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特許7580745搬送システム及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】搬送システム及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/08 20060101AFI20241105BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20241105BHJP
   B65G 47/46 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
B65G43/08 A
B65G47/68 C
B65G47/46 B
B65G47/46 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020155991
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022049778
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 敬一
(72)【発明者】
【氏名】水田 和宏
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-210248(JP,A)
【文献】実開平03-051721(JP,U)
【文献】特開2012-197139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00 - 43/10
B65G 47/00 - 47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送路と、
前記搬送路上の物品をシュート部に押し出す押出部と、
前記搬送路の搬送面下に配設されると共に、一対のローラ周りに巻回された無端ベルトであって、前記搬送路上の物品を持ち上げ、前記シュート部に送り出す送出部と、
前記物品に応じて、前記押出部により前記物品を前記シュート部に押し出す第一制御と、前記送出部により前記物品を前記シュート部に送り出す第二制御と、を実行する制御部と
前記送出部を内周面から搬送路側又は搬送路と対向する側に押圧して、前記送出部にテンションを付与するテンション付与部と、を有し、
前記制御部は、
前記第一制御において、前記テンション付与部により、前記送出部を内周面から搬送路と対向する側に押圧して前記送出部にテンションを付与し、
前記第二制御において、前記テンション付与部により、前記送出部を内周面から搬送路側に押圧して前記送出部にテンションを付与すると共に、前記送出部の上端部を前記搬送路の搬送面上に浮上させる、
搬送システム。
【請求項2】
前記テンション付与部は、
前記送出部を内周面から搬送路と対向する側に押圧して、前記送出部にテンションを付与する第一テンション付与部と、
前記送出部を内周面から搬送路側に押圧して、前記送出部にテンションを付与する第二テンション付与部と、からなり、
前記制御部は、
前記第一制御において、前記第一テンション付与部により、前記送出部を内周面から搬送路と対向する側に押圧して前記送出部にテンションを付与し、
前記第二制御において、前記第二テンション付与部により、前記送出部を内周面から搬送路側に押圧して前記送出部にテンションを付与すると共に、前記送出部の上端部を前記搬送路の搬送面上に浮上させる、
請求項記載の搬送システム。
【請求項3】
前記物品の寸法又は重量に係る情報に基づいて、前記制御部による制御を前記第一制御又は前記第二制御のいずれかに決定する決定処理部、をさらに有する、
請求項1又は2記載の搬送システム。
【請求項4】
物品を搬送する搬送路と、
前記搬送路上の物品をシュート部に押し出す押出部と、
前記搬送路の搬送面下に配設されると共に、一対のローラ周りに巻回された無端ベルトであって、前記搬送路上の物品を持ち上げ、前記シュート部に送り出す送出部と、を有する搬送システムに対し、
前記物品に応じて、前記押出部により前記物品を前記シュート部に押し出す第一制御と、前記送出部により前記物品を前記シュート部に送り出す第二制御と、
前記送出部を内周面から搬送路側又は搬送路と対向する側に押圧して、前記送出部にテンションを付与するテンション付与処理と、を実行させ、
前記第一制御において、前記送出部を内周面から搬送路と対向する側に押圧して前記送出部にテンションを付与し、
前記第二制御において、前記送出部を内周面から搬送路側に押圧して前記送出部にテンションを付与すると共に、前記送出部の上端部を前記搬送路の搬送面上に浮上させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送過程で物品を仕分ける搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流倉庫などの振分装置として、押し出し部材を用いてコンベア上の手紙や小包を順次仕分ける装置が知られている。
例えば、物品の振り分けを高速に行うことができるフリッパ式振分装置が知られている。(特許文献1)。
また、物品を載置して主搬送経路に沿って搬送する複数の物品支持体を備え、各物品支持体にそれぞれ、物品支持体に外嵌して案内され物品支持体上の物品の側方に作用し、物品を左右方向へ移動させる物品横押し体を設けた搬送設備が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開第2011-88737号公報
【文献】特開第2008-115004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、物品の仕分け装置によって物品を仕分ける際、物品の大きさや重量にかかわらず、物品を押し出す押出部材のみで押し出す場合には、当該押出部材にかかる負担が大きく、消耗も激しい。また、その結果、物品の安定した仕分けに支障を来す恐れもある。
【0005】
そこで本発明は、物品に応じて安定した仕分けを行うことを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る搬送システムは、物品を搬送する搬送路と、前記搬送路上の物品をシュート部に押し出す押出部と、前記搬送路上の物品を持ち上げ、前記シュート部に送り出す送出部と、前記物品に応じて、前記押出部により前記物品を前記シュート部に押し出す第一制御と、前記送出部により前記物品を前記シュート部に送り出す第二制御と、を実行する制御部と、を有する。
【0007】
なお、上記本発明に係る搬送システムは、これを有する搬送ライン、あるいは搬送装置の発明として構成することもできる。また、上記搬送システムが備える各手段によって実行される処理を実行する方法の発明として構成したり、当該処理を搬送システム等のコンピュータに実行させるコンピュータプログラムの発明として構成したりすることもできる。なお、コンピュータプログラムに係る発明として構成した場合には、コンピュータプログラムは、各種のコンピュータ読取可能な記録媒体に格納して提供したり、インターネット等のネットワークを介してダウンロード可能に提供したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る搬送システムの全体像を示した外観斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る搬送システムの採寸計量部を示した側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る搬送システムの採寸計量部を示した断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る搬送システムの機能構成を示した図である。
図5】本発明の実施形態に係る搬送システムの分岐部を示す外観斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る搬送システムの分岐部を示す断面斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る搬送システムによって軽量物制御が実行されている状態を示す断面斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る搬送システムによって軽量物制御が実行されている状態を示す側断面図である。
図9】本発明の実施形態に係る搬送システムにおいて、押出部の状態を示す模式図であって、(a)押出部が物品に当接している状態、(b)物品から押出部に荷重がかかっている状態、を示す。
図10】本発明の実施形態に係る搬送システムを構成する第一テンション付与部を示す外観斜視図である。
図11】本発明の実施形態に係る搬送システムの分岐部を示す断面斜視図である。
図12】本発明の実施形態に係る搬送システムによって重量物制御が実行されいてる状態を示す外観斜視図である。
図13】本発明の実施形態に係る搬送システムによって重量物制御が実行されている状態を示す側断面図である。
図14】本発明の実施形態に係る搬送システムにおいて、物品情報の取得から仕分けが実行されるまでの処理の流れを示した処理フロー図である。
図15】本発明の実施形態に係る搬送システムによって実行される軽量物制御の流れを示した処理フロー図である。
図16】本発明の実施形態に係る搬送システムによって実行される重量物制御の流れを示した処理フロー図である。
図17】本発明の実施形態に係る搬送システムにおいて、押出部を検出するセンサの配置を模式的に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
●概要
以下、本発明の実施形態に係る搬送システムについて、図を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る搬送システム1を示している。
搬送システム1は、物品Wを搬送過程で採寸、計量等し、シュート部131、141に当該物品Wを仕分ける。
【0010】
この搬送システム1はシュート部131、141への物品Wの仕分けにおいて、物品Wの重量に応じて異なる仕分け制御を択一的に実行するシステムである。本実施形態では、第一制御として相対的に軽量な物品Wを仕分ける軽量物制御を、第二制御として相対的に重量のある物品Wを仕分ける重量物制御を実行する。より詳細には、軽量物制御においては図7に示されるように、押出部33によって物品Wをシュート部131(141)に押し出し、重量物制御においては図12に示されるように、ベルト31によって物品Wをシュート部131(141)に送り出す。
【0011】
●搬送システム1の全体像
図1に示されるように、本実施形態に係る搬送システム1は、物品Wの採寸や計量を行う採寸計量部1aと、物品Wの仕分けを行う仕分け部1bによって構成されている。この搬送システム1は、図1及び図4に示されるとおり、ベルトコンベア10、センサ群20、仕分け機構30、40、シュート部131、141を備え、物品Wを所定のシュート部131、141に仕分けする。
【0012】
なお、ベルトコンベア10はベルトコンベア11、12、13、14、15と分岐部130、140を総称したものであり、センサ群20は物品検出センサ21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、及びゲートセンサ23を総称したものである。
また、図1では、2つのシュート部131、141しか示していないが、適宜の仕様によってより多数のシュート部が設けられる。例えば、最後尾等にエラー物品を仕分けするための排出シュート部が設けられる場合もある。この点は、分岐部130、140等も同様であり、適宜の仕様によってより多数の分岐部が設けられることがある。
また、シュート部131、141は、必ずしも同じ長さによって構成されるものではなく、仕分けの便宜のために異なる長さで構成されている場合がある。図1の例もそのような例を示しており、シュート部141はシュート部131に比して長く構成されている。
また、シュート部131、141は、図1中においては、分岐部130、140の搬送方向右側に設けられているが、搬送方向左側に設けられていてもよいし、分岐部130、140ごとに右側又は左側と異なる側に設けられていてもよい。また、分岐部130、140において、搬送方向右側と左側の両側にシュート部131、141が設けられていてもよい。
【0013】
●採寸計量部1a
ベルトコンベア10は、物品Wの搬送路を構成すると共に、当該物品Wを搬送する搬送手段である。
このベルトコンベア10は、直列且つ隣接して一直線上に配置された複数のベルトコンベア11、12、13、14、15と、ベルトコンベア13、14の間及びベルトコンベア14、15の間にそれぞれ設けられた分岐部130、140によって構成されている。
このうち、ベルトコンベア11、12は採寸計量部1aの一部を構成しており、このベルトコンベア11、12には、搬送される物品Wの通過を検出するセンサ群20が設けられている。
【0014】
センサ群20は、ベルトコンベア10上を搬送される物品Wから物品情報を取得する物品情報取得手段を構成する。物品情報には、物品Wの外形寸法のほか、物品Wの搬送面上の高さや、物品Wの搬送面上の位置に係る情報が含まれる。なお、実際的には、センサ群20によって取得されるデータは所謂生データであり、適宜の計算や編集がなされることによって物品情報を構成する。
【0015】
このセンサ群20は、図2に示されるように、物品検出センサ21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21hとゲートセンサ23によって構成される。
【0016】
センサ群20のうち、物品検出センサ21a~21hは、ベルトコンベア11、12の搬送方向に沿って一定間隔で連続的に設けられており、搬送される物品Wの移動を検出する。この物品検出センサ21a~21hは夫々、ベルトコンベア11、12の幅方向に対向して設けられた発光部と受光部からなるフォトセンサによって構成され、発光部と受光部の間に形成される光路の遮断を検出することにより、所定の位置における物品Wの移動を検出する。
【0017】
ゲートセンサ23は、図3にも示されるように、ベルトコンベア11、12上を搬送される物品Wについて、その寸法や端部を検出するためのセンサであり、ベルトコンベア11とベルトコンベア12の間に設けられている。このゲートセンサ23は、ベルトコンベア11、12の搬送面を跨ぐゲート型のフレーム231と、該フレーム231に備えられ、ベルトコンベア11、12の搬送面を挟んで上下に対向して配置された複数の発光部23aと受光部23bからなるフォトセンサ、及び搬送路の幅方向に対向して配置された複数の発光部23cと受光部23dからなるフォトセンサとによって構成される。フォトセンサは、発光部23a(23c)からの光を受光部23b(23d)が受けて信号としており、ベルトコンベア11、12上を搬送される物品Wが、発光部23a(23c)と受光部23b(23d)の間に形成される光路を遮ることで発生する信号の変化を読み取り、物品Wを検出することができる。さらには、信号をサンプリングし、順次のサンプル値が大きく変化するのを検知することにより、物品Wの端部(搬送方向に沿った先端あるいは後端)を判定することができる。また、発光部23cと受光部23dは、最も低い位置では搬送面上に配置されると共に、鉛直方向に順次配置されていることから、物品Wの高さ方向の端部が検出される。
このような構成からなるセンサ群20によって取得された情報により、搬送面上における物品Wの高さや位置を判別することができる。
【0018】
なお、上述の通り、ゲートセンサ23を構成する発光部23aと受光部23bは、ベルトコンベア11、12の搬送面を挟んで上下に対向して配置されているため、物品Wの厚さによらず、どのような形状からなる場合でもその移動を検出することができる。
また、図示省略しているが、ベルトコンベア11、12には物品情報取得手段として他に、搬送される物品Wの重量を計量する計量部が備えられているほか、物品Wに貼付又は印字等されたバーコード等の情報を読み取るカメラなどが適宜に備え付けられている。
【0019】
また、物品検出センサ21a~21hのほかに、シュート部131、141に送り出す物品Wが分岐部130、140に到達するタイミングを測るためのセンサが設けられている。このようなセンサは例えば、ベルトコンベア13、14の幅方向に対向して設けられた発光部と受光部からなるフォトセンサによって構成することができ、例えば、分岐部130、140よりも僅かに手前の位置に設けられる。
●仕分け部1b
【0020】
ベルトコンベア13、14、15と分岐部130、140は、仕分け部1bの一部を構成しており、分岐部130、140では物品Wがシュート部131、141に送り出され、これにより物品Wが仕分けられる。
なお、以下の分岐部130、140に関する説明では、分岐部130を例にとって説明するが、分岐部140の構成も分岐部130と同様であり、分岐部140には分岐部130が備える仕分け機構30に対応する仕分け機構40が設けられている。
【0021】
分岐部130には、図5及び図6に示すように、物品Wを搬送方向下流に搬送するための複数の搬送ローラ1301が設けられている。
各搬送ローラ1301は、物品Wの搬送方向と直交する向きに長さを有し、搬送方向に沿って、一定幅の間隙G1を設けながら配設されている。複数の搬送ローラ1301は、ベルトコンベア10と共に物品Wを搬送する搬送路を構成し、その上面は物品Wの搬送面を構成する。複数の搬送ローラ1301が搬送方向に回転駆動すると、搬送面上の物品Wが搬送方向に搬送される。
【0022】
また、分岐部130には、分岐部130に到達した物品Wをシュート部131へ送り出すことにより物品Wを仕分ける仕分け機構30として、ベルト31、駆動ローラ32、押出部33、第二テンション付与部35、及び第一テンション付与部34が設けられている。
なお、この仕分け機構30は、複数の搬送ローラ1301の間ごとに設けられており、いずれも同じ構成からなる。分岐部130に設ける仕分け機構30の数は特に限られないが、複数設けるのが好適である。
【0023】
ベルト31は、物品Wの仕分け制御に応じて、搬送路上の物品Wを持ち上げてシュート部131、141に送り出したり、外周面上に設けられた押出部33を間隙G1に沿ってスライドさせたりする送出部を構成する。本実施形態において、ベルト31は無端ベルトであって、一対の駆動ローラ32周りに巻回され、駆動ローラ32が回転駆動するのに応じて回転する。
このベルト31は、搬送ローラ1301による物品Wの搬送方向と直交する向きであって、分岐部130にシュート部131が接続している向きに回転する。
ベルト31の幅は少なくとも、隣り合う搬送ローラ1301間に僅かに形成される間隙G1の幅よりも小さい。これにより、隣り合う搬送ローラ1301間に設けられているベルト31が搬送ローラ1301に接触しないようになっており、間隙G1からベルト31や当該ベルト31に設けられている押出部33が搬送面下より潜在可能に突出するようになっている。
【0024】
また、ベルト31は、自然状態において一定の緩みをもつようにして、一対の駆動ローラ32周りに巻回されている。このベルト31の緩みは図6及び図11を参照して後述するとおり、ベルト31の内側に設けられた第一テンション付与部34又は第二テンション付与部35によってベルト31が内側から外側に向かって押圧されるとなくなり、ベルト31は突っ張った状態となる。
【0025】
このようなベルト31は、軽量物制御においては図7に示されるように、その外周面に取り付けられた押出部33を間隙G1に沿ってスライドさせる役割を果たし、重量物制御においては図12に示されるように、上端側の外周面上に物品Wを持ち上げ、当該物品Wをシュート部131へ送り出す役割を果たす。
【0026】
なお、本実施形態においてベルト31として構成された送出部は、物品Wを送り出したり、押出部33を取り付けた状態で回転させたりできる限り、チェーンやコードなどによって構成することもでき、本実施形態のように無端ベルトに限られることはない。
【0027】
駆動ローラ32は、ベルト31を回転させるための駆動部であり、互いに離間して一対、搬送面下に設けられており、搬送方向に対して直交する向きに回転駆動する。この一対の駆動ローラ32には、無端のベルト31が巻回されており、駆動ローラ32が回転駆動することにより、ベルト31を回転させることができる。
なお、一対の駆動ローラ32は、いずれもが能動的に駆動するローラであってもよいし、一方のみが駆動するローラであって、他方が従動的に回転するローラであってもよい。
【0028】
押出部33は、分岐部130の搬送路上の物品Wをシュート部131へ押し出す押出手段を構成し、本実施形態においてはベルト31の外周面に4つ設けられている。
なお、以下の説明において、4つの押出部33を区別して言及する場合には、押出部33a、33b、33c、33dと指称する。
【0029】
この押出部33は、直角三角形状の底面を備えた三角柱形状からなる。このような形状からなる押出部33は、三角柱形状の直角を挟む一の側面がベルト31の外周面に当接するようにベルト31に取り付けられると共に、三角柱形状の一対の底面が搬送方向に対して直角をなすように設けられている。
なお、押出部33をベルト31に取り付ける方法は問わないが、例えば、接着剤等によってベルト31に接着して取り付けることができる。
【0030】
4つの押出部33a、33b、33c、33dは、2つで一組を構成し、一組の押出部33a、33bともう一組の押出部33c、33dとは、ベルト31の外周面において、点対称な位置をとるように設けられている。即ち、図6に示されるように、一組の押出部33a、33bが図示右側にくるとき、もう一組の押出部33c、33dは図示左側にくる。本実施形態では、図6に示されるように一組の押出部33a、33bともう一組の押出部33c、33dが左右対称な位置にくるとき、いずれの押出部33a、33b、33c、33dも搬送面下に潜在している。
【0031】
また、一組を構成する押出部33a、33bは互いに近接して設けられると共に、それぞれの三角柱形状の直角の部分が互いから離れる位置となるように設けられている。一組を構成する押出部33a、33bがこのように設けられていることにより、一組の押出部33a、33bの外側はベルト31に対して直角に立設するように設けられている。この一組の押出部33a、33bの外側部分は、図9に示されるように、物品Wに当接して押し出す押出面332を構成する。
なお、もう一組の押出部33c、33dについても押出部33a、33bと同様にしてベルト31上に設けられている。
【0032】
押出部33は、隣り合う搬送ローラ1301間の間隙G1よりも狭い幅で構成されており、駆動ローラ32が回転駆動してベルト31が一対の駆動ローラ32周りを回転すると、間隙G1から搬送面上へ突出したり、搬送面下に潜在したりする。
【0033】
押出部33は通常、図6に示されるように搬送面下に潜在しているが、図7及び図8に示されるように、軽量物制御の実行によって駆動ローラ32が回転すると、これに応じて搬送面上へ突出し、隣接する搬送ローラ1301間の間隙G1に沿ってシュート部131側へスライドする。そして、シュート部131側へスライドすることによって搬送面上の物品Wに当接すると、そのまま物品Wをシュート部131へ押し出す。物品Wをシュート部131へ押し出すと、押出部33は再び搬送面下へ潜在し、駆動ローラ32が駆動停止するのに応じて停止し、次の物品Wを仕分ける仕分け制御を実行可能に待機する。
【0034】
ここで、一組の押出部33a、33bともう一組の押出部33c、33dがベルト31上の点対称な位置に設けられていることから、図6に示される状態からベルト31が半回転して物品Wが押出部33aによってシュート部131に押し出されると、一組の押出部33a、押出部33bともう一組の押出部33c、33dの位置がちょうど入れ替わった状態となる。そして、次の物品Wをシュート部131へ押し出す際には、押出部33cで物品Wを押し出すことになる。このように軽量物制御が連続する場合、押出部33aと押出部33cが交互に物品Wをシュート部131へ押し出すことになり、物品Wを押し出すことで押出部33a、33cにかかる負担が分担される。
【0035】
また、図5に示される例では、搬送方向上流側からみて分岐部130の右側にシュート部131が連設しているが、左側にもシュート部(不図示。説明の便宜のため「シュート部132」とする)が設けられている場合、シュート部131に物品Wを押し出す際には押出部33a、33cが用いられ、シュート部132に物品Wを押し出す際には押出部33b、33dが用いられる。その結果、物品Wを押し出すことによって押出部33にかかる負担が4つの押出部33a、33b、33c、33dに分散され、押出部33の耐久性を向上させられる。
【0036】
なお、押出部33は図9に示されるように、三角柱形状の直角を挟む側面のうち、一の側面331がベルト31の外周面に当接するようにベルト31に取り付けられるが、この側面331を平坦に構成し、全体をベルト31の外周面に取り付けてもよいし、図9に示すように側面331の一部を取付部331aとしてベルト31の外周面に取り付けてもよい。
【0037】
この図9の例では、側面331のうち、直角寄りの端部のみがベルト31の外周面に取り付けられる取付部331aを構成しており、他方の端部はベルト31に取り付けられていない。
なお、取付部331aは、ベルト31側に向かって僅かに突出した形状を有していてもよいし、ベルト31に取り付けられない部分と面一に構成されていてもよい
【0038】
ここで、図9(a)は、押出面332が物品Wに当接しているが、物品Wを押し出していない状態を示しており、一方、図9(b)は、押出部33が物品Wを押し出している状態を示している。
図9(a)に示される状態では、側面331のうち、取付部331aとは反対側の端部には負荷がほとんどかかっていない。
一方、図9(b)に示されるように、押出部33が物品Wを押し出している状態においては、押出部33には、押出面332を介して押出部33から物品Wに作用する力に応じた反作用の力がかかる。この反作用の力は、取付部331aがベルト31から剥がれるように作用する。しかしながら、押出部33は側面331のうちの一部である取付部331aのみにおいてベルト31に取り付けられているため、側面331全体がベルト31に取り付けられている場合に比して、押出部33をベルト31から剥がすように作用する力を逃がしやすい。また、物品Wから押出部33にかかる力は、そのほとんどが側面331のうちの取付部331aとは反対側の端部の方にかかる負荷となり、取付部331aにかかる負荷は限定的である。このように、本実施形態のとおりの押出部33の形状、及び押出部33とベルト31の取り付け方により、押出部33がベルト31から容易に剥がれるのを防ぎつつ、物品Wをしっかりと押し出すことができる。
【0039】
第一テンション付与部34と第二テンション付与部35はいずれも、ベルト31の内側であって、一対の駆動ローラ32の内側に設けられている。この第一テンション付与部34と第二テンション付与部35は、ベルト31を内側から外側に向かって押圧することでベルト31にテンションを付与し、これによりベルト31に予め設けられている緩みをなくし、ベルト31を突っ張った状態にする。
第一テンション付与部34と第二テンション付与部35にはそれぞれ、第一テンション付与部34と第二テンション付与部35を上下動させるための動作部(不図示)が接続しており、動作部によってそれぞれ独立して上下動する。動作部の動力源は特に限られないが、例えば、エアーコンプレッサー、ソレノイドのほか、バネによる付勢力であってもよい。また、ギヤモータとカム機構によって上下動させることもできる。この場合、ギヤモータは回転数の制御が難しいため、カムの位置をセンサで検出し、カムの位置に応じた制御を行うようにするとよい。
【0040】
第一テンション付与部34は、図8に示されるように、軽量物制御の際に下降し、ベルト31の下端側を内側から搬送路と対向する側に押圧し、ベルト31にテンションを付与すると共に、ベルト31の下端側を下方に押し下げる。なお、重量物制御の際には図13に示されるように上昇した位置にあり、ベルト31にテンションを付与することのない状態にある。
【0041】
この第一テンション付与部34は本実施形態において、ベルト31の動作を妨げることなく回転するフリーローラ又は回転駆動する駆動ローラにより構成され、ベルト31の長さ方向に一定の距離をおいて一対、設けられている。
【0042】
第二テンション付与部35は、図13に示されるように、重量物制御の際に上昇し、ベルト31の上端側を内側から搬送路側に押圧してベルト31にテンションを付与すると共に、ベルト31の上端側を搬送路の搬送面に浮上させる。なお、軽量物制御の際には図8に示されるように下降した位置にあり、ベルト31にテンションを付与することのない状態にある。
【0043】
この第二テンション付与部35は図10に示されるように、ベルト31の長さ方向に長さを有し、ベルト31の上端側に内側から当接する矩形状の上面部351、上面部351の一側縁から下方に連設する矩形状の側面部352、側面部352の一側縁から上面部351と平行に延び出した下面部353、上面部351の長さ方向の両端から延び出した一対の延設片354から構成される。
第二テンション付与部35は例えば、金属板を適宜の箇所で折曲させたものであり、容易に変形することなくベルト31を押圧することができる。
【0044】
延設片354は、上面部351の端部から僅かに下面部353側へ角度をなして延び出している。延設片354にこのような角度がつけられていることから、図11に示されるように、重量物制御において第二テンション付与部35がベルト31の上端側を内側から押し上げた状態においては、ベルト31の第二テンション付与部35が当接している箇所は段差を形成せず、長さ方向に沿って緩やかな傾斜面を形成する。
【0045】
シュート部131、141は、仕分け情報に応じて物品Wを送り出すためのベルトコンベア10の出口であり、複数の出荷方面やパレット倉庫に物品Wを仕分けられるように複数、設けられている。
【0046】
なお、図1では、シュート部141には、所定の長さ毎にセンサ1411、1412、1413が設けられている。かかるセンサ1411、1412、1413は、制御種に関して後述するとおり、シュート部141の搬送面上の物品Wを検出しており、これによりシュート部141における物品Wの滞留状態を判断できるようになっている。
また、シュート部131、141とは、業界ではソータなどで仕分け先別に仕分けされた物品Wをコンテナへ落下(投入)して物品Wを滞留させ、あるいは一時保管する装備を意味し、傾斜式のフリーローラコンベア、駆動コンベア等、様々な部分から構成されたり、そのような様々な部分自体をそのように呼んだりする。
また、本実施形態では、「仕分け先」を「シュート(シュート部)」と同じ意味で用いることがある。一般的には、「仕分け先」といった場合、配送会社別に仕分けを行うときは配送会社のことを意味するが、本実施形態では、仕分け条件によって仕分けされて物品Wが搬送される場所、即ち、シュート部131、141と同義で用いられ、単に「仕分け条件による仕分け先」といった場合にはシュート部131、141のことを意味している。
【0047】
●機能部
搬送システム1は、図4(a)に示されるように、ハードウェア資源として、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置を備え、インターフェース回路を介して、ベルトコンベア10、センサ群20、及び仕分け機構30(40)が接続されている。
また、これによりソフトウェア資源として少なくとも、図4(b)に示されるように、仕分け条件記憶部101、制御種情報記憶部102、仕分け情報生成部103、決定処理部104、及び制御部105を備える。
【0048】
仕分け条件記憶部101は、仕分け条件を記憶する記憶部である。
仕分け条件は、物品Wの仕分けを行う際、物品Wに適用される条件である。具体的に、仕分け条件は、物品Wの寸法や重量の閾値、配送会社、物品Wのサイズ別運賃、配送条件、締め時間、物品の扱い条件などの情報等によって構成される。物品Wごとの寸法や重量、その他の仕分け条件を適用する際に必要となる情報に対し、仕分け条件を適用することで、物品Wの仕分け先、即ちシュート部131、141が決定される。
【0049】
制御種情報記憶部102は、物品Wの仕分け制御の内容を所定の種別(制御種)に分類して記憶した記憶部である。仕分け制御の内容は制御種ごとに異なっており、決定処理部104により、物品Wに応じた制御種が決定される。
制御種は本実施形態において、物品Wの重量が所定値よりも軽い場合に応じたものと、物品Wの重量が所定値よりも重い場合に応じたものがあり、ここでは上述のとおり前者を軽量物制御、後者を重量物制御と称している。
【0050】
仕分け情報生成部103は、物品Wの寸法や重量、その他の仕分け条件を適用するために必要な情報をもとに、仕分け条件を適用することによって物品Wの仕分け先、即ちいずれかのシュート部131、141を決定し、物品Wを仕分けるための仕分け情報を生成する。
この仕分け情報には少なくとも、物品Wの仕分け先、即ち、物品Wを送り出すべきシュート部131、141に係る情報が含まれるほか、適宜、物品Wの寸法や重量といった物品W自体の情報等を含めることができる。
【0051】
決定処理部104は、物品情報に含まれる物品Wの重量に係る情報に基づき、制御種情報記憶部102を参照して、搬送路上の物品Wに適用する仕分け制御の内容として所定の制御種を決定する。より具体的には、物品Wの重量に応じて軽量物制御又は重量物制御という二種類の制御種のうちのいずれか一方の制御種を択一的に決定する。
なお、決定処理部104は、制御種を決定する以外に、物品Wの高さと位置に係る情報に基づき、所定の計算式に従って、ベルと31の回転速度や押出部33のスライド動作開始位置など、付加的な制御内容を決定することもできる。
【0052】
制御部105は、仕分け機構30(40)に対し、仕分け情報、及び決定処理部104によって決定された制御種に基づいた制御信号を出力し、これにより仕分け作業を実行する。本実施形態では、制御種として軽量物制御と重量物制御があり、制御部105はいずれかの制御を実行する。
仕分け機構30(40)は、制御部105から入力された制御信号に基づき、各物品Wを所定のシュート部131(141)へ送り出す。
【0053】
●処理の流れ
続いて、物品Wの重量が所定値よりも軽い場合に実行される軽量物制御と、当該物品W重量が所定値よりも重い場合に実行される重量物制御による動作について、処理の流れと共に詳述する。以下の軽量物制御と重量物制御の説明では、分岐部130において、物品Wをシュート部131に仕分ける場合を例にとるが、分岐部140においても同様に制御される。
【0054】
なお、搬送システム1において、決定処理部104は、搬送されてくる物品Wごとに軽量物制御又は重量物制御のいずれの仕分け制御を実行するか決定する。一方、仕分け機構30は、決定処理部104によって決定した仕分け制御に応じた動作を開始するまで所定の待機状態にあり、制御部105が決定された仕分け制御を実行すると動作を開始する。また、仕分け機構30は、仕分け制御が実行された後には再び所定の待機状態に戻る。
ここで、本実施形態における待機状態は、図6に示される状態であり、第一テンション付与部34がベルト31の下端部を下方に向かって内側から押し下げてベルト31にテンションを付与する一方、第二テンション付与部35はベルト31の上端側を上方に押し上げることのない位置に待機している。また、押出部33は搬送面上に突出することなく、搬送面下に潜在した状態にある。以下の説明においては、かかる状態を単に「待機状態」と称することがある。また、この待機状態における押出部33の位置を「待機位置」と称することがある。
【0055】
まず、図14は、物品Wの仕分け処理の全体的な流れを示す。
採寸計量部1aは、センサ群20により物品Wの物品情報を取得する(S101)。この物品情報に基づき、物品Wの寸法や重量などが把握される。
【0056】
仕分け情報生成部103は、物品情報及び仕分け条件記憶部101を参照して、物品Wの寸法や重量、その他の仕分け条件を適用するために必要な情報をもとに、仕分け条件を適用することによって物品Wの仕分け先として所定のシュート部131、141を決定し、当該仕分け先に係る情報を含む仕分け情報を生成する(S102)。
【0057】
決定処理部104は、物品Wの重量に基づき、制御種情報記憶部102を参照して、物品Wの重量に応じた制御種として、軽量物制御又は重量物制御のいずれかの実行を決定する(S103)。
【0058】
制御部105は、決定処理部104によって決定された制御種に係る仕分け制御を実行し、仕分け情報と制御種に応じた制御信号が仕分け機構30に出力されると、これに応じて仕分け機構30は物品Wの仕分けを行う(S104)。
【0059】
なお、仕分け機構30が所定の仕分け制御に応じた動作を開始するタイミングは例えば、物品Wの仕分けが行われる分岐部130、140よりも上流に設けた所定のセンサにより、分岐部130、140に物品Wが接近したのを検知し、これによりタイミングを計る。また、当該所定のセンサによって物品Wの接近を検知したタイミングから、仕分けを行う分岐部130、140までの搬送速度や距離に基づき、当該仕分けを行う分岐部130、140に物品Wが到来するまでの時間を算出し、これによりタイミングを計ってもよい。
【0060】
●軽量物制御
図15は、制御部105が仕分け機構30により軽量物制御を実行する場合の処理の流れを示している。
仕分け機構30は、制御部105によって仕分け制御が実行されるまでは待機状態にあり(S201)、軽量物制御が実行されると、物品Wが分岐部130の搬送面上に到達したタイミングで動作を開始する(S202)。
【0061】
仕分け機構30は、ベルト31の上端側がシュート部131に向かうように駆動ローラ32を回転駆動させる(S203)。これに応じてベルト31が回転すると、ベルト31上の押出部33が待ベルト31の回転方向に沿って動く。図7及び図8に示されるように、ベルト31の上端側では、ベルト31の回転に応じて、押出部33のみが搬送路の搬送面下にから間隙G1を介して搬送路の搬送面上に突出し、シュート部131に向かってスライドする。
なお、分岐部130には複数のベルト31が設けられているところ、仕分け制御の実行においては当該複数のベルト31を同時に回転させ、図7に示されるように、複数の押出部33が搬送方向と直交する向きに整列した状態とする。これにより、物品Wを押し出す際に押出部33にかかる荷重を分散させやすくなるし、搬送面上の複数の物品Wの向きにばらつきがある場合でも、当該複数の物品Wの向きを揃えることもできる。
【0062】
搬送面上に突出してシュート部131に向かってスライドする押出部33は、分岐部130の搬送面上に搬送されてきた物品Wに側面から当接し、そのままシュート部131に物品Wを押し出す。
押出部33が物品Wをシュート部131に押し出すと、仕分け機構30はそのまま押出部33が搬送面下に潜るまでベルト31を回転させ、待機状態に戻る(S204)。
【0063】
●重量物制御
図16は、制御部105が仕分け機構30により重量物制御を実行する場合の処理の流れを示している。
仕分け機構30は、制御部105によって仕分け制御が実行されるまでは待機状態にあり(S301)、重量物制御が実行されると、物品Wが分岐部130の搬送面上に到達したタイミングで動作を開始する(S302)。
【0064】
仕分け機構30は、第二テンション付与部35を上昇させる(S303)。これにより、第二テンション付与部35はベルト31の上端側を上方に向かって内側から押し上げ、ベルト31にテンションを付与する。また、内側から押し上げられたベルト31は、その上端側を搬送路の搬送面上に浮上させられる。
なお、第一テンション付与部34は、降下している場合には上昇し、上昇している場合にはそのままの位置を維持し、ベルト31にテンションを付与しない状態になっている。また、押出部33は、物品Wが搬送面上に到来するまで、搬送面上に突出することなく、搬送面下に待機している。
【0065】
第二テンション付与部35が上昇し、ベルト31を介して搬送面上の物品Wが持ち上げられた後、仕分け機構30は駆動ローラ32を回転駆動させ、ベルト31の上端側をシュート部131に向かう向きに回転させる(S304)。
ベルト31が回転すると、ベルト31上の物品Wがシュート部131へ送り出される(S305)。
なお、本実施形態では、第二テンション付与部35が上昇して搬送面上の物品Wを持ち上げた後、仕分け機構30は駆動ローラ32を回転駆動させるものとしたが、これに関わらず、物品Wを持ち上げる際に押出部33が物品Wに干渉しない限り、搬送面上の物品Wを持ち上げるのと略同時のタイミングで駆動ローラ32を回転させてもよい。
また、分岐部130には複数のベルト31が設けられているところ、仕分け制御の実行においては当該複数のベルト31を搬送面上に同時に突出させ、図12及び図13に示されるように、複数のベルト31で物品Wを下方から支持した状態とする。これにより、複数のベルト31や当該複数のベルト31を支持する第二テンション付与部35にかかる荷重を分散させることができるし、物品Wを安定的に支持した状態で送り出すことができる。
【0066】
物品Wがシュート部131に送り出されると、押出部33が搬送面下に潜るまでベルト31を回転させると共に第二テンション付与部35が下降し、仕分け機構30は待機状態に戻る(S306)。
【0067】
以上の本実施形態に係る搬送システム1によれば、物品Wに応じて安定した仕分けを行うことができる。具体的には、搬送面上における物品Wの重量に応じて安定的且つ的確な仕分けを行うことができる。また、物品Wを仕分ける仕分け機構30にも余計な負担がかからない。
【0068】
なお、以上の本実施形態に係る搬送システム1において、第二制御ではベルト31を押し上げる動作に時間を要するし、このために搬送する物品Wの間隔をあける必要もある。そのため、仕分け作業全体の効率という観点では、第二制御の実行はデメリットであり、本来的には、どのような物品Wにも押出部33による第一制御を適用することが好ましい。しかしながら、押出部33による第一制御だけでは、重量の軽い物品Wなど特定の物品Wにしか対応できない。これに対して本実施形態に係る搬送システム1は、第一制御と第二制御という二種類の制御を実行でき、これによりどのような物品Wにも対応できるという、上記したデメリットを凌駕するメリットを備えているといる。
【0069】
なお、以上の本実施形態においては、図5に示されるように、隣り合う搬送ローラ1301間にはベルト31や押出部33を突出させるための間隙G1が設けられ、分岐部130とシュート部131の間にも間隙G2が設けられる。
物品Wはこの間隙G1、G2を跨ぐようにして搬送されるため、この間隙G1、G2の幅よりも小さい幅の物品Wが搬送される場合、当該物品Wが間隙G1、G2にはまり込んだり、間隙G1、G2から落ちたりする可能性がある。これを回避すべく、採寸計量部1aによって物品Wが採寸、軽量された結果、間隙G1、G2の幅よりも狭い幅を有する物品Wが検知された場合には、そのような物品Wが検知されたことを報知するようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態において、回転するベルト31上の押出部33の位置を検出したり、押出部33そのものがベルト31から外れてしまっていないかを検出したりするようにもよい。
このような検出を可能とするためには例えば、図17に示されるように、センサ4a、4b、4c、4dを設ける。
なお、以下の説明においては、各センサ4a、4b、4c、4dについて個別に言及する必要がない場合、まとめて「センサ4」と総称することがある。
【0071】
センサ4は、例えば透過型光電センサであり、センサ4aとセンサ4b、センサ4cとセンサ4dがそれぞれ対をなし、各対は一方が投光器、他方が受光器を構成する。
このようなセンサ4は、待機位置にある押出部33を検出可能に配設されている。即ち、センサ4aとセンサ4bは、待機位置にある複数の押出部33のうち、シュート部131とは反対側の端部(図示右側)に搬送方向に沿って並ぶ複数の押出部33を挟んで配設されている。図17に示す例では、センサ4aが搬送方向下流側、センサ4bが搬送方向上流側に配設されており、待機位置にある押出部33は、センサ4aとセンサ4bを結ぶ光軸上にある。
なお、図17に示す例では、センサ4aとセンサ4bは、押出部33bを検出可能に配設されているが、押出部33aを検出可能に配設されていてもよい。
【0072】
同様に、センサ4cとセンサ4dは、待機位置にある複数の押出部33のうち、シュート部131側の端部(図示左側)に搬送方向に沿って並ぶ複数の押出部33を挟んで配設されている。図17に示す例では、センサ4cが搬送方向下流側、センサ4dが搬送方向上流側に配設されており、待機位置にある押出部33は、センサ4cとセンサ4dを結ぶ光軸上にある。
なお、図17に示す例では、センサ4cとセンサ4dは、押出部33cを検出可能に配設されているが、押出部33dを検出可能に配設されていてもよい。
【0073】
このようにセンサ4が配設されていることにより、正常な状態では、押出部33が待機位置にあるとき、センサaとセンサbの間、及びセンサcとセンサdの間で投射光が遮断され、押出部33を検出することができる。一方、押出部33が待機位置にあるはずの状況において、センサaとセンサbの間、及びセンサcとセンサdの間の投射光が遮断されない場合には、押出部33がベルト31から外れてしまっていたり、押出部33の位置がずれてしまっていたりすることが推察される。
【0074】
なお、このような例によらず、待機位置にある押出部33が検出可能である限り、センサ4の種類や設け方は特に限られず、他の態様によるものであってもよい。
【0075】
なお、以上の本実施形態に係る搬送システム1において、第一テンション付与部34と第二テンション付与部35は別体として構成したが、これに関わらず、一体的なテンション付与部として構成することもできる。この場合、一体的に構成されたテンション付与部は、下部が第一テンション付与部34の役割を担い、上部が第二テンション付与部35の役割を担うことになり、その上下動によって、ベルト31の上端側あるいは下端側のいずれかに対して択一的にテンションを付与する。
【0076】
また、本実施形態に係る搬送システム1では、物品Wの重量に応じて軽量物制御と称した第一制御と、重量物制御と称した第二制御を択一的に実行したが、これとは別に、あるいはこれと合わせて、物品Wの寸法や物品Wの特性に係る情報に応じて第一制御又は第二制御を実行するようにしてもよい。なお、物品Wの特性に係る情報とは例えば、割れ物など、物品の内容等に基づいた物品の取り扱いに係る情報であり、所定の記憶部に記憶しておくことができる。ベルトコンベア11、12に備え付けられたカメラによって物品Wに貼付又は印字等されたバーコードを読み取ると、当該物品Wを識別することができ、これにより所定の記憶部を参照して、当該物品Wの特性に係る情報を取得することができる。
【0077】
物品Wの重量に代えて、物品Wの寸法に応じて制御種を決定する場合、決定処理部104は、物品情報に含まれる物品Wの寸法を所定の閾値と対比し、物品Wの寸法が所定の閾値に満たない場合には第一制御の実行を決定する。一方、対比の結果、物品Wの寸法が所定の閾値を超える場合には第二制御の実行を決定する。
【0078】
また、物品Wの寸法と重量の両方に基づいて制御種を決定する場合には、例えば、物品Wの寸法が所定の閾値に満たず、物品Wの重量も所定の閾値に満たない場合には第一制御の実行を決定し、物品Wの寸法が所定の閾値を超え、物品Wの重量も所定の閾値を超える場合には第二制御の実行を決定する。なお、物品Wの寸法が所定の閾値に満たないが、物品Wの重量が所定の閾値を超える場合、又は物品Wの寸法が所定の閾値を超えるが、物品Wの重量が所定の閾値に満たない場合には、寸法又は重量のいずれかを優先するなど、予め定めた条件に従って第一制御又は第二制御の実行を決定する。
【0079】
物品Wの重量や寸法に代えて、物品Wの特性に応じて制御種を決定する場合、決定処理部104は、物品Wの特性に応じて予め決められた制御種の実行を決定する。
このような物品Wの特性に係る情報も含め、物品Wの寸法や重量の情報と合わせて複合的な判断によって制御種を決定することもできる。例えば、物品Wの特性に基づき、第一制御又は第二制御のいずれの制御でもかまわない場合には、物品Wの寸法と重量に基づいて制御種を決定し、物品Wの特性上、第一制御又は第二制御のいずれかしか許容できない場合には、物品Wの寸法や重量の情報に基づいた判断を劣後させ、当該物品Wの特性に応じて制御種を決定する。
【0080】
なお、シュート部141について上記で言及したとおり、シュート部141には所定の長さ毎にセンサ1411、1412、1413が設けられており、これにより物品Wの滞留状態を判断できる。また、採寸計量部1aにおいては、物品Wの寸法や重量、物品の特性といった物品情報を取得することができる。そこで、これら物品Wの滞留状態に係る情報、物品情報、及び物品Wに対して適用した制御種に係る情報の相関関係を機械学習し、搬送されてくる物品Wに適用する制御種を決定あるいは切り替えるようにしてもよい。
【0081】
即ち、機械学習により、所定の物品情報をもつ物品Wに対して第一制御又は第二制御を実行した場合、あるいは所定の条件に沿って物品Wに適用する制御種を決定した場合、その結果として物品Wの滞留が発生しているか否かを判断することができる。このような判断ができた場合に、ある特定の条件下では、物品Wに適用する制御種を第一制御から第二制御に切り替えたり、逆に第二制御から第一制御に切り替えたりする。これにより、シュート部141における物品Wの滞留を防いだり、解消させたりし、効率的な仕分けを行うことができる。
【0082】
また、本実施形態に係る搬送システム1において、採寸計量部1aと仕分け部1bの間には、物品Wの物品情報や送り状伝票等を印刷情報としてラベル用紙に印刷してラベルを発行するラベル発行装置や、当該ラベルを物品Wに貼付するラベル貼付装置等を設けることもできる。
さらに、ラベル発行装置を各シュート部131、141に配置することで、例えばキャリア別仕分けを仕分け条件で選択している場合は、シュート部131、141(仕分け先、仕分け先のキャリア)に当該キャリア用ラベルを発行することができる。伝票の書式や印字内容はキャリア毎に異なるため、出力する仕分け情報に印字情報を含んで出力することでシステム化、ライン化を実現する。なお、伝票が統一できる場合には、各々のシュート部131、141に配置する必要はなく、採寸計量部1aから仕分け部1bまでの間にラベル発行装置を配置することもできる。
【0083】
また、物品Wの仕分け作業をスムーズにするための機能として、例えば、物品Wが連続して搬送されてきた場合に、物品Wの重量に応じて搬送速度を変更する機能や、物品Wを各シュート部131、141へ送出する送出速度や押圧量を調整する機能が適宜に設けられていてもよい。
そうすることで、取扱注意の物品Wや、天地無用や高さのある物品Wの破損や転倒を回避できるので、そのような破損や転倒による損害を無くし、また、それらの報告や追加作業の指示工数などの無駄な工数発生を防止することができる。
【0084】
また、上述したソフトウェア資源は適宜の設計によりいずれかのハードウェア資源に分散又は集約させることができるし、ハードウェア資源も物理的に一体をなす装置あるいは別体をなす装置として構成することもできる。これにより例えば、ソフトウェア資源はその一部又は全てを、中央集権的な上位の装置やコントローラにもたせるように構成することもできるし、所定のネットワークによって接続された外部のサーバにもたせることもできる。
【0085】
●実施形態総括
本発明は、搬送過程で物品を仕分ける搬送システムに関する。
【0086】
従来、物流倉庫などの振分装置として、押し出し部材を用いてコンベア上の手紙や小包を順次仕分ける装置が知られている。
例えば、物品の振り分けを高速に行うことができるフリッパ式振分装置が知られている。(特開第2011-88737号公報)。
また、物品を載置して主搬送経路に沿って搬送する複数の物品支持体を備え、各物品支持体にそれぞれ、物品支持体に外嵌して案内され物品支持体上の物品の側方に作用し、物品を左右方向へ移動させる物品横押し体を設けた搬送設備が知られている(特開第2008-115004号公報)。
【0087】
しかしながら、物品の仕分け装置によって物品を仕分ける際、物品の大きさや重量にかかわらず、物品を押し出す押出部材のみで押し出す場合には、当該押出部材にかかる負担が大きく、消耗も激しい。また、その結果、物品の安定した仕分けに支障を来す恐れもある。
【0088】
そこで本発明は、物品に応じて安定した仕分けを行うことを目的の一つとする。
【0089】
上記目的を達成するため、本発明に係る搬送システムは、物品を搬送する搬送路と、前記搬送路上の物品をシュート部に押し出す押出部と、前記搬送路上の物品を持ち上げ、前記シュート部に送り出す送出部と、前記物品に応じて、前記押出部により前記物品を前記シュート部に押し出す第一制御と、前記送出部により前記物品を前記シュート部に送り出す第二制御と、を実行する制御部と、を有する。
【0090】
また、前記押出部は、前記送出部の外周面に設けられており、前記制御部は、前記第一制御において、前記搬送路の搬送面下から前記押出部のみを前記搬送路の搬送面上に突出させ、前記第二制御において、前記送出部を前記搬送路の搬送面上に浮上させるものとしてもよい。
【0091】
また、前記送出部は、前記搬送路の搬送面下に配設されると共に、一対のローラ周りに巻回された無端ベルトであって、前記送出部を内周面から搬送路側又は搬送路と対向する側に押圧して、前記送出部にテンションを付与するテンション付与部、をさらに有し、前記制御部は、前記第一制御において、前記テンション付与部により、前記送出部を内周面から搬送路と対向する側に押圧して前記送出部にテンションを付与し、前記第二制御において、前記テンション付与部により、前記送出部を内周面から搬送路側に押圧して前記送出部にテンションを付与すると共に、前記送出部の上端部を前記搬送路の搬送面上に浮上させるものとしてもよい。
【0092】
また、前記テンション付与部は、前記送出部を内周面から搬送路と対向する側に押圧して、前記送出部にテンションを付与する第一テンション付与部と、前記送出部を内周面から搬送路側に押圧して、前記送出部にテンションを付与する第二テンション付与部と、からなり、前記制御部は、前記第一制御において、前記第一テンション付与部により、前記送出部を内周面から搬送路と対向する側に押圧して前記送出部にテンションを付与し、前記第二制御において、前記第二テンション付与部により、前記送出部を内周面から搬送路側に押圧して前記送出部にテンションを付与すると共に、前記送出部の上端部を前記搬送路の搬送面上に浮上させるものとしてもよい。
【0093】
また、前記物品の寸法又は重量に係る情報に基づいて、前記制御部による制御を前記第一制御又は前記第二制御のいずれかに決定する決定処理部、をさらに有するものとしてもよい。
【0094】
また、本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、物品を搬送する搬送路と、前記搬送路上の物品をシュート部に押し出す押出部と、前記搬送路上の物品を持ち上げ、前記シュート部に送り出す送出部と、を有する搬送システムに対し、前記物品に応じて、前記押出部により前記物品を前記シュート部に押し出す第一制御と、前記送出部により前記物品を前記シュート部に送り出す第二制御と、を実行させる。
【0095】
本発明によれば、物品に応じて安定した仕分けを行うことができる。即ち、物品の重量や寸法に応じた仕分け制御が自動的に決定、実行されるため、どのような重量や寸法の物品が搬送されてきても、的確に仕分けることができる。また、物品の重量や寸法に応じた仕分け制御が実行されるため、物品や搬送システム自体の破損等を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0096】
1 :搬送システム
101 :仕分け条件記憶部
102 :制御種情報記憶部
103 :仕分け情報生成部
104 :決定処理部
105 :制御部
1a :採寸計量部
1b :仕分け部
10-15 :ベルトコンベア
20 :センサ群
21a-21h :物品検出センサ
23 :ゲートセンサ
30、40 :仕分け機構
31 :ベルト
32 :駆動ローラ
33(33a-33d) :押出部
331 :側面
331a :取付部
332 :押出面
34 :第一テンション付与部
35 :第二テンション付与部
351 :上面部
352 :側面部
353 :下面部
354 :延設片
130、140 :分岐部
1301 :搬送ローラ
131、141 :シュート部
G1、G2 :間隙
W :物品

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