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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】授乳室
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
E04H1/12 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024113191
(22)【出願日】2024-07-16
【審査請求日】2024-07-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [ウェブサイトによる公開] (ウェブサイト1)ウェブサイト名:nagoya hitechwoodのYoutubeチャンネル 掲載アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=Gg8JRvYS3pA 掲載年月日:2023年9月3日 (ウェブサイト2) ウェブサイト名:nagoya hitechwoodのYoutubeチャンネル 掲載アドレス:https://www.youtube.com/shorts/KpEaskXiOwU 掲載年月日:2023年9月4日 (ウェブサイト3) ウェブサイト名:タック株式会社のYoutubeチャンネル 掲載アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=A_q7cQ1ldCk 掲載年月日:2023年9月25日 (ウェブサイト4) ウェブサイト名:PR TIMES 掲載アドレス:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000124003.html 掲載年月日:2023年9月27日 (ウェブサイト5) ウェブサイト名:タック株式会社のウェブサイト 掲載アドレス:https://tac-pao.com/ 掲載年月日:2023年10月1日 (ウェブサイト6) ウェブサイト名:タック株式会社のYoutubeチャンネル 掲載アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=5TITLPPk-qU 掲載年月日:2023年11月1日 (ウェブサイト7) ウェブサイト名:イプロス都市まちづくり 掲載アドレス:https://kensetsu.ipros.jp/product/detail/2001025426 掲載年月日:2023年11月6日 (ウェブサイト8) ウェブサイト名:タック株式会社のYoutubeチャンネル 掲載アドレス:https://www.youtube.com/shorts/iJW0d5O-g2w 掲載年月日:2024年2月19日 (ウェブサイト9) ウェブサイト名:タック株式会社のYoutubeチャンネル 掲載アドレス:https://www.youtube.com/shorts/xMIlGwYUMVg 掲載年月日:2024年3月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [展示による公開] 公開者:タック株式会社 展示会名:H.C.R.2023国際福祉機器展 展示日:2023年9月27日 [刊行物による公開] 発行者名:タック株式会社 刊行物名:Pa・Oシリーズ Life ライフ Pa・O Baby パオベイビー 発行年月日:2023年10月3日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [刊行物による公開] 発行者名:タック株式会社 刊行物名:Pa・Oシリーズ Life ライフ Pa・O Baby パオベイビー 発行年月日:2023年10月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507132754
【氏名又は名称】タック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500227185
【氏名又は名称】株式会社プロジェクト・マネジメント・アソシエイツ
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100189876
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 将晴
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 啓一郎
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-004499(JP,A)
【文献】特開2021-088912(JP,A)
【文献】特許第4842557(JP,B2)
【文献】実公平05-044452(JP,Y2)
【文献】特許第4098727(JP,B2)
【文献】特開2014-037671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00-1/14
E04B 2/74
E04B 1/38-1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物内に設置する授乳室であって、
前記授乳室をなす空間は、壁板と細壁板をなす壁パネルを組立てて、側面四方のうち少なくとも側面三方が前記壁板に囲まれ、一方が前記細壁板と出入口とに囲まれ、床面が開放された直方体形状の空間とされ、
前記空間が、ベビーカーの収容空間と、授乳空間とを有し、
前記収容空間が、前記授乳空間に隣接されると共に前記出入口側に配され、
前記収容空間の奥行方向と幅方向の各々の長さが、ベビーカーの長手方向の長さよりも長い空間とされ、
前記出入口は、下方が自由端とされると共に下方レールを有さない折戸とされ、
授乳室外から授乳室内へ、前記下方レールに支障されないでベビーカーを入室させて前記収容空間に前記ベビーカーを収容させ、幼児を連れた保護者であっても前記授乳空間で乳児に授乳が容易とされている、
ことを特徴とする授乳室。
【請求項2】
前記出入口の内方に、上枠を備え、
前記出入口の上部に、前記折戸をスライドさせる折戸レールを備え、
前記上枠が、前記細壁板と前記出入口の各々の室内面に沿って延びて、その両端が接する壁板に固定され、
前記折戸レールが、前記上枠に沿って固定され、
前記折戸が、二つ折り形式とされ、折戸幅の1/3の位置が折れ部とされて、1/3幅部と2/3幅部とに区分され、
前記1/3幅部が折戸の固定吊元側に配され、前記2/3幅部がスライド側に配され、
前記折戸のスライド側の先方吊部が、前記2/3幅部の幅中央部の位置とされ、
前記1/3幅部の下軸が、前記出入口の側壁をなす前記壁板の端部側の下部から突き出された吊元金具に軸支され、前記1/3幅部の上軸が、前記側壁の側の前記折戸レールの上部の固定吊元に軸支され、
前記2/3幅部の上軸が、前記折戸レールに吊り下げられ、前記2/3幅部の下端が自由端とされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の授乳室。
【請求項3】
前記折戸のロックが、前記折戸と前記細壁板とが接する位置の内面上下の夫々に設置され、
下方ロックが、非常時に外部から開錠可能な非常時ロックとされ、
上方ロックが、授乳室内側からのみ操作可能な、被係止部に係止させる係止式ロックとされ、
前記係止式ロックが、前記折戸の高さの3/4以上の高さの位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の授乳室。
【請求項4】
前記折戸のロックが、前記折戸と前記細壁板とが接する位置の内面上下の夫々に設置され、
下方ロックが、非常時に外部から開錠可能な非常時ロックとされ、
上方ロックが、授乳室内側からのみ操作可能な、被係止部に係止させる係止式ロックとされ、
前記係止式ロックが、前記折戸の高さの3/4以上の高さの位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の授乳室。
【請求項5】
天井がルーバ天井とされ、
前記壁板と、前記細壁板と、前記上枠に固着されたルーバ受枠を備え、
前記ルーバ天井をなすルーバが、格子ルーバとされ、
前記格子ルーバが、前記ルーバ受枠に載せられ、
前記格子ルーバが、前記格子ルーバの上方側から取り外し可能とされている、
ことを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の授乳室。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁パネルを組立てて、建築物内に設置する授乳室に関する。より詳細には、ベビーカーを使って乳児を連れて入室しても、ベビーカーを収容したままで、おむつ替え、授乳が容易である授乳室に関する。
【0002】
具体的には、授乳室の出入口の下方に下方レールが不要な折戸が設置され、授乳室に入室する際に、ベビーカーが下方レール等を乗り超える振動等により、寝ている乳児を起こすことなく、乳児を寝かせたままで授乳の準備をしてから、乳児に授乳することができる授乳室に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、多くの人が利用する公共施設や大規模商業施設等においては、共同で利用することができる授乳スペースが設置されている。新型コロナ感染症の蔓延により、建築物内に設置する簡易な屋内設置ブースが多種類開発されてきた。一つのブースの中で、執務や会議ができるだけでなく、乳児の授乳やおむつ替えができることも必要とされてきている。
【0004】
特許文献1には、建築物内の限られたスペース内において容易に設置できるようにしたコンパクトな保育室ユニットの技術が開示されている。この技術によれば、本体の水平断面において、少なくとも一つの隅部の壁面が曲面に構成され、その隅部に沿うように、出入口をなす扉も曲面に形成されており、レールに沿ってスライドされるとしている。
【0005】
この技術によれば、壁面が曲面とされているため、設置場所の現地で組立てることが困難であることに加えて、曲面に形成された扉の下端にキャスターが備えられているため、設置した場所の床面にキャスターの移動痕を残すばかりでなく、現地に運び込んで設置することが困難であるという課題があった。
【0006】
特許文献2には、箱状の筐体内に、授乳者が一人着座可能な椅子と、筐体を移動させるキャスターとを備え、建築物内に設置することができる授乳室の技術が開示されている。この技術によれば、授乳室正面の右側又は左側を選択して扉を設けても、それに応じで椅子が設置でき、授乳用空間のレイアウトの変更を容易に行うことができるとされている。
【0007】
しかし、この技術によれば、授乳室の床面が、設置する建築物の床面とは同一面となっていないため、ベビーカーを押して授乳室内に入室することはできない。ベビーカーで乳児を連れた保護者が入室するためには、授乳室の外の空間にベビーカーをおいて、乳児をベビーカーからおろして入室することが必要である。授乳室外のベビーカーを管理しつつ、授乳することが必要になるため、使い勝手が悪いという課題があった。
【0008】
特許文献3には、音の放散抑止機能に優れつつスプリンクラーからの散水性を阻害しないとするブース装置の技術が開示されている。この技術によれば、天井部に多数の孔のあいた格子体に形成させた帯状の吸音材が設けられ、ブース装置の中で発生させた音を減衰させつつ、スプリンクラー等の散水機能が確保できるとされている。
【0009】
しかし、この技術においては、格子部を押さえる天面の水平板がビスで、天枠体に固定されているため、帯状の吸音材で形成された格子体が取り外せず、室内側のみから開閉可能な係止ロックがされた場合には、室内外が完全に区画され、外部から扉が開閉できないという課題があった。
【0010】
特許文献4には、門型をなす出入口枠を、コ字形状をなす床面枠と一体にして、壁位置に壁板を取り付けて、出入口から車椅子が入室できるようにしたブースの技術が開示されている。この技術によれば、ドアパネルのドア本体を開けた状態で、内部空間への出入りを円滑に行うことができるとされている。
【0011】
しかし、枠体を組立ててから、枠体に壁板を取付ける構造であるため、設置が面倒であった。また、ドアを外に開くようにすると、ブース内にベビーカーを収容したときにドア取手の位置が遠くなりすぎ、ドアを内方に開くようにすると、ベビーカー収容空間が確保できないため、この技術は、建築物内に簡易に設置できる授乳室には適用困難であるという課題があった。
【0012】
また、家具等をなす小型のパネルは、各種の結合方法により一体化されている。例えば、2つのパネルの向い合う面にだぼ孔を穿孔させておき、だぼ孔より僅かに太いだぼ軸体を双方のだぼ孔に嵌めこんで、2つのパネルを一体化させる。また、一方のパネルに拡頭部を有する軸体を突出させ、他方のパネルの中に二股状係止部を有する締付円盤を埋め込み、締付円盤の円弧軌道に拡頭部を位置させてから、締付円盤を回転させて、二俣状係止部に拡頭部を引っ掛けて、締付円盤の中心に拡頭部を引き寄せて絞め込んで一体化させる、パネルとパネルをネジ結合により一体化させるなどである。
【0013】
ところが、屋内設置室をなす大型の壁パネルを、従来の一体化工法により一体化させようとすると、結合部が強度不足となる可能性があった。結合部の数を増やすと一体化に手間とコストがかかるという課題が発生した。
【0014】
特許文献5には、筒状フレームを両側部に備えさせた壁パネルの連結構造の技術が開示されている。特許文献5に記載の技術によれば、連結させる2つの壁パネルの側部に筒状フレームを備えさせておき、各々の筒状フレームの対向する位置には、上部が幅広部且つ下部が幅狭部とされた、同一形状の縦長長孔を穿孔させておく。
【0015】
そして、断面L字形状の長尺部材を、その上方部を一方の筒状フレームから突出させた状態となるように、予め一方の筒状フレームに沿って、筒状フレームの中に仕込んでおく。更に、拡頭部付ねじの拡頭部を、縦長長孔の幅広部を通って筒状フレームの対向面に突出させるように、拡頭部付ねじを長尺部材に固定させる。
【0016】
そして、他方の筒状フレームの幅広孔に、一方の筒状フレームから突出された拡頭部を嵌めて、2つの筒状フレームを寄り添わせた状態で、一方の筒状フレームから上方に突出させた長尺部材を、下方に落とし込む。そうすると、拡頭部付きねじの拡頭部と長尺部材とにより、2つの筒状フレームの幅狭孔の縁部が挟まれ、2つの筒状フレームの対向面が締め付けられるとされている。
【0017】
この技術によれば、壁パネルの両側縁に筒状フレームが必要であると共に、長尺部材を筒状フレームの中に落とし込むために、筒状フレームの上部が開放されていることが必要であり、壁パネル本体を接触させて組み立てる壁パネル構造には適用できないという課題があった。
【0018】
特許文献6には、ローパーティションを上下方向に移動させて連結させる連結装置の技術が開示されている。特許文献6に記載の技術によれば、ローパーティションをなすエンドカバーとコーナポストの2つの部材の接面に、一方に係合爪、他方に係合孔を設けておき、係合孔に係合爪を嵌合させて上下方向に移動させることにより、2つの部材を連結させるとしている。
【0019】
この技術によれば、係合爪が上位置に4個、下位置に4個設けられ、それらを嵌合させてから、2つの部材の間を水平に係合させるロックピンを機能させ、2つのパネルを上下方向にスライドさせないようにしている。この技術によれば、係合爪も係合孔も、金属製のコーナポスト又はエンドカバーに設けられている。係合爪が板状の部材であり、係合孔も細幅スリットであるため、複数の係合爪と係合孔を対面させて、係合させることに手間がかかるという課題があった。
【0020】
特許文献5又は特許文献6に記載の技術を適用させた壁パネル構造によれば、屋内設置ブースをなす大型の壁パネルを高い強度で組立てることができる。しかし、2つのパネルの接面に筒状フレーム等を付設させておく必要があり、壁パネル本体を直接連結させる連結構造には適用できないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】特開平7-293009号公報
【文献】特開2021-38664号公報
【文献】特開2014-037671号公報
【文献】特開2023-044351号公報
【文献】特開2004-169432号公報
【文献】特開2005-2667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
授乳室の設置者が、安価且つ自由に什器のレイアウトを決めて、壁パネルを組立てて授乳室を簡易に設置することができると共に、ベビーカーの乳児を入室の際の振動により起こさないようにし、授乳の準備をしてから、乳児に授乳することができる授乳室を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の発明は、建築物内に設置する授乳室であって、前記授乳室をなす空間は、壁板と細壁板をなす壁パネルを組立てて、側面四方のうち少なくとも側面三方が前記壁板に囲まれ、一方が前記細壁板と出入口とに囲まれ、床面が開放された直方体形状の空間とされ、前記空間が、ベビーカーの収容空間と、授乳空間とを有し、前記収容空間が、前記授乳空間に隣接されると共に前記出入口側に配され、前記収容空間の奥行方向と幅方向の各々の長さが、ベビーカーの長手方向の長さよりも長い空間とされ、前記出入口は、下方が自由端とされると共に下方レールを有さない折戸とされ、授乳室外から授乳室内へ、前記下方レールに支障されないでベビーカーを入室させて前記収容空間に前記ベビーカーを収容させ、幼児を連れた保護者であっても前記授乳空間で乳児に授乳が容易とされていることを特徴としている。
【0024】
本発明の授乳室は、壁パネルを組立てて構成されるため、室内側に移動・授乳動作を妨げる突起物がなく、且つ、短時間で容易に組立てて設置することができる。また、授乳室の出入口下部の床面には、折戸用の下方レールがなく、ベビーカーに振動を加えないで入室させることができるため、寝ている乳児を起こすことがなく、授乳が容易となる。
【0025】
二つ折れ折戸は、折れた状態で幅が出入口よりも狭くなるため、授乳室の内外の人の通行・行動の障害になりにくく、ベビーカーを入室させた収容空間は、ベビーカーを入室させた方向のまま、且つ、直角方向に向きを変えても収容できる大きさがあるため、ベビーカーの折りたたみが容易である。また、ベビーカーを折り畳まないで、授乳の準備をすることができる。乳児とともに幼児を連れている場合でも、空間が大きいため幼児を連れて入室することができる。
【0026】
本発明によれば、授乳室の設置者が、所望のベビーベッド、授乳ソファを選択して、安価且つ自由に器具を配置して授乳室を設置することができ、ベビーカーの乳児を起こさないように入室させて、授乳の準備をしてから、乳児に授乳することができるという効果を奏する。
【0027】
本発明の第2の発明は、第1の発明の授乳室において、前記出入口の内方に、上枠を備え、前記出入口の上部に、前記折戸をスライドさせる折戸レールを備え、前記上枠が、前記細壁板と前記出入口の各々の室内面に沿って延びて、その両端が接する壁板に固定され、前記折戸レールが、前記上枠に沿って固定され、前記折戸が、二つ折り形式とされ、折戸幅の1/3の位置が折れ部とされて、1/3幅部と2/3幅部とに区分され、前記1/3幅部が折戸の固定吊元側に配され、前記2/3幅部がスライド側に配され、前記折戸のスライド側の先方吊部が、前記2/3幅部の幅中央部の位置とされ、前記1/3幅部の下軸が、前記出入口の側壁をなす前記壁板の端部側の下部から突き出された吊元金具に軸支され、前記1/3幅部の上軸が、前記側壁の側の前記折戸レールの上部の固定吊元に軸支され、前記2/3幅部の上軸が、前記折戸レールに吊り下げられ、前記2/3幅部の下端が自由端とされていることを特徴としている。
【0028】
第2の発明では、細壁板と出入口に沿って、折戸レールを格納させたレール枠を固定させる上枠が延びて、両側の壁板に固定されているため、授乳室全体が堅固に一体化され、折戸の開閉もスムーズにされる。折戸幅の1/3の位置が折戸の折れ部とされ、折戸を開いて出入口とした状態で、室内側と室外側に夫々折戸幅の1/3が突出するだけであり、折戸を開いた状態で、より授乳室の内外の人の行動の障害になりにくい。なお、折れ部は室内側又は室外側のいずれに位置するようにしてもよい。
【0029】
第2の発明によれば、出入口の上方に上枠が固定されているため、授乳室全体が堅固に一体化され、折戸の開閉もスムーズにされると共に、内外への折戸の突出寸法が小さくなり、授乳室の内外の人の通行・行動の障害になりにくく、折戸の開閉作業が容易であるという効果を奏する。
【0030】
本発明の第3の発明は、第1の発明の授乳室において、前記折戸のロックが、前記折戸と前記細壁板とが接する位置の内面上下の夫々に設置され、下方ロックが、非常時に外部から開錠可能な非常時ロックとされ、上方ロックが、授乳室内側からのみ操作可能な、被係止部に係止させる係止式ロックとされ、前記係止式ロックが、前記折戸の高さの3/4以上の高さの位置に設けられていることを特徴としている。
【0031】
第3の発明では、幼児と乳児を連れた保護者が、乳児に授乳をする際に、幼児が一人で下方ロックを開錠したとしても、幼児の手の届かない高い位置にある上方ロックがロックしてあれば、幼児が一人で外に出ることはなく、保護者は安心して、授乳することができる。
【0032】
第3の発明によれば、乳児のほかに幼児を連れている場合でも、授乳室の上方ロックが施錠してあれば、プライバシーが確保された状態で、幼児が一人でロックを開錠して出ていくことが防止でき、保護者は安心して、授乳できるという効果を奏する。
【0033】
本発明の第4の発明は、第2の発明の授乳室において、前記折戸のロックが、前記折戸と前記細壁板とが接する位置の内面上下の夫々に設置され、下方ロックが、非常時に外部から開錠可能な非常時ロックとされ、上方ロックが、授乳室内側からのみ操作可能な、被係止部に係止させる係止式ロックとされ、前記係止式ロックが、前記折戸の高さの3/4以上の高さの位置に設けられていることを特徴としている。
【0034】
第4の発明においても、乳児のほかに幼児を連れている場合でも、授乳室の上方ロックが施錠してあれば、プライバシーが確保された状態で、幼児が一人でロックを開錠して出ていくことが防止でき、保護者は安心して、授乳できるという効果を奏する。
【0035】
本発明の第5の発明は、第2又は第4の発明の授乳室において、天井がルーバ天井とされ、前記壁板と、前記細壁板と、前記上枠に固着されたルーバ受枠を備え、前記ルーバ天井をなすルーバが、格子ルーバとされ、前記格子ルーバが、前記ルーバ受枠に載せられ、前記格子ルーバが、前記格子ルーバの上方側から取り外し可能とされていることを特徴としている。
【0036】
第5の発明によれば、ルーバが、格子ルーバとされているため、授乳室を設置する部屋の天井の照明、消火設備、換気設備、音響設備等が活用でき、重複する設備を授乳室内に設けなくてもよい。授乳空間には、ベビーベッド又は授乳ソファを、授乳室設置者が所望の物を選定して設置すればよく、ベビーベッド又は授乳ソファで授乳させることができる。
【0037】
また、設置する部屋の天井の照明からの光が、縦方向と横方向の格子に乱反射され、柔らかい光となって入射されるだけでなく、仮に、2か所設置されているロックをしたまま、保護者が一人で退室できない状態となった場合には、下方ロックをなす非常時ロックを外部から開錠し、脚立に立った救助者が、格子ルーバを外して、上方から上半身を授乳室の内にのぞきこむように入れて、上方ロックを開錠できる。
【0038】
第5の発明によれば、柔らかな光の下で、保護者は優しく穏やかに授乳することができると共に、非常時には外部から2つのロックを開錠でき、速やかに救助を行うことができるため授乳者の安全が確保されるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0039】
・第1の発明によれば、授乳室の設置者が、所望のベビーベッド、授乳ソファを選択して、安価且つ自由に器具を配置して授乳室を設置することができ、ベビーカーの乳児を起こさないように入室させて、授乳の準備をしてから、乳児に授乳することができるという効果を奏する。
・第2の発明によれば、授乳室全体が堅固に一体化され、折戸の開閉もスムーズにされると共に、内外への折戸の突出寸法が小さくなり、授乳室の内外の人の通行・行動の障害になりにくく、折戸の開閉作業が容易であるという効果を奏する。
【0040】
・第3又は第4の発明によれば、幼児を連れている場合でも、プライバシーが確保された状態で、幼児が一人でロックを開錠して出ていくことが防止でき、保護者は安心して、授乳できるという効果を奏する。
・第5の発明によれば、柔らかな光の下で、保護者は優しく穏やかに授乳することができると共に、非常時には外部から2つのロックを開錠でき、速やかに救助を行うことができるため授乳者の安全が確保されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】授乳室の斜視図(実施例1)。
図2】授乳室の正面図(実施例1)。
図3】授乳室の使用状態の説明図(実施例1)。
図4】壁パネルの連結手段の説明図(実施例1)。
図5】折戸吊元位置の構成の説明図(実施例1)。
図6】授乳室の出入口側の側面図(実施例1)。
【発明を実施するための形態】
【0042】
授乳室を建築物内で組立て容易にするために、連結手段を有する壁パネルから構成させ、出入口を下方レールが必要でない折戸とし、ベビーカーが段差を超えないで入室できるようにし、交差する2つの水平方向にベビーカーを収容できる収容空間と、授乳空間とを授乳室内に備えさせた。
【実施例1】
【0043】
実施例1では、授乳室1を図1から図6を参照して説明する。図1は授乳室の斜視図を示し、図2は授乳室1の正面図を示している。図3は、図2のA-A位置断面図を使った授乳室1の使用状態の説明図を示している。
【0044】
図4は、図3のC位置における、壁パネルの連結手段の構成の斜視図を示している。図5は授乳室内から見上げた、折戸吊元位置の構成を示す説明図である。図6は、授乳室の内側から看た授乳室の出入口側の側面図である。以下の実施例では、出入口を備える面を正面、授乳室外から正面に向かって左側を左側、正面に向かって右側を右側、正面に対向する面を背面として説明する。
【0045】
授乳室1は、壁板10と細壁板11をなす壁パネルが連結手段100により連結されて、授乳室1が組み立てられる。授乳室1は乳児をのせたベビーカー2(図3参照)が入室することを想定しており、仮にベビーカー2が壁パネルにあたっても、授乳室が容易に移動しないように、壁パネルの下方には高さ調整用アジャスター12のみが設けられ、移動用キャスターは備えられていない。授乳室1はベビーカー2の移動・折りたたみが容易となるように、設置される建築物の床面が、そのまま授乳室1の床面とされている(図2参照)。
【0046】
授乳室1への出入口20は、出入口の方向に直交する左側の壁板10と細壁板11とに挟まれ、正面の左側に配置された折戸30は、細壁板11と同一面上に配されている(図1参照)。折戸30は、折戸幅の1/3幅部31と2/3幅部32とに分割され、1/3幅部の左端を出入口20の左端部の固定吊元33(図2参照)に軸支させている。
【0047】
また2/3幅部32の中央の位置を先方吊部34とし、折戸の折りたたみ開閉に伴って、折戸レール40(図5参照)の中をスライド移動させている。また、折戸30の1/3幅部31の固定吊元側の下方は、出入口20の方向と直交する壁板の端部に固定されたL字型に屈曲された固定金具35に軸支されている。折戸30は、固定吊元側の下方の軸支部を除き、折戸レール40のみで吊り下げられているため、下方レールは不要とされており、且つ、折戸のスライド用の車輪も不要とされている。
【0048】
折戸30の先方端部の高さ中央部には、垂直方向に延びた開閉取手36が、折戸の内外に設けられている。入室する際には外側の開閉取手36を把持して左側にスライドさせ、折戸30の折れ部を室内側にするように折戸30を開いて出入口20を開放させる(図3参照)。ベビーカー2とともに保育者が、出入口から授乳室に入室してから、室内側の開閉取手36を把持して右側にスライドさせ折戸30を閉じ、出入口を閉鎖させる。
【0049】
折戸の中央部上方には、乳白色をなす3つの円形窓37が設けられ、外部の視線から内部を隠しつつ、外部から授乳室内の在室状態がわかるようにされている。また、折戸30の室内側には、上下2段に上方ロック38と下方ロック39が設けられている(図6参照)。上方ロック38も下方ロック39も、係止軸に係止鉤が引っ掛かってロックされる打掛錠とされている。
【0050】
下方ロック39は、外部からロックの状態がわかる表示錠とされ、内部からロックされている場合には、赤表示がされ、内部からロックがされていない場合には青表示がされる。また下方ロックは、仮に内部からロックがされていても、非常時にはロックが開錠できるように鍵穴に鍵を差し込んで捻れば、係止鉤が回転し、ロックが開錠される非常錠とされている。
【0051】
上方ロック38は、内部のみから操作して開閉ロックができる打掛錠とされている。上方ロック38は、保護者が幼児とともに授乳室に入室している場合に、幼児のみでロックを一人で開錠して外出しないように、幼児の手の届かない高さである折戸の高さの3/4以上の高さに設けられている(図6参照)。幼児が一人で外出しないため、保護者は安心して、授乳、おむつ替え等をすることができる。
【0052】
ここで図3を参照して授乳室内の空間の構成について説明する。図3図2A-A位置断面図を示している。授乳室1には、設置者の所望の壁位置に準備テーブル50が設置されている。この授乳室は、木質等を基材とする壁板と細壁板を組み合わせた授乳室であるため、設置者の所望の位置に釘止め等により準備テーブル50が設置可能である。また所望の位置に、おむつ替えベッド51、授乳ソファ52、照明設備、非常呼出し設備、人感センサーによる非常検知設備等を設けてもよいことは勿論のことである。
【0053】
授乳室内の空間には、出入口を開けて入室した位置にベビーカーの収容空間53を確保している。ベビーカー2を出入口からまっすぐに入室させたまま、準備テーブル50を使って、授乳準備又はおむつ替え準備をしてから、おむつ替えベッド51で乳児のおむつ替えをし、授乳ソファ52で乳児に授乳すればよい。また幼児を連れている場合には、先に収容空間53に幼児を入室させ、収容空間の出入口側にベビーカーを横向きに収容させ、奥に居る幼児が室外に出ないようにしてから、授乳の準備をすればよい。
【0054】
ベビーカー2をたたんで、ベビーカー2の収容空間53を広く使えるようにし、上方ロック38をかけてから幼児をリラックスさせると共に、保護者も広い収容空間53で授乳準備をしてもよい。図3においては、授乳空間54に、おむつ替えベッド51と授乳ソファ52を設置しているが、家具・什器は設置者が所望する家具・什器を設置すればよい。
【0055】
図4を参照して、壁パネルを組み立てる連結手段100を説明する。図4は、図3のCで囲った位置における壁板10と壁板10との接合面に設けられる連結手段100を示している。連結手段100はこの位置に限定されず、壁板10の板端面と壁板10の板端面が面したC位置だけでなく、壁板面と壁板の板端面とが面したB位置にも、上下方向に複数段設けられる。なお、授乳室1は背面においては、壁板10を2枚連結させて背面の壁板としている。
【0056】
複数組の連結手段100が、2つの壁板10,10が向い合う位置に、上下の位置に設けられる。連結手段の一方が嵌め込み部110とされ、他方が受入れ部120とされている。嵌め込み部110は、支持板部111と嵌合部112と脚部113とからなる一体の連結具とされている。
【0057】
嵌め込み部110は、壁板10の端部の穿孔された孔に、連結手段の脚部113が埋め込まれ、脚部113の先方には細幅形状の支持板部111が基部をなし、基部の先方には先方隅部が滑らかに窄められた形状とされた嵌合部112が、夫々壁板10の端部から突出されて、形成される。
【0058】
受入れ部120は、壁板10の端部に、開放溝部121とスリット部122とが刻設されて形成される。嵌め込み部110に向かって、先方が開放された状態の開放溝部121が位置し、開放溝部121の下方にはスリット部122が形成されている。開放溝部121の開放幅は、嵌め込み部の嵌合部112の幅より広く形成されている。スリット部122の隙間幅の寸法は、嵌合部112より狭く、且つ、支持板部111より広く、スリット部122の隙間奥行の寸法は、支持板部111の突出高さの寸法と同じに形成されている。
【0059】
先方が窄められた形状とされている嵌合部112の先方を、開放溝部121に挿し込み、嵌合部112を開放溝部121の溝に沿って滑り落とすことにより(図5白抜矢印参照)、嵌合部112の基部に位置する支持板部111がスリット部122に挟まれた状態で格納され、2つの壁板10、10が連結される。
【0060】
隣合う壁板10,10は、壁板の天部の高さを揃えた状態で、嵌合部112がスリット部122の高さとなるように、連結手段をなす嵌め込み部110を受入れ部120の高さよりも高くした状態で組付けられる。隣合う壁板10,10には、向い合う位置に少なくとも上下2か所の連結手段100が備えられている。
【0061】
まず、2つの壁板10,10の接合面を平行に向い合わせて、嵌め込み部110が備えられた壁板10を、受入れ部120が備えられた壁板10よりも、嵌合部112の高さだけ高くして、嵌合部112を開放溝部121に側方から挿し込んで、嵌合部112を開放溝部121からスリット部122の中に落とし込んで隣合う壁板を連結させればよい。
【0062】
授乳室1の壁板を組み立てる際には、受入れ部120を有する壁板に順に、例えば、細壁板11に右側の壁板10を連結させ、右側の壁板に背面側の壁板を連結させるように、一方から順に壁板を連結させていくと好適である。すべての壁板10と細壁板11を一体に組付けた状態で、各々の壁板の下方に設けられている高さ調整用アジャスター12の高さを調整して、各壁板の垂直度、授乳室全体の垂直度を調整しておくとよい。
【0063】
そして、連結させた壁板11,10,10,・・の上部に、天井ルーバのルーバ受枠41をビス止め等により、隣合う壁板11,10,10,・・が上下にずれないように固定し、周囲の壁板が緊結された状態とさせる。壁板全体が緊結された状態となっているため、授乳室1を持ち上げて所望の設置位置に移動することも容易である。
【0064】
正面の細壁板11、右側の壁板10、背面の壁板10,10、左側の壁板10が緊結された状態で、細壁板11の内方上部に左側の壁板10と右側の壁板10とにつながる上枠42を、ネジ止め等により固定させる。細壁板11の背面に沿って上枠42が延びているため、出入口20の上方において上枠42だけが左右の壁板10,10をつなぐ状態とされていても、授乳室1の壁パネルは容易に分離されることはない。
【0065】
折戸レール40が格納されたレール枠43を、上枠42の外側に接するように、ネジ止め等により固定させ、レール枠43の外面と細壁板11の外面を揃った状態とさせる。折戸30の1/3幅部31の左端部に位置する吊軸の頭部と、2/3幅部の中央の吊軸の頭部とが、C字形状で下方を開放させた折戸レール40に吊り込まれる。そして、1/3幅部31の吊元側の吊軸を固定軸とし、1/3幅部31の下方端部を吊元金具35に軸支させて、授乳室1の壁構造に折戸30が装着される。
【0066】
折戸30は、下方レールを必要としないため、ベビーカー2を押して出入口20から入っても、段差を乗り越えることが必要でないため、寝ている状態の乳児を振動により起こすこともない。また、車椅子を利用した保護者でも、授乳室1に入室して授乳することができる。
【0067】
折戸30には、上方ロック38と下方ロック39の位置に、係止軸と係止鉤が対応するように、錠が取り付けられる。折戸は、2/3幅部32の中央の先方吊部34(図3参照)が、折戸レール40に支持されてスライドされ、出入口開放状態で、2/3幅部32の先方の1/3の幅が授乳室外に、吊軸から折戸の1/3の幅が授乳室内に出た状態となる。例えば折れ戸幅を1.2mとすると、室内外に折戸が40cmずつが出るだけであるため、授乳室1の内外の人の通行・行動の障害になりにくい。
【0068】
更に、正面の上枠と右側と左側と背面の壁板の上部に、格子ルーバ60が載せられる。上枠42は、出入口が設けられる授乳室の正面部が剛強となるように、広幅の矩形断面形状とされ、室内側上部が削られ格子ルーバ受けとされた筋状部材である。右壁板と背面壁板と左壁板の上部にねじ止め等により固定されるルーバ受枠41は、壁板11,10,10,・・が上下にずれて分離されることを防止させ、固定させるだけでよいため、細幅の矩形断面形状とされ、室内側上部が削られ格子ルーバの受け材とされた筋状部材である。
【0069】
正面の上枠42と、他の三方のルーバ受枠41に格子ルーバ60が取り外し可能に載せられる。授乳室1では、上枠から背面のルーバ受枠41に向けて、2本の補助ルーバ受枠44,44を設け(図1参照)、天井面を3列に分割して格子ルーバ60,60,60を載置可能としている。格子ルーバ60は、ルーバ受枠41又は補助ルーバ受枠44に載せただけとしているため、授乳室の上方から、格子ルーバ60を簡単に外すことができる。
【0070】
上方ロック38は、折戸30の高さの3/4以上の高さに設けられているため、非常時に上方ロック38を開錠するためには、脚立に乗った人が、中央列の格子ルーバ60の出入口側を持ち上げて、授乳室内を覗き込むようにして、授乳室内から上方ロック38を開錠すればよい。
【0071】
格子ルーバ60は、幅が約4cmの樹脂製帯板が、約3cmの格子をなすように、天井面全体に縦横に組み立てられている。授乳室が設置される部屋の天井照明の光が格子ルーバをなす縦横に組まれた帯板に乱反射して、授乳室内を明るくするため、授乳室内は柔らかく、落ち着いた光環境となり、保護者は穏やかな気持ちで授乳することができる。
【0072】
図3に示した空間で、準備テーブル50(図3参照)では、授乳用ミルクの濃度・温度を調整し、取替用の紙おむつ等を準備し、おむつ替えはおむつ替えベッド51で行い、授乳は授乳ソファ52で行うようにすればよい。授乳室の中に人感センサーを設け、人感センサーが人の動きがないことを検知する等非常時が予想されるときには、非常通知をする等すればよいことは勿論のことである。
【0073】
(その他)
・実施例1では、ボルト等を使わないで壁パネルを組み立てる連結手段100の例を、図4に示したが、連結手段の形態が限定されないことは勿論のことであり、細壁板11、壁板10が壁構造体に容易に組み立てられる連結手段であればよい。
・天井ルーバは格子ルーバ60の例を示したが、格子の間隔、格子の形状等が限定されないことは勿論のことである。
・授乳室1は、出入口20に下方レールがなく、ベビーカーを振動させずに入室が容易であるだけでなく、折戸30を支える下部車輪がないため、建築物の床に車輪の移動痕を残さない。
【0074】
・また、組立てた手順と逆に、天井ルーバ60を外して、折戸30を外して、上枠42、ルーバ受枠41を外して、嵌め込み部110が設けられた壁パネルを順に持ち上げて外すようにして、壁板を順に分離させれば、建築物内で搬送可能なパーツに分離でき、別の場所に移動させることも容易である。
・実施例1で示した、連結手段100は、授乳室に限定せず、他の用途の壁パネルを組立てる屋内設置ブースに適用できることは勿論のことである。また、連結手段で連結させた壁パネルの上下方向の固定は、ルーバ受枠に限定されず、連結させた隣合う壁パネルに亘って付設される板材、軸部材、面部材等の壁パネル固定具であればよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
1…授乳室、2…ベビーカー、
10…壁板、11…細壁板、12…高さ調整用アジャスター、20…出入口、
30…折戸、31…1/3幅部、32…2/3幅部、33…固定吊元、34…先方吊部、
35…吊元金具、36…開閉取手、37…円形窓、38…上方ロック、
39…下方ロック、40…折戸レール、41…ルーバ受枠、42…上枠、
43…レール枠、44…補助ルーバ受枠、
50…準備テーブル、51…おむつ替えベッド、52…授乳ソファ、
53…収容空間、54…授乳空間、60…格子ルーバ、
100…連結手段、110…嵌め込み部、120…受入れ部、
111…支持板部、112…嵌合部、113…脚部、
121…開放溝部、122…スリット部


【要約】
【課題】ベビーカーの乳児を起こさないように入室でき、授乳の準備をしてから、乳児に授乳することができる授乳室を、壁パネル構造により容易に提供する。
【解決手段】授乳室1をなす空間は、壁板10と細壁板11をなす壁パネルを組立てて、側面三方が壁板に囲まれ、一方が細壁板11と出入口20とに囲まれ、天井がルーバ天井とされ、床面が開放された直方体形状の空間とさせ、ベビーカー2の収容空間53と、授乳空間54とを有し、収容空間53の交差する2つの水平方向の各々の長さが、ベビーカー2の長手方向の長さよりも長く、出入口20は、下方が自由端とされると共に下方レールを有さない折戸30とされ、授乳室外から授乳室内へ、下方レールに支障されないでベビーカー2を入室させ、授乳空間54で授乳できる授乳室を、建築物内で組立て容易にするために、連結手段100を有する壁パネルから構成させた。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6