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特許7580634搬送装置、プレス装置システム、搬送装置の制御方法、フィンの製造方法および熱交換器の製造方法
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  • 特許-搬送装置、プレス装置システム、搬送装置の制御方法、フィンの製造方法および熱交換器の製造方法 図1
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  • 特許-搬送装置、プレス装置システム、搬送装置の制御方法、フィンの製造方法および熱交換器の製造方法 図12B
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  • 特許-搬送装置、プレス装置システム、搬送装置の制御方法、フィンの製造方法および熱交換器の製造方法 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】搬送装置、プレス装置システム、搬送装置の制御方法、フィンの製造方法および熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/00 20060101AFI20241101BHJP
   B65H 9/10 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B21D43/00 W
B21D43/00 V
B65H9/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023569290
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2022045157
(87)【国際公開番号】W WO2023120199
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2021206639
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴士
(72)【発明者】
【氏名】阿部 武司
(72)【発明者】
【氏名】大野 拓也
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-68531(JP,A)
【文献】特開昭61-217448(JP,A)
【文献】特開2019-47689(JP,A)
【文献】特開2005-170420(JP,A)
【文献】特開2011-173679(JP,A)
【文献】特開2012-46254(JP,A)
【文献】特開2013-215825(JP,A)
【文献】特開2003-320433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00
B65H 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属帯状体をプレス加工して熱交換器のフィンを製造するプレス装置に設けられ、前記金属帯状体を搬送する搬送装置であって、
前記金属帯状体に複数の被成形部を形成する前記プレス装置から、前記金属帯状体の長さ方向に前記金属帯状体を送り出す送り装置と、
前記送り装置の、前記金属帯状体を送り出す方向と反対側に設けられると共に、前記金属帯状体の幅方向に配列され、前記金属帯状体に接触して前記金属帯状体にテンションを発生させる複数のテンショナーと、
前記複数の被成形部のうちのいずれか1つを基準部としたときの、該基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置を測定する位置測定部と、
前記位置測定部が測定した前記相対的な位置の、前記基準部に対する残りの被成形部の理想的な相対的位置からのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいて前記テンショナーそれぞれが前記金属帯状体に生じさせるテンションの大きさを調整するテンショナー制御部と、
を備え、
前記プレス装置は、一回のプレス加工で前記複数の被成形部を形成し、
前記位置測定部は、その一回のプレス加工で形成された前記複数の被成形部のうちの前記基準部と前記残りの被成形部について、前記相対的な位置を測定する搬送装置。
【請求項2】
前記テンショナーそれぞれは、前記金属帯状体に押し付けられて前記金属帯状体にテンションを発生させ、
前記テンショナー制御部は、求めたずれ量に基づいて前記テンショナーそれぞれの、前記金属帯状体に押し付けられる押し付け力を決定し、決定した押し付け力それぞれで前記テンショナーそれぞれを前記金属帯状体に押し付けることにより、前記テンションの大きさを調整する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記テンショナーそれぞれは、前記金属帯状体に押し当てられ、前記送り装置による前記金属帯状体の移動により回転するローラをそれぞれ有し、
前記テンショナー制御部は、求めたずれ量に基づいて前記ローラそれぞれの回転数を変更させる調整量を決定し、前記ローラそれぞれの回転数を決定した調整量だけ変更させることにより、前記テンションの大きさを調整する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記テンショナーそれぞれは、前記ローラの回動を制動するブレーキをそれぞれ有し、
前記テンショナー制御部が決定する調整量は、前記ブレーキの強度であり、
前記テンショナー制御部は、前記ブレーキを前記強度で動作させることにより、前記テンションの大きさを調整する、
請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記金属帯状体の、前記テンショナーが押し付けられる側と反対側から前記金属帯状体を支持し、前記テンショナーとの間に前記金属帯状体を挟み込むテーブルをさらに備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記基準部は、前記金属帯状体を貫通する貫通孔である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記相対的な位置は、前記基準部に対して前記残りの被成形部がある方向の、基準方向に対する角度により表され、
前記ずれ量は、前記基準部に対して前記残りの被成形部があるべき理想的な方向からのずれ角度により表される、
請求項1からのいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
金属帯状体をプレス加工して前記金属帯状体に複数の被成形部を形成するプレス装置から、前記金属帯状体の長さ方向に前記金属帯状体を送り出す送り装置と、
前記送り装置の、前記金属帯状体を送り出す方向と反対側に設けられると共に、前記金属帯状体の幅方向に配列され、前記金属帯状体に接触して前記金属帯状体にテンションを発生させる複数のテンショナーと、
前記複数の被成形部のうちのいずれか1つを基準部としたときの、該基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置を測定する位置測定部と、
前記位置測定部が測定した前記相対的な位置の、前記基準部に対する残りの被成形部の理想的な相対的位置からのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいて前記テンショナーそれぞれが前記金属帯状体に生じさせるテンションの大きさを調整するテンショナー制御部と、
を備え、
前記プレス装置は、複数回のプレス加工で前記複数の被成形部を形成し、
前記送り装置は、前記金属帯状体を送り出すことにより、前記被成形部それぞれを一定の領域を通過させ、
前記位置測定部は、前記被成形部が前記一定の領域を通過するときに前記被成形部の位置を測定し、その前に通過した前記被成形部の位置を前記基準部の位置として扱うことにより、前記相対的な位置を求める搬送装置。
【請求項9】
前記位置測定部は、前回、前記被成形部の位置を測定したときから、今回、前記被成形部の位置を測定するまでの、前記送り装置の前記金属帯状体の送り出し距離を用いて前記相対的な位置を求める、
請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記プレス装置と、
請求項1または8に記載の搬送装置と、
を備えるプレス装置システム。
【請求項11】
前記プレス装置は、前記金属帯状体をプレス加工して前記フィンが備える前記被成形部を形成する、
請求項10に記載のプレス装置システム。
【請求項12】
金属帯状体をプレス加工して前記金属帯状体に複数の被成形部を形成するプレス装置から、前記金属帯状体の長さ方向に前記金属帯状体を送り出す送り装置と、
前記送り装置の、前記金属帯状体を送り出す方向と反対側に設けられると共に、前記金属帯状体の幅方向に配列され、前記金属帯状体に接触して前記金属帯状体にテンションを発生させる複数のテンショナーと、
を備える搬送装置の制御方法であって、
前記複数の被成形部のうちのいずれか1つを基準部としたときの、該基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置を測定するステップと、
前記残りの被成形部の相対的な位置を測定するステップで測定した前記相対的な位置の、前記基準部に対する残りの被成形部の理想的な相対的位置からのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいて前記テンショナーそれぞれが前記金属帯状体に生じさせるテンションの大きさを調整するステップと、
を備え
前記基準部は、前記金属帯状体を貫通する貫通孔である搬送装置の制御方法。
【請求項13】
金属帯状体をプレス加工して前記金属帯状体に複数の被成形部を形成するプレス装置と、
前記プレス装置から、前記金属帯状体の長さ方向に前記金属帯状体を送り出す送り装置と、
前記送り装置の、前記金属帯状体を送り出す方向と反対側に設けられると共に、前記金属帯状体の幅方向に配列され、前記金属帯状体に接触して前記金属帯状体にテンションを発生させる複数のテンショナーと、
を備えるプレス装置システムを用いたフィンの製造方法であって、
前記プレス装置が前記金属帯状体をプレス加工して前記金属帯状体にフィンが備える前記複数の被成形部を形成するステップと、
前記複数の被成形部を形成するステップで形成した前記複数の被成形部のうちのいずれか1つを基準部としたときの、該基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置を測定するステップと、
前記残りの被成形部の相対的な位置を測定するステップで測定した前記相対的な位置の、前記基準部に対する残りの被成形部の理想的な相対的位置からのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいて前記テンショナーそれぞれが前記金属帯状体に生じさせるテンションの大きさを調整するステップと、
前記送り装置が送り出した前記金属帯状体を決められた長さに切断して前記フィンを形成するステップと、
を備え
前記基準部は、前記金属帯状体を貫通する貫通孔であるフィンの製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載のフィンの製造方法で製造したフィンを伝熱管に取り付ける、
熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は搬送装置、プレス装置システム、搬送装置の制御方法、フィンの製造方法および熱交換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置には、金属帯状体に複数の貫通孔、切り欠き等の被成形部を形成するプレス装置に、加工対象の金属帯状体を搬入、搬出するものがある。このような搬送装置では、金属帯状体を長手方向へ搬送するときに、金属帯状体が長すぎると、金属帯状体が蛇行してしまうことがある。そこで、この金属帯状体の蛇行を防止するため、金属帯状体の蛇行を検出して、その蛇行を修正する制御部を備える搬送装置が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、金属帯状体の帯端面それぞれが許容距離だけずれた場合に、そのずれを検出する一対の単板検知部器と、一対の単板検知部器が金属帯状体のずれを検知した場合に、回転体を金属帯状体に当接させる制御回路と、を備える搬送装置を開示する。
【0004】
特許文献1に記載の搬送装置では、回転体が円盤状に形成されている。そして、その回転体の径方向が金属帯状体の搬送方向に対して傾斜した方向に向けられている。その結果、制御回路によって回転体が金属帯状体に当接すると、金属帯状体は、回転体の径方向に、すなわち、搬送方向に対して傾斜した方向に移動する。これにより、制御回路は、金属帯状体の帯端面のずれを修正して、金属帯状体の蛇行を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-170366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属帯状体の帯端面は、プレス装置またはその周辺装置に設けられたガイド、ピン等の部材に当たって変形することが多い。その結果、特許文献1に記載の搬送装置では、帯端面の変形を、帯端面の許容距離からのずれと扱ってしまい、金属帯状体の蛇行を抑制できないことがある。
【0007】
また、特許文献1に記載の搬送装置では、回転体の径を、金属帯状体の搬送方向に対して傾斜した方向に向ける必要がある。その結果、装置の構造が複雑である。
【0008】
本開示は上記の課題を解決するためになされたもので、金属帯状体の帯端面が変形していたとしても金属帯状体の蛇行を抑制することができる、構成が簡易な搬送装置、プレス装置システム、搬送装置の制御方法、フィンの製造方法および熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本開示に係る搬送装置は、金属帯状体をプレス加工して熱交換器のフィンを製造する装置に設けられ、金属帯状体を搬送する搬送装置である。搬送装置は、送り装置と、複数のテンショナーと、位置測定部と、テンショナー制御部と、を備える。送り装置は、金属帯状体に複数の被成形部を形成するプレス装置から、金属帯状体の長さ方向に金属帯状体を送り出す。複数のテンショナーは、送り装置の、金属帯状体を送り出す方向と反対側に設けられると共に、金属帯状体の幅方向に配列され、金属帯状体に接触して金属帯状体にテンションを発生させる。位置測定部は、複数の被成形部のうちのいずれか1つを基準部としたときの、基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置を測定する。テンショナー制御部は、位置測定部が測定した相対的な位置の、基準部に対する残りの被成形部の理想的な相対的位置からのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいてテンショナーそれぞれが金属帯状体に生じさせるテンションの大きさを調整する。また、プレス装置は、一回のプレス加工で複数の被成形部を形成する。そして、位置測定部は、その一回のプレス加工で形成された複数の被成形部のうちの基準部と残りの被成形部について、相対的な位置を測定する
【発明の効果】
【0010】
本開示の構成によれば、位置測定部は、プレス装置が形成した複数の被成形部のうちのいずれか1つを基準部としたときの、基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置を測定し、テンショナー制御部は、位置測定部が測定した相対的な位置の、基準部に対する残りの被成形部の理想的な相対的位置からのずれ量を求める。このように、搬送装置では、プレス装置の、複数の被成形部を形成する部分に対する、金属帯状体のずれ量を求めるため、金属帯状体の帯端面の変形によらず金属帯状体の蛇行を検出することができる。
【0011】
また、テンショナー制御部は、求めたずれ量に基づいてテンショナーそれぞれが金属帯状体に生じさせるテンションの大きさを調整する。搬送装置では、金属帯状体の幅方向に配列された複数のテンショナーを金属帯状体に接触させ、それらテンショナーが金属帯状体に生じさせるテンションの大きさを調整するだけで、金属帯状体の蛇行を修正するため、搬送装置の構成が簡易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施の形態1に係る搬送装置の平面図
図2】本開示の実施の形態1に係る搬送装置の側面図
図3】本開示の実施の形態1に係る搬送装置が搬送する金属帯状体を成形するプレス装置の拡大側面図
図4】本開示の実施の形態1に係る搬送装置が備える送り装置の断面図
図5】本開示の実施の形態1に係る搬送装置が備える制御装置のハードウエア構成図
図6】本開示の実施の形態1に係る搬送装置が備える制御装置のブロック図
図7】本開示の実施の形態1に係る搬送装置が備える制御装置が行うテンショナー制御処理のフローチャート
図8】本開示の実施の形態1に係る搬送装置が備えるカメラの撮像範囲の一例を示す平面図
図9】本開示の実施の形態1に係る搬送装置の搬送対象である金属帯状体の一部分の拡大平面図
図10】本開示の実施の形態2に係る搬送装置が備えるテンショナーの側面図
図11】本開示の実施の形態3に係る搬送装置が備える制御装置のブロック図
図12A】本開示の実施の形態3に係る搬送装置が備える制御装置が金属帯状体の傾斜角度を算出するときに、その算出に用いる前回プレス加工された貫通孔の位置を示す概念図
図12B】本開示の実施の形態3に係る搬送装置が備える制御装置が金属帯状体の傾斜角度を算出するときに、その算出に用いる次回プレス加工された貫通孔の位置を示す概念図
図13】本開示の実施の形態4に係る搬送装置が備えるテンショナーの側面図
図14】本開示の実施の形態1に係る搬送装置、プレス装置および切断装置を備えるプレス装置システムが製造するフィンの製造方法のフローチャート
図15】本開示の実施の形態1に係る搬送装置、プレス装置および切断装置を備えるプレス装置システムが製造するフィンを用いた熱交換器の製造方法のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態に係る搬送装置、プレス装置システム、搬送装置の制御方法、フィンの製造方法および熱交換器の製造方法について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中、同一又は同等の部分には同一の符号を付す。また、図に示す直交座標系XYZにおいて、搬送装置が搬送する金属帯状体の帯の長さ方向をX軸、帯の幅方向をY軸とするときの、X軸とY軸とに直交する方向がZ軸である。以下、適宜、この座標系を引用して説明する。
【0014】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る搬送装置は、プレス装置に金属帯状体を供給、排出する装置である。この搬送装置は、テンショナーを備えるところ、金属帯状体の蛇行を防ぐため、そのテンショナーの押し付け力を制御する制御装置を備える。まず、図1図4を参照して、搬送機構の全体の構成について説明する。なお、以下の説明では、熱交換器のフィンを成形する場合を例にして、プレス装置の構成も併せて説明する。
【0015】
図1は、実施の形態1に係る搬送装置1Aの平面図である。図2は、その搬送装置1Aの側面図である。図3は、搬送装置1Aが搬送する金属帯状体2を成形するプレス装置3の拡大側面図である。図4は、搬送装置1Aが備える送り装置20の断面図である。
【0016】
なお、図1図4では、理解を容易にするため、搬送装置1Aの各部の形状を簡略化している。例えば、金型300は、実際にはバーリング加工に適した形状であるが、各部の形状を簡略化して概念化している。また、金属帯状体2に成形されるフィンのうち、貫通孔201、202だけを示している。さらに、図1では、金属帯状体2が蛇行することを示すため、長手方向を金属帯状体2の送り方向D1に対して傾斜させた金属帯状体2を示している。また、図1および図2では、プレス装置3の金型300を省略している。
【0017】
搬送装置1Aは、図1および図2に示すプレス装置3に、加工対象となる金属帯状体2の一部分を供給し、または排出する装置である。詳細には、プレス装置3には、加工対象である金属帯状体2が通されている。その金属帯状体2は、純アルミニウム、アルミニウム合金、銅合金等の金属により形成されている。そして、プレス装置3は、金属帯状体2の、プレス装置3に通された部分にプレス加工を施す。搬送装置1Aは、そのプレス装置3へ金属帯状体2の、プレス加工の対象となる部分を順次送り込む装置である。また、搬送装置1Aは、そのプレス装置3から金属帯状体2の、プレス加工された部分を送り方向D1へ順次送り出す装置である。
【0018】
搬送装置1Aは、このような送り機能を果たすため、上記の金属帯状体2のプレス加工の対象となる部分を張って、その部分をプレス加工しやすくする緊張装置10Aと、金属帯状体2のプレス加工された部分をプレス装置3から送り出すための送り装置20と、を備える。
【0019】
緊張装置10Aは、金属帯状体2のたるみを取り除いて、より精度の高いプレス加工を可能にするために、金属帯状体2に当接する複数のテンショナー11A-11Cと、複数のテンショナー11A-11Cを金属帯状体2に押し付ける力を調整する空気圧シリンダ12A-12Cと、を有する。
【0020】
詳細には、図2に示すように、金属帯状体2は、帯の長さ方向に巻き取られてコイル4を形成している。そして、金属帯状体2は、アンコイラー5によってコイル4が巻き戻されることにより、コイル4から引き出されている。また、金属帯状体2は、コイル4から引き出された後、ひずみを小さくするため、一対のピンチロール61、62を含むレベラー6に通されている。さらに、金属帯状体2は、レベラー6に通された後、プレス装置3を通って送り装置20まで延びている。そして、金属帯状体2は、レベラー6と送り装置20の間に掛け渡されて張られている。テンショナー11A-11Cは、金属帯状体2の、レベラー6と送り装置20の間に掛け渡された部分に当接して、その部分にテンションを与えている。
【0021】
具体的には、テンショナー11A-11Cは、直方体状に形成されている。その材料は、金属帯状体2が傷付くのを防ぐため、フェルト、ゴム等の金属帯状体2の材料よりも硬度が低い物質である。そして、テンショナー11A-11Cは、プレス装置3の、金属帯状体2が通される供給口側、かつ金属帯状体2の上に配置されている。さらに、テンショナー11A-11Cは、直方体の下面を金属帯状体2の上面に当接されている。一方、テンショナー11A-11Cの下には、平板状に形成されたテーブル110が設けられている。そして、テーブル110は、上面に金属帯状体2が載せられることにより、その金属帯状体2を支持している。これにより、テーブル110は、金属帯状体2の撓みを防いでいる。テンショナー11A-11Cは、そのテーブル110との間に金属帯状体2を挟み込んでいる。テンショナー11A-11Cは、この状態で金属帯状体2を下に押してテーブル110に押し付けることにより、金属帯状体2を張っている。その結果、テンショナー11A-11Cは、金属帯状体2のたわみを取り除いている。
【0022】
また、テンショナー11A-11Cそれぞれは、金属帯状体2の延びる方向が前後にぶれてしまい、その結果蛇行してしまった場合に、その蛇行を修正するため、前後方向に配列されている。
【0023】
詳細には、金属帯状体2は、レベラー6と送り装置20の間に掛け渡されることにより、左右方向に延びている。これに対して、テンショナー11A-11Cは、図1に示すように、平面視矩形の長手方向を、金属帯状体2の理想的な幅方向となる前後方向に向けている。また、テンショナー11A-11Cは、その向きのまま、前方から後方に向かってテンショナー11A、11B、11Cの順序で並べられている。
【0024】
テンショナー11A-11Cそれぞれは、空気圧シリンダ12A-12Cによって、金属帯状体2に押し付けられる力、すなわち押し付け力が調整されることにより、金属帯状体2に発生するテンションを調整する。テンショナー11A-11Cは、上述したように前後方向に並べられているので、それぞれの押し付け力が調整されることにより、金属帯状体2の前後方向の各部分それぞれにかかるテンションの大きさが変わる。その結果、テンショナー11A-11Cは、金属帯状体2の延びる方向を調整して蛇行を修正する。
【0025】
図2に戻って、空気圧シリンダ12A-12Cは、テンショナー11A-11Cを上下動させて、テンショナー11A-11Cの、金属帯状体2への押し付け力を調整する。
【0026】
詳細には、空気圧シリンダ12A-12Cは、テンショナー11A-11Cの上に設置されている。そして、空気圧シリンダ12A-12Cは、空気圧により進退し、その空気圧が電空レギュレータ13A-13Cによって調整されるピストンロッド14A-14Cを有する。ピストンロッド14A-14Cの先端は、下に向けられ、そして、テンショナー11A-11Cに接合されている。その結果、空気圧シリンダ12A-12Cは、ピストンロッド14A-14Cを進退させることにより、テンショナー11A-11Cを上下動させる。空気圧シリンダ12A-12Cは、テンショナー11A-11Cを上下動させることにより、テンショナー11A-11Cの押し付け力を調整する。その結果、空気圧シリンダ12A-12Cは、テンショナー11A-11Cに金属帯状体2のテンションを調整させる。金属帯状体2は、テンショナー11A-11Cが押し付けられることにより、プレス装置3の内部で、張られてたわみが取り除かれる。
【0027】
プレス装置3は、熱交換器のフィンを成形するための、図3に示す金型300を有する。その金型300には、複数のポンチ311、312と、それらポンチ311、312と対応する複数のダイス321、322とが設けられている。そして、ポンチ311、312とダイス321、322の間には、上述したテンショナー11A-11Cによって、たわみが取り除かれた金属帯状体2が通されている。プレス装置3は、金型300が金属帯状体2をプレス加工することにより、金属帯状体2の、ポンチ311、312とダイス321、322の間を通る部分に、フィンの構成を成形する。例えば、プレス装置3は、それぞれがバーリング部を備える複数の貫通孔201、202を成形する。
【0028】
プレス装置3は、金属帯状体2の各部分に順次、フィンの構成を成形していく。この成形を実現するため、送り装置20は、プレス装置3がプレス加工をする毎に金属帯状体2の成形された部分を順次送り出す。
【0029】
送り装置20は、上記の順次送り出しを行うため、図4に示すように、プレス装置3が金属帯状体2に成形した複数の貫通孔201、202に挿入可能なピン21と、ピン21を支持する可動ブロック22とを有する。
【0030】
ピン21は、送り装置20が送り対象の金属帯状体2を引っ掛けて保持するために設けられている。図1に示すように、金属帯状体2には、プレス装置3によって複数の貫通孔201、202が幅方向全体にわたって形成されている。それら貫通孔201、202は、金属帯状体2の幅方向に等間隔に配列されている。ピン21は、このような貫通孔201、202全部を引っ掛けて幅方向全体にわたって金属帯状体2を保持するため、複数個、設けられている。詳細には、ピン21は、貫通孔201、202の、金属帯状体2の幅方向全体と同数だけ設けられている。そして、複数個のピン21は、前後方向、すなわち、Y方向に等間隔に配列されている。
【0031】
また、ピン21それぞれは、図4に示すように、貫通孔201または202に挿入可能とするため、貫通孔201または202の内径よりも小さい外径を有する円柱の形状に形成されている。そして、ピン21の先端には、貫通孔201または202に挿入しやすくするため、先に向かうに従い内側へ入る傾斜面23が形成されている。一方、ピン21の基端は、可動ブロック22に接合されている。これにより、ピン21は、可動ブロック22に支持されている。
【0032】
可動ブロック22は、断面視矩形状の、前後方向に延びる細長い板の形状に形成されている。そして、図1に示すように、その可動ブロック22の上面部には、上述した複数のピン21が前後方向に配列している。
【0033】
また、可動ブロック22は、図4に示すように、それ自体を上下方向と左右方向に移動させる駆動装置24を有する。そして、可動ブロック22は、プレス装置3がプレス加工を行う毎に、以下の(1)-(4)の動作を繰り返して、金属帯状体2を間欠送りする。
【0034】
(1)可動ブロック22は、その駆動装置24に駆動されることにより、図4の矢印A1に示すように、上へ移動して、ピン21を貫通孔201または202に挿入する。これにより、可動ブロック22は、ピン21に金属帯状体2を引っ掛けさせる。
(2)(1)に続いて、可動ブロック22は、矢印A2に示すように、一定の距離だけ右へ移動する。すなわち、可動ブロック22は、一定の距離だけプレス装置3から離れる方向に移動する。これにより、可動ブロック22は、ピン21に引っ掛かった金属帯状体2をプレス装置3から一定の距離だけ送り出す。
(3)さらに、可動ブロック22は、矢印A3に示すように、下へ移動して、金属帯状体2からピン21を外す。
(4)続いて、矢印A4に示すように、可動ブロック22は、一定の距離だけ左へ移動して、元の位置に戻る。
【0035】
このような送り装置20を備える搬送装置1Aでは、長手方向へ十分に長いため、金属帯状体2が送り方向に対して微小に傾くことにより位置がずれてしまうことがある。その結果、金属帯状体2が蛇行してしまうことがある。また、金属帯状体2がプレス装置3によって部分的にプレス加工されることから、部分的にひずんで、その結果、金属帯状体2が蛇行してしまうことがある。そこで、このような蛇行を抑制するため、搬送装置1Aは、テンショナー11A-11Cを制御する制御装置30Aを備える。続いて、図5および図6を参照して、制御装置30Aの構成について説明する。
【0036】
図5は、搬送装置1Aが備える制御装置30Aのハードウエア構成図である。図6は、制御装置30Aのブロック図である。なお、図5および図6では、理解を容易にするため、制御装置30Aの接続先の構成も示している。
【0037】
制御装置30Aは、図5に示すように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read-Only Memory)32およびRAM(Random Access Memory)33を含むコンピュータを備える。制御装置30Aは、CPU31がROM32に記憶された各種プログラムをRAM33に読み出して実行することにより、搬送装置1Aの各部品を制御する各種処理を行う。
【0038】
また、制御装置30Aは、I/Oポート(Input/Output Port)34を備える。そのI/Oポート34には、プレス装置3が備えるコントローラ7と、上述した送り装置20が備える駆動装置24と、金属帯状体2に成形された貫通孔201、202を撮像するカメラ40と、上述した空気圧シリンダ12A-12Cの空気圧を調整する電空レギュレータ13A-13Cと、が電気的に接続されている。
【0039】
コントローラ7は、プレス装置3の各部を制御する。そして、コントローラ7は、プレス加工毎に加工開始信号と加工完了信号を、I/Oポート34を経由して、CPU31に送信する。これにより、コントローラ7は、CPU31に搬送のタイミングを通知する。
【0040】
また、駆動装置24は、上述した可動ブロック22を駆動してピン21を上下または左右に移動させることにより、金属帯状体2を間欠送りする。詳細には、駆動装置24は、CPU31からのプレス装置3の加工完了信号を受信した旨の通知の毎に、可動ブロック22を移動させて金属帯状体2を一定の距離だけ送る。これにより、駆動装置24は、間欠送りする。駆動装置24は、金属帯状体2の間欠送りのうちの一回の一定の距離だけの送りが完了すると、送り完了信号を、I/Oポート34を経由して、CPU31に送信する。これにより、駆動装置24は、CPU31にカメラ40による撮像タイミングを通知する。
【0041】
さらに、カメラ40は、図1および図2に示すように、支柱41、42と梁43により構成される門型のホルダー44に固定されている。そのホルダー44は、プレス装置3の、金属帯状体2が送り出される排出口側、すなわち、+X側に配置されている。さらに、梁43が金属帯状体2の上を幅方向へ横断する。カメラ40は、その梁43に、レンズを下に向けて固定されている。
【0042】
金属帯状体2は、プレス装置3のプレス加工毎に、その一部分がプレス成形され、さらに送り装置20によって、その一部分が間欠送りされる。カメラ40は、その一部分が下に送られたときに、その一部分にあるプレス加工により成型された部分が撮像範囲となる位置に設置されている。
【0043】
カメラ40は、図5に示すCPU31の指令により、金属帯状体2の、一回のプレス加工により成型された部分、詳細には、貫通孔201、202がある部分を撮像する。そして、カメラ40は、その撮像データをI/Oポート34を経由して、CPU31に送信する。
【0044】
電空レギュレータ13A-13Cは、CPU31の指令により、図1および図2に示す空気圧シリンダ12A-12Cの空気圧を調整する。これにより、電空レギュレータ13A-13Cは、CPU31の指令に応じた押し付け力でテンショナー11A-11Cを金属帯状体2に押し付ける。
【0045】
図5に戻って、制御装置30Aは、CPU31がROM32に記憶されたテンショナー制御プログラムをRAM33に読み出して実行することにより、上記のテンショナー11A-11Cの押し付け力を制御するテンショナー制御処理を行う。そのテンショナー制御処理を行うため、制御装置30Aは、図6に示すソフトウェアとして構成される各種ブロックを備える。詳細には、制御装置30Aは、位置測定部35および、テンショナー制御部36を備える。
【0046】
位置測定部35は、カメラ40が送信する撮像データを受信して、カメラ40が撮像した画像を画像処理することにより、図1に示す貫通孔201、202の座標を求める。また、位置測定部35は、求めた貫通孔201、202の座標から、貫通孔201に対する貫通孔202の相対座標を求め、さらに、その相対座標から貫通孔201に対する貫通孔202の方向を算出する。位置測定部35は、算出した貫通孔201に対する貫通孔202の方向が、図1に示す、理想的な貫通孔201に対する貫通孔202の方向D2に対して傾斜する場合の、その傾斜角度を求める。これにより、位置測定部35は、金属帯状体2の送り方向D1が、理想的な送り方向からどの程度、傾斜しているのかを測る。位置測定部35は、テンショナー11A-11Cの押し込み力を制御するため、求めた傾斜角度のデータを、図6に示すテンショナー制御部36に送信する。
【0047】
テンショナー制御部36は、位置測定部35から傾斜角度のデータを受信すると、受信した傾斜角度の大きさに基づいて、電空レギュレータ13A-13Cが調整する空気圧を決定する。そして、テンショナー制御部36は、決定した空気圧に応じた信号を電空レギュレータ13A-13Cに送信して、電空レギュレータ13A-13Cに空気圧シリンダ12A-12Cの空気圧を調整させる。これにより、テンショナー制御部36は、図1および図2に示す空気圧シリンダ12A-12Cの空気圧を決定した空気圧にする。その結果、テンショナー制御部36は、テンショナー11A-11Cを、受信した傾斜角度の大きさに応じた押し付け力で金属帯状体2に押し付ける。
【0048】
テンショナー11A-11Cは、上述したように、金属帯状体2の理想的な幅方向となる前後方向に配列する。このため、テンショナー11A-11Cの押し付け力が異なると、金属帯状体2に加わるテンションが前後方向で異なることになり、その結果、金属帯状体2が前方向または後方向に移動する。これにより、金属帯状体2の送り方向D1が理想的な送り方向から傾斜している場合に、その傾斜が修正される。すなわち、金属帯状体2の送り方向D1がずれている場合に、そのずれが修正される。
【0049】
次に、図7図9を参照して、制御装置30Aによる、テンショナー11A-11Cの制御方法について詳細に説明する。以下の説明では、プレス装置3に図示しない起動ボタンがあり、その起動ボタンが押されることにより、プレス装置3に併設された搬送装置1Aが起動するものとする。
【0050】
図7は、搬送装置1Aが備える制御装置30Aが行うテンショナー制御処理のフローチャートである。図8は、搬送装置1Aが備えるカメラ40の撮像範囲45の一例を示す平面図である。図9は、搬送装置1Aの搬送対象である金属帯状体2の一部分の拡大平面図である。なお、図9では、位置関係を示すため、カメラ40を点線で表示して、その下にあるブロック46を実線で示している。
【0051】
まず、プレス装置3に設けられた図示しない起動ボタンが押される。これにより、プレス装置3と搬送装置1Aが起動する。
【0052】
プレス装置3が起動すると、プレス加工を行う毎に、プレス装置3のコントローラ7は、搬送装置1Aの制御装置30Aに加工完了信号を送信する。
【0053】
一方、搬送装置1Aが起動すると、搬送装置1Aに備えられる制御装置30Aでは、まず、CPU31によって図示しない駆動装置制御プログラムが実行され、その結果、駆動装置制御処理が開始される。その駆動装置制御処理では、制御装置30Aは、上記のコントローラ7の加工完了信号を受信すると、駆動装置24を制御して、金属帯状体2を一定の距離だけ送る動作を開始する。駆動装置24は、その動作により、金属帯状体2を一定の距離だけ送ると、送り完了信号を制御装置30Aに送信する。
【0054】
また、搬送装置1Aが起動すると、制御装置30Aでは、CPU31によってテンショナー制御プログラムが実行され、その結果、図7に示すテンショナー制御処理のフローが開示される。
【0055】
そのテンショナー制御処理では、始めに、制御装置30Aは、上述した駆動装置24の送り完了信号を受信したか否かを判定する(ステップS1)。制御装置30Aは、送り完了信号を受信したと判定した場合(ステップS1のYes)、カメラ40に金属帯状体2を撮像させる(ステップS2)。
【0056】
このステップS2のときには、送り装置20の金属帯状体2を一定の距離だけ送る動作が停止して、一回のプレス加工により成型された、金属帯状体2の一部分がカメラ40の下に位置している。その一部分には、一回のプレス加工により成型された貫通孔201と202が含まれている。このような一部分がカメラ40の下に位置することにより、一回のプレス加工により成型された貫通孔201と202が、図8に示す撮像範囲45に入る。カメラ40は、この撮像範囲45に入った貫通孔201と202を撮像する。そして、カメラ40は、撮像により得た画像データを制御装置30Aへ送信する。
【0057】
一方、制御装置30Aは、送り完了信号を受信していないと判定した場合(ステップS1のNo)、ステップS1に戻る。これにより、制御装置30Aは送り完了信号の送信を待つ。
【0058】
制御装置30Aは、ステップS2に続いて、カメラ40から受信した撮像データから貫通孔201、202の位置を測る(ステップS3)。
【0059】
詳細には、制御装置30Aは、撮像データの画像内で貫通孔201、202を識別するための識別辞書を格納する、図示しない記憶装置を備えている。制御装置30Aは、カメラ40の撮像データの画像に対して特徴抽出を行い、上記図示しない記憶装置から識別辞書を読み出して、その識別辞書と抽出された特徴データから画像内にある貫通孔201、202部分を識別する。制御装置30Aは、識別した貫通孔201、202部分から、代表点、例えば、貫通孔201、202部分の中心を特定する。そして、制御装置30Aは、特定された中心の画像内座標を貫通孔201、202の座標とする。これにより、制御装置30Aは、撮像データから貫通孔201、202の位置を得る。
【0060】
次に、制御装置30Aは、図7に示すように、貫通孔201、202の位置から金属帯状体2の傾斜角度θを求める(ステップS4)。
【0061】
詳細に金属帯状体2の傾斜角度の求め方を説明すると、図9に示すように、カメラ40の近傍には、直方体状のブロック46が設置されている。その結果、ステップS2で撮像した画像には、ブロック46が映り込んでいる。制御装置30Aは、撮像データの画像に対して特徴抽出を行い、抽出された特徴データと上記識別辞書から画像内にあるブロック46部分の長手方向へ延びるエッジを識別する。そのブロック46は、長手方向が金属帯状体2の理想的な送り方向に向けられた状態で設置されている。プレス装置3では、貫通孔202が設計通りに成形されると、貫通孔201に対して、その理想的な送り方向と同じ方向に貫通孔202が位置する。つまり、ブロック46の長手方向は、理想的な送り方向に金属帯状体2が送られたときの、貫通孔201に対する貫通孔202の理想的な方向D2を示している。制御装置30Aは、識別したエッジから、貫通孔201に対する貫通孔202の理想的な方向D2を求める。
【0062】
さらに、制御装置30Aは、ステップS3で求めた画像内での貫通孔201、202の位置から、貫通孔201に対する貫通孔202の相対位置を求め、求めた相対位置から、貫通孔201に対する貫通孔202の方向D3を求める。そして、制御装置30Aは、求めた貫通孔201に対する貫通孔202の方向D3が、識別したエッジから求めた理想的な方向D2から、どの程度の傾斜角度θだけ傾斜しているかを求める。そして、制御装置30Aは、求めた傾斜角度θを、金属帯状体2の長さ方向が理想的な送り方向D1からずれている場合の、ずれ角度とする。すなわち、制御装置30Aは、求めた傾斜角度θを、金属帯状体2の傾斜角度とする。これにより、制御装置30Aは、金属帯状体2の傾斜角度θを得る。
【0063】
なお、傾斜角度θは、図9で金属帯状体2の理想的な送り方向D1が右方向であるとすると、金属帯状体2が右に向かうに従い前方へ傾く場合に、正の値をとり、金属帯状体2が右に向かうに従い後方へ傾く場合に、負の値をとるものとする。
【0064】
図7に戻って、制御装置30Aは、金属帯状体2の傾斜角度θを求めた後、求めた傾斜角度θが許容角度θ1よりも大きいか否かを判定する(ステップS5)。
【0065】
ここで、許容角度θ1は、上記の金属帯状体2の理想的な送り方向D1が右方向であるときに、金属帯状体2が右に向かうに従い前方へ傾いている場合の、その場合の許容角度である。すなわち、許容角度θ1は、金属帯状体2の傾斜角度θが正の値をとるときの許容角度である。例えば、許容角度θ1は、+1°である。
【0066】
制御装置30Aは、傾斜角度θが許容角度θ1よりも大きいと判定した場合(ステップS5のYes)、金属帯状体2が右に向かうに従い前方へ傾きすぎているため、後方にあるテンショナー11Cの電空レギュレータ13Cが調整する空気圧を高い状態にする(ステップS6)。このとき、電空レギュレータ13A、13Bが調整する空気圧は、電空レギュレータ13Cが調整する空気圧よりも低く、かつ互いに同じ空気圧であるか、或いは電空レギュレータ13Aが調整する空気圧のほうが低いとよい。
【0067】
制御装置30Aは、ステップS6で電空レギュレータ13Cの空気圧を調整した後、金属帯状体2の傾きの修正が完了したものとして、ステップS1に戻る。
【0068】
一方、制御装置30Aは、傾斜角度θが許容角度θ1以下であると判定した場合(ステップS5のNo)、その傾斜角度θが許容角度θ2よりも小さいか否かを判定する(ステップS7)。
【0069】
ここで、許容角度θ2は、上記の金属帯状体2の理想的な送り方向D1が右であるときに、金属帯状体2が右に向かうに従い後方へ傾いている場合の、その場合の許容角度である。すなわち、許容角度θ2は、金属帯状体2の傾斜角度θが負の値をとるときの許容角度である。例えば、許容角度θ2は、-1°である。
【0070】
制御装置30Aは、傾斜角度θが許容角度θ2よりも小さいと判定した場合(ステップS7のYes)、金属帯状体2が右に向かうに従い後方へ傾きすぎているため、前方にあるテンショナー11Aの電空レギュレータ13Aが調整する空気圧を高い状態にする(ステップS8)。このとき、電空レギュレータ13B、13Cが調整する空気圧は、電空レギュレータ13Aが調整する空気圧よりも低く、互いに同じ空気圧であるか、或いは電空レギュレータ13Cが調整する空気圧のほうが低いとよい。
【0071】
制御装置30Aは、ステップS8で電空レギュレータ13Aの空気圧を調整した後、金属帯状体2の傾きの修正が完了したものとして、ステップS1に戻る。
【0072】
一方、制御装置30Aは、傾斜角度θが許容角度θ2以上であると判定した場合(ステップS7のNo)、金属帯状体2が傾きすぎておらず、許容できる傾斜であるため、全てのテンショナー11A-11Cの電空レギュレータ13A-13Cが調整する空気圧を同じ圧力にする(ステップS9)。
【0073】
制御装置30Aは、ステップS9で電空レギュレータ13Aの空気圧を調整した後、ステップS1に戻る。
【0074】
制御装置30Aは、ステップS1に戻ることにより、送り装置20の間欠送りの次回の送り動作が行われて、その動作が停止するのを待つ。その後、制御装置30Aは、ステップS2以降のステップを繰り返して、送り装置20の間欠送りの送り動作が行われる毎に、電空レギュレータ13A-13Cが調整する空気圧を調整して、金属帯状体2の傾きを修正する。
【0075】
なお、上記の実施の形態1で説明した貫通孔201、202は、本開示でいうところの複数の被成形部の一例である。また、貫通孔201は、本開示でいうところの、複数の被成形部のうちのいずれか1つの基準部の一例である。また、貫通孔201に対する貫通孔202の位置は、本開示でいうところの、基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置の一例である。傾斜角度θは、本開示でいうところのずれ量の一例である。また、傾斜角度θは、本開示でいうところの基準方向に対する角度の一例である。また、プレス装置3と搬送装置1Aの組み合わせは、プレス装置システムと呼ばれてもよく、本開示でいうところのプレス装置システムの一例である。
【0076】
さらに、上記のステップS6、S8、S9は、制御装置30Aが決めた空気圧に電空レギュレータ13A-13Cの空気圧を調整して、決めた押し付け力でテンショナー11A-11Cを金属帯状体2に押し付ける。このことから明らかなように、ステップS6、S8、S9は、本開示でいうところの求めたずれ量に基づいてテンショナー11A-11Cそれぞれが金属帯状体2に生じさせるテンションの大きさを調整するステップの一例である。
【0077】
以上のように、実施の形態1に係る搬送装置1Aでは、制御装置30Aは、プレス装置3が形成した貫通孔201に対する貫通孔202の相対的な位置を測り、その測った相対的な位置から、貫通孔201に対する貫通孔202の方向D3を求める。そして、制御装置30Aは、求めた方向D3が貫通孔201に対する貫通孔202の理想的な方向D2からのずれ角度を求めることにより、金属帯状体2の傾斜角度θを求める。このように、搬送装置1Aでは、プレス装置3が形成した貫通孔201、202から、傾斜角度θを求めるので、金属帯状体2の帯端面が変形したとしても、その変形によらず金属帯状体2の蛇行を検出することができる。
【0078】
また、制御装置30Aは、求めた傾斜角度θに基づいて、電空レギュレータ13A-13Cが調整する空気圧を決めて、テンショナー11A-11Cの押し付け力を決定する。そして、搬送装置1Aは、制御装置30Aが決定した押し付け力でテンショナー11A-11Cを金属帯状体2に押し付ける。搬送装置1Aでは、金属帯状体2の幅方向に配列された複数のテンショナーを金属帯状体2に押し付けるだけで、金属帯状体2の蛇行を修正するため、その構成が簡易である。
【0079】
制御装置30Aは、プレス装置3が一度にプレス加工して成形した貫通孔201、202の位置に基づいて傾斜角度θを算出する。このため、算出される傾斜角度θの値が搬送による位置ずれの影響を受けない。その結果、算出される傾斜角度θの精度が高い。
【0080】
(変形例)
なお、実施の形態1では、プレス装置3が成形する金属帯状体2に、それぞれがバーリング部を有する複数の貫通孔201、202が形成されているが、これは、プレス装置3が成形する対象物の一例にすぎない。例えば、プレス装置3は、バーリング部がない貫通孔201、202、すなわち、開口近傍が平坦な貫通孔201、202を成形してもよい。
【0081】
また、貫通孔201、202の形状は、平面視円形であるが、貫通孔201、202の形状は、これに限定されない。貫通孔201、202の形状は、平面視三角形、四角形であってもよい。
【0082】
制御装置30Aは、カメラ40が撮像した画像で貫通孔201、202部分の位置を測るときに、貫通孔201、202の中心の位置を代表点としているが、代表点は、中心でなくてもよい。貫通孔201、202の位置を代表する代表点は、貫通孔201、202の平面視中心のほか、例えば、平面視で最も送り方向D1側にある内壁部の位置であってもよい。
【0083】
搬送装置1Aでは、テンショナー11A-11Cの下にテーブル110が設けられているが、テーブル110は任意の構成である。上述したように、搬送装置1Aでは、プレス装置3が形成した貫通孔201、202から金属帯状体2の傾斜角度θを求めて金属帯状体2の蛇行を検出する。その金属帯状体2の傾斜角度θの算出は、テーブル110の有無に行うことができるからである。
【0084】
なお、搬送装置1Aでは、テーブル110は、送り装置20の下まで延びていないが、テーブル110が、送り装置20の下まで延びている場合、テーブル110に長孔が設けられているとよい。その場合、長孔は、可動ブロック22によってピン21が左右方向に移動されるときに干渉することを防ぐため、ピン21の左右への移動距離以上に左右方向に延在するとよい。
【0085】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る搬送装置1Aは、空気圧シリンダ12A-12Cによりテンショナー11A-11Cの押し付け力が調整されている。すなわち、テンショナー11A-11Cの押し付け力は、空気式アクチュエーターにより調整されている。しかし、搬送装置1Aは、これに限定されない。テンショナー11A-11Cの押し付け力は、電気式アクチュエーターにより調整されてもよい。
【0086】
実施の形態2に係る搬送装置1Bは、送りねじ15A-15Cにより押し付け力が調整されるテンショナー16A-16Cを備える。
【0087】
以下、図10を参照して、実施の形態2に係る搬送装置1Bについて説明する。実施の形態2では、実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。
【0088】
図10は、実施の形態2に係る搬送装置1Bが備えるテンショナー16A-16Cの側面図である。なお、図10では、図1に示す送り方向D1の側から見たときの、テンショナー16A-16Cを概念的に示している。理解を容易にするため、金属帯状体2もあわせて表示している。
【0089】
図10に示すように、搬送装置1Bは、送りねじ15A-15Cと、送りねじ15A-15Cにより上下動するテンショナー16A-16Cと、を備える。
【0090】
送りねじ15A-15Cは、門型のホルダー50により、金属帯状体2の上に配置されている。そして、送りねじ15A-15Cの軸線は、上下方向に延在している。その送りねじ15A-15Cの上端には、モータ17A-17Cの出力軸が機械的に接続されている。これにより、送りねじ15A-15Cは、モータ17A-17Cの出力軸により、その軸線回りに回転する。そして、送りねじ15A-15Cには、送りねじ15A-15Cの軸線回りの回転に応じて軸線方向に直動するナット18A-18Cが取り付けられている。これにより、送りねじ15A-15Cは、ナット18A-18Cを上下動させる。
【0091】
一方、テンショナー16A-16Cは、上記ナット18A-18Cに接合されている。その結果、テンショナー16A-16Cは、ナット18A-18Cの上下方向への直動と共に、上下動する。これにより、テンショナー16A-16Cは、下にある金属帯状体2への押し付け力が調整される。
【0092】
なお、ナット18A-18Cは、直道ガイド19A-19Cにより上下動可能に保持されている。これにより、テンショナー16A-16Cが傾くことを防いでいる。
【0093】
実施の形態2に係る搬送装置1Bは、モータ17A-17Cの出力軸の回転量により、テンショナー16A-16Cの押し付け力が調整されることを除いて、実施の形態1に係る搬送装置1Aと動作が同じである。詳細には、実施の形態1では、制御装置30Aのテンショナー制御処理のステップS6、S8およびS9で電空レギュレータ13A-13Cが空気圧を調整することにより、テンショナー16A-16Cの押し込み位置を変更している。これに対して、実施の形態2では、その電空レギュレータ13A-13Cによる空気圧の調整に代えて、モータ17A-17Cの出力軸の回転量を調整することにより、テンショナー16A-16Cの押し込み位置が変更される。実施の形態2に係る搬送装置1Bでは、これを除いて、実施の形態1で説明したテンショナー制御処理と同じ処理が行われる。このため、詳細な説明を省略する。
【0094】
以上のように、実施の形態2に係る搬送装置1Bも、実施の形態1に係る搬送装置1Aと同様に、プレス装置3が形成した貫通孔201、202から、金属帯状体2の傾斜角度θを求める。このため、搬送装置1Bは、金属帯状体2の帯端面が変形したとしても、その変形によらず金属帯状体2の蛇行を検出することができる。
【0095】
なお、実施の形態2では、電気式アクチュエーターの一例として、送りねじ15A-15Cを用いたテンショナー16A-16Cの押し付け力調整機構を説明しているが、送りねじ15A-15Cには、カム、リンク等の機械がモータ17A-17Cにより動作する機構であってもよい。また、実施の形態2の送りねじ15A-15Cを用いたテンショナー16A-16Cの押し付け力調整機構にカム、リンク等の機械が組み合わされてもよい。
【0096】
また、搬送装置1Bは、電気式アクチュエーターの代わりに、油圧式アクチュエーターが用いられてもよい。
【0097】
(実施の形態3)
実施の形態1および2に係る搬送装置1A、1Bでは、制御装置30Aは、プレス装置3が一度にプレス加工して成形した貫通孔201、202の位置に基づいて金属帯状体2の傾斜角度θを算出する。換言すると、制御装置30Aは、同じ金型300で同時にプレス加工された貫通孔201、202の位置に基づいて金属帯状体2の傾斜角度θを算出する。しかし、搬送装置1A、1Bは、これに限定されない。制御装置30Aは、プレス装置3が形成する複数の被成形部の位置を測定し、その位置に基づいて金属帯状体2の傾斜角度θを算出するとよい。
【0098】
実施の形態3に係る搬送装置1Cは、プレス装置3が前回にプレス加工した貫通孔201の位置と、次回にプレス加工した貫通孔201の位置とを比較することにより、金属帯状体2の傾斜角度θを算出する。
【0099】
以下、図11図12Aおよび図12Bを参照して、実施の形態3に係る搬送装置1Cについて説明する。実施の形態3では、実施の形態1、2と異なる構成を中心に説明する。
【0100】
図11は、実施の形態3に係る搬送装置1Cが備える制御装置30Cのブロック図である。図12Aは、制御装置30Cが金属帯状体2の傾斜角度θを算出するときに、その算出に用いる前回プレス加工された貫通孔201の位置を示す概念図である。図12Bは、制御装置30Cが金属帯状体2の傾斜角度θを算出するときに、その算出に用いる次回プレス加工された貫通孔201の位置を示す概念図である。
【0101】
なお、図12A図12Bでは、位置関係の理解を容易にするため、貫通孔201に対する貫通孔202の理想的な方向D2の延長線L1と貫通孔201のX座標を示す線L2を示している。
【0102】
図11に示すように、制御装置30Cは、前回プレス加工された貫通孔201をカメラ40が撮像した撮像データを保存するための記憶装置38を備える。
【0103】
制御装置30Cは、図示しないが、実施の形態1の制御装置30Aと同様に、送り装置20が備える駆動装置24から送り完了信号を受信する毎に、カメラ40に金属帯状体2を撮像させる。そして、制御装置30Cは、カメラ40からその撮像データを受信すると、撮像データを受信する毎に、受信した撮像データを記憶装置38に記憶させる。すなわち、制御装置30Cは、金属帯状体2の、プレス装置3によりプレス加工された部分が送られる毎に、カメラ40にその部分を撮像させ、その撮像データを記憶装置38に記憶させる。
【0104】
また、制御装置30Cは、実施の形態1で説明したステップS3と同様にして、受信した撮像データから画像内の貫通孔201の位置を求める。さらに、制御装置30Cは、記憶装置38から前回の撮像データ、すなわち、前回プレス加工された部分の撮像データを読み出して、読み出した撮像データから画像内の前回貫通孔201の位置を求める。図11に示す記憶装置38には、送り装置20が間欠送りをするときの一回の送り動作で金属帯状体2が送られる送り量を表す送り量ベクトルデータ39が格納されている。制御装置30Cは、求めた今回貫通孔201の位置と前回貫通孔201の位置の、図12Bに示すずれGを求める。さらに、制御装置30Cは、記憶装置38から送り量ベクトルデータ39を読み出し、求めたずれGに読み出した送り量ベクトルデータ39を加えて、今回撮像した貫通孔201と前回撮像した貫通孔201が一つの撮像範囲45に入って、これら貫通孔201を撮像して1つの画像を得たと仮定し、かつ、その画像からこれら貫通孔201同士の相対位置を測ったと仮定した場合の、その相対位置を求める。制御装置30Cは、求めた相対位置を、実施の形態1で説明したステップS4の貫通孔201に対する貫通孔202の相対位置として扱い、金属帯状体2の傾斜角度θを求める。そして、制御装置30Cは、実施の形態1で説明したステップS5以降と同様の処理をして、金属帯状体2の傾きを修正する。
【0105】
なお、上述した送り装置20が間欠送りをするときの一回の送り動作で金属帯状体2が送られる送り量は、本開示でいうところの送り装置20が金属帯状体2の送り出し距離の一例である。また、カメラ40は、金属帯状体2を撮像する場合に、図8に示す撮像範囲45を撮像するが、この撮像範囲45は、金属帯状体2に成形された貫通孔201が次々と通過する一定の領域であるため、一定の領域ともいう。
【0106】
以上のように、実施の形態3に係る搬送装置1Cも、実施の形態1、2に係る搬送装置1A、1Bと同様に、プレス装置3が形成した貫通孔201から、金属帯状体2の傾斜角度θを求める。このため、搬送装置1Cは、金属帯状体2の帯端面が変形したとしても、その変形によらず金属帯状体2の蛇行を検出することができる。
【0107】
搬送装置1Cでは、貫通孔201、202のうち、貫通孔201の位置だけで、金属帯状体2の傾斜角度θを求めるため、カメラ40の撮像範囲が狭くてもよい。このため、搬送装置1Cは、実施の形態1、2に係る搬送装置1A、1Bよりもカメラ40の設置の自由度が高い。
【0108】
(変形例)
実施の形態3では、制御装置30Cは、金属帯状体2の傾斜角度θを求めて、金属帯状体2の傾きを修正するが、これに加えて、上記のずれGに基づいて送り装置20が間欠送りをするときの一回の送り動作で金属帯状体2を送るときの、その送る距離を修正してもよい。
【0109】
(実施の形態4)
実施の形態1-3に係る搬送装置1A-1Cでは、テンショナー11A-11C、16A-16Cが直方体状のブロックである。しかし、テンショナー11A-11C、16A-16Cはこれに限定されない。テンショナー11A-11C、16A-16Cは送り装置20の、金属帯状体2を送り出す方向と反対側に設けられると共に、金属帯状体2の幅方向に配列され、金属帯状体2に接触して金属帯状体2にテンションを発生させるものであればよい。従って、テンショナー11A-11C、16A-16Cはこの条件を満たす限りにおいて、その形状は任意である。例えば、テンショナー11A-11C、16A-16Cそれぞれは、金属帯状体2に押し付けられて金属帯状体2にテンションを発生させるもののほか、金属帯状体2に押し当てられ、送り装置20による金属帯状体2の移動により回転するローラをそれぞれ有していてもよい。
【0110】
実施の形態4に係る搬送装置1Dでは、テンショナーが円柱状のローラにより形成されている。
【0111】
以下、図13を参照して、実施の形態4に係る搬送装置1Dについて説明する。実施の形態4では、実施の形態1-3と異なる構成を中心に説明する。
【0112】
図13は、実施の形態4に係る搬送装置が備えるテンショナー70A、70Bの側面図である。なお、図13では、図1に示す送り方向D1の側から見たときの、テンショナー70A、70Bを概念的に示している。理解を容易にするため、金属帯状体2もあわせて表示している。
【0113】
図13に示すように、搬送装置1Dでは、テンショナー70A、70Bが、金属帯状体2に外周面が接触すると共に、回転することが可能なローラ71A、71Bと、ローラ71A、71Bが回転する場合に、その回転に制動をかけるブレーキ72A、72Bとを備える。
【0114】
ローラ71A、71Bは、円柱状に形成されている。そして、ローラ71A、71Bは、円柱面が金属帯状体2に接触して金属帯状体2を下に押し込む位置に配置されている。また、ローラ71A、71Bには、中心軸線が通る位置にシャフト73A、73Bが設けられ、それらシャフト73A、73Bは、ホルダー74A、74Bに回転可能に保持されている。これにより、ローラ71A、71Bは、金属帯状体2が送り装置20により送られると、金属帯状体2の移動に伴い、回転する。一方、ローラ71A、71Bのシャフト73A、73Bには、ローラ71A、71Bの回転に制動をかけるブレーキ72A、72Bが設けられている。
【0115】
ブレーキ72A、72Bは、円筒状に形成され、上記のシャフト73A、73Bに接続されたドラム75A、75Bを有する。そのドラム75A、75Bには、図示しないが、内周面に接触してドラムの回転を制動することが可能なブレーキシューが設けられている。ブレーキ72A、72Bでは、ブレーキシューがドラムの内周面に接触してドラムの回転に制動をかけることにより、シャフト73A、73Bの回転数を小さくする。これにより、ブレーキ72A、72Bは、ローラ71A、71Bの回転数を調整する。ローラ71A、71Bは、図2には示すレベラー6と送り装置20の間に張られた金属帯状体2を下に押すことにより、金属帯状体2にテンションを生じさせている。ブレーキ72A、72Bは、このようなローラ71A、71Bの回転数を調整することにより、金属帯状体2のテンションを調整する。
【0116】
一方、図13には示さないが、搬送装置1Dでも、制御装置30A、30Cが実施の形態1で説明したテンショナー制御部36を備える。そして、テンショナー制御部36は、実施の形態1で説明した手順で金属帯状体2の傾斜角度θの大きさを求め、求めた傾斜角度θの大きさに基づいてローラ71A、71Bそれぞれの回転数を変更させる調整量、詳細には、ブレーキ強度を決定する。
【0117】
ここで、ブレーキ強度とは、ブレーキシューがドラム75A、75Bに接触するときの接触量のことである。例えば、ブレーキ強度とは、ドラム75A、75Bへのブレーキシューの押し込み量のことである。
【0118】
テンショナー制御部36は、ブレーキ強度を決定した後、決定したブレーキ強度でブレーキ72A、72Bを動作させることにより、ローラ71A、71Bそれぞれの回転数を決定したブレーキ強度の分だけ変更させる。その結果、金属帯状体2のテンションの大きさが調整される。
【0119】
なお、実施の形態4に係る搬送装置1Dは、ブレーキ72A、72Bがローラ71A、71Bの回転数を調整することを除いて、実施の形態1に係る搬送装置1Aと動作が同じである。詳細には、実施の形態1では、制御装置30Aのテンショナー制御処理が有するステップS6、S8およびS9で電空レギュレータ13A-13Cが空気圧を調整することにより、テンショナー16A-16Cの押し込み位置を変更する。その結果、金属帯状体2のテンションが調整される。これに対して、実施の形態4では、電空レギュレータ13A-13Cが空気圧を調整することに代えて、ブレーキ72A、72Bがローラ71A、71Bの回転数を調整して、金属帯状体2のテンションを調整する。実施の形態4に係る搬送装置1Dでは、これを除いて、実施の形態1で説明したテンショナー制御処理と同じ処理が行われる。このため、詳細な説明を省略する。
【0120】
以上のように、実施の形態4に係る搬送装置1Dも、実施の形態1-3に係る搬送装置1A-1Cと同様に、プレス装置3が形成した貫通孔201と202から、または、貫通孔201だけから、金属帯状体2の傾斜角度θを求める。このため、搬送装置1Dは、金属帯状体2の帯端面が変形したとしても、その変形によらず金属帯状体2の蛇行を検出することができる。
【0121】
なお、ローラ71A、71Bは、円柱面が金属帯状体2を下に押し込む位置に固定されている。しかし、ローラ71A、71Bの位置は調整可能であってもよい。例えば、テンショナー70A、70Bそれぞれは、それらの位置を調整するため、ローラ71A、71Bを上下動させることが可能な駆動機構を備えてもよい。
【0122】
また、テンショナー70A、70Bでは、ブレーキ72A、72Bがドラム75A、75Bを有する、いわゆるドラムブレーキであるが、ブレーキ72A、72Bは、いわゆるディスクブレーキであってもよい。また、ブレーキ72A、72Bは、油圧式、エアー式のいずれの方式で動作してもよい。
【0123】
さらに、テンショナー70A、70Bは、ブレーキ72A、72Bに代えて、ローラ71A、71Bに接続され、ローラ71A、71Bの回転数を変更することが可能なサーボモータを備えてもよい。この場合、サーボモータがローラ71A、71Bの回転数を調整するとよい。
【0124】
以上、本開示の実施の形態に係る搬送装置1A-1D、プレス装置システム、搬送装置1A-1Dの制御方法、フィンの製造方法および熱交換器の製造方法について説明したが、搬送装置1A-1D、プレス装置システム、搬送装置1A-1Dの制御方法、フィンの製造方法および熱交換器の製造方法は、これに限定されない。
【0125】
例えば、実施の形態1-4では、送り装置20は、ピン21を貫通孔201、202に挿入させ、そのピン21を上下または左右に移動させることにより、金属帯状体2を間欠送りする。しかし、送り装置20は、これに限定されない。送り装置20は、プレス装置3から、金属帯状体2の長さ方向に金属帯状体2を送り出すものであればよい。このため、例えば、送り装置20は、金属帯状体2を回転力と摩擦力で送るロールを備える、いわゆるロールフィーダであってもよい。また、送り装置20は、金属帯状体2をつかんで送る、いわゆるヒッチフィーダであってもよい。
【0126】
なお、フィーダとは、一般的には材料を供給する装置の意味であるが、送り装置20は、プレス装置3に金属帯状体2の長さ方向の一部分を供給する結果、その長さ方向の他の部分が送り出されるものを含む。
【0127】
また、実施の形態1-3では、テンショナー11A-11C、16A-16Cが金属帯状体2の幅方向に3つ配置されている。実施の形態4では、テンショナー70A、70Bが同幅方向に2つ配置されている。しかし、テンショナー11A-11C、16A-16C、70A、70Bは、これに限定されない。テンショナー11A-11C、16A-16C、70A、70Bは、送り装置20の、金属帯状体2を送り出す方向と反対側に設けられると共に、金属帯状体2の幅方向に配列され、金属帯状体2に押し付けられて金属帯状体にテンションを発生させる、複数のテンショナーであればよい。このため、テンショナー11A-11C、16A-16C、70A、70Bは、金属帯状体2の幅方向に4つ以上、配列されていてもよい。
【0128】
さらに、テンショナー11A-11C、16A-16Cは、上記の条件を満たすものであればよいので、その形状は、実施の形態1-3で説明した直方体に限られない。例えば、円柱状、楕円柱状または、多角柱状であってもよい。また、テンショナー70A、70Bが有するローラ71A、71Bも円柱状のほか、円筒状であってもよい。
【0129】
実施の形態1-4では、制御装置30A、30Cは、プレス装置3が形成した貫通孔201または貫通孔201、202から、金属帯状体2の傾斜角度θを求める。しかし、制御装置30A、30Cは、これに限定されない。制御装置30A、30Cは、プレス装置3が成形する複数の被成形部のうちのいずれか1つを基準部としたときの、その基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置を測定し、測定した相対的な位置の、基準部に対する残りの被成形部の理想的な相対的位置からのずれ量を求めるものであればよい。このため、制御装置30A、30Cがずれ量を求めるために位置を測定する対象物は、貫通孔201、202以外の、プレス装置3が形成した被成形部であってもよい。例えば、位置の測定の対象物は、金属帯状体2に形成された切り欠きまたは、スリットであってもよい。
【0130】
実施の形態1-4では、制御装置30A、30Cは、カメラ40で撮像した撮像データを用いて、金属帯状体2の傾斜角度θを求めるために、画像内での貫通孔201,202の位置を測っている。しかし、制御装置30A、30Cは、これに限定されない。制御装置30A、30Cは、位置測定部を備え、その位置測定部は、複数の被成形部のうちのいずれか1つを基準部としたときの、該基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置を測定すればよい。このため、例えば、位置測定部は、変位センサ、測長センサと呼ばれる対象物までの距離、または対象物の各部形状を測定するセンサに接続され、そのセンサの測定データを取得して、金属帯状体2に形成された成形物の位置、例えば、貫通孔201,202の位置を測定してもよい。
【0131】
実施の形態1-3では、制御装置30A、30Cは、金属帯状体2の傾斜角度θが許容角度θ1よりも大きい場合に、テンショナー11Cの電空レギュレータ13Cが調整する空気圧を高い状態にする。すなわち、制御装置30A、30Cは、電空レギュレータ13Cが調整する空気圧を一定の高い値にする。また、制御装置30A、30Cは、傾斜角度θが許容角度θ2よりも小さい場合に、テンショナー11Aの電空レギュレータ13Aが調整する空気圧を高い状態にする。すなわち、制御装置30A、30Cは、電空レギュレータ13Cが調整する空気圧を一定の高い値にする。実施の形態4では、制御装置30A、30Cは、金属帯状体2の傾斜角度θの大きさに基づいてローラ71A、71Bそれぞれの回転数を変更させるブレーキ強度を決定し、決定したブレーキ強度でブレーキ72A、72Bを動作させることにより、ローラ71A、71Bの回転数を調整する。しかし、制御装置30A、30Cが行うテンショナー11A-11C、16A-16Cの押し付け力の調整、またはローラ71A、71Bの回転数の調整は、これらに限定されない。制御装置30A、30Cは、テンショナー制御部36を備え、そのテンショナー制御部36が、上記の被成形部の理想的な相対的位置からのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいてテンショナー11A-11C、16A-16C、70A、70Bそれぞれが金属帯状体2に生じさせるテンションの大きさを調整するものであればよい。
【0132】
例えば、実施の形態1-3で説明した金属帯状体2に押し付けられて金属帯状体2にテンションを発生させるテンショナー11A-11C、16A-16Cである場合、テンショナー制御部36は、求めたずれ量に基づいてテンショナー11A-11C、16A-16Cそれぞれの、金属帯状体2に押し付けられる押し付け力を決定し、決定した押し付け力それぞれでテンショナー11A-11C、16A-16Cそれぞれを金属帯状体2に押し付けることにより、テンションの大きさを調整してもよい。また、実施の形態4で説明した金属帯状体2に押し当てられ、送り装置20による金属帯状体2の移動により回転するローラ71A、71Bをそれぞれ有するテンショナー70A、70Bの場合、テンショナー制御部36は、求めたずれ量に基づいてローラ71A、71Bそれぞれの回転数を変更させる調整量を決定し、ローラ71A、71Bそれぞれの回転数を決定した調整量だけ変更させることにより、テンションの大きさを調整してもよい。
【0133】
詳細には、例えば、テンショナー制御部36は、求めた金属帯状体2の傾斜角度θの大きさに応じて、電空レギュレータ13A-13Cが調整する空気圧の大きさを変更してもよい。すなわち、テンショナー制御部36は、求めた金属帯状体2の傾斜角度θの大きさに応じた力だけ、テンショナー11A-11C、16A-16Cを金属帯状体2に押し付けてもよい。この場合、金属帯状体2の傾斜角度θの大きさと、傾斜角度θがその大きさであるときの、望ましいテンショナー11A-11C、16A-16Cの押し付け力との関係を予め実験により求めておくとよい。さらに、その実験により求めた金属帯状体2の傾斜角度θと押し付け力とが対応付けられたデータが実施の形態3で説明した記憶装置38に格納され、テンショナー制御部36がこのデータを用いてテンショナー11A-11C、16A-16Cの押し付け力を制御するとよい。
【0134】
実施の形態1-4では、プレス装置3と搬送装置1A-1Dとを備えるプレス装置システムがフィンを成形して搬送している。このプレス装置システムは、さらに金属帯状体2を幅方向に切断する切断装置を備えて、フィンを製造してもよい。また、製造されたフィンは、熱交換器の製造に用いられてもよい。
【0135】
図14は、実施の形態1に係る搬送装置1A、プレス装置3および切断装置を備えるプレス装置システムが製造するフィンの製造方法のフローチャートである。図15は、実施の形態1に係る搬送装置1A、プレス装置3および切断装置を備えるプレス装置システムが製造するフィンを用いた熱交換器の製造方法のフローチャートである。
【0136】
図14に示すように、フィンの製造方法は、フィンの各部分を金属帯状体2に成形する工程(ステップS11)と、フィンの各部分が成形された金属帯状体2を帯方向に切断する工程(ステップS12)とを備える。このフィンの製造方法において、ステップS11での金属帯状体2の成形がプレス装置3により行われ、金属帯状体2の成形での金属帯状体2の搬送が搬送装置1Aにより行われるとよい。さらに、ステップS12での金属帯状体2の切断が図示しない切断装置により行われてもよい。この場合、搬送装置1Aが金属帯状体2の搬送を行うので、金属帯状体2の蛇行が修正され、その結果、精度の高いフィンを製造することができる。
【0137】
また、図15に示すように、熱交換器の製造方法は、フィンを製造する工程(ステップS21)と、製造されたフィンを伝熱管へ組み付ける工程(ステップS22)と、フィンと伝熱管を接合する工程(ステップS23)とを備える。この熱交換器の製造方法において、ステップS21のフィンの製造に、上述したプレス装置システムが用いられてフィンが製造されてもよい。このような形態であれば、上述したプレス装置システムにより、精度の高いフィンが製造される結果、組み付け精度が高い熱交換器を製造できるからである。
【0138】
実施の形態1-4では、プレス装置3がフィンを成形する場合を例に説明しているが、プレス装置3の加工対象物はこれに限定されない。プレス装置3は、金属帯状体2をプレス加工して、金属帯状体2に複数の被成形部を形成するものであればよい。本開示の搬送装置1A-1Dは、このようなプレス装置3から金属帯状体2を送る装置全般に適用可能である。
【0139】
なお、実施の形態1-4では、ROM32にテンショナー制御プログラムが格納されているが、テンショナー制御プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納されて配布されてもよい。この場合、その記録媒体に格納されたテンショナー制御プログラムは、コンピュータにインストールされることにより、テンショナー制御処理を実行するテンショナー制御部36が構成されてもよい。
【0140】
また、テンショナー制御プログラムは、インターネットの通信ネットワーク上のサーバー装置が有するディスク装置に格納され、テンショナー制御プログラムが、例えば、搬送波に重畳されて、ダウンロードされてもよい。
【0141】
また、テンショナー制御処理を、各OS(Operating System)が分担して実現する場合、またはOSとアプリケーションとの協働により実現する場合には、OS以外の部分のみが媒体に格納されて配布されてもよく、また、ダウンロードされてもよい。
【0142】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。以下に、本開示の様々な形態を付記として記載する。
(付記1)
金属帯状体をプレス加工して熱交換器のフィンを製造するプレス装置に設けられ、前記金属帯状体を搬送する搬送装置であって、
前記金属帯状体に複数の被成形部を形成する前記プレス装置から、前記金属帯状体の長さ方向に前記金属帯状体を送り出す送り装置と、
前記送り装置の、前記金属帯状体を送り出す方向と反対側に設けられると共に、前記金属帯状体の幅方向に配列され、前記金属帯状体に接触して前記金属帯状体にテンションを発生させる複数のテンショナーと、
前記複数の被成形部のうちのいずれか1つを基準部としたときの、該基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置を測定する位置測定部と、
前記位置測定部が測定した前記相対的な位置の、前記基準部に対する残りの被成形部の理想的な相対的位置からのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいて前記テンショナーそれぞれが前記金属帯状体に生じさせるテンションの大きさを調整するテンショナー制御部と、
を備える搬送装置。
(付記2)
前記テンショナーそれぞれは、前記金属帯状体に押し付けられて前記金属帯状体にテンションを発生させ、
前記テンショナー制御部は、求めたずれ量に基づいて前記テンショナーそれぞれの、前記金属帯状体に押し付けられる押し付け力を決定し、決定した押し付け力それぞれで前記テンショナーそれぞれを前記金属帯状体に押し付けることにより、前記テンションの大きさを調整する、
付記1に記載の搬送装置。
(付記3)
前記テンショナーそれぞれは、前記金属帯状体に押し当てられ、前記送り装置による前記金属帯状体の移動により回転するローラをそれぞれ有し、
前記テンショナー制御部は、求めたずれ量に基づいて前記ローラそれぞれの回転数を変更させる調整量を決定し、前記ローラそれぞれの回転数を決定した調整量だけ変更させることにより、前記テンションの大きさを調整する、
付記1に記載の搬送装置。
(付記4)
前記テンショナーそれぞれは、前記ローラの回動を制動するブレーキをそれぞれ有し、
前記テンショナー制御部が決定する調整量は、前記ブレーキの強度であり、
前記テンショナー制御部は、前記ブレーキを前記強度で動作させることにより、前記テンションの大きさを調整する、
付記3に記載の搬送装置。
(付記5)
前記金属帯状体の、前記テンショナーが押し付けられる側と反対側から前記金属帯状体を支持し、前記テンショナーとの間に前記金属帯状体を挟み込むテーブルをさらに備える、
付記1から4のいずれか1つに記載の搬送装置。
(付記6)
前記プレス装置は、一回のプレス加工で前記複数の被成形部を形成し、
前記位置測定部は、その一回のプレス加工で形成された前記複数の被成形部のうちの前記基準部と前記残りの被成形部について、前記相対的な位置を測定する、
付記1から5のいずれか1つに記載の搬送装置。
(付記7)
前記相対的な位置は、前記基準部に対して前記残りの被成形部がある方向の、基準方向に対する角度により表され、
前記ずれ量は、前記基準部に対して前記残りの被成形部があるべき理想的な方向からのずれ角度により表される、
付記1から6のいずれか1つに記載の搬送装置。
(付記8)
前記プレス装置は、複数回のプレス加工で前記複数の被成形部を形成し、
前記送り装置は、前記金属帯状体を送り出すことにより、前記被成形部それぞれを一定の領域を通過させ、
前記位置測定部は、前記被成形部が前記一定の領域を通過するときに前記被成形部の位置を測定し、その前に通過した前記被成形部の位置を前記基準部の位置として扱うことにより、前記相対的な位置を求める、
付記1から5のいずれか1つに記載の搬送装置。
(付記9)
前記位置測定部は、前回、前記被成形部の位置を測定したときから、今回、前記被成形部の位置を測定するまでの、前記送り装置の前記金属帯状体の送り出し距離を用いて前記相対的な位置を求める、
付記8に記載の搬送装置。
(付記10)
前記プレス装置と、
付記1から9のいずれか1つに記載の搬送装置と、
を備えるプレス装置システム。
(付記11)
前記プレス装置は、前記金属帯状体をプレス加工して前記フィンが備える前記被成形部を形成する、
付記10に記載のプレス装置システム。
(付記12)
金属帯状体をプレス加工して前記金属帯状体に複数の被成形部を形成するプレス装置から、前記金属帯状体の長さ方向に前記金属帯状体を送り出す送り装置と、
前記送り装置の、前記金属帯状体を送り出す方向と反対側に設けられると共に、前記金属帯状体の幅方向に配列され、前記金属帯状体に接触して前記金属帯状体にテンションを発生させる複数のテンショナーと、
を備える搬送装置の制御方法であって、
前記複数の被成形部のうちのいずれか1つを基準部としたときの、該基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置を測定するステップと、
前記残りの被成形部の相対的な位置を測定するステップで測定した前記相対的な位置の、前記基準部に対する残りの被成形部の理想的な相対的位置からのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいて前記テンショナーそれぞれが前記金属帯状体に生じさせるテンションの大きさを調整するステップと、
を備える搬送装置の制御方法。
(付記13)
金属帯状体をプレス加工して前記金属帯状体に複数の被成形部を形成するプレス装置と、
前記プレス装置から、前記金属帯状体の長さ方向に前記金属帯状体を送り出す送り装置と、
前記送り装置の、前記金属帯状体を送り出す方向と反対側に設けられると共に、前記金属帯状体の幅方向に配列され、前記金属帯状体に接触して前記金属帯状体にテンションを発生させる複数のテンショナーと、
を備えるプレス装置システムを用いたフィンの製造方法であって、
前記プレス装置が前記金属帯状体をプレス加工して前記金属帯状体にフィンが備える前記複数の被成形部を形成するステップと、
前記複数の被成形部を形成するステップで形成した前記複数の被成形部のうちのいずれか1つを基準部としたときの、該基準部に対する残りの被成形部の相対的な位置を測定するステップと、
前記残りの被成形部の相対的な位置を測定するステップで測定した前記相対的な位置の、前記基準部に対する残りの被成形部の理想的な相対的位置からのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいて前記テンショナーそれぞれが前記金属帯状体に生じさせるテンションの大きさを調整するステップと、
前記送り装置が送り出した前記金属帯状体を決められた長さに切断して前記フィンを形成するステップと、
を備えるフィンの製造方法。
(付記14)
付記13に記載のフィンの製造方法で製造したフィンを伝熱管に取り付ける、
熱交換器の製造方法。
【0143】
本出願は、2021年12月21日に出願された日本国特許出願特願2021-206639号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2021-206639号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【符号の説明】
【0144】
1A-1D 搬送装置、2 金属帯状体、3 プレス装置、4 コイル、5 アンコイラー、6 レベラー、7 コントローラ、10A 緊張装置、11A-11C テンショナー、12A-12C 空気圧シリンダ、13A-13C 電空レギュレータ、14A-14C ピストンロッド、15A-15C 送りねじ、16A-16C テンショナー、17A-17C モータ、18A-18C ナット、19A-19C 直道ガイド、20 送り装置、21 ピン、22 可動ブロック、23 傾斜面、24 駆動装置、30A,30C 制御装置、31 CPU、32 ROM、33 RAM、34 I/Oポート、35 位置測定部、36 テンショナー制御部、38 記憶装置、39 送り量ベクトルデータ、40 カメラ、41,42 支柱、43 梁、44 ホルダー、45 撮像範囲、46 ブロック、50 ホルダー、61,62 ピンチロール、70A,70B テンショナー、71A,71B ローラ、72A,72B ブレーキ、73A,73B シャフト、74A,74B ホルダー、75A,75B ドラム、110 テーブル、201,202 貫通孔、300 金型、311,312 ポンチ、321,322 ダイス、A1-A4 矢印、D1 送り方向、D2,D3 方向、G ずれ、L1 延長線、L2 線。
図1
図2
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図5
図6
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図10
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図12A
図12B
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