間メディエーターとして別の細胞に作用する1つの細胞集団によって放出されるタンパク質を指すことを意味する。サイトカインは、細胞によって内因的に発現され得、又は対象に投与され得る。サイトカインは、免疫応答を伝播するために、マクロファージ、B細胞、T細胞、及び肥満細胞などの免疫細胞によって放出され得る。サイトカインは、レシピエント細胞において様々な応答を誘導し得る。サイトカインには、恒常性サイトカイン、ケモカイン、炎症誘発性サイトカイン、エフェクター、及び急性期タンパク質が含まれ得る。例えば、インターロイキン(IL)7及びIL-15などの恒常性サイトカインは、免疫細胞の生存及び増殖を促進し、炎症誘発性サイトカインは、炎症応答を促進し得る。恒常性サイトカインの例としては、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12p40、IL-12p70、IL-15、及びインターフェロン(IFN)ガンマが挙げられるが、これらに限定されない。炎症誘発性サイトカインの例としては、IL-1a、IL-1b、IL-6、IL-13、IL-17a、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor、TNF)-アルファ、TNF-ベータ、線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor、FGF)2、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor、GM-CSF)、可溶性細胞間接着分子1(soluble intercellular adhesion molecule 1、sICAM-1)、可溶性血管接着分子1(soluble vascular adhesion molecule 1、sVCAM-1)、血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)、VEGF-C、VEGF-D、及び胎盤増殖因子(placental growth factor、PLGF)が挙げられるが、これらに限定されない。エフェクターの例としては、グランザイムA、グランザイムB、可溶性Fasリガンド(soluble Fas ligand、sFasL)、及びパーフォリンが挙げられるが、これらに限定されない。急性期タンパク質の例としては、C反応性タンパク質(C-reactive protein、CRP)及び血清アミロイドA(serum amyloid A、SAA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
「ケモカイン」は、細胞の走化性又は方向性運動を媒介するサイトカインの一種である。ケモカインの例としては、IL-8、IL-16、エオタキシン、エオタキシン-3、マクロファージ由来ケモカイン(MDC又はCCL22)、単球走化性タンパク質1(MCP-1又はCCL2)、MCP-4、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP-1α、MIP-1a)、MIP-1β(MIP-1b)、ガンマ誘導性タンパク質10(IP-10)、並びに胸腺及び活性化制御ケモカイン(TARC又はCCL17)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
本明細書で使用される場合、「キメラ受容体」は、特定の分子を認識することができる操作された表面発現分子を指す。特定の腫瘍抗原と相互作用することができる結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor、CAR)及び操作されたT細胞受容体(T cell receptor、TCR)により、T細胞は特定の腫瘍抗原を発現するがん細胞を標的化して死滅させることができる。一実施形態では、T細胞治療は、(i)抗原結合分子、(ii)共刺激ドメイン、及び(iii)活性化ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)を発現するように操作されたT細胞に基づく。共刺激ドメインは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含んでもよく、細胞外ドメインは、切断型であってもよいヒンジドメインを含む。
【0185】
治療剤、例えば、操作されたCAR T細胞の「治療有効量」、「有効用量」、「有効量」又は「治療有効用量」は、単独で又は別の治療剤と組み合わせて使用されたときに、対象を疾患の発症から保護するか、あるいは、疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度及び期間の増加、又は疾患の罹患に起因する障害若しくは能力障害の予防によって証明される疾患の退縮を促進する任意の量である。そのような用語は、互換的に使用することができる。疾患の退縮を促進する治療薬の能力は、例えば、臨床試験中のヒト対象において、ヒトにおける有効性を予測する動物モデル系において、又はインビトロアッセイにおいて薬剤の活性をアッセイすることによって、当業者に公知の様々な方法を使用して評価され得る。
【0186】
本明細書で使用される場合、「リンパ球」という用語には、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、又はB細胞が含まれる。NK細胞は、遺伝免疫系の主要構成要素を代表する細胞傷害性(細胞毒性)リンパ球の一種である。NK細胞は、腫瘍及びウイルスに感染した細胞を拒絶する。それは、アポトーシス又はプログラム細胞死の過程を通して作用する。それらは、細胞を死滅させるために活性化を必要としないので、「ナチュラルキラー」と呼ばれた。T細胞は、細胞媒介免疫において主要な役割を果たす(抗体関与なし)。そのT細胞受容体(TCR)は、他のリンパ球型から分化する。免疫系の分化した器官である胸腺は、主にT細胞の成熟化を担う。6つのタイプのT細胞、すなわち、ヘルパーT細胞(例えば、CD4+細胞)、細胞傷害性T細胞(別名、TC、細胞傷害性Tリンパ球、CTL、Tキラー細胞、細胞溶解性T細胞、CD8+T細胞又はキラーT細胞)、メモリーT細胞((i)幹メモリーTSCM細胞は、ナイーブ細胞と同様に、CD45RO-、CCR7+、CD45RA+、CD62L+(L-セレクチン)、CD27+、CD28+及びIL-7Rα+であるが、大量のCD95、IL-2Rβ、CXCR3及びLFA-1も発現し、メモリー細胞に特有の多数の機能的属性を示す。)、(ii)セントラルメモリーTCM細胞は、L-セレクチン及びCCR7を発現し、IL-2を分泌するが、IFNγ又はIL-4を分泌せず、(iii)ただし、エフェクターメモリーTEM細胞は、L-セレクチン又はCCR7を発現しないが、IFNγ及びIL-4などのエフェクターサイトカインを産生する)、制御性T細胞(Treg、サプレッサーT細胞、又はCD4+CD25+制御性T細胞)、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、及びガンマデルタT細胞が存在する。一方、B細胞は、体液性免疫(抗体の関与を伴う)において主要な役割を果たす。B細胞は、抗体及び抗原を産生し、抗原提示細胞(APC)の役割を果たし、抗原相互作用による活性化後にメモリーB細胞に変わる。哺乳動物では、未成熟B細胞は骨髄で形成され、その名称はここに由来する。
【0187】
「遺伝子操作された」又は「操作された」という用語は、限定するものではないが、コード領域若しくは非コード領域又はその一部を削除すること、又はコード領域若しくはその一部を挿入することなど、細胞のゲノムを改変する方法を指す。いくつかの実施形態では、改変された細胞は、リンパ球、例えば、T細胞であり、患者又はドナーのいずれかから得ることができる。細胞は、外因性構築物、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)を発現するように改変され得、細胞のゲノムに組み込まれる。
【0188】
「免疫応答」は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞及び好中球)及びこれらの細胞又は肝臓のいずれかによって産生される可溶性巨大分子(Ab、サイトカイン及び補体を含む)の作用であって、侵入している病原体、病原体に感染した細胞若しくは組織、がん性若しくは他の異常な細胞、又は自己免疫若しくは病理学的炎症の場合には正常なヒト細胞若しくは組織の、選択的標的化、結合、損傷、破壊、及び/又は脊椎動物の体からの排除をもたらす作用を指す。
【0189】
「免疫療法」という用語は、免疫応答を誘導する、増強する、抑制する又は他の様態で改変すること、を含む、方法による、疾患に罹患しているか、又は疾患に罹患するか若しくは再発するリスクがある対象の治療を指す。免疫療法の例としては、限定するものではないが、T細胞療法が挙げられる。T細胞療法は、養子T細胞療法、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)免疫療法、自己細胞療法、操作された自己細胞療法(eACT(商標))、及び同種T細胞移植を含み得る。しかしながら、当業者は、本明細書に開示される前処置方法が任意の移植T細胞療法の有効性を高めることを理解するであろう。T細胞療法の例は、米国特許出願公開第2014/0154228号及び同第2002/0006409号、米国特許第7,741,465号、米国特許第6,319,494号、米国特許第5,728,388号、及び国際公開第2008/081035号に記載されている。いくつかの実施形態では、免疫療法はCAR T細胞治療を含む。いくつかの実施形態では、CAR T細胞治療製品は注入によって投与される。
【0190】
免疫療法のT細胞は、当技術分野で公知の任意の供給源に由来し得る。例えば、造血幹細胞集団からインビトロでT細胞を分化させることができ、又は対象からT細胞を得ることができる。T細胞は、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び腫瘍から得ることができる。更に、T細胞は、当技術分野で利用可能な1つ以上のT細胞株に由来し得る。T細胞はまた、FICOLL(商標)分離及び/又はアフェレーシスなどの当業者に公知の様々な技術を使用して、対象から採取された血液単位から得ることができる。T細胞療法のためにT細胞を単離する更なる方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0287748号に開示されている。
【0191】
養子細胞移入としても既知である、「操作された自己細胞療法」又は「eACT(商標)」という用語は、患者自身のT細胞を回収し、続いて1つ以上の特定の腫瘍細胞又は悪性腫瘍の細胞表面に発現される1つ以上の抗原を認識して標的化するように遺伝子改変するプロセスである。T細胞は、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作され得る。CAR陽性(+)T細胞は、少なくとも1つの共刺激ドメイン及び少なくとも1つの活性化ドメインを含む細胞内シグナル伝達部分に連結された特定の腫瘍抗原に特異的な細胞外一本鎖可変フラグメント(scFv)を発現するように操作される。CAR scFvは、例えば、全ての正常B細胞、並びに、限定するものではないが、他に特定されないびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫、NHL、CLL、及び非T細胞ALLから生じるDLBCLなどのB細胞悪性腫瘍を含む、B細胞系統の細胞によって発現される膜貫通タンパク質であるCD19を標的化するように設計され得る。例示的なCAR T細胞療法及び構築物は、米国特許出願公開第2013/0287748号、同第2014/0227237号、同第2014/0099309号、及び同第2014/0050708号に記載されており、これらの参考文献は参照によりその全体が組み込まれる。
【0192】
本明細書で使用される場合、「患者」は、がん(例えば、リンパ腫又は白血病)に罹患している任意のヒトを含む。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0193】
本明細書で使用される場合、「インビトロ細胞」という用語は、エクスビボで培養される任意の細胞を指す。特に、インビトロ細胞は、T細胞を含み得る。「インビボ」という用語は、患者内を意味する。
【0194】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基から構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有し、タンパク質又はペプチドの配列を含み得るアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合した2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、この用語は、例えば、当該技術分野で一般にペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも称される短鎖と、当該技術分野で概してタンパク質と称される長鎖の両方を指し、そのうち多くの種類がある。「ポリペプチド」には、例えば、とりわけ、生物学的に活性なフラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、改変ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0195】
本明細書で使用される場合、「刺激」は、刺激分子とその同族リガンドとの結合によって誘導される一次応答を指し、その結合はシグナル伝達事象を媒介する。「刺激分子」は、抗原存在細胞上に存在する同族刺激リガンドと特異的に結合する、T細胞上の分子、例えば、T細胞受容体(TCR)/CD3複合体である。「刺激リガンド」は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上に存在する場合、T細胞上の刺激分子と特異的に結合し、それによって、限定するものではないが、活性化、免疫応答の開始、増殖などの、T細胞による一次応答を媒介し得るリガンドである。刺激リガンドには、抗CD3抗体、ペプチドを負荷したMHCクラスI分子、スーパーアゴニスト抗CD2抗体、及びスーパーアゴニスト抗CD28抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0196】
本明細書で使用される場合、「共刺激シグナル」は、TCR/CD3ライゲーションなどの一次シグナルと組み合わせて、T細胞応答、例えば、限定するものではないが、重要な分子の増殖及び/又は上方制御又は下方制御をもたらすシグナルを指す。
【0197】
本明細書で使用される場合、「共刺激リガンド」は、T細胞上の同族共刺激分子に特異的に結合する抗原提示細胞上の分子を含む。共刺激リガンドの結合は、限定するものではないが、増殖、活性化、分化などのT細胞応答を媒介するシグナルを提供する。共刺激リガンドは、刺激分子によって提供される一次シグナルに加えて、例えば、T細胞受容体(TCR)/CD3複合体と、ペプチドを負荷した主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex、MHC)分子との結合によって、シグナルを誘導する。共刺激リガンドとしては、限定するものではないが、3/TR6、4-1BBリガンド、Tollリガンド受容体に結合するアゴニスト又は抗体、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、CD30リガンド、CD40、CD7、CD70、CD83、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)、ヒト白血球抗原G(HLA-G)、ILT4、免疫グロブリン様転写物(ILT)3、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、B7-H3と特異的に結合するリガンド、リンホトキシンβ受容体、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MICA)、MHCクラスI鎖関連タンパク質B(MICB)、OX40リガンド、PD-L2、又はプログラム死(PD)L1を挙げることができる。特定の実施形態では、共刺激リガンドとしては、限定するものではないが、T細胞上に存在する共刺激分子と特異的に結合する抗体、例えば、限定するものではないが、4-1BB、B7-H3、CD2、CD27、CD28、CD30、CD40、CD7、ICOS、CD83と特異的に結合するリガンド、リンパ球機能関連抗原1(lymphocyte function-associated antigen-1、LFA-1)、ナチュラルキラー細胞受容体C(NKG2C)、OX40、PD-1、又は腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(tumor necrosis factor superfamily member 14、TNFSF14又はLIGHT)が挙げられる。
【0198】
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによってT細胞による共刺激応答、例えば、限定するものではないが、増殖を媒介するT細胞上の同族結合パートナーである。共刺激分子としては、4-1BB/CD137、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD33、CD45、CD100(SEMA4D)、CD103、CD134、CD137、CD154、CD16、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD22、CD247、CD27、CD276(B7-H3)、CD28、CD29、CD3(アルファ、ベータ、デルタ、イプシロン、ガンマ、ゼータ)、CD30、CD37、CD4、CD4、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD5、CD64、CD69、CD7、CD80、CD83リガンド、CD84、CD86、CD8アルファ、CD8ベータ、CD9、CD96(Tactile)、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CDS、CEACAM1、CRT AM、DAP-10、DNAM1(CD226)、Fcガンマ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、ICOS、Igアルファ(CD79a)、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、インテグリン、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGBl、KIRDS2、LAT、LFA-1、LIGHT(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14、TNFSF14)、LTBR、Ly9(CD229)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1(CD11a/CD18)、MHCクラスI分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX40、PAG/Cbp、PD-1、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子、SLAM(SLAMF1、CD150;IPO-3)、SLAMF4(CD244;2B4)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAMF7、SLP-76、TNF、TNFr、TNFR2、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、又はVLA-6、又はフラグメント、切断、又はそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
【0199】
「低減する」及び「減少する」という用語は、本明細書では互換的に使用され、元のものよりも小さい任意の変化を示す。「低減する」及び「減少する」は相対的な用語であり、前後の測定値の比較を必要とする。「低減する」及び「減少する」は、完全な枯渇を含む。同様に、「増加、増加する」という用語は、元の値よりも高い任意の変化を示す。「増加する」、「より高い」及び「より低い」は、相対的な用語であり、測定前と測定後との間及び/又は参照標準間の比較を必要とする。いくつかの実施形態では、基準値は、患者の一般集団であり得る一般集団のものから得られる。いくつかの実施形態では、基準値は、一般的な患者集団の四分位分析である。
【0200】
対象の「治療」又は「治療すること」は、症状、合併症若しくは状態、又は疾患に関連する生化学的徴候の発症、進行、発展、重症度若しくは再発を逆転、緩和、改善、阻害、減速又は予防することを目的として、対象に対して行われる任意の種類の介入若しくはプロセス、又は対象への活性薬剤の投与を指す。いくつかの実施形態では、「治療」又は「治療すること」は、部分寛解を含む。別の実施形態では、「治療」又は「治療すること」は、完全寛解を含む。
【0201】
本明細書で使用される場合、「多機能性T細胞」という用語は、産生される各タンパク質の量(すなわち、分泌されたタンパク質の数とその強度の組み合わせ)と組み合わせて、細胞ごとに予め指定されたパネルから少なくとも2つのタンパク質を共分泌する細胞を指す。いくつかの実施形態では、単一細胞機能プロファイルは、操作されたT細胞の評価可能な各集団について決定される。プロファイルは、エフェクター(グランザイムB、IFN-γ、MIP-1α、パーフォリン、TNF-α、TNF-β)、刺激性(GM-CSF、IL-2、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-12、IL-15、IL-21)、調節性(IL-4、IL-10、IL-13、IL-22、TGF-ベータ1、sCD137、sCD40L)、化学誘引性(CCL-11、IP-10、MIP-1β、RANTES)、及び炎症性(IL-1 b、IL-6、IL-17 A、IL-17 F、MCP-1、MCP-4)群に分類することができる。いくつかの実施形態では、各細胞の機能プロファイルは、細胞多官能性(すなわち、非分泌細胞又は単官能性細胞と比較して、どのパーセンテージの細胞が複数のサイトカインを分泌しているか)による各サンプルの分解、及び官能基(すなわち、どの単官能基及び多官能基が試料中の細胞によって分泌されているか、及びそれらの頻度)によるサンプルの分解を含む他のメトリックの計算を可能にする。
【0202】
本明細書で使用される場合、「四分位」又は「象限」という用語は、データの値及びそれらが観測のセット全体とどのように比較するかに基づいて、4つの定義された間隔への観測の分割を説明する統計的用語である。
【0203】
本明細書で使用される場合、「試験0日目」という用語は、対象が最初のCAR T細胞注入を受けた日として定義される。試験0日目の前日は試験-1日目である。登録後及び試験-1日前のいずれの日も連続した負の整数値である。
【0204】
本明細書で使用される場合、「客観的奏効」という用語は、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、又は非奏効を指す。基準は、悪性リンパ腫のための改訂されたIWG応答基準に基づく。
【0205】
本明細書で使用される場合、「完全奏効」という用語は、放射線撮像及び臨床検査評価によって検出できなくなる疾患の完全な消散を指す。所与の時点でがんの証拠はない。
【0206】
本明細書で使用される場合、「部分奏効」という用語は、完全な消散を伴わない腫瘍の30%超の減少を指す。基準は、悪性リンパ腫のための改訂されたIWG応答基準に基づいており、PRは、「最大で6つの主節又は結節性腫瘤の直径の積(SPD)の和の少なくとも50%の減少」として定義される。これらのノード又は質量は、以下の全てに従って選択されるべきであり、それらは、少なくとも2つの垂直寸法で明確に測定可能であるべきである。可能であれば、それらは身体の異なる領域からのものであるべきである;これらの部位が関与するときはいつでも、縦隔及び後腹膜の疾患領域を含むべきである
【0207】
本明細書で使用される場合、「非奏効」という用語は、CAR T細胞注入後にCR又はPRを経験したことがない対象を指す。
【0208】
本明細書で使用される場合、「持続的奏効」という用語は、CAR T細胞注入後少なくとも1年間の追跡調査までに継続奏効にあった対象を指し、このコホートにはもはやf/uが利用できないため、6ヶ月f/uはZ1、C3にのみ利用される。それにもかかわらず、結論は同じままである。
【0209】
本明細書で使用される場合、「再発」という用語は、完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)を達成し、その後疾患進行を経験した対象を指す。
【0210】
本明細書で使用される場合、末梢血中のCAR T細胞の増殖及び持続性は、例えば、CARのscFv部分(例えば、CD19結合ドメインの重鎖)及びそのヒンジ/CD28膜貫通ドメインのためのCAR特異的プライマーを使用して、qPCR分析によってモニターされ得る。あるいは、CAR細胞/血液量の単位を列挙することによって測定され得る。
【0211】
本明細書で使用される場合、CAR T細胞の予定採血は、CAR T細胞注入前、7日目、2週目(14日目)、4週目(28日目)、3ヶ月目(90日目)、6ヶ月目(180日目)、12ヶ月目(360日目)、及び24ヶ月目(720日目)であってもよい。
【0212】
本明細書で使用される場合、「CAR T細胞のピーク」は、0日目後に達成される血清中のCAR+PBMCの最大絶対数/μLとして定義される。
【0213】
本明細書で使用される場合、「CAR T細胞のピークまでの時間」は、0日目からCAR T細胞のピークに達する日までの日数として定義される。
【0214】
本明細書で使用される場合、「0日目から28日目までのCAR T細胞のレベルの曲線下面積(AUC)」は、0日目から28日目までの予定された訪問に対するCAR T細胞のレベルのプロットにおける曲線下面積として定義される。このAUCは、CAR T細胞の総レベルを経時的に測定する。
【0215】
本明細書で使用される場合、サイトカインの予定採血は、前処置化学療法の前又はその日(-5日目)、0日目、1日目、3日目、5日目、7日目、もしあれば入院中1日おき、2週目(14日目)、及び4週目(28日目)である。
【0216】
本明細書で使用される場合、サイトカインの「ベースライン」は、前処置化学療法の前に測定された最後の値として定義される。
【0217】
本明細書で使用される場合、X日目のベースラインからの倍数変化は、以下のように定義される。
【数1】
【0218】
本明細書で使用される場合、「ベースライン後のサイトカインのピーク」は、ベースライン(-5日目)から28日目までの後に達成される血清中のサイトカインの最大レベルとして定義される。
【0219】
本明細書で使用される場合、CAR T細胞注入後の「サイトカインのピークまでの時間」は、0日目からサイトカインのピークが得られた日までの日数として定義される。
【0220】
本明細書で使用される場合、-5日目から28日目までの「サイトカインレベルの曲線下面積(AUC)」は、-5日目から28日目までの予定された訪問に対するサイトカインレベルのプロットにおける曲線下面積として定義される。このAUCは、経時的にサイトカインの総レベルを測定する。サイトカイン及びCAR+T細胞が特定の離散時点で測定されると仮定すると、台形則を使用してAUCを推定することができる。
【0221】
本開示の様々な態様は、以下のサブセクションで更に詳細に説明される。
治療前属性
【0222】
患者試料から測定されたアフェレーシス及び操作された細胞の治療前属性(T細胞属性)及び患者免疫因子を使用して、奏効及び毒性を含む臨床転帰の確率を評価することができる。製造前アフェレーシス材料、操作されたCAR T細胞、並びに患者の免疫及び臨床因子(限定されないが、細胞集団、血清ケモカイン/サイトカイン、血液化学等を含む)に由来する治療前の特質を使用して、奏効及び毒性を含む臨床転帰の確率を評価してもよい。この情報はまた、血液悪性腫瘍及び固形腫瘍の両方の適応症について、自己CAR T細胞、同種異系CAR T細胞、iPSC、並びに潜在的にTCR及びTILの製造プロセスを最適化するために利用されてもよい。
【0223】
一実施形態では、本開示は、製造前PBMC集団(すなわち、T細胞産物が調製されるPBMCの集団)におけるナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞のパーセンテージ(CCR7+CD45RA+)が、倍加時間及び生存率、CD4/CD8比、並びにCD8及びCD4ナイーブT細胞のパーセンテージを含む、産物T細胞適合性の表現型マーカーと正に関連することを提供する。したがって、本開示は、製造前PBMC集団におけるナイーブ表現型(CCR7+CD45RA+)のCD27+CD28+Th細胞のレベルを増加させることによって、産物T細胞集団適合性を改善する製造最適化の方法を提供する。一実施形態では、これは、対象アフェレーシスの後にナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)を富化することによって、ナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)の閾値が達成されて製造プロセスが開始されるまで、回収されるアフェレーシス材料の量を増加させることによって、kg当たりの総CAR数を通してではなく、代わりにkg当たりのナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)の数を利用することによってCAR T細胞の投与用量を選択することによって、及び/又はナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)のレベルを増加させるためにT細胞生成物製造条件(例えば、限定されないが、製造の長さ及び/又は増殖培地の組成)を調整することによって行われ得る。一実施形態では、本開示はまた、製造前PBMC集団におけるナイーブ表現型(CCR7+CD45RA+)のCD27+CD28+Th細胞等の十分な陽性因子の欠如を克服するために、同種異系/既製のCAR T細胞のより良好な候補であり得る患者を層別化する方法を提供する。一実施形態では、本開示は、CAR T細胞の活性を増強することができる、又はCAR T療法の臨床的有効性を改善するための負の因子の影響を低減することができる併用療法のより良好な候補であり得る患者を層別化する方法を提供する。一実施形態では、併用療法は、チェックポイント阻害剤(限定されないが、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4等、又はそれらの任意の組み合わせを含む)、SRCキナーゼ阻害剤(例えば、ダサチニブ)、抗CD20モノクローナル抗体、抗4-1BB、抗CD47、レンジルマブ、TGF-ベータ阻害剤又はドミナントネガティブTGF-ベータ、mTOR/AKTアゴニスト、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、シクロホスファミド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ドキソルビシン、タキサンから選択され得る。一実施形態では、本開示は、製造前PBMC集団におけるナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞のパーセンテージ(CCR7+CD45RA+)に基づく製造最適化、又はCAR T細胞の有効性を最大化するための同種異系/市販のCAR T細胞若しくは併用療法から利益を得る対象の同定のために、患者を層別化することを提供する。
【0224】
一実施形態では、本開示は、製造前PBMC集団中の中間単球及び全単球のパーセンテージが、治療前の炎症マーカーと正に関連することを提供する。したがって、本開示は、CAR T細胞の臨床的有効性の負の指標であることが示されている患者の炎症状態の推定を可能にする単純なバイオマーカー(中間単球及び/又は全単球)を定量する方法を提供する。一実施形態では、この方法は、末梢における炎症シグナル伝達を無効にするための抗炎症薬の潜在的な使用の指標として使用される。一実施形態では、好ましい抗炎症薬は、IL-6に対する抗体(トシリズマブ等)、コルチコステロイド、デキサメタゾン、シルツキシマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、アナキンラ、及び抗GM-CSFから選択される。
【0225】
一実施形態では、本開示は、製造前のPBMC集団中の中間単球(白血球の%)のレベルが、より高いIPIスコアを有する患者において濃縮されており、より高いIPIスコアを有する患者のマーカーであることを提供する。
【0226】
一実施形態では、本開示は、製造前のPBMC集団中の中間単球及び全単球のパーセンテージが腫瘍負荷(ベースライン二方向積和)と正に関連することを提供する。したがって、本開示は、CAR T細胞の臨床的有効性の負の指標であることが示されている患者の腫瘍負荷の推定を可能にするバイオマーカー(例えば、中間単球及び/又は全単球)を定量する方法を提供する。一実施形態では中間単球及び/又は全単球のレベルは、化学療法、放射線抗体及び小分子ベースの療法、免疫療法(限定されないが、チェックポイント阻害剤、二重特異性エンゲージャーを含む)、並びに腫瘍負荷が負の予後及び/又は予測バイオマーカーであることが示されている細胞療法(それだけに限らないが、CAR-T、TCRに基づくリンパ球及び腫瘍浸潤リンパ球を含む)等のより大きな推定腫瘍負荷を克服するのを助けるための追加の治療薬の使用を示し得る。
【0227】
一実施形態では、本開示は、製造前PBMC集団中の中間単球及び全単球のパーセンテージが低酸素症と正に関連することを提供する(血清LDH濃度によって示される)。したがって、本開示は、CAR T細胞の臨床的有効性の負の指標であることが示されている、患者の低酸素状態の推定を可能にするバイオマーカー(例えば、中間単球及び/又は全単球)を定量化する方法を提供する。一実施形態では、中間単球及び/又は全単球のレベルは、低酸素環境を克服するための補足治療薬の指標として使用される。一実施形態では、補足治療薬は、より正常な環境を確立する代謝調節剤、HIF阻害剤、及びLDH阻害剤から選択される。
【0228】
一実施形態では、本開示は、製造前PBMC集団中の単球、特に中間単球が、腫瘍微小環境(TME)中のT細胞特徴と負に関連し、CD27+CD28+ナイーブTh細胞及びリンパ球が、奏効に関連したTME中のT細胞特徴と正に関連することを提供する。一実施形態では、奏効に関連しているTME中のT細胞特徴には、活性化CD8+T細胞サブセット(CD3+CD8+PD-1+Lag3+/-Tim3-細胞)並びに活性化T細胞シグネチャに関連する遺伝子(例えば、CXCL10、CXC11、GZMA、GZMB、GZMK及びImmunosign21 Galon et al.ASCO,2020)が含まれる。したがって、本開示は、末梢血バイオマーカーから腫瘍微小環境の全体的な状態を解明し、免疫砂漠、骨髄不均衡、免疫抑制等の様々なクラスへの腫瘍免疫状況の推定を可能にする方法を提供する。次いで、これらのバイオマーカーは、免疫チェックポイント阻害剤及びSRCキナーゼ阻害剤(例えば、ダサチニブ)等の、[チェックポイント阻害剤(限定されないが、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4等、又はそれらの任意の組み合わせを含む)、レンジルマブ、TGF-ベータ阻害剤又はドミナントネガティブTGF-ベータ、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、アミノ酸枯渇、シクロホスファミド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ドキソルビシン又はタキサン]等の腫瘍微小環境の改善を助け、及び/又は免疫チェックポイント又は疲弊からCAR T細胞を保護することができる潜在的な併用薬を選択するのに有用であり得る。
【0229】
一実施形態では、本開示は、製造前PBMC集団におけるナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞のレベルが、製品注入バッグ及びT細胞に富む腫瘍免疫状況におけるナイーブT細胞のパーセンテージと正に関連し(表示される全てのマーカーは活性化T細胞のマーカーである)、治療前の炎症(INTL8、PRF)/腫瘍低酸素状態(LDH)と負に関連することを提供する。したがって、本開示は、製造後の患者の最終的な注入バッグの推定及びT細胞に富む腫瘍免疫状況を可能にする単純なバイオマーカー(CD27+CD28+ナイーブTh)を定量化する方法を提供し、これらは両方ともCAR T細胞の臨床的有効性の陽性指標であることが示されている。これらのCD27+CD28+ナイーブTh細胞の低レベルは、CAR T細胞の有効性を改善するために腫瘍微小環境を改変するのを助ける抗炎症薬又は併用療法の潜在的な使用を示し得る。
【0230】
一実施形態では、本開示は、製造前PBMC集団中の中間単球が、治療前の炎症(INTL8、フェリチン、CRP、アミロイドA)/腫瘍低酸素状態(LDH)と正に関連し、T細胞に富む腫瘍免疫状況(例えば、活性化T細胞シグネチャ、CD3+CD8+PD1+LAG3-TIM3-細胞;GZMA、TGIT、LAG3、CXCL10、GZMB、PRF1、STAT1、EOMES、CXCL9、GZMK、CXCL11、HAVCR2、CD3D、IS21)で規定される治療前と負に関連することを提供する。したがって、本開示は、高レベルの中間単球が、抗炎症薬(コルチコステロイド又はトシリズマブ等)及び/又は不十分なTICを克服するのを助ける免疫調節薬(例えば、TME調節薬[チェックポイント阻害剤、抑制性骨髄細胞を標的とし抗原提示を増強する薬物、血管系を安定化する、又は腫瘍代謝を正常化する薬物等])の使用を示す、方法を提供する。一実施形態では、薬物は免疫療法前に投与される。一実施形態では、薬物は、免疫療法の前、間及び/又は後に投与される。
【0231】
一実施形態では、本開示は、製造前PBMC集団中の中間単球のレベルが、それ自体が奏効と負に関連する治療前腫瘍負荷と正の関連を有することを提供する。したがって、本開示は、製造前PBMC集団中の中間単球のレベルに基づいて、患者がCAR T細胞療法に奏効する可能性が高いかどうかを予測する方法を提供する。また、本開示は、製造前PBMC集団中の中間単球及び/又は全単球のレベルを使用して患者の腫瘍負荷を推定する方法を提供し、これはCAR T細胞の臨床的有効性の負の指標であることが示されている。一実施形態では中間単球のレベルは、化学療法、放射線抗体及び小分子ベースの療法、免疫療法(限定されないが、チェックポイント阻害剤、二重特異性エンゲージャーを含む)、並びに腫瘍負荷が負の予後及び/又は予測バイオマーカーであることが示されている細胞療法(それだけに限らないが、CAR-T、TCRに基づくリンパ球及び腫瘍浸潤リンパ球を含む)等のより大きな推定腫瘍負荷を克服するのを助けるための追加の治療薬の使用の指標として役立つ。
【0232】
一実施形態では、本開示は、アフェレーシス産物/製造前PBMC集団中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベル(白血球の%)がOS及びPFSの改善の予測マーカーであったことを提供する(最適カットオフ)。それらの間には正の関連があり、すなわち、列挙されたカットオフを上回る治療前CD27+CD28+ナイーブTh細胞を有する対象は、選択されたカットオフを下回るの対象よりも生存の可能性が高い。したがって、本開示は、CAR T細胞産物を調製するために使用されるアフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞(白血球の%)のレベルに基づいて、CAR T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法を提供する。またしたがって、本開示は、CAR T細胞産物を調製するために使用されるアフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞(白血球の%)のレベルに基づいて、CAR T細胞療法を必要とする患者の無増悪生存を予測する方法を提供する。また、本開示は、選択されたカットオフを上回る対象についての完全奏効率、客観的奏効率及びCAR T細胞拡大における改善があることも提供する(生存プロットの下の数字を参照)。一実施形態では、本開示は、低レベル(例えば、0.27%を下回る)のCD27+CD28+ナイーブTh細胞を有する対象が、生存の可能性を改善するために別の形態の治療(併用療法、同種異系CAR T細胞等)から利益を得ることができる層別化の方法を提供する。一実施形態では、低レベルは、中央値を下回るか、又は0.1~0.5%、0.5~1.0%、1~1.5%、1.5~2%、2~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~50%等、又は95~100%を下回るレベルである。
【0233】
一実施形態では、本開示は、アフェレーシス産物中の中間単球のレベル(白血球の%)がOS及びPFSの予測マーカーであったことを提供する(最適カットオフ)。したがって、本開示は、アフェレーシス産物中の中間単球レベル(白血球の%)がおよそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%又は20%、好ましくは1~5%の間、更により好ましくはおよそ3%を下回る、カットオフを下回る対象が、カットオフを上回る対象よりも生存の可能性が高いと予測される方法を提供する。したがって、本開示は、CAR T細胞療法を必要とする対象におけるOS及びPFSを予測する方法であって、CAR T細胞産物を調製するために使用されるアフェレーシス産物中の中間単球のレベル(白血球の%)を測定することと、そのレベルがカットオフを上回るか下回るかを判定すること、を含む、方法を提供する。また、本開示は、およそ3%のカットオフを下回る対象の完全奏効率及び客観的奏効率、並びにCAR T増殖における改善があることを提供する。また、本開示は、高レベルの中間単球(およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%又は20%を上回るレベル、好ましくは1~5%の間、更により好ましくはおよそ3%を上回るレベル)を有する対象が生存の可能性を改善するために別の形態の治療(例えば、免疫療法との併用療法、同種異系CAR T細胞等)から利益を得ることができる、患者層別化の方法を提供する。
【0234】
一実施形態では、本開示は、アフェレーシス産物中のCD27pCD28pナイーブTh細胞(白血球の%)対中間単球(白血球の%)の比が、OS及びPFSの予測マーカーとの正の関連を示し、予測マーカーとして機能することを提供する。およそ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1~5、5~10、10~20、好ましくは0.05~0.2、0.2~0.25、0.25~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~5、5~10、10~15の間等、95~100、100~200、200~300等、より好ましくは、更により好ましくは0.1705の選択されたカットオフを上回るレベルを有する対象について、カットオフを下回る者と比べて、より良好な生存率/奏効率/増殖速度があった。したがって、本開示は、CAR T細胞療法を必要とする対象におけるOS及びPFS、奏効、並びにCAR T細胞増殖速度を予測する方法であって、CAR T細胞産物を調製するために使用されるアフェレーシス産物中のCD27pCD28pナイーブTh細胞(白血球の%)対中間単球(白血球の%)の比を測定することと、そのレベルがカットオフのおよそ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1~5、5~10、10~20、好ましくは0.05~0.2、0.2~0.25、0.25~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~5、5~10、10~15の間等、95~100、100~200、200~300等、より好ましくは0.1~1、更により好ましくは0.1705を上回るか下回るかどうかを決定することと、を含む、方法を提供する。また、本開示は、0.1705の選択されたカットオフを上回る対象について、完全奏効率、客観的奏効率及びCAR T細胞増殖における改善があることも提供する。したがって、本開示は、低レベルのCD27+CD28+ナイーブTh細胞(例えば、およそ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1~5、5~10、10~20、好ましくは0.05~0.2、0.2~0.25、0.25~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~5、5~10、10~15の間、より好ましくは0.1~1、更により好ましくは0.1705のレベル)を有する対象が、生存の可能性を改善するために別の形態の治療(併用療法、同種異系CAR T細胞等)から利益を得ることができる、患者層別化の方法を提供する。
【0235】
一実施形態では、本開示は、製造前PBMC集団中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルが中間単球のレベルと負の関連を有することを提供する。更に、高いCD27+CD28+ナイーブThレベル及び低い中間単球レベルを有する対象は、客観的レスポンダーの割合が増加した。したがって、本開示は、CD27+CD28+ナイーブThレベル及び低中間単球のレベルを測定すること、を含む、CAR T細胞療法を必要とする対象における客観的奏効を予測する方法を提供し、それにより、0.08%(中央値を上回るレベル、又は0.05%、0.1%、0.2~1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%等を上回るレベル、95~100%)の/を上回るCD 27+CD 28+ナイーブThレベル、及び/又は3%(中央値を下回る、又は1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%等を下回る、95%~100%)の/を下回る中間単球のレベルは、客観的奏効の可能性の増加を示す。一実施形態では、これらのレベルは、既製の/同種異系のCAR T細胞、免疫調節剤、二重特異性エンゲージャー、併用療法等から利益を得ることができる患者を層別化するために使用される。
【0236】
一実施形態では、本開示は、高レベルの中間体モノサイトシンの製造前PBMC集団(ここで、高レベルは、一般集団中の中間単球の中央値を上回るレベルであり、中央値は、0~1%、1~2%、2~3%、3~4%、4~5%、5~6%、6~7%、7~8%、8~9%、9~10%、10~15%、15~20%等、好ましくは約1.7~1.8%であり得る)、及び低レベルのCAR T細胞増殖(ここで、低レベルは、一般集団におけるCAR T細胞増殖の中央レベルを下回るレベルであり、中央値は、0~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100である)が、ノンレスポンダーの最高率と相関することを提供する。したがって、本開示は、ベースライン中間単球レベル及び注入後のCAR増殖に基づいて奏効を推定する方法を提供する。したがって、本開示は、治療前アフェレーシスPBMC及びCAR T細胞増殖における中間単球のレベルを測定し、注入後の患者を能動的に追跡して、長期奏効が何であるか、及び補足治療薬が有用であり得るかを推定するために使用する方法を提供する。
【0237】
CAR-T細胞ピーク増殖(ここで、増殖したレベルは、一般的なCAR T細胞治療集団におけるCAR T細胞拡大の中央レベルを上回るレベルであり、中央値は、0~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100の間、好ましくは40~50の間である)が増加し、中間単球レベルが低下した対象(ここで、低レベルは、一般集団の中間単球の中央値を下回るレベルであり、中央値は、0~1%、1~2%、2~3%、3~4%、4~5%、5~6%、6~7%、7~8%、8~9%、9~10%、10~15%、15~20%等、好ましくは約1.7~1.8%であり得る。)には、他の象限と比較して、増加した継続奏効率及び減少した再発又は非レスポンダー率が存在した。したがって、本開示は、治療前アフェレーシスPBMC及びCAR T細胞増殖における中間単球のレベルを測定し、注入後の患者を能動的に追跡して、継続奏効、再発の可能性がどのようなものであるか、及び補足治療薬が上記の相関に基づいて有用であり得るかを推定するために使用する方法を提供する。
【0238】
一実施形態では、対象が、中央値レベルを上回るベースライン腫瘍負荷、高い中間単球(中央値を上回る、中央値は、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、10~15%、15~20%、20~25%等、95~100%、好ましくはおよそ1.1%であり得る。)及び低いCAR-T細胞ピーク増殖(中央値を下回る、中央値は、およそ5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%、50~55%、55~60%、60~65%、65~70%等、95~100%、好ましくはおよそ43%であり得る)を有する場合、奏効の可能性は低い(1%~-10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%の継続奏効率及び1%~-10%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%の客観的奏効率)。したがって、本開示は、治療前アフェレーシスPBMC中の中間単球のレベル、ベースライン腫瘍負荷、及びCAR T細胞増殖を測定し、注入後の患者を能動的に追跡して、上記の相関に基づいて、継続奏効及び客観的奏効の可能性が何であるか、及び補足治療薬が有用であり得るかを推定するために使用する方法を提供する。
【0239】
一実施形態では、本開示は、製造前PBMC集団及び奏効カテゴリーにおけるCD27+CD28+ナイーブTh(白血球の%)の間に関連があったことを提供する。CD27+CD28+ナイーブTh細胞レベルは、非応答患者と比較して応答患者においてより高い。したがって、本開示は、CAR T細胞治療を必要とする対象におけるCAR T細胞治療に対する奏効の可能性を予測する方法であって、製造前PBMC集団におけるCD27+CD28+ナイーブThのレベル(白血球の%)を測定することと、そのレベルが最適なカットオフポイント(例えば、0.1036%、0~0.1%、0.1%、-0.5%、0.5%、-1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%)を上回るか又は中央値(例えば、0.89%、0~0.1%、0.1%、-0.5%、0.5%、-1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%)を上回る場合に、高い奏効の可能性を予測すること、を含む、方法を提供する。したがって、本開示は、製造前のPBMC集団中のCD27+CD28+ナイーブTh(白血球の%)のレベルが選択されたカットオフ点又は中央値範囲を下回る場合、製造最適化、併用療法、又は既製/同種CAR T細胞療法のために患者を選択する方法を提供し、これはまた、継続奏効の可能性がより低いことの指標である。
【0240】
一実施形態では、本開示は、製造前PBMC集団における中間単球のレベル(白血球の%)と奏効カテゴリーとの間に関連があったことを提供する。中間単球は、非奏効患者と比較して奏効患者においてより低い。したがって、本開示は、CAR T細胞治療を必要とする対象においてCAR T細胞治療に対する奏効の可能性を予測する方法を提供し、本方法は、製造前PBMC集団中の中間単球(白血球の%)のレベルを測定することと、このレベルが最適なカットポイント(例えば、3.02%、0~0.1%、0.1%、-0.5%、0.5%、-1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%)を下回るか、又は中央値(例えば、1.77%、0~0.1%、0.1%、-0.5%、0.5%、-1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%)を下回る場合、奏効の高い可能性を予測することと、を含む。更に、製造前PBMC集団レベル中の中間単球(白血球の%)は、再発を経験するか又は非レスポンダーである対象と比較して、継続(持続的)奏効を有する対象においてより低い。したがって、本開示は、製造前PBMC集団中の中間単球のレベル(白血球の%)を、継続奏効の可能性がより低い範囲を上回る対象のための製造最適化、併用療法、又は既製/同種異系CAR T細胞療法を選択する方法において使用することができる方法を提供する。
【0241】
一実施形態では、CD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルは、より悪い予後に関連することが示されている特徴(IPIスコア、腫瘍負荷、先行治療ライン)を伴って負に推移する。したがって、本開示は、製造前PBMC集団中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルに基づいてCAR T細胞療法に対する奏効を予測する方法を提供し、それにより、これらの細胞のより高いレベルを有する患者は、CAR T療法に奏効しない可能性よりも高く、介入を必要としない可能性よりも低い。より低いレベルを有する者は、併用療法、最適化された製造アプローチ、既製/同種異系CAR T細胞、次世代CARコンストラクト等の治療に対する更なる改変を考慮する必要があり得る。
【0242】
一実施形態では、本開示は、アフェレーシス産物中のナイーブTh細胞のレベルが先行治療ラインの数と負の関連があったことを提供する。一次(Z12)又は二次(Z7)ラインのDLBCLは、白血球除去療法においてより高いレベルのナイーブT細胞を有し得る。本開示は、対象がより少ない治療ラインでより高いレベルの血液中のこれらの細胞を有することを示すことができ、CAR T細胞がより早い治療ライン(第1/第2ライン)として利用された場合、奏効率が改善され得ることを提供する。より高いIPIスコアは、より低いCD27+CD28+ナイーブTh細胞で傾向がある。CD27+CD28+ナイーブTh細胞は、ベースライン腫瘍負荷と弱い負の関連を示す。したがって、本開示は、製造前アフェレーシスPBMC産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルが、より悪い予後に関連することが示されている特徴(IPIスコア、腫瘍負荷、先行治療ライン)を伴って負に推移することを提供する。したがって、本開示は、CAR T細胞療法に対する奏効を予測する方法を提供し、それにより、これらの細胞のより高いレベル(0~0.005%を上回る、0.005~0.010%、0.01% -0.05%、0.05~0.1%、0.1~0.5%、0.5% -1.0%、1~5%、5~10%、10~15%、好ましくは0.1%を上回る)を有する患者は、CAR T療法に対してより応答性であり、介入を必要とする可能性がより低いはずである。本開示はまた、より低いレベル(0~0.005%、0.005~0.010%、0.01% -0.05%、0.05~0.1%、0.1~0.5%、0.5% -1.0%、1~5%、5~10%、10~15%を下回る、好ましくは0.08%を下回る)を有する患者が、併用療法、最適化された製造アプローチ、既製/同種異系CAR T細胞、次世代CARコンストラクト等の治療に対する更なる改変のために考慮される、患者を層別化する方法を提供する。更に、本開示は、これらの細胞を大幅に減少させる他の事前の化学療法剤が、製造前のアフェレーシスPBMC製品及びCAR T治療のための末梢/腫瘍環境においてCD 27+CD 28+ナイーブTh細胞を保存するために、後の治療ラインに移される治療方法を提供する。したがって、本開示は、製造前のアフェレーシスPBMC製品中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルが、アフェレーシス時のこれらの細胞が製品適合性に及ぼすプラスの影響と共に、がんを有する対象に対して任意の治療を開始する前に、アフェレーシスバッグを凍結してCAR-T細胞療法のための最良の移入細胞を得ることを示す方法を提供する。
【0243】
一実施形態では、本開示は、アフェレーシス産物中の中間単球集団のレベルが疾患負荷に関連し、先行治療ラインの数と共に中程度に増加したことを提供する。したがって、本開示は、中間単球が、より悪い予後(腫瘍負荷、先行治療ライン)に関連することが示されている特徴を積極的に追跡することを提供する。したがって、本開示は、CAR T療法に対する奏効及び更なる介入の必要性を予測する方法を提供し、それによって、これらの細胞のレベルがより低い(0~1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%を下回る、好ましくは3%を下回る)患者は、CAR T療法に対してより応答性であり、更なる介入を必要とする可能性がより低い。一実施形態では、より高いレベルを有する患者は、併用療法、最適化された製造アプローチ、既製/同種異系CAR T細胞、次世代CARコンストラクト等の治療に対する追加の改変を考慮する必要があり得る。本開示は、これらの細胞を増加させる以前の化学療法剤を、CAR T療法の前に末梢/腫瘍環境でこれらの細胞が増加するのを防ぐために、後の治療ラインに移すべきであることを提供する。このデータは、アフェレーシス時のこれらの細胞が製品の適合性に及ぼすマイナスの影響と共に、がんを有する対象に対して任意の治療を開始する前に、アフェレーシスバッグを凍結してCAR-T細胞療法のための最良の流入細胞を得るべきであることを示す。
【0244】
一実施形態では、本開示は、アフェレーシス産物中の中間単球のレベルが先行治療ラインの数と正に関連することを提供する。対象は、より少ない先行治療ラインでより低いレベルの中間単球を有することが予想され、これらの細胞と奏効との負の関連に起因して、これはまた、CAR T細胞奏効率が、より早い治療ライン(第1/第2ライン)として利用された場合、更により高くなり得ることを示している。
【0245】
一実施形態では、本開示は、国際予後指数(IPI)スコアとアフェレーシス産物中の中間単球のレベルとが正に関連していたことを提供し、これらの細胞がより悪い予後を有する対象と関連していることを更に示す。中間単球は、ベースライン腫瘍負荷と正に関連していた。したがって、本開示は、中間単球のレベルが、CAR T細胞の有効性にとってあまり最適でない状態を示し、これらの細胞のレベルが3%を上回る場合(又は0~1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%を上回る)、CAR T療法の有効性を改善するために更なる介入/最適化が必要とされ得ることを提供する。本開示はまた、中間単球のレベルに基づいて、中間単球の除去及びナイーブ産物細胞のレベルの増加、次世代CARコンストラクトの使用、及び/又は免疫調節剤若しくはチェックポイント遮断、既製/同種異系CAR T細胞等との併用療法の使用に対する製造最適化のために、患者を層別化することができることを提供する。
【0246】
一実施形態では、本開示は、アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベル(白血球の%)が、OS及びPFSと正に関連し、OS及びPFSの予測マーカーであり得ることを提供する。本開示は、CD27-CD28+TEMRA Tregについて、より高いレベルのこれらの細胞(例えば、0.17の閾値を上回る)を有する対象が、より高い完全奏効率、客観的奏効率及び継続奏効率を有することを提供する。したがって、本開示は、CAR T細胞治療を必要とする対象におけるCAR T細胞治療に対するOS及びPFSを予測する方法であって、アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベル(白血球の%)を測定することと、そのレベルがカットオフを上回るか下回るかに基づいて生存の可能性及びPFSを決定することと、を含む、方法を提供する。一実施形態では、カットオフは0.17である。一実施形態では、カットオフは、およそ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1~5、5~10、10~20、好ましくは0.05~0.2、0.2~0.25、0.25~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1、1~5、5~10、10~15の間等、95~100、100~200、200~300等、より好ましくはおよそ0.1705である。本開示は、低レベルのCD27-CD28+TEMRA Tregを有する対象が、CAR療法による生存の可能性を改善するために、別の形態の療法(併用療法、同種異系CAR T細胞等)、製造最適化、次世代CAR等から利益を得ることができる、患者を層別化する方法を提供する。
【0247】
一実施形態では、本開示は、アフェレーシス産物のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベル対CAR-TピークとCAR-Tピーク/ベースライン腫瘍負荷との間に関連があったことを提供する。CD27+CD28+ナイーブTh細胞とCAR T細胞ピーク増殖(腫瘍負荷によって正規化)との間の正の関連が観察された。したがって、本開示は、CAR T細胞増殖を予測する方法を提供し、それにより、CD27+CD28+ナイーブTh細胞は、CAR Tピーク増殖と正に関連し、これは、奏効と正に相関することが示されており、これらの細胞が奏効に対して正の影響を有することを示している。
【0248】
一実施形態では、本開示は、低レベルのCD27+CD28+ナイーブTh細胞及びCAR T細胞の両方のピーク増殖が、より高い非レスポンダー率と相関する一方で、両方のレベルの増加が、より高い奏効率をもたらすことを提供する。
【0249】
一実施形態では、本開示は、アフェレーシス産物対CAR-Tピーク中の中間単球のレベルとCAR-Tピーク/ベースライン腫瘍負荷との間に関連があったことを提供する。中間単球のレベルとCAR T細胞ピーク増殖(腫瘍負荷によって正規化)との間に負の関連があった。したがって、本開示は、中間単球のレベルが、奏効と正に相関することが示されているCAR Tピーク増殖(CAR/TB)と負に関連することを提供し、これは、これらの細胞が注入後の奏効及びCAR機能に対して負の影響を有するはずであることを示している。本開示は、中間単球のレベルを使用して製造最適化のために患者を層別化し、製品中のこの集団を減少させて最終CAR T細胞を増強し、それによってCAR拡大及び奏効率を改善する方法を提供する。また、前述したように、高い中間(high int.)単球は、有効性を改善するための更なる治療薬又は次世代CARコンストラクトの利用の指標であり得る。
【0250】
一実施形態では、本開示は、中間単球のレベル及びCAR Tピーク増殖レベルを測定することによってCAR T細胞療法に対する奏効を予測する方法を提供し、それにより、アフェレーシス産物中の高レベル(中央値を上回る、又は0~1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、好ましくは3%を上回る)の中間単球及び低レベル(中央値を下回る、又は5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%、50~55%、55~60%、好ましくは43%を下回る)のCAR-Tピークは、より高いノンレスポンダー率と相関し、一方、中間単球レベルの低下及びCAR Tピーク増殖の増加は、より高い奏効率をもたらす。
【0251】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比が、OS及びPFSと正に関連し、OS及びPFSの予測マーカーとして役立ち得る(最適なカットオフ)ことを提供する。ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球は、完全奏効、客観的奏効、及び継続奏効と正に関連していた。したがって、本開示は、それを必要とする対象におけるCAR T細胞治療に対する完全奏効、客観的奏効、及び継続奏効の可能性を予測する方法であって、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比を測定することと、その比に基づいて完全奏効、客観的奏効、及び継続奏効の可能性を予測することと、を含む、方法を提供する。一実施形態では、比が最適なカットオフを上回る場合(例えば、最適カットオフが約0~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%等であり得る場合)、完全奏効、客観的奏効及び継続奏効の可能性は、比がカットオフを下回る場合(例えば、カットオフが約0~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%等であり得る場合)よりも高い。一実施形態では、本開示は、白血球に対するリンパ球のレベルが低い対象が、生存/奏効の可能性を改善するために別の形態の治療(併用療法、同種異系CAR T細胞、次世代CARコンストラクト等)で治療され、及び/又は製品適合性を改善するために最適化された製造に供される、患者層別化の方法を提供する。
【0252】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比が、最悪のグレードの毒性と弱い負の関連性を有していたことを提供する。したがって、本開示は、患者層別化の方法であって、それによって、白血球に対するリンパ球の低レベル(中央値を下回る、又は1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%等を下回る、好ましくは5.2を下回る)が毒性事象を有するより高い可能性を示し、毒性を予防するための抗炎症薬(例えば、トシリズマブ、ステロイド)の患者への予防的投与を示す方法を提供する。
【0253】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比を測定することによってCAR T細胞療法に対する奏効を予測する方法を提供し、それにより、比は腫瘍負荷と負に関連し、それによって奏効と正に関連する。したがって、本開示は、製造前のPBMCリンパ球対白血球比が低い(中央値を下回る、又は1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%等を下回る、好ましくは5.2を下回る)及び/又は患者が高い腫瘍負荷を有する場合、有効性を改善するために追加の介入について患者を層別化する方法を提供する。
【0254】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比が、先行治療ラインの数と負に関連していたことを提供する。したがって、本開示は、以前の化学療法薬の数の増加はこれらの細胞を減少させるので、CAR T療法は、最良の有効性を有するために一次又は二次ラインの状況において考慮されるべきであり、又はこれらの細胞を減少させる化学療法は、CAR T細胞療法後の潜在的な選択肢として考慮されるべきであることを提供する。このデータは、アフェレーシス時のこれらの細胞が製品の適合性に及ぼすプラスの影響と共に、がんを有する対象に対して任意の治療を開始する前に、アフェレーシスバッグを凍結してCAR-T細胞療法のための最良の流入細胞を得ることができることを示す。
【0255】
これらのデータは、より初期の治療ラインにおけるCAR-T細胞の利用が、より少ない治療ラインでより高い奏効及び製品適合性の正の予測因子に起因して、改善された客観的かつ持続的奏効をもたらし得ることを示している。
【0256】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比がCRP、フェリチン、IL6と負に関連していたことを提供する。CRP、フェリチン、及びIL6は、DLBCLにおける奏効と負に相関する薬力学的マーカーであることが以前に示されている。したがって、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比を測定することによって、患者におけるより悪い予後に関連するこれらの炎症性サイトカインのレベルを推定する方法を提供する。また、白血球に対するリンパ球のレベルが低い場合、患者は、CAR T細胞療法の前及び/又は後に抗炎症薬を投与するために選択される。
【0257】
一実施形態では、本開示は、患者の骨髄系細胞のレベルを予測する方法を提供し、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球の比は、骨髄系細胞(より具体的には、奏効と負に関連する中間単球)と負に関連し、CD8及びEM/エフェクターT細胞と正に関連する。更に、本方法は、リンパ球対白血球の比率が低い(中央値を下回る、又は1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%等を下回る、好ましくは5.2を下回る)患者が、骨髄区画の活性を無効化しようとする併用療法のため、及び/又は製品中のそれらの集団を枯渇させるための製造プロセスの最適化のために考慮されることを提供する。
【0258】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比が、OS及びPFSと正に関連し、OS及びPFSの予測バイオマーカーとして機能し得ることを提供する。したがって、本開示は、単球に対するリンパ球のレベルが低い対象が、生存の可能性を改善するためにCAR T細胞療法(例えば、併用療法、同種異系CAR T細胞、次世代CARコンストラクト等)に加えて、又は代替として別の形態の療法を投与され、及び/又は対象が、製品適合性を改善するためにCAR T細胞産物の最適化された製造に供される、がん治療における層別化の方法を提供する。本開示はまた、リンパ球対単球の比が0.79を上回る対象においてより高い完全奏効率、客観的奏効率及び継続奏効率が観察される、奏効を予測する方法を提供する。一実施形態では、比は、0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、10~15等の間である。
【0259】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比が、最悪のグレードの毒性と弱い負の関連性を有していたことを提供する。
図29.したがって、本開示は、免疫療法(例えば、CAR T細胞)に対する奏効を予測する方法を提供し、低レベルの単球対リンパ球(中央値を下回る、又は1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%を下回る、好ましくは8%を下回る)は、毒性事象を有するより高い可能性を示し、毒性を予防するための抗炎症薬(例えば、トシリズマブ、ステロイド)の予防的使用を示す。
【0260】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比が腫瘍負荷と負に関連していたことを提供する。
図30.したがって、以前の腫瘍負荷と同様に(奏効の負の特徴についてバイオマーカーを負に追跡する)、低LからL及び高TBの場合に有効性を改善するための追加の介入の可能性に言及する。したがって、本開示は、CAR T細胞の臨床的有効性の負の指標であることが示されている患者の腫瘍負荷の推定を可能にするベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比を定量する方法を提供する。一実施形態では、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比は、化学療法、放射性抗体及び小分子ベースの療法、免疫療法(チェックポイント阻害剤、二重特異性エンゲージャーを含むが、これらに限定されない)、並びに腫瘍負荷が負の予後及び/又は予測バイオマーカーであることが示されていた細胞療法(それだけに限らないが、CAR-T、TCRに基づくリンパ球及び腫瘍浸潤リンパ球を含む)等のより大きな推定腫瘍負荷を克服するのを助けるための追加の治療薬の使用を示し得る。
【0261】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比が、先行治療ラインの数と負に関連していたことを提供する。
図31.これは、一次治療又は二次治療としてのCAR-T細胞の使用が、更により良好な奏効率をもたらし得ることを示唆する。したがって、以前の化学療法薬の数の増加はこれらの細胞を減少させるので、CAR T療法は、最良の有効性を有するために一次又は二次ラインの状況において考慮されるべきであり、又はこれらの細胞を減少させる化学療法は、CAR T細胞療法後の潜在的な選択肢として考慮されるべきである。このデータは、アフェレーシス時のこれらの細胞が製品の適合性に及ぼすプラスの影響と共に、がんを有する対象に対して任意の治療を開始する前に、アフェレーシスバッグを凍結してCAR-T細胞療法のための最良の流入細胞を得ることができることを示す。そのようにして、対象がCAR T療法の前に治療を受ける場合、対象は依然として、CAR Tアフェレーシス材料を回収する前に他の治療を受けた対象よりも有効な出発材料を有する。
【0262】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比がCRP及びIL6と負に関連していたことを提供する。
図32.したがって、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比を測定することによって、がん患者の血清中のCRP及びIL6のレベル、及び/又は免疫療法(例えば、CAR T細胞療法)予後を推定する方法を提供し、CRP及びIL6のレベルは、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比のレベルと負に関連し、悪い予後と正に関連する。また、本開示は、リンパ球から単球への低レベル(又は中央値を下回るレベル、又は0.05%、0.05~0.1%、0.1~0.5%、0.5~1.0%、1~5%、5~10%、10~15%を下回る、好ましくは0.78を下回るレベル)が定量される場合、患者に抗炎症薬を投与する、患者を層別化する方法を提供する。
【0263】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比が骨髄細胞と負に関連し、CD8及びEM/エフェクターT細胞と正に関連したことを提供する。
図33.本開示は、骨髄細胞、CD8及びEM/エフェクターT細胞が奏効と負の相関を示すことを提供する。したがって、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比を測定することによって、最終注入製品中の骨髄細胞、CD8、及び/又はEM/エフェクター細胞のレベルを予測する方法を提供し、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比は、骨髄細胞と負に、CD8及びEM/エフェクターT細胞と正に関連する。この方法は更に、骨髄区画の活性を無効化することを試みる併用療法のために、及び/又はそれらの集団を枯渇させるための製造前材料の最適化のために、患者を層別化するために使用することができる。
【0264】
一実施形態では、本開示は、ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球の比が中間単球と負に関連し、CD27-CD28+TEMRA及びTreg並びにCD27+CD28+ナイーブ及びTh細胞を含む奏効に関連するアフェレーシス集団と弱い相関を示したことを提供する。したがって、製造前PBMC集団におけるリンパ球から単球への高レベル(又は中央値を上回る、又は0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、10~15の間を上回る、好ましくは0.8%を上回る)は、製品の適合性及び奏効を積極的に追跡する流入アフェレーシス材料を示し得る。低レベル(中央値を下回る、又は0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、10~15の間を下回る、好ましくは0.78%を下回る)は、製造最適化、併用療法又は次世代CAR療法の必要性を示し得る。
T細胞適合性
【0265】
いくつかの実施形態では、内因性細胞適合性は、インビトロでの非特異的刺激中にCAR T細胞が拡大する能力(例えば、より短い倍加時間)、CAR T細胞の分化状態(好都合な若年性表現型)、CAR T細胞集団における特殊化CAR T細胞サブセットのレベル(例えば、注入製品中のCD8及びナイーブ様CD8細胞(例えば、CD8+CCR7+CD45RA+T細胞)の数)、及びインビボCAR T細胞増殖速度に基づいて評価される。
【0266】
一実施形態では、T細胞適合性は、細胞が急速に増殖する能力である。操作されたT細胞との関連において、一実施形態では、T細胞適合性は、操作されたT細胞集団が治療前にどの程度迅速に増殖するかの測定値である。本明細書に記載されるように、T細胞適合性は、臨床転帰と関連する操作されたT細胞の属性である。いくつかの実施形態では、T細胞適合性は、倍加時間又は増殖速度によって測定される。製造プロセス中のT細胞集団倍加時間(DT)として測定されたT細胞「適合性」の例示的な導出を以下に示す。
【数2】
【0267】
期間は、総製造時間枠から3日を引いたものとして定義され得る(本質的には、形質導入後であって採取及び凍結保存前の培養物中の生成細胞の日数)。組換えIL-2(例えば抗CD3抗体による非特異的刺激の後で、)を使用して、ポリクローナルT細胞増殖を標的用量の達成に向けて駆動することができる。DTが短いほど、操作されたT細胞の適合性が高くなる。インビトロ増殖速度は、以下の式を使用して計算することができる。
増殖速度=ln(2)/倍加時間
上記の例では、増殖速度は「速度/日」又は「/日」の単位で提供される。
【0268】
いくつかの実施形態では、インビボ増殖速度が、CAR細胞/血液体積単位を列挙することによって測定される。いくつかの実施形態ではて、インビボ増殖速度は、宿主DNAの1μg当たりのCAR遺伝子コピー数によって測定される。いくつかの実施形態では、インビボ増殖速度が、CAR細胞/血液体積単位を列挙することによって測定される。
【0269】
本明細書に記載されるように、製造中に、T細胞を最初にIL2の存在下で抗CD3抗体で非特異的に刺激し、次いでIL2を補充した増殖培地で増殖させることができる。本明細書に記載されるように、低い倍加時間は、非奏効と比較して客観的奏効と正に関連する。レスポンダーのDT中央値は1.6日であったが、非レスポンダーは2.1日のDT中央値を有した。DTによる奏効の四分位分析は、最も低いDT四分位の全ての患者(100%)が客観的奏効を達成したが、全ての非レスポンダーの80%がDTの3番目及び4番目の四分位にあったことを示した。したがって、本開示は、(a)注入製品中のT細胞集団の倍加時間を測定して値を得ることと、(b)値に基づいて一次治療耐性を評価することと、を含む、一次治療耐性を評価する方法を提供する。いくつかの実施形態では、評価は、集団のどの四分位数で患者が失敗するかを決定することを含む。いくつかの実施形態では、評価は、参照標準に対して行われる。いくつかの実施形態では、本方法は、有効用量のCAR T細胞を患者に投与すること、を更に含み、有効用量は当該値/上記値を用いて決定される。いくつかの実施形態では、より高い倍加時間は、一次治療耐性に関連する。いくつかの実施形態では、生成物倍加時間>1.6日は、非奏効と関連付けられる。いくつかの実施形態では、高い腫瘍負荷を有する患者において、客観的奏効又は持続的奏効を有する患者は、2日未満の倍加時間を有する。いくつかの実施形態では、>2日間の倍加時間は再発又は非奏効に関連する。いくつかの実施形態では、アフェレーシス出発材料中のCD28+CD27+TN細胞の数が多いほど、注入産物倍加時間はより良好(短い)である。
【0270】
本明細書に記載されるように、一般にCAR T細胞注入後2週間以内に起こる末梢血中のCAR T細胞のより高いピーク増殖は、1年間の最小限のフォローアップでの継続奏効として定義される、客観的奏効及び持続的奏効の両方と関連する。血液中のCAR T細胞のピーク数は奏効と相関した。血中の曲線下面積(AUC)で測定した最初の28日間にわたる累積CAR T細胞レベルもまた、治療に対するより良好な客観的及び持続的奏効と関連していた。したがって、本開示は、(a)値を得るために末梢血中のCAR T細胞のピーク増殖を測定することと、(b)値に基づいて治療奏効を評価することと、を含む、CAR T細胞治療に対する奏効を評価する方法を提供する。別の態様では、本開示は、患者がCAR T細胞療法に奏効するかどうかを決定する方法であって、(a)値を得るためにCAR T投与後の血液中のピークCAR T細胞レベルを測定することと、(b)値を治療前腫瘍負荷に対して正規化することと、(c)正規化された値に基づいて、患者が持続的奏効を達成するかどうかを判定することと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、値は持続的奏効と正に関連し、持続的奏効を達成する確率がより高い(約60%)患者のサブセットとより低い(約10%)患者のサブセットとを分ける。いくつかの実施形態では、CAR T細胞レベルは、単位血液量当たりのCAR T細胞の数を計数することによって計算される。一実施形態では、末梢血中のCAR T細胞のより高いピーク増殖は、より高い四分位の範囲内に入るピーク増殖値を意味する。いくつかの実施形態では、インビボ増殖速度が、CAR細胞/血液体積単位を列挙することによって測定される。いくつかの実施形態ではて、インビボ増殖速度は、宿主DNAの1μg当たりのCAR遺伝子コピー数によって測定される。いくつかの実施形態では、評価又は決定は、集団のどの四分位数で患者が失敗するかを決定することを含む。いくつかの実施形態では、評価は、参照標準に対して行われる。
【0271】
本明細書に記載されるように、より高いピークCAR-T細胞拡大は、重篤な神経毒性に関連するが、CRSには関連しない。したがって、一実施形態では、本開示は、重篤な神経毒性を予測する方法であって、(a)CAR T細胞治療後のピークCAR T細胞増殖を測定して値を得ることと、(b)値に基づいて神経毒性を予測することと、を含む、方法を提供する。一実施形態では、本方法は、CAR T細胞治療と組み合わせて神経毒性を予防又は低減する薬剤を投与すること、を更に含む。
【0272】
本明細書に記載されるように、製造中のCAR T細胞のより高い増殖速度は、より大きいインビボCAR T細胞増殖及びより高い長期寛解の確率と関連する(長期寛解/持続的奏効とは、1年以上奏効にあることを意味する)。本明細書に記載されるように、産物倍加時間は、注入後のインビボでのCAR T細胞の増殖と負に関連する。本明細書に記載されるように、産物倍加時間は、腫瘍負荷に対して正規化されたピークCAR T細胞と負に関連する。本明細書に記載されるように、産物倍加時間はCAR-T細胞AUCと負に関連する。いくつかの実施形態では、インビボ増殖速度が、CAR細胞/血液体積単位を列挙することによって測定される。いくつかの実施形態ではて、インビボ増殖速度は、宿主DNAの1μg当たりのCAR遺伝子コピー数によって測定される。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、患者がCAR T細胞療法に奏効するかどうかを決定する方法であって、(a)製造中のCAR T細胞の増殖速度又はCAR T投与後の血液中のピークCAR T細胞レベルを測定して値を得ることと、(b)値に基づいて患者が持続的奏効を達成するかどうかを決定することと、を含む、方法を提供する。
【0273】
本明細書に記載されるように、高い腫瘍負荷を有する患者の中で、客観的奏効又は持続的奏効を達成した患者のより大きな割合が、再発したか又は奏効しなかった患者と比較して、より短い製品倍加時間(<2日)を有する。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、患者がCAR T細胞療法に奏効するかどうかを決定する方法であって、(a)値を得るためにCAR T投与後の血液中のピークCAR T細胞レベルを測定することと、(b)値を治療前腫瘍負荷に対して正規化することと、(c)正規化された値に基づいて、患者が持続的奏効を達成するかどうかを判定することと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、値は持続的奏効と正に関連し、持続的奏効を達成する確率がより高い(約60%)患者のサブセットとより低い(約10%)患者のサブセットとを分ける。いくつかの実施形態では、CAR T細胞レベルは、単位血液量当たりのCAR T細胞の数を計数することによって計算される。いくつかの実施形態では、評価は、集団のどの四分位数で患者が失敗するかを決定することを含む。いくつかの実施形態では、評価は、参照標準に対して行われる。
【0274】
本明細書に記載されるように、倍加時間は、最終注入バッグ中のT細胞分化サブセットの頻度と正に関連する。倍加時間は、エフェクターメモリーT(TEM)細胞の頻度と正に関連し、ナイーブ様T(TN)細胞の頻度と負に関連する。本明細書に記載されるように、産物倍加時間によって測定される内因性産物のT細胞適合性は、より分化していない産物と正に関連し、CAR T細胞が腫瘍根絶を支援する十分なエフェクター対標的比までインビボで増殖する能力に影響を及ぼす。したがって、一実施形態では、本開示は、注入製品の倍加時間を減少させるように細胞集団を操作すること、及び/又は基準値と比較してより低い倍加時間を有する注入製品を患者に投与すること、を含む、注入製品を用いた患者のCAR T細胞治療に対する奏効を改善する方法を提供する。
【0275】
本明細書に記載されるように、産物倍加時間によって測定されるT細胞増殖測定前処置の固有の能力は、産物T細胞適合性の主要な属性である。他の製品特性と比較して、DTは最終注入バッグ中のT細胞分化サブセットの頻度と最も強く関連していた。具体的には、DTはエフェクターメモリーT(TEM)細胞の頻度と正に関連し、ナイーブ様T(TN)細胞の頻度と負に関連した。本明細書に記載されるように、ベースライン腫瘍負荷は、最終注入生成物中の分化表現型と正に関連する。本明細書に記載されるように、製品組成及び臨床成績は、患者の治療前免疫状態に関連する。したがって、一実施形態では、本開示は、基準値と比較して、注入産物中のナイーブ様T(TN)細胞の頻度が増加した注入産物を投与すること、を含む、CAR T細胞による治療による治療後の腫瘍負荷を減少させる方法を提供する。別の実施形態では、本開示は、最終注入製品の分化表現型を予測又は推定する方法であって、値を得るために患者のベースライン腫瘍負荷を測定することと、値に基づいて分化表現型を推定又は予測することと、を含む、方法を提供する。一実施形態では、その尺度は、その値に基づいて最終産物中のCAR T細胞の有効用量を調製すること、を更に含む。
T細胞表現型
【0276】
本明細書に記載されるように、製造出発材料(アフェレーシス)におけるT細胞表現型は、T細胞適合性(DT)と関連し得る。Tn様細胞及びTcm細胞(CCR7+細胞)の全%は、DTに反比例する。Tem(CCR7-CD45RA-)細胞の%は、DTと直接関連する。したがって、いくつかの実施形態では、治療前属性は、Tn様細胞及びTcm細胞の%である。いくつかの実施形態では、Tn様細胞及びTcm細胞の%は、CCR7+細胞のパーセンテージによって決定される。いくつかの実施形態では、CCR7+細胞のパーセンテージは、フローサイトメトリーによって測定される。
【0277】
いくつかの実施形態では、治療前属性は、Tem(CCR7-CD45RA-)細胞の%である。いくつかの実施形態では、Tem細胞の%は、CCR7-CD45RA-細胞のパーセンテージによって決定される。いくつかの実施形態では、CCR7-CD45RA-細胞のパーセンテージは、フローサイトメトリーによって測定される。
【0278】
本明細書に記載されるように、製造倍加時間及び産物T細胞適合性は、CAR T細胞治療への登録前の患者のT細胞の分化状態と直接関連する。したがって、本開示は、製造された製品のT細胞適合性を予測する方法であって、CAR T細胞治療(例えば、アフェレーシス産物において)の前に患者のT細胞の分化状態を決定することと、分化状態に基づいて製造中のT細胞適合性を予測することと、を含む、方法を提供する。
【0279】
本明細書に記載されるように、全CD3+T細胞又はCD4及びCD8サブセット内のアフェレーシス産物中のエフェクターメモリーT細胞の割合が大きいほど、産物倍加時間は長くなる。本明細書に記載されるように、出発物質中のT細胞表現型はより幼若であるが、産物T細胞適合性はより良好である。本明細書に記載されるように、重要な共刺激分子を発現するTN細胞の免疫学的に適格なサブセットを表すCD27+CD28+TN細胞は、産物倍加時間と正に会合する。本明細書に記載されるように、最終産物の表現型に対するアフェレーシス産物中のCD3、CD4及びCD8亜集団の分化マーカーによって定義されるT細胞サブセットの割合を含む、全ての主要な表現型群にわたる直接的な関連がある。本明細書に記載されるように、アフェレーシス材料中の調節性T細胞をおそらく表す、CD25hi CD4発現を有するT細胞の割合は、産物中のCD8 T細胞出力と負に相関する。本明細書に記載されるように、CAR T細胞治療後の腫瘍負荷は、最終産物の分化表現型と正に関連している。
【0280】
本明細書に記載されるように、腫瘍負荷に対して正規化された注入されたCD8+T細胞の数は、腫瘍負荷に対するCAR T細胞の持続的奏効及び増殖に関連する。より具体的には、注入されたCD8 T細胞の数/治療前腫瘍負荷の四分位分析は、最も低い四分位において16%の持続的奏効率を示したのに対して、上位四分位において58%であった。
【0281】
本明細書に記載されるように、注入された特殊化T細胞の数、主にCD8+TN細胞集団は、CAR T細胞療法による永続的な臨床的有効性にプラスの影響を及ぼす。本明細書に記載されるように、より多数の産物CD 8+T細胞が、完全な腫瘍消散を達成し、より高い腫瘍負荷を有する患者において持続的奏効を確立するために必要とされる。本明細書に記載されるように、高い腫瘍負荷を有する患者において、持続的奏効は、奏効し、次いで再発する患者と比較して有意に多い注入されたCD8 T細胞数に関連する。本明細書に記載されるように、腫瘍負荷に対して正規化された注入されたTN細胞の数は、持続的奏効と正に関連する。本明細書に記載されるように、CD4:CD8比は、持続的奏効と正に関連する。本明細書に記載されるように、治療前腫瘍負荷に対して正規化された産物中のCD8 T細胞の総数は、持続的奏効と正に関連する。CD8 T細胞の中で、TN細胞の数が持続的奏効と最も有意に関連する。本開示は、CAR T細胞注入産物の改善、有効用量の決定、及び/又はこれらの関連の1つ以上に基づく持続的奏効の予測の1つ以上の方法のために使用され得るいくつかの更なる関連を提供する。表1を参照されたい。
【0282】
【0283】
したがって、本開示は、患者におけるCAR T細胞療法の持続的な臨床的有効性(例えば、持続的奏効)を改善する方法であって、有効用量のCAR T細胞治療を調製すること及び/又は患者に投与すること、を含み、有効用量が、注入製品中の特殊化T細胞の数及び/又はCD4CD8比に基づいて決定される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、特殊化T細胞はCD8+T細胞、好ましくはTN細胞である。
【0284】
別の実施形態では、本開示は、(a)1つ以上の値を得るために注入製品中の特殊化T細胞の数を特徴付けることと、(b)1つ以上の値に基づいて患者がどのように応答するかを決定することと、を含む、患者が治療にどのように応答するかを決定する方法を提供する。別の実施形態では、本開示は、患者から得られたT細胞の集団(例えば、アフェレーシス材料)中のT細胞表現型を測定すること、を含む、患者の悪性腫瘍を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、測定された特定のT細胞タイプのパーセンテージに基づいて、患者がキメラ抗原受容体治療に応答するかどうかを決定すること、を更に含む。いくつかの実施形態では、T細胞表現型は、キメラ抗原受容体(CAR)(例えば、アフェレーシス材料)を発現するように細胞を操作する前に測定される。いくつかの実施形態では、T細胞表現型は、キメラ抗原受容体(CAR)(例えば、CARを含む操作されたT細胞)を発現するように細胞を操作した後で測定される。
腫瘍負荷
【0285】
腫瘍関連パラメータ(例えば、腫瘍負荷、低酸素/細胞死マーカーとしての血清LDH、腫瘍負荷及び骨髄細胞活性に関連する炎症マーカー)は、臨床転帰と関連し得る。一態様では、本開示は、CAR T細胞治療の投与前に患者の腫瘍負荷を測定すること、を含む、患者の悪性腫瘍を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、参照レベルと比較した腫瘍負荷のレベルに基づいて、患者がCAR T細胞治療に応答するかどうかを決定すること、を更に含む。いくつかの実施形態では、基準レベルは、約1,000mm2、約2,000mm2、約3,000mm2、約4,000mm2未満である。
【0286】
本明細書に記載されるように、腫瘍負荷が多いほど、ORを達成した対象における治療後1年以内の再発の確率が高くなり、グレード3+神経毒性の確率が高くなる。いくつかの実施形態では、腫瘍負荷は、治療前の腫瘍負荷が約4,000mm2超、約5,000mm2超、約6,000mm2超、約7,000mm2超又は約8,000mm2超である場合、奏効した患者における再発の確率を評価するために使用される場合がある。
【0287】
本明細書に記載されるように、CAR T細胞療法前の低い腫瘍負荷は、持続的奏効の正の予測因子である。本明細書に記載されるように、最大腫瘍負荷四分位において、持続的奏効を達成した患者は、再発したか又は奏効を有していなかった患者と比較して、3倍超高いピークCAR T細胞拡大を有していた。本明細書に記載されるように、より高い腫瘍負荷を有する患者では、より低い腫瘍負荷を有する患者と比較して、同等のピークCAR-T細胞レベルでのより低い持続的奏効率が存在する。本明細書に記載されるように、持続的レスポンダーは、非レスポンダー又はその後に治療後1年以内に再発したレスポンダーと比較して、より高いピークCAR T細胞/腫瘍負荷率を有していた。本明細書に記載されるように、完全レスポンダーは、部分レスポンダー又は非レスポンダーと比較してより高いピークCAR T細胞/腫瘍負荷率を有していた。したがって、本開示はまた、患者がCAR T細胞治療の投与後1年以内に非レスポンダーになるか、持続的奏効を有するか、又は再発するかどうかを判定する方法であって、ピークCAR T細胞/腫瘍負荷率を測定することと、それらのレベルに基づいて判定を行うことと、を含む、方法を提供する。本明細書に記載されるように、客観的奏効率及び持続的奏効は、ピークCAR T細胞レベルの増加と相関する。本明細書に記載されるように、ピークCAR T細胞/腫瘍負荷比の最も低い四分位以内の患者では、上の四分位(>50%)よりも低い持続的奏効(12%)が存在する。本明細書に記載されるように、CD28共刺激ドメインを含む抗CD19 CAR T細胞療法で治療された難治性大細胞リンパ腫における持続的奏効は、腫瘍負荷に見合った初期CAR T細胞拡大から利益を得る。
【0288】
本明細書に記載されるように、腫瘍負荷は、重度の神経毒性と正に関連し、割合は、四分位数1から四分位数3に増加するが、それらは、最も高い四分位数において減少し、一般に、集団全体におけるCAR T細胞増殖と腫瘍負荷との間の関連を反映する。
【0289】
本明細書に記載されるように、治療前腫瘍負荷又は体重のいずれかに正規化されたピークCAR T細胞レベルは、有効性と強く関連し、後者はグレード3以上のNEと関連する。したがって、本開示はまた、患者がCAR T細胞治療の投与後に持続的奏効を示すかどうかを判定する方法であって、治療前の腫瘍負荷又は体重のいずれかに対して正規化されたピークCAR T細胞レベルを測定することと、それらのレベルに基づいて判定を行うことと、を含む、方法を提供する。また、本開示は、患者がCAR T細胞治療の投与後にグレード3以上のNEを示すか否かを判定する方法であって、治療前の腫瘍体重に対して正規化されたピークCAR T細胞レベルを測定することと、それらのレベルに基づいて判定を行うことと、を含む、方法も提供する。
奏効及び有効性の測定
【0290】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象に臨床的利益を提供し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%の患者が臨床的利益を達成する。いくつかの実施形態では、患者の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、0%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%及びその間の任意の列挙されていない%が臨床的利益を達成する。いくつかの実施形態では、奏効率は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、9.5%、10.5%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、25 55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99,若しくは100%、又はその他の列挙されていないパーセンテージ及び1%~100%の間の範囲である。いくつかの実施形態では、奏効率は、0%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%又は90%~100%の間である。いくつかの実施形態では、奏効率は、0%~1.%、1%~1.5%、1.5%~2%、2%~3%、3%~4%、4%~5%、5%~6%、6%~7%、7%~8%、8%~9%、9%~10%、10%~15%、15%~20%、20~25%、25%~30%、35~40%等から95%~100%の間等である。
【0291】
いくつかの実施形態では、ピークCAR T細胞範囲についての四分位は、図及び表のもの、並びに0~15、15~35等、40~100、0~40 40~50 40~60 40~70、40~80、40~90、40~100、40~110、40~120、40~130,40~140、40~150、40~300、40~1000、80~160、50~100、50~110、50~120、50~130、50~140、50~150、50~160、50~170、50~180、50~190、50~200、60~100、60~110、60~120、60~130、60~140、60~150、60~160、60~170、60~180、60~190、60~200、70~100、70~110、70~120、70~130、70~140、70~150、70~160、70~170、70~180、70~190、70~200、80~100、80~110、80~120、80~130、80~140、80~150、80~160、80~170、80~180、80~190、80~200、90~100、90~110、90~120、90~130、90~140、90~150、90~160、90~170、90~180、90~190、90~200、100~110、100~120、100~130、100~140、100~150、100~160、100~170、100~180、100~190、100~200等、50~70、60~80、70~90、80~100、90~110、100~120、110~130、120~150、130~160、140~170、150~180、160~190、170~200、180~210、190~210、200~220、210~230、220~240、又は230~250等、及びその間の任意の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、CCL2及びCXCL10の範囲の四分位数は、図及び表のもの、並びに0~100、100~200、200~300、400~500 500~600、600~700等、又は0~50、50~100、100、150、200、300、400、500、549、549~600、600~650、650~700、700~750、750~800、800~850、850~900、900~950、950~1000、1000~1100、1100~1200、1200~1300、1300~1400、1400~1500、1500~1600、1600~1700、1700~1800、1800~1900、1900~2000、2000~2200、2200~2300、2300~2400、2400~2600、2600~2800、2800~3000等の間の任意の他の列挙されていない範囲、又はその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、腫瘍負荷の四分位数は、図及び表のもの、並びに0~500、500~1000、1000~1500等、1000~2000、2000~3000、3000~4000、4000~5000、5000~6000、6000~7000等、8000~10000、10000~20000等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、フェリチン範囲の四分位は、図及び表のもの、並びに0~50、50~100、100、150、200、300、400、500、549、549~600、600~650、650~700、700~750、750~800、800~850、850~900、900~950、950~1000、1000~1100、1100~1200等、100,000~200,000、200,000~500,000、500,000、又は400,000~500,000等、1000000~1500000、1500000~1600000等、2000000~10000000、2000000~15000000等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、IFNγ、注入ナイーブ様T細胞、注入CD8 T細胞、注入CD4 T細胞の範囲の四分位は、図及び表のもの、<0.1、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.91~1.0、1.0~1.1等、99.9~100、1~5、5~10、10~15、15~20、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~125、125~150、150~175、又は175~200、10~30、30~50、50~70、70~90等、30~31、31~32、32~33、33~34、34~35、35~36、36~37、37~38、38~39、39~40、40~41、41~42、42~43、43~44、44~45、45~46、46~47、47~48、48~49、49~50、50~51、51~52、52~53、53~54、54~55、55~56、56~57、57~58、58~59、59~60等の単位等、及びこれらの間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、ピークCAR T細胞/腫瘍負荷、ピークCAR T細胞/体重、注入されたナイーブ様T細胞/腫瘍負荷、注入されたCD 8 T細胞/腫瘍負荷、注入されたCD 4 T細胞/腫瘍負荷、及び注入されたCD 3 T細胞/腫瘍負荷についての四分位数は、図及び表のもの、並びに0.001~0.005、0.005~0.010、0.010~0.020、0.020~0.030、0.030~0.040、0.040~0.050、0.05~0.06、0.06~0.07、0.07~0.08、0.08~0.09、0.09~0.10、0.1~0.11、0.11~0.12、0.12~0.13、0.13~0.14、0.14~0.15、0.15~0.16、0.16~0.17、0.17~0.18、0.18~0.19、0.19~0.20、0.5~2.5、0.05~0.1、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1.0、1~2、2~3、3~4、4~5等、及びその間の任意の列挙されていない範囲等であり、中央値は、0.001、0.0015、0.002、0.0025、0.003、0.0035、0.004、0.0045、0.005、0.0055、0.006、0.0065、0.007、0.0075、0.008、0.0085、0.009、0.0095、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.055、0.06、0.065、0.07、0.075、0.08、0.085、0.09、0.095、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10単位、及びその間の任意の他の値である。いくつかの実施形態では、LDH及び注入CD3 T細胞の範囲の四分位は、図及び表のもの、並びに0~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450又は450~500等、及び最大1000、150~250、250~350、350~450、450~550等、1~500、1~1000、25~100、25~200、25~300、25~400、25~500、25~1000、100~150、100~200、100~300、100~400、100~500、100~1000等、100~5000、100~4900、100~4800、100~4700、100~4600、100~4500、100~4400、100~4300、100~4200、100~4100、100~4000、100~3900、100~3800、100~3700、100~3600、100~3500、100~3400、100~3300、100~3200、100~3100、100~3000、100~2900、100~2800、100~2700、100~2600、100~2500、100~2400、100~2300、100~2200、100~2100、100~2000、100~1900、100~1800、100~1700、100~1600、100~1500、100~1400、100~1300、100~1200、100~1100、100~1000、100~900、100~800、100~700、100~600、100~500、100~400、100~300、100~200、500~10,000、500~7500、500~5000、500~4900、500~4800、500~4700、500~4600、500~4500、500~4400、500~4300、500~4200、500~4100、500~4000、500~3900、500~3800、500~3700、500~3600、500~3500、500~3400、500~3300、500~3200、500~3100、500~3000、500~2900、500~2800、500~2700、500~2600、500~2500、500~2400、500~2300、500~2200、500~2100、500~2000、500~1900、500~1800、500~1700、500~1600、500~1500、500~1400、500~1300、500~1200、500~1100、500~1000、500~900、500~800、500~700、又は500~600等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、IL~6範囲の四分位は、図及び表のもの、並びに0~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10等、3~4,3~5、3~6、3~7、3~8、3~9等、6~1,6~2,6~3,6~4、6~6、6~6、6~7等、6.7~10、6.7~20、6.7~30、6.7~80、6.7~90、6.7~100、6.7~110、6.77~120、6.7~130等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、注入されたCD3 T細胞の範囲の四分位は、図及び表のもの、並びに0~100、100~200、200~300、300~400、400~500、500~600、600~700等、100~240、100~150、100~260等、300~400、300~500、300~600、300~700、300~800,等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、倍加時間の四分位数は、図及び表のもの、並びに<2、<2.1、<2.2、<2.3、<2.4、<2.5等、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9を超えて2未満等、及びその間の任意の他の範囲である。いくつかの実施形態では、
共培養範囲のIFNγの四分位数は、200~300、300~400、400~500、500~600等、300~500、300~1000、300~1500、300~2000、300~2500、300~3000、300~3500、300~3600等、2000~3000、3000~4000、4000~5000、4000~6000等、6000~7000、6000~8000、6000~9000等、8000~15000、8000~16000、8000~17000、8000~18000等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、これらの範囲のいずれも、約又はほぼという用語によって修飾することができる。
【0292】
臨床的利益は、1年間の追跡期間中央値での継続奏効として定義される客観的奏効又は持続的臨床奏効であってもよい。いくつかの実施形態では、奏効、血中のCAR T細胞のレベル又は免疫関連因子は、操作されたCAR T細胞の投与の約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後又は約7日後における追跡調査によって決定される。いくつかの実施形態では、奏効、血中のCAR T細胞のレベル又は免疫関連因子が、操作されたCAR T細胞の投与の約1週間後、約2週間後、約3週間後又は約4週間後における追跡調査によって決定される。いくつかの実施形態では、奏効、血液及び/又は免疫関連因子中のCAR T細胞のレベルは、操作されたCAR T細胞の投与後約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、又は約24ヶ月での追跡調査によって決定される。いくつかの実施形態では、奏効、血液及び/又は免疫関連因子中のCAR T細胞のレベルは、操作されたCAR T細胞の投与後約1年、約1.5年、約2年、約2.5年、約3年、約4年、又は約5年での追跡調査によって決定される。
奏効及び有効性の測定
【0293】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象に臨床的利益を提供し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%の患者が臨床的利益を達成する。いくつかの実施形態では、患者の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、0%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%及びその間の任意の列挙されていない%が臨床的利益を達成する。いくつかの実施形態では、奏効率は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、9.5%、10.5%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、25 55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、若しくは100%、又はその他の列挙されていないパーセンテージ及び1%~100%の間の範囲である。いくつかの実施形態では、奏効率は、0%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%又は90%~100%の間である。いくつかの実施形態では、奏効率は、0%~1.%、1%~1.5%、1.5%~2%、2%~3%、3%~4%、4%~5%、5%~6%、6%~7%、7%~8%、8%~9%、9%~10%、10%~15%、15%~20%、20~25%、25%~30%、35~40%等から95%~100%の間等である。
【0294】
いくつかの実施形態では、ピークCAR T細胞範囲についての四分位は、図及び表のもの、並びに0~15、15~35等、40~100、0~40 40~50 40~60 40~70、40~80、40~90、40~100、40~110、40~120、40~130,40~140、40~150、40~300、40~1000、80~160、50~100、50~110、50~120、50~130、50~140、50~150、50~160、50~170、50~180、50~190、50~200、60~100、60~110、60~120、60~130、60~140、60~150、60~160、60~170、60~180、60~190、60~200、70~100、70~110、70~120、70~130、70~140、70~150、70~160、70~170、70~180、70~190、70~200、80~100、80~110、80~120、80~130、80~140、80~150、80~160、80~170、80~180、80~190、80~200、90~100、90~110、90~120、90~130、90~140、90~150、90~160、90~170、90~180、90~190、90~200、100~110、100~120、100~130、100~140、100~150、100~160、100~170、100~180、100~190、100~200等、50~70、60~80、70~90、80~100、90~110、100~120、110~130、120~150、130~160、140~170、150~180、160~190、170~200、180~210、190~210、200~220、210~230、220~240、又は230~250等、及びその間の任意の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、CCL2及びCXCL10の範囲の四分位数は、図及び表のもの、並びに0~100、100~200、200~300、400~500 500~600、600~700等、又は0~50、50~100、100、150、200、300、400、500、549、549~600、600~650、650~700、700~750、750~800、800~850、850~900、900~950、950~1000、1000~1100、1100~1200、1200~1300、1300~1400、1400~1500、1500~1600、1600~1700、1700~1800、1800~1900、1900~2000、2000~2200、2200~2300、2300~2400、2400~2600、2600~2800、2800~3000等の間の任意の他の列挙されていない範囲、又はその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、腫瘍負荷の四分位数は、図及び表のもの、並びに0~500、500~1000、1000~1500等、1000~2000、2000~3000、3000~4000、4000~5000、5000~6000、6000~7000等、8000~10000、10000~20000等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、フェリチン範囲の四分位は、図及び表のもの、並びに0~50、50~100、100、150、200、300、400、500、549、549~600、600~650、650~700、700~750、750~800、800~850、850~900、900~950、950~1000、1000~1100、1100~1200等、100,000~200,000、200,000~500,000、500,000、又は400,000~500,000等、1000000~1500000、1500000~1600000等、2000000~10000000、2000000~15000000等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、IFNγ、注入ナイーブ様T細胞、注入CD8 T細胞、注入CD4 T細胞の範囲の四分位は、図及び表のもの、<0.1、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.91~1.0、1.0~1.1等、99.9~100、1~5、5~10、10~15、15~20、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~125、125~150、150~175、又は175~200、10~30、30~50、50~70、70~90等、30~31、31~32、32~33、33~34、34~35、35~36、36~37、37~38、38~39、39~40、40~41、41~42、42~43、43~44、44~45、45~46、46~47、47~48、48~49、49~50、50~51、51~52、52~53、53~54、54~55、55~56、56~57、57~58、58~59、59~60等の単位等、及びこれらの間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、ピークCAR T細胞/腫瘍負荷、ピークCAR T細胞/体重、注入されたナイーブ様T細胞/腫瘍負荷、注入されたCD 8 T細胞/腫瘍負荷、注入されたCD 4 T細胞/腫瘍負荷、及び注入されたCD 3 T細胞/腫瘍負荷についての四分位数は、図及び表のもの、並びに0.001~0.005、0.005~0.010、0.010~0.020、0.020~0.030、0.030~0.040、0.040~0.050、0.05~0.06、0.06~0.07、0.07~0.08、0.08~0.09、0.09~0.10、0.1~0.11、0.11~0.12、0.12~0.13、0.13~0.14、0.14~0.15、0.15~0.16、0.16~0.17、0.17~0.18、0.18~0.19、0.19~0.20、0.5~2.5、0.05~0.1、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~1.0、1~2、2~3、3~4、4~5等、及びその間の任意の列挙されていない範囲等であり、中央値は、0.001、0.0015、0.002、0.0025、0.003、0.0035、0.004、0.0045、0.005、0.0055、0.006、0.0065、0.007、0.0075、0.008、0.0085、0.009、0.0095、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.055、0.06、0.065、0.07、0.075、0.08、0.085、0.09、0.095、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10単位、及びその間の任意の他の値である。いくつかの実施形態では、LDH及び注入CD3 T細胞の範囲の四分位は、図及び表のもの、並びに0~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450又は450~500等、及び最大1000、150~250、250~350、350~450、450~550等、1~500、1~1000、25~100、25~200、25~300、25~400、25~500、25~1000、100~150、100~200、100~300、100~400、100~500、100~1000等、100~5000、100~4900、100~4800、100~4700、100~4600、100~4500、100~4400、100~4300、100~4200、100~4100、100~4000、100~3900、100~3800、100~3700、100~3600、100~3500、100~3400、100~3300、100~3200、100~3100、100~3000、100~2900、100~2800、100~2700、100~2600、100~2500、100~2400、100~2300、100~2200、100~2100、100~2000、100~1900、100~1800、100~1700、100~1600、100~1500、100~1400、100~1300、100~1200、100~1100、100~1000、100~900、100~800、100~700、100~600、100~500、100~400、100~300、100~200、500~10,000、500~7500、500~5000、500~4900、500~4800、500~4700、500~4600、500~4500、500~4400、500~4300、500~4200、500~4100、500~4000、500~3900、500~3800、500~3700、500~3600、500~3500、500~3400、500~3300、500~3200、500~3100、500~3000、500~2900、500~2800、500~2700、500~2600、500~2500、500~2400、500~2300、500~2200、500~2100、500~2000、500~1900、500~1800、500~1700、500~1600、500~1500、500~1400、500~1300、500~1200、500~1100、500~1000、500~900、500~800、500~700、又は500~600等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、IL~6範囲の四分位は、図及び表のもの、並びに0~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10等、3~4,3~5、3~6、3~7、3~8、3~9等、6~1,6~2,6~3,6~4、6~6、6~6、6~7等、6.7~10、6.7~20、6.7~30、6.7~80、6.7~90、6.7~100、6.7~110、6.77~120、6.7~130等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、注入されたCD3 T細胞の範囲の四分位は、図及び表のもの、並びに0~100、100~200、200~300、300~400、400~500、500~600、600~700等、100~240、100~150、100~260等、300~400、300~500、300~600、300~700、300~800,等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、倍加時間の四分位数は、図及び表のもの、並びに<2、<2、<2.1、<2.2、<2.3、<2.4、<2.5等、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9を超えて2未満等、及びその間の任意の他の範囲である。いくつかの実施形態では、
共培養範囲のIFNγの四分位数は、200~300、300~400、400~500、500~600等、300~500、300~1000、300~1500、300~2000、300~2500、300~3000、300~3500、300~3600等、2000~3000、3000~4000、4000~5000、4000~6000等、6000~7000、6000~8000、6000~9000等、8000~15000、8000~16000、8000~17000、8000~18000等、及びその間の任意の他の列挙されていない範囲である。いくつかの実施形態では、これらの範囲のいずれも、約又はほぼという用語によって修飾することができる。
【0295】
臨床的利益は、1年間の追跡期間中央値での継続奏効として定義される客観的奏効又は持続的臨床奏効であってもよい。いくつかの実施形態では、奏効、血中のCAR T細胞のレベル又は免疫関連因子は、操作されたCAR T細胞の投与の約1日後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後又は約7日後における追跡調査によって決定される。いくつかの実施形態では、奏効、血中のCAR T細胞のレベル又は免疫関連因子が、操作されたCAR T細胞の投与の約1週間後、約2週間後、約3週間後又は約4週間後における追跡調査によって決定される。いくつかの実施形態では、奏効、血液及び/又は免疫関連因子中のCAR T細胞のレベルは、操作されたCAR T細胞の投与後約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、又は約24ヶ月での追跡調査によって決定される。いくつかの実施形態では、奏効、血液及び/又は免疫関連因子中のCAR T細胞のレベルは、操作されたCAR T細胞の投与後約1年、約1.5年、約2年、約2.5年、約3年、約4年、又は約5年での追跡調査によって決定される。
キメラ抗原受容体
【0296】
キメラ抗原受容体(CAR)は、遺伝子操作された受容体である。これらの操作された受容体は、当技術分野で公知の技術に従って、T細胞及び他のリンパ球を含む免疫細胞に挿入され、免疫細胞によって発現され得る。CARでは、単一の受容体は、特定の抗原を認識し、かつ、その抗原に結合した場合に、免疫細胞を活性化して、その抗原を有する細胞を攻撃し破壊するようにプログラムされ得る。これらの抗原が腫瘍細胞上に存在する場合、CARを発現する免疫細胞は、腫瘍細胞を標的化して死滅させ得る。キメラ抗原受容体は、それらの効力を高めるために共刺激(シグナル伝達)ドメインを組み込んでもよい。米国特許第7,741,465号、及び同第6,319,494号、並びにKrause et al.and Finney et al.(supra),Song et al.,Blood 119:696-706(2012);Kalos et al.,Sci.Transl.Med.3:95(2011)、Porter et al.,N.Engl.J.Med.365:725-33(2011),and Gross et al.,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.56:59-83(2016)を参照されたい。
【0297】
いくつかの実施形態では、切断型ヒンジドメイン(「THD」)を含む共刺激ドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、IgM又はそのフラグメント等の免疫グロブリンファミリーのメンバーの一部又は全部を更に含む。
【0298】
いくつかの実施形態では、THDは、ヒト完全ヒンジドメイン(「CHD」)に由来する。他の実施形態では、THDは、共刺激タンパク質のげっ歯類、マウス、又は霊長類(例えば、非ヒト霊長類)CHDに由来する。いくつかの実施形態では、THDは、共刺激タンパク質のキメラCHDに由来する。
【0299】
本開示のCARのための共刺激ドメインは、膜貫通ドメイン及び/又は細胞内シグナル伝達ドメインを更に含み得る。膜貫通ドメインは、CARの細胞外ドメインに融合され得る。共刺激ドメインは、CARの細胞内ドメインに同様に融合され得る。いくつかの実施形態では、CARにおけるドメインの1つと天然に会合している膜貫通ドメインが使用される。いくつかの例では、膜貫通ドメインは、同じ又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、アミノ酸置換によって選択又は修飾される。膜貫通ドメインは、天然又は合成のいずれかの供給源に由来し得る。供給源が天然である場合、ドメインは、任意の膜結合タンパク質又は膜貫通タンパク質に由来し得る。本開示において特に有用な膜貫通領域は、4-1BB/CD137、活性化NK細胞受容体、免疫グロブリンタンパク質、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD100(SEMA4D)、CD103、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD247、CD27、CD276(B7-H3)、CD28、CD29、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD3ゼータ、CD30、CD4、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD69、CD7、CD84、CD8、CD8アルファ、CD8ベータ、CD96(Tactile)、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CDS、CEACAM1、CRT AM、サイトカイン受容体、DAP-10、DNAM1(CD226)、Fcガンマ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、Igアルファ(CD79a)、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、インテグリン、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGBl、KIRDS2、LAT、LFA-1、CD83に特異的に結合するリガンド、LIGHT、LTBR、Ly9(CD229))、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1、CD11a/CD18)、MHCクラス1分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX-40、PAG/Cbp、プログラム死-1(PD-1)、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、SLAM(SLAMF1;CD150;IPO-3)、SLAMF4(CD244;2B4)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAMF7、SLP-76、TNF受容体タンパク質、TNFR2、TNFSF14、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、若しくはVLA-6、又はそれらのフラグメント、切断、若しくは組み合わせに由来し得る(すなわち、これらを含み得る)。
【0300】
任意選択的に、短いリンカーが、CARの細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインのいずれか又はいくつかの間に連結を形成し得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-セリン(配列番号2)(G4S)n又はGSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号1)のリピートに由来し得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、3~20個のアミノ酸、及びGSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号1)と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0301】
本明細書に記載されるリンカーはまた、ペプチドタグとして使用され得る。リンカーペプチド配列は、1つ以上の目的のタンパク質を接続するための任意の適切な長さであってもよく、好ましくは、それが接続するペプチドの一方又は両方の適切な折り畳み及び/又は機能及び/又は活性を可能にするために十分に柔軟であるように設計される。したがって、リンカーペプチドは、10個以下、11個以下、12個以下、13個以下、14個以下、15個以下、16個以下、17個以下、18個以下、19個以下又は20個以下のアミノ酸の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20個のアミノ酸の長さを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも7個かつ20個以下のアミノ酸、少なくとも7個かつ19個以下のアミノ酸、少なくとも7個かつ18個以下のアミノ酸、少なくとも7個かつ17個以下のアミノ酸、少なくとも7個かつ16個以下のアミノ酸、少なくとも7個かつ15個以下のアミノ酸、少なくとも7個かつ14個以下のアミノ酸、少なくとも7個かつ13個以下のアミノ酸、少なくとも7個かつ12個以下のアミノ酸、又は少なくとも7個かつ11個以下のアミノ酸を含む。特定の実施形態では、リンカーは、15~17個のアミノ酸を含み、特定の実施形態では、16個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは10~20個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは14~19個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは15~17個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは15~16個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは16個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸を含む。
【0302】
いくつかの実施形態では、スペーサードメインが使用される。いくつかの実施形態では、スペーサードメインは、CD4、CD8a、CD8b、CD28、CD28T、4-1BB、又は本明細書に記載される他の分子に由来する。いくつかの実施形態では、スペーサードメインは、小分子の添加時に発現を制御するための化学的に誘導された二量体化剤を含み得る。いくつかの実施形態では、スペーサーは使用されない。
【0303】
本開示の操作されたT細胞の細胞内(シグナル伝達)ドメインは、次いで免疫細胞の正常なエフェクター機能の少なくとも1つを活性化する活性化ドメインへのシグナル伝達を提供し得る。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性又はサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。
【0304】
特定の実施形態では、好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、限定されるものではないが、4-1BB/CD137、活性化NK細胞受容体、免疫グロブリンタンパク質、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD100(SEMA4D)、CD103、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD247、CD27、CD276(B7-H3)、CD28、CD29、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD30、CD4、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD69、CD7、CD84、CD8、CD8アルファ、CD8ベータ、CD96(Tactile)、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CDS、CEACAM1、CRT AM、サイトカイン受容体、DAP-10、DNAM1(CD226)、Fcガンマ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、Igアルファ(CD79a)、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、インテグリン、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGBl、KIRDS2、LAT、CD83に特異的に結合するリガンド、LIGHT、LTBR、Ly9(CD229)、Lyl08)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1、CD11a/CD18)、MHCクラス1分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX-40、PAG/Cbp、プログラム死-1(PD-1)、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、SLAM(SLAMF1;CD150;IPO-3)、SLAMF4(CD244;2B4)、SLAMF6(NTB-A、SLAMF7、SLP-76、TNF受容体タンパク質、TNFR2、TNFSF14、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、若しくはVLA-6、又は断片、切断、若しくはそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインが挙げられる(すなわち、これらを含む)。
抗原結合分子
【0305】
適切なCARは、その標的抗原と相互作用する抗原結合分子を組み込むことによって、抗原(細胞表面抗原等)に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗原結合分子はその抗体フラグメント、例えば1つ以上の一本鎖抗体フラグメント(「scFv」)である。scFvは、一緒に連結された抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域を有する一本鎖抗体フラグメントである。米国特許第7,741,465号及び第6,319,494号、並びにEshhar et al.,Cancer Immunol Immunotherapy(1997)45:131-136を参照されたい。scFvは、標的抗原と特異的に相互作用する親抗体の能力を保持する。scFvは、他のCAR成分と共に一本鎖の一部として発現されるように操作され得るため、キメラ抗原受容体において有用である。Id.See also Krause et al.,J.Exp.Med.,Volume 188,No.4,1998(619-626);Finney et al.,Journal of Immunology,1998,161:2791-2797.抗原結合分子は、典型的には、目的の抗原を認識して結合することができるようにCARの細胞外部分内に含まれることが理解されよう。二重特異性CAR及び多重特異性CARが本開示の範囲内で意図され、2つ以上の目的の標的に対する特異性を有する。
【0306】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、(切断型)ヒンジドメインと、標的抗原に特異的に結合する抗原結合分子とを含むCARをコードする。いくつかの実施形態では、標的抗原は腫瘍抗原である。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍関連表面抗原、例えば5T4、アルファフェトプロテイン(AFP)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、BCMA、B-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CA-125、癌胎児性抗原(CEA)、CD123、CD133、CD138、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD34、CD4、CD40、CD44、CD56、CD8、CLL-1、c-Met、CMV特異的抗原、CS-1、CSPG4、CTLA-4、DLL3、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、EBV特異的抗原、EGFR変異体III(EGFRvIII)、ELF2M、エンドグリン、エフリンB2、上皮増殖因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮腫瘍抗原、ErbB2(HER2/neu)、線維芽細胞関連タンパク質(fap)、FLT3、葉酸結合タンパク質、GD2、GD3、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、HBV特異的抗原、HCV特異的抗原、HER1-HER2、HER2-HER3の組み合わせ、HERV-K、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HPV特異的抗原、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、IGFI受容体、IGF-II、IL-11Rα、IL-13R-a2、インフルエンザウイルス特異的抗原;CD38、インスリン増殖因子(IGFl)-l、腸管カルボキシルエステラーゼ、カッパ鎖、LAGA-la、ラムダ鎖、ラッサウイルス特異的抗原、レクチン反応性AFP、系統特異的抗原又は組織特異的抗原、例えばCD3、MAGE、MAGE-A1、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、M-CSF、メラノーマ関連抗原、メソテリン、MN-CA IX、MUC-1、mut hsp70-2、変異型p53、変異型ras、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY-ESO-1、p53、PAP、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺癌腫腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺特異的抗原タンパク質、STEAP1、STEAP2、PSMA、RAGE-1、ROR1、RU1、RU2(AS)、表面接着分子、サバイビン及びテロメラーゼ、TAG-72、フィブロネクチンの余分なドメインA(EDA)及び余分なドメインB(EDB)並びにテネイシン-CのAlドメイン(TnC Al)、サイログロブリン、腫瘍間質抗原、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR2)、HIV特異的抗原等のウイルス特異的表面抗原(HIV gpl20等)、並びにこれらの表面抗原の任意の誘導体又は変異体から選択される腫瘍抗原を標的とする。
操作されたT細胞及び使用
【0307】
本開示の細胞は、対象から得られたT細胞を介して得ることができる。T細胞は、例えば、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、腫瘍、又はインビトロで分化させたものから得ることができる。更に、T細胞は、当技術分野で利用可能な1つ以上のT細胞株に由来し得る。T細胞はまた、FICOLL(商標)分離及び/又はアフェレーシスなどの当業者に公知の様々な技術を使用して、対象から採取された血液単位から得ることができる。いくつかの実施形態では、アフェレーシスによって回収された細胞を洗浄して血漿画分を除去し、その後の処理のために適切な緩衝液又は培地に入れる。いくつかの実施形態では、細胞は、PBSで洗浄される。理解されるように、洗浄ステップは、例えば、半自動化フロースルー遠心分離機、例えば、Cobe(商標)2991細胞プロセッサ、Baxter CytoMate(商標)等を用いて行ってもよい。いくつかの実施形態では、洗浄した細胞を、1つ以上の生体適合性緩衝液、又は緩衝液を含むか若しくは含まない他の生理食塩水に再懸濁する。いくつかの実施形態では、アフェレーシスの試料の望ましくない成分が除去される。T細胞療法のためにT細胞を単離する更なる方法は、米国特許出願公開第2013/0287748号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0308】
いくつかの実施形態では、T細胞は、例えばPERCOLL(商標)グラジエントによる遠心分離を使用して、赤血球を溶解し、単球を枯渇させることによってPBMCから単離される。いくつかの実施形態では、CD4+、CD8+、CD28+、CD45RA+、及びCD45RO+T細胞などのT細胞の特異的亜集団は、当技術分野で公知の正又は負の選択技術によって更に単離される。例えば、負の選択によるT細胞集団の濃縮は、負に選択された細胞に固有の表面マーカーに対する抗体の組み合わせを用いて達成することができる。いくつかの実施形態では、負に選択された細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用する、負の磁気免疫接着又はフローサイトメトリーによって細胞選別及び/又は選択を行ってもよい。例えば、負の選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD8、CD11b、CD14、CD16、CD20、及びHLA-DRに対する抗体を含む。いくつかの実施形態では、フローサイトメトリー及び細胞選別を行って、本開示で使用するための目的の細胞集団を単離する。
【0309】
いくつかの実施形態では、PBMCは、本明細書に記載の方法を使用する免疫細胞(CARなど)の遺伝子改変に直接使用される。いくつかの実施形態では、PBMCを単離した後、Tリンパ球を更に単離し、細胞傷害性Tリンパ球とヘルパーTリンパ球の両方を、遺伝子改変及び/又は増殖の前又は後に、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、及びエフェクターT細胞の亜集団に選別する。
【0310】
いくつかの実施形態では、CD8+細胞は、CD8+細胞のこれらのタイプのそれぞれに関連する細胞表面抗原を識別することによって、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、及びエフェクター細胞に更に選別される。いくつかの実施形態では、セントラルメモリーT細胞の表現型マーカーの発現は、CCR7、CD3、CD28、CD45RO、CD62L、及びCD127の発現を含み、グランザイムBについて陰性である。いくつかの実施形態では、セントラルメモリーT細胞は、CD8+、CD45RO+、及びCD62L+T細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクターT細胞は、CCR7、CD28、CD62L、及びCD127について陰性であり、グランザイムB及びパーフォリンについて陽性である。いくつかの実施形態では、CD4+T細胞は、亜集団に更に分類される。例えば、CD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を識別することによって、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、及びエフェクター細胞に選別され得る。
【0311】
いくつかの実施形態では、免疫細胞、例えば、T細胞は、公知の方法を使用して単離後に遺伝子改変され、又は免疫細胞は、遺伝子改変される前にインビトロで活性化及び増殖される(又は前駆細胞の場合は分化される)。別の実施形態では、免疫細胞、例えば、T細胞は、本明細書に記載のキメラ抗原受容体(例えば、CARをコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含むウイルスベクターで形質導入される)で遺伝子改変され、次いで、インビトロで活性化され、かつ/又は増殖される。T細胞を活性化及び拡大させるための方法は当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第6,905,874号、同第6,867,041号、及び同第6,797,514号、並びに国際公開第2012/079000号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。全般的に、かかる方法は、IL-2などの適切なサイトカインを含む培養培地中で、PBMC又は単離T細胞を、概して、ビーズその他の表面に結合した刺激剤及び共刺激剤、例えば、抗CD3及び抗CD28抗体と接触させること、を含む。同じビーズに結合した抗CD3抗体及び抗CD28抗体は、「代理」抗原提示細胞(APC)として機能する。一例は、ヒトT細胞の生理学的活性化のためのCD3/CD28活性化因子/刺激因子系であるDynabeads(登録商標)系である。他の実施形態では、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,040,177号及び同第5,827,642号並びに国際公開第2012/129514号に記載されている方法を使用して、T細胞を活性化及び刺激して、フィーダー細胞並びに適切な抗体及びサイトカインと共に増殖させる。
【0312】
いくつかの実施形態では、T細胞は、ドナー対象から得られる。いくつかの実施形態では、ドナー対象は、がん又は腫瘍に罹患しているヒト患者である。いくつかの実施形態では、ドナー対象は、がん又は腫瘍に罹患していないヒト患者である。
【0313】
いくつかの実施形態では、操作されたT細胞を含む組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、可溶化剤、乳化剤、保存剤、及び/又はアジュバントを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、賦形剤を含む。
【0314】
いくつかの実施形態では、組成物は、非経口送達、吸入、又は経口などの消化管を介した送達のために選択される。そのような薬学的に許容され得る組成物の調製は、当業者の能力の範囲内である。いくつかの実施形態では、緩衝液を使用して、組成物を生理学的pH又はわずかに低いpH、典型的には、約5~約8のpH範囲内に維持する。いくつかの実施形態では、非経口投与が企図される場合、組成物は、薬学的に許容されるビヒクル中に、追加の治療薬の有無にかかわらず、本明細書に記載の組成物を含むパイロジェンフリーの非経口的に許容される水溶液の形態である。いくつかの実施形態では、非経口注射用ビヒクルは、本明細書に記載の組成物が、少なくとも1つの追加の治療薬の有無にかかわらず、適切に保存された滅菌等張液として製剤化される滅菌蒸留水である。いくつかの実施形態では、調製は、生成物の制御された又は持続的な放出を可能にするポリマー化合物(ポリ乳酸又はポリグリコール酸など)であるビーズ又はリポソームを用いて所望の分子を製剤化することを含み、これらはその後、デポ注射によって送達される。いくつかの実施形態では、埋め込み型薬物送達デバイスを使用して所望の分子を導入する。
【0315】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象においてがんを治療する方法は、T細胞療法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるT細胞療法は、操作された自己細胞療法(eACT(商標))である。この実施形態によれば、本方法は、患者から血液細胞を採取すること、を含み得る。次いで、単離された血液細胞(例えば、T細胞)を、本明細書に開示されるCARを発現するように操作することができる。特定の実施形態では、CAR T細胞を患者に投与する。いくつかの実施形態では、CAR T細胞は、患者において腫瘍又はがんを治療する。いくつかの実施形態では、CAR T細胞は腫瘍又はがんのサイズを縮小させる。
【0316】
いくつかの実施形態では、T細胞療法に使用するためのドナーT細胞は、患者から得られる(例えば、自己T細胞療法のために)。他の実施形態では、T細胞療法に使用するためのドナーT細胞は、患者ではない対象から得られる。ある特定の実施形態では、T細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、操作された自己T細胞(eACT(商標))、同種T細胞、異種T細胞、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0317】
いくつかの実施形態では、操作されたT細胞は治療有効量で投与される。例えば、操作されたT細胞の治療有効量は、少なくとも約104細胞、少なくとも約105細胞、少なくとも約106細胞、少なくとも約107細胞、少なくとも約108細胞、少なくとも約109、又は少なくとも約1010であり得る。別の実施形態では、T細胞の治療有効量は、約104細胞、約105細胞、約106細胞、約107細胞、又は約108細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞の治療有効量は、約2×106細胞/kg、約3×106細胞/kg、約4×106細胞/kg、約5×106細胞/kg、約6×106細胞/kg、約7×106細胞/kg、約8×106細胞/kg、約9×106細胞/kg、約1×107細胞/kg、約2×107細胞/kg、約3×107細胞/kg、約4×107細胞/kg、約5×107細胞/kg、約6×107細胞/kg、約7×107細胞/kg、約8×107細胞/kg、又は9×107細胞/kgである。
【0318】
いくつかの実施形態では、操作された生存T細胞の治療有効量は、体重1kg当たり約1×106~約2×106操作された生存T細胞であり、最大用量は、約1×108操作された生存T細胞である。
治療方法
【0319】
本明細書中に開示される方法は、対象におけるがんを治療するために、腫瘍のサイズを減少させるために、腫瘍細胞を死滅させるために、腫瘍細胞の増殖を防止するために、腫瘍の成長を防止するために、患者から腫瘍を排除するために、腫瘍の再発を防止するために、腫瘍の転移を防止するために、患者において寛解を誘導するために、又はそれらの任意の組み合わせのために使用され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、完全奏効を誘導する。他の実施形態では、本方法は、部分奏効を誘導する。
【0320】
治療され得るがんには、血管新生していない腫瘍、まだ実質的に血管新生していない腫瘍、又は血管新生している腫瘍が含まれる。がんはまた、固形又は非固形腫瘍を含み得る。いくつかの実施形態では、がんは、血液がんである。いくつかの実施形態では、がんは、白血球のがんである。他の実施形態では、がんは、形質細胞のがんである。いくつかの実施形態では、がんは、白血病、リンパ腫、又は骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(非T細胞ALLを含む)、急性リンパ性白血病(ALL)及び血球貪食性リンパ組織球症(HLH))、B細胞前リンパ球性白血病、B細胞急性リンパ性白血病(「BALL」)、芽球形質細胞様樹状細胞新生物、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性又は急性肉芽腫性疾患、慢性又は急性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ヘアリー細胞白血病、血球貪食症候群(マクロファージ活性化症候群(MAS)、ホジキン病、大細胞肉芽腫、白血球接着不全、悪性リンパ増殖状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁リンパ腫、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病を含むがこれに限定されない骨髄性疾患(AML)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、形質細胞増殖性疾患(例えば、無症候性骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫又は無痛性骨髄腫)、形質芽細胞リンパ腫、形質細胞様樹状細胞新生物、形質細胞腫(例えば、形質細胞異常増殖症、孤立性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、髄外形質細胞腫、及び多発性骨髄腫)、POEMS症候群(Crow-Fukase症候群、高月病、PEP症候群)、原発性縦隔大B細胞リンパ腫(PMBC)、小細胞又は大細胞濾胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫(SMZL)、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス、T細胞急性リンパ性白血病(「TALL」)、T細胞リンパ腫、形質転換型濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、又はそれらの組み合わせである。
【0321】
いくつかの実施形態では、がんは、骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病である。
【0322】
いくつかの実施形態では、がんは非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、再発性/難治性NHLである。いくつかの実施形態では、がんはマントル細胞リンパ腫である。
【0323】
いくつかの実施形態では、本方法は、化学療法剤を投与すること、を更に含む。いくつかの実施形態では、選択される化学療法剤は、リンパ球枯渇(プレコンディショニング)化学療法剤である。有益なプレコンディショニング治療レジメンは、相関する有益なバイオマーカーと共に、米国仮特許出願第62/262,143号及び同第62/167,750号、並びに米国特許第9,855,298及び同第10,322,146号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらは、例えば、T細胞療法を必要とする患者を前処置する方法であって、指定された有益な用量のシクロホスファミド(200mg/m2/日~2000mg/m2/日)及び指定された用量のフルダラビン(20mg/m2/日~900mg/m2/日)を患者に投与すること、を含む、方法を記載する。そのような用量レジメンの1つは、患者に治療有効量の操作されたT細胞を投与する前に、患者に約500mg/m2/日のシクロホスファミド、及び約60mg/m2/日のフルダラビンを3日間毎日投与することからなる患者を治療することを含む。別の実施形態は、T細胞投与前の-4、-3及び-2日前の血清シクロホスファミド及びフルダラビンを、その期間中に、1日当たり500mg/m2体表面積の用量のシクロホスファミド及び1日当たり30mg/m2体表面積の用量のフルダラビンを含む。別の実施形態は、T細胞投与前の-2日目のシクロホスファミドと、-4、-3及び-2日目のフルダラビンとを、その期間中に、1日当たり900mg/m2体表面積の用量のシクロホスファミド及び25mg/m2体表面積の用量のフルダラビンを含む。別の実施形態では、前処置は、T細胞投与前の-5、-4及び-3日前のシクロホスファミド及びフルダラビンを、その期間中に、1日当たり500mg/m2体表面積の用量のシクロホスファミド及び1日当たり30mg/m2体表面積の用量のフルダラビンを含む。
【0324】
いくつかの実施形態では、抗原結合分子、形質導入(又は他の方法で操作された)細胞(CAR等)、及び化学療法剤は、対象の疾患又は状態を治療するのに有効な量でそれぞれ投与される。
【0325】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるCAR発現免疫エフェクター細胞を含む組成物は、様々な化学療法剤と併せて投与することができる。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標));アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メトレドパ、及びウレドパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミンを含む、エチレンイミン及びメチルアメラミン;ナイトロジェンマスタード類、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロフォスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトレビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナリン、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン、ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;ポリサッカライドK(PSK);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(商標)、Bristol-Myers Squibb)及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼロダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオミチン(DMFO);Targretin(商標)(ベキサロテン)、Panretin(商標)(アリトレチノイン)等のレチノイン酸誘導体;ONTAK(商標)(デニロイキンジフチトクス);エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるCAR発現免疫エフェクター細胞を含む組成物は、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びトレミフェン(フェアストン)等の抗エストロゲン;及び、抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びに、上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体と併せて投与し得る。限定するものではないが、CHOP、すなわちシクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、ドキソルビシン(ヒドロキシドキソルビシン)、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))及びプレドニゾン、R-CHOP(CHOP+リツキシマブ)及びG-CHOP(CHOP+オビヌツズマブ)を含む化学療法剤の組み合わせもまた適宜投与される。
【0326】
いくつかの実施形態では、化学療法剤は、操作された細胞の投与と同時に、又は投与後1週間以内に投与される。他の実施形態では、化学療法剤は、操作された細胞又は核酸の投与後、1~4週間、又は1週間~1ヶ月、1週間~2ヶ月間、1週間~3ヶ月間、1週間~6ヶ月間、1週間~9ヶ月間、又は1週間~12ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、細胞又は核酸を投与する少なくとも1ヶ月前に投与される。いくつかの実施形態では、本方法は、2つ以上の化学療法剤を投与すること、を更に含む。
【0327】
様々な追加の治療薬を、本明細書中に記載の組成物又は薬剤/治療と併せて使用することができる。例えば、潜在的に有用な追加の治療薬としては、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))、ピジリズマブ(CureTech)、及びアテゾリズマブ(Roche)等のPD-1阻害剤が挙げられる。
【0328】
本明細書に開示される組成物及び方法と組み合わせて使用するのに適した追加の治療薬としては、抗胸腺細胞グロブリン、レンジルマブ及びマブリリムマブに加えて、イブルチニブ(IMBRUVICA(登録商標))、オファツムマブ(ARZERRA(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、トラスツズマブエムタンシン(KADCYLA(登録商標))、イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、カツマキソマブ、イブリツモマブ、オファツムマブ、トシツモマブ、ブレンツキシマブ、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、ラパチニブ、ネラチニブ、アキシチニブ、マシチニブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、トセラニブ、レスタウルチニブ、アキシチニブ、セジラニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、チボザニブ、トセラニブ、バンデタニブ、エントレクチニブ、カルボザンチニブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、ラドチニブ、ボスチニブ、レスタウルチニブ、ルキソリチニブ、パクリチニブ、コビメチニブ、セルメチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、アレクチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、アフリベルセプト、アディポチド、デニロイキンディフティトックス、エベロリムス及びテムシロリムス等のmTOR阻害剤、ソニデギブ及びビスモデギブ等のヘッジホッグ阻害剤、CDK阻害剤(パルボシクリブ)等のCDK阻害剤、GM-CSF、CSF1、GM-CSFR又はCSF1Rの阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0329】
いくつかの実施形態では、治療はブリッジング療法を更に含み、ブリッジング療法は、前処置と本明細書に開示される組成物との間の療法である。いくつかの実施形態では、架橋療法は、CHOP、G-CHOP、R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾロン)、コルチコステロイド、ベンダムスチン、白金化合物、アントラサイクリン、及び/又はホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、PI3K阻害剤は、デュベリシブ、イデラリシブ、ベネトクラックス、ピチリシブ(GDC-0941)、コパンリシブ、PX-866、ブパルリシブ(BKM120)、ピララリシブ(XL-147)、GNE-317、アルペリシブ(BYL719)、INK1117、GSK2636771、AZD8186、SAR260301、及びタセリシブ(GDC-0032)から選択される。いくつかの実施形態では、AKT阻害剤はペリホシン、MK-2206である。一実施形態では、mTOR阻害剤は、エベロリムス、シロリムス、テムシロリムス、リダフォロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、二重PI3K/mTOR阻害剤は、BEZ235、XL765、及びGDC-0980から選択される。いくつかの実施形態では、PI3K阻害剤は、デュベリシブ、イデラリシブ、ベネトクラックス、ピチリシブ(GDC-0941)、コパンリシブ、PX-866、ブパルリシブ(BKM120)、ピララリシブ(XL-147)、GNE-317、アルペリシブ(BYL719)、INK1117、GSK2636771、AZD8186、SAR260301、及びタセリシブ(GDC-0032)から選択される。
【0330】
いくつかの実施形態では、ブリッジング療法は、アカラブルチニブ、ブレンツキシマブベドチン、コパンリシブ塩酸塩、ネラララビン、ベリノスタット、ベンダムスチン塩酸塩、カルムスチン、硫酸ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ザヌブルチニブ、カルムスチン、クロラムブシル、コパンリシブ塩酸塩、デニルウキンジプチトックス、デキサメタゾン、ドキソルビシン塩酸塩、デュベリシブ、プラトレキセート、オビヌツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、イブルチニブ、イデラリシブ、組換えインターフェロンアルファ-2b、ロミデプシン、レナリドミド、メクロレタミン塩酸塩、メトトレキサート、モガムリズマブ-kpc、プレリキサフォル、ネラララビン、オビヌツズマブ、デニルイプチトックス、ペンブロツズマブ、プレリキサフォル、ポラツズマブベドチン-piiq、モガムリズマブ-kpc、プレドニゾン、リツキシマブ、ヒアルロニダーゼ、ロミデプシン、ボルテゾミブ、ベネトクラックス、硫酸ビンブラスチン、ボリノスタット、ザヌブルチニブ、CHOP、COPP、CVP、EPOCH、R-EPOCH、HYPER-CVAD、ICE、R-ICE、R-CHOP、R-CVP及びこれらの組み合わせを含む。
【0331】
いくつかの実施形態では、操作されたCAR T細胞を含む組成物は抗炎症剤と共に投与される。抗炎症剤又は薬物としては、ステロイド及びグルココルチコイド(ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンを含む)、アスピリンを含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、イブプロフェン、ナプロキセン、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、抗TNF薬、シクロホスファミド、及びミコフェノール酸が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なNSAIDとしては、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、Cox-2阻害剤、及びシアリレートが挙げられる。例示的な鎮痛剤としては、アセトアミノフェン、オキシコドン、プロポルキシフェン塩酸塩のトラマドールが挙げられる。例示的なグルココルチコイドとしては、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン又はプレドニゾンが挙げられる。例示的な生物学的応答調節剤としては、細胞表面マーカーに対する分子(例えば、CD4、CD5など)、サイトカイン阻害剤、例えば、TNFアンタゴニスト(例えば、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))及びインフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、ケモカイン阻害剤、及び接着分子阻害剤が挙げられる。生物学的応答調節剤としては、モノクローナル抗体並びに分子の組換え形態が挙げられる。例示的なDMARDとしては、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、メトトレキサート、ペニシラミン、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、Gold(経口(オーラノフィン)及び筋肉内)及びミノサイクリンが挙げられる。
【0332】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される組成物は、サイトカインと共に投与される。サイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインには、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば、卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone、FSH)、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone、TSH)、黄体形成ホルモン(luteinizing hormone、LH);肝成長因子(HGF);線維芽細胞増殖因子(FGF);プロラクチン;胎盤ラクトゲン;ムレラン阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(thrombopoietin、TPO);神経成長因子(NGF)、例えば、NGF-ベータ;血小板増殖因子;形質転換成長因子(TGF)、例えば、TGF-α及びTGF-β;インスリン様成長因子-I及び成長因子-II;エリスロポエチン(EPO、Epogen(登録商標)、Procrit(登録商標));骨誘導因子;インターフェロン、例えば、インターフェロン-アルファ、ベータ、及び-ガンマ;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、マクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球・マクロファージCSF(GM-CSF);及び顆粒球CSF(G-CSF);インターロイキン(IL)、例えば、IL-1、IL-1アルファ、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12;IL-15、腫瘍壊死因子、例えば、TNF-アルファ又はTNF-ベータ;及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書で使用される場合、サイトカインという用語には、天然源又は組換え細胞培養物由来のタンパク質、及び天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物が含まれる。
モニタリング
【0333】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体T細胞免疫療法の投与は、認定されたヘルスケア施設において行われる。
【0334】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、CRS及び神経毒性、並びにCAR T細胞治療に対する他の有害反応の徴候及び症状について注入後に認定医療施設で少なくとも7日間毎日患者をモニタリングすることを含む。いくつかの実施形態では、神経毒性の症状は、脳症、頭痛、振戦、めまい、失語症、せん妄、不眠症、及び不安から選択される。いくつかの実施形態では、有害反応の症状は、発熱、低血圧、頻脈、低酸素症、及び悪寒からなる群から選択され、心不整脈(心房細動及び心室頻脈を含む)、心停止、心不全、腎機能不全、毛細血管漏出症候群、低血圧、低酸素症、臓器毒性、血球貪食性リンパ組織球増加症/マクロファージ活性化症候群(HLH/MAS)、発作、脳症、頭痛、振戦、めまい、失語症、せん妄、不眠症 不安、アナフィラキシー、発熱性好中球減少症、血小板減少症、好中球減少症、及び貧血を含む。いくつかの実施形態では、患者は、注入後少なくとも4週間、認定医療施設の近くに留まるように指示される。
臨床転帰
【0335】
いくつかの実施形態では、臨床転帰は完全奏効である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は、持続的奏効である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は完全奏効である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は無応答である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は部分奏効である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は、客観的奏効である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は生存である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は再発である。
【0336】
いくつかの実施形態では、客観的奏効(OR)が、悪性リンパ腫に対する改訂IWG治療効果判定基準(Cheson,2007)に従って決定され、悪性リンパ腫に対するIWG治療効果判定基準(Cheson et al.Journal of Clinical Oncology 32,no.27(September 2014)3059-3067)によって決定される。奏効の持続時間を評価する。ルガノ応答分類基準(Lugano Response Classification Criteria)による治験責任医師の評定による無増悪生存期間(PFS)を評価する。
重度の有害反応の予防又は管理
【0337】
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上の属性のレベルに基づいて有害反応の発症を予防するか又はその重症度を軽減する方法を提供する。この点において、開示される方法は、毒性予防のために、「予防有効量」のトシリズマブ、コルチコステロイド療法、又は抗けいれん薬の投与を含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、GM-CSF、CSF1、GM-CSFR、又はCSF1Rの阻害剤、レンジルマブ、マブリリムマブ、サイトカイン、及び/又は抗炎症剤を投与することを含む。薬理学的及び/又は生理学的効果は、予防的であってよく、すなわち、効果は、疾患又はその症状を完全に又は部分的に予防する。「予防有効量」は、必要な投与量及び期間で所望の予防結果(例えば、有害反応の発症の予防)を達成するための有効量を指し得る。
【0338】
いくつかの実施形態では、本方法は、有害反応の管理を含む。いくつかの実施形態では、有害反応は、サイトカイン放出症候群(CRS)、神経毒性、過敏反応、重篤な感染症、血球減少症、及び低ガンマグロブリン血症からなる群から選択される。
【0339】
いくつかの実施形態では、有害反応の徴候及び症状は、発熱、低血圧、頻脈、低酸素症、及び悪寒からなる群から選択され、心不整脈(心房細動及び心室頻脈を含む)、心停止、心不全、腎機能不全、毛細血管漏出症候群、低血圧、低酸素症、臓器毒性、血球貪食性リンパ組織球増加症/マクロファージ活性化症候群(HLH/MAS)、発作、脳症、頭痛、振戦、めまい、失語症、せん妄、不眠症 不安、アナフィラキシー、発熱性好中球減少症、血小板減少症、好中球減少症、及び貧血を含む。
サイトカイン放出症候群(CRS)
【0340】
いくつかの実施形態では、方法は、キメラ受容体治療におけるCRSを予防、又はその重症度を低減すること、を含む。いくつかの実施形態では、操作されたCAR T細胞は、患者への投与後に不活化される。
【0341】
いくつかの実施形態では、方法は、臨床症状に基づいてCRSを特定すること、を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、発熱、低酸素症、及び低血圧症の他の原因を評価し、治療すること、を含む。グレード2以上のCRS(例えば、輸液に反応しない低血圧、又は補充酸素供給を必要とする低酸素症)を経る患者は、連続心臓テレメトリー及びパルスオキシメトリーでモニタリングする必要がある。いくつかの実施形態では、重度のCRSを経ている患者について、心機能を評価するために心エコー図を実行することを検討する。重度又は生命を脅かすCRSの場合、集中治療の支持療法が検討され得る。
【0342】
いくつかの実施形態では、本方法は、CRSの徴候及び症状について注入後に認定医療施設で少なくとも7日間毎日患者をモニタリングすること、を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、注入後4週間、CRSの徴候又は症状について患者をモニタリングすること、を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、CRSの徴候又は症状が発生した場合にはいつでも、直ちに病院で診察を受けるように患者に勧告すること、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、CRSの最初の徴候における適応として、支持療法、トシリズマブ、若しくはトシリズマブ及びコルチコステロイドによる治療を開始すること、を含む。
神経毒性(NT)
【0343】
いくつかの実施形態では、方法は、神経毒性の徴候及び症状について患者をモニタリングすること、を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、神経学的症状の他の原因を排除すること、を含む。グレード2以上の神経毒性を経る患者は、連続心臓テレメトリー及びパルスオキシメトリーでモニタリングする必要がある。重度又は生命を脅かす神経毒性の場合、集中治療の支持療法を提供する。いくつかの実施形態では、神経毒性の症状は、脳症、頭痛、振戦、めまい、失語症、せん妄、不眠症、及び不安から選択される。
【0344】
いくつかの実施形態では、本方法は、神経毒性の徴候及び症状について注入後に認定医療施設で少なくとも7日間毎日患者をモニタリングすること、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、注入後4週間、神経毒性の徴候又は症状について患者をモニタリングすること、を含む。
二次性悪性腫瘍
【0345】
いくつかの実施形態では、CAR T細胞(例えば、CD19指向性)又は他の遺伝子改変された自己T細胞免疫療法で治療された患者が二次悪性腫瘍を発症し得る。特定の実施形態では、CAR T細胞(例えば、CD19指向性)又は他の遺伝子改変された同種T細胞免疫療法で治療された患者が二次悪性腫瘍を発症し得る。いくつかの実施形態では、本方法は、二次性悪性腫瘍について生涯にわたってモニタリングすること、を含む。
【0346】
本明細書中で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることを具体的かつ個別に示した場合と同程度に、参照により本明細書中に組み込まれる。しかしながら、本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が本開示に対する先行技術であることの承認として解釈されるべきではない。参照により組み込まれる参考文献で提供される定義又は用語のいずれかが、本明細書において提供される用語及び説明と異なる場合には、本用語及び定義が支配する。
【0347】
[項1]
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を必要とする患者の生存の可能性を予測する方法であって、
前記患者からのアフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルから少なくとも部分的に前記患者の生存の前記可能性を決定することと、を含み、
前記患者は、CD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を超える場合、生存の可能性が増加していると判定され、前記患者は、CD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を下回る場合、生存の可能性が減少していると判定される、方法。
[項2]
前記カットオフパーセンテージ値が、およそ0~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、又はより好ましくはおよそ0.27%である、項1に記載の方法。
[項3]
前記患者からの前記アフェレーシス産物中の中間単球のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中の中間単球の前記レベルから少なくとも部分的に前記患者の生存の前記可能性を判定することと、を更に含み、
前記患者は、中間単球の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を下回る場合、生存の可能性が増加していると判定され、前記患者は、中間単球の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を上回る場合、生存の可能性が減少していると判定される、項1に記載の方法。
[項4]
前記カットオフパーセンテージ値が、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%又は20%、好ましくは1~5%の間であり、更により好ましくはおよそ3%を下回る、項3に記載の方法。
[項5]
前記患者からの前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルから少なくとも部分的に前記患者の生存の前記可能性を判定することと、を更に含み、
CD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を上回る場合、前記患者は生存の可能性が増加していると判定され、CD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を下回る場合、前記患者は生存の可能性が減少していると判定される、項1に記載の方法。
[項6]
前記カットオフパーセンテージ値が、およそ0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1~5%、5~10%、10~20%、好ましくは0.05~0.2%、0.2~0.25%、0.25~0.5%、0.5~0.6%、0.6~0.7%、0.7~0.8%、0.8~0.9%、0.9~1%、1~5%、5~10%、10~15%の間、より好ましくはおよそ0.1705%である、項5に記載の方法。
[項7]
前記患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対白血球比を測定することと、
前記リンパ球対白血球比から少なくとも部分的に前記患者の生存の前記可能性を判定することと、を更に含み、
前記リンパ球対白血球比がカットオフ値を上回る場合、前記患者は生存の可能性が増加していると判定され、前記リンパ球対白血球比が前記カットオフ値を下回る場合、前記患者は生存の可能性が減少していると判定される、項1に記載の方法。
[項8]
前記カットオフ値が、1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%であり、好ましくは5.2%を下回る、項7に記載の方法。
[項9]
前記患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対単球比を測定することと、
前記リンパ球対単球比から少なくとも部分的に前記患者の生存の前記可能性を判定することと、を更に含み、
前記リンパ球対単球比がカットオフ値を上回る場合、前記患者は生存の可能性が増加していると判定され、前記リンパ球対単球比が前記カットオフ値を下回る場合、前記患者は生存の可能性が減少していると判定される、項1に記載の方法。
[項10]
前記カットオフ値が、0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、10~15の間、好ましくは0.79である、項9に記載の方法。
[項11]
免疫療法生成物を製造するための方法であって、
対象由来の血液試料からアフェレーシス産物を調製することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルが、前記アフェレーシス産物中の全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を下回る場合、処理のために回収されるCD27+CD28+ナイーブTh細胞の量を増加させることと、を含む、方法。
[項12]
前記カットオフパーセンテージ値が、およそ0~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、又はより好ましくはおよそ0.27%である、項11に記載の方法。
[項13]
前記アフェレーシス産物中の中間単球のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中の中間単球の前記レベルが、前記アフェレーシス産物中の全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を上回る場合、更なる処理の前に前記アフェレーシス産物中の中間単球の前記レベルを減少させることと、を更に含む、項11に記載の方法。
[項14]
前記カットオフパーセンテージ値が、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%又は20%、好ましくは1~5%の間、更により好ましくはおよそ3%である、項13に記載の方法。
[項15]
前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルが、前記アフェレーシス産物中の全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を下回る場合、処理のために回収されるCD27-CD28+TEMRA Treg細胞の量を増加させることと、を更に含む、項11に記載の方法。
[項16]
前記カットオフパーセンテージ値が、およそ0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1~5%、5~10%、10~20%、好ましくは0.05~0.2%、0.2~0.25%、0.25~0.5%、0.5~0.6%、0.6~0.7%、0.7~0.8%、0.8~0.9%、0.9~1%、1~5%、5~10%、10~15%の間、より好ましくは約0.1705%である、項15に記載の方法。
[項17]
患者における悪性腫瘍を治療するための方法であって、
前記患者からのアフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルから少なくとも部分的に、前記患者に、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与すべきかどうかを決定することと、
前記決定するステップに基づいて、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞、又は前記有効用量のT細胞及び前記併用療法を投与することと、含み、
前記患者は、CD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を超える場合、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞を投与され、前記患者は、CD27+CD28+ナイーブTh細胞の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を下回る場合、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞及び前記併用療法を投与される、方法。
[項18]
前記カットオフパーセンテージ値が、およそ0~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~1.0%、1.0~5%、5~10%、10~15%、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、又はより好ましくはおよそ0.27%である、項17に記載の方法。
[項19]
前記患者からの前記アフェレーシス産物中の中間単球のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中の中間単球の前記レベルから少なくとも部分的に、前記患者に、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与すべきかどうかを決定することと、
前記決定するステップに基づいて、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞、又は前記有効用量のT細胞及び前記併用療法を投与することと、を更に含み、
前記患者は、中間単球の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を下回る場合、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞を投与され、前記患者は、中間単球の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を上回る場合、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞及び前記併用療法を投与される、項17に記載の方法。
[項20]
前記カットオフパーセンテージ値が、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%又は20%、好ましくは1~5%の間、更により好ましくはおよそ3%である、項19に記載の方法。
[項21]
前記患者からの前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベルを測定することと、
前記アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルから少なくとも部分的に、前記患者に、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与すべきかどうかを決定することと、
前記決定するステップに基づいて、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞、又は前記有効用量のT細胞及び前記併用療法を投与することと、を更に含み、
前記患者は、CD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルが全白血球のパーセンテージとして測定されるカットオフパーセンテージ値を上回る場合、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞を投与され、前記患者は、CD27-CD28+TEMRA Treg細胞の前記レベルが前記カットオフパーセンテージ値を下回る場合、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞及び前記併用療法を投与される、項17に記載の方法。
[項22]
前記カットオフパーセンテージ値が、およそ0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1~5%、5~10%、10~20%、好ましくは0.05~0.2%、0.2~0.25%、0.25~0.5%、0.5~0.6%、0.6~0.7%、0.7~0.8%、0.8~0.9%、0.9~1%、1~5%、5~10%、10~15%の間、より好ましくは約0.1705%である、項21に記載の方法。
[項23]
前記患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対白血球比を測定することと、
前記リンパ球対白血球比から少なくとも部分的に、前記患者に、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与すべきかどうかを決定することと、
前記決定するステップに基づいて、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞、又は前記有効用量のT細胞及び前記併用療法を投与することと、を更に含み、
前記患者は、前記リンパ球対白血球比がカットオフ値を上回る場合、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞を投与され、前記患者は、前記リンパ球対白血球比が前記カットオフ値を下回る場合、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞及び前記併用療法を投与される、項17に記載の方法。
[項24]
前記カットオフ値が、1%、1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、好ましくは5.2%である、項23に記載の方法。
[項25]
前記患者のベースライン血液学的計数におけるリンパ球対単球比を測定することと、
前記リンパ球対単球比から少なくとも部分的に、前記患者に、キメラ受容体を含む有効用量のT細胞、又はキメラ受容体を含む有効用量のT細胞及び併用療法を投与すべきかどうかを決定することと、
前記決定するステップに基づいて、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞、又は前記有効用量のT細胞及び前記併用療法を投与することと、を更に含み、
前記患者は、前記リンパ球対単球比がカットオフ値を上回る場合、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞を投与され、前記患者は、前記リンパ球対単球比が前記カットオフ値を下回る場合、キメラ受容体を含む前記有効用量のT細胞及び前記併用療法を投与される、項17に記載の方法。
[項26]
前記カットオフ値が、0~0.5、0.5~1.0、1.0~1.5、1.5~2.0、2~5、5~10、10~15の間、好ましくは0.79である、項25に記載の方法。
[項27]
前記併用療法が、免疫療法、SRCキナーゼ阻害剤、T細胞性二重特異性抗体、抗CD20モノクローナル抗体、抗4-1BB、抗CD47、TGF-ベータ阻害剤又はドミナントネガティブTGF-ベータ、mTOR/AKTアゴニスト、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、シクロホスファミド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ドキソルビシン、タキサン、化学療法若しくは放射線療法、低分子阻害剤、抗腫瘍免疫の増強を標的とする抗体、又は抗炎症薬を含む、項17~26のいずれか一項に記載の方法。
本開示は以下の実施例によって更に説明されるが、これらは更なる限定として解釈されるべきではない。本出願を通して引用される全ての参考文献の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0348】
本出願によって提供される開示は、上述の方法に加えて、又はそれらの組み合わせとして、様々な方法で使用することができる。以下は、本出願で提供される開示から導き出すことができる例示的な方法のまとめである。
臨床的有効性の増加及び/又は毒性の減少のために生成物を生成及び最適化するための方法及び組成物
【0349】
先の段落[0111]~[0157]及び実施例を参照されたい。
T細胞療法の有効性を増加させる及び/又は毒性を減少させる方法
【0350】
一実施形態では、本開示は、CAR-T細胞免疫療法の前に対象の腫瘍負荷を減少させること、を含む、T細胞免疫療法(例えば、CAR T細胞免疫療法)の有効性を増加させる及び/又は毒性を減少させる方法を提供する。一実施形態では、対象の腫瘍負荷の減少は、ブリッジング療法の投与を含む。一実施形態では、ブリッジング療法は、前処置とT細胞投与との間の療法を含む。一実施形態では、ブリッジング療法は、CHOP、R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾロン)、G-CHOP(オビヌツズマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾロン)、コルチコステロイド、ベンダムスチン、白金化合物、アントラサイクリン、ベネトクラックス、ザヌブルチニブ、及び/又はホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、並びにPI3K/Akt/mTOR経路の阻害剤を含む。一実施形態では、PI3K阻害剤は、デュベリシブ、イデラリシブ、ベネトクラックス、ピチリシブ(GDC-0941)、コパンリシブ、PX-866、ブパルリシブ(BKM120)、ピララリシブ(XL-147)、GNE-317、アルペリシブ(BYL719)、INK1117、GSK2636771、AZD8186、SAR260301、及びタセリシブ(GDC-0032)から選択される。一実施形態では、ブリッジング療法は、アカラブルチニブ、ブレンツキシマブベドチン、コパンリシブ塩酸塩、ネラララビン、ベリノスタット、ベンダムスチン塩酸塩、カルムスチン、硫酸ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ザヌブルチニブ、カルムスチン、クロラムブシル、コパンリシブ塩酸塩、デニルウキンジプチトックス、デキサメタゾン、ドキソルビシン塩酸塩、デュベリシブ、プラトレキセート、オビヌツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、イブルチニブ、イデラリシブ、組換えインターフェロンアルファ-2b、ロミデプシン、レナリドミド、メクロレタミン塩酸塩、メトトレキサート、モガムリズマブ-kpc、プレリキサフォル、ネラララビン、オビヌツズマブ、デニルイプチトックス、ペンブロツズマブ、プレリキサフォル、ポラツズマブベドチン-piiq、モガムリズマブ-kpc、プレドニゾン、リツキシマブ、ヒアルロニダーゼ、ロミデプシン、ボルテゾミブ、ベネトクラックス、硫酸ビンブラスチン、ボリノスタット、ザヌブルチニブ、CHOP、COPP、CVP、EPOCH、R-EPOCH、HYPER-CVAD、ICE、R-ICE、R-CHOP、R-CVP及びこれらの組み合わせを含む。
【0351】
一実施形態では、本開示は、T細胞免疫療法の前に対象の全身性炎症状態を減少させること、を含む、T細胞免疫療法(例えば、CAR T細胞免疫療法)の有効性を増加させる及び/又は毒性を減少させる方法を提供する。一実施形態では、治療法はCAR T細胞療法である。一実施形態では、本方法は、CAR-T細胞免疫療法の前に抗炎症治療を対象に投与すること、を含む。抗炎症治療の例は、本開示の他の箇所に提供される。
【0352】
一実施形態では、本開示は、CAR-T細胞免疫療法の前に対象の骨髄細胞活性を低下させること、を含む、T細胞免疫療法(例えば、CAR T細胞免疫療法)の有効性を増加させる及び/又は毒性を低下させる方法を提供する。一実施形態では、本開示は、CAR-T細胞投与の前又はその後早期にMCP-1及び/又はIL-6活性を低下させること、を含む、T細胞免疫療法(例えば、CAR T細胞免疫療法)の有効性を増加させる及び/又は毒性を低下させる方法を提供する。一実施形態では、骨髄細胞活性、MCP-1及び/又はIL-6活性を低下させることは、MCP-1、IL-6、IL-1、CSF1R、GM-CSF及び/又は小分子に対するモノクローナル抗体を対象に投与すること、を含む。そのような薬剤の例は、本開示の他の箇所に記載されている。一実施形態では、小分子はJAK/STAT阻害剤である。一実施形態では、JAK/STAT阻害剤は、トファシチニブ、ルキソリチニブ、フィルゴチニブ、バリシチニブ、ペフィシチニブ、オクラシチニブ、ウパジシチニブ、ソルシチニブ、デセルノチニブ、SHR0302、AC 430、PF-06263276、BMS-986165、レスタウルチニブ、PF-06651600、PF-04965841、アブロシチニブ、スタティック、ペプチドミメティック及びそれらの組み合わせから選択される。
【0353】
一実施形態では、本開示は、CAR-T細胞免疫療法の前に対象/産物中の活性化T細胞の活性を低下させること、を含む、T細胞免疫療法(例えば、CAR T細胞免疫療法)の有効性を増加させる及び/又は毒性を低下させる方法を提供する。一実施形態では、これは、分化細胞(エフェクターメモリー及び/又はエフェクター細胞)の分離/除去、若年性T細胞(CCR7+)に対する産物の濃縮、分離技術によるT細胞産物注入バッグ内の分化T細胞のパーセンテージ及び数の除去又は減少;及び/又は過剰なT細胞活性を低下させるであろう薬理学的作用物質又は生物学的応答修飾物質(例えば、JAK/STAT阻害剤)を用いて、製造プロセス中又は製造プロセス後に産物T細胞を処理することによって達成され得る。
【0354】
一実施形態では、本開示は、腫瘍負荷に見合った方法でT細胞免疫療法の投与量を増加させること、及び/又は高い腫瘍負荷を有する患者に再投与すること、を含む、T細胞免疫療法(例えば、CAR T細胞免疫療法)の有効性を増加させる及び/又は毒性を減少させる方法を提供する。腫瘍負荷を測定及び分類する方法は、本開示の他の箇所に記載されている。
【0355】
一実施形態では、本開示は、T細胞免疫療法(例えば、CAR T細胞免疫療法)の有効性を増加させる及び/又は毒性を減少させる方法であって、(a)T細胞免疫療法に応答して毒性のマーカー(複数可)に対して陽性の対象を同定することと、(b)対象における前処置後及び前T細胞免疫療法後のIL-15上昇を減少させることと、を含む、方法を提供する。一実施形態では、T細胞免疫療法に応答する毒性のマーカーは、高い腫瘍負荷である。一実施形態では、T細胞免疫療法に応答する毒性のマーカーは、炎症マーカーの治療前レベルの上昇である。一実施形態では、炎症マーカーは、IL6、CRP及びフェリチンから選択される。一実施形態では、前処置プロトコルの選択によって、前処置後及び前T細胞免疫療法後のIL-15上昇の減少が達成される。一実施形態では、前処置プロトコルは、シクロホスファミド、フルダラビン、ベンダムスチン、抗ヒト胸腺細胞グロブリン、カルムスチン、放射線、エトポシド、シタラビン、メルファラン、リツキシマブ、又はそれらの組み合わせを含む。
T細胞産物を用いて対象を処置する方法を改善するためにT細胞産物中の特定のT細胞サブセットの組成を操作する方法
【0356】
一実施形態では、本開示は、応答及び/又は毒性を予測する上記の方法のいずれかと、T細胞産物の組成を操作する方法と、T細胞治療(例えば、T細胞注入製品)の投与とを組み合わせた悪性腫瘍の治療方法を提供する。
【0357】
一実施形態では、本開示は、操作されたリンパ球を含む注入製品を改善し、任意選択的に、操作されたリンパ球を含む注入製品で対象のがんを治療する方法を提供し、方法は、
【0358】
アフェレーシス産物由来のリンパ球の集団における1つ以上の属性のレベルを測定すること;及び/又は
【0359】
最終注入製品の製造中及び/又は最終注入製品中の操作されたリンパ球(例えば、CAR T細胞)の集団中の1つ以上の属性のレベルを測定すること;及び/又は
【0360】
有効性を改善し、治療関連毒性を軽減するためにT細胞注入製品の組成物を操作すること;及び/又は
【0361】
参照レベルと比較した1つ以上の属性の測定されたレベルに基づいて、操作されたリンパ球による治療に対する患者の応答を決定又は予測すること;任意選択的に、
【0362】
操作されたリンパ球の治療有効用量を対象に投与すること、を含み、治療有効用量は、注入製品中の操作されたリンパ球の集団及び/又はアフェレーシス産物中のT細胞の1つ以上の属性のレベルに基づいて決定される。
【0363】
一実施形態では、操作されたリンパ球は腫瘍抗原を標的とする。一実施形態では、腫瘍抗原は、腫瘍関連表面抗原、例えば5T4、アルファフェトプロテイン(AFP)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、BCMA、B-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CA-125、癌胎児性抗原(CEA)、CD123、CD133、CD138、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD34、CD4、CD40、CD44、CD56、CD8、CLL-1、c-Met、CMV特異的抗原、CS-1、CSPG4、CTLA-4、DLL3、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、EBV特異的抗原、EGFR変異体III(EGFRvIII)、ELF2M、エンドグリン、エフリンB2、上皮増殖因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮腫瘍抗原、ErbB2(HER2/neu)、線維芽細胞関連タンパク質(fap)、FLT3、葉酸結合タンパク質、GD2、GD3、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、HBV特異的抗原、HCV特異的抗原、HER1-HER2、HER2-HER3の組み合わせ、HERV-K、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HPV特異的抗原、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、IGFI受容体、IGF-II、IL-11Rα、IL-13R-a2、インフルエンザウイルス特異的抗原;CD38、インスリン増殖因子(IGFl)-l、腸管カルボキシルエステラーゼ、カッパ鎖、LAGA-la、ラムダ鎖、ラッサウイルス特異的抗原、レクチン反応性AFP、系統特異的抗原又は組織特異的抗原、例えばCD3、MAGE、MAGE-A1、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、M-CSF、メラノーマ関連抗原、メソテリン、MN-CA IX、MUC-1、mut hsp70-2、変異型p53、変異型ras、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY-ESO-1、p53、PAP、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺癌腫腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺特異的抗原タンパク質、STEAP1、STEAP2、PSMA、RAGE-1、ROR1、RU1、RU2(AS)、表面接着分子、サバイビン及びテロメラーゼ、TAG-72、フィブロネクチンの余分なドメインA(EDA)及び余分なドメインB(EDB)並びにテネイシン-CのAlドメイン(TnC Al)、サイログロブリン、腫瘍間質抗原、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR2)、HIV特異的抗原等のウイルス特異的表面抗原(HIV gpl20等)、並びにこれらの表面抗原の任意の誘導体又は変異体から選択される。一実施形態では、標的抗原はCD19である。
【0364】
一実施形態では、がんは、固形腫瘍、肉腫、癌腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、原発性縦隔大B細胞リンパ腫(PMBC)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫(SMZL)、慢性又は急性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(非T細胞ALLを含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、T細胞リンパ腫、B細胞性急性リンパ性白血病(「BALL」)のうちの1種以上、T細胞性急性リンパ性白血病(「TALL」)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物、キットバー卜リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、小細胞リンパ腫又は大細胞リンパ腫、悪性リンパ増殖性状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞新生物、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、形質細胞増殖性障害(例えば、無症候性骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫又は緩徐進行型骨髄腫)、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、形質細胞腫(例えば、形質細胞異常、孤立性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、髄外形質細胞腫及び多発性形質細胞腫)、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス、POEMS症候群(Crow-Fukase症候群、Takatsuki病、PEP症候群としても知られている)、又はそれらの組み合わせである。一実施形態では、がんは、他に特定されない(再発性又は難治性)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、又はマントル細胞リンパ腫から生じるDLBCLである。
【0365】
一実施形態では、操作されたリンパ球(例えば、CAR T細胞)の治療有効量又は有効用量は、少なくとも約104個の細胞、少なくとも約105個の細胞、少なくとも約106個の細胞、少なくとも約107個の細胞、少なくとも約108個の細胞、少なくとも約109個の細胞、又は少なくとも約1010個の細胞であり得る。一実施形態では、操作されたリンパ球(例えば、CAR T細胞)の治療有効量又は有効用量は、約104個の細胞、約105個の細胞、約106個の細胞、約107個の細胞又は約108個の細胞である。一実施形態では、操作されたリンパ球(例えば、CAR T細胞)の治療有効量又は有効用量は、約2×106細胞/kg、約3×106細胞/kg、約4×106細胞/kg、約5×106細胞/kg、約6×106細胞/kg、約7×106細胞/kg、約8×106細胞/kg、約9×106細胞/kg、約1×107細胞/kg、約2×107細胞/kg、約3×107細胞/kg、約4×107細胞/kg、約5×107細胞/kg、約6×107細胞/kg、約7×107細胞/kg、約8×107細胞/kg、又は約9×107細胞/kgであり得る。一実施形態では、操作されたリンパ球(例えば、CAR T細胞)の治療有効量又は有効用量は、体重1kg当たり約1×106~約2×106個の操作された生存リンパ球(例えば、CAR T細胞)であってもよく、最大用量は約1×108個の操作された生存リンパ球(例えば、CAR T細胞)であってもよい。一実施形態では、治療有効用量は、75~200×106個の操作されたリンパ球である。
【実施例】
【0366】
再発性/難治性NHLを有する患者をアキシカブタゲンシロロイセルで治療した臨床試験を実施した。アキシカブタゲンシロロイセルは、採取され、CD28及びCD3ゼータの共刺激ドメインに連結された抗CD19一本鎖可変フラグメント(scFv)を含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するようにレトロウイルス形質導入によってエクスビボで遺伝子改変された患者自身のT細胞を含む、CD19指向性遺伝子改変自己T細胞免疫療法である。
【0367】
患者は、推奨される先行治療を受けているにもかかわらず、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、又は難治性疾患を伴う形質転換濾胞性リンパ腫を有していた可能性がある。患者は、低用量シクロホスファミド及びフルダラビンの前処置レジメンを受けた後、体重1キログラム当たり2×106個の抗CD19 CAR T細胞の標的用量を受けた。(Neelapu,SS et al.2017,N Engl J Med 2017;377(26):2531-44)。
【0368】
以下の実施例では、臨床試研究患者からのバイオマーカーデータを、治療の有効性及び毒性、並びに製品の適合性と差次的に関連する応答及びパラメータの相関についての拡張統計分析計画に従って分析した。いくつかの相関関係が明らかになった。臨床研究(NCT02348216)の患者から入手可能な試料を分析した。安全性及び有効性の結果は以前に報告された。(Neelapu,SS et al.2017,N Engl J Med 2017;377(26):2531-44;Locke FL et al.2019;Lancet Oncol.2019 Jan;20(1):31-42.doi:10.1016/S1470-2045(18)30864-7.Epub 2018 Dec 2)。持続的奏効とは、アキシカブタゲンシロロイセル注入の少なくとも1年後に継続奏効にあった患者を指す。再発は、CR又はPRを達成し、その後疾患の進行を経験した患者を指す。最良応答として安定又は進行性疾患を達成した患者は、無応答カテゴリーに含まれる。
【0369】
一方、LBCLについての従来の予後因子は、中心的な臨床研究における転帰と関連していなかった(Neelapu et al.NEJM.2017)が、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞適合性及び組成(CCR7+CD45RA+T細胞)、減少したpreTx腫瘍負荷、及び活性化CD8+PD-1+LAG-3+/-TIM-3-T細胞の存在を伴う免疫腫瘍微小環境(TME)のような他の属性は、効力と関連していた(Locke et al.,Blood Advances,2020 https://doi.org/10.1182/bloodadvances.2020002394 and Galon et al.,ASCO,2020 https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2020.38.15_suppl.3022)。CAR-T細胞適合性及びLBCL中のTICに影響を及ぼす因子の全身的調査によって、一方では血中の治療前免疫細胞特性と、CAR T細胞性介入に対する臨床応答に影響を及ぼすアキシカブタゲンシロロイセル及びTICそれぞれの重要な特徴との間の関連性が明らかにされた。
【0370】
免疫系の既存の特徴を、臨床研究におけるアキシカブタゲンシロロイセル製造プロセスのための出発材料としての役割を果たすアフェレーシスされた抹消血単核細胞(PBMC)のマルチパラメトリックフローサイトメトリーによって系統的に分析した(N=101)。アフェレーシスされPBMCを、抗体染色のために解凍する前に液体窒素で維持した。この分析に利用されたパネルは、T細胞(CD27、CD28、CCR7、及びCD45RA)、骨髄細胞のサブセット、NK、NKT、及びB細胞のメモリー区画を特徴付けた(
図1A及び1B)。以前に記載されているように(Rossi et al,Cancer Res July 1 2018 (78)(13 Supplement)LB-016;DOI:10.1158/1538-7445.AM2018-LB-016,Galon et al,Journal of Clinical Oncology 2020 (38)(15_suppl),3022-3022 DOI:10.1200/JCO.2020.38.15_suppl.3022 Journal of Clinical Oncology 38,no.15_suppl(May 20,2020)3022-3022、治療前TICの分析を、マルチプレックス免疫組織化学(N=18)及び遺伝子発現分析(N=30)を行った。製造中の倍加時間及び生存率(N=145)、並びにフローサイトメトリーによる最終生成物T細胞表現型(注入されたCCR7+CD45RA+T細胞のパーセンテージ及び総数を含む)を測定することによって、T細胞適合性に関連するアキシカブタゲンシロロイセル特性を分析した。これらの共変量と通常の血液学的検査からのパラメータとの間の相関分析、並びに通常の血液学的検査からの特徴を、スピアマン順位相関及びウィルコクソン検定によって行った。生存に対する異なる変数の効果を、最適カットポイント選択を用いるカプラン・マイヤー法によって評価した。
【0371】
免疫系の2つの重要な既存の特徴が同定され、ナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)及び中間単球(CD14+CD16+)のパーセンテージからなり、両方とも製造前のPBMC集団において測定可能であり、それぞれ、アキシカブタゲンシロロイセル臨床的有効性の決定因子と正及び負に関連していた。より具体的には、製造前のPBMC集団におけるナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞の頻度は、TMEにおける治療前のT細胞シグネチャと正に関連し、産物CCR7+CD45RA+T細胞のパーセンテージも同様であった。更に、この測定基準は、アキシカブタゲンシロロイセル後の継続奏効率、無増悪生存期間及び全奏効と正に関連した。逆に、製造前PBMC集団における中間単球(CD14+CD16+)のパーセンテージは、LDH、IL-6及びCRPの治療前血清レベル等の負の予測マーカーと直接関連し、TMEにおける生存及びT細胞のサインとは逆であった。
【0372】
製造前PBMC、最も顕著にはCD27
+CD28
+ナイーブTh細胞の頻度及び中間単球の頻度の調査によって調べられた免疫系の既存の状態は、それぞれ正及び負の重要な腫瘍微小環境及びアキシカブタゲンシロロイセルの臨床的有効性を支持する生成物決定因子に影響を及ぼした。全体として、これらの結果は、免疫系の既存の状態とLBCLにおける自己CAR T細胞療法の臨床的有効性との間の重要な関連を提供し、この治療様式が予後不良マーカーに関連する腫瘍をどのように克服し得るか、又はその性能を改善するための治療最適化を提供する。
図1C.
実施例1
【0373】
製造前PBMC集団におけるナイーブ表現型のCD27+CD28+Th細胞(CCR7+CD45RA+)のパーセンテージは、倍加時間及び生存率、CD4/CD8比、並びにCD8及びCD4ナイーブT細胞のパーセンテージを含む、産物T細胞適合性の表現型マーカーと正に関連した。
図2.最終生成物細胞は、同じパラメータによって特徴付けられる。製造前PBMC集団における中間単球及び全単球のパーセンテージは、治療前の炎症マーカー、腫瘍負荷(ベースライン二方向積和(SPD)及び低酸素症(血清LDH濃度によって示される)と正に関連した。
図3.治療前の腫瘍免疫状況と差次的に関連する、製造前PBMC集団におけるT細胞サブセット対骨髄細胞サブセットの相対的割合。
図4.単球、特に中間単球は、TMEのT細胞特徴と負に関連し、CD27+CD28+ナイーブTh細胞及びリンパ球は、応答に関連しているTMEのT細胞特徴と正に関連する。製造前のナイーブThサブセットは、製品注入バッグ中のナイーブT細胞のパーセンテージ、T細胞に富む腫瘍免疫状況(表示された全てのマーカーは活性化T細胞のマーカーである)と正の相関があり、治療前炎症(INTL8、PRF)/腫瘍低酸素状態(LDH)と負の相関があった。
図5.製造前の中間単球は、治療前の炎症(INTL8、フェリチン、CRP、アミロイドA)/腫瘍低酸素状態(LDH)と正に関連し、治療前と定義されたT細胞に富む腫瘍免疫状況と負に関連する(表示された全てのマーカーは活性化T細胞のマーカーである)。
図6.製造前の中間単球は、リンパ球との負の関連及びリンパ球対単球比を有していた(この文献の後半では、応答/生存と正に相関することが示されている)。また、それ自体が応答に負に関連する治療前腫瘍負荷との正の関連が観察された。
実施例2
【0374】
アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞(白血球の%)は、改善されたOS(
図7A)及びPFS(
図7B)(最適カットオフ)についての予測マーカーであった。それらの間には正の関連があり、すなわち、列挙されたカットオフを上回る治療前CD27+CD28+ナイーブTh細胞を有する対象は、選択されたカットオフを下回るの対象よりも生存の可能性が高い。アフェレーシス産物中の中間単球のレベル(白血球の%)もまた、OS(
図8A)及びPFS(最適カットオフ)(
図8B)の予測マーカーであった。現在のデータは、列挙されたカットオフを下回る中間単球レベルを有する対象が、カットオフを上回る対象よりも生存の可能性が高いことを示唆している。アフェレーシス産物中のCD27pCD28pナイーブTh細胞(白血球の%)対中間単球(白血球の%)の比は、OS(
図9A)及びPFS(最適カットオフ)(9B)との正の関連を示し、これらの予測マーカーとして役立つ。選択されたカットオフを上回るレベルを有する対象については、それを下回るレベルと比較して、より良好な生存率/奏効率/増殖速度があった。非レスポンダー、進継続奏効、及び再発患者におけるアフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞(白血球の%)対中間単球(白血球の%、CD14+CD16+)の関係も調べた。
図10A及び
図10B。CD27+CD28+ナイーブTh細胞は、中間単球との負の関連を有する。更に、高いCD27+CD28+ナイーブThレベル及び低い中間単球レベルを有する対象は、客観的レスポンダーの割合が増加している(
図10Bの左上部分)。中間単球の頻度は、二方向積和(SPD)が大きい腫瘍を有する対象における有効性に対してより大きな負の影響を有し得る。
図12B.Q2では、高い中間単球及び低いCAR T細胞増殖が、非レスポンダーの最高率と相関することが観察された。
図11.CAR-T細胞ピーク増殖が増加し、中間単球レベルがより低い対象(Q4)では、他の四分円と比較して、継続奏効率が増加し、再発率又は非レスポンダー率が低下した。
図11及び
図12A。CAR-T細胞ピーク増殖及び中間単球のこれらの四分円は、高い(
図12B)又は低い(
図12C)腫瘍負荷の状況で見ることができる。高いベースライン腫瘍負荷の更なる状況で見ると、高い中間単球及び低いCAR T細胞ピーク増殖を有する対象が更に低い継続奏効率を有するが、中間単球の減少及びCAR T細胞増殖の増加が継続奏効率の増加に対応する上記の傾向が増幅される。
図12B.傾向は、低い腫瘍負荷の状況で依然として維持されるが、継続奏効率は、より小さい腫瘍負荷を克服する必要があるためにより高い。
図12B及びC。
実施例3
【0375】
CD27+CD28+ナイーブTh(白血球の%)と応答カテゴリーとの間に関連があった。
図13.CD27+CD28+ナイーブTh細胞レベルは、非応答患者と比較して応答患者においてより高い。中間単球(白血球の%)と奏効カテゴリーとの間にも関連があった。
図14.中間単球は、非奏効患者と比較して奏効患者においてより低い。更に、レベルは、再発を経験するか又は非レスポンダーである対象と比較して、継続(持続)奏効を有する対象においてより低い。
実施例4
【0376】
アフェレーシス産物中のナイーブTh細胞集団は、先行治療ラインの数と負の関連があった。一次(Z12)又は二次(Z7)ラインのDLBCLは、白血球除去療法においてより高いレベルのナイーブT細胞を有し得る。
図15A、
図15B、
図15C。
図15 Aのデータは、対象がより少ない治療ラインでより高いレベルの血液中のこれらの細胞を有することを示すことができ、CAR T細胞がより早い治療ライン(第1/第2ライン)として利用された場合、奏効率が改善され得ることを示す。より高いIPIスコアは、より低いCD27+CD28+ナイーブTh細胞で傾向がある。CD27+CD28+ナイーブTh細胞は、ベースライン腫瘍負荷と弱い負の関連を示す。
図15B.
実施例5
【0377】
アフェレーシス産物中の中間単球集団は、疾患負荷と関連し(
図16C)、先行治療ラインの数と共に中程度に増加した。中間単球は、先行治療ラインの数と正に関連している。対象は、より少ない先行治療ラインでより低いレベルの中間単球を有することが予想され、これらの細胞と奏効との負の関連に起因して、これはまた、CAR T細胞奏効率が、より早い治療ライン(第1/第2ライン)として利用された場合、更により高くなり得ることを示している。
図16A.国際予後指標(IPI)スコア及び中間単球は正に関連しており、これらの細胞がより悪い予後を有する対象と関連していることを更に示している。
図16B.中間単球は、ベースライン腫瘍負荷と正に関連していた。
図16C.
実施例6
【0378】
アフェレーシス産物中のCD27-CD28+TEMRA Treg細胞のレベル(白血球の%)は、OS(
図17A)及びPFS(
図17B)(最適カットオフ)と正に関連しており、これらの予測マーカーであり得る。CD27-CD28+TEMRA Tregについてこのカットオフを利用すると、これらの細胞を高いレベルで有する対象は、より高い完全奏効率、客観奏効率、及び継続奏効率を有する。
実施例7
【0379】
アフェレーシス産物中のCD27+CD28+ナイーブTh細胞対CAR-Tピーク(
図18A及び
図18B)及びCAR-Tピーク/ベースライン腫瘍負荷(
図18C及び
図18D)との間に関連があった。CD27+CD28+ナイーブTh細胞とCAR T細胞ピーク増殖(腫瘍負荷によって正規化される、
図18C~Dも参照)との間の正の関連が観察された。両方のレベルが低いことは、より高い非レスポンダーと相関するが、両方のレベルの増加は、より高い奏効率をもたらす。中間単球対CAR-Tピーク及びCAR-Tピーク/ベースライン腫瘍負荷の間の関連が観察された。中間単球とCAR T細胞ピーク増殖との間に正の関連があった(腫瘍負荷によって正規化される、
図19C~Dも参照)。両方のレベルが低いことは、より高い非レスポンダーと相関するが、両方のレベルの増加は、より高い奏効率をもたらす。
図19.
実施例8
【0380】
アフェレーシスの組成及びベースライン血液学細胞数。
【表2-1】
【表2-2】
【表3】
実施例9
【0381】
ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球は、OS(
図20A)及びPFS(
図20B)と正に関連し、これらの予測マーカーとして役立ち得る(最適カットオフ)。ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球は、完全奏効、客観的奏効、及び継続奏効と正に関連していた。
図21.
実施例10
【0382】
ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球は、最悪のグレードの毒性と弱い負の関連を有していた。
図22.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球は、腫瘍負荷と負の関連を有していた。
図23.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球は、先行治療ラインの数と負の関連があった。
図24.これらのデータは、より初期の治療ラインにおけるCAR-T細胞の利用が、より少ない治療ラインでより高い奏効及び製品適合性の正の予測因子に起因して、改善された客観的かつ持続的奏効をもたらし得ることを示している。ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球は、生成物中のCD8及びエフェクター細胞と正に関連していた。ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球は、CRP、フェリチン、IL6と負の関連があった。CRP、フェリチン、及びIL6は、DLBCLにおける奏効と負に相関する薬力学的マーカーであることが以前に示されている。
図25.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球は、骨髄系細胞(より具体的には、奏効と負に関連する中間単球)と負の関連があり、CD8及びEM/エフェクターT細胞と正の関連があった。
図26.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対白血球は、中間単球と負に関連し、CD27-CD28+TEMRA及びTreg並びにCD27+CD28+ナイーブ及びTh細胞を含む奏効に関連するアフェレーシス集団との弱い相関を示した。B細胞レベルは、示された関連性が弱いか全くないため、リンパ球レベルを駆動する集団ではない可能性が最も高い。高いB細胞レベルは、奏効と正に相関する。ベースライン血液学におけるリンパ球対白血球は、CAR Tピーク細胞増殖及びナイーブ産物T細胞との関連性が限定されているか、又は全くなかった。これらの特徴間の関連性が限られているため、本発明者らは、これらを組み合わせて使用して、患者をより良好に層別化することができる可能性がある。
実施例11
【0383】
ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球は、OS(
図27A)及びPFS(
図27B)と正の関連があり、これらの予測バイオマーカーとして役立ち得る(最適カットオフ)(正の関連)。ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球は、完全奏効、客観的奏効、及び継続奏効と正に関連していた。
図28.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球は、最悪のグレードの毒性と弱い負の関連を有していた。
図29.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球は、腫瘍負荷と負の関連を有していた。
図30.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球は、先行治療ラインの数と負の関連があった。
図31.これは、一次治療又は二次治療としてのCAR-T細胞の使用が、更により良好な奏効率をもたらし得ることを示唆する。ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球は、エフェクターT細胞と正に関連していた。ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球は、CRP及びIL6と負に関連していた。
図32.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球は、骨髄系細胞と負に関連し、CD8及びEM/エフェクターT細胞と正に関連していた。
図33.ベースライン血液学細胞数におけるリンパ球対単球は、中間単球と負に関連し、CD27-CD28+TEMRA及びTreg並びにCD27+CD28+ナイーブ及びTh細胞を含む奏効に関連するアフェレーシス集団との弱い相関を示した。ベースライン血液学におけるリンパ球対単球は、CAR Tピーク細胞増殖及びナイーブ生成物T細胞との関連が限られているか、又は全くなかった。
実施例12
【0384】
アキシカブタゲンシロロイセルは、2ライン以上の全身療法後の再発性又は難治性LBCLの治療のために承認された自己抗-CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法である。グローバル第3相無作為化研究は、アキシカブタゲンシロロイセル対標準治療2L療法の優位性を示した(N=359;無病生存期間中央値[EFS]8.3対2ヶ月、[HR 0.398、P<.0001];推定2年EFS 41%対16%;全奏効率[ORR]83%対50%、Locke et al.NEJM 2021)。この実施例では、臨床転帰に関連するアキシカブタゲンシロロイセル薬物動態(PK)、薬力学(PD)、及び製品属性について議論する。
【0385】
アキシカブタゲンシロロイセルを受けた患者(n=170)からの試料を分析した。PK、PD及びアキシカブタゲンシロロイセルT細胞組成物(ナイーブ、CCR7+CD45RA+;分化型、CCR7-)を、以前に記載された方法論を使用して安全性及び有効性との関連について評価した(Neelapu,et al.NEJM.2017;Locke,et al.Blood Adv.2020)。
【0386】
中央値(Q1、Q3;n=162)ピークCAR T細胞レベル、ピークまでの時間、及び治療の最初の28日以内の曲線下面積(AUC0~28)は、それぞれ、25.8細胞/μl(8.2、57.9)、8日(8、9)、及び236.2細胞/μl*日(76.4、758.0)であった。CAR T細胞ピーク及びAUC0~28は、ORR(それぞれP=.0224及び.0054)及びグレード(Gr)≧3の神経学的事象(NE;P=.0006)と正に相関したが、奏効の持続性(P=.4894)又はGr≧3サイトカイン放出症候群(CRS;P=2040)とは相関しなかった。グランザイムB、フェリチン、IL-6、IL-10、CXCL-10、IL-15、ICAM-1及びGM-CSFを含む血清分析物の急速な一過性の増加は、早期に生じ(中央値ピーク≦7日)、Gr≧3 NE及びGr≧3 CRSと正に関連していた(P<.05)。
【0387】
CD27及びCD28を発現するナイーブ様T細胞がより豊富な注入製品は、EFS、ORR、及び完全奏効と正に関連した(P<.05)。対照的に、より高い%の分化T細胞(CCR7-)及びより低い%のCCR7+CD45RA+T細胞を有する注入製品は、いくつかの炎症促進性血清分析物及び免疫調節性血清分析物の注入後ピークレベル及びAUC0~28と正に関連した。Gr≧3 NEの割合の増加が、中央値数を超えるCCR7-T細胞を有するアキシカブタゲンシロロイセルを受けた患者において見出された(中央値超:30%対中央値未満:10%)。これと相関して、CD19発現標的との産物共培養においてより高いレベルのIFN-γを分泌したアキシカブタゲンシロロイセルを投与された患者において、Gr≧3のNE及びCRSのより高い割合の傾向が観察された。
【0388】
要約すると、無作為化第3相試験におけるアキシカブタゲンシロロイセルのPK及びPDプロファイルは臨床転帰と関連していた。注入前の製品の特徴及び注入後のPK/PDプロファイルは、安全性及び有効性の転帰と関連しており、このことは、若年性T細胞表現型(CCR7+CD45RA+)に対する製品組成の最適化がアキシカブタゲンシロロイセル治療指数を改善し得ることを示唆している。
【配列表】