(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】エレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20241101BHJP
B66B 5/12 20060101ALI20241101BHJP
B66B 7/12 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B5/12 A
B66B7/12 Z
(21)【出願番号】P 2024513619
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2022017184
(87)【国際公開番号】W WO2023195102
(87)【国際公開日】2023-10-12
【審査請求日】2024-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】稲吉 裕紀
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-107767(JP,A)
【文献】特開2001-328778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0339983(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0327218(US,A1)
【文献】国際公開第03/082722(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00- 5/28
B66B 7/00- 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベル計と、
保護カバーに設けられ、前記レベル計が前記保護カバーに対して上下方向に移動可能となるように前記レベル計を保持している保持部と、
を備え、
前記レベル計は、上方からカウンタウエイトに押される受け部と、前記受け部に設けられ、前記カウンタウエイトの下端部の位置を示す目印部と、前記受け部および前記目印部を前記保護カバーに沿って案内する案内部と、を有しているエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置。
【請求項2】
前記保護カバーには、前記上下方向に延びたスリットが形成されており、
前記目印部は、前記受け部から前記スリットに挿入されて前記保護カバーを貫通している請求項1に記載のエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置。
【請求項3】
前記保持部は、磁力によって前記案内部を前記保護カバーに押し付ける磁石部を有しており、
前記受け部が前記カウンタウエイトによって下方に押されることによって、前記案内部と前記保護カバーとの間の摩擦力に逆らって前記レベル計が下方に移動する請求項1または請求項2に記載のエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置。
【請求項4】
前記保持部は、弾性力によって前記案内部を前記保護カバーに押し付けるばね部材を有しており、
前記受け部が前記カウンタウエイトによって下方に押されることによって、前記案内部と前記保護カバーとの間の摩擦力に逆らって前記レベル計が下方に移動する請求項1または請求項2に記載のエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置。
【請求項5】
前記保持部は、上下方向に伸縮するばね部材を有し、
前記レベル計は、前記ばね部材を介して前記保護カバーに支持されており、
前記受け部が前記カウンタウエイトによって下方に押されることによって、前記ばね部材の弾性力に逆らって前記レベル計が下方に移動する請求項1または請求項2に記載のエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置。
【請求項6】
前記保護カバーに設けられ、前記目印部が予め設定された位置にあることを検出する検出装置をさらに備えている請求項1から請求項5までの何れか一項に記載のエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置。
【請求項7】
前記上下方向において前記目印部から離れて前記保護カバーに設けられ、前記目印部までの距離を測定する距離測定装置をさらに備えている請求項1から請求項5までの何れか一項に記載のエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カウンタバッファの周囲にあるピットの側壁に設けられたスケールステッカーを用いて、カウンタウエイトのクリアランス寸法を測定するエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カウンタバッファの周囲には、保護カバーが設けられている。乗りかごが最上階に着床している場合に、カウンタウエイトのクリアランスが保護カバーによって覆われている。したがって、特許文献1に記載された方法では、カウンタウエイトのクリアランス寸法を測定する際に、保護カバーを一時的に取り外す必要があるという課題があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、保護カバーを取り外すことなく、カウンタウエイトのクリアランス寸法を測定することができるエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置は、レベル計と、保護カバーに設けられ、レベル計が保護カバーに対して上下方向に移動可能となるようにレベル計を保持している保持部と、を備え、レベル計は、上方からカウンタウエイトに押される受け部と、受け部に設けられ、カウンタウエイトの下端部の位置を示す目印部と、受け部および目印部を保護カバーに沿って案内する案内部と、を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置によれば、保護カバーを取り外すことなく、カウンタウエイトのクリアランス寸法を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置が取り付けられるエレベータを示す構成図である。
【
図2】
図1のカウンタウエイトおよび保護カバーを示す斜視図である。
【
図3】エレベータの据付直後における実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を示す正面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿った矢視断面図である。
【
図8】エレベータの経年変化後における実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を示す正面図である。
【
図9】実施の形態2に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を示す正面図である。
【
図10】
図9のX-X線に沿った矢視断面図である。
【
図11】
図9のXI-XIに沿った矢視断面図である。
【
図12】実施の形態3に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を示す正面図である。
【
図13】
図12のXIII-XIII線に沿った矢視断面図である。
【
図14】エレベータの据付直後における実施の形態4に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を示す正面図である。
【
図16】エレベータの経年変化後における実施の形態4に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を示す正面図である。
【
図17】実施の形態5に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を示す正面図である。
【
図18】
図17のXVIII-XVIII線に沿った矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置が取り付けられるエレベータを示す構成図である。エレベータは、乗りかご1と、主ロープ2と、カウンタウエイト3と、巻上機4と、カウンタバッファ5と、保護カバー6と、を備えている。
【0010】
乗りかご1の上端部には、主ロープ2の長手方向における主ロープ2の一端部が接続されている。カウンタウエイト3の上端部には、主ロープ2の長手方向における主ロープ2の他端部が接続されている。
【0011】
巻上機4には、主ロープ2の長手方向における主ロープ2の中間部が掛けられている。巻上機4が駆動することによって、主ロープ2が移動する。主ロープ2が移動することによって、乗りかご1およびカウンタウエイト3が互いに反対の方向に昇降路7を昇降する。
【0012】
カウンタバッファ5は、昇降路7のピット701に設けられている。保護カバー6は、カウンタバッファ5の周囲に設けられている。保護カバー6は、例えば、樹脂から構成されている。保護カバー6に対してカウンタウエイト3とは反対側にあるピット701の領域をピット内作業領域702とする。
【0013】
図1では、乗りかご1が最上階に着床しているエレベータの状態が示されている。乗りかご1が最上階に着床している場合に、カウンタウエイト3がカウンタバッファ5に最も近づく。乗りかご1が最上階に着床している場合におけるカウンタウエイト3とカウンタバッファ5との間の距離をカウンタウエイト3のクリアランス寸法Lとする。作業者8は、ピット内作業領域702において、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lを測定する。
【0014】
図2は、
図1のカウンタウエイト3および保護カバー6を示す斜視図である。昇降路7には、一対のカウンタウエイトガイドレール9が設けられている。
【0015】
一対のカウンタウエイトガイドレール9は、上下方向D1に延びている。一対のカウンタウエイトガイドレール9は、カウンタウエイト3の幅方向D2に互いに離れて配置されている。一対のカウンタウエイトガイドレール9は、幅方向D2に互いに対向して配置されている。
【0016】
カウンタウエイト3は、一対のカウンタウエイトガイドレール9の間に配置されている。カウンタウエイト3は、一対のカウンタウエイトガイドレール9に案内されながら、昇降路7を上下方向D1に昇降する。
【0017】
一対のカウンタウエイトガイドレール9に渡って、上部取付腕10と、下部取付腕11と、が設けられている。上部取付腕10は、下部取付腕11よりも上方に配置されている。上部取付腕10は、一対のカウンタウエイトガイドレール9のそれぞれに取り付けられている。下部取付腕11は、一対のカウンタウエイトガイドレール9のそれぞれに取り付けられている。上部取付腕10には、保護カバー6の上部が取り付けられている。下部取付腕11には、保護カバー6の下部が取り付けられている。
【0018】
保護カバー6には、スリット601が形成されている。スリット601は、保護カバー6の厚み方向D3に保護カバー6を貫通している。スリット601は、上下方向D1に延びている。
【0019】
保護カバー6は、乗りかご1が最上階に着床している場合にカウンタウエイト3の下端部に対してカウンタウエイト3の厚み方向D3に対向するように配置されている。乗りかご1が最上階に着床している状態で、保護カバー6が上部取付腕10および下部取付腕11から取り外されることによって、カウンタウエイト3の下端部におけるピット内作業領域702側の部分が露出する。これにより、カウンタウエイト3の下端部がピット内作業領域702から作業者8に目視可能となる。
【0020】
図3は、エレベータの据付直後における実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12を示す正面図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿った矢視断面図である。
図3および
図4では、乗りかご1が最上階に着床している場合におけるエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12が示されている。
【0021】
実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12は、レベル計13と、保持部14と、を備えている。レベル計13は、受け部131と、目印部132と、案内部133と、を有している。
【0022】
図5は、
図3のレベル計13を示す正面図である。
図6は、
図5のレベル計13を示す平面図である。
図7は、
図5のレベル計13を示す側面図である。
【0023】
受け部131は、板形状に形成されている。受け部131は、水平面に沿うように配置されている。目印部132は、板形状に形成されている。受け部131は、上方からカウンタウエイト3に押されるように配置されている。
【0024】
目印部132は、水平面に沿うように配置されている。目印部132は、受け部131に設けられている。目印部132の上面は、受け部131の上面と面一となっている。
【0025】
案内部133は、一対のスライド板134を有している。一対のスライド板134は、幅方向D2に互いに離れて配置されている。一対のスライド板134のそれぞれは、受け部131の下面に固定されている。
【0026】
図3および
図4に示すように、乗りかご1が最上階に着床している場合に、受け部131の上面には、上方からカウンタウエイト3の底面が接触する。
【0027】
カウンタウエイト3が受け部131に上方から接触している場合に、目印部132は、カウンタウエイト3の下端部の位置を示している。目印部132は、受け部131からスリット601に挿入されて保護カバー6を貫通している。目印部132の先端部は、保護カバー6よりもピット内作業領域702側に配置されている。したがって、目印部132は、ピット内作業領域702にいる作業者8によって目視可能となっている。
【0028】
一対のスライド板134は、保護カバー6におけるカウンタウエイト3に対向する面に対して上下方向D1にスライド可能に設けられている。一対のスライド板134が保護カバー6に沿って上下方向D1にスライドすることによって、受け部131および目印部132が保護カバー6に対して上下方向D1に移動する。したがって、案内部133は、受け部131および目印部132を保護カバー6に沿って案内する。一対のスライド板134が保護カバー6におけるカウンタウエイト3に対向する面に接触することによって、受け部131および目印部132が水平面に沿って配置される。
【0029】
受け部131、目印部132および案内部133は、互いに一体に形成されている。言い換えれば、レベル計13は、同一の材料から構成されており、分解不可能に一体に形成された単一部材である。
【0030】
保持部14は、磁力によって保護カバー6に設けられている。保持部14は、レベル計13が保護カバー6に対して上下方向D1に移動可能となるようにレベル計13を保持している。
【0031】
保持部14は、磁力によって案内部133を保護カバー6に押し付ける磁石部141を有している。磁石部141は、一対の取付部142を有している。一対の取付部142は、一対のスライド板134のそれぞれに1つずつ対応して設けられている。
【0032】
それぞれの取付部142は、第1磁石143と、第2磁石144と、を有している。それぞれの取付部142は、それぞれの取付部142に対応するスライド板134を厚み方向D3に挟んでいる。
【0033】
それぞれのスライド板134において、保護カバー6に対向する面を第1面135とし、保護カバー6とは反対側の面を第2面136とする。それぞれの第1磁石143は、それぞれの第1磁石143に対応するスライド板134における第2面136に設けられている。したがって、それぞれの第1磁石143と保護カバー6との間に、それぞれの第1磁石143に対応するスライド板134が配置されている。
【0034】
それぞれの第2磁石144は、保護カバー6におけるピット内作業領域702側を向く面に設けられている。それぞれの取付部142において、第1磁石143および第2磁石144は、厚み方向D3において互いに重なっている。それぞれの取付部142において、第1磁石143と第2磁石144との間には、それぞれの取付部142に対応するスライド板134と保護カバー6とが配置されている。
【0035】
それぞれの取付部142において、第1磁石143および第2磁石144は、互いに引き合うように着磁されている。それぞれの取付部142において第1磁石143および第2磁石144が互いに引き合うことによって、それぞれのスライド板134が保護カバー6に押し付けられている。言い換えれば、保持部14は、磁力によって案内部133を保護カバー6に押し付けている。
【0036】
保持部14が磁力によって案内部133を保護カバー6に押し付けることによって、案内部133と保護カバー6との間に摩擦力が発生している。受け部131がカウンタウエイト3によって下方に押されることによって、案内部133と保護カバー6との間の摩擦力に逆らってレベル計13が下方に移動する。カウンタウエイト3が受け部131から離れた場合に、レベル計13の位置が維持される。
【0037】
図8は、エレベータの経年変化後における実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12を示す正面図である。
図8では、乗りかご1が最上階に着床している場合におけるエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12が示されている。エレベータが据え付けられた後、時間が経過するにつれて、主ロープ2に延びが発生する。主ロープ2に延びが発生することによって、乗りかご1が最上階に着床している場合におけるカウンタウエイト3の位置が下方に移動する。これにより、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lが小さくなる。
【0038】
エレベータの据付直後における乗りかご1が最上階に着床している場合のカウンタウエイト3の下端部の位置をP1とする。また、エレベータの据付直後におけるカウンタウエイト3のクリアランス寸法をL1とする。エレベータの経年変化後における乗りかご1が最上階に着床している場合のカウンタウエイト3の下端部の位置をP2とする。また、エレベータの経年変化後におけるカウンタウエイト3のクリアランス寸法をL2とする。
【0039】
位置P1の測定は、エレベータの据付時に行われる。位置P1の測定は、例えば、保護カバー6に設けられたスケールステッカーによって行われる。
【0040】
カウンタウエイト3のクリアランス寸法L1の測定は、エレベータの据付時に行われる。カウンタウエイト3のクリアランス寸法L1の測定は、保護カバー6が上部取付腕10および下部取付腕11に取り付けられる前に行われる。
【0041】
位置P2の測定は、エレベータが据え付けられた後に、定期的に行われる。位置P2の測定は、例えば、保護カバー6に設けられたスケールステッカーによって行われる。位置P2の測定は、保護カバー6が上部取付腕10および下部取付腕11に取り付けられた状態で行われる。したがって、保護カバー6を上部取付腕10および下部取付腕11から取り外す必要がない。
【0042】
カウンタウエイト3のクリアランス寸法L2の測定は、位置P2が測定される度に行われる。カウンタウエイト3のクリアランス寸法L2の測定は、位置P1と位置P2との間の距離L3を算出し、算出された距離L3をカウンタウエイト3のクリアランス寸法L1の値から減算することによって行われる。すなわち、下記の式(1)によって、カウンタウエイト3のクリアランス寸法L2が測定される。
【0043】
L3=L1-L2 (1)
【0044】
これにより、カウンタウエイト3のクリアランス寸法L2の測定は、保護カバー6を上部取付腕10および下部取付腕11から取り外すことなく行われる。
【0045】
以上説明したように、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12は、レベル計13と、保持部14と、を備えている。保持部14は、保護カバー6に設けられており、レベル計13が保護カバー6に対して上下方向D1に移動可能となるようにレベル計13を保持している。レベル計13は、受け部131と、目印部132と、案内部133と、を有している。受け部131は、上方からカウンタウエイト3に押される。目印部132は、受け部131に設けられており、カウンタウエイト3の下端部の位置を示している。案内部133は、受け部131および目印部132を保護カバー6に沿って案内する。この構成によれば、ピット内作業領域702にいる作業者8は、目印部132の位置を目視することによって、カウンタウエイト3の下端部の位置を目視することができる。これにより、保護カバー6を取り外すことなく、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lを測定することができる。
【0046】
また、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12では、保護カバー6には、上下方向D1に延びたスリット601が形成されている。目印部132は、受け部131からスリット601に挿入されて保護カバー6を貫通している。この構成によれば、簡単な構成で、ピット内作業領域702にいる作業者8に対して目印部132を目視させることができる。
【0047】
また、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12では、保持部14は、磁力によって案内部133を保護カバー6に押し付ける磁石部141を有している。受け部131がカウンタウエイト3によって下方に押されることによって、案内部133と保護カバー6との間の摩擦力に逆らってレベル計13が下方に移動する。この構成によれば、受け部131がカウンタウエイト3によって下方に押されることによってレベル計13が下方に移動し、カウンタウエイト3が受け部131から離れた場合に、レベル計13の位置が維持される。これにより、受け部131がカウンタウエイト3に接触している時に作業者8がピット内作業領域702にいる必要がなくなる。その結果、受け部131がカウンタウエイト3に接触している時に合わせることなく、作業者8が目印部132の位置を目視して、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lを測定することができる。
【0048】
なお、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12では、それぞれの取付部142が第1磁石143と第2磁石144とを有している構成について説明した。しかしながら、保護カバー6が鉄などの磁性体から構成されている場合には、それぞれの取付部142が、第1磁石143を有しており、第2磁石144を有していない構成であってもよい。この場合には、それぞれの取付部142において、第1磁石143と保護カバー6とが互いに引き合うことによって、スライド板134が保護カバー6に押し付けられる。
【0049】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を示す正面図である。
図10は、
図9のX-X線に沿った矢視断面図である。
図11は、
図9のXI-XIに沿った矢視断面図である。
図9、
図10および
図11では、乗りかご1が最上階に着床している場合におけるエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12が示されている。
【0050】
実施の形態2に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12は、レベル計13と、保持部15と、を備えている。実施の形態2に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12におけるレベル計13は、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12におけるレベル計13と同様である。
【0051】
保持部15は、保持部15の弾性力によって保護カバー6に設けられている。保持部15は、保持部15の弾性力によってレベル計13を保持している。
【0052】
保持部15は、弾性力によって案内部133を保護カバー6に押し付けるばね部材151を有している。ばね部材151は、一対の板ばね152を有している。一対の板ばね152は、一対のスライド板134のそれぞれに1つずつ対応して設けられている。それぞれの板ばね152は、それぞれの板ばね152に対応するスライド板134と保護カバー6とを厚み方向D3に挟んでいる。それぞれの板ばね152がそれぞれの板ばね152に対応するスライド板134と保護カバー6とを厚み方向D3に挟んでいることによって、それぞれのスライド板134が保護カバー6に押し付けられている。言い換えれば、保持部15は、弾性力によって案内部133を保護カバー6に押し付けている。
【0053】
保持部15が弾性力によって案内部133を保護カバー6に押し付けることによって、案内部133と保護カバー6との間に摩擦力が発生している。受け部131がカウンタウエイト3によって下方に押されることによって、案内部133と保護カバー6との間の摩擦力に逆らってレベル計13が下方に移動する。カウンタウエイト3が受け部131から離れた場合に、レベル計13の位置が維持される。
【0054】
実施の形態2に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12におけるその他の構成は、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12における構成と同様である。
【0055】
以上説明したように、実施の形態2に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12では、保持部15は、案内部133を保護カバー6に押し付けるばね部材151を有している。受け部131がカウンタウエイト3によって下方に押されることによって、案内部133と保護カバー6との間の摩擦力に逆らってレベル計13が下方に移動する。この構成によれば、受け部131がカウンタウエイト3によって下方に押されることによってレベル計13が下方に移動し、カウンタウエイト3が受け部131から離れた場合に、レベル計13の位置が維持される。これにより、受け部131がカウンタウエイト3に接触している時に作業者8がピット内作業領域702にいる必要がなくなる。その結果、受け部131がカウンタウエイト3に接触している時に合わせることなく、作業者8が目印部132の位置を目視して、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lを測定することができる。
【0056】
実施の形態3.
図12は、実施の形態3に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を示す正面図である。
図13は、
図12のXIII-XIII線に沿った矢視断面図である。
図12および
図13では、乗りかご1が最上階に着床している場合におけるエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12が示されている。
【0057】
実施の形態3に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12は、レベル計13と、保持部16と、を備えている。実施の形態3に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12におけるレベル計13は、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12のレベル計13と同様である。
【0058】
保持部16は、保護カバー6に設けられている。保持部16は、レベル計13を保持している。
【0059】
保持部16は、第1固定部161と、第2固定部162と、ばね部材163と、を有している。第1固定部161は、第2固定部162よりも上方に配置されている。第1固定部161は、保護カバー6に取り付けられている。第2固定部162は、レベル計13に取り付けられている。ばね部材163は、第1固定部161と第2固定部162とに渡って設けられている。ばね部材163は、上下方向D1に伸縮する。レベル計13は、ばね部材163を介して保護カバー6に支持されている。
【0060】
実施の形態3に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12におけるその他の構成は、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12における構成と同様である。
【0061】
以上説明したように、実施の形態3に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12では、保持部16は、上下方向D1に伸縮するばね部材163を有している。レベル計13は、ばね部材163を介して保護カバー6に支持されている。受け部131がカウンタウエイト3によって下方に押されることによって、ばね部材163の弾性力に逆らってレベル計13が下方に移動する。この構成によれば、受け部131がカウンタウエイト3によって下方に押されることによってレベル計13が下方に移動し、カウンタウエイト3が受け部131から離れた場合に、レベル計13の位置が元の位置に戻る。これにより、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lを測定する時に、カウンタウエイト3を受け部131に確実に接触させることができる。その結果、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lを確実に測定することができる。
【0062】
なお、実施の形態3に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12では、保持部16が第1固定部161と第2固定部162とばね部材163とを有している構成について説明した。しかしながら、保持部16がばね部材163を有し、ばね部材163が保護カバー6とレベル計13とに渡って設けられている構成であってもよい。この構成であっても、レベル計13は、ばね部材163を介して保護カバー6に支持される。
【0063】
実施の形態4.
図14は、エレベータの据付直後における実施の形態4に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を示す正面図である。
図15は、
図14のXV-XV線に沿った矢視断面図である。
図14および
図15では、乗りかご1が最上階に着床している場合におけるエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12が示されている。
【0064】
実施の形態4に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12は、レベル計13と、保持部14と、検出装置17と、を備えている。実施の形態4に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12におけるレベル計13および保持部14は、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12のレベル計13および保持部14と同様である。
【0065】
検出装置17は、保護カバー6に設けられている。検出装置17は、レバー171と、回転検出装置172と、を有している。
【0066】
レバー171は、回転検出装置172に回転可能に支持されている。レバー171は、目印部132の移動経路上において、予め設定された位置に配置されている。したがって、目印部132が下降して目印部132が予め設定された位置に達した場合に、目印部132がレバー171を下方に押す。これにより、レバー171が回転する。
【0067】
回転検出装置172は、レバー171の回転を検出する。回転検出装置172がレバー171の回転を検出することによって、目印部132が予め設定された位置に達したことを検出装置17が検出する。
【0068】
検出装置17には、図示しないエレベータ制御盤または図示しない保守監視盤が電気的に接続されている。検出装置17の検出結果は、エレベータ制御盤または保守監視盤に送られる。エレベータ制御盤または保守監視盤に送られた検出装置17の検出結果は、カウンタウエイト3の保守作業に活用される。
【0069】
図16は、エレベータの経年変化後における実施の形態4に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12を示す正面図である。
図16では、乗りかご1が最上階に着床している場合におけるエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12が示されている。エレベータが据え付けられた後、時間が経過するにつれて、主ロープ2に延びが発生する。主ロープ2に延びが発生することによって、乗りかご1が最上階に着床している場合におけるカウンタウエイト3の位置が下方に移動する。これにより、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lが小さくなる。
【0070】
カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lが小さくなり、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lが予め設定された値になった場合に、目印部132がレバー171を下方に押す。これにより、目印部132が予め設定された位置にあることを検出装置17が検出する。
【0071】
検出装置17の検出結果が送られたエレベータ制御盤または保守監視盤は、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lの測定が必要であることを作業者8に対して報知する。これにより、作業者8は、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lの測定を行う。
【0072】
実施の形態4に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12におけるその他の構成は、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12における構成と同様である。なお、実施の形態2に係るカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12と同様に、保持部15を備え、保持部15が、案内部133を保護カバー6に押し付けるばね部材151を有している構成であってもよい。また、実施の形態3に係るカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12と同様に、保持部16を備え、保持部16が、上下方向D1に伸縮するばね部材163を有している構成であってもよい。
【0073】
以上説明したように、実施の形態4に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12は、保護カバー6に設けられた検出装置17をさらに備えている。検出装置17は、目印部132が予め設定された位置にあることを検出する。この構成によれば、検出装置17の検出結果に応じて、作業者8がカウンタウエイト3のクリアランス寸法Lの測定を行うことができる。これにより、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lを定期的に測定する場合と比較して、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lの測定頻度を下げることができる。その結果、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lの監視の効率を向上させることができる。
【0074】
なお、実施の形態4に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12では、1つの検出装置17を備えている構成について説明した。しかしながら、複数の検出装置17を備えている構成であってもよい。この場合に、複数の検出装置17は、目印部132の移動経路上において、予め設定された位置に並んで配置される。具体的には、例えば、2つの検出装置17のそれぞれが目印部132の移動経路上において予め設定された位置に並んで配置される。2つの検出装置17のうちの上方に配置された検出装置17が予め設定された第1位置に目印部132があることを検出した場合に、エレベータ制御盤または保守監視盤が作業者8に対して注意喚起を行う。また、2つの検出装置17のうちの下方に配置された検出装置17が予め設定された第2位置に目印部132があることを検出した場合に、エレベータ制御盤または保守監視盤が作業者8に対して緊急点検を実施する必要があることを報知する。すなわち、複数の検出装置17を備えている構成の場合には、優先度、監視レベルなどに対応させて、複数の検出装置17が配置される。
【0075】
実施の形態5.
図17は、実施の形態5に係るエレベータのカウンタウエイトのクリアランス測定装置を示す正面図である。
図18は、
図17のXVIII-XVIII線に沿った矢視断面図である。
図17および
図18では、乗りかご1が最上階に着床している場合におけるエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12が示されている。
【0076】
実施の形態5に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12は、レベル計13と、保持部14と、距離測定装置18と、を備えている。実施の形態5に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12のレベル計13および保持部14は、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12のレベル計13および保持部14と同様である。
【0077】
距離測定装置18は、上下方向D1において目印部132から離れて保護カバー6に設けられている。距離測定装置18は、距離測定装置18から目印部132までの距離を測定する。
図18の矢印Aは、距離測定装置18が距離測定装置18から目印部132までの距離を測定している様子を示している。距離測定装置18は、目印部132よりも下方に配置されている。距離測定装置18による距離測定装置18から目印部132までの距離の測定は、例えば、赤外線方式、超音波方式によって行われる。距離測定装置18による距離測定装置18から目印部132までの距離の測定は、定期的に行われる。
【0078】
距離測定装置18には、図示しないエレベータ制御盤または図示しない保守監視盤が電気的に接続されている。距離測定装置18の測定結果は、エレベータ制御盤または保守監視盤に送られる。エレベータ制御盤または保守監視盤に送られた距離測定装置18の測定結果は、カウンタウエイト3の保守作業に活用される。
【0079】
距離測定装置18の測定結果が送られるエレベータ制御盤または保守監視盤では、距離測定装置18の測定結果の時系列的な変化が監視されている。エレベータ制御盤または保守監視盤には、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lに関連する値が予め設定されている。カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lが小さくなり、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lが予め設定された値になった場合に、エレベータ制御盤または保守監視盤は、目印部132が予め設定された位置にあることを検出する。
【0080】
エレベータ制御盤または保守監視盤の検出結果に基づいて、エレベータ制御盤または保守監視盤は、カウンタウエイト3の保守が必要であることを作業者8に対して報知する。これにより、作業者8は、カウンタウエイト3の保守を行う。
【0081】
実施の形態5に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12におけるその他の構成は、実施の形態1に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12における構成と同様である。なお、実施の形態2に係るカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12と同様に、保持部15を備え、保持部15が、案内部133を保護カバー6に押し付けるばね部材151を有している構成であってもよい。また、実施の形態3に係るカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12と同様に、保持部16を備え、保持部16が、上下方向D1に伸縮するばね部材163を有している構成であってもよい。
【0082】
以上説明したように、実施の形態5に係るエレベータのカウンタウエイト3のクリアランス測定装置12は、上下方向D1において目印部132から離れて保護カバー6に設けられた距離測定装置18をさらに備えている。距離測定装置18は、距離測定装置18から目印部132までの距離を測定する。この構成によれば、作業者8がピット内作業領域702に入ることなく、カウンタウエイト3のクリアランス寸法Lを測定することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 乗りかご、2 主ロープ、3 カウンタウエイト、4 巻上機、5 カウンタバッファ、6 保護カバー、7 昇降路、8 作業者、9 カウンタウエイトガイドレール、10 上部取付腕、11 下部取付腕、12 クリアランス測定装置、13 レベル計、14 保持部、15 保持部、16 保持部、17 検出装置、18 距離測定装置、131 受け部、132 目印部、133 案内部、134 スライド板、135 第1面、136 第2面、141 磁石部、142 取付部、143 第1磁石、144 第2磁石、151 ばね部材、152 板ばね、161 第1固定部、162 第2固定部、163 ばね部材、171 レバー、172 回転検出装置、601 スリット、701 ピット、702 ピット内作業領域。