(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】ホモシスチン尿症を処置するためのシスタチオニンβ-シンターゼ酵素
(51)【国際特許分類】
C12N 9/00 20060101AFI20241105BHJP
A61K 38/43 20060101ALI20241105BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241105BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241105BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241105BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241105BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20241105BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241105BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241105BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20241105BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20241105BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241105BHJP
C12N 15/52 20060101ALN20241105BHJP
【FI】
C12N9/00 ZNA
A61K38/43
A61P43/00 111
A61P27/02
A61P25/00
A61P25/28
A61P19/10
A61P11/00
A61P9/00
A61P9/10
A61K47/60
A61K45/00
C12N15/52 Z
(21)【出願番号】P 2023028266
(22)【出願日】2023-02-27
(62)【分割の表示】P 2020169596の分割
【原出願日】2014-01-29
【審査請求日】2023-03-29
(32)【優先日】2013-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】308032460
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ コロラド,ア ボディー コーポレイト
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF COLORADO,a body corporate
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ピー. クラウス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス マジタン
(72)【発明者】
【氏名】エレス バブリル
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/106971(WO,A2)
【文献】NATURE REVIEWS. DRUG DISCOVERY, 2003,V2 N3,P214-221
【文献】Biochemistry, 2006年,Vol.45,p.11021-11029
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 9/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号3と少なくとも95%の配列同一性を有し、配列番号3と比較してC15S変異を有するアミノ酸配列を含
むヒト
短縮型シスタチオニンβ-シンターゼ
(htCBS)変異体ポリペプチドであって、ここで、該
htCBS変異体ポリペプチドは
、少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)分子に共有結合されており、前記少なくとも1つのPEG分子が、NHSエステル活性化PEG分子であり、20kDa以上の分子量を有する、
htCBS変異体ポリペプチド。
【請求項2】
前記
htCBS変異体ポリペプチドが、配列番号14の核酸配列をコードする発現ベクターでトランスフェクトされたE.coliから単離されている、請求項
1に記載の
htCBS変異体ポリペプチド。
【請求項3】
請求項1または2に記載の
htCBS変異体ポリペプチドと、薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤もしくは賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項4】
被験体におけるホモシスチン尿症の処置における使用のための、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
被験体における上昇したホモシステインと関連する疾患、障害、もしくは状態の処置における使用のための、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
0.1mg/kg~20mg/kgの用量で前記被験体に前記
htCBS変異体ポリペプチドを投与するためのものである、請求項4または5に記載の使用のための薬学的組成物。
【請求項7】
前記被験体は、アネトールジチオールチオン(anethole dithiolethione)もしくはベタインも投与されている、請求項4~6のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物。
【請求項8】
前記被験体は、抗凝固剤もしくはスタチンも投与されている、請求項4~7のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物。
【請求項9】
前記被験体は、緩やかなタンパク質制限食中である、請求項4~8のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
この出願は、2013年1月29日に出願された米国仮出願第61/758,138号および2013年3月14日に出願された米国本出願第13/803,804号(これらの各々の開示は、参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、血清ホモシステイン(Hcy)濃度を有意に低下させ得、かつシスタチオニンおよびシステインのような下流代謝産物の生成を増大させ得るヒトシスタチオニンβ-シンターゼ(CBS)の形態を含む、酵素補充療法に適した組成物に関する。このような組成物は、ホモシスチン尿症およびホモシステイン再メチル化障害のような状態もしくは疾患の処置のために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
CBSは、含硫置換基移動経路における中心的な酵素であり、真核生物におけるホモシステイン(Hcy)代謝に必須の役割を果たす(Muddら、2001, in The
Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8 Ed., pp. 2007-2056, McGraw-Hill, New York)。上記CBS酵素は、セリンおよびホモシステインのピリドキサール-5’-リン酸(PLP;ビタミンB6)依存性縮合を触媒して、シスタチオニンを形成し、次いで、上記シスタチオニンは、別のPLP依存性酵素、シスタチオニンγ-リアーゼによってシステインを生成するために使用される。ある種の遺伝的変異の結果として、CBS活性が劇的に低下しているかもしくは存在しない場合、Hcyは、組織および血中に蓄積する。含硫置換基移動経路を有する哺乳動物細胞では、CBSは、Hcyからメチオニンへの再メチル化、またはシステインの生合成におけるもう1つの使用の間で重要な調節的位置を占める。
【0004】
健康な正常個体では、HcyからシスタチオニンへのCBS媒介性変換は、システイン(Cys)へのメチオニン(Met)代謝の律速的な中間工程である。ビタミンB6は、このプロセスに必須の補酵素である。CBS酵素においてある種の遺伝的変異を有する個体では、Hcyからシスタチオニンへの変換は、遅いかもしくは存在せず、酵素基質(Hcy)の血清濃度の上昇およびその酵素生成物(シスタチオニン;Cth)の血清濃度の対応する減少を生じる。Hcyの上昇した血清レベルの臨床状態、およびその付随した尿への排出は、まとめて、ホモシスチン尿症として公知である。
【0005】
ホモシスチン尿症の有病率に関する概算は、広く変動している。新生児スクリーニングのデータおよび臨床的確認から、1:200,000~1:335,000の生児出生の幅でもたらされる(Muddら、2001)。デンマーク、ドイツ、ノルウェイおよびチェコ共和国における新生児のDNAスクリーニング研究からの近年の証拠から、真の発生率は、約1:6,000程度の高さであり得ることが見出された(Gaustadnesら、1999, N Engl J Med. 1340:1513; Linnebankら、2001, Thromb Haemost. 85:986; Refsumら、2004, Clin. Chem. 50:3; Sokolovaら、2001, Hum Mutat.18:548)。さらに、近年の研究からは、CBS欠乏ホモシスチン尿症(CBSDH)個体は、精神系もしくは心血管系いずれかの合併症を併発しているが、代表的には診断の助けになる特徴的な結合組織欠損がないことに起因して、目下診断未確定であることが示された(Li and Stewart, 1999, Pathol. 31:221; Linnebankら、2003, J. Inherited Metabol. Dis. 26: 509; Macleanら、2002, Hum Mutat. 19:641)。CBSDHと関連する主な健康問題としては、以下が挙げられる:未処置のおよび部分的に処置した個体において高死亡率を生じる、血栓症への素因を有する心血管疾患;進行性近視および水晶体偏位を伴う視覚系に影響を及ぼす結合組織問題;マルファン体型、骨粗鬆症、および側弯症によって特徴付けられる骨格に影響を及ぼす結合組織問題;ならびに精神遅滞および発作を含む、中枢神経系問題。
【0006】
CBS関連ホモシスチン尿症の治療的解決は、CBS遺伝子に存在する変異のタイプに依存する。CBS遺伝子の約160の病原性の変異が、今日までヒトにおいて同定されてきた。CBSDHと関連する病原性の変異の性質には、機能的三分法がある。変異の1つのグループは、「ピリドキシン応答性」として分類され、ここでは、CBS酵素機能は、高用量ビタミンB6治療によって回復され得る。この処置は有効であり得るが、これら個体における病的な事象を常に緩和するわけではなく、その事象のうちのいくつかは、時間を経ればこれら個体において起こりさえする。機能的変異の第2のグループは、S-アデノシルメチオニンによる翻訳後アップレギュレーションに応答するそれらの能力が欠損している「C末端CBS変異体」によって代表される。このクラスの変異を有する個体は、通常、表現型のうちで精神遅滞および結合組織の側面を欠いている。このクラスは、40歳齢を前に特発性の血栓性の事象の後に血漿Hcyレベルの測定をした後に検出される(Macleanら、2002, Hum Mutat.19: 641-55)。CBSDH変異の最後のグループは、「古典的ホモシスチン尿症」であり、これは、上記疾患の最も重症の形態を表す。個体のこれら後者2つのグループに関しては、ビタミンB6治療は、分離して、血清Hcyレベルを有効に下げない。
【0007】
ホモ接合性CBS欠損症の病態生理は、疑いもなく複雑であるが、終末組織傷害の基本的煽動因子(fundamental instigator of end-organ injury)は、血清Hcyの極端な上昇であるというコンセンサスがある。Hcyの血中濃度および組織濃度の顕著な上昇の毒性は、多くの生物学的プロセスに影響を及ぼす、Hcy自体のもしくはその代謝産物(例えば、Hcy-チオラクトン)に由来する分子反応性および生物学的効果の結果として起こり得る(Jakubowskiら、2008, FASEB J 22: 4071-6)。慢性的血小板凝集における異常、血管パラメーターの変化、および内皮機能不全は、全て、ホモシスチン尿症を有する個体において説明されてきた。
【0008】
現在では、3つの処置選択肢が、CBSDHの処置に関して存在する:
1)ビタミンB6応答性個体においてはビタミンB6の薬理学的用量を使用するCBS活性のうちの残っている活性の増大;
2)Metの摂取を厳しく制限した食事によって血清Hcyを下げること;および
3)HcyからMetへのベタイン媒介性変換による解毒、従って、血清Hcy濃度の低下。
【0009】
これら3つの治療の各々は、血清Hcy濃度を低下させることを目的とする。ビタミンB6非応答性CBSDHに罹患した個体の標準的処置は、代謝フォーミュラ(metabolic formula)およびCys(これは、この状態においては条件付き必須アミノ酸となっている)を補充したMet制限食からなる。肉、乳製品および天然タンパク質が高い他の食品の摂取は、禁止される。アミノ酸および微量栄養素を含むおいしくない合成の代謝フォーミュラを毎日摂ることが、続発性栄養失調を防止するために必要とされる。ベタイン(商品名:CYSTADANETM, 別名:トリメチルグリシン)の補充はまた、標準治療である。ベタインは、肝臓においてベタイン-ホモシステインメチルトランスフェラーゼによって触媒されるHcyからMetへの再メチル化のメチルドナーとして働く(Wilckenら、1983, N Engl J Med 309:, (8), 448-53)。食事のコンプライアンスは、一般に不十分であり、最適なケアおよび資源が提供される医療施設においてすら不十分であり、このノンコンプライアンスは、ホモシスチン尿症の生命を脅かす合併症の発生に関する重大な影響を有する。
【0010】
上記の節に記載される証拠は、以下の点でまとめられる:
・未処置のホモシスチン尿症は、血管構造、結合組織、および中枢神経系に高い割合で合併症を有する。
・血清Hcyを低下させる処置(例えば、厳しくMetを制限する食事およびベタイン)は、十分に実行されれば、関連する臨床的問題を減少させる。認知能力の改善は、乳児期における処置の開始を必要とする。
・食事に伴うコンプライアンスは、一様に不十分である。新生児期に治療を開始している個体では、コンプライアンスの喪失は青年期に起こる。新生児期の後に治療を開始している個体では、コンプライアンスは全年齢で実にひどい。現在の処置アプローチが極端に困難であることは、食事によって防止可能な生命を脅かす症状を経験し、それでもなおこの処置を厳守することはできない個体をみれば、最も容易に明白である。
・食事のコンプライアンスの失敗は、増大した血清Hcy、致死的かつ身体を無能力にする(incapacitating)事象を含む、血管組織および結合組織の合併症の再燃を引き起こし、重篤な副作用(例えば、脳浮腫(過剰な血清Met濃度による)もしくは重篤な栄養失調(必須アミノ酸の欠如による)の危険がある。
・最も有効な治療ストラテジーは、ビタミンB6応答性ホモシスチン尿症にピリドキシンを与える場合に明らかであるように、酵素活性を増大させることである。このストラテジーは、変異状態に起因して、ビタミンB6非応答性個体では可能ではなく、これら個体における増大した酵素活性は、外因性酵素の送達、すなわち、酵素補充療法(ERT)(ホモシスチン尿症を処置するために一度も試みられてこなかったストラテジー)に依存する。
・実証された効力のある上記3つの現在の処置ストラテジー:(1)ビタミンB6応答性個体においてピリドキシンで酵素活性を増大させること;(2)Met制限食によって蓄積している代謝産物を減少させること;および(3)ベタイン処置においてベタイン-ホモシステインメチルトランスフェラーゼの酵素活性による解毒、のうち、全ては、血漿中の総Hcyの低下が共通している(Walter,ら、1998, Eur J Pediatr 157(Suppl 2):S71-6)。
【0011】
さらに、ヒト患者で使用される全ての現在の処置ストラテジー(ホモシスチン尿症の部分集合にのみ適しているB6補充を除く)に関して、ホモシステインの低下は、CthもしくはCysの増大に付随しない。下流の代謝産物の欠損よりむしろ、過剰なHcyが、臨床症状の原因であるということが未だ確立されていないので、ホモシステインを減少させることに制限される現在の治療は、強くかつ有効な処置選択肢を提供するには不十分であり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【文献】Gaustadnesら、N Engl J Med.(1999)1340:1513
【文献】Linnebankら、Thromb Haemost.(2001)85:986
【文献】Refsumら、Clin. Chem.(2004)50:3
【文献】Sokolovaら、Hum Mutat.(2001)18:548
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、ホモシスチン尿症を有する個体にとってより有効な処置ストラテジーが、当該分野で未だに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本明細書で示されるように、本発明は、ホモシスチン尿症を有する個体において血清Hcyを特に低下させるための組成物、具体的には、組成物および方法を提供する。メチオニンが挙げられるが、これに限定されない代謝産物(例えば、システインおよびシスタチオニン)の実質的に正常なレベルを回復させる組成物、具体的には、薬学的組成物もまた提供される。本明細書でより具体的に記載されるように、ホモシスチン尿症の酵素補充療法(ERT)のための試薬および方法が提供され、ここで天然の酵素の改変形態が、インビボでの改善された安定性、活性、および医療的有用性を特に提供することによってその薬学的許容性を改善するために、組換え操作されている。
【0015】
第1の局面において、本発明は、配列番号02を含む単離されたCBSポリペプチドを提供し、ここで上記単離されたCBSポリペプチドは、化学的改変を含み、アミノ末端、カルボキシル末端、もしくはアミノ末端およびカルボキシル末端の両方において全長ヒトCBSタンパク質の遺伝子操作された短縮物である。一実施形態において、本発明は、組換えヒトCBSを構成するヒトCBSの操作された改変体を提供し、ここでそのC末端調節領域は除去されている(例えば、rhCBSΔC-このrhCBSΔCは、カルボキシル末端において138残基が短縮化されており、全長タンパク質の551アミノ酸のうちのアミノ酸1~413を含む)(配列番号3)。いくつかの実施形態において、上記rhCBSΔCの種は変異されており、好ましい実施形態において、上記短縮型変異体CBSは、rhCBSΔC-C15S(もしくは「C15S」と省略され、このC15Sは、カルボキシル末端において138残基が短縮されている;rhCBSΔCと同じ)(配列番号13)であり、ここで上記CBSアミノ酸配列中の15位のシステイン残基は、セリンに変更されている。特定の実施形態において、本明細書で開示されるのは、化学的に、特に、C末端短縮型組換えヒトCBS(特に、rhCBSΔC)のポリエチレングリコール(PEG)部分の共有結合によって改変されている短縮型組換えヒトCBSの種を含む。これらPEG化された種は、それぞれ、PEG-rhCBSΔCもしくはPEG-C15Sといわれる。本明細書に示されるように有用な、特に治療的に有用なこれら組成物(改変された組換え酵素)および方法は、ホモシスチン尿症を有する個体が、制限が非常に少ない食事(例えば、毎日、1kgあたり2g以上のタンパク質の摂取)を享受し、有意に低下したHcy血漿レベルおよび実質的に正常化した、メチオニンが挙げられるが、これに限定されない代謝産物レベル(例えば、システインおよびシスタチオニン)を有し、長期間の臨床的改善をもたらすことが可能である。
【0016】
本発明は、有利なことには、個体が、許容できないノンコンプライアンス率を有する極端な制限食を使用せずに、血清Hcyレベルの良好なコントロールを達成できる。上記短縮型の種、特に、変異されている(特に、上記C15S変異体)か、PEG化されているか、または変異されかつPEG化されている種の使用は、有利なことには、個体において改善された代謝が付随し得るので、有意に低下した血清Hcy濃度と特に関連して、罹患率および死亡率の低下に反映されるように、臨床転帰が改善され得る。
【0017】
本明細書で開示されるように、上記C15S変異ヒトCBS種は、有利なことには、インビボでの医療的有用性(例えば、検出可能なレベルの凝集なし)が有意に増大したコンホメーションをとっている。上記C15S変異ヒトCBS種はまた、非常に再現性のある発現、精製、およびPEG化パターンを示し、上記C15S変異は、凝集物の形成を低減するので、回収を改善することによって収量を改善し、より一貫性がありかつ再現性のあるPEG化を可能にする。これら局面は、インビボでの有用性という以前に、工程に特に関連する品質という点に関しても有用であり得る。
【0018】
本明細書で開示されるように、上記PEG化した種は、有利なことには、非PEG化短縮型改変体、特に、上記rhCBSΔCもしくはC15S種と比較して、増大したサイズを有する。ここで上記PEG化した種は、クリアランスが低下しているか、もしくは遅くなっている。さらに、PEGでの化学的改変は、タンパク質の表面にある潜在的な免疫原性エピトープを隠し、タンパク質分解酵素が上記タンパク質に近づくのを妨げる。PEG化はまた、有利なことには、上記rhCBSΔCタンパク質の物理化学的特性を変化させ、従って、その有効性を顕著に減ずることなく、その生体分布、安定性、および溶解度を改変する。
【0019】
本発明のこれらおよび他の特徴ならびに利点は、添付の特許請求の範囲とともに、以下の発明の詳細な説明からより十分に理解される。特許請求の範囲は、そこでの記載によって定義されるのであって、本発明説明に示される特徴および利点の具体的な考察によって定義されるのではないことが注意される。
【0020】
以下の、本発明の実施形態の詳細な説明は、以下の図面とともに読まれる場合に、最も良く理解され得る。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
配列番号02またはそのホモログ、改変体もしくは変異体を含む、単離されたシスタチオニン-β-シンターゼ(CBS)ポリペプチドであって、ここで該単離されたCBSポリペプチドは、化学的に改変されており、アミノ末端、カルボキシル末端もしくは、アミノ末端およびカルボキシル末端の両方において、全長ヒトCBSタンパク質の短縮を含む、単離されたシスタチオニン-β-シンターゼ(CBS)ポリペプチド。
(項目2)
上記単離されたCBSポリペプチドは、C末端残基383~551、397~551、414~551、442~551、489~551、497~551、524~551、534~551もしくは544~551の欠失である遺伝子操作された短縮物である、項目1に記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目3)
上記単離されたCBSポリペプチドは、C末端残基414~551の欠失を含む、項目2に記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目4)
上記単離されたCBSポリペプチドは、N末端残基2~39もしくは1~70の欠失から選択される遺伝子操作された短縮物である、項目1~3のいずれかに記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目5)
上記単離されたCBSポリペプチドは、アミノ酸15位のシステインからセリンへの変更を含む、項目1に記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目6)
アミノ酸15位のシステインからセリンへの変更を含む上記単離されたCBSポリペプチドは、C末端残基383~551、397~551、414~551、442~551、489~551、497~551、524~551、534~551もしくは544~551の欠失から選択される遺伝子操作された短縮物である、項目5に記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目7)
アミノ酸15位のシステインからセリンへの変更を含む上記単離されたCBSポリペプチドはまた、C末端残基414~551の欠失を含む(配列番号13)、項目6に記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目8)
配列番号02もしくはそのホモログを含む単離されたCBSポリペプチドであって、ここで該単離されたCBSポリペプチドは、アミノ酸15位のシステインからセリンへの変更を含み、該単離されたCBSポリペプチドは、化学的に改変されている、単離されたCBSポリペプチド。
(項目9)
上記CBSポリペプチドは、1つまたは複数のポリエチレングリコール分子に共有結合されている、項目1~8のいずれかに記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目10)
上記ポリエチレングリコール分子は、非分枝状および分枝状のポリエチレングリコールから選択される、項目9に記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目11)
上記ポリエチレングリコール分子は、分子量2000ダルトン以上を有する、項目10に記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目12)
上記ポリエチレングリコール分子は、5~80kDの範囲の分子量を有する、項目11に記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目13)
上記ポリエチレングリコール分子は、好ましくは、10~40kDの範囲の分子量を有する、項目11に記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目14)
上記ポリエチレングリコール分子は、ME-200MA0B、ME-020MA、ME-400MA、GL2-400MA、GL4-400MA、GL2-800MA、ME-050GS、ME-200GS、ME-200ALもしくはMEPA-20Tである、項目11に記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目15)
上記ポリエチレングリコール分子は、NHS、アミン、およびモノアルデヒドからなるアルデヒド、モノ酸のモノエステル、モノアミン、モノチオール、モノジスルフィド、モノブロモフェニルカーボネート、モノクロロフェニルカーボネート、モノフルオロフェニルカーボネート、モノニトロフェニルカーボネート、モノカルボニルイミダゾール、モノヒドラジド、モノヨードアセトアミド、モノマレイミド、モノオルトピリジルジスルフィド、モノオキシム、モノフェニルグリオキサール、モノチアゾリジン-2-チオン、モノチオエステル、モノトリアジンならびにモノビニルスルホンからなる群より選択される結合基によって、CBSに結合される、項目8~14のいずれかに記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目16)
上記CBSポリペプチドは、S-アデノシルメチオニン(AdoMet)の非存在下で活性である、項目1~15のいずれかに記載の単離されたCBSポリペプチド。
(項目17)
項目1~16のいずれかに記載の単離されたCBSポリペプチドを含み、治療上有効量の上記ポリペプチド、そのホモログ、改変体もしくは変異体および薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤もしくは賦形剤を含む、薬学的組成物。
(項目18)
24時間後に、投与された上記組成物の最初の活性のうちの70%以上を保持する、項目1~17のいずれかに記載の薬学的組成物。
(項目19)
24時間後に、投与された上記組成物の最初の活性のうちの70%以上を保持する、項目17に記載の薬学的組成物。
(項目20)
上記CBSポリペプチドは、1つまたは複数のポリエチレングリコール分子に共有結合される、項目17~19のいずれかに記載の薬学的組成物。
(項目21)
項目1~20のいずれかに記載の単離されたCBSポリペプチドの投与を含む、ホモシステインの減少を必要とする個体においてホモシステインを減少させるための方法。
(項目22)
上記単離されたCBSポリペプチドは、埋込型浸透圧ポンプ、静脈内注射、皮下注射、もしくは腹腔内注射によって投与される、項目21に記載の方法。
(項目23)
上記単離されたCBSポリペプチドは、皮下注射によって投与される、項目21に記載の方法。
(項目24)
上記単離されたCBSポリペプチドは、埋込型浸透圧ポンプによって投与される、項目21に記載の方法。
(項目25)
上記単離されたCBSポリペプチドは、一定量の該単離されたCBSポリペプチドを含み、ここで0.1mg/kg~20mg/kgが投与される、項目21~24のいずれかに記載の方法。
(項目26)
シスタチオニンもしくはシステインの上昇を必要とする個体においてシスタチオニンもしくはシステインを上昇させるための方法であって、該方法は、項目1~20のいずれかに記載の単離されたCBSポリペプチドの投与を含む、方法。
(項目27)
抗凝固剤、スタチン、もしくは緩やかなタンパク質制限食、アネトールジチオールチオン(anethole dithiolethione)もしくはベタインのうちの1種以上の投与をさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
上記単離されたCBSポリペプチドは、埋込型浸透圧ポンプ、静脈内注射、皮下注射、もしくは腹腔内注射によって投与される、項目26に記載の方法。
(項目29)
上記単離されたCBSポリペプチドは、静脈内注射によって投与される、項目26に記載の方法。
(項目30)
上記単離されたCBSポリペプチドは、浸透圧ポンプによって投与される、項目26に記載の方法。
(項目31)
上記単離されたCBSポリペプチドは、一定量の該単離されたCBSポリペプチドを含み、ここで最大20mg/kgまでが、必要とする個体に投与される、項目26~30のいずれかに記載の方法。
(項目32)
上昇したホモシステイン、メチオニン、S-アデノシルメチオニンおよびS-アデノシルホモシステイン、ならびに低いシスタチオニンおよびシステインレベルと関連する疾患、障害、もしくは状態を処置もしくは改善するための方法であって、該方法は、薬学的に有効な量の、項目1~20のいずれかに記載の単離されたCBSポリペプチドを、処置もしくは改善を必要とする個体に投与する工程を含む、方法。
(項目33)
上昇したホモシステインと関連する上記疾患、障害、もしくは状態は、精神遅滞、骨粗鬆症、水晶体偏位、後側弯症、脳卒中、心筋梗塞、もしくは肺塞栓症である、項目32に記載の方法。
(項目34)
上記単離されたCBSポリペプチドは、一定量の該単離されたCBSポリペプチドを含み、ここで最大20mg/kgまでが、非経口注射によって投与される、項目32に記載の方法。
(項目35)
上記単離されたCBSポリペプチドは、一定量の該単離されたCBSポリペプチドを含み、ここで最大20mg/kgまでが、埋込型浸透圧ポンプによって投与される、項目32に記載の方法。
(項目36)
アネトールジチオールチオンもしくはベタインの投与をさらに含む、項目32に記載の方法。
(項目37)
ベタイン投与は、1日に2回行う、項目32に記載の方法。
(項目38)
上昇したホモシステインと関連する疾患、障害、もしくは状態を予防するための方法であって、該方法は、薬学的に有効な量の、項目1~20のいずれかに記載の単離されたCBSポリペプチドを、予防を必要とする個体に投与する工程を含む、方法。
(項目39)
上昇したホモシステインと関連する上記疾患、障害、もしくは状態は、精神遅滞、骨粗鬆症、水晶体偏位、後側弯症、脳卒中、心筋梗塞、もしくは肺塞栓症である、項目38に記載の方法。
(項目40)
上記単離されたCBSポリペプチドは、一定量の該単離されたCBSポリペプチドを含み、ここで最大20mg/kgまでが、必要とする個体に投与される、項目38に記載の方法。
(項目41)
アネトールジチオールチオンもしくはベタインの投与をさらに含む、項目38に記載の方法。
(項目42)
ベタイン投与は、1日2回行われる、項目38に記載の方法。
(項目43)
上昇したホモシステインと関連する疾患、障害、もしくは状態を処置もしくは改善するための医薬の製造のための、項目1~20のいずれかに記載の単離されたCBSポリペプチドの使用。
(項目44)
上昇したホモシステインと関連する上記疾患、障害、もしくは状態は、精神遅滞、骨粗鬆症、水晶体偏位、後側弯症、脳卒中、心筋梗塞、もしくは肺塞栓症である、項目43に記載の使用。
(項目45)
上記医薬は、アネトールジチオールチオンもしくはベタインをさらに含む、項目43に記載の使用。
(項目46)
緩やかなタンパク質制限食への制限をさらに含む、項目43に記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1-1】
図1は、rhCBSΔC PEG化後のインビボでの血漿酵素保持時間の増強に関する実験証拠を図示する。
図1は、rhCBSΔCおよびPEG化rhCBSΔCの1回の投与後の薬物動態プロフィールおよびインビボでのそれらの安定性に関する証拠を提供する。
図1aは、C57BL/6Jマウスに、5mg/kg 体重のヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)を腹腔内(IP)経路、血管内(IV)経路もしくは皮下(SQ)経路によって注射した実験の結果を示す棒グラフである。各々5匹のマウスの2つの実験群(1および2と表示される)を、各注射経路に使用した(合計n=30)。各注射経路につき、血液を、注射後0時間、1時間、8時間および24時間で群1から集め、注射後1時間、4時間、10時間、および48時間で、群2から集めた。血漿を、放射活性アッセイ(実施例1に記載されるとおり)を使用して、CBS活性について分析した。
図1bは、循環からのCBSクリアランスを追跡する、
図1aに記載されるとおりの各群の2匹の代表的マウスに由来する血漿中のCBSのウェスタンブロット分析の結果の写真である。12% ゲルでのCBSのSDS-PAGE単離およびポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜へのウェスタンブロッティングの後に、この膜を、ウサギポリクローナル抗hCBS抗体、続いて、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合体化した二次抗ウサギ抗体でプローブし、そのバンドを、SuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce cat# 34077)で可視化した。
図1cは、5mg/kg 体重のME020MA-もしくはGL4-400MA-PEG化rhCBSΔCまたは非PEG化rhCBSΔCを、SQ経路でマウスに注射した実験の結果を示す棒グラフである。ME020MAは、ME020MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、GL4-400MAは、GL4-400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、rhCBSΔCは、非改変rhCBSΔC酵素を表す。各処置アームは、示された時点で、実施例2に記載されかつ
図1Aに示されるように、採血した5匹のマウスの2群からなった(合計30匹のマウス)。血漿を、放射活性アッセイを使用して、CBS活性に関して分析した。
【
図1-2】
図1は、rhCBSΔC PEG化後のインビボでの血漿酵素保持時間の増強に関する実験証拠を図示する。
図1は、rhCBSΔCおよびPEG化rhCBSΔCの1回の投与後の薬物動態プロフィールおよびインビボでのそれらの安定性に関する証拠を提供する。
図1aは、C57BL/6Jマウスに、5mg/kg 体重のヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)を腹腔内(IP)経路、血管内(IV)経路もしくは皮下(SQ)経路によって注射した実験の結果を示す棒グラフである。各々5匹のマウスの2つの実験群(1および2と表示される)を、各注射経路に使用した(合計n=30)。各注射経路につき、血液を、注射後0時間、1時間、8時間および24時間で群1から集め、注射後1時間、4時間、10時間、および48時間で、群2から集めた。血漿を、放射活性アッセイ(実施例1に記載されるとおり)を使用して、CBS活性について分析した。
図1bは、循環からのCBSクリアランスを追跡する、
図1aに記載されるとおりの各群の2匹の代表的マウスに由来する血漿中のCBSのウェスタンブロット分析の結果の写真である。12% ゲルでのCBSのSDS-PAGE単離およびポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜へのウェスタンブロッティングの後に、この膜を、ウサギポリクローナル抗hCBS抗体、続いて、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合体化した二次抗ウサギ抗体でプローブし、そのバンドを、SuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce cat# 34077)で可視化した。
図1cは、5mg/kg 体重のME020MA-もしくはGL4-400MA-PEG化rhCBSΔCまたは非PEG化rhCBSΔCを、SQ経路でマウスに注射した実験の結果を示す棒グラフである。ME020MAは、ME020MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、GL4-400MAは、GL4-400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、rhCBSΔCは、非改変rhCBSΔC酵素を表す。各処置アームは、示された時点で、実施例2に記載されかつ
図1Aに示されるように、採血した5匹のマウスの2群からなった(合計30匹のマウス)。血漿を、放射活性アッセイを使用して、CBS活性に関して分析した。
【
図2】
図2は、CBS活性の安定なレベルが、反復SQ投与後に達成されることを示す棒グラフである。PEG化rhCBSΔCでの注射は、インビボでのCBS活性の増大を示したが、非PEG化rhCBSΔCでの注射はそうならなかった。GL4-400MAは、GL4-400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、rhCBSΔCは、非改変rhCBSΔC酵素を表す。C57BL/6Jマウスに、5mg/kg 体重の非PEG化rhCBSΔC(n=5)もしくはGL4-400MA rhCBSΔC(n=5)を0時間、24時間、48時間(矢印)で注射し、示された時点で採血した。血漿を、実施例1cに記載される放射活性得アッセイを使用して、CBS活性について分析した。
【
図3-1】
図3は、PEG化rhCBSΔCの1回の注射が、血漿中で、ホモシステインを減少させシスタチオニンを増大させるという実験証拠を図示する。
図3aは、rhCBSΔCのPEG改変が、活性化PEGの示されたタイプで改変されたrhCBSΔCの1回のSQ投与後に、CBS酵素活性の全身の存在を長期化することを示すグラフである。このグラフは、27匹のC57BL/6Jマウスを9つの実験群に分けた実験(n=3)の結果を示す。各実験群に、SQ経路によって、5mg/kg 体重の、示されたPEG分子でPEG化したrhCBSΔCを注射したか、または非PEG化酵素を注射した。ME020MAは、ME020MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、ME050GSは、ME050GSでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、ME200GSは、ME200GSでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、200MA0Bは、200MA0BでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、ME400MAは、ME400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、GL2400MAは、GL2400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、GL4400MAは、GL4400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、GL2800MAは、GL2800MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、rhCBSΔCは、非PEG化rhCBSΔC酵素を表す。血液サンプルを、示された時点で採取し、CBS酵素活性を、実施例1cに記載されるとおりの放射活性アッセイを使用して決定した。データは、標準偏差(STD)付きのヒストグラムとして、および散布図として示される。
【
図3-2】
図3は、PEG化rhCBSΔCの1回の注射が、血漿中で、ホモシステインを減少させシスタチオニンを増大させるという実験証拠を図示する。
図3bは、HOマウス血漿中のHcy、Cth、Cys、およびMetレベルにおける天然の日中変動を示す棒グラフである。その結果は、24時間サイクル全体を通じて示された時点で血液を採取した6匹のHOマウスの平均値である(ホモシスチン尿症のHOマウスモデルは、Macleanら、2010, Mol. Genet. Metab. 101: 153-62に記載されるとおり)。血漿アミノ酸レベルを、実施例1eに記載されるとおりの各時点につき、Stable-Isotope-Dilution Liquid Chromatography-Mass Spectrometryによって決定した。
図3cは、非PEG化酵素(レーン4)とともに電気泳動によって分離し、クーマシーブルーで染色したME-400MA(レーン1)、GL4-400MA(レーン2)もしくはME-200MA0B(レーン3)でPEG化したrhCBSΔCの電気泳動分析の結果の写真である(Mは、分子量標準を示す)。PEG化および非PEG化rhCBSΔCの各々に関する比活性(S.A.)は、表中に示される。
【
図3-3】
図3dおよび
図3eは、HOマウスに、示されたPEG分子でPEG化したrhCBSΔCを時間0で1回、SQ経路によって注射し、時間0(注射前)、注射から24時間後、48時間後および72時間後に採血した実験の結果を示す棒グラフである。上記群の各々(n=5~6)に関する血漿ホモシステイン(d)およびシスタチオニン(e)のレベルを示す。
図3Dおよび
図3Eに関して、ME-200MA0Bは、ME-200MA0BでPEG化したrhCBSΔC酵素を示し、ME-400MAは、ME-400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を示し、GL4-400MAは、GL4-400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を示す。
【
図4-1】
図4は、CBS処置の中止は、アミノ酸レベルが処置前のレベルに戻ることを許容し、PEG化rhCBSΔCの反復注射の再開は、ホモシステインおよびシスタチオニンの血漿レベルに対して有意に影響を及ぼし、正常のシステインレベルに回復するという実験証拠を図示する。6匹のHOマウスに、0日目、1日目、2日目、3日目および4日目に、GL4-400MA PEGでPEG化したrhCBSΔCを注射し、続いて、10日間の休薬期間、その後、14日目、15日目、16日目、17日目および18日目に(矢印で示される)に再度注射した。血漿サンプルを、以下の日に(常に注射前に)採取した:0日目、2日目、4日目、5日目、11日目、14日目、16日目、18日目、19日目、24日目および31日目。比較のために、同じ注射レジメンを、非PEG化酵素が注射される5匹のHOマウスにおいて行った。血漿代謝産物レベルを、実施例1eに記載されるように決定した。各個々のHOマウスに関して、
図4aは、ホモシステインの結果を示すグラフであり、
図4bは、シスタチオニン血漿濃度の結果を示すグラフである。
図4cは、この研究全体を通じて処置したHOマウスに由来する血漿中のホモシステインおよびシスタチオニンの平均濃度を示すグラフである。
図4dは、この研究全体を通じての、非PEG化rhCBSΔCと比較して(時間0のパーセンテージとして示される)、血漿ホモシステインレベルに対するPEG化rhCBSΔCの効果を示すグラフである。GL4-400MAは、GL4-400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、rhCBSΔCは、非改変rhCBSΔC酵素を表す。
図4eは、この研究全体を通じて、非PEG化rhCBSΔCと比較して、血漿システインレベルに対するPEG化rhCBSΔCの効果を示すグラフである。GL4-400MAは、GL4-400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、rhCBSΔCは、非改変rhCBSΔC酵素を表す。
【
図4-2】
図4は、CBS処置の中止は、アミノ酸レベルが処置前のレベルに戻ることを許容し、PEG化rhCBSΔCの反復注射の再開は、ホモシステインおよびシスタチオニンの血漿レベルに対して有意に影響を及ぼし、正常のシステインレベルに回復するという実験証拠を図示する。6匹のHOマウスに、0日目、1日目、2日目、3日目および4日目に、GL4-400MA PEGでPEG化したrhCBSΔCを注射し、続いて、10日間の休薬期間、その後、14日目、15日目、16日目、17日目および18日目に(矢印で示される)に再度注射した。血漿サンプルを、以下の日に(常に注射前に)採取した:0日目、2日目、4日目、5日目、11日目、14日目、16日目、18日目、19日目、24日目および31日目。比較のために、同じ注射レジメンを、非PEG化酵素が注射される5匹のHOマウスにおいて行った。血漿代謝産物レベルを、実施例1eに記載されるように決定した。各個々のHOマウスに関して、
図4aは、ホモシステインの結果を示すグラフであり、
図4bは、シスタチオニン血漿濃度の結果を示すグラフである。
図4cは、この研究全体を通じて処置したHOマウスに由来する血漿中のホモシステインおよびシスタチオニンの平均濃度を示すグラフである。
図4dは、この研究全体を通じての、非PEG化rhCBSΔCと比較して(時間0のパーセンテージとして示される)、血漿ホモシステインレベルに対するPEG化rhCBSΔCの効果を示すグラフである。GL4-400MAは、GL4-400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、rhCBSΔCは、非改変rhCBSΔC酵素を表す。
図4eは、この研究全体を通じて、非PEG化rhCBSΔCと比較して、血漿システインレベルに対するPEG化rhCBSΔCの効果を示すグラフである。GL4-400MAは、GL4-400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、rhCBSΔCは、非改変rhCBSΔC酵素を表す。
【
図4-3】
図4は、CBS処置の中止は、アミノ酸レベルが処置前のレベルに戻ることを許容し、PEG化rhCBSΔCの反復注射の再開は、ホモシステインおよびシスタチオニンの血漿レベルに対して有意に影響を及ぼし、正常のシステインレベルに回復するという実験証拠を図示する。6匹のHOマウスに、0日目、1日目、2日目、3日目および4日目に、GL4-400MA PEGでPEG化したrhCBSΔCを注射し、続いて、10日間の休薬期間、その後、14日目、15日目、16日目、17日目および18日目に(矢印で示される)に再度注射した。血漿サンプルを、以下の日に(常に注射前に)採取した:0日目、2日目、4日目、5日目、11日目、14日目、16日目、18日目、19日目、24日目および31日目。比較のために、同じ注射レジメンを、非PEG化酵素が注射される5匹のHOマウスにおいて行った。血漿代謝産物レベルを、実施例1eに記載されるように決定した。各個々のHOマウスに関して、
図4aは、ホモシステインの結果を示すグラフであり、
図4bは、シスタチオニン血漿濃度の結果を示すグラフである。
図4cは、この研究全体を通じて処置したHOマウスに由来する血漿中のホモシステインおよびシスタチオニンの平均濃度を示すグラフである。
図4dは、この研究全体を通じての、非PEG化rhCBSΔCと比較して(時間0のパーセンテージとして示される)、血漿ホモシステインレベルに対するPEG化rhCBSΔCの効果を示すグラフである。GL4-400MAは、GL4-400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、rhCBSΔCは、非改変rhCBSΔC酵素を表す。
図4eは、この研究全体を通じて、非PEG化rhCBSΔCと比較して、血漿システインレベルに対するPEG化rhCBSΔCの効果を示すグラフである。GL4-400MAは、GL4-400MAでPEG化したrhCBSΔC酵素を表し、rhCBSΔCは、非改変rhCBSΔC酵素を表す。
【
図5】
図5は、ヒト短縮型CBS調製物(rhCBSΔC)の凝集の程度の変動性を示す。
図5Aは、rhCBSΔCの種々のバッチ(112、13、7、27および28)でのクーマシーブルー染色した4-15%未変性ゲルである。rhCBSΔCのテトラマー形態(T)とrhCBSΔCのダイマー形態(D)との間の種々の比、および凝集したCBSのより高次の形態にも注意のこと。Mは、分子量マーカーを示す。
図5Bは、
図5A中でrhCBSΔCバッチ112および28に関して認められるバンドが、実際にCBS関連であることを示す、未変性ゲルのゲル中CBS活性アッセイである。繰り返すと、rhCBSΔCのテトラマー形態(T)とrhCBSΔCのダイマー形態(D)との間の種々の比、および凝集したCBSのより高次の形態に注意のこと。
図5Cは、PEG化後に形成される2つのPEG化種の間で(PEG化(+)レーンにおいて)種々の比を示す2つの異なるrhCBSΔCバッチのME-200MA0BでのPEG化(+)を示す一方で、非改変rhCBSΔCサブユニットのみが、PEG試薬が添加されなかった場合に(非PEG化(-)レーンに)存在するSDS PAGEゲル(12%)である。
【
図6A】
図6は、ヒトC15S変異体CBSがダイマーを形成するのみであることを示す。
図6Aは、ダイマー(D)およびテトラマー(T)、ならびにより高次のオリゴマー形態を形成する組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)とは対照的に、C15S変異体CBSが、ダイマーのみを形成することを示す未変性ゲルである。TCEP(還元剤)は、C15S変異体のオリゴマー状態に影響を及ぼさない。Mは、分子量マーカーを示す。
図6Bは、C15S変異体CBSの種々のバッチ(51、60および73)を示す未変性ゲルであり、これは、ヒトC15S変異体CBSが、PEGなし(-)およびME-200MA0BでのPEG化の後(+)のrhCBSΔCおよび組換えヒト二重短縮型(バッチRC-2-76;rhCBSΔCの残基2~39のさらなる欠失を有する構築物)とは対照的に、ダイマーのみを再現可能に形成することを実証する。C15Sもしくは二重短縮型構築物のいずれかのPEG化は、rhCBSΔCとは対照的に、PEG化バンド間での類似の比を有する均一かつ再現性のあるバンドを生じる。
図6Cは、変性SDS PAGEを使用する以外は
図6Bと同じである。C15Sは、組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)とは異なる再現性のあるPEG化パターンを生じる。これはまた、rhCBSΔCでの再現性のないPEG化パターンを示す
図5Cに匹敵する。
【
図6B】
図6は、ヒトC15S変異体CBSがダイマーを形成するのみであることを示す。
図6Aは、ダイマー(D)およびテトラマー(T)、ならびにより高次のオリゴマー形態を形成する組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)とは対照的に、C15S変異体CBSが、ダイマーのみを形成することを示す未変性ゲルである。TCEP(還元剤)は、C15S変異体のオリゴマー状態に影響を及ぼさない。Mは、分子量マーカーを示す。
図6Bは、C15S変異体CBSの種々のバッチ(51、60および73)を示す未変性ゲルであり、これは、ヒトC15S変異体CBSが、PEGなし(-)およびME-200MA0BでのPEG化の後(+)のrhCBSΔCおよび組換えヒト二重短縮型(バッチRC-2-76;rhCBSΔCの残基2~39のさらなる欠失を有する構築物)とは対照的に、ダイマーのみを再現可能に形成することを実証する。C15Sもしくは二重短縮型構築物のいずれかのPEG化は、rhCBSΔCとは対照的に、PEG化バンド間での類似の比を有する均一かつ再現性のあるバンドを生じる。
図6Cは、変性SDS PAGEを使用する以外は
図6Bと同じである。C15Sは、組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)とは異なる再現性のあるPEG化パターンを生じる。これはまた、rhCBSΔCでの再現性のないPEG化パターンを示す
図5Cに匹敵する。
【
図6C】
図6は、ヒトC15S変異体CBSがダイマーを形成するのみであることを示す。
図6Aは、ダイマー(D)およびテトラマー(T)、ならびにより高次のオリゴマー形態を形成する組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)とは対照的に、C15S変異体CBSが、ダイマーのみを形成することを示す未変性ゲルである。TCEP(還元剤)は、C15S変異体のオリゴマー状態に影響を及ぼさない。Mは、分子量マーカーを示す。
図6Bは、C15S変異体CBSの種々のバッチ(51、60および73)を示す未変性ゲルであり、これは、ヒトC15S変異体CBSが、PEGなし(-)およびME-200MA0BでのPEG化の後(+)のrhCBSΔCおよび組換えヒト二重短縮型(バッチRC-2-76;rhCBSΔCの残基2~39のさらなる欠失を有する構築物)とは対照的に、ダイマーのみを再現可能に形成することを実証する。C15Sもしくは二重短縮型構築物のいずれかのPEG化は、rhCBSΔCとは対照的に、PEG化バンド間での類似の比を有する均一かつ再現性のあるバンドを生じる。
図6Cは、変性SDS PAGEを使用する以外は
図6Bと同じである。C15Sは、組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)とは異なる再現性のあるPEG化パターンを生じる。これはまた、rhCBSΔCでの再現性のないPEG化パターンを示す
図5Cに匹敵する。
【
図7A】
図7は、rhCBSΔC(
図7A)およびC15S変異体(
図7B)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析を示す。
図7は、C15S変異体CBSがダイマーとしてのみ存在するというさらなる指摘を提供する。なぜならそれは、5つの種々の精製バッチから再現性のある1つのピークを生じるからである(
図7B)。
図7AにおけるrhCBSΔCの6つの種々のパターンおよび
図7BにおけるC15S CBSの1つのピークに注意のこと。
【
図7B】
図7は、rhCBSΔC(
図7A)およびC15S変異体(
図7B)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析を示す。
図7は、C15S変異体CBSがダイマーとしてのみ存在するというさらなる指摘を提供する。なぜならそれは、5つの種々の精製バッチから再現性のある1つのピークを生じるからである(
図7B)。
図7AにおけるrhCBSΔCの6つの種々のパターンおよび
図7BにおけるC15S CBSの1つのピークに注意のこと。
【
図8】
図8は、2匹のHOマウスでの20日間にわたるC15S変異体の連続投与が、血漿ホモシステインの有意なかつ持続した減少を生じることを示す。上記C15S変異体酵素を、ALZET(登録商標)ポンプを使用して投与して、反復皮下注射の代わりに、上記酵素をマウスに連続送達した。ALZET(登録商標)ポンプ、Model 1002(平均ポンプ流量0.21μl/時間(ストック濃度26.2mg/mLについて)、平均充填容積106.6μl。上記マウスを、示された時点で採血し、血漿の単離後、Hcyを質量分析によって測定した。
【
図9】
図9は、HOマウスに時間0で単一用量(7.5mg/kg)で、ME-200MA0BでPEG化した、rhCBSΔC、C15S変異体(C15S)および二重短縮型構築物(二重短縮型)を注射した実験の結果を示す棒グラフである。上記マウスを、時間0(注射前)、注射して24時間後、48時間後および72時間後に採血した。上記群の各々(n=5~6)の血漿ホモシステインのレベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
本明細書で提供されるのは、ヒトシスタチオニンβ-シンターゼ(CBS)の、具体的には、薬学的組成物に適した形態、およびホモシスチン尿症を有する個体を、例えば、酵素補充療法(ERT)によって処置するための方法である。
【0023】
ヒトCBSをコードする核酸配列およびそれによってコードされるアミノ酸配列は、GenBank Accession No. L19501を通じて入手可能であり、これら配列はまた、米国特許第5,523,225号(その全体において本明細書に参考として援用される)に開示されている。CBSのコード配列は、配列番号1として本明細書で表され、全長ヒトCBSのアミノ酸配列であり、551アミノ酸残基を有する配列番号2をコードする核酸配列である。CBSをコードするゲノムDNAの核酸配列はまた、配列データベース(例えば、GenBank)を通じて、Kraus Labの下のUniversity of Colorado-Denverウェブページで公的に入手可能である。
【0024】
本明細書で使用される場合、シスタチオニンβ-シンターゼタンパク質(CBSタンパク質)、特に、ヒトCBSタンパク質の単離された短縮型バージョンとしては、精製された短縮型CBSタンパク質、化学的に切断されかつ組換え生成された短縮型CBSタンパク質、および他のタンパク質と会合した単離されたCBSタンパク質が挙げられ得るが、これらに限定されない。より具体的には、単離されたタンパク質は、本発明によれば、その天然の環境から単離された(すなわち、ヒトによる操作に供された)タンパク質(ポリペプチドもしくはペプチドを含む)であり、例えば、精製タンパク質、部分精製タンパク質、組換え生成タンパク質、および合成により生成されたタンパク質を含み得る。よって、「単離された」とは、タンパク質が精製された程度を反映しない。本発明の単離された短縮型CBSタンパク質は、細胞(例えば、細菌細胞)において組換え生成され得る。さらに、および例示すると、「ヒト短縮型CBSタンパク質」とは、ヒト(Homo sapiens)に由来する短縮型CBSタンパク質(本明細書で示されるとおり)またはHomo sapiensに由来する天然に存在するCBSタンパク質の構造(例えば、配列)およびおそらく機能の知識から別の方法で生成されたCBSタンパク質をいう。言い換えると、ヒト短縮型CBSタンパク質は、本明細書で詳細に記載されるように、生物学的に活性な短縮型ヒトCBSタンパク質を含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「改変体」もしくは「変異体」は、天然に存在するタンパク質もしくはペプチド(すなわち、「プロトタイプ」もしくは「野生型」タンパク質)に対する変更によって、上記天然に存在するタンパク質もしくはペプチドとは異なるが、上記天然に存在する形態の基本的タンパク質および側鎖構造を維持するタンパク質もしくはペプチドをいうために使用される。このような変更としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:1個、2~3個、もしくはさらに数個のアミノ酸側鎖における変更;1個、2~3個、もしくは数個のアミノ酸における変更(例えば、15位のシステインをセリンに;C15S);1もしくは2~3個の原子の立体化学の変更;ならびに/または小さな誘導体化(メチル化、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、ミリストイル化、プレニル化、パルミトイル化(palmitation)、アミド化および/もしくはグリコシルホスファチジルイノシトールの付加が挙げられるが、これらに限定されない)。「改変体」もしくは「変異体」は、上記天然に存在するタンパク質もしくはペプチドと比較して、増強したか、低下したか、変化したか、もしくは本質的に類似の特性を有し得る。特定の実施形態において、本発明は、上記天然に存在するCBSタンパク質のC末端欠失を有する短縮型CBSタンパク質を提供する。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「ホモログ」もしくは「オルソログ」とは、先祖が共通しているタンパク質配列もしくはDNA配列をいい、異なる種において本質的に同じタンパク質もしくはDNA配列であり得る。ホモログおよびオルソログタンパク質および遺伝子は、しばしば、それぞれ、類似のアミノ酸およびヌクレオチド配列、または高い配列類似性を有する(例えば、相同なタンパク質は、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上のアミノ酸配列類似性を有し得る)。
【0027】
本発明に従うCBSのタンパク質発現レベルを測定するための方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:分離媒体(例えば、ゲル電気泳動)におけるタンパク質のクーマシーブルーもしくは銀染色、ウェスタンブロッティング、免疫細胞化学、他の免疫学ベースのアッセイ;タンパク質の特性に基づくアッセイ(酵素アッセイ、リガンド結合もしくは他のタンパク質パートナーとの相互作用が挙げられるが、これらに限定されない)。結合アッセイはまた、当該分野で周知である。例えば、BIAcore機器は、2つのタンパク質の間の複合体の結合定数を決定するために使用され得る。上記複合体の解離定数は、緩衝液がチップの上を通り過ぎる時間に対する屈折率の変化をモニターすることによって決定され得る。1つのタンパク質への別のタンパク質の結合を測定するための他の適切なアッセイは、例えば、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)のようなイムノアッセイ、または蛍光、UV吸収、円偏光二色性、もしくは核磁気共鳴(NMR)を通じて上記タンパク質の分光特性もしくは光学特性の変化をモニターすることによる結合の決定が挙げられる。
【0028】
ある種の局面において、CBS改変体は、本明細書または米国特許第7,485,307号および同第8,007,787号(両方とも、本明細書に参考として援用される)に記載される、N末端欠失もしくは改変(例えば、N末端残基2~39もしくは1~70の欠失)とC末端欠失もしくは改変(例えば、C末端残基383~551、397~551、414~551、442~551、489~551、497~551、524~551、534~551もしくは544~551の欠失)との任意の組み合わせを含み得る。別の実施形態において、さらなる改変は、野生型CBS配列に対して所定の%同一性を提供するために、他のアミノ酸残基の改変によって達成され得る。特定の実施形態において、C末端調節領域が除去されている本発明のヒトCBS改変体は、短縮型組換えヒトCBS(rhCBSΔC)ホモダイマー酵素(配列番号3)である。他の実施形態において、本発明のヒトCBS改変体は、アミノ酸15位のシステインがセリンに変異した(C15S)rhCBSΔC(配列番号13)である。
【0029】
本発明の他の実施形態において、本明細書に記載されるCBS改変体のうちのいずれかは、N末端にわずか1もしくは2個の非CBSアミノ酸残基を有する(すなわち、上記改変体は、天然に存在するヒトシスタチオニンβ-シンターゼアミノ酸配列の残基でない、N末端にわずか1もしくは2個のアミノ酸残基をその位置に含む)。このような改変体は、例えば、以下に記載される組換えCBS生成のための新規な方法を使用して生成され得る。
【0030】
さらなる実施形態において、本発明の上記のCBS改変体のうちのいずれか(任意の短縮型CBSタンパク質を含む)は、配列番号2によって示される野生型アミノ酸配列に対して少なくとも約50%同一、もしくは少なくとも約55%同一、もしくは少なくとも約60%同一、もしくは少なくとも約65%同一、もしくは少なくとも約70%同一、もしくは少なくとも約75%同一、もしくは少なくとも約80%同一、もしくは少なくとも約85%同一、もしくは少なくとも約90%同一、もしくは少なくとも約95%同一、もしくは少なくとも約96%同一、もしくは少なくとも約97%同一、もしくは少なくとも約98%同一、もしくは少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列、またはその生物学的に活性な短縮物を含む;特に、非ヘム結合もしくは非S-アデノシルメチオニン(AdoMet)結合を含み、ここで上記改変体は、触媒活性のままである(例えば、ここでCBSのある種の短縮型形態は、AdoMetの存在下で全長CBSよりさらに活性であり得る)。特定の実施形態において、本発明のヒトCBS改変体は、そのC末端調節領域が除去されている短縮型組換えヒトCBS(rhCBSΔC)ホモダイマー酵素である(配列番号3)。他の実施形態において、本発明のヒトCBS改変体は、アミノ酸15位のシステインがセリンに変異した短縮型組換えヒトCBS酵素である(配列番号13)。
【0031】
ある種の実施形態において、本発明のCBSタンパク質は、配列番号2と100%未満同一であるアミノ酸配列、特に、米国特許第8,007,787号に示されるとおりの短縮改変体のアミノ酸配列を有するその短縮型実施形態、ならびに特に、本明細書に示される配列番号3および配列番号13であるアミノ酸配列を含み、具体的実施形態において、米国特許第8,007,787号に示されるとおりの短縮改変体、ならびに特に、本明細書に示される配列番号3および配列番号13を刻んで、99%未満の配列同一性、98%未満の配列同一性、97%未満の配列同一性、96%未満の配列同一性、95%未満の配列同一性、94%未満の配列同一性、93%未満の配列同一性、92%未満の配列同一性、91%未満の配列同一性、90%未満の配列同一性などを有するアミノ酸配列を含む。
【0032】
本明細書で使用される場合、別段特定されなければ、パーセント(%)同一性への言及は、以下が挙げられるが、これらに限定されない配列アラインメントツールもしくはプログラムを使用して行われる相同性の評価をいう:(1)アミノ酸検索のためのblastpおよび核酸検索のためのblastnと、標準的なデフォルトパラメーター(ここでクエリー配列がデフォルトによって低複雑性領域についてフィルタに掛けられる)を使用する、BLAST 2.0 Basic BLAST相同性検索;(2)BLAST 2アラインメント(以下に記載されるパラメーターを使用する);(3)および/もしくは標準的なデフォルトパラメーターを使用するPSI-BLAST(Position-Specific Iterated BLAST)。BLAST 2.0 Basic BLASTとBLAST 2との間の標準的パラメーターにおけるいくらかの差異に起因して、2つの特定の配列が、BLAST 2プログラムを使用して有意な相同性を有すると認識され得るのに対して、クエリー配列としての配列のうちの1つを使用してBLAST
2.0 Basic BLASTで行われる検索は、最上位の適合において2番目の配列を同定しない可能性があることが注意される。さらに、PSI-BLASTは、「プロフィール」検索の自動化された使いやすいバージョンを提供し、これは、配列ホモログを探すために感度の高い方法である。上記プログラムは、ギャップ付きのBLASTデータベース検索を最初に行う。上記PSI-BLASTプログラムは、位置特異的スコアマトリクス(これは、データベース検索の次の回のためにクエリー配列を置換する)を構築するために戻される任意の重要なアラインメントからの情報を使用する。従って、%同一性がこれらプログラムのうちのいずれかを使用することによって決定され得ることは、理解されるべきである。
【0033】
CBS誘導体は、本発明の範囲に含まれる。このような誘導体は、CBSポリペプチドがポリマーに連結されている、化学的に改変されたCBSポリペプチド組成物である。選択されるポリマーは、代表的には、これが結合される上記タンパク質が水性環境において沈殿せず、上記CBS酵素が生物学的流体(例えば、生理学的環境)の中で生物学的に活性であるように、水溶性である。上記ポリマーは、任意の分子量のものであってよく、分枝状であっても非分枝状であってもよい。CBSポリペプチドポリマーの範囲内に含まれるのは、ポリマーの混合物である。具体的実施形態において、最終製品調製物の治療的使用のために、上記ポリマーは、薬学的に受容可能である。
【0034】
上記水溶性ポリマーもしくはその混合物は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、デキストラン(例えば、低分子量デキストラン(例えば、約6kDaの))、セルロース、または他の炭水化物ベースのポリマー、ポリ-(N-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリサリチル酸、およびポリビニルアルコールからなる群より選択され得る。共有結合したCBSポリペプチドマルチマーを調製するために使用され得る二官能性PEG架橋分子もまた、本発明によって包含される。一実施形態において、上記ポリエチレングリコール分子は、非分枝状および分枝状のポリエチレングリコールから選択され、ここで上記ポリエチレングリコール分子は、2000ダルトン以上の分子量を有する。別の実施形態において、上記ポリエチレングリコール分子は、2~100kD、5~80kDもしくは10~40kDの範囲の分子量を有し得る。さらに別の実施形態において、上記ポリエチレングリコール分子は、ME-200MA0B、ME-020MA、ME-400MA、GL2-400MA、GL4-400MA、GL2-800MA、ME-050GS、ME-200GS、ME-200ALもしくはMEPA-20Tから選択される。
【0035】
特定の実施形態において、本発明は、短縮型組換えヒトCBS(rhCBSΔC)ホモダイマー酵素を提供し、ここでそのC末端調節領域は除去され(配列番号3)、本明細書で示される「PEG化種」を含め、ポリエチレングリコール(PEG)での共有結合によって化学的に改変されている。本発明の他の実施形態において、本発明のヒトCBS改変体は、短縮型組換えヒトCBS酵素であり、ここでアミノ酸15位のシステインは、セリンに変異しており(配列番号13)、本明細書で示される「PEG化種」を含め、ポリエチレングリコール(PEG)での共有結合によって化学的に改変されている。
【0036】
上記改変されたPEG化種を生成するために、上記PEG化反応において使用される種々のPEG試薬の具体的実施形態は、表1に同定される。
【0037】
【表1】
CBSポリペプチドのPEG化は、当該分野で公知のPEG化反応のうちのいずれかによって行われ得る。PEG化は、以下に記載されるように、反応性ポリエチレングリコール分子(もしくは類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応もしくはアルキル化反応によって行われ得る。アシル化反応に関しては、上記選択されるポリマーは、単一の反応性エステル基を有するべきである。還元的アルキル化に関しては、上記選択されるポリマーは、単一の反応性アルデヒド基を有するべきである。反応性アルデヒドは、例えば、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド(これは水中で安定である)、またはそのモノC
1-C
10アルコキシもしくはアリールオキシ誘導体である。一実施形態において、上記ポリエチレングリコール分子は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、アミン、およびモノアルデヒドからなるアルデヒド、モノ酸のモノエステル、モノアミン、モノチオール、モノジスルフィド、モノブロモフェニルカーボネート、モノクロロフェニルカーボネート、モノフルオロフェニルカーボネート、モノニトロフェニルカーボネート、モノカルボニルイミダゾール、モノヒドラジド、モノヨードアセトアミド、モノマレイミド、モノオルトピリジルジスルフィド、モノオキシム、モノフェニルグリオキサール、モノチアゾリジン-2-チオン、モノチオエステル、モノトリアジンならびにモノビニルスルホンから選択される結合基によってCBSに結合される。
【0038】
本明細書での使用のための1つの水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEGと略される)である。本明細書で使用される場合、ポリエチレングリコールは、他のタンパク質を誘導体化するために使用されてきたPEGの形態のうちのいずれか(例えば、モノ-(C1-C10)アルコキシ-もしくはアリールオキシ-ポリエチレングリコール)を包含することが意味される。
【0039】
一般に、化学的誘導体化は、生物学的に活性な物質と活性化ポリマー分子とを反応させるために使用される任意の適した条件下で行われ得る。PEG化CBSポリペプチドを調製するための方法は、一般に、(a)上記ポリペプチドとポリエチレングリコール(例えば、PEGの反応性エステル、アミン、アルデヒド、もしくはマレイミド誘導体)とを、CBSポリペプチドが1以上のPEG基と結合される条件下で反応させる工程、および(b)上記反応生成物を得る工程を包含する。一般に、上記アシル化反応に最適な反応条件は、公知のパラメーターおよび所望の結果に基づいて決定される。例えば、PEG:タンパク質の比が大きくなるほど、ポリ-PEG化生成物のパーセンテージが大きくなる。1つの特定の局面において、上記CBSポリペプチド誘導体は、アミノ末端において単一のPEG部分を有する。特定の実施形態において、本発明によって提供されるPEG化CBS酵素は、上記組成物中の各酵素サブユニットに共有結合された、平均約1~約10、より具体的には、2~約5、およびより具体的には、3~5のPEG分子を有する。
【0040】
本発明のタンパク質は、好ましくは、「実質的に純粋な」形態において回収、獲得、および/もしくは使用される。本明細書で使用される場合、「実質的に純粋」とは、本発明に従って、インビトロ、エキソビボもしくはインビボでの上記タンパク質の有効な使用を可能にする純度をいう。本発明に従うインビトロ、エキソビボもしくはインビボでの方法において有用なタンパク質に関しては、それは、本発明によって開示される方法におけるその使用を妨害し得るかもしくは妨害するか、またはそれが本発明によって開示される方法において使用される場合に、CBSタンパク質(ホモログを含む)とともに含めるのに少なくとも望ましくない、夾雑物、他のタンパク質および/もしくは化学物質を実質的に含まない。このような方法は、酵素反応(例えば、シスタチオニンの生成)、治療組成物の調製、治療組成物での投与、および全ての他の本明細書で開示される方法を含む。「実質的に純粋な」タンパク質は、本明細書で言及されるように、任意の方法によって(すなわち、天然供給源からの直接精製、組換えもしくは合成によって)生成され得、他のタンパク質成分から精製されたタンパク質であり、その結果、上記タンパク質は、所定の組成物中の全タンパク質のうちの重量あたり少なくとも約80% 重量を構成し(例えば、上記CBSタンパク質は、溶液/組成物/緩衝液中の上記タンパク質のうちの約80%である)、そしてより好ましくは、所定の組成物中の全タンパク質の重量あたり、少なくとも約85%、およびより好ましくは、少なくとも約90%、およびより好ましくは、少なくとも約91%、およびより好ましくは、少なくとも約92%、およびより好ましくは、少なくとも約93%、およびより好ましくは、少なくとも約94%、およびより好ましくは、少なくとも約95%、およびより好ましくは、少なくとも約96%、およびより好ましくは、少なくとも約97%、およびより好ましくは、少なくとも約98%、およびより好ましくは、少なくとも約99%の重量を構成する。組換え細菌において生成された上記CBSタンパク質もしくはその短縮型改変体の実施形態において、用語「精製された」もしくは「実質的に純粋な」は、リポポリサッカリドおよび他の発熱性化合物からの精製を包含することが理解される。
【0041】
組換えDNA技術の使用が、例えば、宿主細胞内での核酸分子のコピー数、それら核酸分子が転写される効率、その得られた転写物が翻訳される効率、および翻訳後修飾の効率を操作することによって、トランスフェクトされた核酸分子の発現の制御を改善し得ることは、当業者によって認識される。さらに、プロモーター配列は、天然のプロモーターと比較して、発現レベルを改善するために遺伝的に操作され得る。
【0042】
核酸分子の発現を制御するために有用な組み換え技術としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:1以上の宿主細胞染色体への核酸分子の組み込み、プラスミドへのベクター安定化配列の付加、転写制御シグナル(例えば、プロモーター、オペレーター、エンハンサー)の置換もしくは改変、翻訳制御シグナル(例えば、リボソーム結合部位、Shine-Dalgarno配列)の置換もしくは改変、宿主細胞のコドン使用法に対応するための核酸分子の改変、および転写物を不安定化する配列の欠失。
【0043】
さらなる局面において、本発明は、ヒトシスタチオニン-β-シンターゼを組換え生成および精製するための方法に関する。上記方法は、米国特許第8,007,787号および具体的には本明細書中の配列番号4に示されるとおりのヒトCBS酵素もしくはまたは短縮型もしくは変異型改変体をコードする核酸配列を発現ベクターへとクローニングする工程を包含する。ある種の実施形態において、上記ヒトCBSコード配列は、微生物(例えば、E.coli)における発現に最適化されたコドンを利用するように改変される。他の実施形態において、上記ベクターは、以下を含む:(a)融合パートナー(例えば、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、もしくはGST))を発現される予定の核酸配列に連結するクローニング部位、および(b)ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ(例えば、PreScissionプロテアーゼといわれる融合タンパク質としてGE Healthcareから入手可能)もしくは類似の切断部位を使用するプロテアーゼのための、上記組換え融合タンパク質の発現後に上記CBSタンパク質から融合パートナーを切断するための、プロテアーゼ切断認識部位。本発明の一部として、上記発現ベクターは、第1に、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼによって切断され得るCBS融合タンパク質の発現を生じるCBSコード核酸配列の特異的導入のために遺伝的に改変され、その結果、1つのみのさらなる非CBS、N末端アミノ酸残基を有するCBSタンパク質が、生成される。この結果は、市販のベクターにおける非改変マルチクローニング部位を使用しても可能ではない。上記CBSコード核酸配列は、遺伝的に改変されたベクターに導入され、その組換え融合タンパク質は、従来の方法もしくはCBS生成に適したもの(例えば、米国特許第5,635,375号(前出)を参照のこと)を使用して、発現および精製され、最終的に、その融合パートナーおよび非CBSアミノ酸残基のうちの1つを除く全てが上記CBSタンパク質から切断され、ヒト治療適用における使用に理想的な、高度に精製されたほぼ完全にヒト組変えCBSタンパク質を残す。特に有利な実施形態において、ヒトCBSタンパク質をコードするヌクレオチドは、これが組換えで作製される組換え細胞のコドン使用頻度へと操作される。このような実施形態の非限定的例は、CBSコード核酸がE.coliでの最適な組換え発現のために適合された、配列番号4として本明細書に示される。
【0044】
本発明のいくつかの局面は、本明細書で記載されるCBS改変体のうちのいずれかを含む、インビトロでシスタチオニンもしくはシステインを生成して、硫化水素をインビトロで除去もしくは生成するための、またはインビボでの治療的使用のための(例えば、ホモシスチン尿症およびこれに関する状態を処置もしくは予防するための)組成物を含む。従って、本発明の別の実施形態は、米国特許第8,007,787号に、および具体的には、本明細書に記載されるとおりの配列番号3もしくは配列番号13に示されるように、単離されたCBSタンパク質および特に、その短縮型改変体を含む組成物に関する。上記組成物は、代表的には、薬学的に受容可能なキャリアも含む。上記組成物およびそれらの成分は、本明細書に記載される発明のインビトロでのもしくは治療的な実施形態のうちのいずれかにおいて使用され得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「HO」マウスは、マウスcbs遺伝子が不活性化され、ヒトCBSプロモーターの制御下でヒトCBS導入遺伝子の低レベル発現を示す、古典的なホモシスチン尿症の新たなマウスモデルである。このマウスモデルは、Hcy、メチオニン、S-アデノシルメチオニン、およびS-アデノシルホモシステインの血漿レベルおよび組織レベル両方の重篤な上昇、ならびにシステインの血漿レベルおよび肝臓レベルの付随した低下を示す。Macleanら、2010 Mol. Genet. Metab. 101:153-62)を参照のこと。
【0046】
本発明の組成物は、シスタチオニンおよびシステインをインビトロで生成するために、またはCBS活性の増大に利益を受ける個体(例えば、ホモシスチン尿症を有する個体)を処置するために有用である。
【0047】
本発明によれば、「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的に受容可能な賦形剤および/もしくは薬学的に受容可能な送達ビヒクルを含み、これらは、適切なインビトロ、エキソビボもしくはインビボでの部位への、上記組成物の投与における使用に適している。適切なインビトロ、インビボもしくはエキソビボでの部位は、好ましくは、CBS活性を調節することが望ましい任意の部位である。薬学的に受容可能なキャリアは、本発明のタンパク質もしくは組換え核酸分子を、培養物もしくは個体の中の標的細胞もしくは組織に上記タンパク質もしくは組換え核酸分子が達したときに、上記タンパク質もしくは組換え核酸分子がその標的(例えば、CBSの基質)と相互作用し得る形態に維持し得る。
【0048】
本発明の適切な賦形剤は、輸送するかもしくは輸送を助けるが、組成物を細胞に特異的に標的化しない賦形剤もしくは処方を含む(非標的化キャリアとも本明細書でいわれる)。薬学的に受容可能な賦形剤の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:水、リン酸緩衝化食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液、血清含有溶液、ハンクス溶液、他の水性の生理的緩衝液、油、エステルおよびグリコール。水性キャリアは、例えば、化学的安定性および等張性を増強することによって、レシピエントの生理学的条件に近づけるために必要な適切な補助物質を含み得る。本発明の組成物は、従来の方法によって滅菌および/もしくは凍結乾燥され得る。
【0049】
薬学的に受容可能なキャリアの1つのタイプは、本発明の組成物を個体もしくは培養物へとゆっくりと放出し得る徐放性製剤を含む。本明細書で使用される場合、徐放性製剤は、徐放性ビヒクル中に本発明の化合物(例えば、タンパク質(ホモログを含む)、抗体、核酸分子、もしくは摸倣物)を含む。適切な徐放性ビヒクルとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:生体適合性ポリマー、他のポリマーマトリクス、カプセル、マイクロカプセル、微粒子、ボーラス調製物、浸透圧ポンプ(例えば、ALZET(登録商標)浸透圧ポンプ)、拡散デバイス、リポソーム、リポスフェア、および経皮送達システム。本発明の他のキャリアとしては、個体に投与した際に、固体もしくはゲルをその場で形成する液体が挙げられる。具体的実施形態において、キャリアはまた、生分解性(すなわち、生体分解性)である。上記化合物が組換え核酸分子である場合、適切なキャリアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:リポソーム、ウイルスベクターもしくは他のキャリア(リボザイム、金粒子、ポリ-L-リジン/DNA-分子結合体、および人工染色体が挙げられる)。天然脂質含有キャリアとしては、細胞および細胞膜が挙げられる。人工脂質含有キャリアとしては、リポソームおよびミセルが挙げられる。
【0050】
本発明のキャリアは、個体における特定の部位に標的化するために改変され得、それによって、その部位に本発明のタンパク質を標的化し利用し得る。標的化し得る薬学的に受容可能なキャリアはまた、本明細書で「送達ビヒクル」もしくは「標的化キャリア」といわれ得る。適切な改変としては、上記送達ビヒクルの脂質部分の化学式を操作することおよび/または好ましい部位もしくは標的部位(例えば、好ましい細胞タイプ)に送達ビヒクルを特異的に標的化し得る標的化薬剤をビヒクルへ導入することが挙げられる。「標的部位」とは、組成物の送達が望まれる個体における部位をいう。あるいは、上記薬学的に受容可能なキャリアは、動物に(好ましくは、ヒト)、血漿もしくは血清中に上記CBSタンパク質を送達するために適した薬剤を含み得る。適切な標的化化合物は、特定の部位において別の分子を選択的に(すなわち、特異的に)結合得るリガンドを含む。このようなリガンドの例としては、抗体、抗原、レセプターおよびレセプターリガンドが挙げられる。上記送達ビヒクルの脂質部分の化学式の操作は、上記送達ビヒクルの、細胞外もしくは細胞内への標的化を調節し得る。例えば、化学物質が、リポソームが、特定の電荷特性を有する特定の細胞と融合するように、上記リポソームの脂質二重層の電荷を変化させるリポソームの脂質式に付加され得る。具体的実施形態において、本発明のリポソームは、例えば、当業者に公知のタンパク質送達法において一般に使用されるそれらリポソームを含む。リポソームと本発明のタンパク質との複合体化は、当該分野で標準的な方法を使用して達成され得る。
【0051】
さらに別の局面において、本発明は、CBSの発現および/もしくは活性を調節することによって、生物学的プロセス(シスタチオニン生成を含む)を調節するための方法に関する。この実施形態は、一般に、CBSの発現および生物学的活性によって媒介されるかまたはこれらと関連するシスタチオニンの生成を調節する方法において有用な、米国特許第8,007,787号に、および具体的には本明細書で記載される配列番号3もしくは配列番号13に示されるとおりのCBS改変体、特に、その短縮型CBS改変体のうちの1以上を含む治療組成物の使用(例えば、投与)を含み得る。
【0052】
従って、一実施形態において、本発明の方法は、動物もしくはヒト個体におけるシスタチオニン生成を調節し、ここで上記個体は、シスタチオニン生成の調節に影響を受けやすい疾患(例えば、ホモシスチン尿症およびこれに関する状態/症状(例えば、水晶体偏位、骨格障害、精神遅滞ならびに早発の動脈硬化症および血栓症)から防御されるかもしくはこれらの処置がなされる。本明細書で使用される場合、語句「疾患から防御される」とは、上記疾患の症状を低減する;上記疾患の発生を減少させる、および/もしくは上記疾患の重症度を低減することをいう。個体の防御は、本発明の治療組成物が、個体に投与した場合に、疾患の症状、徴候もしくは原因を緩和することによって、上記疾患を発生しないようにするおよび/または上記疾患を治癒もしくは処置する能力に言及し得る。よって、個体を疾患から防御することは、疾患発生を防止する(予防的処置)、および疾患を有するか、または疾患の初期症状もしくは後期ステージの症状を経験している個体を処置する(治療的処置)の両方を含む。用語「疾患」とは、個体の通常の健康状態からの何らかの逸脱をいい、疾患症状が存在する場合の状態、および逸脱(例えば、非限定的な例においては、感染、遺伝子変異、および遺伝的欠陥などが挙げられる)が起こってしまっているが、症状がまだ発現していない(例えば、疾患前の状態)状態を含む。
【0053】
より具体的には、本明細書で記載されるとおりの治療組成物は、本発明の方法によって個体に投与される場合、好ましくは、上記疾患の緩和(例えば、上記疾患の少なくとも1つの症状もしくは臨床的発現の低減)、上記疾患の除去、原発性疾患の発生から生じる二次疾患の緩和、または上記疾患の予防を含み得る結果を生じる。さらなる局面において、上記治療組成物の投与は、哺乳動物における含硫置換基移動の下流代謝産物の蓄積の増大を含み得る結果を生じ得る。
【0054】
本発明によれば、有効な投与プロトコル(すなわち、有効な様式で治療組成物を投与すること)は、好ましくは、上記個体が、(例えば、疾患予防によって、または進行中の疾患の1以上の症状を緩和することによって)上記疾患から防御されるように、上記個体において所望の効果(例えば、上記個体におけるシスタチオニン-β-シンターゼの活性の増大、またはシスタチオニンを形成するための、セリンおよびホモシステインの縮合の増大)を生じる適切な用量パラメーターおよび投与様式を含む。有効な用量パラメーターは、特定の疾患について当該分野で標準的な方法を使用して決定され得る。このような方法としては、例えば、生存率の決定、副作用(すなわち、毒性)および疾患の進行もしくは退縮が挙げられる。
【0055】
本発明によれば、適切な単一用量サイズは、個体におけるシスタチオニンもしくはシステインの通常のタンパク質摂取もしくは形成で、個体に関してCBS活性の増大またはHcyレベルの制御、または適切な期間にわたって1回以上投与される場合、個体における状態の少なくとも1つの症状の改善を生じる用量である。用量は、処置されている疾患に依存して変動し得る。当業者は、個体のサイズおよび投与経路に基づいて、所定の個体に対して適切な単一用量サイズを容易に決定し得る。
【0056】
本発明のある種の実施形態において、本発明の治療組成物の適切な単一用量は、本発明の治療組成物を投与しなかった個体(すなわち、所定のコントロール個体もしくは測定値)と比較して、上記組成物の投与前の個体と比較して、または特定の疾患、個体タイプおよび組成物について確立された標準と比較して、任意の投与経路によって投与した場合、上記のようにCBS活性を増大させる量である。投与される治療組成物は、長期にわたって酵素として活性である。この期間は、好ましくは、24時間を超える。その化学的に改変された治療組成物は、24時間後に、上記投与された組成物の初期活性のうちの70%以上を保持する。より好ましくは、上記投与される治療組成物の酵素として有効な活性の期間は、48時間を超える。さらにより好ましくは、上記投与される治療組成物の有効な酵素活性の期間は、72時間を超える。ある種の実施形態において、上記治療組成物は、1日あたり数回(例えば、2回もしくは3回以上)、またはより低い頻度で投与され得る(1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回もしくはより低い頻度が挙げられるが、これらに限定されない)。他の実施形態において、上記治療組成物は、数日、数週間もしくは数ヶ月の過程にわたって連続して投与され得る。本発明の別の実施形態において、本発明の治療組成物の適切な用量は、ベタイン(例えば、CYSTADANE(登録商標))、かなり緩やかなタンパク質制限食(relaxed protein restricted diet)、抗凝固剤、もしくはスタチンとともに投与され得る。
【0057】
上記で考察されるように、本発明の治療組成物は、上記組成物を細胞、組織、および/もしくは全身へと、個体に送達するために有効な様式で個体に投与され、それによって所望の結果が、上記組成物の投与の結果として達成される。適切な投与プロトコルとしては、任意のインビボもしくはエキソビボでの投与プロトコルが挙げられる。好ましい投与経路は、予防もしくは処置される予定の状態のタイプ;上記組成物が核酸ベースであるか、タンパク質ベースであるか、もしくは細胞ベースであるかどうか;および/または標的細胞/組織に依存して、当業者に明らかである。タンパク質に関しては、インビボ投与の方法は、非経口投与を含み、具体的には、浸透圧ポンプ投与、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、節内投与(intranodal administration)、冠動脈内投与、動脈内投与(例えば、頚動脈へ)、皮下投与、関節内投与、脳室内投与(intraventricular administration)、および組織への直接注射が挙げられるが、これらに限定されない。送達経路の組み合わせが使用され得、いくらかの例においては、上記組成物の治療効果を増強し得る。
【0058】
上記の投与経路(静脈内、腹腔内、皮内、筋肉内投与または浸透圧ポンプを介するものを含む)の多くは、当該分野で標準的な方法を使用して行われ得る。
【0059】
局所投与の一方法は、直接注射による。直接注射技術は、手術によってアクセス可能な細胞もしくは組織、および特に、身体表面もしくはその付近に組成物を投与するために特に有用である。標的細胞の領域内に局所的に組成物を投与することは、上記組成物を、上記標的細胞もしくは組織から数センチメートルおよび好ましくは数ミリメートルで注射することをいう。
【0060】
局所投与の別の方法は、1以上の浸透圧ポンプ(例えば、ALZET(登録商標)浸透圧ポンプ)の使用による。上記ポンプは、長期間(例えば、数週間もしくは数ヶ月)にわたって薬物の一定の送達を可能にする。埋込型浸透圧ポンプは、手術によってアクセス可能な細胞、組織もしくは被験体、および特に、身体の表面もしくはその付近に組成物を投与するために特に有用である。被験体の標的細胞もしくは組織の領域内に局所的に組成物を投与することは、上記組成物を含む浸透圧ポンプを、上記標的細胞もしくは組織から数センチメートルおよび好ましくは、数ミリメートルで埋め込むことをいう。
【0061】
本発明の方法において、治療組成物は、脊椎動物綱、哺乳動物(霊長類、齧歯類、家畜および家庭内のペットが挙げられるが、これらに限定されない)の任意のメンバーに投与され得る。家畜としては、消費されるかまたは有用な製品を生成する動物(例えば、羊毛を作るためのヒツジ)が挙げられる。防御するのに好ましい個体としては、ヒトが挙げられる。
【0062】
本発明のいくつかの局面は、単離されたCBSポリペプチドもしくは非凝集CBS誘導体を作製するために本明細書で記載されるCBS改変体のうちのいずれかの使用を含む。
【0063】
本明細書で記載および/もしくは引用される各参考文献は、その全体において参考として援用される。 以下の実施例は、例示目的で提供されるのであって、本発明の範囲を限定するとは意図しない。
【実施例】
【0064】
(実施例1:細菌における短縮型CBSタンパク質の生成)
(a.細菌における短縮型CBSタンパク質の組換え発現)
非保存領域の特定の部分を欠いている短縮型ヒトCBS改変体(rhCBSΔC;配列番号3)を構築し、先に記載されたE.coliベースの発現系(Kozich and
Kraus, 1992, 前出)を使用して過剰発現させた。上記短縮型ヒトCBSタンパク質改変体rhCBSΔCをコードする構築物(rhCBSΔCをコードするDNAは、配列番号4に示される)を、pKK388.1にクローニングされたCBS全長コード配列(配列番号1)を含む先に記載されたpHCS3 CBS発現構築物(Kozich and Kraus, 1992, Hum. Mutat. 1:113-123)の改変によって生成した。C末端欠失構築物を生成するために、所望のヌクレオチド残基にわたるCBS cDNAフラグメントを、PCR生成物の5’末端および3’末端それぞれにSph IおよびKpn I部位を組みこんだプライマーを使用して増幅した。次いで、全てのPCR生成物をSph IおよびKpn Iで切断し、Sph IおよびKpn Iで消化したpHCS3ベクターへのライゲーションによってクローニングした。Sph I部位は、上記CBS cDNAに、アンチセンスプライマーハイブリダイゼーション部位の直ぐ上流(配列番号1と番号付けされているCBS cDNAによれば、塩基対位置1012)に天然に存在する。次いで、そのようにして生成されたPCR生成物をNco IおよびSph Iで消化し、同じ酵素で切断したpHCS3プラスミドに連結した。
【0065】
【化1】
最後に、上記構築物を、E.coli BL21(Stratagene)へと形質転換した。上記構築物の真正を、Thermo Sequenase Cy5.5配列決定キット(Amersham Pharmacia Biotech)およびVisible Genetics Long-Read Tower System-V3.1 DNAシーケンサーを使用するDNA配列決定によって、製造業者の説明書に従って検証した。
【0066】
CBS欠失変異体の細菌発現分析に関しては、CBS短縮型変異体構築物を有するE.coli BL21細胞の増殖、発現の誘発および粗製細胞溶解物の生成を、以前に記載されるように行った(Macleanら、2002, Hum. Mutat. 19:641-55)。
【0067】
代替の方法もまた使用して、pET28a(+)ベクターにおいて配列最適化した短縮型ヒトCBS酵素(rhCBSΔC;配列番号3)を作製した。全長(551 aa)ヒトCBSコード配列を、細菌発現のために最適化し、GenScript USA Inc.(NJ, USA)によってEcoRV制限酵素での消化後に、pUC57ベクターにクローニングした。次いで、上記CBS配列を、プライマーA1およびA2を使用するPCRによって増幅して、上記短縮型酵素(aa 1-413)をコードする配列を生成した:
【0068】
【化2】
次いで、上記PCR生成物を、制限酵素NcoIおよびXhoIで消化し、同じ酵素で消化したpET-28a(+)ベクター(EMD Millipore, Billerica, MAから市販されている)に連結した。pET-28a(+)の最適なNcoI部位へのクローニングは、CBS野生型配列(プロリンの代わりにアラニンをコードする)と比較して、G→C変異を生じる。よって、プライマーB1およびB2を利用する部位指向性変異誘発キット(Stratagene, CA, USA)を使用して、プロリンをコードする野生型配列を再生した:
【0069】
【化3】
同じストラテジーを使用して、以下のプライマーを使用してC15S変異体(T→A変異)を生成した:
【0070】
【化4】
最適化されたrhCBSΔCおよびC15S変異体ポリヌクレオチド構築物の両方の全配列を、配列決定することによって検証した。
【0071】
上記短縮型CBSの発現は、pET-28a(+)ベクターの中の上流T7プロモーターによって制御され、DE3細菌への形質転換およびIPTGによる誘発を要する。
【0072】
(b.配列最適化した短縮型ヒトCBS酵素の発現)
上記短縮型ヒトCBSをコードする配列を有するpET-28a(+)ベクターを、DE3細菌、すなわち、HMS174(DE3)もしくはBL-21(DE3)に形質転換し、カナマイシン耐性クローンを選択し、さらに使用するために、-80℃においてストックグリセロールとして維持した。
【0073】
ストックグリセロールからの細菌を、30μg/ml カナマイシンを含む5mlのLuria-Bertani(LB)培地中で、275RPMの回転振盪機上で37℃において一晩増殖させた。翌朝、1mlの一晩培養物を、30μg/ml カナマイシンを含む100ml Terrific Broth(TB)培地に添加し、上記のように一晩増殖させた。次いで、10mlの一晩培養物を、以下の補充物を含む1リットルのTB培地に添加した:
・0.001%のチアミン-HCl(pH8.0)
・0.0025%のピリドキシン-HCl(pH8.0)
・0.3mM δ-(アミノレブリン酸)(δ-ALA) pH8.0
・150μM 塩化第二鉄
・30μg/mlのカナマイシン 。
【0074】
上記1リットル培養物を、次いで、OD600が約0.6~0.7の値に達するまで30℃において275RPMの回転振盪機上で増殖させ、タンパク質発現を、1mM IPTGを添加することによって誘発した。発酵をさらに16時間継続した。次いで、細胞を、10分間、4℃での6000 RCF遠心分離によって回収し、氷冷0.9% NaClで洗浄し、上記のように再度遠心分離し、-80℃で凍結した。
【0075】
次いで、アリコート(ペレット1gあたり4.45mlの溶解緩衝液(20mM NaH2PO4、pH=7.2、40mM NaCl、0.1mM PLP))を、上記細胞ペレットに添加し、後者を、細胞の凝集物が見えなくなるまでDounceホモジナイザー中でホモジナイズした。次いで、上記ホモジネートを、リゾチーム(2mg/ml 最終)で処理し、1時間4℃において振盪プラットフォーム上でインキュベートし、超音波処理して粘性を下げ、53,000 RCFで遠心分離した。次いで、可溶性画分を含む上清を、-80℃で貯蔵した。
【0076】
発現レベルを、ゲル電気泳動、続いて、クーマシーゲル染色によって検証し、比活性を放射活性アッセイによって決定した。
【0077】
(c.CBSアッセイ)
CBS活性を、標識基質として[14C]セリンを使用する先に記載された放射性同位体アッセイによって決定した(Kraus, 1987, Methods Enzymol. 143,388-394)。タンパク質濃度を、ウシ血清アルブミン(BSA)を標準物質として使用して、Bradford法(Bradford, 1976, Anal. Biochem. 72, 248-254)によって決定した。活性の1単位は、1時間37℃で、1μmolのシスタチオニンの形成を触媒するCBSの量として定義される。
【0078】
(d.変性および未変性ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動およびウェスタンブロッティング)
変性条件および未変性条件両方の下でのCBSサンプルのウェスタンブロット分析を、以前に記載されたように行った(Majtanら、2010 J Biol Chem.
2010; 285(21):15866-73)。
【0079】
(e.血漿代謝産物の決定)
Stable-Isotope-Dilution Liquid Chromatography-Mass Spectrometry法を使用して、Allenら、19
93, Serum betaine N, N-dimethylglycine and N-methylglycine levels in individuals
with cobalamin and folate deficiency and related inborn errors of metabolism, Metabolism 42: 1448-1460に実質的に開示されるように、マウス
血漿中での含硫アミノ酸代謝化合物(sulfur amino acid metabolism compound)のレベルを測定した。
【0080】
(実施例2:インビボでの血漿保持時間は、rhCBSΔC PEG化の後に増強される)
血液循環中のrhCBSΔCの保持時間および活性を評価するために実験を行い、この実験でC57BL/6Jマウスに5mg/kg 体重のrhCBSΔCを、腹腔内(IP)、血管内(IV)もしくは皮下(SQ)経路によって注射した。過剰な採血を回避するために、各々5匹のマウスの2つの実験群(1および2と称する)を、各注射経路に使用した(合計n=30)。各注射経路に関して、群1から、注射して0時間後、1時間後、8時間後および24時間後に、ならびに群2から、注射して1時間後、4時間後、10時間後、および48時間後に血液を集めた。動物を、顎下採血のために、単回使用ランセットで出血させ、ゲル(Terumo Medical Corporation, NJ, USA)入りのCapiject T-MLHGヘパリンリチウム(12.5 IU)チューブの中に血液を集めた。次いで、チューブを1200Gで10分間、遠心分離し、続いて、1.5mlチューブに血漿を集め、-80℃で貯蔵した。
【0081】
血漿を、実施例1に示される放射活性アッセイを使用して、CBS活性について分析した。示された時点での注射した酵素のCBS酵素活性を、
図1aに示す。IPおよびIV経路に関しては、ピーク活性を注射して1時間後に記録したのに対して、SQ経路に関しては、活性は、SQ区画から循環への放出がよりゆっくりであることに起因して、注射して4時間後にピークに達した。興味深いことに、注射して8~10時間後、上記活性は、全ての注射経路に関して同等になり、注射して24~48時間後には、活性はほぼなかった。
【0082】
循環からのrhCBSΔCクリアランスが、上記で示されるようにインビボでの活性の迅速な喪失に寄与し得るかをモニターするために、上記の各群から2匹の代表的マウスの血漿タンパク質を、電気泳動によって分離し、PVDF膜に転写し、抗ヒトCBS抗体と反応させて、循環からのCBSクリアランスを追跡した。
図1bに示されるように、循環からのrhCBSΔCの漸進的なクリアランスは、注射後の時間の関数として起こり、注射後24時間との早期に酵素は検出されなくなった。よって、rhCBSΔCのクリアランスは、インビボでの活性の観察された迅速な喪失に寄与する。
【0083】
rhCBSΔCの保持時間を長くするために、ポリエチレングリコール(PEG)分子(PEG化)によって、ME-020MAもしくはGL4-400MA PEGで酵素を改変した。活性化PEG誘導体を、NOF Corporation(Tokyo, Japan)から購入した。PEG化を、製造業者の説明書に従って行った。例えば、CBS(5mg/ml)のSH基へのPEGマレイミド誘導体のカップリングを、100mM
リン酸緩衝液 pH=6中で一晩、4℃において行った。PEG分子 対 CBSタンパク質のモル比は、活性化PEG誘導体に依存して、10:1もしくは5:1であった。
【0084】
PEG化rhCBSΔCの活性を評価するために、C57BL/6Jマウスに、5mg/kg 体重のME020MA-もしくはGL4-400MA-PEG化rhCBSΔC、または非PEG化rhCBSΔCを、SQ経路によって注射した。各処置アームは、5匹のマウスの2群(合計30匹のマウス)からなり、上記に記載されるように採血した。血漿を、実施例1に示される放射活性アッセイを使用して、CBS活性について分析した。注射して24時間後および48時間後に、PEG化酵素の2つの形態について有意な活性を検出し、GL4-400MA PEG化rhCBSΔC活性は、
図1cに示されるように、24時間でピークに達した。このことは、これら同じ時点で低いかもしくは活性なしを示す非PEG化rhCBSΔCとは際だって対照的であった。これら結果は、rhCBSΔC酵素のPEG化がインビトロおよびインビボの両方でその活性を長期化するにあたって有効であることを示した。
【0085】
(実施例3:PEG化rhCBSΔCでの反復注射レジメンは、CBS活性の蓄積をインビボで示したが、非PEG化rhCBSΔCでのレジメンは示さなかった)
循環からのタンパク質の迅速なクリアランス速度は、より高い血漿濃度を維持するために、注射の回数を増やすことによって回避され得る。よって、反復注射レジメンを、非PEG化rhCBSΔCおよびPEG化rhCBSΔCの両方で試験した。C57BL/6Jマウスに、5mg/kg 体重の非PEG化rhCBSΔC(n=5)もしくはGL4-400MA rhCBSΔC(n=5)を0時間、24時間、48時間で注射し(
図2の矢印)、示された時点で採血した。血漿を、実施例1に示される放射活性アッセイを使用して、CBS活性について分析した。
図2に示されるように、非PEG化酵素の反復注射は、循環において酵素活性の蓄積をもたらさず、各注射の24時間後には、ほぼ活性を生じなかった。対照的に、PEG化酵素の活性は、2回の注射の後にピークに達し、プラトーに達した。
【0086】
(実施例4:PEG化rhCBSΔCの単回注射は、血漿中で、ホモシステインを低下させ、シスタチオニンを増大させた)
先の実施例を、野生型マウスにおいで行い、注射したrhCBSΔCのクリアランスおよび活性の特徴付け、ならびにPEG化酵素と非PEG化酵素との間の比較に焦点を当てた。PEG化が循環時間を長期化することをいったん確立した後、PEG化CBS酵素分子の種々のレパートリーを、野生型マウスにおいてまず試験し、次いで、ホモシスチン尿症のマウスモデルにおいて評価した。
【0087】
種々のPEG分子で改変したrhCBSΔC酵素のレパートリーを、最良のPEG化ストラテジーを決定するために、野生型マウスにおいて試験した。27匹のC57BL/6Jマウスを、9つの実験群(n=3)に分けた。各実験群に、SQ経路によって、5mg/kg 体重の、
図3に示されるPEG分子でPEG化したrhCBSΔCを注射したか、または非PEG化酵素を注射した。血液サンプルを、
図3に示された時点で採取し、PEG化rhCBSΔC活性を、実施例1に示される放射活性アッセイを使用して決定した。データは、
図3Aにおいて、標準偏差(STD)付きのヒストグラム、および散布図として示される。一般に、より高分子量のPEG(GL2800MAは80kDa;ME-400MAおよびGL2-400MAは40kDa;ならびにME200-MA0Bは20kDa)でのPEG化は、20kDa未満のサイズであった分子でのPEG化後に観察されたものより大きな曝露をもたらし、システイン残基(マレイミド反応基の使用を示すために「MA」によって示される)を標的化した化学を使用するPEG化が、一般に、他の化学を利用するPEG化後に観察されたものより大きな曝露をもたらす。
【0088】
HOマウスに対する研究に進む前に、これらマウスにおけるホモシステイン、シスタチオニン、システインおよびメチオニンの毎日の変動を、これら動物におけるこれらアミノ酸の日内変動を決定するためにアッセイした。よって、6匹のHOマウスからの血液を、24時間サイクル全体を通じて
図3Bに示された時点で採血し、各示された時点について血漿代謝産物レベルを決定した。
図3Bに示されるように、シスタチオニンおよびシステインのレベルは、24時間サイクルを通してほとんど一定であった。ホモシステインおよびメチオニンレベルは、朝7:00から午前遅く~午後早くまで低下する傾向にあった。これは、夜に摂食し、含硫置換基移動経路を介するホモシステイン代謝の能力を欠いている動物に関して一貫していた。よって、全ての注射および採血を、Hcyレベルが最低であった15:00(3PM)に行って、処置によって、Hcyおよび他の代謝産物のさらなる低下が生じたか否かを決定した。
【0089】
PEG化rhCBSΔCの分子量および比活性(S.A.)は、特徴付けの中心的な特性である。ME-400MA(レーン1,
図3C)、GL4-400MA(レーン2)もしくはME-200MA0B(レーン3)でのPEG化後に、上記生成物を、12% SDS-PAGEゲルでの電気泳動によって分離し、非PEG化酵素(レーン4)と比較した。得られたゲルを、クーマシーブルーで染色した。上記PEG化および非PEG化rhCBSΔCの各々のS.A.(U/mg)を、表添付の
図3Cに示す。示されるように、PEG化は、S.A.値に有意な影響は有さず、上記酵素は、PEG化前と同程度に活性なままであった。見かけ上の分子量によれば、この実験で使用される条件下でのrhCBSΔCのPEG化は、ジPEG化およびトリPEG化したrhCBSΔCを生じた。
【0090】
本明細書で記載される実験の全体の目的は、投与されるPEG化rhCBSΔCの薬力学的パラメーターを評価することであった。CBS欠損ホモシスチン尿症の動物モデルにおいて、血漿ホモシステインの低下および血漿シスタチオニンの増大に特別な重きがおかれた。通常のマウス飼料を与えたHOマウスを、酵素補充療法(ERT)のこのタイプを試験するためのモデル系として選択した。HOマウスに、時間0で、PEG分子(GL4-400MA、ME-400MA、ME-200MA0B)でPEG化したrhCBSΔCを1回注射し、時間0(注射前)、24時間、48時間および72時間で採血した。上記群の各々(n=5~6)に関する血漿ホモシステインのレベル(
図3D)およびシスタチオニンのレベル(
図3E)を、示す。
図3Dに示されるように、ホモシステインレベルは、使用される各PEG化形態に対して有意に低下し、シスタチオニンレベル(
図3E)は、時間0と比較して、約6~7倍増大した。従って、PEG化rhCBSΔCの投与は、インビボでホモシステインおよびシスタチオニンレベルに有意かつ正の影響を与えることが見出された。
【0091】
(実施例5:PEG化rhCBSΔCの反復注射は、ホモシステインおよびシスタチオニン血漿レベルに有意に影響を及ぼし、正常システインレベルを回復させる)
非PEG化およびPEG化rhCBSΔCを、ホモシステインを下げ、かつ低レベルのホモシステインを維持し、ならびにシスタチオニンおよびシステインレベルを増大させる能力について比較する、休薬期間を有する反復注射レジメンを、以下のように行った。6匹のHOマウスに、0日目、1日目、2日目、3日目および4日目に、GL4-400MA PEGでPEG化したrhCBSΔCを注射し(矢印,
図4)、続いて、10日間の休薬期間を設け、次いで、14日目、15日目、16日目、17日目および18日目に、再び注射した。血漿サンプルを、
図4に示された時点で(常に注射の前に)採取した。比較のために、同じ注射レジメンを、非PEG化酵素を注射した5匹のHOマウスにも行った。血漿代謝産物のレベルを、実施例1eに記載されるように、Stable-Isotope-Dilution Liquid Chromatography-Mass
Spectrometryによって決定した。各マウスに関するホモシステイン(
図4aに示される結果)およびシスタチオニン(
図4b)の血漿濃度が示される。各実験群に関するホモシステインおよびシスタチオニンの平均値もまた、示される(
図4c中)。
図4a~4cに示されるように、平均ホモシステイン濃度は、48時間で182μMから38μMへと低下し、週全体にわたって低いままであった。シスタチオニンは、時間0での最初の4.7μMから48時間で42μMの濃度に達し、第1週の間に高いままであった。休薬期間の間、代謝産物は、それらの初期値に戻った。その後のCBS注射は、ホモシステインレベルの鋭い低下およびシスタチオニンレベルの上昇を再びもたらした。その後、処置の中止は、再度、これらパラメーターの未処置レベルへの復帰を生じた。
【0092】
非PEG化rhCBSΔCと比較して、時間0でのパーセンテージとして
図4dに示されるように、血漿ホモシステインレベルに対するPEG化rhCBSΔCの効果もまた決定した。
図4dは、PEG化rhCBSΔCとは対照的に、非PEG化酵素が血液サンプルが注射して24時間以上後であった場合に、ホモシステイン濃度に対して明らかな効果を有しなかったことを図示する。これは、非PEG化酵素が、循環から迅速に一掃され、注射して24時間後および48時間後に有意な活性がなかったことを示す実施例2および3に示される結果と一致する。
【0093】
非PEG化rhCBSΔCと比較して、血漿システインレベルに対するPEG化rhCBSΔCの効果をまた、同じ実験法を使用して決定した。
図4Eに示されるように、システインレベルはPEG化酵素の注射期間の間に正常になった(時間0と比較して2倍)が、非PEG化酵素を使用してもシステインレベルの変化は何ら認められなかった。
【0094】
これら結果は、HOマウスにSQ投与したPEG化rhCBSΔC酵素が、ホモシステインおよびシスタチオニン濃度に対して有意に正の影響を及ぼし、同時に、システインレベルをそれらの正常値へと回復させることを示した。後者の実験結果は、細胞内含硫置換基移動経路がrhCBSΔCの投与後に活性化されたという指標である。
【0095】
(実施例6:ヒト短縮型CBS調製物(rhCBSΔC)の凝集の程度の変動性)
未変性PAGEゲル(4-15% すなわち、ドデシル硫酸ナトリウムのような変性剤の添加なし)を、rhCBSΔCの種々のバッチ(112、13、7、27および28)で行った。
図5Aに示した結果は、種々の調製物がテトラマー(T)およびダイマー(D)の種々の比、およびより高次の形態の凝集したCBSを有することを図示する。ゲル中のCBS活性(
図5B)は、4℃でのタンパク質サンプルに対する電気泳動を行うことによって、未変性ポリアクリルアミドゲルで(活性染色によって)決定した。次いで、上記ゲルを、活性染色溶液(表Aを参照のこと)中に沈め、37℃で約15分間インキュベートした。約15分後に、ロードした量に依存して、濃灰色のバンド(1-413 CBS種の約45kDaダイマー)が出現した。さらに長時間の後に;最大で1時間もしくは室温で一晩で、テトラマーが視認可能になった。このゲル中活性法で未変性ゲルを分析すると、
図5Bに例示されるように、
図5Aにおいてバッチ112および28で出現しているテトラマー(T)、ダイマー(D)、および他のより高次の凝集した形態のrhCBSΔCのバンドがCBS関連だったことが確認される。
【0096】
【表2】
バッチ28および112、ならびにそれらのPEG化生成物のSDS PAGE分析から、rhCBSΔCバッチのME-200MA0BでのPEG化は、PEG化後に形成される2つのPEG化バンド(P)の間で種々の比を示すことが示された(
図5Cを参照のこと)。従って、凝集を減らし、再現性を増大させる手段が求められた。
【0097】
(実施例7:ヒトC15S変異体CBSのみがダイマーを形成する)
システイン(rhCBSΔCの15位にある)はカップリングしないので、それは、凝集形成をもたらす考えられる因子と考えられた。従って、新たな組換えプラスミドを、rhCBSΔC変異体タンパク質(本明細書でC15Sといわれる)を生成するために調製した。rhCBSΔCを作製するために実施例1bで使用した同じストラテジーを、以下のプライマーを使用することによって、C15S変異体CBS酵素(T→Aヌクレオチド変異)を生成するために使用した:
【0098】
【化5】
C15S変異体CBS短縮型酵素のヌクレオチド配列全体(配列番号14)を、ヌクレオチド配列決定によって検証した。組換えヒトCBS短縮型のために実施例1で記載される同じ方法を、C15S変異体CBS酵素の発現および単離のために使用した。
【0099】
単離されたC15S CBS酵素の未変性PAGEは、ダイマー(D)およびテトラマー(T)、ならびにより高次のオリゴマー形態を形成した組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)について得られた結果とは異なって、C15S CBSがダイマーとしてのみ存在することを実証した(
図6Aを参照のこと)。C15S変異体CBSの複数のバッチ(51、60および73)および組換えヒト二重短縮型(バッチRC-2-76)は、それら両方が、上記組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)とは対照的に、ダイマーのみを形成することを実証した(
図6Bを参照のこと)。ME-200MA0BでのC15SのPEG化は、PEG化バンドの間で類似の比を有する均一なかつ再現性のあるバンドを生じた。変性SDS PAGEは、C15Sが組換えヒト二重短縮型(バッチRC-2-76)に類似して再現性のあるPEG化パターンを生じ、両方が組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)を使用して得られたパターンとは異なることを示した(
図6C)。これはまた、rhCBSΔCで再現性のないPEG化パターンを示す
図5Cに匹敵した。
【0100】
CBS調製物のHPLCサイズ排除クロマトグラフィーを行った。両方の組換えヒト短縮型CBS(rhCBSΔC)(
図7A)およびC15S変異体(
図7B)を、Yarra SEC-3000, 300×7.8mmサイズ排除カラム(Phenomenex, CA, USA)で分離した。上記カラムを較正し、100mM リン酸ナトリウム
pH=6.8中、流速1ml/分で室温において操作した。
図7は、rhCBSΔC(
図7A)およびC15S変異体(
図7B)のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析を示す。これら分析は、5つの異なるバッチから再現性のある単一ピークを与えたので、C15S変異体CBSがダイマーとしてのみ存在したという追加の証拠を提供する(
図7Bを参照のこと)。比較のために、
図7AにおけるrhCBSΔCの6つの異なるパターンおよび
図7BにおけるC15S変異体CBSの単一ピークに注目のこと。
【0101】
(実施例8:2匹のHOマウスにおいて20日間にわたるPEG化C15Sの連続投与は、血漿ホモシステインの減少を生じた)
ALZET(登録商標)浸透圧ポンプは、長期間にわたってC15S酵素の一定の制御された送達を可能にした。上記C15S CBS酵素を、ALZET(登録商標)ポンプ(Micro-osmotic ALZET(登録商標) Pump, Model 1002. Lot 10268-12)を使用して投与して、反復皮下注射の代わりに、C15S CBS酵素をマウスに連続送達した。これら実験において、平均ポンプ送達速度は、0.21μl/時であった;平均充填容積は、106.6μlであった;上記ポンプは、26.2μg/μlの濃度で約106μlのPEG化C15S CBS酵素が装填された。2匹のHOマウスでの20日間にわたるC15S CBSの連続投与は、血漿ホモシステインにおいて初期の有意なおよびその後持続した低下を生じた(
図8を参照のこと)。
【0102】
術前および術後の疼痛緩和のために、動物には、ALZET(登録商標)ポンプの埋め込み手術の前後48時間にわたって、ウォーターボトル中のTYLENOL(登録商標)(2mg/ml)を随意に与えられた。さらに、動物には、Carprofen 5mg/kgを、術後48時間にわたって、皮下に24時間ごとに与えられた。
【0103】
動物の麻酔および手術のために、イソフルランを吸入によって投与した。マウスを、5% イソフルランで誘導し、2~3%で維持した。マウスに麻酔がかかっている間に、彼らは各々、安全キャビネット(Biological Safety Cabinet)中で無菌条件下で埋め込まれた医療グレードのALZET(登録商標)浸透圧ポンプを受けた。ポンプを、頸部の腹側のたるんだ皮膚領域の皮下に埋め込んだ。上記ポンプを埋め込む前に、上記マウスを剃毛し、皮膚領域をBETADINE(登録商標)で準備した。ポンプ埋め込みには、小さな外科的切開(5mm)を滅菌した鋏で作り出すことが必要であった。その切開を、創傷クリップで閉じた。クリップを、皮膚が完全に治癒した場合に1週間後に外した。ポンプ埋め込み直前および
図8に示される時間で、血液サンプルをホモシステインレベルを測定するために採取した。その結果は、この投与様式が、ホモシステインレベルを、毎日のrhCBSΔC投与によって達成されるのと類似の様式で低下させることを示す。非PEG化C15S変異体CBSを使用して行った類似の実験から、Hcy血漿レベルの明らかな低下は生じなかった(結果は示さず)。
【0104】
(実施例9:3種のPEG化短縮型ヒトCBS酵素の比較)
図9は、HOマウスに、単一用量(7.5mg/kg)で、時間0で、ME-200MA0BでPEG化したrhCBSΔC、C15S変異体(C15S)および二重短縮型構築物(二重短縮型)を注射した実験の結果を示す棒グラフである。時間0(注射前に)、注射して24時間後、48時間後および72時間後でマウスから採血した。上記群(n=5~6)の各々の血漿ホモシステインのレベルを示す。結果は、3種の酵素形態全てが、Hcy血漿濃度の匹敵する低下をもたらすことを示す。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【表3-4】
本発明を詳細に、およびその具体的実施形態への参照によって記載してきたが、改変およびバリエーションは、添付の特許請求の範囲に定義される発明の範囲から逸脱することなく考えられることは、明らかである。より具体的には、本発明のいくつかの局面は、特に有利として本明細書で同定されるものの、本発明が、本発明のこれら特定の局面に必ずしも限定されないことは予期される。
【配列表】