(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】測位装置、測位方法、および測位プログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 57/50 20150101AFI20241101BHJP
A63B 57/40 20150101ALI20241101BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
A63B57/50
A63B57/40
A63B71/06 U
(21)【出願番号】P 2024510420
(86)(22)【出願日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 JP2023021955
【審査請求日】2024-02-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣川 類
(72)【発明者】
【氏名】叶谷 晋利
(72)【発明者】
【氏名】石藤 太地
(72)【発明者】
【氏名】東 大輝
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-545257(JP,A)
【文献】特開2016-038807(JP,A)
【文献】特開2016-209288(JP,A)
【文献】特開2022-137971(JP,A)
【文献】特開2020-185117(JP,A)
【文献】特表2022-552494(JP,A)
【文献】特開2015-121624(JP,A)
【文献】特開2019-080660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 49/00-51/16
A63B 55/00-60/64
A63B 71/00-71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置において、
前記設置地点に配置される設置体と、
衛星信号を受信するアンテナと、
前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出する位置取得部と、
加速度を装置加速度として計測する加速度センサと、
前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定する衝撃判定部と、
角速度を装置角速度として計測する角速度センサと、
前記装置角速度が、前記測位装置が動揺していないことを示す基準値である動揺判定基準を満たすか否かを判定する動揺判定部と、
前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たし、かつ、前記装置角速度が前記動揺判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する位置算出部と
を備える測位装置。
【請求項2】
前記測位装置は、
前記装置加速度が、前記設置体の姿勢が鉛直であることを示す基準値である垂直判定基準を満たすかを判定する垂直判定部を備え、
前記位置算出部は、
前記装置加速度が前記衝撃判定基準と前記垂直判定基準との両方を満たし、かつ、前記装置角速度が前記動揺判定基準を満たす場合に前記設置位置を算出する請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記測位装置は、
前記設置位置の算出処理中を示す通知部を備える請求項2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記設置体は、前記設置地点として前記グリーンに形成されたホールに設置される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の測位装置。
【請求項5】
前記測位装置は、
前記グリーンにおける複数の設置地点の位置を複数の設置位置として記憶する記憶部と、
前記複数の設置位置に基づいて前記グリーンの形状を算出するグリーン算出部と
を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の測位装置。
【請求項6】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置に用いられる測位方法において、
前記測位装置は、コンピュータと、前記設置地点に配置される設置体と、衛星信号を受信するアンテナと、加速度を装置加速度として計測する加速度センサと、角速度を装置角速度として計測する角速度センサと
を備え、
前記コンピュータが、前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出し、
前記コンピュータが、前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定し、
前記コンピュータが、前記装置角速度が、前記測位装置が動揺していないことを示す基準値である動揺判定基準を満たすか否かを判定し、
前記コンピュータが、前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たし、かつ、前記装置角速度が前記動揺判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する測位方法。
【請求項7】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置に用いられる測位プログラムにおいて、
前記測位装置は、コンピュータと、前記設置地点に配置される設置体と、衛星信号を受信するアンテナと、加速度を装置加速度として計測する加速度センサと、角速度を装置角速度として計測する角速度センサと
を備え、
前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出する位置取得処理と、
前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定する衝撃判定処理と、
前記装置角速度が、前記測位装置が動揺していないことを示す基準値である動揺判定基準を満たすか否かを判定する動揺判定処理と、
前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たし、かつ、前記装置角速度が前記動揺判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する位置算出処理と
を前記コンピュータに実行させる測位プログラム。
【請求項8】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置において、
前記設置地点に配置される設置体と、
Fix解を得るために、前記測位装置の電源がオンの状態
で衛星信号を連続的に受信するアンテナと、
前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出する位置取得部と、
加速度を装置加速度として計測する加速度センサと、
前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定する衝撃判定部と、
前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する位置算出部と
を備える測位装置。
【請求項9】
前記位置算出部は、Fix解が所定回数算出できた場合に計測を終了する
請求項8に記載の測位装置。
【請求項10】
計測の終了を通知する通知部を更に備える
請求項9に記載の測位装置。
【請求項11】
前記測位装置の電源のオンオフを可能とする物理ボタンを更に備える
請求項8から10のいずれか一項に記載の測位装置。
【請求項12】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置に用いられる測位方法において、
前記測位装置は、コンピュータと、前記設置地点に配置される設置体と、
Fix解を得るために、前記測位装置の電源がオンの状態
で衛星信号を連続的に受信するアンテナと、加速度を装置加速度として計測する加速度センサと
を備え、
前記コンピュータが、前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出し、
前記コンピュータが、前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定し、
前記コンピュータが、前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する測位方法。
【請求項13】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置に用いられる測位プログラムにおいて、
前記測位装置は、コンピュータと、前記設置地点に配置される設置体と、
Fix解を得るために、前記測位装置の電源がオンの状態
で衛星信号を連続的に受信するアンテナと、加速度を装置加速度として計測する加速度センサと
を備え、
前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出する位置取得処理と、
前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定する衝撃判定処理と、
前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する位置算出処理と
を前記コンピュータに実行させる測位プログラム。
【請求項14】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置において、
前記設置地点に配置される設置体と、
衛星信号を受信するアンテナと、
前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出する位置取得部と、
加速度を装置加速度として計測する加速度センサと、
前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定する衝撃判定部と、
前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する位置算出部と、
前記グリーンにおける複数の設置地点の位置を複数の設置位置として記憶する記憶部と、
前記複数の設置位置に基づいて前記グリーンの形状を算出するグリーン算出部と
を備える測位装置。
【請求項15】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置に用いられる測位方法において、
前記測位装置は、コンピュータと、前記設置地点に配置される設置体と、衛星信号を受信するアンテナと、加速度を装置加速度として計測する加速度センサと
を備え、
前記コンピュータが、前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出し、
前記コンピュータが、前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定し、
前記コンピュータが、前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出し、
前記コンピュータが、前記グリーンにおける複数の設置地点の位置を複数の設置位置として記憶し、
前記コンピュータが、前記複数の設置位置に基づいて前記グリーンの形状を算出する測位方法。
【請求項16】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置に用いられる測位プログラムにおいて、
前記測位装置は、コンピュータと、前記設置地点に配置される設置体と、衛星信号を受信するアンテナと、加速度を装置加速度として計測する加速度センサと
を備え、
前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出する位置取得処理と、
前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定する衝撃判定処理と、
前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する位置算出処理と
前記グリーンにおける複数の設置地点の位置を複数の設置位置として記憶する記憶処理と、
前記複数の設置位置に基づいて前記グリーンの形状を算出するグリーン算出処理と
を前記コンピュータに実行させる測位プログラム。
【請求項17】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置において、
前記設置地点に配置される設置体と、
衛星信号を受信するアンテナと、
前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出する位置取得部と、
加速度を装置加速度として計測する加速度センサと、
前記測位装置の任意の箇所に対する衝撃を前記加速度センサにより検知し、前記加速度センサにより計測された前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定する衝撃判定部と、
前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する位置算出部と
を備える測位装置。
【請求項18】
前記衝撃判定部は、
所定値を超える前記装置加速度が前記測位装置に連続して所定回数加わったと判定した場合に、前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たすと判定する請求項17に記載の測位装置。
【請求項19】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置に用いられる測位方法において、
前記測位装置は、コンピュータと、前記設置地点に配置される設置体と、衛星信号を受信するアンテナと、加速度を装置加速度として計測する加速度センサと
を備え、
前記コンピュータが、前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出し、
前記コンピュータが、前記測位装置の任意の箇所に対する衝撃を前記加速度センサにより検知し、前記加速度センサにより計測された前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定し、
前記コンピュータが、前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する測位方法。
【請求項20】
ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する測位装置に用いられる測位プログラムにおいて、
前記測位装置は、コンピュータと、前記設置地点に配置される設置体と、衛星信号を受信するアンテナと、加速度を装置加速度として計測する加速度センサと
を備え、
前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出する位置取得処理と、
前記測位装置の任意の箇所に対する衝撃を前記加速度センサにより検知し、前記加速度センサにより計測された前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定する衝撃判定処理と、
前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する位置算出処理と
を前記コンピュータに実行させる測位プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測位装置、測位方法、および測位プログラムに関する。特に、ゴルフコースのグリーン上の位置を計測する測位装置、測位方法、および測位プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場では、グリーン上のピン位置、すなわちホール位置は基本的に毎日変更される。その理由は以下の通りである。
・ホールのまわりの芝は日が経つうちに擦れてくる。
・ホールの位置が同じだとプレイが退屈になる。
・ホールの位置によって難易度が変わる。
【0003】
ホール位置の情報を正確に管理することは、ゴルフ場の芝の維持管理、ゴルファーのゴルフ場に対する満足度、およびゴルファーのプレイ戦略立案の観点から重要である。
【0004】
特許文献1では、カップに着脱可能に設けられた高精度の測位端末により特定された測位情報を外部機器に送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のゴルフピン位置検出装置では、計測時に物理ボタンを操作する必要がある。物理ボタンがあると、土あるいは草といった外部要因により故障率が高くなるという課題がある。また、物理ボタンの設計コストあるいはメンテナンスコストが大きくなるという課題がある。また、機器の操作に不慣れな人が扱う場合、操作者が物理ボタンの押下といった操作を忘れてしまう、あるいは誤操作してしまうといった課題がある。
【0007】
本開示では、計測開始のトリガとなる物理ボタンを必要とせずに設置位置であるホール位置を正確に計測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る測位装置は、ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点を計測する測位装置において、
前記設置地点に配置される設置体と、
衛星信号を受信するアンテナと、
前記衛星信号を用いて前記アンテナの位置を算出する位置取得部と、
加速度を装置加速度として計測する加速度センサと、
前記装置加速度が、前記測位装置に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準を満たすか否かを判定する衝撃判定部と、
前記装置加速度が前記衝撃判定基準を満たす場合に、前記アンテナの位置を用いて前記設置地点の位置である設置位置を算出する位置算出部と
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る測位装置では、衝撃判定部が、装置加速度が衝撃判定基準を満たすか否かを判定する。そして、位置算出部は、装置加速度が衝撃判定基準を満たす場合に、アンテナの位置から設置位置を算出する。よって、本開示に係る測位装置によれば、計測開始のトリガとなる物理ボタンを必要とせずに設置位置であるホール位置を正確に計測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る測位装置の全体構成例を示す図。
【
図2】実施の形態1に係る測位装置の機能構成例を示す図。
【
図3】実施の形態1に係る測位装置の動作例を示すフロー図。
【
図4】実施の形態1に係る作業員用端末の表示例を示す図。
【
図5】実施の形態1に係る受信機のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図6】実施の形態1に係る受信機のハードウェア構成の別例を示す図。
【
図7】実施の形態2に係る測位装置の機能構成例を示す図。
【
図8】実施の形態3に係る測位装置の機能構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態について、図を用いて説明する。各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。図中の矢印はデータの流れまたは処理の流れを主に示している。また、以下の図では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、実施の形態の説明において、上、下、左、右、前、後、表、裏といった向きあるいは位置が示されている場合がある。これらの表記は、説明の便宜上の記載であり、装置、器具、あるいは部品等の配置、方向および向きを限定するものではない。
【0012】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る測位装置100の全体構成例を示す図である。
測位装置100は、ゴルフコースのグリーン20に設置され、設置地点30の位置である設置位置35を計測する。
測位装置100は、本体150に、アンテナ110と受信機120とバッテリ130と設置体140とが備えられている。
例えば、測位装置100は、ゴルフコースのグリーン20に設けられたホール31を設置地点30として、設置地点30の位置であるホール位置を計測する。測位装置100は、ホール位置計測装置ともいう。
測位装置100は、グランドキーパーあるいはグリーンキーパーといった作業員40によって操作される。
【0013】
本実施の形態に係る測位装置100は、長尺状の本体150の上端部にアンテナを備える。また、アンテナ110の下部に、受信機120とバッテリ130が具備される。さらに、長尺状の本体150の下端部には、位置を計測する対象となる設置地点30に設置される設置体140が備えられている。
なお、測位装置100の形状は、
図1の形状に限らない。例えば、本体150は箱型を成し、上部にアンテナ110を配置し、下部に設置体140を配置し、箱の内部に受信機120とバッテリ130を配置してもよい。あるいは、その他の形状でも構わない。
【0014】
測位装置100は、設置位置35の計測が完了すると、作業員40が携帯する作業員用端末200に設置位置35を送信する。
【0015】
図2は、本実施の形態に係る測位装置100の機能構成例を示す図である。
アンテナ110は、衛星信号を受信する。
バッテリ130は、アンテナ110および受信機120に電力を供給する。
【0016】
設置体140は、設置地点30に設置される。
本実施の形態では、設置体140は、ホール内のピン取付部に嵌まるようにピンの先端と同様の形状に形成されている。よって、測位装置100は、ホールにピンをさすようにホールに設置される。
なお、設置体140の形状はピン型に限らない。
設置体140の形状は、ホール31に嵌まるような円柱形、円錐形、あるいは角柱形でもよい。
あるいは、設置体140はホール31の周囲に設置する三脚でもよい。三脚の場合、3点で安定的に設置することができるとともに、ホール31の周囲の3か所のみに接するので芝を傷つけるおそれが低い。
あるいは、設置体140はホール31の周囲に設置するパイロン型でもよい。内部が空洞のパイロン型の設置体140であれば、ホール31の周囲に線状に接することになり、芝を傷つけるおそれが低い。
【0017】
受信機120は、位置取得部121、加速度センサ122、衝撃判定部123、位置算出部124、通知部125、記憶部126、および通信部127を備える。
【0018】
位置取得部121は、アンテナ110から受信した衛星信号を用いてアンテナの位置を算出する。具体的には、位置取得部121は、衛星信号から航法メッセージおよび観測データといった衛星データを生成し、衛星データを用いてアンテナの位置を算出する。位置取得部121の処理は、例えば、1秒に1回のように連続的に実行される。位置取得部121は、衛星データ生成部ともいう。
なお、位置算出部124は、補強情報を使って測位を行ってもよい。補強情報は衛星から取得してもインターネットから取得してもよい。
【0019】
加速度センサ122は、加速度を装置加速度51として計測する。装置加速度51は、測位装置100の加速度である。加速度センサ122では、センサに加わる力から加速度を求めるため、静止状態でも鉛直方向には1gの加速度が計測される。
【0020】
衝撃判定部123は、装置加速度51が、測位装置100に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準61を満たすか否かを判定する。衝撃判定基準61は、測位装置100に所定値を超える衝撃、すなわち加速度が加わったか、所定値を超える衝撃が連続して所定回数検知されたかを示す基準値である。
【0021】
位置算出部124は、装置加速度51が衝撃判定基準61を満たす場合に、アンテナの位置を用いて設置地点30の位置である設置位置35を算出する。本実施の形態では、位置算出部124は、衝撃判定基準61を満たすと判定された場合に、アンテナの位置を用いて設置位置35であるホール位置を算出する。
【0022】
通知部125は、位置算出部124による設置位置35の算出処理中を示す。例えば、通知部125は、LEDで実現される。LEDは、Light Emitting Diodeの略語である。通知部125は、設置位置35の計測処理が開始するとLEDを点滅させ、計測が完了したらLEDを消灯あるいは連続点灯させる。あるいは、LEDの色分けにより、計測中か計測完了かを示してもよい。
【0023】
記憶部126は、位置算出部124により算出された設置位置35を含む設置位置情報を記憶する。
通信部127は、設置位置情報を、有線あるいは無線にて外部機器に送信する。
【0024】
***動作の説明***
図3は、本実施の形態に係る測位装置100の動作例を示すフロー図である。
図3を用いて、本実施の形態に係る測位装置100の動作について説明する。測位装置100の動作手順は、測位方法に相当する。また、測位装置100の動作を実現するプログラムは、測位プログラムに相当する。
【0025】
本実施の形態では、作業員40はホール新設作業時に測位装置100を携行する。作業員40は、グリーン20において穴あけ作業後、ホール31に測位装置100の設置体140を設置する。このとき、ホールが設置地点30であり、ホール位置が設置位置35となる。このような状態で以下の処理が実行される。
【0026】
ステップS100において、測位装置において電源オンとなる。
測位装置が電源オンとなっただけでは設置位置(ホール位置)の計測は開始されない。測位装置の電源は物理ボタンなどでオンオフ可能としてもよい。
ステップS101において、アンテナ110は衛星信号を受信する。
ステップS102において、位置取得部121は、衛星信号を用いて、アンテナ110の位置を算出する。具体的には、位置取得部121は、衛星信号から観測データおよび航法メッセージを取得する。そして、位置取得部121は、観測データおよび航法メッセージを用いてアンテナの位置を算出する。
ステップS102の処理は、1秒に1回のように連続的に実施される。
【0027】
ステップS103において、位置取得部121は、設置位置(ホール位置)の計測を開始するかを判定する。本実施の形態では、測位装置100に所定の衝撃があった場合に、設置位置の計測を開始すると判定される。
測位装置100に所定の衝撃があったか否かについては以下のように判定される。
【0028】
衝撃判定部123は、所定の衝撃があったか否かを判定する。具体的には、衝撃判定部123は、加速度センサ122により検出された装置加速度51が、測位装置100に対する衝撃の基準値である衝撃判定基準61を満たすか否かを判定する。装置加速度51が衝撃判定基準61を満たす場合に、衝撃判定部123は、所定の衝撃があったと判定する。
より具体的には、以下の通りである。
【0029】
上述のように、所定の衝撃とは、測位装置100が設置位置の計測開始のタイミングを示すものである。設置位置の計測開始のタイミングとは、位置算出部124が位置算出処理を開始するタイミングである。測位装置100は、所定の衝撃が加わると設置位置の計測開始のトリガであると判定する。
また、衝撃判定基準61は、測位装置100に所定値を超える衝撃、すなわち加速度が加わったか、および所定値を超える衝撃が連続して所定回数検知されたかの基準値である。
【0030】
誤検出を避けるため、計測開始のトリガとして、例えば、短時間で複数回(2回以上)の衝撃を所定の衝撃として検出する。本実施の形態では、所定の衝撃として短時間で複数回(2回以上)の衝撃を検出するものとする。短時間で複数回(2回以上)の衝撃を以下においてダブルクリックと呼ぶ。
なお、所定の衝撃はダブルクリックに限らない。誤検出を抑制することができる衝撃であればどのような衝撃を所定の衝撃として採用しても構わない。
【0031】
装置加速度51が衝撃判定基準61を満たす、すなわち所定の衝撃があったと判定されると、ステップS104に進む。
【0032】
ステップS104において、通知部125は、位置算出部124による設置位置の算出処理中を通知する。例えば、通知部125は、LEDを点滅させることで設置位置の計測中であることを通知する。位置算出部124による設置位置の算出処理を、設置位置の計測と呼ぶ場合もある。
【0033】
ステップS105において、位置算出部124は、アンテナの位置を用いて設置地点の位置である設置位置を算出する。
具体的には、位置算出部124は、アンテナの位置、測位装置100の長さ、および測位装置100の傾きの情報から、設置位置35を算出する。測位装置100が垂直に立っている場合、位置算出部124は、アンテナの位置から測位装置100の長さを引いた位置を設置位置35として算出する。
【0034】
ステップS106において、位置算出部124は、設置位置の計測完了か否かを判定する。
例えば、位置算出部124は、Fixで10回計測できたら計測を終了するといった手法により自動で計測を終了する。これにより、物理ボタンを押すといった動作をすることなく自動で計測を終了させることができる。
設置位置の計測完了と判定されると、ステップS107に進む。
設置位置の計測完了と判定されるまで、ステップS106の処理を繰り返す。
【0035】
ステップS107において、通知部125は、設置位置の計測の終了を通知する。具体的には、通知部125は、LEDを消灯あるいは連続点灯させることで設置位置の計測完了を通知する。作業員40は、LEDを消灯あるいは連続点灯により、設置位置の計測完了を知ることができる。
なお、自動的に終了しない場合、作業員40が強制終了させることができる構成としてもよい。例えば、測位装置100は、測位装置100が横になったことを検知すると計測終了する、という機能を有していてもよい。これにより、自動で終了しない場合(LEDが消灯あるいは連続点灯しない場合)は、作業員40は、測位装置100を横にして計測終了させることができる。
【0036】
ステップS108において、記憶部126は、位置算出部124により算出された設置位置35を含む設置位置情報を記憶する。本実施の形態では、設置位置35はホール位置であり、設置位置情報はホール位置情報である。
【0037】
ステップS109において、通信部127は、設置位置情報を外部機器に送信する。
例えば、通信部127は、作業員用端末200に設置位置情報を送信する。作業員用端末200は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、あるいはスマートウォッチである。
【0038】
図4は、本実施の形態に係る作業員用端末200の表示例を示す図である。
図4に示すように、地図上にホールの計測位置である設置位置35が表示される。このとき、測位品質に応じて表示を色分けする。例えば、オレンジは単独測位、淡い青はFLOAT、濃い青はFIXのように測位品質を表示する。
図示はないが、NMEAフォーマットでGGAを表示する。NMEAは、National Marine Electronics Associationの略語である。
なお、グラウンドキーパー用端末である作業員用端末200を使わない場合は、有線でPCと接続してもよいし、サーバに直接送信してもよい。PCは、Personal Computerの略語である。
【0039】
***ハードウェア構成の説明***
受信機120は、コンピュータである。受信機120の機能は、プロセッサ910を用いたソフトウェアで実現してもよいし、電子回路909を用いたハードウェアで実現してもよい。
まず、受信機120の各部の機能がソフトウェアで実現される例を説明する。
【0040】
<ソフトウェアで実現>
図5は、本実施の形態に係る受信機120のハードウェア構成の一例を示す図である。
受信機120は、コンピュータである。受信機120は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入出力インタフェース930、および通信インタフェース950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線80を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0041】
受信機120は、上述したように、機能要素として、位置取得部121と衝撃判定部123と位置算出部124と通知部125と記憶部126と通信部127を備える。位置取得部121と衝撃判定部123と位置算出部124と通知部125の機能は、ソフトウェアにより実現される。
位置取得部121と衝撃判定部123と位置算出部124と通知部125の機能を、受信機120の機能と呼ぶ場合もある。また、位置取得部121と衝撃判定部123と位置算出部124と通知部125の機能を、受信機120を、受信機120の各部と呼ぶ場合もある。
【0042】
プロセッサ910は、測位プログラムを実行する装置である。測位プログラムは、受信機120の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うICである。プロセッサ910の具体例は、CPU、DSP、GPUである。ICは、Integrated Circuitの略語である。CPUは、Central Processing Unitの略語である。DSPは、Digital Signal Processorの略語である。GPUは、Graphics Processing Unitの略語である。
【0043】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM、あるいはDRAMである。SRAMは、Static Random Access Memoryの略語である。DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略語である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0044】
入出力インタフェース930は、入出力装置を接続するためのインタフェースである。入出力インタフェース930は、具体例としては、USB、HDMI(登録商標)のポートである。USBは、Universal Serial Busの略である。HDMI(登録商標)は、High-Definition Multimedia Interfaceの略である。
【0045】
通信インタフェース950は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース950は、具体例としては、Ethernet(登録商標)のポート、あるいは、無線通信を行う装置である。
【0046】
測位プログラムは、受信機120において実行される。測位プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、測位プログラムだけでなく、OSも記憶されている。OSは、Operating Systemの略語である。プロセッサ910は、OSを実行しながら、測位プログラムを実行する。測位プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている測位プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、測位プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0047】
受信機120は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、測位プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、測位プログラムを実行する装置である。
【0048】
測位プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0049】
受信機120の各部の「部」を「回路」、「工程」、「手順」、「処理」、あるいは「サーキットリー」に読み替えてもよい。測位プログラムは、受信機120の各部の「部」を「処理」に読み替えた各処理を、コンピュータに実行させる。受信機120の各処理の「処理」を「プログラム」、「プログラムプロダクト」、「プログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体」、または「プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体」に読み替えてもよい。また、測位方法は、受信機120が測位プログラムを実行することにより行われる方法である。
測位プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、測位プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0050】
<ハードウェアで実現>
次に、受信機120の各部の機能がハードウェアで実現される例を説明する。
具体的には、受信機120は、プロセッサ910に替えて電子回路909を備える。
【0051】
図6は、本実施の形態の変形に係る受信機120のハードウェア構成の別例を示す図である。
電子回路909は、受信機120の各部の機能を実現する専用の電子回路である。電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。
【0052】
受信機120の各部の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
【0053】
別の変形例として、受信機120の各部の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。また、受信機120の各部の一部またはすべての機能がファームウェアで実現されてもよい。
【0054】
プロセッサと電子回路の各々は、プロセッシングサーキットリとも呼ばれる。つまり、受信機120の各部の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0055】
***他の構成***
<変形例1>
本実施の形態では、測位装置100は、ホール位置あるいはグリーン上の特定の位置を計測する態様について説明した。
変形例1では、測位装置100により複数の設置位置を計測し、複数の設置位置に基づいてグリーンの形状を算出してもよい。
具体的には、測位装置100により複数の設置位置を計測し、記憶部126にグリーン上における複数の設置位置を記憶する。また、測位装置100は、複数の設置位置に基づいてグリーンの形状、すなわちグリーンの傾きを算出するグリーン算出部を備える。
【0056】
例えば、設置体140が三脚である測位装置100を使って、グリーン面に対して垂直に測位装置100を設置する。このような状態でグリーン上の複数点の位置を計測し、それらの位置情報からグリーン面の傾きを計測する。このようなグリーン面計測方法によれば、LiDARを使ってグリーン面の計測を行うよりも安価にできる。
【0057】
また、測位装置100で1つの設置地点を計測すると、1か所につき数秒から数十秒かかる。そこで、測位装置100は、搭載された加速度センサ122を用いて、グリーン上の複数の設置地点の加速度を計測し、複数の設置地点の加速度を記憶部126に記憶してもよい。そして、グリーン算出部は、各設置地点の加速度を2回積分することで設置地点の位置情報を算出し、その位置情報を使ってグリーンの形状、すなわちグリーンの傾きを算出する。これにより、安価かつ高速にグリーンの形状、すなわちグリーンの傾きを算出することができる。
【0058】
<変形例2>
本実施の形態では、位置取得部が観測データおよび航法メッセージからアンテナ位置を算出し、位置算出部が設置位置を算出している。しかし、位置取得部が衛星信号から観測データおよび航法メッセージを取得し、位置算出部が観測データおよび航法メッセージからアンテナ位置を算出して、設置位置を算出してもよい。
【0059】
<変形例3>
本実施の形態では、測位装置の設置体の形状を、例えばゴルフ場で使用されるピンの先端部と同様の形状とすることで、測位装置そのものをカップに設置する測位装置について説明した。
一方、測位装置をゴルフ場で使用されるピンに取り付け可能に構成してもよい。ピンに取り付け可能な測位装置であれば、アンテナ、受信機、およびバッテリが搭載されていればよく、設置体は設けなくてもよい。例えば、アンテナ、受信機、およびバッテリが搭載された測位装置を小型化し、小型の測位装置をピンの先端付近に取り付けて使用してもよい。
【0060】
***本実施の形態の効果の説明***
以上のように、本実施の形態に係る測位装置100では、測位装置に加速度センサを搭載し、所定の衝撃(加速度)が加わったことを検知すると測位を開始する。よって、本実施の形態に係る測位装置100によれば、早く、簡単に、安価に、かつ正確に設置位置を計測することができる。
また、本実施の形態に係る測位装置100では、計測開始のトリガとなる物理ボタンといった物理的な機器を必要としないため、故障し難い装置を実現できる。
【0061】
実施の形態2.
本実施の形態では、主に、実施の形態1と異なる点および実施の形態1に追加する点について説明する。
本実施の形態において、実施の形態1と同様の機能を有する構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
***構成の説明***
図7は、本実施の形態に係る測位装置100の構成例を示す図である。
本実施の形態では、実施の形態1で説明した構成に加え、垂直判定部128を備える。
垂直判定部128は、装置加速度51が、設置体140の姿勢が鉛直であることを示す基準値である垂直判定基準62を満たすかを判定する。なお、垂直判定基準62を満たす場合、設置体140の姿勢が完全に鉛直でなくてもよく、設置体140の姿勢が概ね鉛直であればよい。
位置算出部124は、装置加速度51が衝撃判定基準61と垂直判定基準62との両方を満たす場合に設置位置35を算出する。
【0063】
***動作の説明***
本実施の形態に係る測位装置100の動作例について説明する。
本実施の形態に係る測位装置100の動作については、
図3で説明した実施の形態1で説明した測位装置100の動作と基本的には同様であるが、ステップS103における設置位置の計測を開始するかの判断基準が異なる。
具体的には、以下の通りである。
【0064】
本実施の形態では、測位装置100に所定の衝撃があり、かつ、測位装置100が鉛直の場合に、位置算出部124は、設置位置の計測を開始すると判定する。
測位装置100が鉛直であるか否かについては以下のように判定される。
【0065】
垂直判定部128は、装置加速度51が垂直判定基準62を満たすかを判定する。垂直判定基準62は、検出された加速度の方向が重力加速度の方向と同じと判定できる基準値である。具体的には、垂直判定基準62は、検出された加速度の方向が重力加速度の方向と概ね同じと判定できる基準値である。
位置算出部124は、装置加速度51が衝撃判定基準61と垂直判定基準62との両方を満たす場合に設置位置の計測を開始すると判定する(ステップS103でYES)。
【0066】
***本実施の形態の効果の説明***
以上のように、本実施の形態に係る測位装置100では、実施の形態1の効果に加え、より高精度に設置位置を計測することができる。
【0067】
実施の形態3.
本実施の形態では、主に、実施の形態1,2と異なる点および実施の形態1,2に追加する点について説明する。
本実施の形態において、実施の形態1,2と同様の機能を有する構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
***構成の説明***
図8は、本実施の形態に係る測位装置100の構成例を示す図である。
本実施の形態では、実施の形態2で説明した構成に加え、角速度センサ122aと動揺判定部129を備える。
【0069】
角速度センサ122aは、角速度を装置角速度52として計測する。加速度センサ122と角速度センサ122aは同一機器でもよい。
動揺判定部129は、装置角速度52が、測位装置100が動揺していないことを示す基準値である動揺判定基準63を満たすか否かを判定する。
位置算出部124は、装置加速度51が衝撃判定基準61と垂直判定基準62との両方を満たし、かつ、装置角速度52が動揺判定基準63を満たす場合に設置位置を算出する。
なお、位置算出部124は、装置加速度51が衝撃判定基準61、かつ、装置角速度52が動揺判定基準63を満たす場合に設置位置を算出するとしてもよい。
【0070】
***動作の説明***
本実施の形態に係る測位装置100の動作例について説明する。
本実施の形態に係る測位装置100の動作については、
図3で説明した実施の形態1で説明した測位装置100の動作と基本的には同様であるが、ステップS103における設置位置の計測を開始するかの判断基準が異なる。
具体的には、以下の通りである。
【0071】
本実施の形態では、測位装置100に所定の衝撃があり、かつ、測位装置100が鉛直であり、かつ、測位装置100が動揺していない場合、位置算出部124は設置位置の計測を開始すると判定する。
測位装置100が動揺しているか否かについては以下のように判定される。
【0072】
動揺判定部129は、装置角速度52が、測位装置100が動揺していないことを示す基準値である動揺判定基準63を満たすか否かを判定する。動揺判定基準63は、装置角速度52が、回転(動揺)の無い状態になっているかを示す基準値である。
位置算出部124は、装置加速度51が衝撃判定基準61と垂直判定基準62との両方を満たし、かつ、装置角速度52が動揺判定基準63を満たす場合に設置位置の計測を開始すると判定する(ステップS103でYES)。
【0073】
***本実施の形態の効果の説明***
以上のように、本実施の形態に係る測位装置100では、実施の形態1,2の効果に加え、より高精度に設置位置を計測することができる。
【0074】
以上の実施の形態1から3では、測位装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、測位装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。測位装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、測位装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1から3のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、これら実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1から3では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0075】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示の範囲、本開示の適用物の範囲、および本開示の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、フロー図あるいはシーケンス図を用いて説明した手順は、適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0076】
20 グリーン、30 設置地点、31 ホール、35 設置位置、40 作業員、51 装置加速度、52 装置角速度、61 衝撃判定基準、62 垂直判定基準、63 動揺判定基準、80 信号線、100 測位装置、110 アンテナ、120 受信機、121 位置取得部、122 加速度センサ、122a 角速度センサ、123 衝撃判定部、124 位置算出部、125 通知部、126 記憶部、127 通信部、128 垂直判定部、129 動揺判定部、130 バッテリ、140 設置体、150 本体、200 作業員用端末、909 電子回路、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入出力インタフェース、950 通信インタフェース。
【要約】
測位装置(100)は、ゴルフコースのグリーンに設置され、設置地点の位置を計測する。アンテナ(110)は、衛星信号を受信する。位置取得部(121)は、衛星信号を用いてアンテナ(110)の位置を算出する。衝撃判定部(123)は、加速度センサ(122)により計測された装置加速度(51)が、衝撃判定基準(61)を満たすか否かを判定する。位置算出部(124)は、装置加速度(51)が衝撃判定基準(61)を満たす場合に、アンテナ(110)の位置を用いて設置地点の位置である設置位置(35)を算出する。