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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】工作システムおよび工作方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 41/00 20060101AFI20241101BHJP
   G05B 19/414 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B23Q41/00 G
G05B19/414 R
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024532337
(86)(22)【出願日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2023023187
【審査請求日】2024-05-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】池本 英明
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-315170(JP,A)
【文献】特開2019-079344(JP,A)
【文献】特開平07-028511(JP,A)
【文献】特開2020-179453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 41/00
G05B 19/18 - 19/46
B25J 9/00 - 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された第1の工作機械と、
前記ネットワークに接続された第2の工作機械と、
前記第1の工作機械に接続線で接続されるとともに前記第1の工作機械および前記第2の工作機械を操作するための操作端末と、
を備え、
前記操作端末は、前記第1の工作機械を操作するための第1の操作情報、または前記第2の工作機械を操作するための第2の操作情報を、前記第1の工作機械に送信し、
前記第1の工作機械は、前記第1の操作情報を前記操作端末から受信した場合には前記第1の操作情報に対応する処理を実行し、前記第2の操作情報を前記操作端末から受信した場合には前記第2の操作情報を、前記ネットワークを介して前記第2の工作機械に中継し、
前記第2の工作機械は、前記第2の操作情報を受信すると、前記第2の操作情報に対応する処理を実行し、
記第2の操作情報には、複数の操作を実行させる処理が含まれており、前記第1の工作機械は、前記第2の工作機械に前記複数の操作を同時に実行させる
ことを特徴とする工作システム。
【請求項2】
前記操作端末は、前記第1の操作情報を前記第1の工作機械に送信する際には前記第1の工作機械を識別する第1の識別情報を前記第1の操作情報に付加して前記第1の工作機械に送信し、前記第2の操作情報を前記第2の工作機械に送信する際には前記第2の工作機械を識別する第2の識別情報を前記第2の操作情報に付加して前記第1の工作機械に送信し、
前記第1の工作機械は、前記第1の識別情報を受信すると、前記第1の操作情報を前記操作端末から受信したと判断して前記第1の操作情報に対応する処理を実行し、前記第2の識別情報を受信すると、前記第2の識別情報に基づいて、前記第2の操作情報を、前記第2の工作機械に中継する、
ことを特徴とする請求項1に記載の工作システム。
【請求項3】
前記操作端末は、前記複数の操作を実行させる操作情報である操作情報セットを記憶しておき、ユーザによって前記操作情報セットが選択されると、前記操作情報セットを前記第1の工作機械に送信し、
前記第1の工作機械は、前記操作情報セットに対応する前記複数の操作を実行する、
ことを特徴とする請求項に記載の工作システム。
【請求項4】
前記操作端末は、前記第1の操作情報および前記第2の操作情報を含んだ第3の操作情報を前記第1の工作機械に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の工作システム。
【請求項5】
前記第1の工作機械は、前記操作端末から受信した前記第1の操作情報に前記第1の工作機械を非常停止させる情報が含まれている場合は、前記第1の工作機械を非常停止させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の工作システム。
【請求項6】
前記第1の工作機械は、前記操作端末から受信した前記第1の操作情報に前記第2の工作機械を非常停止させる情報が含まれている場合は、前記第2の工作機械を非常停止させる、
ことを特徴とする請求項に記載の工作システム。
【請求項7】
前記第2の工作機械は、前記第1の工作機械から受信した前記第2の操作情報に前記第2の工作機械を非常停止させる情報が含まれている場合は、前記第2の工作機械を非常停止させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の工作システム。
【請求項8】
前記第1の工作機械は、前記操作端末から受信した前記第2の操作情報に前記第2の工作機械を非常停止させる情報が含まれている場合は、前記第1の工作機械を非常停止させる、
ことを特徴とする請求項に記載の工作システム。
【請求項9】
前記第1の操作情報が、前記第1の工作機械の動作状態を収集するための情報であった場合、
前記第1の工作機械は、前記操作端末から前記第1の操作情報を受信すると、前記第1の工作機械の動作状態の情報である第1の動作状態情報を収集して、前記操作端末に送信し、
前記操作端末は、前記第1の動作状態情報を表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の工作システム。
【請求項10】
前記第2の操作情報が、前記第2の工作機械の動作状態を収集するための情報であった場合、
前記第2の工作機械は、前記第1の工作機械から前記第2の操作情報を受信すると、前記第2の工作機械の動作状態の情報である第2の動作状態情報を収集して、前記第1の工作機械に送信し、
前記第1の工作機械は、前記第2の動作状態情報を前記操作端末に送信し、
前記操作端末は、前記第2の動作状態情報を表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の工作システム。
【請求項11】
前記ネットワークでは、ハブを介して、前記第1の工作機械と前記第2の工作機械とが接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の工作システム。
【請求項12】
前記ネットワークでは、前記第1の工作機械と前記第2の工作機械とが直接接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の工作システム。
【請求項13】
ネットワークに接続された第1の工作機械と、前記ネットワークに接続された第2の工作機械と、前記第1の工作機械に接続線で接続されるとともに前記第1の工作機械および前記第2の工作機械を操作するための操作端末とを備えた工作システムの前記操作端末が、前記第1の工作機械を操作するための第1の操作情報、または前記第2の工作機械を操作するための第2の操作情報を、前記第1の工作機械に送信する送信ステップと、
前記第1の工作機械が、前記第1の操作情報を前記操作端末から受信した場合には前記第1の操作情報に対応する処理を実行し、前記第2の操作情報を前記操作端末から受信した場合には前記第2の操作情報を、前記ネットワークを介して前記第2の工作機械に中継する中継ステップと、
前記第2の工作機械が、前記第2の操作情報を受信すると、前記第2の操作情報に対応する処理を実行する処理実行ステップと、
を含み、
記第2の操作情報には、複数の操作を実行させる処理が含まれており、前記第1の工作機械は、前記第2の工作機械に前記複数の操作を同時に実行させる
ことを特徴とする工作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、操作端末で工作機械が操作される工作システム、工作方法、および処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンディターミナルといった操作端末は、通信線を介して接続された工作機械との間で通信を実行し、工作機械を手動で操作することができる装置である。ハンディターミナルは、工作機械の操作を行うための操作スイッチなどの操作部を備えており、操作部が操作されることで、工作機械に備え付けの操作画面から離れた位置で工作機械の操作を行うことができる。
【0003】
ハンディターミナルを使用して工作機械が操作される場合、ユーザは、通常、操作対象となる工作機械にハンディターミナルを直接接続し、例えば、当該工作機械におけるワークの加工状況を見ながら操作を行う。このとき、複数の工作機械がある場合には、複数の工作機械それぞれに対応する複数のハンディターミナルが必要であった。
【0004】
特許文献1に記載のハンディターミナルは、プラント設備の各種機器を操作しようとする時に、目的の機器が接続されている伝送ステーションに接続される。この特許文献1に記載のハンディターミナルは、接続された伝送ステーションの識別記号を識別し、この識別した伝送ステーションに接続された機器に対応する操作画面を自動生成することで、1台のハンディターミナルで複数の機器への操作を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-011690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、操作対象の機器を切替える場合に、伝送ステーションを介した機器とハンディターミナルとの間の繋ぎ直しが必要になるという問題があった。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、工作機械と操作端末との間の接続を繋ぎ替えることなく、1台の操作端末で複数の工作機械を操作することができる工作システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の工作システムは、ネットワークに接続された第1の工作機械と、ネットワークに接続された第2の工作機械と、第1の工作機械に接続線で接続されるとともに第1の工作機械および第2の工作機械を操作するための操作端末とを備える。操作端末は、第1の工作機械を操作するための第1の操作情報、または第2の工作機械を操作するための第2の操作情報を、第1の工作機械に送信する。第1の工作機械は、第1の操作情報を操作端末から受信した場合には第1の操作情報に対応する処理を実行し、第2の操作情報を操作端末から受信した場合には第2の操作情報を、ネットワークを介して第2の工作機械に中継する。第2の工作機械は、第2の操作情報を受信すると、第2の操作情報に対応する処理を実行する。第2の操作情報には、複数の操作を実行させる処理が含まれており、第1の工作機械は、第2の工作機械に複数の操作を同時に実行させる
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかる工作システムは、工作機械と操作端末との間の接続を繋ぎ替えることなく、1台の操作端末で複数の工作機械を操作することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態にかかる工作システムの構成例を示す図
図2】実施の形態にかかる工作システムが備えるハンディターミナルの外観構成例を示す図
図3】実施の形態にかかる工作システムにおいてハンディターミナルが工作機械に操作情報を送信する際の工作システムの処理手順を示すフローチャート
図4】実施の形態にかかる工作システムにおいて他の工作機械が操作情報に対応する表示情報をハンディターミナルに送信する際の工作システムの処理手順を示すフローチャート
図5】実施の形態にかかる工作機械を実現するハードウェア構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施の形態にかかる工作システム、工作方法、および処理プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかる工作システムの構成例を示す図である。工作システム1は、1台のハンディターミナル2と、工作機械M1~M3と、HUB(ハブ)3とを備えている。
【0013】
ハンディターミナル2は、工作機械M1~M3に操作を行うための操作端末である。なお、実施の形態1では、工作システム1が3台の工作機械M1~M3を備えている場合について説明するが、工作システム1は、複数(2台以上)の工作機械を備えていればよい。したがって、工作システム1が備える工作機械は、2台であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0014】
工作システム1が備える工作機械M1~M3のうちの1台の工作機械が、ハンディターミナル2と直接通信を実行する代表の工作機械である。実施の形態では、工作機械M1が代表の工作機械である場合について説明する。なお、以下の説明では、代表の工作機械である工作機械M1を代表工作機械M1という場合がある。また、以下の説明では、工作機械M1以外の工作機械である工作機械M2,M3を、他の工作機械M2,M3という場合がある。
【0015】
代表工作機械M1が第1の工作機械であり、他の工作機械M2,M3が第2の工作機械である。工作システム1が、2台の工作機械を備えている場合、他の工作機械は、工作機械M2または工作機械M3の1台である。なお、工作機械M1~M3を区別する必要がない場合には、工作機械M1~M3を工作機械Mxという場合がある。
【0016】
工作機械M1~M3は、HUB3に接続されており、互いに通信可能となっている。ハンディターミナル2は、代表工作機械M1に接続されており、互いに通信可能となっている。実施の形態のハンディターミナル2は、代表工作機械M1に情報を中継してもらうことで、他の工作機械M2,M3との間で通信可能となっている。ハンディターミナル2は、ユーザからの指示に従って工作機械M1~M3に対してユーザからの指示の内容を実行する。また、ハンディターミナル2は、ユーザからの指示に従って工作機械M1~M3から情報を取得する。
【0017】
工作機械M1~M3は、ネットワーク接続によって、工作機械Mx間で情報の送受信を行う。なお、工作機械Mx間は、工作機械Mx専用の通信規格で通信を実行してもよいし、汎用の通信規格で通信を実行してもよい。
【0018】
なお、工作システム1では、HUB3を介したネットワーク接続によって、代表工作機械M1と他の工作機械M2,M3との間で通信が実行されてもよいし、代表工作機械M1と他の工作機械M2,M3とが直接接続されたネットワーク接続によって通信が実行されてもよい。図1では、HUB3が接続線に置き換えられることで、代表工作機械M1と他の工作機械M2,M3とを直接接続したネットワークを実現できる。
【0019】
工作機械M1~M3は、例えば、制御機器、センサ、駆動機器などを接続して、機器の制御、機器の状態監視などを行う産業用ネットワーク(フィールドネットワーク)を用いて情報の送受信を実行する。この産業用ネットワークの例は、CC(Control and Communication)-Link(シーシーリンク)、Profibus(Process Field Bus、プロフィバス)、Ethernet(登録商標)/IP(イーサネット(登録商標)アイピー)、FL-net(エフ・エル・ネット)などである。工作機械M1~M3は、産業用ネットワークの通信方式に応じたデータ通信を実行する。
【0020】
工作機械M1~M3は、それぞれ自身の工作機械を識別するための各工作機械の個体識別情報(ID、IDentification)を保持している。代表工作機械M1は、工作機械M1~M3のIDと、工作機械M1~M3の通信アドレスとが対応付けされたIDテーブルを保持している。代表工作機械M1は、IDテーブルを用いて、ハンディターミナル2と工作機械M2,M3との間の情報の中継を実行する。
【0021】
ハンディターミナル2は、操作部21と、表示部22と、通信IF(InterFace)23とを有している。代表工作機械M1は、HT通信制御部31Aと、記憶部32Aと、通信IF33と、ID保存部34とを有している。また、他の工作機械M2は、HT通信制御部31Bと、記憶部32Bとを有している。また、他の工作機械M3は、HT通信制御部31Cと、記憶部32Cとを有している。
【0022】
ここで、ハンディターミナル2の外観構成について説明する。図2は、実施の形態にかかる工作システムが備えるハンディターミナルの外観構成例を示す図である。ハンディターミナル2は、操作部21と、表示部22とを有している。操作部21は、操作スイッチ、操作ボタン、操作ダイヤルなどであり、ユーザによる操作に対応する指令を受け付ける。ユーザによる操作は、工作機械Mxを操作するための操作である。すなわち、操作部21は、工作機械Mxに特定の処理を実行させるための指令をユーザから受け付ける。
【0023】
表示部22の例は、液晶モニタであり、種々の情報を表示する。表示部22は、例えば、操作対象とする工作機械Mxの名称(機械名)、工作機械Mxへの操作内容の候補、ユーザから受け付けた操作内容を示す操作情報、通信IF23が工作機械Mxから受信した工作機械Mxの情報などを表示する。
【0024】
通信IF23が工作機械Mxから受信する工作機械Mxの情報は、例えば、工作機械Mxが管理している情報であり、工作機械Mxからハンディターミナル2に提供されて、ハンディターミナル2で表示される情報(表示情報)である。
【0025】
操作部21は、ユーザから、操作対象とする工作機械Mxを指定した情報が入力されると、指定された工作機械Mxを示す情報(機械名など)を表示部22に表示させる。また、操作部21は、ユーザから、操作内容を指定した情報が入力されると、指定された操作内容を示す情報を表示部22に表示させる。ユーザから、指定された操作内容を示す情報は、例えば、工作機械Mxが収集した表示情報の取得要求などである。
【0026】
ハンディターミナル2は、工作機械Mxへの操作が行われる前に、工作機械Mxの機械名と、工作機械Mxを識別するIDとが対応付けされた対応情報を記憶部(図示せず)などで記憶しておく。例えば、ハンディターミナル2は、代表工作機械M1との最初の通信で、ハンディターミナル2からの操作対象となる工作機械MxのIDと機械名とが対応付けされた情報(対応情報)を、代表工作機械M1から取得する。実施の形態の対応情報では、工作機械M1,M2,M3のIDと、工作機械M1,M2,M3の機械名とが対応付けされている。代表工作機械M1のIDが第1の識別情報であり、他の工作機械M2,M3のIDが第2の識別情報である。
【0027】
表示部22は、代表工作機械M1から取得した対応情報に含まれる操作可能な工作機械Mxの情報(機械名)を表示する。これにより、ユーザが操作したい工作機械Mxが、ユーザによって選択可能となる。
【0028】
ハンディターミナル2は、ユーザから、操作対象とする工作機械Mxを指定した工作機械Mxの機械名などが入力されると、対応情報から、ユーザに指定された工作機械Mxの機械名に対応するIDを読み出す。
【0029】
また、ハンディターミナル2は、工作機械Mxへの操作内容である操作情報を、ユーザから受け付ける。ハンディターミナル2は、ユーザによって入力された機械名と操作情報とを対応付けする。
【0030】
ハンディターミナル2が備える通信IF23は、代表工作機械M1が備える通信IF33に接続線L1を介して接続されている。通信IF23は、ユーザに指定された工作機械Mxを識別するIDと、ユーザによって指定された工作機械Mxへの操作指令を示す操作情報とを、接続線L1を介して代表工作機械M1の通信IF33に送信する。すなわち、通信IF23は、ユーザに選択された工作機械Mxに対応するIDを操作情報に付加して通信IF33に送信する。ユーザによって指定される操作情報は、工作機械Mxへの操作の内容を示す。代表工作機械M1への操作情報が第1の操作情報であり、他の工作機械M2,M3への操作情報が第2の操作情報である。なお、接続線L1は、有線でも無線でもよい。
【0031】
なお、通信IF23が通信IF33に送信する情報にはIDが含まれないこともある。この場合、代表工作機械M1は、ハンディターミナル2が接続されている代表工作機械M1(自身の工作機械)が操作対象の工作機械であると判定する。
【0032】
また、通信IF23は、工作機械Mxが収集した表示情報を、代表工作機械M1の通信IF33から受信する。通信IF23が通信IF33から受信した表示情報は、表示部22によって表示される。
【0033】
代表工作機械M1の通信IF33は、ハンディターミナル2の通信IF23から、工作機械MxのIDと、この工作機械Mxへの操作情報とを受信する。通信IF33は、受信したIDおよび操作情報をHT通信制御部31Aに送る。
【0034】
代表工作機械M1のID保存部34は、不揮発性メモリである。ID保存部34は、他の工作機械M2,M3のIDと他の工作機械M2,M3の通信アドレスとが対応付けされたIDテーブルを保持しておく。
【0035】
このIDテーブルは、予めユーザによってID保存部34に登録される。実施の形態でのIDテーブルには、他の工作機械M2のIDと他の工作機械M2の通信アドレスとが対応付けされた情報、および他の工作機械M3のIDと他の工作機械M3の通信アドレスとが対応付けされた情報が格納されている。
【0036】
代表工作機械M1の記憶部32Aは、代表工作機械M1が収集した表示情報、および代表工作機械M1がハンディターミナル2から受信した操作情報を記憶する。代表工作機械M1の記憶部32Aが記憶しておく表示情報は、代表工作機械M1がハンディターミナル2から受信した操作情報に対応する情報である。また、記憶部32Aは、代表工作機械M1のIDを示すID情報(図示せず)を予め記憶しておく。
【0037】
HT通信制御部31Aは、通信IF33が受信したIDが、自装置である代表工作機械M1のIDに対応するか否かを、記憶部32A内のID情報に基づいて判定する。HT通信制御部31Aが、通信IF33が受信したIDが代表工作機械M1のIDに対応すると判定した場合、代表工作機械M1は、通信IF33が受信した操作情報に対応する処理を実行する。例えば、代表工作機械M1がハンディターミナル2から受信した操作情報が、代表工作機械M1の動作状態を収集する処理を実行するための情報であった場合、代表工作機械M1は、代表工作機械M1の動作状態の情報(第1の動作状態情報)を表示情報として収集し、記憶部32Aに記憶させる。
【0038】
HT通信制御部31Aは、通信IF33が受信したIDが、代表工作機械M1のIDに対応する場合、記憶部32A内の表示情報を通信IF33に送る。これにより、記憶部32A内の表示情報が通信IF33から通信IF23に送られる。
【0039】
HT通信制御部31Aは、通信IF33が受信したIDが、代表工作機械M1のIDに対応しない場合、すなわち通信IF33が受信したIDが、他の工作機械M2,M3の何れかのIDに対応する場合、対応する他の工作機械にIDおよび操作情報を中継する。
【0040】
具体的には、HT通信制御部31Aは、通信IF33が受信したIDに対応する通信アドレスを、ID保存部34に保存されているIDテーブルから読み出す。HT通信制御部31Aは、読み出した通信アドレスに、通信IF33が受信したIDおよび操作情報を送信する。HT通信制御部31Aは、HUB3を介してIDおよび操作情報を送信する。
【0041】
このように、代表工作機械M1は、ハンディターミナル2との間の通信をHT通信制御部31Aで行う。そして、代表工作機械M1は、IDテーブルを用いて、ハンディターミナル2と他の工作機械M2,M3との間の情報の中継を実行する。例えば、通信IF33が受信したIDが工作機械M2のIDである場合、代表工作機械M1は、通信IF33が受信したIDおよび操作情報を工作機械M2に送信する。
【0042】
このように、HT通信制御部31Aは、代表工作機械M1に直接接続されたハンディターミナル2との通信制御を行う。また、HT通信制御部31Aは、ハンディターミナル2から受信したIDが代表工作機械M1以外の場合には、ハンディターミナル2から送られてくる通信データ(操作情報およびID)をネットワーク通信の情報に変換して他の工作機械M2,M3に送信する。
【0043】
また、HT通信制御部31Aは、他の工作機械M2,M3からネットワーク通信でハンディターミナル2への表示情報を受信した場合には、受信した表示情報をハンディターミナル2との間の通信の情報に変換してハンディターミナル2に送信する。すなわち、HT通信制御部31Aは、ハンディターミナル2と、ネットワーク接続している他の工作機械M2,M3との間の通信制御を行う。
【0044】
他の工作機械M2,M3は、同様の構成を有しているので、ここでは、工作機械M2の構成について説明する。工作機械M2の記憶部32Bは、工作機械M2が収集した表示情報、および工作機械M2が代表工作機械M1を介してハンディターミナル2から受信した操作情報を記憶する。工作機械M2の記憶部32Bが記憶しておく表示情報は、工作機械M2が代表工作機械M1を介してハンディターミナル2から受信した操作情報に対応する情報である。また、記憶部32Bは、工作機械M2のIDを示すID情報(図示せず)を予め記憶しておく。
【0045】
工作機械M2のHT通信制御部31Bは、HUB3から受信したIDが、自装置である工作機械M2のIDに対応するか否かを、記憶部32B内のID情報に基づいて判定する。工作機械M2は、HT通信制御部31Bが受信したIDが工作機械M2のIDに対応すると判定した場合、受信した操作情報に対応する処理を実行する。例えば、工作機械M2が受信した操作情報が、工作機械M2の動作状態を収集するための情報であった場合、工作機械M2は、工作機械M2の動作状態の情報を表示情報として収集する。
【0046】
代表工作機械M1がハンディターミナル2から受信したIDが工作機械M2のIDである場合、工作機械M2が第2の工作機械であり、工作機械M2の動作状態の情報が第2の動作状態情報である。また、代表工作機械M1がハンディターミナル2から受信したIDが工作機械M3のIDである場合、工作機械M3が第2の工作機械であり、工作機械M3の動作状態の情報が第2の動作状態情報である。また、代表工作機械M1がハンディターミナル2から受信したIDが工作機械M2,M3のIDである場合、工作機械M2,M3が第2の工作機械であり、工作機械M2,M3の動作状態の情報が第2の動作状態情報である。
【0047】
HT通信制御部31Bは、受信したIDが、工作機械M2のIDに一致する場合、記憶部32A内の表示情報を、HUB3を介して、代表工作機械M1のHT通信制御部31Aに送る。これにより、記憶部32B内の表示情報が代表工作機械M1を介して、ハンディターミナル2に送られる。HT通信制御部31Bは、受信したIDが、工作機械M2のIDに一致しない場合、エラーを示す情報を、代表工作機械M1に送信する。
【0048】
つぎに、工作システム1が実行する処理の処理手順について説明する。まず、工作システム1において、ハンディターミナル2が、工作機械M1~M3の何れかに操作情報を送信する際の工作システム1の処理について説明する。
【0049】
図3は、実施の形態にかかる工作システムにおいてハンディターミナルが工作機械に操作情報を送信する際の工作システムの処理手順を示すフローチャートである。工作システム1では、ハンディターミナル2が、代表工作機械M1からIDテーブルを取得する(ステップS10)。
【0050】
ハンディターミナル2の操作部21は、ユーザから、操作対象となる工作機械Mxおよび操作情報を受け付ける(ステップS20)。操作部21は、操作対象となる工作機械Mxとして、工作機械Mxの機械名などを受け付ける。
【0051】
ユーザは、例えば、表示部22に表示されている複数の工作機械Mxの機械名の中から、操作対象とする工作機械Mxを選択することで、操作対象とする工作機械Mxを指定する。操作部21は、指定された工作機械Mxを操作対象の工作機械Mxとして受け付ける。
【0052】
また、ユーザは、例えば、表示部22に表示されている複数の操作情報の中から、所望の操作情報を選択することで、所望の操作情報を指定する。操作部21は、指定された操作情報を受け付ける。
【0053】
ハンディターミナル2は、ユーザから指定された工作機械Mxに対応するIDを対応情報から読み出す。ハンディターミナル2の通信IF23は、代表工作機械M1にIDおよび操作情報を送信する(ステップS30)。
【0054】
代表工作機械M1の通信IF33は、IDおよび操作情報を受信する(ステップS40)。代表工作機械M1のHT通信制御部31Aは、ハンディターミナル2から受信した情報に付加されているIDの情報を読み取り、IDを判別する(ステップS50)。すなわち、HT通信制御部31Aは、IDが何れの工作機械MxのIDであるかを判定する。HT通信制御部31Aは、IDが代表工作機械M1のIDであるか否かを判定する(ステップS60)。
【0055】
IDが代表工作機械M1のIDである場合(ステップS60、Yes)、HT通信制御部31Aは、操作情報を記憶部32Aに格納し、代表工作機械M1は、操作情報に対応する処理を実行する(ステップS70)。
【0056】
なお、ハンディターミナル2から送られてきた操作情報にIDが含まれていない場合も、HT通信制御部31Aは、操作情報を記憶部32Aに格納する。そして、代表工作機械M1が、操作情報に対応する処理を実行する。このように、代表工作機械M1は、受信したIDが代表工作機械M1のIDである場合、または受信した情報にIDが含まれない場合は、代表工作機械M1への操作情報であると判断し、操作情報に対応する処理を実行する。
【0057】
例えば、操作情報が、表示情報を収集することを要求する情報である場合、代表工作機械M1は、操作情報に対応する表示情報を収集する。収集された表示情報は、記憶部32Aに格納される。操作情報が、表示情報を収集することを要求する情報である場合、HT通信制御部31Aは、表示情報を通信IF33に送る。通信IF33は、代表工作機械M1が収集した表示情報をハンディターミナル2に送る。
【0058】
IDが代表工作機械M1のIDでない場合(ステップS60、No)、HT通信制御部31Aは、IDに対応する他の工作機械に操作情報を中継する(ステップS80)。具体的には、HT通信制御部31Aは、ID保存部34が保存しているIDテーブルから、IDに対応する通信アドレスを読み出す。ここでは、代表工作機械M1が受信したIDが他の工作機械M2であり、HT通信制御部31Aが読み出した通信アドレスが他の工作機械M2の通信アドレスである場合について説明する。HT通信制御部31Aは、読み出した通信アドレスに操作情報を送信する。なお、HT通信制御部31Aは、読み出した通信アドレスに、操作情報とともにIDを送信してもよい。
【0059】
通信アドレスに対応する他の工作機械M2が、代表工作機械M1からの操作情報を受信する。すなわち、代表工作機械M1が受信したIDに対応する他の工作機械M2が操作情報を受信する(ステップS90)。
【0060】
操作情報を受信した他の工作機械M2は、操作情報を記憶部32Bに格納するとともに、操作情報に対応する処理を実行する(ステップS100)。
【0061】
ステップS70の処理の後、またはステップS100の処理の後、工作システム1は、ステップS20の処理に戻って、ステップS20以降の処理を実行する。これにより、工作システム1は、工作機械Mxとハンディターミナル2との間の接続を繋ぎ替えることなく、1台のハンディターミナル2で複数の工作機械Mxを操作することが可能となる。したがって、工作システム1は、工作機械Mxとの間の接続を繋ぎ替えるためのハンディターミナル2の持ち運びが不要になり、繋ぎ替えの手間を無くすことができる。
【0062】
なお、操作情報には複数のIDが含まれていてもよい。この場合、工作システム1は、操作情報に含まれている各IDに対し、ステップS50~S100の処理を実行する。
【0063】
また、操作情報は、複数の操作を実行させることが指定された情報であってもよい。この場合、工作システム1では、操作情報に含まれる複数の操作が実行される。この複数の操作は、1つの工作機械Mxへの操作であってもよいし、複数の工作機械Mxへの操作であってもよい。操作情報が複数の工作機械Mxへの操作である場合、ハンディターミナル2から代表工作機械M1へは、操作対象となる工作機械Mxに対応する複数のIDが送られる。操作情報に、代表工作機械M1への操作情報である第1の操作情報と、他の工作機械M2,M3への操作情報である第2の操作情報とが含まれている場合、第1の操作情報および第2の操作情報を含んだ操作情報が第3の操作情報である。
【0064】
操作情報には、例えば、工作機械Mxを非常停止させることが指定された情報が含まれていてもよい。工作機械Mxは、ハンディターミナル2が送信した操作情報に工作機械Mxを非常停止させる情報が含まれている場合は、工作機械Mxを非常停止させる。例えば、工作機械M1は、ハンディターミナル2から受信した操作情報に工作機械M1を非常停止させる情報が含まれている場合は、工作機械M1を非常停止させる。また、工作機械M2は、工作機械M1から受信した操作情報に工作機械M2を非常停止させる情報が含まれている場合は、工作機械M2を非常停止させる。また、工作機械M1は、ハンディターミナル2から受信した操作情報に工作機械M2を非常停止させる情報が含まれている場合は、工作機械M2を非常停止させてもよい。また、工作機械M1は、ハンディターミナル2から受信した操作情報に工作機械M2を非常停止させる情報が含まれている場合に、工作機械M1を非常停止させてもよい。また、操作情報が、複数の工作機械Mxを非常停止させることが指定された情報であれば、複数の工作機械Mxが非常停止させられる。例えば、ハンディターミナル2が送信した操作情報に工作機械M1,M2を非常停止させる情報が含まれている場合は、工作機械M1,M2は、それぞれ工作機械M1,M2を非常停止させる。
【0065】
操作情報は、複数の工作機械Mxに対して操作を同時に実行させる情報であってもよい。この場合の操作は、各工作機械Mxで共通の操作であってもよいし、異なる操作であってもよい。操作情報が、複数の工作機械Mxに対して操作を同時に実行させる情報である場合、代表工作機械M1は、複数の操作を同時に実行させる。
【0066】
また、操作情報は、複数の工作機械Mxを連動させることが指定された情報であってもよい。この場合も、操作情報には、連動対象となる工作機械MxのIDが複数含まれる。この場合の操作情報には、各操作を実行させる順番の情報が含まれており、代表工作機械M1は、順番の情報に基づいて、各操作を順番に実行させる。これにより、1台の操作端末で複数の工作機械を操作することが容易になる。
【0067】
代表工作機械M1は、例えば、1つ目の操作が実行され、実行が完了したことを示す実行完了通知を受信すると、2つ目の操作を実行させる。この場合、代表工作機械M1のHT通信制御部31Aは、1つ目の操作に対応する1つ目の工作機械Mxに1つ目の操作を実行させ、1つ目の工作機械Mxから実行完了通知を受信する。その後、HT通信制御部31Aは、2つ目の操作に対応する2つ目の工作機械Mxに2つ目の操作を実行させ、2つ目の工作機械Mxから実行完了通知を受信する。
【0068】
このように、HT通信制御部31Aは、N(Nは自然数)番目の工作機械MxにN番目の操作を実行させ、実行完了後に、(N+1)番目の工作機械Mxに(N+1)番目の操作を実行させる処理を繰り返す。例えば、操作情報が、複数の工作機械Mxを順番に非常停止させることが指定された情報である場合、複数の工作機械Mxが順番に非常停止させられる。なお、N番目の工作機械Mxおよび(N+1)番目の工作機械Mxは、代表工作機械M1であってもよい。
【0069】
なお、HT通信制御部31Aは、1台の工作機械Mxに対して非常停止の操作情報を受け付けた場合に、非常停止させる指令を全ての工作機械Mxに送信するとともに、代表工作機械M1を非常停止させてもよい。例えば、HT通信制御部31Aは、代表工作機械M1に対する非常停止の操作情報を受け付けた場合に、非常停止させる指令を全ての他の工作機械M2,M3に送信するとともに、代表工作機械M1を非常停止させる。
【0070】
ハンディターミナル2は、予め複数の操作を実行するための操作情報と、この操作情報に含まれる操作を実行する工作機械MxのIDとが対応付けされた情報である操作情報セットを記憶しておいてもよい。この場合、ハンディターミナル2は、ユーザによって操作情報セットが指定されると、指定された操作情報セットを代表工作機械M1に送信する。操作情報セットには、複数の操作情報と、複数のIDと、各操作の順番の情報とが含まれている。
【0071】
また、ハンディターミナル2は、操作情報セットと同様の情報をユーザから受け付けてもよい。すなわち、ハンディターミナル2は、複数の操作を実行するための操作情報と、この操作情報に含まれる操作を実行する工作機械MxのIDと、各操作の順番の情報とを含んだ操作情報セットをユーザから受け付けてもよい。
【0072】
つぎに、工作システム1において、他の工作機械M2,M3が、操作情報に対応する表示情報をハンディターミナル2に送信する際の工作システム1の処理について説明する。ここでは、他の工作機械M2が操作情報に対応する表示情報をハンディターミナル2に送信する際の処理について説明する。
【0073】
図4は、実施の形態にかかる工作システムにおいて他の工作機械が操作情報に対応する表示情報をハンディターミナルに送信する際の工作システムの処理手順を示すフローチャートである。
【0074】
工作システム1の他の工作機械M2は、表示情報を要求する操作情報を受信すると、表示情報を収集する。そして、他の工作機械M2のHT通信制御部31Bが、他の工作機械M2のIDおよび収集された表示情報を代表工作機械M1に送信する(ステップS110)。
【0075】
代表工作機械M1のHT通信制御部31Aは、他の工作機械M2から、IDおよび表示情報を受信する(ステップS120)。代表工作機械M1は、HT通信制御部31Aが受信したIDおよび表示情報をハンディターミナル2に中継する(ステップS130)。
【0076】
ハンディターミナル2の通信IF23は、代表工作機械M1から、IDおよび表示情報を受信する(ステップS140)。ハンディターミナル2は、予め記憶しておいた、工作機械Mxの機械名とIDとが対応付けされた対応情報から、受信したIDに対応する工作機械M2の機械名を読み出す。ハンディターミナル2の表示部22は、IDに対応する機械名および表示情報を表示する(ステップS150)。なお、工作機械Mxは、操作情報に対応する情報として、表示対象ではない情報をハンディターミナル2に送信してもよい。
【0077】
ここで、ハンディターミナル2および工作機械M1~M3のハードウェア構成について説明する。なお、ハンディターミナル2および工作機械M1~M3は、同様のハードウェア構成を有しているので、ここでは工作機械M1のハードウェア構成について説明する。
【0078】
図5は、実施の形態にかかる工作機械を実現するハードウェア構成例を示す図である。工作機械M1は、入力装置300、プロセッサ100、メモリ200、および出力装置400により実現することができる。プロセッサ100の例は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)またはシステムLSI(Large Scale Integration)である。メモリ200の例は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)である。
【0079】
工作機械M1は、プロセッサ100が、メモリ200で記憶されている工作機械M1の動作を実行するための、コンピュータで実行可能な処理プログラムを読み出して実行することにより実現される。工作機械M1の動作を実行するための処理プログラムは、工作機械M1の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0080】
工作機械M1で実行される処理プログラムは、HT通信制御部31を含むモジュール構成となっており、これらが主記憶装置上にロードされ、これらが主記憶装置上に生成される。工作機械M1で実行される処理プログラムには、ハンディターミナル2との間の通信を制御する通信制御プログラム、操作情報に対応する処理を実行する操作実行プログラムなどが含まれている。工作機械M1は、処理プログラムによって、ハンディターミナル2から工作機械M1を操作するための操作情報または工作機械M2,M3を操作するための操作情報を受信する処理を実行する。また、工作機械M1は、工作機械M1を操作するための操作情報を受信した場合には、処理プログラムによって、この操作情報に対応する処理を実行し、工作機械M2,M3を操作するための操作情報を受信した場合には、処理プログラムによって、この操作情報を、IDに対応する工作機械に中継する処理を実行する。また、工作機械M1は、処理プログラムによって、工作機械M2,M3から表示情報を受信する処理と、受信した表示情報をハンディターミナル2に転送する処理とを実行する。
【0081】
入力装置300は、ハンディターミナル2から送られてくるIDおよび操作情報、他の工作機械M2,M3から送られてくるIDおよび表示情報などを受け付けてプロセッサ100に送る。メモリ200は、表示情報、操作情報、IDテーブル、処理プログラムなどを記憶する。
【0082】
処理プログラムは、プロセッサ100によってメモリ200から読み出される。また、メモリ200は、プロセッサ100が各種処理を実行する際の一時メモリに使用される。出力装置400は、ハンディターミナル2に送るIDおよび表示情報、他の工作機械M2,M3に送信するIDおよび操作情報などを出力する。
【0083】
処理プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。また、処理プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で工作機械M1に提供されてもよい。なお、工作機械M1の機能について、一部を専用回路などの専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0084】
このように実施の形態の工作システム1は、ネットワークに接続された代表工作機械M1および他の工作機械M2,M3と、代表工作機械M1に接続線L1で接続されるとともに工作機械Mxを手動で操作するためのハンディターミナル2とを備えている。そして、代表工作機械M1は、代表工作機械M1への操作情報をハンディターミナル2から受信した場合には操作情報に対応する処理を実行している。また、代表工作機械M1は、他の工作機械M2,M3への操作情報を受信した場合には操作情報をネットワークを介して他の工作機械M2,M3に中継し、他の工作機械M2,M3は、操作情報を受信すると、操作情報に対応する処理を実行している。これにより、工作システム1は、工作機械Mxとハンディターミナル2との間の接続を繋ぎ替えることなく、1台のハンディターミナル2で複数の工作機械Mxを操作することが可能となる。
【0085】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 工作システム、2 ハンディターミナル、3 HUB、21 操作部、22 表示部、23,33 通信IF、31A~31C HT通信制御部、32A~32C 記憶部、34 ID保存部、100 プロセッサ、200 メモリ、300 入力装置、400 出力装置、L1 接続線、M1~M3,Mx 工作機械。
【要約】
工作システム(1)が、ネットワークに接続された工作機械(M1)と、ネットワークに接続された工作機械(M2,M3)と、工作機械(M1)に接続線(L1)で接続されるとともに工作機械(M1~M3)を操作するためのハンディターミナル(2)とを備え、ハンディターミナル(2)は、工作機械(M1)を操作するための第1の操作情報、または工作機械(M2,M3)を操作するための第2の操作情報を、工作機械(M1)に送信し、工作機械(M1)は、第1の操作情報をハンディターミナル(2)から受信した場合には第1の操作情報に対応する処理を実行し、第2の操作情報をハンディターミナル(2)から受信した場合には第2の操作情報を、ネットワークを介して工作機械(M2,M3)に中継し、工作機械(M2,M3)は、第2の操作情報を受信すると、第2の操作情報に対応する処理を実行する。
図1
図2
図3
図4
図5