IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエムダブリュ・インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特許-セラミック導波管フィルタ 図1
  • 特許-セラミック導波管フィルタ 図2
  • 特許-セラミック導波管フィルタ 図3
  • 特許-セラミック導波管フィルタ 図4
  • 特許-セラミック導波管フィルタ 図5
  • 特許-セラミック導波管フィルタ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】セラミック導波管フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/20 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
H01P1/20 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023555682
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 KR2022002917
(87)【国際公開番号】W WO2022191491
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0032426
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ホン キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヒョク パク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ホ シン
(72)【発明者】
【氏名】ホーン キム
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111403864(CN,A)
【文献】特開平08-330806(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0086219(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック誘電体を含む複数の共振ブロックを形成するセラミック導波管フィルタであって、
前記セラミック導波管フィルタの外面に所定の深さを有する溝の形態で具現される入力端及び出力端と、
前記複数の共振ブロックのそれぞれの外面に所定の深さを有する溝の形態で具現される複数の共振器と、
前記入力端及び前記出力端の少なくとも1つに隣接し、前記セラミック導波管フィルタの外面に所定の深さを有する溝の形態で具現される1つ以上の超短遅延調節部と、
を含むセラミック導波管フィルタ。
【請求項2】
前記超短遅延調節部は、
前記超短遅延調節部の各々に形成された溝の深さ及び溝の幅の広さのうちの少なくとも1つを調節して入力超短遅延及び出力超短遅延の少なくとも1つの変化の幅を調節するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のセラミック導波管フィルタ。
【請求項3】
前記1つ以上の超短遅延調節部は、
前記セラミック導波管フィルタの上面又は下面のうちの少なくとも1つの面に位置することを特徴とする、請求項1に記載のセラミック導波管フィルタ。
【請求項4】
さらに、前記複数の共振ブロックのうち、互いに隣接する共振ブロック間の領域のうちの少なくとも一部の領域にて、前記セラミック導波管フィルタの上面及び下面のうちの1つ以上の面に所定の深さを有する1つ以上のスロットを含むことを特徴とする、請求項1に記載のセラミック導波管フィルタ。
【請求項5】
前記超短遅延調節部のうちの少なくとも1つの超短遅延調節部の一部分が、前記1つ以上のスロットのうちのそれぞれ異なるスロットと重なるように配置されて所定の深さの溝の形状を有することを特徴とする、請求項4に記載のセラミック導波管フィルタ。
【請求項6】
前記スロットと重なるように配置された前記少なくとも1つの超短遅延調節部は、半円形状の断面を有することを特徴とする、請求項5に記載のセラミック導波管フィルタ。
【請求項7】
前記1つ以上の超短遅延調節部は、
円柱又はN角柱(Nは3以上の自然数)の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のセラミック導波管フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セラミック導波管フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記述された内容は、単に本開示に関する背景情報を提供するだけであり、従来技術を構成するものではない。
【0003】
近年、無線通信サービスの種類が多くなるにつれて周波数環境が複雑になっている。無線通信のための周波数は限られているので、無線通信チャネルを可能な限り隣接して周波数リソースを有効に活用する必要性がある。
【0004】
多様な無線通信サービスが提供される環境では、信号干渉が発生するようになる。したがって、隣接する周波数リソース間の信号干渉を最小化するために、特定の帯域に対する帯域フィルタが必要である。
【0005】
アンテナに装着される周波数フィルタの場合には、フィルタを制作した後、チューニングを行う。チューニングで最初に遂行する作業のうちの1つが超短遅延確認作業である。入力端と出力端には、それぞれ隣接する共鳴器とその間を結ぶループが存在する。入力端と出力端に形成されたループの形態及び位置などによって入力端と出力端で発生する超短遅延の値が変わる。このような超短遅延が設計値に到達してこそ所望のスカート特性とフィルタリングされる周波数帯域幅を得ることができるため、超短遅延のチューニングは非常に重要である。
【0006】
空気で満たされたキャビティバンドパスフィルタの場合にはループの形態、位置又はチューニングスクリューなどで超短遅延チューニングを簡単に遂行できるのに対し、誘電体からなるセラミック導波管フィルタの場合には超短遅延を調節するためには空間的又は構造的な制約がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本開示は、セラミック導波管フィルタの入力端と出力端側で発生する超短遅延を調節することに主な目的がある。
【0008】
さらに、本開示は、信号をフィルタリングするときに発生する不要波を減衰することに主な目的がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下の記載から通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施例によると、セラミック誘電体を含む複数の共振ブロックを形成するセラミック導波管フィルタであって、セラミック導波管フィルタの外面に所定の深さを有する溝の形態で具現される入力端及び出力端と、複数の共振ブロックのそれぞれの外面に所定の深さを有する溝の形態で具現される複数の共振器と、入力端及び出力端のうちの少なくとも1つに隣接し、セラミック導波管フィルタの外面に所定の深さを有する溝の形態で具現される1つ以上の超短遅延調節部とを含むセラミック導波管フィルタを提供する。
【0011】
また、セラミック導波管フィルタの1つ以上の超短遅延調節部は、それぞれ形成された溝の深さ及び溝の幅の広さのうちの1つ以上を調節して入力超短遅延及び出力超短遅延の変化の幅を調節する。
【0012】
さらに、セラミック導波管フィルタの1つ以上の超短遅延調節部は、セラミック導波管フィルタの上面又は下面のうちの少なくとも1つの面に位置する。
【0013】
また、さらに複数の共振ブロックのうち、互いに隣接する共振ブロック間の領域のうちの少なくとも一部の領域にて、セラミック導波管フィルタの上面及び下面のうちの1つ以上の面に所定の深さを有する1つ以上のスロットを含む。
【0014】
また、超短遅延調節部のうちの少なくとも1つ以上の超短遅延調節部の一部分が、1つ以上のスロットのうちのそれぞれ異なるスロットと重なって配置されて所定の深さの溝の形状を有する。
【0015】
さらに、スロットと重なって配置された少なくとも1つ以上の超短遅延調節部は、半円形状の断面を有する。
【0016】
また、1つ以上の超短遅延調節部は、円柱又はN角柱(Nは3以上の自然数)の形状を有する。
【発明の効果】
【0017】
以上で説明したように、本実施例によると、セラミック導波管フィルタは、入力端と出力端に隣接する位置に、セラミック導波管フィルタの外面から所定の深さの溝を有する超短遅延調節部を配置することで、超短遅延を調節できる効果がある。
【0018】
また、共振ブロック間にスロットを形成することによって不要波を減衰できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施例に係るセラミック導波管フィルタの投影斜視図である。
図2】本開示の一実施例に係るセラミック導波管フィルタの平面図である。
図3】本開示の一実施例に係るセラミック導波管フィルタの底面図である。
図4】超短遅延調節部による超短遅延調節効果を説明するためのグラフである。
図5】本開示の他の実施例に係るセラミック導波管フィルタの投影斜視図である。
図6】スロットによる不要波減衰効果を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の一部の実施例を例示的な図面を通して詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意されたい。なお、本開示を説明するにあたり、関連された公知の構成又は機能についての具体的な説明が本開示の要旨を曖昧にすると判断される場合には、その詳しい説明は省く。
【0021】
本開示に係る実施例の構成要素を説明するにあたり、第1の、第2の、i)、ii)、a)、b)などの符号を使用し得る。このような符号は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その符号によって該当構成要素の本質又は順番や順序等が限定されない。本明細書にてある部分がある構成要素を「含む」又は「備える」と言うとき、これは、明示的に逆となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0022】
図1は、本開示の一実施例に係るセラミック導波管フィルタの投影斜視図である。
【0023】
図2は、本開示の一実施例に係るセラミック導波管フィルタの平面図である。
【0024】
図3は、本開示の一実施例に係るセラミック導波管フィルタの底面図である。
【0025】
図1ないし図3を参照すると、セラミック導波管フィルタ100は、入力端131、出力端132、共振ブロック111ないし118、共振器121ないし128、超短遅延調節部141及び142、及びチューニング部(図示せず)の全部又は一部を含む。セラミック導波管フィルタ100は、図1に図示されたように六面体形態で形成されてもよいが、これに限定されず、共振器121ないし128の個数と連結形状に応じて多様な形態で形成される。セラミック導波管フィルタ100は、一体型として、各共振ブロック111ないし118の間に段差がなく六面体の形状をして形成され、これによって制作工程を単純化して生産性を向上させることができる。セラミック導波管フィルタ100の高さH1は、5.5mmないし6.5mmである。
【0026】
入力端131及び出力端132は、セラミック導波管フィルタ100の一面に形成され、複数の共振器121ないし128は、入力端131及び出力端132が形成される面とは異なる面に形成される。すなわち、入力端131及び出力端132は、セラミック導波管フィルタ100の外面に所定の深さを有する溝の形態で具現される。複数の共振器121ないし128は、セラミック導波管フィルタ100の外面に所定の深さを有する溝の形態で具現され、各共振ブロックは隔壁150によって区分される。複数の共振器121ないし128を具現する溝は、図1に図示されたように円柱形状を有するが、これに限定されず、円柱以外に多様な形状で具現される。複数の共振器121ないし128の幅W1は、それぞれ3.5mmないし4.5mmの幅を有する。
【0027】
入力端131及び出力端132は、セラミック導波管フィルタ100に信号が入力され、セラミック導波管フィルタ100を通過した信号が出力される入出力ポートである。入力端131及び出力端132は表面実装構造で形成される。また、入力端131及び出力端132に溝が形成される。入力端131及び出力端132の溝は、セラミック導波管フィルタ100の反対面に配置された第1の又は第8の共振器121又は128に対応される位置に配置される。入力端131及び出力端132の溝の大きさは、対応される第1の又は第8の共振器121又は128の溝の大きさより小さい。入力端131及び出力端132の溝にはコネクタが挿入結合され、コネクタを構成する信号線とつながる。信号線はテフロン(登録商標)によって覆われる。
【0028】
セラミック導波管フィルタ100は、複数の共振ブロック111ないし118で構成され、各共振ブロックには1つの共振器が形成される。図1には、8個の共振ブロック111ないし118に8個の共振器121ないし128が構成されているが、共振ブロック111ないし118及び共振器121ないし128の個数はこれに制限されない。
【0029】
図1にて、8個の共振器121ないし128は、それぞれ第1の共振器ないし第8の共振器121ないし128として定義される。第1の共振器121は、入力端131に対応される他面の位置に形成される。すなわち、入力端131が形成される位置の反対面に第1の共振器121の溝が所定の高さを有して形成される。
【0030】
図1に図示されたセラミック導波管フィルタ100を基準にして以下で説明する。第2の共振器122は第1の共振器121の第1の方向に延び、第3の共振器123は第2の共振器122の第2の方向に延びて形成される。第4の共振器124は第3の共振器123の第2の方向に延び、第5の共振器125は第4の共振器124の第2の方向に延びて形成される。第6の共振器126は第5の共振器125の第2の方向に延び、第7の共振器127は第6の共振器126の第3の方向に延びて形成される。第8の共振器128は、第7の共振器127の第4の方向に延びて形成される。
【0031】
第8の共振器128は、出力端132に対応される他面の位置に形成される。すなわち、出力端132が形成される位置の反対面に第8の共振器128の溝が所定の高さを有して形成される。各共振器121ないし128の間は隔壁150で区分される。隔壁150が囲む空間は、内部が空のキャビティ151で構成される。
【0032】
入力端131から入力された信号は、第1の共振器121から第8の共振器128まで順次通過しながらフィルタリングされて出力端132に出力される。すなわち、入力端を介してフィルタリングする信号が入力されると、入力された信号は、第1の共振ブロック111の第1の共振器121によって共振がなされた後、オープン区間を介してカップリングによって隣接する第2の共振ブロック112の第2の共振器122に伝達される。その後、順次各オープン区間のカップリングによって第3の共振ブロック113の第3の共振器123、第4の共振ブロック114の第4の共振器124、第5の共振ブロック115の 第5の共振器125、第6の共振ブロック116の第6の共振器、第7の共振ブロック117の第7の共振器127、及び第8の共振ブロック118の第8の共振器128に伝達された後、出力端を介してフィルタリングされた信号が出力される。各共振器間のカップリング構造は、インダクティブカップリング又はキャパシティブカップリングである。
【0033】
ここで、第1の方向と第2の方向は互いに垂直な方向であり、第3の方向は第2の方向と直角をなしながら第1の方向の反対方向であり、第4の方向は第1の方向と直角をなしながら第2の方向の反対方向である。
【0034】
図1に図示された複数の共振器121ないし128及び複数の共振ブロック111ないし118の個数及び配置形態は例示的なものであってこれに限定されない。
【0035】
超短遅延調節部141及び142は、入力端131又は出力端132に隣接し、セラミック導波管フィルタ100の外面に所定の深さを有する溝の形態で具現される。超短遅延調節部141及び142の溝の深さH2は、0.5mmないし1mmである。超短遅延調節部141及び142の溝の幅W2は、1.5mmないし2mmである。超短遅延調節部141及び142は、1つ以上が形成される。
【0036】
超短遅延調節部141及び142は、入力端131と出力端132の周りに所定の長さの溝で掘られて入力端131と出力端132で発生する信号の超短遅延を調節する。超短遅延調節部141及び142は、入力端131や出力端132から所定の長さ間隔をおいて離間されて配置されるが、配置された長さ間隔によって超短遅延が変わる。また、超短遅延は、超短遅延調節部141及び142の位置だけでなく、溝の高さや断面積の形状及び大きさに影響を受ける。すなわち、超短遅延調節部141及び142は、それぞれ形成された溝の深さに応じて入力超短遅延又は出力超短遅延の変化の幅を調節する。また、超短遅延調節部141及び142は、それぞれ形成された溝の幅の広さに応じて入力超短遅延又は出力超短遅延の変化の幅を調節する。例えば、図3に図示されたように、超短遅延調節部141及び142が円柱形状を有する場合、幅の広さ、すなわち円形断面の広さを調節して超短遅延の変化の幅を調節することができる。超短遅延調節部141及び142が円形断面ではなく多角形の断面を有する場合にも、多角形の広さを調節することで、超短遅延の変化の幅を調節することができる。
【0037】
図4は、超短遅延調節部による超短遅延調節効果を説明するためのグラフである。図4(a)は超短遅延調節部141及び142の有無による入力超短遅延の差を示すグラフであり、図4(b)は超短遅延調節部141及び142の有無による出力超短遅延の差を示すグラフである。
【0038】
図4(a)を参照すると、セラミック導波管フィルタ100に超短遅延調節部141及び142が含まれていないときの入力超短遅延を示すラインAと、セラミック導波管フィルタ100に超短遅延調節部141及び142が含まれたときの入力超短遅延を示すラインBが図示されている。2600MHzの周波数を基準として超短遅延調節部141及び142がないときには2.35nsの入力超短遅延が発生し、超短遅延調節部141及び142があるときには2.57nsの入力超短遅延が発生した。超短遅延調節部141及び142の有無によって入力超短遅延で0.22nsの差が発生した。
【0039】
図4(b)を参照すると、セラミック導波管フィルタ100に超短遅延調節部141及び142が含まれていないときの出力超短遅延を示すラインAと、セラミック導波管フィルタ100に超短遅延調節部141及び142が含まれたときの出力超短遅延を示すラインBが図示されている。2600MHzの周波数を基準に、超短遅延調節部141及び142がないときには3.47nsの出力超短遅延が発生し、超短遅延調節部141及び142があるときには3.97nsの出力超短遅延が発生した。超短遅延調節部141及び142の有無によって入力超短遅延で0.50nsの差が発生した。
【0040】
図1ないし図3には、入力端131及び出力端132に隣接する超短遅延調節部141及び142がそれぞれ一つずつ円柱の形態で配置されているが、超短遅延調節部141及び142の配置位置、形状、及び個数を変えて超短遅延を調節してもよい。すなわち、超短遅延調節部141及び142は、円柱だけでなく、N角柱(Nは3以上の自然数)の形態で形成されてもよく、半円の断面積を有してもよい。また、超短遅延調節部141及び142は、セラミック導波管フィルタ100の外面から離れるほど断面積の大きさが変わる形状に形成されてもよい。
【0041】
図4に図示されたグラフで確認したように、超短遅延調節部141及び142を配置することにより、入力超短遅延と出力超短遅延を調節できることを確認した。図4に図示された入力超短遅延の数値は例示的なものであり、これに制限されない。
【0042】
追加的に、セラミック導波管フィルタ100は、超短遅延調節部141及び142の形状に対応されるチューニング部(図示せず)をさらに含む。チューニング部(図示せず)は、セラミック導波管フィルタ100を製造した後、事後的に超短遅延を調節するための構成である。チューニング部(図示せず)は、配置された超短遅延調節部141及び142の個数によって1つ以上である。チューニング部(図示せず)を用いて超短遅延調節部141及び142の空間を調節して入力超短遅延と出力超短遅延をチューニングする。
【0043】
図5は、本開示の他の実施例に係るセラミック導波管フィルタの投影斜視図である。
【0044】
図5を参照すると、セラミック導波管フィルタはスロット161、162及び163をさらに含む。ここで、スロット161、162及び163は、互いに隣接する共振ブロック間の領域のうちの少なくとも一部の領域に所定の深さを有するように形成され、セラミック導波管フィルタ100の上面及び下面のうちの1つ以上の面に配置される。
【0045】
図5の場合、スロット161、162及び163が、第1の共振ブロック111及び第2の共振ブロック112間の空間、第1の共振ブロック111及び第8の共振ブロック118間の空間、第4の共振ブロック114及び第5の共振ブロック間の空間、そして第7の共振ブロック117及び第8の共振ブロック118間の空間に配置される。これは例示的なものであり、スロット161、162及び163は、隣接する共振ブロックの間であればどこでも上面又は下面に配置される。
【0046】
図5では、図面を基準に縦方向にのみスロットが形成されているが、第2の共振ブロック112と第3の共振ブロック113との間のように横方向にも形成される。スロット161、162及び163は、図5に図示されたように必ずしも一直線状であるべきではないので、曲線の形状などで形成されてもよい。さらに、スロット161、162及び163は、直角をなす形態や十字状の形態でなされてもよい。
【0047】
スロット161、162及び163を形成するために掘られた溝の形状も制限されない。例えば、スロット161、162及び163の下部が平坦又は凹状であってもよい。
【0048】
セラミック導波管フィルタ100に複数のスロット161、162及び163が配置された場合、スロット161、162及び163のそれぞれの溝の深さや幅などは互いに異なってもよい。
【0049】
スロット161、162及び163と複数の超短遅延調節部143ないし146が同じ面に配置される場合、一部が重なって配置される。図5に図示されたように、4つの超短遅延調節部143ないし146は、スロット161、162及び163と重なって半円断面形状を有する。このとき、4つの超短遅延調節部143ないし146の断面の形状及び重なる程度は制限されない。
【0050】
本開示は、セラミック導波管フィルタ100に1つ以上のスロット161、162及び163を追加的に配置することにより、不要波(spurious)成分のレベルを下げる効果をもたらす。
【0051】
図6は、スロットによる不要波減衰効果を説明するためのグラフである。
【0052】
図6(a)はセラミック導波管フィルタ100に別途のスロット161、162及び163が配置されていないときにフィルタリングされる周波数成分を示すグラフであり、図6(b)はセラミック導波管フィルタ100に1つ以上のスロット161、162及び163が配置されたときにフィルタリングされる周波数成分を示すグラフである。
【0053】
図6(a)及び図6(b)に図示されるグラフにて、不要波区間のうち、X区間とY区間を比較すると、不要波減衰効果の差を確認することができる。特に、5500MHzないし6100MHzの周波数成分を有する不要波を比較してみたところ、X区間ではこのような不要波の大きさが約-9dB以下に減少されたが、Y区間ではこのような不要波の大きさが約-15dB以下に減少されたことを確認することができる。スロット161、162及び163の配置のみで不要波のレベルが下がった。
【0054】
セラミック導波管フィルタ100では、不要波を除去するために一般にLPF(Low Pass Filter)を追加配置することもできるが、これは物理的な空間が必要であり、インピーダンスマッチングや挿入損失が増加するという欠点があった。さらに、セラミック導波管フィルタでは空間的な制約を受けるため、LPFの具現がさらに困難である。本開示では、別途のLPFなしで各共振ブロック111ないし118間の境界に所定の深さで掘られたスロットを形成することで、不要波のレベルを下げる効果がある。
【0055】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本実施例の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施例の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0056】
[関連出願への相互参照]
本特許出願は、本明細書にその全体が参考として含まれる、2021年03月12日付にて韓国に出願した特許出願番号第10-2021-0032426号に対して優先権を主張する。
【符号の説明】
【0057】
100 セラミック導波管フィルタ
111 第1の共振ブロック
112 第2の共振ブロック
113 第3の共振ブロック
114 第4の共振ブロック
115 第5の共振ブロック
116 第6の 共振ブロック
117 第7の共振ブロック
118 第8の共振ブロック
121 第1の共振器
122 第2の共振器
123 第3の共振器
124 第4の共振器
125 第5の共振器
126 第6の共振器
127 第7の共振器
128 第8の共振器
131 入力端
132 出力端
141ないし146 超短遅延調節部
150 隔壁
151 キャビティ
161ないし163 スロット
図1
図2
図3
図4
図5
図6