(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】ポルトランドセメントコンクリート、軽量コンクリートカキ付着基盤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20241105BHJP
A01K 61/54 20170101ALI20241105BHJP
A01K 61/77 20170101ALI20241105BHJP
C04B 14/02 20060101ALI20241105BHJP
C04B 14/04 20060101ALI20241105BHJP
C04B 14/28 20060101ALI20241105BHJP
C04B 18/04 20060101ALI20241105BHJP
C04B 18/18 20060101ALI20241105BHJP
C04B 18/08 20060101ALI20241105BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20241105BHJP
C04B 22/10 20060101ALI20241105BHJP
C04B 24/40 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
C04B28/02
A01K61/54
A01K61/77
C04B14/02 A
C04B14/02 B
C04B14/04
C04B14/28
C04B18/04
C04B18/18
C04B18/08 Z
C04B18/14 Z
C04B22/10
C04B24/40
(21)【出願番号】P 2022533423
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2020133097
(87)【国際公開番号】W WO2021109990
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】201911210488.X
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911210477.1
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520409578
【氏名又は名称】哈爾濱工程大学
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】呂 建福
(72)【発明者】
【氏名】胡 新宇
(72)【発明者】
【氏名】馬 小兵
【審査官】田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-109782(JP,A)
【文献】特開2000-041525(JP,A)
【文献】特開2002-315468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0302396(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104529286(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104938384(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111499290(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0044989(KR,A)
【文献】特表2023-517785(JP,A)
【文献】特表2023-517786(JP,A)
【文献】特表2023-517787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00 - 32/02
A01K 61/54
A01K 61/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤であって、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、粗骨材、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸塩又は炭酸水素塩、及び超可塑剤で構成され、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、粗骨材、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸塩又は炭酸水素塩、及び超可塑剤の重量百分率は順次9.0%~17.0%、4.0%~11.5%、38.4%~47.8%、24.9%~37.3%、6.2%~9.0%、0.3~2.0%、0.3~2.0%、0.3~1.5%及び0.02%~0.1%であ
り、
前記鉱物混合剤は、シリカフューム、スラグ、及びフライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、
前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つであり、
前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末、バイオ炭酸カルシウム粉末を含み、前記バイオ炭酸カルシウム粉末は、カキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末のうち1つ以上の組み合わせを含み、前記バイオカルシウム粉末の粉末度が100メッシュ~1000メッシュであることを特徴とする、ポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤。
【請求項2】
前記バイオカルシウム粉末は、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュのカキ殻粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末、魚骨粉末を処理し、そして希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理するものであることを特徴とする、請求項
1に記載のポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤。
【請求項3】
前
記炭酸塩又は炭酸水素塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのうち1つ以上であり、
前記炭酸塩又は炭酸水素塩は改質処理され、珪藻土を担体として使用し、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのうち1つ以上と複合した後、対応するイオンの持続放出を達成し、コンクリート性能への悪影響を低減又は排除することを特徴とする、請求項1に記載のポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤。
【請求項4】
ポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤の製造方法であって、
粗い表面に付着するというカキ幼生の好みの特性に応じて、異なる粗さを設計し、次に、粗さが異なる成形型枠を製造するステップS1と、
ポルトランドセメント、鉱物混合剤、粗骨材、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、改質した炭酸塩又は炭酸水素塩、及び超可塑剤を精確に量
り、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、粗骨材、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸塩又は炭酸水素塩、及び超可塑剤の重量百分率は順次9.0%~17.0%、4.0%~11.5%、38.4%~47.8%、24.9%~37.3%、6.2%~9.0%、0.3~2.0%、0.3~2.0%、0.3~1.5%及び0.02%~0.1%であり、前記鉱物混合剤は、シリカフューム、スラグ、及びフライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つであり、前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末、バイオ炭酸カルシウム粉末を含み、前記バイオ炭酸カルシウム粉末は、カキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末のうち1つ以上の組み合わせを含み、前記バイオカルシウム粉末の粉末度が100メッシュ~1000メッシュであり、前記改質した炭酸塩又は炭酸水素塩は、珪藻土を担体として使用し、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのうち1つ以上と複合するステップS2と、
まず、粗骨材、砂をコンクリートミキサー中に入れて0.5~1分間撹拌し、次に、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、及び改質した炭酸塩又は炭酸水素塩を加えて更に1~2分間撹拌し、その後、水及び超可塑剤を加えて2~6分間撹拌し、均一に撹拌した後、注入して振動させるステップS3と、
型抜きしたコンクリート供試体を高濃度CO2の養生箱に直ちに置いて0.5~5時間養生し、セメント供試体のアルカリ度を低下させ、その後、28日間標準養生し、又は実際の情況に応じて養生するステップS4とを含み、
それにより、誘引効果に優れた、ポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤を製造し得ることを特徴とする、製造方法。
【請求項5】
カキ付着基盤は
、濃色顔料、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤で構成され、前
記濃色顔料、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.3~2.0%、9.0%~17.0%、4.0%~11.5%、38.4%~47.8%、24.9%~37.3%、6.2%~9.0%及び0.02%~0.1%であ
り、前記鉱物混合剤は、シリカフューム、スラグ、及びフライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つであることを特徴とする
、ポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤。
【請求項6】
カキ付着基盤は、牛骨粉末、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤で構成され、前記牛骨粉末、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.3~2.0%、9.0%~17.0%、4.0%~11.5%、38.4%~47.8%、24.9%~37.3%、6.2%~9.0%及び0.02%~0.1%であ
り、前記鉱物混合剤は、シリカフューム、スラグ、及びフライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含むことを特徴とする
、ポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤。
【請求項7】
カキ付着基盤は、濃色顔料、炭酸塩又は炭酸水素塩、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤で構成され、前記濃色顔料、炭酸塩又は炭酸水素塩、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.3~2.0%、0.3~1.5%、9.0%~17.0%、4.0%~11.5%、38.4%~47.8%、24.9%~37.3%、6.2%~9.0%及び0.02%~0.1%であ
り、前記鉱物混合剤は、シリカフューム、スラグ、及びフライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つであることを特徴とする
、ポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤。
【請求項8】
セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、微量元素及び超可塑剤で構成され、前記セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、微量元素及び超可塑剤の重量百分率は順次、22.0%~35.0%、25.0%~38.0%、16.0%~30.0%、8.5%~16.5%、0.6~3.0%、0.6~3.0%、0.2~1.8%及び0.03%~0.18%であ
り、前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、軽量セラムサイトのうち1つ又は2つであり、前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量セラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径が0.2mm~5mmであり、前記微量元素は亜鉛、鉄、カリウム又はリンであり、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄のうち1つ以上を含み、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つであり、前記セメント質材料は、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つであり、そのうち、鉱物混和剤を混合したポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、及びフライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、スルホアルミネートセメントは、速硬性スルホアルミネートセメント、高強度スルホアルミネートセメント、及び膨張スルホアルミネートセメントのうち1つ又は2つを含み、アルカリ活性化セメント質材料は、アルカリ活性化スラグ、アルカリ活性化スラグ+フライアッシュのうち1つを含むことを特徴とする、軽量コンクリートカキ付着基盤。
【請求項9】
前記炭酸カルシウム粉末は、方解石、チョーク、石灰石、大理石、アラゴナイト、トラバーチン粉末、及
び軽質炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー及び超微細軽質炭酸カルシウムのうち1つ以上であり、その粉末度が200メッシュを超えることを特徴とする、請求項
8に記載の軽量コンクリートカキ付着基盤。
【請求項10】
カキ付着基盤は、濃色顔料、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤で構成され、前記濃色顔料、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.6~3.0%、22.0%~35.0%、25.0%~38.0%、16.0%~30.0%、8.5%~16.5%及び0.03%~0.18%であ
り、前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、軽量セラムサイトのうち1つ又は2つであり、前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量セラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径が0.2mm~5mmであり、前記セメント質材料は、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つであり、そのうち、鉱物混和剤を混合したポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、及びフライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、スルホアルミネートセメントは、速硬性スルホアルミネートセメント、高強度スルホアルミネートセメント、及び膨張スルホアルミネートセメントのうち1つ又は2つを含み、アルカリ活性化セメント質材料は、アルカリ活性化スラグ、アルカリ活性化スラグ+フライアッシュのうち1つを含むことを特徴とする
、軽量コンクリートカキ付着基盤。
【請求項11】
カキ付着基盤は、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤で構成され、前記炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.6~3.0%、22.0%~35.0%、25.0%~38.0%、16.0%~30.0%、8.5%~16.5%及び0.03%~0.18%
であり、前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、軽量セラムサイトのうち1つ又は2つであり、前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量セラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径が0.2mm~5mmであり、前記セメント質材料は、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つであり、そのうち、鉱物混和剤を混合したポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、及びフライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、スルホアルミネートセメントは、速硬性スルホアルミネートセメント、高強度スルホアルミネートセメント、及び膨張スルホアルミネートセメントのうち1つ又は2つを含み、アルカリ活性化セメント質材料は、アルカリ活性化スラグ、アルカリ活性化スラグ+フライアッシュのうち1つを含むことを特徴とする
、軽量コンクリートカキ付着基盤。
【請求項12】
カキ付着基盤は、濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤で構成され、前記濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.6~3.0%、0.6~3.0%、22.0%~35.0%、25.0%~38.0%、16.0%~30.0%、8.5%~16.5%及び0.03%~0.18%であ
り、前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、軽量セラムサイトのうち1つ又は2つであり、前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量セラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径が0.2mm~5mmであり、前記セメント質材料は、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つであり、そのうち、鉱物混和剤を混合したポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、及びフライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、スルホアルミネートセメントは、速硬性スルホアルミネートセメント、高強度スルホアルミネートセメント、及び膨張スルホアルミネートセメントのうち1つ又は2つを含み、アルカリ活性化セメント質材料は、アルカリ活性化スラグ、アルカリ活性化スラグ+フライアッシュのうち1つを含み、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つであることを特徴とする
、軽量コンクリートカキ付着基盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年12月2日に出願された中国特許出願番号第201911210488.X号の「ポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤及びその製造方法」の優先権の利益を主張し、2019年12月2日に出願された中国特許出願番号第201911210477.1号の「軽量コンクリートカキ付着基盤及びその製造方法」の優先権の利益を主張し、それらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、カキ付着基盤の技術に関し、特に、ポルトランドセメントコンクリート、軽量コンクリートカキ付着基盤及びその製造方法に関し、海洋の固着生物とコンクリートの学際的分野に属する。
【背景技術】
【0003】
人々の生活水準の向上に伴い、カキは健康食品として需要が高まっている。従来の小規模な養殖と養殖方法は、増大するカキの需要に応えることができない。同時に、カキ礁の修復量の増加と、カキ礁のような海洋生態プロジェクトの建設に伴い、カキ付着基盤の需要が高まっている。一般的な養殖方法には、ひび建式養殖、地播き養殖、橋石及び立石養殖、垂下式養殖などがあり、しかし、カキが付着基盤で十分な付着率に達するまでに長い時間がかかるという問題があり、また、カキ養殖量の増加により、ヒオウギガイの殻などの貝類のカキ付着基盤は、カキ幼生のニーズを十分に満たすことができず、貝類の付着基盤の価格が上昇している。また、最近、中国海洋大学から出願された特許出願CN106719186において、セメントペースト質量の15%~20%の貝殻粉末、5%~15%の貝殻くずを混ぜ込むことにより、新規なカキ付着基盤を製造し、貝殻くずは、付着基盤の表面を粗くし、カキの付着量を増やし、貝殻くずは、ヒオウギガイの殻よりも採苗しやすく、幼生の付着効果に優れた。しかし、減水剤は水の使用量の制御と養生には考慮されないため、水セメント比と養生によってコンクリートの浸透性が決まる。そのため、付着基盤に含まれる大量のアルカリが放出され、接触する海水のアルカリ度が高くなり、海洋の固着生物の幼生の付着が阻害され、特に、養殖池で幼生を育てる場合、水域が小さいと、水域のpH値が上昇し、カキ幼生が死んでしまう可能性があり、同時に、大量の貝殻粉末を混ぜ込むと、セメント付着基盤の色が濃い灰色から淡い色に変化し、カキの付着にとって不利である。
【0004】
コンクリートは、加工しやすく、幼生の付着が容易で、取り外しやすく、材料が豊富で、コストが安いという利点を有するが、セメントベース材料の付着基盤に関する研究は未成熟であり、高pHの問題によって幼生の死亡率が高くなるため、コンクリートは、1年以上の海水浸漬後にのみ使用できる。なお、イオンで海洋生物を誘引することは主に実験室での実験に使用され、コストが高く、制御しにくいため、イオンで海洋生物を誘引する技術の開発と応用は常に制限される。従って、カキが付着するように誘引する基質として、アルカリ度が低く、誘引効率が高いコンクリートを発明することは必然的な流れである。
【0005】
同時に、ここ数十年、中国沿海地域の経済が急速に発展するが、環境保護に気を遣ったことがないため、中国沿海地域の生態系の大規模な破壊が引き起こされ、それは中国沿海地域の生態系と経済に深刻な影響を与える。現在、関連する一連の国家政策の実行により、中国の海洋プロジェクト建設もピーク期間の到来を告げると同時に、海洋プロジェクトの大規模建設及びその周りの海域の安定化を確保する防波堤は、すでに脆弱な海洋の生態系を更に破壊する。生態環境への適切な保護策が取られない場合、それは中国沿海地域の生態系をより深刻に破壊する。同時に、中国沿海地域のほとんどのインフラストラクチャは解体できず、その海域の生態系を回復する必要があるため、人々は、多くのインフラストラクチャに生態学的技術を適用することで、海域の生態系を効果的に改善又は回復できることに徐々に気づく。従って、生態学的効果の高いコンクリートプロジェクトを建設すること、又は既存のコンクリートプロジェクトを生態化することは、中国沿海地域の生態環境の改善にとって非常に重要、緊急なことである。しかし、現在まで、防波堤などの潮差領域のプロジェクトの生態学的技術は、中国ではまだ空白である。
【0006】
「生態学的技術者」としてのカキは、主に潮差領域と水深30メートル以内に集中すると同時に、同種の貝殻に付着することを好んで厚いカキ礁を形成するため、防波堤に高密度に付着し、防波堤の生態化を実現し、また、現在のカキ礁は深刻に破壊され、生態系の回復を実現するために、その大部分がカキを大規模に再付着させる必要がある。海洋生態プロジェクトの建設とカキ礁の修復の両方は、カキの大量繁殖を通じてそれらの生態学的機能を達成することができる。従って、コンクリートカキ付着基盤は、大きな需要がある。現在の中外のカキ付着に関する研究は以下のとおりである。
【0007】
一、イオンが海洋固着生物幼生の付着と変態への影響
【0008】
中外で、海洋固着生物幼生の付着と変態への誘引に関する研究は、主に溶液中のイオン濃度の影響に焦点を当て、深く研究されるイオンと物質は、K+、NH3、Ca2+、Cu2+であり、最初の3つのイオン又は物質は、適切な濃度でカキの付着又は変態を促進できるが、Cu2+の促進効果は明らかではなく、高濃度では幼生の死亡率さえも増加する。K+は、細胞膜の挙動に影響を与えることにより、幼生の変態を誘引し、NH3は、細胞に入り、細胞内pHの上昇を引き起こし、それにより、挙動経路のニューロンが脱分極し、固着変態を引き起こす。ポリエチレン板、貝殻、タイルなどの材料の表面への固着生物の付着と変態に関する多くの研究が溶液中で行われるが、実際の海洋コンクリートプロジェクトに適用すると、そのような方法は容易に達成できず、又はコストが高すぎる。
【0009】
現在、海洋プロジェクト、特に最近のカキ礁回復プロジェクトでのコンクリートの広範な適用により、コンクリートは海洋の固着生物に最も一般的に使用される基質材料になる。しかし、コンクリートの材料は、従来の貝殻、石灰石、ゴム製タイヤ、プラスチック板とは大きく異なる。コンクリートは、アルカリ度が高く、カルシウムイオンが多く、カリウムイオン、ナトリウムイオンなどの他のイオンも豊富であるため、カキの付着及び成長に大きな影響を与える。現在、カキ礁修復プロジェクトなどは、新設のコンクリート部材と廃棄されたコンクリートなどを修復基質として使用するが、その効果は理想的ではない。
【0010】
二、異なる種類のセメントコンクリートが海洋植物及び無柄生物への影響
【0011】
現在、ほとんど全ての海洋コンクリートプロジェクトは、アルカリ度の高い(細孔溶液のpH値が通常12.0~13.0)ポルトランドセメントコンクリートを使用するが、海水のpH値は通常7.9~8.4である。アルカリ濃度勾配が存在するため、海水と接触するコンクリートはアルカリを持続放出し、それにより、この海域の海水のpHを上昇させ、ローカルな生態系を破壊する。それは、その表面での固着生物、特にアルカリ感受性生物の付着及び成長に対して大きな抑制効果を有し、これは大きな影響を与える。現在、中外の研究から分かるように、異なる種類のコンクリート人工魚礁によって生物付着効果に大きな違いがあり、スルホアルミネートセメント及びフライアッシュのポルトランドセメントコンクリート人工魚礁の生物付着効果に優れ、そのアルカリ度は通常のポルトランドセメントコンクリートよりも低い[1]。同様に、セメントコンクリートに40%~60%のフライアッシュ及びスラグ粉末を混ぜ込むと、エコ効果に優れた。なお、凝石セメント質材料コンクリートに付着する生物の種類と量はセメントコンクリートよりも多く、凝石セメント質材料の含有量が高ければ高いほど、生態系への影響が大きくなる。米国での生態学的なコンクリートプロジェクトの建設には、アルミン酸塩セメント、特にスラグ粉末が50%を占めるスラグポルトランドセメントなどの低アルカリ度セメントコンクリートが使用されるため、海洋植物や動物などを集めるエコ効果を有する[2,3]。低アルカリ度セメントでコンクリートを配合することにより、アルカリ感受性生物(主に海洋植物)の量を効果的に増加させることができるが、カキへの付着量と付着密度の増加は制限される。
【0012】
三、カルシウム物質が海洋固着生物の付着への影響
【0013】
中外の研究から分かるように、付着基質の化学元素組成は、カキ幼生の付着、変態、及びその後の成長に大きな影響を与える。最も一般的に使用されるカルシウム含有基質(石灰石とコンクリート)は、カキ幼生が付着するように効果的に誘引することができ、その誘引効果は貝殻の効果に匹敵する。それは、カルシウムがカキ幼生の付着、変態、及び成長に重要な役割を果たすことを示す。
【0014】
最近、従来の基質に加えて、人々は、コンクリート中のカルシウム含有量を増加させてセメントベース材料にカルシウム物質を加えることにより、カキ幼生の付着情況を研究する。現在の研究では、80メッシュの牛骨粉末、炭酸カルシウム粉末、石膏粉末(投与量がセメント重量の62.5%と375%)をモルタルにそれぞれ混ぜ込み、カキの付着実験を行うと、同じ条件下で、カルシウム賦存形態がカキ幼生への誘引能力の順序、牛骨粉末>炭酸カルシウム=硫酸カルシウムが得られ、また、炭酸カルシウム粉末の投与量はモルタル重量の5%~60%(セメント重量の41.7%~500.0%)であり、投与量が20%(セメント重量の166.7%)の場合で最も効果的である。牛骨粉末、炭酸カルシウム粉末、石膏粉末を加えると、カキ付着量が増加するが、添加量が高すぎる(カルシウム粉末の重量がセメント重量の41.7%を超え、更に500.0%に達する)と、コンクリートの力学的性質及び耐久性に悪影響を及ぼし、海洋環境でのコンクリートプロジェクトに適しない。更に、牛骨粉末はカキ付着に優れた誘引効果を果たすが、セメントの10%を超えると、コンクリートにカビが生える。従って、現在、コンクリートに牛骨粉末及び炭酸カルシウムなどのカルシウム物質が混ぜ込まれるが、海洋環境がコンクリート構造の耐久性への影響を考慮しないため、過酷な海洋環境では全く使用できる。
【0015】
中国特許出願CN104529286では、廃棄物利用の観点から出発すると、セメント重量の10%~20%の5mm~8mmのカキ殻を人工魚礁に混ぜ込むと、生物の固着に影響を与えず、環境を汚染しないコンクリートが得られる。CN104938384では、セメント重量の10%~20%の150~200メッシュのバイオ炭酸カルシウム粉末(魚骨、サンゴ、卵殻、貝殻=1:1:1:1)及び貝殻くずを人工魚礁に同時に混ぜ込み、それは、バイオ炭酸カルシウム粉末の含有量の増加に伴い、誘引される生物の量は徐々に増加し、バイオ炭酸カルシウムの含有量が最も多い(セメント重量の20%)場合、バイオ炭酸カルシウムによって誘引される生物(海洋植物、海洋生物)の量が最も多いことを示す。同様に、コンクリート人工魚礁表面のアルカリ度を低減するために、微生物及び藻類が付着しやすくなり、生物の量及び個体群の量が増加し、魚を集める効果がより優れた。バイオ炭酸カルシウムのセメントモルタル被覆層の沈着物は、環境及び生物に対して無害である。人工魚礁の生産及び生物付着実験のために、バイオ炭酸カルシウム粉末、カキ殻くずなどをコンクリートに混ぜ込むが、バイオ炭酸カルシウム粉末は生物を集める効果を促進するが、主に海洋植物及び微生物を集める。
【0016】
とにかく、カキ幼生の付着にとって、カルシウム含有量は不可欠であり、同様に、現在のいくつかの実験結果は、セメントベース材料に適切な量の炭酸カルシウム物質を混ぜ込むと、カキ幼生の付着と成長を促進できることも証明する。しかし、セメントコンクリートには大量のカルシウムイオンが含まれ、一般的に細孔溶液のpH値は12.5を超え、常温で、飽和水酸化カルシウム溶液のpH値は約12であり、従って、コンクリート細孔溶液中のカルシウムイオン濃度は約5mmol/Lであり、炭酸カルシウムの溶解度は非常に低く、25℃で9.5×10-5mol/L(9.5×10-2mmol/L)しかない。現在、貝類が付着するように誘引するためのカルシウムイオン濃度の最適範囲は10~25mmol/Lであると考えられ、カキ幼生を飽和炭酸カルシウム溶液に入れた場合でも、カキの付着に適したCa2+濃度を提供するのに十分なCa2+濃度がない。更に、セメントコンクリート中のCa(OH)2を迅速に放出できるが、炭酸カルシウムの溶解には時間がかかっている。従って、コンクリート中に炭酸カルシウム質材料を加えてカキ幼生の付着を促進する場合、Ca2+は支配的な役割を果たさないと決定できる。
【0017】
また、貝殻粉末の量が高すぎると、貝殻粉末がセメントに対しての重量比は10%を超え、更に500%に達することもあるため、コンクリートの耐久性に大きな影響を与える。適切な量の炭酸カルシウム材料を混ぜ込むことは、コンクリートの浸透防止性を低下せず又は向上させることができるが、過剰な投与量は、コンクリートが海水の硫酸腐食及び硫酸塩腐食に耐えるのに非常に不利である。
【0018】
従って、バイオ炭酸カルシウム、牛骨粉末、炭酸カルシウム粉末などのカルシウム物質をコンクリートに混ぜ込んで海洋固着生物幼生の付着を誘引することには、依然として多くの問題、特に過剰なカルシウム投与量によるコンクリート性能問題及び牛骨粉末によるカビなどの問題がある。
【0019】
四、色が海洋固着生物の付着への影響
【0020】
基質の色は、海洋固着生物幼生の付着、変態、及び成長に一定の影響を与える。海外では、濃色基質が低温の海域でカキの成長を促進できることが報告される。中国の研究から分かるように、カキ幼生は色に対して一定の選択性を有する。香港カキ幼生がプラスチック固着基盤の色への選択性は、黒色>白色>赤色である。マガキ幼生は黒色と灰色のプラスチック板に付着する傾向があり、捕食者を避けるために黒色と灰色がカキ幼生の保護色であり得ると考えられる。フジツボは赤色の基質に付着することが好きである。真珠貝はまた、濃色(黒色、赤色)、無反射の基質を好み、走光性挙動を示す。Alteromonascalwellii最近は、メラニン合成に関与する化合物を生成することにより、カキ幼生を引き付ける。
【0021】
現在、基質の色が海洋固着生物幼生の付着への影響に関する研究は、プラスチック板、ポリエチレン板、アスベスト板などの有機ポリマー板に限定される。最も潜在力のある代替基質の1つとして、コンクリートは、特に現在のカキ礁の修復、人工の生物プロジェクト、及び海洋の鉄筋コンクリートの防食に使用され、その色が固着生物幼生の付着量への影響はまだ調べられない。
【0022】
五、粗さが海洋固着生物幼生の付着への影響
【0023】
一般に、付着基盤の表面粗さは、カキ及びフジツボ幼生の付着に一定の影響を与える。中外の研究から分かるように、他の条件が同じである場合、滑らかな表面よりも粗い表面に多くのカキ及びフジツボ幼生が付着する。粗い表面は、カキ及びフジツボ幼生が這って付着するために、より優れた触覚刺激を提供し、基質でのカキ幼生の滞留時間を伸ばし、また、亀裂と穴ぼこが存在することで、幼生を保護でき、捕食者に襲われることを防止し、更に、滑らかな表面よりも面積が大きく、潜在的でより豊かでより多様な微生物環境がある。新しい研究から分かるように、滑らかな表面よりも、テクスチャードのあるコンクリート表面に付着する海洋生物の量が多く、幼生の付着と変態を促進することができる。しかし、いくつかの研究では、粗さが幼生の付着と変態に有意な影響を及ぼさないことが示される。
【0024】
とにかく、異なる基質、及び色と粗さが海洋固着生物の付着への影響などの上記研究が行われるが、最近、コンクリートにカルシウム質材料を混ぜ込むことが海洋固着生物の付着への影響を研究する。しかし、海洋生物、海洋微生物、海洋化学、海洋コンクリートプロジェクト材料及び構造などの関連分野の知識により、学際的分野は大きく異なるため、学際的研究を行う場合、上記のセメントベース材料の水セメント比が不明確であること、炭酸カルシウム材料によってカキの付着を誘引するメカニズムが不明であること、セメントに加えられたカルシウム質粉末が多すぎることで、コンクリートの耐久性が顕著に不十分になること、混ぜ込んだ牛骨粉末にカビが生えることなどの多くの問題があり、また、海洋コンクリートプロジェクト材料及び構造の専門家は、海洋固着生物の付着に必要な専門知識を欠いているため、多くの問題を解決するために、学際的な専門家は協力する必要がある。
【発明の概要】
【0025】
本発明の目的は、現在のコンクリートカキ付着基盤において、セメント使用量が多く、水の使用量の制御と養生を行わないため、コンクリートの浸透性が向上し、付着基盤が大量のアルカリを含み、持続的に高速に放出されるアルカリがそれと接触する海水のアルカリ度を高め、海洋固着生物幼生の付着を阻害し、同時に大量の貝殻粉末を混ぜ込むため、セメント付着基盤の色が濃い灰色から淡い色に変化し、カキ幼生の付着にとって不利であるという問題を解決するために、固着生物をコンクリート表面に速く高密度に付着するように誘引し、耐久性に優れたコンクリート付着基盤を提供することである。
【0026】
本発明の達成方法は以下のとおりである。本発明は、付着基盤中のセメントの使用量を低下させ、適切なセメント種類を選択し、且つ適切な鉱物混和剤を混ぜ込むことにより、アルカリ度の低いセメントが得られ、また、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸(水素)塩などの添加、及びCO2養生の使用により、コンクリートのアルカリ度を更に低下させ、コンクリート表面の炭酸カルシウム含有量を向上させ、カキ幼生の早期付着、変態、後期の成長を相乗的に促進する。同時に、付着基盤の構成を設計する。また、該付着基盤は、養殖池で幼生を直接付着させ、長時間海水に浸した後は使用する必要がなく、且つ激しい衝突や破壊がない場合、該付着基盤の耐用年数は50年以上になる可能性がある。
【0027】
本発明は以下の構造的特徴を更に有する。
【0028】
その材料1の成分は、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、粗骨材、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸(水素)塩、及び超可塑剤であり、その重量百分率は順次、9.0%~17.0%、4.0%~11.5%、38.4%~47.8%、24.9%~37.3%、6.2%~9.0%、0.3~2.0%、0.3~2.0%、0.3~1.5%及び0.02%~0.1%である。
【0029】
好ましくは、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つであり、
【0030】
好ましくは、前記濃色顔料の改質方法は、コンクリート性能への影響度に応じて、これらの顔料の改質を行い、改質処理には透明樹脂、有機ケイ素、ジメチルシロキサン、超疎水性材料のうち1つを使用することである。
【0031】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末であり、バイオ炭酸カルシウム粉末は、カキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末のうち1つ以上の組み合わせを含み、その粉末度が100メッシュ~1000メッシュである。
【0032】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末の改質方法は、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュのカキ殻粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末、魚骨粉末を処理し、そして希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理することである。
【0033】
好ましくは、前記改質した炭酸(水素)塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのうち1つ以上であり、珪藻土を担体として使用し、それらの無機塩と複合した後、対応するイオンの持続放出を達成し、コンクリート性能への悪影響を低減又は排除する。
【0034】
好ましくは、前記ポルトランドセメントは、強度等級>32.5の通常のポルトランドセメントであり、前記鉱物混合剤は、シリカフューム、スラグ、及びフライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含む。
【0035】
好ましくは、前記砂は、川砂、機械製砂(母材は玄武岩又は花崗岩のうち1つ)、又は淡水化海砂のうち1つ以上であり、且つ格付に優れた。
【0036】
ポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤の製造方法であって、
粗い表面に付着するというカキ幼生の好みの特性に応じて、異なる粗さを設計し、次に、粗さが異なる成形型枠を製造するステップS1と、
ポルトランドセメント、鉱物混合剤、粗骨材、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、改質した炭酸(水素)塩、及び超可塑剤を精確に量るステップS2と、
まず、粗骨材、砂をコンクリートミキサー中に入れて0.5~1分間撹拌し、次に、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、及び改質した炭酸(水素)塩を加えて更に1~2分間撹拌し、その後、水及び超可塑剤を加えて2~6分間撹拌し、均一に撹拌した後、注入して振動させるステップS3と、
型抜きしたコンクリート供試体を高濃度CO2の養生箱に直ちに置いて0.5~5時間養生し、セメント供試体のアルカリ度を低下させ、その後、28日間標準養生し、又は実際の情況に応じて養生するステップS4とを含むことを特徴とする、製造方法。
【0037】
それにより、誘引効果に優れた、ポルトランドセメントコンクリートカキ付着基盤を製造し得る。
【0038】
その成分2の材料は、濃色顔料、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤であり、濃色顔料、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.3~2.0%、9.0%~17.0%、4.0%~11.5%、38.4%~47.8%、24.9%~37.3%、6.2%~9.0%及び0.02%~0.1%である。
【0039】
その材料3の成分は、牛骨粉末、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤であり、牛骨粉末、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.3~2.0%、9.0%~17.0%、4.0%~11.5%、38.4%~47.8%、24.9%~37.3%、6.2%~9.0%及び0.02%~0.1%である。
【0040】
その材料4の成分は、濃色顔料、炭酸塩又は炭酸水素塩、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤であり、濃色顔料、炭酸塩又は炭酸水素塩、ポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.3~2.0%、0.3~1.5%、9.0%~17.0%、4.0%~11.5%、38.4%~47.8%、24.9%~37.3%、6.2%~9.0%及び0.02%~0.1%である。
【0041】
本発明の目的は、現在、水の使用量の制御と養生(水セメント比と養生によってコンクリートの浸透性が決まる)を考慮しないため、付着基盤に含まれる大量のアルカリが放出され、それと接触する海水のアルカリ度が高くなり、海洋の固着生物の幼生の付着が阻害され、同時に大量の貝殻粉末を混ぜ込むため、セメント付着基盤の色が濃い灰色から淡い色に変化し、カキの付着にとって不利であるという問題を解決するために、固着生物をコンクリート表面に速く高密度に付着するように誘引し、耐久性に優れた軽量コンクリート付着基盤を提供することである。
【0042】
本発明の実現方法は以下のとおりである。本発明は、付着基盤中のセグメントの使用量を低下させることにより、適切なセメントの種類を選択し、適切な鉱物混和剤を加え、アルカリ度の低いセメントを取得し、同時に付着基盤のコンクリートの水セメント比を制御し、その放出速度を制御し、且つカキの好みに応じて付着色、濃色物質、炭酸カルシウム及び微量元素を混ぜ込み、そのため、カキの早期付着、変態、後期の成長を促進し、付着基盤の構成設計を行う。また、該付着基盤は、養殖池で幼生を直接付着させ、長時間海水に浸した後は使用する必要がなく、激しい衝突や破壊がない場合、該付着基盤の耐用年数は50年以上になる可能性がある。
【0043】
また、軽量骨材コンクリートを使用することにより、コンクリート付着基盤の重量を軽減でき、供試体の製造、輸送、養生の過程において輸送コスト及び人件費を削減でき、また、実際の海での養殖では、付着基盤を移動してカキを収穫する漁師の人件費を削減したり、コンクリートプロジェクトの輸送及び固定などのコストを削減したりでき、更に、使用中に誤って地面に落ちて破損するリスクを低減できる。
【0044】
本発明は以下の構造的特徴を更に有する。
【0045】
その材料1の成分は、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、微量元素、及び超可塑剤であり、その重量百分率は順次、22.0%~35.0%、25.0%~38.0%、16.0%~30.0%、8.5%~16.5%、0.6~3.0%、0.6~3.0%、0.2~1.8%及び0.03%~0.18%である。
【0046】
好ましくは、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つである。
【0047】
好ましくは、前記濃色顔料の改質は、コンクリート性能への影響度に応じて、これらの顔料の改質を行い、改質処理には透明樹脂、有機ケイ素、ジメチルシロキサン、超疎水性材料のうち1つを使用することである。
【0048】
好ましくは、前記微量元素は亜鉛、鉄、カリウム及びリンであり、それは、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄のうち1つ以上を含む、天然鉱物、工業製品、又は化学試薬をして対応するイオンの持続放出を実現し、コンクリートの性能への悪影響を低減又は解消するように改質する。しかし、富栄養化領域の場合、窒素又はリン元素を含有する物質を選択しない。
【0049】
好ましくは、前記炭酸カルシウム粉末は、方解石、チョーク、石灰石、大理石、アラゴナイト、トラバーチン粉末、及び加工処理された軽質炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー及び超微細軽質炭酸カルシウムのうち1つ以上であり、その粉末度が200メッシュを超える。
【0050】
好ましくは、前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、軽量セラムサイトのうち1つ又は2つである。
【0051】
好ましくは、前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量のセラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径は0.2mm~5mmである。
【0052】
好ましくは、前記セメント質材料は、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つである。そのうち、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、フライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、スルホアルミネートセメントは、速硬性スルホアルミネートセメント、高強度スルホアルミネートセメント、膨張スルホアルミネートセメントのうち1つ又は2つを含み、アルカリ活性化セメント質材料は、アルカリ活性化スラグ、アルカリ活性化スラグ+フライアッシュのうち1つを含む。
【0053】
軽量コンクリートカキ付着基盤の製造方法であって、
セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、微量元素及び超可塑剤を精確に量るステップS1と、
まず、軽量粗骨材、軽量細骨材をコンクリートミキサー中に入れて0.5~1分間撹拌し、次に、セメント質材料、濃色顔料、炭酸カルシウム粉末及び微量元素を加えて0.5~1分間撹拌し続け、続いて、水及び超可塑剤を加えて2~6分間撹拌し、均一に撹拌した後、注入して振動させ、その後、28日間標準養生し、又は実際の情況に応じて養生するステップS2とを含む、製造方法。
【0054】
それにより、誘引効果に優れた、軽量コンクリートカキ付着基盤を製造し得る。
【0055】
その材料2の成分は、濃色顔料、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤であり、ここで、濃色顔料、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.6~3.0%、22.0%~35.0%、25.0%~38.0%、16.0%~30.0%、8.5%~16.5%及び0.03%~0.18%である。
【0056】
その材料3の成分は、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤であり、ここで、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.6~3.0%、22.0%~35.0%、25.0%~38.0%、16.0%~30.0%、8.5%~16.5%及び0.03%~0.18%である。
【0057】
その材料4の成分は、濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤であり、ここで、濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.6~3.0%、0.6~3.0%、22.0%~35.0%、25.0%~38.0%、16.0%~30.0%、8.5%~16.5%及び0.03%~0.18%である。
【0058】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0059】
本発明は、希酸による改質及び複合粉砕技術により、牛骨粉末の誘引能力を十分に発揮し、牛骨粉末の投与量を大幅に低減し、且つ防食処理及び改質を行い、牛骨粉末を主としての複合誘引剤を製造し、その投与量が低く、同時にカキ幼生の付着能力が高く、且つコンクリートにカビが生えるという問題を解決する。同様に、炭酸カルシウム粉末の粉末度、投与量レベルの水セメント比を制御し、及び濃色顔料を混ぜ込むことにより、コンクリートの強度と浸透性にほとんど影響を与えない。これらの誘引剤を混ぜ込んだコンクリートについて、誘引剤を混ぜ込まないコンクリートよりも、誘引剤を混ぜ込んだコンクリートのカキ幼生の付着量は顕著に増加する。
【0060】
本発明は、軽量骨材コンクリートを使用することにより、コンクリート付着基盤の重量を軽減でき、供試体の製造、輸送、養生の過程において輸送コスト及び人件費を削減でき、また、実際の海での養殖では、付着基盤を移動してカキを収穫する漁師の人件費を削減したり、海洋コンクリートプロジェクトに適用する場合の輸送及び固定などのコストを削減したりでき、更に、使用中に誤って地面に落ちて破損するリスクを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】10%の牛骨粉末を混ぜ込んだ、配合比が異なるコンクリート表面にカビが生える情況である。
【
図2】粉末度が200メッシュ、10%の改質した牛骨粉末を混ぜ込む場合の異なる配合比である。
【
図3】実際の海の付着実験の210日間の概略図である。
【
図4】実際の海の付着実験の300日間の概略図である。
【
図8】実際の海の付着実験の300日間の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら本発明を更に説明する。
【0063】
これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではない。実施例1~20の実施方法は同じであり、且つコンクリートカキ付着基盤の形状を設計し、具体的には
図5~7を参照し、それらのコンクリート配合比は以下のとおりである。
【0064】
実施例1、通常のポルトランドセメント、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、17.1%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0065】
ここで、前記粗骨材は砕石を指し、最大粒径が20mm未満であり、それは、玄武岩、花崗岩及び輝緑岩の砕石のうち1つであり得、且つ格付に優れ、また、砂の粒径が0.16mm~5.0mmであり、ここで、砂は、川砂、機械製砂(母材は玄武岩又は花崗岩)、海砂のうち1つ以上であり、前記水は、コンクリート用水の品質基準(JGJ63-2006)を満たす必要があり、Cl-含有量<1000mg/Lであり、PH値>4.5であり、セメントの初期硬化時間差及び最終硬化時間、強度、浸透性にほとんど影響を与えない。また、実施例1~21で選択された上記材料は同じである。
【0066】
実施例2、基準コンクリートの配合比について、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、10.26%、0.86%、5.98%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【表1】
【0067】
以上の実施例から分かるように、高炉スラグ粉末及びシリカフュームをコンクリート中に混ぜ込むと、セメントなどの粒子間の空隙を埋めるだけでなく、ポゾラン反応が発生し得、次に、移行領域の界面微細構造を改善し、コンクリートの基本強度を確保するだけでなく、コンクリート自体のアルカリ度及び浸透性を低下させる。コンクリートとそれに接触する海水との接触によるアルカリ度差を低減する効果を果たすと同時に、低い浸透性はアルカリの放出速度を抑え、最後に、カキ幼生がコンクリート表面に付着しやすくなる。
【0068】
実施例3、改質しない濃色顔料、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.51%、10.26%、0.79%、5.54%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0069】
実施例4、改質しない濃色顔料、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、10.26%、0.75%、5.23%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0070】
実施例5、改質しない濃色顔料、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次1.37%、10.26%、0.68%、4.79%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0071】
実施例6、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.51%、10.26%、0.79%、5.54%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0072】
実施例7、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、10.26%、0.75%、5.23%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0073】
実施例8、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.37%、10.26%、0.68%、4.79%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0074】
改質した濃色顔料の改質方法以下のとおりである。196透明樹脂を用い、3%の硬化剤と1.5%の促進剤を混ぜ込んで顔料と混合し、且つ顔料と樹脂の体積比は1:0.2であり、常温で4時間硬化し、60℃で4時間硬化し、次に、叩いて破壊し、粉末度が400メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕するだけで済む。
【表2】
【0075】
黒色顔料はコンクリートの浸透性に大きな影響を与え、投与量の増加に伴い、カキ幼生の付着量は低減する。一方で、コンクリートの浸透性が向上するため、コンクリートのアルカリの浸出が増加し、その一方で、酸化鉄が鉄イオンに変換し、鉄イオンの濃度が上昇するため、カキ幼生の付着を阻害する可能性がある。該問題に対して、樹脂で顔料を覆い、次に粉末まで粉砕するため、コンクリートの浸透防止性を大幅に向上させることができ、特に投与量が1.37%の場合、その電束は3.2%しか増加しない。同時に、濃色顔料の増加に伴い、カキの付着量も増加し、投与量が1.37%の場合は改質前とは異なり、カキ幼生の付着率の低下として現れる。
【0076】
実施例9、改質しない牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.51%、10.26%、0.79%、5.54%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0077】
実施例10、改質しない牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、10.26%、0.75%、5.23%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0078】
実施例11、改質しない牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.37%、10.26%、0.68%、4.79%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0079】
実施例12、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.51%、10.26%、0.79%、5.54%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0080】
実施例13、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、10.26%、0.75%、5.23%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0081】
実施例14、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.37%、10.26%、0.68%、4.79%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0082】
牛骨粉末の改質方法は以下のとおりである。100メッシュの牛骨粉末を濃度2%のリン酸溶液に加え、両者の重量比は1:3であり、温度は20~30℃であり、回転数200~500周り/分間のミキサーで30分間撹拌し、3000~5000周り/分間の遠心分離機で3分間遠心分離し、上澄み液を捨て、且つ遠心分離した固形物を水で2~3回洗浄し、洗浄水は酸性を示せず、遠心分離した固形物を40℃で真空乾燥し、乾燥した牛骨粉末と1:4のスラグ粉末を粉末度が200メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕し、使用に備える。
【表3】
注:改質した牛骨粉末の粉末度を200メッシュ~300メッシュまで粉砕する
【0083】
牛骨粉末は粉砕しにくく、一般的に約100メッシュまで粉砕し続けることが難しいという問題に対して、ここでは、まず、80メッシュの牛骨粉末を2%濃度の希リン酸で化学改質し、次に、乾燥した牛骨粉末と1:4のスラグ粉末を粉末度が200メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕する。このように、改質した牛骨粉末とコンクリート中のアルカリ性物質との接触を向上させ、同時に、コンクリート内部の微細構造はより緻密であり、以前に発生したカビ現象はない。改質した後、低投与量の場合、コンクリートの浸透防止性も改善する。投与量が1.37%に達しても、電束はわずか4.2%まで増加し、カキ幼生の付着変化率は205%から400%まで増加する。
【0084】
実施例15、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、0.51%、10.26%、0.68%、4.79%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0085】
実施例16、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、0.86%、10.26%、0.64%、4.48%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0086】
実施例17、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、1.37%、10.26%、0.58%、4.03%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【表4】
【0087】
参照群と比較して、改質した濃色顔料の投与量はいずれも0.86%の場合、改質した牛骨粉末の投与量はそれぞれ0.51%、0.86%及び1.37%であり、カキ幼生の付着量はそれぞれ167%、300%、500%向上する。また、改質した牛骨粉末を独立して混ぜ込むと同時に、0.86%の投与量の改質した濃色顔料を混ぜ込むと、カキ幼生の変化率はいずれも10%向上する。これは、2つの誘引剤が相乗効果を有することを表す。
【0088】
実施例18、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水、炭酸ナトリウム及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、10.26%、0.71%、4.79%、46.67%、29.0%、7.2%、0.3%、0.03%である。
【0089】
実施例19、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水、炭酸ナトリウム及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、10.26%、0.65%、4.58%、46.67%、29.0%、7.2%、0.8%、0.03%である。
【0090】
炭酸ナトリウムの改質方法は以下のとおりである。SiO2含有量>90%、粉末度が600メッシュの珪藻土を選択し、常温で、100gの炭酸ナトリウムを100gの水中に加え、完全に溶解するまで撹拌し、使用に備え、続いて、150gの上記珪藻土を溶液中に加え、回転数200~500周り/分間のミキサーで30分間撹拌し、その後、乾燥温度が100°Cの乾燥オーブンで乾燥すれば、製品が得られる。
【表5】
【0091】
本実施例では、濃色顔料、炭酸ナトリウムを複合して混ぜ込むことにより、濃色のコンクリート表面を提供し、カキの眼点幼生の走光要求を満たし、カキ幼生の付着と変態に必要な炭酸カルシウムの合成を提供し、それらを複合して混ぜ込むことは、カキ幼生の付着率を向上させることができ、濃色顔料の割合が0.86%、炭酸ナトリウムの割合が0.8%の場合、その付着率は116%向上する。それは、炭酸(水素)塩がカキ幼生の付着への誘引を促進できることを証明する。
【0092】
実施例20、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、バイオカルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水、炭酸ナトリウム及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、0.86%、10.26%、0.54%、3.78%、46.67%、29.0%、7.2%、0.8%、0.03%である。
【0093】
本実施例では、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸ナトリウムを複合して混ぜ込むが、コンクリートの基本的性能にほとんど影響を与えないことを確保し、そのため、濃色のコンクリート表面を提供し、カキの眼点幼生の走光要求を満たすだけでなく、カキ幼生の付着と変態の場合での炭酸カルシウムの合成に必要な栄養素を提供でき、更にカキ幼生の付着率を向上させる。
【0094】
実施例1~20の実施方法の具体的な操作ステップは以下のとおりである。
【0095】
上記ポルトランドセメントコンクリート付着基盤の製造方法に応じて、Φ100×50mmの円筒形供試体3個と200×200×30mmの長方体供試体5個を製造し、それらはそれぞれ、該コンクリートの28日間の塩化物イオン浸透性耐性及び28日間の標準養生後の実験室でのカキ幼生の付着と変態情況を試験するために使用される。具体的な操作ステップは以下のとおりである。
【0096】
(一)供試体の成形
【0097】
1.計算し、上記質量に応じて、通常のポルトランドセメント、鉱物混合剤、砕石、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸(水素)塩及びポリカルボン酸塩減水剤粉末を精確に量る。
【0098】
2.コンクリートの長方体供試体の金型内に、表面粗さが異なるサンドペーパー(20メッシュ、60メッシュ、200メッシュを含む)を貼り付け、使用に備え、
【0099】
3.まず、砕石と砂をコンクリートミキサー中に入れて0.5~1分間撹拌し、次に、通常のポルトランドセメント、鉱物混合剤、バイオカルシウム粉末、炭酸(水素)塩、濃色顔料を加えて更に0.5~1分間撹拌し、その後、水及び超可塑剤を加えて2~6分間撹拌し、均一に撹拌した後、注入して振動させて型抜きすれば、Φ100×50mmの円筒形供試体3個と200×200×30mmの長方体供試体5個を製造し得る。
【0100】
4.型抜きしたコンクリート供試体を直ちに10気圧下のCO2養生箱中に入れて2時間養生し、セメント供試体のアルカリ度を低下させ、その後、28日間標準養生し、且つ各齢期で対応する浸透性評価を行い、また、28日間後、実験室でのカキ幼生の付着と変態試験を行う。
【0101】
(二)急速塩化物イオン浸透性試験の具体的なステップは以下のとおりである。
基準『Standard Test Method for Electrical Indication of Concrete’s Ability to Resist Chloride Ion Penetration』(ASTM1202-2017)に従って、28日間養生する場合、それぞれ養生室からΦ100×50mmの円筒形供試体3個を取り出し、且つそれらの表面の水及び不純物を洗浄し、その表面が乾燥した後、円筒形供試体の表面にエポキシを薄く塗布する。次に、供試体を真空飽和器に20~24時間置く。続いて、供試体を取り出し、その表面を洗浄し、有機ガラス金型に置き、同時に供試体と金型との間の密封性を検出した後、その両側の金型中に質量濃度3%の塩化ナトリウム溶液(電極は電源の負極に接続される)及びモル濃度0.3mol/Lの水酸化ナトリウム溶液(電極は電源の正極に接続される)をそれぞれ入れる。次いで、実験器具を始動し、6時間後、試験データを記録し、最後の2つの供試体に対して上記操作を繰り返す。最後に、規範に従って、強度を計算する。
【0102】
(三)実験室でのカキ幼生の付着と変態試験の具体的なステップは以下のとおりである。
【0103】
28日間標準養生した後、養生室から200×200×30mmの長方体供試体をそれぞれ取り出し、且つその表面の水及び不純物を洗浄し、その後、試験池中に入れ、実験室内に1つの試験池(2.8m×1.7m×1m)を作り、そのカキ幼生の存在量は0.85ind/ml3であり、池中の海水は砂ろ過した黄海の海水であり、塩分濃度は約32%~34%であり、海水面がコンクリート供試体よりも高くなった後、酸素パイプを試験池中に均一に配置し、カキ幼生を投げ入れるために準備する。バケツ中のカキ幼生をゆっくりと撹拌した後、ビーカーを使用し、カキ幼生を含む海水の質量を精確に量り、続いて、試験池中に均一に投げ入れる。
【0104】
カキ付着誘引試験が始まった後、試験池内の海水を毎日交換し、水交換量は試験池の総容量の1/3であり、スクリーン(200メッシュ以上)を使用して排水口を塞ぎ、付着しないカキ幼生が水で流れ落ちることを防止し、スクリーン上の幼生を再度試験池に投げ入れ、毎日9:00及び19:00にパスツールピペットでクロレラを定時で定量的に給餌し、且つカキの付着情況を観察する。
【0105】
所定の齢期試験を継続した後、試験池中の水を排出し、供試体を取り出し、供試体表面のカキの数及び生存率を統計し、記録して分析し、統計の場合、コンクリートを注入成形する時の滑らかな底面を用いる。
【0106】
参照文献1(新規なコンクリート人工魚礁及びその製造方法CN104529286 A)に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0107】
本発明の目的は参照文献と異なり、参照文献1において、コンクリートにカキ殻粉末を混ぜ込むが、その目的は、廃棄物の利用、人工魚礁の修復及び改善である。本発明の目的は、カキ幼生が付着するように誘引することである。
【0108】
参照文献2(生物模倣コンクリート人工魚礁及びその製造方法2015 CN104938384 A)に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0109】
(1)本発明の目的は参考文献2と異なる。参照文献2において、コンクリートにカキ殻又はカキ殻粉末を混ぜ込むが、その目的は、表面の生物模倣によって魚、微生物、藻類を集め、微生物の数を増加させることによって水体環境を改善することであり、カキが言及されない。本発明の目的は、カキ幼生が付着するように誘引することである。
【0110】
(2)参考文献2によると、セグメントの投与量の10%未満のバイオ炭酸カルシウム粉末(150~200メッシュ)は、誘引と付着に対して無効であることを示す。しかし、研究過程において、改質した牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末(粉末度が100~1000メッシュ)を用い、牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末の最適な投与量はセメント質材料の10%以下であることが分かる。
【0111】
(3)牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末の改質は、具体的には、タン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末、魚骨粉末を処理し、そして希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理することである。
【0112】
(4)参考文献において、コンクリート表面にカキ殻を嵌め込むことは難しく、全てのプロジェクトの表面はこのような方法を用いるわけでなく、実行可能性は低い。本発明は、生物が付着するように誘引するために、コンクリート内に貝殻粉末を加え、且つ貝殻粉末の投与量はセメント質材料質量の10%を占め、実施しやすく、カキ付着量を大幅に向上させることができる。
【0113】
(5)海洋環境下で、近年、人工魚礁の深刻な腐食が多く発生し、深刻な腐食は主に、嫌気性微生物であるチオバチルス菌が分泌した生物学的硫酸と他の細菌が分泌した酸性物質などの複合作用によって引き起こされる。しかし、炭酸カルシウムの酸腐食耐性は非常に弱いため、粉末度が大きな炭酸カルシウムの含有量が高すぎると、深刻な酸腐食を引き起こすことができる。
【0114】
参考文献3の范瑞良.基盤種類がカキの付着、成長、個体群の確立及び礁本体の発達への影響[D])に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0115】
(1)参考文献3において、80メッシュの牛骨粉末、カルシウム粉末、石膏粉末を取り、それぞれコンクリート中に独立して混ぜ込む。本発明における全てのカルシウム質材料の粉末度は、100メッシュを超え、参考文献3における材料の粉末度よりも大きい。同様に牛骨粉末を混ぜ込むが、カキ殻粉末、卵殻粉末、魚骨粉末、サンゴ粉末などのバイオ炭酸カルシウム粉末の1つ以上を複合して混ぜ込む。その目的は、コンクリート粒子の格付を考慮しながら、その誘引能力を十分に発揮させることである。
【0116】
(2)常温条件で、振動ミルで牛骨粉末を粉砕し、粉末度が80メッシュを超えた後、牛骨粉末に大量のコラーゲンが含まれるため、塊になり、粉砕を続けることができない。本発明において、希酸改質技術を用い、且つ他の物質と共に粉砕されると、粒径が小さな牛骨粉末、粉末度>200メッシュの改質したバイオカルシウム粉末が得られる。得られたバイオカルシウム粉末は、バイオカルシウムの元の物質を残し、カキ幼生が付着するように誘引するための物質の放出速度を向上させ、そしてバイオカルシウム粉末の投与量を低下させるため、セメントコンクリート性能への影響を低下させる。
【0117】
(3)牛骨粉末は、大量のコラーゲンなどの有機物質を含み、大量のこれらの物質を混ぜ込むと、コンクリートの強度及び浸透防止性の低下をもたらし、特に5%を超えた後、投与量を向上させると、コンクリートの強度は急速に低下し、浸透防止性は顕著に低くなり、また、標準養生条件下でコンクリート表面にカビが生える。
図1は、コンクリート表面にカビが生える情況である。
図2は、改質したコンクリートの表面情況である。
図1から分かるように、コンクリート表面のカビは白くて綿状であり、コンクリート表面のほぼ全体を覆い、牛骨粉末、齢期、養生条件が同じである場合、
図2におけるコンクリート表面にカビがない。
【0118】
本発明は、希酸による改質及び複合粉砕技術により、牛骨粉末の誘引能力を十分に発揮し、牛骨粉末の投与量を大幅に低減し、且つ防食処理及び改質を行い、牛骨粉末を主としての複合誘引剤を製造し、その投与量が低く、同時にカキ幼生の付着能力が高く、且つコンクリートにカビが生えるという問題を解決する。誘引剤を混ぜ込まないコンクリートよりも、誘引剤を混ぜ込んだコンクリートのカキの幼生の付着量は顕著に増加する。
【0119】
参考文献及び調べられた資料から分かるように、カキ幼生の付着にとって、カルシウム含有量は不可欠であり、同様に、現在のいくつかの試験結果は、セメントベース材料に適切な量の炭酸カルシウム物質を加えると、カキ幼生の付着と成長を促進できることも証明する。しかし、セメントコンクリートには大量のカルシウムイオンが含まれ、一般的に細孔溶液のpH値は12.5を超え、常温で、飽和水酸化カルシウム溶液のpH値は約12であり、従って、コンクリート細孔溶液中のカルシウムイオン濃度は約5mmol/Lであり、炭酸カルシウムの溶解度は非常に低く、25℃で9.5×10-5mol/L(9.5×10-2mmol/L)しかない。現在、カキが付着するように誘引するためのカルシウムイオン濃度の最適範囲は10~25mmol/Lであると考えられ、カキ幼生を飽和炭酸カルシウム溶液に入れた場合でも、カキの付着に適したイオン濃度を提供するのに十分なCa2+濃度がない。更に、セメントコンクリート中のCa(OH)2を迅速に放出できるが、炭酸カルシウムの溶解には時間がかかっている。従って、コンクリート中に炭酸カルシウム質材料を加えてカキ幼生の付着を促進する場合、Ca2+は支配的な役割を果たさないと決定できる。カキの早期付着、変態はHCO3
-に関連し、変態の場合、Ca2+と共に炭酸カルシウムの二次殻を形成する。炭酸カルシウムを混ぜ込んだ後、炭酸カルシウムはCO2や水と反応するため、Ca(HCO3)2を生成した後に付着に関与し、カキ幼生の付着を促進する基本的なメカニズムである。
【0120】
セメントベース材料に最適な量の炭酸カルシウムがあり、それは以下の3つの側面から説明できる。
【0121】
1)同量の代替セメントでは、炭酸カルシウム投与量の増加に伴い、コンクリート中のアルカリを希釈し、総アルカリ度が低下し、しかし、炭酸カルシウム投与量の増加に伴い、コンクリート中の炭酸カルシウムの溶解確率が向上し、その溶液中のHCO3
-含有量が向上するため、カキの付着と変態を促進し、しかし、投与量が大きすぎる場合、コンクリートの浸透性が急に高まり、コンクリート中のアルカリ及び炭酸塩が急速に浸出し、アルカリの悪影響が顕著になり、炭酸塩の臨界効果又は悪影響が現れ始めるため、付着量が低下し、
【0122】
2)同量の代替骨材では、投与量の増加に伴い、コンクリートの浸透性が低下し、カルシウムイオンとOH-の浸出が低下し、しかし、炭酸イオンの浸透率は徐々に向上し、一定の値に達すると、カキの付着が最大値に達し、投与量が増加し続けると伴い、カルシウムイオンが大幅に減少し、炭酸塩も減少する可能性があり、カルシウムイオン濃度はカキ幼生の付着を制限し、それは付着量の低下として現れ、
【0123】
3)同量の代替鉱物混和剤では、投与量の増加に伴い、浸透性も向上し、且つ炭酸カルシウムの増加により、カキの付着に必要なHCO3
-濃度が適切な範囲に達し、それはカキ幼生の付着量の向上として現れ、鉱物混和剤の投与量が増加し続けると伴い、鉱物混和剤の投与量が低下し、浸出したアルカリと炭酸塩の量が増加するが、アルカリとHCO3
-イオンが多すぎるとカキ幼生の付着を阻害する。
【0124】
参考文献4(李真真、公丕海、関長涛、etal.様々なセメント種類のコンクリート人工魚礁の生物付着効果[J].漁業科学進展、2017,38(5):57-63.)に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0125】
参考文献4において、コンクリートは海洋生物を集めるために使用され、それは主に、付着生物の大きさと多様性から出発し、主な付着生物は様々な藻類である。本発明において、研究目的はカキの付着を誘引することであり、しかし、カキやフジツボの耐アルカリ性は藻類よりも高く、且つカキの付着、変態は大量のカルシウムイオンを必要とするため、2種類のコンクリートは同じように見えるが、実際にはまったく異なる。
図3及び
図4はそれぞれ、参考文献4における約210日間の実際の海の付着実験を経た後の生物付着情況と本発明における300日間の実際の海の付着実験を経た後の生物付着情況との比較である。
【0126】
参考文献4において、複合ポルトランドセメント、スラグポルトランドセメント、ポゾラン質のポルトランドセメント、フライアッシュ質のポルトランドセメント及びアルミナセメントを使用し、本発明において、通常のポルトランドセメントと鉱物混和剤を複合して混ぜ込むことによって低アルカリ度のセグメントを実現し、ここで、シリカフュームは、鉱物混和剤のうち1つであり、それは、活性が高く、適切な投与量が海洋環境における鉄筋コンクリートの耐久性の向上に明らかな効果があり、最適化設計及び試験により、強度と耐久性に優れた低アルカリ度セメントを得ることができる。同時に、シリカフュームコンクリートの浸透防止性が高い特徴により、コンクリート内部のアルカリ度が高くても、大量のカキ幼生が付着、変態、成長する。また、海洋植物とカキやフジツボなどの固着生物の耐アルカリ性は異なり、付着期と後期で必要な環境は異なり、例えば、フジツボ及びカキの付着、変態及び後期の成長は大量のカルシウムイオンを必要とする。
【0127】
従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、海洋植物、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、参考文献1により、本発明において、コンクリートのアルカリ度の低下及びカルシウムイオン濃度の釣り合いは海洋の固着生物の付着に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0128】
また、本発明独自の特徴及びその有益な効果は以下のとおりである。
【0129】
濃色顔料
【0130】
カキの眼点幼生の走光性を利用し、濃色顔料(鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つ)を改質した後にコンクリート中に混ぜ込み、コンクリートの色を変更し、コンクリートの色は濃くなり、カキ幼生にそれが暗い環境であると思わせ、カキ幼生が自分で濃色のコンクリート表面に到達するように誘引し、カキ幼生とコンクリート表面との接触確率を向上させ、カキ幼生が付着するように誘引する確率を向上させる。具体的には以下のとおりである。
【0131】
海洋生物学の研究者は、望ましくない個体群を繁殖及び増殖又は排除するために、異なる色の基質を使用した海洋の固着生物の付着への研究を検討し、それは海洋生物学の分野に属する。それは、海洋コンクリート工学やコンクリート材料学とはまったく異なり、完全に2つの主要な分野である。海洋の固着生物とコンクリート材料学の学際的融合により、濃色のコンクリートを使用してカキ幼生が付着するように誘引する。本発明は、濃色顔料を加え、コンクリート表面の色を濃くし、カキ幼生の付着を促進する。コンクリート中に他の材料を混ぜ込むため、コンクリート性能に影響を与える。本発明は、異なるセメントのコンクリートが異なる表面色を有することを考慮する。従って、セメント種類及び投与量に基づいて濃色物質の投与量を決定する。濃色顔料もコンクリート性能に影響を与える。最も重要なことは、濃色顔料を混ぜ込むと同時に、コンクリート中のアルカリとCa2+の浸透率を制御しない場合、放出されたアルカリは固着生物幼生の付着、変態及び成長に影響を与え、投与量が所定の値を超える場合、幼生の付着量が低下することである。本発明において、コンクリートの浸透防止性を設計及び制御し、主な対策は、濃色顔料の種類の選択、投与量の制御及び改質である。濃色物質の投与量の増加に伴い、幼生の付着量は高くなり、投与量はセメント質材料の0.5%~6%である場合、幼生の付着量は最高であるが、その後わずかに増加し、又は変化しない。
【0132】
炭酸(水素)塩
【0133】
本発明者の研究によれば、セメントベース材料に炭酸カルシウム物質を混ぜ込んでカキの付着を誘引する主なメカニズムは、CO3
2-がCa2+ではなくカキ幼生の付着と変態に主要な役割を果たすことであるため、本発明は、非炭酸カルシウムの炭酸塩及び炭酸水素塩を使用し、カキ幼生がコンクリート表面に付着するように誘引することを革新的に提供する。従って、炭酸(水素)塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)をコンクリートに混ぜ込み、且つ改質することにより、コンクリートの強度と浸透防止性は基本的に変化せず、カキ幼生の付着誘引率を大幅に向上させる。具体的には以下のとおりである。
【0134】
海洋生物学の研究者は、カキの付着メカニズム及び繁殖と増殖の目的を明らかにするために、異なるイオンが海洋の固着生物の付着と変態への影響を研究し、それは海洋生物学の分野に属する。それは、海洋コンクリート工学やコンクリート材料学とはまったく異なり、完全に2つの主要な分野である。海洋固着生物の付着とコンクリート材料学の学際的融合により、コンクリート中に対応する物質を加え、カキ幼生がコンクリート表面に付着するように誘引することが分かる。可溶性塩は、初期の作業性、接着時間、及び後期の強度と浸透防止性などのコンクリート性能に大きな影響を与えるため、本発明は、珪藻土を担体として使用することにより、これらの塩類を珪藻土の内部に固定し、可溶性塩がコンクリート性能への影響を低減すると同時に、珪藻土がコンクリート性能を向上させる効果を利用し、これらの誘引物質を加えても、コンクリートの優れた力学的性質と浸透防止性を維持できることを実現する。また、珪藻土は担体として持続放出効果があるため、可溶性塩の放出は比較的遅く、特に海水に所定の時間以上浸した後、その放出速度は非常に低いレベルに保たれる。独立して混ぜ込まれた炭酸ナトリウムの質量が0.8%の場合、誘導効率の伸びが最も高くなり、66%に達する。従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、化学、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、従来の背景により、本発明において、炭酸(水素)塩をコンクリートに混ぜ込み、コンクリート表面の炭酸(水素)塩の含有量を変更し、及びコンクリートの浸透性を制御することは、カキ幼生が付着するように誘引する能力に優れたコンクリートに密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0135】
コンクリートの浸透性
【0136】
コンクリートの強度及び浸透性はコンクリートの2つの最も重要な性能である。標準コンクリート中に異なる誘引剤を加えると、コンクリート性能に影響を与え、そのため、異なる物質を混ぜ込んでカキ幼生の付着、変態及び後機の成長を促進する場合、まず、コンクリートの強度や浸透性に大きな影響を与えないように、全体として制御する必要があり、次に、各種の原料の適合性に応じて原料を選択し、原料の性能が実際の要件を満たせない場合、原料を加える前に改質することで、望ましい機能を達成できる。しかし、実は、前述の関連研究では、カルシウム含有量がカキ幼生の付着への影響を考慮するが、コンクリート自体の性能を考慮せず、水セメント比、カルシウム含有量及び養生などを考慮せず、コンクリートの浸透性の変化により、コンクリート内部のアルカリやイオンの浸透率が変化し、コンクリートの浸透防止性が低いほど、その内部のアルカリとイオンの浸透率が高くなり、指数関数的に増加する可能性がある。従って、これらの放出されたアルカリとイオンは幼生に大きな影響を与え、付着を促進することから付着を阻害することまで変化し、特にセメント含有量が多い場合、この情況はより深刻になる可能性がある。従って、コンクリート中に誘引剤を混ぜ込み、コンクリートの浸透防止性の変化は、制御可能な範囲内にあることを確保しなければならず、例えば、変化は10%を超えない。このように、これらの誘引効果を比較することができ、そうでなければ、誘引剤を独立して混ぜ込み又は誘引剤を複合して混ぜ込むことがカキ幼生の誘引効果への影響を評価することができない。
【0137】
海洋の固着生物が付着、変態及び後期の成長に必要な最適な環境を把握し、且つコンクリートの浸透防止性から出発してコンクリートを設計する必要があり、各種の原料の投与量のみを考慮することによってコンクリートの浸透防止性の変化をもたらすことを無視することではない。従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、化学、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、従来の背景により、本発明において、コンクリートの浸透防止性の全体的な制御は、誘引剤はカキが付着するように効果的に誘引する能力に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0138】
粗さの増加
【0139】
粗い表面は、カキの幼生が這って付着するために、より優れた触覚刺激を提供し、付着力を増加させ、基板でのカキ幼生の滞留時間を伸ばし、同時に、亀裂と穴ぼこが存在することで、幼生を保護でき、捕食者に襲われる可能性を低下させ、また、滑らかな付着基盤よりも付着可能面積が大きいため、表面が粗い付着基盤でのカキ幼生の付着率が向上する。
【0140】
従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、海洋植物、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、参考文献1~3により、本発明において、コンクリート中に濃色顔料を混ぜ込むことによる色の変化、牛骨粉末の改質、粉砕技術及び炭酸水素塩とコンクリートの浸透性の制御はカキが付着するように効果的に誘引する能力と高い耐久性を有するコンクリートに密接に関連する技術的特徴を取得することができない。また、参考文献4により、本発明において、コンクリートのアルカリ度の低下及びカルシウムイオン濃度の釣り合いは海洋の固着生物の付着に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0141】
実施例A1~14の実施方法は同じであり、形状が異なるコンクリートカキ付着基盤を設計して製造し、具体的には
図5~7を参照する。それらのコンクリート配合比は以下のとおりである。
【0142】
実施例A1、通常のポルトランドセメントのコンクリートの配合比について、通常のポルトランドセメント、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、29.37%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0143】
そのうち、前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、軽量セラムサイトのうち1つ又は2つである。前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量のセラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径は0.2mm~5mmであり、且つ格付が高い。前記水は、コンクリート用水の品質基準(JGJ63-2006)を満たす必要があり、Cl-含有量<1000mg/Lであり、PH値>4.5であり、セメントの初期硬化時間差及び最終硬化時間、強度、浸透性にほとんど影響を与えない。また、実施例A1~15で選択された上記材料は同じである。
【0144】
実施例A2、基準コンクリートの配合比について、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、17.62%、1.47%、10.28%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0145】
実施例A3、改質しない濃色顔料、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.29%、8.99%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0146】
実施例A4、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.87%、17.62%、1.36%、9.52%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0147】
実施例A5、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.29%、8.99%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0148】
実施例A6、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、17.62%、1.17%、8.23%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0149】
そのうち、改質した濃色顔料は、196透明樹脂であり、3%の硬化剤と1.5%の促進剤を混ぜ込んで顔料と混合し、且つ顔料と樹脂の体積比は1:0.2であり、常温で4時間硬化し、60℃で4時間硬化し、次に、叩いて破壊し、粉末度が400メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕するだけで済む。
【0150】
実施例A7、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.87%、17.62%、1.36%、9.52%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0151】
実施例A8、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.29%、8.99%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0152】
実施例A9、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、17.62%、1.17%、8.23%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0153】
実施例A10、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、0.87%、17.62%、1.18%、8.23%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0154】
実施例A11、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、1.47%、17.62%、1.10%、7.71%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0155】
実施例A12、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、2.35%、17.62%、0.99%、6.94%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0156】
実施例A13、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、高炉スラグ粉末、シリカフューム、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、0.5%、1.47%、17.62%、0.93%、6.50%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0157】
実施例A14、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、高炉スラグ粉末、シリカフューム、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、1.2%、1.47%、17.62%、0.84%、5.89%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0158】
改質した硫酸亜鉛の製造方法は以下のとおりである。SiO2含有量>90%、粉末度が600メッシュの珪藻土を選択し、60°Cのミキサーで150gの水を加え、次に、100gの硫酸亜鉛を加え、完全に溶解するまで撹拌し、使用に備え、続いて、150gの上記珪藻土を60°Cに加熱し、溶液中に加え、回転数200~500周り/分間のミキサーで10分間撹拌し、その後、乾燥温度が100°Cの乾燥オーブンで乾燥すれば、改質した硫酸亜鉛が得られる。
【0159】
実施例A1~14の実施方法の具体的な操作ステップは以下のとおりである。
【0160】
上記軽量コンクリートカキ付着基盤の製造方法に応じて、Φ100×50mmの円筒形供試体3個と200×200×30mmの長方体供試体10個を製造し、それらはそれぞれ、該コンクリートの28日間の塩化物イオン浸透性耐性及び28日間の標準養生後の実験室でのカキ幼生の付着と変態情況を試験するために使用される。具体的な操作ステップは以下のとおりである。
【0161】
(一)供試体の成形
【0162】
1.計算し、上記質量に応じて、通常のポルトランドセメント、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、炭酸カルシウム粉末、微量元素及びポリカルボン酸塩減水剤粉末を精確に量る。
【0163】
2.まず、軽量粗骨材、軽量細骨材をコンクリートミキサー中に入れて0.5~1分間撹拌し、次に、ポルトランドセメント、炭酸カルシウム粉末、微量元素、濃色顔料を加えて0.5~1分間撹拌し続け、続いて、水及び超可塑剤を加えて2~6分間撹拌し、均一に撹拌した後、注入して振動させて型抜きすれば、Φ100×50mmの円筒形供試体3個と200×200×30mmの長方体供試体5個を製造し得、最後に、それを標準養生室に入れて28日間養生し、且つ各齢期で対応する浸透性評価を行い、また、28日間後、実験室でのカキ幼生の付着と変態試験を行う。
【0164】
(二)急速塩化物イオン浸透性試験の具体的なステップは以下のとおりである。
【0165】
基準『Standard Test Method for Electrical Indication of Concrete’s Ability to Resist Chloride Ion Penetration』(ASTM1202-2017)に従って、28日間養生する場合、それぞれ養生室からΦ100×50mmの円筒形供試体3個を取り出し、且つそれらの表面の水及び不純物を洗浄し、その表面が乾燥した後、円筒形供試体の表面にエポキシを薄く塗布する。次に、供試体を真空飽和器に20~24時間置く。続いて、供試体を取り出し、その表面を洗浄し、有機ガラス金型に置き、同時に供試体と金型との間の密封性を検出した後、その両側の金型中に質量濃度3%の塩化ナトリウム溶液(電極は電源の負極に接続される)及びモル濃度0.3mol/Lの水酸化ナトリウム溶液(電極は電源の正極に接続される)をそれぞれ入れる。次いで、実験器具を始動し、6時間後、試験データを記録し、最後の2つの供試体に対して上記操作を繰り返す。最後に、規範に従って、強度を計算する。
【0166】
(三)実験室でのカキ幼生の付着と変態試験の具体的なステップは以下のとおりである。
【0167】
28日間標準養生した後、養生室から200×200×30mmの長方体供試体をそれぞれ取り出し、且つその表面の水及び不純物を洗浄し、その後、試験池中に入れ、実験室内に試験池を作り、カキ幼生の存在量は0.85ind/ml3であり、池中の海水は砂ろ過した黄海の海水であり、塩分濃度は約32%~34%であり、海水面がコンクリート供試体よりも高くなった後、酸素パイプを試験池中に均一に配置し、カキ幼生を投げ入れるために準備する。バケツ中のカキ幼生をゆっくりと撹拌した後、ビーカーを使用し、カキ幼生を含む海水の質量を精確に量り、続いて、試験池中に均一に投げ入れる。カキ付着誘引試験が始まった後、試験池内の海水を毎日交換し、水交換量は試験池の総容量の1/3であり、スクリーン(200メッシュ以上)を使用して排水口を塞ぎ、付着しないカキ幼生が水で流れ落ちることを防止し、スクリーン上の幼生を再度試験池に投げ入れ、毎日9:00及び19:00にパスツールピペットでクロレラを定時で定量的に給餌し、且つカキの付着情況を観察する。
【0168】
30日間の試験を継続した後、試験池中の水を排出し、供試体を取り出し、供試体表面のカキの数及び生存率を統計し、記録して分析し、統計の場合、コンクリートを注入成形する時の滑らかな底面を用いる。
【0169】
参考文献3の范瑞良.基盤種類がカキの付着、成長、個体群の確立及び礁本体の発達への影響[D])に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0170】
参考文献3において、80メッシュの牛骨粉末、カルシウム粉末、石膏粉末を取り、それぞれコンクリート中に独立して混ぜ込む。本発明において混ぜ込まれたカルシウム質材料の粉末度はいずれも200メッシュを超え、参考文献3における材料の粉末度よりも大きい。その目的は、コンクリート粒子の格付を考慮しながら、その誘引能力を十分に発揮させることである。
【0171】
実施例では、600メッシュの炭酸カルシウム粉末を使用してコンクリートを調製し、その粉末度が大きく、それをコンクリートに混ぜ込んだ後、コンクリート性能にほとんど影響を与えないため、炭酸カルシウム粉末は、コンクリート内部によく分散でき、誘引されたカキ幼生の付着率を高めることができる。
【0172】
参考文献及び調べられた資料から分かるように、カキ幼生の付着にとって、カルシウム含有量は不可欠であり、同様に、現在のいくつかの試験結果は、セメントベース材料に適切な量の炭酸カルシウム物質を加えると、カキ幼生の付着と成長を促進できることも証明する。しかし、セメントコンクリートには大量のカルシウムイオンが含まれ、一般的に細孔溶液のpH値は12.5を超え、常温で、飽和水酸化カルシウム溶液のpH値は約12であり、従って、コンクリート細孔溶液中のカルシウムイオン濃度は約5mmol/Lであり、炭酸カルシウムの溶解度は非常に低く、25℃で9.5×10-5mol/L(9.5×10-2mmol/L)しかない。現在、カキが付着するように誘引するためのカルシウムイオン濃度の最適範囲は10~25mmol/Lであると考えられ、カキ幼生を飽和炭酸カルシウム溶液に入れた場合でも、カキの付着に適したイオン濃度を提供するのに十分なCa2+濃度がない。更に、セメントコンクリート中のCa(OH)2を迅速に放出できるが、炭酸カルシウムの溶解には時間がかかっている。従って、コンクリート中に炭酸カルシウム質材料を加えてカキ幼生の付着を促進する場合、Ca2+は支配的な役割を果たさないと決定できる。カキの早期付着、変態はHCO3
-に関連し、変態の場合、Ca2+と共に炭酸カルシウムの二次殻を形成する。炭酸カルシウムを混ぜ込んだ後、炭酸カルシウムはCO2や水と反応するため、Ca(HCO3)2を生成した後に付着に関与し、カキ幼生の付着を促進する基本的なメカニズムである。
【0173】
セメントベース材料に最適な量の炭酸カルシウムがあり、それは以下の3つの側面から説明できる。
【0174】
1)同量の代替セメントでは、炭酸カルシウム投与量の増加に伴い、コンクリート中のアルカリを希釈し、総アルカリ度が低下し、しかし、炭酸カルシウム投与量の増加に伴い、コンクリート中の炭酸カルシウムの溶解確率が向上し、その溶液中のHCO3
-含有量が向上するため、カキの付着と変態を促進し、しかし、投与量が大きすぎる場合、コンクリートの浸透性が急に高まり、コンクリート中のアルカリ及び炭酸塩が急速に浸出し、アルカリの悪影響が顕著になり、炭酸塩の臨界効果又は悪影響が現れ始めるため、付着量が低下し、
【0175】
2)同量の代替骨材では、投与量の増加に伴い、コンクリートの浸透性が低下し、カルシウムイオンとOH-の浸出が低下し、しかし、炭酸イオンの浸透率は徐々に向上し、一定の値に達すると、カキの付着が最大値に達し、投与量が増加し続けると伴い、カルシウムイオンが大幅に減少し、炭酸塩も減少する可能性があり、カルシウムイオン濃度はカキ幼生の付着を制限し、それは付着量の低下として現れ、
【0176】
3)同量の代替鉱物混和剤では、投与量の増加に伴い、浸透性も向上し、且つ炭酸カルシウムの増加により、カキの付着に必要なHCO3
-濃度が適切な範囲に達し、それはカキ幼生の付着量の向上として現れ、鉱物混和剤の投与量が増加し続けると伴い、鉱物混和剤の投与量が低下し、浸出したアルカリと炭酸塩の量が増加するが、アルカリとHCO3
-イオンが多すぎるとカキ幼生の付着を阻害する。
【0177】
参考文献4(李真真、公丕海、関長涛、etal.様々なセメント種類のコンクリート人工魚礁の生物付着効果[J].漁業科学進展、2017,38(5):57-63.)に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0178】
参考文献4において、複合ポルトランドセメント、スラグポルトランドセメント、ポゾラン質のポルトランドセメント、フライアッシュ質のポルトランドセメント及びアルミナセメントを使用し、本発明において、通常のポルトランドセメントと鉱物混和剤を複合して混ぜ込むことによって低アルカリ度のセグメントを実現し、ここで、シリカフュームは、鉱物混和剤のうち1つであり、それは、活性が高く、適切な投与量が海洋環境における鉄筋コンクリートの耐久性の向上に明らかな効果があり、最適化設計及び試験により、強度と耐久性に優れた低アルカリ度セメントを得ることができる。同時に、シリカフュームコンクリートの浸透防止性が高い特徴により、コンクリート内部のアルカリ度が高くても、大量のカキ幼生が付着、変態、成長する。また、低アルカリ度のスルホアルミネートセメントの複合により、セメントコンクリートのアルカリ度を調整し、カキ幼生の付着のために適切なpH値を提供する。また、海洋植物とカキやフジツボなどの固着生物の耐アルカリ性は異なり、付着期と後期で必要な環境は異なり、例えば、フジツボ及びカキの付着、変態及び後期の成長は大量のカルシウムイオンを必要とする。
【0179】
参考文献4において、コンクリートは海洋生物を集めるために使用され、それは主に、付着生物の大きさと多様性から出発し、主な付着生物は様々な藻類である。本発明において、研究目的はカキの付着を誘引することであり、しかし、カキやフジツボの耐アルカリ性は藻類よりも高く、且つカキの付着、変態は大量のカルシウムイオンを必要とするため、2種類のコンクリートは同じように見えるが、実際にはまったく異なる。
図3及び
図8はそれぞれ、参考文献4における約210日間の実際の海の付着実験を経た後の生物付着情況と本発明における300日間の実際の海の付着実験を経た後の生物付着情況との比較である。
【0180】
また、本発明独自の特徴及びその有益な効果は以下のとおりである。
【0181】
濃色顔料
【0182】
カキの眼点幼生の走光性を利用し、濃色顔料(鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つ)を改質した後にコンクリート中に混ぜ込み、コンクリートの色を変更し、コンクリートの色は濃くなり、カキ幼生にそれが暗い環境であると思わせ、カキ幼生が自分で濃色のコンクリート表面に到達するように誘引し、カキ幼生とコンクリート表面との接触確率を向上させ、カキ幼生が付着するように誘引する確率を向上させる。具体的には以下のとおりである。
【0183】
海洋生物学の研究者は、望ましくない個体群を繁殖及び増殖又は排除するために、異なる色の基質を使用した海洋の固着生物の付着への研究を検討し、それは海洋生物学の分野に属する。それは、海洋コンクリート工学やコンクリート材料学とはまったく異なり、完全に2つの主要な分野である。海洋の固着生物とコンクリート材料学の学際的融合により、濃色のコンクリートを使用してカキ幼生が付着するように誘引する。本発明は、濃色顔料を加え、コンクリート表面の色を濃くし、カキ幼生の付着を促進する。コンクリート中に他の材料を混ぜ込むため、コンクリート性能に影響を与える。本発明は、異なるセメントのコンクリートが異なる表面色を有することを考慮する。従って、セメント種類及び投与量に基づいて濃色物質の投与量を決定する。濃色顔料もコンクリート性能に影響を与える。最も重要なことは、濃色顔料を混ぜ込むと同時に、コンクリート中のアルカリとCa2+の浸透率を制御しない場合、放出されたアルカリは固着生物幼生の付着、変態及び成長に影響を与え、投与量が所定の値を超える場合、幼生の付着量が低下することである。本発明において、コンクリートの浸透防止性を設計及び制御し、主な対策は、濃色顔料の種類の選択、投与量の制御及び改質である。濃色物質の投与量の増加に伴い、幼生の付着量は高くなり、投与量はセメント質材料の0.5%~6%である場合、幼生の付着量は最高であるが、その後わずかに増加し、又は変化しない。
【0184】
微量元素
【0185】
カキ体内は大量の亜鉛を含み、それが生息する海水よりもはるかに高く、同時に、カキ体内は多くのFe鉄、P、K元素を含む。同時に、溶液中の適切なZn2+及びK+濃度は、カキ幼生の早期付着と変態を促進し得る。従って、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、リン酸亜鉛、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄、リン酸カルシウムを微量元素として使用してコンクリートに混ぜ込み、これらの物質の改質により、コンクリートの強度と浸透防止性は基本的に変化せず、カキ幼生の付着誘引率を大幅に向上させる。具体的には以下のとおりである。
【0186】
海洋生物学の研究者は、カキの付着メカニズム及び繁殖と増殖の目的を明らかにするために、異なるイオンが海洋の固着生物の付着と変態への影響を研究し、それは海洋生物学の分野に属する。それは、海洋コンクリート工学やコンクリート材料学とはまったく異なり、完全に2つの主要な分野である。海洋の固着生物とコンクリート材料学の学際的融合により、コンクリート中に対応する物質を加え、カキ幼生がコンクリート表面に付着するように誘引することが分かる。可溶性塩は、初期の作業性、硬化時間、及び後期の強度と浸透防止性などのコンクリート性能に大きな影響を与えるため、本発明は、珪藻土を担体として使用することにより、これらの無機塩を珪藻土の内部に固定し、可溶性塩がコンクリート性能への影響を低減すると同時に、珪藻土がコンクリート性能を向上させる効果を利用し、これらの誘引物質を加えても、コンクリートの優れた力学的性質と浸透防止性を維持できることを実現する。また、珪藻土は担体として持続放出効果があるため、可溶性塩の放出は比較的遅く、特に海水に所定の時間以上浸した後、その放出速度は非常に低いレベルに保たれる。従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、化学、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、従来の背景により、本発明において、微量元素をコンクリートに混ぜ込み、コンクリート表面の微量元素のイオン含有量を変更し、及びコンクリートの浸透性を制御することは、カキ幼生が付着するように誘引する能力に優れたコンクリートに密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0187】
コンクリートの浸透性
【0188】
コンクリートの強度及び浸透性はコンクリートの2つの最も重要な性能である。標準コンクリート中に異なる誘引剤を加えると、コンクリート性能に影響を与え、そのため、異なる物質を混ぜ込んでカキ幼生の付着、変態及び後機の成長を促進する場合、まず、コンクリートの強度や浸透性に大きな影響を与えないように、全体として制御する必要があり、次に、各種の原料の適合性に応じて原料を選択し、原料の性能が実際の要件を満たせない場合、原料を加える前に改質することで、望ましい機能を達成できる。しかし、実は、前述の関連研究では、カルシウム含有量がカキ幼生の付着への影響を考慮するが、コンクリート自体の性能を考慮せず、水セメント比、カルシウム含有量及び養生などを考慮せず、コンクリートの浸透性の変化により、コンクリート内部のアルカリやイオンの浸透率が変化し、コンクリートの浸透防止性が低いほど、その内部のアルカリとイオンの浸透率が高くなり、指数関数的に増加する可能性がある。従って、これらの放出されたアルカリとイオンは幼生に大きな影響を与え、付着を促進することから付着を阻害することまで変化し、特にセメント含有量が多い場合、この情況はより深刻になる可能性がある。従って、コンクリート中に誘引剤を混ぜ込み、コンクリートの浸透防止性の変化は、制御可能な範囲内にあることを確保しなければならず、例えば、変化は10%を超えない。このように、これらの誘引効果を比較することができ、そうでなければ、誘引剤を独立して混ぜ込み又は誘引剤を複合して混ぜ込むことがカキ幼生の誘引効果への影響を評価することができない。
【0189】
海洋の固着生物が付着、変態及び後期の成長に必要な最適な環境を把握し、且つコンクリートの浸透防止性から出発してコンクリートを設計する必要があり、各種の原料の投与量のみを考慮することによってコンクリートの浸透防止性の変化をもたらすことを無視することではない。従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、化学、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、従来の背景により、本発明において、コンクリートの浸透防止性の全体的な制御は、誘引剤はカキが付着するように効果的に誘引する能力に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0190】
本発明は、軽量骨材コンクリートを使用することにより、コンクリート付着基盤の重量を軽減でき、供試体の製造、輸送、養生の過程において輸送コスト及び人件費を削減でき、また、実際の海での養殖では、付着基盤を移動してカキを収穫する漁師の人件費を削減したり、海洋コンクリートプロジェクトに適用する場合の輸送及び固定などのコストを削減したりでき、更に、使用中に誤って地面に落ちて破損するリスクを低減できる。
【0191】
従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、海洋植物、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、参考文献3により、本発明において、コンクリート中に濃色顔料を混ぜ込むことによる色の変化、炭酸カルシウム粉末と微量元素の混ぜ込みによるコンクリートの浸透性の制御はカキが付着するように効果的に誘引する能力と高い耐久性を有するコンクリートに密接に関連する技術的特徴を取得することができない。また、参考文献4により、本発明において、コンクリートのアルカリ度の低下及びカルシウムイオン濃度の釣り合いは海洋の固着生物の付着に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0192】
本発明の実施例を示して説明するが、当業者にとって、本発明の原理及び精神から逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本発明の範囲は、請求の範囲及びそれらの同等物によって限定されることが理解され得る。