(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】駆動装置および空気調和装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20241101BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241101BHJP
F24F 1/24 20110101ALI20241101BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H05K7/20 D
F24F1/24
(21)【出願番号】P 2024502282
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2022007354
(87)【国際公開番号】W WO2023162029
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】志津 圭一朗
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-186907(JP,A)
【文献】特開昭63-181396(JP,A)
【文献】国際公開第2019/026902(WO,A1)
【文献】特開2013-255373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H05K 7/20
F24F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体部を有する基板と、
前記基板の板厚方向である第1の方向に前記基板と離れて配置されたパワーモジュールと、
前記パワーモジュールを挟んで前記基板と反対側に配置されて、放熱性を有する金属部材と、を備え、
前記パワーモジュールは、前記金属部材に熱的に接触しており、
前記パワーモジュールは、前記第1の方向と交差する第2の方向に延びた後に前記基板に向かって延びて、前記基板の前記導体部に電気的に接続されるピンを有し、
前記ピンと前記金属部材との間には、放熱性と電気絶縁性とを有する放熱部材が配置され、
前記放熱部材は、前記ピン、前記導体部および前記金属部
材に接触している駆動装置。
【請求項2】
前記導体部は、前記基板の表面に貼り付けられた金属箔と、前記金属箔に電気的に接続されて前記基板を貫通するスルーホール導体と、を備え、
前記ピンは、前記金属箔および前記スルーホール導体に電気的に接続されている請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記金属部材は、接地されている請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記ピンは、前記第2の方向に延びて、前記第1の方向に前記金属部材と離れる離隔部を有し、
前記放熱部材は、前記離隔部と前記金属部材との間に挟み込まれている請求項1から3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記パワーモジュールと前記金属部材との間には、前記パワーモジュールから前記金属部材へ伝熱する伝熱グリスが挟み込まれており、
前記パワーモジュールは、前記伝熱グリスを介して前記金属部材に熱的に接触している請求項1から4のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記パワーモジュールと前記金属部材との間には、前記放熱部材が挟み込まれており、
前記パワーモジュールは、前記放熱部材を介して前記金属部材に熱的に接触している請求項1から4のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
複数の前記パワーモジュールが前記第2の方向に並んで配置され、
複数の前記パワーモジュールのうちの一部のサイズと複数の前記パワーモジュールのうちの残部のサイズとは、互いに異なっており、
サイズが小さい方の前記パワーモジュールと前記金属部材との間には、前記放熱部材が挟み込まれている請求項1から4のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項8】
モータと、
前記モータを駆動源として、冷凍サイクルの冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記モータの駆動を制御する請求項1から7のいずれか1項に記載の駆動装置と、
前記モータ、前記圧縮機および前記駆動装置を収容し、空気調和装置の室外機の外郭を構成する板金筐体と、を備え、
前記金属部材は、前記板金筐体である空気調和装置。
【請求項9】
前記板金筐体に収容されて、空気流を生成する室外ファンを備え、
前記金属部材には、前記室外ファンにより生成された空気流が当たる請求項8に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワーモジュールを備える駆動装置およびこの駆動装置を備える空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの駆動を制御する駆動装置には、パワーデバイスが搭載されている。パワーデバイスが駆動されたときに、パワーデバイスから熱が発生する。そのため、駆動装置には、パワーデバイスから発生した熱を放熱する手段が必要になる。
【0003】
特許文献1には、金属箔が表面に貼り付けられた基板と、基板の板厚方向に基板と離れて配置されてパワーデバイスを樹脂で封止したパワーモジュールと、パワーモジュールを挟んで基板と反対側に配置されて放熱性を有する金属部材とを備え、パワーモジュールを金属部材に取り付けた駆動装置が開示されている。特許文献1に開示されたパワーモジュールは、基板に向かって延びて基板に電気的に接続される金属製のピンを有している。特許文献1に開示された技術では、パワーモジュールから発生した熱を金属部材に伝えて、金属部材から放熱させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、パワーモジュールのピンと金属部材とが空間を介して配置されているため、パワーモジュールのピンと金属部材との間の電気絶縁性を確保できない可能性がある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、パワーモジュールのピンと金属部材との間の電気絶縁性を確保しつつ、従来よりも放熱性能を高めることができる駆動装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる駆動装置は、導体部を有する基板と、基板の板厚方向である第1の方向に基板と離れて配置されたパワーモジュールと、パワーモジュールを挟んで基板と反対側に配置されて、放熱性を有する金属部材と、を備えている。パワーモジュールは、金属部材に熱的に接触している。パワーモジュールは、第1の方向と交差する第2の方向に延びた後に基板に向かって延びて、基板の導体部に電気的に接続されるピンを有している。ピンと金属部材との間には、放熱性と電気絶縁性とを有する放熱部材が配置されている。放熱部材は、ピン、導体部および金属部材に接触している。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる駆動装置は、パワーモジュールのピンと金属部材との間の電気絶縁性を確保しつつ、従来よりも放熱性能を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる駆動装置と外部電源とモータとを示した概略図
【
図2】実施の形態1にかかる駆動装置を示した断面図
【
図3】実施の形態2にかかる駆動装置を示した断面図
【
図4】実施の形態2の変形例1にかかる駆動装置を示した断面図
【
図5】実施の形態2の変形例2にかかる駆動装置を示した断面図
【
図6】実施の形態3にかかる駆動装置を示した断面図
【
図7】実施の形態4にかかる空気調和装置の室外機を模式的に示した斜視図
【
図8】実施の形態4にかかる空気調和装置を示した概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態にかかる駆動装置および空気調和装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる駆動装置1と外部電源60とモータ70とを示した概略図である。
図1に示すように、駆動装置1は、電線80を介して、外部電源60とモータ70とに電気的に接続されている。以下の説明においては、外部電源60から電力が入力されて、モータ70に電力を出力する装置を駆動装置1とする。また、駆動装置1の中でコンバータおよびインバータとして機能する部分を駆動回路10とする。
【0012】
図2は、実施の形態1にかかる駆動装置1を示した断面図である。駆動装置1は、基板2と、パワーモジュール3と、金属部材4と、放熱部材5とを備えている。以下、駆動装置1の各構成要素について方向を説明するときには、基板2の板厚方向を第1の方向とし、第1の方向と交差する方向を第2の方向とする。また、以下の説明において、パワーモジュール3のうち第2の方向の端面からパワーモジュール3のうち第2の方向の中心に向かう方向を内側とし、内側と反対側を外側とする。
【0013】
基板2は、パワーモジュール3の駆動を制御する機能を有する。基板2は、導体部を有する平板状の部材である。基板2の断面形状は、第1の方向よりも第2の方向に長い矩形である。導体部は、基板2の表面に貼り付けられた金属箔20、基板2に形成されたスルーホール導体21である。金属箔20は、基板2の表面のうち第1の方向の両端面に部分的に貼り付けられている。金属箔20の材料は、本実施の形態では銅であるが、例えば、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金でもよい。
【0014】
スルーホール導体21は、例えば、第1の方向に基板2を貫通する貫通孔の内壁面に、めっき膜が形成されることで作製される。金属箔20とスルーホール導体21とは、電気的に接続されている。基板2には、図示しない電子部品が実装されている。電子部品は、例えば、ノイズフィルタ、平滑コンデンサ、電流および電圧を検出するセンサ、マイコン、マイコンの周辺回路である。電子部品は、金属箔20またはスルーホール導体21にはんだ付けされている。
【0015】
パワーモジュール3は、パワーデバイス35を樹脂36で封止した電子部品である。パワーモジュール3は、第1の方向に基板2と離れて配置されている。パワーモジュール3は、外部電源60から供給される電力の電圧を整流する整流機能、および、電圧が整流された電力をモータ70を駆動するための電力に変換する変換機能のうち少なくとも1つを有する。パワーモジュール3により変換された電力は、モータ70に供給される。パワーモジュール3は、例えば、複数並べて使用されるディスクリートの半導体素子、複数の半導体素子を1つのパッケージに納めたパワーモジュール、整流機能と変換機能とを統合して1つのパッケージに納めた複合モジュールである。なお、本実施の形態では、パワーモジュール3が、DIP(Dual Inline Package)タイプである場合を例にして説明するが、パワーモジュール3の種類を限定する趣旨ではない。
【0016】
パワーモジュール3は、金属部材4に熱的に接触している。本明細書において「熱的に接触」とは、パワーモジュール3と金属部材4とが直接接触することと、パワーモジュール3と金属部材4との間にパワーモジュール3から発生した熱を金属部材4に伝えられる媒体を介してパワーモジュール3と金属部材4とが間接的に接触することを含む意味である。パワーモジュール3は、本実施の形態では金属部材4と直接接触している。
【0017】
パワーモジュール3は、パワーモジュール本体部30と、2つのピン31とを有している。パワーモジュール本体部30は、パワーデバイス35と、パワーデバイス35を封止する樹脂36とを含んでいる。パワーデバイス35は、パワーモジュール3の整流機能または変換機能を司る電子部品である。パワーデバイス35が駆動されたときに、パワーデバイス35から熱が発生する。図示は省略するが、パワーデバイス35は、はんだ付けなどによりピン31に直接実装されるか、または、導電性のワイヤを介してピン31に電気的に接続される。パワーモジュール本体部30は、金属部材4に熱的に接触している。パワーモジュール本体部30は、金属部材4の上に配置されている。パワーモジュール本体部30の断面形状は、第1の方向よりも第2の方向に長い矩形である。
【0018】
ピン31は、導電性を有する金属製部材である。ピン31は、パワーモジュール3の端子に相当する部分である。ピン31は、パワーモジュール本体部30から第2の方向に延びた後に基板2に向かって延びて、基板2の導体部に電気的に接続されている。ピン31は、パワーモジュール本体部30のうち第2の方向の両端面に1本ずつ設けられている。ピン31は、第1の直線部32と、第2の直線部33と、第1の直線部32と第2の直線部33との間に形成された曲線部34とを有している。
【0019】
第1の直線部32は、パワーモジュール本体部30のうち第2の方向の端面から第2の方向に直線状に延びて、第1の方向に金属部材4と離れている離隔部となる。第1の直線部32は、金属部材4の後記する設置面40と平行である。曲線部34は、第1の直線部32の先端部から離れるにつれて基板2に近付くように曲線状に延びている。第2の直線部33は、曲線部34の先端部から第1の方向に直線状に延びている。
【0020】
各ピン31の第2の直線部33は、スルーホール導体21に電気的に接続されている。各ピン31の第2の直線部33は、スルーホール導体21にはんだ付けで接合されている。各ピン31の第2の直線部33をスルーホール導体21にはんだ付けで接合することにより、パワーモジュール3が基板2に固定される。パワーモジュール3は、スルーホール導体21および金属箔20を介して、基板2に実装されている電子部品と電気的なやり取りを行ったり、図示しない端子、コネクタなどを介して
図2に示される基板2とは別の基板と電気的なやり取りを行ったりする。電気的なやり取りとは、例えば、電力の供給、電力の受給、電気信号の伝達である。
【0021】
金属部材4は、パワーモジュール3を挟んで基板2と反対側に配置されて、導電性および放熱性を有する部材である。金属部材4は、パワーモジュール3から発生した熱を駆動装置1の外部に放熱する役割を果たす。金属部材4は、例えば、ヒートシンク、駆動装置1が搭載される装置の外郭を構成する板金筐体である。金属部材4が板金筐体の場合には、板金筐体全体に熱が伝わって放熱面積が増えるため、金属部材4による放熱効果が高まる。金属部材4は、パワーモジュール本体部30のうち基板2の方を向く面とは反対側の面に熱的に接触している。金属部材4のうちパワーモジュール3の方を向く面は、第2の方向に沿った平面状の設置面40となる。金属部材4は、接地されている。
【0022】
各ピン31と金属部材4との間には、放熱性と電気絶縁性とを有する放熱部材5が1つずつ配置されている。以下、2つの放熱部材5を区別する場合には、紙面左側の放熱部材5を放熱部材5aと称し、紙面右側の放熱部材5を放熱部材5bと称する。放熱部材5は、パワーモジュール3から発生した熱を放熱する役割と、ピン31と金属部材4との間を電気的に絶縁する役割を果たす。放熱部材5には、放熱性と電気絶縁性とを兼ね備えた放熱シート、ゲル、ジェルなどが使用される。
【0023】
2つの放熱部材5は、パワーモジュール3を挟んで、第2の方向に互いに離隔している。放熱部材5は、パワーモジュール3の外側に配置されている。放熱部材5は、ピン31と金属部材4との間を遮蔽している。放熱部材5は、ピン31、金属箔20および金属部材4のうち少なくとも1つに接触していればよいが、本実施の形態ではピン31、金属箔20および金属部材4の全部に接触している。なお、放熱部材5は、金属部材4に接触しているとともに、ピン31および金属箔20のうち少なくとも一方に接触していることが好ましい。
【0024】
放熱部材5は、第1の放熱部50と、第2の放熱部51とを有している。実際には第1の放熱部50と第2の放熱部51とは一体に形成されているが、説明の便宜上、
図2には第1の放熱部50と第2の放熱部51との境界線Lを図示している。第1の放熱部50は、金属部材4の設置面40から基板2の金属箔20に亘って第1の方向に延びる部分である。第1の放熱部50は、第2の直線部33、金属箔20および金属部材4に接触している。第1の放熱部50の断面形状は、曲面を有さない矩形である。
【0025】
第2の放熱部51は、第1の放熱部50のうちパワーモジュール本体部30の方を向く端面からパワーモジュール本体部30に向かって第2の方向に延びる部分である。第2の放熱部51は、第1の直線部32、曲線部34、金属部材4およびパワーモジュール本体部30に接触している。第2の放熱部51は、第1の直線部32と金属部材4とに接触して、第1の直線部32と金属部材4との間に配置されている。つまり、第2の放熱部51は、第1の直線部32と金属部材4との間に挟み込まれている。
【0026】
第2の放熱部51は、曲線部34と金属部材4とに接触して、曲線部34と金属部材4との間に配置されている。つまり、第2の放熱部51は、曲線部34と金属部材4との間に挟み込まれている。第2の放熱部51は、パワーモジュール本体部30の第2の方向の端面に接触している。放熱部材5aの第2の放熱部51と放熱部材5bの第2の放熱部51とは、第2の方向の外側からパワーモジュール本体部30を挟み込んでいる。第2の放熱部51は、第1の直線部32と曲線部34と金属部材4とパワーモジュール本体部30とにより形成された空間を埋めている。第2の放熱部51の断面形状は、曲線部34に沿った曲面を有する形状である。
【0027】
次に、実施の形態1にかかる駆動装置1の効果について説明する。
【0028】
本実施の形態では、
図2に示すように、パワーモジュール3のピン31と金属部材4との間には、電気絶縁性を有する放熱部材5が配置されていることにより、パワーモジュール3のピン31と金属部材4との間の電気絶縁性を確保することができる。また、本実施の形態では、パワーモジュール3のピン31と金属部材4との間には、放熱性を有する放熱部材5が配置されて、放熱部材5がピン31、金属箔20および金属部材4のうち少なくとも1つに接触していることにより、パワーモジュール本体部30からピン31、金属箔20および金属部材4に伝わった熱を放熱部材5で放熱することができる。また、本実施の形態では、パワーモジュール3が金属部材4に熱的に接触していることにより、パワーモジュール本体部30から発生した熱を金属部材4に伝えて、金属部材4から駆動装置1の外部に放熱することができる。つまり、本実施の形態では、パワーモジュール3のピン31と金属部材4との間の電気絶縁性を確保しつつ、放熱性能を高めることができる。
【0029】
本実施の形態では、放熱部材5は、ピン31、金属箔20および金属部材4の全部に接触していることにより、パワーモジュール本体部30からピン31に伝わった熱が放熱部材5を介して金属部材4に伝わるとともに、ピン31から金属箔20に伝わった熱が放熱部材5を介して金属部材4に伝わる。そのため、パワーモジュール本体部30から発生した熱を効率良く放熱することができる。さらに、放熱部材5が金属箔20および金属部材4に接触していることにより、基板2に実装された電子部品から発生した熱が放熱部材5を介して金属部材4に伝わるため、電子部品から発生した熱も効率良く放熱することができる。
【0030】
本実施の形態では、金属部材4が接地されていることにより、ピン31とアースとなる電位の部分との間で短絡することがないため、ピン31からアースとなる電位の部分への短絡電流によるパワーモジュール3の不具合を抑制することができる。
【0031】
本実施の形態では、ピン31は、第2の方向に延びて第1の方向に金属部材4と離れる離隔部である第1の直線部32を有し、放熱部材5の第2の放熱部51は、第1の直線部32と金属部材4との間に挟み込まれている。これにより、駆動装置1の輸送時、駆動装置1への通電時などにおいて、基板2、金属部材4に振動が発生した場合に、放熱部材5によってピン31への振動が減衰される。そのため、ピン31の可動範囲が抑制されて、ピン31の折損を抑制することができる。また、本実施の形態では、放熱部材5がパワーモジュール本体部30にも接触していることにより、ピン31への振動がより一層減衰される。なお、放熱部材5は、パワーモジュール本体部30と離れていてもよい。
【0032】
実施の形態2.
次に、
図3を参照して、実施の形態2にかかる駆動装置1Aについて説明する。
図3は、実施の形態2にかかる駆動装置1Aを示した断面図である。本実施の形態では、パワーモジュール3と金属部材4との間に伝熱グリス6を設けた点が、前記した実施の形態1と相違する。なお、実施の形態2では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
パワーモジュール3と金属部材4との間には、パワーモジュール3から金属部材4へ伝熱する伝熱グリス6が挟み込まれている。伝熱グリス6は、パワーモジュール3および金属部材4のうち少なくとも一方に塗布される。伝熱グリス6には、例えば、常温から高温まで粘度の変化が少ない変性シリコンを主成分として、この主成分に熱伝導率の高い金属または熱伝導率の高い金属酸化物の粒子を混ぜ込んだグリスが使用される。パワーモジュール3は、伝熱グリス6を介して金属部材4に熱的に接触している。
【0034】
放熱部材5aの第2の放熱部51と放熱部材5bの第2の放熱部51とは、第2の方向の外側からパワーモジュール本体部30および伝熱グリス6を挟み込んでいる。第2の放熱部51は、パワーモジュール本体部30の第2の方向の端面と伝熱グリス6の第2の方向の端部とに接触している。第2の放熱部51は、第1の直線部32と曲線部34と金属部材4とパワーモジュール本体部30と伝熱グリス6とにより形成された空間を埋めている。
【0035】
パワーモジュール3と金属部材4とを直接接触させた場合には、両者の間に微小な隙間が発生する可能性がある。本実施の形態では、パワーモジュール3と金属部材4との間には、パワーモジュール3から金属部材4へ伝熱する伝熱グリス6が挟み込まれて、パワーモジュール3は、伝熱グリス6を介して金属部材4に熱的に接触していることにより、パワーモジュール3と金属部材4との間に微小な隙間が発生することを防げる。そのため、隙間による熱抵抗の増加を防止して、パワーモジュール3から発生した熱が金属部材4により一層伝わりやすくなり、放熱性能を高めることができる。
【0036】
本実施の形態では、放熱部材5a,5bの第2の放熱部51は、伝熱グリス6の第2の方向の端部に接触している。これにより、駆動装置1Aの輸送時、駆動装置1Aへの通電時などにおいて、基板2、金属部材4に振動が発生した場合に、放熱部材5a,5bによって伝熱グリス6の可動範囲が抑制される。そのため、パワーモジュール3と金属部材4との間からの伝熱グリス6の漏出を抑制することができ、伝熱グリス6による放熱効果を維持することができる。なお、放熱部材5の第2の放熱部51は、伝熱グリス6と離れていてもよい。
【0037】
次に、
図4を参照して、実施の形態2の変形例1にかかる駆動装置1Bについて説明する。
図4は、実施の形態2の変形例1にかかる駆動装置1Bを示した断面図である。変形例1にかかる駆動装置1Bは、パワーモジュール3と金属部材4との間に放熱部材5cを設けた点が、前記した実施の形態2の駆動装置1Aと相違する。変形例1では、前記した実施の形態2の駆動装置1Aと重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
パワーモジュール3と金属部材4との間には、パワーモジュール3から金属部材4へ伝熱する放熱部材5cが挟み込まれている。放熱部材5cの断面形状は、第1の方向よりも第2の方向に長い矩形である。放熱部材5cには、放熱性と電気絶縁性とを兼ね備えた放熱シート、ゲル、ジェルなどが使用される。パワーモジュール3は、放熱部材5cを介して金属部材4に熱的に接触している。
【0039】
放熱部材5aの第2の放熱部51と放熱部材5bの第2の放熱部51とは、第2の方向の外側からパワーモジュール本体部30および放熱部材5cを挟み込んでいる。第2の放熱部51は、パワーモジュール本体部30の第2の方向の端面と放熱部材5cの第2の方向の端面とに接触している。第2の放熱部51は、第1の直線部32と曲線部34と金属部材4とパワーモジュール本体部30と放熱部材5cとにより形成された空間を埋めている。本変形例では、隣接する3つの放熱部材5a,5b,5cが別体で形成されているが、隣接する3つの放熱部材5a,5b,5cが一体に形成されてもよい。以下、放熱部材5a,5b,5cを放熱部材5と総称する場合もある。
【0040】
本変形例では、パワーモジュール3と金属部材4との間には、放熱部材5cが挟み込まれて、パワーモジュール3は、放熱部材5cを介して金属部材4に熱的に接触していることにより、パワーモジュール3と金属部材4との間に微小な隙間が発生することを防げる。そのため、隙間による熱抵抗の増加を防止して、パワーモジュール3から発生した熱が金属部材4により一層伝わりやすくなり、放熱性能を高めることができる。
【0041】
本変形例では、放熱部材5a,5bの第2の放熱部51は、放熱部材5cの第2の方向の端面に接触している。これにより、駆動装置1Bの輸送時、駆動装置1Bへの通電時などにおいて、基板2、金属部材4に振動が発生した場合に、放熱部材5a,5bによって放熱部材5cの可動範囲が抑制される。そのため、パワーモジュール3と金属部材4との間に放熱部材5cが固定されて、放熱部材5cによる放熱効果を維持することができる。なお、放熱部材5a,5bの第2の放熱部51は、放熱部材5cと離れていてもよい。また、隣接する3つの放熱部材5a,5b,5cが一体に形成された場合には、基板2、金属部材4の振動による放熱部材5cの可動が発生しない。
【0042】
次に、
図5を参照して、実施の形態2の変形例2にかかる駆動装置1Cについて説明する。
図5は、実施の形態2の変形例2にかかる駆動装置1Cを示した断面図である。変形例2にかかる駆動装置1Cは、放熱部材5a,5bの第2の放熱部51を省略した点と、パワーモジュール3と金属部材4との間に放熱部材5cを設けた点とが、前記した実施の形態2の駆動装置1Aと相違する。変形例1では、前記した実施の形態2の駆動装置1Aと重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
放熱部材5a,5bは、第1の放熱部50のみを有している。放熱部材5a,5bは、金属部材4の設置面40から基板2の金属箔20に亘って第1の方向に延びている。放熱部材5a,5bは、第2の直線部33、金属箔20および金属部材4に接触している。放熱部材5a,5bは、第1の直線部32および曲線部34に接触していない。放熱部材5a,5bは、第1の直線部32および曲線部34と金属部材4との間に配置されていない。放熱部材5a,5bの断面形状は、第2の方向よりも第1の方向に長い矩形である。
【0044】
パワーモジュール3と金属部材4との間には、パワーモジュール3から金属部材4へ伝熱する放熱部材5cが挟み込まれている。放熱部材5cの断面形状は、第1の方向よりも第2の方向に長い矩形である。放熱部材5cには、放熱性と電気絶縁性とを兼ね備えた放熱シート、ゲル、ジェルなどが使用される。パワーモジュール3は、放熱部材5cを介して金属部材4に熱的に接触している。
【0045】
放熱部材5cの第2の方向の両端部は、パワーモジュール本体部30の第2の方向の端面よりも外側に張り出している。放熱部材5cの張出部52は、第1の直線部32および曲線部34と金属部材4との間に配置されている。放熱部材5cの張出部52は、金属部材4に接触しているが、第1の直線部32および曲線部34と第1の方向に離れている。放熱部材5a,5b,5cは、いずれも曲線部34に沿って延びる部分を有していない。すなわち、放熱部材5a,5b,5cの断面形状は、曲面を有さない矩形である。
【0046】
放熱部材5aの第1の放熱部50と放熱部材5bの第1の放熱部50とは、第2の方向の外側から放熱部材5cを挟み込んでいる。第1の放熱部50は、放熱部材5cの第2の方向の端面に接触している。すなわち、放熱部材5aの第1の放熱部50は、放熱部材5cの一方の張出部52の先端面に接触している。放熱部材5bの第1の放熱部50は、放熱部材5cの他方の張出部52の先端面に接触している。本変形例では、隣接する3つの放熱部材5a,5b,5cが別体で形成されているが、隣接する3つの放熱部材5a,5b,5cが一体に形成されてもよい。
【0047】
本変形例では、パワーモジュール3と金属部材4との間には、放熱部材5cが挟み込まれていることにより、放熱部材5cの第1の方向に沿った厚さ分だけピン31と金属部材4との第1の方向に沿った距離を離すことができる。そのため、パワーモジュール3のピン31と金属部材4との間の電気絶縁性を確保することができる。これにより、ピン31の曲線部34に沿うように放熱部材5を配置する必要がなくなり、各面を平面状に加工した放熱部材5を使用できる。したがって、曲面を有する放熱部材5を使用する場合に比べて、放熱部材5の加工工程が簡略化されて放熱部材5の製造コストを低減させることができる。
【0048】
本変形例では、パワーモジュール3と金属部材4との間には、放熱部材5cが挟み込まれて、パワーモジュール3は、放熱部材5cを介して金属部材4に熱的に接触していることにより、パワーモジュール3と金属部材4との間に微小な隙間が発生することを防げる。そのため、隙間による熱抵抗の増加を防止して、パワーモジュール3から発生した熱が金属部材4により一層伝わりやすくなり、放熱性能を高めることができる。つまり、本変形例では、放熱部材5の製造コストを低減させつつ、放熱性能を高めることができる。
【0049】
本変形例では、放熱部材5a,5bの第1の放熱部50は、放熱部材5cの第2の方向の端面に接触している。これにより、駆動装置1Cの輸送時、駆動装置1Cへの通電時などにおいて、基板2、金属部材4に振動が発生した場合に、放熱部材5a,5bによって放熱部材5cの可動範囲が抑制される。そのため、パワーモジュール3と金属部材4との間に放熱部材5cが固定されて、放熱部材5cによる放熱効果を維持することができる。なお、放熱部材5a,5bの第1の放熱部50は、放熱部材5cと離れていてもよい。また、隣接する3つの放熱部材5a,5b,5cが一体に形成された場合には、基板2、金属部材4の振動による放熱部材5cの可動が発生しない。
【0050】
実施の形態3.
次に、
図6を参照して、実施の形態3にかかる駆動装置1Dについて説明する。
図6は、実施の形態3にかかる駆動装置1Dを示した断面図である。本実施の形態では、サイズが異なる複数のパワーモジュール3を設けた点が、前記した実施の形態1と相違する。なお、実施の形態3では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
本実施の形態では、複数のパワーモジュール3が第2の方向に並んで配置されている。複数のパワーモジュール3のうちの一部のサイズと複数のパワーモジュール3のうちの残部のサイズとは、互いに異なっている。パワーモジュール3の数は、本実施の形態では2つであるが、3つ以上でもよい。以下、2つのパワーモジュール3を区別する場合には、紙面左側のパワーモジュール3をパワーモジュール3aと称し、紙面右側のパワーモジュール3をパワーモジュール3bと称する。
【0052】
パワーモジュール3a,3bのうちいずれか一方は、
図1に示される外部電源60から供給される電力の電圧を整流する整流機能を有する。パワーモジュール3a,3bのうちいずれか他方は、電圧が整流された電力を
図1に示されるモータ70を駆動するための電力に変換する変換機能を有する。パワーモジュール3a,3bは、金属部材4に熱的に接触している。
【0053】
パワーモジュール3aは、2本のピン31aを有している。各ピン31aは、スルーホール導体21にはんだ付けで接合されている。各ピン31aをスルーホール導体21にはんだ付けで接合することにより、パワーモジュール3aが基板2に固定される。
【0054】
パワーモジュール3bは、2本のピン31bを有している。各ピン31bは、スルーホール導体21にはんだ付けで接合されている。各ピン31bをスルーホール導体21にはんだ付けで接合することにより、パワーモジュール3bが基板2に固定される。
【0055】
各ピン31aと金属部材4との間には、放熱性と電気絶縁性とを有する放熱部材5が1つずつ配置されている。以下、2つの放熱部材5を区別する場合には、パワーモジュール3aの紙面左側の放熱部材5を放熱部材5aと称し、パワーモジュール3aの紙面右側の放熱部材5を放熱部材5bと称する。放熱部材5a,5bは、ピン31a、金属箔20および金属部材4のうち少なくとも1つに接触していればよいが、本実施の形態ではピン31a、金属箔20および金属部材4の全部に接触している。
【0056】
各ピン31bと金属部材4との間には、放熱性と電気絶縁性とを有する放熱部材5が1つずつ配置されている。以下、2つの放熱部材5を区別する場合には、パワーモジュール3bの紙面左側の放熱部材5を放熱部材5dと称し、パワーモジュール3bの紙面右側の放熱部材5を放熱部材5eと称する。放熱部材5d,5eは、ピン31b、金属箔20および金属部材4のうち少なくとも1つに接触していればよいが、本実施の形態ではピン31b、金属箔20および金属部材4の全部に接触している。
【0057】
パワーモジュール3bのサイズは、パワーモジュール3aのサイズよりも小さい。パワーモジュール3bのパワーモジュール本体部30の第1の方向に沿った厚さは、パワーモジュール3aのパワーモジュール本体部30の第1の方向に沿った厚さよりも薄い。パワーモジュール3bのピン31bの第1の方向に沿った高さは、パワーモジュール3aのピン31aの第1の方向に沿った高さよりも低い。サイズが小さい方のパワーモジュール3bと金属部材4との間には、放熱部材5fが挟み込まれている。放熱部材5dの第2の放熱部51と放熱部材5eの第2の放熱部51とは、第2の方向の外側から放熱部材5fを挟み込んでいる。放熱部材5b,5d,5e,5fは、第2の方向に並んで配置されている。放熱部材5bと放熱部材5dとは、隣接している。本変形例では、隣接する4つの放熱部材5b,5d,5e,5fが別体で形成されているが、隣接する4つの放熱部材5b,5d,5e,5fが一体に形成されてもよい。
【0058】
サイズが大きい方のパワーモジュール3aでは、ピン31aの第1の方向に沿った高さが高くなり、パワーモジュール本体部30を金属部材4に近付けて配置しても、ピン31aと基板2とを接続できる。これにより、サイズが大きい方のパワーモジュール3aでは、パワーモジュール本体部30を金属部材4に直接接触させたり、パワーモジュール本体部30を伝熱グリス6または放熱部材5を介して金属部材4に熱的に接触させたりすることができる。
【0059】
一方で、サイズが小さい方のパワーモジュール3bでは、ピン31bの第1の方向に沿った高さが低くなり、パワーモジュール本体部30を基板2に近付けて配置しないと、ピン31bと基板2とを接続できない。そのため、パワーモジュール3bのパワーモジュール本体部30と金属部材4との間の第1の方向に沿った距離が開いてしまい、パワーモジュール本体部30を金属部材4に直接接触させたり、パワーモジュール本体部30を伝熱グリス6を介して金属部材4に熱的に接触させたりすることができない。そこで、金属部材4の設置面40の一部を基板2に近付くように高くして、この高くした部分にパワーモジュール3bを配置する方法が考えられるが、そうすると金属部材4の設置面40の高さを部分的に変える加工が必要になるため、金属部材4の製造コストが嵩んでしまう。
【0060】
この点、本実施の形態では、サイズが小さい方のパワーモジュール3bと金属部材4との間には、放熱部材5fが挟み込まれていることにより、放熱部材5fの第1の方向に沿った厚さを変えることでパワーモジュール3bの第1の方向における位置を調整することができる。これにより、サイズが異なる複数のパワーモジュール3a,3bを金属部材4の同一平面状の設置面40に配置できるため、金属部材4の設置面40の高さを部分的に変える加工が必要なく、金属部材4の製造コストを低減させることができる。
【0061】
本実施の形態では、金属部材4が接地されていることにより、ピン31a,31bとアースとなる電位の部分との間で短絡することがないため、ピン31a,31bからアースとなる電位の部分への短絡電流によるパワーモジュール3a,3bの不具合を抑制することができる。
【0062】
実施の形態4.
次に、
図7および
図8を参照して、実施の形態4にかかる空気調和装置100について説明する。
図7は、実施の形態4にかかる空気調和装置100の室外機110を模式的に示した斜視図である。
図8は、実施の形態4にかかる空気調和装置100を示した概略図である。本実施の形態では、前記した実施の形態1にかかる駆動装置1を、空気調和装置100の室外機110に適用した場合を例示する。なお、実施の形態4では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
図7に示すように、空気調和装置100は、室外機110を備えている。室外機110は、板金筐体111と、室外ファン112と、室外熱交換器113と、圧縮機114と、駆動装置1とを備えている。
図7に示される矢印Yは、室外ファン112によって生成された空気流の送風方向を表している。本実施の形態では、室外機110のうち室外ファン112によって生成された空気流が外部へ排出される方を正面とし、正面の反対側を背面とする。なお、
図7では、室外機110の内部が分かるように、板金筐体111の正面パネルを取り外した状態を図示している。また、
図7では、電気配線、冷媒配管などの図示を省略している。
【0064】
板金筐体111は、室外機110の外郭となる箱状の部材である。板金筐体111の材料には、金属が使用される。板金筐体111は、セパレータ115を有している。セパレータ115は、板金筐体111の内部をファン室116と機械室117とに区画している。ファン室116と機械室117とは、室外機110の幅方向に並んで形成されている。
【0065】
ファン室116には、室外ファン112と室外熱交換器113とが配置されている。室外ファン112は、空気流を生成する機器である。室外熱交換器113は、冷媒と室外の空気との熱交換を行うための部材である。室外熱交換器113には、室外ファン112に取り込むための室外の空気が通過する。
【0066】
機械室117には、圧縮機114と駆動装置1とが配置されている。圧縮機114は、モータ70を駆動源として、後記する冷凍サイクル120の冷媒を圧縮する機器である。
【0067】
図7に示された駆動装置1は、前記した実施の形態1にかかる駆動装置1であるが、前記した実施の形態1から3にかかる駆動装置1~1Dのいずれかであればよい。駆動装置1は、セパレータ115のうち機械室117に臨む面に設置されている。第1の方向が室外機110の幅方向に一致するように、かつ、第2の方向が室外機110の高さ方向に一致するように、駆動装置1がセパレータ115に設置されている。
【0068】
基板2には、複数の電子部品22a,22b,22cが実装されている。金属部材4は、本実施の形態では空気調和装置100の室外機110の板金筐体111である。詳しくは、金属部材4は、板金筐体111のセパレータ115である。セパレータ115は、パワーモジュール本体部30のうち基板2の方を向く面とは反対側の面に熱的に接触している。セパレータ115は、ファン室116に面している。金属部材4は、室外ファン112により生成された空気流が当たる位置に配置されている。金属部材4は、室外ファン112が生成した空気流により冷却される。
【0069】
次に、
図8を参照して、空気調和装置100の冷凍サイクル120について説明する。
【0070】
図8に示すように、空気調和装置100の冷凍サイクル機器は、圧縮機114、四方弁130、室外熱交換器113、膨張装置140、室内熱交換器150を含んでいる。空気調和装置100では、圧縮機114、四方弁130、室外熱交換器113、膨張装置140、室内熱交換器150、四方弁130、圧縮機114の順に冷媒が循環する冷凍サイクル120が行われる。冷凍サイクル機器を構成する機器同士は、冷媒配管160を介して接続されている。圧縮機114、四方弁130、室外熱交換器113および膨張装置140は、空気調和装置100の室外機110に備わっている。室内熱交換器150は、空気調和装置100の室内機に備わっている。
【0071】
次に、空気調和装置100の冷凍サイクル120について、空気調和装置100の冷房運転を例にして説明する。ここでは説明を省略するが、同じ冷凍サイクル120で空気調和装置100の暖房運転も行うことができる。空気調和装置100の冷房運転を行う際には、四方弁130は、
図8の破線矢印に示すように、圧縮機114から吐出された冷媒が室外熱交換器113へ向かうように、かつ、室内熱交換器150から流出した冷媒が圧縮機114へ向かうように流路を予め切り替える。
【0072】
駆動装置1が外部電源60から供給された電力を圧縮機114のモータ70に出力することにより、モータ70が駆動されて圧縮機114が冷媒を圧縮する。圧縮機114で圧縮された冷媒は、高温高圧の冷媒ガスとなる。高温高圧の冷媒ガスは、四方弁130を経由して、室外熱交換器113に送られる。高温高圧の冷媒ガスは、室外熱交換器113で放熱されて凝縮し、高圧常温の液冷媒となる。すなわち、圧縮機114から吐出された高温高圧の冷媒ガスは、室外熱交換器113で室外の空気との熱交換が行われて、高圧常温の液冷媒となる。高圧常温の液冷媒は、膨張装置140に送られる。
【0073】
高圧常温の液冷媒は、膨張装置140で膨張および減圧されて低圧低温の気液二相冷媒となる。低圧低温の気液二相冷媒は、室内熱交換器150に送られる。低圧低温の気液二相冷媒は、室内熱交換器150で蒸発して低圧低温のガス冷媒となる。すなわち、膨張装置140から流出した低圧低温の気液二相冷媒は、室内熱交換器150で空調対象空間の空気との熱交換が行われて、低圧低温のガス冷媒となる。低圧低温のガス冷媒は、四方弁130を経由して、圧縮機114に送られて、圧縮機114で再び圧縮される。以後、空気調和装置100が停止するまで同じ動作が繰り返し行われる。なお、冷媒をより細やかに制御できるように室外機110だけではなく室内機も膨張装置を備える構成にしてもよい。
【0074】
本実施の形態では、空気調和装置100は、モータ70を駆動源として冷凍サイクル120の冷媒を圧縮する圧縮機114と、モータ70の駆動を制御する駆動装置1と、モータ70、圧縮機114および駆動装置1を収容し空気調和装置100の室外機110の外郭を構成する板金筐体111とを備え、金属部材4が板金筐体111である。これにより、パワーモジュール3から板金筐体111に伝わった熱を、板金筐体111から空気中に放熱させることができる。板金筐体111が室外の空気に触れる面積が大きいため、放熱面積が増えて、パワーモジュール3から発生した熱を効率良く放熱させることができる。
【0075】
本実施の形態では、室外機110は、板金筐体111に収容されて空気流を生成する室外ファン112を有し、金属部材4である板金筐体111のセパレータ115には、室外ファン112により生成された空気流が当たる。これにより、室外ファン112が生成した空気流によってセパレータ115が冷却されるため、パワーモジュール3からセパレータ115に伝わった熱を放熱させやすくなる。
【0076】
なお、駆動装置1の配置は、図示した例に限定されない。駆動装置1は、例えば、板金筐体111の天上壁、背面壁などに配置されてもよい。このような配置の場合には、金属部材は、板金筐体111の天上壁、背面壁などになる。
【0077】
また、本実施の形態では、前記した実施の形態1から3にかかる駆動装置1~1Dを、空気調和装置100の室外機110に適用した場合を例示したが、空気調和装置100以外の冷凍サイクル装置に適用してもよい。空気調和装置100以外の冷凍サイクル装置としては、例えば、ヒートポンプ装置、冷凍装置が挙げられる。
【0078】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0079】
例えば、前記した各実施の形態では、パワーモジュール3が、DIPタイプである場合を例にしたが、パワーモジュール3は、例えば、ガルウィング型のピンを有するSOP(Small Outline Package)タイプでもよい。パワーモジュール3がSOPタイプである場合には、ピン31が金属箔20にはんだ付けで接合される。
【符号の説明】
【0080】
1,1A,1B,1C,1D 駆動装置、2 基板、3,3a,3b パワーモジュール、4 金属部材、5,5a,5b,5c,5d,5e,5f 放熱部材、6 伝熱グリス、10 駆動回路、20 金属箔、21 スルーホール導体、22a,22b,22c 電子部品、30 パワーモジュール本体部、31,31a,31b ピン、32 第1の直線部、33 第2の直線部、34 曲線部、35 パワーデバイス、36 樹脂、40 設置面、50 第1の放熱部、51 第2の放熱部、52 張出部、60 外部電源、70 モータ、80 電線、100 空気調和装置、110 室外機、111 板金筐体、112 室外ファン、113 室外熱交換器、114 圧縮機、115 セパレータ、116 ファン室、117 機械室、120 冷凍サイクル、130 四方弁、140 膨張装置、150 室内熱交換器、160 冷媒配管。