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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】メタネーションシステム
(51)【国際特許分類】
   C07C 1/04 20060101AFI20241101BHJP
   C07C 9/04 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
C07C1/04
C07C9/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023574770
(86)(22)【出願日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2023023063
【審査請求日】2023-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】川本 誠
(72)【発明者】
【氏名】篠木 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】尾中 洋次
(72)【発明者】
【氏名】谷島 誠
【審査官】長谷川 莉慧霞
(56)【参考文献】
【文献】特許第7241995(JP,B1)
【文献】特開昭62-042722(JP,A)
【文献】特開平02-099114(JP,A)
【文献】特開2023-098433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0080483(US,A1)
【文献】特開2016-108256(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0148481(US,A1)
【文献】米国特許第04839391(US,A)
【文献】特開昭48-078105(JP,A)
【文献】特開2014-198789(JP,A)
【文献】特開2022-075138(JP,A)
【文献】岡本 健一,気体分離膜,繊維機械学会誌,1990年09月25日,43巻9号,pp. 501-508,<DOI: 10.4188/transjtmsj.43.9_P501>
【文献】喜多 英敏,気体分離膜の進展,膜,2008年,33巻5号,pp. 247-253,<DOI: 10.5360/membrane.33.247>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 1/04
C07C 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料水と二酸化炭素から一酸化炭素と水素を生成する共電解装置と、
前記一酸化炭素と前記水素からメタンと水とを含む生成物ガスを生成するメタン化反応を行うメタン反応器と、
前記生成物ガスから前記メタンと水蒸気である前記水とを分離する分離膜を有する分離膜装置と、
前記メタン反応器を冷却する冷却水を導く冷却水経路と、を備え、
前記冷却水経路は、前記メタン反応器を経て水蒸気となった前記冷却水と、前記分離膜装置で分離した水蒸気の状態の前記水である分離水とを、水蒸気の状態で前記原料水として前記共電解装置に供給し、
前記メタン反応器は、前記メタン化反応を段階的に進行させる第1メタン反応部および第2メタン反応部と、前記第1メタン反応部と前記第2メタン反応部との間に設けられた中間熱交換器とを備え、
前記冷却水経路は、前記中間熱交換器に前記冷却水を導くことによって、前記メタン化反応の未反応物を含む前記生成物ガスを冷却する、
メタネーションシステム。
【請求項2】
前記冷却水経路は、前記メタン反応器で前記冷却水の少なくとも一部が気化するのに伴う気化熱によって前記メタン反応器を冷却する、
請求項1記載のメタネーションシステム。
【請求項3】
前記冷却水経路に、前記分離水を吸引して前記冷却水経路に導くエジェクタが設けられている、
請求項1記載のメタネーションシステム。
【請求項4】
前記エジェクタは、前記メタン反応器によって前記冷却水が加熱されて生じた水蒸気を駆動流とする、
請求項3記載のメタネーションシステム。
【請求項5】
前記冷却水経路は、前記中間熱交換器で前記冷却水の少なくとも一部が気化するのに伴う気化熱によって前記中間熱交換器を冷却する、
請求項記載のメタネーションシステム。
【請求項6】
前記分離膜を透過した透過物の一部を前記分離膜装置に戻す循環路をさらに備える、
請求項1記載のメタネーションシステム。
【請求項7】
前記循環路に、前記透過物の流量を調整する流量調整バルブが設けられている、
請求項記載のメタネーションシステム。
【請求項8】
前記分離膜装置を複数備える、
請求項1記載のメタネーションシステム。
【請求項9】
前記分離膜は、炭素材料で形成された炭素膜である、
請求項1~のうちいずれか1項に記載のメタネーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メタネーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二酸化炭素と水を用いてメタンなどの炭化水素を製造する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-161124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記装置では、メタン等を製造する際のエネルギー効率の点で改善が求められていた。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて、メタンを製造する際のエネルギー効率を高めることができるメタネーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るメタネーションシステムの一つの態様は、原料水と二酸化炭素から一酸化炭素と水素を生成する共電解装置と、前記一酸化炭素と前記水素からメタンと水を生成するメタン反応器と、前記メタンと前記水とを分離する分離膜を有する分離膜装置と、前記メタン反応器を冷却する冷却水を導く冷却水経路と、を備え、前記冷却水経路は、前記メタン反応器を経た前記冷却水と、前記分離膜装置で分離した前記水である分離水とを、前記原料水として前記共電解装置に供給する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、メタンを製造する際のエネルギー効率を高めることができるメタネーションシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るメタネーションシステムの模式図である。
図2】実施の形態2に係るメタネーションシステムの模式図である。
図3】実施の形態3に係るメタネーションシステムの模式図である。
図4】実施の形態4に係るメタネーションシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るメタネーションシステム100の模式図である。図1に示すように、メタネーションシステム100は、供給経路10と、共電解装置20と、メタン反応器30と、分離膜装置40と、冷却水経路50と、導入経路60と、エジェクタ70と、を備える。
【0011】
供給経路10は、図示しない供給源から供給された二酸化炭素を共電解装置20に導く。供給経路10から供給される二酸化炭素は、DAC(Direct Air Capture)により大気中から回収された二酸化炭素であってもよい。供給経路10から供給される二酸化炭素は、燃料電池から排出された二酸化炭素であってもよい。
【0012】
共電解装置20は、例えば、カソード電極およびアノード電極を有する固体酸化物形電解セル(SOEC;Solid Oxide Electrolysis Cell)を備える。固体酸化物形電解セルには、例えば、酸素イオン伝導性を有する固体酸化物が用いられる。電解質としては、ジルコニア系酸化物などが用いられる。共電解装置20は、電解装置の一例である。
【0013】
共電解装置20では、供給経路10から供給された二酸化炭素と、冷却水経路50から供給された水(原料水)とを固体酸化物形電解セルのカソード電極に供給する。固体酸化物形電解セルにおける共電解に用いられる水は、例えば、水蒸気である。
【0014】
共電解装置20は、固体酸化物形電解セルを加熱する加熱装置を備えていてもよい。加熱装置は、固体酸化物形電解セル内の温度を共電解反応に適した温度に調整することができる。
固体酸化物形電解セルに供給される二酸化炭素と水との比率は、目的とする反応物ガスの成分(一酸化炭素、水素)の比率に応じて定めることができる。
【0015】
共電解装置20は、二酸化炭素(CO)および水(HO)から、共電解によって一酸化炭素(CO)および水素(H)を含む反応物ガスを得る。共電解は、例えば、以下に示す式(I)に従って進行する。この反応は、吸熱反応である。
CO+HO→CO+H+O ・・・(I)
【0016】
共電解装置20では、例えば、再生可能エネルギー(例えば、太陽光発電、風力発電等)を用いて得られた電力を用いて共電解を行うことができる。図1では、この電力を「再エネ由来電力」と記載する。再生可能エネルギーを用いて得られたメタンは、燃焼利用しても追加的な二酸化炭素の発生がないことから、地球温暖化に影響しないカーボンニュートラル燃料と考えることができる。
【0017】
共電解装置20で得られた反応物ガスは、連絡経路11によってメタン反応器30に送られる。反応物ガスは、一酸化炭素および水素(H)だけでなく、他の成分、例えば、未反応の二酸化炭素および水を含んでいてもよい。
【0018】
メタン反応器30では、一酸化炭素(CO)および水素(H)から、メタン化反応によって、メタン(CH)および水(HO)を含む生成物ガスを得る。メタン化反応は、例えば、以下に示す式(II)に従って進行する。この反応は、発熱反応である。
CO+3H→CH+HO ・・・(II)
【0019】
メタン反応器30は、反応物ガスが接触するメタン化触媒を備えることが好ましい。メタン化触媒としては、Ni触媒、Ru触媒などが挙げられる。メタン化触媒は、メタン化反応を促進する。
【0020】
メタン反応器30で得られた生成物ガスは、連絡経路12によって分離膜装置40に送られる。生成物ガスに含まれる水は、例えば、水蒸気(Steam)である。分離膜装置40に送られる生成物ガスの温度は、例えば、100℃~400℃である。生成物ガスは、メタンおよび水だけでなく、他の成分、例えば、未反応の一酸化炭素、水素(H)、二酸化炭素などを含んでいてもよい。
【0021】
分離膜装置40は、例えば、低分子成分が透過できる分離膜41を用いて特定の成分を他の成分から分離する。分離膜41は、例えば、炭素膜である。炭素膜は、炭素材料により形成される。炭素膜は、例えば、微細孔を利用した分子ふるい効果によってガス分離性能を示す。炭素膜を使用することにより、メタンと水とを分離する効率を高めることができる。分離膜41としては、無機材料で形成された無機膜を用いてもよい。無機膜は、例えば、金属膜である。
【0022】
分離膜装置40は、分離膜41がケースに収容された分離膜モジュールであってよい。分離膜モジュールは、中空糸膜モジュール、スパイラル膜モジュール、平膜モジュールなどであってよい。中空糸膜モジュールでは、分離膜41は中空糸膜状に形成されている。スパイラル膜モジュールでは、分離膜41はスパイラル構造とされている。スパイラル構造は、分離膜41がスパイラル状に巻回され、互いに積層された構造である。平膜モジュールでは、分離膜41は平膜状に形成されている。分離膜装置40のろ過方式はクロスフローろ過方式でもよいし、全量ろ過方式でもよい。分離膜装置40においては、分離膜41の供給側を加圧し、圧力を高めてもよい。
【0023】
分離膜装置40では、例えば、メタンおよび水を含む生成物ガスのうち、水などの低分子成分が分離膜41を透過することによって、メタンを含む成分と、水を含む成分とを分離することができる。すなわち、分離膜41は、メタンと水とを分離する。分離膜41によって分離された水は「分離水」である。分離膜41を透過した透過物(透過物ガス)は水(分離水)を含む。透過物は、導入経路60によってエジェクタ70に導かれる。水(分離水)は、例えば、水蒸気(Steam)である。
【0024】
分離膜41を透過しなかった成分(非透過成分)は、メタンを含む。非透過成分は、導出経路13を通して系外に排出される。非透過成分は、例えば、都市ガスなどの原料として使用することができる。
【0025】
冷却水経路50は、メタン反応器30を冷却する冷却水を導く。冷却水経路50の一部は、メタン反応器30と熱的に接続されている。冷却水経路50は、冷却水が流れる流通路51を有する。流通路51は、冷却水経路50のうち、メタン反応器30と熱的に接続された部分である。流通路51は、例えば、メタン反応器30の内部に配設されている。冷却水は、流通路51の入口51aから出口51bに向かって流れる。
【0026】
冷却水経路50は、流通路51を流れる冷却水によって、メタン反応器30の内部の反応物ガスおよび生成物ガスを冷却する。冷却水は、メタン反応器30との熱交換によって加熱される。
【0027】
冷却水の少なくとも一部は、液体(Liquid)の状態から、メタン反応器30との熱交換によって気化して水蒸気(Steam)となることが好ましい。例えば、冷却水は、入口51aから出口51bに向けて流通路51を流れる過程で、少なくとも一部が気化する。冷却水は、気化するのに伴う気化熱によってメタン反応器30を冷却することができる。そのため、メタン反応器30の冷却に冷却水の潜熱を利用することができる。したがって、冷却水経路50の伝熱面積あたりの除熱量は大きくなる。よって、メタン反応器30の小型化を図ることができる。
【0028】
冷却水経路50は、共電解装置20に接続されている。冷却水経路50は、メタン反応器30を経た冷却水と、導入経路60から導かれた分離水とを、原料水として共電解装置20に供給する。
【0029】
エジェクタ70は、冷却水経路50に設けられている。エジェクタ70は、メタン反応器30を経た冷却水を駆動流として、導入経路60を通して分離水を吸引する。エジェクタ70は、例えば、メタン反応器30によって冷却水が加熱されて生じた水蒸気を駆動流として、導入経路60を通して分離水を吸引することができる。エジェクタ70は、分離水を冷却水経路50に導く。
【0030】
本実施の形態に係るメタネーションシステム100では、冷却水経路50は、メタン反応器30を経た冷却水と、分離膜装置40で分離した分離水とを、原料水として共電解装置20に供給する。そのため、共電解装置20に高温の原料水(水蒸気)を供給できる。すなわち、メタネーションシステム100では、メタン反応器30で発生した熱を冷却水によって回収し、共電解装置20に供給する。したがって、共電解装置20において、加熱のためのエネルギーを抑制しつつ、電解反応の効率を高めることができる。よって、メタンを製造する際のエネルギー効率を高めることができる。
【0031】
メタネーションシステム100では、エジェクタ70の使用により、分離膜装置40の透過側の圧力を低くできるため、供給側の圧力を高く設定する必要はなくなる。分離膜装置40において加圧に要するエネルギーを抑えることができるため、メタネーションシステム100のエネルギー効率を高めることができる。
【0032】
エジェクタ70は、メタン反応器30によって冷却水が加熱されて生じた水蒸気を駆動流として分離水を吸引する。冷却水は水蒸気となって体積が大きくなることで流量が増大するため、十分な吸引力が得られる。そのため、動力を用いることなく、導入経路60を通して分離水を冷却水経路50に導くことができる。よって、メタネーションシステム100のエネルギー効率を高めることができる。
【0033】
分離膜装置40の分離膜41として炭素膜を使用すると、メタンと水とを分離する効率を高めることができる。
【0034】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2に係るメタネーションシステム200の模式図である。なお、実施の形態1と共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0035】
図2に示すように、メタネーションシステム200は、メタン反応器30に代えてメタン反応器230を備える。メタネーションシステム200は、冷却水経路50に代えて冷却水経路250を備える。メタネーションシステム200は、これらの点で、図1に示すメタネーションシステム100と異なる。
【0036】
メタン反応器230は、複数のメタン反応部231,232と、中間熱交換器233とを備える。複数のメタン反応部は、第1メタン反応部231と、第2メタン反応部232とを含む。第1メタン反応部231と第2メタン反応部232とは、複数のメタン反応部のうち隣り合うメタン反応部である。第1メタン反応部231と第2メタン反応部232とは、連絡経路15を介して接続されている。
【0037】
共電解装置20では、二酸化炭素および水から、共電解によって一酸化炭素および水素を含む反応物ガスを得る。反応物ガスは、連絡経路11によってメタン反応器230に送られる。
【0038】
連絡経路11によって反応物ガスがメタン反応器230に送られると、メタン反応器230では、第1メタン反応部231において、一酸化炭素および水素からメタンおよび水を得る反応(メタン化反応)が部分的に進行する。未反応物を含む中間物ガスは、連絡経路15を介して第2メタン反応部232に供給される。第2メタン反応部232においては、中間物ガスに含まれる未反応物のメタン化反応が進行する。このように、メタン反応器230では、メタン化反応は多段階(本実施の形態では2段階)で進行する。
【0039】
中間熱交換器233は、第1メタン反応部231と第2メタン反応部232との間に設けられる。中間熱交換器233は、連絡経路15に設けられる。
【0040】
冷却水経路250の一部である流通路251は、中間熱交換器233と熱的に接続されている。流通路251は、例えば、中間熱交換器233の内部に配設されている。冷却水経路250は、流通路251を流れる冷却水によって、中間熱交換器233において中間物ガスを冷却する。
【0041】
冷却水の少なくとも一部は、例えば、中間熱交換器233との熱交換によって気化して水蒸気となることが好ましい。冷却水は、気化するのに伴う気化熱によって中間熱交換器233を冷却することができる。そのため、中間熱交換器233の冷却に冷却水の潜熱を利用することができる。したがって、冷却水経路250の伝熱面積あたりの除熱量が大きくなる。よって、中間熱交換器233の小型化を図ることができる。
【0042】
メタン反応器230で得られた生成物ガスは、連絡経路12によって分離膜装置40に送られる。分離膜装置40は、生成物ガスから、メタンを含む成分と、水を含む成分とを分離する。メタンを含む非透過成分は、導出経路13を通して排出される。分離水を含む透過物は、導入経路60によって導出される。
【0043】
エジェクタ70は、メタン反応器230を経た冷却水を駆動流として、導入経路60を通して分離水を吸引する。エジェクタ70は、分離水を冷却水経路250に導く。冷却水経路250は、メタン反応器230を経た冷却水と、導入経路60から導かれた分離水とを、原料水として共電解装置20に供給する。
【0044】
本実施の形態に係るメタネーションシステム200では、図1に示すメタネーションシステム100と同様に、メタン反応器230で発生した熱を冷却水によって回収し、共電解装置20に供給する。そのため、共電解装置20において、加熱のためのエネルギーを抑制しつつ、電解反応の効率を高めることができる。よって、メタンを製造する際のエネルギー効率を高めることができる。
【0045】
本実施の形態に係るメタネーションシステム200では、中間熱交換器233において冷却水によって中間物ガスが冷却されるため、第2メタン反応部232における温度を適正範囲に抑えることができる。そのため、第2メタン反応部232におけるメタン化反応の効率を高めることができる。よって、メタン反応器230におけるメタンの収率を向上させることができる。メタネーションシステム200では、中間熱交換器233において、中間物ガスの熱を冷却水によって回収するため、エネルギー効率を高めることができる。
【0046】
実施の形態3.
図3は、実施の形態3に係るメタネーションシステム300の模式図である。なお、他の実施の形態と共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0047】
図3に示すように、メタネーションシステム300は、循環路80を備える点で、図1に示すメタネーションシステム100と異なる。メタネーションシステム300は、循環路80を備えること以外は、図1に示すメタネーションシステム100と同様の構成であってよい。
【0048】
循環路80は、導入経路60と連絡経路12とを接続する。循環路80には、流量調整バルブ81(流量調整器)と、圧縮機82とが設けられている。流量調整バルブ81は、開度を調節することによって、循環路80を流れる透過物の流量を調整することができる。圧縮機82は、透過物の圧力を高める。
【0049】
共電解装置20では、二酸化炭素および水から、共電解によって一酸化炭素および水素を含む反応物ガスを得る。反応物ガスは、連絡経路11によってメタン反応器30に送られる。メタン反応器30では、メタン化反応によって、メタンおよび水を含む生成物ガスを得る。
【0050】
冷却水経路50は、メタン反応器30を冷却する冷却水を導く。冷却水経路50は、流通路51を流れる冷却水によって、メタン反応器30の内部の反応物ガスおよび生成物ガスを冷却する。冷却水は、メタン反応器30との熱交換によって加熱される。
【0051】
メタン反応器30で得られた生成物ガスは、連絡経路12によって分離膜装置40に送られる。分離膜装置40は、生成物ガスから、メタンを含む成分と、水を含む成分とを分離する。メタンを含む非透過成分は、導出経路13を通して排出される。分離水を含む透過物は、導入経路60によって導出される。
【0052】
エジェクタ70は、メタン反応器30を経た冷却水を駆動流として、導入経路60を通して分離水を吸引する。エジェクタ70は、分離水を冷却水経路50に導く。冷却水経路50は、メタン反応器30を経た冷却水と、導入経路60から導かれた分離水とを、原料水として共電解装置20に供給する。
【0053】
本実施の形態に係るメタネーションシステム300では、図1に示すメタネーションシステム100と同様に、メタン反応器30で発生した熱を冷却水によって回収し、共電解装置20に供給する。そのため、共電解装置20において、加熱のためのエネルギーを抑制しつつ、電解反応の効率を高めることができる。よって、メタンを製造する際のエネルギー効率を高めることができる。
【0054】
本実施の形態に係るメタネーションシステム300では、循環路80は、分離膜41を透過した透過物の一部を、連絡経路12を介して分離膜装置40に戻す。そのため、透過物に含まれるメタンを回収できる。よって、メタンの収率を高めることができる。
【0055】
メタネーションシステム300は、循環路80に流量調整バルブ81が設けられているため、循環路80における透過物の循環量を任意に定めることができる。よって、メタネーションシステム300の精度の高い運用を実現できる。
【0056】
実施の形態4.
図4は、実施の形態4に係るメタネーションシステム400の模式図である。なお、他の実施の形態と共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0057】
図4に示すように、メタネーションシステム400は、供給経路10と、共電解装置20と、メタン反応器30と、水分離装置440と、冷却水経路50と、導入経路60と、複数のエジェクタ70と、を備える。
【0058】
水分離装置440は、複数の分離膜装置40を備える。本実施の形態では、水分離装置440は2つの分離膜装置40を備える。2つの分離膜装置40の一方は第1分離膜装置40Aである。2つの分離膜装置40の他方は第2分離膜装置40Bである。第1分離膜装置40Aと第2分離膜装置40Bとは連絡経路16を介して接続されている。
【0059】
本実施の形態では、エジェクタ70の数は2つである。2つのエジェクタ70の一方は第1エジェクタ70Aである。2つのエジェクタ70の他方は第2エジェクタ70Bである。第1エジェクタ70Aおよび第2エジェクタ70Bは、冷却水経路50に設けられている。第2エジェクタ70Bは、第1エジェクタ70Aに対して冷却水経路50における下流側の位置に設けられている。
【0060】
共電解装置20では、二酸化炭素および水から、共電解によって一酸化炭素および水素を含む反応物ガスを得る。反応物ガスは、連絡経路11によってメタン反応器30に送られる。メタン反応器30では、メタン化反応によって、メタンおよび水を含む生成物ガスを得る。
【0061】
冷却水経路50は、メタン反応器30を冷却する冷却水を導く。冷却水経路50は、流通路51を流れる冷却水によって、メタン反応器30の内部の反応物ガスおよび生成物ガスを冷却する。冷却水は、メタン反応器30との熱交換によって加熱される。
【0062】
メタン反応器30で得られた生成物ガスは、連絡経路12によって第1分離膜装置40Aに送られる。
第1分離膜装置40Aの分離膜41を透過した透過物は、導入経路60Aを通り、第1エジェクタ70Aから冷却水経路50に導かれる。第1分離膜装置40Aの分離膜41を透過しなかった成分(非透過成分)は、連絡経路16を通って第2分離膜装置40Bに供給される。第2分離膜装置40Bの分離膜41を透過した透過物は、導入経路60Bを通り、第2エジェクタ70Bから冷却水経路50に導かれる。第2分離膜装置40Bの分離膜41を透過しなかった成分(非透過成分)は、導出経路13を通して系外に排出される。
【0063】
冷却水経路50は、メタン反応器30を経た冷却水と、導入経路60Aから導かれた分離水と、導入経路60Bから導かれた分離水とを、原料水として共電解装置20に供給する。
【0064】
本実施の形態に係るメタネーションシステム400では、図1に示すメタネーションシステム100と同様に、メタン反応器30で発生した熱を冷却水によって回収し、共電解装置20に供給する。そのため、共電解装置20において、加熱のためのエネルギーを抑制しつつ、電解反応の効率を高めることができる。よって、メタンを製造する際のエネルギー効率を高めることができる。
【0065】
本実施の形態に係るメタネーションシステム400では、複数の分離膜装置40を有する水分離装置440を備えるため、分離膜41を透過しなかった成分(非透過成分)におけるメタンの含有率を高めることができる。
【0066】
本実施の形態では、水分離装置440が有する分離膜装置40の数、およびエジェクタ70の数は2であるが、分離膜装置40の数、およびエジェクタ70の数は2以上の任意の数であってもよい。
【0067】
なお、本開示の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図1に示すメタネーションシステム100では、二酸化炭素および水から共電解によって一酸化炭素および水素を得る共電解装置20が用いられるが、一酸化炭素および水素(H)を得るための装置は共電解装置に限らない。例えば、二酸化炭素を電気分解して一酸化炭素を得る工程と、水を電気分解して水素(H)を得る工程とを独立に行う電解装置を用いることもできる。
【0068】
図1に示すメタネーションシステム100では、冷却水経路50は、冷却水と分離水とを併せて共電解装置20に供給するが、実施の形態のメタネーションシステムでは、冷却水と分離水とを個別に共電解装置に供給する構造を採用してもよい。例えば、冷却水を冷却水経路によって共電解装置に供給するとともに、分離水を専用の供給経路によって共電解装置に供給してもよい。
【符号の説明】
【0069】
20…共電解装置 30,230…メタン反応器 40…分離膜装置 40A…第1分離膜装置(分離膜装置) 40B…第2分離膜装置(分離膜装置) 41…分離膜 50…冷却水経路 70…エジェクタ 70A…第1エジェクタ(エジェクタ) 70B…第2エジェクタ(エジェクタ) 80…循環路 81…流量調整バルブ 100,200,300,400…メタネーションシステム 231…第1メタン反応部(メタン反応部) 232…第2メタン反応部(メタン反応部) 233…中間熱交換器
【要約】
本開示に係るメタネーションシステムは、原料水と二酸化炭素から一酸化炭素と水素を生成する共電解装置(20)と、一酸化炭素と水素からメタンと水を生成するメタン反応器(30)と、メタンと水とを分離する分離膜(41)を有する分離膜装置(40)と、メタン反応器(30)を冷却する冷却水を導く冷却水経路(50)と、を備える。冷却水経路(50)は、メタン反応器(30)を経た冷却水と、分離膜装置(40)で分離した水である分離水とを、原料水として共電解装置(20)に供給する。
図1
図2
図3
図4