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特許7580626デジタル予歪システムおよび電力増幅器システムの深層学習ベースのオンライン適応
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】デジタル予歪システムおよび電力増幅器システムの深層学習ベースのオンライン適応
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/32 20060101AFI20241101BHJP
   H03F 1/02 20060101ALI20241101BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H03F1/32 158
H03F1/02 188
H03F3/24
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023554095
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 JP2021030273
(87)【国際公開番号】W WO2022137642
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】17/145,444
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/129,824
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベノスマン,モウハシン
(72)【発明者】
【氏名】マ,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】カンタナ,チョアイブ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターズ,リチャード・シィ
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-537847(JP,A)
【文献】特表2020-526995(JP,A)
【文献】特開2018-142798(JP,A)
【文献】特開2013-239880(JP,A)
【文献】特開2013-74595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
H04B1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルドハティ電力増幅器(DDPA)システムの性能を向上させるための自動調整制御装置であって、
入力端子および出力端子を含むインターフェイスを含み、前記インターフェイスは、前記DDPAシステムのマルチ入力電力増幅器(PA)モジュールに含まれるPAの入力信号条件を取得するように構成され、前記自動調整制御装置はさらに、
デジタルドハティ増幅器(DDA)制御装置、デジタル予歪(DPD)制御装置、およびDDA-DPDニューラルネットワーク(NN)を実行および格納するプロセッサおよびメモリを含む訓練回路を含み、前記訓練回路は、
前記入力信号条件をサンプリングして、前記DPD制御装置のための1組の多項式モデルからDPDモデルを選択し、前記DDA制御装置のための1組のDDA最適化変数を選択することと、
予め定められた最適化方法に基づいて前記DPDモデルおよび前記DDA最適化変数のための最適化を行なうことによって最適化されたDPD係数および最適化されたDDA最適化変数を収集することと、
前記入力信号条件と前記最適化されたDPD係数および最適化されたDDA最適化変数との双方に基づいてオフラインで訓練されたものである、訓練されたDDA-DPD NNを使用してDDA最適係数およびDPD最適係数を生成することと、
前記インターフェイスの前記出力端子を介して、生成された前記DDA最適係数およびDPD最適係数を更新することとを行なうように構成され、
前記DDA最適化変数は、ピーク対平均電力比低減(PAPR)のしきい値、電力比、位相差、減衰差、前記PAの主バイアス電圧、前記PAのピークバイアス電圧を含み、
オフライン訓練は、アダム法、勾配降下法、または確率的勾配降下法によって行なわれ、
前記入力信号条件は、前記PAの周波数、信号電力レベル、および信号変調フォーマットを少なくとも含み、
前記予め定められた最適化方法は、極値探索最適化、シミュレーテッド・アニーリング、ベイズ最適化、山登り法、遺伝進化、または最小二乗法である、自動調整制御装置。
【請求項2】
オフライン訓練は、前の最適化されたDPDモデルおよびDDA係数に基づいて行なわれる、請求項1に記載の自動調整制御装置。
【請求項3】
前記DDA-DPDニューラルネットワーク(NN)は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、またはロバストDNNである、請求項1に記載の自動調整制御装置。
【請求項4】
前記インターフェイスは、前記マルチ入力PAモジュールにおける少なくとも2つの電力増幅器に接続するように構成される、請求項1に記載の自動調整制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動調整制御装置と、
制御入力と出力信号を生成するための出力とを有するドハティ電力増幅器(DPA)回路とを含む、デジタルドハティ電力増幅器(DDPA)システム。
【請求項6】
前記DDA最適化変数は、ピーク対平均電力比低減(PAPR)のしきい値、電力比、位相差、減衰差、前記PAの主バイアス電圧、前記PAのピークバイアス電圧を含む、請求項5に記載のDDPAシステム。
【請求項7】
オフライン訓練は、アダム法、勾配降下法、または確率的勾配降下法によって行なわれる、請求項5に記載のDDPAシステム。
【請求項8】
前記DDA-DPDニューラルネットワーク(NN)は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、またはロバストDNNである、請求項5に記載のDDPAシステム。
【請求項9】
訓練された前記DDA-DPD NNは、前記入力信号条件と前記最適化されたDPDおよびDDA係数との双方に基づいて、オフラインで訓練されたものである、請求項5に記載のDDPAシステム。
【請求項10】
前記予め定められた最適化方法は、極値探索最適化、シミュレーテッド・アニーリング、ベイズ最適化、山登り法、遺伝進化、または最小二乗法である、請求項5に記載のDDPAシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して電力増幅器システムに関し、より特定的には、デジタルドハティ(Doherty)電力増幅器システムと、無線周波数電力増幅器の性能を高めるためのデジタル予歪(Digital Pre-Distortion:DPD)システムおよび電力増幅器システムの学習ベースの自動調整最適化方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信データ量およびレートの急増は、電力増幅器(power amplifier:PA)がエネルギー消費のための主な構成要素である無線送信機において電力消費を著しく増加させる。エンベロープトラッキング(Envelope Tracking:ET)、ドハティ電力増幅器(Doherty Power Amplifier:DPA)、エンベロープ除去および回復(Envelop Elimination and Restoration:EER)を含むいくつかの先進技術が、PAの電力付加効率(Power Added Efficiency:PAE)を向上させるために提案されてきた。これらの技術のうち、DPAは、その単純な構造が、アクティブ負荷変調に基づく高い平均効率を可能にするため、非常に有望である。
【0003】
DPAは効率向上のための多くの利点を示すが、従来のアナログDPAは、エネルギー効率および動作帯域幅に関して性能劣化をもたらす欠点を依然として抱えている。従来のDPA設計は、アナログ電力分割器(おそらく調整可能)、固定された位相整列、クラスABモード上で実行されるキャリアPAおよびクラスCモード上で実行されるピークPA、ならびに出力電力結合器を含む、単一の入力構成に基づいている。DPA効率を向上させるために、ゲートバイアス適応、非対称DPA、マルチウェイDPA、調整可能位相整列、および適応電力分割比を含む、いくつかの方法が研究されている。
【0004】
最適なデジタル予歪(DPD)性能およびPA性能を得るために、設計者は回路動作パラメータを手動で調整する必要があり、調整プロセスは、入力電力、周波数、および信号規格などの固定された動作条件についてのみ有効である。実際のシナリオでは、最適制御パラメータは、変化する入力および回路状態に応じて変化する。補償回路部品も複雑で、最適化するのが難しく、DPA設計を煩雑にする。これらはまさしく、純アナログベースの設計からの制限である。
【0005】
デジタルDPA(DDPA)などのよりフレキシブルなアーキテクチャが、さまざまな帯域幅、変調フォーマット、電力レベルおよび変調フォーマットのさまざまな回路状態および入力信号のための最適制御パラメータを適応的に見つける必要がある。さらに、この発明で、我々は、双方のシステムがそれらの性能を同調して向上させるように、DPD性能の関数として、PAの制御パラメータを自動調整するだけでなく、PAの学習コスト関数を自動調整することを提案する。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態は、デジタル電力増幅器(Digital Power Amplifier:DPA)は、それが設計者のための回路調整手順(自動調整)を容易にして、複数経路についての位相遅延などの回路アンバランスと、温度および老朽化を含む環境変化とについて考慮することができるようにプログラム可能であるという認識に基づいている。したがって、DPAは、アナログDPAと比較して、フレキシブルであるだけでなく、向上した性能を提供することができる。
【0007】
また、本発明のいくつかの実施形態は、電力増幅器システムの性能を向上させるための自動調整制御装置を提供する。自動調整制御装置は、入力端子および出力端子を含むインターフェイスを含み得る。インターフェイスは、電力増幅器(PA)の入力信号条件を取得するように構成される。自動調整制御装置はさらに、デジタルドハティ増幅器(Digital Doherty amplifier:DDA)制御装置(モジュール)、DPD制御装置(モジュール)、およびDDA-DPDニューラルネットワーク(neural network:NN)を実行および格納するプロセッサおよびメモリを含む訓練回路を含み得る。この場合、訓練回路は、入力信号条件をサンプリングして、DPD制御装置のための1組の多項式モデルとDDA制御装置のための1組のDDA最適化変数とからDPDモデルを選択することと、最適化されたDPDモデルおよびDDA係数を使用することとを行なうように構成され、最適化されたDPDモデルおよびDDA係数は、予め定められた最適化方法に基づいてDPDモデルおよびDDA係数のためのオフライン最適化を行なうことによって提供され、訓練回路はさらに、最適化されたDPD係数および最適化されたDDA最適化変数を収集することと、訓練されたDDA-DPD NNを使用してDDA最適係数およびDPD最適係数をオンラインで生成することと、インターフェイスの出力端子を介して、生成されたDDA最適係数およびDPD最適係数を更新することとを行なうように構成される。
【0008】
本発明の実施形態によれば、DPAシステム、デジタルドハティ電力増幅器(Digital Doherty Power Amplifier:DDPA)システム、デジタル予歪(DPD)、および学習ベースの自動調整方法(最適化方法)が提供され、それらは、DPDが同時に線形性要件を満たすために適応制御によってPAシステムとともに動作している間、効率およびゲインを特に向上させる。DDPAシステムおよび最適化方法は、送信機の3G、4G LTE、および5G基地局無線フロントエンドを含む広帯域移動通信のために使用され得る。
【0009】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、デジタルドハティ電力増幅器(DDPA)システムが提供される。DDPAは、電力増幅器システムの性能を向上させるための自動調整制御装置を含み得る。この場合、自動調整制御装置は、入力端子および出力端子を含むインターフェイスを含み得る。インターフェイスは、電力増幅器(PA)の入力信号条件を取得するように構成される。自動調整制御装置はさらに、デジタルドハティ増幅器(DDA)制御装置(モジュール)、DPD制御装置(モジュール)、およびDDA-DPDニューラルネットワーク(NN)を実行および格納するプロセッサおよびメモリを含む訓練回路を含み得る。この場合、訓練回路は、入力信号条件をサンプリングして、DPD制御装置のための1組の多項式モデルとDDA制御装置のための1組のDDA最適化変数とからDPDモデルを選択することと、最適化されたDPDモデルおよびDDA係数を使用することとを行なうように構成され、最適化されたDPDモデルおよびDDA係数は、予め定められた最適化方法に基づいてDPDモデルおよびDDA係数のためのオフライン最適化を行なうことによって提供され、訓練回路はさらに、最適化されたDPD係数および最適化されたDDA最適化変数を収集することと、訓練されたDDA-DPD NNを使用してDDA最適係数およびDPD最適係数をオンラインで生成することと、インターフェイスの出力端子を介して、生成されたDDA最適係数およびDPD最適係数を更新することとを行なうように構成され、DDPAシステムはさらに、制御入力と出力信号を生成するための出力とを有するドハティ電力増幅器(DPA)回路を含み得る。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態は、デバイスパラメータ、環境変動にもかかわらず、複雑な工学調整なしで最適制御パラメータセットを十分に適応的に見つけるDPDおよびデジタルドハティ増幅器(DDA)システムを提供し、最適制御は、たとえば、広帯域電力送信機における高効率と妥当なゲインとを目指す。
【0011】
発明の一実施形態は、DPAデバイスについての仮定または予備的知識を有していないモデルなしアルゴリズムであり、当該アルゴリズムは、最適構成を探索するためにブラックボックス最適化に基づいている。最適構成は、DPDモデルの最適係数とPA最適係数とからなる。この最適構成は、入力電力条件、周波数帯域幅、および信号変調などの異なる動作条件のために、オフラインで得られる。十分な最適データがオフラインで収集される場合、我々は、動作条件を最適DPDおよび/またはDPA構成にマッピングするディープニューラルネットワーク(deep neural network:DNN)モデルを訓練することを提案する。
【0012】
いくつかの実施形態は、DPA効率について最適化するだけでなく、ゲインおよび線形性性能をフレキシブルに向上させ、一方、学習コストにおける線形性特性項は、DPD線形化性能に比例する。たとえば、いくつかの実施形態では、システムは、異なる周波数帯域においてゲインと効率とのトレードオフのバランスをとるか、または、ある制約下で効率を最大化することができる。一例は、構成されたしきい値よりも大きいゲインを必要としつつ、効率を最適化することである。変調信号の場合、我々は、同じDDPAシナリオの下で、隣接チャネル電力比(Adjacent Channel Power Ratio:ACPR)とともに、効率、ゲインを最適化する。ACPRは、主チャネルから隣接チャネルへ放出された制限された電力を有するための変調信号のための重要な線形性指標である。
【0013】
本発明の実施形態によれば、デジタル電力増幅器(DPA)システムは、制御入力と出力信号を生成するための出力とを有する電力増幅器(PA)回路と、適応制御回路とを含み、適応制御回路は、入力インターフェイスと、出力インターフェイスと、適応制御アルゴリズムを格納するメモリと、メモリに関連する適応制御アルゴリズムに基づいて命令を行なうプロセッサとから構成され、入力インターフェイスは入力状態信号とPA回路の出力信号とを受信し、適応制御アルゴリズムは、入力状態信号および出力信号に応答して、PA回路の動作を制御するために出力インターフェイスから制御入力に送信された制御信号の制御パラメータを決定する。
【0014】
この発明のさらなる理解を提供するために含まれている添付図面は、この発明の実施形態を例示し、説明とともに、この発明の原理を解説するよう機能する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】先行技術のデジタル電力増幅器(DPA)を例示するブロック図である。
図2】関連技術に従った、DPD(デジタル予歪)プロセスを通して電力増幅器の線形性および効率を向上させる際の段階を例示する概略図である。
図3A】関連技術に従った、PA自動調整のための新しいアルゴリズムの詳細なブロック図を例示する概略図である。
図3B】本発明の実施形態に従った、デジタル電力増幅器(DPA)のブロック図を例示する概略図である。
図4A】本発明の実施形態に従った、DPDおよびDDAのための共用制御モジュールを示すブロック図を例示する概略図である。
図4B】本発明の実施形態に従った、ディープニューラルネットワークを使用するDPDおよびDDAのための共用制御モジュールの実現を示すブロック図を例示する概略図である。
図4B-1】本発明の実施形態に従った、DPDおよびDDAのためのDNN共用制御モジュールの実現を示すブロック図である。
図4B-2】本発明の実施形態に従った、DPDモデルおよびDDA最適化係数の実現を示すブロック図である。
図4C】本発明の実施形態に従った、ディープニューラルネットワークを使用するDPDおよびDDAのための共用制御モジュールの実現を示すブロック図である。
図4C-1】本発明の実施形態に従った、DPDおよびDDAのためのDNN共用制御モジュールの実現を示すブロック図である。
図4D】本発明の実施形態に従った、入力信号条件の実現を示すブロック図である。
図4E】本発明の実施形態に従った、DDA DNN制御モジュールおよびDPD DNN制御モジュールのためのDNNのいくつかの選択肢を示すブロック図である。
図4F】本発明の実施形態に従った、DDA DNN制御モジュールおよびDPD DNN制御モジュールのためのDNNの他の選択肢を例示するブロック図である。
図5】本発明の実施形態に従った、DPD制御モジュールおよびDDA制御モジュールのための転移学習プロセスを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のさまざまな実施形態を、図面を参照して以下に説明する。なお、図面は縮尺通りには描かれておらず、同様の構造または機能の要素は図面全体を通して同じ参照番号で表わされる。また、図面は、この発明の特定の実施形態の説明を容易にするよう意図されているに過ぎない。図面は、この発明の網羅的な説明として、またはこの発明の範囲に対する限定として意図されていない。加えて、この発明のある特定の実施形態に関連して説明された局面は、必ずしもその実施形態に限定されず、この発明の任意の他の実施形態において実践され得る。
【0017】
図1は、本発明のいくつかの実施形態に従ったデジタル電力増幅器(DPA)モジュール100のブロック図である。DPAモジュール100は、ドハティ電力増幅器、アウトフェージング電力増幅器、平衡型電力増幅器、およびプッシュプル電力増幅器などといったマルチ入力電力増幅器120によって構成されるデジタル電力増幅器(DPA)モジュールであり得る。一例として、ドハティ電力増幅器が、DPAモジュールの機能を解説するためにデジタル電力増幅器(DPA)モジュール100において使用される。DPAモジュール100は、DDPA(デジタルドハティ電力増幅器)モジュール100と呼ばれ得る。しかしながら、回路設計のバリエーションに依存して、アウトフェージング電力増幅器回路、平衡型電力増幅器回路、またはプッシュプル電力増幅器回路も使用され得る。
【0018】
DDPAモジュール100は、ベースバンド処理モジュール101と、デジタルドハティ増幅器(DDA)適応制御モジュール102と、振幅比-位相制御モジュール(振幅(Amp)-位相モジュール)103と、信号変換器110と、デュアル入力DPAモジュール(DPAモジュールであるがデュアル入力に限定されない)120と、DDA適応制御モジュール102によって生成された最適制御パラメータ(または制御パラメータ)313に従ってバイアス条件(電圧および/または電流)をDPAモジュール120に提供するための電力供給器104とを含み得る。DPAモジュール120は、主PA(キャリアPA)121と、ピークPA122と、出力結合器123とを含む。信号変換器110は、デジタルアナログ変換器(digital-to-analogue convertor:DAC)111および112と、アップコンバータ113および114とを含む。
【0019】
デュアル入力DPAモジュール120は、キャリア信号を制御するためのキャリア電力増幅器(PA)121と、ピーク信号を制御するためのピーク電力増幅器(PA)122と、キャリアPA121およびピークPA122からの信号を結合させるための出力結合器123とを含む。デジタルドハティの構成は、3つ以上のPAが100で説明された同様のトポロジと関連するマルチウェイドハティまで拡張され得ることが明らかである。
【0020】
ドハティ増幅器以外の電力増幅器がモジュール100において使用される場合、DDA適応制御モジュール102は、デジタル適応(digital adaptive:DA)制御モジュール102と呼ばれ得る。
【0021】
入力信号301は、DA適応制御モジュール102に送信される。DA適応制御モジュール102は、入力信号301とDPAモジュール120からの出力信号300とを使用して、データ駆動型最適化を行ない、PA121およびPA122間の位相差θとPA121およびPA122のための入力電力比αとに関する最適制御パラメータ313を生成する。場合によっては、制御パラメータ313は、更新されたDDPAパラメータと呼ばれ得る。更新されたDDPAパラメータ313は、振幅-位相モジュール103に提供される。また、上述の最適化は、電力増幅器システムの学習ベースの自動調整方法と呼ばれ得る。
【0022】
この場合、制御パラメータ313は、PA121およびPA122のゲートバイアスパラメータ(Vg1、Vg2)と、PA121およびPA122間の位相差θと、PA121およびPA122のための入力電力分配(比α)とを含む。また、電力供給器104は、DDA適応制御モジュール102からゲートバイアスパラメータを受信し、ゲートバイアスパラメータ(Vg1、Vg2)に従ってゲートバイアス電圧をPA121およびPA122に印加する。振幅-位相モジュール103が、制御パラメータ313の一部として、PA121およびPA122間の位相差と、PA121およびPA122のための入力電力比とを、DDA適応制御モジュール102から受信すると、振幅-位相モジュール103は、PA121およびPA122にそれぞれ印加されるべき信号S1およびS2を生成する。この場合、信号S1およびS2は、信号S1およびS2の振幅比と、信号S1およびS2間の位相差とが、DDA適応制御モジュール102によって計算された最適制御パラメータ313によって示された値を満たすように形成される。
【0023】
場合によっては、DDA適応制御モジュール102は電力供給器104を含んでいてもよく、PA121およびPA122は、窒化ガリウム(GaN)系材料または他の異なる半導体装置技術を使用して作製された電界効果トランジスタ(field-effect-transistor:FET)であってもよい。また、PA121およびPA122は、バイポーラトランジスタ(bipolar transistor:BPT)であってもよい。この場合、ゲートバイアスは、バイポーラトランジスタのベース電流バイアスと置き換えられる。BPTは、GaN系材料または他の異なる半導体装置技術によって形成され得る。
【0024】
出力結合器123の出力信号(たとえば、4分の1波長伝送線が出力結合ネットワークとして使用され得る。また、キャパシタベースの、集中素子インダクタなどの他のフォーマットも、同じ結合機能を行なうために使用され得る)は、アンテナ(図示せず)から予め定められたバンドパスフィルタ(図示せず)を介して送信され得る。また、出力結合器123の出力信号は、キャリアPA121およびピークPA122をそれぞれ制御する制御パラメータ313を計算するために、DDA制御モジュール102の入力インターフェイス(図示せず)によって受信される(検出される)。場合によっては、制御パラメータ313は、調整パラメータと呼ばれ得る。
【0025】
キャリアPA121およびピークPA122の各々は、ゲートバイアスと位相と入力信号電力とを示す制御パラメータ313によって制御され得る。位相信号および入力電力信号は、振幅-位相モジュール103に印加される。振幅-位相モジュール103は、DDA適応制御モジュール102によって生成された制御パラメータ313に従って、キャリアPA121およびピークPA122の信号の振幅比と位相とを調節する。
【0026】
この場合、信号変換器110は、位相信号および入力電力信号を生成し、必要であればキャリアPA121およびピークPA122を駆動する駆動増幅器(図示せず)を介して、キャリアPA121およびピークPA122に提供する。
【0027】
DDA適応制御モジュール102は、適応制御アルゴリズムを格納する1つ以上のメモリ(図示せず)に関連するプロセッサ(図示せず)を含み、プロセッサは、予め定められた適応制御アルゴリズムに従って命令を実行する。また、適応制御アルゴリズムは、適応調整制御と呼ばれるモデルなし最適化に基づいている。
【0028】
制御パラメータ313は、適応最適化制御によって制御パラメータ313の値を計算するDDA適応制御モジュール102によって生成される。場合によっては、制御パラメータ313は、データ駆動型最適化パラメータと呼ばれ得る。
【0029】
さらに、DDA適応制御モジュール102はまた、入力信号301とデュアル入力DPAモジュール120の出力信号300とを受信するための入力インターフェイス(図示せず)と、デュアル入力DPAモジュール120とキャリアPA121およびピークPA122とを制御するための位相制御信号、電力比制御信号、およびバイアス信号を含む制御パラメータ313を生成する出力インターフェイス(図示せず)とを含む。
【0030】
DDA適応制御モジュール102は、ベースバンド処理モジュール101からベースバンド信号を受信し、入力インターフェイスを介して出力結合器123の出力信号300を検出して、データ駆動型最適化パラメータ313と呼ばれ得る制御パラメータ313を、適応制御アルゴリズムに基づいて生成する。この場合、データ駆動型最適化パラメータ313の一部は、PA121およびPA122の位相および電力比を制御するために、出力インターフェイスを介して振幅-位相制御モジュール103に提供される。また、データ駆動型最適化パラメータ313の別の一部は、PA121およびPA122のゲートバイアスを制御するために、電力供給器104を介してPA121およびPA122にそれぞれ供給されるゲートバイアスに変換される。
【0031】
図1では、DDPAモジュール100は、それが設計者のための回路調整手順を容易にして、複数経路についての回路アンバランスおよび欠点について十分に考慮することができるようにプログラム可能である。したがって、DDPAモジュール100は、アナログDPAと比較して、フレキシブルで低コストであるだけでなく、よりよい性能を提供する。本発明の一実施形態に従った設計は、制御ポートがアルゴリズムを通して最適性能に到達するよう適応され得るように、ソフトウェアによって設計された原理から利益を得る。
【0032】
RF電力増幅器をより効率的にすることは、それを、その飽和点近くの点まで駆動することを意味する。そのような場合、変調波形は歪みがちである(ACPR(隣接チャネル電力比によって特徴付けられる非線形性を招く)。このため、設計目標は、高ゲインおよび良好な線形性(ACPR)を維持しつつ、電力付加効率(PAE)を最大化することである。場合によっては、デジタル線形性は、デジタル予歪(DPD)を通して達成され得る。
【0033】
図2は、DPD(デジタル予歪)プロセス201および効率向上プロセス202をそれぞれ通してPA121およびPA122の線形性および効率を向上させる際の段階を示す。これらのプロセスでは、ステップ201で入力信号のデジタル予歪が行なわれ、ステップ202で効率向上が行なわれ、ステップ203で、デジタル予歪(DPD)および効率向上を通したプロセスによって取得された入力信号がPA121およびPA122に提供される。
【0034】
図3Aは、入力信号(入力状態信号)301が異なる状態を含む入力状態として使用される、PA自動調整のための我々のアルゴリズムの詳細なブロック図を示す。当該異なる状態は、周波数および入力電力レベルを示すものの、これら2つの状態に限定されず、信号変調フォーマットといった他の状態も含まれ得る。周波数および入力信号電力レベルを示す入力状態信号301は、DDA適応制御モジュール102に送り込まれ、入力信号301とデュアル入力DPAモジュール120の出力信号300とを使用することによって、ゲートバイアス303、主増幅器とピーク増幅器との間の位相差304、および入力電力分配305といったDDPAモジュール120の制御パラメータ313を適応的に調整する。最後に、調整されたパラメータは、デュアル入力DPAモジュール120に送り込まれる。
【0035】
回路設計のバリエーションに従って、DPAモジュール120は、3つまたは4つ以上の電力増幅器(PA)を含み得る。たとえば、図3Bを参照されたい。そのような場合、DDA適応制御モジュール102は、3つまたは4つ以上の電力増幅器の各々について制御パラメータ313を提供する。
【0036】
図3Bは、本発明の実施形態に従った、DPAモジュールの自動調整プロセスを行なうマルチ入力デジタル電力増幅器モジュール(たとえば、デジタルドハティ電力増幅器(DDPA)システム)350を例示するブロック図である。
【0037】
図では、部品の機能が図1での機能と同様である場合、当該部品について、図1における同じ部品番号が使用される。また、同じ部品番号についての説明は省略される。
【0038】
マルチ入力デジタル電力増幅器モジュール350は、ベースバンド処理モジュール101と、DDA適応制御モジュール(自動調整制御装置)351と、振幅比/位相制御モジュール103と、信号変換器110と、マルチ入力PAモジュール120とを含む。この場合、信号変換器110は、デジタルアナログ変換器(DAC)111、112および112nと、アップコンバータ113、114および114nとを含む。
【0039】
DDA適応制御モジュール351は、DPDおよびDDAのための共用制御モジュールと呼ばれ得る。たとえば、構成または機能が図4A図5に基づいて以下に説明される。
【0040】
DDA適応制御モジュール351は、適応制御装置352と、深層学習ベースのオンラインDPD353と、図面に示されていない部品とを含む。たとえば、自動調整制御装置351は、訓練回路と、入力端子および出力端子を含むインターフェイスとを含む。インターフェイスは、ベースバンド処理モジュール101から信号301を取得し、電力増幅器(PA)120から信号条件300を取得し、最適制御パラメータ(最適制御パラメータ信号)313を送信するように構成される。
【0041】
訓練回路は、デジタルドハティ増幅器(DDA)制御装置(モジュール)、DPD制御装置(モジュール)、およびDDA-DPDニューラルネットワーク(NN)を実行および格納するためのプロセッサおよびメモリを含む。訓練回路は、入力信号条件をサンプリングして、DPD制御装置のための1組の多項式モデルとDDA制御装置のための1組のDDA最適化変数とからDPDモデルを選択することと、最適化されたDPDモデルおよびDDA係数を使用することとを行なうように構成される。この場合、最適化されたDPDモデルおよびDDA係数は、予め定められた最適化方法に基づいてDPDモデルおよびDDA係数のためのオフライン最適化を行なうことによって提供される。訓練回路はさらに、最適化されたDPD係数および最適化されたDDA最適化変数を収集することと、訓練されたDDA-DPD NNを使用してDDA最適係数およびDPD最適係数をオンラインで生成することと、インターフェイスの出力端子を介して、生成されたDDA最適係数およびDPD最適係数を更新することとを行なうように構成される。
【0042】
マルチ入力PAモジュール120は、キャリア信号を制御するためのキャリア電力増幅器(PA)121と、ピーク信号を制御するためのピーク電力増幅器(PA)122と、第2のピーク信号を制御するための第2のピーク電力増幅器(PA)122nと、PA121、122および122nからの信号を結合させるための出力結合器123とを含む。この場合、信号変換器110は、3つまたは4つ以上のDACと3つまたは4つ以上のアップコンバータとを含み、マルチ入力PAモジュール120は、3つまたは4つ以上の電力増幅器121、122および122nを含む。
【0043】
DDA適応制御モジュール351は、入力信号301とマルチ入力PAモジュール120の出力信号300とを使用して、更新されたDPAパラメータ313を生成し、更新されたDPAパラメータ313を振幅-位相モジュール103に提供する。次に、振幅-位相モジュール103は、信号変換が、PA121、PA122およびPA122nにそれぞれ印加されるべきS1、S2およびSnを生成するように、信号を信号変換器110に提供する。
【0044】
上述のように、最適制御パラメータ313は、適応制御モジュール351を使用して計算される。最適制御パラメータに関する詳細な説明は以下に提供される。
【0045】
図4Aでは、この発明の一実施形態450は、最適係数をDDA制御モジュール405とDPD制御モジュール401とに送信する、DPDおよびDDAのための共用制御モジュール410の設計である。この発明のいくつかの実施形態で、我々は、共用制御モジュール410が以下のように実現されることを提案する。図4Bでは、所与の入力信号条件4100のために、DDA-DPDディープニューラルネットワーク(DNN)4101は、DDAに送信されるであろうDDA最適係数4103と、DPDモデルに送信されるであろうDPD最適係数4102とをオンラインで生成する。
【0046】
図4B-1でのように、DDA-DPD DNN4101は、オフラインで訓練される(41014)必要がある。訓練プロセスは以下のステップに従う。まず、入力信号条件4100は、図4Dでのように、異なる周波数41001、電力信号41002、信号変調フォーマット41003、その他41004からサンプリングされ、次に、DPDのモデルが選択され、DDAのための1組の最適化変数が選択される(41011)。図4B-2でのように、DPDモデルを選択することができ(410112)、一実施形態では、DDA係数が、異なるサイズ410114を有する1組の多項式モデルから選ばれ、別の実施形態では、非線形三角法モデルまたは他の非線形性が選択され(410115)、さらに別の実施形態では、ディープニューラルネットワークモデルがDPDモデルとして選択される(410116)。DDAのための1組の最適化変数は、PAPR(peak to average power ratio:ピーク対平均電力比)低減のしきい値410120、電力比410121、位相差410117、減衰差、電力増幅器の主バイアス電圧410118、電力増幅器のピークバイアス電圧410119などといった係数の中から選択される(41011)。DPDおよびDDAのこの最適化は、極値探索最適化41015、シミュレーテッド・アニーリング41016、ベイズ最適化41017、山登り法41018、最小二乗41019、その他41029を使用して行なわれ得る。この最適化がいったん行なわれると、我々はDDAおよびDPD最適係数41013を収集し、次に、これらの係数は、DDA-DPD DNN41014をオフラインで訓練するために入力信号条件4100とともに使用される。この訓練段階では、DDA-DPD DNN41014の入力が入力信号条件4100であり、DDA-DPD DNN41014の出力がDDAおよびDPD最適係数41013である。このDDNの訓練は、任意のDDN訓練方法によって行なわれ得る。たとえば、いくつかの実施形態では、我々は、アダム法、または勾配降下法、または確率的勾配降下法などを使用することができる。DDN41014の訓練が収束した場合、我々は、任意の新しい入力信号条件4100のためのDDAおよびDPD最適係数を生成するためにオンラインで使用されるべきDDA-DDP DNNを取得する。
【0047】
図4Cでは、別の実施形態として、共用制御モジュール410は以下のように実現され得る。所与の入力信号条件4100のために、DDA DNN4121およびDPD DNN4131という2つのDDNが取得される。DDA DNN4121は、DDAに送信されるであろうDDA最適係数4103をオンラインで生成する。DPD DNN4131は、DPDに送信されるであろうDPD最適係数4102をオンラインで生成する。
【0048】
図4C-1でのように、2つの別個のDDA DNN4102およびDPD DNN4103は、オフラインで訓練される(41211、41311)必要がある。訓練プロセスは以下のステップに従う。
【0049】
まず、入力信号条件は、異なる周波数、電力信号、信号変調フォーマット、その他からサンプリングされ(410111)、次に、DPDのモデルが選択され、DDAのための1組の最適化変数が選択される(41011)。一実施形態では、異なるサイズ410114を有する1組の多項式モデルからDPDモデルを選択することができ(410122)(410112)、別の実施形態では、非線形三角法モデルまたは他の非線形性が選択され(410115)、さらに別の実施形態では、ディープニューラルネットワークモデルがDPDモデルとして選択される(410116)。DDAのための1組の最適化変数は、PAPR低減のしきい値410120、電力比410121、位相差410117、減衰差、電力増幅器の主バイアス電圧410118、電力増幅器のピークバイアス電圧410119などといった係数の中から選択される(410113)。次に、DDAおよびDPDのオフライン最適化が行なわれる(41012)。DPDおよびDDAのこの最適化は、極値探索最適化41015、シミュレーテッド・アニーリング41016、ベイズ最適化41017、山登り法41018、最小二乗41019、その他41029を使用して行なわれ得る。この最適化がいったん行なわれると、我々はDDAおよびDPD最適係数41013を収集し、次に、これらの係数は、DDA DNN41211、およびDPD DNN 41311をオフラインで訓練するために入力信号条件4100とともに使用される。DDA DNNの訓練については、DNN入力が入力信号条件4100であり、DDA DNN41211の出力がDDA最適係数4103である。DPD DNNの訓練については、DNN入力が入力信号条件410111であり、DPD DNN41311の出力がDPD最適係数4102である。これらのDDNの訓練は、任意のDDN訓練方法によって行なわれ得る。たとえば、いくつかの実施形態では、我々は、アダム法、または勾配降下法、または確率的勾配降下法、ロバストDNN訓練などを使用することができる。DDA DDN41211の訓練が収束した場合、我々は、任意の新しい入力信号条件410111のためのDDA最適係数を生成するためにオンラインで使用されるべきDDA DNNを取得する。DPD DDN41311の訓練が収束した場合、我々は、任意の新しい入力信号条件4100のためのDPD最適係数を生成するためにオンラインで使用されるべきDPD DNNを取得する。
【0050】
図4E~4Fでのように、この発明の異なる実施形態では、我々は、異なるタイプのDNN4101、4121、4131を使用することができる。たとえば、完全接続DNN41011、畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network:CNN)41012、残差ネットワーク(ResNet)41013、再帰型ニューラルネットワーク(recurrent neural network:RNN))41014、その他41015である。
【0051】
図5は、本発明の実施形態に従った、DPD制御モジュールおよびDDA制御モジュールのための転移学習プロセスを示すブロック図である。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態では、転移学習手順が、あるユニット500から別のユニット501、5100へ行なわれる。たとえば、転移学習のそのような実現化例の一実施形態では、我々は、所与のユニット1 500から開始することを提案し、次に、所与の入力条件4100のために、我々は対応するDDAおよびDPD最適係数41013をオフラインで計算し、それらは次に、ユニット1 500に関連付けられた対応するDNNをオフラインで訓練する(41014)ために使用される。次に、次のユニット2 501について、ユニット1の入力条件と同様であるかまたは異なっている所与の入力条件4100のために、我々は、DDAおよびDPD最適係数41013をオフラインで計算し、それらは次に、ユニット2に対応するDNNのオフライン訓練521のために使用される。転移学習のための秘訣は、ユニット2のためのDNNの訓練510をウォームスタートするために、ユニット1のためのDNNのための最適係数Opt_coeff_1を使用することである。次に、別のユニットN 5100について、我々は同様の訓練を進め、我々は、ユニットN-1 5100のためのDNNの最適係数を使用して、新しいDNNの訓練を開始する。
【0053】
ユニット間のこの転移学習はまた、DNN係数の一部を、前のユニットについて得られたそれらの最適値に固定し、新しいユニットに関連付けられた新しいDNNを、DNNの係数の一部のみを訓練することにより再訓練することによって具体化され得る。
【0054】
さらに別の転移学習実施形態は、新しいユニットごとに追加層を用いてDNNを拡張し、追加層の係数のみを学習し、他の層の係数を前のユニットについて得られた最適係数と等しく保ちながら、DNNを再訓練することによって行なわれ得る。
【0055】
本発明の上述の実施形態は、多くのやり方のうちのいずれかで実現され得る。たとえば、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せを使用して実現されてもよい。ソフトウェアで実現される場合、ソフトウェアコードが、任意の好適なプロセッサまたはプロセッサの集合上で、当該プロセッサが単一のコンピュータにおいて提供されようと複数のコンピュータ中に分散されようと、実行され得る。そのようなプロセッサは、集積回路コンポーネント内に1つ以上のプロセッサを有する集積回路として実現されてもよい。しかしながら、プロセッサは、任意の好適なフォーマットの回路を使用して実現されてもよい。
【0056】
また、この発明の実施形態は、その例が提供された方法として具現化されてもよい。当該方法の一部として実行される動作は、任意の好適なやり方で順序付けられてもよい。したがって、例示的な実施形態では連続的な動作として示されていても、動作が例示とは異なる順序で実行される実施形態が構築されてもよい。この場合、いくつかの動作を同時に実行することも含まれていてもよい。
【0057】
請求項要素を修飾するための、請求項における「第1」、「第2」などの序数用語の使用は、それ自体、ある請求項要素の、別の請求項要素に対する優先順位、優位性、または順序、あるいは、方法の動作が行なわれる時間的順序を何ら暗示しておらず、単に、ある名前を有するある請求項要素を、(序数用語の使用を除き)同じ名前を有する別の要素から区別するために、これらの請求項要素を区別するラベルとして使用されているに過ぎない。
【0058】
この発明を、好ましい実施形態の例を介して説明してきたが、この発明の精神および範囲内で他のさまざまな適応および変更が実施可能であることが理解されるはずである。
【0059】
したがって、添付された請求項の目的は、この発明の真の精神および範囲内に収まるようにそのようなすべての変形および変更を網羅することである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4B-1】
図4B-2】
図4C
図4C-1】
図4D
図4E
図4F
図5