(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】骨伝導補聴装置の構成方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H04R 25/00 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
H04R25/00 J
H04R25/00 F
H04R25/00 L
(21)【出願番号】P 2023543182
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2021090136
(87)【国際公開番号】W WO2022226761
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼ 冰岩
(72)【発明者】
【氏名】李 伯▲誠▼
(72)【発明者】
【氏名】唐 惠芳
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【審査官】松崎 孝大
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-244696(JP,A)
【文献】特開2012-147077(JP,A)
【文献】特開2014-236439(JP,A)
【文献】特開2016-116202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0138062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の難聴データを取得するステップと、
前記難聴データに基づいて、各音響レベル及び各周波数帯域における骨伝導補聴装置の基準出力パラメータを決定するステップと、
少なくとも前記周波数帯域に関連する、前記基準出力パラメータの調整値を取得するステップと、
前記基準出力パラメータ及び前記調整値に基づいて、前記骨伝導補聴装置を構成するステップと、
を含む、骨伝導補聴装置の構成方法。
【請求項2】
前記基準出力パラメータ及び前記調整値に基づいて、前記骨伝導補聴装置を構成するステップは、周波数が0Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記調整値に基づいて前記基準出力パラメータを低減するステップを含む、請求項1に記載の構成方法。
【請求項3】
異なる聴力レベル及び同じ周波数帯域における前記調整値は同じである、請求項1に記載の構成方法。
【請求項4】
周波数が0Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、1dB~12dBである、請求項2に記載の構成方法。
【請求項5】
周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、5dB~12dBに設定され、
周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、3dB~9dBに設定され、及び/又は、
周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、1dB~6dBに設定される、請求項2に記載の構成方法。
【請求項6】
異なる聴力レベル及び同じ周波数帯域における前記調整値は異なる、請求項1に記載の構成方法。
【請求項7】
前記基準出力パラメータの調整値を取得するステップは、
前記各周波数帯域及び前記各音響レベルに対する前記着用者の振動知覚の程度に関連し、前記各周波数帯域及び前記各音響レベルに対応する第1の閾値を決定するステップと、
前記各周波数帯域及び各音響レベルにおける前記着用者の語音明瞭度に関連し、前記各周波数帯域及び前記各音響レベルに対応する第2の閾値を決定するステップと、
前記基準出力パラメータ、前記第1の閾値及び前記第2の閾値に基づいて前記調整値を決定するステップと、
を含む、請求項
6に記載の構成方法。
【請求項8】
前記基準出力パラメータ、前記第1の閾値及び前記第2の閾値に基づいて前記調整値を決定するステップは、
前記各音響レベルのうちのある音響レベル及び前記各周波数帯域のうちのある周波数帯域における基準出力パラメータについて、
前記基準出力パラメータから前記第1の閾値を減算して比較値を得るステップと、
前記比較値と前記第2の閾値とを比較するステップと、
前記比較値と前記第2の閾値との比較結果に基づいて、前記基準出力パラメータに対応する調整値を決定するステップと、
を含む、請求項
7に記載の構成方法。
【請求項9】
前記比較値と前記第2の閾値との比較結果に基づいて、前記基準出力パラメータに対応する調整値を決定するステップは、
前記比較値が0以下である場合、前記調整値は、0dBであることと、
前記比較値が0より大きく前記第2の閾値以下である場合、前記調整値は、前記比較値であることと、
前記比較値が前記第2の閾値より大きい場合、前記調整値は、前記第2の閾値であることと、
を含む、請求項
8に記載の構成方法。
【請求項10】
周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、前記第1の閾値は、48dB~52dBの範囲内にあり、
周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、前記第1の閾値は、49dB~54dBの範囲内にあり、及び/又は、
周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記第1の閾値は、50dB~55dBの範囲内にある、請求項
7に記載の構成方法。
【請求項11】
周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、前記第2の閾値は、5dB~10dBの範囲内にあり、
周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、前記第2の閾値は、3dB~7dBの範囲内にあり、及び/又は、
周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記第2の閾値は、1dB~4dBの範囲内にある、請求項
7に記載の構成方法。
【請求項12】
前記基準出力パラメータ及び前記調整値に基づいて、前記骨伝導補聴装置を構成するステップは、
前記基準出力パラメータ及び前記調整値に基づいて、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムを使用して前記骨伝導補聴装置を構成するステップを含む、請求項1に記載の構成方法。
【請求項13】
前記基準出力パラメータの調整値を取得するステップは、
前記基準出力パラメータと、前記各周波数帯域及び前記各音響レベルに対する前記着用者の振動知覚の程度に関連する第1の閾値とを比較するステップと、
前記基準出力パラメータと前記第1の閾値との比較結果に基づいて、前記基準出力パラメータに対応する前記調整値を決定するステップと、
を含む、請求項
12に記載の構成方法。
【請求項14】
前記調整値は、前記各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合の、前記マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムのゲイン低減値を含み、
前記基準出力パラメータと前記第1の閾値との比較結果に基づいて、前記基準出力パラメータに対応する前記調整値を決定するステップは、
前記基準出力パラメータが前記第1の閾値以下である場合、前記ゲイン低減値は、0dBであることと、
前記基準出力パラメータが前記第1の閾値より大きい場合、前記ゲイン低減値は、前記第1の閾値と前記基準出力パラメータとの差であることと、
を含む、請求項
13に記載の構成方法。
【請求項15】
前記調整値は、前記各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合の、前記マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの最大出力の低減値を含み、
前記基準出力パラメータと前記第1の閾値との比較結果に基づいて、前記基準出力パラメータに対応する調整値を決定するステップは、
前記基準出力パラメータが前記第1の閾値以下である場合、前記最大出力の低減値は、0dBであることと、
前記基準出力パラメータが前記第1の閾値より大きい場合、前記最大出力の低減値は、0dBより大きいことと、
を含む、請求項
13に記載の構成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、骨伝導補聴の分野に関し、特に骨伝導補聴装置を構成する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
骨伝導補聴装置は、骨伝導技術を使用して設計及び製造された補聴装置である。骨伝導補聴装置は、骨伝導補聴器又は骨伝導補聴イヤホンであってもよい。骨伝導補聴装置は、主に外部の音声情報を増幅して機械的振動に変換して、外部の音に機械的振動の形で人の頭蓋骨、骨迷路、内耳リンパ液、スクリュー、聴覚神経を順に通過させて大脳皮質の聴覚中枢に伝達する。従来の空気伝導補聴器と比較して、骨伝導補聴装置の音波信号は、外耳道及び鼓膜を通過せず、骨を介して聴覚神経に直接伝達することができ、従来の空気伝導補聴器が外耳道を塞ぐことによって引き起こされる圧迫感及び耳詰まりを回避し、また、骨伝導補聴装置は、着用者により快適な着用体験をもたらすことができる。また、骨伝導補聴装置は、耳に埋め込む必要がなく、外耳道の炎症を効果的に回避することもできる。したがって、難聴患者による骨伝導補聴装置の使用は、ますます広くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
骨伝導補聴装置は、振動の伝達によって着用者に音声を聞かせるため、使用中に激しい振動が発生し、着用者の着用体験に影響を与える場合がある。穏やかな振動は着用者の聴取効果に影響を与えるため、着用者の聴取効果に影響を与えることなく、特定の状況下での骨伝導補聴装置の激しい振動を改善する骨伝導補聴装置の構成方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の一実施例は、着用者の難聴データを取得するステップと、前記難聴データに基づいて、各音響レベル及び各周波数帯域における骨伝導補聴装置の基準出力パラメータを決定するステップと、少なくとも前記周波数帯域に関連する、前記基準出力パラメータの調整値を取得するステップと、前記基準出力パラメータ及び前記調整値に基づいて、前記骨伝導補聴装置を構成するステップとを含む、骨伝導補聴装置の構成方法を提供する。
【0005】
いくつかの実施例において、前記基準出力パラメータ及び前記調整値に基づいて、前記骨伝導補聴装置を構成するステップは、周波数が0Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記調整値に基づいて前記基準出力パラメータを低減するステップを含む。
【0006】
いくつかの実施例において、異なる聴力レベル及び同じ周波数帯域における前記調整値は同じである。
【0007】
いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、1dB~12dBである。
【0008】
いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、5dB~12dBに設定され、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、3dB~9dBに設定され、及び/又は、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、1dB~6dBに設定される。
【0009】
いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、5dB~7dBであり、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、3dB~5dBであり、及び/又は、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、1dB~3dBである。
【0010】
いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、10dB~12dBであり、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、7dB~9dBであり、及び/又は、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記調整値は、4dB~6dBである。
【0011】
いくつかの実施例において、異なる聴力レベル及び同じ周波数帯域における前記調整値は異なる。
【0012】
いくつかの実施例において、前記基準出力パラメータの調整値を取得するステップは、前記各周波数帯域及び前記各音響レベルに対する前記着用者の振動知覚の程度に関連し、前記各周波数帯域及び前記各音響レベルに対応する第1の閾値を決定するステップと、前記各周波数帯域及び各音響レベルにおける前記着用者の語音明瞭度に関連し、前記各周波数帯域及び前記各音響レベルに対応する第2の閾値を決定するステップと、前記基準出力パラメータ、前記第1の閾値及び前記第2の閾値に基づいて前記調整値を決定するステップとを含む。
【0013】
いくつかの実施例において、前記基準出力パラメータ、前記第1の閾値及び前記第2の閾値に基づいて前記調整値を決定するステップは、前記各音響レベルのうちのある音響レベル及び前記各周波数帯域のうちのある周波数帯域における基準出力パラメータについて、前記基準出力パラメータから前記第1の閾値を減算して比較値を得るステップと、前記比較値と前記第2の閾値とを比較するステップと、前記比較値と前記第2の閾値との比較結果に基づいて、前記基準出力パラメータに対応する調整値を決定するステップとを含む。
【0014】
いくつかの実施例において、前記比較値と前記第2の閾値との比較結果に基づいて、前記基準出力パラメータに対応する調整値を決定するステップは、前記比較値が0以下である場合、前記調整値は、0dBであることと、前記比較値が0より大きく前記第2の閾値以下である場合、前記調整値は、前記比較値であることと、前記比較値が前記第2の閾値より大きい場合、前記調整値は、前記第2の閾値であることとを含む。
【0015】
いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、前記第1の閾値は、48dB~52dBの範囲内にある。
【0016】
いくつかの実施例において、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、前記第1の閾値は、49dB~54dBの範囲内にある。
【0017】
いくつかの実施例において、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記第1の閾値は、50dB~55dBの範囲内にある。
【0018】
いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、前記第2の閾値は、5dB~10dBの範囲内にある。
【0019】
いくつかの実施例において、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、前記第2の閾値は、3dB~7dBの範囲内にある。
【0020】
いくつかの実施例において、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、前記第2の閾値は、1dB~4dBの範囲内にある。
【0021】
いくつかの実施例において、前記基準出力パラメータ及び前記調整値に基づいて、前記骨伝導補聴装置を構成するステップは、前記基準出力パラメータ及び前記調整値に基づいて、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムを使用して前記骨伝導補聴装置を構成するステップを含む。
【0022】
いくつかの実施例において、前記基準出力パラメータの調整値を取得するステップは、前記基準出力パラメータと、前記各周波数帯域及び前記各音響レベルに対する前記着用者の振動知覚の程度に関連する第1の閾値とを比較するステップと、前記基準出力パラメータと前記第1の閾値との比較結果に基づいて、前記基準出力パラメータに対応する前記調整値を決定するステップとを含む。
【0023】
いくつかの実施例において、前記調整値は、前記各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合の、前記マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムのゲイン低減値を含み、前記基準出力パラメータと前記第1の閾値との比較結果に基づいて、前記基準出力パラメータに対応する前記調整値を決定するステップは、前記基準出力パラメータが前記第1の閾値以下である場合、前記ゲイン低減値は、0dBであることと、前記基準出力パラメータが前記第1の閾値より大きい場合、前記ゲイン低減値は、前記第1の閾値と前記基準出力パラメータとの差であることとを含む。
【0024】
いくつかの実施例において、前記調整値は、前記各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合の、前記マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの最大出力の低減値を含み、前記基準出力パラメータと前記第1の閾値との比較結果に基づいて、前記基準出力パラメータに対応する調整値を決定するステップは、前記基準出力パラメータが前記第1の閾値以下である場合、前記最大出力の低減値は、0dBであることと、前記基準出力パラメータが前記第1の閾値より大きい場合、前記最大出力の低減値は、0dBより大きいこととを含む。
【0025】
本願の一実施例は、着用者の難聴データを取得する取得モジュールと、難聴データに基づいて、各音響レベル及び各周波数帯域における骨伝導補聴装置の基準出力パラメータを決定する基準出力パラメータ決定モジュールと、基準出力パラメータの調整値を取得する調整値決定モジュールと、基準出力パラメータ及び調整値に基づいて、骨伝導補聴装置を構成する構成モジュールとを含む、骨伝導補聴装置の構成システムを提供する。
【0026】
本願の一実施例は、処理装置と、前記処理装置と通信し、命令を記憶する記憶装置とを含み、前記処理装置は、前記記憶された命令を実行すると、上記技術的解決手段のいずれかに記載の骨伝導補聴装置の構成方法を実行する、骨伝導補聴装置の構成装置を提供する。
【0027】
本願の一実施例は、コンピュータ命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータは、前記記憶媒体内のコンピュータ命令を読み取ると、上記技術的解決手段のいずれかに記載の骨伝導補聴装置の構成方法を実行する、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0028】
例示的な実施例によって本願をさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面により詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例において、同じ番号は、同じ構造を表す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導補聴装置の構成装置の概略図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導補聴装置の概略構成図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導補聴装置の構成システムのモジュール図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導補聴装置の構成方法のフローチャートである。
【
図5】本願の他のいくつかの実施例に係る調整値を決定するフローチャートである。
【
図6】本願の他のいくつかの実施例に係る調整値を決定するフローチャートである。
【
図7】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導補聴装置の使用中に実行される操作のフローチャートである。
【
図8】実験により測定された、着用者が骨伝導補聴装置を着用したときの異なる周波数での振動知覚閾値を示す図である。
【
図9】着用者1に対する語音明瞭度テストの実験結果を示す図である。
【
図10】着用者2に対する語音明瞭度テストの実験結果を示す図である。
【
図11】着用者3に対する語音明瞭度テストの実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本明細書の例又は実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本明細書を他の類似するシナリオに適用することができる。文脈から明らかではない限り又は明記しない限り、図面において、同じ符号は、同じ構造又は操作を表す。
【0031】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」、及び/又は「モジュール」が、レベルの異なる様々なコンポーネント、素子、部材、部分又は組立体を区別する方法であることが理解されよう。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0032】
本明細書及び特許請求の範囲に示すように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を指すものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器は、他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0033】
本明細書では、フローチャートを用いて本明細書の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序に従って正確に実行されるとは限らないことが理解されよう。その代わりに、各ステップを逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0034】
図1は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導補聴装置の構成装置の概略図である。
図1に示すように、骨伝導補聴装置の構成システム100は、骨伝導補聴装置110、処理装置120、メモリ130、1つ以上の端末140及びネットワーク150を含んでもよい。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置110、処理装置120、メモリ130及び/又は端末140は、無線接続(例えば、ネットワーク150)、有線接続又はそれらの組み合わせによって互いに接続及び/又は通信することができる。骨伝導補聴装置の構成システム100のコンポーネント間の接続は変更することができる。単なる例として、
図1に示すように、骨伝導補聴装置110は、ネットワーク150を介して処理装置120に接続されてもよい。また例えば、骨伝導補聴装置110は、処理装置120に直接接続されてもよい。さらに例えば、メモリ130は、
図1に示すように、ネットワーク150を介して処理装置120に接続されてもよく、処理装置120に直接接続されてもよい。さらに別の例として、端末140は、
図1に示すように、ネットワーク150を介して処理装置120に接続されてもよく、処理装置120に直接接続されてもよい。
【0035】
骨伝導補聴装置110は、音声情報(例えば、環境音、着用者の声、他の装置から取得したオーディオファイルなど)を取得し、取得した音声情報を処理して振動信号に変換し、着用者の骨などを介して着用者の聴覚中枢に伝達することにより、着用者が該振動信号によって搬送された音声情報を聞くことができる。具体的には、骨伝導補聴装置は、骨伝導補聴器であってもよく、骨伝導補聴イヤホンであってもよい。本明細書では、主に骨伝導補聴装置が骨伝導補聴器であることを例として説明する。
【0036】
いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置110(例えば、骨伝導補聴器)は、ピックアップアセンブリ、スピーカーアセンブリなどを含んでもよい。ピックアップアセンブリは、音声情報(第1の振動信号とも呼ばれ、例えば、環境音、着用者の声)をピックアップし、ピックアップした第1の振動信号を処理して音声情報を搬送する電気信号に変換する。スピーカーアセンブリは、ピックアップアセンブリが取得した音声情報を搬送する電気信号を、音声情報を搬送する第2の振動信号に変換して着用者の聴覚中枢に伝達することができる。骨伝導補聴装置110の詳細な説明について、本願の他の箇所の説明(例えば、
図2及びその詳細な説明)を参照することができる。
【0037】
いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置の異なる着用者に対して、着用者の聴力レベル(すなわち、難聴レベル)が異なるため、骨伝導補聴装置の構成は異なる場合がある。本明細書で説明されるように、骨伝導補聴装置の構成とは、骨伝導補聴装置が出力する音声信号の強度に関連するパラメータ値(パラメータとも呼ばれる)及び/又はその決定プロセスであり、これにより、骨伝導補聴装置は、パラメータ値に基づいて音声信号を出力することができる。骨伝導補聴装置の出力信号の強度に関連するパラメータ値は、ゲイン値(単位:dB)、アナログ出力値(単位:dB)などを含んでもよい。いくつかの実施例において、ゲイン値は、補聴器が音声信号の強度を増幅する値であってもよく、アナログ出力値は、補聴器が入力された音声信号のパラメータ(例えば、音声信号の強度値)に基づくアナログの出力信号の強度値であってもよい。例えば、アナログ出力値は、音声信号の入力値(すなわち、強度値、単位:dB)にゲイン値(単位:dB)を加算した値に等しくてもよい。骨伝導補聴装置の構成システム100は、異なる着用者の聴力レベルに応じて、着用者の聴力レベルに対応する骨伝導補聴装置の構成を決定することができる。骨伝導補聴装置110は、該構成に基づいて、取得した音声情報(例えば、環境音、着用者の声、他の装置から取得したオーディオファイルなど)を処理及び出力して、着用者に音声を聞かせることができる。
【0038】
処理装置120は、骨伝導補聴装置110、メモリ130及び/又は端末140から取得したデータ及び/又は情報を処理することができる。例えば、処理装置120は、骨伝導補聴装置110の着用者の難聴データを取得することができる。また例えば、処理装置120は、難聴データに基づいて、各音響レベル及び各周波数帯域における骨伝導補聴装置110の基準出力パラメータを決定することができる。また例えば、処理装置120は、基準出力パラメータの調整値を取得することができる。さらに例えば、処理装置120は、基準出力パラメータ及び調整値に基づいて、骨伝導補聴装置110を構成することができる。
【0039】
いくつかの実施例において、処理装置120は、単一のサーバ又はサーバ群であってもよい。サーバ群は、集中型又は分散型であってもよい。いくつかの実施例において、処理装置120は、ローカル又はリモートであってもよい。例えば、処理装置120は、ネットワーク150によって骨伝導補聴装置110、端末140及び/又はメモリ130に記憶された情報及び/又はデータにアクセスすることができる。また例えば、処理装置120は、骨伝導補聴装置110、端末140及び/又はメモリ130に直接接続されて、記憶された情報及び/又はデータにアクセスすることができる。いくつかの実施例において、処理装置120は、クラウドプラットフォームに実装されてもよい。単なる例として、該クラウドプラットフォームは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、コミュニティクラウド、分散クラウド、インターナルクラウド、マルチクラウドなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、処理装置120は、コンピューティング装置に実装されてもよい。いくつかの実施例において、処理装置120又はその一部は、骨伝導補聴装置110に統合されてもよい。いくつかの実施例において、処理装置120又はその一部は、端末140に統合されてもよい。
【0040】
メモリ130は、データ、命令、及び/又は任意の他の情報を記憶することができる。いくつかの実施例において、メモリ130は、端末140及び/又は処理装置120から取得したデータを記憶することができる。いくつかの実施例において、メモリ130は、処理装置120によって実行され得る、又は本願に記載の例示的な方法を実行するために使用されるデータ及び/又は命令を記憶することができる。いくつかの実施例において、メモリ130は、大容量記憶装置、リムーバブル記憶装置、揮発性読み書きメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、メモリ130は、クラウドプラットフォームに実装されてもよい。単なる例として、該クラウドプラットフォームは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、コミュニティクラウド、分散クラウド、インターナルクラウド、マルチクラウドなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、メモリ130は、ネットワーク150に接続されて、骨伝導補聴装置の構成システム100の1つ以上の他のコンポーネント(例えば、処理装置120、端末140など)と通信することができる。骨伝導補聴装置の構成システム100の1つ以上のコンポーネントは、ネットワーク150によってメモリ130に記憶されたデータ又は命令にアクセスすることができる。いくつかの実施例において、メモリ130は、骨伝導補聴装置の構成システム100の1つ以上の他のコンポーネント(例えば、処理装置120、端末140など)に直接接続又は通信することができる。いくつかの実施例において、メモリ130は、処理装置120の一部であってもよい。
【0041】
端末140は、モバイルデバイス141、タブレットコンピュータ142、ラップトップコンピュータ143、スマートウォッチ144など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、モバイルデバイス141は、スマートホームデバイス(例えば、スマート家電の制御デバイス、スマート監視デバイス、スマートテレビ、スマートカメラ)、ウェアラブルデバイス(例えば、メガネ、ヘルメット、アクセサリー、衣類など)、モバイルデバイス(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)、仮想現実デバイス(例えば、仮想現実ヘルメット、仮想現実メガネ、仮想現実アイマスク)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置110は、端末140、例えば、メガネ、アクセサリーなどに統合されてもよい。
【0042】
いくつかの実施例において、ユーザ(例えば、骨伝導補聴装置110の着用者、システムの操作者、医者など)は、端末140によって骨伝導補聴装置の構成システム100とインタラクションすることができる。例えば、ユーザは、端末140のユーザインタラクションインタフェースによって構成要求を送信することができる。処理装置120は、構成要求を受信すると、着用者の難聴データを取得することができる。例えば、処理装置120は、ユーザインタラクションインタフェースによって難聴データ取得要求を端末140に送信することができ、ユーザは、取得要求を受信すると、ユーザインタラクションインタフェースによって着用者の難聴データをアップロードすることができる。処理装置120は、難聴データに基づいて骨伝導補聴装置110を構成することができる。
【0043】
ネットワーク150は、骨伝導補聴装置の構成システム100の情報及び/又はデータの交換を容易にすることができる任意の適切なネットワークを含んでもよい。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置の構成システム100の1つ以上のコンポーネント(例えば、骨伝導補聴装置110、端末140、処理装置120、メモリ130など)は、ネットワーク150によって骨伝導補聴装置の構成システム100の1つ以上の他のコンポーネントと情報及び/又はデータを交換することができる。例えば、処理装置120は、ネットワーク150によって骨伝導補聴装置110から着用者の難聴データ(例えば、聴力レベル)を取得することができる。また例えば、処理装置120は、ネットワーク150を介して端末140からユーザ命令を取得することができる。ネットワーク150は、パブリックネットワーク(例えば、インターネット)、プライベートネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)など)、有線ネットワーク(例えば、イーサネットネットワーク)、無線ネットワーク(例えば、802.11ネットワーク、Wi-Fiネットワークなど)、セルラーネットワーク(例えば、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク)、フレームリレーネットワーク、仮想プライベートネットワーク(「VPN」)、衛星ネットワーク、電話ネットワーク、ルータ、ハブ、スイッチ、サーバコンピュータ、及び/又はそれらの任意の組み合わせであってもよく、及び/又はそれらを含んでもよい。いくつかの実施例において、ネットワーク150は、1つ以上のネットワークアクセスポイントを含んでもよい。例えば、ネットワーク150は、基地局及び/又はインターネット交換ポイントなどの有線及び/又は無線ネットワークアクセスポイントを含んでもよく、骨伝導補聴装置の構成システム100の1つ以上のコンポーネントは、該アクセスポイントを介してネットワーク150に接続されてデータ及び/又は情報を交換することができる。
【0044】
該説明は、例示的なものであり、本願の範囲を限定するものではない。多くの置換、修正及び変更は、当業者には明らかである。本願に記載の例示的な実施形態の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、他の例示的な実施例及び/又は代替の例示的な実施例を得ることができる。例えば、メモリ130は、パブリッククラウド、プライベートクラウド、コミュニティクラウド及びハイブリッドクラウドなどのクラウドコンピューティングプラットフォームを含むデータ記憶装置であってもよい。しかしながら、これらの変更及び修正は、本願の範囲から逸脱していない。
【0045】
図2は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導補聴装置の概略構成図である。
図2に示すように、骨伝導補聴装置200は、スピーカーアセンブリ210、ピックアップアセンブリ220及び支持アセンブリ230を含んでもよい。
【0046】
スピーカーアセンブリ210は、音声情報を含む信号を振動信号に変換することができる。いくつかの実施例において、音声情報は、特定のデータフォーマットのビデオファイル、オーディオファイル、又は特定の方法で音声に変換可能なデータ若しくはファイルを含んでもよい。音声情報を含む信号は、電気信号、光信号、磁気信号、機械信号などのうちの1種又は複数種の組み合わせを含んでもよい。音声情報を含む信号は、1つの信号源又は複数の信号源からのものであってもよい。複数の信号源は、関連してもよく、関連しなくてもよい。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置200は、様々な異なる方式で音声情報を含む信号を取得することができ、信号の取得は、有線又は無線、リアルタイム又は遅延で行われてもよい。例えば、骨伝導補聴装置200は、有線又は無線の方式で音声情報を含む電気信号を受信することができる。また例えば、骨伝導補聴装置200は、環境音をピックアップし、音の機械的振動を電気信号に変換し、増幅器によって処理して特定の要件を満たす電気信号を取得する集音機能を有するコンポーネント(例えば、ピックアップアセンブリ220)を含んでもよい。
【0047】
スピーカーアセンブリ210が音声情報を含む信号を振動信号に変換することは、エネルギー変換プロセスである。変換プロセスには、複数の異なるタイプのエネルギーの共存及び変換が含まれる場合がある。スピーカーアセンブリ210は、1つ以上のエネルギー変換装置を含んでもよく、例えば、電気信号は、エネルギー変換装置によって機械的振動に直接変換されて、音を発生させることができる。また例えば、音声情報は、光信号に含まれてもよく、エネルギー変換装置は、光信号を振動信号に変換するプロセスを実現することができる。エネルギー変換装置の動作中に共存及び変換することができる他のタイプのエネルギーは、熱エネルギー、磁場エネルギーなどを含む。いくつかの実施例において、スピーカーアセンブリ210は、磁気回路アセンブリ211と振動アセンブリ213(磁気回路アセンブリ211及び振動アセンブリ213は、エネルギー変換装置と呼ばれてもよい)との協働により、音声情報信号から振動信号への変換を実現することができる。磁気回路アセンブリ211は、磁場を提供するように構成され、振動アセンブリ213は、磁場中でアンペア力を受けて機械的に振動するように構成される。例えば、磁気回路アセンブリ211は、磁石を含んでもよい。振動アセンブリ213は、磁気振動子及び振動片を含んでもよい。磁気振動子(例えば、ボイスコイル)は、アンペア力の作用下で磁場内を往復運動し、運動中に振動片を振動させる。上記プロセスにおいて、音声情報は、磁気振動子の振動に対応してもよく、音声情報の周波数及び強度に基づいて磁気振動子の振動周波数及び振幅を決定してもよい。いくつかの実施例において、磁気回路アセンブリ及び磁気振動子の一方は、電磁石であってもよく、電磁石のコイルの数及び/又は電流強度を制御することにより磁場の強度を制御し、さらに磁気振動子の振幅を制御してもよく、電磁石のコイルの電流方向変化周波数を制御することにより磁気振動子の振動周波数を制御してもよい。このプロセスにおいて、音声情報に対してゲインを行うことができ、例えば、磁気振動子の振幅を大きくすることで音声情報の大きさに対するゲインを行うことができる。
【0048】
振動アセンブリの具体的なエネルギー変換方式は、具体的には、可動コイル式、静電式、圧電式、バランスドアーマチュア式、空気圧式、電磁式などを含んでもよい。骨伝導補聴装置200の周波数応答範囲及び音質は、振動アセンブリからの影響を受ける場合がある。例えば、可動コイル式エネルギー変換装置において、振動アセンブリは、巻回された円筒状のボイスコイル及び振動体(例えば、振動片又は振動膜)を含んでもよく、信号電流によって駆動される円筒状のボイスコイルは、磁場中で振動体を振動させて音を発生させ、振動体の素材の伸び縮み、ひだの変形、大きさ、形状及び固定方法、磁場の磁密度などは、いずれも骨伝導補聴装置の音質に大きな影響を与える。振動アセンブリの振動体は、鏡面対称の構造、中心対称の構造、又は非対称の構造であってもよく、振動体には、不連続な孔状構造が設置されてもよく、振動体を大きく変位させることにより、骨伝導補聴装置200の感度をより高くし、振動及び音声の出力パワーを向上させる。振動体は、トーラス構造であってもよく、トーラス構造内に中心に向かって収束する複数の支柱が設置され、支柱の数は、2つ以上であってもよい。
【0049】
ピックアップアセンブリ220は、主に、ユーザの音声、ユーザが位置する環境の環境音などをピックアップする。聴覚障害者にとって、ピックアップアセンブリ220のピックアップ効果は、聴覚障害者が骨伝導補聴装置によって受け取る音の明瞭さ、安定度などに影響を与える。いくつかの実施例において、ピックアップアセンブリ220は、マイクロフォンを含んでもよい。いくつかの実施例において、ピックアップアセンブリ220は、外部の音声信号を電気信号に変換することができる。いくつかの実施例において、ピックアップアセンブリ220は、振動板、コイル及び磁石を含んでもよい。振動板は、コイルに接続されてもよく、コイルは、磁石によって生成される磁場中に設置されてもよい。外部の音波(すなわち、音声信号又は振動信号)は、振動板を振動させることができ、振動板は、コイルを一緒に移動させるように駆動することができ、磁石によって生成される磁場中でコイルが移動すると電流が発生し、それにより音声信号が電気信号に変換され、外部の音声のピックアップが完了する。
【0050】
支持アセンブリ230は、骨伝導補聴装置200の他の素子(例えば、磁気回路アセンブリ、振動アセンブリ及び/又は記憶アセンブリ、電源アセンブリ、通信アセンブリ(図示せず)、ピックアップアセンブリ220)を支持することができる。支持アセンブリ230は、1つ以上のハウジングと、1つ以上の接続部材とを含んでもよい。1つ以上のハウジングは、記憶アセンブリ、コントローラ、ピックアップアセンブリ220、通信アセンブリ、電池アセンブリなどを収容する収容キャビティ232を形成してもよい。1つ以上の接続部材は、ハウジングと骨伝導補聴装置200の他の素子(例えば、磁気回路アセンブリ、振動アセンブリ及び/又は記憶アセンブリ、電源アセンブリ、通信アセンブリ(図示せず)、ピックアップアセンブリ220)とを接続してもよい。
【0051】
骨伝導補聴装置200に関する有線接続は、金属ケーブル、光ケーブル、又は金属ケーブルと光ケーブルのハイブリッドケーブル、例えば、同軸ケーブル、通信ケーブル、フレキシブルケーブル、スパイラルケーブル、非金属シースケーブル、金属シースケーブル、多芯ケーブル、ツイストペアケーブル、リボンケーブル、シールドケーブル、通信ケーブル、ツインペアケーブル、並列二芯リード、ツイストペアワイヤなどの1種又は複数種の組み合わせを含んでもよい。上述した例は、説明の便宜上のものに過ぎず、有線接続の媒体は、他のタイプ、例えば、他の電気信号又は光信号などの伝送キャリアであってもよい。
【0052】
骨伝導補聴装置200に関する無線接続は、無線通信、自由空間光通信、音響通信、及び電磁誘導などを含んでもよい。無線通信は、IEEE802.11シリーズの規格、IEEE802.15シリーズの規格(例えば、ブルートゥース(登録商標)技術及びジグビー技術など)、第1世代移動通信技術、第2世代移動通信技術(例えば、FDMA、TDMA、SDMA、CDMA、及びSSMAなど)、汎用パケット無線サービス技術、第3世代移動通信技術(例えば、CDMA2000、WCDMA(登録商標)、TD-SCDMA、及びWIMAXなど)、第4世代移動通信技術(例えば、TD-LTE及びFDD-LTEなど)、衛星通信(例えば、GPS技術など)、近距離無線通信(NFC)及びISM周波数帯域(例えば、2.4GHzなど)で動作するその他の技術を含んでもよい。自由空間光通信は、可視光信号、赤外線信号などを含んでもよい。音響通信は、音波信号、超音波信号などを含んでもよい。電磁誘導は、近距離無線通信技術などを含んでもよい。上述した例は、説明の便宜上のものに過ぎず、無線接続の媒体は、その他のタイプのもの、例えば、Z-wave技術、他の有料の民間無線周波数帯域、軍用無線周波数帯域などであってもよい。例えば、本技術のいくつかの適用シナリオにおいて、骨伝導補聴装置200は、ブルートゥース(登録商標)技術により他の装置から音声情報を含む信号を取得することができる。
【0053】
骨伝導補聴装置200の構造に関する上記説明は、具体的な例に過ぎず、唯一の実行可能な実施形態と見なされるべきではない。明らかに、当業者であれば、骨伝導補聴装置200の基本的な原理を理解した上で、この原理から逸脱することなく、骨伝導補聴装置200を実装する具体的な方式及びステップの形態及び詳細に対して様々な修正及び変更を行うことができるが、これらの修正及び変更は依然として以上に説明した範囲内にある。例えば、骨伝導補聴装置200は、1つ以上のプロセッサを含んでもよく、プロセッサは、1つ以上の音声信号処理アルゴリズムを実行することができる。音声信号処理アルゴリズムは、音声信号を補正するか又は強化することができる。例えば、音声信号に対して、ノイズキャンセレーション、音響フィードバック抑制、ワイドダイナミックレンジ圧縮、自動ゲイン制御、能動的環境認識、能動的騒音防止、指向処理、耳鳴防止処理、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮、能動的ハウリング抑制、音量制御、又は他の類似する処理、又は以上の任意の組み合わせの処理を行い、これらの修正及び変更は、依然として本発明の特許請求の範囲内にある。また例えば、骨伝導補聴装置は、1つ以上のセンサ、例えば、温度センサ、湿度センサ、速度センサ、変位センサなどを含んでもよい。センサは、ユーザ情報又は環境情報を収集することができる。さらに例えば、記憶アセンブリは必須ではなく、骨伝導補聴装置から取り外されてもよい。
【0054】
いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置の構成システムは、主に着用者の難聴データに基づいて、予め設定された式又は補聴器構成システムの予め設定されたアルゴリズムに従って構成される。例えば、補聴器構成システムにおいて、着用者の難聴データを補聴器構成システムに入力すると、補聴器構成システムは、予め設定されたアルゴリズムに従って補聴器の関連パラメータ値を自動的に出力することができる。予め設定されたアルゴリズムのみに従って骨伝導補聴装置を直接構成すると、構成された骨伝導補聴装置200があるシナリオ(例えば、着用者自身が話すとき、環境音が大きすぎるとき)において比較的激しい振動を発生させ、着用者に不快感を与える可能性がある。
【0055】
本願は、骨伝導補聴装置の構成システムを提供し、
図3は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導補聴装置の構成システムのモジュール図である。
図3に示すように、骨伝導補聴装置の構成システム300は、取得モジュール310、基準出力パラメータ決定モジュール320、調整値決定モジュール330及び構成モジュール340を含む。各モジュール間の接続形態は、有線、無線、又はその両者の組み合わせであってもよい。いずれのモジュールもローカル、リモート、又はその両者の組み合わせであってもよい。モジュール間の対応関係は、1対1又は1対多であってもよい。
【0056】
いくつかの実施例において、取得モジュール310は、着用者の難聴データを取得することができる。
【0057】
いくつかの実施例において、基準出力パラメータ決定モジュール320は、難聴データに基づいて、各音響レベル及び各周波数帯域における骨伝導補聴装置の基準出力パラメータを決定することができる。
【0058】
いくつかの実施例において、調整値決定モジュール330は、基準出力パラメータの調整値を取得することができる。いくつかの実施例において、異なる聴力レベル及び同じ周波数帯域における調整値は同じである。いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、調整値は、1dB~12dBである。いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、調整値は、5dB~12dBに設定され、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、調整値は、3dB~9dBに設定され、及び/又は、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、調整値は、1dB~6dBに設定される。いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、調整値は、5dB~7dBであり、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、調整値は、3dB~5dBであり、及び/又は、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、調整値は、1dB~3dBである。いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、調整値は、10dB~12dBであり、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、調整値は、7dB~9dBであり、及び/又は、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、調整値は、4dB~6dBである。いくつかの実施例において、異なる聴力レベル及び同じ周波数帯域における調整値は異なる。いくつかの実施例において、調整値決定モジュール330は、各周波数帯域及び各音響レベルに対する着用者の振動知覚の程度に関連し、各周波数帯域及び各音響レベルに対応する第1の閾値を決定し、各周波数帯域及び各音響レベルにおける着用者の語音明瞭度に関連し、各周波数帯域及び各音響レベルに対応する第2の閾値を決定し、基準出力パラメータ、第1の閾値及び第2の閾値に基づいて調整値を決定することができる。いくつかの実施例において、調整値決定モジュール330は、各音響レベルのうちのある音響レベル及び各周波数帯域のうちのある周波数帯域における基準出力パラメータについて、基準出力パラメータから第1の閾値を減算して比較値を得て、比較値と第2の閾値とを比較し、比較値と第2の閾値との比較結果に基づいて、基準出力パラメータに対応する調整値を決定することができる。いくつかの実施例において、調整値決定モジュール330は、比較値が0以下であることに応答して、調整値を0dBに設定し、比較値が0より大きく第2の閾値以下であることに応答して、調整値を比較値に設定し、比較値が第2の閾値より大きいことに応答して、調整値を第2の閾値に設定することができる。
【0059】
いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、第1の閾値は、48dB~52dBの範囲内にある。いくつかの実施例において、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、第1の閾値は、49dB~54dBの範囲内にある。いくつかの実施例において、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、第1の閾値は、50dB~55dBの範囲内にある。いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、第2の閾値は、5dB~10dBの範囲内にある。いくつかの実施例において、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、第2の閾値は、3dB~7dBの範囲内にある。いくつかの実施例において、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、第2の閾値は、1dB~4dBの範囲内にある。
【0060】
いくつかの実施例において、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムを使用して骨伝導補聴装置を構成する場合、調整値決定モジュール330は、基準出力パラメータと、各周波数帯域及び各音響レベルに対する着用者の振動知覚の程度に関連する第1の閾値とを比較し、基準出力パラメータと第1の閾値との比較結果に基づいて、基準出力パラメータに対応する調整値を決定することができる。いくつかの実施例において、調整値は、各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合のゲイン低減値を含む。調整値決定モジュール330は、基準出力パラメータが第1の閾値以下であることに応答して、ゲイン低減値を0dBに設定し、基準出力パラメータが第1の閾値より大きいことに応答して、ゲイン低減値を、第1の閾値と基準出力パラメータとの差に設定することができる。いくつかの実施例において、調整値は、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの最大出力の低減値を含む。調整値決定モジュール330は、基準出力パラメータが第1の閾値以下であることに応答して、最大出力の低減値を0dBに設定し、基準出力パラメータが第1の閾値より大きいことに応答して、最大出力の低減値を0dBより大きく設定することができる。
【0061】
いくつかの実施例において、構成モジュール340は、基準出力パラメータ及び調整値に基づいて、骨伝導補聴装置を構成することができる。いくつかの実施例において、構成モジュール340は、さらに、周波数が0Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、調整値に基づいて基準出力パラメータを低減することができる。いくつかの実施例において、構成モジュール340は、基準出力パラメータ及び調整値に基づいて、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムを使用して骨伝導補聴装置を構成することができる。
【0062】
なお、処理モジュールに関する上記説明は、具体的な例に過ぎず、唯一の実行可能な実施形態と見なされるべきではない。上記各モジュール又はユニットは必須ではなく、各モジュール又はユニットはいずれも1つ以上の部材によって実現されてもよく、各モジュール又はユニットの機能もそれらに限定されない。上記各モジュール又はユニットは、具体的な実施シナリオ又は必要に応じて追加又は削除することができる。明らかに、当業者であれば、キャパシティスケジューリングプロセスの基本原理を理解した上で、この原理から逸脱することなく、処理モジュールの具体的な実施形態及びステップの形態及び詳細に対して様々な修正及び変更を行うことができ、いくつかの簡単な推論又は置換を行い、創造的な労力を要することなく、各モジュール又はユニットの順序に対して特定の調整、組み合わせ又は分割を行うこともできるが、これらの修正及び変更は依然として以上に説明した範囲内にある。
【0063】
図4は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導補聴装置の構成方法のフローチャートである。
図4に示すように、骨伝導補聴装置の構成方法のプロセス400は、以下のステップ410~ステップ440を含む。
【0064】
ステップ410において、着用者の難聴データを取得する。具体的には、ステップ410は、取得モジュール310によって実行されてもよい。
【0065】
いくつかの実施例において、着用者の難聴データは、着用者の難聴状況に関連するデータとして理解することができる。難聴データは、着用者の各周波数帯域及び各音響レベルにおける聴力レベル(聴力閾値又は難聴レベルともいう)を含んでもよく、本明細書では、聴力レベルに使用される単位はdBHLである。聴力レベルの値が高いほど、着用者の難聴は重度になる。いくつかの実施例において、難聴データは、着用者が過去に着用した補聴器に関連するデータを含んでもよい。例えば、着用者が過去に着用した補聴器に関連するデータは、該着用者が過去に着用した骨伝導補聴装置の構成データを含んでもよい。
【0066】
いくつかの実施例において、聴力レベルは、0dBHL~80dBHLの範囲内にあってもよい。例えば、0dBHL~25dBHLの範囲内にある聴力レベルは、正常な聴力を表してもよく、26dBHL~40dBHLの範囲内にある聴力レベルは、軽度難聴を表してもよく、41dBHL~60dBHLの範囲内にある聴力レベルは、中等度難聴を表し、正常な音が聞こえにくいと表現され、61dBHL~80dBHLの範囲内にある聴力レベルは、重度難聴を表し、大きな音が聞こえにくいと表現され、80dBHLより大きい聴力レベルは、非常に重度の難聴を表し、物音が聞こえにくいと表現される。
【0067】
いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置の着用者の同じ音響レベル(音響レベルの具体的な説明については、ステップ420の関連内容を参照する)及び異なる周波数帯域における聴力レベルは、同じであってもよい。例えば、音響レベルが20dBCの場合、異なる周波数帯域における着用者の聴力レベルは、いずれも41dBHL~60dBHLの範囲内のある値に等しくてもよく、音響レベルが40dBCの場合、異なる周波数帯域における着用者の聴力レベルは、いずれも26dBHL~40dBHLの範囲内のある値に等しくてもよく、音響レベルが60dBCの場合、異なる周波数帯域における着用者の聴力レベルは、いずれも0dBHL~25dBHLの範囲内のある値に等しくてもよい。
【0068】
いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置の着用者の同じ音響レベル及び異なる周波数帯域における聴力レベルは、異なってもよい。例えば、音響レベルが20dBCの場合、高周波数帯域(例えば、8000Hz~12000Hz)における着用者の聴力レベルは、いずれも41dBHL~60dBHLの範囲内のある値に等しくてもよく、低周波数帯域における聴力レベルは、いずれも26dBHL~40dBHLの範囲内のある値に等しくてもよい。
【0069】
いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置の着用者の同じ周波数帯域及び異なる音響レベルでの聴力レベルは、同じであってもよい。例えば、周波数帯域が250Hz~500Hzの場合、異なる音響レベルでの着用者の聴力レベルは、いずれも0dBHL~25dBHLの範囲内のある値に等しくてもよく、周波数帯域が500Hz~1000Hzの場合、異なる音響レベルにおける着用者の聴力レベルは、いずれも26dBHL~40dBHLの範囲内のある値に等しくてもよく、周波数帯域が1000Hz~2000Hzの場合、異なる音響レベルにおける着用者の聴力レベルは、いずれも41dBHL~60dBHLの範囲内のある値に等しくてもよい。
【0070】
いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置の着用者の同じ周波数帯域及び異なる音響レベルでの聴力レベルは、異なってもよい。例えば、周波数帯域が250Hz~500Hzの場合、20dBCの音響レベルでの着用者の聴力レベルは、いずれも41dBHL~60dBHLの範囲内のある値に等しくてもよく、40dBCの音響レベルでの聴力レベルは、いずれも26dBHL~40dBHLの範囲内のある値に等しくてもよく、60dBCの音響レベルでの聴力レベルは、いずれも0dBHL~25dBHLの範囲内のある値に等しくてもよい。
【0071】
いくつかの実施例において、着用者の難聴データは、着用者に対してリアルタイム聴力テストを行うことにより取得することができる。例えば、補聴器技能者は、聴力テスト装置を使用して、着用者に対して聴力テストを行い(例えば、各周波数帯域において、各音響レベルでの音声信号を再生する)、着用者の難聴データを取得することができる。聴力テスト装置によって収集された難聴データは、ネットワーク(例えば、ネットワーク150)によって処理装置(例えば、処理装置120)又は記憶装置に直接アップロードすることができ、処理装置は、記憶装置から難聴データを取得することができる。他のいくつかの実施例において、着用者は、端末(例えば、端末140)によって自分の難聴データを自らアップロードすることができ、骨伝導補聴装置の構成システム(例えば、骨伝導補聴装置の構成システム100)又は装置(例えば、処理装置120)は、着用者が自らアップロードした難聴データを有線又は無線の方式で受信することができる。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置の構成システム又は装置は、関連メモリ(例えば、メモリ130)から着用者の難聴データを呼び出すことができる。
【0072】
ステップ420において、難聴データに基づいて、各音響レベル及び各周波数帯域における骨伝導補聴装置の基準出力パラメータを決定する。具体的には、ステップ420は、基準出力パラメータ決定モジュール320によって実行されてもよい。
【0073】
いくつかの実施例において、基準出力パラメータは、各音響レベル及び各周波数帯域における骨伝導補聴装置の基準アナログ出力値(すなわち、骨伝導補聴装置のアナログ出力信号の強度値、単位:dB)であってもよい。いくつかの実施例において、基準出力パラメータは、骨伝導補聴装置の各音響レベル及び各周波数帯域における基準ゲイン値(すなわち、骨伝導補聴装置によって増幅された音声信号の強度値、単位:dB)であってもよい。なお、骨伝導補聴装置によって基準出力パラメータ(例えば、基準ゲイン値)で入力された音声信号が特定の音響レベル及び周波数帯域を満たす場合、骨伝導補聴装置によって出力される該音声信号の強度値は、該特定の音響レベル及び周波数帯域における基準アナログ出力値に等しくてもよい。いくつかの実施例において、基準出力パラメータは、難聴レベル、音響レベル、周波数などに関連する。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置の基準アナログ出力値は、さらに骨伝導補聴装置の基準ゲイン値に関連する。例えば、ゲイン値に基づいて、音響レベルに対応する信号強度を増幅してアナログ出力値を決定することができる。いくつかの実施例において、着用者が異なる場合、その難聴データ(例えば、各音響レベルでの難聴程度)が異なるため、基準出力パラメータが異なる。いくつかの実施例において、音声信号の音響レベル及び周波数は、骨伝導補聴装置の基準出力パラメータに影響を与え、異なる音響レベル及び/又は異なる周波数帯域は、異なる基準出力パラメータに対応する場合がある。つまり、同じ難聴レベル及び同じ音響レベルでは、異なる周波数帯域が異なる基準出力パラメータに対応する場合があり、同じ難聴レベル及び同じ周波数帯域において、異なる音響レベルが異なる基準出力パラメータに対応する場合があり、同じ音響レベル及び同じ周波数帯域において、異なる難聴レベルが異なる基準出力パラメータに対応する場合がある。
【0074】
本明細書に係る音響レベルは、音声信号の強度を示し、単位はdBである。本明細書では、音響レベルの測定は、主にC周波数重み付け測定を採用し、すなわち、本明細書における音響レベルの単位はdBCである。周波数帯域とは、本明細書では音声信号の周波数範囲である。いくつかの実施例において、音声信号の周波数を複数の連続した範囲に分割して、異なる周波数帯域を形成することができる。
【0075】
いくつかの実施例において、各音響レベル及び各周波数帯域における骨伝導補聴装置の基準出力パラメータを決定するとは、予め設定された音響レベル及び/又は予め設定された周波数、及び該予め設定された音響レベル及び予め設定された周波数に対応する骨伝導補聴装置の着用者の難聴レベルに対応する骨伝導補聴装置の基準出力パラメータを決定することであってもよい。いくつかの実施例において、各音響レベル及び各周波数帯域における骨伝導補聴装置の基準出力パラメータを決定するとは、予め設定された音響レベル範囲及び/又は予め設定された周波数帯域、及び該予め設定された音響レベル範囲及び予め設定された周波数帯域に対応する骨伝導補聴装置の着用者の難聴レベルに対応する骨伝導補聴装置の基準出力パラメータを決定することであってもよい。該決定された基準出力パラメータに基づいて、骨伝導補聴装置は、骨伝導補聴装置に入力された音声信号(すなわち、音声入力信号)を増幅して振動信号に変換し、骨伝導補聴装置の着用者に伝達することができ、それにより着用者が音声を聞くことができる。いくつかの実施例において、予め設定された音響レベル、予め設定された周波数、予め設定された音響レベル範囲及び/又は予め設定された周波数帯域は、システム(例えば、骨伝導補聴装置の構成システム100)のデフォルト設定であってもよく、ユーザにより設定されてもよい。いくつかの実施例において、予め設定された音響レベルは、20dBC、30dBC、40dBC、50dBC、60dBC、70dBC、80dBCなど、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、予め設定された周波数は、250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hz、3000Hz、4000Hz、8000Hz、10000Hzなど、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、予め設定された音響レベル範囲は、10dBC~20dBC(20dBCを含まなくてもよい)、20dBC~30dBC(30dBCを含まなくてもよい)、30dBC~40dBC(40dBCを含まなくてもよい)、40dBC~50dBC(50dBCを含まなくてもよい)、50dBC~60dBC(60dBCを含まなくてもよい)、60dBC~70dBC(70dBCを含まなくてもよい)、70dBC~80dBC(80dBCを含まなくてもよい)など、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、予め設定された周波数帯域は、20Hz~250Hz(250Hzを含まなくてもよい)、250Hz~500Hz(500Hzを含まなくてもよい)、500Hz~1000Hz(1000Hzを含まなくてもよい)、1000Hz~2000Hz(2000Hzを含まなくてもよい)、2000Hz~3000Hz(3000Hzを含まなくてもよい)、3000Hz~4000Hz(4000Hzを含まなくてもよい)、4000Hz~6000Hz(6000Hzを含まなくてもよい)、6000Hz~10000Hz(10000Hzを含まなくてもよい)など、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、予め設定された周波数帯域は、0Hz~125Hz(125Hzを含まなくてもよい)、125Hz~375Hz(375Hzを含まなくてもよい)、375Hz~625Hz(625Hzを含まなくてもよい)、625Hz~875Hz(875Hzを含まなくてもよい)、875Hz~1375Hz(1375Hzを含まなくてもよい)、1375Hz~1875Hz(1875Hzを含まなくてもよい)、1875Hz~2625Hz(2625Hzを含まなくてもよい)、2625Hz~4875Hz(4875Hzを含まなくてもよい)など、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、予め設定された音響レベル、予め設定された周波数、予め設定された音響レベル範囲及び/又は予め設定された周波数帯域は、システム(例えば、骨伝導補聴装置の構成システム100)又はユーザによって調整されてもよい。例えば、骨伝導補聴装置の着用者の聴力レベルに応じて調整することができる。例えば、音響レベルが80dBCのときに着用者の聴力レベルが10dBHLである場合(該音響レベルでは着用者が正常な聴力を持っていることを示す)、音響レベルの最大値は、80dBCを超えないように予め設定されてもよい。
【0076】
いくつかの実施例において、基準出力パラメータは、骨伝導補聴装置の基準ゲイン値であってもよく、処理装置120は、難聴データ内の各音響レベル及び各周波数帯域における聴力レベル及び各音響レベル及び各周波数帯域の値に基づいて、各音響レベル及び各周波数帯域における骨伝導補聴装置の基準ゲイン値を決定することができる。例えば、20dBCの音響レベル、375Hz~625Hzの周波数帯域、並びに20dBCの音響レベル及び375Hz~625Hzの周波数帯域における骨伝導補聴装置の着用者の聴力レベルに基づいて、20dBCの音響レベル及び375Hz~625Hzの周波数帯域における該骨伝導補聴装置の基準ゲイン値を決定することができる。いくつかの実施例において、基準出力パラメータは、骨伝導補聴装置の基準アナログ出力信号の強度値(すなわち、基準アナログ出力値)であってもよい。処理装置120は、難聴データ内の各音響レベル及び各周波数帯域における聴力レベル及び各音響レベル及び各周波数帯域の値に基づいて、各音響レベル及び各周波数帯域における骨伝導補聴装置の基準アナログ出力信号の強度値(すなわち、基準アナログ出力値)を決定することができる。例えば、30dBCの音響レベル、125Hz~375Hzの周波数帯域、並びに30dBCの音響レベル及び125Hz~375Hzの周波数帯域における骨伝導補聴装置の着用者の聴力レベルに基づいて、30dBCの音響レベル及び125Hz~375Hzの周波数帯域における該骨伝導補聴装置の基準アナログ出力信号の強度値(すなわち、基準アナログ出力値)を決定することができる。
【0077】
いくつかの実施例において、処理装置120(基準出力パラメータ決定モジュール320)は、難聴データに基づいて、まず、骨伝導補聴装置の各音響レベル及び各周波数帯域における基準ゲイン値を決定し、次に、上記各音響レベル及び各周波数帯域における基準ゲイン値に基づいて、対応する音響レベル及び対応する周波数帯域における骨伝導補聴装置の基準アナログ出力信号の強度値(すなわち、基準アナログ出力値)を決定することができる。
【0078】
いくつかの実施例において、処理装置120(基準出力パラメータ決定モジュール320)は、予め設定された式により基準出力パラメータを決定することができる。例えば、着用者の難聴データに基づいて、予め設定された式により各音響レベル及び各周波数帯域における基準ゲイン値を決定することができる。いくつかの実施例において、予め設定された式は、Lybargerによって提案された「1/2ゲイン原則」であってもよく、すなわち、感音難聴に対して快適な聞こえを実現するためには、必要なゲイン値は、聴力閾値の改善度の半分であるべきである。つまり、骨伝導補聴装置の基準ゲイン値は、着用者の難聴の2分の1程度に相当してもよい。
【0079】
いくつかの実施例において、ステップ420における基準出力パラメータは、以下の表(表1)の経験的データによって決定することができる。例えば、以下の表に示す経験的データによって各周波数帯域及び(難聴データに基づいて決定される)各難聴レベルでの基準ゲイン値を決定し、さらに基準ゲイン値によって対応する周波数帯域及び対応する難聴レベルでの基準アナログ出力値を決定することができる。以下の表は、音響レベルが60dBSPLであることを例として、各聴力レベル及び各周波数帯域における基準ゲイン値を説明する。表1に示すように、音響レベルが60dBSPLである場合、20dBHLの聴力レベルでは、各周波数帯域における基準ゲイン値は、0であり、40dBHLの聴力レベルでは、125~375Hzの周波数帯域における基準ゲイン値は、5である。いくつかの実施例において、音響レベル及び聴力レベルが一定である場合、周波数帯域が増加するにつれて、基準ゲイン値はまず増加し、次に減少する場合がある。いくつかの実施例において、周波数帯域が一定である場合、基準ゲイン値は、聴力レベルの増加につれて増加する。
【0080】
表1は、音響レベルが60dBSPLであることを例として、各聴力レベル及び各周波数帯域における基準ゲイン値を説明する。
【0081】
【0082】
いくつかの実施例において、処理装置120は、構成モデルに基づいて基準出力パラメータを決定することができる。構成モデルは、基準出力パラメータと、周波数帯域、音響レベル及び聴力レベルとの間の関係を表すことができる。
【0083】
ステップ430において、基準出力パラメータの調整値を取得する。調整値は、少なくとも周波数帯域に関連する。具体的には、ステップ430は、調整値決定モジュール330によって実行されてもよい。
【0084】
調整値とは、基準出力パラメータを調整するための数値である。いくつかの実施例において、調整値によって基準出力パラメータを調整することができ、調整後の基準出力パラメータは、骨伝導補聴装置の実際のアナログ出力パラメータとすることができる。基準出力パラメータが基準アナログ出力値及び基準ゲイン値であることを例としてそれぞれ説明する。例えば、調整値によって基準アナログ出力値(アナログ出力信号の強度値)を調整して、調整後の基準アナログ出力値を骨伝導補聴装置の実際のアナログ出力値(実際のアナログ出力信号の強度値)とすることができる。また例えば、調整値によって骨伝導補聴装置の基準ゲイン値(音声信号を増幅するための強度値)を調整して、調整後の基準ゲイン値を骨伝導補聴装置の実際のゲイン値とすることができる。
【0085】
いくつかの実施例において、調整値は、基準出力パラメータを低減するために使用される。例えば、調整値は、基準アナログ出力値を減衰するための数値であってもよく、すなわち、調整値は、基準出力パラメータから減算されてもよい。また例えば、調整値は、基準ゲイン値を減衰するための数値であってもよく、すなわち、調整値は、基準ゲイン値から減算されてもよい。さらに例えば、調整値は、1未満の比例値であってもよく、すなわち、調整値は、基準出力パラメータに乗算してもよい。
【0086】
骨伝導補聴装置は、骨伝導補聴装置に入力される音声信号の周波数が低い場合に振動が強く、例えば、骨伝導イヤホンは、125Hz~625Hzの周波数帯域において振動しやすい。したがって、0Hz~625Hzの周波数帯域(又は125Hz~625Hzの周波数帯域)において調整値を設定(例えば、該周波数帯域において、調整値を使用して基準出力パラメータを低減)することによって、該周波数帯域における骨伝導補聴装置の振動が強いという状況を改善することができる。
【0087】
図8は、実験により測定された、着用者が骨伝導補聴装置を着用したときの各周波数での振動知覚閾値を示す図である。
図8において、振動知覚閾値(単位:dBV)とは、着用者が振動を知覚できる場合の骨伝導補聴装置の駆動電圧値(単位:V)を数値換算した数値であってもよい。骨伝導補聴装置の駆動電圧値をX(単位:V)とする場合、振動知覚閾値に換算すると、20×log10(X/1)(単位:dBV)になる。単なる例として、骨伝導補聴装置の駆動電圧値が1Vである場合、対応する振動知覚閾値は、0dBVであり、骨伝導補聴装置の駆動電圧値が0.5Vである場合、対応する振動知覚閾値は、-6dBVである。
図8から分かるように、骨伝導補聴装置は、1000Hz以下の周波数帯域における振動知覚閾値が小さく、骨伝導補聴装置が1000Hz以下の周波数帯域において振動しやすく、特に125Hz~600Hzの周波数帯域において最も振動しやすいことを示す。そのうち、骨伝導補聴装置は、125Hz、250Hz、400Hz、及び500Hzで最も振動しやすい。したがって、上記実験により測定されたデータに基づいて、0Hz~625Hzの周波数帯域(又は125Hz~625Hzの周波数帯域)において調整値を設定することができる。
【0088】
いくつかの実施例において、同じ周波数帯域及び/又は同じ音響レベルは、異なる聴力レベルで同じ調整値に対応してもよい。例えば、聴力レベルが26dBHL~40dBHLであり、周波数が0Hz~625Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値は、聴力レベルが41dBHL~60dBHLであり、周波数が0Hz~625Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値と同じである。また例えば、聴力レベルが26dBHL~40dBHLであり、周波数が0Hz~125Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値は、聴力レベルが41dBHL~60dBHLであり、周波数が0Hz~125Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値と同じであってもよい。さらに例えば、聴力レベルが26dBHL~40dBHLであり、周波数が125Hz~375Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値は、聴力レベルが41dBHL~60dBHLであり、周波数が125Hz~375Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値と同じである。
【0089】
いくつかの実施例において、同じ周波数帯域及び/又は同じ音響レベルは、異なる聴力レベルで異なる調整値に対応してもよい。例えば、聴力レベルが26dBHL~40dBHLであり、周波数が0Hz~625Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値は、聴力レベルが41dBHL~60dBHLであり、周波数が0Hz~625Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値とは異なってもよい。また例えば、聴力レベルが26dBHL~40dBHLであり、周波数が20Hz~125Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値は、聴力レベルが41dBHL~60dBHLであり、周波数が20Hz~125Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値とは異なってもよい。さらに例えば、聴力レベルが26dBHL~40dBHLであり、周波数が125Hz~375Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値は、聴力レベルが41dBHL~60dBHLであり、周波数が125Hz~375Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBCである場合の調整値とは異なってもよい。
【0090】
いくつかの実施例において、同じ周波数帯域及び/又は同じ聴力レベルは、異なる音響レベルで同じ調整値に対応してもよい。例えば、音響レベルが20dBC~40dBCであり、周波数が0Hz~125Hzの周波数帯域内にあり、聴力レベルが41dBHL~60dBHLである場合の調整値は、音響レベルが40dBC~60dBCであり、周波数が0Hz~125Hzの周波数帯域内にあり、聴力レベルが41dBHL~60dBHLである場合の調整値と同じであってもよい。また例えば、音響レベルが20dBC~40dBCであり、周波数が125Hz~375Hzの周波数帯域内にあり、聴力レベルが26dBHL~40dBHLである場合の調整値は、音響レベルが40dBC~60dBCであり、周波数が125Hz~375Hzの周波数帯域内にあり、聴力レベルが26dBHL~40dBHLである場合の調整値と同じであってもよい。
【0091】
いくつかの実施例において、同じ周波数帯域及び/又は同じ聴力レベルは、異なる音響レベルで異なる調整値に対応してもよい。例えば、音響レベルが26dBC~40dBCであり、周波数が0Hz~125Hzの周波数帯域内にあり、聴力レベルが41dBHL~60dBHLである場合の調整値は、音響レベルが40dBC~60dBCであり、周波数が0Hz~125Hzの周波数帯域内にあり、聴力レベルが41dBHL~60dBHLである場合の調整値とは異なってもよい。また例えば、音響レベルが26dBC~40dBCであり、周波数が125Hz~375Hzの周波数帯域内にあり、聴力レベルが26dBHL~40dBHLである場合の調整値は、音響レベルが40dBC~60dBCであり、周波数が125Hz~375Hzの周波数帯域内にあり、聴力レベルが26dBHL~40dBHLである場合の調整値とは異なってもよい。
【0092】
いくつかの実施例において、同じ音響レベル及び/又は同じ聴力レベルは、異なる周波数帯域において同じ調整値に対応してもよい。例えば、周波数が0Hz~125Hz(125Hzを含まなくてもよい)の周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBC~40dBCであり、聴力レベルが41dBHL~60dBHLである場合の調整値は、周波数が125Hz~375Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBC~40dBCであり、聴力レベルが41dBHL~60dBHLである場合の調整値と同じであってもよい。また例えば、周波数が125Hz~375Hz(375Hzを含まなくてもよい)の周波数帯域内にあり、音響レベルが40dBC~60dBCであり、聴力レベルが26dBHL~40dBHLである場合の調整値は、周波数が375Hz~625Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが40dBC~60dBCであり、聴力レベルが26dBHL~40dBHLである場合の調整値と同じであってもよい。
【0093】
いくつかの実施例において、同じ音響レベル及び/又は同じ聴力レベルは、異なる周波数帯域において異なる調整値に対応してもよい。例えば、周波数が0Hz~125Hz(125Hzを含まなくてもよい)の周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBC~40dBCであり、聴力レベルが41dBHL~60dBHLである場合の調整値は、周波数が125Hz~375Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが20dBC~40dBCであり、聴力レベルが41dBHL~60dBHLである場合の調整値とは異なってもよい。また例えば、周波数が125Hz~375Hz(375Hzを含まなくてもよい)の周波数帯域内にあり、音響レベルが40dBC~60dBCであり、聴力レベルが26dBHL~40dBHLである場合の調整値は、周波数が375Hz~625Hzの周波数帯域内にあり、音響レベルが40dBC~60dBCであり、聴力レベルが26dBHL~40dBHLである場合の調整値とは異なってもよい。
【0094】
いくつかの実施例において、調整値は、少なくとも周波数帯域に関連し、異なる周波数帯域において、調整値は異なってもよい。いくつかの実施例において、異なる周波数帯域は、異なる調整値に対応してもよく、同じ周波数帯域における周波数は、同じ調整値に対応してもよい。いくつかの実施例において、異なる周波数は、異なる調整値に対応してもよい。いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、調整値は、1dB~12dBの範囲内にある。上記周波数範囲内で調整値を上記値に設定して骨伝導補聴装置の構成を行うことにより、着用者が骨伝導補聴装置を着用するとき、あるシナリオにおいて振動が強いという問題を改善することができ、音声了解度への影響が小さいことを保証することもできる。いくつかの実施例において、周波数が増加するにつれて、調整値は減少する。例えば、周波数125Hzに対応する調整値は、5dBであってもよく、周波数250Hzに対応する調整値は、3dBであってもよく、周波数500Hzに対応する調整値は、1dBであってもよい。また例えば、周波数125Hzに対応する調整値は、10dBであってもよく、周波数250Hzに対応する調整値は、7dBであってもよく、周波数500Hzに対応する調整値は、4dBであってもよい。いくつかの実施例において、周波数が625Hzより大きく8000Hz以下の周波数帯域において、調整値は、0dB~4dBであってもよい。いくつかの実施例において、周波数が625Hzより大きく8000Hz以下の周波数帯域において、調整値は、0であってもよい。
【0095】
いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、調整値は、5dB~12dBに設定される。いくつかの実施例において、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、調整値は、3dB~9dBに設定される。いくつかの実施例において、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、調整値は、1dB~6dBに設定される。さらに周波数帯域を分割し、上記周波数帯域のいくつかの周波数帯域において上記調整値をそれぞれ設定することにより、骨伝導補聴装置の振動低減効果をよりよくすることができる。
【0096】
いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、調整値は、5dB~7dBである。周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、調整値は、3dB~5dBである。いくつかの実施例において、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、調整値は、1dB~3dBである。上記周波数範囲内で調整値を上記値に設定して骨伝導補聴装置の構成を行うことにより、聴力レベルが30dBLの着用者が骨伝導補聴装置を着用するとき、対応する周波数帯域におけるその振動問題を解決することができ、音声了解度にほとんど影響を与えず、着用者に対する補聴効果を確保することもできる。
【0097】
いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、調整値は、10dB~12dBである。いくつかの実施例において、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、調整値は、7dB~9dBである。いくつかの実施例において、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、調整値は、4dB~6dBである。上記周波数範囲内で調整値を上記値に設定して骨伝導補聴装置の構成を行うことにより、聴力レベルが40dBLの着用者が骨伝導補聴装置を着用するとき、対応する周波数帯域におけるその振動問題を解決することができ、音声了解度への影響が小さく、着用者に対する補聴効果を確保することもできる。
【0098】
図9~
図11は、3人の着用者(着用者1、着用者2、及び着用者3)のそれぞれに対する語音明瞭度テストの実験結果を示す図である。
図9~
図11は、いずれも基準出力パラメータが基準アナログ出力値であることを例として、基準アナログ出力値を低減する前の着用者の語音明瞭度、振動知覚及び音量、並びに各周波数帯域における基準アナログ出力値が異なる調整値に対応する場合の着用者の語音明瞭度、振動知覚及び音量を示す。
図9~
図11において、各テスターに対して6セットのテストが行われ、表において、負数は、基準出力パラメータ(例えば、基準アナログ出力値)から調整値を減算したことを示し、例えば、-5は、調整値が5dBであり、基準アナログ出力値から5dBを減算したことを示し、また例えば、-15は、調整値が15dBであり、基準アナログ出力値から15dBを減算したことを示す。
【0099】
図9~
図11に示すように、調整値に基づいて基準アナログ出力値を低減すると、語音明瞭度が低下し、振動知覚が低下するが、音量が小さくなる場合がある。表から分かるように、125Hzの周波数では、調整値が5dB(又は該数値未満)の場合、すなわち、基準アナログ出力値から5dBを減算した場合、語音明瞭度が顕著に変化せず、250Hzの周波数では、調整値が3dB(又は該数値未満)の場合、すなわち、基準アナログ出力値から3dBを減算した場合、語音明瞭度が顕著に変化せず、500Hzの周波数では、調整値が1dB(又は該数値未満)の場合、すなわち、基準アナログ出力値から1dBを減算した場合、語音明瞭度が顕著に変化しない。また、上記数値に従って調整値を設定することにより、テスターが話すときに振動を感じることができるが、音量も適切である(すなわち、音量は、着用者が基本的にはっきりと聞こえる音量範囲内にある)。
【0100】
125Hzの周波数では、調整値が10dB(又は5dBより大きく10dB未満の範囲)の場合、すなわち、基準アナログ出力値から10dBを減算した場合、語音明瞭度の低下量は、5%以下であり、250Hzの周波数では、調整値が7dB(又は3dBより大きく7dB未満の範囲)の場合、すなわち、基準アナログ出力値から7dBを減算した場合、語音明瞭度の低下量は、5%以下であり、500Hzの周波数では、調整値が4dB(又は1dBより大きく4dB未満の範囲)の場合、すなわち、基準アナログ出力値から4dBを減算した場合、語音明瞭度の低下量は、5%以下である。また、上記数値に従って調整値を設定することにより、テスターは快適に感じるが、音が低いと感じる(すなわち、着用者は、音量が小さすぎると感じる)可能性がある。
【0101】
125Hzの周波数では、調整値が17dB(又は10dBより大きく17dB未満の範囲)の場合、すなわち、基準アナログ出力値から17dBを減算した場合、語音明瞭度の低下量は、5%より大きい可能性があり(例えば、10%)、250Hzの周波数では、調整値が15dB(又は7dBより大きく15dB未満の範囲)の場合、すなわち、基準アナログ出力値から15dBを減算した場合、語音明瞭度の低下量は、5%より大きい可能性があり(例えば、10%)、500Hzの周波数では、調整値が10dB(又は4dBより大きく10dB未満の範囲)の場合、すなわち、基準アナログ出力値から10dBを減算した場合、語音明瞭度の低下量は、5%より大きい可能性がある(例えば、10%)。また、上記数値に従って調整値を設定することにより、テスターは、音量が小さいと感じる可能性がある(すなわち、着用者は、音量が小さすぎてはっきりと聞こえない可能性がある)。
【0102】
一定の範囲内(例えば、調整値が17dB未満の範囲内)において、調整値が大きいほど、骨伝導補聴装置の振動低減効果が高くなるが、
図9~
図11から分かるように、調整値が大きいほど、骨伝導補聴装置の出力信号の強度が低くなる可能性があり、語音明瞭度に大きな影響を与える(例えば、語音明瞭度が低下する)。調整値が上記実施例における上記範囲内の値である場合、聴力レベルが30dBL~40dBLの着用者が骨伝導補聴装置を着用するとき、対応する周波数帯域におけるその振動問題を解決するとともに、音声了解度への影響が小さいことを保証することができる。
【0103】
いくつかの実施例において、基準出力パラメータの調整値は、周波数帯域にのみ関連してもよい。異なる聴力レベル及び同じ周波数帯域における基準出力パラメータに対応する調整値は、同じであってもよく(例えば、上述の実施例における調整値)、同じ聴力レベル及び異なる周波数帯域におけるその対応する調整値は、異なってもよい。異なる音響レベル及び同じ周波数帯域における基準出力パラメータに対応する調整値は、同じであってもよく、同じ音響レベル及び異なる周波数帯域におけるその調整値は、異なってもよい。異なる音響レベル、異なる聴力レベル及び同じ周波数帯域における基準出力パラメータに対応する調整値は、同じであってもよく、同じ音響レベル、同じ聴力レベル及び異なる周波数帯域におけるその調整値は、異なってもよい。
【0104】
いくつかの実施例において、基準出力パラメータの調整値は、周波数帯域及び着用者の聴力レベルに関連してもよい。異なる聴力レベル及び同じ周波数帯域における基準出力パラメータに対応する調整値は、異なってもよく、同じ聴力レベル、同じ周波数帯域及び異なる音響レベルにおける基準出力パラメータに対応する調整値は、同じであってもよく、該実施例の詳細な説明について、
図5及びその関連説明を参照する。
【0105】
いくつかの実施例において、基準出力パラメータの調整値は、周波数帯域及び音響レベルに関連してもよい。異なる音響レベル及び同じ周波数帯域における基準出力パラメータに対応する調整値は、異なってもよいが、異なる聴力レベル、同じ音響レベル及び同じ周波数帯域における基準出力パラメータに対応する調整値は、同じであってもよく、該実施例の詳細な説明について、
図6及びその関連説明を参照する。
【0106】
ステップ440において、基準出力パラメータ及び調整値に基づいて、骨伝導補聴装置を構成する。具体的には、ステップ440は、構成モジュール340によって実行されてもよい。
【0107】
いくつかの実施例において、処理装置120(構成モジュール340)は、調整値に基づいて基準出力パラメータを調整して実際の出力パラメータを取得し、実際の出力パラメータによって骨伝導補聴装置を構成することができる。
【0108】
いくつかの実施例において、処理装置120(構成モジュール340)は、調整値に基づいて基準出力パラメータを低減して実際の出力パラメータを取得し、低減された基準出力パラメータ(すなわち、実際の出力パラメータ)に基づいて骨伝導補聴装置を構成することができる。調整値に基づいて基準出力パラメータを低減することは、基準出力パラメータから調整値を直接減算することであってもよく、調整値によって骨伝導補聴装置の他の関連設定パラメータを調整して、基準出力パラメータを低減する目的を達成することであってもよい。
【0109】
いくつかの実施例において、処理装置120(構成モジュール340)は、調整値及び基準出力値に基づいて磁気回路アセンブリを構成して、骨伝導補聴装置の構成を実現することができる。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置を構成することは、骨伝導補聴装置の信号出力強度に関連するパラメータ(例えば、ゲイン値、アナログ出力値)を予め設定された値、例えば、調整値に基づいて調整された基準パラメータとするように、骨伝導補聴装置の各パラメータを設定することを含む。例えば、磁気回路アセンブリの電磁石の電流の大きさ、ピックアップアセンブリの増幅回路の抵抗の大きさなどを調整する方式により、音声信号に対する骨伝導補聴装置の基準ゲイン値を調整し、骨伝導補聴装置の基準アナログ出力値を調整して、骨伝導補聴装置の構成を実現することができる。
【0110】
いくつかの実施例において、基準出力パラメータ及び調整値に基づいて、等化調整システム(EQシステム)又は自動ゲイン制御システム(AGCシステム)などを用いて骨伝導補聴装置を構成することができる。
【0111】
他のいくつかの実施例において、基準出力パラメータ及び調整値に基づいて、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システム(WDRCシステム)を用いて骨伝導補聴装置を構成することができる。マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムにおいて、まずフィルタセットを使用して音声信号を周波数帯域に応じて複数のチャネルに分割し、各チャネルの信号を個別に圧縮することで、該周波数帯域に対応する難聴状況に応じて適切な圧縮率及び圧縮閾値を設計することができ、次に、処理後の各チャネルの信号を1つのチャネルの信号に合成することができる。マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムは、聴覚補償をより柔軟に行うことができる。マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムにおいて、各基準出力パラメータ及び調整値を調整することにより、各チャネルの信号の圧縮率及び圧縮閾値を調整して、各チャネルの基準出力パラメータを調整することができる。
【0112】
図5は、基準出力パラメータの調整値を取得する方法に係る例示的なフローチャートである。
図5に示す方法で決定された調整値は、着用者の聴力レベルに関連する。
図5に示すように、プロセス500は、以下のステップ510~ステップ530を含む。
【0113】
ステップ510において、各周波数帯域及び各音響レベルに対する着用者の振動知覚の程度に関連し、各周波数帯域及び各音響レベルに対応する第1の閾値を決定する。
【0114】
振動知覚の程度は、ユーザが骨伝導補聴装置を着用するときに知覚する振動の程度を示すことができる。いくつかの実施例において、振動知覚の程度は、知覚する振動の程度を示す複数のレベルを含んでもよい。レベルが高いほど、ユーザが知覚できる振動の程度が大きい。いくつかの実施例において、レベルは、第1のレベル、第2のレベル、第3のレベル、第4のレベル及び第5のレベルを含んでもよく、それぞれに対応する振動知覚の程度は、「振動なし」、「非常にわずかな振動」、「わずかな振動」、「振動が明らかであるが、許容できる」、「振動が激しく、許容できない」を含んでもよい。いくつかの実施例において、異なるレベルは、点数によって表されてもよい。例えば、第1のレベルは1点、第2のレベルは2点、第3のレベルは3点、第4のレベルは4点、第5のレベルは5点であってもよい。
【0115】
いくつかの実施例において、第1の閾値は、着用者の振動知覚の程度があるレベルである場合の、対応する骨伝導補聴装置の出力信号の強度であってもよく、つまり、骨伝導補聴装置の出力信号の強度が該第1の閾値に達すると、着用者は、該レベルでの振動を感じることができる。例えば、第1の閾値は、着用者の振動知覚の程度が第3のレベルである場合の、対応する骨伝導補聴装置の出力信号の強度(すなわち、基準出力パラメータ)であってもよく、つまり、骨伝導補聴装置の出力信号の強度が該第1の閾値に達すると、着用者は、第3のレベルに対応するわずかな振動を感じることができる。また例えば、第1の閾値は、着用者の振動知覚の程度が第4のレベルである場合の、対応する骨伝導補聴装置の出力信号の強度であってもよく、つまり、骨伝導補聴装置の出力信号の強度が該第1の閾値に達すると、着用者は、第4のレベルに対応する明らかな振動を感じることができるが、この振動の強度は許容できるものである。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置の出力信号の強度が該第1の閾値より大きい場合、着用者は、第1の閾値に対応するレベルでの振動(例えば、第3のレベルに対応するわずかな振動)より強い振動を感じる場合があり、着用体験が悪く、そのため、骨伝導補聴装置の出力信号の強度が第1の閾値より小さくなるように、基準出力パラメータを調整(低減)する必要がある。
【0116】
いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置の着用者の各音響レベル及び各周波数帯域に対応する初期基準出力パラメータを取得することができる。基準出力パラメータの取得に関する詳細な説明について、
図4のステップ420に関する操作を参照することができる。いくつかの実施例において、第1の閾値は、異なる着用者にとって異なってもよい。例えば、骨伝導補聴装置の着用者をテストして、骨伝導補聴装置の着用者の各音響レベル及び各周波数帯域における該初期基準出力パラメータでの出力信号の強度及び対応する振動知覚の程度を決定し、初期基準出力パラメータを調整して基準出力パラメータを取得し、出力信号の強度及び振動知覚の程度を調整することができ、それにより、着用者の振動知覚の程度が一定のレベル(例えば、第3のレベル、わずかな振動)に達し、さらに各周波数帯域及び各音響レベルに対応する第1の閾値を決定することができる。いくつかの実施例において、調整後の初期基準出力パラメータ(すなわち、基準出力パラメータ、例えば、基準アナログ出力値)は、調整後の信号出力強度に等しくてもよい。第1の閾値は、着用者の振動知覚の程度が一定のレベル(例えば、第3のレベル、わずかな振動)に達した場合の対応する調整後の出力信号強度又は基準アナログ出力値に等しくてもよい。
【0117】
いくつかの実施例において、第1の閾値は、異なる着用者にとって同じであってもよい。例えば、第1の閾値は、具体的には、各テスターをテストして、各テスターが各音響レベル及び各周波数帯域において第2のレベルの非常にわずかな振動を主観的に感じるときの信号出力強度を決定し、上記信号出力強度をテストデータとすることと、テストデータを統合及び選別して、第1の閾値を得ることとを含む方法により決定されてもよい。該第1の閾値は、異なる着用者に適用されてもよい。いくつかの実施例において、テストデータを統合して選択することは、ある周波数帯域について、各テスターが該周波数帯域における各音響レベルでわずかな振動を主観的に感じるときの出力パラメータの最低値のみを考慮し、各テスターが各音響レベルでわずかな振動を主観的に感じるときの出力パラメータの最低値から、さらに最低値を第1の閾値として選択することであってもよい。
【0118】
いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置は、低周波数帯域(例えば、0Hz~625Hzの周波数帯域)において振動が激しく、低周波数帯域において基準出力パラメータの調整値を設定して、基準出力パラメータを低減し、ユーザが知覚できる振動強度を低減することができ、それに応じて、低周波数帯域(例えば、0Hz~625Hzの周波数帯域)において第1の閾値を設定することにより、第1の閾値に基づいて基準出力パラメータの調整値を決定することができる。いくつかの実施例において、0Hz~625Hzの周波数帯域において第1の閾値を設定し、該周波数帯域において調整値を決定することができる。いくつかの実施例において、異なる周波数帯域に対応する第1の閾値は異なる。例えば、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、第1の閾値は、48dB~52dBの範囲内にある。いくつかの実施例において、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、第1の閾値は、49dB~54dBの範囲内にある。いくつかの実施例において、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、第1の閾値は、50dB~55dBの範囲内にある。いくつかの実施例において、同じ音響レベルでの周波数帯域が高いほど、第1の閾値が大きくなる。
【0119】
いくつかの実施例において、異なる音響レベル及び同じ周波数帯域に対応する第1の閾値は、同じであってもよく、例えば、上記各周波数帯域に対応する第1の閾値の範囲内で最小値(例えば、48dB)を該周波数帯域の第1の閾値として選択することができ、それにより、骨伝導補聴装置は、受信した音声信号の音響レベルが異なり、周波数帯域が同じである場合でも、比較的激しい振動を発生させない。例えば、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、第1の閾値は、48dBである。周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、第1の閾値は、49dBである。周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、第1の閾値は、50dBである。
【0120】
いくつかの実施例において、異なる音響レベル及び同じ周波数帯域に対応する第1の閾値は、異なってもよい。いくつかの実施例において、同じ周波数帯域において、音響レベルが高いほど、第1の閾値は、大きくなってもよい。例えば、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、音響レベルが20dBC~40dBCである場合、第1の閾値は、48dBである。0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、音響レベルが40dBC~50dBCである場合、第1の閾値は、49dBである。0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、音響レベルが50dBC~60dBCである場合、第1の閾値は、50dBである。
【0121】
いくつかの実施例において、異なる聴力レベル、異なる音響レベル、及び同じ周波数帯域に対応する第1の閾値は、同じであってもよく、例えば、上記各周波数帯域に対応する第1の閾値の範囲内で最小値(例えば、48dB)を該周波数帯域の第1の閾値として選択することができ、それにより、骨伝導補聴装置は、受信した音声信号が同じ周波数帯域にある場合、音声信号がどのような音響レベルであっても、また着用者の聴力レベルがどのようなものであっても、比較的激しい振動を発生させない。
【0122】
いくつかの実施例において、異なる聴力レベル、異なる音響レベル、及び同じ周波数帯域に対応する第1の閾値は異なる。例えば、聴力レベルが40dBHLであり、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域内にあり、音響レベルが60dBCである場合、第1の閾値は、49dBであってもよい。聴力レベルが10dBHLであり、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域内にあり、音響レベルが75dBCである場合、第1の閾値は、50dBであってもよい。また例えば、聴力レベルが30dBHLであり、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域内にあり、音響レベルが70dBCである場合、第1の閾値は、55dBであってもよい。例えば、聴力レベルが20dBHLであり、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域内にあり、音響レベルが75dBCである場合、第1の閾値は、56dBであってもよい。いくつかの実施例において、異なる周波数帯域、異なる音響レベル、及び異なる聴力レベルに対応する第1の閾値は、同じであってもよく、例えば、上記各周波数帯域に対応する第1の閾値の範囲内で最小値(例えば、48dB)を全ての周波数帯域及び異なる音響レベルに対応する第1の閾値として選択することができ、それにより、骨伝導補聴装置は、受信した音声信号の音響レベル及び周波数帯域がいずれも異なる場合でも、比較的激しい振動を発生させない。例えば、周波数が0Hz~625Hzの周波数帯域において、第1の閾値は、48dBである。
【0123】
ステップ520において、各周波数帯域における着用者の語音明瞭度に関連し、各周波数帯域及び各音響レベルに対応する第2の閾値を決定する。
【0124】
語音明瞭度(すなわち、音声了解度)は、聞こえた単語に対する、理解できた又は聞き取った単語の比であってもよい。語音明瞭度は、補聴器を着用した着用者の聞こえた語音に対する聴覚感度及び明瞭度を表すことができ、さらに着用者に対する補聴効果をある程度反映する。語音明瞭度が高いほど、着用者が補聴器を着用した後に聴覚感度がより高くなり、聴覚の明瞭度がより高くなり、補聴効果がより高くなることを表す。いくつかの実施例において、語音明瞭度が70%以上である場合、補聴効果が高いと考えられ、語音明瞭度が50%以下である場合、補聴効果が理想的ではないと考えられ、骨伝導補聴装置の再調整又は構成が必要となる。
【0125】
いくつかの実施例において、基準出力パラメータの調整(例えば、低減)は、骨伝導補聴装置の出力信号の強度に影響を与え、さらに骨伝導補聴装置の語音明瞭度に影響を与える可能性がある。例えば、
図9~
図11の実験結果から分かるように、一定の範囲内(例えば、調整値が17dB未満の範囲内)において、調整値が大きいほど、語音明瞭度が低くなる可能性がある。第2の閾値は、基準出力パラメータを調整した後の語音明瞭度が一定の範囲内(例えば、ある閾値より高い)にあることを保証することができる。つまり、第2の閾値は、基準出力パラメータを調整した後の語音明瞭度の低下量を一定の範囲内に制御することができる。例えば、調整値が第2の閾値を超えない場合、基準出力パラメータが調整されていない場合に対する、着用者が補聴器を着用する場合の語音明瞭度の低下量は、小さくてもよく、例えば、5%以下であってもよい。語音明瞭度の低下量は、基準出力パラメータが調整されていないときの語音明瞭度から、基準出力パラメータが調整された後の語音明瞭度を減算したものであってもよい。
【0126】
いくつかの実施例において、第2の閾値は、着用者が骨伝導補聴装置を着用する場合の、予め設定された語音明瞭度に対応する骨伝導補聴装置の基準出力パラメータに対応する調整値の最大値であってもよく、つまり、骨伝導補聴装置の基準出力パラメータに対応する調整値が該第2の閾値に達すると、着用者が骨伝導補聴装置を着用する場合の語音明瞭度は、予め設定された閾値である。調整値が該第2の閾値より大きい場合、着用者が骨伝導補聴装置を着用する場合の語音明瞭度は、予め設定された語音明瞭度より小さい。
【0127】
例えば、
図10に示すように、第2の閾値は、着用者が骨伝導補聴装置を着用する場合の、125Hzで語音明瞭度が80%であるときの基準出力パラメータに対応する調整値であってもよく、すなわち、第2の閾値は、5dBである。つまり、骨伝導補聴装置の125Hzでの基準出力パラメータに対応する調整値が第2の閾値である場合、着用者が骨伝導補聴装置を着用する場合の語音明瞭度は、80%であってもよい。また例えば、
図11に示すように、第2の閾値は、着用者が骨伝導補聴装置を着用する場合の、250Hzで語音明瞭度が60%であるときの基準出力パラメータに対応する調整値であってもよく、すなわち、第2の閾値は、12dBである。つまり、骨伝導補聴装置の250Hzでの基準出力パラメータに対応する調整値が第2の閾値である場合、着用者が骨伝導補聴装置を着用する場合の語音明瞭度は、60%であってもよい。
【0128】
いくつかの実施例において、予め設定された語音明瞭度の閾値に基づいて第2の閾値を決定することができる。例えば、
図9~
図11における着用者に対する語音明瞭度テストの実験結果に基づいて第2の閾値を決定することができる。単なる例として、
図10に示すように、調整されていない基準出力パラメータに基づいて骨伝導補聴装置を構成する場合、着用者の語音明瞭度は、80%であり、基準出力パラメータを低減した後の語音明瞭度が75%以上である(すなわち、語音明瞭度の低下量が5%以下である)ように設定する場合、第2の閾値は、10dBであってもよく、語音明瞭度が80%以上である(すなわち、語音明瞭度がほとんど低下しない)ように設定する場合、第2の閾値は、5dBであってもよい。
【0129】
いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置は、低周波数帯域(例えば、0Hz~625Hzの周波数帯域)において振動が激しく、低周波数帯域において基準出力パラメータの調整値を設定して、基準出力パラメータを低減し、ユーザが知覚できる振動強度を低減することができ、それに応じて、低周波数帯域(例えば、0Hz~625Hzの周波数帯域)において第2の閾値を設定することができ、それにより第2の閾値に基づいて基準出力パラメータの調整値を決定することができる。いくつかの実施例において、異なる周波数帯域に対応する第2の閾値は異なる。例えば、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、第2の閾値は、5dB~10dBの範囲内にある。いくつかの実施例において、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、第2の閾値は、3dB~7dBの範囲内にある。いくつかの実施例において、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、第2の閾値は、1dB~4dBの範囲内にある。いくつかの実施例において、同じ音響レベルで周波数帯域が高いほど、第2の閾値が小さくなる。
【0130】
いくつかの実施例において、異なる聴力レベル及び同じ周波数帯域に対応する第2の閾値は、同じであってもよい。例えば、着用者の聴力レベルが30dBHLであっても40dBHLであっても、上記範囲に応じて第2の閾値を設定することができる。いくつかの実施例において、異なる聴力レベル及び同じ周波数帯域に対応する第2の閾値は、異なってもよい。例えば、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、聴力レベルは、30dBHLであり、第2の閾値は、5dBであり、0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、聴力レベルは、40dBHLであり、第2の閾値は、15dBである。いくつかの実施例において、異なる音響レベル及び同じ周波数帯域に対応する第2の閾値は、同じであってもよい。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置が受信した音声信号の音響レベルが異なる場合でも語音明瞭度にあまり影響を与えないように、上記範囲内で最小値を第2の閾値として選択することができる。例えば、周波数が125Hzより大きく375Hz以下の周波数帯域において、第2の閾値は、3dBであってもよい。いくつかの実施例において、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、第2の閾値は、5dBであってもよい。いくつかの実施例において、周波数が375Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域において、第2の閾値は、1dBであってもよい。
【0131】
いくつかの実施例において、異なる音響レベル及び同じ周波数帯域に対応する第2の閾値は、異なってもよい。例えば、周波数が0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、音響レベルは、60dBCであり、第2の閾値は、5dBであり、0Hzより大きく125Hz以下の周波数帯域において、音響レベルは、75dBCであり、第2の閾値は、10dBである。
【0132】
ステップ530において、基準出力パラメータ、第1の閾値及び第2の閾値に基づいて調整値を決定する。
【0133】
いくつかの実施例において、基準出力パラメータが第1の閾値より大きい場合、まず初期調整値を設定することができる。該初期調整値は、経験又は予め設定された式に基づいて決定されてもよい。次に、該初期調整値を第2の閾値と比較し、該初期調整値が第2の閾値より大きい場合、該初期調整値を減少させて、初期調整値を第2の閾値以下にする。該初期調整値が第2の閾値以下である場合、該初期調整値を調整値として決定する。
【0134】
いくつかの実施例において、特定の周波数帯域及び特定の音響レベルでの対応する基準出力パラメータから、該特定の周波数帯域及び特定の音響レベルでの対応する第1の閾値を減算して比較値を得て、そして、比較値と、該特定の周波数帯域及び特定の音響レベルでの対応する第2の閾値とを比較し、比較値と第2の閾値との比較結果に基づいて、該特定の周波数帯域及び特定の音響レベルでの基準出力パラメータに対応する調整値を決定することができる。
【0135】
第1の閾値及び第2の閾値の決定方法について、上記の関連説明を参照されたい。比較値は、正数、負数、又はゼロであってもよい。比較値と第2の閾値とを比較することは、数値の大小を比較して、比較値と第2の閾値との大小関係を決定することであってもよい。比較値と第2の閾値との比較結果は、比較値が第2の閾値より小さいこと、比較値が第2の閾値に等しいこと、又は比較値が第2の閾値より大きいことを含んでもよい。比較値と第2の閾値との比較結果に基づいて、基準出力パラメータに対応する調整値を決定することは、比較値と第2の閾値との大小関係に基づいて、調整値を決定することであってもよい。
【0136】
いくつかの実施例において、比較値と第2の閾値との比較結果に基づいて、基準出力パラメータに対応する調整値を決定することは、比較値が0以下である場合、調整値が0であることと、比較値が0より大きく第2の閾値以下である場合、調整値が比較値であることと、比較値が第2の閾値より大きい場合、調整値が第2の閾値であることとを含んでもよい。
【0137】
基準出力パラメータが第1の閾値以下である場合、基準出力パラメータに従って骨伝導補聴装置を構成した後、着用者が該骨伝導補聴装置を着用すると、振動を感じる可能性が低く、基準出力パラメータを調整する必要がない。基準出力パラメータが第1の閾値より大きい場合、基準出力パラメータに従って骨伝導補聴装置を構成した後、着用者が該骨伝導補聴装置を着用すると、比較的強い振動を感じる可能性が高く、基準出力パラメータを調整する必要がある。さらに、調整値を決定する際に、基準出力パラメータによる骨伝導補聴装置の振動リスク以外に、調整後の基準出力パラメータによる骨伝導補聴装置の語音明瞭度への影響も考慮する必要がある。第2の閾値は語音明瞭度に関連する閾値であるため、上記比較値と第2の閾値とを比較することにより、調整値が第2の閾値以下であることをできるだけ保証し、基準出力パラメータの調整による語音明瞭度への影響をできるだけ低減する。
【0138】
図6は、基準出力パラメータの調整値を取得する方法に係る例示的なフローチャートである。いくつかの実施例において、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムを使用して骨伝導補聴装置を構成する場合、
図6に示すプロセス600により基準出力パラメータに対応する調整値を決定することができる。
図6に示すように、基準出力パラメータに対応する調整値を決定するプロセス600は、以下のステップ610及びステップ620を含んでもよい。
【0139】
ステップ610において、基準出力パラメータと第1の閾値とを比較する。第1の閾値は、各周波数帯域及び各音響レベルに対する着用者の振動知覚の程度に関連する。
【0140】
本ステップにおける第1の閾値の関連説明及び第1の閾値の決定方法について、ステップ510における第1の閾値の関連内容を参照することができる。基準出力パラメータと第1の閾値とを比較することは、基準出力パラメータと第1の閾値との数値の大小を比較することであってもよい。
【0141】
ステップ620において、基準出力パラメータと第1の閾値との比較結果に基づいて、基準出力パラメータに対応する調整値を決定する。
【0142】
基準出力パラメータに対応する調整値の関連説明について、ステップ430の関連内容を参照されたい。基準出力パラメータと第1の閾値との比較結果は、基準出力パラメータが第1の閾値より大きく、基準出力パラメータが第1の閾値に等しく、基準出力パラメータが第1の閾値未満であるという比較結果を含んでもよい。いくつかの実施例において、基準出力パラメータが第1の閾値より大きいか否かに基づいて、調整値が0であるか否かを決定することができる。例えば、基準出力パラメータが第1の閾値より小さい場合、調整値は0であり、基準出力パラメータが第1の閾値より大きい場合、調整値は0より大きい。
【0143】
いくつかの実施例において、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムを使用して骨伝導補聴装置を構成する場合、調整値は、各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合の、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムのゲイン低減値を含んでもよい。いくつかの実施例において、該音響レベル閾値は、70dBであってもよい。着用者が骨伝導補聴装置を使用する場合、日常会話の音声信号の音響レベルは、一般的に60dB程度である。着用者自身が話すとき、又は環境が騒がしいときに、音声信号の音響レベルが70dBC以上になる場合があり、このとき、骨伝導補聴装置は比較的強い振動を発生させる可能性があるため、調整値を設定して該音響レベル範囲内で基準出力パラメータを調整する(例えば、低減する)ことにより、骨伝導補聴装置の振動状況を改善することができ、また、着用者の日常会話時の語音明瞭度にほとんど影響を与えない。
【0144】
各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合のゲインは、高レベルゲイン(High Level Gain)と呼ばれてもよく、調整値は、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの高レベルゲイン(High Level Gain)の低減値を含んでもよい。マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの高レベルゲイン(High Level Gain)は、音声信号の音響レベルが音響レベル閾値(例えば70dB)より大きい場合のゲインであってもよい。マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合のゲインは、着用者の難聴データに基づいて決定することができ、例えば、経験式に基づいて決定することができる。例えば、経験式は、着用者の聴力レベルに基づいてマルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの高レベルゲイン(High Level Gain)を決定するものであってもよい。調整値は、経験式から得られた高レベルゲインを低減する具体的な数値であってもよい。
【0145】
いくつかの実施例において、基準出力パラメータが第1の閾値より大きいか否かに基づいて、ゲイン低減値が0であるか否か(すなわち、各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合のゲインを低減するか否か)を決定することができる。例えば、基準出力パラメータが第1の閾値より小さい場合、ゲイン低減値は、0であり、基準出力パラメータが第1の閾値より大きい場合、ゲイン低減値は、0より大きい。
【0146】
いくつかの実施例において、各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合のゲイン低減値を決定した後、該ゲイン低減値を用いて音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合のゲイン値を低減し、低減されたゲイン値をマルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの入力パラメータとすることができる。各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合、骨伝導補聴装置は振動しやすく、設定された周波数帯域内(周波数が0Hzより大きく625Hz以下の周波数帯域内)に、音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合に上記方法でゲイン低減値を決定し、該ゲイン低減値を調整値とすることにより、音声信号の音響レベルが音響レベル閾値より小さい場合に、基準出力パラメータが影響を受けないことを保証することができ、音声信号の音響レベルが音響レベル閾値より小さい場合、基準出力パラメータが低減される。このようにして、骨伝導補聴装置の語音明瞭度を保証しながら、あるシナリオにおいて骨伝導補聴装置の振動が激しいという状況を改善することができる。
【0147】
いくつかの実施例において、調整値が、各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合の、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムのゲイン低減値を含む場合、ステップ620は、具体的に、基準出力パラメータが第1の閾値以下である場合、ゲイン低減値が0であるステップと、基準出力パラメータが第1の閾値より大きい場合、ゲイン低減値が第1の閾値と基準出力パラメータとの差であるステップと、を含んでもよい。
【0148】
本実施例において、基準出力パラメータが第1の閾値以下である場合、着用者が骨伝導補聴装置を着用するときに激しい振動を感じる確率が小さく、高レベルゲインを調整(低減)する必要がないため、高レベルゲインの低減値を0とする。基準出力パラメータが第1の閾値より大きい場合、着用者が骨伝導補聴装置を着用するときに激しい振動を感じる確率が大きいため、高レベルゲインを調整(低減)して、基準出力パラメータを低減することにより、基準出力パラメータを第1の閾値より小さくする必要がある。
【0149】
いくつかの実施例において、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムを使用して骨伝導補聴装置を構成する場合、調整値は、各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合の、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの最大出力(Output Limit)の低減値を含んでもよい。いくつかの実施例において、該音響レベル閾値は、70dBであってもよい。本実施例において、着用者自身が話すとき、又は環境が騒がしいときに、音声信号の音響レベルが70dBC以上になる場合があり、このとき、骨伝導補聴装置は比較的強い振動を発生させる可能性があるため、調整値を設定して該音響レベル範囲内で基準出力パラメータ(マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの最大出力)を調整することにより、骨伝導補聴装置の振動状況を改善することができ、また、着用者の日常会話時の語音明瞭度にほとんど影響を与えない。
【0150】
最大出力は、各周波数帯域における基準出力パラメータに対する制限値として理解されてもよく、基準出力パラメータが最大出力より大きい場合、骨伝導補聴装置の基準出力パラメータは最大出力に等しい。マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの最大出力(Output Limit)は、着用者の難聴データに基づいて、経験式により決定されてもよい。例えば、経験式は、着用者の聴力レベルに基づいてマルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの最大出力(Output Limit)を決定するものであってもよい。調整値は、経験式から得られた最大出力を低減する具体的な数値であってもよい。経験式は、ユーザによって設定されてもよく、骨伝導補聴装置の構成システムのデフォルト設定であってもよい。
【0151】
いくつかの実施例において、調整値が、各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合の、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの最大出力(Output Limit)の低減値を含んでもよい場合、ステップ620は、基準出力パラメータが第1の閾値以下である場合、最大出力の低減値が0dBであるステップと、基準出力パラメータが第1の閾値より大きい場合、最大出力の低減値が0dBより大きいステップと、をさらに含んでもよい。
【0152】
つまり、基準出力パラメータが第1の閾値以下である場合、着用者が骨伝導補聴装置を着用するときに激しい振動を感じる確率が小さく、最大出力を調整(低減)する必要がなく、基準出力パラメータが第1の閾値より大きい場合、着用者が骨伝導補聴装置を着用するときに激しい振動を感じる確率が大きく、最大出力を調整(低減)して、基準出力パラメータを低減することにより、基準出力パラメータを第1の閾値より小さくする必要がある。
【0153】
さらに、最大出力の低減値が0より大きいと決定された場合、最大出力パラメータの低減値の具体的な数値をさらに決定してもよい。いくつかの実施例において、例えば、等ステップで最大出力を段階的に低減することにより、基準出力パラメータを最終的に第1の閾値より小さくすることができる。例えば、等ステップで最大出力を段階的に低減することは、最大出力を毎回同じ数値だけ低減する(例えば、最大出力を毎回2dBだけ低減する)ことにより、基準出力パラメータを段階的に低減し、最終的に基準出力パラメータを第1の閾値より小さくすることである。
【0154】
一般的に、着用者は、自分が話すとき、又は環境音が大きいときに比較的強い振動を感じ、このとき、音響レベルが大きく、例えば、70dB以上であり、プロセス600及び基準出力パラメータの調整により、中間音響レベル(例えば、70dB未満の音響レベル)の音声信号が骨伝導補聴装置に入力される場合、骨伝導補聴装置の基準出力パラメータが影響を受けず、高音響レベル(例えば、70dB以上の音響レベル)の音声信号が骨伝導補聴装置に入力される場合、骨伝導補聴装置の基準出力パラメータが第1の閾値より低く、それにより、着用者自身が話すとき、又は環境音が大きいときに比較的強い振動を感じるという状況を改善する。
【0155】
いくつかの実施例において、調整値は、各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合のゲイン低減値のみを含んでもよい。他のいくつかの実施例において、調整値は、各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合の最大出力(Output Limit)の低減値のみを含んでもよい。いくつかの実施例において、調整値は、各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合のゲイン低減値と、各音響レベルのうちの少なくとも1つの音響レベルが音響レベル閾値より大きい場合の最大出力(Output Limit)の低減値とを含んでもよい。
【0156】
いくつかの実施例において、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮システムの設定パラメータは、クロスオーバー周波数(Crossover Frequency)、下限閾値(Lower Threshold)、低レベルゲイン(Low Level Gain)、上限閾値(Upper Threshold)、増幅閾値(Expansion Threshold)、増幅比(Expansion Ratio)、エフェクタの発生時間(Compressor Attack)、エフェクタのリリース時間(Compressor Release)、ゲインアルゴリズムの発生時間(AGCo Attack)、ゲインアルゴリズムのリリース時間(AGCo Release)をさらに含む。クロスオーバー周波数(Crossover Frequency)は、オーディオ周波数スペクトルが分割される周波数、すなわち各周波数帯域の分割点であってもよい。下限閾値は、該周波数帯域における音響レベルの下限閾値であってもよい。低レベルゲインは、入力音響レベルが下限閾値より小さい場合のゲインであってもよい。上限閾値は、該周波数帯域における音響レベルの上限閾値、すなわち高レベルゲインに対応する閾値であってもよい。増幅閾値は、該周波数帯域における音響レベルの増幅閾値であってもよく、増幅比は、増幅閾値における音声に対するゲイン比であってもよい。エフェクタの発生時間は、エフェクタが閾値より高い音を検出して完全に作用する遷移時間であってもよく、遷移時間内にゲインが予め設定されたゲインまで徐々に増加する。エフェクタのリリース時間は、音が閾値より低い場合にエフェクタが完全に作用する遷移時間であってもよく、遷移時間内にゲインが予め設定されたゲインまで徐々に低減される。ゲインアルゴリズムは、出力に基づく自動ゲイン制御アルゴリズム(Automatic Gain Control according to Output、AGCo)であり、ゲインアルゴリズムの発生時間は、2msであってもよい。ゲインアルゴリズムのリリース時間は、64msであってもよい。
【0157】
図7は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導補聴装置の使用中に実行される操作のフローチャートである。
図7に示すように、骨伝導補聴装置の使用中に、骨伝導補聴装置は、以下のステップ710~ステップ740を実行することができる。
【0158】
ステップ710において、音声入力信号を取得する。いくつかの実施例において、音声入力信号は、骨伝導補聴装置が記憶装置(例えば、メモリ130)、端末(例えば、端末140)などの装置から取得したオーディオ信号(例えば、歌、音声など)を含んでもよい。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置に入力される音声信号は、骨伝導補聴装置のピックアップアセンブリがピックアップした音声信号を含んでもよい。例えば、ピックアップアセンブリは、音声(第1の振動信号)をピックアップし、第1の振動信号を処理して電気信号に変換することができる。電気信号は、骨伝導補聴装置のスピーカーアセンブリに伝達することができ、スピーカーアセンブリは、基準出力パラメータに基づいて該電気信号を処理して第2の振動信号に変換し、着用者に伝達する。
【0159】
ステップ720において、音声入力信号の音響レベル、周波数成分及び基準出力パラメータに基づいて、周波数成分に対応する基準出力パラメータを決定する。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置は、骨伝導補聴装置の記憶装置に記憶された予め設定された基準出力パラメータを取得することができる。該予め設定された基準出力パラメータは、異なる周波数帯域、音響レベル及び聴力レベルに対応してもよい。骨伝導補聴装置は、音声入力信号の音響レベル及び周波数成分に基づいて、予め設定された基準出力パラメータから、該音響レベル及び周波数成分に対応する基準出力パラメータを決定することができる。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置は、音声入力信号の音響レベル、周波数成分及び着用者の聴力レベルに基づいて、予め設定された基準出力パラメータから、該音響レベル、周波数成分及び聴力レベルに対応する基準出力パラメータを決定することができる。いくつかの実施例において、異なる周波数帯域、音響レベル及び聴力レベルに対応する予め設定された基準出力パラメータは、
図4のステップ420に従って決定されてもよい。
【0160】
ステップ730において、周波数成分に対応する基準出力パラメータ及び周波数成分の基準出力パラメータに対応する調整値に基づいて、音響レベルでの周波数成分に対応する実際の出力パラメータを取得する。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置は、骨伝導補聴装置の記憶装置に記憶された予め設定された基準出力パラメータの調整値を取得することができる。該予め設定された調整値は、異なる周波数帯域、音響レベル及び聴力レベルでの基準出力パラメータに対応してもよい。骨伝導補聴装置は、音声入力信号の音響レベル及び周波数成分に基づいて、予め設定された調整値から、該音響レベル及び周波数成分に対応する基準出力パラメータに対応する調整値を決定することができる。いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置は、音声入力信号の音響レベル、周波数成分及び着用者の聴力レベルに基づいて、予め設定された調整値から、該音響レベル、周波数成分及び聴力レベルでの基準出力パラメータに対応する調整値を決定することができる。いくつかの実施例において、異なる周波数帯域、音響レベル及び聴力レベルに対応する予め設定された基準出力パラメータに対応する調整値は、
図4のステップ430に従って決定されてもよい。
【0161】
ステップ740において、実際の出力パラメータに基づいて、骨伝導補聴装置を制御して音声信号を出力する。
【0162】
基準出力パラメータは、骨伝導補聴装置を構成するプロセスにおいて初期設定を行うパラメータとして理解されてもよく、実際の出力パラメータは、調整値に基づいて骨伝導補聴装置によって調整された出力パラメータとして理解されてもよい。いくつかの実施例において、実際の出力パラメータは、ゲイン値及び/又は実際のアナログ出力値を含んでもよい。いくつかの実施例において、実際のゲイン値は、補聴器が着用時に音声信号の強度を実際に増幅する値であってもよく、実際のアナログ出力値は、補聴器が入力された音声信号のパラメータ(例えば、音声信号の強度値)に基づくアナログの実際の出力信号の強度値であってもよい。例えば、実際のアナログ出力値は、音声信号の入力値(すなわち、強度値、単位:dB)に実際のゲイン値(単位:dB)を加算した値に等しくてもよい。いくつかの実施例において、例えば、骨伝導補聴装置の入力音声信号がある特定の音響レベル及びある特定の周波数帯域にある場合、該特定の音響レベル及び特定の周波数帯域に対応する実際のアナログ出力値は、骨伝導補聴装置の使用時の実際の出力値(すなわち、骨伝導補聴装置が実際に出力した信号の強度値、単位:dB)に等しくてもよい。いくつかの実施例において、着用者が骨伝導補聴装置を着用する場合、骨伝導補聴装置のピックアップアセンブリ220は、ステップ710を実行することができ、骨伝導補聴装置の磁気回路アセンブリは、ステップ720及び730を実行することができる。骨伝導補聴装置の振動アセンブリは、ステップ740を実行することができ、振動アセンブリは、磁気回路アセンブリによって決定された実際の出力パラメータを対応する振動強度に変換することができ、それにより骨伝導補聴装置は、機械的振動によって音声信号を出力することができる。いくつかの実施例において、着用者が骨伝導補聴装置を着用する場合、骨伝導補聴装置のピックアップアセンブリ220は、ステップ710を実行することができ、骨伝導補聴装置の処理装置は、ステップ720及び730を実行することができる。骨伝導補聴装置の処理装置は、磁気回路アセンブリ及び振動アセンブリを制御してステップ740を実行することができる。例えば、処理装置は、決定された実際の出力パラメータに基づいて、振動アセンブリを制御して実際の出力パラメータに対応する振動強度を生成することができ、それにより骨伝導補聴装置は、機械的振動により音声信号を出力する。また例えば、処理装置は、決定された実際の出力パラメータに基づいてボイスコイル内の電流の大きさを制御して、ボイスコイルによって生成される機械的振動の強度を制御することにより、骨伝導補聴装置の出力信号の強度を制御することができる。
【0163】
いくつかの実施例において、骨伝導補聴装置には、各周波数帯域及び各音響レベルでの実際の出力パラメータが記憶されてもよい。骨伝導補聴装置は、音声入力信号を取得した場合、音声入力信号の音響レベル及び周波数帯域に基づいて、対応する音響レベル及び対応する周波数帯域における骨伝導補聴装置の実際の出力パラメータを直接決定し、該実際の出力パラメータに基づいて音声信号を出力することができる。
【0164】
以上、基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、依然として本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0165】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」、「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2回以上の言及は、必ずしも全てが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造、又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0166】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序に限定されない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にある全ての修正及び同等の組み合わせをカバーするように意図されることが理解されよう。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0167】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本願を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがある。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例の全ての特徴より少ない場合がある。
【0168】
いくつかの実施例において、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「概ね」によって修飾されると理解されるべきである。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「概ね」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は、可能な限り正確に設定される。
【0169】
本願で参照される全ての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などの他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を与え得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0170】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0171】
100 骨伝導補聴装置の構成システム
110 骨伝導補聴装置
120 処理装置
130 メモリ
140 端末
150 ネットワーク
200 骨伝導補聴装置
210 スピーカーアセンブリ
220 ピックアップアセンブリ
230 支持アセンブリ
300 骨伝導補聴装置の構成システム
310 取得モジュール
320 基準出力パラメータ決定モジュール
330 調整値決定モジュール
340 構成モジュール