IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Miaomada株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ディスペンサー 図1
  • 特許-ディスペンサー 図2
  • 特許-ディスペンサー 図3
  • 特許-ディスペンサー 図4
  • 特許-ディスペンサー 図5
  • 特許-ディスペンサー 図6
  • 特許-ディスペンサー 図7
  • 特許-ディスペンサー 図8
  • 特許-ディスペンサー 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】ディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/06 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
B65D83/06 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024079033
(22)【出願日】2024-05-14
【審査請求日】2024-05-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522185955
【氏名又は名称】Miaomada株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148725
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 信彦
(72)【発明者】
【氏名】依田 尚幸
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4174058(US,A)
【文献】米国特許第3179303(US,A)
【文献】実開昭49-48464(JP,U)
【文献】実開昭56-160269(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/06
G01F 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を貯留する貯留容器の下方に設けられ、外筒、内筒、及び、底部に囲まれたリング状凹部と、前記リング状凹部に設けられた取出口とを有するケースと、
前記内筒に支持され、前記ケースの下方に設けられたハンドルから回転力が付与される軸体部と、
上端開口と下端開口を有し、前記軸体部から付与された回転力によって前記リング状凹部内を移動可能であり、導入区間に移動すると、前記上端開口から前記粉体が導入され、取出位置に移動すると、前記下端開口が前記取出口に連通し、導入された前記粉体が前記下端開口を介して取り出される収容筒を有する収容部と、
前記リング状凹部の上部に固定され、少なくとも前記取出位置に位置する前記収容筒の前記上端開口をカバーするカバー板と、前記カバー板と隣り合い、前記導入区間において前記リング状凹部の上部を開放する開放部とを有する中蓋と、
を有するディスペンサー。
【請求項2】
前記軸体部は、
前記内筒の上端に掛けられ、外周に内側ラチェット爪を有する頭部と、
前記頭部の下側に連設されて前記内筒に遊嵌されて前記ハンドルが取り付けられる胴部と、
前記内筒に係止されて第1周方向に付勢力を付与する弾性部材と、を有し、
前記ハンドルから付与された回転力によって前記弾性部材の前記付勢力に抗して前記第1周方向とは反対の第2周方向に回転可能である、
請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項3】
擦切り部を有し、
前記擦切り部は、前記カバー板における前記開放部に臨む縁に設けられ、前記収容筒の上端開口の擦切りを行う、
請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項4】
前記擦切り部は、前記カバー板における前記開放部に臨む縁を下方向に延出させることによって所定高さを有して設けられ、前記収容部の回転方向に向けて内幅が減少する窄み形状を有する、請求項3に記載のディスペンサー。
【請求項5】
アジテータを有し、
前記アジテータは、前記軸体部の回転力の伝達を受ける中心部と、
前記中心部から径方向外方に延設され、前記貯留容器の内面に沿って配置される第1攪拌翼と、前記第1攪拌翼よりも太幅かつ短い第2攪拌翼を有する、
請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記第1攪拌翼は、前記中心部から径方向外方に水平状に延設された第1水平攪拌部と、前記第1水平攪拌部の外端から前記貯留容器の内面に沿って上方に延設する上部攪拌部を有し、
前記第2攪拌翼は、前記中心部から径方向外方に水平状に延設された第2水平攪拌部を有する、
請求項5に記載のディスペンサー。
【請求項7】
前記収容筒は、前記上端開口から前記下端開口に向かうにつれて前記収容筒の延在方向に直交する方向の内幅が広がる、請求項1に記載のディスペンサー。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯留容器に貯留された粉体を所定量だけ取出し可能なディスペンサーがある。
【0003】
例えば、米国特許第9587972号明細書には、粉状の乾燥食品を貯留する貯留容器の下方にケース(ベース10)を設け、ケース(ベース10)の周壁(13)に設けられた窓(19)から周方向に揺動可能なハンドル(12)が突設され、ユーザのハンドル(12)の操作により、ケース(ベース10)内に設けられた一対の下開口セル(26a、26b)が周方向に揺動可能であり、一方の下開口セルに乾燥食品を一時収容する際、他方の下開口セルに一時収容された乾燥食品が取出口(15)から取り出され、一方の下開口セルに収容された乾燥食品が取出口(15)から取り出される際、他方の下開口セルに乾燥食品を一時収容するディスペンサーが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第9587972号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のディスペンサーは、下開口セルがケースの底部を摺動する際、粉体が、下開口セルの下端からケース内に漏出し、漏出した粉体がケースの周壁におけるハンドルが突設された窓から外部に零れ落ち、周囲を汚すことがある。
【0006】
また、従来のディスペンサーは、特に、粉体の流動性が低いと、貯留容器の出口付近において、粉体の粒子同士が固まってブリッジやラットホールが形成し、粉体が取出し難くなり、安定して所定量の粉体を取り出すことができないことがある。
【0007】
そこで、本発明の実施形態は、清潔に使用することができ、安定した量の粉体を取り出すことができるディスペンサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係るディスペンサーは、ケース、軸体部、収容部、及び、中蓋を有する。前記ケースは、粉体を貯留する貯留容器の下方に設けられ、外筒、内筒、及び、底部に囲まれたリング状凹部と、前記リング状凹部に設けられた取出口とを有する。前記軸体部は、前記内筒に支持され、前記ケースの下方に設けられたハンドルから回転力が付与される。前記収容部は、上端開口と下端開口を有し、前記軸体部から付与された回転力によってリング状凹部内を移動可能であり、導入区間に移動すると、前記上端開口から前記粉体が導入され、取出位置に移動すると、前記下端開口が前記取出口に連通し、導入された前記粉体が前記下端開口を介して取り出される収容筒を有する。前記中蓋は、前記リング状凹部の上部に固定され、少なくとも前記取出位置に位置する前記収容筒の前記上端開口をカバーするカバー板と、前記カバー板と隣り合い、前記導入区間において前記リング状凹部の上部を開放する開放部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態は、清潔に使用することができ、安定した量の粉体を取り出すことができるディスペンサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るディスペンサーにおける、全体構成の一例を示す斜視図である。
図2】実施形態に係るディスペンサーにおける、全体構成の一例を示す分解図である。
図3】実施形態に係るディスペンサーにおける、軸体部をケースに取り付けた例を示す斜視図である。
図4】実施形態に係るディスペンサーにおける、軸体部の構成の一例を示す上面図である。
図5】実施形態に係るディスペンサーにおける、軸体部の構成の一例を示す斜視図である。
図6】実施形態に係るディスペンサーにおける、収容部の構成の一例を示す下方斜視図である。
図7】実施形態に係るディスペンサーにおける、収容部の構成の一例を示す中央断面図である。
図8】実施形態に係るディスペンサーにおける、中蓋の取付け例を示す上面図である。
図9】実施形態に係るディスペンサーにおける、アジテータの取付け例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施形態を説明する。実施形態の説明では、重力方向が下方向であり、重力方向の反対方向が上方向である。
【0012】
図1及び図2は、全体構成の一例を示す図であり、図1が斜視図であり、図2が分解図である。図3は、軸体部40をケース30に取り付けた例を示す斜視図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、ディスペンサー1は、プロテイン粉末等の粉体を貯留容器20に貯留し、貯留された粉体から所定量の粉体を取出し可能である。ディスペンサー1は、スタンド10、貯留容器20、ケース30、軸体部40、ハンドル50、収容部60、中蓋70、アジテータ80、及び、ノズル90を有する。
【0014】
スタンド10は、取出した粉体を受ける取出容器を載置可能な基台11と、基台11の後側に立設され、ケース30を基台11の上方に支持する支持部12を有する。
【0015】
貯留容器20は、内側に貯留された粉体をユーザが視認可能に、透明樹脂等を材質とすることができる。貯留容器20は、筒形状を有し、上部に粉体を投入可能な投入口21が設けられ、下部に粉体をケース30に導入するためのケース30に連通する連通口22が設けられ、下部の外周には、フランジ23が設けられる。投入口21には、上蓋24が着脱可能に取り付けられ、ユーザは、上蓋24を取り外して貯留容器20内に粉体を投入可能であり、投入後には、上蓋24を取り付ける。
【0016】
ケース30は、後側に、支持部12に嵌着する嵌着部31が設けられ、嵌着部31によって支持部12に支持される。
【0017】
ケース30には、貯留容器20を上部に固定するためのラッチ機構32が設けられる。ラッチ機構32は、ケース30の外周における互いに対向する位置に設けられ、ケース30に揺動可能に連結された連結板33と、連結板33に揺動可能に連結されたフック34を有する。ユーザが、フック34を貯留容器20の下部に設けられたフランジ23に掛け、連結板33を内側に折り込んだ状態でフック34を内側に押し込むと、ラッチ機構32がロックされ、貯留容器20がケース30の上部に固定される。また、ユーザが、フック34をケース30から引き離すとラッチ機構32がアンロックされ、ケース30から貯留容器20が取外し可能になる。
【0018】
図3に示すように、ケース30は、貯留容器20の下方に設けられ、外筒35、内筒36、及び、底部37に囲まれたリング状凹部38を有する。外筒35の内周面には、後述する係止突起61aと係合する外側ラチェット爪35aを有するプレート35bが嵌着される。内筒36の上端には、後述するねじりばねの一方端部を係止するためのノッチ36aが設けられる。
【0019】
底部37には、粉体を取り出すための取出口39が設けられる。
【0020】
図4及び図5は、軸体部40の構成の一例を示す図であり、図4が上面図であり、図5が斜視図である。
【0021】
軸体部40は、内筒36に支持され、ケース30の下方に取り付けられたハンドル50から回転力が付与される。より具体的に、図4及び図5に示すように、軸体部40は、頭部41、胴部42、及び、弾性部材43を有する。頭部41は、周面に内側ラチェット爪41aを有し、周縁部下面が内筒36の上端に支持される。胴部42は、頭部41の下側に連設され、頭部41よりも小径であり、内筒36に遊嵌され、下側に設けられたハンドル取付孔44がケース30の底部37よりも下方に突設される。弾性部材43は、例えば、頭部41乃至胴部42に内設されたねじりばねであり、一方側部が周壁において周方向に設けられた長孔45から突出して内筒36のノッチ36aに固定され、他方側部が内側の固定部46に固定され、軸体部40に、第1周方向D1に回転させる付勢力Fを付与する。
【0022】
軸体部40は、ハンドル取付孔44に取り付けられたハンドル50から付与された回転力によって弾性部材43の付勢力Fに抗して第1周方向D1とは反対の第2周方向D2に所定回転角度、回転可能である。軸体部40が第2周方向D2に回転すると、ノッチ36aに固定されたねじりばねの一方側部は、長孔45内を周方向に移動する。長孔45の位置と長さは、軸体部40の所定回転角度、所定回転開始位置、及び、所定回転終了位置に応じて調整される。所定回転角度は、例えば、周方向に6つ設けられた収容筒63が1つ分回転する60度に調整され、所定回転開始位置と所定回転終了位置は、収容筒63が1つ分移動する位置に調整される。
【0023】
軸体部40は、ハンドル50による第2周方向D2に向けた回転力が解除されると、付勢力Fによって第1周方向D1に回転し、ハンドル50を初期位置に戻す。
【0024】
第1周方向D1は、例えば、上面視した場合の反時計回り方向であり、また、第2周方向D2は、上面視した場合の時計回り方向である。
【0025】
ハンドル50は、ユーザの好みに応じ、ハンドル取付孔44の一方側から装着してノズル90よりも第1周方向D1に配置されるように取付可能であり、又は、ハンドル取付孔44の他方側から装着してノズル90よりも第2周方向D2に配置されるように取付可能である。図1の例では、ハンドル50は、ノズル90よりも第1周方向D1に配置されるように取り付けられている。
【0026】
図6及び図7は、収容部60の構成の一例を示し、図6が下方斜視図であり、図7が中央断面図である。
【0027】
図6に示すように、収容部60は、軸体部40に被着し、軸体部40から回転力を付与されて周方向に回転可能な円盤部61を有する。円盤部61の中央には、軸体部40から受けた回転力をアジテータ80に伝達する中央凸部62が設けられる。中央凸部62の周囲には、周方向に間隔を空けて配列された6つの収容筒63が設けられる。
【0028】
収容筒63は、円盤部61に開口した上端開口64と、底部37上を摺動する下端開口65を有し、軸体部40から付与された回転力によってリング状凹部38内を移動可能である。収容筒63は、後述する導入区間に移動すると、上端開口64から粉体が導入され、また、取出位置に移動すると、下端開口65が取出口39に連通し、導入された粉体が下端開口65を介して取り出される。
【0029】
収容筒63の上端開口64と下端開口65の各々は、収容筒63の位置が取出口39の位置から第2周方向D2側にずれた場合においてもより確実に取出口39に粉体を落とせるように第2周方向D2側を内側に寄せて直線状とした直線状縁部66を有し、第1周方向D1側に凹湾曲状縁部67を有する。
【0030】
図7に示すように、収容筒63は、取出口39から粉体が流出する際に、内周面との摩擦を低減できるように、上端開口64から下端開口65に向けて内幅が漸次広がり、下端開口内幅Wbは、上端開口内幅Wtよりも大きく、下端開口65は、上端開口64の開口面積よりも大きい開口面積を有する。
【0031】
円盤部61の外周には、外側ラチェット爪35aが係止する係止突起61aが設けられる。収容筒63の周面には内側ラチェット爪41aと係合する係合部63aが設けられる。軸体部40が第2周方向D2へ回転すると、頭部41の周面に設けられた内側ラチェット爪41aが係合した係合部63aを押動し、収容部60は、第2周方向D2に回転する。一方、軸体部40が第1周方向D1に回転すると、外側ラチェット爪35aが、係止突起61aを係止し、収容部60の第1周方向D1への回転を制止する。これにより、ユーザが手指によって第2周方向D2に、ハンドル50を所定回転角度、揺動すると、収容部60が第2周方向D2に回転する。ユーザがハンドル50から手指を離すと、弾性部材43の付勢力Fによって軸体部40が第1周方向D1に回転して元の位置に戻るものの、外側ラチェット爪35aが係止突起61aを係止し、収容部60の一方向への回転を制止する。これにより、ハンドル50が周方向に1往復すると、収容部60は、第2周方向D2に、所定回転角度、回転する。
【0032】
図8は、中蓋70の取付け例を示す上面図である。
【0033】
図8に示すように、中蓋70は、リング状凹部38の上部に固定され、中心孔71が中央凸部62に外挿される。中蓋70は、カバー板72と、カバー板72と隣り合う開放部73を有する。カバー板72は、少なくとも収容筒63の取出位置に対応した位置に延在し、少なくとも取出位置に位置する収容筒63の上端開口64をカバーする。好ましくは、カバー板72は、取出位置の周方向両隣に配置される収容筒63に対応した位置に延在し、取出位置に位置する収容筒63の両隣に配置される収容筒63の上端開口64をカバーする。より具体的な例を挙げれば、周方向に収容筒63が6つ配置される場合には、取出口39を中心として収容筒63を3つ分カバーする。
【0034】
開放部73は、カバー板72と隣り合い、リング状凹部38の上部を開放する。開放部73は、貯留容器20から収容筒63に粉体を導入する導入区間を構成する。収容筒63は、導入区間において、重力によって貯留容器20から開放部73を介して粉体が導入される。
【0035】
カバー板72における開放部73に臨む縁には、所定高さを有し、収容部60の回転方向(第2周方向D2)に向けて内幅が減少する窄み形状を有する擦切り部74が設けられる。擦切り部74は、下方を通過する収容筒63の上端開口64の擦切りを行う。
【0036】
図9は、アジテータ80の取付け例を示す上面図である。
【0037】
図9に示すように、アジテータ80は、中心孔71に挿通された中央凸部62から回転力の伝達を受ける中心部81と、中心部81から径方向外方に延設され、貯留容器20の内面に沿って配置される第1攪拌翼82を有する。より具体的に、第1攪拌翼82は、中心部81から径方向外方に水平状に延設された第1水平攪拌部83と、第1水平攪拌部83の延設端から貯留容器20の内面に沿って上方に延設する上部攪拌部84を有する。
【0038】
また、アジテータ80は、第1攪拌翼82よりも太幅かつ短い第2攪拌翼85を有する。より具体的に、第2攪拌翼85は、中心部81から径方向外方に水平状に延設された第2水平攪拌部86を有する。2つの第1攪拌翼82及び4つの第2攪拌翼85を合計すると6つの攪拌翼となり、6つの攪拌翼の各々は、互いに隣り合う収容筒63の間に配置される。
【0039】
図1に戻り、ノズル90は、ケース30の下側に設けられた取出口39に着脱可能に取り付けられる。ノズル90は、粉体が容器に入った際に飛散しないように、取出容器の開口付近に下端が配置される。ノズル90は、取出容器の高さに応じた長さを有するものに交換可能である。
【0040】
(作用)
実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0041】
(A)ディスペンサー1は、ケース30の下方に設けられたハンドル50から回転力が付与される軸体部40を有し、軸体部40から付与された回転力によって収容筒63がリング状凹部38内を軸周りに移動可能である。したがって、ケース30内の粉体がリング状凹部38外に漏れ難く、また、ノズル90の下端が取出容器の開口付近に配置されるから、粉体を取り出す際に、粉体が飛び散り難く、周囲を汚さないようにすることができる。
【0042】
(B)中蓋70は、リング状凹部38の上部に固定され、少なくとも取出位置に位置する収容筒63の上端開口64をカバーするカバー板72と、カバー板72と隣り合い、リング状凹部38の上部を開放する開放部73とを有する。ディスペンサー1は、開放部73を周方向に長くすることによって貯留容器20から収容筒63に粉体が導入される導入区間を長くすることができ、より確実に十分な量の粉体を収容筒63に導入可能であり、ブリッジやラットホールの発生を抑え、安定して所定量の粉体を取り出すことができる。
【0043】
(C)軸体部40は、第1周方向D1に回転させる付勢力Fを付与する弾性部材43を有し、ユーザが、第2周方向D2にハンドル50を移動させた後、ハンドル50から手を離すと、ハンドル50は、初期位置に戻り、操作が簡単である。
【0044】
(D)ハンドル50が周方向に1往復すると、収容部60は、第2周方向D2に、所定回転角度、回転する。これにより、ハンドル50の回転角度を小さくすることができ、ケース30の下側に取り付けられたノズル90にハンドル50が当たらないようにすることができる。
【0045】
(E)擦切り部74は、収容筒63の擦切りを行い、収容筒63に収容される粉体の量をより均一にする。
【0046】
(F)アジテータ80は、中心部81から径方向外方に延設され、貯留容器20の内面に沿って配置される第1攪拌翼82と、第1攪拌翼82よりも太幅かつ短い第2攪拌翼85を有する。アジテータ80は、中央凸部62をから回転力の伝達を受け第2周方向D2に回転し、第1攪拌翼82よりも短い第2攪拌翼85を太幅とすることにより、第1攪拌翼82と第2攪拌翼85の各々が生じさせる攪拌力を揃え、粉体をよりバランスよく攪拌し、開放部73から収容筒63の各々に、より均一な量になるように粉体を落とし込む。
【0047】
(G)第1攪拌翼82は、中心部81から径方向外方に水平状に延設された第1水平攪拌部83と、第1水平攪拌部83の延設端から貯留容器20の内面に沿って上方に延設する上部攪拌部84を有する。これにより、貯留容器20の内周面への粉体の付着を抑え、ブリッジやラットホールの発生を抑止する。
【0048】
(H)ディスペンサー1は、ハンドル50がケース30の下方において、ノズル90と隣り合うように配置され、基台11に容器を載置してからハンドル50を操作する手の動きがコンパクトであり、操作が簡単である。
【0049】
(I)ディスペンサー1は、スタンド10、貯留容器20、ケース30、軸体部40、ハンドル50、収容部60、中蓋70、アジテータ80、及び、ノズル90の各々を簡単に分解することができ、洗浄が容易である。
【0050】
(J)収容筒63は、上端開口64から下端開口65に向けて内幅が広がる。したがって、重力によって取出口39から粉体が流出する際に、内周面との摩擦を低減でき、スムーズに粉体を排出可能である。
【0051】
すなわち、ディスペンサー1は、粉体を貯留する貯留容器20の下方に設けられ、外筒35、内筒36、及び、底部37に囲まれたリング状凹部38と、リング状凹部38に設けられた取出口39とを有するケース30と、内筒36に支持され、ケース30の下方に設けられたハンドル50から回転力が付与される軸体部40と、上端開口64と下端開口65を有し、軸体部40から付与された回転力によってリング状凹部38内を移動可能であり、導入区間に移動すると、上端開口64から粉体が導入され、取出位置に移動すると、下端開口65が取出口39に連通し、導入された粉体が下端開口65を介して取り出される収容筒63を有する収容部60と、リング状凹部38の上部に固定され、少なくとも取出位置に位置する収容筒63の上端開口64をカバーするカバー板72と、カバー板72と隣り合い、前記導入区間においてリング状凹部38の上部を開放する開放部73とを有する中蓋70と、を有する。
【0052】
軸体部40は、内筒36の上端に掛けられ、外周に内側ラチェット爪41aを有する頭部41と、頭部41の下側に連設されて内筒36に遊嵌されてハンドル50が取り付けられる胴部42と、内筒36に係止されて第1周方向D1に回転させる付勢力Fを付与する弾性部材43と、を有し、ハンドル50から付与された回転力によって弾性部材43の付勢力Fに抗して前記第1周方向D1とは反対の第2周方向D2に回転可能である。
【0053】
擦切り部74は、カバー板72における開放部73に臨む縁に設けられ、収容筒63の上端開口64の擦切りを行う。
【0054】
擦切り部74は、所定高さを有し、収容部60の回転方向に内幅が減少する窄み形状を有する。
【0055】
アジテータ80は、軸体部40の回転力の伝達を受ける中心部81と、中心部81から径方向外方に延設され、貯留容器20の内面に沿って配置される第1攪拌翼82と、第1攪拌翼82よりも太幅かつ短い第2攪拌翼85を有する。
【0056】
第1攪拌翼82は、中心部81から径方向外方に水平状に延設された第1水平攪拌部83と、第1水平攪拌部83の外端から貯留容器20の内面に沿って上方に延設する上部攪拌部84を有する。第2攪拌翼85は、中心部81から径方向外方に水平状に延設された第2水平攪拌部86を有する。
【0057】
収容筒63は、上端開口64から下端開口65に向けて内幅が広がる。
【0058】
実施形態によれば、ディスペンサー1は、清潔に使用することができ、安定した量の粉体を取り出すことができる。
【0059】
上述のとおり、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0060】
例えば、実施形態では、粉体がプロテイン粉末である例を説明したが、これに限定されない。粉体は、小麦粉、塩、砂糖、ココアパウダー等であってもよいし、他の粉体であってもよい。
【0061】
また、実施形態では、円盤部61において、収容筒63が周方向に6つ設けられる例を説明したが、6つに限定されない。収容筒63は、6つ未満でもよいし、7つ以上でもよい。
【0062】
また、実施形態では、第1周方向D1が上面視した場合の反時計回り方向であり、また、第2周方向D2は、上面視した場合の時計回り方向である例を説明したが、第1周方向D1が時計回り方向であり、第2周方向D2が反時計周り方向であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1・・・ ディスペンサー
10・・・スタンド
11・・・基台
12・・・支持部
20・・・貯留容器
21・・・投入口
22・・・連通口
23・・・フランジ
24・・・上蓋
30・・・ケース
31・・・嵌着部
32・・・ラッチ機構
33・・・連結板
34・・・フック
35・・・外筒
35a・・外側ラチェット爪
35b・・プレート
36・・・内筒
36a・・ノッチ
37・・・底部
38・・・リング状凹部
39・・・取出口
40・・・軸体部
41・・・頭部
41a・・内側ラチェット爪
42・・・胴部
43・・・弾性部材
44・・・ハンドル取付孔
45・・・長孔
46・・・固定部
50・・・ハンドル
60・・・収容部
61・・・円盤部
61a・・係止突起
62・・・中央凸部
63・・・収容筒
63a・・係合部
64・・・上端開口
65・・・下端開口
66・・・直線状縁部
67・・・凹湾曲状縁部
70・・・中蓋
71・・・中心孔
72・・・カバー板
73・・・開放部
74・・・擦切り部
80・・・アジテータ
81・・・中心部
82・・・第1攪拌翼
83・・・第1水平攪拌部
84・・・上部攪拌部
85・・・第2攪拌翼
86・・・第2水平攪拌部
90・・・ノズル
D1・・・第1周方向
D2・・・第2周方向
F ・・・付勢力
Wb・・・下端開口内幅
Wt・・・上端開口内幅
【要約】
【課題】 清潔に使用することができ、安定した量の粉体を取り出すことができる、ディスペンサーを提供する。
【解決手段】 ケース30は、貯留容器20の下方に設けられ、リング凹状部を有する。軸体部40は、ケース30の下方に設けられたハンドル50から回転力が付与される。収容部60は、軸体部40から付与された回転力によってリング状凹部38内を移動可能であり、導入区間に移動すると、上端開口64から粉体が導入され、取出位置に移動すると、導入された粉体が下端開口65を介して取り出される収容筒63を有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9