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  • 特許-二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20241105BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241105BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20241105BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20241105BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20241105BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20241105BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241105BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20241105BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20241105BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/052
H01M4/134
H01M4/133
H01M4/62 Z
H01M4/587
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/13
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022557957
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2021006137
(87)【国際公開番号】W WO2021235794
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0060532
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジェ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ウ・ユ
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-058236(JP,A)
【文献】特開2018-055952(JP,A)
【文献】国際公開第2018/155609(WO,A1)
【文献】特開2013-178913(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179817(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05 - 10/0587
H01M 10/36 - 10/39
H01M 4/00 - 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質層を含む一つ以上の正極と、
シリコン系活物質を含む第1負極及び炭素系活物質を含む第2負極を含む複数の負極と
分離膜と、
電解質と、を含み、
前記正極と前記負極を構成する前記第1負極及び前記第2負極の一方とは、前記分離膜を挟んで交互に積層され、
前記負極が備える、すべての前記第1負極内に含まれるシリコン系活物質の総重量と、前記負極が備える、すべての前記第2負極内に含まれる炭素系活物質の総重量との比は、40:60~90:10であり、
前記第1負極と前記第2負極とは互いに異なる活物質を含むものである、二次電池。
【請求項2】
前記第1負極は、第1負極集電体及び前記第1負極集電体の少なくとも片面に形成された第1負極活物質層を含み、
前記第1負極活物質層は、前記シリコン系活物質を含む、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記第1負極活物質層は、第1負極バインダー及び第1負極導電材をさらに含み、
前記第1負極活物質層は、前記シリコン系活物質60重量%~90重量%、前記第1負極バインダー5重量%~30重量%、及び前記第1負極導電材5重量%~20重量%を含む、請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記第1負極バインダーは、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリロニトリル、及びポリアクリルアミドからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
下記数式aで計算されるN/P比は、2.2~3.0である、請求項2に記載の二次電池:
[数式a]
/P比={(前記第1負極内の一つの第1負極活物質層の単位面積当たり放電容量)/(前記正極内の一つの正極活物質層の単位面積当たり放電容量)}。
【請求項6】
前記シリコン系活物質は、下記化学式1で表される化合物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池:
[化学式1]
SiOx
前記化学式1において、0≦x<2である。
【請求項7】
前記シリコン系活物質は、Siを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記シリコン系活物質の平均粒径(D50)は、1μm~10μmである、請求項1から7のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記第2負極は、第2負極集電体及び前記第2負極集電体の少なくとも片面に形成された第2負極活物質層を含み、
前記第2負極活物質層は、前記炭素系活物質を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記第2負極活物質層は、第2負極バインダー及び第2負極導電材をさらに含み、
前記第2負極活物質層は、前記炭素系活物質90重量%~99重量%、第2負極バインダー0.5重量%~10重量%、及び第2負極導電材0.5重量%~5重量%を含む、請求項9に記載の二次電池。
【請求項11】
前記第2負極バインダーは、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム、スチレンブタジエンゴム、及びフッ素ゴムからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項10に記載の二次電池。
【請求項12】
前記炭素系活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンブラック、グラフェン、及び繊維状炭素からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項13】
前記炭素系活物質の平均粒径(D50)は、10μm~30μmである、請求項1から12のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項14】
下記数式bで計算されるN/P比は、1.0~1.3である、請求項9に記載の二次電池:
[数式b]
/P比={(前記第2負極内の一つの第2負極活物質層の単位面積当たり放電容量)/(前記正極内の一つの正極活物質層の単位面積当たり放電容量)}。
【請求項15】
下記数式cで計算されるNall/Pall比は、2~3である、請求項1から14のいずれか一項に記載の二次電池:
[数式c]
all/Pall比={(二次電池内に存在する負極の単位面積当たり放電容量の総量)/(二次電池内に存在する正極の単位面積当たり放電容量の総量)}。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年5月20日に出願された韓国特許出願第10-2020-0060532号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、二次電池に関し、具体的には、向上した容量特性、寿命特性、及び急速充電特性を有する二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車など、電池を用いる電子機器の急速な普及に伴い、小型軽量でありながらも相対的に高容量である二次電池の需要が急速に増大されている。特に、リチウム二次電池は、軽量でかつ高エネルギー密度を有しているので、携帯機器の駆動電源として脚光を浴びている。これにより、リチウム二次電池の性能向上のための研究開発努力が活発に進められている。
【0004】
一般的には、リチウム二次電池は、正極、負極、前記正極及び負極の間に介在される分離膜、電解質、有機溶媒などを含む。また、正極及び負極は、集電体上に正極活物質又は負極活物質を含む活物質層が形成され得る。前記正極には、一般的には、LiCoO、LiMnなどのリチウム含有金属酸化物が正極活物質として使用されることから、負極には、リチウムを含有しない炭素系活物質、シリコン系活物質が負極活物質として使用されている。
【0005】
負極活物質のうち、シリコン系活物質の場合、炭素系活物質に比べて約10倍程度の高い容量を有し、優れた高速充電特性を有する点で注目を浴びている。しかし、シリコン系活物質は、充放電による体積膨張、これによる寿命特性低下の問題があり、これを抑制するためにバインダーを多量で使用する場合、目的とする高容量電極の具現が困難であり、汎用的に使用されていない。
【0006】
一方、人造黒鉛、天然黒鉛などの炭素系活物質の場合、シリコン系活物質に比べて相対的に安定した寿命性能を示すが、高容量電極を製造するために炭素系活物質を厚くコーティングする場合、電極の割れ、反り現象、脱離現象などが発生する問題がある。
【0007】
このような炭素系活物質及びシリコン系活物質それぞれの短所を解消するための側面で、炭素系活物質とシリコン系活物質とを混合した電極を製造する技術が開発されているが、シリコン系活物質の体積膨張に対する影響を減らすために、負極内のシリコン系活物質の使用割合を好ましい水準まで高めることができないので、負極の容量特性及び急速充電特性の向上が困難であり、シリコン系活物質の使用割合を高める場合、活物質の体積膨張を抑制するためには、バインダーの含量もともに増加させなければならないため、負極の高容量具現が困難であるという問題がある。
【0008】
韓国登録特許第10-0794192号は、リチウム二次電池用炭素被覆シリコン-黒鉛複合負極素材の製造方法及びそれを含む二次電池の製造方法に関するものであるが、前述した問題を解決するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国登録特許第10-0794192号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一課題は、向上した容量特性、寿命特性、及び急速充電特性を示す二次電池の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、正極活物質層を含む一つ以上の正極;シリコン系活物質を含む第1負極及び炭素系活物質を含む第2負極を含む複数の負極;分離膜;及び電解質;を含み、前記正極及び前記負極は、前記分離膜を挟んで交互に積層され、前記第1負極内に含まれるシリコン系活物質及び前記第2負極内に含まれる炭素系活物質の重量比は、40:60~90:10である二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の二次電池は、シリコン系活物質を含む第1負極及び炭素系活物質を含む第2負極を含み、前記第1負極内に含まれるシリコン系活物質と前記第2負極内に含まれる炭素系活物質との重量比が特定の割合に調節されることを特徴とする。本発明の二次電池によれば、互いに異なる特性を有する異種の活物質をそれぞれ含む個別負極を使用するので、それぞれの活物質特性に好適なバインダー、導電材を好ましい含量で使用することができ、シリコン系活物質及び炭素系活物質それぞれの利点を極大化させることができ、高い容量及び寿命特性を有する二次電池の具現が可能である。
【0013】
また、本発明の二次電池によれば、第1負極に含まれるシリコン系活物質と第2負極に含まれる炭素系活物質とが特定の重量比に調節されることを特徴とし、これにより、シリコン系活物質の充電電位を適切な水準まで低めて、充放電時の電圧の急激な変化によるシリコン系活物質のストレス程度を低め、高速充電特性を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の二次電池を概略的に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられる用語や単語は、通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0016】
本文書で用いられる用語は、単に例示的な実施形態を説明するために用いられたものであって、本発明の限定を意図するものではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含んでもよい。
【0017】
本明細書において、「含む」、「備える」又は「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、段階、構成要素、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性を予め排除しないものとして理解されなければならない。
【0018】
本明細書において、平均粒径(D50)は、粒子の粒径分布曲線において、体積累積量の50%に該当する粒径として定義することができる。前記平均粒径(D50)は、例えば、レーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。前記レーザー回折法は、一般的には、サブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性及び高分解性の結果が得られる。
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の二次電池を詳しく説明する。本発明を説明するに当たり、かかる公知の構成又は機能に対する具体的な説明が、本発明の要旨を曖昧にする可能性があると判断される場合は、その詳細な説明は省略してよい。
【0020】
<二次電池>
本発明は、二次電池1、具体的には、リチウム二次電池に関する。
【0021】
図1に示されたように、本発明の二次電池1は、正極活物質層120を含む一つ以上の正極100;シリコン系活物質を含む第1負極200及び炭素系活物質を含む第2負極300を含む複数の負極200、300;分離膜400;及び電解質(未図示);を含み、前記正極100及び前記負極200、300は、前記分離膜400を挟んで交互に積層され、前記第1負極200内に含まれるシリコン系活物質及び前記第2負極300内に含まれる炭素系活物質の重量比は、40:60~90:10であることを特徴とする。
【0022】
従来、シリコン系活物質は、高い容量及び急速充電特性を有する利点があるが、充放電による体積膨張/収縮の程度が大きいので、寿命特性の急激な低下が問題になる。一方、シリコン系活物質と炭素系活物質とを混合した負極が開発されているが、シリコン系活物質の体積膨張の制御のために、負極内のシリコン系活物質の使用割合を低めなければならないので、シリコン系活物質が有する高い容量及び急速充電特性を具現し難い。
【0023】
このような問題を解決するために、本発明の二次電池は、第1負極200内に含まれるシリコン系活物質及び第2負極300内に含まれる炭素系活物質の重量比を前述した範囲に調節することを特徴とする。本発明の二次電池は、第1負極200内のシリコン系活物質及び第2負極300内の炭素系活物質を前述した重量比で使用することにより、炭素系活物質によりシリコン系活物質の充電電位を好ましい水準まで低めることができるので、充放電時のシリコン系活物質の体積膨張/収縮の程度を緩和することができ、シリコン系活物質が有する高い容量及び急速充電特性を十分に発揮することができる。
【0024】
また、本発明の二次電池は、シリコン系活物質を含む第1負極200及び炭素系活物質を含む第2負極300をそれぞれ含む。具体的には、本発明の二次電池は、互いに異なる活物質を含む異種の負極を使用することにより、それぞれの負極に好適な組成で構成成分を含めることができ、二次電池内にシリコン系活物質の使用割合を高めても、寿命特性の低下なしに、シリコン系活物質の高い容量特性、急速充電特性を十分に発揮することができる。
【0025】
本発明の二次電池1は、一つ以上の正極100を含む。前記正極100は、正極活物質層120を含む。
【0026】
具体的には、前記正極100は、正極集電体110、及び前記正極集電体110の少なくとも片面に形成された正極活物質層120を含んでよい。
【0027】
前記正極集電体110は、電池に化学的変化を引き起こすことなく、高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。具体的には、前記正極集電体110は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、及びアルミニウム-カドミウム合金からなる群から選択された少なくとも1種を含んでよい。
【0028】
前記正極集電体110の厚さは、通常3~500μmの厚さを有してよい。
【0029】
前記正極集電体110は、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、前記正極集電体110は、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用されてよい。
【0030】
前記正極活物質層120は、前記正極集電体110の少なくとも片面に形成される。具体的には、前記正極活物質層120は、前記正極集電体110の片面又は両面に形成されてよい。
【0031】
前記正極活物質層120は、正極活物質を含んでよい。
【0032】
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションが可能な化合物であって、具体的には、ニッケル、コバルト、マンガン、及びアルミニウムからなる群から選択された少なくとも1種の遷移金属と、リチウムとを含むリチウム遷移金属複合酸化物、好ましくは、ニッケル、コバルト、及びマンガンを含む遷移金属とリチウムとを含むリチウム遷移金属複合酸化物を含んでよい。
【0033】
より具体的には、前記リチウム遷移金属複合酸化物としては、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO、LiMnなど)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoOなど)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiOなど)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMn(ここで、0<Y<1)、LiMn2-zNi(ここで、0<Z<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1(ここで、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2(ここで、0<Y2<1)、LiMn2-z1Coz1(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NiCoMnr1)O(ここで、0<p<1、0<q<1、0<r1<1、p+q+r1=1)、又はLi(Nip1Coq1Mnr2)O(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)など)、又はリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3S2)O(ここで、Mは、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、Mg、及びMoからなる群から選択され、p2、q2、r3及びs2は、それぞれ独立した元素の原子分率であって、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である)など)などが挙げられ、これらのいずれか一つ又は二つ以上の化合物が含まれてよい。この中でも、電池の容量特性及び安定性を高めることができるという点で、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、LiCoO、LiMnO、LiNiO、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O、又はLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)Oなど)、又はリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)Oなど)などであってよく、リチウム遷移金属複合酸化物を形成する構成元素の種類及び含量比の制御による改善効果の顕著さを考慮すると、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O又はLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)Oなどであってよく、これらのいずれか一つ又は二つ以上の混合物が使用されてよい。
【0034】
前記正極活物質は、正極活物質の十分な容量発揮などを考慮して、正極活物質層内に80重量%~99重量%、好ましくは92重量%~98.5重量%で含まれてよい。
【0035】
前記正極活物質層120は、前述した正極活物質とともに、正極バインダー及び/又は正極導電材をさらに含んでよい。
【0036】
前記正極バインダーは、活物質と導電材などの結着と集電体に対する結着に助力する成分であり、具体的には、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、及びフッ素ゴムからなる群から選択された少なくとも1種、好ましくはポリビニリデンフルオライドを含んでよい。
【0037】
前記正極バインダーは、正極活物質などの成分間の結着力を十分に確保する側面で、前記正極活物質層内に1重量%~20重量%、好ましくは1.2重量%~10重量%で含まれてよい。
【0038】
前記正極導電材は、二次電池に導電性を補助及び向上させるために使用されてよく、化学的変化を引き起こすことなく、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではない。具体的には、前記正極導電材は、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;炭素ナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;及びポリフェニレン誘導体からなる群から選択された少なくとも1種を含んでよく、好ましくは導電性向上の側面で、カーボンブラックを含んでよい。
【0039】
前記正極導電材は、正極活物質層の形成のためのスラリーの製造時に、正極導電材の分散を容易にし、電気伝導度をさらに向上させる側面で、正極導電材の比表面積が80m/g~200m/g、好ましくは100m/g~150m/gであってよい。
【0040】
前記正極導電材は、電気伝導性を十分に確保する側面で、前記正極活物質層内に1重量%~20重量%、好ましくは1.2重量%~10重量%で含まれてよい。
【0041】
前記正極活物質層120の厚さは、30μm~400μm、好ましくは40μm~110μmであってよい。本明細書において、前記正極活物質層の厚さは、正極集電体110の片面に形成された一つの正極活物質層の厚さであってよい。
【0042】
前記正極100の気孔率は、20%~35%、好ましくは20~28%であってよい。前記正極100の気孔率は、下記数式1の気孔率の測定方法を用いて測定されてよい。
【0043】
[数式1]
正極の気孔率(%)={1-(正極の電極密度/正極の真密度)}×100
【0044】
前記数式1において、正極の真密度(true density)は、正極を一定のサイズで採取し、プレス装置で正極の厚さが変化しなくなるまで押した時に測定された正極活物質層の密度であり、前記正極の電極密度は、正極を一定のサイズで採取して測定された正極活物質層の密度である。
【0045】
前記正極100は、前記正極集電体110上に正極活物質及び選択的に、バインダー、導電材及び正極スラリー形成用溶媒を含む正極スラリーをコーティングした後、乾燥及び圧延して製造され得る。
【0046】
前記正極スラリー形成用溶媒は、NMP(N-methyl-2-pyrrolidone)などの有機溶媒を含んでよく、前記正極活物質及び選択的に、バインダー及び導電材などを含む場合に好ましい粘度になる量で使用されてよい。例えば、前記正極スラリー形成用溶媒は、正極活物質及び選択的に、バインダー及び導電材を含む固形分の濃度が50重量%~95重量%、好ましくは70重量%~90重量%になるように前記正極スラリーに含まれてよい。
【0047】
前記負極は複数であり、第1負極200及び第2負極300を含む。前記第1負極200及び前記第2負極300はそれぞれ一つ以上、具体的には、複数で前記負極内に含まれてよい。
【0048】
前記第1負極200は、シリコン系活物質を含み、前記第2負極300は、炭素系活物質を含み、前記第1負極200内に含まれるシリコン系活物質及び前記第2負極300内に含まれる炭素系活物質の重量比は、40:60~90:10である。具体的には、前記第1負極200が複数の場合、「前記第1負極200内に含まれるシリコン系活物質の重量」とは、前記複数の第1負極200に含まれるシリコン系活物質の総重量を意味してよく、前記第2負極300が複数の場合、「前記第2負極300内に含まれる炭素系活物質の重量」とは、前記複数の第2負極300に含まれる炭素系活物質の総重量を意味してよく、この場合、前記第1負極200内に含まれるシリコン系活物質及び前記第2負極300内に含まれる炭素系活物質の重量比は、前記複数の第1負極200に含まれるシリコン系活物質の総重量及び前記複数の第2負極300に含まれる炭素系活物質の総重量の比であってよい。
【0049】
本発明の二次電池は、第1負極200内に含まれるシリコン系活物質及び第2負極300内に含まれる炭素系活物質の重量比を前述した範囲に調節することを特徴とする。通常、シリコン系活物質は、炭素系活物質に比べて高い充電電位を有し、優れた急速充電特性を有するものとして知られている。しかし、シリコン系活物質の高い充電電位により、充放電時のシリコン系活物質の電圧が大きく変化することから、急激な体積膨張/収縮が発生し、寿命特性が急激に低下するという問題がある。本発明の二次電池は、第1負極200内のシリコン系活物質及び第2負極300内の炭素系活物質を前述した重量比で使用することにより、炭素系活物質によりシリコン系活物質の充電電位を好ましい水準まで低めることができるので、充放電時のシリコン系活物質の体積膨張/収縮の程度を緩和することができ、シリコン系活物質が有する高い容量及び急速充電特性を十分に発揮することができる。
【0050】
また、本発明の二次電池は、シリコン系活物質を含む第1負極200及び炭素系活物質を含む第2負極300をそれぞれ含む。具体的には、本発明の二次電池は、互いに異なる活物質を含む異種の負極を使用することにより、それぞれの負極に好適な組成で構成成分を含めることができ、二次電池内にシリコン系活物質の使用割合を高めても、寿命特性の低下なしに、シリコン系活物質の高い容量特性、急速充電特性を十分に発揮することができる。
【0051】
もし、前記第1負極200内に含まれるシリコン系活物質及び前記第2負極300内に含まれる炭素系活物質の総重量に基づいて、前記シリコン系活物質の重量が40重量%未満であり、前記炭素系活物質の重量が60重量%を超えると、全負極内で炭素系活物質の使用割合が高くなる。この際、全負極内で炭素系活物質の使用割合が高くなると、負極の容量が減少して、二次電池の全体的なN/P比(N/P ratio)(後述するNall/Pall比(Nall/Pall ratio))が低くなることから、負極の充放電時のシリコン系活物質の使用割合が高くなり、シリコン系活物質の体積膨張/収縮が二次電池に及ぶ影響が大きくなるため、寿命性能が低下する恐れがある。また、炭素系活物質は、高速充電時に電位が非常に低くなり、例えば、負(-)電位を形成する可能性があり、全負極内で炭素系活物質の使用割合が高くなると、リチウム析出(Li-plating)が発生する可能性があるので、高速充電時の寿命性能の側面でも良くない。
【0052】
もし、前記第1負極200内に含まれるシリコン系活物質及び前記第2負極300内に含まれる炭素系活物質の総重量に基づいて、前記シリコン系活物質の重量が90重量%を超え、前記炭素系活物質の重量が10重量%未満の場合、シリコン系活物質の割合が高くなり、充放電による体積膨張/収縮の問題が深刻になる恐れがあり、寿命性能の低下の恐れがある。また、全負極内でシリコン系活物質の使用割合が過度に高くなると、電池作動時にシリコン系活物質の高い電位により正極100が高い電位を形成するようになるので、正極100に抵抗の上昇を発生させる可能性があり、そのため、寿命性能が低下する恐れがある。
【0053】
本発明の二次電池において、前記第1負極200内に含まれるシリコン系活物質及び前記第2負極300内に含まれる炭素系活物質の重量比は、40:60~90:10、好ましくは60:40~75:25であってよく、前記範囲であると、二次電池の急速充電特性、容量及び寿命特性がさらに向上することができる。
【0054】
本発明の二次電池において、前記第1負極200内に含まれるシリコン系活物質及び前記第2負極300内に含まれる炭素系活物質の重量比は、図1に示されたように、第1負極200と第2負極300内に含まれる活物質の量を調節するか、第1負極200と第2負極300の個数を調節することにより具現され得る。一方、図1の第1負極200及び第2負極300は、任意に示されたものであって、図1に示された第1負極及び第2負極の個数に制限されない。
【0055】
前記第1負極200は、シリコン系活物質を含む。具体的には、前記第1負極200は、活物質としてシリコン系活物質のみを含んでよく、炭素系活物質は含まなくてよい。
【0056】
前記第1負極200は、第1負極集電体210及び前記第1負極集電体210の少なくとも片面に形成された第1負極活物質層220を含み、前記第1負極活物質層220は、前記シリコン系活物質を含んでよい。
【0057】
前記第1負極集電体210は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、及びアルミニウム-カドミウム合金から選択された少なくとも1種を含んでよく、好ましくは銅を含んでよい。
【0058】
前記第1負極集電体210の厚さは、通常3μm~500μm、好ましくは5μm~30μmであってよい。
【0059】
前記第1負極集電体210は、表面に微細な凹凸を形成して、負極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、前記第1負極集電体は、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用されてよい。
【0060】
前記第1負極活物質層220は、前記第1負極200集電体の少なくとも片面に形成される。具体的には、図1に示されたように、前記第1負極活物質層220は、前記第1負極集電体210の片面又は両面に形成されてよい。
【0061】
前記第1負極活物質層220は、前記シリコン系活物質を含んでよい。
【0062】
前記シリコン系活物質は、SiO(0≦x<2)で表される化合物を含んでよい。SiOの場合、リチウムイオンと反応せず、リチウムを貯蔵することができないので、xは、前記範囲内であるものが好ましい。
【0063】
具体的には、前記シリコン系活物質は、Siを含んでよい。従来、Siは、シリコン酸化物(例えば、SiO(0<x<2))に比べて容量が約2.5~3倍高いという側面で有利であるが、Siの充放電による体積膨張/収縮の程度がシリコン酸化物の場合よりも非常に大きいので、商用化がさらに容易ではない。しかし、本発明の二次電池の場合、Siを含むシリコン系活物質を使用しても、活物質の充電電位を好ましい水準まで低めることができるので、寿命特性低下を防止しながらも、シリコン系活物質が有する高い容量及び急速充電特性を向上させることができる。具体的には、前記シリコン系活物質は、大部分がSiからなってよく、より具体的には、前記シリコン系活物質は、Siからなってよい。
【0064】
前記シリコン系活物質の平均粒径(D50)は、充放電時の活物質の構造的安定に基づいて、電気伝導性を維持するための伝導性ネットワークをより円滑に形成することができるか、活物質及び集電体を結着させるためのバインダーとの接近性をより容易にする側面で、1μm~10μm、好ましくは2μm~6μmであってよい。
【0065】
前記シリコン系活物質は、シリコン系活物質の体積膨張/収縮が電池に及ぼす影響を最小化しながら、シリコン系活物質が有する高い容量を二次電池に十分に具現するための側面で、前記第1負極活物質層内に60重量%~90重量%、好ましくは70重量%~80重量%で含まれてよい。
【0066】
前記第1負極活物質層220は、前記シリコン系活物質とともに第1負極バインダー及び第1負極導電材をさらに含んでよい。
【0067】
前記第1負極バインダーは、シリコン系活物質と負極集電体との接着力を向上させるか、シリコン系活物質間の結着力を高めるために使用されてよい。
【0068】
具体的には、前記第1負極バインダーは、スチレンブタジエンゴム(SBR:styrene butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile butadiene rubber)、アクリルゴム(acrylic rubber)、ブチルゴム(butyl rubber)、フッ素ゴム(fluoro rubber)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)、ポリアクリル酸(PAA:polyacrylic acid)、ポリエチレングリコール(PEG:polyethylene glycol)、ポリアクリロニトリル(PAN:polyacrylonitrile)、及びポリアクリルアミド(PAM:polyacryl amide)からなる群から選択された少なくとも1種を含んでよい。
【0069】
好ましくは、前記第1負極バインダーは、高い強度を有し、シリコン系活物質の体積膨張/収縮に対する優れた抵抗性を有し、優れた柔軟性を負極バインダーに付与して電極の歪み、反りなどを防止することができるという側面で、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、及びポリアクリルアミドからなる群から選択された少なくとも1種、好ましくはポリビニルアルコール、及びポリアクリル酸を含んでよい。前記第1負極バインダーがポリビニルアルコール及びポリアクリル酸を含む場合、前記第1負極バインダーは、ポリビニルアルコール及びポリアクリル酸の共重合体、具体的には、ビニルアルコール由来の単位及びアクリル酸由来の単位を50:50~90:10の重量比、好ましくは55:45~80:20の重量比で含むポリビニルアルコール及びポリアクリル酸の共重合体であってよい。
【0070】
前記第1負極バインダーは、負極活物質層の形成のためのスラリーの製造時に、水などの水系溶媒にさらに良好に分散されるようにし、活物質をより円滑に被覆して結着力を向上させるための側面で、第1負極バインダー内の水素がLi、Na、又はCaなどで置換されたものを含んでよい。
【0071】
前記第1負極バインダーは、前記第1負極活物質層内に5重量%~30重量%、好ましくは10重量%~20重量%で含まれてよく、前記範囲にあると、シリコン系活物質を円滑に結着させて活物質の体積膨張の問題を最小化することができると同時に、負極活物質層の形成のためのスラリーの製造時に、負極バインダーの分散が容易であるようにし、コーティング性及びスラリーの相安定性を向上させることができる。
【0072】
前記第1負極導電材は、二次電池に導電性を補助及び向上させるために使用されてよく、化学的変化を引き起こすことなく、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではない。具体的には、前記第1負極導電材は、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;炭素ナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;及びポリフェニレン誘導体からなる群から選択された少なくとも1種を含んでよく、好ましくは高い導電性を具現するための側面で、カーボンブラックを含んでよい。
【0073】
前記第1負極導電材は、負極活物質層の形成のためのスラリーの製造時に、負極導電材の分散を容易にし、電気伝導度をさらに向上させる側面で、負極導電材の比表面積が80m/g~200m/g、好ましくは100m/g~150m/gであってよい。
【0074】
前記第1負極導電材は、前記第1負極活物質層内に5重量%~20重量%、好ましくは7重量%~15重量%で含まれてよく、前記範囲であると、負極バインダーによる抵抗の増加を緩和させながらも、優れた導電性ネットワークを形成することができるという側面で好ましい。
【0075】
前記第1負極活物質層220の厚さは、10μm~100μm、好ましくは20μm~50μmであってよい。本明細書において、前記第1負極活物質層220の厚さは、第1負極集電体210の片面に形成された一つの第1負極活物質層220の厚さであってよい。
【0076】
前記第1負極200の気孔率は、28%~50%、好ましくは32%~40%であってよく、前記範囲にあると、シリコン系活物質の体積膨張/収縮を適切に収容しながらも、活物質間の接触程度を適正な水準に維持して導電性を向上させることができるので好ましい。
【0077】
本明細書において、第1負極200の気孔率は、下記数式2で計算され得る。
【0078】
[数式2]
第1負極の気孔率(%)={1-(第1負極の電極密度/第1負極の真密度)}×100
【0079】
前記数式2において、第1負極の真密度(true density)は、負極を一定のサイズで採取し、プレス装置で負極の厚さが変化しなくなるまで押した時に測定された第1負極活物質層の密度であり、前記第1負極の電極密度は、第1負極を一定のサイズで採取して測定された第1負極活物質層の密度である。
【0080】
前記第1負極200において、下記数式aで計算されるN/P比(N/P ratio)は、2.2~3.0、好ましくは2.4~2.8であってよい。
【0081】
[数式a]
/P比={(前記第1負極内の一つの第1負極活物質層の単位面積当たり放電容量)/(前記正極内の一つの正極活物質層の単位面積当たり放電容量)}
【0082】
前記範囲に第1負極に関するN/P比を調節すると、第1負極の作動時にシリコン系活物質の使用割合を適切な水準まで減少させることができるので、シリコン系活物質の体積膨張が二次電池に及ぶ影響を最小化することができる。
【0083】
前記N/P比は、前記第1負極200又は前記正極100それぞれのハーフセル(half-cell)を製作し、第1負極200及び正極100の単位面積当たり放電容量をそれぞれ求めた後、これを数式aに代入して求めることができる。
【0084】
前記第1負極200は、前記第1負極集電体上にシリコン系活物質及び選択的に、第1負極バインダー、第1負極導電材、及び負極スラリー形成用溶媒を含む負極スラリーをコーティングした後、乾燥及び圧延して製造され得る。
【0085】
前記負極スラリー形成用溶媒は、例えば、負極活物質、負極バインダー、及び/又は負極導電材の分散を容易にする側面で、蒸留水、エタノール、メタノール、及びイソプロピルアルコールからなる群から選択された少なくとも1種、好ましくは蒸留水を含んでよい。
【0086】
前記負極スラリー形成用溶媒は、負極スラリーの粘度、コーティング性、分散性などを考慮して、負極スラリー内の固形分の濃度が15重量%~45重量%、好ましくは20重量%~30重量%になるように、前記負極スラリーに含まれてよい。
【0087】
前記第2負極300は、炭素系活物質を含む。具体的には、前記第2負極300は、活物質として炭素系活物質のみを含んでよく、シリコン系活物質は含まなくてよい。前記第2負極300は、炭素系活物質を含むことにより、負極の全体的な充電電位を低めることができるので、第1負極内のシリコン系活物質の急激な体積膨張を防止することができる。
【0088】
具体的には、前記第2負極300は、第2負極集電体310及び前記第2負極集電体310の少なくとも片面に形成された第2負極活物質層320を含み、前記第2負極活物質層320は、前記炭素系活物質を含んでよい。
【0089】
前記第2負極集電体310は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、及びアルミニウム-カドミウム合金から選択された少なくとも1種を含んでよく、好ましくは銅を含んでよい。
【0090】
前記第2負極集電体310の厚さは、通常3μm~500μm、好ましくは5μm~30μmであってよい。
【0091】
前記第2負極集電体310は、表面に微細な凹凸を形成して、負極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、前記第2負極集電体310は、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用されてよい。
【0092】
前記第2負極活物質層320は、前記第2負極集電体310の少なくとも片面に形成される。具体的には、前記第2負極活物質層320は、前記第2負極集電体310の片面又は両面に形成されてよい。
【0093】
前記第2負極活物質層320は、前記炭素系活物質を含んでよい。
【0094】
具体的には、前記炭素系活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンブラック、グラフェン、及び繊維状炭素からなる群から選択される少なくとも1種を含んでよく、好ましくは人造黒鉛及び天然黒鉛の少なくとも1種、より好ましくは人造黒鉛及び天然黒鉛を含んでよい。
【0095】
前記炭素系活物質の平均粒径(D50)は、充放電時に構造的安定性に基づいて、電解液との副反応を減らす側面で、10μm~30μm、好ましくは15μm~25μmであってよい。
【0096】
前記炭素系活物質は、炭素系活物質の容量を十分に発揮する側面で、前記第2負極活物質層内に90重量%~99重量%、好ましくは92重量%~98重量%で含まれてよい。
【0097】
前記第2負極活物質層320は、前記炭素系活物質とともに第2負極バインダー及び第2負極導電材をさらに含んでよい。
【0098】
前記第2負極バインダーは、炭素系活物質と負極集電体との接着力を向上させるか、炭素系活物質間の結着力を高めるために使用されてよい。
【0099】
具体的には、前記第2負極バインダーは、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidenefluoride、PVDF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM rubber)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、及びフッ素ゴムからなる群から選択された少なくとも1種を含んでよく、好ましくは炭素系活物質と集電体との間の接着力を優れた水準まで向上させ得るという側面で、スチレンブタジエンゴム(SBR)を含んでよい。
【0100】
前記第2負極バインダーは、前記第2負極活物質層内に対して、0.5重量%~10重量%、好ましくは1重量%~5重量%、より好ましくは1.5重量%~3.5重量%で含まれてよい。
【0101】
前記第2負極導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こすことなく、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;炭素ナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用されてよい。
【0102】
前記第2負極導電材は、前記第2負極活物質層内に0.5重量%~5重量%で含まれてよい。
【0103】
前記第2負極導電材は、負極活物質層の形成のためのスラリーの製造時に、負極導電材の分散を容易にし、電気伝導度をさらに向上させる側面で、負極導電材の比表面積が80m/g~200m/g、好ましくは100m/g~150m/gであってよい。
【0104】
前記第2負極活物質層320の厚さは、20μm~200μm、好ましくは60μm~120μmであってよい。本明細書において、前記第2負極活物質層320の厚さは、負極集電体31の片面に形成された一つの第2負極活物質層320の厚さであってよい。
【0105】
前記第2負極300の気孔率は、20%~40%、好ましくは21%~30%であってよく、前記範囲にあると、電解液の濡れ性能を向上させることができながらも、エネルギー密度を好ましい水準まで向上させ得るという側面で好ましい。
【0106】
前記第2負極300の気孔率は、前記第1負極200の気孔率に対する数式2を適用して計算され得る。
【0107】
前記第2負極300において、下記数式bで計算されるN/P比(N/P ratio)は、1.0~1.3、好ましくは1.05~1.1であってよい。
【0108】
[数式b]
/P比={(前記第2負極内の一つの第2負極活物質層の単位面積当たり放電容量)/(前記正極内の一つの正極活物質層の単位面積当たり放電容量)}。
【0109】
前記範囲に第2負極に関するN/P比を調節すると、第2負極300と正極100の全電位領域を使用しながら、安定した性能が得られるという側面で好ましい。
【0110】
前記N/P比は、前記第2負極300又は前記正極100それぞれのハーフセル(half-cell)を製作し、第2負極300及び正極100の単位面積当たり放電容量をそれぞれ求めた後、これを数式bに代入して求めることができる。
【0111】
本発明の二次電池において、前記正極100及び前記負極200、300は、交互に積層されてよい。例えば、図1に示されたように、複数の負極200、300のうち、それぞれの負極間には正極100が配置されてよく、この際、第1負極200及び第2負極300は、互いに交互に積層されてもよく、任意の順序に積層されてもよい。
【0112】
本発明の二次電池において、下記数式cで計算されるNall/Pall比は2~3、好ましくは2.2~2.8、より好ましくは2.40~2.55であってよく、前記範囲であると、シリコン系活物質の高い容量及び急速充電特性を発揮することができながらも、シリコン系活物質の体積膨張/収縮が電池に及ぶ影響を最小化して、二次電池の寿命特性をさらに向上することができる。
【0113】
[数式c]
all/Pall比={(二次電池内に存在する負極の単位面積当たり放電容量の総量)/(二次電池内に存在する正極の単位面積当たり放電容量の総量)}
【0114】
前記Nall/Pall比は、具体的には、二次電池内に存在する複数の負極それぞれの単位面積当たり放電容量を測定して、これらの総量を求め、二次電池内に存在する複数の正極それぞれの単位面積当たり放電容量を測定して、これらの総量を求めた後、前記から得た値を数式cに代入して得られる。
【0115】
前記分離膜400は、図1に示されたように、前記正極100及び前記負極200、300の間に介在される。具体的には、前記正極100及び前記負極200、300は、前記分離膜400を挟んで交互に積層される。
【0116】
前記分離膜400は、負極200、300と正極100とを分離してリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常、リチウム二次電池で分離膜として使用されるものであれば、特に制限なしに使用可能であり、特に、電解質のイオン移動に対して、低抵抗でありかつ電解液含浸能力に優れたものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルム又はこれらの2層以上の積層構造体が使用されてよい。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されてもよい。また、耐熱性又は機械的強度の確保のために、セラミック成分又は高分子物質が含まれたコーティングされた分離膜が使用されてもよく、選択的に、単層又は多層構造で使用されてよい。
【0117】
前記電解質(未図示)は、二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル状高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0118】
具体的には、前記電解質は、有機溶媒及びリチウム塩を含んでよい。
【0119】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質の役割を果たすことができるものであれば、特に制限なしに使用されてよい。具体的には、前記有機溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなどのエステル系溶媒;ジブチルエーテル又はテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ベンゼン、フルオロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分岐状又は環構造の炭化水素基であり、二重結合方向環又はエーテル結合を含んでよい)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;又はスルホラン(sulfolane)類などが使用されてよい。この中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度及び高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の線状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、又はジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは、約1:1~約1:9の体積比で混合して使用することが、電解液の性能に優れて示される。
【0120】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池で使用されるリチウムイオンを提供し得る化合物であれば、特に制限なしに使用されてよい。具体的には、前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiI、又はLiB(Cなどが使用されてよい。前記リチウム塩の濃度は、0.1~2.0Mの範囲内で使用することが良い。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度及び粘度を有するので、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0121】
前記二次電池は、通常の二次電池の製造方法により、前述した負極と正極との間に分離膜を介在させた後、電解質を注入して製造されてよい。
【0122】
本発明に係る二次電池は、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラなどの携帯用機器、及びハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などに有用であり、特に、中大型電池モジュールの構成電池として好ましく使用されてよい。
【0123】
このような中大型電池モジュールは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電力貯蔵装置などのように高出力、大容量が求められる動力源に好ましく適用されてよい。
【0124】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例に対して詳しく説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現されてよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【0125】
実施例
実施例1:二次電池の製造
<正極の製造>
正極活物質としてLi[Ni0.6Co0.2Mn0.2]O(平均粒径(D50):15μm)、正極導電材としてカーボンブラック(製品名:Super C65、製造社:Timcal)、正極バインダーとしてポリビニリデンフルオライド(PVdF)を97:1.5:1.5の重量比で正極スラリー形成用溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加して正極スラリーを製造した(固形分濃度78重量%)。
【0126】
正極集電体としてアルミニウム集電体(厚さ:12μm)の両面に前記正極スラリーを454mg/25cmのローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して正極活物質層(厚さ:54μm)を形成し、これを実施例1による正極にした(正極の厚さ:120μm、気孔率24%)。前記正極は、複数(20個)準備された。
【0127】
<負極の製造>
1.第1負極の製造
シリコン系活物質Si(平均粒径(D50):3μm)、第1負極導電材としてカーボンブラック(製品名:Super C65、製造社:Timcal)、第1負極バインダーとしてポリビニルアルコール及びポリアクリル酸の共重合体(ビニルアルコール由来の単位及びアクリル酸由来の単位を66:34で含み、重量平均分子量:約360,000g/mol)を75:10:15の重量比で負極スラリー形成用溶媒として蒸留水に添加して負極スラリーを製造した(固形分濃度25重量%)。
【0128】
負極集電体として銅集電体(厚さ:15μm)の両面に前記負極スラリーを91.8mg/25cmのローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して第1負極活物質層(厚さ:26.5μm)を形成し、これを第1負極Aにした(負極の厚さ:68μm、負極の気孔率34%)。前記第1負極Aは、複数(17個)準備された。
【0129】
また、負極集電体として銅集電体(厚さ:15μm)の片面に前記負極スラリーを91.8mg/25cmのローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して第1負極活物質層(厚さ:26.5μm)を形成し、これを第1負極Bにした(負極の厚さ:41.5μm、負極の気孔率34%)。前記第1負極Bは、複数(2個)準備された。
【0130】
前記第1負極A及び第1負極Bを第1負極にした。
【0131】
2.第2負極の製造
炭素系活物質として人造黒鉛(平均粒径(D50):15μm)及び天然黒鉛(平均粒径(D50):18μm)を90:10の重量比で混合したもの、第2負極導電材としてカーボンブラック(製品名:Super C65、製造社:Timcal)、第2負極バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を95.65:0.75:1.1:2.5の重量比で負極スラリー形成用溶媒として蒸留水に添加して負極スラリーを製造した(固形分濃度48重量%)。
【0132】
負極集電体として銅集電体(厚さ:8μm)の両面に、前記負極スラリーを298mg/25cmのローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して第2負極活物質層(厚さ:74μm)を形成し、これを第2負極にした(負極の厚さ:156μm、負極の気孔率27%)。前記第2負極は、複数(2個)準備された。
【0133】
<二次電池の製造>
1.二次電池の製造
前記負極(第1負極及び第2負極)及び前記正極を、ポリエチレン分離膜を挟んで互いに離隔されるように交互に積層し、電解質を注入して二次電池を製造した。2個の第1負極Bは二次電池の最外殻に配置し、第1負極活物質層が正極の正極活物質層と対面するように配置した。第1負極A及び第2負極は、それぞれの負極活物質層が正極の正極活物質層と対面するように、正極と交互に積層した。
【0134】
電解質は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジエチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した有機溶媒に、ビニレンカーボネートを電解質の総重量に基づいて3重量%添加し、リチウム塩としてLiPFを1Mの濃度で添加したものを使用した。
【0135】
前記二次電池内には、第1負極Aが17個、第1負極Bが2個、第2負極が2個、正極が20個存在した。前記第1負極(第1負極A及び第1負極B)に含まれるシリコン系活物質及び前記第2負極内の炭素系活物質の重量比は、68.5:31.5であった。一方、第1負極の総重量及び第2負極の総重量の重量比は、90:10であった。
【0136】
2.N/P比
(1)N/P比
負極活物質層を銅集電体の片面にのみ形成したこと以外は、第1負極Aの製造方法と同様の方法でN/P比測定用負極を製造した。前記N/P比測定用負極、前記N/P比測定用負極に対向するリチウム金属対極、前記N/P比測定用負極及び前記リチウム金属対極の間に介在されたポリエチレン分離膜及び電解質を含むコイン型のハーフセル(half-cell)を製造し、放電容量を求めた(単位:mAh/g)。前記放電容量にローディング量(91.8mg/25cm=3.67mg/cm=0.00367g/cm)を掛け、「第1負極内の一つの第1負極活物質層の単位面積当たり放電容量」を求めた(単位:mAh/cm)。
【0137】
正極活物質層をアルミニウム集電体の片面にのみ形成したこと以外は、前記正極の製造方法と同様の方法でN/P比)測定用正極を製造した。前記N/P比測定用正極、前記N/P比測定用正極に対向するリチウム金属対極、前記N/P比測定用正極及び前記リチウム金属対極の間に介在されたポリエチレン分離膜及び電解質を含むコイン型のハーフセル(half-cell)を製造し、放電容量を求めた(単位:mAh/g)。前記放電容量にローディング量(454mg/25cm=18.16mg/cm=0.01816g/cm)を掛け、「正極内の一つの正極活物質層の単位面積当たり放電容量」を求めた(単位:mAh/cm)。
【0138】
下記数式aによりN/P比を求め、実施例1の二次電池のN/P比は2.69であった。
【0139】
[数式a]
/P比=(前記第1負極内の一つの第1負極活物質層の単位面積当たり放電容量/前記正極内の一つの正極活物質層の単位面積当たり放電容量)。
【0140】
(2)N/P比
負極活物質層を銅集電体の片面にのみ形成したこと以外は、第2負極の製造方法と同様の方法でN/P比測定用負極を製造した。前記N/P比測定用負極、前記N/P比測定用負極に対向するリチウム金属対極、前記N/P比測定用負極及び前記リチウム金属対極の間に介在されたポリエチレン分離膜及び電解質を含むコイン型のハーフセル(half-cell)を製造し、放電容量を求めた(単位:mAh/g)。前記放電容量にローディング量(298mg/25cm=11.92mg/cm=0.01192g/cm)を掛け、「第2負極内の一つの第2負極活物質層の単位面積当たり放電容量」を求めた(単位:mAh/cm)。
【0141】
正極活物質層をアルミニウム集電体の片面にのみ形成したこと以外は、前記正極の製造方法と同様の方法でN/P比測定用正極を製造した。前記N/P比測定用正極、前記N/P比測定用正極に対向するリチウム金属対極、前記N/P比測定用正極及び前記リチウム金属対極の間に介在されたポリエチレン分離膜及び電解質を含むコイン型のハーフセル(half-cell)を製造し、放電容量を求めた(単位:mAh/g)。前記放電容量にローディング量(454mg/25cm=18.16mg/cm=0.01816g/cm)を掛け、「正極内の一つの正極活物質層の単位面積当たり放電容量」を求めた(単位:mAh/cm)。
【0142】
下記数式bによりN/P比を求め、実施例1の二次電池のN/P比は1.08であった。
【0143】
[数式b]
/P比=(前記第2負極内の一つの第2負極活物質層の単位面積当たり放電容量/前記正極内の一つの正極活物質層の単位面積当たり放電容量)。
【0144】
(3)Nall/Pall
all/Pall比は、下記方法で計算された。
【0145】
前記(1)で得られた「第1負極内の一つの第1負極活物質層の単位面積当たり放電容量」に、実施例1の二次電池内の第1負極活物質層の個数を掛け、第1負極の放電容量の総量を求めた。前記(2)で得られた「第2負極内の一つの第2負極活物質層の単位面積当たり放電容量」に、実施例1の二次電池内の第2負極活物質層の個数を掛け、第2負極の放電容量の総量を求めた。前記第1負極の放電容量の総量と前記第2負極の放電容量の総量を加えて、実施例1の二次電池内に存在する負極の放電容量の総量を求めた。
【0146】
前記(1)で得られた「正極内の一つの正極活物質層の単位面積当たり放電容量」に、実施例1の二次電池内の正極活物質層の個数を掛け、実施例1の二次電池内に存在する正極の放電容量の総量を求めた。
【0147】
下記数式cにより、Nall/Pall比を求め、実施例1のNall/Pall比は2.53であった。
【0148】
[数式c]
all/Pall比=(二次電池内に存在する負極の単位面積当たり放電容量の総量/二次電池内に存在する正極の単位面積当たり放電容量の総量)。
【0149】
実施例2:二次電池の製造
第1負極A15個、第1負極B2個、第2負極4個、正極20個を準備して二次電池を製造したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例2の二次電池を製造した。
【0150】
実施例2において、前記第1負極内のシリコン系活物質及び前記第2負極内の炭素系活物質の重量比は49.2:50.8であり、第1負極の総重量及び第2負極の総重量の重量比は80:20であった。
【0151】
実施例2の二次電池において、Nall/Pall比は2.37であった。
【0152】
実施例3:二次電池の製造
第1負極A18個、第1負極B2個、第2負極1個、正極20個を準備して二次電池を製造したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例3の二次電池を製造した。
【0153】
実施例3において、前記第1負極内のシリコン系活物質及び前記第2負極内の炭素系活物質の重量比は82.1:17.9であり、第1負極の総重量及び第2負極の総重量の重量比は95:5であった。
【0154】
実施例3の二次電池において、Nall/Pall比は2.61であった。
【0155】
比較例1:二次電池の製造
第2負極を使用せず、第1負極A19個、第1負極B2個、正極20個を交互に積層したこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の二次電池を製造した。
【0156】
比較例1において、前記第1負極内のシリコン系活物質及び前記第2負極内の炭素系活物質の重量比は100:0であり、第1負極の総重量及び第2負極の総重量の重量比は100:0であった。
【0157】
比較例1の二次電池において、Nall/Pall比は2.69であった。
【0158】
比較例2:二次電池の製造
第1負極A11個、第1負極B2個、第2負極8個、正極20個を準備して二次電池を製造したこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例2の二次電池を製造した。
【0159】
比較例2において、前記第1負極内のシリコン系活物質及び前記第2負極内の炭素系活物質の重量比は26.6:73.4であり、第1負極の総重量及び第2負極の総重量の重量比は60:40であった。
【0160】
比較例2の二次電池において、Nall/Pall比は2.04であった。
【0161】
比較例3:二次電池の製造
第1負極A7個、第1負極B2個、第2負極を12個、正極を20個準備して二次電池を製造したこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例3の二次電池を製造した。
【0162】
比較例3において、前記第1負極内のシリコン系活物質及び前記第2負極内の炭素系活物質の重量比は13.9:86.1であり、第1負極の総重量及び第2負極の総重量の重量比は40:60であった。
【0163】
比較例3の二次電池において、Nall/Pall比は1.72であった。
【0164】
比較例4:二次電池の製造
第1負極を使用しないこと、両面ではない片面にのみ第2負極活物質層を形成したこと以外は、第2負極と同様の方法に製造された負極2個を最外殻に配置し、これらの間に第2負極19個、正極20個を交互に積層したこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例4の二次電池を製造した。
【0165】
比較例4において、前記第1負極内のシリコン系活物質及び前記第2負極内の炭素系活物質の重量比は0:100であり、第1負極の総重量及び第2負極の総重量の重量比は0:100であった。
【0166】
比較例1の二次電池において、Nall/Pall比は1.08であった。
【0167】
比較例5:二次電池の製造
<負極の製造>
負極活物質としてシリコン系活物質Si(平均粒径(D50):3μm)及び炭素系活物質を68.5:31.5の重量比で混合したものを使用した。前記炭素系活物質としては、人造黒鉛(平均粒径(D50):15μm)及び天然黒鉛(平均粒径(D50):18μm)を90:10の重量比で混合したものを使用した。
【0168】
前記負極活物質、負極導電材としてカーボンブラック(製品名:Super C65、製造社:Timcal)、負極バインダーとしてポリビニルアルコール及びポリアクリル酸の共重合体(ビニルアルコール由来の単位及びアクリル酸由来の単位を66:34で含み、重量平均分子量:約360,000g/mol)を75:10:15の重量比で負極スラリー形成用溶媒として蒸留水に添加して負極スラリーを製造した(固形分濃度25重量%)。
【0169】
負極集電体として銅集電体(厚さ:15μm)の両面に前記負極スラリーを100.5mg/25cmのローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して負極活物質層(厚さ:29.5μm)を形成し、これを第1負極にした(負極の厚さ:44.5μm、負極の気孔率32.8%)。前記第1負極は、複数(21個)準備された。
【0170】
<二次電池の製造>
第1負極及び第2負極の代りに前記で製造された負極を使用したこと、前記で製造された負極を21個、正極を20個準備して二次電池を製造したこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例5の二次電池を製造した。
【0171】
比較例5の二次電池において、Nall/Pall比は2.68であった。
【0172】
比較例6:二次電池の製造
<負極の製造>
負極活物質としてシリコン系活物質Si(平均粒径(D50):3μm)及び炭素系活物質を68.5:31.5の重量比で混合したものを使用した。前記炭素系活物質としては、人造黒鉛(平均粒径(D50):15μm)及び天然黒鉛(平均粒径(D50):18μm)を90:10の重量比で混合したものを使用した。
【0173】
前記負極活物質、負極導電材としてカーボンブラック(製品名:Super C65、製造社:Timcal)、負極バインダーとしてスチレンブタジエンゴム及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを95.65:0.75:1.1:2.5の重量比で負極スラリー形成用溶媒として蒸留水に添加して負極スラリーを製造した(固形分濃度48重量%)。
【0174】
負極集電体として銅集電体(厚さ:15μm)の両面に前記負極スラリーを81.8mg/25cmのローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して負極活物質層(厚さ:23μm)を形成し、これを第1負極にした(負極の厚さ:61μm、負極の気孔率35.4%)。前記負極は、複数(21個)準備された。
【0175】
<二次電池の製造>
第1負極及び第2負極の代りに前記で製造された負極を使用したこと、前記で製造された負極を21個、正極を20個準備して二次電池を製造したこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例6の二次電池を製造した。
【0176】
比較例6の二次電池において、Nall/Pall比は2.78であった。
【0177】
【表1】
【0178】
実験例1:初期効率及び容量維持率の評価
実施例1~3及び比較例1~6で製造した二次電池に対して、電気化学充放電器を用いて初期効率及び容量維持率を評価した。
【0179】
二次電池を1)充電(0.2C CC/CV充電4.2V 0.05C cut)及び放電(0.2C CC放電3.2V cut)し、これを1番目のサイクルにし、2)充電(1.0C CC/CV充電4.2V 0.05C cut)及び放電(0.5C CC放電3.0V cut)条件で二番目のサイクルから100番目のサイクルまで充放電を行った。
【0180】
下記式により容量維持率を評価した。その結果を下記表2に示した。
【0181】
容量維持率(%)={(100番目のサイクルでの放電容量)/(一番目のサイクルでの放電容量)}×100
【0182】
【表2】
【0183】
表2を参照すれば、シリコン系活物質を含む第1負極及び炭素系活物質を含む第2負極を含み、前記第1負極及び前記第2負極に含まれるシリコン系活物質及び炭素系活物質を特定の重量比で含む実施例1~実施例3の二次電池は、優れた容量、初期効率及び寿命性能を示すことを確認することができる。
【0184】
しかし、比較例1の場合、負極が活物質としてシリコン系活物質のみを含むので、実施例と同一の作動電圧範囲でシリコン系活物質の高い電位により正極活物質も高い電位を形成するようになる。したがって、比較例1の場合、正極の電位が高くなるにつれて正極の抵抗が増加するという問題が発生するので、比較例1は、実施例に比べて低い寿命性能を示すと判断される。
【0185】
また、比較例2、比較例3の場合、負極内で炭素系活物質の使用割合が高くなり、二次電池の全体的なN/P比(Nall/Pall比)が低くなることから、負極内で充放電に関与する負極活物質の割合が高くなり、シリコン系活物質の体積膨張/収縮が二次電池に及ぶ影響が大きくなるので、寿命性能が低下するようになる。
【0186】
比較例4は、負極が活物質として炭素系活物質のみを使用するので、実施例に比べて寿命性能は大幅低下しないが、後述するように、比較例4は、エネルギー密度及び高速充電性能が非常に低下するので、高速充電特性及び高エネルギー密度が求められる二次電池の適用に好ましくない。
【0187】
比較例5の場合、負極組成内のバインダーの割合が高くなってシリコン系活物質の体積膨張をある程度制御することができるが、負極組成内のバインダーの割合が高くなるにつれて炭素系活物質に高い抵抗を発生させるようになるので、結果として、低い寿命性能を示す。一方、比較例6の場合、負極組成内のバインダーの割合が低く、シリコン系活物質の体積膨張/収縮を制御し難いので、寿命性能が減少する。したがって、比較例5及び比較例6の二次電池は、一つの負極にシリコン系活物質及び炭素系活物質をいずれも含むので、それぞれの活物質の特性により負極の組成を調節することができないので、実施例の二次電池に比べて低い寿命性能を示す。
【0188】
実験例2:高速充電寿命の評価
実施例1~3及び比較例1~6で製造した二次電池に対して、電気化学充放電器を用いて高速充電時の容量維持率を評価した。二次電池を1)充電(0.2C CC/CV充電4.2V 0.05C cut)及び放電(0.2C CC放電3.2V cut)し、これを一番目のサイクルにし、2)充電(2.0C CC/CV充電4.2V 0.05C cut)及び放電(0.5C CC放電3.2V cut)の条件で二番目のサイクルから100番目のサイクルまで充放電を行った。
【0189】
下記式により容量維持率を評価した。その結果を下記表3に示す。
【0190】
容量維持率(%)={(100番目のサイクルでの放電容量)/(一番目のサイクルでの放電容量)}×100
【0191】
【表3】
【0192】
表3を参照すれば、シリコン系活物質を含む第1負極及び炭素系活物質を含む第2負極を含み、前記第1負極及び前記第2負極に含まれるシリコン系活物質及び炭素系活物質を特定の重量比で含む実施例1~実施例3の二次電池は、高速充電時に優れた寿命性能を示すことを確認することができる。
【0193】
しかし、比較例1の場合、負極が活物質としてシリコン系活物質のみを含むので、実施例と同一の作動電圧範囲でシリコン系活物質の高い電位により正極活物質も高い電位を形成するようになる。したがって、比較例1の場合、正極の電位が高くなるにつれて正極の抵抗が増加するという問題が発生するので、比較例1は、実施例に比べて低い高速充電寿命性能を示すと判断される。
【0194】
また、炭素系活物質の場合、高速充電時に電位が非常に低く、例えば、負(-)電位を形成する恐れがある。したがって、炭素系活物質の使用割合が高い比較例2、比較例3、及び比較例4の場合、高速充電時にリチウム析出(Li plating)などが発生する可能性があるので、これにより、寿命性能が非常に低下する。
【0195】
比較例5の場合、負極組成内のバインダーの割合が高くなってシリコン系活物質の体積膨張をある程度制御することができるが、負極組成内のバインダーの割合が高くなるにつれて炭素系活物質に高い抵抗を発生させるようになるので、結果として、低い高速充電寿命性能を示す。一方、比較例6の場合、負極組成内のバインダーの割合が低く、シリコン系活物質の体積膨張/収縮を制御し難いので、高速充電寿命性能が減少する。したがって、比較例5及び比較例6の二次電池は、一つの負極にシリコン系活物質及び炭素系活物質をいずれも含むので、それぞれの活物質の特性により負極の組成を調節することができないので、実施例の二次電池に比べて低い高速充電寿命性能を示す。
【0196】
実験例3:エネルギー密度の評価
実施例1~3及び比較例1~6で製造した二次電池に、以下の条件で充電及び放電を1回行い、二次電池の放電容量(単位:Wh)を求めた。
【0197】
この際、充電が完了した後、二次電池の厚さを測定し、前記で得られた二次電池の厚さに二次電池の面積を掛け、二次電池の体積(単位:L(liter))を求めた。
【0198】
前記で求められた二次電池の放電容量を二次電池の体積で割って、エネルギー密度(単位:Wh/L)を計算した。その結果を下記表4に示す。
【0199】
<充電及び放電条件>
充電:CC/CV充電、0.2C、4.2V、5% cut-off
放電:CC放電、0.2C、3.2V
【0200】
【表4】
【0201】
表4を参照すれば、実施例1~実施例3の二次電池は、シリコン系活物質を含むことにより容量が向上する可能性があるので、優れた水準のエネルギー密度を有することが分かる。
【0202】
比較例1の場合、負極が活物質としてシリコン系活物質のみを含むので、容量が向上する可能性があるので、高いエネルギー密度を示す。しかし、前述したように、負極活物質としてシリコン系活物質のみを使用する場合、シリコン系活物質の高い電位により正極に高い電位が形成されるので、比較例1は、抵抗の上昇により実施例に比べて寿命性能が良くないことが分かる。
【0203】
また、比較例2~比較例4の二次電池の場合、低いエネルギー密度を有する炭素系活物質を含む負極を過多に含んでいるので、結果として、二次電池のエネルギー密度が低い。
【0204】
また、比較例5の二次電池の場合、負極がシリコン系活物質を含むことにより、ある程度エネルギー密度が高くなるが、負極内のバインダー含量が高くて炭素系活物質の抵抗が上昇するので、炭素系活物質の抵抗の上昇により容量が減少し、結果として低いエネルギー密度を示す。
【0205】
また、比較例6の場合、負極内のバインダー組成が低くてシリコン系活物質の体積膨張を制御し難いので、負極の厚さ変化を制御することができないので、エネルギー密度が低くなるという問題が発生する。
【符号の説明】
【0206】
1 二次電池
100 正極
110 正極集電体
120 正極活物質層
200 第1負極
210 第1負極集電体
220 第1負極活物質層
300 第2負極
310 第2負極集電体
320 第2負極活物質層
400 分離膜
図1