(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】錠剤分割装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
A61J3/00 310Z
(21)【出願番号】P 2020151190
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】P 2019165927
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/108448(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/024903(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下して来た錠剤を受け入れて裁断位置へ導く錠剤導入機構と、前記裁断位置の錠剤を裁断する裁断機構と、前記裁断機構の駆動を行う駆動機構と、前記裁断位置から落下した錠剤裁断片を排出位置へ導く裁断片排出機構と、前記裁断機構と前記裁断片排出機構とを収める箱体とを備えた錠剤分割装置において、
前記裁断片排出機構は、前記錠剤裁断片を受け入れ
、前記錠剤裁断片が通過可能な縦穴が貫通形成された回転自在な円板を有し、前記円板の回転により前記縦穴を前記錠剤裁断片の受入位置から前記排出位置へ
移動させて受け入れた前記錠剤裁断片を自由落下により排出させ、
前記円板の下方には、上面に凹みが形成された錠剤屑回収部材が
前記箱体に対して着脱自在に設けられており、前記錠剤屑回収部材
を前記箱体に装着すると
、前記円板の下面と前記上面との間に錠剤屑は通すが前記錠剤裁断片は通さない間隙が確保され
ることを特徴とする錠剤分割装置。
【請求項2】
前記錠剤屑回収部材が前記箱体から引き出して取り出せるようになっていることを特徴とする請求項1記載の錠剤分割装置。
【請求項3】
前記裁断機構が、前記裁断位置に進退することでそこの錠剤を上下に裁断する可動刃と、前記裁断位置の下へ進退することで錠剤の支承保持と落下排出とを行う下部進退部材と、前記裁断位置の上へ進退することでそこの錠剤を押さえる上部進退部材とを具備していることを特徴とする請求項1
または2記載の錠剤分割装置。
【請求項4】
前記可動刃と対向する固定刃が前記箱体の外板部分に装着されており、前記外板部分が透明であることを特徴とする請求項3記載の錠剤分割装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、錠剤を裁断して幾つかの錠剤裁断片(錠剤の裁断片)に分割する錠剤分割装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤分割装置は、手動のものは別として、或る程度以上自動化されたものは(例えば特許文献1~6参照)、一粒の錠剤を裁断して二つの半錠などに分割するための裁断機構に加え、多数の錠剤をランダム収容して逐次排出する錠剤フィーダも具備して、錠剤フィーダと裁断機構とを連動させることで、所要の錠剤裁断片を適時に供給するようになっており、薬剤分包機に搭載して使用されることもあれば(例えば特許文献1,6参照)、薬剤分包機から独立して使用されることもある(例えば特許文献2~5参照)。
【0003】
そのような錠剤フィーダと裁断機構との組み合わせ方を見ると、特に、錠剤フィーダが、電動モータ等の駆動部材を含むフィーダベース(ベース部)と、受動部材からなる着脱式の錠剤カセットとからなり、ベース部の上に錠剤カセットを載置した状態で錠剤排出を行うものである場合の組み合わせ方を見ると、独立タイプでは(例えば特許文献2~5参照)、フィーダベースと裁断機構とが錠剤分割装置の本体部に組み込まれ、その本体部に錠剤カセットを装着すると、錠剤カセットから一つずつ落下排出された錠剤がフィーダベースを落下通過してから裁断機構まで落下するようになっている。
【0004】
これに対し、薬剤分包機搭載タイプには(例えば特許文献1,6参照)、通常の錠剤フィーダに裁断機構を追加する謂わば付加タイプと(例えば特許文献1参照)、通常の錠剤フィーダを新たな錠剤フィーダ及び裁断機構にて置き換える謂わば置換タイプとがあるが(例えば特許文献6参照)、何れのタイプでも、即ち付加タイプであろうと置換タイプであろうと、やはり錠剤カセットから一つずつ送り出された錠剤が裁断位置へ落下して裁断機構によって裁断され、それから錠剤裁断片が落下排出されるようになっている。
【0005】
そのうち前者の付加タイプでは(例えば特許文献1参照)、錠剤カセットも、フィーダベースも、薬剤分包機に通常態様で搭載された錠剤フィーダのものが流用される。また、裁断機構は、別ユニット化されて、錠剤フィーダ格納庫の直下や錠剤フィーダ格納庫内の他の錠剤フィーダを取り出した後の空き空間に格納する態様で薬剤分包機に搭載される。そして、裁断機構とそれに対応する上流の一つの錠剤フィーダとが錠剤案内用の管路で繋がれることにより、錠剤カセットから裁断機構へ分割対象の錠剤が一つずつ供給されるようになっている。
【0006】
薬剤分包機搭載タイプのうち後者の置換タイプでは(例えば特許文献6参照)、フィーダベースは、薬剤分包機に通常態様で搭載された錠剤フィーダのものが流用可能であるが、隣り合った二つのフィーダベースが転用される。また、錠剤カセットが小形化されて、下のフィーダベースと上の錠剤カセットとの間に裁断機構が配置される。そのため、錠剤カセットの収容量は少なくなるが、薬剤分包機に搭載するときの配置の自由度が高く、搭載先の薬剤分包機に係る改造等の負担も小さくて済むので、薬剤分包機の新設時に導入するのは勿論、既設の薬剤分包機を改造して導入するのも容易なものとなっている。
【0007】
分割前の錠剤を一錠ずつ裁断位置へ導く錠剤導入経路については、上下に延びた中空路を自重で落下させるものや(例えば特許文献1,2,5参照)、落下速度を遅くするために中空路を傾斜させたもの(例えば特許文献4参照)、回転体にて位置や速度を規制しながら上下や前後へ弧状に移送するもの(例えば特許文献3,6参照)、などがある。
裁断手段については、片刃を用いるものや(例えば特許文献1参照)、回転刃を用いるものもあるが(例えば特許文献3参照)、対向刃を用いるものが多い(例えば特許文献2,4,5,6参照)。
【0008】
回転刃で裁断する場合は錠剤を移送しながら裁断するが(例えば特許文献3参照)、片刃や対向刃を用いる場合は(例えば特許文献1,2,4~6参照)、錠剤導入経路に進行させた錠剤保持部材の上に錠剤を留め置いてから錠剤へ刃先を進退させて裁断するようになっている。後者の進退刃方式では、進退駆動がカム機構などで簡便に具現化できるうえ(例えば特許文献1,4参照)、錠剤を二つの半錠に分割することばかりか三つ以上の裁断片に分割することも一動作で行うことができる(例えば特許文献4参照)。
【0009】
しかも、そのような進退刃方式であって更に錠剤を上下の半錠に分割する方式のものでは(例えば特許文献1,2,4,6参照)、刃先を進行させたまま錠剤保持部材を退行させることで下側の半錠を先に落下させることができ、それから刃先を退行させることで上側の半錠を後から落下させることができる。
そのため、半錠の落下タイミングを上下の半錠それぞれについて任意に制御するのが可能であり而も容易である。
【0010】
また、半錠等の裁断片を落下させて排出する謂わば裁断片排出経路については、水平に真っ直ぐ延びた溝の中を通過させてから落下させるものもあるが(例えば特許文献1参照)、水平移動をさせることなく縦の中空路を自重で落下させるものが多い(例えば特許文献2~6参照)。
さらに、余分な半錠や欠片については、それらを吸引して排出する清掃機構を設けたものもある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開平11-226089号公報
【文献】特開2011-83357号公報
【文献】特開2011-97969号公報
【文献】特開2012-29800号公報
【文献】特開2013-39236号公報
【文献】特開2018-108312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような吸引排出式の清掃機構を付設するのは(例えば特許文献1参照)、コストアップが避けられないため、その採用は限られがちである。
これに対し、裁断片排出経路に水平部分を持たせるのは(例えば特許文献1参照)、コストアップは小さく抑えられるが、錠剤屑(錠剤から出た屑など)の通過経路が半錠の裁断片排出経路に完全に重なっているため、錠剤屑も、半錠に引きずられて、ある程度の時間遅れはあっても最終的には、半錠と一緒に排出されてしまう。
【0013】
そのため、錠剤屑を除去する清掃作業が必要な状況下では、清掃作業をこまめに行うことになるので、清掃作業の負担が重い。
裁断片排出経路に水平部分の無い錠剤分割装置では(例えば特許文献2~6参照)、清掃作業の頻度が増すので、清掃作業の負担が更に重くなる。
そこで、簡素な手段にて錠剤裁断片から錠剤屑を分離除去しうる錠剤分割装置を実現することが第1技術課題となる。
【0014】
また、そもそも錠剤屑の発生を抑えることが望ましく、そのために、コストアップが許容される範囲内で、裁断機構に回転刃を採用したり(例えば特許文献3参照)、裁断機構に対向刃を採用したり(例えば特許文献2,4~6参照)、更に対向刃では、両刃とも進退させたり(例えば特許文献2,4,5参照)、固定刃と可動刃とを組み合わせたり(例えば特許文献6参照)、種々の態様のものが開発されている。
さらに、錠剤屑の発生を抑えるために、錠剤導入経路を傾斜させたり(例えば特許文献4参照)、錠剤を弧状に移送するものもある(例えば特許文献3,6参照)。
【0015】
そして、それらのうち、固定刃と可動刃との対向刃を裁断機構に採用するとともに、錠剤導入経路を鉛直にするか精々傾斜させるにとどめたものは、コストパフォーマンスの良さから、使用が増えている。
しかしながら、そのような裁断機構や錠剤導入経路の採用にてコストアップを抑制しつつも錠剤屑の発生量ばかりか錠剤の分割精度まで向上させることが求められている。
そこで、簡素な手段にて錠剤を精度良く分割できて錠剤屑の発生が少ない錠剤分割装置を実現することが第2技術課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の錠剤分割装置は(解決手段1)、上述の第1技術課題を解決するために創案されたものであり、
落下して来た錠剤を受け入れて裁断位置へ導く錠剤導入機構と、前記裁断位置の錠剤を裁断する裁断機構と、前記裁断機構の駆動を行う駆動機構と、前記裁断位置から落下した錠剤裁断片を排出位置へ導く裁断片排出機構と、前記裁断機構と前記裁断片排出機構とを収める箱体とを備えた錠剤分割装置において、
前記錠剤裁断片を受け入れる縦穴が前記裁断片排出機構に貫通形成されており、前記裁断片排出機構が前記縦穴を前記錠剤裁断片の受入位置から前記排出位置へ横移動させるようになっており、上面に凹みが形成された錠剤屑回収部材が設けられており、前記錠剤屑回収部材を前記裁断片排出機構の下にして前記箱体に装着すると錠剤屑は通すが前記錠剤裁断片は通さない間隙が前記裁断片排出機構の前記縦穴と前記錠剤屑回収部材の前記凹みとの間に確保されるようになっていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の錠剤分割装置は(解決手段2)、上記解決手段1の錠剤分割装置であって、前記錠剤屑回収部材が前記箱体から引き出して取り出せるようになっていることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の錠剤分割装置は(解決手段3)、上述の第1技術課題に加えて第2技術課題をも解決するために創案されたものであり、
上記解決手段1,2の錠剤分割装置であって、前記裁断機構が、前記裁断位置に進退することでそこの錠剤を上下に裁断する可動刃と、前記裁断位置の下へ進退することで錠剤の支承保持と落下排出とを行う下部進退部材と、前記裁断位置の上へ進退することでそこの錠剤を押さえる上部進退部材とを具備していることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の錠剤分割装置は(解決手段4)、上述の第2技術課題を解決するために創案されたものであり、
落下して来た錠剤を受け入れて裁断位置へ導く錠剤導入機構と、前記裁断位置の錠剤を裁断する裁断機構と、前記裁断機構の駆動を行う駆動機構と、前記裁断位置から落下した錠剤裁断片を排出位置へ導く裁断片排出機構と、前記裁断機構と前記裁断片排出機構とを収める箱体とを備えた錠剤分割装置において、
前記裁断機構が、前記裁断位置に進退することでそこの錠剤を上下に裁断する可動刃と、前記裁断位置の下へ進退することで錠剤の支承保持と落下排出とを行う下部進退部材と、前記裁断位置の上へ進退することでそこの錠剤を押さえる上部進退部材とを具備していることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の錠剤分割装置は(解決手段5)、上記解決手段3,4の錠剤分割装置であって、前記可動刃と対向する固定刃が前記箱体の外板部分に装着されており、前記外板部分が透明になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
このような本発明の錠剤分割装置にあっては(解決手段1)、裁断片排出経路が、縦の貫通穴を横移動させる裁断片排出機構と浅い凹みを上面に形成した錠剤屑回収部材とを組み合わせた簡素な手段で、具現化されている。
そして、錠剤の裁断にて作成された錠剤裁断片は、裁断位置から落下して裁断片排出機構の縦穴に入り、錠剤屑回収部材の上面に当接して落下を止められ、裁断片排出機構の縦穴の中にとどまる。それから、その縦穴が錠剤裁断片の受入位置から排出位置へ円弧状に横移動させられると、その縦穴に随伴して錠剤裁断片も受入位置から排出位置へ移動する。その際、錠剤裁断片は、錠剤屑回収部材の上面を移動して排出位置に到達し、最終的には錠剤屑回収部材の上面から外れて落下排出される。
【0022】
また、錠剤の落下や裁断などで発生した錠剤屑も、裁断位置から落下して裁断片排出機構の縦穴に入り、更に錠剤屑回収部材の上面に落ちるが、錠剤屑は、小さいので、落ちた弾みで一部のものは錠剤屑回収部材の凹みと裁断片排出機構の縦穴との間隙を通り抜けて、錠剤屑回収部材の凹みの中に入り込む。
そして、裁断片排出機構の縦穴とともに錠剤裁断片が受入位置から排出位置へ横移動すると、錠剤屑回収部材の上面に残った錠剤屑については錠剤裁断片に引き摺られる錠剤屑もあれば置き去りにされる錠剤屑もあるが、引き摺られた錠剤屑の多くが、不規則に移動して散るので、やはり間隙を通り抜けて錠剤屑回収部材の凹みの中に入り込む。
そのため、錠剤裁断片が錠剤屑回収部材の上面から外れるときには、多くの錠剤屑が置き去りにされて、凹みの中に収まり続ける。
したがって、この発明によれば、簡素な手段にて錠剤裁断片から錠剤屑を分離除去しうる錠剤分割装置を実現することができ、第1技術課題が解決される。
【0023】
また、本発明の錠剤分割装置にあっては(解決手段2)、錠剤屑回収部材を箱体から引き出して取り出せるようにしたことにより、錠剤屑回収部材の凹みに溜まった錠剤屑を処分する作業が容易かつ迅速に行えることとなる。
【0024】
さらに、本発明の錠剤分割装置にあっては(解決手段3,4)、可動刃にて錠剤を上下に裁断するときに錠剤を裁断位置にとどまらせる手段として、保持下部進退部材を用いて錠剤を下から支承することに加えて、上部進退部材も用いて錠剤の上側も押さえるようにしたことにより、上部進退部材と可動刃と下部進退部材とで上下3点支持の如き錠剤保持が行われることから、可動刃が錠剤に当接したときは勿論のこと切り込むとき更には錠剤が上下に分かれるときまで錠剤の姿勢が安定するので、錠剤の裁断面に発現する乱れが小さく抑えられる。
したがって、この発明によれば、簡素な手段にて錠剤を精度良く分割できて錠剤屑の発生が少ない錠剤分割装置を実現することができ、第2技術課題が解決される。
【0025】
また、本発明の錠剤分割装置にあっては(解決手段5)、可動刃に固定刃を対向させて可動刃だけの構成よりも裁断精度を高めるとともに、箱体の外板部分を透明にしたことにより、裁断機構を含む内部機構の動作状態等を外部から目視することができるが、その透明な外板部分に固定刃を装着したことにより、裁断機構のうち相対的に簡素な部分が目視側に位置するため、内側に隠される部分が少ないので、裁断機構の多くの部分を目視で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施例1について、錠剤分割装置の構造を示し、(a)が正面図、(b)が斜視図である。
【
図2】裁断機構の構造を示し、(a)が正面図、(b)が要部の右側面図、(c)が進退部材の正面図、(d)と(e)が進退部材の変形例に係る正面図である。
【
図3】(a)と(b)と(c)が裁断片排出機構と錠剤屑回収部材の構造を示し、(a)が斜視図、(b)が展開斜視図、(c)が裁断片排出機構と錠剤屑回収部材との間隙を示す縦断面拡大図である。 また、(d)から(f)が、裁断片の排出動作と錠剤屑の回収状況を示す展開斜視図である。
【
図4】裁断機構の動作状態を示し、(a)~(i)が何れも要部の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
このような本発明の錠剤分割装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1~4に示した実施例1は、上述した解決手段1~5(出願当初の請求項1~5)を総て具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,カム機構等の伝動部材の詳細,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。また、それらについて背景技術の欄で述べたことは以下の実施例についても共通するので、重複する再度の説明は簡略にとどめ、以下、従来との相違点を中心に説明する。
【実施例1】
【0028】
本発明の錠剤分割装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1(a)は、錠剤分割装置20と装着先ベース部10との正面図であり、
図1(b)は、錠剤分割装置20の斜視図である。また、
図2(a)は、裁断機構40の正面図であり、
図2(b)は、裁断機構40の要部41~45の右側面図であり、
図2(c)は、進退部材43~45の正面図であり、
図2(d)と(e)は、進退部材43~45の変形例に係る正面図である。さらに、
図3(a)は、裁断片排出機構60と錠剤屑回収部材70の斜視図であり、
図3(b)は、その展開図であり、
図3(c)は、裁断片排出機構60の円板62の下面と錠剤屑回収部材70の上面との間隙Gを示す縦断面図である。
【0029】
この錠剤分割装置20(
図1参照)は、薬剤分包機搭載タイプのうち置換タイプのものであり、薬剤分包機において隣り合っている二つの錠剤フィーダのベース部10,10に搭載されるようになっている(例えば特許文献6参照)。
本例の構成では、ベース部10,10に固定されるが、そのスプライン軸11,11には連結されず、ベース部10,10を介して図示しない電源や制御装置とケーブル接続されて、動作に必要な電力や制御信号を受けるようになっている。
【0030】
先ず全体構成について説明すると、錠剤分割装置20は、錠剤フィーダのカセット二個分の箱体21と、それに装備された錠剤カセット23と錠剤導入機構30と裁断機構40と駆動機構50と裁断片排出機構60と錠剤屑回収部材70とを備えている。
それらのうち駆動機構50の駆動部材51とそれに付設された図示しない駆動回路は(
図1(a)参照)、箱体21の左半分に収められているが、駆動機構50のカム機構52(
図2(b)参照)と、その駆動を受ける従動機構23,30,40,60,70は(
図1参照)、箱体21の右半分に収められている。
【0031】
それらの従動機構23,30,40,60,70がその順で上下に並べて設けられており(
図1参照)、カム機構52が裁断機構40の後方に配置されており(
図2(b)参照)、裁断片排出機構60の円板62の回転中心から回転軸61が上方に伸びており(
図3(a)参照)、その回転軸61の上端部が錠剤カセット23の整列盤24の回転中心に連結されているので(図示せず)、駆動部材51が回転駆動を行うと錠剤カセット23と裁断機構40と裁断片排出機構60とが連動して所定の動作を行うようになっている。
【0032】
各部を詳述すると(
図1参照)、錠剤カセット23は、薬剤分包機の錠剤フィーダ格納庫に多数搭載される通常の錠剤カセットに準じた構造のもので良く、内部の錠剤収容空間に整列盤24が回転可能に収められるとともに、錠剤落下口26の上方に仕切部材25が装着されていて、整列盤24の回転に伴って多数の収容錠剤から錠剤を一つずつ錠剤落下口26へ送り込んで落下させるようになっているが、箱体21の上部に収まるよう小形化されており、特に背が低くなっているので、収容可能な錠剤の個数は少なくなっている。
【0033】
最上位置の蓋23aは、揺動式の薄板状体を例示したが(
図1(b)参照)、蓋23aは、浅いキャップ状のものでも良く、着脱式のものであっても良い。
また、図示は割愛したが、整列盤24の周縁部に形成された錠剤区分用の縦溝(区画室)は、錠剤裁断タイミングや錠剤裁断片排出タイミングと同期を取りやすいよう、二つほど形成されている。やはり図示は割愛したが、錠剤落下口26が一つだけなのに対し、仕切部材25は、縦溝の詰まり防止等のため、縦溝と同数個が配設されている。
【0034】
錠剤導入機構30は、上端が上述の錠剤落下口26の下端の所かその直下に位置し下端が裁断機構40の上端の所かその直上に位置した錠剤落下案内路31を主体としたものであり、専用部材で構成されていても他の部材の兼用等で構成されていても良く、要するに、重力による錠剤4の落下を利用することで、上述した上方の錠剤落下口26から落下して来た錠剤を受け入れて後述する下方の裁断位置41へ導くようになっていれば良い。
【0035】
裁断機構40は(
図1,
図2参照)、裁断位置41の錠剤4を上下に裁断するためのものであり、固定刃42と可動刃43と下部進退部材44と上部進退部材45とを具備しており、可動刃43と下部進退部材44と上部進退部材45とが駆動機構50のカム機構52によって駆動されて前進や後退を行うようになっている(
図2(b)参照)。
可動刃43は(
図2(a)~(c)参照)、横長の刃先を前方に向けて裁断位置41の後方に配置されており、駆動されると刃先を前方の裁断位置41の中段に進退させることで、裁断位置41の錠剤4を上下に裁断するようになっている。
【0036】
固定刃42は(
図2(a)~(c)参照)、箱体21の外板部分22に固定して取り付けられて、横長の刃先を後方に向けて裁断位置41の直前に位置しており、上述の可動刃43に対して刃先同士を対向させている。
下部進退部材44は(
図2(a)~(c)参照)、横長の受板部を前方に向けて裁断位置41の後方に配置されており、前進駆動されると受板部を前方の裁断位置41の直下に進出させることで、錠剤4を支承して裁断位置41に保持し、後退駆動されると受板部を裁断位置41の直下から退かせることで、錠剤4やその錠剤裁断片5を落下させて排出するようになっている。
【0037】
上部進退部材45は(
図2(a)~(c)参照)、少し短めだがやはり横長の押板部を前方に向けて裁断位置41の後方に配置されており、前進駆動されると押板部を前方の裁断位置41の直上に進出させることで、錠剤4の浮き上がりを抑制して裁断位置41に錠剤4を安定維持し、後退駆動されると押板部を裁断位置41の直上から退かせることで、次の錠剤4が裁断位置41へ落下するのを可能にするようになっている。上部進退部材45とカム機構52との間にバネ等の弾性部材が介装されていることから、前進時に錠剤4の上端部に当接した場合は当接位置にとどまるので、裁断位置41で錠剤4の姿勢が多少乱れていたとしても、錠剤4を傷めることなく安定させるようになっている。
【0038】
このような部材42~45を具備した裁断機構40は、直に固定された刃42だけでなく、他の可動部材43~45も、図示しない支持部材等を介して間接的に、箱体21のうち裁断機構40の前方に位置する外板部分22に装着されている。
そのため、保守作業時など必要なときには、外板部分22を箱体21から外すと、それと一緒に裁断機構40も箱体21から取り外されるようになっている。
また、箱体21は、少なくとも外板部分22のうち裁断位置41に係る部分が、大抵は外板部分22や他の外板部分も、例えば硬質アクリル等の透明な部材からなり、錠剤裁断状況が外から目視できるようになっている。
【0039】
なお、上部進退部材45の前端に位置する作用部は、上述した横長の押板が作りやすく而も丈夫であるが(
図2(c)参照)、錠剤4を優しく押さえても転がらないよう複数の線状部材を弧状に配設したものでも良い(
図2(d)参照)。
また、可動刃43は、その左右に立つ側壁43aを形成しておく等のことで(
図2(e)参照)、錠剤4を切断してできた上下の錠剤裁断片5のうち上のものが左右に位置ずれするのを容易かつ的確に防止することができる。
【0040】
駆動機構50は、電動モータや減速ギヤなどからなる駆動部材51と(
図1(a)参照)、駆動部材51に駆動されると所定の順序で裁断機構40の可動刃43と下部進退部材44と上部進退部材45とを進退させるカム機構52とを具備しており(
図2(b)参照)、そのうち少なくともカム機構52は、裁断機構40の駆動を行うために、裁断機構40の横であって後方に当たる所に設けられている。進退駆動をカム機構などで具現化することは既に行われているので(例えば特許文献1,4参照)、詳細な図示は割愛して一ブロックで示した。また、図示は割愛したが、上述した回転軸61の軸回転駆動も、駆動部材51によって行われ、それら52,61が同期して動作するようになっている。
【0041】
裁断片排出機構60は(
図1,
図3(a)~(c)参照)、整列盤24の回転駆動に関連して上述した回転軸61及び円板62と、それらを下から保持する支持部材66とを具備している。支持部材66の底板の中央には回転軸61の下端部を軸回転可能に支持する穴が形成されており(特に
図3(b)参照)、支持部材66の底板のうち後方部分には、錠剤裁断片5を通過させる錠剤裁断片排出口67が形成されている。円板62には四つの縦穴63が貫通形成されており、回転軸61の軸回転に従って円板62が90゜回転する度に四つの縦穴63が順送りで位置を替えるようになっている。
そして、前に来た縦穴63は錠剤裁断片受入位置64に位置し、後方へ行った縦穴63は錠剤裁断片排出位置65に位置するようになっている。その錠剤裁断片排出位置65の下方には支持部材66の錠剤裁断片排出口67が位置している。
【0042】
縦穴63は、何れも、錠剤裁断片5を通過させるのに十分なだけ大きいものであり、裁断機構40から錠剤裁断片受入位置64に落下して来た錠剤裁断片5が、そこに来ていた縦穴63に入り込むようになっている。
錠剤裁断片排出位置65以外の縦穴63は、次に詳述する錠剤屑回収部材70が下に接近していて錠剤裁断片5の更なる落下が止められることから、錠剤裁断片5を穴の中にとどめるので、円板62が回転軸61の駆動によって回転すると、それに伴って弧状の横移動を行い、中の錠剤裁断片5を錠剤裁断片排出位置65へ送るようになっている。
【0043】
錠剤屑回収部材70は(
図1,
図3(a),(b)参照)、裁断片排出機構60の円板62と支持部材66との間に差し込める板状体からなり、使用時には箱体21の前面開口から押し込んで裁断片排出機構60に挿着することができ(
図1(a),
図3(a)参照)、清掃時などには箱体21から引き出して取り出すことができるようになっている(
図1(b)参照)。錠剤屑回収部材70には(
図1(b),
図3(b)参照)、中心とその後方を除く中央部の上面に浅い凹み71が形成されており、外縁部にも浅い凹み72が形成されており、後部に後端から中央に至る切欠73が形成されている。
【0044】
そして、錠剤屑回収部材70を箱体21に差し込むと(
図3(a),(b)参照)、切欠73の幅が回転軸61の直径より広いので、錠剤屑回収部材70は回転軸61と干渉することなく箱体21に収まり、錠剤屑回収部材70の凹み71,72も切欠73も裁断片排出機構60の円板62と支持部材66との間に収まるようになっている。
しかも、その状態では、錠剤裁断片排出位置65の縦穴63と錠剤屑回収部材70の切欠73と支持部材66の錠剤裁断片排出口67とが縦一列に並ぶようにもなっている。
【0045】
さらに、その状態では(
図3(a),(b)参照)、錠剤裁断片排出位置65の縦穴63を除いた他の縦穴63,63,63は、錠剤屑回収部材70の上面の上方に位置しており、凹み71,72の上方からは基本的に外れており最接近時でも僅かしか上方に来ることがない。具体的には(
図3(c)参照)、円板62の下面と錠剤屑回収部材70の上面との間に小さな間隙Gを確保することで簡便かつ確実に、錠剤屑は通すが錠剤裁断片は通さない間隙Gが凹み71,72と縦穴63との間に確保されるようになっている。
【0046】
この実施例1の錠剤分割装置20について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。
図4は、裁断機構40の動作状態を示し、(a)~(i)が何れも要部41~45の右側面図である。
また、
図3(d)~(f)は、裁断片排出機構60と錠剤屑回収部材70とに係る展開斜視図であり、錠剤裁断片5の排出動作と錠剤屑6の回収状況を示している。
【0047】
本例の錠剤分割装置20を薬剤分包機に搭載して使用するときは(
図1(a)参照)、錠剤分割装置20が薬剤分包機搭載タイプのうちの置換タイプになっているので、錠剤フィーダ格納庫の中で隣り合っている二個のベース部10,10を一個の錠剤分割装置20用に確保しておき、そこに錠剤分割装置20を載置するとともに(
図1(a)参照)、ベース部10を利用して駆動機構50に給電線や信号線を接続する。
その際、候補となる隣接ベース部が庫内にしかない場合は、そこから錠剤分割装置20の載置先を選出する(例えば特許文献6参照)。
【0048】
これに対し、候補となる隣接ベース部が庫部の前面など目視し易いところにも在る場合は(例えば特開2016-73518号公報,特開2018-196709号公報,特開2019-118657号公報を参照)、そこを優先して錠剤分割装置20の載置先を選出する。前面から選出できない場合は、次善の策として、開閉などで比較的容易に錠剤フィーダを露出させることができるところから錠剤分割装置20の載置先を選出する。
錠剤分割装置20が薬剤分包機の前面に搭載されれば、外板部分22等を透かして錠剤裁断状況などの動作状態を何時でも目視で確認することができる。
【0049】
錠剤分割装置20は、庫内であれ庫部前面であれ、薬剤分包機に搭載されると、薬剤分包機の制御装置の指示に従って動作する状態になる。さらに、蓋23aを開け閉めして錠剤カセット23に分割対象の錠剤4を適宜個数投入すると、錠剤分割の準備が調う。
そして、制御装置から錠剤分割装置20に対して錠剤裁断片5の排出指示か排出準備指示が出されると、錠剤分割装置20では、当初は裁断位置41が空いておりその底も開いているので(
図4(a)参照)、先ず下部進退部材44が前進して裁断位置41の底が閉じられて(
図4(b)参照)、裁断位置41に錠剤4を受け入れる態勢が調う。
【0050】
また、錠剤カセット23では、整列盤24が回転して、仕切部材25で仕切られた一つの錠剤4が錠剤落下口26から落下し更に錠剤落下案内路31を落下して裁断位置41に達すると下部進退部材44によってそこに止め置かれる(
図1(a),
図2(a),
図4(c)参照)。
それから、可動刃43と上部進退部材45とが前進して上部進退部材45が錠剤4の上端部を押さえると同時か僅かに遅れて可動刃43が錠剤4に当接し(
図4(d)参照)、錠剤4が固定刃42と可動刃43とによって横から強く挟まれるとともに上部進退部材45と下部進退部材44とによって軽く上下を抑えられる(
図4(e)参照)。
【0051】
更に可動刃43が前進すると可動刃43の刃先が錠剤裁断片5に食い込み(
図4(f)参照)、それから更に可動刃43が前進する一方で下部進退部材44が後退すると(
図4(g)参照)、錠剤4が裁断されて上下の錠剤裁断片5,5に分かれ、上の錠剤裁断片5は可動刃43の上に留まるが、下の錠剤裁断片5は先に落下する。
また、その落下タイミングに合わせて、回転軸61によって整列盤24と共に回転していた円板62の縦穴63の一つが錠剤裁断片受入位置64に横移動して来るので(
図3(d)参照)、先に落下した錠剤裁断片5は錠剤裁断片受入位置64の縦穴63に入る。
【0052】
そして、その錠剤裁断片5は、縦穴63の中を通って最下部が錠剤屑回収部材70の上面に達したところで止まる(
図3(e)参照、なお、同図において錠剤裁断片受入位置64の縦穴63と錠剤屑回収部材70の上面の前寄り部分とに記載された錠剤裁断片5は、その実体が一個のものであるが、部材の展開に伴って重複図示されている)。
錠剤裁断片5の裁断等にて生じた錠剤屑6も、多くが同様にして錠剤屑回収部材70の上面に落下するが、錠剤屑6は小さくて錠剤裁断片5の周りに散らばりやすいので、一部の錠剤屑6は、直ちに、錠剤屑回収部材70の上面から間隙Gを通って(
図3(c)参照)、凹み71,72に入り込む。
【0053】
それから、錠剤裁断片5は円板62の回転に伴って引きずられるようにして錠剤屑回収部材70の上面を擦りながら弧状に移動する。そうすると、錠剤屑回収部材70の上面に残った錠剤屑6は、錠剤裁断片5によって少し引きずられるものもあるが、多くが
錠剤裁断片5によって散らされるので、錠剤屑回収部材70の上面から間隙Gを通って(
図3(c)参照)、凹み71,72に入り込むものが現れる。一度や少数回の散らしでは凹み71,72に入らないで錠剤屑回収部材70の上面に残った錠剤屑6も、後続の錠剤裁断片5によって散らされて、いずれは大半が凹み71,72に入り込む。
【0054】
そのようにして錠剤裁断片5が錠剤裁断片受入位置64から離れた頃には、裁断機構40の可動刃43と上部進退部材45も後退するので(
図4(h)参照)、裁断位置41に残っていた上の錠剤裁断片5が裁断位置41から落下して(
図4(i)参照)、裁断機構40が初期状態に復帰する(
図4(a)参照)。
また、上述した下の錠剤裁断片5の落下のときと同様なので簡潔に述べるが、上の錠剤裁断片5の落下タイミングに合わせて、隣の縦穴63が錠剤裁断片受入位置64に横移動し、そこへ、後から落下した錠剤裁断片5が入る。
【0055】
そして、その錠剤裁断片5も、縦穴63にとどまりつつ錠剤屑回収部材70の上面に達し、その錠剤裁断片5と共に落下した錠剤屑6も錠剤屑回収部材70の上面に達するが、錠剤屑6は、散らばって、一部が凹み71,72の中に収まる。
制御装置からの指示が排出指示の場合は錠剤分割装置20が引き続き作動するが、制御装置からの指示が排出準備指示の場合は、この状態で錠剤分割装置20が一旦動作を停止し、排出指示を待って動作を再開する。
そして、継続であれ再開であれ以後も、上述したのと同様の動作が繰り返されて、次の錠剤4に対する錠剤落下と錠剤裁断と錠剤裁断片5の落下および横移動とが行われる。
【0056】
もっとも、以後の状態では、最初に縦穴63に入った錠剤裁断片5が、錠剤裁断片受入位置64から錠剤裁断片排出位置65への途中にとどまっており、次に縦穴63に入った錠剤裁断片5が錠剤裁断片受入位置64にとどまっているので、次の錠剤4を裁断して出来た下の錠剤裁断片5が横移動されるときに、錠剤裁断片受入位置64に在った錠剤裁断片5は錠剤裁断片受入位置64から錠剤裁断片排出位置65への途中位置へ横移動させられ、錠剤裁断片受入位置64から錠剤裁断片排出位置65への途中にとどまっていた錠剤裁断片5は、錠剤裁断片排出位置65へ横移動させられる(
図3(f)参照、なお同図において錠剤裁断片排出位置65と切欠73と錠剤裁断片排出口67との三箇所に記載された錠剤裁断片5の実体は一個であり、途中位置の縦穴63と凹み71の左側部分とに記載された錠剤裁断片5も実体は一個であり、何れも部材の展開に伴う重複図示である)。
【0057】
そして、途中位置から錠剤裁断片排出位置65へ横移動した錠剤裁断片5は、横移動の最後に切欠73に到達するので、そこから落下して錠剤裁断片排出口67を通過し、錠剤分割装置20から排出され、搭載先の薬剤分包機の分包に供される。
こうして、錠剤分割装置20は、排出指示を受ける度に円板62と整列盤24とを90゜回転させて一個の錠剤裁断片5を排出し、排出指示の一つ置きに整列盤24が180゜回転したときには錠剤4を裁断位置41へ送り込んで上下の錠剤裁断片5,5に分割することも行うので、指示された時期に一つずつ錠剤裁断片5を供給することができる。しかも、先の錠剤裁断片5の供給時には錠剤屑回収部材70の上面に残っていた錠剤屑6まで、殆どの錠剤屑6が、後続の錠剤裁断片5の供給時には凹み71,72に収められる。
【0058】
また、そのような動作中に或いは動作停止時に、箱体21の透明な外板部分22から内部を覗いて裁断機構40の状態を目視し、異常の有無を調べて、異常があれば外板部分22と共に裁断機構40を箱体21から取り出して、修理や交換など適切な処置を施す。
このように目視で簡便に錠剤裁断状況を確認することが可能なので、錠剤分割装置20は、裁断機構40の不具合をいち早く発見することができて、錠剤裁断を良好な状態に維持するのが無理なく行えるものとなっている。
【0059】
更に、錠剤分割装置20が動作を停止している適宜な時期に、錠剤屑回収部材70を箱体21から引き出すと(
図1(b)参照)、凹み71における錠剤屑6の溜まり具合が目視で確認できるので(
図3(f)参照)、汚れているときには凹み71等を綺麗に清掃してから、錠剤屑回収部材70を箱体21の中に戻す(
図1(a),
図3(a)参照)。
このような錠剤屑回収部材70によって錠剤屑6が能率よく捕集されるので、錠剤分割装置20は、その最下段の錠剤裁断片検出用センサやそれより下の錠剤収集機構などに付着する粉塵まで少なくなるという効果をも奏するものとなっている。
【0060】
[その他]
上記の実施例では薬剤分包機搭載タイプのうち置換タイプの錠剤分割装置を示したが、本発明の錠剤分割装置は、薬剤分包機搭載タイプのうち付加タイプで具現化しても良く、独立タイプのものとして具現化しても良い(例えば特許文献1~6参照)。
上記の実施例では錠剤カセット23が錠剤分割装置20の箱体21に固定状態で組み込まれていたが、錠剤カセット23は錠剤分割装置20と別体にして錠剤分割装置20の箱体21に着脱されるようにしても良い(例えば特許文献6参照)。
【0061】
上記実施例では、駆動部材51に係る給電ケーブルを錠剤フィーダのベース部10の給電部に対して直接的に接続したが、間接的に接続しても良い。例えば、薬剤分包機の内部で電源等とベース部10との間に予め敷設されているケーブルに未使用の電線が有ればそれを流用したりケーブルの追加や交換にて電線を増やしたりして薬剤分包機の電源等と錠剤分割装置20搭載予定のベース部10との間で使用可能電線の接続を予め確立しておき、更に各使用可能電線の端子をベース部10の上端部に配しておくとともに、駆動部材51に係る電線の端子を箱体21の下端部に配しておく等のことにより、錠剤分割装置20の隣接ベース部10,10への搭載に随伴して駆動部材51までも動作可能になる。
【0062】
上記実施例では、裁断機構40の進退部材44,45に加えて、整列盤24も、裁断片排出機構60の回転軸61及び円板62も、駆動機構50によって駆動されるようになっており、ベース部10のスプライン軸11には連結されず、スプライン軸11による駆動は行われないようになっていたが、駆動力が相対的に小さくて済む整列盤24と回転軸61と円板62とについては、そのうち任意のものをスプライン軸11にて駆動するようになっていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の錠剤分割装置は、上述したように錠剤フィーダのベース部に載置する態様で錠剤分包機等の自動調剤機に組み込んで使用することができるが(例えば特許文献6参照)、その他、単体の錠剤フィーダから下方へ延びた錠剤落下経路や,複数の錠剤フィーダの錠剤落下経路が下方で合流した後の錠剤収集経路に,錠剤導入機構を連結して使用することもできる(例えば特許文献1参照)。さらには、スタンドアローンで使用することもできる(例えば特許文献2~5参照)。
【符号の説明】
【0064】
4…錠剤、5…錠剤裁断片、6…錠剤屑、
10…ベース部(錠剤フィーダ)、11…スプライン軸、
20…錠剤分割装置、
21…箱体、22…外板部分、23…錠剤カセット(錠剤フィーダ)、
23a…蓋、24…整列盤、25…仕切部材、26…錠剤落下口、
30…錠剤導入機構、31…錠剤落下案内路、
40…裁断機構、
41…裁断位置、42…固定刃、43…可動刃、
43a…側壁、44…下部進退部材、45…上部進退部材、
50…駆動機構、
51…駆動部材、52…カム機構、
60…裁断片排出機構、
61…回転軸、62…円板、63…縦穴、64…錠剤裁断片受入位置、
65…錠剤裁断片排出位置、66…支持部材、67…錠剤裁断片排出口、
70…錠剤屑回収部材、71…凹み、72…凹み、73…切欠、G…間隙