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特許7580730ノロウイルスの感染リスクの有無を決定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】ノロウイルスの感染リスクの有無を決定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20241105BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
G01N33/53 N
G01N33/569 L
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022555554
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 JP2021037090
(87)【国際公開番号】W WO2022075397
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2020169704
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100127247
【弁理士】
【氏名又は名称】赤堀 龍吾
(74)【代理人】
【識別番号】100152331
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 拓
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 亮彦
(72)【発明者】
【氏名】細島 康宏
(72)【発明者】
【氏名】蒲澤 秀門
(72)【発明者】
【氏名】青木 信将
(72)【発明者】
【氏名】永野 啓
(72)【発明者】
【氏名】関根 盛
(72)【発明者】
【氏名】宗片 圭祐
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】TAMMINEN, Kirsi et al.,Norovirus-specific mucosal antibodies correlate to systemic antibodies and block norovirus virus-lik,Clinical Immunology,2018年,197,110-117
【文献】COSTANTINI, Veronica P. et al.,Humoral and Mucosal Immune Responses to Human Norovirus in the Elderly,The Journal of Infectious Diseases,2020年06月01日,221(11),1864-1874
【文献】MOE, Christine L. et al.,Diagnosis of Norwalk Virus Infection by Indirect Enzyme Immunoassay Detection of Salivary Antibodies,Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology,2004年,11(6),1028-1034
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/569
G01N 33/53
C12Q 1/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体がノロウイルスに感染しやすいか否か、あるいは感染後に重症化しやすい否か、の決定を補助する方法であって、
1)被検体の口腔内由来の検体中に含まれるノロウイルスに対するIgG抗体の濃度を1又は複数回測定する工程と、
2)検体中に含まれるIgG抗体の濃度が3μg/mL以上である場合には、被検体がノロウイルスに感染しにくいか、あるいは感染後に重症化しにくく、検体中に含まれるIgG抗体の濃度が3μg/mL未満である場合には、被検体がノロウイルスに感染しやすいか、あるいは感染後に重症化しやすい、との決定を補助する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
工程1)において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度を少なくとも2回測定し、
ある時点で測定したIgG抗体の濃度が3μg/mL未満であり、尚且それ以降に測定したIgG抗体の濃度が経時的に増大している場合に、被検体がノロウイルスに感染しやすいか、あるいは感染後に重症化しやすい、との決定を補助し、それ以外の場合に、被検体がノロウイルスに感染しにくいか、あるいは感染後に重症化しにくい、との決定を補助する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ノロウイルスがGenogroup II(GII)の遺伝子群に分類される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ノロウイルスがGII-4株又はGII-17株である、請求項に記載の方法。
【請求項5】
工程1)において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度とともに、ノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定するか、あるいは検体中に含まれるノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定する工程を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ノロウイルスワクチンの投与の有効性の決定を補助する方法であって、
1)被検体の口腔内由来の検体中に含まれるノロウイルスに対するIgG抗体の濃度を測定する工程と、
2)投与前に3μg/mL未満であった検体中に含まれるIgG抗体の濃度がノロウイルスワクチン投与後に3μg/mL以上に増大した場合にノロウイルスワクチンが有効であり、
、との決定を補助する工程と、
を含む、方法。
【請求項7】
工程1)において、ノロウイルスワクチンを投与された被検体由来の検体中に含まれるIgG抗体の濃度を少なくとも2回測定し、
ノロウイルスワクチンを投与する前の被検体由来の唾検体中に含まれるIgG抗体の濃度が3μg/mL未満であり、尚且投与後に測定されたIgG抗体の濃度が3μg/mL以上に増大している場合にノロウイルスワクチンが有効である、との決定を補助する工程を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
ノロウイルスがGenogroup II(GII)の遺伝子群に分類される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ノロウイルスがGII-4株又はGII-17株である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
工程1)において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度とともに、ノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定するか、あるいは検体中に含まれるノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定する工程を更に含む、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ノロウイルスワクチンを投与すべきか否かの決定を補助する方法であって、
1)被検体の口腔内由来の検体中に含まれるノロウイルスに対するIgG抗体の濃度を測定する工程と、
2)ノロウイルスワクチンを投与する前の検体中に含まれるIgG抗体の濃度が3μg/mL未満である場合にノロウイルスワクチンを投与すべき、との決定を補助する工程と、
を含む、方法。
【請求項12】
工程1)において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度を少なくとも2回測定し、
ノロウイルスワクチンを投与された後の検体中に含まれるIgG抗体の濃度が3μg/mL未満に低下している場合に追加のノロウイルスワクチンを投与すべき、との決定を補助する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ノロウイルスがGenogroup II(GII)の遺伝子群に分類される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
ノロウイルスがGII-4株又はGII-17株である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程1)において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度とともに、ノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定するか、あるいは検体中に含まれるノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定する工程を更に含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広く、ノロウイルスの感染リスクの有無を決定する方法、具体的には、被検体がノロウイルスに感染しやすいか否か、あるいは感染後に重症化しやすい否か、の決定を補助する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ノロウイルスは、感染性胃腸炎を発症する重要なウイルスである。ノロウイルスは乳幼児から高齢者に至る全年齢層で急性胃腸炎を引き起こすウイルスである。ヒトに感染する主なノロウイルスは、Genogroup I(GI)とGenogroup II(GII)の二つの遺伝子群に分類され、GIでは19種類、GIIでは22種類が存在する。国立感染症研究所 感染症情報センターによれば、日本における感染性胃腸炎の流行の大部分はGIIが原因である。
【0003】
ノロウイルス感染の主な症状は、小腸の炎症反応に伴う下痢、胃内容物を腸に送る運動神経の反応性の低下や麻痺による嘔吐や吐気などであるが、発熱は軽度である。これらの症状は1~3日続いた後、治癒する。ノロウイルス感染・発症に対する効果のある薬剤はなく、補液などの対症療法しかない。また、感染予防などのノロウイルスワクチンは未だ開発されていない。
【0004】
ノロウイルスの疫学的研究やノロウイルスワクチンなどの研究において、どのような因子がノロウイルスの感染発症や重症化の防止に重要なのかを解明することは重要である。ワクチンの開発研究においては、ワクチンの有効性を判断するための指標は必須である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】J Infect Dis, 2020 Jan 20, pii: jiaa021. Humoral and Mucosal Immuno Responses to Human Norovirus in the Elderly.
【文献】Clin Diagn Lab Immunl. 2004 Nov,11(6):1028-1034 Diagnosis of Norwalk Virus Infection by Indirect Enzyme Immunoassay Detction of Salivary Antibodies to Recombinant Norwalk Virus Antigen
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近、唾液中のノロウイルスに対するIgA抗体がノロウイルスの感染や発症・重症化に深く関わっていると報告された(非特許文献1)。しかし、報告された結果で、唾液中のIgA抗体が低くとも発症・重症化に至っていない症例があり(Fig.2)、感染のリスクをIgA抗体単独で解釈することは必ずしも難しい。また、非特許文献2のFig.1の結果からも、唾液中のIgA量が低いのにノロウイルスに感染しない例があることが分かる。つまり、ノロウイルス感染にIgA抗体が関与しているかどうかは解釈が難しいといえる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ノロウイルス感染の防止には口腔内由来の検体中に含まれるノロウイルスに対するIgA抗体(以下、単に「IgA抗体」とも記載する。)のみだけでなく、ノロウイルスに対するIgG抗体(以下、単に「IgG抗体」とも記載する。)も感染防止に関わっており、むしろIgG抗体が感染防止により重要な因子と考えられる、との結論に達し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本願は以下の発明を包含する。
[1]
被検体がノロウイルスに感染しやすいか否か、あるいは、感染後に重症化しやすい否か、の決定を補助する方法であって、
被検体の口腔内由来の検体中に含まれるノロウイルスに対するIgG抗体の濃度を1又は複数回測定する工程を含む、方法。
[2]
濃度を測定する工程において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度を1回測定し、
検体中に含まれるIgG抗体の濃度が3μg/mL以上である場合には、被検体がノロウイルスに感染しにくいか、あるいは感染後に重症化しにくい、と決定する工程を更に含む、[1]に記載の方法。
[3]
濃度を測定する工程において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度を1回測定し、
検体中に含まれるIgG抗体の濃度が3μg/mL未満である場合には、被検体がノロウイルスに感染しやすいか、あるいは感染後に重症化しやすい、と決定する工程を更に含む、[1]に記載の方法。
[4]
濃度を測定する工程において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度を少なくとも2回測定し、
ある時点で測定したIgG抗体の濃度が3μg/mL未満であり、尚且それ以降に測定したIgG抗体の濃度が経時的に増大している場合に、被検体がノロウイルスに感染しやすいか、あるいは感染後に重症化しやすいと決定し、それ以外の場合に、被検体がノロウイルスに感染しにくいか、あるいは感染後に重症化しにくい、と決定する工程を更に含む、[1]に記載の方法。
[5]
ノロウイルスがGenogroup II(GII)の遺伝子群に分類される、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
ノロウイルスがGII-4株又はGII-17株である、[5]に記載の方法。
[7]
濃度を測定する工程において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度とともに、ノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定するか、あるいは検体中に含まれるノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定する工程を更に含む、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]
ノロウイルスワクチンの投与の有効性を評価する方法であって、
被検体の口腔内由来の検体中に含まれるノロウイルスに対するIgG抗体の濃度を測定する工程を含む、方法。
[9]
投与前に3μg/mL未満であった検体中に含まれるIgG抗体の濃度がノロウイルスワクチン投与後に3μg/mL以上に増大した場合にノロウイルスワクチンが有効であると決定する工程とを含む、[8]に記載の方法。
[10]
濃度を測定する工程において、ノロウイルスワクチンを投与された被検体由来の検体中に含まれるIgG抗体の濃度を少なくとも2回測定し、
ノロウイルスワクチンを投与する前の被検体由来の検体中に含まれるIgG抗体の濃度が3μg/mL未満であり、尚且投与後に測定されたIgG抗体の濃度が3μg/mL以上に増大している場合にノロウイルスワクチンが有効であると決定する工程とを含む、[8]又は[9]に記載の方法。
[11]
ノロウイルスがGenogroup II(GII)の遺伝子群に分類される、[8]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12]
ノロウイルスがGII-4株又はGII-17株である、[11]に記載の方法。
[13]
濃度を測定する工程において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度とともに、ノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定するか、あるいは検体中に含まれるノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定する工程を更に含む、[8]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14]
ノロウイルスワクチンを投与すべきか否かの決定を補助する方法であって、
被検体の口腔内由来の検体中に含まれるノロウイルスに対するIgG抗体の濃度を測定する工程を含む、方法。
[15]
ノロウイルスワクチンを投与する前の検体中に含まれるIgG抗体の濃度が3μg/mL未満である場合にノロウイルスワクチンを投与すべきと決定する工程とを含む、[14]に記載の方法。
[16]
濃度を測定する工程において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度を少なくとも2回測定し、
ノロウイルスワクチンを投与された後の検体中に含まれるIgG抗体の濃度が3μg/mL未満に低下している場合に追加のノロウイルスワクチンを投与すべきと決定する工程を更に含む、[14]又は[15]に記載の方法。
[17]
ノロウイルスがGenogroup II(GII)の遺伝子群に分類される、[14]~[16]のいずれかに記載の方法。
[18]
ノロウイルスがGII-4株又はGII-17株である、[17]に記載の方法。
[19]
濃度を測定する工程において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度とともに、ノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定するか、あるいは検体中に含まれるノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定する工程を更に含む、[14]~[18]のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、IgG抗体の濃度を指標とすることで、医師の判断によらずとも、ノロウイルスの感染リスクの有無等を機械的に決定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1a図1aは、GII-4株に対するIgA抗体の濃度が上昇した群の結果である。
図1b図1bは、GII-4株に対するIgA抗体の濃度が減少した群の結果である。
図1c図1cは、GII-4株に対するIgA抗体の濃度が変動しなかった群の結果である。
図2a図2aは、GII-4株に対するIgG抗体の濃度が上昇した群の結果である。
図2b図2bは、GII-4株に対するIgG抗体の濃度が減少した群の結果である。
図2c図2cは、GII-4株に対するIgG抗体の濃度が変動しなかった群の結果である。
図3a図3aは、GII-17株に対するIgA抗体の濃度が上昇した群の結果である。
図3b図3bは、GII-17株に対するIgA抗体の濃度が減少した群の結果である。
図3c図3cは、GII-17株に対するIgA抗体の濃度が変動しなかった群の結果である。
図4a図4aは、GII-17株に対するIgG抗体の濃度が上昇した群の結果である。
図4b図4bは、GII-17株に対するIgG抗体の濃度が減少した群の結果である。
図4c図4cは、GII-17株に対するIgG抗体の濃度が変動しなかった群の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について説明するが、本発明の範囲は以下の実施形態に限定して解釈されない。
【0012】
(決定補助方法)
第一の態様において、被検体がノロウイルスに感染しやすいか否か、あるいは感染後に重症化しやすい否か、の決定を補助する方法であって、被検体の口腔内由来の検体中に含まれるノロウイルスに対するIgG抗体の濃度を1又は複数回測定する工程を含む、方法、が提供される。
【0013】
被検体は、ノロウイルスに感染していることが疑われる哺乳類であればよく、本方法で想定される好ましい被検体はヒトである。
【0014】
検体は、局所免疫の観点から、被検体の口腔内由来の検体、例えば唾液、喀痰、喉拭い液、粘膜組織等が使用される。採取における被検体の負担を減らす観点からは唾液を検体として使用することが好ましい。唾液は抗体との関係が明らかであり、その観点からも好ましい検体といえる。検体の採取は当業者に公知の方法により行うことができる。例えば、唾液の場合、被検体が自ら直接、唾液を所定量、例えば1mL以上を入れた採取管を回収すればよい。
【0015】
回収した検体を更に、抗体量の測定の前に追加の工程にかけてもよい。例えば、採取した唾液を遠心し、得られた上清を希釈してから抗体量を測定してもよい。
【0016】
採取した検体は抗体の濃度を1又は複数回測定する工程にかけられる。測定対象とされる免疫グロブリンはIgGクラスであればよく、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4のサブクラスのいずれか、あるいはそれらの組み合わせでもよい。
【0017】
検体中に含まれるIgG抗体の濃度を指標として、ノロウイルス感染と関連するリスク、具体的には、ノロウイルスに感染するか、しないかというリスク、感染発症により重症化するか、しないかというリスクが評価される。検体中に含まれるIgG抗体の濃度を1回測定し、検体中に含まれるIgG抗体の濃度が所定の濃度以上、例えば2.7~3.3μg/mL以上、好ましくは3μg/mL以上、より好ましくは3.3μg/mL以上である場合、被検体がノロウイルスに感染しにくいか、あるいは感染後に重症化しにくい、と決定することができる。その一方で、検体中に含まれるIgG抗体の濃度を1回測定し、検体中に含まれるIgG抗体の濃度が所定の濃度未満、例えば2.7~3.3μg/mL未満、好ましくは3μg/mL未満、より好ましくは2.7μg/mL未満である場合には、被検体がノロウイルスに感染しやすいか、あるいは感染後に重症化しやすい、と決定することができる。
【0018】
IgG抗体の濃度は経時的に、特に感染の前後で変化しうるため、測定工程は複数回行うことが好ましい。例えば、一実施形態において、IgG抗体の測定工程では、検体中に含まれるIgG抗体の濃度が少なくとも2回測定される。この場合、ある時点で測定したIgG抗体の濃度が所定の濃度未満、例えば2.7~3.3μg/mL未満、好ましくは3μg/mL未満、より好ましくは2.7μg/mL未満であり、尚且それ以降に測定したIgG抗体の濃度が経時的に増大している場合に、被検体がノロウイルスに感染しやすいか、あるいは感染後に重症化しやすいと決定し、それ以外の場合、すなわち、所定の濃度以上、例えば2.7~3.3μg/mL以上、好ましくは3μg/mL以上、より好ましくは3.3μg/mL以上である場合に、被検体がノロウイルスに感染しにくいか、あるいは感染後に重症化しにくい、と決定することができる。
【0019】
IgG抗体の濃度を測定する方法は公知の手法、例えば免疫学的手法を用いることができる。免疫学的手法には、例えば、酵素免疫測定吸着法(ELISA)、免疫染色法(蛍光抗体法、酵素抗体法、重金属標識抗体法、放射性同位元素標識抗体法を含む)、電気泳動法による分離と蛍光、酵素、放射性同位元素などによる検出方法とを組み合わせた方法(ウエスタンブロット法、蛍光二次元電気泳動法を含む)、ドット・ブロッティング法、ラテックス凝集法(LA:Latex Agglutination-Turbidimetric Immunoassay)、イムノクロマト法等がある。
【0020】
本明細書で使用する場合、「ノロウイルス」は、任意の遺伝子型を有するノロウイルスを意味する。ノロウイルスの遺伝子型の例としては、Genogroup I型又はII型がある。限定することを意図するものではないが、GI型にはGI-4株等、GII型にはGII-4株やGII-17株等が存在する。
【0021】
測定工程では、IgGに加え、検体中に含まれる成分であって、ノロウイルス感染との関係が知られている成分、例えば、ノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定してもよい。IgA抗体の濃度は単独ではノロウイルスに感染しやすいか否か、あるいは感染後に重症化しやすい否かを決定するための指標にはならないが、IgG抗体の濃度を評価する際に補助的に使用することができる。好ましい実施形態において、検体中に含まれるIgA抗体の濃度は、IgG抗体と同じ工程で測定するが、IgA抗体の濃度を別途測定する工程を追加してもよい。IgA抗体はノロウイルス感染症の発症の抑制や、重症化の防止に関与しており、検体におけるIgA抗体の濃度が前回測定した際の濃度より増大した場合、好ましくは4倍以上に増大した場合、検体が採取された被検体はノロウイルスへの感染が疑われる。
【0022】
ノロウイルス感染に関連するリスクの決定は検体に含まれるIgG抗体の濃度を補助的に用い、更に、医師が被検体の臨床症状や周囲の感染状況等から総合的に診断することで行うことができる。本方法に、ノロウイルスの診断に使用される公知の手法を組み合わせてもよい。そのような公知の手法として、糞便中のノロウイルスを検査キットで検出する手法等が知られている。
【0023】
ノロウイルスに感染しているか否かを確実に検査する方法として、ウイルス学的な診断方法がある。例えば、ノロウイルスに感染した患者(被検体)の糞便や吐ぶつには大量のウイルスが排泄されるため、そのような検体におけるノロウイルスの有無を電子顕微鏡法、逆転写PCR法、リアルタイムPCR法等で確認することができる。
【0024】
(ワクチンの有効性評価方法)
第二の態様において、ノロウイルスワクチンの投与の有効性を評価する方法であって、被検体の口腔内由来の検体中に含まれるノロウイルスに対するIgG抗体の濃度を測定する工程を含む、方法、が提供される。
【0025】
被検体は、ノロウイルスワクチンを投与された哺乳類であればよく、本方法で想定される好ましい被検体はヒトである。ノロウイルスワクチンはノロウイルス抗原を認識するものであれば特に限定されない。検体は上記のとおりである。
【0026】
本方法は決定補助方法と同様にIgG抗体を指標としてノロウイルスワクチンの投与の有効性を評価することができる。好ましい実施形態において、検体中に含まれるIgG抗体の濃度がノロウイルスワクチン投与後に所定の濃度以上、例えば2.7~3.3μg/mL以上、好ましくは3μg/mL以上、より好ましくは3.3μg/mL以上に増大した場合にノロウイルスワクチンが有効であると決定することができる。例えば、投与前に3μg/mL未満であった検体中に含まれるIgG抗体の濃度がノロウイルスワクチン投与後に3μg/mL以上に増大した場合にノロウイルスワクチンが有効であると決定される。
【0027】
IgG抗体の濃度は経時的に、特にノロウイルスワクチンの投与の前後で変化しうるため、測定工程は複数回行うことが好ましい。例えば、一実施形態において、IgG抗体の測定工程では、検体中に含まれるIgG抗体の濃度が少なくとも2回測定される。この場合、ノロウイルスワクチンを投与する前の被検体由来の検体中に含まれるIgG抗体の濃度が所定の濃度未満、例えば2.7~3.3μg/mL未満、好ましくは3μg/mL未満、より好ましくは2.7μg/mL未満であり、尚且投与後に測定されたIgG抗体の濃度が所定の濃度以上、例えば2.7~3.3μg/mL以上、好ましくは3μg/mL以上、より好ましくは3.3μg/mL以上に増大している場合、投与されたノロウイルスワクチンが有効である、と決定することができる。
【0028】
測定工程では、IgGに加え、検体中に含まれる成分であって、ノロウイルスワクチンの有効性評価との関係が知られている成分、例えば、ノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定してもよい。IgA抗体の濃度は単独ではノロウイルスに感染しやすいか否か、あるいは感染後に重症化しやすい否かを決定するための指標にはならないが、IgG抗体の濃度を評価する際に補助的に使用することができる。好ましい実施形態において、検体中に含まれるIgA抗体の濃度は、IgG抗体と同じ工程で測定するが、IgA抗体の濃度を別途測定する工程を追加してもよい。
【0029】
ノロウイルスワクチンは、任意の遺伝子型のノロウイルスに対するものでよいが、GI型ノロウイルス又は/及びGII型ノロウイルスに対するものであることが好ましい。
【0030】
(投与タイミングの決定方法)
第三の態様において、ノロウイルスワクチンを投与すべきか否かの決定を補助する方法であって、
被検体の口腔内由来の検体中に含まれるノロウイルスに対するIgG抗体の濃度を測定する工程を含む、方法、が提供される。
【0031】
被検体は、ノロウイルスに感染していることが疑われる哺乳類であればよく、本方法で想定される好ましい被検体はヒトである。検体は上記のとおりである。
【0032】
本方法は決定補助方法と同様にIgG抗体を指標としてノロウイルスワクチンを投与すべきか否かを決定することができる。好ましい実施形態において、ノロウイルスワクチンを投与する前の被検体由来の検体中に含まれるIgG抗体の濃度が所定の濃度未満、例えば2.7~3.3μg/mL未満、好ましくは3μg/mL未満、より好ましくは2.7μg/mL未満である場合にノロウイルスワクチンを投与すべきと決定することができる。
【0033】
IgG抗体の濃度は経時的に、特に感染の前後で変化しうるため、測定工程は複数回行うことが好ましい。特に、増大したIgG抗体の濃度も時間の経過とともに低下する。また、季節性インフルエンザウイルスと同様にRNAウイルス群であるノロウイルスはしばしば変異し、1,2年で流行株が変わるため、ワクチン投与前後でIgG抗体の濃度を測定し、投与後の検体に含まれるIgG抗体の濃度が3μg/mL未満に低下している場合に、追加のノロウイルスワクチンを投与すべきと決定することが好ましい。そのため、例えば、一実施形態において、IgG抗体の測定工程では、検体中に含まれるIgG抗体の濃度が少なくとも2回測定される。更に、測定工程では、ノロウイルスに対するIgA抗体の濃度を測定してもよい。
【0034】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0035】
被検体
新潟大学附属病院に通院の患者で、ステロイド投与患者やがん患者を除いた106名を被検体とした。ステロイド投与患者は、ステロイド投与が体内の免疫系に影響する可能があり、感染しても抗体が上昇しない可能性が考えられたため除外された。また、がん患者も、免疫系に影響する薬剤が投与されている可能性が高いため除外された。男女の内訳は以下のとおりである。男性:60名 女性:46名(中央年齢:66.5歳)
【0036】
唾液検体のサンプリング
被検体から以下の期間に唾液検体を採取した。
Preサンプル:2018年10月から11月の間に唾液サンプリング
Postサンプル:2019年3月から5月の間に唾液サンプリング
【0037】
サンプリングは、被検体自身が直接、唾液1mL以上を採取管に入れることで行った。回収した唾液180μLを遠心管に取り遠心(10,000回転、5分)後、上清を75μLにPBS(リン酸緩衝液)を225μL添加(4倍希釈)し、4倍希釈系列を256倍希釈まで作製し、それぞれの希釈検体を使用して抗体量を測定した。なお、非特異反応や感度の点から、最終的に64倍希釈検体での抗体量を使用した。
【0038】
唾液中のノロウイルスに対するIgA抗体及びIgG抗体の濃度の測定
採取した唾液に含まれるIgA抗体及びIgG抗体の濃度をELISA法により測定した。ELISA法は以下のプロトコールに従い行った。
【0039】
ELISAプロトコール
・タバコ植物によるmagnICON(登録商標)システムで発現したGII-4 aomori株(Virus like particle: VLP(GII-4))及びGII-17 kawasaki株VLP(GII-17)をPBS、pH7.4(ナカライ社製)にて1μg/mLの濃度に希釈する。
・希釈した各VLP 50μLを96wellマイクロプレート(Nunc社製)の各wellに滴加、4℃で一晩静置する。
・静置後、プレートを0.1%Polyoxyethylene(20) Sorbitan Monolaurate (WAKO社製)含むPBS、pH7.4(PBST)で3回洗浄する。
・洗浄後、ブロッキングとして、1%Bovine Serum Albumin(SIGMA社製)を含むPBS,pH7.4(PBSB)を各wellに80uL滴加し、室温で2時間インキュベーションする。
・PBSBを捨てる。
・PBSで64倍に希釈した唾液サンプル50μLを各wellに滴加し、室温で4時間インキュベーションする。
・プレートをPBSTにて3回洗浄する。
・PBSTBにて2,000倍希釈した抗ヒトIgG抗体パーオキシダーゼ標識抗体(ヤギ)(SouthernBiotech社製)及び抗ヒトIgA抗体パーオキシダーゼ標識抗体(ヤギ)(SouthernBiotech社製)50μLを各wellに滴加し、室温で2時間インキュベーションする。
・その後、PBSTにてプレートを5回洗浄する。
・洗浄後、TMB ELISA基質液(Thermo Scientific社製)を各wellに50μL滴加する。
・発色を確認できるまで、遮光して室温でインキュベーションする。
・STOP液(Invitrogen社製)50μLを各wellに滴加して、反応を停止させる。
・450nmの吸光度を測定する。
・国立感染症研究所 免疫部 高橋先生が作製したGII-4及びGII-17に対するヒト化IgA抗体及びヒト化IgG抗体で検量線を作成し、サンプルの吸光度から抗体の濃度を求める。
【0040】
ELISAの結果を図1~4に示す。
【0041】
GII-4株に対する唾液IgA抗体とIgG抗体の濃度の変動
PreサンプルのIgA抗体の濃度及びIgG抗体の濃度とPostサンプルのIgA抗体の濃度及びIgG抗体の濃度を比較した結果、IgA抗体、IgG抗体ともに、Preサンプルの抗体の濃度がPostサンプルでは上昇していた群と減少していた群並びにほとんど変化しなかった群に分けることができた(図1)。
【0042】
図1は、GII-4株に対するPreサンプルとPostサンプルの唾液IgA抗体の濃度を比較した結果を示している。a)はIgA抗体の濃度が上昇した群、b)は減少した群、c)は変動がなかった群の各ボランティアのPreとPostサンプルにおけるIgA抗体の濃度の分布図である。
【0043】
一般的にウイルスなどが感染した場合には、感染ウイルスに対する抗体の濃度が上昇する。IgA抗体濃度が上昇した群(図1a))は、PreとPostのサンプリングの期間にGII-4株の何らかの感染が疑われる。また、減少した群(図1b))はサンプリングの期間に感染はなかったと考えられる。
【0044】
IgA抗体の濃度が上昇した群のPreのIgA抗体の濃度分布と減少した群のPreのIgA抗体の濃度分布を比較すると、減少した群のIgA抗体の濃度分布が高い濃度に分布している。つまり、IgA抗体の濃度が低い場合には、GII-4株に感染しやすいが、高い場合には感染しにくいと考えられる。
【0045】
ボランティアNo.48は嘔吐などの症状を発症しており(妻も後日発症)、ノロウイルスの感染が強く疑われた。しかし、No48のPreでのIgA抗体の濃度は10μg/mLと高く、減少した群のPreのIgA抗体の濃度分布と同等であるが、感染が強く疑われる。感染の防止には唾液中のIgA抗体のみでは説明できない。
【0046】
図2は、GII-4株に対するPreサンプルとPostサンプルの唾液IgG抗体の濃度を比較した結果を示している。a)はIgG抗体の濃度が上昇した群、b)は減少した群、c)は変動がなかった群の各ボランティアのPreとPostサンプルにおけるIgG抗体の濃度の分布図である。
【0047】
図1と同様にIgG抗体の濃度が上昇した群(図2a))は、PreとPostのサンプリングの期間にGII-4株の何らかの感染が疑われる。また、減少した群(図2b))はサンプリングの期間に感染はなかったと考えられ、サンプリング前に感染があったものと考えられる。
【0048】
図1のIgA抗体の濃度と同様に、IgG抗体の濃度が上昇した群のPreのIgG抗体の濃度分布と減少した群のPreのIgG抗体の濃度分布を比較すると、減少した群のIgG抗体の濃度分布が高い濃度に分布している。IgA抗体の濃度とは異なり、IgG抗体の濃度の場合には、上昇した群ではPreのIgG抗体の濃度が3μg/mL未満で分布しており、減少した群ではPreのIgG抗体の濃度が3μg/mL以上に分布していた。つまり、IgG抗体の濃度が3μg/mL未満の場合には、GII-4株に感染するが、3μg/mL以上の場合には感染をしないと考えられる。なお、IgG抗体の濃度の変動とIgA抗体の濃度の変動との間に相関関係は確認できなかった。
【0049】
感染が強く疑われたボランティアNo.48のPreでのIgA抗体の濃度は10μg/mLと高く、減少した群のPreのIgA抗体の濃度分布と同等であったが、No48のPreのIgG抗体の濃度は、減少した群のIgG抗体の濃度分布より明らかに低くかった。この結果から、感染の防止には唾液中のIgA抗体のみだけでなく、IgG抗体も関わっている、むしろIgG抗体が感染防止により重要な因子と考えられた。
【0050】
GII-17株に対する唾液IgA抗体の濃度とIgG抗体の濃度の変動
GII-4株に対する結果と同様に、PreサンプルのIgA抗体の濃度及びIgG抗体の濃度とPostサンプルのIgA抗体の濃度及びIgG抗体の濃度を比較した結果、IgA抗体、IgG抗体ともに、Preサンプルの抗体の濃度がPostサンプルでは上昇していた群と減少していた群並びにほとんど変化しなかった群に分けることができた(図3)。
【0051】
図3は、GII-17株に対するPreサンプルとPostサンプルの唾液IgA抗体の濃度を比較した結果を示している。a)はIgA抗体の濃度が上昇した群、b)は減少した群、c)は変動がなかった群の各ボランティアのPreとPostサンプルにおけるIgA抗体の濃度の分布図である。
【0052】
IgA抗体の濃度が上昇した群のPreのIgA抗体の濃度分布と減少した群のPreのIgA抗体の濃度分布を比較すると、減少した群のIgA抗体の濃度分布が高い濃度に分布しているが、両群のIgA抗体の濃度分布は一部重なる。IgA抗体の濃度が低い場合には、GII-17株に感染しやすく、高い場合には感染をしにくいと考えられる。
【0053】
図4は、GII-17株に対するPreサンプルとPostサンプルの唾液IgG抗体の濃度を比較した結果を示している。a)はIgG抗体の濃度が上昇した群、b)は減少した群、c)は変動がなかった群の各ボランティアのPreとPostサンプルにおけるIgG抗体の濃度の分布図である。
【0054】
図3と同様にIgG抗体の濃度が上昇した群(図4a))は、PreとPostのサンプリングの期間にGII-17株の何らかの感染が疑われる。また、減少した群(図4b))はサンプリングの期間に感染はなかったと考えられる。
【0055】
上述と同様に、IgG抗体の濃度が上昇した群のPreのIgG抗体の濃度分布と減少した群のPreのIgG抗体の濃度分布を比較すると、減少した群のIgG抗体の濃度分布が高い濃度に分布している。IgA抗体の濃度とは異なり、図2と同様にIgG抗体の濃度の場合には、上昇した群ではPreのIgG抗体の濃度が3μg/mL未満で分布しており、減少した群ではPreのIgG抗体の濃度が3μg/mL以上に分布していた。つまり、IgG抗体の濃度が3μg/mL未満の場合には、GII-17株に感染しやすいが、3μg/mL以上の場合には感染しにくいと考えられる。
【0056】
感染が強く疑われたボランティアNo.48(またNo.108は感染が疑われるが無症状)のPreでのIgA抗体の濃度は、減少した群のPreのIgA抗体の濃度分布と同等であったが、No48のPreのIgG抗体の濃度は、減少した群のIgG抗体の濃度分布より明らかに低くかった。感染の防止には唾液中のIgA抗体のみだけでなく、IgG抗体も関わっている、むしろIgG抗体が感染防止により重要な因子と考えられた。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c