(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】マイクロストリップ線路-導波管変換器
(51)【国際特許分類】
H01P 5/107 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
H01P5/107 A
(21)【出願番号】P 2024531749
(86)(22)【出願日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2022026540
(87)【国際公開番号】W WO2024009339
(87)【国際公開日】2024-01-11
【審査請求日】2024-06-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 明道
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 隆二
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-215050(JP,A)
【文献】特開2016-111459(JP,A)
【文献】特開2004-153368(JP,A)
【文献】特開平10-215104(JP,A)
【文献】特開2000-216605(JP,A)
【文献】特開2006-005846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管と、
前記導波管の端部に配置され、一端部に前記導波管と連通する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部の両側それぞれに右側部及び左側部を有する誘電体と、
前記誘電体の裏面に形成され、一端部が前記導波管の下壁の一端部における内面と電気的及び機械的に接続される第1の地導体と、
前記誘電体の右側部の表面に形成され、前記誘電体の右側部を表面から裏面に貫通し、当該右側部に沿って並列に配置された複数の右貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される右地導体パッドと、
前記誘電体の左側部の表面に形成され、前記誘電体の左側部を表面から裏面に貫通し、当該左側部に沿って並列に配置された複数の左貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される左地導体パッドと、
前記誘電体の表面に形成され、一端が前記切り欠き部に至る信号用導体と、
前記右地導体パッドと前記左地導体パッドと前記信号用導体の一端部それぞれの表面と電気的及び機械的に接続され、前記切り欠き部の表面側の露出面を覆い、前記導波管の管軸方向の長さが前記導波管を伝搬する信号の1/4波長である第2の地導体と、
を備えるマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項2】
前記切り欠き部の裏面側の露出面を覆う前記導波管の下壁の一端部と、前記第2の地導体と、前記誘電体の右側部の裏面に形成された前記第1の地導体における右地導体と、前記複数の右貫通導体と、前記右地導体パッドと、前記誘電体の左側部の裏面に形成された前記第1の地導体における左地導体と、前記複数の左貫通導体と、前記左地導体パッドとが、前記切り欠き部を囲う中空導波管である変換用導波管を構成する請求項1に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項3】
前記第2の地導体に接続されていない位置の前記信号用導体の表面から前記導波管の上壁の内面までの距離が、前記第2の地導体の表面から前記導波管の上壁の内面までの距離より長い請求項1に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項4】
前記第2の地導体に接続されていない位置の前記信号用導体の表面から前記導波管の上壁の内面までの距離が、前記第2の地導体の表面から前記導波管の上壁の内面までの距離より長い請求項2に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項5】
前記第2の地導体に接続されていない位置の前記信号用導体の表面から前記導波管の上壁の内面までの距離が、前記第2の地導体上に位置する前記導波管の上壁の内面を延長した水平面までの距離より長い請求項1に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項6】
前記第2の地導体に接続されていない位置の前記信号用導体の表面から前記導波管の上壁の内面までの距離が、前記第2の地導体上に位置する前記導波管の上壁の内面を延長した水平面までの距離より長い請求項2に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項7】
前記第2の地導体は、前記信号用導体の一端部と平行にスリットを有する請求項1又は請求項2に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項8】
前記第2の地導体は、前記信号用導体の一端部と平行にスリットを有する請求項3に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項9】
前記第2の地導体は、前記信号用導体の一端部と平行にスリットを有する請求項4に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項10】
前記第2の地導体は、前記信号用導体の一端部と平行にスリットを有する請求項5に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項11】
前記第2の地導体は、前記信号用導体の一端部と平行にスリットを有する請求項6に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項12】
導波管と、
前記導波管の端部に配置され、一端部に前記導波管と連通する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部の両側それぞれに右側部及び左側部を有する誘電体と、
前記誘電体の裏面に形成され、一端部が前記導波管の下壁の一端部における内面と電気的及び機械的に接続される第1の地導体と、
前記誘電体の右側部の表面に形成され、前記誘電体の右側部を表面から裏面に貫通し、当該右側部に沿って並列に配置された複数の右貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される右地導体パッドと、
前記誘電体の左側部の表面に形成され、前記誘電体の左側部を表面から裏面に貫通し、当該左側部に沿って並列に配置された複数の左貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される左地導体パッドと、
前記誘電体の表面に形成され、一端が前記切り欠き部に至る信号用導体と、
前記右地導体パッドと前記左地導体パッドと前記信号用導体の一端部それぞれの表面と電気的及び機械的に接続され、前記切り欠き部の表面側の露出面を覆う第2の地導体と、
前記第2の地導体の表面に、裏面が接合されたスタブ用誘電体と、
裏面が前記スタブ用誘電体の表面に接合され、前記スタブ用誘電体における一端部の表面から裏面に貫通するスタブ用貫通導体により、一端部の裏面において前記第2の地導体と電気的に接続されるスタブ用導体と、
を備え、
前記スタブ用貫通導体と前記第2の地導体との接続部から前記スタブ用導体の他端までの長さが前記導波管を伝搬する信号の1/4波長であるマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項13】
導波管と、
前記導波管の端部に配置され、一端部に前記導波管と連通する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部の両側それぞれに右側部及び左側部を有する誘電体と、
前記誘電体の裏面に形成され、一端部が前記導波管の下壁の一端部における内面と電気的及び機械的に接続される第1の地導体と、
前記誘電体の右側部の表面に形成され、前記誘電体の右側部を表面から裏面に貫通し、当該右側部に沿って並列に配置された複数の右貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される右地導体パッドと、
前記誘電体の左側部の表面に形成され、前記誘電体の左側部を表面から裏面に貫通し、当該左側部に沿って並列に配置された複数の左貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される左地導体パッドと、
前記誘電体の表面に形成され、一端が前記切り欠き部に至る信号用導体と、
前記右地導体パッドと前記左地導体パッドと前記信号用導体の一端部それぞれの表面と電気的及び機械的に接続され、前記切り欠き部の表面側の露出面を覆う第2の地導体と、
前記第2の地導体の表面に、裏面が接合されたスタブ用誘電体と、
裏面が前記スタブ用誘電体の表面に接合され、前記スタブ用誘電体における一端部の表面から裏面に貫通するスタブ用貫通導体により、一端部の裏面において前記第2の地導体と電気的に接続され、前記第2の地導体とにより先端開放の1/4波長スタブとして動作するスタブ用導体と、
を備えるマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項14】
導波管と、
前記導波管の端部に配置され、一端部に前記導波管と連通する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部の両側それぞれに右側部及び左側部を有する誘電体と、
前記誘電体の裏面に形成され、一端部が前記導波管の下壁の一端部における内面と電気的及び機械的に接続される第1の地導体と、
前記誘電体の右側部の表面に形成され、前記誘電体の右側部を表面から裏面に貫通し、当該右側部に沿って並列に配置された複数の右貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される右地導体パッドと、
前記誘電体の左側部の表面に形成され、前記誘電体の左側部を表面から裏面に貫通し、当該左側部に沿って並列に配置された複数の左貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される左地導体パッドと、
前記誘電体の表面に形成され、一端が前記切り欠き部に至る信号用導体と、
前記右地導体パッドと前記左地導体パッドと前記信号用導体の一端部それぞれの表面と電気的及び機械的に接続され、前記切り欠き部の表面側の露出面を覆う第2の地導体と、
前記第2の地導体の表面に、裏面が接合されたスタブ用誘電体と、
裏面が前記スタブ用誘電体の表面に接合され、前記スタブ用誘電体における一端部の表面から裏面に貫通するスタブ用貫通導体により、一端部の裏面において前記第2の地導体と電気的に接続され、前記第2の地導体とにより前記導波管を伝搬する信号の周波数に対して前記スタブ用誘電体内で共振させるスタブ用導体と、
を備えるマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項15】
導波管と、
前記導波管の端部に配置され、一端部に前記導波管と連通する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部の両側それぞれに右側部及び左側部を有する誘電体と、
前記誘電体の裏面に形成され、一端部が前記導波管の下壁の一端部における内面と電気的及び機械的に接続される第1の地導体と、
前記誘電体の右側部の表面に形成され、前記誘電体の右側部を表面から裏面に貫通し、当該右側部に沿って並列に配置された複数の右貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される右地導体パッドと、
前記誘電体の左側部の表面に形成され、前記誘電体の左側部を表面から裏面に貫通し、当該左側部に沿って並列に配置された複数の左貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される左地導体パッドと、
前記誘電体の表面に形成され、一端が前記切り欠き部に至る信号用導体と、
前記右地導体パッドと前記左地導体パッドと前記信号用導体の一端部それぞれの表面と電気的及び機械的に接続され、前記切り欠き部の表面側の露出面を覆う第2の地導体と、
表面が、前記第2の地導体の表面に対向配置されるスタブ用誘電体と、
前記スタブ用誘電体の裏面に形成され、裏面が前記導波管の上壁の一端部における内面と電気的及び機械的に接続される第3の地導体と、
表面が前記第2の地導体の表面に空隙を介して対向して配置され、裏面が前記スタブ用誘電体の表面に接合され、前記スタブ用誘電体における一端部の表面から裏面に貫通するスタブ用貫通導体により、一端部の裏面において前記第3の地導体と電気的に接続されるスタブ用導体と、
を備え、
前記スタブ用貫通導体と前記第3の地導体との接続部から前記スタブ用導体の他端までの長さが前記導波管を伝搬する信号の1/4波長であるマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項16】
導波管と、
前記導波管の端部に配置され、一端部に前記導波管と連通する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部の両側それぞれに右側部及び左側部を有する誘電体と、
前記誘電体の裏面に形成され、一端部が前記導波管の下壁の一端部における内面と電気的及び機械的に接続される第1の地導体と、
前記誘電体の右側部の表面に形成され、前記誘電体の右側部を表面から裏面に貫通し、当該右側部に沿って並列に配置された複数の右貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される右地導体パッドと、
前記誘電体の左側部の表面に形成され、前記誘電体の左側部を表面から裏面に貫通し、当該左側部に沿って並列に配置された複数の左貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される左地導体パッドと、
前記誘電体の表面に形成され、一端が前記切り欠き部に至る信号用導体と、
前記右地導体パッドと前記左地導体パッドと前記信号用導体の一端部それぞれの表面と電気的及び機械的に接続され、前記切り欠き部の表面側の露出面を覆う第2の地導体と、
表面が、前記第2の地導体の表面に対向配置されるスタブ用誘電体と、
前記スタブ用誘電体の裏面に形成され、裏面が前記導波管の上壁の一端部における内面と電気的及び機械的に接続される第3の地導体と、
表面が前記第2の地導体の表面に空隙を介して対向配置され、裏面が前記スタブ用誘電体の表面に接合され、前記スタブ用誘電体における一端部の表面から裏面に貫通するスタブ用貫通導体により、一端部の裏面において前記第3の地導体と電気的に接続され、前記第3の地導体とにより先端開放の1/4波長スタブとして動作するスタブ用導体と、
を備えるマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項17】
導波管と、
前記導波管の端部に配置され、一端部に前記導波管と連通する切り欠き部が形成され、前記切り欠き部の両側それぞれに右側部及び左側部を有する誘電体と、
前記誘電体の裏面に形成され、一端部が前記導波管の下壁の一端部における内面と電気的及び機械的に接続される第1の地導体と、
前記誘電体の右側部の表面に形成され、前記誘電体の右側部を表面から裏面に貫通し、当該右側部に沿って並列に配置された複数の右貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される右地導体パッドと、
前記誘電体の左側部の表面に形成され、前記誘電体の左側部を表面から裏面に貫通し、当該左側部に沿って並列に配置された複数の左貫通導体により前記第1の地導体と電気的に接続される左地導体パッドと、
前記誘電体の表面に形成され、一端が前記切り欠き部に至る信号用導体と、
前記右地導体パッドと前記左地導体パッドと前記信号用導体の一端部それぞれの表面と電気的及び機械的に接続され、前記切り欠き部の表面側の露出面を覆う第2の地導体と、
表面が、前記第2の地導体の表面に対向配置されるスタブ用誘電体と、
前記スタブ用誘電体の裏面に形成され、裏面が前記導波管の上壁の一端部における内面と電気的及び機械的に接続される第3の地導体と、
表面が前記第2の地導体の表面に空隙を介して対向配置され、裏面が前記スタブ用誘電体の表面に接合され、前記スタブ用誘電体における一端部の表面から裏面に貫通するスタブ用貫通導体により、一端部の裏面において前記第3の地導体と電気的に接続され、前記第3の地導体とにより前記導波管を伝搬する信号の周波数に対して前記スタブ用誘電体内で共振させるスタブ用導体と、
を備えるマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項18】
前記切り欠き部の裏面側の露出面を覆う前記導波管の下壁の一端部と、前記第2の地導体と、前記誘電体の右側部の裏面に形成された前記第1の地導体における右地導体と、前記複数の右貫通導体と、前記右地導体パッドと、前記誘電体の左側部の裏面に形成された前記第1の地導体における左地導体と、前記複数の左貫通導体と、前記左地導体パッドとが、前記切り欠き部を囲う中空導波管である変換用導波管を構成する請求項8
、請求項10、又は、請求項12から
請求項17のいずれか1項に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項19】
前記第2の地導体は、前記信号用導体の一端部と平行にスリットを有する
請求項12から
請求項17のいずれか1項に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項20】
前記第2の地導体に接続されていない位置の前記信号用導体の表面から前記導波管の上壁の内面までの距離が、前記スタブ用導体の表面から前記導波管の上壁の内面までの距離より長い
請求項12から
請求項14のいずれか1項に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項21】
前記第2の地導体に接続されていない位置の前記信号用導体の表面から前記導波管の上壁の内面までの距離が、前記信号用導体の表面から前記スタブ用誘電体上に位置する前記導波管の上壁の内面を延長した水平面までの距離より長い
請求項12から
請求項14のいずれか1項に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項22】
前記第1の地導体の位置における、前記導波管の下壁の内面から上壁の内面までの距離が、前記第1の地導体が存在しない前記導波管の他端側における、前記導波管の下壁の内面から上壁の内面までの距離より長い請求項13から請求項15のいずれか1項に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【請求項23】
前記導波管における伝搬用導波管を構成する前記導波管の下壁の内面から上壁の内面までの距離が、前記切り欠き部を囲う中空導波管である変換用導波管が位置する前記導波管の下壁の内面から上壁の内面までの距離より短い請求項16に記載のマイクロストリップ線路-導波管変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、方式の異なる伝送線路である、マイクロストリップ線路と導波管との間を接続するマイクロストリップ線路-導波管変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリ波帯等の高周波領域において、信号伝送に際して損失を増加させない導波管から、信号処理のための各種の高周波回路及びその周辺回路が実装された平面基板上に用いられる高周波信号の伝送線路としてのマイクロストリップ線路へ信号を伝送するために、導波管による伝送方式からマイクロストリップ線路による伝送方式に変換する導波管-マイクロストリップ線路変換器が特許文献1に示されている。
【0003】
特許文献1に示された導波管-マイクロストリップ線路変換器は、リッジ導波管、リッジ導波管のリッジ部の開口側端部の先端から管外へ突出させて取り付けられた金属板、及び誘電体基板に形成され、その主導体が金属板に接続されたマイクロストリップ線路を備えている。
金属板は方形平板状の薄板にして弾性を持たせて形成され、金属板の一端がリッジ部の開口側端部の先端に溶接等で取り付けられ、金属板の他端がマイクロストリップ線路の主導体にはんだ付けで接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示された導波管-マイクロストリップ線路変換器は、導波管とマイクロストリップ線路との間の接続を、接続部位への応力集中を緩和し、接続部位の信頼性を向上させるために、方形平板状の薄板にして弾性を持たせた金属板によって行っている。
しかし、金属板の一端とリッジ部の開口側端部の先端との取り付けは溶接等で行われ、金属板の他端とマイクロストリップ線路の主導体との接続ははんだ付けで行っている。
特許文献1に示された導波管-マイクロストリップ線路変換器は、金属板の一端を溶接、及び他端をはんだ付けで行っているため、組み立てが困難であるという課題があった。
【0006】
本開示は上記課題を解決するもので、組み立てが容易であるマイクロストリップ線路-導波管変換器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、導波管の端部に配置され、一端部に導波管と連通する切り欠き部が形成され、切り欠き部の両側それぞれに右側部及び左側部を有する誘電体と、誘電体の裏面に形成され、一端部が導波管の下壁の一端部における内面と電気的及び機械的に接続される第1の地導体と、誘電体の右側部の表面に形成され、誘電体の右側部を表面から裏面に貫通し、当該右側部に沿って並列に配置された複数の右貫通導体により第1の地導体と電気的に接続される右地導体パッドと、誘電体の左側部の表面に形成され、誘電体の左側部を表面から裏面に貫通し、当該左側部に沿って並列に配置された複数の左貫通導体により第1の地導体と電気的に接続される左地導体パッドと、誘電体の表面に形成され、一端が切り欠き部に至る信号用導体と、右地導体パッドと左地導体パッドと信号用導体の一端部それぞれの表面と電気的及び機械的に接続され、切り欠き部の表面側の露出面を覆い、導波管の管軸方向の長さが導波管を伝搬する信号の1/4波長である第2の地導体とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、マイクロストリップ線路-導波管変換器の導波管への組み立てが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を示す、導波管の上壁の下部に位置し、上方から下方を見た導波管の上壁に平行な断面図である。
【
図2】実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図1に示すA-Aによる断面図である。
【
図3】実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図1に示すB-Bによる断面図である。
【
図4】実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図1に示すC-Cによる断面図である。
【
図5】比較例に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を示す、導波管の上壁の下部に位置し、上方から下方を見た導波管の上壁に平行な断面図である。
【
図6】比較例に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図5に示すA-Aによる断面図である。
【
図7】比較例に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図5に示すB-Bによる断面図である。
【
図8】比較例に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図5に示すC-Cによる断面図である。
【
図9】実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器における第2の地導体の他の例を示す平面図である。
【
図10】実施の形態2に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図1に示すB-B断面に相当する断面図である。
【
図11】実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を示す、導波管の上壁の下部に位置し、上方から下方を見た導波管の上壁に平行な断面図である。
【
図12】実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図11に示すA-Aによる断面図である。
【
図13】実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図11に示すB-Bによる断面図である。
【
図14】実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図11に示すC-Cによる断面図である。
【
図15】実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器における第2の地導体の他の例を示す平面図である。
【
図16】実施の形態4に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図11に示すB-B断面に相当する断面図である。
【
図17】実施の形態5に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図11に示すB-B断面に相当する断面図である。
【
図18】実施の形態6に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図11に示すB-B断面に相当する断面図である。
【
図19】実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を示す、第3の地導体の横断面から下方を見た断面図である。
【
図20】実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図11に示すA-Aによる断面図である。
【
図21】実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図11に示すB-Bによる断面図である。
【
図22】実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図11に示すC-Cによる断面図である。
【
図23】実施の形態8に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図19に示すB-B断面に相当する断面図である。
【
図24】実施の形態9に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、
図19に示すB-B断面に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を
図1から
図4を用いて説明する。
実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、信号処理のための各種の高周波回路及びその周辺回路が実装された平面基板(以下、マイクロストリップ基板と言う。)における、ミリ波帯又はマイクロ波帯等の高周波領域における高周波信号の伝送線路としてのマイクロストリップ線路からの高周波信号を、信号伝送に際して損失を増加させない導波管へ伝送する。
なお、以下の説明において、マイクロストリップ線路から導波管へ変換するマイクロストリップ線路-導波管変換器を説明するが、逆に、導波管からマイクロストリップ線路へ変換するマイクロストリップ線路-導波管変換器にも適用できる。
【0011】
実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、導波管(以下、導波管1と言う)の一端部と、マイクロストリップ基板の一端部に形成された変換部とを備える。
導波管1は、上壁1aと下壁1bと右側壁1cと左側壁1dを有し、一端部に変換器形成領域を有する。
導波管1は、変換器形成領域から連通する電磁波伝搬領域において、マイクロストリップ線路-導波管変換器により変換された高周波信号である電磁波を伝搬する。
【0012】
導波管1は断面が矩形であり、右側壁1c及び左側壁1dの幅が上壁1a及び下壁1bの幅より短い。
なお、上壁1aと下壁1bと右側壁1cと左側壁1dにおける上下左右は説明の都合上付したものであり、上壁1aと下壁1bが一対の側壁、右側壁1cと左側壁1dが上壁と下壁であってもよい。
但し、一対の側壁の幅が上壁及び下壁の幅より狭い関係になっている。
【0013】
マイクロストリップ基板の一端部に形成された変換部は、誘電体11と、第1の地導体12と、複数の右貫通導体13と、右地導体パッド14と、複数の左貫通導体15と、左地導体パッド16と、信号用導体17と、第2の地導体18とを備える。
変換部における高さは導波管1における下壁1bの内面から上壁1aの内面までの距離より短い。
【0014】
誘電体11はマイクロストリップ基板の誘電体と連続的に形成された誘電体である。
誘電体11は導波管1の一端部、つまり、変換器形成領域に配置され、第1の地導体12を介して導波管1における下壁1bの一端部における内面に固定される。
誘電体11は、一端部に導波管1と連通する切り欠き部11aが形成され、切り欠き部11aの両側それぞれに右側部11b及び左側部11cを有する。
【0015】
切り欠き部11aは、誘電体11の表面から裏面まで貫通し、表面、裏面、及び導波管1と連通する端面それぞれが露出面となる。
切り欠き部11aにおける裏面側の露出面は、導波管1における下壁1bに覆われる。
誘電体11は、マイクロストリップ基板に一般的に使用されている、例えば、セラミックである。
第1の地導体12は誘電体11の裏面に形成され、一端部が導波管1の下壁1bの一端部における内面にはんだ等により電気的及び機械的に接続される。
【0016】
第1の地導体12は、誘電体11の右側部11bの裏面に形成された右地導体12aと、誘電体11の左側部11cの裏面に形成された左地導体12bを有する。
第1の地導体12は導波管1の管軸と平行に、具体的には、右地導体12aと左側部11cの長手方向が導波管1の管軸と平行になるように導波管1の下壁1bの一端部における内面と電気的及び機械的に接続される。
第1の地導体12は、マイクロストリップ基板の誘電体の裏面に形成された地導体と連続的に形成された導体箔である。
【0017】
複数の右貫通導体13はそれぞれ、誘電体11の右側部11bを表面から裏面に貫通し、右側部11bに沿って並列に等間隔に配置され、下端が第1の地導体12の右地導体12aに電気的に接続される。
複数の右貫通導体13は導波管1の管軸と平行に等間隔に配列される。
右地導体パッド14は、誘電体11の右側部11bの表面に形成され、複数の右貫通導体13の上端と電気的に接続され、複数の右貫通導体13を介して第1の地導体12の右地導体12aに電気的に接続される。
右地導体パッド14の長手方向中心軸は導波管1の管軸と平行である。
【0018】
なお、右地導体12aと右地導体パッド14との電気的接続は、導波管1の管軸と平行に等間隔に配列される複数の右貫通導体13により行うのが好ましいが、1つの右貫通導体13により右地導体12aと右地導体パッド14との電気的接続を行うものでもよい。
要するに、右地導体12aと右地導体パッド14との電気的接続は少なくとも1つの右貫通導体13により行なわれる。
【0019】
複数の左貫通導体15はそれぞれ誘電体11の左側部11cを表面から裏面に貫通し、左側部11cに沿って並列に等間隔に配置され、下端が第1の地導体12の左地導体12bに電気的に接続される。
複数の左貫通導体15は導波管1の管軸と平行に等間隔に配列される。
左地導体パッド16は、誘電体11の左側部11cの表面に形成され、複数の左貫通導体15の上端と電気的に接続され、複数の左貫通導体15を介して第1の地導体12の左地導体12bに電気的に接続される。
左地導体パッド16の長手方向中心軸は導波管1の管軸と平行である。
【0020】
なお、左地導体12bと左地導体パッド16との電気的接続は、導波管1の管軸と平行に等間隔に配列される複数の左貫通導体15により行うのが好ましいが、1つの左貫通導体15により左地導体12bと左地導体パッド16との電気的接続を行うものでもよい。
要するに、左地導体12bと左地導体パッド16との電気的接続は少なくとも1つの左貫通導体15により行なわれる。
【0021】
複数の右貫通導体13及び複数の左貫通導体15は、例えば、一般に知られている、基板を構成する誘電体にビア(VIA)を形成する方法と同様に形成される。
右地導体パッド14及び左地導体パッド16は、例えば、一般に知られている、基板を構成する誘電体に導体箔を形成する方法と同様に形成される。
【0022】
信号用導体17は誘電体11の表面に形成され、一端が誘電体11に形成された切り欠き部11aに至る。
信号用導体17は導波管1の管軸と平行な線路である。
信号用導体17は、マイクロストリップ基板の誘電体の表面に形成された信号用導体と連続的に形成された導体箔である。
【0023】
マイクロストリップ基板において、信号用導体と誘電体と地導体はマイクロストリップ線路を構成する。
同様に、変換部において、信号用導体17と誘電体11と第1の地導体12はマイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路から連続するマイクロストリップ線路を構成する。
【0024】
第2の地導体18は、誘電体11における切り欠き部11aの表面側の露出面を覆う。
第2の地導体18において、右側部の裏面が右地導体パッド14の表面と電気的及び機械的に接続され、左側部の裏面が左地導体パッド16の表面と電気的及び機械的に接続され、他端部の裏面が信号用導体17の一端部の表面と電気的及び機械的に接続される。
第2の地導体18の表面と導波管1における上壁1aの内面との間には空隙が存在する。
第2の地導体18における導波管1の管軸方向の長さが導波管1を伝搬する信号の1/4波長である。
【0025】
導波管1における下壁1bと第2の地導体18と右地導体12aと複数の右貫通導体13と右地導体パッド14と左地導体12bと複数の左貫通導体15と左地導体パッド16は変換部における変換用導波管WG2を構成する。
変換用導波管WG2は切り欠き部11aを囲う中空導波管であり、インピーダンスが比較的高い高インピーダンス特性の導波管となる。
【0026】
導波管1において、切り欠き部11aにおける導波管1と連通する端面から導波管1の他端側が伝搬用導波管WG1を構成する。
変換用導波管WG2と伝搬用導波管WG1とはインピーダンス整合をとる必要があり、変換用導波管WG2が比較的高い高インピーダンス特性の導波管であるので、伝搬用導波管WG1も比較的高い高インピーダンス特性の導波管にすることができる。
【0027】
従って、第2の地導体18の上面と導波管1の上壁1aの内面との間の空隙を第2の地導体18の他端部と導波管1の上壁1aとの間が電気的に短絡(ショート)しない、言い換えれば開放(オープン)の状態を維持する最小の間隔にすることにより、変換用導波管WG2と伝搬用導波管WG1は共に高インピーダンス特性の導波管となるため、伝搬用導波管WG1と変換用導波管WG2とのインピーダンス整合が良好となる。
【0028】
導波管1において、導波管1の下壁1bに対する内面から導波管1の上壁1aの内面までの距離を、変換用導波管WG2と伝搬用導波管WG1において同じにでき、導波管1に対して特別に手を加える必要はない。
なお、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号の波長と伝搬用導波管WG1を伝搬する高周波信号の波長は同じである。
【0029】
変換用導波管WG2は、他端において、第2の地導体18の他端が信号用導体17と電気的に接続されることにより、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路に電気的に接続される。
一方、第2の地導体18における導波管1の管軸方向の長さが導波管1を伝搬する信号の1/4波長であるので、第2の地導体18の一端と導波管1の上壁1aとは導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡(
図2及び
図3図示X部)となる。
すなわち、変換用導波管WG2は、一端において、導波管1を伝搬する信号に対し、伝搬用導波管WG1に電気的に接続される。
【0030】
要するに、変換部における変換用導波管WG2は、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路を伝送する高周波信号を信号用導体17と第2の地導体18が電気的に接続される箇所、つまり接続部において導波管1を伝搬する高周波信号に変換し、変換した高周波信号を導波管1における伝搬用導波管WG1へ伝搬する。
なお、第2の地導体18の他端部と導波管1の上壁1aとの間には空隙が存在するので、第2の地導体18の他端部と導波管1の上壁1aとは電気的に開放の状態(
図2及び
図3図示Y部)である。
【0031】
次に、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器の組み立てについて説明する。
マイクロストリップ基板を構成する誘電体の一端部をマイクロストリップ線路-導波管変換器を形成するための変換器形成領域とする。
変換器形成領域における誘電体がマイクロストリップ線路-導波管変換器における誘電体11である。
【0032】
まず、誘電体11に切り欠き部11aを形成する。
誘電体11の裏面に第1の地導体12をマイクロストリップ基板における地導体と同時に形成する。
複数の右貫通導体13及び複数の左貫通導体15を、マイクロストリップ基板における貫通導体であるビア(VIA)と同時に形成する。
右地導体パッド14、左地導体パッド16、及び信号用導体17を、マイクロストリップ基板を構成する誘電体の表面に信号処理のための各種の高周波回路及びその周辺回路に対する配線層及びマイクロストリップ線路を構成する信号用導体と同時に形成する。
【0033】
誘電体11に切り欠き部11aを形成する以外、つまり、第1の地導体12、複数の右貫通導体13、複数の左貫通導体15、右地導体パッド14、左地導体パッド16、及び信号用導体17の形成は、マイクロストリップ基板を形成する工程で行える。
【0034】
次に、第2の地導体18を、誘電体11における切り欠き部11aの表面側の露出面を覆い、右側部の裏面が右地導体パッド14の表面と、左側部の裏面が左地導体パッド16の表面と、他端部の裏面が信号用導体17の一端部の表面と電気的及び機械的に接続する。
このようにして、マイクロストリップ線路-導波管変換器をマイクロストリップ基板の一端部に形成でき、マイクロストリップ線路-導波管変換器における信号用導体17がマイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路を構成する信号用導体と連続して形成される。
【0035】
マイクロストリップ基板の一端部に形成されたマイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1の一端部に挿入し、第1の地導体12の一端部を導波管1の下壁1bの一端部における内面にはんだ等により電気的及び機械的に接続する。
これにより、マイクロストリップ線路-導波管変換器は導波管1の一端部に装着される。
さらに、切り欠き部11aを囲う中空導波管である変換用導波管WG2が形成され、第2の地導体18の一端が導波管1の上壁1aに導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡となる。
【0036】
すなわち、マイクロストリップ線路-導波管変換器は、高周波信号を伝搬できる状態で導波管1に接続される。
要するに、第1の地導体12の一端部を導波管1の下壁1bの一端部における内面にはんだ等により電気的及び機械的に接続することにより、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路に接続されたマイクロストリップ線路-導波管変換器と導波管1を接続でき、組み立てが容易である。
【0037】
しかも、第2の地導体18の表面と導波管1の上壁1aの間には空隙が存在するため、誘電体11の厚み誤差、第2の地導体18の厚み誤差、あるいは導波管1の下壁1bから上壁1aまでの距離の誤差が生じても、これらを合わせた寸法誤差、一例として±50μmの寸法誤差を空隙が吸収するため、マイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1に装着する際に、第2の地導体18及び導波管1の上壁1aに応力が加わらない。
【0038】
その結果、マイクロストリップ線路-導波管変換器及びマイクロストリップ基板と導波管1が破損することはない。
また、導波管1の高さの寸法を大きくできるため、導波管1の高さに対する寸法誤差の割合が小さく、マイクロストリップ線路-導波管変換器としての電気特性の変化は小さい。
【0039】
次に、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器の動作について説明する。
マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路を伝送された高周波信号はマイクロストリップ線路-導波管変換器における信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送される。
【0040】
信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送された高周波信号は、信号用導体17の一端と第2の地導体18の他端が電気的に接続される箇所で、切り欠き部11aを囲う変換用導波管WG2へ変換される。
変換された高周波信号は変換用導波管WG2を伝搬する。
変換用導波管WG2を伝搬された高周波信号(電磁波)は、導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡となる第2の地導体18の一端から導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬する。
【0041】
実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、第2の地導体18の表面と導波管1の上壁1aの内面との間に空隙が存在し、第2の地導体18における導波管1の管軸方向の長さが導波管1を伝搬する信号の1/4波長としているため、第2の地導体18の一端が導波管1の上壁1aに導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡され、信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送された高周波信号による第2の地導体18を流れる電流は第2の地導体18の一端から導波管1の上壁1aに流れ、高周波信号は導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬される。
【0042】
従って、第2の地導体18などにより構成される変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号は第2の地導体18の表面と導波管1の上壁1aの内面との間の空隙から漏れることがない。
その結果、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号は低損失に伝搬して、導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬される。
【0043】
実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において、切り欠き部11aを囲う変換用導波管WG2を設けたことによる利点を、以下に説明する。
今、比較のために、
図5から
図8に示すように、実施の形態1における変換用導波管WG2に対して切り欠き部11aを有さない、つまり、誘電体11を残したままの樹脂導波管である変換用導波管WG3を用いた例を示す。
【0044】
変換用導波管WG3は、第1の地導体12と第2の地導体18と複数の右貫通導体13と右地導体パッド14と複数の左貫通導体15と左地導体パッド16により構成される。
変換用導波管WG3は、誘電体11の材料を囲う樹脂導波管であり、比誘電率が中空の1よりも大きく、さらに、誘電体11の厚さが一般的に薄いため、インピーダンスが非常に低い低インピーダンス特性の導波管となる。
【0045】
変換用導波管WG3と伝搬用導波管WG1とはインピーダンス整合をとる必要があり、
図6及び
図7に示すように、伝搬用導波管WG1における導波管1の下壁1bに対する内面から導波管1の上壁1aの内面までの距離H2を、変換用導波管WG3における導波管1の下壁1bに対する内面から導波管1の上壁1aの内面までの距離H1に対して非常に小さくする必要がある。
伝搬用導波管WG1における距離H2は誘電体11の厚さより短い。
【0046】
比較例において、伝搬用導波管WG1における距離H2を非常に小さくする必要があり、導波管1の高さも必然的に低くなるため、誘電体11の厚み誤差あるいは導波管1の下壁1bから上壁1aまでの距離の誤差を合わせた寸法誤差、一例として±50μmの寸法誤差の導波管1の高さに対する割合が大きくなり、寸法誤差によるマイクロストリップ線路-導波管変換器としての電気特性の変化が大きくなる。
【0047】
これに対して、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、変換用導波管WG2における導波管1の下壁1bに対する内面から導波管1の上壁1aの内面までの距離と伝搬用導波管WG1における導波管1の下壁1bに対する内面から導波管1の上壁1aの内面までの距離を同じにでき、導波管1の高さに対する寸法誤差の割合が小さく、寸法誤差によるマイクロストリップ線路-導波管変換器としての電気特性の変化が小さい。
要するに、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、導波管1の下壁1bの内面からの高さ方向の寸法誤差に対する電気特性の変化を小さくできる。
【0048】
以上に述べたように、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、誘電体11の一端部に切り欠き部11aを設け、導波管1における下壁1bと第2の地導体18と右地導体12aと複数の右貫通導体13と右地導体パッド14と左地導体12bと複数の左貫通導体15と左地導体パッド16とにより、切り欠き部11aを囲う中空導波管である変換用導波管WG2を構成し、誘電体11の裏面に形成された第1の地導体12の一端部が導波管の下壁1bの一端部における内面に電気的及び機械的に接続されることによりマイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1に装着し、第2の地導体18の他端部が信号用導体17の一端部に電気的に接続されることにより、マイクロストリップ線路-導波管変換器とマイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路が接続され、第2の地導体18の導波管1の管軸方向の長さが導波管1を伝搬する信号の1/4波長としてマイクロストリップ線路-導波管変換器と導波管1が接続されるので、マイクロストリップ線路-導波管変換器の、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路及び導波管1に対する組み立てが容易である。
【0049】
しかも、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、第2の地導体18の表面と導波管1の上壁1aの内面との間に空隙を有するので、誘電体11の厚み誤差、第2の地導体18の厚み誤差、あるいは導波管1の下壁1bから上壁1aまでの距離の誤差が生じても、これら合わせた寸法誤差を空隙が吸収するため、マイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1に装着する際に、第2の地導体18及び導波管1の上壁1aに応力が加わらず、マイクロストリップ線路-導波管変換器及びマイクロストリップ基板と導波管1が破損することはない。
【0050】
また、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、中空導波管である変換用導波管WG2を構成しているため、変換用導波管WG2が高インピーダンス特性の導波管となり、導波管1における伝搬用導波管WG1を高インピーダンス特性の導波管でよく、導波管1の高さの寸法を大きくできるため、導波管1の高さに対する寸法誤差の割合が小さく、導波管1の下壁1bの内面からの高さ方向の寸法誤差に対するマイクロストリップ線路-導波管変換器としての電気特性の変化を小さくできる。
【0051】
さらに、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送された高周波信号による第2の地導体18を流れる電流が第2の地導体18の一端から導波管1の上壁1aに流れ、高周波信号が導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬されるため、第2の地導体18の表面と導波管1の上壁1aの内面との間に空隙を設けたにも関わらず、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号は当該空隙から漏れることがなく、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号は広帯域かつ低損失に伝搬する。
【0052】
なお、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器における第2の地導体18を、
図9に示すように、信号用導体17の一端部と平行にスリット18b、18cを有する第2の地導体18Aとしてもよい。
図9に示す第2の地導体18Aは、信号用導体17の一端部の表面と電気的及び機械的に接続する信号用導体接続部18aの両側それぞれに、信号用導体接続部18aと平行なスリット18b、18cを有する。
【0053】
第2の地導体18Aがスリット18b、18cを有することにより、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路から変換用導波管WG2へのインピーダンス整合がより良好に設定でき、広帯域の高周波信号に対して良好な反射特性が得られる。
なお、スリット18b、18cの数は2つに限るものではなく、1つでも3つ以上でもよく、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路と変換用導波管WG2とのインピーダンス整合を考慮し、スリットの数、位置、寸法を適切に選択すればよい。
【0054】
また、第2の地導体18における導波管1の管軸方向の長さが導波管1を伝搬する信号の1/4波長としたが、1/4波長の奇数倍でよく、本件では1/4波長の奇数倍を総称して1/4波長という。
以下、1/4波長は1/4波長だけでなく、1/4波長の奇数倍を含む。
【0055】
実施の形態2.
実施の形態2に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を、
図10を用いて説明する。
実施の形態2に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器における導波管1の上壁1aの内面が平坦であるのに対して、段差を設けた点が相違し、その他の点は同じである。
なお、
図10中、
図1から
図4に付した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0056】
以下に、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と相違する導波管1の上壁1aについて、主として説明する。
導波管1の上壁1aにおいて、第2の地導体18に接続されていない位置の信号用導体17の表面から導波管1の上壁1aの内面1a2までの距離h2が、第2の地導体18の表面から導波管1の上壁1aの内面1a1までの距離h1より長い。
【0057】
すなわち、導波管1の上壁1aにおいて、第2の地導体18の他端面を含む導波管1の管軸に対して垂直な面から導波管1の一端面までの上壁1a全体の厚さを薄くして上壁1aに段差を設け、距離h2を距離h1より長くする。
言い換えれば、変換用導波管WG2と導波管1の上壁1aとの空隙より、信号用導体17を含むマイクロストリップ線路と導波管1の上壁1aとの空隙が長い。
要するに、信号用導体17を含むマイクロストリップ線路と導波管1の上壁1aとの空隙が、当該マイクロストリップ線路を構成する信号用導体17の表面から変換用導波管WG2、つまり第2の地導体18上に位置する導波管1の上壁1aの内面1a1を延長した水平面までの距離より長い。
【0058】
このように構成することにより、第2の地導体18の他端部と信号用導体17の一端部との電気的な接続部において、信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送される高周波信号及び変換用導波管WG2に伝搬される高周波信号に対する当該接続部と導波管1の上壁1aとの開放の状態をより確実に行える。
その結果、第2の地導体18の一端と導波管1の上壁1aとは導波管1を伝搬する信号に対してより確実に電気的に短絡となり、第2の地導体18の表面と導波管1の上壁1a内面との空隙からの変換用導波管WG2に伝搬される高周波信号の漏洩をより低減でき、より低損失なマイクロストリップ線路-導波管変換器が得られる。
【0059】
実施の形態2に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様の効果を有する他、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号をより低損失に伝搬できる。
【0060】
実施の形態3.
実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を、
図11から
図14を用いて説明する。
実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器に対して第2の地導体18の表面上にスタブ用誘電体19とスタブ用貫通導体20とスタブ用導体21を配置した点が相違し、その他の点は同じである。
なお、
図11から
図14中、
図1から
図4に付した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0061】
実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様に、導波管1と、マイクロストリップ基板の一端部に形成された変換部とを備える。
導波管1は、上壁1aと下壁1bと右側壁1cと左側壁1dを有し、高周波信号である電磁波を伝送する。
導波管1は断面が矩形であり、上壁1a及び下壁1bの幅が右側壁1c及び左側壁1dの幅より長い。
【0062】
変換部は、誘電体11と、第1の地導体12と、複数の右貫通導体13と、右地導体パッド14と、複数の左貫通導体15と、左地導体パッド16と、信号用導体17と、第2の地導体18と、スタブ用誘電体19と、スタブ用貫通導体20と、スタブ用導体21を備える。
変換部における高さは導波管1における下壁1bの内面から上壁1aの内面までの距離より短い。
【0063】
変換部における誘電体11と第1の地導体12と複数の右貫通導体13と右地導体パッド14と複数の左貫通導体15と左地導体パッド16と信号用導体17と第2の地導体18は、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器の変換部における誘電体11と第1の地導体12と複数の右貫通導体13と右地導体パッド14と複数の左貫通導体15と左地導体パッド16と信号用導体17と第2の地導体18と同じ、もしくは実質的に同じである。
【0064】
すなわち、誘電体11はマイクロストリップ基板の誘電体と連続的に形成された誘電体であり、導波管1の端部に配置され、一端部に導波管1と連通する切り欠き部11aが形成され、切り欠き部11aの両側それぞれに右側部11b及び左側部11cを有する。
第1の地導体12は、誘電体11の裏面に形成され、一端部が導波管1の下壁1bの一端部における内面と電気的及び機械的に接続される。
第1の地導体12は、誘電体11の右側部11bの裏面に形成された右地導体12aと、誘電体11の左側部11cの裏面に形成された左地導体12bを有する。
第1の地導体12は、マイクロストリップ基板の誘電体の裏面に形成された地導体と連続的に形成された導体箔である。
【0065】
複数の右貫通導体13はそれぞれ、誘電体11の右側部11bを表面から裏面に貫通し、右側部11bに沿って並列に等間隔に配置され、下端が第1の地導体12の右地導体12aに電気的に接続される。
右地導体パッド14は、誘電体11の右側部11bの表面に形成され、複数の右貫通導体13の上端と電気的に接続され、複数の右貫通導体13を介して第1の地導体12の右地導体12aに電気的に接続される。
【0066】
複数の左貫通導体15はそれぞれ誘電体11の左側部11cを表面から裏面に貫通し、左側部11cに沿って並列に等間隔に配置され、下端が第1の地導体12の左地導体12bに電気的に接続される。
左地導体パッド16は、誘電体11の左側部11cの表面に形成され、複数の左貫通導体15の上端と電気的に接続され、複数の左貫通導体15を介して第1の地導体12の左地導体12bに電気的に接続される。
【0067】
信号用導体17は誘電体11の表面に形成され、一端が誘電体11に形成された切り欠き部11aに至る。
信号用導体17は導波管1の管軸と平行な線路である。
信号用導体17は、マイクロストリップ基板の誘電体の表面に形成された信号用導体と連続的に形成された導体箔である。
変換部において、信号用導体17と誘電体11と第1の地導体12はマイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路から連続するマイクロストリップ線路を構成する。
【0068】
第2の地導体18は、誘電体11における切り欠き部11aの表面側の露出面を覆う。
第2の地導体18において、右側部の裏面が右地導体パッド14の表面と電気的及び機械的に接続され、左側部の裏面が左地導体パッド16の表面と電気的及び機械的に接続され、他端部の裏面が信号用導体17の一端部の表面と電気的及び機械的に接続される。
【0069】
導波管1における下壁1bと第2の地導体18と右地導体12aと複数の右貫通導体13と右地導体パッド14と左地導体12bと複数の左貫通導体15と左地導体パッド16は変換部における変換用導波管WG2を構成する。
変換用導波管WG2は切り欠き部11aを囲う中空導波管であり、インピーダンスが比較的高い高インピーダンス特性の導波管となる。
変換用導波管WG2が比較的高い高インピーダンス特性であるため、導波管1における伝搬用導波管WG1も比較的高い高インピーダンス特性を得やすく、伝搬用導波管WG1と変換用導波管WG2のインピーダンス整合を取りやすい。
【0070】
スタブ用誘電体19の裏面は第2の地導体18の表面に接合される。
スタブ用誘電体19は、例えば、誘電体11と同様にセラミックである。
スタブ用誘電体19における導波管1の管軸方向の長さ及び管軸方向に直交する幅の長さは、第2の地導体18における導波管1の管軸方向の長さ及び管軸方向に直交する幅の長さと同じである。
但し、スタブ用誘電体19の大きさは必ずしも第2の地導体18の大きさと同じにする必要はなく、若干小さめでもよい。
【0071】
スタブ用貫通導体20は、スタブ用誘電体19における一端部の幅方向中央に位置し、スタブ用誘電体19の表面から裏面に貫通し、下端が第2の地導体18に電気的に接続される。
スタブ用貫通導体20は、例えば、一般に知られている、多層配線基板を構成する誘電体にビア(VIA)を形成する方法と同様に形成される。
【0072】
スタブ用導体21の裏面がスタブ用誘電体19の表面に接合される。
スタブ用導体21は、スタブ用貫通導体20により、一端部の裏面において第2の地導体18と電気的に接続される。
スタブ用導体21の表面と導波管1における上壁1aの内面との間には空隙が存在する。
スタブ用導体21における導波管1の管軸方向の長さは、スタブ用貫通導体20の下端と第2の地導体18の表面との接続部20aからスタブ用導体21の他端までの長さが導波管1を伝搬する信号の1/4波長となるように決定される。
【0073】
すなわち、スタブ用貫通導体20の下端と第2の地導体18の表面との接続部20aから、スタブ用貫通導体20、及びスタブ用貫通導体20の上端とスタブ用導体21の裏面の一端部の接続部20bを経由したスタブ用導体21の他端までの長さが導波管1を伝搬する信号の1/4波長である。
従って、スタブ用誘電体19とスタブ用貫通導体20とスタブ用導体21と第2の地導体18は、変換部における先端開放の1/4波長スタブとして動作する。
【0074】
スタブ用導体21の表面と導波管1における上壁1aの内面との間には空隙が存在するため、スタブ用導体21の他端部と導波管1の上壁1aとは電気的に開放の状態(
図13図示Y部)である。
一方、スタブ用貫通導体20の下端と第2の地導体18の表面との接続部20aからスタブ用導体21の他端までの長さが導波管1を伝搬する信号の1/4波長であるので、スタブ用導体21と第2の地導体18は先端開放の1/4波長スタブとして動作する。
従って、第2の地導体18の一端は、第2の地導体18とスタブ用導体21が1/4波
長スタブとして動作するので、結果として、導波管1の上壁1aと導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡(
図13図示X部)となる。
【0075】
要するに、変換用導波管WG2は、他端において、第2の地導体18が信号用導体17と電気的に接続されることにより、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路に電気的に接続される。
一方、変換用導波管WG2は、一端において、第2の地導体18の一端と導波管1の上壁1aが導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡となるため、導波管1を伝搬する信号に対し、伝搬用導波管WG1に電気的に接続される。
【0076】
次に、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器の組み立てについて説明する。
マイクロストリップ基板を構成する誘電体の一端部をマイクロストリップ線路-導波管変換器を形成するための変換器形成領域に、誘電体11の一端部における切り欠き部11aの形成、第1の地導体12、複数の右貫通導体13、複数の左貫通導体15、右地導体パッド14、左地導体パッド16、及び信号用導体17の形成、及び第2の地導体18の形成までは、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器におけるそれぞれの形成と同じであるので説明を省略する。
【0077】
次に、スタブ用誘電体19の裏面が第2の地導体18の表面に接合されるように、スタブ用誘電体19を第2の地導体18に合わせて配置する。
スタブ用貫通導体20を形成する。
スタブ用誘電体19及びスタブ用貫通導体20は、一般に知られている、多層配線基板における誘電体及びビア(VIA)を形成する方法により形成される。
【0078】
次に、スタブ用導体21をスタブ用誘電体19の表面に、スタブ用貫通導体20の上端に電気的に接続されて形成する。
スタブ用導体21は、例えば、一般に知られている、基板を構成する誘電体に導体箔を形成する方法と同様に、スタブ用誘電体19の表面に形成される。
このようにして、先端開放の1/4波長スタブを有するマイクロストリップ線路-導波
管変換器をマイクロストリップ基板の一端部に形成でき、マイクロストリップ線路-導波管変換器における信号用導体17がマイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路を構成する信号用導体と連続して形成される。
【0079】
マイクロストリップ基板の一端部に形成されたマイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1の一端部に挿入し、第1の地導体12の一端部を導波管1の下壁1bの一端部における内面にはんだ等により電気的及び機械的に接続する。
これにより、マイクロストリップ線路-導波管変換器は導波管1の一端部に装着される。
さらに、切り欠き部11aを囲う中空導波管である変換用導波管WG2が形成され、スタブ用導体21と第2の地導体18による先端開放の1/4波長スタブとしての動作によ
り、第2の地導体18の一端と導波管1の上壁1aとは導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡となる。
【0080】
すなわち、マイクロストリップ線路-導波管変換器は、高周波信号を伝搬できる状態で導波管1に接続される。
要するに、第1の地導体12の一端部を導波管1の下壁1bの一端部における内面にはんだ等により電気的及び機械的に接続することにより、マイクロストリップ線路-導波管変換器と導波管1を接続でき、組み立てが容易である。
【0081】
しかも、スタブ用導体21の表面と導波管1の上壁1aの間には空隙が存在するため、誘電体11の厚み誤差、第2の地導体18の厚み誤差、導波管1の下壁1bから上壁1aまでの距離の誤差、あるいはスタブ用誘電体19の厚み誤差が生じても、これらを合わせた寸法誤差を空隙が吸収するため、マイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1に装着する際に、スタブ用誘電体19、第2の地導体18、及び導波管1の上壁1aに応力が加わらない。
その結果、マイクロストリップ線路-導波管変換器及びマイクロストリップ基板と導波管1が破損することはない。
【0082】
次に、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器の動作について説明する。
マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路を伝送された高周波信号はマイクロストリップ線路-導波管変換器における信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送される。
【0083】
信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送された高周波信号は、信号用導体17の一端と第2の地導体18の他端が電気的に接続される箇所で、切り欠き部11aを囲う変換用導波管WG2へ変換される。
変換された高周波信号は変換用導波管WG2を伝搬する。
変換用導波管WG2を伝搬された高周波信号(電磁波)は、スタブ用導体21により導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡となる第2の地導体18の一端から導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬する。
【0084】
実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、スタブ用導体21の表面と導波管1の上壁1aの内面との間に空隙が存在し、スタブ用導体21と第2の地導体18が先端開放の1/4波長スタブとして動作するため、第2の地導体18の一端が導波
管1の上壁1aに導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡され、信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送された高周波信号による第2の地導体18を流れる電流は第2の地導体18の一端から導波管1の上壁1aに流れ、高周波信号は導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬される。
【0085】
従って、第2の地導体18などにより構成される変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号はスタブ用導体21の表面と導波管1の上壁1aの内面との間の空隙から漏れることがない。
その結果、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号は低損失に伝搬して、導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬される。
【0086】
以上に述べたように、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態1に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様に切り欠き部11aを囲う中空導波管である変換用導波管WG2を構成し、誘電体11の裏面に形成された第1の地導体12の一端部が導波管の下壁1bの一端部における内面と電気的及び機械的に接続されることによりマイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1に装着し、第2の地導体18の他端部が信号用導体17の一端部に電気的に接続されることにより、マイクロストリップ線路-導波管変換器とマイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路が接続され、先端開放の1/4波長スタブとして動作するスタブ用導体21と第2の
地導体18を第2の地導体18の表面に配置したので、マイクロストリップ線路-導波管変換器の、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路及び導波管1に対する組み立てが容易である。
【0087】
しかも、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、スタブ用導体21の表面と導波管1の上壁1aの内面との間に空隙を有するので、誘電体11の厚み誤差、第2の地導体18の厚み誤差、導波管1の下壁1bから上壁1aまでの距離の誤差、あるいはスタブ用誘電体19の厚み誤差が生じても、これらを合わせた寸法誤差を空隙が吸収するため、マイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1に装着する際に、スタブ用誘電体19、第2の地導体18、及び導波管1の上壁1aに応力が加わらず、マイクロストリップ線路-導波管変換器及びマイクロストリップ基板と導波管1が破損することはない。
【0088】
また、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、中空導波管である変換用導波管WG2を構成しているため、変換用導波管WG2が高インピーダンス特性の導波管となり、導波管1における伝搬用導波管WG1を高インピーダンス特性の導波管でよく、導波管1の高さの寸法を大きくできるため、導波管1の高さに対する寸法誤差の割合が小さく、導波管1の下壁1bの内面からの高さ方向の寸法誤差に対するマイクロストリップ線路-導波管変換器としての電気特性の変化を小さくできる。
【0089】
さらに、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送された高周波信号による第2の地導体18を流れる電流が、第2の地導体18とスタブ用導体21が先端開放の1/4波長スタブとして動
作するため、第2の地導体18の一端から導波管1の上壁1aに流れ、高周波信号が導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬されるため、スタブ用導体21の表面と導波管1の上壁1aの内面との間に空隙を設けたにも関わらず、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号は当該空隙から漏れることがなく、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号は広帯域かつ低損失に伝搬する。
【0090】
なお、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器における第2の地導体18を、
図15に示すように、信号用導体17の一端部と平行にスリット18b、18cを有する第2の地導体18Aとしてもよい。
図15に示す第2の地導体18Aは、信号用導体17の一端部の表面と電気的及び機械的に接続する信号用導体接続部18aの両側それぞれに、信号用導体接続部18aと平行なスリット18b、18cを有する。
【0091】
第2の地導体18Aがスリット18b、18cを有することにより、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路から変換用導波管WG2へのインピーダンス整合がより良好に設定でき、広帯域の高周波信号に対して良好な反射特性が得られる。
なお、スリット18b、18cの数は2つに限るものではなく、1つでも3つ以上でもよく、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路と変換用導波管WG2とのインピーダンス整合を考慮し、スリットの数、位置、寸法を適切に選択すればよい。
【0092】
実施の形態4.
実施の形態4に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を、
図16を用いて説明する。
実施の形態4に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器における導波管1の上壁1aの内面が平坦であるのに対して、段差を設けた点が相違し、その他の点は同じである。
なお、
図16中、
図11から
図14に付した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0093】
以下に、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と相違する導波管1の上壁1aについて、主として説明する。
導波管1の上壁1aにおいて、第2の地導体18に接続されていない位置の信号用導体17の表面から導波管1の上壁1aの内面1a2までの距離h4が、スタブ用導体21の表面から導波管1の上壁1aの内面1a1までの距離h3より長い。
【0094】
すなわち、導波管1の上壁1aにおいて、スタブ用導体21の他端面を含む導波管1の管軸に対して垂直な面から導波管1の一端面までの上壁1a全体の厚さを薄くして上壁1aに段差を設け、距離h4を距離h3より長くする。
言い換えれば、変換用導波管WG2と導波管1の上壁1aとの空隙より、信号用導体17を含むマイクロストリップ線路と導波管1の上壁1aとの空隙が長い。
要するに、信号用導体17を含むマイクロストリップ線路と導波管1の上壁1aとの空隙が、当該マイクロストリップ線路を構成する信号用導体17の表面から変換用導波管WG2、つまりスタブ用導体21上に位置する導波管1の上壁1aの内面1a1を延長した水平面までの距離より長い。
【0095】
このように、第2の地導体18に接続されていない位置の信号用導体17の表面から導波管1の上壁1aの内面までの距離が、信号用導体17の表面からスタブ用導体21上に位置する前記導波管の上壁の内面を延長した水平面までの距離より長い構成することにより、スタブ用導体21と第2の地導体18により構成される先端開放の1/4波長スタブ
において、先端開放がより開放(オープン)となり、第2の地導体18の一端、つまり、導波管側は導波管1を伝搬する信号に対して導波管1の上壁1aとより短絡(ショート)となるため、変換用導波管WG2と導波管1の上壁1aとの空隙からの高周波信号の漏洩をより低減でき、より低損失なマイクロストリップ線路-導波管変換器が得られる。
【0096】
実施の形態4に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様の効果を有する他、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号をより低損失に伝搬できる。
なお、実施の形態4に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器においても、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において説明したと同様に、第2の地導体18を、
図15に示すように、信号用導体17の一端部と平行にスリット18b、18cを有する第2の地導体18Aとしてもよい。
【0097】
実施の形態5.
実施の形態5に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を、
図17を用いて説明する。
実施の形態5に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器における導波管1の上壁1aの内面が平坦であるのに対して、段差を設けた点が相違し、その他の点は同じである。
なお、
図17中、
図11から
図14に付した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0098】
以下に、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と相違する導波管1の上壁1aについて、主として説明する。
導波管1の上壁1aにおいて、伝搬用導波管WG1を構成する導波管1の上壁1aの内面1a3が、変換用導波管WG2が位置する導波管1の上壁1aの内面1a4より低い。
言い換えれば、伝搬用導波管WG1を構成する導波管1の下壁1bの内面から上壁1aの内面1a3までの距離h5が、変換用導波管WG2が位置する導波管1の下壁1bの内面から上壁1aの内面1a4までの距離h6より短い。
【0099】
すなわち、導波管1の上壁1aにおいて、誘電体11の一端面を含む導波管1の管軸に対して垂直な面から導波管1の一端面まで、つまり、誘電体11が配置された位置における上壁1a全体の厚さを薄くして上壁1aに段差を設け、距離h5を距離h6より短くする。
要するに、伝搬用導波管WG1を構成する導波管1の下壁1b、つまり、第1の地導体12が接続されていない下壁1bの内面から導波管1の上壁1aの内面1a3までの距離を、変換用導波管WG2が位置する導波管1の下壁1bの内面から第2の地導体18の表面までの距離と同程度にする。
【0100】
このように構成することにより、スタブ用導体21の表面と導波管1の上壁1aの内面1a4の空隙を狭くしてスタブ用導体21と第2の地導体18により構成される先端開放の1/4波長スタブと導波管1の上壁1aの内面1a3との距離を短くして導波管1を伝
搬する信号に対して第2の地導体18の一端と導波管1の上壁1aとを確実に短絡し、変換用導波管WG2と導波管1の上壁1aとの空隙からの高周波信号の漏洩を低減した上で、変換用導波管WG2の高さと伝搬用導波管WG1の高さを同程度としているため、変換用導波管WG2と伝搬用導波管WG1のインピーダンス特性が比較的高い高インピーダンス特性で同程度となり、広帯域に良好な反射特性を有するマイクロストリップ線路-導波
管変換器を得ることができる。
【0101】
なお、実施の形態5に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器においても、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において説明したと同様に、第2の地導体18を、
図15に示すように、信号用導体17の一端部と平行にスリット18b、18cを有する第2の地導体18Aとしてもよい。
【0102】
また、実施の形態5に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器においても、実施の形態4に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様に、第2の地導体18に接続されていない位置の信号用導体17の表面から導波管1の上壁1aの内面までの距離が、信号用導体17の表面からスタブ用導体21上に位置する前記導波管の上壁の内面を延長した水平面までの距離より長くしてもよい。
【0103】
実施の形態6.
実施の形態6に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を、
図18を用いて説明する。
実施の形態6に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器がスタブ用導体21と第2の地導体18により先端開放の1/4波長スタブを構成するものとしたが、スタブ用導体21と第2の地導体18
により導波管1を伝搬する信号の周波数に対してスタブ用誘電体19内で共振させる構成とした点が相違し、その他の点は同じである。
なお、
図18中、
図11から
図14に付した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0104】
以下に、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と相違するスタブ用導体21と第2の地導体18により導波管1を伝搬する信号の周波数に対してスタブ用誘電体19内で共振させる構成について、主として説明する。
スタブ用誘電体19の裏面は第2の地導体18の表面に接合される。
スタブ用誘電体19は、例えば、誘電体11と同様にセラミックである。
【0105】
スタブ用誘電体19における導波管1の管軸方向の長さ及び管軸方向に直交する幅の長さは、第2の地導体18における導波管1の管軸方向の長さ及び管軸方向に直交する幅の長さは同じである。
但し、スタブ用誘電体19の大きさは必ずしも第2の地導体18の大きさと同じにする必要はなく、若干小さめでもよい。
【0106】
スタブ用貫通導体20は、スタブ用誘電体19における一端部の幅方向中央に位置し、スタブ用誘電体19の表面から裏面に貫通し、下端が第2の地導体18に電気的に接続される。
スタブ用貫通導体20は、例えば、一般に知られている、多層配線基板を構成する誘電体にビア(VIA)を形成する方法と同様に形成される。
【0107】
スタブ用導体21の裏面がスタブ用誘電体19の表面に接合される。
スタブ用導体21は、スタブ用貫通導体20により、一端部の裏面において第2の地導体18と電気的に接続される。
スタブ用導体21の表面と導波管1における上壁1aの内面との間には空隙が存在する。
【0108】
スタブ用導体21は第2の地導体18と共同することにより、導波管1を伝搬する信号の周波数に対してスタブ用誘電体19内で共振させる動作をする。
すなわち、スタブ用導体21とスタブ用貫通導体20と第2の地導体18とに囲われるスタブ用誘電体19内において、導波管1を伝搬する信号の周波数が共振する。
スタブ用導体21における導波管1の管軸方向の長さは、導波管1を伝搬する信号の周波数が共振する長さに決定される。
【0109】
スタブ用導体21の表面と導波管1における上壁1aの内面との間には空隙が存在するため、スタブ用導体21の他端部と導波管1の上壁1aとは電気的に開放の状態(
図18図示Y部)である。
一方、スタブ用導体21とスタブ用貫通導体20と第2の地導体18とに囲われるスタブ用誘電体19内において、導波管1を伝搬する信号の周波数が共振するので、結果として、第2の地導体18の一端と導波管1の上壁1aとは導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡(
図18図示X部)となる。
【0110】
要するに、変換用導波管WG2は、他端において、第2の地導体18が信号用導体17と電気的に接続されることにより、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路に電気的に接続される。
一方、変換用導波管WG2は、一端において、第2の地導体18の一端と導波管1の上壁1aとは導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡となることにより、導波管1を伝搬する信号に対し、伝搬用導波管WG1に電気的に接続される。
【0111】
以上に述べたように、実施の形態6に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器も、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様に容易に組み立てられ、同様に動作し、同様の効果を有する。
なお、実施の形態6に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器においても、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において説明したと同様に、第2の地導体18を、
図15に示すように、信号用導体17の一端部と平行にスリット18b、18cを有する第2の地導体18Aとしてもよい。
【0112】
また、実施の形態6に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器においても、実施の形態4に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様に、第2の地導体18に接続されていない位置の信号用導体17の表面から導波管1の上壁1aの内面までの距離が、信号用導体17の表面からスタブ用導体21上に位置する前記導波管の上壁の内面を延長した水平面までの距離より長くしてもよい。
【0113】
また、実施の形態6に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器においても、実施の形態5に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様に、導波管1における伝搬用導波管を構成するWG1を構成する導波管1の下壁1bの内面から上壁1aの内面1a3までの距離が、変換用導波管WG2が位置する導波管1の下壁1bの内面から上壁1aの内面1a4までの距離より短くしてもよい。
【0114】
実施の形態7.
実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を、
図19から
図22を用いて説明する。
実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器がスタブ用誘電体19とスタブ用貫通導体20とスタブ用導体21を第2の地導体18の表面上にスタブ用導体21の表面と導波管1の上壁1aの内面との間に空隙を介して配置したのに対して、スタブ用誘電体19とスタブ用貫通導体20とスタブ用導体21と第3の地導体22を導波管1の上壁1aの内面にスタブ用導体21の表面と第2の地導体18の表面との間に空隙を介して配置した点が相違し、その他の点は同じである。
なお、
図19から
図22中、
図1から
図4及び
図11から
図14に付した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0115】
以下に、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と相違する点、つまり、スタブ用誘電体19とスタブ用貫通導体20とスタブ用導体21と第3の地導体22について、主として説明する。
導波管1における下壁1bと第2の地導体18と右地導体12aと複数の右貫通導体13と右地導体パッド14と左地導体12bと複数の左貫通導体15と左地導体パッド16は、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様に、切り欠き部11aを囲う中空導波管である、変換部における変換用導波管WG2を構成する。
変換用導波管WG2は、他端において、第2の地導体18が信号用導体17と電気的に接続されることにより、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路に電気的に接続される。
【0116】
スタブ用誘電体19とスタブ用貫通導体20とスタブ用導体21と第3の地導体22は、変換部における先端開放の1/4波長スタブとして動作するスタブ基板を構成する。
スタブ用誘電体19は、表面が前記第2の地導体18の表面に対向して配置される。
スタブ用誘電体19は、例えば、誘電体11と同様にセラミックである。
【0117】
スタブ用誘電体19における導波管1の管軸方向の長さ及び管軸方向に直交する幅の長さは、第2の地導体18における導波管1の管軸方向の長さ及び管軸方向に直交する幅の長さと同じである。
但し、スタブ用誘電体19の大きさは必ずしも第2の地導体18の大きさと同じにする必要はなく、若干小さめでもよい。
【0118】
スタブ用誘電体19は、第3の地導体22を介して導波管1における上壁1aの一端部における内面に固定される。
すなわち、第3の地導体22はスタブ用誘電体の裏面に形成され、裏面が導波管1の上壁1aの一端部における内面とはんだ等により電気的及び機械的に接続される。
【0119】
スタブ用貫通導体20は、スタブ用誘電体19における一端部の幅方向中央に位置し、スタブ用誘電体19の表面から裏面に貫通し、下端が第3の地導体22に電気的に接続される。
スタブ用貫通導体20は、例えば、一般に知られている、誘電体にビア(VIA)を形成する方法と同様に形成される。
【0120】
スタブ用導体21は、表面が第2の地導体18の表面に空隙を介して対向配置され、裏面がスタブ用誘電体19の表面に接合される。
スタブ用導体21は、スタブ用貫通導体20により、一端部の裏面において第3の地導体22と電気的に接続される。
【0121】
スタブ用導体21と第3の地導体22は、スタブ用誘電体19における一端部の幅方向中央において、スタブ用貫通導体20により電気的に接続され、スタブ用導体21における導波管1の管軸方向の長さは、スタブ用貫通導体20の下端と第3の地導体22の表面との接続部20aからスタブ用導体21の他端までの長さが導波管1を伝搬する信号の1/4波長となるように決定される。
【0122】
すなわち、スタブ用貫通導体20の下端と第3の地導体22の表面との接続部20aから、スタブ用貫通導体20、及びスタブ用貫通導体20の上端とスタブ用導体21の裏面の一端部の接続部20bを経由したスタブ用導体21の他端までの長さが導波管1を伝搬する信号の1/4波長である。
【0123】
スタブ用導体21の表面と第2の地導体18の表面との間には空隙が存在するため、スタブ用導体21の他端部と第2の地導体18の表面とは電気的に開放の状態(
図20図示Y部)である。
一方、スタブ用貫通導体20の下端と第3の地導体22の表面との接続部20aからスタブ用導体21の他端までの長さが導波管1を伝搬する信号の1/4波長であるので、スタブ用導体21と第3の地導体22は先端開放の1/4波長スタブとして動作する。
従って、第2の地導体18の一端は1/4波長スタブとして動作するスタブ基板を介し
て導波管1の上壁1aと導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡(
図20図示X部)となる。
【0124】
要するに、変換用導波管WG2は、一端において、第2の地導体18の一端と導波管1の上壁1aとはスタブ基板を介して導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡となり、導波管1を伝搬する信号に対し、伝搬用導波管WG1に電気的に接続される。
【0125】
次に、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器の組み立てについて説明する。
マイクロストリップ基板を構成する誘電体の一端部をマイクロストリップ線路-導波管変換器を形成するための変換器形成領域に、誘電体11の一端部における切り欠き部11aの形成、第1の地導体12、複数の右貫通導体13、複数の左貫通導体15、右地導体パッド14、左地導体パッド16、及び信号用導体17の形成、及び第2の地導体18の形成までは、実施の形態3(実施の形態1)に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器におけるそれぞれの形成と同じであるので説明を省略する。
【0126】
一方、スタブ用誘電体19の裏面に導体箔である第3の地導体22を形成し、スタブ用誘電体19における一端部の幅方向中央に位置し、スタブ用誘電体19の表面から裏面に貫通するスタブ用貫通導体20を形成し、スタブ用誘電体19の表面に導体箔であるスタブ用導体21を形成して先端開放の1/4波長スタブとして動作するスタブ基板を作製す
る。
スタブ用誘電体19に対する、第3の地導体22、スタブ用貫通導体20、及びスタブ用導体21の形成は、この分野において一般に知られている形成方法により行われる。
【0127】
作製したスタブ基板において、第3の地導体22をはんだ等により、導波管1の上壁1aの一端部における設定した内面に電気的及び機械的に接続し、スタブ基板を導波管1の上壁1aの一端部に固定する。
マイクロストリップ基板の一端部に形成されたマイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1の一端部に挿入し、第2の地導体18の表面がスタブ基板における第3の地導体22の表面と対向した位置において、第1の地導体12の一端部を導波管1の下壁1bの一端部における内面にはんだ等により電気的及び機械的に接続する。
【0128】
これにより、切り欠き部11aを囲う中空導波管である変換用導波管WG2が形成され、しかも、第2の地導体18に対してスタブ基板が設けられたマイクロストリップ線路-導波管変換器は導波管1の一端部に装着される。
要するに、先端開放の1/4波長スタブとしての動作するスタブ基板により、第2の地
導体18の一端と導波管1の上壁1aとが導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡となり、マイクロストリップ線路-導波管変換器は高周波信号を伝搬できる状態で導波管1に接続される。
【0129】
このように構成したことにより、スタブ基板における第3の地導体22を導波管1の上壁1aの一端部における内面にはんだ等により電気的及び機械的に接続し、第1の地導体12の一端部を導波管1の下壁1bの一端部における内面にはんだ等により電気的及び機械的に接続することにより、マイクロストリップ線路-導波管変換器と導波管1を接続できるため、組み立てが容易である。
【0130】
しかも、スタブ用導体21の表面と第2の地導体18の間には空隙が存在するため、誘電体11の厚み誤差、第2の地導体18の厚み誤差、導波管1の下壁1bから上壁1aまでの距離の誤差、あるいはスタブ用誘電体19の厚み誤差が生じても、これらを合わせた寸法誤差を空隙が吸収するため、マイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1に装着する際に、スタブ用誘電体19、第2の地導体18、及び導波管1の上壁1aに応力が加わらない。
その結果、マイクロストリップ線路-導波管変換器及びマイクロストリップ基板と導波管1が破損することはない。
【0131】
次に、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器の動作について説明する。
マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路を伝送された高周波信号はマイクロストリップ線路-導波管変換器における信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送される。
【0132】
信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送された高周波信号は、信号用導体17の一端と第2の地導体18の他端が電気的に接続される箇所で、切り欠き部11aを囲う変換用導波管WG2へ変換される。
変換された高周波信号は変換用導波管WG2を伝搬する。
変換用導波管WG2を伝搬された高周波信号(電磁波)は、導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡となる第2の地導体18の一端からスタブ基板を介して導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬する。
【0133】
実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、スタブ用導体21の表面と第2の地導体18の表面との間に空隙が存在し、スタブ用導体21と第3の地導体22が先端開放の1/4波長スタブとしての動作するため、第2の地導体18の一端が導波
管1の上壁1aに導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡され、信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送された高周波信号による第2の地導体18を流れる電流は第2の地導体18の一端からスタブ基板を介して導波管1の上壁1aに流れ、高周波信号は導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬される。
【0134】
従って、第2の地導体18などにより構成される変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号はスタブ用導体21の表面と第2の地導体18の表面との間の空隙から漏れることがない。
その結果、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号は低損失に伝搬して、導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬される。
【0135】
以上に述べたように、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様に切り欠き部11aを囲う中空導波管である変換用導波管WG2を構成し、誘電体11の裏面に形成された第1の地導体12の一端部が導波管の下壁1bの一端部における内面と電気的及び機械的に接続されることによりマイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1に装着し、第2の地導体18の他端部が信号用導体17の一端部と電気的に接続されることにより、マイクロストリップ線路-導波管変換器とマイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路が接続され、先端開放の1/4波長スタブとして動作するスタブ用導体21と第3の
地導体22を導波管1の上壁の内面に配置したので、マイクロストリップ線路-導波管変換器の、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路及び導波管1に対する組み立てが容易である。
【0136】
しかも、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、スタブ用導体21の表面と第2の地導体18の表面との間に空隙を有するので、誘電体11の厚み誤差、第2の地導体18の厚み誤差、導波管1の下壁1bから上壁1aまでの距離の誤差、あるいはスタブ用誘電体19の厚み誤差が生じても、これらを合わせた寸法誤差を空隙が吸収するため、マイクロストリップ線路-導波管変換器を導波管1に装着する際に、スタブ用誘電体19、第2の地導体18、及び導波管1の上壁1aに応力が加わらず、マイクロストリップ線路-導波管変換器及びマイクロストリップ基板と導波管1が破損することはない。
【0137】
また、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、中空導波管である変換用導波管WG2を構成しているため、変換用導波管WG2が高インピーダンス特性の導波管となり、導波管1における伝搬用導波管WG1を高インピーダンス特性の導波管でよく、導波管1の高さの寸法を大きくできるため、導波管1の高さに対する寸法誤差の割合が小さく、導波管1の下壁1bの内面からの高さ方向の寸法誤差に対するマイクロストリップ線路-導波管変換器としての電気特性の変化を小さくできる。
【0138】
さらに、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、信号用導体17を含むマイクロストリップ線路に伝送された高周波信号による第2の地導体18を流れる電流が、スタブ用導体21と第3の地導体22が先端開放の1/4波長スタブとして動
作するため、第2の地導体18の一端からスタブ基板を介して導波管1の上壁1aに流れ、高周波信号が導波管1の伝搬用導波管WG1に伝搬されるため、第2の地導体18の表面とスタブ用導体21の表面との間に空隙を設けたにも関わらず、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号は当該空隙から漏れることがなく、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号は広帯域かつ低損失に伝搬する。
【0139】
なお、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器においても、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において説明したと同様に、第2の地導体18を、
図15に示すように、信号用導体17の一端部と平行にスリット18b、18cを有する第2の地導体18Aとしてもよい。
【0140】
実施の形態8.
実施の形態8に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を、
図23を用いて説明する。
実施の形態8に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器における導波管1の上壁1aの内面が平坦であるのに対して、段差を設けた点が相違し、その他の点は同じである。
なお、
図23中、
図19から
図22に付した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0141】
以下に、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と相違する導波管1の上壁1aについて、主として説明する。
導波管1の上壁1aにおいて、導波管1における伝搬用導波管を構成するWG1を構成する導波管1の下壁1bの内面から上壁1aの内面1a3までの距離h7が、変換用導波管WG2が位置する導波管1の下壁1bの内面から上壁1aの内面1a4までの距離h8より短い。
【0142】
すなわち、導波管1の上壁1aにおいて、誘電体11の一端面を含む導波管1の管軸に対して垂直な面から導波管1の一端面までの上壁1a全体の厚さを薄くして上壁1aに段差を設け、距離h7を距離h8より短くする。
言い換えれば、第1の地導体12の位置における、導波管1の下壁1bの内面から上壁1aの内面までの距離h8が、第1の地導体12が存在しない導波管1の他端側における、導波管1の下壁1bの内面から上壁1aの内面までの距離より長くする。
その結果、第2の地導体18の一端と導波管1の上壁1aとは導波管1を伝搬する信号に対してより確実に電気的に短絡となり、第2の地導体18の表面とスタブ用導体21の表面との空隙からの変換用導波管WG2に伝搬される高周波信号の漏洩をより低減でき、より低損失なマイクロストリップ線路-導波管変換器が得られる。
【0143】
実施の形態8に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様の効果を有する他、変換用導波管WG2を伝搬する高周波信号をより低損失に伝搬できる。
なお、実施の形態8に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器においても、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において説明したと同様に、第2の地導体18を、
図15に示すように、信号用導体17の一端部と平行にスリット18b、18cを有する第2の地導体18Aとしてもよい。
【0144】
実施の形態9.
実施の形態9に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器を、
図24を用いて説明する。
実施の形態9に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器がスタブ用誘電体19とスタブ用貫通導体20とスタブ用導体21と第3の地導体22により、変換部における先端開放の1/4波長スタブ
として動作するスタブ基板を構成するものとしたが、スタブ用誘電体19とスタブ用貫通導体20とスタブ用導体21と第3の地導体22により、変換部における、導波管1を伝搬する信号の周波数に対してスタブ用誘電体19内で共振させるスタブ基板を構成するとした点が相違し、その他の点は同じである。
なお、
図24中、
図19から
図22に付した符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0145】
以下に、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と相違する点、つまり、スタブ用誘電体19とスタブ用貫通導体20とスタブ用導体21と第3の地導体22について、主として説明する。
スタブ用誘電体19は、表面が前記第2の地導体の表面に対向して配置される。
スタブ用誘電体19は、例えば、誘電体11と同様にセラミックである。
【0146】
スタブ用誘電体19における導波管1の管軸方向の長さ及び管軸方向に直交する幅の長さは、第2の地導体18における導波管1の管軸方向の長さ及び管軸方向に直交する幅の長さと同じである。
但し、スタブ用誘電体19の大きさは必ずしも第2の地導体18の大きさと同じにする必要はなく、若干小さめでもよい。
【0147】
スタブ用誘電体19は、第3の地導体22を介して導波管1における上壁1aの一端部における内面に固定される。
すなわち、第3の地導体22はスタブ用誘電体の裏面に形成され、裏面が導波管1の上壁1aの一端部における内面とはんだ等により電気的及び機械的に接続される。
【0148】
スタブ用貫通導体20は、スタブ用誘電体19における一端部の幅方向中央に位置し、スタブ用誘電体19の表面から裏面に貫通し、下端が第3の地導体22に電気的に接続される。
スタブ用貫通導体20は、例えば、一般に知られている、誘電体にビア(VIA)を形成する方法と同様に形成される。
【0149】
スタブ用導体21は、表面が第2の地導体18の表面に空隙を介して対向配置され、裏面がスタブ用誘電体19の表面に接合される。
スタブ用導体21は、スタブ用貫通導体20により、一端部の裏面において第3の地導体22と電気的に接続される。
【0150】
スタブ用導体21は第3の地導体22と共同することにより、導波管1を伝搬する信号の周波数に対してスタブ用誘電体19内で共振させる動作をする。
すなわち、スタブ用導体21とスタブ用貫通導体20と第3の地導体22とに囲われるスタブ用誘電体19内において、導波管1を伝搬する信号の周波数が共振する。
スタブ用導体21における導波管1の管軸方向の長さは、導波管1を伝搬する信号の周波数が共振する長さに決定される。
【0151】
スタブ用導体21の表面と第2の地導体18の表面との間には空隙が存在するため、第2の地導体18の他端部とスタブ用導体21の他端部とは電気的に開放の状態(
図24図示Y部)である。
一方、スタブ用導体21とスタブ用貫通導体20と第2の地導体18とに囲われるスタブ用誘電体19内において、導波管1を伝搬する信号の周波数が共振するので、結果として、第2の地導体18の一端と導波管1の上壁1aとは導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡(
図24図示X部)となる。
【0152】
要するに、変換用導波管WG2は、他端において、第2の地導体18が信号用導体17と電気的に接続されることにより、マイクロストリップ基板におけるマイクロストリップ線路に電気的に接続される。
一方、変換用導波管WG2は、一端において、第2の地導体18の一端と導波管1の上壁1aとは導波管1を伝搬する信号に対して電気的に短絡となることにより、導波管1を伝搬する信号に対し、伝搬用導波管WG1に電気的に接続される。
【0153】
以上に述べたように、実施の形態9に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器も、実施の形態7に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様に容易に組み立てられ、同様に動作し、同様の効果を有する。
なお、実施の形態9に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器においても、実施の形態3に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器において説明したと同様に、第2の地導体18を、
図15に示すように、信号用導体17の一端部と平行にスリット18b、18cを有する第2の地導体18Aとしてもよい。
【0154】
また、実施の形態9に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器においても、実施の形態8に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器と同様に、導波管1の上壁1aにおいて、導波管1における伝搬用導波管を構成するWG1を構成する導波管1の下壁1bの内面から上壁1aの内面1a3までの距離が、変換用導波管WG2が位置する導波管1の下壁1bの内面から上壁1aの内面1a4までの距離より短くしてもよい。
【0155】
なお、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本開示に係るマイクロストリップ線路-導波管変換器は、マイクロストリップ線路と導波管を接続する際に用いられ、無線通信及びレーダ等において用いられる。
【符号の説明】
【0157】
1 導波管、1a 上壁、1b 下壁、1c 右側壁、1d 左側壁、11 誘電体、12 第1の地導体、13 右貫通導体、14 右地導体パッド、15 複数の左貫通導体、16 左地導体パッド、17 信号用導体、18 第2の地導体、19 スタブ用誘電体、20 スタブ用貫通導体、21 スタブ用導体、22 第3の地導体。