(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】認知症回復支援システム、認知症回復支援装置、及び認知症回復支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/70 20180101AFI20241101BHJP
【FI】
G16H20/70
(21)【出願番号】P 2024542121
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 JP2022033815
(87)【国際公開番号】W WO2024053076
(87)【国際公開日】2024-03-14
【審査請求日】2024-07-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深野 さゆり
(72)【発明者】
【氏名】石井 恭介
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168084(JP,A)
【文献】特開2017-162442(JP,A)
【文献】特開2020-201681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
認知症患者に固有の個人情報を取得する第1取得部と、
任意のユーザに共通する共通情報であって、前記認知症患者の退行年代に対応する共通情報を取得する第2取得部と、
前記第1取得部により取得された前記認知症患者に固有の個人情報と、前記第2取得部により取得された、前記認知症患者の退行年代に対応する共通情報とを用いて、前記認知症患者の退行年代における生活環境を疑似的に再現した、当該認知症患者が視聴可能な情報コンテンツを生成するコンテンツ生成部と、
前記コンテンツ生成部により生成された情報コンテンツを出力するコンテンツ出力部と、
任意のユーザから提供依頼のあった物品を提供することが可能なサービスとして予め構築された現物アーカイブサービスであって、前記認知症患者が予め預け入れていた物品を保管し、当該保管している物品を当該認知症患者に提供することが可能な現物アーカイブサービスが、提供可能な物品の一覧を示す情報を取得する第3取得部と、
前記第1取得部により取得された前記認知症患者に固有の個人情報、及び、前記第2取得部により取得された、前記認知症患者の退行年代に対応する共通情報のうちの少なくとも一方に基づいて、前記第3取得部により取得された情報が示す物品の一覧から、前記認知症患者の認知症の回復に有用な物品を選択する物品選択部と、
前記物品選択部により選択された物品のうちの1つ以上の物品に対する提供指示を受け付ける提供指示受付部と、
前記現物アーカイブサービスに対し、前記提供指示受付部により提供指示が受け付けられた物品の提供依頼を発注する提供依頼発注部と、
を備えたことを特徴とする認知症回復支援システム。
【請求項2】
前記物品選択部は、
前記第3取得部により取得された情報が示す物品の一覧の中に、前記第1取得部により個人情報が取得された前記認知症患者が予め預け入れていた物品がある場合、当該認知症患者が預け入れていた物品を優先的に選択する
ことを特徴とする請求項1記載の認知症回復支援システム。
【請求項3】
前記物品選択部は、
前記第1取得部により取得された前記認知症患者に固有の個人情報、及び、前記第2取得部により取得された、前記認知症患者の退行年代に対応する共通情報のうちの少なくとも一方に、画像データが含まれる場合、
当該画像データに対して所定の画像解析を行い、当該画像解析結果に基づいて、前記第3取得部により取得された情報が示す物品の一覧から、前記認知症患者の認知症の回復に有用な物品を選択する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の認知症回復支援システム。
【請求項4】
前記物品選択部は、
前記第1取得部により取得された前記認知症患者に固有の個人情報、及び、前記第2取得部により取得された、前記認知症患者の退行年代に対応する共通情報のうちの少なくとも一方に、テキストデータが含まれる場合、
当該テキストデータに対して所定の構文解析を行い、当該構文解析結果に基づいて、前記第3取得部により取得された情報が示す物品の一覧から、前記認知症患者の認知症の回復に有用な物品を選択する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の認知症回復支援システム。
【請求項5】
認知症患者に固有の個人情報を取得する第1取得部と、
任意のユーザに共通する共通情報であって、前記認知症患者の退行年代に対応する共通情報を取得する第2取得部と、
前記第1取得部により取得された前記認知症患者に固有の個人情報と、前記第2取得部により取得された、前記認知症患者の退行年代に対応する共通情報とを用いて、前記認知症患者の退行年代における生活環境を疑似的に再現した、当該認知症患者が視聴可能な情報コンテンツを生成するコンテンツ生成部と、
前記コンテンツ生成部により生成された情報コンテンツを出力するコンテンツ出力部と、
任意のユーザから提供依頼のあった物品を提供することが可能なサービスとして予め構築された現物アーカイブサービスであって、前記認知症患者が予め預け入れていた物品を保管し、当該保管している物品を当該認知症患者に提供することが可能な現物アーカイブサービスが、提供可能な物品の一覧を示す情報を取得する第3取得部と、
前記第1取得部により取得された前記認知症患者に固有の個人情報、及び、前記第2取得部により取得された、前記認知症患者の退行年代に対応する共通情報のうちの少なくとも一方に基づいて、前記第3取得部により取得された情報が示す物品の一覧から、前記認知症患者の認知症の回復に有用な物品を選択する物品選択部と、
前記物品選択部により選択された物品のうちの1つ以上の物品に対する提供指示を受け付ける提供指示受付部と、
前記現物アーカイブサービスに対し、前記提供指示受付部により提供指示が受け付けられた物品の提供依頼を発注する提供依頼発注部と、
を備えたことを特徴とする認知症回復支援装置。
【請求項6】
認知症回復支援システムによる認知症回復支援方法であって、
第1取得部が、認知症患者に固有の個人情報を取得するステップと、
第2取得部が、任意のユーザに共通する共通情報であって、前記認知症患者の退行年代に対応する共通情報を取得するステップと、
コンテンツ生成部が、前記第1取得部により取得された前記認知症患者に固有の個人情報と、前記第2取得部により取得された、前記認知症患者の退行年代に対応する共通情報とを用いて、前記認知症患者の退行年代における生活環境を疑似的に再現した、当該認知症患者が視聴可能な情報コンテンツを生成するステップと、
コンテンツ出力部が、前記コンテンツ生成部により生成された情報コンテンツを出力するステップと、
第3取得部が、任意のユーザから提供依頼のあった物品を提供することが可能なサービスとして予め構築された現物アーカイブサービスであって、前記認知症患者が予め預け入れていた物品を保管し、当該保管している物品を当該認知症患者に提供することが可能な現物アーカイブサービスが提供可能な物品の一覧を示す情報を取得するステップと、
物品選択部が、前記第1取得部により取得された前記認知症患者に固有の個人情報、及び、前記第2取得部により取得された、前記認知症患者の退行年代に対応する共通情報のうちの少なくとも一方に基づいて、前記第3取得部により取得された情報が示す物品の一覧から、前記認知症患者の認知症の回復に有用な物品を選択するステップと、
提供指示受付部が、前記物品選択部により選択された物品のうちの1つ以上の物品に対する提供指示を受け付けるステップと、
提供依頼発注部が、前記現物アーカイブサービスに対し、前記提供指示受付部により提供指示が受け付けられた物品の提供依頼を発注するステップと、
を有することを特徴とする認知症回復支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認知症回復支援システム、認知症回復支援装置、及び認知症回復支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、認知症の回復を目指したリハビリテーション手法の一つとして、回想法が知られている。回想法とは、認知症患者が昔の懐かしい写真又は音楽などを見たり聴いたりしながら、昔の経験又は思い出を語り合う一種の心理療法であり、認知症患者へのアプロ―チとして注目されている。なお、ここでは、認知症の回復とは、例えば認知症の症状を緩和したり、認知症の進行を遅らせたりする(進行を抑制する)ことをいう。
【0003】
これに関連して、例えば特許文献1には、昔の懐かしい写真、映像、又は音楽等の各資料と、当該各資料に対応した年代におけるキーワードに基づく映像等の情報とを紐づけたVRコンテンツを制作し、当該制作したVRコンテンツを通じて、認知症患者が過去の自分を仮想的に疑似体験することで、認知症の回復を図ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術によれば、認知症患者は、上記のように制作されたVRコンテンツを視聴することで視覚及び聴覚が刺激され、これにより脳が活性化されることで、認知症の回復につながるとされている。その一方、例えば医療又はリハビリテーションの現場では、認知症患者の認知症の回復を従来よりもさらに促進することができる技術の開発が望まれている。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、認知症患者の認知症の回復を従来よりも促進可能な認知症回復支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る認知症回復支援システムは、認知症患者に固有の個人情報を取得する第1取得部と、任意のユーザに共通する共通情報であって、認知症患者の退行年代に対応する共通情報を取得する第2取得部と、第1取得部により取得された認知症患者に固有の個人情報と、第2取得部により取得された、認知症患者の退行年代に対応する共通情報とを用いて、認知症患者の退行年代における生活環境を疑似的に再現した、当該認知症患者が視聴可能な情報コンテンツを生成するコンテンツ生成部と、コンテンツ生成部により生成された情報コンテンツを出力するコンテンツ出力部と、任意のユーザから提供依頼のあった物品を提供することが可能なサービスとして予め構築された現物アーカイブサービスであって、認知症患者が予め預け入れていた物品を保管し、当該保管している物品を認知症患者に提供することが可能な現物アーカイブサービスが、提供可能な物品の一覧を示す情報を取得する第3取得部と、第1取得部により取得された認知症患者に固有の個人情報、及び、第2取得部により取得された、認知症患者の退行年代に対応する共通情報のうちの少なくとも一方に基づいて、第3取得部により取得された情報が示す物品の一覧から、認知症患者の認知症の回復に有用な物品を選択する物品選択部と、物品選択部により選択された物品のうちの1つ以上の物品に対する提供指示を受け付ける提供指示受付部と、現物アーカイブサービスに対し、提供指示受付部により提供指示が受け付けられた物品の提供依頼を発注する提供依頼発注部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、上記のように構成したので、認知症患者の認知症の回復を従来よりも促進可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る認知症回復支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1における個人認証プラットフォームの構成例を示す図である。
【
図3】実施の形態1における共通情報プラットフォームの構成例を示す図である。
【
図4】実施の形態1における現物アーカイブサービスプラットフォームの構成例を示す図である。
【
図5】実施の形態1におけるコンテンツ生成サーバの構成例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る認知症回復支援システムの情報等蓄積フェーズにおける動作例をシステム構成図に即して説明した図である。
【
図7】実施の形態1係る認知症回復支援システムの情報等蓄積フェーズにおける動作例を示す流れ図である。
【
図8】実施の形態1に係る認知症回復支援システムの診療フェーズにおける動作例をシステム構成図に即して説明した図である。
【
図9】実施の形態1係る認知症回復支援システムの診療フェーズにおける動作例を示す流れ図である。
【
図10】
図10A、
図10Bは、実施の形態1における個人認証プラットフォーム、共通情報プラットフォーム、現物アーカイブサービスプラットフォーム、及びコンテンツ生成サーバのハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る認知症回復支援システム1の構成例を示す図である。認知症回復支援システム1は、例えば
図1に示すように、個人認証プラットフォーム2、共通情報プラットフォーム3、現物アーカイブサービスプラットフォーム4、コンテンツ生成サーバ5、及び情報端末6を含んで構成されている。
【0011】
実施の形態1では、個人認証プラットフォーム2、共通情報プラットフォーム3、現物アーカイブサービスプラットフォーム4、コンテンツ生成サーバ5、及び情報端末6は、ネットワークNWを介して相互に通信可能に構成されている。以下、実施の形態1に係る認知症回復支援システム1を構成する上記各部の詳細について説明する。
【0012】
<個人認証プラットフォーム2>
個人認証プラットフォーム2は、主に、認知症回復支援システム1に参加しているユーザ(以下、単に「ユーザ」ともいう。)Yの登録を受け付けるとともに、当該ユーザYの個人認証を行う機能(個人認証機能)と、当該個人認証機能により認証されたユーザYの個人情報を登録する機能(個人情報登録機能)とを実現可能なプラットフォームである。
【0013】
例えば、ユーザYは、個人認証プラットフォーム2に対し、自ら所有する携帯端末(スマートフォンなど)及びPC(Personal Computer)などの情報端末6を用いてユーザ登録を行う。その後、ユーザYは、情報端末6を用いて個人認証プラットフォーム2にアクセスし、個人認証を行う。この認証に成功すると、ユーザYは、個人認証プラットフォーム2に対して個人情報を登録できるようになる。
【0014】
ここで、ユーザYが登録する個人情報には、例えばユーザYの趣味嗜好に関する情報が含まれる。ユーザYの趣味嗜好に関する情報としては、例えば、ユーザYの趣味に関する物品が撮像された写真データ、ユーザYの趣味に関する事柄が記載されたテキストデータ、ユーザYが嗜好する物品が撮像された写真及び動画データ、又は、ユーザYが嗜好する物品のレシピ(味及び香り等の情報を含む)が記載されたテキストデータなどが挙げられる。
【0015】
なお、ユーザYの趣味に関する物品としては、例えば玩具(おもちゃ)、雑誌、乗り物、及び絵画などの無生物のほか、ユーザYが好きな動物(ペットなど)及び植物などの生物も広く含まれる。また、ユーザYが嗜好する物品としては、例えば酒類、たばこ、コーヒー、ドリンク、市販の菓子などの嗜好品のほか、ユーザYの母親が作るカレーなど、ユーザYにとっての思い出の料理なども広く含まれる。
【0016】
この他、ユーザYの個人情報としては、例えばユーザYの家族を撮像した写真及び動画データ、ユーザYの住居を撮像した写真及び動画データ、並びに、ユーザYが日常的に記録した日記などのテキストデータなども含まれる。
【0017】
個人認証プラットフォーム2は、例えば、上述の個人認証機能及び個人情報登録機能により実現されるサービスを提供する事業者に導入される。例えば、個人認証プラットフォーム2は、当該サービスを提供する事業者に設置されるコンピュータ(サーバ等)で構成される。なお、当該事業者は、例えば情報通信事業を行っている民間企業であってもよいし、省庁及び自治体などの公的な機関であってもよい。ただし、上記はあくまで一例であり、個人認証プラットフォーム2の導入先については特に限定されない。
【0018】
次に、個人認証プラットフォーム2の構成例について、
図2を参照しながら説明する。個人認証プラットフォーム2は、
図2に示すように、登録受付部21と、認証部22と、情報受付部23と、第1記録制御部24と、第1記録部25と、情報管理部26とを含んで構成される。
【0019】
登録受付部21は、ユーザYの情報端末6を介してユーザ登録を受け付ける。具体的には、登録受付部21は、例えばユーザYの登録情報として、ユーザYの住所、氏名、及び生年月日のほか、ユーザYが個人認証を行う際に使用するパスワードなど、ユーザYが個人認証を行うために必要となる情報の入力を受け付ける。登録受付部21は、ユーザYの登録を受け付けると、ユーザYに固有の識別子を付与する。
【0020】
認証部22は、登録受付部21により登録が受け付けられたユーザYの個人認証を行う。その際、認証部22は、例えば登録受付部21により受け付けられたユーザYの識別子及び登録情報に基づいて、ユーザYの個人認証を行う。認証部22は、個人認証の結果(成功又は失敗)をユーザYの情報端末6に返信する。
【0021】
情報受付部23は、認証部22による個人認証に成功したユーザYの情報端末6を介して、ユーザYの個人情報を受け付ける。ユーザYの個人情報には、少なくとも当該ユーザYの趣味嗜好に関する情報が含まれる。
【0022】
第1記録制御部24は、登録受付部21が付与したユーザYの識別子をユーザYと対応付けて第1記録部25に記録させる。また、第1記録制御部24は、情報受付部23により受け付けられたユーザYの個人情報を第1記録部25に記録させる。
【0023】
第1記録部25は、ユーザYの識別子をユーザYと対応付けて記録する。また、第1記録部25は、ユーザYの個人情報を記録する。第1記録部25は、例えばHDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成される。第1記録部25は、多数のユーザの個人情報を記録することが想定されるため、比較的記録容量の大きいデバイスを使用するのが望ましい。
【0024】
情報管理部26は、第1記録部25に記録されたユーザYの識別子、及びユーザYの個人情報を管理する。例えば、情報管理部26は、ユーザYの情報端末6を介してユーザYから個人情報の参照依頼があった場合、当該参照依頼のあった個人情報を第1記録部25から読み出し、読み出した個人情報をユーザYの情報端末6へ送信する。また、情報管理部26は、ユーザYの情報端末6を介してユーザYから個人情報の削除依頼があった場合、当該削除依頼のあった個人情報を第1記録部25から削除する。
【0025】
<共通情報プラットフォーム3>
共通情報プラットフォーム3は、主に、ユーザが認知症回復支援システム1に参加しているか否かにかかわらず、任意のユーザ(以下、単に「万人」ともいう。)に共通する共通情報であって、少なくとも年代毎の時事情報を含む共通情報を登録する機能(共通情報登録機能)を実現可能なプラットフォームである。
【0026】
ここで、年代毎の時事情報としては、例えば、各年代における政治、経済、社会情勢、及び文化などの記事が掲載された新聞及び雑誌などの媒体をデジタル化したデータのほか、各年代で流行していた物、話題、人物、及び音楽などに関する記事が掲載された媒体をデジタル化したデータ、及び、各年代で流行していた音楽(流行曲)のデジタルデータなどが挙げられる。
【0027】
なお、ここでは「各年代」とは、例えば1970年代、1980年代、1990年代、2000年代などのように、あるまとまった年の単位(例えば10年単位)を意味するが、この場合において、何年単位で年代をまとめるかについては、認知症回復支援システム1の管理者等(以下、単に「管理者等」ともいう。)が任意に設定可能である。例えば、管理者等は、20年単位で年代をまとめてもよいし(1970年代、1990年代、2010年代、・・・)、5年単位で年代をまとめてもよい(1970年代、1975年代、1980年代、・・・)。あるいは、管理者等は、上記のように年代をまとめずに、1年単位としてもよい。
【0028】
共通情報プラットフォーム3は、例えば上述の共通情報登録機能により実現されるサービスを提供する事業者に導入される。例えば、共通情報プラットフォーム3は、サービスを提供する事業者に設置されるコンピュータ(サーバ等)で構成される。なお、当該事業者は、例えば情報通信事業、又は時事情報を広く取り扱う新聞広告事業及び放送事業を行っている民間企業であってもよいし、省庁及び自治体などの公的な機関であってもよい。ただし、上記はあくまで一例であり、共通情報プラットフォーム3の導入先については特に限定されない。
【0029】
次に、共通情報プラットフォーム3の構成例について、
図3を参照しながら説明する。
共通情報プラットフォーム3は、
図3に示すように、情報取得部31と、第2記録制御部32と、第2記録部33と、情報管理部34とを含んで構成される。
【0030】
情報取得部31は、上述した共通情報を取得する。共通情報には、少なくとも年代毎の時事情報が含まれる。
【0031】
具体的には、情報取得部31は、ネットワークNWを介して、上述した共通情報を保持している不図示の装置にアクセスし、当該装置から共通情報を取得する。ここで、上述した共通情報を保持している装置としては、例えば、新聞広告事業を行っている企業等に設置されているサーバ、あるいは、放送事業を行っている企業等に設置されているサーバなどが挙げられる。ただし、上記はあくまで一例であり、情報取得部31が共通情報を取得する方法については特に限定されない。
【0032】
第2記録制御部32は、情報取得部31により取得された共通情報を第2記録部33に記録させる。
【0033】
第2記録部33は、共通情報を記録する。第2記録部33は、例えばHDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成される。第2記録部33は、多数の共通情報を記録することが想定されるため、比較的記録容量の大きいデバイスを使用するのが望ましい。
【0034】
情報管理部34は、第2記録部33に記録された共通情報を管理する。例えば、情報管理部34は、コンテンツ生成サーバ5から共通情報の参照依頼があった場合、当該参照依頼のあった共通情報を第2記録部33から読み出し、読み出した共通情報をコンテンツ生成サーバ5へ送信する。
【0035】
<現物アーカイブサービスプラットフォーム4>
現物アーカイブサービスプラットフォーム4は、現物アーカイブサービス400と連携可能に構成されたプラットフォームである。ここで、現物アーカイブサービス400について簡単に説明する。
【0036】
現物アーカイブサービス400は、当該現物アーカイブサービス400を提供する事業者(以下、「アーカイブサービス事業者」ともいう。)が、認知症回復支援システム1に参加しているユーザYから物品(現物)を一時的に預かり、預かった物品をユーザYの識別子と紐づけて大型の倉庫などの保管庫に保管しておき、物品の提供依頼があった際に当該物品を保管庫から取り出して、提供依頼のあった依頼元へ配送するサービスである。つまり、現物アーカイブサービス400は、個人向けの物品預かりサービスを提供する。
【0037】
例えば、ユーザYは、お気に入りの玩具(おもちゃ)、飼っているペットの毛並みのサンプル、肌触りが良く好んで使用しているタオル及び毛布などの物品を現物アーカイブサービス400に一時的に預けておくことができる。また、上記保管庫が冷凍及び冷蔵機能を有している場合、ユーザYは、例えば好みの菓子、ドリンク、及び料理といった飲食物、又はこれらの飲食物を冷凍保存したもの、あるいはフリーズドライ品なども現物アーカイブサービス400に一時的に預けておくことができる。
【0038】
また、アーカイブサービス事業者は、料理のレシピから当該料理を再現することのできる料理人と提携している。そして、現物アーカイブサービス400は、ユーザYから例えば料理のレシピを預かった場合、アーカイブサービス事業者が提携している料理人に当該レシピからの料理の再現を依頼する。そして、現物アーカイブサービス400は、このように再現した料理を提供依頼のあった依頼元へ配送することもできる。
【0039】
また、現物アーカイブサービス400は、個人向けではなく万人向けの物品提供サービスも提供する。つまり、現物アーカイブサービス400は、ユーザYから預かった物品以外の物品についても、提供依頼があれば可能な限り配送することができるようになっている。例えば、現物アーカイブサービス400は、主に国内で市場に流通している主たる物品を購入して予め上記保管庫に保管している。ここで、「主たる物品」とは、主に国内で市場に流通しているすべての物品という意味ではなく、あくまでサービスとして依頼元に提供可能な範囲において、アーカイブサービス事業者が予め保管し得る物品、という意味である。
【0040】
アーカイブサービス事業者は、例えば現物を保管するための保管庫を自ら所有しているか、あるいは当該保管庫をレンタル事業者から借り受けている。そして、アーカイブサービス事業者は、認知症回復支援システム1に参加しているユーザYから預かった物品のほか、予め購入した、主に国内で市場に流通している主たる物品を当該保管庫内に保管している。
【0041】
また、アーカイブサービス事業者は、上記保管庫に保管することが困難な物品については、当該保管が困難な物品を取り扱う事業者の情報(事業者名、事業者住所など)を保有している。そして、アーカイブサービス事業者は、上記保管庫に保管することが困難な物品の提供依頼を受けた場合は、当該物品を取り扱う事業者から当該物品を購入し、購入した物品を提供依頼のあった依頼元へ配送するか、あるいは、当該物品を取り扱う事業者から、当該物品の提供依頼をした依頼元へ、当該物品を直接配送させるように手配することが可能となっている。
【0042】
現物アーカイブサービスプラットフォーム4は、上記のように構成された現物アーカイブサービス400と連携可能に構成されている。具体的には、現物アーカイブサービスプラットフォーム4は、認知症回復支援システム1に参加しているユーザYを含む任意のユーザから、物品の提供依頼を受け付ける機能(提供依頼受付機能)と、当該提供依頼を受け付けた物品の提供依頼を現物アーカイブサービス400に発注する機能(提供依頼発注機能)とを実現可能に構成されている。
【0043】
現物アーカイブサービスプラットフォーム4は、例えば、上述の提供依頼受付機能及び提供依頼発注機能により実現されるサービスを提供する事業者に導入される。例えば、現物アーカイブサービスプラットフォーム4は、当該サービスを提供する事業者に設置されるコンピュータ(サーバ等)で構成される。ただし、上記はあくまで一例であり、現物アーカイブサービスプラットフォーム4の導入先については特に限定されない。
【0044】
次に、現物アーカイブサービスプラットフォーム4の構成例について、
図4を参照しながら説明する。現物アーカイブサービスプラットフォーム4は、
図4に示すように、提供依頼受付部41と、提供依頼発注部42と、情報取得部43と、第3記録制御部44と、第3記録部45とを備える。
【0045】
提供依頼受付部41は、物品の提供依頼を受け付ける。
【0046】
提供依頼発注部42は、提供依頼受付部41により受け付けられた物品の提供依頼を現物アーカイブサービス400に発注する。
【0047】
情報取得部43は、アーカイブサービス事業者内に設置されている不図示のサーバに所定の周期でアクセスし、現物アーカイブサービス400において保管庫に保管されている物品、及び、保管が困難だが物品を取り扱う事業者の情報を保有している物品、すなわち、現物アーカイブサービス400が提供可能な物品の一覧を示す情報を当該サーバから取得する。
【0048】
第3記録制御部44は、情報取得部43により取得された物品の一覧を示す情報を第3記録部45に記録させる。
【0049】
第3記録部45は、情報取得部43により取得された物品の一覧を示す情報を記録する。第3記録部45は、例えばHDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成される。第3記録部45は、多数の物品の情報を記録することが想定されるため、比較的記録容量の大きいデバイスを使用するのが望ましい。
【0050】
<コンテンツ生成サーバ5>
コンテンツ生成サーバ5は、主に、認知症患者に提示することを目的とした情報コンテンツであって、当該認知症患者の退行年代における生活環境を疑似的に再現した情報コンテンツを生成する機能(コンテンツ生成機能)と、現物アーカイブサービス400が提供可能な物品の一覧の中から、当該認知症患者の認知症の回復に有用な物品を選択し、当該選択した物品のうちの1つ以上の物品の提供依頼を現物アーカイブサービス400に対して行う機能(物品提供依頼機能)とを実現可能なサーバである。
【0051】
なお、以下の説明では、説明を分かり易くするため、認知症患者Y´は上述のユーザYと同一人物であるものとする。つまり、認知症患者Y´は、認知症を発症する前にユーザYとして個人認証プラットフォーム2にユーザ登録を行い、現物アーカイブサービス400に物品等を預けていたものとする。
【0052】
ここで、認知症患者Y´の退行年代とは、認知症患者Y´が退行(いわゆる子供返り)の症状を示した際に、どの年代の自分まで退行しているかを示すものである。退行年代は認知症患者によって様々であり、例えば、ある認知症患者の退行年代は10歳代であり、ある認知症患者の退行年代は20歳代である場合がある。
【0053】
認知症患者Y´の退行年代は、例えば当該認知症患者Y´の診療にあたる医療従事者D、又は当該認知症患者Y´の家族が、当該認知症患者Y´と行う会話の内容から判断することができる。当該認知症患者Y´の診療にあたる医療従事者D、又は当該認知症患者Y´の家族は、当該認知症患者Y´と行う会話の内容から判断した当該認知症患者Y´の退行年代に関する情報をコンテンツ生成サーバ5に入力する。この入力を受け、コンテンツ生成サーバ5は、当該認知症患者Y´の退行年代における生活環境を疑似的に再現した情報コンテンツを生成し出力する。つまり、コンテンツ生成サーバ5の主なユーザは、当該認知症患者Y´の診療にあたる医療従事者D、又は、当該認知症患者Y´の家族、あるいはその両方である。
【0054】
次に、コンテンツ生成サーバ5の構成例について、
図5を参照しながら説明する。コンテンツ生成サーバ5は、
図5に示すように、受付部51と、第1取得部52と、第2取得部53と、コンテンツ生成部54と、コンテンツ出力部55と、第3取得部56と、物品選択部57と、提供指示受付部58と、物品提供依頼部59とを備える。
【0055】
受付部51は、認知症患者Y´を識別する患者情報を受け付ける。患者情報には、少なくとも当該認知症患者Y´の識別子、及び当該認知症患者Y´の退行年代を示す情報が含まれる。
【0056】
第1取得部52は、受付部51により受け付けられた認知症患者Y´の氏名、住所、及び生年月日、又は認知症患者Y´の識別子に基づき、個人認証プラットフォーム2にアクセスし、当該認知症患者Y´の個人情報を第1記録部25から取得する。
【0057】
第2取得部53は、受付部51により受け付けられた認知症患者Y´の退行年代を示す情報に基づき、共通情報プラットフォーム3にアクセスし、当該退行年代に対応する共通情報を第2記録部33から取得する。
【0058】
コンテンツ生成部54は、第1取得部52により取得された認知症患者Y´の個人情報、及び、第2取得部53により取得された、認知症患者Y´の退行年代に対応する共通情報を用いて、当該退行年代における認知症患者Y´の生活環境を疑似的に再現した情報コンテンツを生成する。
【0059】
例えば、第1取得部52が、認知症患者Y´の個人情報として当該認知症患者Y´の住居(室内を含む)が撮像された写真データを取得し、第2取得部53が、当該認知症患者Y´の退行年代である10歳代に対応する共通情報として、当該認知症患者Y´の退行年代である10歳代に流行していた音楽データを取得したとする。この場合、コンテンツ生成部54は、当該音楽データによる音楽をBGMとした情報コンテンツであって、当該認知症患者Y´の住居を疑似的に再現した情報コンテンツを生成する。
【0060】
なお、コンテンツ生成部54は、当該情報コンテンツを種々の態様で再生可能なデータ形式で生成する。例えば、コンテンツ生成部54は、当該情報コンテンツをプロジェクションマッピング技術で再生したり、当該情報コンテンツをVR(Virtual Reality)技術で再生できるようなデータ形式で生成する。
【0061】
コンテンツ出力部55は、コンテンツ生成部54により生成された情報コンテンツを出力する。例えば、コンテンツ出力部55は、コンテンツ生成部54により生成された情報コンテンツをプロジェクションマッピング技術、又はVR技術を用いて再生する。
【0062】
第3取得部56は、現物アーカイブサービスプラットフォーム4にアクセスし、現物アーカイブサービス400が提供可能な物品の一覧を示す情報を第3記録部45から取得する。
【0063】
物品選択部57は、第1取得部52により取得された認知症患者Y´に固有の個人情報、及び、第2取得部53により取得された、認知症患者Y´の退行年代に対応する共通情報のうちの少なくとも一方に基づいて、第3取得部56により取得された情報が示す物品の一覧から、認知症患者Y´の認知症の回復に有用な物品を選択する。物品選択部57は、選択した物品の情報を、コンテンツ生成サーバ5が備える不図示のディスプレイ等に表示させる。
【0064】
例えば、物品選択部57は、第3取得部56により取得された情報が示す物品の一覧の中に、第1取得部52により個人情報が取得された認知症患者Y´が予め預け入れていた物品がある場合、当該認知症患者Y´が預け入れていた物品を優先的に選択する。例えば、物品選択部57は、第3取得部56により取得された情報が示す物品の一覧の中に、認知症患者Y´の識別子が関連付けられている物品があるか否かを確認し、認知症患者Y´の識別子が関連付けられている物品があれば、その物品を優先的に選択する。
【0065】
例えば、上記物品の一覧の中に、認知症患者Y´の識別子が関連付けられている物品として、あるペットの毛並みのサンプルが存在していた場合、物品選択部57は、物品の一覧の中から、当該ペットの毛並みのサンプルを選択する。なお、物品選択部57は、上記物品の一覧の中に、当該認知症患者Y´の識別子が関連付けられている物品が複数存在する場合、物品の一覧の中から、それらの物品をすべて選択してもよい。これにより、物品選択部57は、認知症患者Y´の認知症の回復に特に有用な物品である認知症患者Y´の所有物を優先的に選択できる。したがって、認知症患者Y´の認知症の回復を従来よりも促進可能となる。
【0066】
また、例えば物品選択部57は、第1取得部52により取得された認知症患者Y´の個人情報に含まれる、当該認知症患者Y´の趣味嗜好に関する情報に基づいて、物品の一覧の中から物品を選択する。
【0067】
例えば、物品選択部57は、当該認知症患者Y´の好きだった玩具(おもちゃ)が撮像された写真データ(画像データ)が第1取得部52により取得された場合、当該取得された写真データに所定の画像解析を施し、当該画像解析の結果に基づき、当該写真データが示す写真に撮像されている玩具を特定する。そして、物品選択部57は、上記物品の一覧の中から、当該特定した玩具を選択する。
【0068】
また、例えば、物品選択部57は、当該認知症患者Y´の嗜好していたドリンクが撮像された写真データが第1取得部52により取得された場合、当該取得された写真データに所定の画像解析を施し、当該画像解析の結果に基づき、当該写真データが示す写真に撮像されているドリンクを特定する。そして、物品選択部57は、上記物品の一覧の中から、当該特定したドリンクを選択する。これにより、物品選択部57は、認知症の回復に対する有用性が比較的高い物品を選択することができる。
【0069】
なお、画像解析を行っただけでは、写真データが示す写真に撮像されている玩具又はドリンクを特定することが困難である場合、物品選択部57は、画像解析の結果を共通情報プラットフォーム3に送信し、第2記録部33に記録されている共通情報に基づいて当該玩具又はドリンクを特定するよう、共通情報プラットフォーム3に依頼してもよい。
【0070】
また、例えば物品選択部57は、第2取得部53により取得された退行年代に対応する共通情報に含まれる、当該退行年代の時事情報に基づいて、物品の一覧の中から物品を選択する。
【0071】
例えば、物品選択部57は、認知症患者Y´の退行年代において流行していた菓子に関する記事が掲載された雑誌のテキストデータが第2取得部53により取得された場合、当該取得されたテキストデータに所定の構文解析を施し、当該構文解析の結果に基づき、当該テキストデータが示す雑誌の記事に掲載されている菓子を特定する。そして、物品選択部57は、上記物品の一覧の中から、当該特定した菓子を選択する。この場合でも、物品選択部57は、認知症の回復に対する有用性が比較的高い物品を選択することができる。
【0072】
なお、構文解析を行っただけでは、テキストデータが示す雑誌の記事に掲載されている菓子を特定することが困難である場合、物品選択部57は、構文解析の結果を共通情報プラットフォーム3に送信し、第2記録部33に記録されている共通情報に基づいて当該菓子を特定するよう、共通情報プラットフォーム3に依頼してもよい。
【0073】
なお、上記の説明では、物品選択部57が、第1取得部52により取得された認知症患者Y´の個人情報に対して画像解析を行い、第2取得部53により取得された認知症患者Y´の退行年代に対応する共通情報に対して構文解析を行う例を説明したが、物品選択部57はこれに限らず、前者に対して構文解析を行い、後者に対して画像解析を行うようにしてもよい。
【0074】
提供指示受付部58は、コンテンツ生成サーバ5のユーザ(例えば認知症患者Y´の診療にあたる医療従事者D)から、物品選択部57により選択された物品のうちの1つ以上の物品に対する提供指示を受け付ける。
【0075】
例えば、医療従事者Dは、ディスプレイに表示された、物品選択部57により選択された物品を確認し、この物品の中から、実際に提供を受けたい(取り寄せたい)物品を1つ以上選択する。提供指示受付部58は、医療従事者Dによる物品の選択を、当該物品の提供指示として受け付ける。
【0076】
なお、実際に提供された物品は、後述する通り、認知症患者Y´に提示されることになるが、提示をすることで却って認知症の回復を妨げてしまうような物品も存在し得る。したがって、医療従事者Dは、医学的な見地から問題ないと判断した物品のみを選択するのが望ましい。
【0077】
物品提供依頼部59は、現物アーカイブサービス400に対し、提供指示受付部58により提供指示が受け付けられた物品の提供依頼を行う。
【0078】
なお、物品提供依頼部59は、現物アーカイブサービス400に対し、物品の提供依頼を直接行うほか、現物アーカイブサービスプラットフォーム4にアクセスし、当該現物アーカイブサービスプラットフォーム4の提供依頼受付部41に対し、物品の提供依頼を行ってもよい。
【0079】
次に、実施の形態1に係る認知症回復支援システム1の動作例について、
図6~
図9を参照しながら説明する。ここでは、説明を分かり易くするため、認知症回復支援システム1の動作例を「A.情報等蓄積フェーズ」と「B.診療フェーズ」とに分けて説明する。
図6は、認知症回復支援システム1の情報等蓄積フェーズにおける動作例をシステム構成図に即して説明した図であり、
図7は、認知症回復支援システム1の報等蓄積フェーズにおける動作例を示す流れ図である。
図8は、認知症回復支援システム1の診療フェーズにおける動作例をシステム構成図に即して説明した図であり、
図9は、認知症回復支援システム1の診療フェーズにおける動作例を示す流れ図である。
【0080】
<A.情報等蓄積フェーズ>
情報等蓄積フェーズでは、ユーザYによる個人認証プラットフォーム2への個人情報の登録、共通情報プラットフォーム3における共通情報の登録、及び、ユーザYによる現物アーカイブサービス400への現物の登録(預け入れ)等が行われる。なお、ここでは、説明を簡単にするため、ユーザYは予め個人認証プラットフォーム2に対するユーザ登録を完了しているものとする。
【0081】
まず、ユーザYは、所有する情報端末6を用いて、個人認証プラットフォーム2にアクセスし、個人認証を行う(ステップA001)。具体的には、ユーザYは、所有する情報端末6を用いて、個人認証プラットフォーム2に用意されている所定の個人認証画面を開き、当該画面に対して個人認証を行うための識別子及びパスワードを入力する。
【0082】
次に、個人認証プラットフォーム2の認証部22は、ステップA001において入力された識別子及びパスワードに基づき、ユーザYの個人認証を行う(ステップA002)。その後、個人認証プラットフォーム2の認証部22は、認証結果を情報端末6に返信する(ステップA003)。
【0083】
ユーザYは、認証結果が認証に失敗した旨を示していれば、再度個人認証を行う。一方、ユーザYは、認証結果が認証に成功した旨を示していれば、情報端末6を用いて、個人認証プラットフォーム2に対して個人情報を登録する(ステップA004)。ユーザYの個人情報には、上述の通り、少なくとも当該ユーザYの趣味嗜好に関する情報が含まれる。
【0084】
なお、ユーザYが個人認証プラットフォーム2に対して個人情報を登録する(第1記録部25に記録させる)タイミングは、特に限定されない。例えば、ユーザYは、自らの情報端末6を用いて、任意のタイミングで個人認証プラットフォーム2にアクセスして個人情報の登録を行ってもよい。または、ユーザYは、予め所定のスケジュールに従って個人認証プラットフォーム2にアクセスし、個人情報の登録を自動的に行う旨の設定を、情報端末6に対して行っておいてもよい。
【0085】
次に、個人認証プラットフォーム2の第1記録制御部24は、情報端末6により登録されたユーザYの個人情報を第1記録部25に記録させる(ステップA005)。
【0086】
一方、共通情報プラットフォーム3の情報取得部31は、万人に共通する共通情報であって、少なくとも年代毎の時事情報を含む共通情報を取得する(ステップA006)。例えば、情報取得部31は、ネットワークNWを介して、新聞広告事業を行っている企業等に設置されているサーバ、あるいは、放送事業を行っている企業等に設置されているサーバにアクセスし、当該サーバから共通情報を取得する。
【0087】
次に、共通情報プラットフォーム3の第2記録制御部32は、情報取得部31により取得された共通情報を第2記録部33に記録させる(ステップA007)。
【0088】
一方、ユーザYは、現物アーカイブサービス400に対して現物の登録(預け入れ)を行う。具体的には、ユーザYは、まず個人認証プラットフォーム2にアクセスし、現物アーカイブサービス400に対してどのような現物を登録するか等の情報を入力する。入力された情報は、個人認証プラットフォーム2から現物アーカイブサービスプラットフォーム4の第3記録制御部44に送信される。現物アーカイブサービスプラットフォーム4の第3記録制御部44は、個人認証プラットフォーム2から送信されてきた現物(物品)の情報を第3記録部45に記録させる。その後、ユーザYは、当該現物を現物アーカイブサービス400に登録する。
【0089】
なお、ユーザYによる現物の登録(預け入れ)方法は特に限定されない。例えば、ユーザYは、現物をアーカイブサービス事業者に直接持参してもよいし、郵送によりアーカイブサービス事業者に送るようにしてもよい。ユーザYにより登録された現物は、当該ユーザYの識別子と紐づけられて、上述の保管庫に保管される。
【0090】
現物アーカイブサービスプラットフォーム4の情報取得部43は、アーカイブサービス事業者内に設置されている不図示のサーバに所定の周期でアクセスし、現物アーカイブサービス400において保管庫に保管されている物品、及び、保管が困難だが物品を取り扱う事業者の情報を保有している物品、すなわち、現物アーカイブサービス400が提供可能な物品の一覧を示す情報を当該サーバから取得する(ステップA008)。
【0091】
次に、現物アーカイブサービスプラットフォーム4の第3記録制御部44は、情報取得部43により取得された物品の一覧を示す情報を第3記録部45に記録させる(ステップA009)。
【0092】
なお、情報等蓄積フェーズでは、個人認証プラットフォーム2におけるステップA001~005と、共通情報プラットフォーム3におけるステップA006~007と、現物アーカイブサービスプラットフォームにおけるステップA008~009とは、それぞれ独立したステップ群として実施されてもよい。例えば、ステップA001~005が実施されているとき、ステップA006~007及びステップA008~009は必ずしも実施されている必要はない。また、例えば、ステップA001~005と、ステップA006~007と、ステップA008~009とは、並行して実施されてもよい。
【0093】
<B.診療フェーズ>
診療フェーズでは、認知症患者Y´の診療が行われる。また、診療フェーズでは、診療の一環として、コンテンツ生成サーバ5による情報コンテンツの生成、及び認知症患者Y´の認知症の回復に有用な物品の選択等が行われる。なお、ここでは、説明を簡単にするため、医療従事者Dが認知症患者Y´の診療にあたるものとし、当該医療従事者Dがコンテンツ生成サーバ5を使用するものとする。また、認知症患者Y´は、「A.情報等蓄積フェーズ」で説明したユーザYと同一人物であるものとする。
【0094】
まず、医療従事者Dは、コンテンツ生成サーバ5に対し、認知症患者Y´を識別する患者情報を入力する。患者情報には、少なくとも当該認知症患者Y´の識別子、及び当該認知症患者Y´の退行年代を示す情報が含まれる。
【0095】
コンテンツ生成サーバ5の受付部51は、認知症患者Y´を識別する患者情報を受け付ける(ステップB001)。
【0096】
次に、コンテンツ生成サーバ5の第1取得部52は、受付部51により受け付けられた患者情報に含まれる認知症患者Y´の識別子に基づき、個人認証プラットフォーム2にアクセスし、当該認知症患者Y´の個人情報を第1記録部25から取得する(ステップB002)。
【0097】
次に、コンテンツ生成サーバ5の第2取得部53は、受付部51により受け付けられた患者情報に含まれる認知症患者Y´の退行年代を示す情報に基づき、共通情報プラットフォーム3にアクセスし、当該退行年代に対応する共通情報を第2記録部33から取得する(ステップB003)。
【0098】
次に、コンテンツ生成サーバ5のコンテンツ生成部54は、第1取得部52により取得された認知症患者Y´の個人情報、及び、第2取得部53により取得された退行年代に対応する共通情報を用いて、当該退行年代における当該認知症患者Y´の生活環境を疑似的に再現した情報コンテンツを生成する(ステップB004)。
【0099】
次に、コンテンツ生成サーバ5の第3取得部56は、現物アーカイブサービスプラットフォーム4にアクセスし、現物アーカイブサービス400が提供可能な物品の一覧を示す情報を第3記録部45から取得する(ステップB005)。
【0100】
次に、コンテンツ生成サーバ5の物品選択部57は、第1取得部52により取得された認知症患者Y´に固有の個人情報、及び、第2取得部53により取得された、認知症患者Y´の退行年代に対応する共通情報のうちの少なくとも一方に基づいて、第3取得部56により取得された情報が示す物品の一覧から、認知症患者Y´の認知症の回復に有用な物品を選択する(ステップB006)。物品選択部57は、選択した物品の情報を、コンテンツ生成サーバ5が備える不図示のディスプレイ等に表示させる。
【0101】
次に、コンテンツ生成サーバ5の提供指示受付部58は、医療従事者Dから、物品選択部57により選択された物品のうちの1つ以上の物品に対する提供指示を受け付ける(ステップB007)。
【0102】
次に、コンテンツ生成サーバ5の物品提供依頼部59は、現物アーカイブサービス400に対し、提供指示受付部58により提供指示が受け付けられた物品の提供依頼を行う(ステップB008)。例えば、物品提供依頼部59は、現物アーカイブサービスプラットフォーム4にアクセスし、当該現物アーカイブサービスプラットフォーム4の提供依頼受付部41に対し、提供指示受付部58により提供指示が受け付けられた物品の提供依頼を行う。
【0103】
次に、現物アーカイブサービスプラットフォーム4の提供依頼受付部41は、コンテンツ生成サーバ5の物品提供依頼部59によりなされた物品の提供依頼を受け付ける(ステップB009)。
【0104】
次に、現物アーカイブサービスプラットフォーム4の提供依頼発注部42は、提供依頼受付部41により受け付けられた物品の提供依頼を現物アーカイブサービス400に発注する(ステップB010)。
【0105】
その後、現物アーカイブサービス400は、提供依頼のあった物品を、依頼元である医療従事者Dへ発送する(ステップB011)。
【0106】
次に、コンテンツ生成サーバ5のコンテンツ出力部55は、コンテンツ生成部54により生成された情報コンテンツを出力する(ステップB012)。例えば、コンテンツ出力部55は、コンテンツ生成部54により生成された情報コンテンツをプロジェクションマッピング技術、又はVR技術を用いて再生する。これにより、認知症患者Y´は、当該情報コンテンツを視聴する。
【0107】
また、このとき医療従事者Dは、ステップB011で現物アーカイブサービス400から発送されてきた物品を認知症患者Y´に提示する。認知症患者Y´は、コンテンツ出力部55により出力された情報コンテンツを視聴するとともに、医療従事者Dから提示された物品を手にする。このとき、認知症患者Y´は、当該物品に直接触れたり、当該物品が飲食物であれば実際に飲食したり、香りを嗅いだりすることで、視覚及び聴覚だけでなく、触覚、味覚、及び嗅覚が刺激される。
【0108】
これにより、認知症患者Y´は、五感が満遍なく刺激され、退行年代における記憶が明確に呼び起こされる可能性が高まる。したがって、認知症患者Y´は、退行年代(退行年齢)をリアルに疑似体験することができ、当該年代(年齢)から次第に年齢を上げて現在の自分に戻る診療を受けることができる。また、認知症患者Y´は、視覚及び聴覚だけでなく、好きだった物の触覚と、記憶に直結しやすい味覚及び嗅覚とを合わせた五感が満遍なく刺激され、認知症の回復が従来よりも促進されることが期待できる。また、医療従事者Dにとっても、認知症患者Y´の個人情報、及び共通情報に加えて、実際の物品(現物)を活用することで、よりリアルな回想法を実施することができ、診療を効果的に進めることができる。
【0109】
なお、上記の説明では、個人認証プラットフォーム2、共通情報プラットフォーム3、現物アーカイブサービスプラットフォーム4、及びコンテンツ生成サーバ5がそれぞれ独立した構成とされた認知症回復支援システム1について説明した。しかしながら、認知症回復支援システム1はこれに限らず、例えば個人認証プラットフォーム2、共通情報プラットフォーム3、現物アーカイブサービスプラットフォーム4、及びコンテンツ生成サーバ5が1つの装置に集約されていてもよい。その場合、当該装置は認知症回復支援装置を構成する。
【0110】
また、認知症回復支援システム1は、個人認証プラットフォーム2、共通情報プラットフォーム3、現物アーカイブサービスプラットフォーム4、及びコンテンツ生成サーバ5が選択的に組み合わされて構成されていてもよい。例えば、個人認証プラットフォーム2と、共通情報プラットフォーム3と、現物アーカイブサービスプラットフォーム4とが組み合わされて1つのプラットフォームを構成し、当該プラットフォームと、コンテンツ生成サーバ5とにより、認知症回復支援システム1が構成されていてもよい。
【0111】
次に、
図10を参照して、実施の形態1に係る個人認証プラットフォーム2のハードウェア構成例を説明する。
個人認証プラットフォーム2における登録受付部21、認証部22、情報受付部23、第1記録制御部24、及び情報管理部26の各機能は、処理回路により実現される。処理回路は、
図10Aに示すように、専用のハードウェアであってもよいし、
図10Bに示すように、メモリ83に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、又はDSP(Digital Signal Processor)ともいう)82であってもよい。
【0112】
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路81は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。登録受付部21、認証部22、情報受付部23、第1記録制御部24、及び情報管理部26の各部の機能それぞれを処理回路81で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路81で実現してもよい。
【0113】
処理回路がCPU82の場合、登録受付部21、認証部22、情報受付部23、第1記録制御部24、及び情報管理部26の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ83に格納される。処理回路は、メモリ83に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、個人認証プラットフォーム2は、処理回路により実行されるときに、例えば
図6及び
図7に示したステップA002、A003、及びA005が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリを備える。また、これらのプログラムは、登録受付部21、認証部22、情報受付部23、第1記録制御部24、及び情報管理部26の手順及び方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ83としては、例えば、RAM(RA00ndom Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、又はDVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。
【0114】
なお、登録受付部21、認証部22、情報受付部23、第1記録制御部24、及び情報管理部26の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、登録受付部21については専用のハードウェアとしての処理回路でその機能を実現し、認証部22、情報受付部23、第1記録制御部24、及び情報管理部26については処理回路がメモリ83に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0115】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0116】
次に、実施の形態1に係る共通情報プラットフォーム3のハードウェア構成例を説明する。実施の形態1に係る共通情報プラットフォーム3のハードウェア構成例は、例えば上述した
図10と同一である。
すなわち、共通情報プラットフォーム3における情報取得部31、第2記録制御部32、及び情報管理部34の各機能は、処理回路により実現される。処理回路は、
図10Aに示すように、専用のハードウェアであってもよいし、
図10Bに示すように、メモリ83に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、又はDSP(Digital Signal Processor)ともいう)82であってもよい。
【0117】
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路81は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。情報取得部31、第2記録制御部32、及び情報管理部34の各部の機能それぞれを処理回路81で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路81で実現してもよい。
【0118】
処理回路がCPU82の場合、情報取得部31、第2記録制御部32、及び情報管理部34の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ83に格納される。処理回路は、メモリ83に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、共通情報プラットフォーム3は、処理回路により実行されるときに、例えば
図6及び
図7に示したステップA006及びA007が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリを備える。また、これらのプログラムは、情報取得部31、第2記録制御部32、及び情報管理部34の手順及び方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ83としては、例えば、RAM(RA00ndom Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、又はDVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。
【0119】
なお、情報取得部31、第2記録制御部32、及び情報管理部34の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、情報取得部31については専用のハードウェアとしての処理回路でその機能を実現し、第2記録制御部32、及び情報管理部34については処理回路がメモリ83に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0120】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0121】
次に、実施の形態1に係る現物アーカイブサービスプラットフォーム4のハードウェア構成例を説明する。実施の形態1に係る現物アーカイブサービスプラットフォーム4のハードウェア構成例は、例えば上述した
図10と同一である。
すなわち、現物アーカイブサービスプラットフォーム4における提供依頼受付部41、提供依頼発注部42、情報取得部43、及び第3記録制御部44の各機能は、処理回路により実現される。処理回路は、
図10Aに示すように、専用のハードウェアであってもよいし、
図10Bに示すように、メモリ83に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、又はDSP(Digital Signal Processor)ともいう)82であってもよい。
【0122】
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路81は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。提供依頼受付部41、提供依頼発注部42、情報取得部43、及び第3記録制御部44の各部の機能それぞれを処理回路81で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路81で実現してもよい。
【0123】
処理回路がCPU82の場合、提供依頼受付部41、提供依頼発注部42、情報取得部43、及び第3記録制御部44の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ83に格納される。処理回路は、メモリ83に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、現物アーカイブサービスプラットフォーム4は、処理回路により実行されるときに、例えば
図6及び
図7に示したステップA008~A009、並びに
図8及び
図9に示したステップB009及びB010が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリを備える。また、これらのプログラムは、提供依頼受付部41、提供依頼発注部42、情報取得部43、及び第3記録制御部44の手順及び方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ83としては、例えば、RAM(RA00ndom Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、又はDVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。
【0124】
なお、提供依頼受付部41、提供依頼発注部42、情報取得部43、及び第3記録制御部44の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、提供依頼受付部41については専用のハードウェアとしての処理回路でその機能を実現し、提供依頼発注部42、情報取得部43、及び第3記録制御部44については処理回路がメモリ83に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0125】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0126】
次に、実施の形態1に係るコンテンツ生成サーバ5のハードウェア構成例を説明する。実施の形態1に係るコンテンツ生成サーバ5のハードウェア構成例は、例えば上述した
図10と同一である。
すなわち、コンテンツ生成サーバ5における受付部51、第1取得部52、第2取得部53、コンテンツ生成部54、コンテンツ出力部55、第3取得部56、物品選択部57、提供指示受付部58、及び物品提供依頼部59の各機能は、処理回路により実現される。処理回路は、
図10Aに示すように、専用のハードウェアであってもよいし、
図10Bに示すように、メモリ83に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、又はDSP(Digital Signal Processor)ともいう)82であってもよい。
【0127】
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路81は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。受付部51、第1取得部52、第2取得部53、コンテンツ生成部54、コンテンツ出力部55、第3取得部56、物品選択部57、提供指示受付部58、及び物品提供依頼部59の各部の機能それぞれを処理回路81で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路81で実現してもよい。
【0128】
処理回路がCPU82の場合、受付部51、第1取得部52、第2取得部53、コンテンツ生成部54、コンテンツ出力部55、第3取得部56、物品選択部57、提供指示受付部58、及び物品提供依頼部59の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ83に格納される。処理回路は、メモリ83に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、コンテンツ生成サーバ5は、処理回路により実行されるときに、例えば
図8及び
図9に示したステップB001~B008、及びB012が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリを備える。また、これらのプログラムは、受付部51、第1取得部52、第2取得部53、コンテンツ生成部54、コンテンツ出力部55、第3取得部56、物品選択部57、提供指示受付部58、及び物品提供依頼部59の手順及び方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ83としては、例えば、RAM(RA00ndom Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、又はDVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。
【0129】
なお、受付部51、第1取得部52、第2取得部53、コンテンツ生成部54、コンテンツ出力部55、第3取得部56、物品選択部57、提供指示受付部58、及び物品提供依頼部59の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、受付部51については専用のハードウェアとしての処理回路でその機能を実現し、第1取得部52、第2取得部53、コンテンツ生成部54、コンテンツ出力部55、第3取得部56、物品選択部57、提供指示受付部58、及び物品提供依頼部59については処理回路がメモリ83に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0130】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0131】
以上のように、この実施の形態1によれば、認知症回復支援システム1は、認知症患者Y´に固有の個人情報を取得する第1取得部52と、任意のユーザに共通する共通情報であって、認知症患者Y´の退行年代に対応する共通情報を取得する第2取得部53と、第1取得部52により取得された認知症患者Y´に固有の個人情報と、第2取得部53により取得された、認知症患者Y´の退行年代に対応する共通情報とを用いて、認知症患者Y´の退行年代における生活環境を疑似的に再現した、当該認知症患者Y´が視聴可能な情報コンテンツを生成するコンテンツ生成部54と、コンテンツ生成部54により生成された情報コンテンツを出力するコンテンツ出力部55と、任意のユーザから提供依頼のあった物品を提供することが可能なサービスとして予め構築された現物アーカイブサービス400であって、認知症患者Y´が予め預け入れていた物品を保管し、当該保管している物品を認知症患者Y´に提供することが可能な現物アーカイブサービス400が、提供可能な物品の一覧を示す情報を取得する第3取得部56と、第1取得部52により取得された認知症患者Y´に固有の個人情報、及び、第2取得部53により取得された、認知症患者Y´の退行年代に対応する共通情報のうちの少なくとも一方に基づいて、第3取得部56により取得された情報が示す物品の一覧から、認知症患者Y´の認知症の回復に有用な物品を選択する物品選択部57と、物品選択部57により選択された物品のうちの1つ以上の物品に対する提供指示を受け付ける提供指示受付部58と、現物アーカイブサービス400に対し、提供指示受付部58により提供指示が受け付けられた物品の提供依頼を発注する提供依頼発注部42と、を備えた。これにより、実施の形態1に係る認知症回復支援システム1は、認知症患者の認知症の回復を従来よりも促進可能となる。
【0132】
また、物品選択部57は、第3取得部56により取得された情報が示す物品の一覧の中に、第1取得部52により個人情報が取得された認知症患者Y´が予め預け入れていた物品がある場合、認知症患者Y´が預け入れていた物品を優先的に選択する。これにより、実施の形態1に係る認知症回復支援システム1は、認知症患者の認知症の回復に特に有用な物品である認知症患者の所有物を優先的に選択でき、認知症患者の認知症の回復を従来よりも促進可能となる。
【0133】
また、物品選択部57は、第1取得部52により取得された認知症患者Y´に固有の個人情報、及び、第2取得部53により取得された、認知症患者Y´の退行年代に対応する共通情報のうちの少なくとも一方に、画像データが含まれる場合、当該画像データに対して所定の画像解析を行い、当該画像解析結果に基づいて、第3取得部56により取得された情報が示す物品の一覧から、認知症患者Y´の認知症の回復に有用な物品を選択する。これにより、実施の形態1に係る認知症回復支援システム1は、認知症の回復に対する有用性が比較的高い物品を選択することができる。
【0134】
また、物品選択部57は、第1取得部52により取得された認知症患者Y´に固有の個人情報、及び、第2取得部53により取得された、認知症患者Y´の退行年代に対応する共通情報のうちの少なくとも一方に、テキストデータが含まれる場合、当該テキストデータに対して所定の構文解析を行い、当該構文解析結果に基づいて、第3取得部56により取得された情報が示す物品の一覧から、認知症患者Y´の認知症の回復に有用な物品を選択する。これにより、実施の形態1に係る認知症回復支援システム1は、認知症の回復に対する有用性が比較的高い物品を選択することができる。
【0135】
なお、本開示は、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本開示は、認知症患者の認知症の回復を従来よりも促進可能であり、認知症回復支援システム、認知症回復支援装置、及び認知症回復支援方法に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0137】
1 認知症回復支援システム、2 個人認証プラットフォーム、3 共通情報プラットフォーム、4 現物アーカイブサービスプラットフォーム、5 コンテンツ生成サーバ、6 情報端末、21 登録受付部、22 認証部、23 情報受付部、24 第1記録制御部、25 第1記録部、26 情報管理部、31 情報取得部、32 第2記録制御部、33 第2記録部、34 情報管理部、41 提供依頼受付部、42 提供依頼発注部、43 情報取得部、44 第3記録制御部、45 第3記録部、51 受付部、52 第1取得部、53 第2取得部、54 コンテンツ生成部、55 コンテンツ出力部、56 第3取得部、57 物品選択部、58 提供指示受付部、59 物品提供依頼部、81 処理回路、82 CPU、83 メモリ、400 現物アーカイブサービス、D 医療従事者、NW ネットワーク、Y ユーザ、Y´ 認知症患者。