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  • 特許-パージガス流路を備えるサセプター 図1
  • 特許-パージガス流路を備えるサセプター 図2A
  • 特許-パージガス流路を備えるサセプター 図2B
  • 特許-パージガス流路を備えるサセプター 図3
  • 特許-パージガス流路を備えるサセプター 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】パージガス流路を備えるサセプター
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241101BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20241101BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H01L21/68 N
C23C14/50 D
C23C16/458
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024006621
(22)【出願日】2024-01-19
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2023-0179465
(32)【優先日】2023-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520139620
【氏名又は名称】ミコ セラミックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チン、チョン-チョル
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-147715(JP,A)
【文献】特表2018-506853(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188681(WO,A1)
【文献】特開2006-261670(JP,A)
【文献】特開2009-158829(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187785(WO,A1)
【文献】特開2009-170497(JP,A)
【文献】特開2022-050879(JP,A)
【文献】特開2009-256789(JP,A)
【文献】特開2000-252261(JP,A)
【文献】特開2003-142564(JP,A)
【文献】特開2011-049428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C23C 14/50
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体層が埋設されているプレート、及び前記プレートの下端に接合される中空型シャフトを含むサセプターであって、
前記プレートは、前記発熱体層と異なる平面上に配置されるパージガス流路層を備え、
前記パージガス流路層は、内部流路、及び前記内部流路から外側に延長される複数の放射状流路を含
前記中空型シャフトは、
長さ方向に延長される側壁と、前記側壁の端部において前記プレートと接合部位を形成する連結部を備え、
前記内部流路は、前記シャフトの連結部に符合する形状を備え、
前記プレートを投影した平面上で、前記内部流路は、前記連結部の輪郭内部に配置され、
前記シャフトは、側壁内で前記側壁の長さ方向に延長されて側壁流路を備え、
前記内部流路の下端に連通孔が形成され、前記連通孔が 前記側壁流路と前記内部流路とに整列される、サセプター。
【請求項2】
前記内部流路及び連結部は、円形である、請求項に記載のサセプター。
【請求項3】
前記内部流路は、前記連結部の輪郭内部において前記プレートの中心に相対的に近く配置される、請求項に記載のサセプター。
【請求項4】
前記連結部の幅に対する前記内部流路の幅の比率は、0.1~0.7である、請求項に記載のサセプター。
【請求項5】
前記側壁流路の端部は、前記内部流路上で、隣接する前記放射状流路間の中間地点に位置する、請求項に記載のサセプター。
【請求項6】
前記シャフトの端部に結合しているマウント(mount)をさらに含み、
前記シャフト端部の側壁周りに沿ってパージラインをさらに含み、
前記パージラインは前記側壁流路に連結される、請求項に記載のサセプター。
【請求項7】
前記シャフトは、側壁内で前記側壁の長さ方向に延長される複数の側壁流路を備え、
前記複数の側壁流路の各端部は、前記内部流路と整列される、請求項に記載のサセプター。
【請求項8】
複数の放射状流路は、前記プレートの中心に対して対称である、請求項1に記載のサセプター。
【請求項9】
複数の放射状流路の個数は、4~10個であることである、請求項に記載のサセプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サセプターに関し、特に、パージガスの供給のためのパージガス流路を備えるサセプターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置又はディスプレイ装置は、誘電体層及び金属層を含む複数の薄膜層を、ガラス基板、フレキシブル基板、又は半導体ウエハー基板上に順次に積層した後にパターニングする半導体工程によって製造される。これらの薄膜層は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition,CVD)工程又は物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition,PVD)工程によって基板上に順次に蒸着される。前記CVD工程には、低圧化学気相蒸着(Low Pressure CVD,LPCVD)工程、プラズマ強化化学気相蒸着(Plasma Enhanced CVD,PECVD)工程、有機金属化学気相蒸着(Metal Organic CVD,MOCVD)工程などがある。このようなCVD装置及びPVD装置には、ガラス基板、フレキシブル基板、半導体ウエハー基板などを支持し、半導体工程を処理するためのサセプターが配置される。このようなサセプターは、CVD装置及びPVD装置に設置され、基板を支持しながら基板を加熱するための発熱体を内蔵したヒータープレートを備えることができる。また、前記サセプターは、発熱体に代えて又は発熱体に加えて高周波(RF)電極を備え、基板上に形成された薄膜層のエッチング工程(etching process)などにおいてプラズマ形成のためにも用いられてよい。
【0003】
一方、サセプターを用いた薄膜蒸着工程などにおいてウエハーの端部での局部的な薄膜の不均一な蒸着を抑制するために、ウエハー端部にパージガスを供給するためのパージガス流路が備えられる必要がある。
【0004】
一方、サセプターの内部に形成されたパージガス流路は、プレートの中心に対して対称性を確保するために放射状構造の流路を備えることができる。
【0005】
しかしながら、放射状流路は、パージガスの流入するシャフト(shaft)側の流路からの長さがそれぞれ異なるため、ウエハーの周りにパージガスを均一に供給し難いという問題があるか、シャフトと接合する特定地点で複数の放射状流路が分岐しているため、プレートとシャフトとの加圧接合時に加えられる大きい圧力によって分岐地点で亀裂(crack)が発生し易いという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題点を解決するために案出されたものであり、本発明は、ウエハーエッジ付近へのパージガスの均一な供給が可能なパージガス流路構造を有するサセプターを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、プレートとシャフトとの加圧接合(joining with press)時に発生する亀裂を抑制するのに適したパージガス流路構造を有するサセプターを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、プレートからシャフトへの熱伝達を抑制できるサセプター構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を達成するために、本発明は、発熱体層が埋設されているプレート、及び前記プレートの下端に接合される中空型シャフトを含むサセプターであって、前記プレートは、前記発熱体層と異なる平面上に配置されるパージガス流路層を備え、前記パージガス流路層は、内部流路、及び前記内部流路から外側に延長される複数の放射状(radial)流路を含む、セラミックサセプターを提供する。
【0010】
本発明において、前記中空型シャフトは、長さ方向に延長される側壁(side wall)と、前記側壁端部において前記プレートと接合部位を形成する連結部を備え、前記内部流路は、前記シャフトの連結部に符合する形状を備えることができる。
【0011】
本発明において、前記内部流路及び連結部は円形であってよい。このとき、前記プレートを投影した平面上で、前記内部流路は、前記連結部の輪郭内に限定されることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記内部流路は、前記連結部の輪郭内部において前記プレートの中心に相対的に近く配置されてよい。
【0013】
また、本発明において、前記連結部の幅に対する前記内部流路の幅の比率は、0.1~0.7であることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記シャフトは、側壁内で前記側壁の長さ方向に延長されて側壁流路を備え、前記側壁流路の端部は前記内部流路と整列されることが好ましい。
【0015】
このとき、前記シャフトの端部に結合しているマウントをさらに含み、前記シャフト端部の側壁周りに沿ってパージラインをさらに含み、前記パージラインは前記側壁流路に連結されてよい。
【0016】
本発明において、前記側壁流路の端部は、前記内部流路上で、隣接する前記放射状流路間の中間地点に位置することが好ましい。
【0017】
本発明において、前記シャフトは、側壁内で前記側壁の長さ方向に延長される複数の側壁流路を備え、前記複数の側壁流路の各端部は前記内部流路と整列されることが好ましい。
【0018】
本発明において、複数の放射状流路は、前記プレートの中心に対して対称(symmetric)であることが好ましい。また、本発明において、複数の放射状流路の個数は4~10個であってよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、プレート中心に対して対称であるパージガス流路を備え、ウエハーエッジ付近にパージガスを均一に供給することが可能になる。
【0020】
また、本発明によれば、パージガスの流路分岐地点を分散させ、プレートとシャフトとの加圧接合時に亀裂の発生を抑制できるパージガス流路パターンを提供することが可能になる。
【0021】
また、本発明によれば、プレートの発熱体から発生する熱がシャフトに損失されることを抑制するサセプター構造を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例に係るサセプターのパージガス流路構造を模式的に示す図である。
図2A図1のサセプターの断面図である。
図2B図1のサセプターの断面図である。
図3】本発明の一実施例に係るサセプターの流路構造を説明するための図である。
図4】従来のサセプターにおいてシャフト位置による温度変化を説明するための写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、添付の図面を参照して本発明について詳しく説明する。ここで、各図において同一の構成要素には可能な限り同一の符号を付する。また、既に公知の機能及び/又は構成に関する詳細な説明は省略する。以下に開示する内容は、様々な実施例に係る動作を理解する上で必要な部分を重点的に説明し、その説明の要旨を曖昧にし得る要素に関する説明は省略する。また、図面の一部の構成要素は、誇張して、省略して、又は概略して図示可能である。各構成要素の大きさは実の大きさを全的に反映するものではなく、したがって、各図に描かれている構成要素の相対的な大きさや間隔によってここに記載の内容が限定されることはない。
【0024】
本発明の実施例を説明するとき、本発明と関連している公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を却って曖昧にさせ得ると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は本発明における機能を考慮して定義された用語であり、それらは使用者、運用者の意図又は慣例などによって変更可能である。したがって、その定義は本明細書全般にわたる内容に基づいて下されるべきであろう。詳細な説明で使われる用語は、単に本発明の実施例を記述するためのものであり、決して制限的であってはならない。特に断らない限り、単数形態の表現は複数形態の意味を含む。本説明において、「含む」又は「備える」のような表現は、ある特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せを示すためのものであり、記述された以外の一つ又はそれ以上の特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せの存在又は可能性を排除するように解釈されてはならない。
【0025】
なお、第1、第2などの用語は様々な構成要素を説明するために使われてよいが、これらの用語によって前記様々な構成要素が限定されるものではなく、これらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われるだけである。
【0026】
図1の(a)は、本発明の一実施例によってサセプターのプレートに形成されたパージガス流路構造を模式的に示す図であり、図1の(b)は、プレートにシャフトが結合している様子を模式的に示す図である。
【0027】
図1の(a)を参照すると、例示的に、プレート110の内部には、プレートの中心から外側にパージガスを供給するためのパージガス流路114,116が備えられている。
【0028】
図示しているように、前記パージガス流路は、内部流路114、及び前記内部流路からプレート外側に延長される放射状の分岐流路116を含む。本発明において、前記内部流路114はプレートの形状を追従してよい。図示しているように、円形のプレート形状に従って円形の内部流路114が形成されている。ただし、本発明において、前記内部流路の形状が必ずしもプレート形状に限定されないことは勿論である。
【0029】
本発明において、前記内部流路は、シャフトの周り方向に符合して形成されるか、シャフトの接合部位に対応するように形成されてよい。
【0030】
本発明において、前記プレート110は、板状のセラミックスで形成されてよい。例示的には、前記セラミックス材質は、Al、Y、ZrO、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、B、BN、SiO、SiC、YAG、YAP及びYAMからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質又はその化合物を含んでよく、好ましくは、窒化アルミニウム(AlN)であってよい。一方、前記セラミックス材質がAlNである場合に、プレート組成は、Y、Mg、Al及び/又はTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、好ましくは金属酸化物をさらに含んでよい。
【0031】
一方、内部流路114の周りに沿って一定の間隔又は一定の角度で複数の放射状の流路116が分岐している。本発明において、前記放射状流路の個数及び流路間の間隔は特に限定されないが、プレートの外周に沿って均一にパージガスを供給するために、前記複数の放射状分岐流路116は、プレート中心に対して一定の角度間隔で対称に分布することが好ましい。また、本発明において、例えば、4個、6個、8個、10個、12個又はそれ以上の放射状流路が備えられてよい。
【0032】
また、本発明において、前記内部流路114及び放射状流路116の流路幅は、互いに同一に又は互いに異なるように設計されてよいことは勿論である。
【0033】
図1の(b)は、プレート110とシャフト120とが結合している状態を模式的に示す図である。同図を参照すると、プレート平面に対して投影したとき、プレートの内部流路114の位置は、シャフト120の接合部位の位置と重なり、好ましくは、前記内部流路114の位置は、シャフト120の接合部位内に限定されるとよい。
【0034】
図2A及び図2Bはそれぞれ、図1の(b)でA-A’及びB-B’の方向に切断した断面を模式的に示す図である。
【0035】
図2Aを参照すると、プレート110には発熱体層112が埋設されている。前記発熱体層は、コイル又は板の形状の金属発熱体で構成されてよく、平面的に所定のパターンを形成することができる。また、発熱体層112は、精密な温度制御のために多層構造をなしたり又はマルチゾーンを形成できる。本発明において、前記発熱体層を形成する発熱体は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、金(Au)、ニオビウム(Nb)及びチタニウム(Ti)からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属又はその合金からなってよく、好ましくは、モリブデン(Mo)からなってよい。前記発熱体112は、電力供給ロッド(図示せず)を介して電源端子に連結されてよい。前記電力供給ロッドは、シャフト120の内部空間を通過してマウントを経て外部に延長されてよい。
【0036】
一方、前記発熱体112の下側の前記プレートの内部には、内部流路114、及び前記内部流路114から分岐する放射状流路116を含む、パージガス流路層が備えられている。
【0037】
前記パージガス流路層は、前記発熱体層112とは別の平面上に提供されている。本発明において前記流路層が発熱体層の下側に備えられていることが示されているが、前記流路層は、発熱体層の上側に備えられてよいことは勿論である。
【0038】
一方、前記プレート110の下側には、中空シャフト120が備えられている。前記シャフトは、軸方向に延長される側壁122、前記側壁の一端で前記プレート110と接合部位を形成する連結部124を備えている。本発明において、前記連結部124はフランジであってよいが、これに限定されない。前記側壁の他端126は、マウント(図示せず)などの構造物と結合してよい。
【0039】
前記シャフト120は、セラミック材質で形成されてよい。例示的には、前記セラミックス材質は、Al、Y、ZrO、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、B、BN、SiO、SiC、YAG、YAP及びYAMからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質又はその化合物を含んでよく、好ましくは、窒化アルミニウム(AlN)であってよい。一方、前記セラミックス材質がAlNである場合に、プレート組成は、Y、Mg、Al及び/又はTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、好ましくは金属酸化物をさらに含んでよい。好ましくは、前記シャフトは、低い熱伝導率のセラミックス材質で構成されてよい。例示的には、シャフトは、2wt%以下のイットリアを焼結助剤として含むAlN焼結体であってよく、イットリアのような焼結助剤の含有量によって熱伝導率が制御され得る。Alの添加と共にAlN内部に人為的に不純物を導入したり又は焼結体中の金属元素の含有量を1000ppm以下に維持することにより、非常に低い熱伝導率のシャフトを具現することができる。
【0040】
図2Bを参照すると、前記シャフト120の側壁122にはパージガスの流動のための側壁流路128が備えられている。前記側壁流路128は、前記シャフト120の側壁内で前記シャフトの軸方向に延長され、前記プレートの内部流路114と連通している。そのために、前記プレート110の前記内部流路114の下端には連通孔115が備えられてよい。本発明において前記側壁流路は、シャフトの内部壁体及び外部壁体と少なくとも3mm以上離隔していてよい。
【0041】
本発明において、前記連通孔115は、内部流路114及び側壁流路と整列される。このとき、前記連通孔115は、内部流路114において、放射状流路116の分岐地点から離れた位置、すなわち、内部流路と放射状流路との非交差地点に形成されることが好ましい。これは、連通孔115から流入したガスが特定の放射状流路116に過度に排出されることを防止する。好ましくは、前記連通孔115は、内部流路上で、隣り合う放射状流路116の分岐地点の中間に位置することが好ましい。本発明において、前記複数の放射状流路116の長さは同一に設定されてよい。
【0042】
同図には2個の側壁流路128が示されているが、本発明は、これに限定されないことは勿論である。一つの側壁流路128又は2つ以上の複数の側壁流路が備えられてよく、 パージガスの均一な流入のための適切な個数の連通孔が備えられてよい。
【0043】
一方、本発明において、前記側壁流路は、シャフトの軸方向に延長されて所定の長さを有する1次元の流路として示されているが、本発明はこれに限定されず、前記シャフトの側壁周りに沿って延長される2次元の円筒形流路であってもよいことは勿論である。
【0044】
前記シャフトは前記プレートと接合されてよい。このとき、接合剤としてセラミックバインダー又はセラミックペーストが使われてよい。本発明において、前記セラミックバインダー又はセラミックペーストは、窒化アルミニウムを主原料とするものであってよいが、これに限定されない。
【0045】
図1図2A及び図2Bを参照して説明した本発明の流路構造は、分岐地点を内部流路の複数箇所に分散させることにより、プレートの内部に構造的に脆弱な部分を分散させ得るという長所を有する。このように、パージガスの流路分岐地点を分散させることにより、プレートとシャフトとの加圧接合時に発生する亀裂を抑制できるパージガス流路パターンを提供することが可能になる。
【0046】
また、これと同時に、分岐構造は、プレートの中心に対して対称である放射状構造を備えることにより、パージガスをプレートの端部から均一に噴出させることができる。
【0047】
これに加え、本発明の流路構造は、シャフトへの熱伝達を抑制する断熱メカニズムを提供することができる。これについて、図4を参照して説明する。
【0048】
図3の(a)及び(b)は、プレート投影平面上で、互いに異なる面積を有する内部流路114を示している。図3の(a)及び(b)で、前記内部流路114は前記連結部122の輪郭内部に位置しているが、前記内部流路114の幅w1は調節されてよい。
【0049】
図3の(a)から図3の(b)へのように内部流路の幅W1が増加すれば、発熱体層112とシャフトの連結部124との間に介在される流路面積が増加する。本発明において、流路による熱の伝達は、輻射や対流に依存しなければならず、高い熱伝導度のプレートボディーと比較するとき、断熱又は遮熱要素として働き得る。特に、シャフトへの熱損失は、シャフトとプレートとの接合部位、すなわち、シャフト連結部を介して発生するので、内部流路をシャフト連結部に整列させることで、発熱体層からの熱損失を抑制することができる。
【0050】
本発明において、前記内部流路の幅w1は、シャフト連結部124の幅w2よりも小さく設計されてよい。本発明において、前記連結部幅w2に対する内部流路幅w1の比率は、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、又は0.5以上であってよい。また、前記連結部幅w2に対する内部流路幅w1の比率は、1以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、又は0.4以下であってよい。好ましくは、前記比率は、0.1~0.7であってよい。また、本発明によれば、内部流路の幅を調節することにより、シャフトによる熱損失を防止したり又はクラック発生を抑制することが可能になる。例えば、前記連結部幅w2に対する内部流路幅w1の比率が0.1未満であれば、熱損失が防止し難く、前記内部流路幅の比率が0.7を超えれば、クラックが発生することがある。
【0051】
一方、図面には、内部流路が前記連結部の輪郭中心に配置されているものを示しているが、本発明はこれに限定されない。本発明において、前記内部流路は、前記連結部の輪郭内部において前記プレートの中心側に比較的近く配置されるか、逆に、プレートの外側に偏るように配置されてもよい。
【0052】
図4は、従来のサセプターにおいて、シャフト位置による温度変化を説明するための写真である。図4のサセプターを650℃の温度で動作させた後、各地点丸1、丸2、丸3、丸4、丸5で測定した温度を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1から、マウントの付近が300℃以上の高温に露出されていることが分かる。ヒータープレートで発生する熱がシャフトを介して伝達されるが、マウント130が装着される下端領域(丸5)に至るまで温度が300℃以上の高温となり、マウントをシールするOリングが溶ける問題が発生し、深刻な場合、チャンバーの真空が解かれる問題が発生する。これを防止するために、シャフト側壁の側壁流路を通過するパージガスを冷却ガスとして活用することができる。すなわち、シャフトの下端部に側壁の周りに沿ってパージラインを形成することにより、マウントに伝達される熱を減少させることができる。
【0055】
以上のように、本発明が具体的な構成要素などのような特定事項、限定された実施例、及び図面によって説明されてきたが、これは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されただけであり、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等又は等価の変形がある技術思想はいずれも本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0056】
110 プレート
112 発熱体層
114 内部流路
115 連通孔
116 分岐流路
120 シャフト
122 シャフト側壁
124 シャフト連結部
128 側壁流路
130 マウント
【要約】      (修正有)
【課題】プレートの発熱体から発生する熱がシャフトに損失されることを抑制するサセプターを提供する。
【解決手段】本発明は、パージガスの供給のためのパージガス流路を備えるサセプターに関する。本発明は、発熱体層112が埋設されているプレート110、及び前記プレートの下端に接合される中空型シャフト120を含むサセプターであって、前記プレートは、前記発熱体層と異なる平面上に配置されるパージガス流路層を備え、前記パージガス流路層は、内部流路114、及び前記内部流路から外側に延長される複数の放射状流路116を含む、サセプターを提供する。
【選択図】図2A
図1
図2A
図2B
図3
図4