(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】1つ以上の走査荷電粒子ビームを検出するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/244 20060101AFI20241105BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
H01J37/244
H01J37/28 B
(21)【出願番号】P 2021572341
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(86)【国際出願番号】 NL2020050358
(87)【国際公開番号】W WO2020246881
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-04-10
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】521530185
【氏名又は名称】デルミック・アイピー・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DELMIC IP B.V.
【住所又は居所原語表記】Kanaalweg 4,2628 EB Delft,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】フォールトマン、レナルト・マールテン
(72)【発明者】
【氏名】エフティング、アンドリース・ピーテル・ヨハン
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-122332(JP,A)
【文献】特開平04-306548(JP,A)
【文献】特表2017-515283(JP,A)
【文献】米国特許第09378921(US,B2)
【文献】特開昭60-055250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
G01N 21/62-21/74
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを検査するための装置であって、前記装置は、
前記サンプルを保持するためのサンプルホルダと、
1つ以上の荷電粒子ビームを生成し、前記サンプルホルダに向かって方向付けるための荷電粒子鏡筒と、ここにおいて、前記荷電粒子鏡筒は、前記サンプル上に1つ以上の荷電粒子ビームスポットにおいて前記1つ以上の荷電粒子ビームを集束させるように構成される、
走査方向に前記サンプル上の前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットを走査するための走査ユニットと、
前記1つ以上の荷電粒子ビームが前記サンプルに衝突したときに、又は前記1つ以上の荷電粒子ビームが前記サンプルを透過した後に前記1つ以上の荷電粒子ビームがルミネッセンス材料の層上に衝突したときに、前記1つ以上の集束された荷電粒子ビームによって作り出された光子を検出するための光子検出器と、
前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットから光学ビーム経路に沿って前記光子検出器上の1つ以上の光スポット上に前記光子のうちの少なくとも一部を投影又は結像するための光学アセンブリと、
ここにおいて、前記光学アセンブリは、前記サンプルホルダと前記光子検出器との間の前記光学ビーム経路中に配置されたミラーまたはポリゴンミラーを備え、前記ミラーまたは前記ポリゴンミラーは、0~180度の偏向角度で前記光学ビーム経路を反射するように構成される、
互いに対して前記1つ以上の光スポット及び/又は前記光子検出器をシフトさせるためのシフトユニットと、ここにおいて、
前記シフトユニットは、前記ミラーを傾斜させるように構成されたミラーアクチュエータまたは前記ポリゴンミラーを回転させるように構成された回転アクチュエータを備え、前記シフトユニットは、前記走査ユニットによる前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットの前記走査に起因する、前記サンプル上又は前記ルミネッセンス材料の層上の前記1つ以上の荷電粒子ビームの移動を少なくとも部分的に補償するように構成される、
を備える、装置。
【請求項2】
前記光学アセンブリは、前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットから前記光子のうちの少なくとも一部を収集するための対物レンズを備え、前記シフトユニットは、前記サンプルホルダに対して前記対物レンズを移動させるための対物レンズアクチュエータを備え、前記対物レンズアクチュエータは、前記走査方向に対して実質的に平行な方向に前記対物レンズを移動させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記対物レンズは、光軸を備え、前記対物レンズアクチュエータは、前記対物レンズの前記光軸に対して実質的に垂直な方向に前記対物レンズを移動させるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記光学アセンブリは、前記光子検出器上に前記光子のうちの前記少なくとも一部を投影するための投影レンズを備え、前記シフトユニットは、前記光子検出器に対して前記投影レンズを移動させるための投影レンズアクチュエータを備える、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記投影レンズは、光軸を備え、前記投影レンズアクチュエータは、前記投影レンズの前記光軸に対して実質的に垂直な方向に前記投影レンズを移動させるように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ミラーアクチュエータは、回転軸を中心として前記ミラーを傾斜させるように構成され、前記回転軸は、前記走査方向に対して実質的に垂直に配置される、請求項
1~5のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ポリゴンミラーは、回転軸を中心として前記
ポリゴンミラーを回転させるように構成され、前記回転軸は、前記走査方向に対して実質的に垂直に配置される、請求項
1~6のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記光学アセンブリは、前記サンプルホルダと前記光子検出器との間の前記光学ビーム経路中に配置された光学窓を備え、前記光学窓は、前記光学ビーム経路が前記光学窓を横断するように配置され、前記シフトユニットは、前記光学窓を傾斜させるように構成された傾斜アクチュエータを備える、請求項1~
7のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記傾斜アクチュエータは、回転軸を中心として前記光学窓を傾斜させるように構成され、前記回転軸は、前記走査方向に対して実質的に垂直に配置される、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記光学アセンブリは、前記サンプルホルダと前記光子検出器との間の前記光学ビーム経路中に配置された光学透明ポリゴンを備え、前記光学透明ポリゴンは、前記光学ビーム経路が前記光学透明ポリゴンを横断するように配置され、前記シフトユニットは、前記光学透明ポリゴンを回転させるように構成された回転アクチュエータを備える、請求項1~
9のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記回転アクチュエータは、回転軸を中心として前記光学透明ポリゴンを回転させるように構成され、前記回転軸は、前記走査方向に対して実質的に垂直に配置される、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、前記走査ユニットを制御するための第1の制御ユニットと、前記シフトユニットを制御するための第2の制御ユニットとを更に備え、前記第1の制御ユニットは、前記第2の制御ユニットに走査情報信号を送るように構成され、前記第2の制御ユニットは、前記走査情報信号に基づいて前記シフトユニットを制御するように構成される、請求項1~
11のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記シフトユニットは、第1のシフトユニットであり、前記装置は、第2のシフトユニットを更に備え、前記第2のシフトユニットは、前記第1のシフトユニットのシフト方向に対して実質的に垂直な前記シフト方向に互いに対して前記1つ以上の光スポット及び/又は前記光子検出器をシフトさせるように構成される、請求項1~
12のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
サンプルを検査するための方法であって、前記方法は、
サンプルホルダ中に前記サンプルを配置することと、
荷電粒子鏡筒を使用して、1つ以上の荷電粒子ビームを生成し、前記サンプルに向かって方向付けることと、ここにおいて、前記荷電粒子鏡筒は、前記サンプル上に1つ以上の荷電粒子ビームスポットにおいて前記1つ以上の荷電粒子ビームを集束させる、
ここにおいて、前記1つ以上の荷電粒子ビームが前記サンプルに衝突したときに、又は前記1つ以上の荷電粒子ビームが前記サンプルを透過した後に前記1つ以上の荷電粒子ビームがルミネッセンス材料の層上に衝突したときに、前記1つ以上の集束された荷電粒子ビームによって光子が作り出される、
光学アセンブリを使用して、前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットから光学ビーム経路に沿って光子検出器上の1つ以上の光スポット上に前記光子のうちの少なくとも一部を投影又は結像することと、
前記光子検出器を使用して光子を検出することと、
走査ユニットを使用して走査方向に前記サンプル上の前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットを走査し、シフトユニットを使用して互いに対して前記1つ以上の光スポット及び/又は前記光子検出器をシフトさせることと、ここにおいて、前記シフトユニットは、前記走査ユニットによる前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットの前記走査に起因する、前記サンプル上又は前記ルミネッセンス材料の層上の前記1つ以上の荷電粒子ビームの移動を少なくとも部分的に補償
し、
前記1つ以上の光スポットが前記走査ユニットによる前記1つ以上の荷電粒子ビームに対する前記走査中に前記光子検出器上の同じ位置に実質的に留まるように、前記1つ以上の荷電粒子ビームの前記移動を補償する、
を行うステップを備える、方法。
【請求項15】
前記方法は、請求項1~13のうちのいずれか一項に記載の装置を使用する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の荷電粒子ビームは、前記サンプル上の第1の実質的に矩形のエリア上で走査され、その後、前記1つ以上の荷電粒子ビーム及び前記サンプルは、前記実質的に矩形のエリアの幅に実質的に等しい距離にわたって互いに対して移動され、次いで、前記1つ以上の荷電粒子ビーム走査が、前記サンプル上の第2の実質的に矩形のエリア上で走査される、請求項
14又は
15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~
13のうちのいずれか一項に記載の装置に、請求項
14~
16のうちのいずれか一項に記載の方法を実行させるように適合されたコンピュータ実行可能命令を有する、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、走査電子顕微鏡又はマルチビーム走査電子顕微鏡などの1つ以上の走査荷電粒子ビームによってサンプルを検査するための装置及び方法に関する。
【0002】
そのような装置又は方法は、例えばUS2017/0133198A1に開示されている。この特許出願は、サンプル上に1つ以上の荷電粒子ビームを集束及び走査するための荷電粒子鏡筒と、前記1つ以上の荷電粒子ビームがサンプルに衝突したときに、又は前記1つ以上の荷電粒子ビームがサンプルを透過した後に、前記1つ以上の集束された荷電粒子ビームによって作り出された光子を検出するように構成された光子検出器、特にマルチピクセル光子検出器とを備える装置を説明している。装置は、前記1つ以上の集束された荷電粒子ビームによって作り出された光子を光子検出器、好ましくはマルチピクセル光子検出器に伝達するための光学アセンブリを更に備える。
【0003】
US2017/0133198A1に説明されているように、光学アセンブリは、荷電粒子鏡筒の電磁レンズ系に向かって面するサンプルホルダの側、又は荷電粒子鏡筒とは反対に面するサンプルホルダの反対側のうちのいずれかに配置されることができる。
【0004】
荷電粒子が材料、特にルミネッセンス材料に衝突することに起因して光子を放出させる現象は、カソードルミネッセンスと呼ばれる。サンプルが1つ以上のカソードルミネッセンス成分を備える場合、光子は、前記一次荷電粒子ビームがサンプル、特にそのカソードルミネッセンス成分に衝突するときに前記集束された荷電粒子ビームによって作り出されることに留意されたい。加えて又は代替として、カソードルミネッセンス又はシンチレータ材料の層が使用されて、電子、陽子又はイオンなどの荷電粒子を衝突させることによって光子が生成されることができる。
【0005】
US2017/0133198は、カソードルミネッセンス又はシンチレータ材料の層を備える装置を説明しており、装置は、前記サンプルを透過した後に荷電粒子がカソードルミネッセンス又はシンチレータ材料の層に衝突するように、電磁レンズ系とカソードルミネッセンス又はシンチレータ材料の層との間にサンプルを位置付けるように構成される。装置は、光子が光子検出器上に作り出される位置を投影又は結像するように構成される光学アセンブリを更に備える。
【発明の概要】
【0006】
サンプルの表面のある特定の部分上で走査される1つ以上の荷電粒子ビームを使用するとき、光子がサンプル中又はカソードルミネッセンス若しくはシンチレータ材料の層中に作り出される位置は、走査中に移動する。それ故に、光子検出器上にサンプル又はカソードルミネッセンス若しくはシンチレータ材料の層を投影又は結像するとき、荷電粒子の衝突位置から生じる光スポットも、光子検出器上を移動する。
【0007】
一方では、検出器上の光スポット(複数可)の移動は、前記光スポットの移動中に光スポットが検出器のエリア内に留まるときには問題を生じない。しかしながら、比較的大きい検出器エリアを有する検出器は、通常、比較的遅い応答を有し、その結果、画像の取得が比較的遅くなる。加えて、マルチビームシステムでは、2つの隣接するビームの走査経路は、互いに非常に近接して配置されるか、又はある特定の距離にわたって重複することさえあり得、それは、隣接する光スポットのうちの1つの特定の光スポットのみを検出するように隣接する検出器を配置することを非常に困難にするか、又は不可能にさえする。
【0008】
他方では、光スポット(複数可)は、マルチピクセル検出器によって検出されることができ、光スポット(複数可)の移動中に、前記光スポット(複数可)は、前記マルチピクセル検出器の異なるピクセル上に投影され、それによって測定される。しかしながら、マルチピクセル検出器による光スポットの強度の追跡及び測定は、比較的遅いプロセスであり、それは、画像の迅速な取得をかなり妨げる。
【0009】
本発明の目的は、上記の欠点のうちの1つ以上を少なくとも部分的に解決する装置及び方法を提供することである。
【0010】
第1の態様によると、本発明は、サンプルを検査するための装置を提供し、装置は、
サンプルを保持するためのサンプルホルダと、
1つ以上の荷電粒子ビームを生成し、サンプルホルダに向かって方向付けるための荷電粒子鏡筒と、ここにおいて、荷電粒子鏡筒は、サンプル上に1つ以上の荷電粒子ビームスポットにおいて1つ以上の荷電粒子ビームを集束させるように構成される、
走査方向にサンプル上の1つ以上の荷電粒子ビームスポットを走査するための走査ユニットと、
1つ以上の荷電粒子ビームがサンプルに衝突したときに、又は1つ以上の荷電粒子ビームがサンプルを透過した後に1つ以上の荷電粒子ビームがルミネッセンス材料の層上に衝突したときに、1つ以上の集束された荷電粒子ビームによって作り出された光子を検出するための光子検出器と、
1つ以上の荷電粒子ビームスポットから光学ビーム経路に沿って光子検出器上の1つ以上の光スポット上に光子のうちの少なくとも一部を投影又は結像するための光学アセンブリと、
互いに対して1つ以上の光スポット及び/又は光子検出器をシフトさせるためのシフトユニットと、ここにおいて、シフトユニットは、走査ユニットによる1つ以上の荷電粒子ビームスポットの走査に起因する、サンプル上又はルミネッセンス材料の層上の1つ以上の荷電粒子ビームの移動を少なくとも部分的に補償するように構成される、
を備える。
【0011】
本発明の装置は、光子検出器に対して光学ビーム経路をシフトさせるように、及び/又は、光学ビーム経路に対して光子検出器をシフトさせるように構成されたシフトユニットを設けられる。シフトユニットは、1つ以上の荷電粒子ビームの走査に起因する、光子が作り出されるサンプル上又はルミネッセンス若しくはシンチレータ材料の層上の位置の移動を少なくとも部分的に補償するように構成される。それ故に、シフトユニットは、互いに対して光子のための光路及び/又は検出器の位置をシフトさせるように構成され、特に、光子が投影又は結像される検出器上の1つ以上の位置が、走査偏向器による1つ以上の荷電粒子ビームスポットの走査中に検出器上でより少ない程度にシフトするか、又は全くシフトさえしないように構成される。
【0012】
それ故に、比較的小さい検出器エリアを有する検出器が使用されることができ、それは、比較的大きい検出器エリアを有する検出器より早い応答時間を有することができる。加えて、サンプル上の荷電粒子ビームの走査経路が部分的に重複していても、検出器における2つの隣接するビームの走査経路の重複は、実質的に防止されることができる。
【0013】
更に、マルチピクセル検出器が光スポット(複数可)を測定するために使用されるとき、シフトユニットは、荷電粒子ビームがサンプル上で走査されるときでさえ、検出器上の光スポット(複数可)の移動を少なくとも部分的に補償するか又は無効にさえすることができる。それ故に、シフトユニットに起因して、光スポットの追跡が少なくとも大幅に回避されることができる。
【0014】
それ故に、本発明の装置は、従来技術の装置と比較して、遙かに迅速な画像の取得を可能にする。
【0015】
加えて、シフトユニットによる補償に起因して、1つ以上の荷電粒子ビームは、サンプル上でより長い距離にわたって移動されることができ、それは、サンプルの他の部分を走査フィールドに持ってくるためにサンプルホルダが移動しなければならない前に、より大きい走査フィールド又はいくつかの隣接する走査フィールドを記録することを可能にする。それ故に、必要とされるサンプル移動がより少なくなり、及び/又はサンプルホルダを移動させた後のステージ整定時間が低減されることができる。
【0016】
しかし、実施形態では、検出器は、光スポットの移動と共に物理的に移動され得る。
【0017】
好ましくは、実施形態では、シフトユニットは、サンプルと検出器との間で光ビームの軌道をシフトさせるための能力を光学アセンブリの構成要素に提供するように構成される。前記光子検出器上の前記1つ以上の光子ビームスポットを移動させるように構成されたシフトユニットを備えるように光学アセンブリを構成することによって、サンプル上の1つ以上の荷電粒子ビームスポットの移動が、少なくとも部分的に補償されることができ、光子検出器上の1つ以上の光子ビームスポットの移動は、少なくとも低減されることができ、好ましくは排除されることができる。
【0018】
実施形態では、光学アセンブリは、1つ以上の荷電粒子ビームスポットから光子のうちの少なくとも一部を収集するための対物レンズを備え、シフトユニットは、サンプルホルダに対して対物レンズを移動させるための対物レンズアクチュエータを備え、対物レンズアクチュエータは、走査方向に対して実質的に平行な方向に対物レンズを移動させるように構成される。実施形態では、対物レンズは、光軸を備え、対物レンズアクチュエータは、対物レンズの光軸に対して実質的に垂直な方向に対物レンズを移動させるように構成される。サンプルホルダに対して対物レンズを移動させると、レンズ及び光学アセンブリの他の部分によって投影される画像は、検出器上を移動するであろう。この実施形態では、対物レンズの移動に起因する画像の移動は、サンプル上の荷電粒子ビームの走査を少なくとも部分的に補償するために使用される。
【0019】
実施形態では、光学アセンブリは、光子検出器上に光子のうちの少なくとも一部を投影するための投影レンズを備え、シフトユニットは、光子検出器に対して投影レンズを移動させるための投影レンズアクチュエータを備える。実施形態では、投影レンズは、光軸を備え、投影レンズアクチュエータは、投影レンズの光軸に対して実質的に垂直な方向に投影レンズを移動させるように構成される。対物レンズと同様に、光学アセンブリが投影レンズを備えるときも、投影レンズが移動されると、光学アセンブリによって投影された画像は検出器上を移動するであろう。この実施形態では、投影レンズの移動に起因する画像の移動は、サンプル上の荷電粒子ビームの走査を少なくとも部分的に補償するために使用される。
【0020】
実施形態では、光学アセンブリは、サンプルホルダと光子検出器との間の光学ビーム経路中に配置されたミラーを備え、ミラーは、0~180度の偏向角度で光学ビーム経路を反射するように構成され、シフトユニットは、ミラーを傾斜させるように構成されたミラーアクチュエータを備える。実施形態では、ミラーアクチュエータは、回転軸を中心としてミラーを傾斜させるように構成され、回転軸は、走査方向に対して実質的に垂直に配置される。ミラーは、偏向角度にわたって光学ビーム経路を偏向させるために、光学アセンブリの光学ビーム経路中に配置される。それ故に、光学ビーム経路は、サンプルホルダから光子検出器への途中で偏向角度にわたって曲げられる。偏向角度の周りの傾斜角度にわたってミラーを傾斜させることによって、光学ビーム経路は、検出器上で走査される。この実施形態では、ミラーの傾斜は、サンプル上の荷電粒子ビームの走査を少なくとも部分的に補償するために使用される。
【0021】
ミラーの傾斜は、偏向角度の周りの小さい傾斜角度であり得、その傾斜角度は、荷電粒子ビームの走査を補償するのに十分な大きさであればよい。実施形態では、傾斜ミラーは、その回転軸を中心として時計回り及び反時計回りの方向に傾斜角度にわたって傾斜するように、好ましくは偏向角度の周りを往復運動するように配置される。代替として、その回転軸を中心として同じ方向に、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかに回転する回転ミラーが使用されることができる。
【0022】
実施形態では、光学アセンブリは、サンプルホルダと光子検出器との間の光学ビーム経路中に配置されたポリゴンミラーを備え、ミラーは、0~180度の偏向角度で光学ビーム経路を反射するように構成され、シフトユニットは、ポリゴンミラーを回転させるように構成された回転アクチュエータを備える。実施形態では、ポリゴンミラーは、回転軸を中心としてミラーを回転させるように構成され、回転軸は、走査方向に対して実質的に垂直に配置される。ポリゴンミラーは、正多角形の形状の断面を有する円筒体を備える。多角形断面を有する円筒体の各側部エリアは、実質的に平坦なミラーファセットを備える。実施形態では、断面は、正方形、五角形、六角形、八角形、等の形状である。ポリゴンミラーをその中心軸を中心として回転させることによって、隣接する平坦なミラーファセットがその後光学ビーム経路中に移動され、平坦ミラーファセットの回転が光学ビーム経路のシフトをもたらし、光学ビーム経路が検出器上で走査される。この実施形態では、ポリゴンミラーの回転は、サンプル上の荷電粒子ビームの走査を少なくとも部分的に補償するために使用される。
【0023】
実施形態では、光学アセンブリは、サンプルホルダと光子検出器との間の光学ビーム経路中に配置された光学窓を備え、光学窓は、光学ビーム経路が光学窓を横断するように配置され、シフトユニットは、光学窓を傾斜させるように構成された傾斜アクチュエータを備える。実施形態では、傾斜アクチュエータは、回転軸を中心として光学窓を傾斜させるように構成され、回転軸は、走査方向に対して実質的に垂直に配置される。好ましくは、光学窓は、透明な前面及び後面を備え、後面は、前面と平行である。光学ビーム経路の光軸が前面及び後面に対して垂直に配置されるように光学窓が光学ビーム経路中に配置されるとき、光学ビーム経路は、光学窓を真っ直ぐに横断する。しかしながら、前面又は後面と光学ビーム経路の光軸とが0~90度の角度を含むように光学窓が傾斜されると、光学ビーム経路は、元の光学ビーム経路に対して平行にシフトされ、シフトされた光学ビーム経路と元の光学ビーム経路との間の距離は、前面と光学ビーム経路の光軸との間の角度及び光学窓の厚さに依存する。傾斜角度にわたって回転軸を中心として光学窓を傾斜させることによって、光学ビーム経路は、ある距離にわたって回転軸に対して垂直な方向にシフトし、光学ビーム経路は、検出器上で走査される。この実施形態では、光学窓の傾斜は、サンプル上の荷電粒子ビームの走査を少なくとも部分的に補償するために使用される。
【0024】
光学窓の傾斜は、光学窓の前面と光学ビーム経路の光軸との間の予め設定された角度の周りの小さい傾斜角度であり得、その傾斜角度は、荷電粒子ビームの走査を補償するのに十分な大きさであればよい。実施形態では、光学窓は、その回転軸を中心として時計回り及び反時計回りの方向に傾斜角度にわたって傾斜するように、好ましくは予め設定された角度の周りを往復運動するように配置される。代替として、その回転軸を中心として同じ方向に、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかに回転する光学窓が使用されることができる。
【0025】
実施形態では、光学アセンブリは、サンプルホルダと光子検出器との間の光学ビーム経路中に配置された光学透明ポリゴンを備え、光学透明ポリゴンは、光学ビーム経路が光学透明ポリゴンを横断するように配置され、シフトユニットは、光学透明ポリゴンを回転させるように構成された回転アクチュエータを備える。実施形態では、回転アクチュエータは、回転軸を中心として光学透明ポリゴンを回転させるように構成され、回転軸は、走査方向に対して実質的に垂直に配置される。光学透明ポリゴンは、偶数の側部ファセットを有する正多角形の形状の断面を有する円筒体を備える。多角形断面を有する円筒体の各側部ファセットは、光学透明表面を提供する。実施形態では、断面は、正方形、六角形、八角形、等の形状である。光軸に対して両側にある2つの光学透明表面は、上記で説明したように光学窓として機能する。光学ビームは、光学窓と同様に光学透明ポリゴンを横断する。光学透明ポリゴンをその中心軸を中心として回転させることによって、隣接する透明ファセットがその後光学ビーム経路中に移動され、透明ファセットと光学ビーム経路の光軸との間の角度が変化し、それは光学ビーム経路のシフトをもたらし、光学ビーム経路が検出器上で走査される。この実施形態では、光学透明ポリゴンの回転は、サンプル上の荷電粒子ビームの走査を少なくとも部分的に補償するために使用される。
【0026】
実施形態では、装置は、走査ユニットを制御するための第1の制御ユニットと、シフトユニットを制御するための第2の制御ユニットとを更に備え、第1の制御ユニットは、第2の制御ユニットに走査情報信号を送るように構成され、第2の制御ユニットは、走査情報信号に基づいてシフトユニットを制御するように構成される。第1の制御ユニットから第2の制御ユニットまで走査情報信号を提供することによって、荷電粒子ビームの走査を正確に補償するようにシフトユニットを制御することができる。実施形態では、第1及び第2の制御ユニットは、1つの単一の制御ユニットに組み合わせられる。
【0027】
実施形態では、シフトユニットは、第1のシフトユニットであり、装置は、第2のシフトユニットを更に備え、第2のシフトユニットは、第1のシフトユニットのシフト方向に対して実質的に垂直なシフト方向に互いに対して1つ以上の光スポット及び/又は光子検出器をシフトさせるように構成される。組み合わされた第1及び第2のシフトユニットは、直交方向への1つ以上の荷電粒子ビームの走査を補償することを可能にし、それは、サンプル上のエリアを走査するために一般に使用される。
【0028】
実施形態では、荷電粒子鏡筒は、複数の荷電粒子ビームを生成し、サンプルホルダにおける離間されたスポットのアレイ中に前記複数の荷電粒子ビームを方向付け、集束させるように構成される。実施形態では、検出器は、マルチピクセル光子検出器を備え、好ましくは、マルチピクセル光子検出器は、サンプルにおいて前記離間されたスポットの各スポットから光子を検出するための1つ以上の別個のピクセルを有するように構成される。実施形態では、装置は、複数の荷電粒子ビームの各々から生じる光子をマルチピクセル光子検出器の対応するピクセル上に投影するように構成される。実施形態では、マルチピクセル光子検出器は、前記複数の荷電粒子ビームの各荷電粒子ビームに対して1つのピクセルを備える。実施形態では、検出器は、マルチピクセル光子計数検出器を備える。
【0029】
第2の態様によると、本発明は、サンプルを検査するための方法を提供し、方法は、
サンプルホルダ中にサンプルを配置することと、
荷電粒子鏡筒を使用して、1つ以上の荷電粒子ビームを生成し、サンプルに向かって方向付けることと、ここにおいて、荷電粒子鏡筒は、サンプル上に1つ以上の荷電粒子ビームスポットにおいて1つ以上の荷電粒子ビームを集束させる、
ここにおいて、1つ以上の荷電粒子ビームがサンプルに衝突したときに、又は1つ以上の荷電粒子ビームがサンプルを透過した後に1つ以上の荷電粒子ビームがルミネッセンス材料の層上に衝突したときに、1つ以上の集束された荷電粒子ビームによって光子が作り出される、
光学アセンブリを使用して、1つ以上の荷電粒子ビームスポットから光学ビーム経路に沿って光子検出器上の1つ以上の光スポット上に光子のうちの少なくとも一部を投影又は結像することと、
光子検出器を使用して光子を検出することと、
走査ユニットを使用して走査方向にサンプル上の1つ以上の荷電粒子ビームスポットを走査し、シフトユニットを使用して互いに対して1つ以上の光スポット及び/又は光子検出器をシフトさせることと、ここにおいて、シフトユニットは、走査ユニットによる1つ以上の荷電粒子ビームスポットの走査に起因する、サンプル上又はルミネッセンス材料の層上の1つ以上の荷電粒子ビームの移動を少なくとも部分的に補償する、
を行うステップを備える。
【0030】
それ故に、検査装置、好ましくは上記の実施形態のうちの1つ以上に記載された検査装置を動作させる本方法は、光子がルミネッセンス材料中に荷電粒子ビームによって作り出される位置の変位が、検出器上の光子の限られた変位のみをもたらすようなものであり、そのため、クロストークは、定義された限度内に制限される。
【0031】
実施形態では、シフトユニットは、1つ以上の光スポットが走査ユニットによる1つ以上の荷電粒子ビームに対する走査中に光子検出器上の同じ位置に実質的に留まるように、1つ以上の荷電粒子ビームの移動を補償する。それ故に、1つ以上の荷電粒子ビームを走査することによって光子が作り出される位置の変位は、光子検出器上に投影される光子の変位をもたらさない。
【0032】
実施形態では、1つ以上の荷電粒子ビームは、サンプル上の第1の実質的に矩形のエリア上で走査され、その後、1つ以上の荷電粒子ビーム及びサンプルは、実質的に矩形のエリアの幅に実質的に等しい距離にわたって互いに対して移動され、次いで、1つ以上の荷電粒子ビーム走査が、サンプル上の第2の実質的に矩形のエリア上で走査される。
【0033】
第3の態様によると、本発明は、上記で説明した本発明の第1の態様による装置に、上記で説明した本発明の第2の態様による方法を実行させるように適合されたコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体を提供する。
【0034】
本明細書に記載し、示す様々な態様及び特徴は、可能な限り、個々に適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に記載する態様及び特徴は、分割特許出願の主題とすることができる。本発明は、添付の図面に示す例証的な実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明によって典型的に改善される装置の第1の例証的な実施形態を概略的に示す。
【
図2】本発明によって典型的に改善される装置の第2の例証的な実施形態を概略的に示す。
【
図3】本発明によって改善される光学アセンブリの一部の第3の実施形態の例を概略的に示す。
【
図4】本発明によって改善される光学アセンブリの一部の第4の実施形態の例を概略的に示す。
【
図5】本発明によって改善される光学アセンブリの一部の第5の実施形態の例を概略的に示す。
【
図6A】本発明によって改善される光学アセンブリの一部の第6の実施形態の例を概略的に示す。
【
図6B】本発明によって改善される光学アセンブリの一部の第6の実施形態の例を概略的に示す。
【
図7】本発明によって改善される光学アセンブリの一部の第7の実施形態の例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明によって典型的に改善される装置の第1の例証的な実施形態を概略的に示す。装置は、イオン又は電子顕微鏡などの少なくとも荷電粒子顕微鏡7、8、光学アセンブリ、及び検出器3を組み合わせて備える。
【0037】
荷電粒子顕微鏡7、8は、1つ以上の一次荷電粒子ビーム9を放射し、前記1つ以上の一次荷電粒子ビームを、サンプルホルダ10中に含まれた基板によって支持されたサンプル5に方向付けるためのソース7を備える。装置は、サンプル10から後方散乱された、又はサンプル10から放出、透過、若しくは散乱され、1つ以上の一次荷電粒子ビーム9によって生成された二次荷電粒子11を検出するための検出器8を備える。荷電粒子顕微鏡7、8は、真空チャンバ13の内側に実質的に配置される。
【0038】
図1に概略的に示すように、荷電粒子顕微鏡は、サンプル5上で1つ以上の一次荷電粒子ビーム9を走査する9’ように構成される。静電及び/又は磁気偏向器を使用して、サンプル5上で1つ以上の荷電粒子ビームを走査する9’ことができる。そのような静電及び磁気偏向器は従来技術で知られており、本出願では詳細に説明しない。
【0039】
光学アセンブリは、使用時にサンプル又はシンチレータ材料6のシートから光12を受光するための、対物レンズと通常呼ばれる集光デバイス2を備え、その光12は、サンプル中の1つ以上の一次荷電粒子ビーム9によって、又は1つ以上の一次荷電粒子ビーム9がサンプル5を透過した後に、生成される。光学アセンブリは、それ自体知られているCCDカメラなどの光子検出器4上に光12を集束させるように構成される。本例では、光学アセンブリ及び検出器は、荷電粒子顕微鏡7、8の真空チャンバ13の内側に配置される。
【0040】
検査装置1は、サンプル5を保持するためのサンプルホルダ10を備える。サンプルホルダ10は、サンプル5を位置付けて移動させるように構成されたステージ16を備える。
【0041】
加えて、サンプルホルダ10は、例えばイットリウムアルミニウムガーネット(YAG,Y3AL5O12)の層を備えるシンチレータ材料6のシートを備え得る。サンプルホルダ10は、荷電粒子顕微鏡7、8のソース7とシンチレータ材料6のシートとの間にサンプル5を位置付けるように構成される。光学アセンブリ顕微鏡2、3、4は、サンプル5とは反対に面するシンチレータ材料6のシート側に配置される。
【0042】
閉じられた破線14は、真空チャンバ13の(交換可能な)ドア上にそれらの全て又は一部が据え付けられ得る本発明の検査装置1のそれらの部分を囲む。特に、サンプル10のためのサンプルホルダ、集光デバイス2、及び光子検出器4は、好ましくは、真空チャンバ13の前記ドア上に据え付けられる。この特定の構造は、本発明の対象であるような一体型の検査装置に変換するために、既存の荷電粒子顕微鏡の容易な改造又は完成を可能にする。
【0043】
図1では、コントローラとして代替として示す処理ユニット15は、検査装置の1つ以上の使用方法を実装する、専用ソフトウェアを設けられたパーソナルコンピュータを含む、例えばコンピュータの形態の自動化ユニットとして提供され、使用可能である。
【0044】
図1に概略的に示すように、サンプルホルダは、光学アセンブリ及び/又は荷電粒子顕微鏡7、8に対してサンプル5を移動させるためのステージ16を備える。好ましくは、ステージは、サンプル5を移動させるための6つの自由度を提供するように構成され、このことから、X、Y、及びZ軸に沿った並進運動、並びにX、Y、及びZ軸を中心とした回転運動を提供する。
【0045】
更に、検査装置は、対物レンズ2を移動させるための対物レンズアクチュエータ3及び/又は検出器を移動させるための検出器アクチュエータ3’を備える。対物レンズアクチュエータ3及び/又は検出器アクチュエータは、互いに対して光12の光路及び/又は光子検出器4をシフトさせるためのシフトユニットを提供する。特に、第1のシフトユニット3及び/又は第2のシフトユニット3’は、荷電粒子顕微鏡の走査ユニットによる1つ以上の荷電粒子ビームスポットの走査に起因して、サンプル5上又はルミネッセンス材料6の層上の1つ以上の荷電粒子ビーム9の移動を少なくとも部分的に補償するように構成される。
図1に概略的に示すように、対物レンズ2は、光軸OAを備え、対物レンズアクチュエータ3は、光軸OAに対して実質的に垂直な方向に、特に1つ以上の荷電粒子ビーム9の走査方向に対して実質的に平行な方向に対物レンズ2を移動させるように構成される。対物レンズアクチュエータ3は、好ましくは、ボイスコイルを備える。
【0046】
図2は、本発明によって典型的に改善される装置の第2の例証的な実施形態を概略的に示す。
図2の装置20は、コネクタ35を介して真空ポンプに接続された真空チャンバ23を備える走査電子顕微鏡(SEM)27を備える。前記真空チャンバ23の内側には、サンプル40が配置され、そのサンプル40は、1つ以上の一次電子ビーム29で照射されることができる。装置20は、1つ以上の一次電子ビーム29がサンプル40に衝突した結果としてサンプル40から後方散乱された又はサンプル40から放出された二次荷電粒子31を検出するための検出器28を備える。
【0047】
概略的に示すように、サンプル40は、サンプル40を保持するためのホルダとして機能するシンチレーション材料30のシートの上に配置される。シンチレータ材料30のシートは、例えばイットリウムアルミニウムガーネット(YAG,Y3AL5O12)の薄いスラブを備える。
【0048】
サンプルホルダは、サンプル40及びシンチレーション材料30のシートを位置付けて移動させるように構成されたステージ41を備える。サンプルホルダは、サンプル40の移動における6つの自由度を提供するための、サンプル40を移動させるためのステージを備え、このことから、X、Y、及びZ軸に沿った並進運動、並びにX、Y、及びZ軸を中心とした回転運動を提供する。サンプルホルダは、SEM27とシンチレータ材料30のシートとの間にサンプル40を位置付けるように構成される。
【0049】
シンチレータ材料30のシートの下には、真空チャンバ23の内側に顕微鏡対物レンズ22が配置され、それは、シンチレータ材料30からのルミネッセンス光を検出するための光学アセンブリの一部である。この特定の例では、光学アセンブリの他の主要な部分は、照明及び検出ボックス24中の真空チャンバ23の外側に配置される。
【0050】
照明及び検出ボックス24は、光源21、例えばレーザのLEDを備え得る。光源21から放射された光36は、半透明ミラー又はダイクロイック25を介して照明及び検出ボックス24の外に方向付けられ、窓32を介して真空チャンバ23中に方向付けられる。この光37、38は、サンプル40を照明するために、ミラー26を介して顕微鏡対物レンズ22中に結合される。照明機構は、サンプルを光で照明し、光による照明下でサンプルを調べるために使用されることができるが、照明機構は、シンチレーション材料30のシートによって光に変換されるサンプル40を透過する電子を使用して画像を取得する必要はない。
【0051】
サンプル40及び/又はシンチレータ材料30のシートからの光37、38は、顕微鏡対物レンズ22によって収集され、ミラー26及び窓32を介して照明及び検出ボックス24に向かって方向付けられ、カメラ33、例えばCCD検出器上に結像される39。
【0052】
図2に示すように、サンプル40を照明及び/又は結像するための光ビームは、この例では真空チャンバ23のドア34中に配置された窓32を介して前記真空チャンバ23に出入りする。光光学顕微鏡システムの照明及び検出ボックス24は、真空チャンバ23の外側に配置され、ドア34の外側に取り付けられ得る。しかしながら、光光学アセンブリの照明及び検出部は、真空チャンバ23の完全に内側にも含まれ得、例えば真空チャンバ23の底部に取り付けられ得る。
【0053】
この例証的な実施形態では、少なくとも実質的に透明なシンチレータ材料30のシートを選択することが有利であり、好ましくは、シンチレータ材料のシートは、可視スペクトル内の波長範囲内の光に対して実質的に透明である。それ故に、サンプル40は、シンチレータ材料30のシートを通して光光学顕微鏡によって観察されることができる。
【0054】
図2に概略的に示すように、ミラー26は、顕微鏡対物レンズ22に向かう方向及び顕微鏡対物レンズ22から離れる方向に往復直線運動でミラー26を移動させるためのアクチュエータ42を設けられる。それ故に、ミラー26及び顕微鏡対物レンズ22は、カメラ33に対して光学ビーム経路をシフトさせるためのシフトユニットを提供する。加えて、検査装置は、SEM、特にSEMの内側の走査ユニットを制御するための第1の制御ユニット44と、シフトユニットのアクチュエータ42を制御するための第2の制御ユニット43とを備える。第1の制御ユニット44は、第2の制御ユニット43に走査情報信号を送るように構成され、第2の制御ユニット43は、シフトユニットによる光学ビーム経路のシフトをSEM27による1つ以上の電子ビームの走査と同期させるために、特に、SEM27の内側の走査ユニットによる1つ以上の電子ビームスポットの走査に起因するサンプル40上又はルミネッセンス材料30の層上の1つ以上の電子ビーム29の移動を少なくとも部分的に補償するために、走査情報信号に基づいてアクチュエータを制御するように構成される。好ましくは、前記アクチュエータ42は、ボイスコイルを備える。
【0055】
図3は、本発明によって典型的に改善される検査装置において使用するための光学アセンブリ50の第3の例証的な実施形態を概略的に示す。光学アセンブリ50は、対物レンズ51と、折り畳みミラー52と、光子検出器54上に前記光子の前記少なくとも一部を投影するための投影レンズ53とを備える。投影レンズ53は、光子検出器54に対して投影レンズ53を移動させるための投影レンズアクチュエータ55に接続される。投影レンズアクチュエータ55を有する投影レンズ53は、シフトユニットを提供する。投影レンズ53は、光軸OAを備え、投影レンズアクチュエータ55は、投影レンズ53の光軸OAに対して実質的に垂直な方向56に投影レンズ53を移動させるように構成される。投影レンズアクチュエータ55が方向56に投影レンズ53を移動させると、投影レンズ53によって投影された光は、検出器54上を方向57に移動する。本発明の検査装置中に適用されるとき、この移動は、1つ以上の荷電粒子ビームの走査移動を少なくとも部分的に補償するために使用される。好ましくは、投影レンズアクチュエータ55は、ボイスコイルを備える。
【0056】
図4は、本発明によって典型的に改善される検査装置において使用するための光学アセンブリ60の第4の例証的な実施形態を概略的に示す。光学アセンブリ60は、対物レンズ61と、折り畳みミラー62と、光子検出器64上に前記光子の前記少なくとも一部を投影するための投影レンズ63とを備える。ミラー62は、0~180度の偏向角度で、この例では実質的に90度の偏向角度で光学ビーム経路を反射するように構成される。ミラー62は、光子検出器64に対してミラー62を傾斜させるためのミラーアクチュエータ65に接続される。ミラーアクチュエータ65を有するミラー62は、シフトユニットを提供する。ミラーアクチュエータ65は、回転軸68を中心としてミラー62を傾斜させるように構成され、回転軸68は、図面の平面に対して実質的に垂直に配置される。ミラーアクチュエータ65が方向66にミラー62を移動させると、検出器上に投影された光は、検出器64上を方向67に移動する。本発明の検査装置中に適用されるとき、この移動は、1つ以上の荷電粒子ビームの走査移動を少なくとも部分的に補償するために使用される。好ましくは、ミラーアクチュエータ65は、検流計又は圧電モータを備える。
【0057】
図5は、本発明によって典型的に改善される検査装置において使用するための光学アセンブリ70の第5の例証的な実施形態を概略的に示す。光学アセンブリ70は、対物レンズ71と、ポリゴンミラー72と、光子検出器74上に前記光子の前記少なくとも一部を投影するための投影レンズ73とを備える。ポリゴンミラー72は、検出器74に向かってある偏向角度で光学ビーム経路を反射するように構成される。ポリゴンミラー72は、回転軸78を中心としてポリゴンミラー72を回転させるための回転アクチュエータ(図示せず)に接続され、回転軸78は、図面の平面に対して実質的に垂直に配置される。ポリゴンミラーの外側に面するファセット75、75’、75’’・・・は各々、対物レンズ71から来る光を反射するためのミラー面を備える。回転アクチュエータがポリゴンミラー72を回転させると、ファセット75、75’、75’’・・・は、光ビーム中に連続的に配置され、対物レンズ71からの光を検出器74に向かって連続的に反射する。回転アクチュエータを有するポリゴンミラー72は、シフトユニットを提供する。この回転に起因して、光軸OAに対する反射ミラーファセット75の角度は常に変化する。回転アクチュエータが方向76にポリゴンミラー72を回転させると、検出器上に投影された光は、検出器74上を方向77に移動する。本発明の検査装置中に適用されるとき、この移動は、1つ以上の荷電粒子ビームの走査移動を少なくとも部分的に補償するために使用される。
【0058】
図6Aは、本発明によって典型的に改善される検査装置において使用するための光学アセンブリ80の第6の例証的な実施形態を概略的に示す。光学アセンブリ80は、対物レンズ81と、折り畳みミラー82と、光子検出器84上に前記光子の前記少なくとも一部を投影するための投影レンズ83とを備える。光学アセンブリ80は、サンプルホルダと光子検出器84との間の光学ビーム経路中に配置された光学窓85を更に備える。この特定の例では、光学窓85は、投影レンズ83と検出器84との間に配置される。光学アセンブリは、
図6A及び
図6Bに概略的に示すように、傾斜方向87に光学窓85を傾斜させるように構成された傾斜アクチュエータ86を更に備える。傾斜アクチュエータ86を有する光学窓85は、シフトユニットを提供する。光学窓85が
図6Bに示すように傾斜位置に配置されるとき、光学窓85と検出器84との間の光学ビーム経路は、図面の平面内で方向87’にシフトされる。
図6Bに示す特定の位置では、光の焦点は、光学窓が傾斜されていないときの第1の位置88から、示すように光学窓が傾斜されているときの第2の位置89にシフトされる。本発明の検査装置中に適用されるとき、この移動は、1つ以上の荷電粒子ビームの走査移動を少なくとも部分的に補償するために使用される。
【0059】
図7は、本発明によって典型的に改善される検査装置において使用するための光学アセンブリ90の第7の例証的な実施形態を概略的に示す。光学アセンブリ90は、対物レンズ91と、折り畳みミラー92と、光子検出器94上に前記光子の前記少なくとも一部を投影するための投影レンズ93とを備える。光学アセンブリ90は、光子検出器に向かって光学ビーム経路中に配置された光学透明ポリゴン95を更に備える。この例では、光学透明ポリゴン95は、投影レンズ93と検出器94との間に配置される。光学透明ポリゴン95は、光学ビーム経路が2つの対向する側部ファセット96、96’を介して前記光学透明ポリゴン95を横断するように配置される。光学透明ポリゴン95は、好ましくは、偶数の側部ファセット96、96’、好ましくは、4、6、又は8個の側部ファセットを備える。光学透明ポリゴン95は、回転軸97を中心として光学透明ポリゴン95を回転させるように構成された回転アクチュエータ(図示せず)に結合される。光学透明ポリゴン95及び回転アクチュエータは、シフトユニットを提供する。光学透明ポリゴン95が方向98に回転されると、2つの対向する側部ファセット96、96’は、
図6Bに示す光学窓と同じように傾斜位置に移動する。それ故に、光学透明ポリゴン95と検出器94との間の光学ビーム経路は、図面の平面内で方向98’にシフトされる。回転が継続すると、次の隣接する対向する側部ファセット99、99’が光学ビーム経路中に配置され、光学ビーム経路の移動が新たに開始するまで、2つの対向する側部ファセット96、96’は更に傾斜され、光学ビーム経路は更にシフトされる。本発明の検査装置中に適用されるとき、この移動は、1つ以上の荷電粒子ビームの走査移動を少なくとも部分的に補償するために使用される。
【0060】
上記の例証的な実施形態では、シフトユニットの説明した移動は、図面の平面内での並進又は回転であることに留意されたい。しかしながら、シフトユニットの様々な例の移動はまた、他の方向、特に図面の平面に対して垂直な方向における1つ以上の荷電粒子ビームの走査方向を補償するための、図面の平面に対して垂直な方向への並進又は回転であり得る。
【0061】
加えて、走査偏向器が1つよりも多くの方向、特に2つの直交方向に1つ以上の荷電粒子ビームを移動させるように構成されるとき、検査装置は、第1及び第2のシフトユニットを備え得る。第2のシフトユニットは、好ましくは、第1のシフトユニットのシフト方向に対して実質的に垂直なシフト方向に互いに対して1つ以上の光スポット及び/又は光子検出器をシフトさせるように構成される。上記で説明した実施形態の各々は、第1及び第2のシフトユニットのうちの一方又は両方に使用され得る。
【0062】
要約すると、本発明は、サンプルを検査するための装置に関する。装置は、
サンプルを保持するためのサンプルホルダと、
1つ以上の荷電粒子ビームを生成し、サンプル上に1つ以上の荷電粒子ビームスポットにおいて集束させるための荷電粒子鏡筒と、
サンプル上の荷電粒子ビームスポット(複数可)を移動させるための走査偏向器と、
1つ以上の荷電粒子ビームがサンプルに衝突したときに、又はサンプルを透過した後に1つ以上の荷電粒子ビームがルミネッセンス材料の層上に衝突したときに作り出された光子を検出するように構成された光子検出器と、
荷電粒子ビームスポット(複数可)から光学ビーム経路に沿って光子検出器上に光子のうちの少なくとも一部を投影又は結像するための光学アセンブリと、
光子検出器に対して光学ビーム経路をシフトさせるための又はその逆のためのシフトユニットと
を備える。
【0063】
特定の実施形態では、薄いサンプルを通って横断した後に電子ビームのアレイがルミネッセンスプレートに当たるマルチビームSEM用の透過検出器が提供される。光顕微鏡は、光検出器上にルミネッセンスプレートの底部を結像する。加えて、ルミネッセンスプレートと光検出器との間の光路中にユニットが配置され、そのユニットは、光検出器上の光スポットを独立して移動させることができる。このユニットがなければ、ルミネッセンスプレート中に生成された発光スポットは、電子ビームがサンプル上で走査されるときに移動する。このことから、光検出器上に結像された光スポットも、光検出器の表面上を移動する。しかしながら、特定の電子ビームからの信号を光検出器上の実質的に同じスポットに維持することが好ましい。それ故に、光路中に配置されたユニットは、光検出器上の光スポットが移動しないように、ルミネッセンスプレート上の発光スポットの移動を補償することができる。加えて、本発明の検出器はまた、より長い距離にわたって電子ビームのアレイを移動させることを可能にし、それは、サンプルステージを移動させる前に、いくつかの(例えば、3×3)走査フィールドを記録することを可能にする。これにより、ステージ整定に関連するオーバーヘッド時間が節約される。
【0064】
上記の説明は、好ましい実施形態の動作を例示するために含まれ、本発明の範囲を限定することを意図されないことが理解されるべきである。上記の議論から、本発明の範囲によって更に包含されるであろう多くの変形形態が当業者に明らかとなるであろう。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[C1]
サンプルを検査するための装置であって、前記装置は、
前記サンプルを保持するためのサンプルホルダと、
1つ以上の荷電粒子ビームを生成し、前記サンプルホルダに向かって方向付けるための荷電粒子鏡筒と、ここにおいて、前記荷電粒子鏡筒は、前記サンプル上に1つ以上の荷電粒子ビームスポットにおいて前記1つ以上の荷電粒子ビームを集束させるように構成される、
走査方向に前記サンプル上の前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットを走査するための走査ユニットと、
前記1つ以上の荷電粒子ビームが前記サンプルに衝突したときに、又は前記1つ以上の荷電粒子ビームが前記サンプルを透過した後に前記1つ以上の荷電粒子ビームがルミネッセンス材料の層上に衝突したときに、前記1つ以上の集束された荷電粒子ビームによって作り出された光子を検出するための光子検出器と、
前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットから光学ビーム経路に沿って前記光子検出器上の1つ以上の光スポット上に前記光子のうちの少なくとも一部を投影又は結像するための光学アセンブリと、
互いに対して前記1つ以上の光スポット及び/又は前記光子検出器をシフトさせるためのシフトユニットと、ここにおいて、前記シフトユニットは、前記走査ユニットによる前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットの前記走査に起因する、前記サンプル上又は前記ルミネッセンス材料の層上の前記1つ以上の荷電粒子ビームの移動を少なくとも部分的に補償するように構成される、
を備える、装置。
[C2]
前記光学アセンブリは、前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットから前記光子のうちの少なくとも一部を収集するための対物レンズを備え、前記シフトユニットは、前記サンプルホルダに対して前記対物レンズを移動させるための対物レンズアクチュエータを備え、前記対物レンズアクチュエータは、前記走査方向に対して実質的に平行な方向に前記対物レンズを移動させるように構成される、C1に記載の装置。
[C3]
前記対物レンズは、光軸を備え、前記対物レンズアクチュエータは、前記対物レンズの前記光軸に対して実質的に垂直な方向に前記対物レンズを移動させるように構成される、C2に記載の装置。
[C4]
前記光学アセンブリは、前記光子検出器上に前記光子のうちの前記少なくとも一部を投影するための投影レンズを備え、前記シフトユニットは、前記光子検出器に対して前記投影レンズを移動させるための投影レンズアクチュエータを備える、C1~3のうちのいずれか一項に記載の装置。
[C5]
前記投影レンズは、光軸を備え、前記投影レンズアクチュエータは、前記投影レンズの前記光軸に対して実質的に垂直な方向に前記投影レンズを移動させるように構成される、C4に記載の装置。
[C6]
前記光学アセンブリは、前記サンプルホルダと前記光子検出器との間の前記光学ビーム経路中に配置されたミラーを備え、前記ミラーは、0~180度の偏向角度で前記光学ビーム経路を反射するように構成され、前記シフトユニットは、前記ミラーを傾斜させるように構成されたミラーアクチュエータを備える、C1~5のうちのいずれか一項に記載の装置。
[C7]
前記ミラーアクチュエータは、回転軸を中心として前記ミラーを傾斜させるように構成され、前記回転軸は、前記走査方向に対して実質的に垂直に配置される、C6に記載の装置。
[C8]
前記光学アセンブリは、前記サンプルホルダと前記光子検出器との間の前記光学ビーム経路中に配置されたポリゴンミラーを備え、前記ミラーは、0~180度の偏向角度で前記光学ビーム経路を反射するように構成され、前記シフトユニットは、前記ポリゴンミラーを回転させるように構成された回転アクチュエータを備える、C1~7のうちのいずれか一項に記載の装置。
[C9]
前記ポリゴンミラーは、回転軸を中心として前記ミラーを回転させるように構成され、前記回転軸は、前記走査方向に対して実質的に垂直に配置される、C8に記載の装置。
[C10]
前記光学アセンブリは、前記サンプルホルダと前記光子検出器との間の前記光学ビーム経路中に配置された光学窓を備え、前記光学窓は、前記光学ビーム経路が前記光学窓を横断するように配置され、前記シフトユニットは、前記光学窓を傾斜させるように構成された傾斜アクチュエータを備える、C1~9のうちのいずれか一項に記載の装置。
[C11]
前記傾斜アクチュエータは、回転軸を中心として前記光学窓を傾斜させるように構成され、前記回転軸は、前記走査方向に対して実質的に垂直に配置される、C10に記載の装置。
[C12]
前記光学アセンブリは、前記サンプルホルダと前記光子検出器との間の前記光学ビーム経路中に配置された光学透明ポリゴンを備え、前記光学透明ポリゴンは、前記光学ビーム経路が前記光学透明ポリゴンを横断するように配置され、前記シフトユニットは、前記光学透明ポリゴンを回転させるように構成された回転アクチュエータを備える、C1~11のうちのいずれか一項に記載の装置。
[C13]
前記回転アクチュエータは、回転軸を中心として前記光学透明ポリゴンを回転させるように構成され、前記回転軸は、前記走査方向に対して実質的に垂直に配置される、C12に記載の装置。
[C14]
前記装置は、前記走査ユニットを制御するための第1の制御ユニットと、前記シフトユニットを制御するための第2の制御ユニットとを更に備え、前記第1の制御ユニットは、前記第2の制御ユニットに走査情報信号を送るように構成され、前記第2の制御ユニットは、前記走査情報信号に基づいて前記シフトユニットを制御するように構成される、C1~13のうちのいずれか一項に記載の装置。
[C15]
前記シフトユニットは、第1のシフトユニットであり、前記装置は、第2のシフトユニットを更に備え、前記第2のシフトユニットは、前記第1のシフトユニットのシフト方向に対して実質的に垂直な前記シフト方向に互いに対して前記1つ以上の光スポット及び/又は前記光子検出器をシフトさせるように構成される、C1~14のうちのいずれか一項に記載の装置。
[C16]
サンプルを検査するための方法であって、前記方法は、
サンプルホルダ中に前記サンプルを配置することと、
荷電粒子鏡筒を使用して、1つ以上の荷電粒子ビームを生成し、前記サンプルに向かって方向付けることと、ここにおいて、前記荷電粒子鏡筒は、前記サンプル上に1つ以上の荷電粒子ビームスポットにおいて前記1つ以上の荷電粒子ビームを集束させる、
ここにおいて、前記1つ以上の荷電粒子ビームが前記サンプルに衝突したときに、又は前記1つ以上の荷電粒子ビームが前記サンプルを透過した後に前記1つ以上の荷電粒子ビームがルミネッセンス材料の層上に衝突したときに、前記1つ以上の集束された荷電粒子ビームによって光子が作り出される、
光学アセンブリを使用して、前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットから光学ビーム経路に沿って光子検出器上の1つ以上の光スポット上に前記光子のうちの少なくとも一部を投影又は結像することと、
前記光子検出器を使用して光子を検出することと、
走査ユニットを使用して走査方向に前記サンプル上の前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットを走査し、シフトユニットを使用して互いに対して前記1つ以上の光スポット及び/又は前記光子検出器をシフトさせることと、ここにおいて、前記シフトユニットは、前記走査ユニットによる前記1つ以上の荷電粒子ビームスポットの前記走査に起因する、前記サンプル上又は前記ルミネッセンス材料の層上の前記1つ以上の荷電粒子ビームの移動を少なくとも部分的に補償する、
を行うステップを備える、方法。
[C17]
前記シフトユニットは、前記1つ以上の光スポットが前記走査ユニットによる前記1つ以上の荷電粒子ビームに対する前記走査中に前記光子検出器上の同じ位置に実質的に留まるように、前記1つ以上の荷電粒子ビームの前記移動を補償する、C16に記載の方法。
[C18]
前記1つ以上の荷電粒子ビームは、前記サンプル上の第1の実質的に矩形のエリア上で走査され、その後、前記1つ以上の荷電粒子ビーム及び前記サンプルは、前記実質的に矩形のエリアの幅に実質的に等しい距離にわたって互いに対して移動され、次いで、前記1つ以上の荷電粒子ビーム走査が、前記サンプル上の第2の実質的に矩形のエリア上で走査される、C16又は17に記載の方法。
[C19]
C1~15のうちのいずれか一項に記載の装置に、C16~18のうちのいずれか一項に記載の方法を実行させるように適合されたコンピュータ実行可能命令を有する、コンピュータ可読媒体。