(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】硬化性人工爪組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20241105BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20241105BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20241105BHJP
A61Q 3/02 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/55
A61K8/35
A61Q3/02
(21)【出願番号】P 2023144090
(22)【出願日】2023-09-06
【審査請求日】2024-03-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390039734
【氏名又は名称】株式会社サクラクレパス
(74)【代理人】
【識別番号】110004152
【氏名又は名称】弁理士法人お茶の水内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 拓昭
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-031651(JP,A)
【文献】特開2022-111991(JP,A)
【文献】特開2016-023144(JP,A)
【文献】特開2017-203023(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0328104(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0242011(US,A1)
【文献】Nesperta Lab,Poland,Extend Care 5in1 Nail Polish,Mintel GNPD [online],2022年09月,Internet<URL:https://portal.mintel.com>,ID#9944692,[検索日:2024.06.19], 表題部分,成分,商品説明
【文献】American International Industries, USA,Clear Nail Gel,Mintel GNPD [online],2023年05月,Internet<URL:https://portal.mintel.com>,ID#10789792,[検索日:2024.06.19], 表題部分,成分,商品説明
【文献】Red Carpet Manicure, USA,LED Nail Gel Polish,Mintel GNPD [online],2018年10月,Internet<URL:https://portal.mintel.com>,ID#6040651,[検索日:2024.06.19], 表題部分,成分,商品説明
【文献】Nail Alliance - Red Carpet Manicure, USA,Fortify & Protect LED Gel Polish with Vitamin A & Biotin,Mintel GNPD [online],2020年08月,Internet<URL:https://portal.mintel.com>,ID#8027185,[検索日:2024.06.19], 表題部分,成分
【文献】Alessandro International, Germany,Nail Polish,Mintel GNPD [online],2023年08月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#11075926, [検索日:2024.04.10], 表題部分,成分,商品説明
【文献】Depend Cosmetic, Sweden,UV/LED Gel Polish,Mintel GNPD [online],2023年08月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#11047244, [検索日:2024.04.10], 表題部分及び成分
【文献】Pacific World Corporation, USA,Gel Color,Mintel GNPD [online],2016年07月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#4133745, [検索日:2024.04.10], 表題部分及び成分
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A45D 8/00- 8/40
A45D 24/00-31/00
A45D 42/00-97/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(メタ)アクリレート化合物、及び、
(b)重合開始剤、
を含有する硬化性人工爪組成物であって、
前記(a)(メタ)アクリレート化合物が、
ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと脂環式モノ(メタ)アクリレートモノマーを含み、
前記ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリエステル骨格、アクリル骨格、ポリオレフィン骨格からなる群より選ばれる1種以上を有するものであり、
前記(b)重合開始剤が、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤と、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤又は過酸化物系重合開始剤を含み、
前記分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤が、式(1);
【化1】
(式(1)中、R
11は、
メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基である。
式(1)中、R
12は、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数3~12の脂環族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基、炭素数1~12のアルコキシ基又は炭素数6~20のアリールオキシ基である。
R
12は
、置換基を有していてもよい。)
で表される分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む、前記硬化性人工爪組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性人工爪組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
手や足の自爪に装飾を施したり、人工爪を接着してこれに装飾を施したりするネイルアートの人気が高まっている。また、外力による爪の割れ・剥がれを防止するための補強のために、爪の上に人工爪を形成することが行われている。
このような爪の装飾や補強のためには、いわゆるマニキュア、ペディキュア、スカルプチュアと呼ばれる樹脂含有の材料が爪に塗布されている。
【0003】
最近、爪の装飾又は補強のために使用される材料としては、ジェルネイルと呼ばれる光硬化性人工爪組成物が注目を集めている。ジェルネイルは、光硬化性のジェル状爪被覆材料(光硬化性人工爪組成物)であって、例えば、(メタ)アクリレート系オリゴマーと(メタ)アクリル系モノマーを含むものが知られている。ジェルネイルは、爪に塗布し、紫外線を照射して硬化することで、ラジカル重合反応により、架橋した高分子被膜を形成するため、爪から剥がれにくい強靱な被膜を形成できるとされている。
【0004】
硬化性人工爪組成物を用いて硬化塗膜を形成する際には、硬化性化合物の硬化(重合)に伴い硬化熱(重合熱)が発生し、硬化時上昇温度が高くなることが知られている。そして、硬化時上昇温度が高い場合には、使用者に熱感(熱痛み)、恐怖感、不快感を与えるおそれがあった。
このため、硬化性人工爪組成物の硬化性等の特性を維持しつつ、さらに硬化時上昇温度が低い硬化性人工爪組成物が望まれている。
【0005】
硬化性化合物の硬化(重合)に伴う硬化熱(重合熱)について検討している硬化性人工爪組成物としては、例えば以下のものが知られている。
特許文献1には、ウレタンアクリレートオリゴマーと、ヒドロキシエチルアクリルアミド及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートを少なくとも含むモノマー成分と、光重合開始剤と、ポリマー成分とを含有するオートネイル用ベースコート組成物が開示されている。この組成物は、硬化時の熱が、大中小の3段階で感応評価されているが、具体的な温度については不明である。
特許文献2には、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、多官能チオール化合物、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤及び連鎖移動剤を含有する光硬化性人工爪組成物が開示されている。この組成物は、硬化時上昇温度について、「感じる」、「僅かに感じる」、「熱痛みとして感じる」の3段階で感応評価されているが、具体的な温度については不明である。
特許文献3には、硬化時上昇温度が23℃以下であり、25℃での粘度が0.1Pa・s以上60.0Pa・s以下である硬化性人工爪組成物が開示されている。この硬化性人工爪組成物は、硬化塗膜の基材への密着性(爪への接着力)、密着持続性、硬化性、硬化塗膜の美感等の特性を有し、さらに硬化時上昇温度が低く塗布作業性に優れる硬化性人工爪組成物であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-80129号公報
【文献】特開2019-6689号公報
【文献】特開2022-167213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、(メタ)アクリレート化合物及び重合開始剤を含有する硬化性人工爪組成物について、特に、その構成成分について検討を進めた結果、重合開始剤として、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む重合開始剤を用いることで、硬化性に優れ、硬化時上昇温度が抑制された硬化性人工爪組成物を得ることができるとの知見を得た。
本発明が解決しようとする課題は、硬化性に優れ、硬化時上昇温度が抑制された硬化性人工爪組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の成分を含む重合開始剤を含有する硬化性人工爪組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には以下の通りである。
[項1]
(a)(メタ)アクリレート化合物、及び、
(b)重合開始剤、
を含有し、前記(b)重合開始剤が、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む、
硬化性人工爪組成物。
[項2]
前記分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤が、式(1);
【化1】
(式(1)中、R
11は、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数3~12の脂環族炭化水素基又は炭素数1~12のアルコキシ基である。
式(1)中、R
12は、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数3~12の脂環族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基、炭素数1~12のアルコキシ基又は炭素数6~20のアリールオキシ基である。
R
11及び/又はR
12は、それぞれ置換基を有していてもよい。)
で表される分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む、項1の硬化性人工爪組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、硬化性に優れ、硬化時上昇温度が抑制された硬化性人工爪組成物が提供される。
本発明の硬化性人工爪組成物が、硬化性に優れるとともに硬化時上昇温度を抑制できる機構等は不明であるが、本発明者は、次のように推察している。
光重合開始剤、特に紫外線重合開始剤は、重合開始剤中のベンゼン環で光(紫外光)を吸収することでラジカルを発生すると考えられる。これまで、硬化性人工爪組成物の重合開始剤としては、前記特許文献1~3の実施例に記載されるように、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド(TPO)が広く使用されてきた。TPOは、分子中にベンゼン環を3つ有する化合物であり、これにより、光(紫外光)の吸収効率が良好である。このため、硬化性人工爪組成物の硬化が大量のラジカルにより行われることとなり、重合熱が高くなり、硬化時上昇温度が高くなる。一方で、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤は、TPOと比較して、分子内のフェニル環が1つ又は2つ少ないため、光(紫外光)の吸収効率がTPOと比較して低下している。このため、硬化性人工爪組成物の硬化が適量のラジカルにより行われることとなり、硬化性人工爪組成物の硬化性を維持しつつ、重合熱を抑制することができ、硬化時上昇温度を抑制することができると推測される。なお、本発明は、この推察に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の硬化性人工爪組成物について説明する。本発明の硬化性人工爪組成物は、(a)(メタ)アクリレート化合物、及び、(b)重合開始剤、を含有し、前記(b)重合開始剤が、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む、硬化性人工爪組成物である。
【0011】
[(a)(メタ)アクリレート化合物]
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(a)(メタ)アクリレート化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ以上有し、光等のエネルギー線を照射することで硬化し得る化合物である。
(a)(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種以上を含んでいてもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレートオリゴマー」は、アクリレートオリゴマー及びメタクリレートオリゴマーを指し、「(メタ)アクリレートモノマー」は、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーを指す。
【0012】
<(メタ)アクリレートオリゴマー>
(メタ)アクリレートオリゴマーは、分子内に(メタ)アクリロイル基を1個以上有するとともに繰返し単位を複数有するオリゴマーであれば、特に制限されない。
(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、(i)主骨格(主鎖)にウレタン結合、エポキシ基の開環反応によって生じる結合、エステル結合、エーテル結合、ウレア結合、カーボネート結合、アミド結合からなる群より選ばれる1種以上を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、(ii)主骨格(主鎖)がスチレン系、(メタ)アクリル系、オレフィン系、ジエン系モノマーからなる群より選ばれる1種以上のモノマーの重合により分子鎖を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0013】
これらのうち、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(ウレタン結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エポキシ基の開環反応によって生じた分子鎖を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル(メタ)アクリレートオリゴマー(エステル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エーテル(メタ)アクリレートオリゴマー(エーテル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)等からなる群より選ばれる1種以上を用いると、密着性等の点で有利である。本発明においては、特にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく用いられる。
(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販品又は合成品のいずれを使用してもよい。また、本発明においては、硬化性人工爪組成物及び/又はその硬化塗膜の密着性や耐久性等の観点から、1種以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含んでいることが好ましい。
【0014】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応によりイソシアネート基又は水酸基含有ウレタンプレポリマーを形成し、イソシアネート基又は水酸基含有ウレタンプレポリマーに対し、分子内に活性水素含有基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等)又は分子内にイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させること等により合成できるが、この方法に限定されるものではない。本発明においては、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応によりイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを形成し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに対し、水酸基を含有する(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られるものが好ましい。
【0015】
ポリイソシアネート成分としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0016】
ポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、コ(ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシド)ジオール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールA、カプロラクタン変性ポリオール、カーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0017】
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0018】
ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、脂環族系ポリイソシアネート化合物とポリオールとを反応させて、分子中に1個以上のイソシアネート基を有するポリウレタンオリゴマーを得たのちに、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させることで得ることができる。ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの一分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は、1個以上であれば特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、2個以上であり、例えば10個以下、好ましくは8個以下である。
本発明において、(メタ)アクリロイル基の数は、赤外吸収分光法(IR)、核磁気共鳴法(NMR)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)等を用いて分析することによって確認できる。
【0019】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを硬化性人工爪組成物に使用すると、伸縮性、密着性、強度に優れる硬化塗膜を得ることができる。
本発明にて使用できる1種以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリエステル骨格、アクリル骨格、ポリオレフィン骨格からなる群より選ばれる1種以上を有するものから選択して使用できる。中でも、ポリエーテル骨格を有するポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又はポリカーボネート骨格を有するポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上が好ましい。
【0020】
例えば、ポリエーテル骨格の1種以上を有するポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオキシプロピレンポリオール等のポリオキシアルキレンポリオールと、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらのイソシアヌレート化物、ビューレット化物等のポリイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート基含有ポリエーテルウレタンプレポリマーに、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物により付加反応させて得ることができる。
【0021】
例えば、ポリカーボネート骨格の1種以上を有するポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと同様に、ポリカーボネートポリオールと、ポリイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート基含有ポリカーボネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物により付加反応させて得ることができる。
【0022】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、AH-600、AT-600、UA-306H、UF-8001G(共栄社化学社製)、RUA-071、RUA-003VE、RUA-075、RUA-048(亜細亜化学工業社製)、SUA TH1、SUA 2、SUA-16N(ケーエスエム社製)、UV-3310B(三菱ケミカル社製)、アートレジン UN-6303、UN-6304、UN-6305、UN-9000PEP、UN-9200A、UN-353、UN-333、UN-352(根上工業社製)、AU-2040(トクシキ社製)、KUA-PC2I(ケーエスエム社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
エポキシ基の開環反応によって生じた分子鎖を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、多官能エポキシ樹脂に対して、エポキシ基と反応する官能基を有する(メタ)アクリレートを反応させることによって合成できるが、この方法に限定されない。
市販品は、例えば、EBECRYL 1259、605、1606(ダイセル・サイテック社製)、EPOXY ESTER 3000A、3000MK、3002A(N)、3002M(N)、40EM(共栄社化学社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
エステル結合を有するエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールと多価カルボン酸との反応により得られたエステル系オリゴマーが有するカルボキシル基及び/又は水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び/又は(メタ)アクリル酸やカルボキシル基を有するアクリル化合物を付加することにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、アロニックス(登録商標)M-6100、M-6200、M-6250、M-6500、M-7100、M-7300K、M-8030、M-8060、M-8100、M-8530、M-8560、M-9050(東亞合成社製)や、UV-3500BA、UV3520TL、UV-3200B、UV-3000B(三菱ケミカル社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
エーテル結合を有するエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、脂肪族系のポリエーテルポリオールの水酸基や、ビスフェノール等を原料とする芳香族系のポリエーテルポリオールの水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(メタ)アクリル酸、及び、分子内にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等からなる群より選ばれる1種以上を付加させることにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、UV-6640B、UV-6100B、UV-3700B(三菱ケミカル社製)、ライトアクリレート(登録商標)3EG-A、4EG-A、9EG-A、14EG-A、PTMGA-250、BP-4EA、BP-4PA、BP-10EA、ライトエステル4EG、9EG、14EG(共栄社化学社製)、EBECRYL(登録商標)3700(ダイセル・サイテック社製)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
<(メタ)アクリレートモノマー>
(メタ)アクリレートモノマーは、前記(メタ)アクリレートオリゴマー以外の化合物であって、分子内に(メタ)アクリロイル基を1個以上有する化合物であれば、特に限定されない。一分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1個以上であり、例えば10個以下、好ましくは8個以下、より好ましくは6個以下である。
本発明においては、(メタ)アクリレートモノマーとして、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種以上を用いることができる。また、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種以上と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種以上との混合物を用いてもよい。
【0027】
(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物;アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジドデシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクタデシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基含有アミド化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸(メタ)アクリロイルオキシプロピル、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸(メタ)アクリル酸ヘキサン酸エチル、リン酸(メタ)アクリル酸プロパン酸ペンチル等のリン酸エステル系(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(2-イソブチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカン-2-イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレ-ト、N-(メタ)アクリルオキシスクシンイミド、N-(メタ)アクリルオキシフタルイミド等の複素環含有(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0028】
これらの(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル基含有(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート等の脂環式モノ(メタ)アクリレートモノマー;ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基含有アミド化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレートの含有量等の複素環含有(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0029】
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(イソピリデンジフェニルビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)等)、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル、カプロラクトン変性リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジ(メタ)アクリル酸ヘキサン酸エチル、リン酸ジ(メタ)アクリル酸プロパン酸ペンチル等のリン酸エステル系ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレートモノマー;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のトリ(メタ)アクリレートモノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートモノマー;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリアジントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の(メタ)アクリレート基を4個以上有する(メタ)アクリレートモノマー;等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0030】
これらの(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種以上を使用することが好ましい。
【0031】
<(a)(メタ)アクリレート化合物の構成及び含有量>
本発明の硬化性人工爪組成物において、(a)(メタ)アクリレート化合物の含有量は、特に限定されない。硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば30.0質量%以上、好ましくは50.0質量%以上、さらに好ましくは60.0質量%以上であり、例えば98.0質量%以下、好ましくは97.0質量%以下である。
【0032】
本発明においては、(a)(メタ)アクリレート化合物として、(メタ)アクリレートオリゴマーと(メタ)アクリレートモノマーの両者を含有していることが好ましい。
【0033】
(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば35.0質量%以上、好ましくは40.0質量%以上であり、例えば70.0質量%以下、好ましくは55.0質量%以下である。(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が35.0質量%未満である場合には、硬化性人工爪組成物の硬化性が低下し表面に未硬化物が残るおそれがあり、粘度が低くなりすぎて塗布性が低下するおそれがある。(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が70.0質量%を超える場合には、粘度が高くなりすぎて塗布性が低下するおそれがある。
【0034】
(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば5.0質量%以上、好ましくは10.0質量%以上であり、例えば60.0質量%以下、好ましくは50.0質量%以下である。(メタ)アクリレートモノマーの含有量が5.0質量%未満である場合には、硬化性人工爪組成物の硬化性が低下し表面に未硬化物が残るおそれがあり、粘度が高くなりすぎるおそれがある。(メタ)アクリレートモノマーの含有量が60.0質量%を超える場合には、硬化性人工爪組成物の硬化熱が高くなり硬化時上昇温度が高くなるおそれがあり、硬化塗膜がもろくなり割れやすくなるおそれがあり、粘度が低くなりすぎて塗布性が低下するおそれがある。
【0035】
[(b)重合開始剤]
本発明の硬化性人工爪組成物に含有される(b)重合開始剤は、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含むものであって、光(例えば、紫外線)や熱の照射等によりエネルギーが与えられることで、ラジカルを発生し、前記(a)(メタ)アクリレート化合物の重合を開始し得るものであれば、特に制限されない。
【0036】
<分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤>
分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤としては、例えば、下記式(A)で表される化合物の1種以上が挙げられる。
【化2】
(式(A)中、R
1は、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数3~12の脂環族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基である。分子中にR
1が2つある場合、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
式(A)中、R
2は、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数3~12の脂環族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基、炭素数1~12のアルコキシ基又は炭素数6~20のアリールオキシ基である。分子中にR
2が2つある場合、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
式(A)中、nは、1又は2である。
R
1及び/又はR
2は、それぞれ置換基を有していてもよい。)
【0037】
R1及びR2における炭素数1~12の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デカン基等が挙げられる。
R1及びR2における炭素数3~12の脂環族炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基等が挙げられる。
R1及びR2における炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフタレン基等が挙げられる。
R2における炭素数1~12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
R2における炭素数6~20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
R1及びR2が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホン酸基、アミノ基、カルボン酸エステル基等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0038】
分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤としては、下記式(1)で表される化合物の1種以上であることが好ましい。
【化3】
(式(1)中、R
11は、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数3~12の脂環族炭化水素基又は炭素数1~12のアルコキシ基である。
式(1)中、R
12は、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数3~12の脂環族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基、炭素数1~12のアルコキシ基又は炭素数6~20のアリールオキシ基である。
R
11及び/又はR
12は、それぞれ置換基を有していてもよい。)
【0039】
R11及びR12における炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数3~12の脂環族炭化水素基及び炭素数1~12のアルコキシ基としては、それぞれ、R1及びR2における炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数3~12の脂環族炭化水素基及び炭素数1~12のアルコキシ基として例示した基が挙げられる。
R12における炭素数6~20の芳香族炭化水素基及び炭素数6~20のアリールオキシ基としては、それぞれ、R2における炭素数6~20の芳香族炭化水素基及び炭素数6~20のアリールオキシ基として例示した基が挙げられる。
R11及びR12が有していてもよい置換基としては、R1及びR2が有していてもよい置換基として例示した基が挙げられる。
【0040】
式(1)で表される化合物としては、R11が炭素数1~12のアルコキシ基、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基であり、R12が置換基を有していてもよい炭素数6~10の芳香族炭化水素基、好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基である化合物が、好ましい。
【0041】
<分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤以外の重合開始剤>
本発明の硬化性人工爪組成物に含有される重合開始剤は、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤以外の重合開始剤を含んでいてもよい。
このような重合開始剤としては、例えば、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、アシッドエステル系、α-アミノアルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、チタノセン系、キノン系、過酸化物系、アゾ系、過硫酸塩系等からなる群より選ばれる1種以上の重合開始剤が挙げられる。また、分子内にフェニル環を3個以上有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤も、硬化時上昇温度を所望のものとすることができる範囲において用いることができる。これらのうち、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤を併用して用いることが好ましい。
【0042】
α-ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシメトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、1-(4-(フェニルチオ)-2,2-(O-ベンゾイルオキシム))1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0043】
アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤以外の重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル-オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド、フルオロチオキサントン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド、1,2-オクタンジオン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1,2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン、イソフタルフェノン、フェニルグリオキシ酸メチル、ブチルアントラキノンエチルアントラキノン、フェナントレンキノン、カンファーキノン、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジアセチルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジサクシニックアシッドパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキサイドパレレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、ジセチルパーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0044】
分子内にフェニル環を3個以上有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。特に、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド(OMNIRAD TPO)は、皮膚コンディショニング剤としても機能することから、本発明において好ましく用いることができる。
【0045】
本発明の硬化性人工爪組成物においては、硬化時に照射する紫外線波長領域(例えば、波長405nm付近及び365nm付近)において、効率的にラジカルを発生し重合を開始することができる重合開始剤を用いることが好ましく、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤と他の重合開始剤の混合物、特に、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤とα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤を併用することがより好ましい。また、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤に加えて、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤を含む重合開始剤を用いてもよく、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤及び過酸化物系重合開始剤を含む重合開始剤組成物を用いることもできる。
【0046】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(b)重合開始剤の含有量は、特に限定されない。例えば、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば15質量%以下、好ましくは10質量%以下であり、例えば2質量%以上、好ましくは4質量%以上である。重合開始剤の含有量が15質量%を超える場合、硬化性が低下するおそれがあり、また、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を15質量%以上含有させると、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜に黄ばみが生じるおそれがある。重合開始剤の含有量が2質量%未満である場合、重合熱が高くなり、硬化時上昇温度が高くなるおそれがある。
【0047】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(b)重合開始剤全量中の分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤の含有量は、特に限定されない。例えば100%(重合開始剤として、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤のみを使用)とすることができる。また、(b)重合開始剤全量中、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を、例えば100質量%未満、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは20質量%以下であり、例えば1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上とすることができる。
【0048】
[(c)その他成分]
本発明の硬化性人工爪組成物には、貯蔵安定性、硬化性、硬化塗膜の色調、硬化塗膜耐久性、硬化塗膜接着性、粘度、取扱性、塗布性等に悪影響を与えない範囲で、前記(a)及び(b)に加え、各種の成分を「(c)その他成分」として配合することができる。
(c)その他成分としては、例えば、前記(a)(メタ)アクリレート化合物以外のラジカル重合性化合物、樹脂、多官能チオール化合物、重合禁止剤、着色剤、ポリオール化合物、溶剤、香料、アルミナ等の沈降防止剤、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、第3級アミン等の重合促進剤、表面張力調整剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、低応力化剤、防腐剤、抗菌剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤、装飾用材料等の各種の添加剤からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0049】
<(a)(メタ)アクリレート化合物以外のラジカル重合性化合物>
(a)(メタ)アクリレート化合物以外のラジカル重合性化合物は、(メタ)アクリロイル基含有重合性化合物以外のラジカル重合性化合物であれば、特に限定されない。例えば、ビニル基含有化合物、アリル基含有化合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。具体的には、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、α-クロルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、N-ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アリルグリシジルエーテル、ビニル基含有オリゴマー、アリル基含有オリゴマー等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0050】
<樹脂>
樹脂は、重合性ではなく、ポリオール化合物でもない樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、オレフィン系樹脂、芳香族オレフィン系樹脂、芳香族炭化水素系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、コアシェルポリマー、グラフト系樹脂、ブロック系樹脂等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0051】
<多官能チオール化合物>
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(b)多官能チオール化合物は、分子内にチオール基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。(b)多官能チオール化合物は、硬化性人工爪組成物の連鎖移動剤、硬化性調整剤、架橋剤及び粘度調整剤として配合される。多官能チオール化合物を硬化性人工爪組成物に配合することで、硬化塗膜の表面における未硬化成分の残存を抑制することができる。
多官能チオール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エチレングリコール等のポリオール化合物の水酸基に、チオール基又は反応してチオール基になる基を有する化合物が反応して得られたもの等が挙げられる。例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス[2-(3-メルカプトブチリルオキシ)エチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,6-へキサンジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、デカンジチオール、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネレート、エチレングリコールビスチオグリコレート(EGTG)、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート(BDTG)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等の多官能チオール基含有モノマー等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、3官能又は4官能のチオール化合物が好ましく、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0052】
<重合禁止剤>
重合禁止剤としては、前記(a)(メタ)アクリレート化合物の重合を抑制し得る化合物であれば、特に制限されない。例えば、トコフェロール系化合物、キノン系化合物、フェノール系化合物、カテコール系化合物、オキシジフェニルアミン系化合物、ニトロソ系化合物、ニトロン系化合物、ニトリル系化合物、ヒドラジル系化合物、フェノチアジン系化合物等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらのうち、トコフェロール系化合物及び/又はキノン系化合物を用いることが好ましい。
【0053】
トコフェロール系化合物としては、例えば、トコール、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、η-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、酢酸-α-トコフェロール、酢酸-β-トコフェロール、酢酸-γ-トコフェロール、酢酸-δ-トコフェロール、コハク酸-α-トコフェロール、コハク酸-β-トコフェロール、コハク酸-γ-トコフェロール、コハク酸-δ-トコフェロール、α-トコフェロールグリシンエステル、β-トコフェロールグリシンエステル、γ-トコフェロールグリシンエステル、δ-トコフェロールグリシンエステル、酢酸-α-トコトリエノール、酢酸-β-トコトリエノール、酢酸-γ-トコトリエノール、酢酸-δ-トコトリエノール、コハク酸-α-トコトリエノール、コハク酸-β-トコトリエノール、コハク酸-γ-トコトリエノール、コハク酸-δ-トコトリエノール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。好ましくは、トコール、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、η-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、酢酸-α-トコフェロール、酢酸-β-トコフェロール、酢酸-γ-トコフェロール、酢酸-δ-トコフェロール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0054】
キノン系化合物としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1-o-2,3,5-トリメチロールハイドロキノン、2-tert-ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン、ベンゾキノン、p-ベンゾキノン、2,6-ジクロロ-p-ベンゾキノン、2,5-ジクロロ-p-ベンゾキノン等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0055】
フェノール系化合物としては、例えば、3,5-t-ジブチル-6-ヒドロキシトルエン等が挙げられる。
カテコール系化合物としては、例えば、カテコール、4-t-ブチルカテコール等が挙げられる。
オキシジフェニルアミン系化合物としては、例えば、2-オキシジフェニルアミン、その水酸基位置異性体、フェニル基置換体、アミノ基のアルキル置換体等が挙げられる。
ニトロソ系化合物としては、例えば、カルボニル化合物のα炭素にニトロソ基を有する化合物(メチル-α-ニトロソイソプロピルケトン等)、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミン化合物(N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等)等が挙げられる。
ニトロン系化合物としては、例えば、フェニル-t-ブチルニトロン等が挙げられる。
ニトリル系化合物としては、例えば、ニトリル基が共役している化合物(フルフリリデンマロノニトリル等)等が挙げられる。
ヒドラジル系化合物としては、例えば、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジルが好ましい。
フェノチアジン系化合物としては、例えば、フェノチアジン又は芳香環部分に1つ以上の置換基を有する化合物等が挙げられる。
【0056】
本発明の硬化性人工爪組成物において、重合禁止剤の含有量は、特に限定されない。例えば、硬化性人工爪組成物全量に対し、0質量%を超え1.0質量%以下とすることができる。好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上である。重合禁止剤の含有量が1.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜表面に未硬化成分が残存するおそれがあり、経時的に増粘して塗布性や取扱性等が低下するおそれがあり、重合禁止剤を含有していない場合には、貯蔵安定性が低下するおそれがある。
【0057】
<着色剤>
着色剤は、顔料、光輝材、染料からなる群より選ばれる1種以上が挙げられ、任意の量用いて、硬化性人工爪組成物に所望の色調を付与する。特に、爪用被覆材に使用されている無機顔料、光輝材、有機顔料及び染料からなる群より選ばれる1種以上であって、紫外線照射(光照射)等による硬化を大きく阻害しないものである。
硬化前の硬化性人工爪組成物には、顔料等のみではなく樹脂粒子や、公知の硬化性人工爪組成物に配合できる装飾用材料等を配合しておくことも可能である。
【0058】
着色剤としては、例えば、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号、黄色201号、黄色202号-(1)、黄色202号-(2)、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色4号、黄色401号、黄色402号、黄色403号-(1)、黄色404号、黄色405号、黄色406号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、赤色102号、赤色104号-(1)、赤色105号-(1)、赤色106号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号-(1)、赤色230号-(2)、赤色231号、赤色232号、赤色3号、赤色401号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、カーボンブラック、金属粉、金属フレーク、金属酸化物フレーク、ガラスフレーク等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0059】
本発明の硬化性人工爪組成物において、透明の硬化塗膜の形成・硬化塗膜の黄ばみ抑制のために、ブルーイング剤を配合することが好ましい。本発明において用いられるブルーイング剤としては、青色系着色剤と反応性希釈剤を含むものが好ましく用いられる。青色系着色剤としては、例えば、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号等からなる群より選ばれる1種以上を含む着色剤、好ましくは、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号等からなる群より選ばれる1種以上を含む着色剤が用いられる。反応性希釈剤としては、前記(a)(メタ)アクリレート化合物における(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
【0060】
<ポリオール化合物>
ポリオール化合物は、硬化性人工爪組成物の希釈剤、密着性向上剤としての機能を有している。ポリオール化合物としては、例えば、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フェノリックポリオール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。中でも、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールが好ましい。
アルキルポリオールとしては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0061】
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルポリオール、付加重合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。縮合型ポリエステルポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等からなる群より選ばれる1種以上のジオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等からなる群より選ばれる1種以上の有機多塩基酸との縮合反応によって得られ、分子量は100以上100,000以下が好ましい。付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンが挙げられ、分子量は100以上100,000以下が好ましい。ポリカーボネートポリオールはポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成され、分子量は100以上100,000以下が好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0062】
<溶剤>
溶剤は、希釈により塗布時の粘度を調整し得るものであれば、特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0063】
[硬化性人工爪組成物の粘度]
本発明の硬化性人工爪組成物は、25℃での粘度を、例えば0.1Pa・s以上60.0Pa・s以下とすることができる。好ましくは0.5Pa・s以上、より好ましくは0.7Pa・s以上であり、好ましくは50.0Pa・s以下、より好ましくは40.0Pa・s以下である。このような粘度範囲とすることで、筆やインクジェット等の塗布具による塗布作業性に優れる硬化性人工爪組成物にできる。
【0064】
[硬化性人工爪組成物の用途]
本発明の硬化性人工爪組成物は、いわゆる一般のマニキュアやペディキュアのように、爪の表面に被覆を行うための組成物である。
本発明の硬化性人工爪組成物は、特にジェルネイルとして好適に使用でき、例えば、使用者の爪に直接塗布されるベースコート層、該ベースコート層の上に塗布されるカラーコート層、さらにその上に塗布されるトップコート層のいずれの層の形成に用いることができる。例えば、所望の色調が付与されたカラーコート層、所望の色調が付与されたカラートップコート層、所望の色調が付与されていてもよいクリア系トップコート層、光輝材(金属粉、金属フレーク、金属酸化物フレーク、ガラスフレーク等)を含むラメ入りクリア系トップコート層等が挙げられる。本発明の硬化性人工爪組成物を塗布後、硬化前に小さな飾りや粉体等を、硬化性人工爪組成物の塗膜表面に付着させ、意匠性を高めることも可能である。
本発明の硬化性人工爪組成物は、硬化性に優れ、硬化時重合温度が抑制されており、さらに、硬化後少なくとも2週間という長期間、硬化塗膜の欠け、剥がれ及び下層や使用者の爪に対する浮きの発生が抑制されたものである。
【0065】
[硬化性人工爪組成物を用いた爪の被覆]
本発明の硬化性組成物を用いて被覆される爪は、人の手の爪と足の爪のいずれでもよく、犬や猫等の動物の爪でもよい。さらに、ネイルチップ(つけ爪)等の人工の爪であってもよい。
本発明の硬化性人工爪組成物を、爪又は爪に設けられた(未)硬化塗膜の上に塗布して被覆する際、塗布面にサンディングを施してもよく、施さなくてもよい。硬化性人工爪組成物の塗布方法は、特に限定されず、例えば、筆等の塗布具や、インクジェット等の塗布方法を用いることができる。
【0066】
本発明の硬化性人工爪組成物を用い、シートの少なくとも一方の面に、爪等の形状を有する未硬化の塗膜層を作製し、この層を爪表面と接触(転写)させた後に、シートを剥離するか又は剥離せずに、紫外線を照射して硬化させることもできる。
シート表面に予め硬化性人工爪組成物を用いて未硬化の塗膜層を設け、これを転写する方法によれば、筆等の塗布具を使用することなく、爪の表面に均一かつ正確な模様を被覆することが可能であり、使用後においても該塗布具を洗浄等する必要がない。
【0067】
塗布後の硬化性人工爪組成物の硬化手段については、硬化性人工爪組成物の硬化を生起させるエネルギーを付与し得る手段であれば、特に限定されない。例えば、光(紫外線(UV)等)、電子線、熱等のエネルギー線照射等が挙げられる。特に、紫外線(UV)照射による硬化は、比較的迅速に、簡便に行うことができることから、好ましく用いることができる。紫外線等の光を照射することで硬化させる際には、公知の紫外線硬化用の装置が用いられる。硬化性人工爪組成物の組成によって、硬化に必要なエネルギー量は異なるものの、例えば、紫外線等の光照射により硬化する際には、光照射による照射エネルギー(積算光量)は、例えば5mJ/cm2以上、好ましくは10mJ/cm2以上であり、例えば1000mJ/cm2以下、好ましくは800mJ/cm2以下である。照射エネルギーがこの範囲内であれば、十分な密着性及び耐擦性を有するネイルアートを得ることができる。
【0068】
光を照射する際の光源としては、例えば、マルチタイプUVランプ(UV+LED)、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)等の公知の紫外線の光源を用いることができる。その中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、マルチタイプランプ(UV+LED)(3線主波長;約365nm、約405nm及び約436nm)、紫外線発光ダイオード(UV-LED;波長約385nm~約415nm;ピーク波長約405nm)及び紫外線レーザーダイオード(UV-LD)が好ましい。
【実施例】
【0069】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0070】
[実施例1~12、比較例1~12]
表1及び表2に示す成分を、それぞれ表1及び表2に示す量比(質量部)となるように容器内に投入し、ディゾルバーにより撹拌しつつ50℃に加温し撹拌した。
撹拌しながら圧力0.1MPa下で10分脱泡し、撹拌後50℃で2時間静置し脱泡し、硬化性人工爪組成物を得た。これらの工程は、全て遮光下にて行った。
【0071】
<成分>
表1及び表2中の成分は、それぞれ以下のとおりである。
PUA 1:2官能ポリカーボネート系ポリウレタン(メタ)アクリレート(重量平均分子量29,000)
PUA 2:2官能脂環族系ポリウレタン(メタ)アクリレート(重量平均分子量3,000)
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
IBXMA:イソボルニルメタクリレート
Int 1:2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド
Int 2:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
Int 3:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
【0072】
<硬化時上昇温度>
硬化収縮率計(アクロエッジ社製、商品名「Custron」)に付属している、硬化時の温度測定装置により、測定開始温度を測定するとともに、硬化時の温度測定を行って最高温度を最大硬化熱とした。
最大硬化熱の測定に際して用いられるサンプルは、以下のように調製した。
紫外線光源の上に基板固定治具を設け、透明ガラス基板を基板固定治具に固定した。
フッ素樹脂プレートに直径1.0mmの孔を穿孔し、フッ素樹脂リングを作製した。
透明ガラス基板の上に、作成したフッ素樹脂リングを設置し、穿孔部分に硬化性人工爪組成物を硬化前膜厚が1.00±0.05mmとなるように充填した後に、フッ素樹脂リング上を遮光材料(黒色アルミフォイル)で覆いサンプルを作製した。
サンプルの透明ガラス基板側から紫外線を照射し、フッ素樹脂リングの穿孔部分に充填した硬化性人工爪組成物を硬化させ、硬化時に発生する最大硬化熱を測定した。
得られた最大硬化熱を用い、下記式;
硬化時上昇温度(℃)=最大硬化熱(℃)-測定開始温度(℃)
により硬化時上昇温度を算出した。評価結果を表1に併せて示す。23.0℃以下が合格である。
【0073】
【0074】
【0075】
実施例1~12及び比較例1~12の硬化性人工爪組成物の硬化塗膜は、いずれも、硬化時上昇温度測定後の硬化物を指触した場合に、弾力を感じることなく、未硬化樹脂の存在も確認されず、硬化性に優れたものであった。
実施例1は、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む重合開始剤を用いた例であり、比較例1は、実施例1において、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤に替えて、分子内にフェニル環を3個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を用いた例である。実施例1は、比較例1に対して、硬化時上昇温度が2.5℃低くなっている。
同様に、実施例2~12は、それぞれ比較例2~12と比較して、いずれも硬化時上昇温度が低くなっていることが、表1及び表2から看取できる。
これより、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む重合開始剤を用いることが、硬化性人工爪組成物の硬化時上昇温度の抑制に有用であることがわかる。
【要約】
【課題】硬化性に優れ、硬化時上昇温度が抑制された硬化性人工爪組成物を提供すること。
【解決手段】(a)(メタ)アクリレート化合物、及び、(b)重合開始剤、を含有し、前記(b)重合開始剤が、分子内にフェニル環を1個又は2個有するアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む、硬化性人工爪組成物。
【選択図】なし