(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】液体供給システム
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
(21)【出願番号】P 2020167092
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】山下 直之
(72)【発明者】
【氏名】北野 純一
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】楠 健志
(72)【発明者】
【氏名】西尾 崇志
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094085(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00587344(EP,A1)
【文献】米国特許第03878970(US,A)
【文献】特開2004-203452(JP,A)
【文献】特開平10-236591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵容器内の液体を、加圧気体により供給管を通して注出装置へ供給し、該注出装置における液体注出口から飲用容器へ注出する液体供給システムであって、
上記供給管に設置され、該供給管に接続される液体入口、上記供給管に接続される液体出口、及び、上記液体入口からの気体流入により上記液体出口に嵌合して当該出口を閉鎖し上記液体注出口から加圧気体の噴出を防止するフロートを有すると共に、当該液体供給システムにおける配管内洗浄の実行有情報を提供する噴出防止装置と、
上記貯蔵容器と上記噴出防止装置との間、又は上記噴出防止装置に設置され、貯蔵容器内の液体が無くなったことを検知する空液/通液センサを有し貯蔵容器空情報を送出する液体無検出装置と、
上記液体無検出装置と電気的に接続され、通信回線への情報送信制御を行う制御部を有する送信装置と、を備え
、
上記液体無検出装置は、当該液体供給システムにおける配管内洗浄の実行にあたり生成される上記貯蔵容器空情報を無効化する無効化装置を有する、液体供給システム。
【請求項2】
上記無効化装置は、当該液体供給システムにおける配管内洗浄にて操作される洗浄スイッチ、又は上記貯蔵容器から送出した液体の流量を求める流量取得部を有し、配管内洗浄によって生成される上記貯蔵容器空情報を洗浄スイッチの操作によって無効化し、又は、求まる流量の合計値が貯蔵容器容量未満では配管内洗浄によって生成される上記貯蔵容器空情報を無効化する、キャンセル部をさらに有する、請求項1に記載の液体供給システム。
【請求項3】
上記噴出防止装置は、上記液体出口に嵌合した上記フロートを、液体出口から強制的に離脱させるフロート押上機構と、上記送信装置と電気的に接続され、フロート押上機構の動作検知を行う機構動作検出センサと、を有する、請求項1又は2のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項4】
上記制御部は、上記液体無検出装置に加えてさらに上記噴出防止装置と電気的に接続され、液体無検出装置が送出する上記貯蔵容器空情報の送信、及び、噴出防止装置が送出する上記配管内洗浄の実行有情報の送信を行う、請求項1から3のいずれかに記載の液体供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵容器内の液体を圧送し注出装置から飲用容器へ注出する液体供給システムに関し、詳しくは、当該液体供給システムから液体が噴出するのを防止する機構を有すると共に、供給する液体の品質管理が可能な液体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店にて、液体、例えばビール等、を提供する装置として、液体供給システムが一般的に使用されている。
図5を参照して、またビールを例に採った場合、該液体供給システム70は、加圧源としての炭酸ガスボンベ15、ビールが充填されたビール樽10、供給管30、及びビールディスペンサー50を有し、ビール樽10内のビールを、炭酸ガスボンベ15の炭酸ガスにて加圧して供給管30を通してビールディスペンサー50へ圧送する。ビールディスペンサー50は、冷却槽51内に設置したビール冷却管52、冷凍機53、及び液体注出口54を有し、冷却槽51内の冷却水の一部を冷凍機53にて氷結させ、液体注出口54におけるレバー操作によって、ビール冷却管52内にビールを流しながらビールの冷却を行い、例えばジョッキ等の飲用容器へビールを注出する。
このようにしてビール樽内のビールは、顧客へ提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような液体供給システム70において、例えば、液体注出口54からビールの注出中にビール樽10内のビールが無くなった場合には、ビールを圧送していた炭酸ガスが液体注出口54から噴出し、ジョッキ内に注入されたビールを飛び散らせる可能性がある。このような噴き出しを防止するため、ビール樽内のビールが無くなったことを電気的に又は機械的に検知し注出動作を停止する噴出防止装置60が既に幾つか提案され使用されている。このような噴出防止装置60は、いずれも、ビール樽10の出口とビールディスペンサー50の入口との間の配管に設置されている。
【0005】
また、噴出防止装置60を有する液体供給システム70を用いて顧客に提供されるビールの品質の良否、つまり「うまい」ビールを提供するためには、例えば「ビール鮮度」及び「配管清浄度」等が重要事項となる。
「ビール鮮度」は、品質上、最重要事項であり、ビール樽10の開栓からビールの劣化が始まることから、ビール鮮度には開栓後の日数が影響し、またビール樽10の保管温度(つまり樽内のビール温度)も影響する。ビールメーカーでは、例えば、開栓から3日以内での消費、30℃以下での保管、を店舗へ指導している。
また「配管清浄度」は、注出ビール内の雑菌量に影響しビールの旨みと関係する。ビールメーカーでは、営業終了毎における水道水洗浄、週1回程度の配管内スポンジ洗浄を行うこと、を指導している。
【0006】
しかしながら従来、特に、ビール樽内のビールが無くなったことを機械的に検知し注出動作を停止する噴出防止装置60を有する液体供給システム70では、「ビール鮮度」及び「配管清浄度」に関する管理が不十分であり、提供されるビールの品質が十分に管理されていない可能性があるという現実がある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、提供する液体の品質管理が可能な液体供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における液体供給システムは、貯蔵容器内の液体を、加圧気体により供給管を通して注出装置へ供給し、該注出装置における液体注出口から飲用容器へ注出する液体供給システムであって、
上記供給管に設置され、該供給管に接続される液体入口、上記供給管に接続される液体出口、及び、上記液体入口からの気体流入により上記液体出口に嵌合して当該出口を閉鎖し上記液体注出口から加圧気体の噴出を防止するフロートを有すると共に、当該液体供給システムにおける配管内洗浄の実行有情報を提供する噴出防止装置と、
上記貯蔵容器と上記噴出防止装置との間、又は上記噴出防止装置に設置され、貯蔵容器内の液体が無くなったことを検知する空液/通液センサを有し貯蔵容器空情報を送出する液体無検出装置と、
上記液体無検出装置と電気的に接続され、通信回線への情報送信制御を行う制御部を有する送信装置と、
を備え、
上記液体無検出装置は、当該液体供給システムにおける配管内洗浄の実行にあたり生成される上記貯蔵容器空情報を無効化する無効化装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記一態様によれば、液体無検出装置及び送信装置を備え、送信装置は、少なくとも液体無検出装置から送出される、貯蔵容器内の液体が無くなった旨の情報、及びこの情報から派生して得られる、当該液体供給システムにおける配管内洗浄を実行した旨の情報を送信可能である。したがって、例えばビールメーカーにおいて、貯蔵容器(例えばビール樽)の開栓からの日数を把握することが可能になり、かつ配管内洗浄実行の有無を把握することが可能になり、提供される液体の品質管理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態における液体供給システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図1に示す噴出防止装置の概略構成を示す図である。
【
図3】
図1に示す液体無検出装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4A】
図1に示す液体無検出装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図4B】
図1に示す液体無検出装置の概略構成及び動作を示す図である。
【
図5】従来の液体供給システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態である液体供給システム、及び該液体供給システムにおいて実行される液体損失低減方法について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。また、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け当業者の理解を容易にするため、既によく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、以下の説明及び添付図面の内容は、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
以下に説明する実施形態では、扱う液体の一例としてビールを例に採るが、液体は、ビールに限定するものではなく、発泡酒、リキュール、チューハイ、ウイスキー、ワイン等のアルコール飲料、飲料水、清涼飲料、炭酸飲料などであってもよい。
【0013】
図1に示す一実施形態における液体供給システム101について説明する。この液体供給システム101は、
図5を参照して既に説明した液体供給システム70をベースとして、以下に説明するように幾つかの構成部分を付加した構成を有する。
【0014】
即ち、液体供給システム101は、
図1に示すように、貯蔵容器10と、加圧源15と、供給管30と、注出装置50とを有する既存の構成部分をベースとして、上述の噴出防止装置60に代わる新たな噴出防止装置110、液体無検出装置120、及び送信装置130を付加した構成を有する。
尚、
図1は、一実施形態における概略構成を示した図であるが、液体供給システム101の基本的構成には、通信回線200及びホストコンピュータ300は含まれない。また、液体供給システム101の基本的構成では、噴出防止装置110は、送信装置130に電気的に接続される必要はない。
また本明細書において、「電気的に接続」とは、有線接続に限定されず無線接続をも含む概念である。
各構成部分について、以下に順次説明を行っていく。
【0015】
まず、上記既存の構成部分は、繰り返しになるが、貯蔵容器10内の液体(上述のように実施形態ではビール)20を、加圧源15による加圧によって供給管30を通して注出装置50へ供給つまり圧送し、注出装置50から飲用容器(例えばジョッキ)40へ注ぎ出すシステムである。ここで貯蔵容器10は、実施形態では、ビールメーカーにてビールが充填された、いわゆるビール樽と呼ばれるステンレス製容器であり、例えば5リットル、10リットル、19リットル等の内容量のものがある。加圧源15は、炭酸ガスボンベである。供給管30は、貯蔵容器10と注出装置50との間でビールの通液を可能にする、可撓性を有する例えばポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル等製の樹脂チューブである。また、供給管30から注出装置50における液体注出口54に至るまで、噴出防止装置110を除き、流体の通液管路の内径は、同寸法にて設計されているのが好ましい。
【0016】
上述の注出装置50の一例として、本実施形態ではビールディスペンサー(「ビールサーバー」と称されることもある。)を例に採り説明を行う(よって以下では、ビールディスペンサー50と記す場合もある。)。上で既に説明したように、ビールディスペンサー50は、冷却槽51内に配置した液体冷却管(実施形態ではビール冷却管)52、冷凍機53、及び液体注出口54を有し、冷却槽51内の冷却水55の一部を冷凍機53にて氷結させ、該冷却水55にてビール冷却管52内を通過する液体(ビール)20の冷却を行う。加圧源15の炭酸ガスにて圧送されるビール20は、液体注出口54におけるレバー56の操作によりビール冷却管52内を通過し冷却され、例えばジョッキ等の飲用容器40へ注出されて、顧客に提供される。
【0017】
尚、ビールディスペンサー50は、一般には、外気温度が5℃以上、40℃以下である環境にて使用される。また、注出装置50が扱う液体はビールに限定されず、上述の飲料水等であってもよい。また、実施形態では、ビールディスペンサー50は、対象液体であるビールの冷却も行うが、実施形態に含まれる注出装置50は、対象液体を加熱あるいは保温するものであってもよい。
【0018】
次に、噴出防止装置110は、
図5を参照して説明した噴出防止装置60の代替物であり、
図1及び
図2に示すように、供給管30に設置され、既定の内部容積Vを有する、例えば円筒、角筒等の管状形状を有し、供給管30に接続される液体入口111及び供給管30に接続される液体出口112を有する。尚、上記内部容積Vは、一例として、加圧気体(本実施形態では炭酸ガス)の圧力が0.4MPaのとき、100ccである。
このような噴出防止装置110は、例えば、液体注出口54からビールの注出中にビール樽10内のビールが無くなった、つまりビール樽10が空になった場合に、ビールを圧送していた炭酸ガスが液体注出口54から噴出するのを防止すると共に、当該液体供給システム101における配管内洗浄の実行有情報をも提供する装置である。この点は、後述の動作説明にて詳述するが、噴出防止装置110は、液体入口111から当該噴出防止装置110内に流入した炭酸ガスが液体出口112から注出装置50側へ直接に流れるのを防止するバッファ的な役割を果たすものである。
【0019】
このような機能を実行するため、噴出防止装置110は、さらに、フロート116、フロート押上機構118、及び機構動作検出センサ1181を有している。
フロート116は、当該噴出防止装置110の管状形状内に配置され噴出防止装置110内へ流入する液体(本実施形態ではビール)20に浮き、噴出防止装置110内の液体量に応じて昇降する。また、貯蔵容器10内の液体20が無くなり、液体入口111から噴出防止装置110内へ加圧気体(本実施形態では上述の炭酸ガス)が流入することで、液面が押し下げられるのに応じてフロート116は降下する。そして、流入した加圧気体が液体出口112、詳しくは液体出口112の流入口112a、から排出される直前において、フロート116は、流入口112aに嵌合し、液体出口112を閉鎖する。尚、フロート116における流入口112aとの嵌合部分には、密閉部材の一例としてのO-リング1161を設けており、嵌合における密閉性が確保される。
このようなフロート116の動作により、加圧気体が液体出口112から注出装置50側へ進入することは防止され、ビール樽10内のビールが無くなったときに、液体注出口54から加圧気体が噴出することは、防止される。またこのように、噴出防止装置110は、フロート116による機械的な遮断動作を行うことから、電気的処理を伴わず、比較的簡便な構成を採ることができるという効果もある。
【0020】
フロート押上機構118は、流入口112aに嵌入したフロート116を、レバー118aの操作により機械的に押し上げて流入口112aから強制的に離脱させる機構である。また本実施形態では、フロート押上機構118には、フロート押上機構の動作検知、つまりレバー118aを操作してフロート116の離脱を行ったことを検知する機構動作検出センサ1181が備わる。そして本実施形態では、該機構動作検出センサ1181は、送信装置130と電気的に接続されている。
このような構成を有するフロート押上機構118は、貯蔵容器10が空になり新貯蔵容器10への交換後における内部容積V内への液体充填後に操作されると共に、当該液体供給システム101における配管内洗浄を実行する際にも操作される。よって、フロート押上機構の動作検知によって、上記配管内洗浄の実行有情報が提供可能となる。
【0021】
さらにまた、噴出防止装置110は、その上部に、噴出防止装置110内に流入した加圧気体(実施形態では、炭酸ガス)を噴出防止装置110の外へ排気する排気機構113を有し、さらに、排気機構113の少なくとも隣接箇所に設けられ、噴出防止装置110の内部を透視可能な視認部114を有する。
排気機構113は、本実施形態では、排出口113aと、該排出口113aの開閉を行う排気操作用のエアー抜きレバー113bとを有する。尚、排気機構113の動作機能については後述する。また本実施形態では、噴出防止装置110は、その上下部分を除いて、透明な筒状体で形成しており、ほぼ全長に渡り視認部114を形成している。
【0022】
次に、液体無検出装置120について説明する。
液体無検出装置120は、貯蔵容器10と噴出防止装置110との間、又は噴出防止装置110に設置され、
図3に示すように、貯蔵容器10内の液体が無くなったことを検知する空液/通液センサ122及び液体状態判断部1226を有して、貯蔵容器10内の液体20が無くなったことを検知する装置である。
また一方、液体無検出装置120は、無効化装置124を有し、該無効化装置124は、洗浄スイッチ1241、流量取得部1242、及びキャンセル部1243を有し、詳しくは、洗浄スイッチ1241及び流量取得部1242の少なくとも一方と、キャンセル部1243とを有する。
液体無検出装置120におけるこれらの構成部分について、以下に詳しく説明する。
【0023】
空液/通液センサ122は、一例として
図4A及び
図4Bに示すように、発光素子1221及び受光素子1222を有する。発光素子1221及び受光素子1222は、一例として本実施形態では、貯蔵容器10の出口に接続された樹脂製の供給管30を挟むように配置された筐体1224に、供給管30を通過するビールを隔てて対向して配置される。発光素子1221は赤外光を照射し、受光素子1222は、照射された赤外光を受光する。発光素子1221及び受光素子1222は、これらの発光、受光制御を行うと共に、通過する液体(ビール)20の状態を検知する液体状態判断部1226に電気的に接続されている。即ち、発光素子1221から受光素子1222へ進む光は、供給管30を通過する物体が液体、気体、又はその混合物であるかによって、屈折率が相違する。よって受光素子1222における受光量は、供給管30を通過する物体によって変化する。液体状態判断部1226は、この受光量の変化を検知し、通過物体が気体になったことを判断する。該液体状態判断部1226は、以下に説明する送信装置130に電気的に接続されている。
【0024】
空液/通液センサ122の設置場所は、上述の、供給管30に限定されず、例えば、噴出防止装置110に設置してもよい。即ち、噴出防止装置110内の液体量に応じてフロート116が昇降することを利用して、例えば発光素子及び受光素子を使用する場合には、一例として
図2においてフロート116が位置する、噴出防止装置110の上部位置に、発光素子及び受光素子を配置してもよい。この形態では、フロート116による光の反射(反射光方式)あるいは光の遮断(透過光方式)に応じた受光量の変化により、空液/通液を検知することができる。あるいはまた、噴出防止装置110の壁面に上下方向に沿って静電容量センサ(電極シート)を配置してもよい。この形態では、噴出防止装置110内の液体20の水位に応じた静電容量の変化により、空液/通液を検知することができる。
【0025】
無効化装置124は、当該液体供給システム101における配管内洗浄によって液体無検出装置120にて、詳しくは液体状態判断部1226にて生成される貯蔵容器空情報を無効化する装置である。即ち、上述のように、空液/通液センサ122に電気的に接続される液体状態判断部1226は、供給管30を通過する物体の屈折率の相違によって、貯蔵容器10内の液体20が無くなった、つまり貯蔵容器10が空になった、ことを検知する。一方、当該液体供給システム101における配管内洗浄を行うときにも、供給管30内を空気及び洗浄水が流れることから、液体無検出装置120、詳しくは液体状態判断部1226は、貯蔵容器10の空を判断してしまう。
よって無効化装置124は、このような液体供給システム101における配管内洗浄によって生成される貯蔵容器空情報を無効化する装置である。
【0026】
無効化装置124を有効にさせる、つまり作動させる手段の一例として、本実施形態では、洗浄スイッチ1241又は流量取得部1242を用いることができる。
洗浄スイッチ1241は、上述の配管内洗浄を実施するにあたり操作可能なスイッチであり、専用のスイッチを設けてもよいし、例えば、噴出防止装置110における機構動作検出センサ1181と兼用することもできる。
【0027】
流量取得部1242は、貯蔵容器10から送出した液体20の流量を求める構成部分であり、一例として、流量センサ及び流量作成部を備える。該流量センサは、供給管30を挟むように設置でき、例えば超音波センサが使用可能である。また上記流量作成部は、流量センサから得られる信号を基に液体20の流量を求めるように構成されている。
【0028】
キャンセル部1243は、洗浄スイッチ1241が操作されたことにより、配管内洗浄によって生成される上記貯蔵容器空情報を無効化し、又は、流量取得部1242によって求められる、貯蔵容器10から流出した液体20の流量の合計値が貯蔵容器10の容量未満である場合には、配管内洗浄によって生成される上記貯蔵容器空情報を無効化する。
このように、無効化装置124は、擬似的な貯蔵容器空情報を無効化することができる。
【0029】
次に、送信装置130について説明する。
送信装置130は、少なくとも液体無検出装置120と電気的に接続され、通信回線200への情報送信制御を行う制御部131を有する。
また送信装置130は、本実施形態のように、さらに噴出防止装置110と、詳しくはフロート押上機構118における機構動作検出センサ1181と電気的に接続されてもよい。
よってこのような送信装置130は、液体無検出装置120から得られる貯蔵容器空情報、換言するとビール樽10の交換情報、及び液体供給システム101における配管内洗浄の実行有情報を、さらには噴出防止装置110から得られる配管内洗浄の実行有情報を、制御部131から通信回線200を介して、例えばビールメーカーにおけるホストコンピュータ300へ送信する。このとき、制御部131は、当該制御部131にて生成した年月日時分秒の時間情報も共に送信することができる。
【0030】
また、上述した、液体無検出装置120における、液体状態判断部1226、無効化装置124の流量取得部1242及びキャンセル部1243、並びに、送信装置130における制御部131のそれぞれは、実際にはマイクロプロセッサ等のコンピュータで構成される。該コンピュータは、各構成部分における上述の機能を実施するソフトウェアと、該ソフトウェアを実行するCPU、メモリ等のハードウェアとから構成される。
【0031】
以上のような構成を有する液体供給システム101における動作について、以下に説明する。
液体供給システム101における基本的動作は、
図5に示した液体供給システム70の動作に同様である。即ち、貯蔵容器10内の液体(ビール)20は、加圧源15による加圧気体(炭酸ガス)により噴出防止装置110を通り注出装置50へ入り、冷却され、レバー56の操作によって液体注出口54から飲用容器40へ注出される。このとき、液体無検出装置120は、供給管30内を流れる物質は、液体(ビール)20を検知している。
【0032】
液体供給システム101における噴出防止装置110は、以下のように動作する。尚、通常、排出口113aは、エアー抜きレバー113bの操作にて閉鎖されている。
上述のように、貯蔵容器10から注出装置50の液体注出口54へ通常に液体(ビール)20が圧送されているときには、噴出防止装置110の内部は、液体入口111から流入し液体出口112から排出される液体20にて満たされた状態であり、よってフロート116は液体20に浮いており、この状態において液体20が流れている。
【0033】
一方、液体注出口54からの注出中に、貯蔵容器10内の液体20が無くなった場合には、気泡混じりの液体20が供給管30内を搬送される。よって、液体無検出装置120は、上述のように、供給管30内を通過する物質の屈折率の相違を検出して、貯蔵容器10内の液体20が無くなったことを検知し、この貯蔵容器空情報を送信装置130へ送信する。
【0034】
送信装置130の制御部131は、液体無検出装置120が送出する貯蔵容器空情報を、通信回線200を介してホストコンピュータ300へ送信する。
よって、ホストコンピュータ300を有する例えばビールメーカーでは、貯蔵容器10の交換が行われた日時を、店舗毎に認識することが可能になる。よって、例えばビールメーカーは、貯蔵容器10内の液体20が規定日数以内に消費されているか否かを、店舗毎に認識することが可能になり、提供する液体20の品質に消費日数が影響を与えることに鑑み、液体20の品質管理が可能になる。
【0035】
また、気泡混じりの液体20あるいは加圧気体(炭酸ガス)は、さらに噴出防止装置110にも達し、噴出防止装置110の内部を充填していた液体20を、液体出口112から注出装置50側の供給管30へ押し出していく。よって、噴出防止装置110内の液体量の減少と共にフロート116は、下降し、噴出防止装置110の液体出口112の流入口112aに嵌合して、液体出口112を閉鎖する。
このようにして、噴出防止装置110は、ビール樽10内のビールが無くなったときに液体注出口54から加圧気体が噴出するのを防止することができる。
また、実際には、噴出防止装置110が作動することで、店舗スタッフはビール樽10のビールが無くなったことを認識でき、空となった貯蔵容器10から、液体20充填済みの新しい貯蔵容器10への交換が行われる
【0036】
貯蔵容器10の交換後、新貯蔵容器10内の液体20が供給管30へ導入され、圧送が開始される。このとき、噴出防止装置110内のフロート116は、未だ液体出口112の流入口112aに嵌合した状態のままである。よって、液体導入時には、噴出防止装置110の内部に存在する気体(炭酸ガス)を抜く必要があり、そのために、店舗スタッフは、噴出防止装置110のエアー抜きレバー113bを操作して排出口113aを開ける。該操作によって、圧送され噴出防止装置110へ流入してくる液体20により、噴出防止装置110の上部に滞留している気体、さらには気泡混じりの液体20が排出口113aから噴出防止装置110の外へ排出され、これにより、噴出防止装置110の内部が新貯蔵容器10からの液体20で満たされる。
【0037】
このような排気操作は、本実施形態では、噴出防止装置110において排気機構113に隣接して配置した上述の視認部114を通して店員の目視により行われる。
【0038】
そして、噴出防止装置110の内部容積Vが液体20で満たされた時点で、エアー抜きレバー113bを操作して排出口113aを閉じる。次に、店舗スタッフは、噴出防止装置110のフロート押上機構118におけるレバー118aを操作して、流入口112aに嵌入しているフロート116を機械的に押し上げ、流入口112aから強制的に離脱させる。よってフロート116は、液面まで浮上する。また、流入口112aは開かれ、液体出口112とつながる。
これにて液体供給システム101は、通常動作に復帰する。
以後、液体注出口54におけるレバー56の開操作により、液体20は、噴出防止装置110を通り注出装置50側へ流れていく。
【0039】
以上が通常の液体20の供給動作であり、一方、液体供給システム101における配管内洗浄実行時には、液体供給システム101は、以下のように動作する。
【0040】
本実施形態の液体供給システム101では、噴出防止装置110が供給管30等における内径とは異なるサイズを有することから、液体供給システム101の全配管にわたり、いわゆるスポンジ洗浄を行うことはできない。よって、洗浄動作としては、薬液を用いた洗浄が行われる。この洗浄は、原則的に店舗の営業終了毎に、貯蔵容器10を、洗浄液(薬液原液あるいは薬液を水道水で希釈したもの)を充填した洗浄液タンクに置き替えて、該洗浄液を炭酸ガスにて圧送して、供給管30内、及び注出装置50(ビールディスペンサー50)における液体注出口54までの配管内の流水洗浄を行う。
【0041】
尚、洗浄動作後、配管内の洗浄液は、炭酸ガスにてパージされる。また、店舗営業開始前には、再び貯蔵容器10をセットして、供給管30、及び注出装置50の配管に貯蔵容器10から液体20を充填(呼び込み)し、営業に備える。
【0042】
このような洗浄動作開始に際して、液体無検出装置120における洗浄スイッチ1241を店舗スタッフが操作することによって、副次的に生成される「洗浄実行有」情報が液体無検出装置120から送信装置130へ送出され、送信装置130は、「洗浄実行有」情報を通信回線200へ送信する。あるいはまた、噴出防止装置110におけるフロート押上機構118のレバー118aの操作により機構動作検出センサ1181を介して「洗浄実行有」情報が噴出防止装置110から送信装置130へ送出され、送信装置130は、「洗浄実行有」情報を通信回線200へ送信することができる。
【0043】
このように、本実施形態の液体供給システム101によれば、ホストコンピュータ300を有する例えばビールメーカーにおいて、各店舗において洗浄動作が規定通りに実行されているか否かを、店舗毎に認識することが可能になる。よって、洗浄動作の有無が提供する液体20の品質に関係することに鑑み、提供する液体20の品質管理が可能になる。
【0044】
尚、洗浄動作後、多少の時間経過後に、上述の液体20の充填(呼び込み)動作のため、今一度、噴出防止装置110におけるレバー118aの操作が行われ、「洗浄実行有」情報が送信されることになる。しかしながら、該情報は、例えば経過時間等を用いてホストコンピュータ300側でソフト的に処理可能であり、キャンセルが可能である。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の液体供給システム101によれば、少なくとも液体無検出装置120から送出される貯蔵容器空情報及び洗浄実行有情報が、送信装置130から送信されることから、液体(例えばビール)20の「鮮度」管理、及び液体供給システム101の「配管清浄度」管理が可能になり、よって、提供される液体20の品質管理が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、貯蔵容器内の液体を圧送し注出装置から飲用容器へ注出する液体供給システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
10…貯蔵容器、20…液体、30…供給管、40…飲用容器、50…注出装置、
54…液体注出口、70…液体供給システム、
101…液体供給システム、110…噴出防止装置、
111…液体入口、112…液体出口、116…フロート、
118…フロート押上機構、1181…機構動作検出センサ、
120…液体無検出装置、122…空液/通液センサ、124…無効化装置、
1241…洗浄スイッチ、1242…流量取得部、1243…キャンセル部、
130…送信装置、131…制御部、
200…通信回線。