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特許7580621メタン含有ガスからCO2を除去する方法
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  • 特許-メタン含有ガスからCO2を除去する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】メタン含有ガスからCO2を除去する方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20241101BHJP
   F25J 3/00 20060101ALI20241101BHJP
   F25J 3/06 20060101ALI20241101BHJP
   F25J 3/08 20060101ALI20241101BHJP
   C10L 3/10 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
F25J1/00 B
F25J3/00
F25J3/06
F25J3/08
C10L3/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023546042
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022051882
(87)【国際公開番号】W WO2022162059
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2024-01-29
(31)【優先権主張番号】21154198.2
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516042103
【氏名又は名称】ヒタチ ゾウセン イノバ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ ヨルダン
(72)【発明者】
【氏名】ガムレット ハック
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス フェルミー
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05062270(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0266759(US,A1)
【文献】特開昭57-006283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J1/00-5/00
B01D53/02-53/12
C10L3/00-3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含む、メタン含有ガスからCOを除去する方法:
(a)不純物として少なくともCOを含むメタン含有ガス(103)を提供すること;
(b)前記メタン含有ガス(103)を冷却して、前記工程(a)の前記メタン含有ガス(103)からCOを凍結により除去すること;
(c)圧力温度スイング吸着装置(PTSA)(111)を用いて、工程(b)からの前記メタン含有ガス(103)のCO濃度を更に減少させて、メタン富化生成ガス(117)を得ること;
(d)工程(c)からの前記生成ガス(117)の少なくとも一部(127)を、PTSA(111)処理のために前記PTSA(111)を通過する処理ガス(129)として使い、それによって、COを、処理ガス(129)により吸収し、かつCO富化処理ガス(133)として前記PTSA(111)から除去すること;及び
(e)前記PTSA(111)を通過した前記CO富化処理ガス(133)を再循環させ、そして工程(a)の前記メタン含有ガス(103)と混合すること。
【請求項2】
工程(d)の前に、前記生成ガス(117)を、完全に又は少なくとも部分的に冷却により液化して、液化生成ガス(125)を得ることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも部分的な液化を達成するため、前記生成ガス(117)を、-140℃~-100℃に冷却することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記液化生成ガス(125)を、減圧して、フラッシュガス(127)及び減圧された液化生成ガス(126)を得ること、ここで、前記フラッシュガス(127)は、処理ガス(129)として前記PTSA(111)に通すことを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)において、前記メタン含有ガス(103)のCO濃度を、6000ppm未満に減少させることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)において、前記生成ガス(117)のCO濃度を、5200ppm未満に減少させることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(d)において減圧された処理ガス(131)として前記PTSA(111)を通過させる前に、前記処理ガス(129)は、減圧されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(d)において前記PTSA(111)を通過させた後であって、工程(e)において再循環され、及び前記メタン含有ガス(103)と混合される前に、減圧された前記処理ガス(131)を、前記メタン含有ガス(103)の圧力に圧縮されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(d)において前記PTSA(111)に供給される前に、工程(c)からの前記生成ガス(117)の少なくとも一部、及び前記処理ガス(129)の少なくとも一部を、それぞれ、前記供給されたメタン含有ガス(103)の冷却に用いることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記生成ガス(117)及び前記メタン含有ガス(103)を、熱交換機(105)に通すことによって、工程(c)からの前記生成ガス(117)の少なくとも一部を、供給された前記メタン含有ガス(103)の冷却のため用いること、並びに
前記熱交換(105)から出る加熱された前記生成ガス(117)の少なくとも一部を、減圧し、そして前記PTSA(111)の再生のための処理ガス(131)として用いることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
工程(c)からの前記生成ガス(117)の少なくとも一部を、前記PTSA(111)の再生の後に前記PTSA(111)を冷却のために用いることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記メタン含有ガス(103)を、5~25barの圧力で前記PTSA(111)に供給することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記メタン含有ガス(103)を、-130℃~-80℃の温度で、前記PTSA(111)に供給することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記生成ガス(117)及び/又は前記液化生成ガス(125)を、前記処理ガスへの転換の前に、減することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(a)における前記メタン含有ガス(103)のCO濃度が、60%以下であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記減圧された液化生成ガス(126)を、微粒子のフィルター(138)であって、前記減圧された液生成ガス(126)から固体を除去する微粒子フィルターに通すことを特徴とする、請求項4~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタン含有ガスからCOを除去する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の結果、COニュートラルなエネルギー源は、現代社会において、ますます重要になってきている。そのようなエネルギー源を得るためのよく知られている方法は、発酵槽内での食品廃棄物のバイオガスを生産する発酵である。果物又は野菜のような食品は大気からCOを固定するため、この食品の発酵中に製造された上記バイオガス、及びバイオガスに含まれるメタンは、気候ニュートラルである。
【0003】
メタンに加えて、バイオガスは、様々な不純物、場合によっては相当量のCO、も通常含む。COは不燃性物質であるから、上記バイオガス中のCOの存在は、上記メタンの効率的な燃焼を妨げ、かつ上記バイオガスのエネルギー密度を減少させる。この理由から、発酵により生産されたバイオガスは、メタンの含有量を増やすため、通常は精製される。精製後に得られたメタン富化生成ガス-しばしばバイオメタンと呼ばれる―は、エネルギー生成の目的で直接使われることができ、ガス配管に供給されることができ、又は中間の貯蔵若しくは輸送を視野に入れて液化される。
【0004】
液化のため、上記生成ガスは、通常は大幅に冷却される。この方法において、上記生成ガスに含まれている不純物、特にCO、は不都合な効果を有する:例えば、もし上記生成ガス中に著しいCO濃度が存在すると、これは、液化に必要な冷却の過程で凍結し、液化工場のバルブを塞ぐ。この関連で、生成ガス中のCO濃度を可能な限り抑えることは、エネルギー媒体としての使用に関して望ましいだけでなく、貯蔵又は輸送のための液化に関しても望ましい。液化の場合、上記生成ガス中のCO濃度は、215ppm又はそれ未満が理想的である。しかしながら、そのような低いCO濃度は、もしあったとしても時間及びコストがかかる既知の生成プロセスのみにより達成される。
【0005】
様々な分離処理及び分離装置、例えばアミンスクラブ、圧力スイング吸着(PSA)、圧力温度スイング吸着(PTSA)、又は膜分離である分離処理及び分離装置、は、バイオガスからのCOの除去又は減少のため知られている。これらの処理の多くは、分離装置(膜、吸着体、フィルター)において、再生なしでは分離性能が徐々に減少するから、修復/再生又は交換を必要とするという、デメリットを有する。更に、多段プロセス-例えば、連続的に配置された分離装置又は分離工程が連続してある-は、上記生成ガス中のCOの著しい減少を達成するため、しばしば必要である。それぞれの分離工程は、追加のコスト及び生成ガスの損失(いわゆる「メタンスリップ」)を通常含む。これらの問題は、現状の処理において、まだ存在する。
【0006】
例えば特許文献1は、バイオメタンの製造方法を開示しており、精製すべきガス混合物を、第1工程において減圧し、そして、気体の不純物(揮発性有機化合物-VOC)を、第2工程においてPSAを用いてガス混合物から除去する。次いで、第3工程においてCO及び酸素の一部を、上記ガス混合物から分離する。他のCOの減少は、第4工程においてPTSAを用いて達成し、さらに、残存する酸素及び窒素は、第5工程において低温分離により除去する。この複合プロセスの最後に、精製されたメタン富化生成ガス、例えばバイオメタン、が得られる。PTSAの再生は、PTSAにメタン含有再生ガスを通すことによる既知の方法で達成され、このメタン含有再生ガスは、その後、メタン回収のための加硫の回収プラントに供給される。複雑でコストが高い精製工程であるにもかかわらず、上記プロセスを用いて達成したCO削減は、上記生成ガスの効率的な液化に関しては不十分である。他のデメリットとして、上記混合ガス中の上記バイオメタンの一部は、様々な処理工程の過程で失われ(メタンスリップ)、それによって、バイオメタンの最も高い収率に関するプロセスの効率が減少することである。
【0007】
特許文献2は、少なくとも50体積%のメタン含有量であるメタン含有ガスの処理システムを開示し、かつ、圧縮ユニット、及び膜分離器を備える前処理ユニットを含んで、CO含有量を2体積%又はそれ未満まで減少させ、かつメタン含有量を85体積%以上に増加させる。上記システムは、液化ユニット、及びフラッシュガスが生産されたコンテナを備えるデカント装置、を更に備える。
【0008】
特許文献3は、蒸留カラムの開始のプロセスであって、制御された凍結ゾーンを備え、好ましい60~85%のCO含有量を有するCO富化ガスが生産されるプロセス、を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願公開第2019/0001263号明細書
【文献】国際公開2016/126159号
【文献】米国特許第5062270号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
先行技術のプロセスでは、相当量のメタンを失わずには、メタン含有ガスのCO含有量を十分には減少させれない、というデメリットを有する。
【0011】
そのため、本発明の目的は、先行技術の上記デメリットを取り除くこと、及びメタン含有混合ガスからCOを除去するための改良された方法であって、効率的かつ効果的なCO含有量の削減を可能とし、同時にメタンスリップを最小化する方法を供給することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、本発明の請求項1の方法、及び本発明の請求項17の装置により達成される。本発明の好ましい実施態様は、従属請求項に設定される。
【0013】
本発明による方法において、COを不純物として少なくとも含むメタン含有ガスは、第1工程において供給される(工程a)。
【0014】
第2工程において、COは、凍結により上記ガスから分離される(工程b)。この目的のため、上記メタン含有ガスは、好ましくは-78.5℃又はそれ未満に、常圧で冷却される。
【0015】
第3工程において、メタン含有ガスのCO濃度を、次いで、圧力温度スイング吸着(PTSA)装置により更に減少させて、メタン富化生成ガスを得る(工程c)。
【0016】
第4工程において、次いで、上記PTSAの処理/再生のため、生成ガスの少なくとも一部を上記PTSAに処理ガスとして通し、それによってCOを、上記処理ガスにより吸収し、上記PTSAから後段の処理で除去する(工程d)。
【0017】
第5工程において、上記PTSA処理の過程でCOを保持した上記処理ガスを、第1工程(工程a)からのメタン含有ガスと混合する(工程e)
【0018】
本発明において、メタン含有ガスは、構成要素としてメタンを備えるガスとして定義される。上記メタン含有ガスは、メタンだけでなく、CO及び典型的に他の化合物、特に不純物、例えば「揮発性有機化合物(VOC)」、を含む。
【0019】
本発明において、メタン富化生成ガスは、初期の供給されたメタン含有ガスと比較して、より高いメタン濃度、及びより低いCO濃度を有するガスとして定義される。
【0020】
本発明において、処理ガスは、上記生成ガスから、又は上記生成ガスに基づくガスから分離されたガスであり、上記PTSA処理のために上記PTSAに通すガスとして定義される。上記処理ガスは、上記PTSAに通す前に、温度及び/又は圧力に関して変えられることができ、特に、最初に加熱及び/又は減圧されることができる。
【0021】
本発明において、凍結は、ガスの温度がCOの圧力に依存した昇華点以下に冷却される処理という意味で理解される。大気圧では、この温度は-78.5℃である。
【0022】
上記PTSA処理の処理ガスとして生成ガスの使用は、上記PTSAのエネルギー消費を改善することを可能にすることが、驚くべきことに見出された。特に、上記PTSA処理のための外部ガスの使用の必要性を避けることができる。
【0023】
上記処理ガスの再循環、及び最初に供給されるメタン含有ガスとの混合は、上記処理効率を高められることを、驚くべきことに更に見出した。これは、上記凍結工程が、上記ガスからのCOの大部分の信頼的かつ効率的な分離できることによる。凍結中の上記メタンスリップは、同時にとても低い。工程(b)の凍結前に、工程(a)で供給されたメタン含有ガス中にCOを運んでいる再生ガスの再循環させることは、工程(c)における上記PTSAを軽減する。これは、工程(c)における分離工程の数が削減されることを可能にし、かつこの方法のメタンスリップを最小化することを可能にする。
【0024】
したがって、本発明による方法は、先行技術に対して、上記PTSA処理のため、並びに上記PTSA処理後の上記処理ガスの使用及び再循環と組み合わせた上流の凍結工程が、後段が、著しく低コスト、高エネルギー効率、及び環境に優しい方法で運転することを可能にするという、利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、PTSAを用いてメタン含有ガスからCOを除去するための本発明の方法の好ましい実施態様の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
工程(a)において最初に供給されるメタン含有ガスは、場合によっては、発酵、例えばバイオガス工場における発酵によって生産することができ、好ましくはバイオガス、埋立地ガス、及び/又は有機材料の熱分解からのガスを包含する。上記ガスは、より好ましくは非発酵由来であり、例えば天然ガス、ピットガス、又は石炭ガスの形式である。上記メタン含有ガスは、上流のガス処理プラントによっても供給され得る。
【0027】
上記のとおり、CO比率の減少、及びそれに伴うメタン含有ガスのメタン比率の増加は、メタン富化ガスを供給する。後者の少なくとも一部は、PTSAを再生させるため、処理ガスとして上記PTSAを通過する。
【0028】
上記生成ガス又はそれらの少なくとも一部は、処理ガスの分離の前に液化されることが好ましい。上記生成ガスの液化は、冷却及び/又は圧縮による既知の方法で達成される。冷却された上記生成ガスの圧力の増加は、まさに複雑であるので、上記生成ガスは、温度を下げることにより、好ましくは液化される。上記生成ガスは、液化のため、好ましくは-140~-100℃に冷却され、好ましくは-130~-110℃、特に好ましくは-125~-115℃に冷却される。これらの温度は、15barの圧力と連動することが好ましい。15barは、上記PTSAにおけるCO分離後に同じものを得る際の、上記生成ガスの好ましい圧力に対応する。
【0029】
メタン比率が高い液化生成ガスは、常圧で約-160℃で貯蔵される。液化上記生成ガスを高い圧力及び高い温度で貯蔵することが、同様に可能である。
【0030】
液化後、液化されたメタン富化生成ガスは、より容易な輸送/簡易な貯蔵のため減圧される。好ましい実施態様において、メタン富化生成ガスは、処理ガスとして用いるための上記生成ガスの一部の排気の前に、好ましくは1barに減圧される。液化生成ガスの減圧は、設備が要求する冷却を減少させ、下流の貯蔵及び輸送容器は高い圧力に晒されないことを確かにする。
【0031】
減圧された液化生成ガスは、減圧された液化生成ガスから固体を除去する微粒子フィルター、特に好ましくは細孔サイズが10μm未満の微粒子フィルターを通過する場合が好ましい。好ましい減圧された液化生成ガスからの残渣の除去は、エネルギーキャリアとしての使用に関してその品質を増加させ、固体が輸送容器又はバルブにおいて沈殿すること、又はその中に堆積物を引き起こすことを防ぐ。
【0032】
減圧の間、液化生成混合物の少なくとも一部は、再ガス化される。本発明において、この部分は「フラッシュガス」として言及される。上記フラッシュガスは、好ましくは冷却され、メタン富化生成ガスは、好ましくは大気圧である(通常1bar)。本発明において、処理ガス、又は処理ガスの一部としてのこのフラッシュガスは、後段の処理のため、PTSAを通過する。
【0033】
本発明による処理において、特に上記の方法の効率を高めるため、処理ガスとして、上記液化生成ガスの減圧により形成された上記フラシュガスの少なくとも一部を採用することが好ましい。しかしながら、上記生成ガスの液化の前に、例えばフラッシュガスを得るため前述の液化及び減圧なしで、上記処理ガスをすぐに分離することが、同様に想定される
【0034】
本発明によると、COは、上記PTSA処理の過程で、上記PTSAから除去される。本発明において、上記PTSAの再生又は処理は、そのため、COの除去を含む。上記PTSAの処理/再生の要求は、上記PTSAを用いてメタン含有ガスから除去又は分離されたCOが、通常PTSA内に蓄積されるという、事実に起因する。上記PTSA内では、上記メタン含有ガスは、流れ方向に吸着媒体/吸着体を通過する。ここで、上記吸着媒体はCOを吸着し、そして、メタン富化生成ガスは、吸着媒体の反対(下流)側にたまる。上記吸着体がCOで飽和したとき、吸着されたCOは、吸着体から取り除いて、吸着体の後の使用のために、修復、すなわち再生しなければならない。再生のためのいくつかの選択肢が知られている。これらは、上記PTSAの圧力を減少させること、吸着媒体を加熱すること、及び/又は精製すべきガスの流れの方向又は反対方向で吸着媒体に処理ガスを通すことを含む。列挙された再生工程の組合せも可能である。このようなPTSAの再生処理は、規則正しい間隔で通常行われる。実際には、これは、上記PTSAが、交互に吸収し次いで再生されるいくつかの吸収体/吸収体容器を有すること、又は上記PTSAが、常に動作中ではなく、そして、吸収体の再生時間の間において分離プロセスが中断されることを意味する。
【0035】
上記PTSAを通過する前に、上記処理ガスは、特に好ましくは減圧され、任意に加熱される。これは、この行為が上記処理ガスへのCOの放出を促進することによる。
【0036】
本発明において、加熱された処理ガスは、可能な限り効率的に吸収体からCOを取り除くため、好ましくは-20~30℃の温度、より好ましくは-10~20℃の温度、特に好ましくは-5~15℃の温度、更に特に好ましくは0~10℃の温度を有する処理ガスとして定義される。
【0037】
本発明による上記方法の具体的な好ましい実施態様において、上記PTSAは、吸着体を含み、この吸着体は、PTSA内の圧力を処理ガスの圧力まで低下させた後でメタン含有ガスの流れ方向に又は反対方向に通過させる好ましくは加熱された処理ガスを含む。加熱された処理ガスは、そのようにして再生された吸着体から、吸着されたCOを除去する。ここで、COを運んでいるこの処理ガスは、PTSAから排出され、それにより、PTSAは、再度、メタン含有ガスをPTSAに通し、かつ、再生された吸着体によりメタン含有ガスからCOを除去する準備ができる。
【0038】
上記のように、また、本発明によると、再生が完結すると、上記処理ガスは、上記PTSAに再循環され、かつ本発明の方法の第1の工程(a)からのメタン含有ガスの流れと混合され又は組み合わされる。上記メタン含有ガスの圧力に依存して、上記処理ガスは、コンプレッサーを用いて好ましくは同じ圧力まで昇圧され又は降圧されて、効率的な2つのガス流の混合を可能とする。工程(a)のメタン含有ガスは、好ましくは、その体積(1秒当たりに供給されるメタン含有ガスの体積として測定された体積)の3分の1の上記処理ガスと混合される。次いで、本発明では、第2の工程(b)が、COの凍結によって、上記メタン含有ガス(再生された処理ガスを含む)からCOを除去することを含む。
【0039】
上記メタン含有ガスの凍結の過程で、圧力が5~25bar、特に好ましくは10~20bar、更に特に好ましくは14~17bar(「bar」は、常に、bar(a)、すなわち絶対値として理解される)で、好ましくは-130℃~-80℃、より好ましくは-120℃~-100℃、特に好ましくは-116℃~-110℃に冷却される。好ましい実施態様において、上記メタン含有ガスは、上述の温度範囲まで冷却されている表面又は冷却された表面との接触により冷却される。上記メタン含有ガス中に存在する上記COは、この表面上で晶出し、それによって、固体COの層(ドライアイスとして知られる)を上記表面上に形成する。上記ドライアイスは、典型的には規則正しい間隔で、例えばスクレーバーで削ることにより、上記表面から除去され、それによって新しいCOが、上記冷却された表面で晶出できるようになる。
【0040】
上記凍結工程は、上記メタン含有ガス(混合された処理ガスを含む)のCO含有量を6000ppm又はそれ未満に好ましくは減少させる。本発明によると、上記メタン含有ガスのCO含有量の更なる減少は、PTSAの下流で達成される。COの上記凍結は、比較的少ない複雑さで上記ガスから大量のCOを除去できるという一般的な利点を有する。類似する凍結ユニット(冷却ユニット)のメンテナンスの複雑さも、他の分離装置、例えばPTSA、と比較して一般的に容易である。COに加えて他の不純物も、凍結工程で上記メタン含有ガスから除去される。別の利点は、上述の好ましい温度の表面上でメタンは凝結しないので、凍結処理においてメタンを失わないことである。それによって、COの凍結は、上記メタン含有ガス中のメタン濃度を、メタン損失なしで増加させることを可能にする。更なる不純物がCOとともに上記表面上で凝集するかどうか、及びどのような濃度で凝集するかに応じて、上記凍結したCOは、その後、環境に排出され、又は冷却のためドライアイスとして使用される。
【0041】
上記PTSAは、好ましくは上記メタン含有ガスのCO濃度が、5200ppm又はそれ未満まで、好ましくは830ppm又はそれ未満まで、より好ましくは215ppm又はそれ未満まで、特に好ましくは100ppm又はそれ未満まで、さらに特に好ましくは50ppm又はそれ未満まで、減少される。
【0042】
上記生成ガス中の低いCO濃度は、バルブ又はパイプ導管中におけるCOの凍結を妨げるので、上記生成ガスの液化に関して、特に好ましい。大気圧において、上記生成ガスが50ppmより多くないCO濃度を有することが更に特に好ましい。なぜなら、これらの濃度では、COは、液化生成ガス中に溶解され残り、かつ、-162℃又はそれ未満の温度で晶出しないからである。上記生成ガスの圧力が大気圧より高い場合、上記CO濃度も高くすることができる。
【0043】
上記生成ガス中の低いCO濃度は、更なる上記生成ガスの利用のため追加の利点を有する:上記生成ガス中において約215ppm又はそれより高いCO濃度であると、液化上記生成ガスの減圧がCOの晶出をもたらすことがあり、これはCOの除去、例えばふるい分けによるCOの除去を必要とする場合がある。
【0044】
第3の工程(c)からの上記生成ガスの少なくとも一部、又は第4の工程(d)からのCOを保持している処理ガスの少なくとも一部は、第2の工程(b)(凍結工程)において、上記メタン含有ガスの冷却のため用いられることが好ましい。この目的で、上記生成ガス又は上記処理ガスと、上記メタン含有ガスとは、熱交換器を、好ましくは向流的に、通過する。
【0045】
第3の工程(c)からの上記生成ガス(及び、結果として、処理ガスとして使用された上記生成ガスから分離された一部も)は、好ましくは-162℃~-130℃であり、一方、第1の工程(a)からの上記メタン含有ガスは、好ましくは0℃~40℃である。上記熱交換器における上記熱交換は、上記メタン含有ガスを冷却している間、上記生成ガス/上記処理ガスを加熱する。上記生成ガス又は上記処理ガスは、好ましくは-20℃~30℃、より好ましくは-10℃~20℃、特に好ましくは-5℃~15℃に、更に特に好ましくは0℃~10℃に加熱され、一方、上記メタン含有ガスは、好ましくは10℃又はそれ未満、より好ましくは0℃又はそれ未満、特に好ましくは-30℃又はそれ未満に冷却される。上記熱交換器からの冷却された上記メタン含有ガスは、一般的に、その後の凍結(第2の工程(b))のため、更に冷却される。上記処理ガス又は上記生成ガス、並びに上記メタン含有ガスの間の前のエネルギー交換は、上記メタン含有ガスの冷却のためのエネルギー需要を減少させることを可能にし、それによって、上記処理ガスがより効率的に、かつより経済的に作動されることを可能にする。
【0046】
好ましい実施態様において、上記熱交換器からの加熱された上記生成ガスは、上記PTSAからCOを除去する処理ガスとして利用される。加熱された上記生成ガスは、上記PTSAを通過する前に、好ましくは1barの圧力に任意に減圧される。
【0047】
上記で説明したように、PTSAを使うとき、COは、吸収媒体/吸着体(典型的には、ゼオライト又はカーボンモレキュラーシーブ)により吸着される。吸収媒体が飽和したら、上記PTSAを再び機能させるため再生又は取り換えなければならない。上記に記載するように、吸着媒体の再生は、例えば吸着媒体の加熱及び/又は減圧と連結して上記処理ガスを通過させることによって、達成される。上記処理ガスが、上記メタン含有ガスの流れ方向と反対方向に、上記吸収媒体を流れる場合、上記再生処理は加速される。加熱されかつ減圧された処理ガスが吸着媒体を加熱してCOを脱離させること、及びこの処理ガスが同時に吸着媒体中を通って流れて脱離したCOを運び去ることの組み合わせは、上記PTSAの再生のためとても効率的であることが証明された。可能な限り最も高いエネルギー効率のプロセスを達成することを目的とすると、上記処理ガスの加熱は、外部エネルギーを用いず、むしろ、好ましくは、上記で記載のように、「冷たい」生成ガスと「暖かい」メタン含有ガスとの熱交換器における熱交換によって、加熱は達成される。上記熱交換器を出る加熱された上記生成ガスは、次いで、上記PTSAの再生のため処理ガスとしてPTSAに送られる。
【0048】
上記に記載するように、吸着媒体の加熱も、上記PTSAの再生に貢献する。しかしながら、加熱された処理ガスを用いた上記吸着媒体の再生の後で、上記再生された吸着媒体は、上記メタン含有ガスからCO分子を効率的に吸着するため再び冷却されなければならない。この冷却は、工程(c)からの生成ガスの一部を用いて達成される。その提供において、上記PTSAにおけるCOの除去の後で、上記生成ガスは、好ましくは-130~-80℃、特に好ましくは-120~-100℃であり、更に特に好ましくは-116~-110℃の温度である。上記生成ガスの一部は、好ましくは上記に記載された熱交換機において、好ましくは-20~30℃、より好ましくは-10~20℃、特に好ましくは-5~10℃に加熱され、次いで、処理ガスとして、吸着媒体を通過させ、他方で、その元々の温度を有する工程c)からの生成ガスの更なる部分は、再生後に上記PTSAの吸着媒体を動作温度まで再び冷却するために利用されることができる。外部の冷却源を用いた上記PTSAの吸着媒体の冷却は、結果として避けることができ、それゆえエネルギー及びコストを抑えることができる。
【0049】
上記メタン含有ガスは、上記PTSAに供給される前に、好ましくは5~25bar、特に好ましくは10~20bar、更に特に好ましくは14~17barに圧縮される。上記PTSAにおいて上記メタン含有ガスからのCOの分離は、上記の好ましい圧力条件で特に効率的である。
【0050】
好ましい実施態様において、上記メタン含有ガスは、上記PTSAに-130~-80℃、特に好ましくは-120~-100℃、更に特に好ましくは-116~-110℃の温度で供給される。上記記載された温度は、上記PTSAにおける上記メタン含有ガスから効率的なCOの分離のため、特に適している。
【0051】
第1の工程(a)における上記メタン含有ガスは、60%以下、好ましくは6%以下、特に好ましくは2.5%以下のCO濃度を有することが好ましい。上記CO濃度は、ここで、上記COを運ぶ処理ガスとの混合する前の時点に言及する。
【0052】
本発明による方法は、経済的にほとんど意味がないけれども、60%又はそれより高いCO比率を有するメタン含有ガスを精製することを可能にする。それゆえ、精製の複雑さを可能な限り低く、かつ効率的に保つため、可能な限り最も低いCO比率を達成することを求められる。
【0053】
更なる態様において、本発明は、メタン富化ガスからCOを除去するための上記に記載された処理を行う装置に関する。言及された装置は、ガス導入導管、圧縮ユニット、COを凍結するための少なくとも1つの冷却ユニット、PTSA、メタン富化ガスを輸送するための導管、及び上記PTSAと上記ガス導入導管を接続する処理ガスの導管を備える。
【0054】
本発明による上記装置は、先行技術において知られた装置に対して、上記PTSAと上記ガス導入導管とを接続する処理ガスの導管が、上記PTSAにおいて除去されたCOを上記ガス導入導管に戻して、次いで、大部分のCOを凍結により分離するため利用できる、という利点を有する。そのような装置は、結果として、メタン含有ガスからのCOの除去においてとても効率的であり、それゆえメタン富化生成ガスを得ることができる。
【実施例
【0055】
本発明は、後述する例示の実施態様の1つを参照して詳細に解明されるであろう。これらはいずれも概略を示すものである。
【0056】
図1は、PTSAを用いてメタン含有ガスからCOを除去するための本発明の方法の好ましい実施態様の概略図を示す。
【0057】
図1に図式的に示された本発明の方法の好ましい実施態様において、第1の工程(a)では、不純物として少なくともCOを含むメタン含有ガス103は、ガス導入導管101から供給される。
【0058】
上記メタン含有ガス103は、15barの圧力で供給され、次いで、第2の工程(b)において、第1の熱交換器105中で、T(気体の温度)=-32℃に冷却される。圧縮され、かつ冷却されたメタン含有ガス103は、更に第2の熱交換器107により、T(凍結温度)=-114℃に冷却され、次いでメタン含有ガス103に存在するCOは、上記(第2の)熱交換器のバルブ109において表面(図示していない)で凍結し、かつ規則正しい間隔で、言及された表面からこすり取られ又は代替の方法で除去される。上記凍結は、上記メタン含有ガス103から大量のCOの迅速な除去を可能にし、それゆえ、上記ガス103におけるCO濃度を2100ppm又はそれ未満に減少することを可能にする。(ここでCOが減少された)上記メタン含有ガス103は、次いでPTSA111に供給される。上記PTSA111は、通常、複数の吸着体115の容器(ここでは2つだけが示されている)であって、並列に、重なり合って又は相互に交互に動作する吸着体115の容器を備える。
【0059】
COの上記凍結、及び上記メタン含有ガス103の上記PTSA111への供給の後、第3の工程(c)において、残っているCOは、上記PTSA111に存在する吸着体115を用いて上記メタン含有ガス103から除去され、それによってメタン富化生成ガス117を提供する。上記PTSA111による精製のあと、上記メタン富化生成ガス117は、好ましくは215ppm以下のCO濃度を有する。上記メタン富化生成ガス117は、第3の熱交換器119に運ばれ、-120℃に冷却されることにより液化される。言及されたガスは、次いでバルブ121を経由して、フラッシュ容器123に通過し、1bar、好ましくは大気圧、に減圧され、それによって、上記生成ガスは、好ましくは-162℃に冷却され、それらの一部は、同時に再ガス化される。減圧された液化生成ガス126に加えて、フラッシュガス127は、一般的に、例えば上記生成ガス117の一部が気体のままであるか、又は減圧された液化生成ガス126の一部が再ガス化される。ここに示される方法において、上記フラッシュガス127は、処理ガス129(破線)として用いられる。フラッシュ容器123からの上記処理ガス129は、好ましくは215ppm又はそれ未満のCO濃度であり、かつ好ましくは-162℃の温度である。上記処理ガス129の少なくとも一部(上記生成ガス117に対応する組成)は、第1の熱交換器105に最初に再循環されて、上記メタン含有ガス103を冷却する。これは、上記処理ガス129を好ましくは0℃に加熱する。ここで加熱された処理ガス131は、次いで、上記PTSA111を通過し、ここで、CO飽和された吸着体115を加熱し、そこを流れて、吸着体115からCOを取り除く。ここでCO富化処理ガス133(点線)は、上記PTSA111から、圧縮ユニット135に運ばれ、そこで、15bar、すなわち上記メタン含有ガス103の初期の圧力に圧縮される。
【0060】
圧縮されたCO富化処理ガス133は、次いで、処理ガスの導管134を通って、上記ガス導入導管101に運ばれ、そこで上記メタン含有ガス103と混合される。PTSA113の吸着体115が再生された後で、それらは動作温度まで冷却されて、上記メタン含有ガス103から効率的なCOの吸着を可能とする。吸着体の冷却は、-162℃の温度を有する生成ガス117又は処理ガス129により達成される。
【0061】
減圧された液化生成ガス126は、10μm未満の細孔サイズを有する微粒子フィルター138を通過させて、上記生成ガス中の固体を除去する。上記精製された生成ガスは、次いで、ポンプ139を用いて消費者に供給される。図示された上記PTSA111の2つの吸着体115は、交互に動作することができるので、1つの吸着体115が上記メタン含有ガス103からCOを吸着している間に、もう1つの吸着体115が処理されることができる。これにより、繰り返される精製プロセスを確実にすることができる。
【符号の説明】
【0062】
101 ガス導入導管
103 メタン含有ガス
105 第1の熱交換器
107 第2の熱交換器
109 バルブ
111 PTSA
113 PTSA
115 吸着体
117 生成ガス
119 第3の熱交換器
121 バルブ
123 フラッシュ容器
125 液化生成ガス
126 減圧された液化生成ガス
127 フラッシュガス
129 処理ガス
131 加熱された処理ガス
133 CO富化処理ガス
134 処理ガスの導管
135 圧縮ユニット
138 微粒子フィルター
139 ポンプ
図1