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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】粉粒体供給装置及び粉粒体供給方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/46 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
B65G65/46 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022535001
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2021023572
(87)【国際公開番号】W WO2022009662
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2020118602
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168550
【弁理士】
【氏名又は名称】友廣 真一
(72)【発明者】
【氏名】溝口 善己
(72)【発明者】
【氏名】増田 洋大
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-027813(JP,A)
【文献】特開2018-070340(JP,A)
【文献】特開平01-287794(JP,A)
【文献】特開昭62-174617(JP,A)
【文献】特開平02-106522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送路を通じて粉粒体を横方向に移送する移送手段と、前記移送路の下流端から移送方向に延び出し且つ前記移送路からの粉粒体を受けて落下させる受け部材とを備えた粉粒体供給装置であって、
前記受け部材を振動させる振動手段と、前記移送手段及び前記振動手段について稼働及び停止を切り替え可能な制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記移送手段を稼働させた後、前記移送手段を停止させた状態で前記振動手段を稼働させるように構成されることを特徴とする粉粒体供給装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記移送手段の稼働によって粉粒体を前記受け部材から落下させた量が予め設定された設定量に達した場合に、前記移送手段を停止させた状態で前記振動手段を稼働させるように構成される請求項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項3】
前記移送路の下流側端部における粉粒体の移送面と、前記受け部材における粉粒体の受け面とは、それら両面の少なくとも下方部が同一形状をなす請求項1又は2に記載の粉粒体供給装置。
【請求項4】
前記受け部材は、板状体であり且つ移送方向と直交する断面がU字状をなす請求項1~の何れかに記載の粉粒体供給装置。
【請求項5】
前記受け部材の厚みは、前記移送路を形成する移送路形成壁及び前記移送路の下流端に連通する供給路を形成する供給路形成壁の厚みよりも薄い請求項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項6】
前記受け部材は、移送方向に沿う長さが異なる他の受け部材と取り換え可能に構成されている請求項1~の何れかに記載の粉粒体供給装置。
【請求項7】
前記振動手段は、前記移送路の下流端に連通する供給路を形成する供給路形成壁の外面に取り付けられている請求項1~の何れかに記載の粉粒体供給装置
【請求項8】
移送手段の移送路を通じて粉粒体を横方向に移送する移送工程と、前記移送路の下流端から移送方向に延び出した受け部材が前記移送路からの粉粒体を受けて落下させる受け落下工程と、を備えた粉粒体供給方法であって、
前記受け部材を振動させる振動工程を備えると共に、前記受け落下工程では、前記移送工程で粉粒体を横方向に移送する動作が完了した場合に、前記振動工程を実行することを特徴とする粉粒体供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移送手段を用いて粉粒体を横方向に移送した後、その粉粒体を落下させるようにした粉粒体供給装置及び粉粒体供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体供給の分野では、サイロ等の容器に貯留されている原料等としての粉粒体を、移送路を通じて横方向に移送した後に落下させる手法が公知となっている。ここで、粉粒体を横方向に移送するための移送手段としては、スクリューフィーダが多くの場合に用いられている。
【0003】
この種の粉粒体供給手法では、移送路から落下させる粉粒体の全落下量(移送工程を一回行った場合の全落下量)を一定量(目標量)にすることが要求される。しかるに、従来においては、スクリュー等が停止して粉粒体を目標量だけ移送する動作が完了した後に、移送路から余分な粉粒体が流出し落下してしまい、その落下分だけ全落下量が目標量を超えてしまうという問題が生じていた。
【0004】
このような問題に対処するため、例えば特許文献1には、移送路の下流端から移送方向に延び出した位置に、板状体からなる受け部を設けた粉粒体供給装置が開示されている。この装置によれば、粉粒体を横方向に移送する動作が完了した後に移送路から余分な粉粒体が流出した場合には、この流出した粉流体が受け部によって受け止められることで、余分な粉粒体の落下が阻止されるようになっている。
【0005】
また、上記の受け部は、その延び出し側端部から反延び出し側に向かうスリット(開口部)を有している。この構成に伴って、同文献に開示の装置では、受け部の延び出し側端部を越えて多量の粉粒体を落下させた後、受け部のスリットのみから微量の粉粒体を落下させていく。そして、粉粒体の全落下量が目標量に一致したことを検出した時点で、粉粒体を横方向に移送する動作を停止させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-70340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の装置のように受け部(受け部材)を設ける構成としても、未だ解決すべき問題がある。すなわち、同文献に開示の装置は、受け部材の延び出し側端部を越えて粉粒体を落下させる場合、及び受け部材のスリットのみから粉粒体を落下させる場合の何れもが、スクリューフィーダ等による粉粒体の移送に基づいて行われる。
【0008】
この場合、スクリューフィーダ等による粉流体の移送を停止しても、受け部材からの粉粒体の落下は即座に停止することなく、暫く落下し続けた後で停止する。その際、落下し続ける時間や速度(時間あたりに粉粒体が落下する量)は、一定でなくバラツキがある。そのため、粉粒体の全落下量を目標量に一致させる際の精度の低下を招く。
【0009】
以上の観点から、本発明は、装置の停止後における受け部材からの粉粒体の落下を抑制して、全落下量を目標量に一致させる際の精度を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために創案された本発明の第一の側面は、移送路を通じて粉粒体を横方向に移送する移送手段と、前記移送路の下流端から移送方向に延び出し且つ前記移送路からの粉粒体を受けて落下させる受け部材とを備えた粉粒体供給装置であって、前記受け部材を振動させる振動手段を備えることに特徴づけられる。ここでの移送手段の代表例としては、スクリューフィーダが挙げられる。
【0011】
このような構成によれば、移送手段を稼働させる時は、粉粒体を横方向に押し出す動作が行われるため、受け部材から多量の粉粒体を落下させる場合に好都合になる。一方、移送手段を停止させた状態で振動手段を稼働させる時は、粉粒体を横方向に押し出す動作が行われないため、受け部材の振動によって少量の粉粒体を落下させることができる。この場合、受け部材の振動を停止すれば、受け部材からの粉粒体の落下が即座に停止するので、装置の停止後における受け部材からの粉粒体の落下を抑制できる。したがって、この両者を適正に切り替えれば、粉粒体を効率良く高精度で落下させることが可能になり、粉粒体の全落下量を目標量に一致させる際の精度の向上に寄与できる。また、移送手段による粉粒体の移送速度の煩わしい制御が不要になる。
【0012】
この装置は、前記移送手段及び前記振動手段について稼働及び停止を切り替え可能な制御手段を備え、前記制御手段は、前記移送手段を稼働させた後、前記移送手段を停止させた状態で前記振動手段を稼働させるように構成されてもよい。
【0013】
このようにすれば、制御手段の動作により、移送手段を稼働させた後で、移送手段を停止させた状態で振動手段を稼働させるので、粉粒体を効率良く高精度で落下させることが簡単かつ確実に可能になる。
【0014】
この装置において、前記制御手段は、前記移送手段の稼働によって粉粒体を前記受け部材から落下させた量が予め設定された設定量に達した場合に、前記移送手段を停止させた状態で前記振動手段を稼働させるように構成されてもよい。
【0015】
このようにすれば、粉粒体の落下量が設定量に達するまでは、移送手段の稼働により多量の粉粒体を受け部材から落下させる態様にしておく。この場合の設定量は、例えば、全落下量の目標量の50~95%であることが好ましく、70~90%であることがより好ましい。そして、粉粒体の落下量が設定量に達した場合には、移送手段を停止させた状態での振動手段の稼働によって、残りの少量(微量)の粉粒体を振動している受け部材からバラツキなく正確に落下させることができる。これにより、粉粒体をさらに効率よく落下させることができる。
【0016】
以上の構成において、前記移送路の下流側端部における粉粒体の移送面と、前記受け部材における粉粒体の受け面とは、それら両面の少なくとも下方部が同一形状をなすようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、移送路の下流側端部の移送面と受け部材の受け面との間に、粉粒体の移送の抵抗になる段差などが形成され難くなる。これにより、段差などの形成によって粉粒体の停滞や圧縮による固化を招いたり、これに起因して移送手段や受け部材の損傷を招いたり等の不具合が回避される。
【0018】
以上の構成において、前記受け部材は、板状体であり且つ移送方向と直交する断面がU字状をなすようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、受け部材の底部が下方に向かって凸となる湾曲した形状をなすため、この形状に起因して粉粒体を落下させる際の円滑性及び迅速性等が促進される。詳述すると、受け部材の底部に屈曲部が形成されていると、その屈曲部で粉粒体が停滞して固化する等の弊害が生じ得る。ここでの構成によれば、受け部材が屈曲部を有していないため、そのような弊害の発生が回避される。また、受け部材は板状体であるため、簡単な曲げ加工により容易に製作できる。
【0020】
この構成において、前記受け部材の厚みを、前記移送路を形成する移送路形成壁及び前記移送路の下流端に連通する供給路を形成する供給路形成壁の厚みよりも薄くしてもよい。
【0021】
このようにすれば、受け部材は、移送路形成壁及び供給路形成壁よりも振動し易くなる。したがって、振動手段によって受け部材に十分な振動が付与され、粉粒体の流動性を良くすることができる。
【0022】
以上の方法において、前記受け部材は、移送方向に沿う長さが異なる他の受け部材と取り換え可能に構成されていてもよい。
【0023】
このようにすれば、粉粒体に関する種々の変更に対して適切に対処可能となる。例えば、粉粒体を粒度分布や材質等の特性が異なる他の粉粒体に変えた場合には、受け部材の上方における粉粒体の安息角が変わる。このように安息角が変わった場合には、安息角に応じて受け部材の移送方向に沿う長さを変えることで、単位時間当たりの粉粒体の落下量を適正な量に維持することができる。したがって、ここでの構成によれば、受け部材の取り換えによって安息角の変更などに適切に対処可能となる。
【0024】
以上の構成において、前記振動手段は、前記移送路の下流端に連通する供給路を形成する供給路形成壁の外面に取り付けられていてもよい。
【0025】
このようにすれば、受け部材に適切に振動を付与することが可能となる。詳述すると、移送路形成壁は、スクリュー等の駆動機構を保持したり、内部に充満する粉粒体の圧力を受けたりするため、堅固に製作されているが、供給路形成壁は、これと比較して堅固でなくてもよい。そのため、振動手段を供給路形成壁に取り付けた方が、移送路形成壁に取り付けるよりも、受け部材が振動し易くなる。また、振動手段が移送路形成壁の外面に取り付けられているため、その保守点検等を外部から容易に行うことができ、作業性が良くなる。さらに、振動手段に粉粒体が接触しなくなるため、振動手段の損傷や故障を未然に防止できる。
【0026】
上記課題を解決するために創案された本発明の第二の側面は、移送手段の移送路を通じて粉粒体を横方向に移送する移送工程と、前記移送路の下流端から移送方向に延び出した受け部材が前記移送路からの粉粒体を受けて落下させる受け落下工程と、を備えた粉粒体供給方法であって、前記受け部材を振動させる振動工程を備えると共に、前記受け落下工程では、前記移送工程で粉粒体を横方向に移送する動作が完了した場合に、前記振動工程を実行することに特徴づけられる。
【0027】
このような方法によれば、受け落下工程では、先ず移送手段によって多量の粉粒体を落下させる動作を完了させ、完了した場合に振動工程の実行によって受け部材を振動させることで、既述の場合と同様の理由により、残りの少量(微量)の粉粒体を落下させることができる。また、受け部材の振動を停止させた場合には、粉粒体の落下を瞬時に停止させることができ、装置の停止後における受け部からの粉粒体の落下を抑制することができる。これにより、粉粒体の全落下量が目標量に一致した時点で即座に粉粒体の落下を停止させることができる。その結果、粉粒体を受け部材から短時間で精度良く落下させることが可能になる。また、既述の場合と同様の理由により、移送手段による粉粒体の移送速度の煩わしい制御が不要になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、装置の停止後における受け部材からの粉粒体の落下を抑制することができ、全落下量を目標量に一致させる際の精度が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態に係る粉粒体供給装置の全体構成を示す縦断側面である。
図2図1のX-X線にしたがって切断した縦断背面図である。
図3図1のY-Y線にしたがって切断した縦断背面図である。
図4】本発明の実施形態に係る粉粒体供給装置の要部構成を示す拡大縦断側面である。
図5】本発明の実施形態に係る粉粒体供給装置の構成要素である受け部材を示す単体斜視図である。
図6図1のZ-Z線にしたがって切断した縦断背面図である。
図7】本発明の実施形態に係る粉粒体供給装置の作用を示す要部縦断側面図である。
図8】本発明の実施形態に係る粉粒体供給装置の作用を示す要部縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る粉粒体供給装置及び粉粒体供給方法について添付図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、粉粒体供給装置1の全体構成を示す縦断側面図である。同図に示すように、粉粒体供給装置1は、貯留容器2と、貯留容器2の下部に配備された移送手段3と、移送手段3の下流側に配置された受け部材4と、受け部材4上から粉粒体を落下供給する落下供給部5とを備える。
【0032】
貯留容器2は、サイロからなる。サイロ2は、内部空間にガラス原料に代表される粉粒体Pを貯留するものである。サイロ2の内部空間には、歯車などの攪拌機構(図示略)を配備することが好ましい。粉粒体Pがガラス原料である場合、粉粒体供給装置1で各処理を受けた後のガラス原料に対して次に示すような処理が施される。すなわち、ガラス原料は、例えば溶融炉内で加熱して溶融されることで、無アルカリガラスやアルミノシリケートガラスの溶融ガラスとなる。得られた溶融ガラスは、オーバーフローダウンドロー法やフロート法で板ガラスに成形される。このような板ガラスは、各種ディスプレイや有機EL照明等において、基板又はカバーとして用いられる。アルミノシリケートガラスの板ガラスである場合、必要に応じて化学強化処理が施される。
【0033】
移送手段3は、スクリューフィーダからなる。スクリューフィーダ3は、サイロ2に貯留されている粉粒体Pを横方向(好ましくは水平方向)に移送する移送路6と、移送路6の内部に配備されたスクリュー7とを備える。スクリュー7は、矢印A方向への回転動作によって、粉粒体Pを矢印B方向に向かって移送する。スクリュー7の軸部材7aは、移送路6の上流端から外方に延び出し、駆動源としてのモータ8から回転駆動力を付与される。
【0034】
移送路6を形成する移送路形成壁9は、本体部9aである本体壁と、その上方を覆う蓋9bである蓋壁とからなる。蓋9bは、本体部9aから取り外しが可能である。この実施形態では、移送路形成壁9の下流側端部と、この下流側端部よりも上流側の部位とで形状が相違している。図2は、図1のX-X線断面図、つまり移送路形成壁9の下流側端部の断面図である。同図に示すように、この下流側端部では、本体壁9aaがU字状をなし、蓋壁9baが平板状をなしている。図3は、図1のY-Y線断面図、つまり移送路形成壁9の下流側端部よりも上流側の部位の断面図である。同図に示すように、この部位では、本体壁9abが円弧における優弧をなし、蓋壁9bbが円弧における劣弧をなしている。これに伴って、移送路6における粉粒体Pの移送面6aは、下流側端部でU字状をなし(図2参照)、下流側端部よりも上流側の部位で円弧における優弧をなしている(図3参照)。なお、蓋9bは、落下供給部5の上部まで移送方向に延び出している。
【0035】
受け部材4は、図4に示すように、移送路6の下流端6xから移送方向(矢印B方向)に延び出した位置に配設されている。この受け部材4は、移送路6からの粉粒体Pを受けて落下させる役割を果たす。この受け部材4は、金属板(例えば鋼板)で構成できる。
【0036】
図5に示すように、受け部材4は、板状体であって、移送方向と直交する断面において、本体4aがU字状をなしている。この本体4aの上端の両側にはそれぞれ、互いに離反する方向に延びる座部4bが形成されている。この受け部材4の受け面4cと、移送路6の下流側端部における移送面6aとは同一形状をなしている(図6参照)。
【0037】
落下供給部5は、図1に示すように、移送路6の下流端6xに連通する供給路10を有する。供給路10は、上下方向に沿う流路を有している。供給路10を形成する供給路形成壁11は、上下方向に沿う縦壁11aと、既述の蓋9bの延び出し部である蓋壁9bcとで構成される。縦壁11aは、移送路形成壁9の本体壁9aと一体化されている。
【0038】
図6は、図1のZ-Z線断面図である。同図に示すように、受け部材4の座部4bは、縦壁11aの上端と蓋壁9bcの下面との間に抜き差し可能に差し込まれ、この差し込みのみによって受け部材4が支持されている。受け部材4の厚みは、移送路形成壁9及び供給路形成壁11の厚みよりも薄い。具体的には、前者4の厚みは、後者9、11の厚みの1/2以下、好ましくは1/5以下とされている。図例では、受け部材4の受け面4cと、移送路6の移送面6aとは、段差なく移送方向に連なっている。なお、受け部材4の受け面4cの底部は、移送路6の移送面6aの底部よりも、3mm以下(好ましくは2mm以下)の範囲内で下方に位置していてもよい。また、受け部材4の受け面4cの両側部も、移送路6の移送面6aの両側部よりも、3mm以下(好ましくは2mm以下)の範囲内で両側外方に位置していてもよい。
【0039】
ここで、図4に示すように、受け部材4の延び出し側端部4dと、これに対向する供給路10の対向面10aとの間には、粉粒体Pを落下させるための排出路12が形成されている。平面視での排出路12の通路面積は、平面視での供給路10の通路面積の10~70%、好ましくは30~50%とされている。受け部材4は、移送方向に沿う長さLが異なる複数個が準備されている。そして、これら複数個の受け部材4は、取り換えることができる。この取り換え時には、蓋9bが開閉される。
【0040】
然して、縦壁11aの外面11xには、受け部材4を振動させるための振動手段13が取り付けられている。振動手段13の取り付け位置は、縦壁11aの外面11xとされている。したがって、振動手段13からの振動は、縦壁11aや受け部材4の延び出し側端部4dを介して、受け部材4の受け面4cに付与される。振動手段13としては、各種バイブレータからなる振動発生機などを使用することができる。
【0041】
この実施形態では、図1に示すように、供給路10の下方に、粉粒体Pを計量する計量器14が配設されている。受け部材4から落下した粉粒体Pは、供給路10の下端開口部10bから計量器14に供給される。計量器14は、スクリューフィーダ3により粉粒体Pを移送させる動作を一回行った際における粉粒体Pの落下量を計測するものである。そして、粉粒体Pの全落下量が目標量に一致したことを計量器14が示した場合には、そのことがセンサや作業者によって検出される。この検出がなされた時点で、コンピュータ等の制御手段や作業者が、振動手段13を停止させ、これにより受け部材4の振動が停止するようになっている。
【0042】
この実施形態に係る粉粒体供給装置1は、スクリューフィーダ3の稼働つまりスクリュー7の回転と、スクリュー7の回転を停止させた状態での振動手段13の稼働とを切り替える構成とされている。また、この装置1は、スクリュー7の回転によって粉粒体Pを受け部材4から落下させた量が予め設定された設定量Wに達した場合に、スクリュー7の回転を停止させた状態での振動手段13の稼働に切り替える構成とされている。この場合の設定量Wは、例えば、全落下量の目標量の60~95%であることが好ましく、70~90%であることがより好ましい。
【0043】
次に、以上の構成を備えた粉粒体供給装置1によって粉粒体Pを移送して落下させる過程を説明する。
【0044】
先ず、スクリューフィーダ3のスクリュー7を回転させて、サイロ2に貯留されている粉粒体Pを移送路6を通じて横方向(矢印B方向)に移送する。この移送が行われている間は、所要時間を短縮する観点から、スクリュー7を高速回転させることが好ましい。これにより、図7に示すように、移送路6から送り出された多量の粉粒体Pが受け部材4によって受けられ、受け部材4の延び出し側端部4dを越えて供給路10を落下していく。この落下する粉粒体Pは、計量器14の上に溜まっていく。この時点では、振動手段13が稼働していないため、受け部材4は振動していない。
【0045】
このような動作が行われている間に、計量器14に溜まっていく粉粒体Pの落下量が、予め設定された設定量Wに達した時点で、作業者がスクリュー7の回転を停止させる。
【0046】
スクリュー7の回転が停止した場合には、図8に示すように、受け部材4上での粉粒体Pが所定の安息角θになる。この時点で、作業者が振動手段13の稼働を開始させて受け部材4を振動させる。これにより、スクリュー7の回転と、スクリュー7の回転を停止させた状態での振動手段13の稼働との切り替えが行われる。より詳しくは、スクリュー7の回転によって受け部材4からの粉粒体Pの落下量が設定量Wに達したことを計量器14が示した場合に、スクリュー7を停止させた状態での振動手段13の稼働に切り替えることが行われる。この切り替えによって、残りの少量(微量)の粉粒体Pは、受け部材4によって振動を付与されつつ落下し、計量器14の上に溜まっていく。そして、粉粒体Pの全落下量が目標量に一致したことを計量器14が示した時点で、作業者が振動手段13を停止させる。
【0047】
次に、上記実施形態に係る粉粒体供給装置1の作用効果を説明する。
【0048】
この装置1によれば、スクリュー7を回転させている時は、粉粒体Pを横方向に押し出す動作が行われるため、多量の粉粒体Pを落下させる場合に好都合になる。そこで、この装置1では、粉粒体Pの落下量が設定量Wに達するまでは、スクリュー7の回転によって多量の粉粒体Pを落下させるようにしている。以上の結果、この装置1によれば、粉粒体Pを短時間で効率良く落下させることが可能になる。
【0049】
この装置1によれば、粉粒体Pの全落下量が目標量に一致した時点で受け部材4の振動を停止させるため、受け部材4の振動を停止させてから、粉粒体Pの落下が停止するまでの時間遅れを小さくすることができる。詳述すると、受け部材4の振動に伴い、受け部材4上の粉粒体Pの量が減少する。また、受け部材4上の粉粒体Pが均された状態になり、換言すると、受け部材4上の粉粒体Pの上面が傾斜面から水平面に変化する。この状態で受け部材4の振動を停止させれば、受け部材4からの粉粒体Pの落下を瞬時に停止させることができる。したがって、粉粒体Pの全落下量が目標量に一致したことを計量器14が示した時点で振動手段13を停止させれば、即座に粉粒体Pの落下が停止する。これにより、装置1の停止後の受け部4からの粉粒体Pの落下を抑制でき、全落下量を目標量に一致させる際の精度が高められる。
【0050】
この装置1によれば、粉粒体Pを多量に落下させる場合にのみスクリュー7を回転させれば済むため、スクリュー7の回転速度を途中で変える必要がなくなり、煩雑な回転制御が不要になる。
【0051】
この装置1によれば、移送路6の下流側端部における移送面6aと、受け部材4の受け面4cとが、同一形状をなしているため、この両面6a、4cの相互間に粉粒体Pの移送の抵抗になる段差などが形成され難い。これにより、段差などの形成によって粉粒体Pの停滞や圧縮による固化を招いたり、これに起因してスクリューフィーダ3や受け部材4の損傷を招いたり等の不具合が回避される。
【0052】
この装置1の構成要素である受け部材4は、板状体であって、移送方向と直交する断面が、下方に向かって凸となる湾曲形状を底部に有するU字状をなすため、この形状に起因して粉粒体Pを落下させる際の円滑性及び迅速性等が促進される。詳述すると、受け部材4に屈曲部が形成されていると、その屈曲部で粉粒体Pが停滞して固化する等の弊害が生じ得る。この受け部材4は、屈曲部を有していないため、このような弊害の発生が回避される。また、受け部材4は板状体であるため、簡単な曲げ加工により容易に製作できる。
【0053】
上記の受け部材4の厚みは、移送路形成壁9及び供給路形成壁11の厚みよりも薄いため、受け部材4は、それらの壁9、11よりも振動し易くなる。これにより、振動手段13によって受け部材4に十分な振動が付与され、より一層確実に粉粒体Pの流動性を良くすることができる。
【0054】
上記の受け部材4は、移送方向に沿う長さLが異なる複数個が準備され、これら複数個の受け部材4が取り換え可能とされているため、粉粒体Pに関する種々の変更に対して適切に対処可能となる。例えば、粉粒体Pを粘土等の特性が異なる他の粉粒体に変える場合には、受け部材4の上方における粉粒体Pの安息角θが変わる。このように安息角θが変わった場合には、安息角θに応じて受け部材4の移送方向に沿う長さLを変えることで、単位時間当たりの粉粒体Pの落下量を適正な量に維持することができる。したがって、複数個準備されている受け部材4を適宜取り換えることによって安息角θの変更などに適切に対処可能となる。
【0055】
上記の受け部材4は、縦壁11aの上端と蓋9bの下面との間に、座部4bが差し込まれることのみにより支持されているため、受け部材4が振動し易くなると共に、その取り換えを容易に行うことができる。
【0056】
この装置1によれば、振動手段13が、供給路形成壁11のうちの縦壁11aの外面に取り付けられているため、受け部材4を適切に振動させることができる。詳述すると、移送路形成壁9は、スクリュー7を保持するものであるため、堅固に製作されているが、供給路形成壁11は、それと比較して堅固でなくてもよい。そのため、振動手段13を供給路形成壁11(縦壁11a)に取り付けた方が、移送路形成壁9に取り付けるよりも、受け部材4を振動させ易くなる。また、振動手段13は、縦壁11aの外面11xに取り付けられているため、その保守点検等を外部から行うことができ、作業性が良くなる。さらに、振動手段13に粉粒体Pが接触しなくなるため、振動手段13の損傷や故障を未然に防止できる。
【0057】
この装置1によれば、移送路形成壁9の本体壁9aの上部と、供給路形成壁11の縦壁11aの上部とが、蓋9bで覆われているため、蓋9bを取り外すことで、移送路6の内部、スクリュー7、供給路10の内部、及び受け部材4を一挙に視認することができる。これにより、これらの保守点検等を一挙同時に行うことができ、作業者にとって有利となる。
【0058】
次に、上記の粉粒体供給装置1を用いて粉粒体を供給する粉粒体供給方法について説明する。
【0059】
本実施形態に係る粉粒体供給方法は、大別すると、移送工程と、受け落下工程と、振動工程と、を備える。
【0060】
移送工程は、スクリューフィーダ3の移送路6を通じて粉粒体Pを横方向に移送する工程である。
【0061】
受け落下工程は、移送路6から送り出された粉粒体Pを、受け部材4が受けて落下させる工程である。
【0062】
振動工程は、振動手段13により受け部材4を振動させる工程である。
【0063】
そして、受け落下工程では、移送工程で粉粒体Pを横方向に移送する動作が完了した後に、振動工程を実行する。ここで、「粉粒体Pを横方向に移送する動作が完了した後」とは、スクリューフィーダ3の稼働によって粉粒体Pを受け部材4から落下させた量が設定量Wに達した後を意味する。
【0064】
以上、本発明の実施形態に係る粉粒体供給装置1及び粉粒体供給方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々のバリエーションが可能である。
【0065】
上記実施形態では、スクリューフィーダ(移送手段)3が稼働している時は、振動手段13を停止させていたが、移送手段3が稼働している時にも振動手段13を稼働させてもよい。
【0066】
上記実施形態では、移送路形成壁9を、本体壁9aと蓋9bとに分離して構成したが、このように分離せずに一体化してもよい。また、移送路形成壁9は、下流側端部と、それよりも上流側の部位とで、形状が相違しているが、この両者はそれらの何れか一方と同一の形状であってもよい。
【0067】
上記実施形態では、受け部材4の本体4aの断面をU字状としたが、例えば、本体4aの断面を部分円弧状やV字状などとしてもよく、さらには、受け部材4自体をパイプ状にし、或いは、水平な平板状などにしてもよい。また、受け部材4は、既述のような受け面4cが形成されていれば、板状体でなくてもよい。さらに、受け部材4の受け面4cの形状と、移送路6の受け面4cの下流側端部の形状とは、上方部及び下方部の双方が同一であるが、下方部のみが同一であってもよい。また、受け部材4には、スリット等の開口部が形成されていないが、開口部が形成されていてもよい。さらに、受け部材4を支持する手段は、ボルト等の締結部材を用いてもよい。
【0068】
上記実施形態では、受け部材4の厚みを、移送路形成壁9及び供給路形成壁11の厚みよりも薄くすることで、受け部材4を振動し易くしたが、受け部材4の材質を、移送路形成壁9及び供給路形成壁11の材質よりも軟らかくし或いは変形し易くすることで、受け部材4を振動し易くしてもよい。
【0069】
上記実施形態では、振動手段13を、供給路形成壁11の外面の特定箇所に取り付けるようにしたが、供給路形成壁11の外面の他の箇所或いは蓋壁9bcの外面に取り付けてもよく、さらには移送路形成壁9の外面に取り付けてもよい。また、振動手段13を、供給路形成壁11や蓋壁9bc、移送路形成壁9の内面に取り付けてもよく、受け部材4に取り付けてもよい。保守点検の作業性や故障防止の観点から、供給路10及び移送路6の外部に配置することが好ましい。また、振動手段13は、一個である必要はなく、複数個取り付けるようにしてもよい。その場合には、供給路形成壁11に複数個全てを取り付けるようにしてもよく、或いは、供給路形成壁11と移送路形成壁9との双方に取り付けるようにしてもよい。さらに、振動手段13は、着脱可能に取り付けてもよく、位置変更可能に取り付けてもよい。位置変更可能に取り付ければ、粉粒体Pに関する種々の変更に応じて振動手段13の取り付け位置を変更することで受け部材4の振動形態を調整でき、振動に伴って受け部材4から落下する粉粒体Pの量を好適な範囲に制御することができる。
【0070】
上記実施形態では、移送手段3をスクリューフィーダで構成したが、例えば移送手段3を振動フィーダ等の他の移送手段で構成してもよい。このようにした場合でも、振動フィーダ等の他の移送手段が稼働している時は、粉粒体を横方向に押し出す動作を行うため、本発明の趣旨が損なわれるわけではない。
【0071】
上記実施形態では、作業者が移送手段(スクリューフィーダ3)及び振動手段13について稼働と停止とを切り替えたが、粉体供給装置1が、移送手段及び振動手段13について稼働及び停止を切り替え可能な制御手段を備えてもよく、制御手段によって切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 粉粒体供給装置
3 移送手段(スクリューフィーダ)
4 受け部材
4c 受け面
6 移送路
6a 移送面
6x 移送路の下流端
9 移送路形成壁
9a 本体部(本体壁)
9aa 下流側端部の本体壁
9ab 上流側の部位の本体壁
9b、9ba、9bb、9bc 蓋(蓋壁)
10 供給路
11 供給路形成壁
11x 供給路形成壁の外面
13 振動手段
P 粉粒体
図1
図2
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