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特許7580753システム、プログラム、方法及び情報処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】システム、プログラム、方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241105BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20241105BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20241105BHJP
【FI】
G06Q50/10
A47K1/00 Z
G06Q30/0207 328
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020218005
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102928
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】517039483
【氏名又は名称】WOTA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】前田 瑶介
(72)【発明者】
【氏名】奥寺 昇平
(72)【発明者】
【氏名】山田 諒
(72)【発明者】
【氏名】西尾 学
(72)【発明者】
【氏名】割田 聖洋
(72)【発明者】
【氏名】堀江 史郎
(72)【発明者】
【氏名】須摩 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 萌
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0273318(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0018689(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00- 99/00
A47K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたは複数のコンピュータによって構成されるシステムであって、
ユーザが施設に設置される手洗い装置を利用したことを記憶するステップと、
前記ユーザが前記手洗い装置を利用したことに基づいて、前記ユーザに、前記施設を利用する際に有利な特定の効果を付与するステップと、
前記ユーザの位置に関する情報を取得するステップと、
前記ユーザの位置と、前記手洗い装置の位置とに応じ、前記ユーザに前記手洗い装置の利用を促すステップと
を実行する、システム。
【請求項2】
前記付与するステップにおいて、前記特定の効果として、前記ユーザに、割引の権利、または、有価的な価値を付与する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記付与するステップにおいて、前記ユーザに、前記割引の権利又は前記有価的な価値として、有効期限が設定され、かつ、前記施設で利用できるものを付与する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記施設は、系列に属する複数の施設のうちのいずれかであり、
前記付与するステップにおいて、前記ユーザに、前記割引の権利又は前記有価的な価値として、前記施設が属する系列における前記複数の施設で利用できるものを付与する、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記付与するステップにおいて、前記特定の効果として、所定のサービスを利用できる権利を付与する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記付与するステップにおいて、前記所定のサービスとして、前記施設内で所定の箇所に入場することで利用できるサービス、または、前記施設が提供する交通サービスを前記ユーザに利用可能とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、
前記施設における前記手洗い装置の利用状況を示す情報を、前記施設において前記施設の来場者に対し提示させるステップを実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記提示させるステップにおいて、前記施設の前記来場者の数をカウントした結果と、前記記憶するステップにより記憶される前記手洗い装置の利用履歴とに基づいて、前記施設の来場者が前記手洗い装置を利用した割合を特定し、特定した前記割合を提示させる、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは、前記プロセッサに、
ユーザが施設に設置される手洗い装置を利用したことを記憶するステップと、
前記ユーザが前記手洗い装置を利用したことに基づいて、前記ユーザに、前記施設を利用する際に有利な特定の効果を付与するステップと、
前記ユーザの位置に関する情報を取得するステップと、
前記ユーザの位置と、前記手洗い装置の位置とに応じ、前記ユーザに前記手洗い装置の利用を促すステップと
を実行させる、プログラム。
【請求項10】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータにより実行される方法であって、
前記方法は、前記プロセッサが、前記メモリに記憶されるプログラムを読み込んで実行することにより、
ユーザが施設に設置される手洗い装置を利用したことを記憶するステップと、
前記ユーザが前記手洗い装置を利用したことに基づいて、前記ユーザに、前記施設を利用する際に有利な特定の効果を付与するステップと、
前記ユーザの位置に関する情報を取得するステップと、
前記ユーザの位置と、前記手洗い装置の位置とに応じ、前記ユーザに前記手洗い装置の利用を促すステップと
を実行する、方法。
【請求項11】
制御部と、記憶部とを備える情報処理装置であって、
前記制御部が、前記記憶部に記憶されるプログラムに基づいて動作することにより、
ユーザが施設に設置される手洗い装置を利用したことを記憶するステップと、
前記ユーザが前記手洗い装置を利用したことに基づいて、前記ユーザに、前記施設を利用する際に有利な特定の効果を付与するステップと、
前記ユーザの位置に関する情報を取得するステップと、
前記ユーザの位置と、前記手洗い装置の位置とに応じ、前記ユーザに前記手洗い装置の利用を促すステップと
を実行する、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム、プログラム、方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、大規模な感染病の流行により、衛生水準の向上が望まれている。手洗いは衛生管理の基本であり、手洗いにより、多くの感染症を防止できることが知られている。
【0003】
特許文献1には、可搬移動可能な殺菌手洗い装置が記載されている。特許文献1に記載の発明では、循環水を浄水フィルタにより清浄化することにより、手洗い後の手洗い水に混合した手の汚れ、又は石鹸成分を除去し、清浄化された水を殺菌水生成手段により、再度殺菌水化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-029439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手洗い装置は、ユーザに利用してもらえないと、その効果を発揮することができない。特許文献1では、手洗い装置が設置されているだけであり、手洗い装置の利用を促すことまでは考慮されていない。そのため、手洗い装置の利用を促すことができる技術が望まれている。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、手洗い装置の利用を促すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、一つまたは複数のコンピュータによって構成されるシステムを提供する。システムは、ユーザが施設に設置される手洗い装置を利用したことを記憶するステップと、ユーザが手洗い装置を利用したことに基づいて、施設を利用する際に有利な前記ユーザに特定の効果を付与するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、手洗い装置の利用を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態のシステム1000の全体の構成を示す図である。
図2】システム1000を構成する手洗い装置1の通信ユニット400の機能構成を示すブロック図である。
図3】手洗い装置1の外観斜視図である。
図4】手洗い装置1の上面図である。
図5図1に示す外付けモジュールの正面図である。
図6】手洗い装置1の循環ユニットを示すブロック図である。
図7】手洗い装置1の制御処理を示す説明図である。
図8】手洗いインジケータの表示態様を説明する図である。
図9】手洗いインジケータの制御処理を示す説明図である。
図10】殺菌インジケータの表示態様を説明する図である。
図11】殺菌インジケータの制御処理を示す説明図である。
図12】システム1000を構成する、手洗い装置を利用するユーザが操作する端末装置10Aのブロック図である。
図13】システム1000を構成する、手洗い装置を管理する管理者が操作する端末装置10Bのブロック図である。
図14】システム1000を構成するサーバ200の機能的な構成を示す図である。
図15】サーバ200が記憶する手洗い装置利用履歴データベース281のデータ構造を示す図である。
図16】サーバ200が記憶する効果付与履歴データベース282のデータ構造を示す図である。
図17】サーバ200が記憶する手洗い装置利用状況データベース283のデータ構造を示す図である。
図18】手洗い装置1を利用したユーザに、特定の効果を付与する流れの一例を説明する図である。
図19】手洗い装置1の利用状況提示する流れの一例を説明する図である。
図20】手洗い装置1を利用したユーザの端末装置10Aの画面例の図である。
図21】手洗い装置1を利用したユーザの端末装置10Aの画面例の図である。
図22】手洗い装置1を管理する管理者の端末装置10Bの画面例の図である。
図23】手洗い装置1を利用したユーザの端末装置10Aの画面例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
<第1の実施形態>
<概要>
本実施形態で説明するシステムは、施設に設置される手洗い装置の利用を促すためのシステムである。当該システムは、手洗い装置の利用状況を監視し、手洗い装置を利用したユーザに特定の効果を付与する。また、当該システムは、手洗い装置の利用状況を、来場者に対して提示する。
【0012】
<1 システム1000の全体構成>
図1は、第1の実施形態のシステム1000の全体の構成を示す図である。
図1に示すように、システム1000は、手洗い装置1と、手洗い装置1の利用状況を監視する監視装置300と、手洗い装置を利用したユーザが操作する端末装置10Aと、手洗い装置を管理する管理者が操作する端末装置10Bと、サーバ200とを含む。手洗い装置1と、監視装置300と、端末装置10Aと、端末装置10Bと、サーバ200とは、有線又は無線の通信規格を用いて、ネットワーク800を介して相互に通信可能に接続されている。なお、本実施形態では、システム1000が監視装置300を含む場合を例に説明しているが、システム1000は、監視装置300を必ずしも含まなくてもよい。
【0013】
手洗い装置1は、任意の場所に設置可能で可搬な、ユーザが手洗いをするための装置である。手洗い装置1は、屋内、屋外など様々な場所に設置されうる。手洗い装置1は、屋内として、例えば、建物の入り口付近、建物に入居している事業者のオフィススペース、店舗の入り口付近等に設置される。例えば、建物が宿泊用、運動用、娯楽用などの施設であり、施設を利用するためのチェックインを要する場合に、チェックインを行う場所などに設置される。例えば、チェックインのために、利用者が、共用されている筆記具で所定の事項を記入する前後などにおいて、手洗い装置1で手洗いを行うこと等が想定される。また、手洗い装置1は、所定のサービスを提供する施設の入り口付近に設置されてもよく、例えば、飲食又は交通サービスなどを提供する施設に設置される。
【0014】
手洗い装置1は、通信ユニット400を備えている。通信ユニット400は、手洗い装置1が、例えば、サーバ200等の外部の装置と通信するためのユニットである。通信ユニット400は、手洗い装置1の利用履歴に関するデータを取得し、サーバ200へ送信する。例えば、手洗い装置1は、吐水、薬剤吐出、及び吐水などの動作に関する情報を記憶し、時間の近い吐水、薬剤吐出、吐水の一連の動作を、一回の手洗いとして認定し、手洗い装置1の利用履歴に関する情報を取得する。また、例えば、手洗い装置1は、携行品を殺菌する際の動作に関する情報を記憶し、手洗い装置1の利用履歴に関する情報を取得する。また、通信ユニット400は、手洗い装置1を監視する監視装置300と通信し、監視装置300が取得するデータを、監視装置300から受信してもよい。
【0015】
監視装置300は、手洗い装置1の周辺を監視する装置である。監視装置300は、手洗い装置1の周辺を監視可能な位置に設置される。例えば、監視装置300は、手洗い装置1を設置する空間に配置されるカメラ等であることとしてもよい。手洗い装置1が、不特定の利用者により利用される空間に設置される場合に、監視装置300は、当該空間に予め設置される監視カメラ等であるとしてもよく、手洗い装置1の設置個所にあわせて設置する装置であってもよい。監視装置300は、カメラ等の撮像装置、又は人感センサ、又は赤外線センサ等のセンサにより実現される。監視装置300は、取得した監視データ、例えば、画像データ又はセンサデータを手洗い装置1へ送信する。なお、監視装置300がネットワーク800に接続している場合には、監視装置300は、取得した監視データをサーバ200へ送信してもよい。
【0016】
監視装置300は、カメラで手洗い装置1の周辺を撮影することにより、手洗いがちゃんとできているか、故障が発生していないか、メンテナンスの必要があるか等の情報を得ることが可能となる。例えば、監視装置300は、(1)手を濡らし、(2)薬剤を皮膚につけて、(3)手をもみ洗う動作をして、(4)洗い流す、の各ステップの動作をしているかを、撮影画像に基づき判定することにより、手洗いがちゃんとできているかを判定する。また、監視装置300は、人感センサ等のセンサで手洗い装置1の周辺をセンシングすることにより、手洗い装置1の前に人がいるか、手洗いの際に何秒間手洗い装置1の前で滞在したか等の情報を取得してもよい。
【0017】
端末装置10A及び端末装置10Bは、例えば、端末装置10A及び端末装置10Bは、例えば、移動体通信システムに対応したスマートフォン、タブレット等の携帯端末により実現される。この他に、端末装置10A及び端末装置10Bは、例えば、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCなどであるとしてもよい。また、端末装置10Bは、例えば、手洗い装置1が設置されている施設に設置され、施設の来場者に向けて、案内や広告などの情報を提示する装置である。
【0018】
図1に端末装置10Bとして示すように、端末装置10A及び端末装置10Bは、通信IF(Interface)12と、入力装置134と、出力装置144と、メモリ154と、ストレージ164と、プロセッサ19とを備える。
【0019】
通信IF12は、端末装置10A及び端末装置10Bが外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入力装置134は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード、マイク等)である。出力装置144は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。メモリ154は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ164は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0020】
サーバ200は、1つ以上の手洗い装置1の利用履歴を管理し、手洗い装置1を利用したユーザに特定の効果を付与する装置である。サーバ200は、例えば、ネットワーク800に接続されたコンピュータである。
【0021】
図1に示すように、サーバ200は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0022】
通信IF22は、サーバ200が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、および、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。メモリ25は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM等の揮発性のメモリである。ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDDである。プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0023】
<1.1 手洗い装置1の構成>
(手洗い装置1の通信ユニット400の構成)
図2は、通信ユニット400の機能構成を示すブロック図である。通信ユニット400は、手洗い装置1とサーバ200との通信を制御する構造である。図2に示すように、通信ユニット400は、通信部440と、通信制御部420と、記憶部430を備えている。
【0024】
通信部440は、手洗い装置1が、サーバ200及び監視装置300などの外部の装置と通信するための処理を行う。
【0025】
通信制御部420は、手洗い装置1のプロセッサ及びメモリ等により実現される。通信制御部420は、外部の装置と通信するように、受信制御部421、送信制御部422としての機能を発揮する。
【0026】
受信制御部421は、通信ユニット400が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。例えば、受信制御部421は、サーバ200から、手洗い装置1の動作を管理するための情報を受信する。また、例えば、受信制御部421は、監視装置300から、監視装置300で取得される監視データを、手洗い装置1の利用履歴に関する情報の一部として受信する。
【0027】
送信制御部422は、通信ユニット400が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。例えば、送信制御部422は、手洗い装置1の利用履歴に関する情報をサーバ200へ送信する。
【0028】
通信部430は、例えばストレージなどにより実現され、手洗い装置1が使用するデータおよびプログラムを記憶する。例えば、記憶部430は、手洗い装置情報431及び手洗い装置利用履歴情報432を記憶する。
【0029】
手洗い装置情報431は、手洗い装置1に関する情報である。例えば、手洗い装置情報431は、手洗い装置1を識別するための情報、手洗い装置1の位置情報、手洗い装置1が設置されている施設の名称、及び、手洗い装置1の設置時間に関する情報などを含む。
【0030】
手洗い装置利用履歴情報432は、手洗い装置1の利用履歴に関する情報である。例えば、手洗い装置利用履歴情報432は、ユーザが手洗い装置1を利用した日時に関する情報、ユーザを識別するための情報、ユーザがどのように手を洗ったかを表す情報、ユーザが携行品を殺菌したことを表す情報などを含む。
【0031】
(手洗い装置1の全体構成)
本実施形態に係る手洗い装置1の全体構成について説明する。図3は、本発明の手洗い装置1の外観斜視図である。図4は、手洗い装置1の上面図である。
図3Aに示すように、手洗い装置1は、筐体2と、外付けモジュール7と、を備えている。筐体2には、手洗い槽11と、水栓12と、ディスペンサ14と、が設けられている。
【0032】
筐体2は、円筒形状をなしている。筐体2は、例えばドラム缶を加工して構成される。筐体2の上部には、天板10が設けられている。天板10の中央部には、天板10を貫く設置穴が形成されている。
【0033】
図3Bに示すように、筐体2の外周面には、筐体2の内部に設けられている循環ユニット6とアクセスするアクセスホール4が形成されている。なお、循環ユニット6は、構成のすべてが筐体2の内部に設けられているわけではなく、少なくとも一部が、外付けモジュール7の一部として、筐体2の外部に配置されていてもよい。
【0034】
筐体2のアクセスホール4の周縁部には、アクセスホール4を開閉自在に覆う扉3が設けられている。扉3を開いた状態で、アクセスホール4から筐体2の内部のメンテナンスを行うことができる。
【0035】
図4に示すように、手洗い槽11は、筐体2の一部に設けられ、上面視で円形状をなす鉢状を呈している。図示の例では、手洗い槽11は筐体2に設けられた天板10の設置穴に嵌め込まれるように配置されている。
【0036】
手洗い槽11の底部には、槽内に吐水された洗浄水を排水する排水口17が形成されている。
図3Aに示すように、手洗い槽11の内周面には、槽内の洗浄水が所定の水位を超えた際に排水を行って、天板10上に洗浄水があふれ出るのを防ぐためのオーバーフロー穴18が形成されている。
【0037】
図4に示すように、水栓12の先端部には、洗浄水を吐水する吐水口13が形成されている。水栓12には、赤外線センサ23(図6参照)が設けられている。
赤外線センサ23は、水栓12の先端部に吐水口13と並んで設けられている。赤外線センサ23により、物体が検知されると、水栓12の吐水口13から洗浄水が吐水される。
なお、水栓12に設けられる赤外線センサ23の位置は、先端部に限られず、任意に変更することができる。
【0038】
図3Bに示すように、水栓12の基部は、天板10に取り付けられている。水栓12は、基部から先端部に向かうに従って、上方に向けて延びるとともに、中央部が湾曲して、先端部に位置する吐水口13が下方を向くように構成されている。
【0039】
以下の説明において、図4に示す上面視で水栓12から手洗い槽11に向く方向を手洗い装置1の前方といい、逆方向を手洗い装置1の後方という。
また、手洗い装置1の前方から手洗い装置1を使用するユーザの左右方向を、手洗い装置1の側方という。
【0040】
水栓12は、基部を中心として回動可能となっている。水栓12が基部周りに回動することで、吐水口13の位置は変化する。
すなわち吐水口13は、手洗い槽11の上方と、筐体2の外の上方と、に配置可能となっている。
【0041】
図3A及び図3Bに示すように、ディスペンサ14は、手洗い槽11の内側に向けてノズルから、皮膚の衛生を保つための薬剤を吐出する。皮膚の衛生を保つための薬剤としては、皮膚を洗浄するための洗浄料(例えば石鹸水などの洗剤)、及び殺菌作用のある液体又はハンドローション等(例えばアルコール等の成分を含む消毒薬等が含まれる。
ディスペンサ14には赤外線センサ52(図6参照)が設けられている。赤外線センサ52は、例えば、ディスペンサ14のノズルの根本近傍に、手洗い槽11内に接近する手指を検知可能に設けられている。
赤外線センサ52により、物体が検知されると、ディスペンサ14のノズル先端から薬剤が吐出される。
【0042】
筐体2の上面には、ユーザの手洗い時間の目安を表示する表示灯である手洗いインジケータ15(第1インジケータ)が設けられている。手洗いインジケータ15は、筐体2の天板10における上面に配置されている。
手洗いインジケータ15は、天板10の上面における手洗い槽11の外側に配置され、手洗い槽11の上端縁に、手洗い槽11を囲むように形成されている。
【0043】
手洗いインジケータ15は、例えば、複数のLEDライトにより構成されている。複数のLEDライトは、例えば、手洗い槽11の上端縁に周方向に間隔をあけて配置されている。
本実施形態では、30個のLEDライトにより、手洗いインジケータ15が構成されている。
手洗いインジケータ15の表示態様、及びその制御処理については後述する。
【0044】
(循環ユニット6の構成)
図6は、手洗い装置1の循環ユニット6を示すブロック図である。
筐体2の内部には、洗浄水を浄化して循環させる循環ユニット6、及び循環ユニット6を制御する制御部60が設けられている。
【0045】
制御部60は、通信IFと、入出力IFと、メモリと、ストレージと、プロセッサとを備えている。通信IFは、制御部が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0046】
入出力IFは、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、及び、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。
メモリは、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0047】
ストレージは、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
プロセッサは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0048】
図6に示すように、循環ユニット6は、吐水ユニット20、排水ユニット30、浄化ユニット40を少なくとも含んでいる。
【0049】
吐水ユニット20は、循環ユニット6において、浄化ユニット40で浄化された水を、水栓12の吐水口13から吐水する機能を有する。
【0050】
吐水ユニット20は、吐水ポンプ21と、UV殺菌部22と、赤外線センサ23と、を主に備えている。
【0051】
吐水ポンプ21は、浄化ユニット40に設けられる貯水タンク46の後段に配置されている。吐水ポンプ21は、制御部60の制御により稼働され、貯水タンク46で貯留されている水を、UV殺菌部22へ送出する。
具体的には、制御部60は、赤外線センサ23による物体の検知に応じ、吐水ポンプ21を稼働させる。例えば、制御部60は、赤外線センサ23により物体が検知されている間、吐水ポンプ21を稼働させる。制御部60は、赤外線センサ23により物体が検知されなくなると、吐水ポンプ21を停止させる。
【0052】
UV殺菌部22は、吐水ポンプ21と水栓12との間に配置されている。UV殺菌部22は、吐水ポンプ21から送出される水に対して、紫外線を照射することで、当該水に対する殺菌処理を行う。UV殺菌部22を通過した水は、洗浄水として水栓12の吐水口13から吐水される。
吐水ポンプ21とUV殺菌部22との間には、吐水ポンプ21から送出される水中の空気を抜くためのエアベント72が設けられている。
【0053】
排水ユニット30は、循環ユニット6において、水栓12から手洗い槽11へ向けて吐水された洗浄水を排水する機能を有する。
【0054】
排水ユニット30は、トラップ35と、静電容量センサ31と、排水ポンプ32とを主に備えている。
トラップ35は、手洗い槽11から洗浄水を排水する配管に設けられている。トラップ35は、例えば、悪臭、又はガス等が逆流するのを防ぎ、かつ、排水口17から入り込んだ異物が浄化ユニット40へ到達するのを防ぐ。
【0055】
排水ポンプ32は、トラップ35の後段に配置されている。排水ポンプ32は、制御部60の制御により稼働され、トラップ35を通過した水を、浄化ユニット40に設けられる前処理フィルタ41へ送出する。
具体的には、制御部60は、静電容量センサ31による水の検知に応じ、排水ポンプ32を稼働させる。例えば、制御部60は、静電容量センサ31により水が検知されている間、排水ポンプ32を稼働させる。制御部60は、静電容量センサ31により水が検知されなくなると、排水ポンプ32を停止させる。
【0056】
静電容量センサ31は、トラップ35と排水ポンプ32との間に配置されている。静電容量センサ31は、排水管内の静電容量を検知する。これにより、手洗い槽11から排水され、トラップ35を介して供給された水が検知される。なお、水の供給を検知するためのセンサは、静電容量センサ31に限定されない。その他のセンシング結果を参照して水の供給を検知してもよい。
【0057】
排水ポンプ32と、浄化ユニット40との間には、排水ポンプ32から送出される水中の空気を抜くためのエアベント70が設けられている。
【0058】
浄化ユニット40は、循環ユニット6において、排水ユニット30から供給される水を浄化する機能を有する。
【0059】
浄化ユニット40は、前処理フィルタ41と、逆浸透膜42と、後処理フィルタ43と、中間タンク44(第1タンク)と、排水タンク45(第2タンク)と、貯水タンク46(第3タンク)と、膜ろ過ポンプ47と、を主に備えている。
【0060】
前処理フィルタ41は、排水ポンプ32の後段に配置されている。前処理フィルタ41は、排水ポンプ32から送出される水に対し、固形分、水質汚濁成分、低分子化合物界面活性剤、又は炭酸成分(洗剤成分)等を除去する前処理を施す。
本実施形態では、前処理フィルタ41として、活性炭フィルタが採用されているがこれに限らない。例えば、糸巻きフィルタ、セディメントフィルタ、MF(精密ろ過膜)、UF(限外ろ過膜)、NF(ナノろ過膜)、セラミックフィルタ、イオン交換フィルタ、金属膜、のうち、少なくとも何れかを選択しても良い。本実施形態では、前処理フィルタ41は、外付けモジュール7の一部として筐体2の外部に配置されている。
前処理フィルタ41の前段には圧力センサ33が配置されている。圧力センサ33は、前処理フィルタ41に供給される水の圧力を検知する。
【0061】
前処理フィルタ41の後段には流量センサ34が配置されている。流量センサ34は、前処理フィルタ41で前処理が施された水の流量を検知する。
【0062】
中間タンク44(第1タンク)は、前処理フィルタ41の後段に配置されている。
中間タンク44は、供給される水を貯留するためのタンクである。中間タンク44には、前処理フィルタ41で前処理が施された水と、逆浸透膜42で分離されて二方電磁弁74を通過した濃縮水とが流入する。中間タンク44は、2つの系統から流入する水を貯留する。
中間タンク44には、水位センサが配置されている。水位センサは、中間タンク44内に貯留されている水の水位を検知する。
【0063】
膜ろ過ポンプ47は、中間タンク44と、逆浸透膜42との間に配置されている。
膜ろ過ポンプ47は、制御部60の制御により稼働され、中間タンク44で貯留される水を、予め設定された圧力へ昇圧し、逆浸透膜42へ供給する。なお、予め設定した圧力とは、例えば、少なくとも浸透圧よりも高い圧力である。
【0064】
逆浸透膜42は、膜ろ過ポンプ47により、高圧に昇圧されて供給された水を、溶存成分が除去された透過水と、溶存成分が濃縮された濃縮水とに分離する。逆浸透膜42は、例えば、スパイラル型の逆浸透膜により実現される。
逆浸透膜42により分離された濃縮水は、二方電磁弁74が開いている場合は、二方電磁弁74及び圧力調整弁73を介して中間タンク44へ排出される。また、逆浸透膜42により分離した濃縮水は、二方電磁弁75が開いている場合は、二方電磁弁75を介して排水タンク45へ排出される。また、逆浸透膜42により分離された透過水は、後処理フィルタ43へ排出される。
【0065】
二方電磁弁74は、電磁コイルの電磁力により弁を開閉するデバイスである。二方電磁弁74は、通常の状態において弁が開いており、制御部60からの信号に応じて弁を閉じる構造をしている。
【0066】
圧力調整弁73は、中間タンク44へ供給される濃縮水の流量又は圧力を調整する。
【0067】
二方電磁弁75は、電磁コイルの電磁力により弁を開閉するデバイスである。二方電磁弁75は、通常の状態において弁が閉じており、制御部60からの信号に応じて弁を開く構造をしている。
【0068】
逆浸透膜42の前段には、センサ部61が配置されている。図示の例では、センサ部61は、圧力センサ、流量センサ、及びEC/温度センサを有している。
【0069】
圧力センサは、逆浸透膜42に供給される水の圧力を検知する。
【0070】
流量センサは、逆浸透膜42に供給される水の流量を検知する。
【0071】
EC/温度センサは、逆浸透膜42に供給される水の電気伝導度、及び温度を検知する。
なお、センサ部61は、上記のセンサの他に、以下に列挙する少なくとも何れかをセンシングするセンサを有してもよい。
(1)pH、酸化還元電位、アルカリ度、イオン濃度、硬度
(2)濁度、色度、粘度、溶存酸素
(3)臭気、アンモニア態窒素・硝酸態窒素・亜硝酸態窒素・全窒素・残留塩素・全リン・全有機炭素・全無機炭素・全トリハロメタン
(4)微生物センサの検知結果、化学的酸素要求量、生物学的酸素要求量、
(5)シアン、水銀、油分、界面活性剤
(6)光学センサの検知結果、TDS(Total Dissolved Solids)センサの検知結果
(7)質量分析結果、微粒子、ゼータ電位、表面電位
【0072】
膜ろ過ポンプ47と、センサ部61との間には、膜ろ過ポンプ47から送出される水中の空気を抜くためのエアベント71が設けられている。
【0073】
後処理フィルタ43は、逆浸透膜42の後段に配置されている。後処理フィルタ43は、逆浸透膜42から排出される透過水に対し、逆浸透膜で濾過しきれなかった不純物を除去する後処理を施す。
本実施形態では、後処理フィルタ43として、活性炭フィルタが採用されているがこれに限らない。例えば、糸巻きフィルタ、セディメントフィルタ、MF(精密ろ過膜)、UF(限外ろ過膜)、NF(ナノろ過膜)、セラミックフィルタ、イオン交換フィルタ、金属膜、のうち、少なくとも何れかを選択しても良い。本実施形態では、後処理フィルタ43は、外付けモジュール7の一部として筐体2の外部に配置されている。
【0074】
後処理フィルタ43の前段には、センサ部62が配置されている。図示の例では、センサ部62は、圧力センサ、流量センサ、及びEC/温度センサを有している。
【0075】
圧力センサは、後処理フィルタ43に供給される透過水の圧力を検知する。
【0076】
流量センサは、後処理フィルタ43に供給される透過水の流量を検知する。
【0077】
EC/温度センサは、後処理フィルタ43に供給される透過水の電気伝導度、及び温度を検知する。
なお、センサ部62は、上記のセンサの他に、センサ部61で示した(1)~(7)の少なくとも何れかをセンシングするセンサを有してもよい。
【0078】
排水タンク45(第2タンク)は、二方電磁弁75の後段に配置されている。
排水タンク45は、供給される排水を貯留するためのタンクである。排水タンク45は、浄化ユニット40から取り外し、アクセスホール4から取り出し可能となっている。
排水タンク45には、逆浸透膜42で分離されて二方電磁弁75を通過した濃縮水が流入する。排水タンク45は、流入する濃縮水を貯留する。
【0079】
排水タンク45には、水位センサが配置されている。水位センサは、排水タンク45内に貯留されている排水の水位を検知する。
貯水タンク46(第3タンク)は、後処理フィルタ43の後段に配置されている。貯水タンク46は、供給される水を貯留するためのタンクである。
【0080】
貯水タンク46には、後処理フィルタ43で後処理が施された水が流入する。貯水タンク46に流入する水には、次亜塩素酸水が添加されている。貯水タンク46は、流入する、次亜塩素酸水が添加された水を貯留する。
貯水タンク46には、水位センサが配置されている。水位センサは、貯水タンク46内に貯留されている水の水位を検知する。
【0081】
浄化ユニット40は、塩素タンク67と塩素ポンプ68とを備えている。
塩素タンク67は、次亜塩素酸水を貯留するためのタンクである。次亜塩素酸水は、例えば、塩素タンク67に給水された水に、次亜塩素酸タブレットが溶かされることで生成される。また、次亜塩素酸水は、塩素タンク67に給水された水に食塩が溶かされ、食塩水が電気分解されることで生成されてもよい。
なお、食塩水に対して電気分解を行って、次亜塩素酸水を生成する電気分解ユニットを、塩素タンク67の下流側に別途設けてもよい。
【0082】
塩素タンク67には、水位センサが配置されている。水位センサは、塩素タンク67内に貯留されている次亜塩素酸水の水位を検知する。
塩素ポンプ68は、塩素タンク67の後段に配置されている。塩素ポンプ68は、制御部60の制御により稼働され、塩素タンク67で貯留される次亜塩素酸水を、後処理フィルタ43で後処理が施された水に添加する。
【0083】
筐体2の内部には、薬剤タンク50と、薬剤ポンプ51と、が設けられている。
【0084】
薬剤ポンプ51は、薬剤タンク50の後段に配置されている。薬剤ポンプ51は、制御部60の制御により稼働され、薬剤タンク50内で貯留されている薬剤(例えば石鹸水等)を、ディスペンサ14のノズルへ送出する。
【0085】
具体的には、制御部60は、ディスペンサ14の赤外線センサ52による物体の検知に応じ、薬剤ポンプ51を稼働させる。例えば、制御部60は、赤外線センサ52により物体が検知されている間、薬剤ポンプ51を稼働させる。制御部60は、赤外線センサ52により物体が検知されなくなると、薬剤ポンプ51を停止させる。
【0086】
薬剤タンク50は、薬剤を貯留するためのタンクである。薬剤タンク50には、水位センサが配置されている。水位センサは、薬剤タンク50内に貯留されている薬剤の水位を検知する。薬剤の水位が所定値を下回ると、薬剤が補給される。
【0087】
(外付けモジュール7の構成)
図5は、図3に示す外付けモジュール7の正面図である。
図5に示すように、外付けモジュール7は、前処理フィルタ41、後処理フィルタ43、及びUV殺菌装置80を有している。
【0088】
前処理フィルタ41及び後処理フィルタ43は、筐体2の外部に並べて配置されている。より具体的には、前処理フィルタ41及び後処理フィルタ43は、筐体2の外部に水平方向に並べて配置されている。
【0089】
前処理フィルタ41の取付部82及び後処理フィルタ43の取付部83は、UV殺菌装置80と一体に構成されている。取付部82及び取付部83の上方に、UV殺菌装置80が連結されている。
前処理フィルタ41は、取付部82に取り外し可能に取り付けられている。後処理フィルタ43は、取付部83に取り外し可能に取り付けられている。
【0090】
前処理フィルタ41、及び後処理フィルタ43は、透過性を備え、内部が視認可能な容器に格納されている。このため、前処理フィルタ41での水に対する前処理と、後処理フィルタ43での水に対する後処理は外部から視認可能となっている。
前処理フィルタ41での前処理では濁った水が目視で確認できる。また、後処理フィルタ43での後処理では清潔な水に浄化されることが目視で確認できる。
【0091】
(UV殺菌装置80の構成)
UV殺菌装置80(殺菌装置)は、ユーザの携行品に対して紫外線を照射して、携行品の表面を殺菌処理する機能を有する。ユーザの携行品としては、例えば、(1)眼鏡、腕時計などユーザの身体に装着する物品、(2)鍵、カードなどユーザが手で把持して他の物品又は装置に対して使用する物品(例えば、扉を施錠又は開錠するために使用する鍵、決済装置と通信するための通信チップが内蔵されたカードなど)、(3)スマートフォンなどユーザが手で操作する機器、などが挙げられる。
本実施形態では、携行品として、ユーザが携行するスマートフォンを例に挙げて説明する。UV殺菌装置80は、外付けモジュール7の一部として筐体2の外部に設けられている。
【0092】
図3Aに示すように、UV殺菌装置80は、筐体2の側面に配置されている。
UV殺菌装置80には、上方に向けて開口する挿入口81が形成されている。ユーザは、挿入口81からスマートフォンを挿入する。ここで、UV殺菌装置80は、図示するように上方に開口しているものの他に、側方など他の方向に開口させることとしてもよい。
【0093】
UV殺菌装置80は、挿入口81からスマートフォンが挿入され、UV殺菌装置80内の台座(図示せず)に載置されると、台座を下降させ、スマートフォンをUV殺菌装置80の内部へ引き込む。
UV殺菌装置80内において台座が所定位置まで下降されると、蓋(図示せず)を閉める。UV殺菌装置80は、蓋が閉められると、紫外線の光源(ランプ)を点灯させる。
【0094】
このとき、光源は、スマートフォンが特に汚れていそうな所定の領域、例えば、ホームボタン近傍、又はディスプレイ中央領域へ、指向性を持たせて紫外線を照射しても構わない。所定の位置は、スマートフォンの一般的な操作例に基づき、統計的に設定されてもよい。
【0095】
また、所定の位置は、挿入されたスマートフォンの操作ログに基づいて設定されてもよい。このように、特に汚れている領域に紫外線を集中して照射することで、殺菌に要する時間を短縮することが可能となる。
【0096】
例えば、手洗い装置1が、ユーザの携行品(例えば、スマートフォンなど通信機能を有する機器)と通信することにより、当該携行品に関する情報、又は、ユーザに関する情報を取得することとしてもよい。
【0097】
具体的には、(1)手洗い装置1に、スマートフォン等と近距離無線通信(ICチップ等を用いたNFC(Near Field Communication)、高速無線通信規格など)等により通信する通信部を設ける場合、ユーザが手洗い装置1でUV殺菌装置80によりスマートフォンを殺菌する前に、まず、手洗い装置1の所定の位置にスマートフォンを置く。これにより、手洗い装置1に、スマートフォンが所定の情報を送信する。
【0098】
ここで、当該所定の情報には、スマートフォンの機種の情報、スマートフォンのユーザの属性に関する情報(例えば、ユーザが従業員等である場合の従業員コード、ユーザが一般消費者である場合のユーザの年齢層、店舗等が提供するサービスに登録している場合の会員番号の情報、決済処理をする際に用いられる情報(決済アプリケーションのユーザ識別情報、クレジットカードの情報など)、スマートフォンをユーザが操作した操作ログ(タッチスクリーンに接触した座標、アプリケーションの操作履歴など)等の情報が含まれる。これらのように、スマートフォンから情報を手洗い装置1に提供する範囲をユーザが設定できることとしてもよい)等を手洗い装置1へ読み取らせることとしてもよい。
【0099】
また、(2)手洗い装置1が、外部のサーバ等により管理され、当該外部のサーバ等と通信可能であるとする。手洗い装置1に、手洗い装置1を識別する情報を含むQRコード(登録商標)等の二次元コード(例えば、手洗い装置1の識別情報を含むURL)を貼り付ける、又は、画面に表示させておく。ユーザのスマートフォンで当該二次元コードを読み取り、当該スマートフォンが手洗い装置1の識別情報を含む情報を外部のサーバ等と通信することにより、当該外部のサーバ等が手洗い装置1にスマートフォンの機種の情報等を送信することとしてもよい。
【0100】
また、(3)手洗い装置1が、スマートフォン等に表示される二次元コード(スマートフォンの機種の情報などを含む)を読み取る読み取り部(光学式のスキャナ等)を有する場合、ユーザがスマートフォンの画面に二次元コードを表示させて手洗い装置1に読み取らせることとしてもよい。
【0101】
以上のように手洗い装置1とスマートフォンが無線通信する例について説明したが、
(4)手洗い装置1とスマートフォン等を直接接続することとしてもよい。
手洗い装置1は、スマートフォンの機種の情報に基づいて、UV殺菌装置80がスマートフォンに対し紫外線を照射する範囲を決定することとしてもよい。例えば、スマートフォンにおいてホームボタンが配置されている位置(スマートフォンの機種により、スマートフォンのサイズ、ホームボタンの位置が規定される)、ユーザが縦持ちでスマートフォンを操作する際の画面の下部から中央に該当する領域(ユーザが縦持ちでスマートフォンを操作する場合に、指が頻繁に接触する範囲)、ユーザが横持ちでスマートフォンを操作する際の画面の左側及び右側付近に該当する領域に対し、その他の領域と比較して優先して紫外線を照射することとしてもよい。例えば、手洗い装置1は、UV殺菌装置80による殺菌を行う時間(紫外線照射の時間)を、手洗いの時間と連動させて一定時間内とする場合に、当該一定時間内においてUV殺菌装置80により優先的に照射する範囲を上記のように決定することとしてもよい。
【0102】
また、手洗い装置1は、ユーザの属性の情報に基づいて、手洗いの時間、UV殺菌装置80による殺菌の時間を決定することとしてもよい。例えば、手洗い装置1が設置される施設の従業員等の関係者が手洗い装置1を利用する場合、当該関係者の情報を手洗い装置1に読み取らせることにより、関係者の属性に応じた手洗いの時間、UV殺菌装置80による殺菌の時間を設定することとしてもよい。ユーザによっては、人との接触が多いと想定される職種など、特に、手洗い及び携行品の殺菌が必要となる場合がありうる。これにより、手洗い装置1は、従業員等が手洗い装置1で手洗い及び携行品の殺菌を行った時刻のログを、外部のサーバ等へ送信する。当該外部のサーバ等において、施設の入退室管理をしている場合、ユーザが手洗い装置1で手洗い等を行った履歴に基づいて、入退室を制御することとしてもよい。例えば、ユーザが手洗い装置1で手洗い等をしていない場合においても入室できる部屋もあれば、手洗い等をしていない場合に入室できない部屋もあり得る。これにより、施設の管理者は、ユーザが手洗い装置1で手洗い等を行った履歴に基づき入退室を規制することができる。
【0103】
UV殺菌装置80は、予め設定された期間、UVライトを点灯させると、UVライトを消灯させる。予め設定された期間は、例えば、一般に推奨される手洗い時間と対応している。
UV殺菌装置80は、UVライトを消灯させると、蓋を開き、台座を所定の位置まで上昇させる。所定の位置とは、挿入口81からスマートフォンの一部がユーザにより接触可能に突出する位置を表す。
これにより、ユーザは、スマートフォンを殺菌しつつ、UV殺菌装置80に触れずに、スマートフォンの挿入及び取り出しが可能となる。
手洗い装置1は、UV殺菌装置80に携行品が設置されたことに応答して、吐水口13から吐出させることとしてもよい。これにより、ユーザがUV殺菌装置80で携行品を殺菌し忘れることを抑止することができうる。
【0104】
筐体2の上面における手洗い槽11の外側には、殺菌インジケータ16(第2インジケータ)が配置されている。殺菌インジケータ16は、UV殺菌装置80による携行品の殺菌処理の進捗状態を表示する。
【0105】
殺菌インジケータ16は、上面視において、天板10のうち、手洗い槽11とUV殺菌装置80、との間に位置する部分に配置されている。
殺菌インジケータ16は、例えば、上面視で円形状をなす表示灯である。殺菌インジケータ16は、LEDライトにより構成されている。殺菌インジケータ16の点灯の態様、及び制御処理については後述する。
【0106】
(手洗い装置1の制御処理)
次に、手洗い装置1の制御処理について説明する。図7は、手洗い装置1の制御処理を示す説明図である。
【0107】
(吐水ユニット20の吐水処理)
まず、吐水ユニット20における水栓12からの吐水処理について説明する。
図7Aに示すように、制御部60は、吐水ポンプ21をOFFとする(ステップS11)。
【0108】
制御部60は、赤外線センサ23により、物体が検知されたか否かを判断する(ステップS12)。ユーザは、手洗い装置1を利用する場合、手洗い槽11に手を差し出し、水栓12の先端部に配置されている赤外線センサ23に手指を検知させる。
【0109】
制御部60は、赤外線センサ23による手指の検知に応じ(ステップS12のYES)、吐水ポンプ21を稼働させる(ステップS13)。
吐水ポンプ21は、貯水タンク46に貯留されている水を、UV殺菌部22を通過させる。UV殺菌部22は、吐水ポンプ21から送出される水に対して、紫外線を照射することで、当該水に対する殺菌処理を行う。UV殺菌部22を通過した水は、洗浄水として水栓12の吐水口13から吐水される。
一方、ステップS12において、赤外線センサ23により手指が検知されない場合(ステップS12のNO)、吐水ポンプ21は稼働しない(ステップS11)。
【0110】
制御部60は、赤外線センサ23により、物体が検知されたか否かを判断する(ステップS14)。ユーザは、手洗い装置1を終了させる場合、又は、薬剤をディスペンサ14に吐出させる場合、水栓12の先端部に配置されている赤外線センサ23から手指を離間させる。
制御部60は、赤外線センサ23による手指の非検知に応じ(ステップS14のNO)、吐水ポンプ21を停止させる(ステップS11)。
【0111】
一方、ステップS14において、赤外線センサ23により手指が非検知とならない場合(ステップS14のYES)、制御部60は、吐水ポンプ21を継続して稼働させる(ステップS13)。
吐水ユニット20は、これらの処理を繰り返し、水栓12から洗浄水を吐水する。
制御部60は、赤外線センサ23により手指を検知している時間を計測することにより、一定時間にわたって手指を検知している場合に、水の吐出を停止させることとしてもよい。また、制御部60は、水を吐出させつつ、UV殺菌装置80による殺菌が完了することに応答して、水の吐出を停止させることとしてもよい。
【0112】
(排水ユニット30の排水処理)
次に、排水ユニット30における排水処理について説明する。
図7Bに示すように、手洗い槽11からの排水がない状態では、排水ポンプ32は停止している(ステップS21)。
そして、手洗い槽11に向けて水栓12から吐水された洗浄水が、手洗い槽11の排水口17から排水されると、静電容量センサ31が排水を検知する(ステップS22)。
【0113】
制御部60は、静電容量センサ31が排水を検知する(ステップS22のYES)と、排水ポンプ32を稼働させる(ステップS23)。
一方、静電容量センサ31が、排水を検知しない場合(ステップS22のNO)には、制御部60は、排水ポンプ32を稼働させない(ステップS21)。
【0114】
ステップS23において、排水ポンプ32は、排水を前処理フィルタ41へ送出する。前処理フィルタ41で前処理が施された水は、中間タンク44へ流入し、中間タンク44で貯留される。圧力センサ33は、前処理フィルタ41へ送出された水の圧力を検知する。流量センサ34は、前処理フィルタ41で前処理が施された水の流量を検知する。
【0115】
そして、ステップS23の後に、排水口17から流れ込む排水がなくなったことを静電容量センサ31が検知すると(ステップS24のNO)、制御部60は、排水ポンプ32を停止する(ステップS21)。
一方、ステップS24において、排水口17から継続して排水が流れ込んでいることを静電容量センサ31が検知する(ステップS24のYES)と、制御部60は、継続して排水ポンプ32を稼働させる(ステップS23)。
【0116】
排水ユニット30は、これらの処理を繰り返し、手洗い槽11の排水口17から排出される水を、前処理フィルタ41へ供給する。
【0117】
(浄化ユニット40の制御処理)
次に、浄化ユニット40における洗浄処理について説明する。
図7Cに示すように、最初、膜ろ過ポンプ47は停止している(ステップS31)。
【0118】
制御部60は、排水ポンプ32が稼働されているか否かを判断する(ステップS32)。
排水ポンプ32が稼働している場合(ステップS32のYES)、制御部60は、膜ろ過ポンプ47を稼働させる(ステップS33)。これにより、中間タンク44で貯留されている水が、膜ろ過ポンプ47により、高圧で逆浸透膜42に供給される。
【0119】
一方、排水ポンプ32が稼働していない場合には(ステップS32のNO)、制御部60は、膜ろ過ポンプ47を稼働させないままとする(ステップS31)。
【0120】
ステップS33において、逆浸透膜42に供給された水は、逆浸透膜42において、濃縮水と透過水とに分離される。透過水は、後処理フィルタ43に供給される。
濃縮水は、二方電磁弁74を経て中間タンク44に流入する。なお、二方電磁弁75は、閉じた状態となっているため、濃縮水が排水タンク45に流入することはない。
【0121】
後処理フィルタ43では、透過水に対して後処理が施される。そして、後処理フィルタ43で後処理が施された透過水は、次亜塩素酸水が添加されて貯水タンク46に流入する。
【0122】
ステップS33の後に、制御部60は、逆浸透膜42の前段に配置されるセンサ部61のEC/温度センサにより検知された電気伝導度が所定の値未満であるか否かを判断する(ステップS34)。
EC/温度センサで検知される電気伝導度が所定値未満である場合(S34のYES)、制御部60は、排水ポンプ32が稼働しているか否かを判断する(ステップS35)。排水ポンプ32が稼働している場合(ステップS35のYES)、制御部60は、継続して膜ろ過ポンプ47を稼働させる(ステップS33)。
【0123】
一方、ステップS34において、EC/温度センサで検知される電気伝導度が所定値以上になった場合には(ステップS34のNO)、制御部60は、二方電磁弁74及び二方電磁弁75をONにする(ステップS36)。これにより、二方電磁弁74が閉じられ、かつ、二方電磁弁75が開かれる。
【0124】
二方電磁弁74が閉じられ、かつ、二方電磁弁75が開かれることにより、逆浸透膜42で分離された濃縮水は、二方電磁弁75を経て排水タンク45に流入する。すなわち、制御部60は、EC/温度センサで検知される電気伝導度の変化に基づき、濃縮水における不純物の量を判断している。不純物が多いと判断された濃縮水は、排水タンク45へ排出されるようになっている。
【0125】
排水タンク45で貯留されている濃縮水の水位が所定値に達すると、例えば、手洗い装置1の管理者へアラートが出される。管理者は、アラートを確認すると、排水タンク45に貯留されている水を廃棄する。
【0126】
制御部60は、ステップS36の処理を所定の時間継続し(ステップS37)、所定時間の経過後に、二方電磁弁74、75をOFFとする。これにより、二方電磁弁74は開かれ、二方電磁弁75は閉じられる。
このように、二方電磁弁74は開かれ、二方電磁弁75は閉じられることにより、逆浸透膜42で分離された濃縮水は、二方電磁弁74を経て中間タンク44に流入する。そして、制御部60は、膜ろ過ポンプ47を停止させる(ステップS31)。
【0127】
ステップS35において、排水ポンプ32が停止している場合(ステップS35のNO)、制御部60は、所定時間の経過後(ステップS38)に、膜ろ過ポンプ47を停止させる(ステップS31)。
【0128】
浄化ユニット40は、これらの処理を繰り返し、排水ユニット30により排水された水を浄化して貯水タンク46に貯留する。
【0129】
(手洗いインジケータ15の表示態様、及び制御処理)
次に、手洗いインジケータ15の表示態様、及び制御処理について説明する。図8は、手洗いインジケータ15の表示態様を説明する図である。図9は、手洗いインジケータ15の制御処理を示す説明図である。
【0130】
図8に示すように、手洗い装置1の未使用時において、手洗いインジケータ15を構成するLEDライトは消灯している(ステップS41)。
次に、制御部60は、ディスペンサ14が稼働したか否かを判断する(ステップS42)。手洗い装置1を使用するユーザが、ディスペンサ14の下方に手をかざすと、ディスペンサ14の赤外線センサ52が手指を検知する。制御部60は、赤外線センサ52により手指が検知されると、薬剤ポンプ51を稼働させ、ディスペンサ14から薬剤を吐出させる。
ディスペンサ14が稼働した場合(ステップS42のYES)、制御部60は、手洗いインジケータ15を点灯させる(ステップS43~ステップS44)。
【0131】
具体的には、制御部60は、手洗いインジケータ15を構成する30個のLEDライトを、図8Aで示すように、上面視で水栓12の基部近傍に位置するLEDライトから、時計回りに順番に点灯させる。このとき、制御部60は、例えば、1~2秒程度ですべてのLEDライトが点灯するようにする。
【0132】
そして、図8Bに示すように、すべてのLEDライトが点灯すると(ステップS44)、制御部60は、その後の所定時間、点灯状態を維持する。所定時間が経過すると、制御部60は、図8Cに示すように、水栓12の基部近傍に位置するLEDライトから、時計回りに順番にLEDライトを消灯させる(ステップS45)。
このとき、制御部60は、例えば、30~40秒程度ですべてのLEDライトが消灯するようにする。
【0133】
手洗い装置1は、赤外線センサ23でユーザの手指を検出し、吐水口13から水を吐出させることに応答して、手洗いインジケータ15を上記のように時間経過とともに順に消灯させることとしてもよい。これにより、吐水口13からの水の吐出とともに手洗いインジケータ15の点灯状態が変化するため、ユーザに対し、水の吐出から手洗いを完了させるまでの時間を認識させうる。
また、手洗い装置1は、赤外線センサ23によりユーザの手指を検出しない場合に、手洗い装置1の周囲のユーザに対し、手洗いを促すよう、手洗いインジケータ15に所定の点灯をさせる(所定の色で発光させるなど)等により通知することとしてもよい。
【0134】
そして、図8Dに示すように、すべてのLEDライトが消灯すると(ステップS45)、最初の状態に戻る(ステップS41)。
手洗いインジケータ15が、順番に点灯し、順番に消灯していくまでの一連の時間は、一般に推奨される手洗い時間、例えば、40秒程度に設定されている。これにより、手洗い装置1は、充分な洗浄効果を期待できる手洗い時間の目安をユーザに提示することができる。
【0135】
(殺菌インジケータ16の表示態様、及び制御処理)
次に、殺菌インジケータ16の表示態様、及び制御処理について説明する。図10は、殺菌インジケータ16の表示態様を説明する図である。図11は、殺菌インジケータ16の制御処理を示す説明図である。
【0136】
図10に示すように、UV殺菌装置80の未使用時において、殺菌インジケータ16を構成するLEDライトは消灯している(ステップS51)。UV殺菌装置80に携行品が挿入されない状態では、殺菌インジケータ16は消灯状態を維持する(図11のステップS52のNO)。
【0137】
そして、図10Aに示すように、UV殺菌装置80の挿入口81に携行品(スマートフォン)が挿入され、携行品がUV殺菌装置80内に引き込まれると(ステップS52のYES)、制御部60は、図10Bに示すように、殺菌インジケータ16を構成するLEDライトを点滅させる(ステップS53)。この際、制御部60は、例えば、LEDライトを赤色に点滅させる。
【0138】
制御部60は、LEDライトの点滅を開始してからの経時に伴い、LEDライトを点滅させる周期を短くする(ステップS54)。UV殺菌装置80での殺菌処理と、殺菌インジケータ16の制御とは対応している。つまり、制御部60は、UV殺菌装置80での殺菌処理が進むに従い、点滅を早めるようにしている。
【0139】
UV殺菌装置80での殺菌処理が終わると、図10Dに示すように、制御部60は、LEDライトをこれまでの点滅色とは異なる色で点灯させる(ステップS55)。LEDライトは、例えば緑色に点灯する。この点灯が、殺菌処理の終了を意味する。
UV殺菌装置80は、殺菌処理が終了し、UVライトを消灯させると、蓋を開き、携行品をユーザが取り出し可能な位置まで上昇させる。
【0140】
そして、携行品が挿入口81から取り出されると(ステップS56のYES)、制御部60は、LEDライトを消灯する(ステップS51)。
一方、携行品が挿入口81から取り出されない場合には(ステップS56のNO)、制御部60は、LEDライトの点灯状態を維持する(ステップS55)。このように、LEDライトの点灯状態を維持することで、ユーザが携行品を挿入口81から取り出すのを忘れることを抑止することができる。
【0141】
UV殺菌装置80における殺菌処理の処理時間は、手洗いインジケータ15による点灯の時間と同じ又は同等にしてもよい。このようにすると、ユーザの手洗いの時間と、UV殺菌装置80による殺菌処理の時間とを対応付けることができる。
これにより、手洗い作業を済ませたユーザが、UV殺菌処理の終了を余分に待つような状況を避けることができる。
【0142】
以上説明したように、本実施形態に係る手洗い装置1によれば、手洗い槽11からの排水を浄化して、洗浄水として循環させる循環ユニット6を備えた手洗い装置1において、水栓12の吐水口13を、手洗い槽11の上方、又は筐体2の外の上方に配置可能となっている。
このため、水栓12の吐水口13を、筐体2の外の上方に配置させ、循環ユニット6のポンプを稼働させることで、洗浄水を手洗い装置1の外部へ排出することが可能となる。
【0143】
すなわち、例えば、水栓12の先端部にホースを取り付けたり、一定の重量となる貯水タンク46を筐体2の内部から取り出したりするような作業を行う必要がない。これにより、貯水タンク46内の洗浄水を、簡易的に除去して、移動させる際の困難を軽減できる。
【0144】
また、筐体2が円筒状を呈しているので、手洗い装置1を搬送する際に、筐体2を斜めに傾けた状態を維持しながら転がすことで、容易に搬送することができる。
【0145】
また、筐体2としてドラム缶を採用する場合には、製造コストを抑えながら、意匠性を確保することができる。
【0146】
また、筐体2を、演習部分を路面に設置させることにより、筐体2を転がす形で搬送することとしてもよい。この場合、筐体2を路面に接地させて転がすことを容易にするため、図3Bに示すような、筐体2の外部に設置される前処理フィルタ41、後処理フィルタ43、UV殺菌装置80等の装置を、筐体2から着脱可能であるとしてもよい。これにより、筐体2を動かすために専門の運搬スタッフを稼働させずとも、筐体2を設置する事業者等のスタッフ(例えば、事業会社等のオフィスフロア、店舗スタッフなど)が、自力で、筐体2の位置を変更することがよりいっそう容易になる。例えば、店舗の入り口付近に筐体2を設置して、来店者に、入店する前に手洗い装置1により手洗いをしてもらうとする。この場合、筐体2を設置する位置によっては、店舗に来訪するユーザが見つけづらい(よって、手洗いをしてから入店してもらう顧客を増やしがたい)等の事態が発生しうる。これに対し、上述の例では、店舗の運営スタッフ等が、来店者に対し手洗いをする環境を提供するために、筐体2の設置個所として良好な位置を探索することができる。
【0147】
また、筐体2の外周面にアクセスホール4が設けられている。このため、アクセスホール4を用いて、排水タンク45に貯留された不純物の多い濃縮水の廃棄作業、又は逆浸透膜42の交換作業のような手洗い装置1のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0148】
また、アクセスホール4に扉3が設けられている。このため、通常の使用時には扉3を閉じておくことで、筐体2の見栄えを良くすることができる。
【0149】
また、手洗い装置1が、手洗いインジケータ15を備えているので、ユーザに対して適切な手洗い時間を示唆することで、手洗い装置1を使用した際に、高い洗浄効果を提供することができる。また、手洗い装置1の使用により、適切な手洗い時間の啓蒙を行うことができる。
【0150】
また、手洗いインジケータ15が、筐体2の上面のうち、手洗い槽11の外側に配置されているので、手洗い槽11を用いて手を洗うユーザからの手洗いインジケータ15の視認性を確保することができる。
【0151】
また、手洗いインジケータ15が、手洗い槽11の上端縁に、手洗い槽11を囲むように形成されている。このため、手洗いインジケータ15が点灯した際に、優れた意匠性を発揮することができる。
【0152】
また、後処理フィルタ43が、筐体2の外部に配置され、内部が視認可能な容器に格納されている。このため、後処理フィルタ43でろ過される透過水の状態を、ユーザが外部から視認可能となる。
【0153】
これにより、循環ユニット6において適切に洗浄されていることをユーザが目視することで、循環ユニット6による洗浄水の浄化機能に関して、ユーザに安心感を与えることができる。
【0154】
また、前処理フィルタ41も、筐体2の外部に配置され、内部が視認可能な容器に格納されている。このため、前処理フィルタ41に流れ込む排水と、浄化がなされた状態になる後処理フィルタ43から流れ出る水と、を見比べることができる。これにより、より一層効果的に、ユーザに対して安心感を与えることができる。
【0155】
また、循環ユニット6が、中間タンク44と、排水タンク45と、貯水タンク46と、吐水ユニット20と、排水ユニット30と、を備えている。これにより、排水への洗浄処理の過程において生成された中間水を適切に区分け貯留することができる。
【0156】
また、手洗い装置1が、UV殺菌装置80を備えているので、ユーザが手洗い時間を利用して、携行品の殺菌処理を行うことができる。一般にスマートフォンのような常時携行して手指で操作を行う携行品では、その表面への細菌の付着が著しく、衛生面から習慣的な除菌処理が求められていた。UV殺菌装置80でスマートフォンの表面を殺菌することで、このような課題を解決することができる。
【0157】
また、UV殺菌装置80が、筐体2の側面に配置されている。このため、手洗い装置1を使用して手を洗浄するユーザが、UV殺菌装置80に携行品を挿入しやすくすることができる。
【0158】
また、UV殺菌装置80が、筐体2の外部に取り付けられる外付けモジュール7の一部として配置されている。このため、筐体2の見栄えを良くすることができる。また、筐体2にUV殺菌装置80のみを取り付けるための個別の施工が不要となる。
【0159】
また、手洗い装置1が、殺菌インジケータ16を備えている。このため、ユーザに対して殺菌処理の進捗を提示することができる。これにより、ユーザの利便性を確保することができる。
【0160】
また、殺菌インジケータ16が、筐体2の上面における手洗い槽11の外側に配置されている。このため、ユーザの殺菌インジケータ16への視認性を確保することができる。
【0161】
また、殺菌インジケータ16が、手洗い槽11と外付けモジュール7との間に配置されている。このため、手洗い槽11を用いて手を洗ったユーザが、殺菌処理するUV殺菌装置80の様子を確認する過程において、殺菌インジケータ16による進捗状態の表示を確認しやすくすることができる。これにより、ユーザの利便性をより一層確保することができる。
【0162】
また、排水ポンプ32の稼働時に膜ろ過ポンプ47を稼働させるステップを実行する。このため、排水の発生に応じて、逆浸透膜42による膜ろ過処理を行うことができる。これにより、それぞれのタンクの容量に限りがある中で、循環系統の全体における循環水の流量のバランスを取ることができる。また、効率的に浄化処理を実施することが可能となる。
【0163】
また、前処理フィルタ41と、後処理フィルタ43と、が、視認可能な容器に格納されて筐体2の外部に配置されている。
そして、膜ろ過ポンプ47が、排水ポンプ32の稼働時に稼働すると、排水ポンプ32の稼働により前処理フィルタ41に排水が流れ込む様子と、膜ろ過ポンプ47の稼働により後処理フィルタ43に透過水が流れ込む様子と、をユーザが外部から同時に確認することができる。
【0164】
これにより、筐体2の内部において、循環水が洗浄されて循環している様子を視覚的にユーザに伝えることができ、ユーザが安心して手洗い装置1を使用することができる。
【0165】
<1.2 端末装置10Aの構成>
図12は、手洗い装置1を利用したユーザが操作する端末装置10Aのブロック図である。図12に示すように、端末装置10Aは、通信部120と、操作受付部130(タッチ・センシティブ・デバイス131およびディスプレイ132を含む)と、音声処理部140と、マイク141と、スピーカ142と、位置情報センサ150と、カメラ160と、記憶部170Aと、制御部180Aと、を含む。端末装置10Aは、図12では特に図示していない機能及び構成(例えば、電力を保持するためのバッテリー、バッテリーから各回路への電力の供給を制御する電力供給回路など)も有している。図12に示すように、端末装置10Aに含まれる各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0166】
通信部120は、有線又は無線の通信規格を用いて、端末装置10Aが外部の装置と通信するための処理を行う。例えば、手洗い装置1には、当該手洗い装置1と対応付けられた光学式コートが貼り付けられている。光学式コードには、例えば、手洗い装置1にアクセス可能な情報、例えば、URLが含まれている。光学式コードは、例えば、QRコード(登録商標)等の二次元コードにより構成される。ユーザの操作により端末装置10Aで当該光学式コードが読み取られると、通信部120は、読み取った光学式コードに含まれる情報に基づき、手洗い装置1、サーバ200、又はこれらの両方と通信する。また、通信部120は、近距離無線通信により、手洗い装置1と通信してもよい。例えば、手洗い装置1と端末装置10Aの両方は、近距離無線通信規格に対応しているものである。ユーザは端末装置10Aを手洗い装置1に近づけることで、手洗い装置1と通信を確立する。
【0167】
操作受付部130は、操作者の入力操作を受け付けるための機構を有する。具体的には、操作受付部130は、タッチスクリーンとして構成され、タッチ・センシティブ・デバイス131と、ディスプレイ132とを含む。また、操作受付部130は、マウス、キーボード等を含むこととしてもよい。
【0168】
タッチ・センシティブ・デバイス131は、端末装置10Aの操作者の入力操作を受け付ける。タッチ・センシティブ・デバイス131は、例えば静電容量方式のタッチパネルを用いることによって、タッチパネルに対する操作者の接触位置を検出する。タッチ・センシティブ・デバイス131は、タッチパネルにより検出した操作者の接触位置を示す信号を入力操作として制御部180Aへ出力する。
【0169】
ディスプレイ132は、制御部180Aの制御に応じて、画像、動画、テキストなどのデータを表示する。ディスプレイ132は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイによって実現される。
【0170】
音声処理部140は、例えば、音声信号のデジタル-アナログ変換を行う。音声処理部140は、マイク141から与えられる信号をデジタル信号に変換して、変換後の信号を制御部180Aへ与える。また、音声処理部140は、音声信号をスピーカ142へ与える。音声処理部140は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク141は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部140へ与える。スピーカ142は、音声処理部140から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を端末装置10Aの外部へ出力する。
【0171】
位置情報センサ150は、端末装置10Aの位置を検出するセンサであり、例えばGPS(Global Positioning System)モジュールである。GPSモジュールは、衛星測位システムで用いられる受信装置である。衛星測位システムでは、少なくとも3個または4個の衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、GPSモジュールが搭載される端末装置10Aの現在位置を検出する。
【0172】
カメラ160は、受光素子により光を受光して、撮影画像として出力するためのデバイスである。カメラ160は、例えば、カメラ160から撮影対象までの距離を検出できる深度カメラである。
【0173】
記憶部170Aは、例えばストレージ164などにより実現され、端末装置10Aが使用するデータおよびプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部170Aは、ユーザ情報171を記憶する。
【0174】
ユーザ情報171は、手洗い装置1を利用したユーザに関する情報である。例えば、ユーザ情報171は、ユーザを識別するための情報、ユーザの氏名、性別、及び、ユーザに特定の効果を付与した履歴に関する情報などを含む。
【0175】
制御部180Aは、記憶部170Aに記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、端末装置10Aの動作を制御する。制御部180Aは、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部181と、送受信部182Aと、表示制御部183Aとしての機能を発揮する。
【0176】
入力操作受付部181は、タッチ・センシティブ・デバイス131等の入力装置に対する操作者の入力操作を受け付ける処理を行う。
【0177】
送受信部182Aは、端末装置10Aが、サーバ200等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。例えば、送受信部182Aは、通信部120を介して、ユーザ情報をサーバ200へ送信する。また、例えば、送受信部182Aは、通信部120を介して、サーバ200から、ユーザに付与された特定の効果に関する情報を受信する。受信された特定の効果に関する情報は、ユーザ情報171に記憶される。
【0178】
表示制御部183Aは、ユーザに付与された特定の効果に関する情報を表示するため、ディスプレイ132を制御する。また、例えば、手洗い装置1に、光学式コードを読み取る読取部(光学式のスキャナ等)が設置されている場合、表示制御部183Aは、ユーザ情報を含む光学式コードをディスプレイ132に表示させてもよい。ユーザは、例えば、手洗い装置1を利用する前に、ディスプレイ132に光学式コードを表示させ、手洗い装置1に設置されている読取部に光学式コードを読み取らせる。これにより、ユーザが手洗い装置1を利用したことが手洗い装置1に記憶される。
【0179】
<1.3 端末装置10Bの構成>
図13は、手洗い装置1を管理する管理者が操作する端末装置10Bのブロック図である。端末装置10Bは、記憶部170Bに記憶されている手洗い装置の利用状況情報172、及び、制御部180Bを構成する送受信部182B、表示制御部183B以外、図12に示す端末装置10Aと同じように構成されているので、その説明を省略する。以下、手洗い装置の利用状況情報172、送受信部182B、表示制御部183Bについて説明する。
【0180】
手洗い装置の利用状況情報172は、管理者が管理している手洗い装置1の利用状況に関する情報である。手洗い装置の利用状況情報172は、サーバ200から受信した情報に基づいた情報であり、例えば、所定の時間帯における、手洗い装置1を利用した来場者の人数、手洗い装置1で手を洗った人数、手洗い装置1で携行品を殺菌した人数、及び、手洗い装置1を利用した来場者の人数の推移などに関する情報を含む。手洗い装置の利用状況情報172は、端末装置10Bのディスプレイ132に表示され、施設の来場者に提示される。
【0181】
また、手洗い装置の利用状況情報172は、手洗い装置1が設置されている施設に来場した来場者の人数に関する情報を記憶してよい。来場者の人数に関する情報は、端末装置10Bが設置される施設のサーバ等から取得してよいし、管理者の入力により取得してよい。例えば、施設の入り口にカメラなどの撮影装置が設置され、施設のサーバは、撮影装置の撮影画像を解析して、所定時間帯における施設の来場者の人数をカウントする。また、端末装置10Bは、所定時間帯における来場者の人数と、手洗い装置1を利用した来場者の人数とに基づき、施設の来場者のうち、手洗い装置1を利用した来場者の占める割合を算出してもよい。当該割合に関する情報は、手洗い装置の利用状況情報172として記憶される。
【0182】
送受信部182Bは、端末装置10Bが、サーバ200等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。例えば、送受信部182Bは、サーバ200から、手洗い装置1の利用状況に関する情報を受信する。具体的には、例えば、送受信部182Bは、手洗い装置1を利用した来場者の人数に関する情報を、サーバ200から受信する。また、送受信部182Bは、手洗い装置1が設置される施設のサーバ等から、来場者の人数に関する情報を受信する。送受信部182Bは、施設の来場者のうち、手洗い装置1を利用した来場者の占める割合に関する情報をサーバ200から受信してもよい。なお、施設のサーバは、サーバ200と同一なものであってもよく、すなわち、施設の来場した来場者の人数に関する情報は、直接にサーバ200に記憶されてよい。
【0183】
表示制御部183Bは、手洗い装置1の利用状況を表示するため、ディスプレイ132を制御する。具体的には、例えば、表示制御部183Bは、施設の来場者の人数に関する情報と、手洗い装置1を利用した来場者の数に関する情報とに基づき、来場者のうち、手洗い装置1を利用した来場者の占める割合を算出する。表示制御部183Bは、算出した割合を表示するため、ディスプレイ132を制御する。
【0184】
<1.4 サーバ200の機能的な構成>
図14は、システム1000を構成するサーバ200の機能的な構成を示す図である。図14に示すように、サーバ200は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0185】
通信部201は、サーバ200が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0186】
記憶部202は、サーバ200が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202は、手洗い装置利用履歴データベース281、効果付与履歴データベース282、手洗い装置利用状況データベース283を記憶する。
【0187】
手洗い装置利用履歴データベース281は、各手洗い装置1の利用履歴に関する情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0188】
効果付与履歴データベース282は、手洗い装置1を利用したユーザに特定の効果を付与した履歴に関する情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0189】
手洗い装置利用状況データベース283は、手洗い装置1の利用履歴に基づき、各手洗い装置1の利用状況に関する情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0190】
制御部203は、サーバ200のプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして示す機能を発揮する。具体的に、制御部203は、プログラムに従って処理を行うことにより、受信制御部2031、送信制御部2032、取得部2033、付与部2034、及び提示部2035として示す機能を発揮する。
【0191】
受信制御部2031は、サーバ200が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0192】
送信制御部2032は、サーバ200が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0193】
取得部2033は、サーバ200が外部の装置からデータを取得する処理を制御する。例えば、取得部2033は、手洗い装置1から、手洗い装置1に関する情報、及び、手洗い装置1の利用履歴に関する情報を取得する。取得部2033は、監視装置300から手洗い装置1の利用履歴に関する情報を取得してもよい。また、取得部2033は、手洗い装置1を管理する管理者、例えば、手洗い装置1が設置される施設の管理者から、施設の来場者の人数に関する情報を取得してもよい。取得部2033によって取得したデータは、記憶部202に記憶される。
【0194】
付与部2034は、手洗い装置1を利用したユーザに特定の効果を付与する。例えば、付与部2034は、ユーザによる手洗い装置1の利用が終了した時刻において、当該ユーザに、手洗い装置1が設置されている施設を利用する際に有利な効果を付与する。なお、付与部2034は、他の時刻において特定の効果を付与してもよい。
【0195】
特定の効果は、例えば、当該施設で利用可能な割引の権利、または、有価的な価値であってよい。例えば、特定の効果は、割引クーポン、ポイント及び仮想通貨など、当該施設で利用可能なものである。なお、特定の効果は上記に限らず、ユーザにとって有益なものであればよい。
【0196】
また、付与部2034は、手洗い装置1の利用履歴に基づき、予め設定された付与ルールにより、効果の内容を特定してユーザに付与してよい。当該付与ルールは、施設の来場者に提示されてもよい。例えば、付与部2034は、ユーザが手洗い装置1を利用して手を洗った履歴、又は、手洗い装置1のUV殺菌装置80を利用して携行品を殺菌した履歴に基づき、ユーザに付与すべき効果の種類と数量を特定する。例えば、付与部2034は、手洗い装置1を利用して手を洗ったユーザに、所定枚数の割引クーポンを付与する。また、付与部2034は、手洗い装置1のUV殺菌装置80を利用して携行品を殺菌したユーザに、所定ポイント数のポイントを付与する。そして、付与部2034は、手洗い及び携行品殺菌の両方をしたユーザに、所定枚数の割引クーポン及び所定ポイント数のポイントを付与する。なお、付与部2034は、手洗い及び携行品殺菌の両方をしたユーザにだけ、所定の効果を付与することとしてもよい。
【0197】
また、特定の効果としてユーザに付与された割引の権利又は有価的な価値は、有効期限が設定されるものであってよい。例えば、特定の効果は、施設で利用可能な割引クーポンであり、当該割引クーポンは、付与された日付から所定の期間以内にしか利用できない。付与部2034は、割引の権利又は有価的な価値をユーザに付与する際、それらの有効期限に関する情報をユーザに提示する。また、有効期限は、施設の管理者によって設定されてもよいし、洗った手がまた汚くなるまでの時間に基づいて設定されてもよい。
【0198】
また、施設は、系列に属する複数の施設のうちのいずれかであってく、特定の効果としてユーザに付与された割引の権利又は有価的な価値は、当該施設が属する系列における複数の施設で利用できるものであってよい。例えば、施設は、同じ系列のチェーン店のうちの1つの店舗である。付与部2034は、手洗い装置1を利用して手を洗ったユーザに、所定枚数の割引クーポンを付与し、当該割引クーポンは、手洗い装置1が設置されている店舗だけではなく、同じ系列のチェーン店のうちの別の店舗でも利用できる。
【0199】
また、特定の効果は、所定のサービスを利用できる権利であってよい。例えば、所定のサービスは、手洗い装置1が設定されている施設内で所定の箇所に入場することで利用できるサービス、または、当該施設が提供する交通サービスである。例えば、手洗い装置1が飲食店の入り口付近に設置され、手洗い装置1を利用して手洗いをしたユーザに、所定の効果として、飲食店に入店して店内で飲食サービスを利用できる権利を付与する。また、例えば、手洗い装置1が鉄道駅の入り口付近に設置され、手洗い装置1を利用して手洗いをしたユーザに、所定の効果として、駅に入場して電車を利用できる権利を付与する。
【0200】
また、所定のサービスを利用できる権利は、有効期限が設定されるものであってよい。例えば、特定の効果として、手洗い装置1が設定されている施設が提供する交通サービスを利用できる権利をユーザに付与する。当該交通サービスを利用できる権利は、付与された日付から所定の期間以内にしか利用できない。付与部2034は、所定のサービスを利用できる権利をユーザに付与する際、その有効期限に関する情報をユーザに提示する。また、有効期限は、施設の管理者によって設定されてもよいし、洗った手がまた汚くなるまでの時間に基づいて設定されてもよい。
【0201】
また、付与部2034は、所定の効果を電子データの形でユーザに付与してよい。例えば、付与部2034は、割引クーポンの電子データを、ユーザの端末装置10Aに付与する。電子データは、近距離無線通信により付与されてもよいし、所定の光学式コードを読み取ることで付与されてもよいし、電子メールにより配信されてもよいし、所定のアドレスにアクセスすることで配信されてもよい。なお、付与部2034は、手洗い装置1と通信して、手洗い装置1により所定の効果をアナログな形で発行し、ユーザに付与してよい。例えば、付与部2034は、手洗い装置1により割引クーポンを紙に印刷し、ユーザに付与する。
【0202】
提示部2035は、施設の来場者が手洗い装置1を利用した状況を、施設の来場者に対して提示する。例えば、提示部2035は、所定の時間帯における、手洗い装置1を利用した来場者の人数に関する情報を提示する。提示部2035は、手洗い装置1を利用した来場者の人数に関する情報に基づき、手洗い装置1を利用した来場者の人数の推移を分析して提示してよい。例えば、提示部2035は、グラフ、画像又は動画など、来場者が視認しやすい形で、時間ごとの手洗い装置1の利用人数の推移を提示する。
【0203】
また、提示部2035は、所定時間帯における施設の来場者の数をカウントした結果と、手洗い装置1の利用履歴とに基づいて、施設の来場者のうち、手洗い装置1を利用した来場者の占める割合を特定してよい。提示部2035は、特定した割合を、手洗い装置1を管理する管理者の端末装置10Bに表示させることにより、施設の来場者に対して提示する。また、提示部2035は、手洗い装置1を利用した来場者の数を、端末装置10Bに表示させてもよい。また、提示部2035は、所定時間ごとの手洗い装置1の利用回数、例えば、直近1分間の手洗い装置1の利用回数を、端末装置10Bに表示させてもよい。
【0204】
また、提示部2035は、手洗い装置1による手洗いの状況と、UV殺菌装置80による殺菌の状況とを分けて来場者に提示してもよい。例えば、提示部2035は、手洗い装置1により手を洗った来場者の数、手を洗った来場者の割合、所定時間ごとの手洗い回数等を、端末装置10Bに表示させる。また、例えば、提示部2035は、UV殺菌装置80により携行品を殺菌した来場者の数、携行品を殺菌した来場者の割合、所定時間ごとの殺菌回数等を、端末装置10Bに表示させる。また、提示部2035は、手洗いの状況と、殺菌の状況とを、同時に端末装置10Bに表示させてもよい。
【0205】
<2 データ構造>
図15は、サーバ200が記憶する手洗い装置利用履歴データベース281のデータ構造を示す図である。手洗い装置利用履歴データベース281は、各手洗い装置1の利用履歴に関する情報を保持するためのデータベースである。
【0206】
図15に示すように、手洗い装置利用履歴データベース281のレコードのそれぞれは、項目「利用履歴ID」、項目「装置ID」、項目「ユーザID」、項目「日時」、項目「詳細情報」などを含む。なお、ここに示す項目はすべてではなく、他の項目があっても構わない。例えば、監視装置300のカメラによって撮影された、ユーザが手洗い装置1を利用していたときの画像情報があってもよい。
【0207】
項目「利用履歴ID」は、手洗い装置1が利用されたそれぞれの履歴を識別する情報である。利用履歴IDは、他のデータベース間において情報を紐づけるためのキーとして利用される。
【0208】
項目「装置ID」は、利用された手洗い装置1を識別する情報である。装置IDは、他のデータベース間において情報を紐づけるためのキーとして利用される。
【0209】
項目「ユーザID」は、手洗い装置1を利用したユーザを識別する情報である。ユーザIDは、他のデータベース間において情報を紐づけるためのキーとして利用される。
【0210】
項目「日時」は、手洗い装置1が利用された日時情報であり、例えば、手洗い装置1が利用された開始時刻と終了時刻を記憶してよい。
【0211】
項目「詳細情報」は、ユーザが手洗い装置1で何をしたかを詳細に示す情報であり、例えば、ユーザが手洗い装置1で手洗いをしたこと、又は、スマホ殺菌をしたことなどを記憶する。
【0212】
図16は、サーバ200が記憶する効果付与履歴データベース282のデータ構造を示す図である。効果付与履歴データベース282は、手洗い装置1を利用したユーザに特定の効果を付与した履歴に関する情報を保持するためのデータベースである。
【0213】
図16に示すように、効果付与履歴データベース282のレコードのそれぞれは、項目「利用履歴ID」、項目「ユーザID」、項目「付与した効果」、項目「付与時刻」などを含む。
【0214】
項目「利用履歴ID」は、手洗い装置1が利用されたそれぞれの履歴を識別する情報である。利用履歴IDは、他のデータベース間において情報を紐づけるためのキーとして利用される。
【0215】
項目「ユーザID」は、手洗い装置1を利用したユーザ、すなわち、効果の付与先となるユーザを識別する情報である。ユーザIDは、他のデータベース間において情報を紐づけるためのキーとして利用される。
【0216】
項目「付与した効果」は、ユーザに付与した特定の効果の内容を示す情報であり、例えば、効果の種類及び数量などを記憶する。
【0217】
項目「付与時刻」は、ユーザに特定の効果を付与した時刻に関する情報である。
【0218】
図17は、サーバ200が記憶する手洗い装置利用状況データベース283のデータ構造を示す図である。手洗い装置利用状況データベース283は、各手洗い装置1の利用状況に関する情報を保持するためのデータベースである。
【0219】
図17に示すように、手洗い装置利用状況データベース283のレコードのそれぞれは、項目「装置ID」、項目「時刻」、項目「利用人数」、項目「手を洗った人数」、項目「殺菌した人数」などを含む。
【0220】
項目「装置ID」は、利用された手洗い装置1を識別する情報である。装置IDは、他のデータベース間において情報を紐づけるためのキーとして利用される。
【0221】
項目「時刻」は、どの時刻における利用状況なのかを示す情報である。手洗い装置利用状況データベース283は、例えば、所定の間隔をあけて手洗い装置1の利用状況に関するデータを取得して集計する。
【0222】
項目「利用人数」は、各手洗い装置1を利用したユーザの人数に関する情報である。項目「利用人数」は、さらに、項目「累積人数」と項目「増加数」を含む。項目「累積人数」は、各手洗い装置1の設置から所定の時刻まで、当該手洗い装置1を利用したユーザの総人数を示す情報である。項目「増加数」は、所定の時刻における「利用人数」が、その前の時刻における「利用人数」に比較して増加した人数を示す情報である。
【0223】
項目「手を洗った人数」は、各手洗い装置1で手を洗ったユーザの人数に関する情報である。項目「手を洗った人数」は、さらに、項目「累積人数」と項目「増加数」を含む。項目「累積人数」は、各手洗い装置1の設置から所定の時刻まで、当該手洗い装置1で手を洗ったユーザの総人数を示す情報である。項目「増加数」は、所定の時刻における「手を洗った人数」が、その前の時刻における「手を洗った人数」に比較して増加した人数を示す情報である。
【0224】
項目「殺菌した人数」は、各手洗い装置1で携行品を殺菌したユーザの人数に関する情報である。項目「殺菌した人数」は、さらに、項目「累積人数」と項目「増加数」を含む。項目「累積人数」は、各手洗い装置1の設置から所定の時刻まで、当該手洗い装置1で殺菌した人数ユーザの総人数を示す情報である。項目「増加数」は、所定の時刻における「殺菌した人数」が、その前の時刻における「殺菌した人数」に比較して増加した人数を示す情報である。
【0225】
<3 動作>
<3.1 特定の効果をユーザに付与する処理>
以下、図18を参照しながら、手洗い装置1を利用したユーザに特定の効果を付与する処理について説明する。
【0226】
ステップS181において、サーバ200の取得部2033は、ユーザが、施設に設置される手洗い装置を利用した情報を取得する。具体的に、手洗い装置1は、手洗い装置1の利用履歴を記憶している。取得部2033は、手洗い装置1から、手洗い装置1の利用履歴に関する情報を取得する。なお、監視装置300が、例えば、監視データとして手洗い装置1の利用履歴を記憶しており、取得部2033が、監視装置300から手洗い装置1の利用履歴に関する情報を取得してもよい。
【0227】
ステップS182において、サーバ200の付与部2034は、ユーザが手洗い装置を利用した情報に基づいて、ユーザに、手洗い装置1が設置されている施設を利用する際に有利な効果を付与する。例えば、付与部2034は、ユーザによる手洗い装置1の利用が終了した時刻において、当該ユーザに、手洗い装置1が設置されている施設を利用する際に有利な効果を付与する。なお、付与部2034は、他の時刻において特定の効果を付与してもよい。
【0228】
特定の効果は、例えば、当該施設で利用可能な割引の権利、または、有価的な価値であってよい。例えば、特定の効果は、割合クーポン、ポイント及び仮想通貨など、当該施設で利用可能なものである。なお、特定の効果は上記に限らず、ユーザにとって有益なものであればよい。
【0229】
これにより、ユーザにインセンティブを付与し、手洗い装置の利用を促すことができる。また、手洗い装置が設定されている施設で利用可能な特定の効果を付与することで、施設の利用を促すこともできる。
【0230】
また、ステップS182において、付与部2034は、手洗い装置1の利用履歴に基づき、予め設定された付与ルールにより、効果の内容を特定してユーザに付与してよい。当該付与ルールは、施設の来場者に提示されてもよい。例えば、付与部2034は、ユーザが手洗い装置1を利用して手を洗った履歴、又は、手洗い装置1のUV殺菌装置80を利用して携行品を殺菌した履歴に基づき、ユーザに付与すべき効果の種類と数量を特定する。例えば、付与部2034は、手洗い装置1を利用して手を洗ったユーザに、所定枚数の割引クーポンを付与する。また、付与部2034は、手洗い装置1のUV殺菌装置80を利用して携行品を殺菌したユーザに、所定ポイント数のポイントを付与する。そして、付与部2034は、手洗い及び携行品殺菌の両方をしたユーザに、所定枚数の割引クーポン及び所定ポイント数のポイントを付与する。なお、付与部2034は、手洗い及び携行品殺菌の両方をしたユーザにだけ、所定の効果を付与することとしてもよい。
【0231】
これにより、予め設定された付与ルールにより、ユーザに付与すべき効果の内容を特定することができる。また、付与ルールを施設の来場者に提示することにより、付与ルールに従って手洗い装置を利用するように来場者を促すことができる。
【0232】
また、ステップS182において、特定の効果としてユーザに付与された割引の権利又は有価的な価値は、有効期限が設定されるものであってよい。例えば、特定の効果は、施設で利用可能な割引クーポンであり、当該割引クーポンは、付与された日付から所定の期間以内にしか利用できない。付与部2034は、割引の権利又は有価的な価値をユーザに付与する際、それらの有効期限に関する情報をユーザに提示する。また、有効期限は、施設の管理者によって設定されてもよいし、洗った手がまた汚くなるまでの時間に基づいて設定されてもよい。洗った手がまた汚くなるまでの時間は、例えば、手における菌の繁殖に関する所定の実験結果に基づいて予め設定される。
【0233】
これにより、有効期限内に特定の効果を利用するようにユーザを促し、施設の早めの利用を促すことができる。また、時間の経過により手が汚れる前に特定の効果を利用するように促し、施設の衛生水準を向上させることができる。
【0234】
また、ステップS182において、施設は、系列に属する複数の施設のうちのいずれかであってく、特定の効果としてユーザに付与された割引の権利又は有価的な価値は、当該施設が属する系列における複数の施設で利用できるものであってよい。例えば、施設は、同じ系列のチェーン店のうちの1つの店舗である。付与部2034は、手洗い装置1を利用して手を洗ったユーザに、所定枚数の割引クーポンを付与し、当該割引クーポンは、手洗い装置1が設置されている店舗だけではなく、同じ系列のチェーン店のうちの別の店舗でも利用できる。
【0235】
これにより、特定の効果の利用可能な範囲を広げて、ユーザ体験を向上させるとともに、系列に属する複数の施設の利用を促すことができる。
【0236】
また、ステップS182において、特定の効果は、所定のサービスを利用できる権利であってよい。例えば、所定のサービスは、手洗い装置1が設定されている施設内で所定の箇所に入場することで利用できるサービス、または、当該施設が提供する交通サービスである。例えば、手洗い装置1が飲食店の入り口付近に設置され、手洗い装置1を利用して手洗いをしたユーザに、所定の効果として、飲食店に入店して店内で飲食サービスを利用できる権利を付与する。また、例えば、手洗い装置1が鉄道駅の入り口付近に設置され、手洗い装置1を利用して手洗いをしたユーザに、所定の効果として、鉄道駅に入場して電車を利用できる権利を付与する。
【0237】
これにより、ユーザにインセンティブを付与し、手洗い装置の利用を促すことができる。また、手洗い装置を利用したユーザしか、所定のサービスを利用できないようにすることができるので、所定のサービスを提供する施設の衛生水準を向上させることができる。
【0238】
また、ステップS182において、所定のサービスを利用できる権利は、有効期限が設定されるものであってよい。例えば、特定の効果として、手洗い装置1が設定されている施設が提供する交通サービスを利用できる権利をユーザに付与する。当該交通サービスを利用できる権利は、付与された日付から所定の期間以内にしか利用できない。付与部2034は、所定のサービスを利用できる権利をユーザに付与する際、その有効期限に関する情報をユーザに提示する。また、有効期限は、施設の管理者によって設定されてもよいし、洗った手がまた汚くなるまでの時間に基づいて設定されてもよい。
【0239】
これにより、有効期限内に所定のサービスを利用するようにユーザを促し、施設の早めの利用を促すことができる。また、時間の経過により手が汚れる前に所定のサービスを利用するように促し、施設の衛生水準を向上させることができる。
【0240】
また、ステップS182において、付与部2034は、所定の効果を電子データの形でユーザに付与してよい。例えば、付与部2034は、割引クーポンの電子データを、ユーザの端末装置10Aに付与する。なお、付与部2034は、手洗い装置1と通信して、手洗い装置1により所定の効果をアナログな形で発行し、ユーザに付与してよい。例えば、付与部2034は、手洗い装置1により割引クーポンを紙に印刷し、ユーザに付与する。
【0241】
これにより、最適な形で所定の効果をユーザに付与することができる。
【0242】
<3.2 手洗い装置利用割合を提示する処理>
以下、図19を参照しながら、施設の来場者のうち、手洗い装置1を利用した来場者の占める割合を来場者に対して提示する処理について説明する。
【0243】
ステップS191において、端末装置10Bの送受信部182Bは、サーバ20から、端末装置10Bの管理者の施設に設置されている手洗い装置1の利用履歴を取得する。例えば、端末装置10Bは、サーバ20から、手洗い装置利用履歴データベース281、手洗い装置利用状況データベース283、又はこれらの両方に含まれる情報を取得し、手洗い装置1の利用人数、手を洗った人数、殺菌した人数、及び、利用人数の推移などに関する情報を取得する。端末装置10Bは、リアルタイムにサーバ20から情報を取得してもよいし、所定の間隔をおいて取得してよい。
【0244】
ステップS192において、端末装置10Bの表示制御部183Bは、所定時間帯における施設の来場者の数をカウントした結果と、手洗い装置1の利用履歴とに基づいて、施設の来場者のうち、手洗い装置1を利用した来場者の占める割合を特定する。
【0245】
ステップS193において、端末装置10Bの表示制御部183Bは、当該割合を、端末装置10Bのディスプレイ132に表示させ、施設の来場者に対して提示する。
【0246】
また、ステップS193において、端末装置10Bの表示制御部183Bは、サーバから取得した手洗い装置の利用状況に関する情報に基づき、手洗い装置1の利用人数、手を洗った人数、及び殺菌した人数、及び、利用人数の推移などに関する情報を端末装置10Bのディスプレイ132に表示させ、施設の来場者に対して提示してよい。例えば、提示部2035は、グラフ、画像又は動画など、来場者が視認しやすい形で、時間ごとの手洗い装置1の利用人数の推移を提示する。
【0247】
これにより、施設に設置されている手洗い装置の利用割合及び利用状況を来場者に提示することで、来場者は施設の衛生水準を把握し、施設を安心に利用することができる。また、他の来場者が手洗い装置を利用したことを知らせることにより、より多くの来場者が手洗い装置を利用するように促すことができる。
【0248】
<4 画面例>
図20図21は、手洗い装置1を利用したユーザの端末装置10Aの画面例の図である。図22は、手洗い装置1を管理する管理者の端末装置10Bの画面例の図である。
【0249】
図20は、手洗い装置1を利用したユーザに、特定の効果として、手洗い装置1が設置されている施設で利用可能な割引の権利、または、有価的な価値を付与した局面を示す図である。図20に示すように、ユーザの端末装置10Aのディスプレイ132において、手洗い装置1の利用により付与された特定の効果の内容、数量、及び特定の効果の有効期限を示す情報が表示されている。また、特定の効果を受け取るための操作ボタン1321も表示されている。
【0250】
これにより、インセンティブを付与し、ユーザの満足度を高めて、手洗い装置の利用を促すことができる。また、手洗い装置が設定されている施設で利用可能な特定の効果を付与することで、施設の利用を促すこともできる。
【0251】
図21は、手洗い装置1を利用したユーザに、特定の効果として、手洗い装置1が設置されている施設に入場する権限を付与した局面を示す図である。図21に示すように、ユーザの端末装置10Aのディスプレイ132において、手洗い装置1の利用により、施設の入場券が付与された旨の情報が表示されている。また、当該入場券を受け取るための操作ボタン1322も表示されている。
【0252】
これにより、インセンティブを付与し、ユーザの満足度を高めて、手洗い装置の利用を促すことができる。また、手洗い装置を利用したユーザしか、施設に入場できないようにすることができるので、施設の衛生水準を向上させることができる。
【0253】
図22は、手洗い装置1を管理する管理者の端末装置10Bに、手洗い装置1の利用割合を表示させ、来場者に対して提示する局面を示す図である。図22に示すように、来場者に向けて情報を提示する端末装置10Bのディスプレイ132において、施設の来場者のうち、手洗い装置1を利用した来場者の占める割合が表示されているとともに、手洗い装置1の利用により得られる特定の効果の内容が表示されている。また、手洗い装置1の設置位置も表示されている。
【0254】
これにより、施設に設置されている手洗い装置の利用割合を来場者に提示することで、来場者は施設の衛生水準を把握し、施設を安心に利用することができる。また、他の来場者が手洗い装置を利用したことを知らせることにより、より多くの来場者が手洗い装置を利用するように促すことができる。
【0255】
また、手洗い装置の利用により得られる特定の効果の内容を提示することにより、手洗い装置に興味を持たせて、その利用を促すことができる。そして、手洗い装置の設置位置を表示することで、来場者を手洗い装置に誘導することができる。
【0256】
なお、システム1000には、ユーザの端末装置10Aに手洗い装置1の存在を知らせ、利用を促す機能が設けられていてもよい。この機能は、例えば、近距離無線通信を利用して実現される。近距離無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)等の技術により実現される。具体的に、例えば、手洗い装置1には、近距離通信部が配置され、当該近距離通信部は、所定範囲まで到達可能であり、手洗い装置1を識別するための情報を含むビーコン信号を発信する。端末装置10Aは、近距離通信部が発信したビーコン信号を受信する機能を有する。また、端末装置10Aには、手洗い装置1を利用するためのアプリケーションが記憶されている。
【0257】
端末装置10Aは、当該ビーコン信号の到達範囲内に進入すると、ビーコン信号を受信する。端末装置10Aは、ビーコン信号を受信すると、ビーコン信号と対応するアプリケーション、すなわち手洗い装置1を利用するためのアプリケーションを起動させる。端末装置10Aは、アプリケーションにより実現される機能により、例えば、サーバ200にアクセスし、サーバ200に対し、ビーコン信号と対応する手洗い装置1の存在を伝える情報、手洗い装置1の利用を促す旨の情報を要求する。サーバ200は、この要求により、端末装置10Aを使用するユーザの位置を把握する。サーバ200は、手洗い装置1の存在を伝える情報、手洗い装置1の利用を促す旨の情報を要求されると、要求された情報を、要求元の端末装置10Aへ送信する。端末装置10Aは、手洗い装置1の存在を伝える情報、手洗い装置1の利用を促す旨の情報を受信し、受信した情報をディスプレイ132に表示する。なお、近距離通信部は、手洗い装置1に近づいてきたユーザと通信できればよく、手洗い装置1に設置しなくてもよい。例えば、近距離通信部は、手洗い装置1の付近の位置に設置してよい。
【0258】
図23は、ユーザの端末装置10Aに表示させる、手洗い装置1についての情報の表示例を示す図である。図23に示すように、端末装置10Aのディスプレイ132において、手洗い装置1の利用を促す内容が表示されているとともに、手洗い装置1の設置位置も表示されている。図23に示すように、手洗い装置1の利用を促す内容には、手洗い装置1の利用により得られる特定の効果の内容が含まれていてもよい。これにより、近距離無線通信技術を利用したプッシュ通知により、手洗い装置1の利用を促すことが可能となる。
【0259】
なお、端末装置10Aは、手洗い装置1の存在を伝える情報、手洗い装置1の利用を促す旨の情報のサーバ200への要求を、自動で実行してもよいし、ユーザからの承諾に応じて実行してもよい。サーバ200への情報の要求が自動で実行される場合、サーバ200は、情報を要求した端末装置10Aの利用履歴を確認するようにしてもよい。サーバ200は、端末装置10Aのユーザが所定の期間内に手洗い装置1を利用している場合、要求された信号を送信しない。これにより、手洗い装置1の利用を不要に促すことが抑制される。
【0260】
また、端末装置10Aは、当該アプリケーションにより、手洗い装置1が受信可能なビーコン信号を発信してよい。手洗い装置1又はサーバ200は、手洗い装置1が端末装置10Aから受信したビーコン信号の信号強度に基づき、手洗い装置1と端末装置10Aとの間の距離を算出する。これにより、手洗い装置1又はサーバ200は、ユーザが手洗い装置1に接近してきたのか、それとも手洗い装置1を離れたのかを判定して、さらに、ユーザが手洗い装置1の付近にいた時間を算出してよい。また、手洗い装置1又はサーバ200は、端末装置10Aに最も近い手洗い装置1を選択してもよい。
【0261】
これにより、ユーザが手洗い装置に近づいてきたことを検知し、近づいてきたユーザに、手洗い装置を利用するように促すことができる。
【0262】
また、例えば、手洗い装置1は、端末装置10Aから発信されたビーコン信号を受信すると、応答信号を返信するようにしてもよい。端末装置10Aは、ビーコン信号を発信し、例えば、発信したビーコン信号に対する応答信号の強度が最も強い手洗い装置1についての情報をサーバ200に要求する。サーバ200は、要求された手洗い装置1についての情報を端末装置10Aへ送信する。端末装置10Aは、手洗い装置1についての情報を受信し、受信した情報をディスプレイ132に表示する。これにより、端末装置10Aは、最寄りの手洗い装置1の位置を取得することが可能となる。
【0263】
また、サーバ200は、複数の手洗い装置1の設置位置を、ユーザが認識可能な形態でユーザに提示してよい。例えば、ユーザの端末装置10Aには、手洗い装置1を利用するためのアプリケーションがインストールされる。サーバ200は、全ての手洗い装置1の設置位置を地図上に表示して、当該アプリケーション内に提示してよい。また、サーバ200は、ユーザの位置情報に基づき、ユーザの付近にある手洗い装置1、又は、ユーザが訪れた施設に設置されている手洗い装置1の設置位置を地図上に表示して、当該アプリケーション内に提示してよい。また、手洗い装置1を利用したユーザに特定の効果が付与された旨の通知を、当該アプリケーション内に表示させてよい。なお、ここでいう手洗い装置1を利用するためのアプリケーションは、手洗い装置1が発信したビーコン信号を受信する機能を搭載してよい。
【0264】
これにより、手洗い装置の設置位置を分かりやすい形でユーザに提示することができる。
【0265】
なお、上記では、近距離無線通信技術を利用してユーザの位置を把握する例を説明したが、近距離無線通信技術以外の技術を利用してユーザの位置を把握してもよい。例えば、端末装置10AのGPS機能を利用して、ユーザの位置を把握してもよい。具体的には、例えば、サーバ200は、端末装置10Aの位置情報を、端末装置10Aから所定周期で受信している。サーバ200は、手洗い装置1の設置位置から所定の範囲内に端末装置10Aが侵入したと判断すると、手洗い装置1の存在を伝える情報、手洗い装置1の利用を促す旨の情報を、端末装置10Aへ送信する。
【0266】
<変形例>
システム1000は、ユーザが特定の効果を目当てに手洗い装置1を不正に利用しているかどうかを判定してよい。具体的には、サーバ200は、手洗い装置1の利用履歴に基づき、不正利用であるかどうかを判定してよい。そして、サーバ200は、不正利用と判定した場合、不正利用に対して、特定の効果を付与しないようにする。例えば、サーバ200は、同じユーザが連続的に手洗い装置1を複数回利用したという利用履歴に基づき、不正利用であると判定する。そして、サーバ200は、当該ユーザに、一回目の手洗い装置の利用のみに対して、特定の効果を付与する。また、例えば、サーバ200は、手洗い装置1の近傍に位置しているが、水が流れていないという利用履歴に基づき、不正利用であると判定する。サーバ200は、当該ユーザに対して特定の効果を付与しない。
【0267】
これにより、ユーザが特定の効果を得るために手洗い装置を不正に利用することを防止することができる。
【0268】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0269】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0270】
(付記1)
一つまたは複数のコンピュータによって構成されるシステムであって、
ユーザが施設に設置される手洗い装置を利用したことを記憶するステップ(S181)と、
前記ユーザが前記手洗い装置を利用したことに基づいて、前記ユーザに、前記施設を利用する際に有利な特定の効果を付与するステップ (S182)と、を実行する、システム。
【0271】
(付記2)
前記付与するステップにおいて、前記特定の効果として、前記ユーザに、割引の権利、または、有価的な価値を付与する、(付記1)に記載のシステム。
【0272】
(付記3)
前記付与するステップにおいて、前記ユーザに、前記割引の権利又は前記有価的な価値として、有効期限が設定され、かつ、前記施設で利用できるものを付与する、(付記2)に記載のシステム。
【0273】
(付記4)
前記施設は、系列に属する複数の施設のうちのいずれかであり、
前記付与するステップにおいて、前記ユーザに、前記割引の権利又は前記有価的な価値として、前記施設が属する系列における前記複数の施設で利用できるものを付与する、(付記2)又は(付記3)に記載のシステム。
【0274】
(付記5)
前記付与するステップにおいて、前記特定の効果として、所定のサービスを利用できる権利を付与する、(付記1)に記載のシステム。
【0275】
(付記6)
前記付与するステップにおいて、前記所定のサービスとして、前記施設内で所定の箇所に入場することで利用できるサービス、または、前記施設が提供する交通サービスを前記ユーザに利用可能とする、(付記5)に記載のシステム。
【0276】
(付記7)
前記システムは、
前記施設における前記手洗い装置の利用状況を示す情報を、前記施設において前記施設の来場者に対し提示させるステップを実行する、(付記1)に記載のシステム。
【0277】
(付記8)
前記提示させるステップにおいて、前記施設の前記来場者の数をカウントした結果と、前記記録するステップにより記録される前記手洗い装置の利用履歴とに基づいて、前記施設の来場者が前記手洗い装置を利用した割合を特定し、特定した前記割合を提示させる、(付記7)に記載のシステム。
【0278】
(付記9)
前記ユーザの位置に関する情報を取得するステップと、
前記ユーザの位置と、前記手洗い装置の位置とに応じ、前記ユーザに前記手洗い装置の利用を促すステップと、を実行する、(付記1)から(付記8)のいずれかに記載のシステム。
【0279】
(付記10)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは、前記プロセッサに、
ユーザが施設に設置される手洗い装置を利用したことを記憶するステップと、
前記ユーザが前記手洗い装置を利用したことに基づいて、前記ユーザに、前記施設を利用する際に有利な特定の効果を付与するステップと、を実行させる、プログラム。
【0280】
(付記11)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータにより実行される方法であって、
前記方法は、前記プロセッサが、前記メモリに記憶されるプログラムを読み込んで実行することにより、
ユーザが施設に設置される手洗い装置を利用したことを記憶するステップと、
前記ユーザが前記手洗い装置を利用したことに基づいて、前記ユーザに、前記施設を利用する際に有利な特定の効果を付与するステップと、を実行する、方法。
【0281】
(付記12)
制御部と、記憶部とを備える情報処理装置であって、
前記制御部が、前記記憶部に記憶されるプログラムに基づいて動作することにより、
ユーザが施設に設置される手洗い装置を利用したことを記憶するステップと、
前記ユーザが前記手洗い装置を利用したことに基づいて、前記ユーザに、前記施設を利用する際に有利な特定の効果を付与するステップと、を実行する、情報処理装置。
【符号の説明】
【0282】
1 手洗い装置、2 筐体、3 扉、4 アクセスホール、6 循環ユニット、11 手洗い槽、12 水栓、13 吐水口、14 ディスペンサ、15 手洗いインジケータ(第1インジケータ)、16 殺菌インジケータ(第2インジケータ)、20 吐水ユニット、21 吐水ポンプ、30 排水ユニット、32 排水ポンプ、40 浄化ユニット、41 前処理フィルタ、42 逆浸透膜、43 後処理フィルタ、44 中間タンク(第1タンク)、45 排水タンク(第2タンク)、46 貯水タンク(第3タンク)、47 膜ろ過ポンプ、50 薬剤タンク、60 制御部、800 UV殺菌装置、81 挿入口、 10A、10B 端末装置、200 サーバ、300 監視装置、80 ネットワーク、12 通信IF、134 入力装置、144 出力装置、154 メモリ、164 ストレージ、19 プロセッサ、201 通信部、202 記憶部、281 手洗い装置利用履歴データベース、282 効果付与履歴データベース、283 手洗い装置利用状況データベース、203 制御部。
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