(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】フレイル判定支援装置とフレイル判定支援プログラムとフレイル判定支援方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20241105BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241105BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20241105BHJP
G16H 10/40 20180101ALI20241105BHJP
【FI】
A61B5/11 230
A61B5/00 B
A61B10/00 H
G16H10/40
(21)【出願番号】P 2021036561
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】江 鐘偉
(72)【発明者】
【氏名】平野 綱彦
(72)【発明者】
【氏名】松永 和人
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特許第6815055(JP,B1)
【文献】特開2010-005033(JP,A)
【文献】特開2018-073110(JP,A)
【文献】特開2020-151470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/01
A61B 5/06- 5/22
A61B 9/00-10/06
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者がフレイルか否かの判定を支援するフレイル判定支援装置であって、
前記被検者の身体に装着されたセンサが検知した検知情報を記憶する記憶部と、
前記検知情報に基づいて、前記被検者がフレイルか否かの判定をする判定部と、
を有してなり、
前記検知情報は、前記被検者が歩行をしている間に前記センサにより検知され、
前記判定部は、前記歩行の周期に含まれる所定のタイミングにおける前記検知情報に基づいて、前記判定を
し、
前記センサは、前記被検者の足に装着された加速度センサであり、
前記検知情報は、加速度であり、
前記所定のタイミングは、前記足が接地する直前である、
ことを特徴とするフレイル判定支援装置。
【請求項2】
前記判定の結果を出力する出力部と、
前記出力部の出力結果を表示する表示部と、
を有してなる、
請求項1記載のフレイル判定支援装置。
【請求項3】
前記判定の結果を出力する出力部、
を有してなり、
前記出力部の出力結果は、外部の端末に表示される、
請求項1記載のフレイル判定支援装置。
【請求項4】
前記加速度は、進行方向の前後方向における加速度である、
請求項
2または3記載のフレイル判定支援装置。
【請求項5】
前記記憶部に記憶されている前記検知情報に基づいて、前記被検者の1歩あたりの前記接地する直前のタイミングの接地直前加速度を特定する特定部と、
前記特定部が特定する前記1歩あたりの接地直前加速度に基づいて、前記被検者の1歩あたりの平均接地直前加速度を算出する算出部
と、
を有してなり、
前記記憶部は、基準加速度を記憶し、
前記判定部は、
前記平均接地直前加速度と前記基準加速度とを比較して、前記判定をする、
請求項
4記載のフレイル判定支援装置。
【請求項6】
前記記憶部に記憶されている前記検知情報に基づいて、前記被検者の1歩あたりの所用時間を特定する特定部と、
前記特定部が特定する前記1歩あたりの前記所用時間に基づいて、前記被検者の1歩当たりの平均時間を算出
する算出部と、
を有してなり、
前記記憶部は、基準時間を記憶し、
前記判定部は、
前記平均時間と前記基準時間とを比較して、前記判定をする、
請求項
4記載のフレイル判定支援装置。
【請求項7】
前記被検者に関する被検者情報を取得する取得部と、
前記被検者情報に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記基準加速度を更新する更新部と、
を有
してなる、
請求項
5記載のフレイル判定支援装置。
【請求項8】
前記被検者に関する被検者情報を取得する取得部と、
前記被検者情報に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記基準時間を更新する
更新部と、
を有してなる、
請求項
6記載のフレイル判定支援装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1記載のフレイル判定支援装置として機能させる、
ことを特徴とするフレイル判定支援プログラム。
【請求項10】
被検者がフレイルか否かの判定を支援する情報処理装置により実行されるフレイル判定支援方法であって、
前記情報処理装置は、
前記被検者の身体に装着されたセンサが検知した検知情報を記憶する記憶部と、
前記検知情報に基づいて、前記被検者がフレイルか否かの判定をする判定部と、
を備え、
前記検知情報は、前記被検者が歩行をしている間に前記センサにより検知され、
前記センサは、前記被検者の足に装着された加速度センサであり、
前記検知情報は、加速度であり、
前記記憶部が、前記検知情報を記憶するステップと、
前記判定部が、前記歩行の周期に含まれる所定のタイミングにおける前記検知情報に基づいて、前記判定をするステップと、
を有してな
り、
前記所定のタイミングは、前記足が接地する直前である、
ことを特徴とするフレイル判定支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレイル判定支援装置とフレイル判定支援プログラムとフレイル判定支援方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、我が国では、急速な高齢化が進行している。2025年には65歳以上の高齢者の総人口に占める割合(高齢化率)は、30%を超えると推計されている。特に、75歳以上の後期高齢者の人口は、2000万人を超えると推計されている。また、高齢者の増加と共に、平均寿命も延びている。
【0003】
一方、健康寿命は、男性では約9年、女性では約12年、平均寿命よりも短いと言われている。「健康寿命」は、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間である。つまり、男性は約9年間、女性は約12年間、介護を要すると見込まれる状態(以下「要介護状態」という。)にある。高齢化が進む現在において、健康寿命を平均寿命に近づけることは、非常に重要な問題である。
【0004】
多くの高齢者は、脳卒中や骨折などの病気の症状に限らず、加齢による体力や歩行能力などの身体的機能の低下により、健康状態から徐々に要介護状態に移行する。健康状態と要介護状態との中間状態は、フレイル(フレイル状態)と呼ばれる。すなわち、高齢者は、多くの場合、健康状態からフレイルの時期を経て、徐々に要介護状態に移行する。
【0005】
「フレイル」は、動作が遅くなることや転倒しやすくなるなどの身体的要素のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的要素、独居や経済的困窮などの社会的要素が含まれる、多面的な概念である。
【0006】
フレイルは、適切な治療や予防を行うことにより、要介護状態に進まずに健康状態に戻ることが可能な時期ともされている。そのため、高齢者が急速に増加している現代社会では、フレイル状態の早期の発見が望まれる。
【0007】
フレイルか否かの具体的な診断基準は、一般的に以下の5項目とされている。
(1)体重減少:意図せずに年間4.5kg、または、5%以上の体重が減少する。
(2)疲労感:何をするのも面倒だと感じることが週に3-4日以上ある。
(3)歩行速度の低下:1秒間あたりの歩行距離が1m未満である。
(4)筋力(握力)の低下:利き手の握力が男性で26kg、女性で18kg未満である。
(5)身体活動量の低下:定期的な運動など体を動かす機会が減少している。
【0008】
これら5項目のうち該当項目が1-2項目の被検者はフレイル予備軍である「プレフレイル」と判断され、該当項目が3項目以上の被検者は「フレイル」と判断される。
【0009】
ここで、上記5項目のうち、3項目目の「歩行速度の低下」の判断手法には、「6分間歩行」が活用されている(例えば、特許文献1参照)。6分間歩行は、例えば、文部科学省が提唱する65歳-79歳を対象とした「新体力テスト」に規定されたテスト項目である(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【非特許文献】
【0011】
【文献】「新体力テスト実施要項(65~79歳対象)」、文部科学省、[online]、[令和3年2月10日検索]、インターネット<https://www.mext.go.jp/component/a_menu/sports/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/07/30/1295079_04.pdf>
【0012】
6分間歩行を実施するためには、1周30m以上の周回路、または、50m以上の折り返し直線路のコース(以下「6分間歩行コース」という。)の利用が推奨されている。
【0013】
6分間歩行においては、被検者が6分間歩行コースを歩行する様子を、医師、看護師、理学療法士などの検査職員(以下「検査職員」という。)が計測する。検査職員は、特定の距離毎に配置された目印間を歩行する被検者の歩行時間をストップウオッチで計測して、平均歩行速度を測定する。
【0014】
しかし、多くの病院や診療所(以下「医療施設」という。)は、6分間歩行コースのための広い空間を確保できない。6分間歩行コースを確保できる医療施設は、一部の医療施設に限られる。
【0015】
また、6分間歩行には、被検者1人に対して複数人の検査職員が必要である。すなわち、被検者が複数人いる場合は、検査職員を多数確保しなければならない。あるいは、同一の検査職員が複数の被検者の6分間歩行の計測を実施しなければならない。つまり、検査職員の労力負担(医療施設の職員負担)は、被検者の数に応じて増大する。
【0016】
さらにまた、医師は、6分間歩行で得られる被検者の歩行速度だけでなく、被検者の歩き方、歩行姿勢、目印間の所要時間などから、経験に基づいてフレイル状態の歩行であるか否か(フレイルか否か)を判断していた。そのため、フレイル状態の歩行であるか否かの適切な判断は、医師の経験を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、被検者がフレイルか否かの判定を支援可能なフレイル判定支援装置と、フレイル判定支援プログラムと、フレイル判定支援方法と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るフレイル判定支援装置は、被検者がフレイルか否かの判定を支援するフレイル判定支援装置であって、被検者の身体に装着されたセンサが検知した検知情報を記憶する記憶部と、検知情報に基づいて、被検者がフレイルか否かの判定をする判定部と、を有してなり、検知情報は、被検者が歩行をしている間にセンサにより検知され、判定部は、歩行の周期に含まれる所定のタイミングにおける検知情報に基づいて、判定をする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、被検者がフレイルか否かの判定を支援可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るフレイル判定支援装置を備えるフレイル判定支援システムの模式図である。
【
図2】
図1のフレイル判定支援装置の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図2のフレイル判定支援装置が備える検知情報取得部が取得する情報の例を示す模式図である。
【
図4】
図3の検知情報取得部が取得した検知情報に含まれる時刻と加速度との関係を示すグラフである。
【
図6】
図4のグラフに、
図5の歩行動作の周期が重畳して表示されたグラフである。
【
図7】
図2のフレイル判定支援装置が備える特定部に特定された歩行情報の例を示す模式図である。
【
図8】
図2のフレイル判定支援装置が備える算出部に算出された情報の例を示す模式図である。
【
図9】
図2のフレイル判定支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】
図9の動作に含まれる判定処理のフローチャートである。
【
図11】
図2のフレイル判定支援装置が備える出力部の出力結果の例を示す模式図である。
【
図12】
図2のフレイル判定支援装置が備える出力部の出力結果の別の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るフレイル判定支援装置(以下「本装置」という。)と、フレイル判定支援プログラムと、フレイル判定支援方法と、の実施の形態について説明する。
【0022】
以下に説明する実施の形態は、本装置が医療施設内あるいはセキュリティが確保された医療施設外に配置され、医療施設や高齢者施設、自宅などの室内において、被検者が任意距離・任意時間の歩行をしたデータを計測して、医師が本装置を用いて被検者がフレイルか否か(フレイル状態の歩行であるか否か)の判定(以下「フレイル判定」という。)をする場合を例にして、本発明の内容を説明する。被検者は、例えば、フレイルの疑いのある高齢者である。
【0023】
●フレイル判定支援システム●
●フレイル判定支援システムの構成
図1は、本発明に係るフレイル判定支援装置を備えるフレイル判定支援システムの模式図である。
【0024】
フレイル判定支援システムFSは、センサSと本装置1とで構成される。センサSが検知した情報(以下「検知情報」という。)は、例えばBluetooth(登録商標)などの無線通信を介して本装置1に送信される。
【0025】
センサSは、被検者Hmの左右の足首に取り付けられて(装着されて)、被検者Hmが歩行をしている間の歩行データを検知情報として計測(検知)して、検知情報を本装置1に送信する。すなわち、検知情報は、被検者Hmが歩行をしている間にセンサSにより検知される。センサSは、例えば、加速度センサである。「歩行データ」は、センサSにより計測される歩行時の時刻と加速度とに基づくデータである。センサSは、被検者Hmの身体に装着されて、スイッチなどの計測開始部(不図示)が操作されることにより計測を開始する。センサSは、被検者Hmの歩行時における所定時間毎の左右各足の前後方向加速度と、上下方向加速度と、左右方向加速度と、を計測する。すなわち、センサSは、3軸加速度センサである。センサSに検知される検知情報(歩行データ)は、所定時間毎の各加速度である。
【0026】
「前後方向加速度」は、歩行時の進行方向に対する前後方向の加速度である。「上下方向加速度」は、歩行時の進行方向に対する上下方向の加速度、すなわち、前後方向と直交する方向の加速度である。「左右方向加速度」は、歩行時の進行方向に対する左右方向の加速度、すなわち、前後方向と上下方向とに直交する方向の加速度である。
【0027】
センサSに計測(検知)される検知情報は、リアルタイムで本装置1に送信される。すなわち、センサSは、歩行データを検知しながら検知情報を本装置1に送信する。つまり、センサSが歩行データを検知するタイミングと、センサSから本装置1に検知情報が送信されるタイミングとは、同期している。
【0028】
本装置1は、センサSから送信される計測データ(検知情報)を用いて、後述する処理を実行する。医師は、本装置1が実行する処理により得られた結果を参照して、フレイル判定をする。すなわち、本装置1は、医師のフレイル判定の支援をする。本装置1は、例えば、パーソナルコンピュータや、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレットPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)などの可搬型のコンピュータ端末などで構成される。本装置1の構成は、後述する。
【0029】
本装置1は、前述のとおり、例えば、パーソナルコンピュータや可搬型のコンピュータ端末で実現される。本装置1では、本発明に係るフレイル判定支援プログラム(以下「本プログラム」という。)が動作して、本プログラムが本装置1のハードウェア資源と協働して、後述する本発明に係るフレイル判定支援方法(以下「本方法」という。)を実現する。すなわち、本プログラムは、コンピュータを本装置1として機能させる。
【0030】
なお、本発明において、センサから本装置へ検知情報の伝達は、無線通信に限定されない。すなわち、例えば、センサから本装置へ検知情報の伝達は、ケーブルなどの有線接続や、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの記憶媒体を介した伝達でもよい。
【0031】
また、本発明において、センサから本装置へ検知情報が送信されるタイミングは、リアルタイムに限らない。すなわち、例えば、センサが検知した検知情報は、一時的にセンサ内のメモリに記憶されて、医師がフレイル判定をする際に、センサから本装置に検知情報が送信されてもよい。つまり、センサが歩行データを検知するタイミングと、センサから本装置に検知情報が送信されるタイミングとは、非同期でもよい。
【0032】
さらにまた、本発明において、センサが被検者の足首に装着されるのは、左右両足に限られない。すなわち、例えば、センサは、被検者の右足あるいは左足のいずれか片方の足首にのみ装着されて、歩行データの計測に用いられてもよい。
【0033】
●フレイル判定支援装置の構成
図2は、本装置1の実施の形態を示す機能ブロック図である。
本装置1は、検知情報取得部10と、記憶部20と、特定部30と、算出部40と、判定部50と、出力部60と、を有してなる。
【0034】
検知情報取得部10は、センサSから送信される、検知情報を取得する。検知情報取得部10が取得した検知情報は、記憶部20に記憶される。検知情報取得部10の動作については、後述する。
【0035】
図3は、検知情報取得部10が取得する情報の例を示す模式図である。
以下、
図1,2も併せて参照して説明する(
図4-8について同じ)。
【0036】
「検知時刻」は、センサSが所定時間毎に計測する時刻に関する情報である。すなわち、本実施の形態では、検知時刻は、被検者Hmの歩行中に計測している時刻である。
【0037】
「所定時間」は、本実施の形態では、0.02秒である。
【0038】
同図は、被検者Hmの右足に装着されているセンサSが被検者Hmの歩行データを計測(検知)した検知時刻「TR1」「TR2」「TR3」「TR4」・・・「TRn」における前後方向加速度の大きさのそれぞれが「AR1」「AR2」「AR3」「AR4」・・・「ARn」であったことを示す。すなわち、例えば、同図は、検知時刻「TR1」における前後方向加速度は「AR1」であり、「TR1」の0.02秒後の「TR2」における前後方向加速度は「AR2」であることを示す。同様に、同図は、被検者Hmの左足に装着されているセンサSが被検者Hmの歩行データを計測(検知)した検知時刻「TL1」「TL2」「TL3」「TL4」・・・「TLm」における前後方向加速度「AL1」「AL2」「AL3」「AL4」・・・「ALm」であったことを示す。すなわち、例えば、同図は、検知時刻「TL1」における前後方向加速度が「AL1」であり、「TL1」の0.02秒後の「TL2」における前後方向加速度が「AL2」であることを示す。右足と左足とでは、計測が開始される時刻と、計測が終了する時刻と、が異なるため、「n」≠「m」である。
【0039】
なお、同図では、説明の便宜上、「上下方向加速度」と「左右方向加速度」との図示は省略する。
【0040】
図4は、検知情報取得部10が取得した検知情報に含まれる時刻と加速度との関係を示すグラフである。
同図は、検知情報取得部10が取得した検知時刻に対する前後方向加速度を時系列にプロットして作成されたグラフであり、前後方向加速度を縦軸に示し、検知時刻を横軸に示す。また、同図は、説明の便宜上、健常者の右足首に装着されたセンサSから取得した前後方向加速度を時系列にプロットしたものを例に示す。
【0041】
同図に示す+(プラス)方向(
図4における紙面上方向)は、前方向の加速度である。同図に示す-(マイナス)方向(
図4における紙面下方向)は、後方向の加速度である。
【0042】
ここで、歩行動作の周期について説明する。
図5は、歩行動作の周期(以下「歩行周期」という。)を示す模式図である。同図は、健常者の一般的な歩行周期を示す。図中、右足は黒塗りで示され、左足は白抜きで示される。以下の説明は、右足を着目足とし、踵から足尖の順で接地し、踵から足尖の順で離地する場合とする。
【0043】
「歩行周期」は、右足と左足の各1歩、すなわち、2歩を1周期とする歩行の周期である。
【0044】
歩行周期は、立脚相と遊脚相とで構成される。立脚相は、荷重応答期、立脚中期、立脚終期、前遊脚期に分かれる。遊脚相は、遊脚初期、遊脚中期、遊脚終期に分かれる。
【0045】
「立脚相」は、右足が床に接地している期間である。「遊脚相」は、右足が床に接地していない期間である。「荷重応答期」は、右足の踵が床に接地した時点(以下「初期接地(踵接地)」という。)から、左足が離地するまでの期間である。「立脚中期」は、右足のみが床に接地している状態において、右足の踵が床から離れる時点(以下「踵離地」という。)までの期間である。「立脚終期」は、右足の踵が床から離れてから、左足の踵が床に着く時点までの期間である。「前遊脚期」は、さらに右足の足尖が床から離れる時点(以下「足尖離地」という。)までの期間である。すなわち、前遊脚期では、右足はまだ床に接地している。「遊脚初期」は、振り出された右足が左足の下腿と交差するまでの期間である。「遊脚中期」は、右足の下腿が垂直に下垂するまでの期間である。「遊脚終期」は、右足の踵が再び床に接地(踵接地)する時点までの期間である。すなわち、歩行周期は、遊脚終期の後、荷重応答期に移る。つまり、遊脚終期における右足の踵が再び床に接地(踵接地)する時点は、荷重応答期における初期接地となる。換言すれば、次の新たな歩行周期が始まる。
【0046】
図6は、
図4のグラフに、
図5の歩行周期が重畳して表示されたグラフである。
図中、t0とt6とは初期接地(踵接地)の時点であり、t1とt7とは踵離地の時点であり、t2とt8とは足尖離地の時点であり、t3とt9とは遊脚初期の時点であり、t4とt10とは遊脚中期の時点であり、t5とt11とは、遊脚終期における踵接地の時点である。
【0047】
「遊脚終期における踵接地の時点」
は、踵接地の瞬間の時点、および、踵接地の直前の時点を含む。「踵接地の直前」とは、踵接地の瞬間から0.1秒程度直前である。
【0048】
同図は、t5,t11の時点でのマイナス方向の加速度が最も大きいことを示す。すなわち、踵接地の瞬間(床を踏み込む瞬間)に意図的に力が入れられていることが分かる。
【0049】
図2に戻る。
記憶部20は、本装置1が後述する情報処理を実行するために必要な情報を記憶する。記憶部20は、例えば、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの記録装置や、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、などにより構成される。記憶部20は、検知情報、歩行情報、歩行情報の平均値、基準速度、基準加速度、基準時間など、を記憶する。記憶部20の動作については、後述する。
【0050】
「歩行情報」は、検知情報から得られる被検者Hmの実歩行時間、実歩行速度、実歩行距離などの歩行に関する情報である。歩行情報の詳細は、後述する。
【0051】
「基準速度」は、フレイル判定の際に歩行情報と比較される速度である。基準速度の詳細は、後述する。
【0052】
「基準加速度」は、フレイル判定の際に歩行情報と比較される加速度である。基準加速度の詳細は、後述する。
【0053】
「基準時間」は、フレイル判定の際に歩行情報と比較される時間である。基準時間の詳細は、後述する。
【0054】
特定部30は、記憶部20に記憶されている検知情報に基づいて、歩行情報を特定する。特定部30は、記憶部20に記憶されている検知情報を読み出して、「1秒あたりの歩行速度(m/s)」と、「進行方向静止加速度(G)」と、「1歩あたりの所要時間(s/歩)」と、を特定する。すなわち、「歩行情報」は、「1秒あたりの歩行速度(m/s)」と、「進行方向静止加速度(G)」と、「1歩あたりの所要時間(s/歩)」と、である。特定部30に特定された歩行情報は、記憶部20に記憶される。特定部30の動作については、後述する。
【0055】
「進行方向静止加速度」は、マイナス方向の加速度が最も大きくなる「遊脚終期における踵接地の時点」での前後方向加速度である。すなわち、特定部30は、0.02秒ごとに計測された検知情報から、歩行周期における「遊脚終期における踵接地の時点」を特定した上で、進行方向静止加速度を特定する。進行方向静止加速度は、本発明における接地直前加速度の例である。
【0056】
図7は、特定部30に特定された歩行情報の例を示す模式図である。
同図は、被検者Hmがセンサを装着した状態で歩行して計測している時間(x秒)における、1秒あたりの歩行速度が「B1」「B2」「B3」「B4」・・・「Bx」であることを示す。また、同図は、各足1歩あたりから検出された進行方向静止加速度が、右足は「CR1」「CR2」「CR3」「CR4」・・・「CRy」であり、左足は「CL1」「CL2」「CL3」「CL4」・・・「CLy」であることを示す。さらに、同図は、x秒間において歩行した歩数(z歩)における、各足1歩あたりの所要時間が、右足は「DR1」「DR2」「DR3」「DR4」・・・「DRz」であり、左足は「DL1」「DL2」「DL3」「DL4」・・・「DLz」であることを示す。
【0057】
図2に戻る。
算出部40は、歩行情報を記憶部20から読み出して、歩行情報の平均値(1秒あたりの平均歩行速度(m/s)と、平均進行方向静止加速度(G)と、1歩あたりの平均所要時間(s/歩))を算出する。換言すれば、算出部40は、検知情報に基づいて、歩行情報の平均値を算出する。算出部40に算出された歩行情報の平均値は、記憶部20に記憶される。算出部40の動作については、後述する。
【0058】
図8は、算出部40に算出された情報の具体例を示す模式図である。
同図は、9人の被検者(A-I)に装着されたセンサSから得られた検知情報に基づいて、特定部30に特定された歩行情報と、算出部40に算出された歩行情報の平均値と、を示す。
【0059】
同図は、例えば、被検者「A」の1秒あたりの平均歩行速度が「1.22m/s」であり、右足の平均進行方向静止加速度が「2.02G」であり、左足の平均進行方向静止加速度が「1.42G」であり、右足の1歩あたりの平均所要時間が「1.05s/歩」であり、左足の1歩あたりの平均所要時間が「1.06s/歩」であることを示す。
【0060】
図2に戻る。
判定部50は、算出部40に算出された歩行情報の平均値を記憶部20から読み出して、基準値(基準速度、基準加速度、基準時間)と比較し、被検者Hmがフレイル状態の歩行であるか否か(フレイルか否か)の判定をする。換言すれば、判定部50は、歩行周期に含まれる所定のタイミングにおける検知情報に基づいて、被検者Hmがフレイル状態の歩行であるか否かの判定をする。「所定のタイミング」は、例えば、「遊脚終期における踵接地の時点」、すなわち、踵接地の瞬間の時点および踵接地の直前の時点である。判定部50が判定した判定結果は、記憶部20に記憶される。判定部50の動作については、後述する。判定部50は、速度判定部51と、加速度判定部52と、時間判定部53と、を備える。
【0061】
速度判定部51は、算出部40に算出された、1秒あたりの平均歩行速度(m/s)と、基準速度と、を比較する。比較結果(判定結果)は、記憶部20に記憶される。速度判定部51の動作については、後述する。
【0062】
「基準速度」は、1秒間あたりの歩行距離が「1m」、すなわち、「1m/s」である。基準速度「1m/s」は、従来よりフレイルか否かの判定に利用されている診断基準のカットオフ値である。
【0063】
加速度判定部52は、算出部40に算出された、平均進行方向静止加速度(G)と基準加速度とを比較する。比較結果(判定結果)は、記憶部20に記憶される。加速度判定部52の動作については、後述する。
【0064】
「基準加速度」は、本実施の形態では、例えば、「1.4G」である。基準加速度「1.4G」は、本発明者らの実験により算出された、フレイル患者の進行方向静止加速度と、健常者の進行方向静止加速度と、の平均的な時間のカットオフ値である。
【0065】
時間判定部53は、算出部40に算出された、1歩あたりの平均所要時間(s/歩)と、基準時間と、を比較する。比較結果(判定結果)は、記憶部20に記憶される。時間判定部53の動作については、後述する。
【0066】
「基準時間」は、本実施の形態では、例えば、1歩あたりの所要時間が「1.07秒」、すなわち、「1.07s/歩」である。基準時間「1.07s/歩」は、本発明者らの実験により算出された、フレイル患者の1歩あたりの所要時間と、健常者の1歩あたりの所要時間と、の平均的な時間のカットオフ値である。
【0067】
出力部60は、判定部50による判定結果を、ディスプレイDに出力する。出力部60の動作については、後述する。
【0068】
ディスプレイDは、出力部60の出力結果を表示する。ディスプレイDは、例えば、本装置1が備える表示部(不図示)である。すなわち、ディスプレイは、本発明における表示部の例である。
【0069】
なお、ディスプレイは、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレットPC、PDAなど、本装置とは異なる外部の可搬型のコンピュータ端末が備える表示部でもよい。
【0070】
また、出力部による判定結果の出力態様は、ディスプレイあるいは外部の表示部への表示でなくてもよい。すなわち、例えば、出力部は、本装置に接続されたプリンタなどに判定結果のデータを送信して、プリンタなどの出力媒体に紙媒体で出力させてもよい。
【0071】
●フレイル判定支援装置の動作●
次に、本装置1の動作について、説明する。
以下の説明は、後述する図面に加えて、
図1,2も併せて参照する。
【0072】
図9は、本装置1の動作を示すフローチャートである。
【0073】
先ず、検知情報取得部10は、センサSに計測された被検者Hmの歩行データ(検知情報)を、センサSから取得する(S1)。検知情報取得部10に取得された検知情報は、記憶部20に記憶される。
【0074】
次いで、特定部30は、記憶部20に記憶されている検知情報を読み出して、歩行情報を特定する(S2)。特定部30に特定された歩行情報は、記憶部20に記憶される。
【0075】
次いで、算出部40は、特定部30に特定された歩行情報を記憶部20から読み出して、歩行情報の平均値を算出する(S3)。算出部40に算出された歩行情報の平均値は、記憶部20に記憶される。
【0076】
次いで、判定部50は、算出部40に算出された歩行情報の平均値を記憶部20から読み出して、基準値と比較する判定処理を実行する(S4)。
【0077】
図10は、本装置1の判定処理(S4)のフローチャートである。
同図のフローチャートは、本装置1が歩行情報の平均値から、被検者Hmの歩行がフレイル状態の歩行であるか否かの判定をするための一例を示す。
【0078】
先ず、速度判定部51は、算出部40に算出された歩行情報の平均値のうち、1秒あたりの平均歩行速度(m/s)と、基準速度(1m/s)と、を比較する(S41)。平均歩行速度が基準速度(1m/s)未満のとき(S41の「Yes」)、速度判定部51は、基準速度を満たしていないと判定する。速度判定部51の判定結果は、記憶部20に記憶される(
図2において不図示)。
【0079】
次いで、加速度判定部52は、算出部40に算出された歩行情報の平均値のうち、平均進行方向静止加速度(G)と基準加速度(1.4G)とを比較する(S42)。平均進行方向静止加速度が基準加速度(1.4G)以下のとき(S42の「Yes」)、加速度判定部52は、基準加速度を満たしていないと判定する。加速度判定部52の判定結果は、記憶部20に記憶される(
図2において不図示)。
【0080】
次いで、時間判定部53は、算出部40に算出された歩行情報の平均値のうち、1歩あたりの平均所要時間(s/歩)と、基準時間(1.07s/歩)と、を比較する(S43)。平均所要時間が基準時間(1.07s/歩)以上のとき(S43の「Yes」)、時間判定部53は、基準時間を満たしていないと判定する。時間判定部53の判定結果は、記憶部20に記憶される(
図2において不図示)。
【0081】
処理S41,S42,S43の比較の結果が全て「Yes」のとき、判定部50は、被検者Hmの歩行はフレイル状態の歩行である可能性が高い(かなり高い)と判定する(S44)。
【0082】
一方、平均歩行速度が基準速度(1m/s)以上のとき(S41の「No」)、あるいは、平均進行方向静止加速度が基準加速度(1.4G)より大きいとき(S42の「No」)、あるいは、平均所要時間が基準時間(1.07s/歩)より短いとき(S43の「No」)、判定部50は、被検者Hmの歩行はフレイル状態の歩行である可能性が低いと判定する(S45)。
【0083】
すなわち、平均歩行速度が基準速度(1m/s)未満であるか否かは、被検者Hmがフレイルか否かを判定するための第1判定基準である。つまり、第1判定基準を満たしている場合(平均歩行速度が基準速度(1m/s)以上の場合)、被検者Hmの歩行は、フレイル状態の歩行である可能性が低い(かなり低い)と判定される。
【0084】
また、平均進行方向静止加速度が基準加速度(1.4G)以下であるか否かは、被検者Hmがフレイルか否かを判定するための第2判定基準である。つまり、第1判定基準を満たしていないが第2判定基準を満たしている場合(平均進行方向静止加速度が基準加速度(1.4G)より大きい場合)、被検者Hmの歩行は、フレイル状態の歩行である可能性が低いと判定される。
【0085】
また、平均所要時間が基準時間(1.07s/歩)以上か否かは、被検者Hmがフレイルか否かを判定するための第3判定基準である。つまり、第1,第2判定基準を満たしていないが第3判定基準を満たしている場合(平均所要時間が基準時間(1.07s/歩)より短い場合)、被検者Hmの歩行は、フレイル状態の歩行である可能性が低い(おそらくフレイルではない)と判定される。
【0086】
次いで、記憶部20は、判定部50の判定結果(S44,S45)を記憶する(S46)(
図2において不図示)。
【0087】
図9に戻る。
次いで、出力部60は、判定部50の判定結果を記憶部20から読み出して、ディスプレイ(表示装置)Dに判定結果を出力する(S5)。
【0088】
図11は、出力部60の出力結果の例を示す模式図である。
【0089】
同図は、
図8における被検者「C」の歩行情報に基づく判定結果の表示例を示す。同図は、被検者「C」の歩行速度と基準速度との比較結果と、進行方向静止加速度と基準加速度との比較結果と、所要時間と基準時間との比較結果と、のいずれも基準を満たしておらず、被検者「C」はフレイル状態の歩行である可能性が高いと判定されていることを示す。
【0090】
図12は、出力部60の出力結果の別の例を示す模式図である。
【0091】
同図は、
図8における被検者「A」の歩行情報に基づく判定結果の表示例を示す。同図は、被検者「A」の歩行速度と基準速度との比較結果を示す。同図は、歩行速度と基準速度との比較結果が基準(第1判定基準)を満たしているため、進行方向静止加速度と基準加速度との比較、および、所要時間と基準時間との比較は実施されていないことを示す。同図は、被検者「A」はフレイル状態の歩行である可能性が低いと判定されていることを示す。
【0092】
●まとめ●
以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、歩行の周期に含まれる、遊脚終期における踵接地の時点(踵接地の瞬間の時点および踵接地の直前の時点)のタイミングにおける検知情報に基づいて、被検者がフレイル状態の歩行であるか否かの判定をする判定部50を有してなる。本実施の形態において、遊脚終期における踵接地の時点は、進行方向静止加速度である。フレイル患者の進行方向静止加速度には、健常者の進行方向静止加速度との間において、基準値(基準加速度)をカットオフ値として差がある。そのため、判定部50は、遊脚終期における踵接地の時点のタイミングにおける検知情報に基づいて、被検者がフレイル状態の歩行であるか否かの判定をすることができる。また、判定部50の判定結果は、出力部60によりディスプレイDに表示される。医師は、ディスプレイDに表示された判定部50の判定結果を参照して、被検者がフレイル状態の歩行であるか否かを判定する。つまり、本装置1は、被検者がフレイルか否かの医師による判定の支援をする。
【0093】
また、以上説明した実施の形態によれば、判定部50は、被検者の1歩あたりの平均所要時間に基づいて、被検者がフレイル状態の歩行であるか否かの判定をする。フレイル患者の1歩あたりの平均所要時間には、健常者の1歩あたりの平均所要時間との間において、基準値(基準時間)をカットオフ値として差がある。そのため、判定部50は、被検者の1歩あたりの平均所要時間に基づいて、被検者がフレイル状態の歩行であるか否かの判定をすることができる。また、同判定結果も出力部60によりディスプレイDに表示される。医師は、ディスプレイDに表示された判定部50の判定結果を参照して、被検者がフレイル状態の歩行であるか否かを判定する。つまり、本装置1は、被検者がフレイルか否かの医師による判定の支援をする。
【0094】
なお、基準加速度と基準時間とは、被検者の年齢層や性別、病歴などの個人差により多少異なることもある。そのため、本装置は、被検者の年齢層や性別、病歴などの被検者に関する情報(以下「被検者情報」という。)を取得する取得部(被検者情報取得部)と、被検者情報に基づいて、基準加速度を更新する更新部と、を有してもよい。また、例えば、更新部は、被検者情報に基づいて、基準時間を更新できるようにしてもよい。本装置が被検者情報取得部と更新部とをさらに備えることにより、被検者毎の個人差に影響されることなく、判定精度の向上が期待できる。
【0095】
以下、これまで説明した本発明に係るフレイル判定支援装置と、フレイル判定支援プログラムと、フレイル判定支援方法と、の特徴について、まとめて記載しておく。
【0096】
(特徴1)
被検者(被検者Hm)がフレイルか否かの判定を支援するフレイル判定支援装置であって、
前記被検者の身体に装着されたセンサ(センサS)が検知した検知情報を記憶する記憶部(記憶部20)と、
前記検知情報に基づいて、前記被検者がフレイルか否かの判定をする判定部(判定部50)と、
を有してなり、
前記検知情報は、前記被検者が歩行をしている間に前記センサにより検知され、
前記判定部は、前記歩行の周期に含まれる所定のタイミング(例えば、遊脚終期における踵接地の時点(踵接地の瞬間の時点および踵接地の直前の時点))における前記検知情報に基づいて、前記判定をする、
ことを特徴とするフレイル判定支援装置(本装置1)。
(特徴2)
前記判定の結果を出力する出力部(出力部60)と、
前記出力部の出力結果を表示する表示部(ディスプレイD)と、
を有してなる、
特徴1記載のフレイル判定支援装置。
(特徴3)
前記判定の結果を出力する出力部(出力部60)、
を有してなり、
前記出力部の出力結果は、外部の端末(例えば、携帯電話、タブレットPC、PDAなどの外部の可搬型のコンピュータ端末)に表示される、
特徴1記載のフレイル判定支援装置。
(特徴4)
前記センサは、前記被検者の足に装着された加速度センサであり、
前記検知情報は、加速度である、
特徴2または3記載のフレイル判定支援装置。
(特徴5)
前記加速度は、進行方向の前後方向における加速度である、
特徴4記載のフレイル判定支援装置。
(特徴6)
前記所定のタイミングは、前記足が接地する直前である、
特徴5記載のフレイル判定支援装置。
(特徴7)
前記記憶部に記憶されている前記検知情報に基づいて、前記被検者の1歩あたりの前記接地する直前のタイミングの接地直前加速度を特定する特定部(特定部30)と、
前記特定部が特定する前記1歩あたりの接地直前加速度に基づいて、前記被検者の1歩あたりの平均接地直前加速度を算出する算出部(算出部40)、
を有してなり、
前記記憶部は、基準加速度を記憶し、
前記判定部は、
前記平均接地直前加速度と前記基準加速度とを比較して、前記判定をする、
特徴6記載のフレイル判定支援装置。
(特徴8)
前記算出部は、前記検知情報に基づいて、前記被検者の1歩当たりの平均時間を算出し、
前記記憶部は、基準時間を記憶し、
前記判定部は、
前記平均時間と前記基準時間とを比較して、前記判定をする、
特徴7記載のフレイル判定支援装置。
(特徴9)
前記被検者に関する被検者情報を取得する取得部と、
前記被検者情報に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記基準加速度を更新する更新部と、
を有する、
特徴8記載のフレイル判定支援装置。
(特徴10)
前記更新部は、前記被検者情報に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記基準時間を更新する、
特徴9記載のフレイル判定支援装置。
(特徴11)
コンピュータを、特徴1記載のフレイル判定支援装置として機能させる、
ことを特徴とするフレイル判定支援プログラム。
(特徴12)
被検者がフレイルか否かの判定を支援する情報処理装置により実行されるフレイル判定支援方法であって、
前記情報処理装置は、
前記被検者の身体に装着されたセンサが検知した検知情報を記憶する記憶部と、
前記検知情報に基づいて、前記被検者がフレイルか否かの判定をする判定部と、
を備え、
前記検知情報は、前記被検者が歩行をしている間に前記センサにより検知され、
前記記憶部が、前記検知情報を記憶するステップと、
前記判定部が、前記歩行の周期に含まれる所定のタイミングにおける前記検知情報に基づいて、前記判定をするステップと、
を有してなる、
ことを特徴とするフレイル判定支援方法。
【符号の説明】
【0097】
1 フレイル判定支援装置
10 検知情報取得部
20 記憶部
30 特定部
40 算出部
50 判定部
51 速度判定部
52 加速度判定部
53 時間判定部
60 出力部
S センサ
Hm 被検者
D ディスプレイ