(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】電池セル間の熱伝逹を遮断する電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/659 20140101AFI20241105BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241105BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20241105BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20241105BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20241105BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20241105BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20241105BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20241105BHJP
【FI】
H01M10/659
H01M10/613
H01M10/6555
H01M10/6556
H01M10/658
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/643
(21)【出願番号】P 2023526120
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 KR2022020447
(87)【国際公開番号】W WO2023113493
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0179442
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ソ・パク
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-029001(JP,A)
【文献】国際公開第2020/129274(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/659
H01M 10/613
H01M 10/6555
H01M 10/6556
H01M 10/658
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/643
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを含む電池セルスタックと、
前記電池セルスタックを冷却するための冷却部材と、
前記複数の電池セルの熱を前記冷却部材に排出するための
第1変形部材と、
前記電池セルスタック、前記冷却部材、及び前記
第1変形部材を内部に収容するパックケースと、
を含み、
前記
第1変形部材は、前記電池セルと前記電池セルとの間に介在さ
れ、
前記
第1変形部材は、内部に冷媒を含
み、
前記第1変形部材の温度が前記冷媒の沸点以上になれば、前記第1変形部材は体積が膨張するように変形され、
前記第1変形部材は、内部の前記冷媒が全部気体に相転移すれば、前記複数の電池セルから前記冷却部材への熱伝逹を遮断する、電池パック。
【請求項2】
前記複数の電池セルの熱を前記冷却部材に排出するための第2変形部材をさらに含み、
前記
第2変形部材は、前記電池セルスタックと前記冷却部材との間に配置さ
れ、
前記第2変形部材は、内部に冷媒を含み、
前記第2変形部材の温度が前記冷媒の沸点以上になれば、前記第2変形部材は体積が膨張するように変形され、
前記第2変形部材は、内部の前記冷媒が全部気体に相転移すれば、前記複数の電池セルから前記冷却部材への熱伝逹を遮断する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記
第1変形部材は、内部に含まれた冷媒を除いた残りの部分が空間である真空状態である、請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記冷媒が前記電池セルの熱によって蒸発し、前記冷却部材によって凝縮する相転移が起こり、
前記冷媒の相転移によって前記複数の電池セルから前記冷却部材に熱伝逹される、請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記
第1変形部材のケースは、形状記憶合金からなる、請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記冷媒は、前記電池セルの温度によって蒸発及び凝縮して相転移する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項7】
前記ケースは、前記電池セルまたは前記冷却部材と対面する第1面及び第2面を含み、
前記形状記憶合金の変形温度より低い温度では前記第1面及び前記第2面が平面形態であるが、前記変形温度より高い温度では前記第1面及び前記第2面が曲面形態に変形される、請求項
5に記載の電池パック。
【請求項8】
前記第1面及び前記第2面が曲面形態に膨張変形されることによって前記
第1変形部材の内部の冷媒が全部蒸発すれば、前記複数の電池セルから前記冷却部材への熱伝逹を遮断する、請求項
7に記載の電池パック。
【請求項9】
前記
第1変形部材は、板状の形態を有する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項10】
前記冷媒は、エタノール、メタノール及び水からなる群から選択される1種である、請求項1に記載の電池パック。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の電池パックをエネルギー源として含む、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年12月15日付の韓国特許出願第10-2021-0179442号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池セル間の熱伝逹を遮断する電池パックに関するものである。具体的には、電池セルの温度が危険レベル以上に上昇する場合、隣接した電池セルへの熱伝導を防止することができる構成を備えることで、電池セル間の熱伝逹を遮断する電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0003】
リチウム二次電池は、多機能小型製品である無線モバイル機器(wireless mobile device)または身体に着用するウェアラブル機器(wearable device)のエネルギー源として使われているだけでなく、大気汚染を引き起こす既存のガソリン車両及びディーゼル車両に対する代案として提示される電気自動車やハイブリッド電気自動車などのエネルギー源または電力貯蔵装置(ESS)としても使われている。
【0004】
このように、前記リチウム二次電池が大容量及び高出力のエネルギー源として使われるのに伴い、前記リチウム二次電池の安全性を確保する問題が重要な関心対象となっている。
【0005】
リチウム二次電池は、充電及び放電過程で温度が増加することになり、電池セルの高温化現象は電池セルの性能を低下させる原因になる。また、電池セルの温度上昇によって発火及び爆発が発生する場合には、使用者の安全が問題となることがある。よって、電池セルの温度が発火及び爆発が起こり得る危険温度以上に上昇することを防止するために、電池パック内に熱伝導度の高い素材からなる熱伝逹部材を備え、電池セルの熱エネルギーが前記熱伝逹部材を介して排出されるようにする。
【0006】
しかし、エネルギー密度の高い電池パックを製造するために、電池セルが密着するように配置される場合、前記熱伝逹部材を介して熱エネルギーが排出されるよりは、隣接した電池セルへの熱伝播が発生しやすい。
【0007】
また、前記熱伝逹部材がむしろ電池セル間の熱伝逹通路として機能すれば、電池セル間の熱伝播速度が急激に増加することになることがある。
【0008】
したがって、複数の電池セルが密着して配列された状態で、特定の電池セルの温度が急激に上昇する場合、他の電池セルに熱伝逹されることを防止するための技術が必要である。
【0009】
これに関連して、特許文献1は、電池セルの外面に電熱プレートが付加され、ハウジングの内側面に熱伝導部材が付着され、前記電熱プレートの一側端が前記熱伝導部材に接触することができる形態の電池パックに関するものであり、電池セルの温度によって熱伝導部材と接触する前記電熱プレートの接続部の形態が変形される。具体的には、熱膨張係数が互いに異なる金属層から前記接続部が構成され、電池セルの温度が低ければ接続部がもっと大きく曲がって熱伝導部材から遠ざかり、電池セルの温度が増加すれば接続部が熱伝導部材に近づくように変形される。したがって、電池セルの温度上昇の際、熱伝導部材を介して熱伝導されることができる。
【0010】
このように、特許文献1は、それぞれの電池セルに折り曲げられた形態の絶縁プレートを配置し、絶縁プレートに熱膨張係数が互いに異なる金属層を適用することで、電池セルの熱を熱伝導部材に伝達する構成を開示している。
【0011】
しかし、特許文献1は、電池セルの間に熱伝導されることを防止するための構造を提示してはいない。
【0012】
特許文献2は、モジュールケースとバッテリーセルとの間及び複数のバッテリーセルの間に充填部を備え、前記充填部は、バッテリーモジュール内の温度が低いときはバッテリーセルが膨れ上がることを防止するために体積が増加し、バッテリーモジュール内の温度が高いときはモジュールケースとバッテリーセルとの間及び複数のバッテリーセルの間に冷却流路を確保するように充填部の体積が減少する。
【0013】
特許文献2の充填部は温度によって形態が変わる形状変形素材からなるが、温度上昇の際、前記充填部が収縮して冷却流路を確保することで、電池セルが冷却することができる。
【0014】
しかし、特許文献2は、膨張した状態の充填部が電池セルの間に配置されるので、エネルギー密度の高い電池パックに適用することは難しい形態である。
【0015】
したがって、複数の電池セルが密着するように配列された電池パックのうちの特定の電池セルで熱暴走現象が発生する場合、隣接した電池セルに熱伝逹されることを防止することができる技術が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特開2018-41582号公報
【文献】韓国公開特許第10-2019-0084775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、密着して配列された複数の電池セルの間に配置された変形部材が電池セルの温度上昇の際に変形されることで、隣接した電池セル間の熱伝逹を遮断する電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような目的を達成するための本発明による電池パックは、複数の電池セルを含む電池セルスタックと、前記電池セルスタックを冷却するための冷却部材と、前記複数の電池セルの熱を前記冷却部材に排出するための変形部材と、前記電池セルスタック、前記冷却部材、及び前記変形部材を内部に収容するパックケースとを含み、前記変形部材は、前記電池セルと前記電池セルとの間に介在される第1変形部材を含み、前記変形部材は、内部に冷媒を含む。
【0019】
前記変形部材は、前記電池セルスタックと前記冷却部材との間に配置される第2変形部材をさらに含むことができる。
【0020】
前記変形部材は、内部に含まれた冷媒を除いた残りの部分が空間である真空状態になることができる。
【0021】
前記冷媒が前記電池セルの熱によって蒸発し、前記冷却部材によって凝縮する相転移が起こり、前記冷媒の相転移によって前記複数の電池セルから前記冷却部材に熱伝逹されることができる。
【0022】
前記変形部材の温度が前記冷媒の沸点以上になれば、前記変形部材は体積が膨張するように変形され、前記冷媒が全部気体に相転移すれば、前記複数の電池セルから前記冷却部材への熱伝逹を遮断することができる。
【0023】
前記変形部材のケースは、形状記憶合金からなることができる。
【0024】
前記冷媒は、前記電池セルの温度によって蒸発及び凝縮して相転移することができる。
【0025】
前記ケースは、前記電池セルまたは前記冷却部材と対面する第1面及び第2面を含み、前記形状記憶合金の変形温度より低い温度では前記第1面及び前記第2面が平面形態であるが、前記変形温度より高い温度では前記第1面及び前記第2面が曲面形態に変形されることができる。
【0026】
前記第1面及び前記第2面が曲面形態に膨張変形されることによって前記変形部材の内部の冷媒が全部蒸発すれば、前記複数の電池セルから前記冷却部材への熱伝逹を遮断することができる。
【0027】
前記電池セルと前記電池セルとの間には前記第1変形部材または断熱材が配置されることができる。
【0028】
前記断熱材は、弾性素材からなることができる。
【0029】
前記変形部材は、板状の形態を有することができる。
【0030】
前記冷媒は、エタノール、メタノール及び水からなる群から選択される1種であってもよい。
【0031】
また、本発明は、前記電池パックをエネルギー源として含むデバイスを提供する。
【0032】
また、本発明は、前記課題の解決手段を多様に組み合わせた形態としても提供することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上で説明したように、本発明による電池パックは、複数の電池セルの熱を冷却部材に排出するための変形部材を含むので、電池セルの温度が急激に増加することを防止することができる。
【0034】
また、電池セルの温度が危ないレベルに上昇する場合、変形部材の熱伝導度が著しく減少することで、電池セルの間に熱伝逹が起こることを遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】第1実施例による電池パックの一部の斜視図である。
【
図4】変形部材の変形の前後の状態を示す垂直断面図である。
【
図5】第2実施例による電池パックの一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0037】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0038】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0039】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0040】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、またはA及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0041】
本発明を図面に基づいて詳細な実施例と一緒に説明する。
【0042】
【0043】
図1を参照すると、本発明による電池パックは、複数の電池セル110を含む電池セルスタック100、電池セルスタック100を冷却するための冷却部材200、複数の電池セル110の熱を冷却部材200に排出するための変形部材300、及び電池セルスタック100、冷却部材200、及び変形部材300を内部に収容するパックケース400を含み、変形部材300は、電池セル110と電池セル110との間に介在される第1変形部材310を含む。
【0044】
また、変形部材300は、電池セルスタック100と冷却部材200との間に配置される第2変形部材320を含む。
【0045】
変形部材300は内部に冷媒を含んでおり、前記冷媒を収容するケースは熱伝導性に優れた素材から構成される。よって、変形部材300を介して電池セルの冷却及び電池セル間の熱移動が起こることができるので、第1変形部材310を介して電池セル間の温度偏差の発生を防止することができ、電池セル110で発生する熱は第2変形部材320を介して冷却部材200に排出されることができる。
【0046】
具体的には、複数の電池セル110を含む電池セルスタック100の下部には電池セル110を冷却させるための冷却部材200が配置され、電池セルスタック100と冷却部材200との間には第2変形部材320が配置される。よって、第2変形部材320を介して電池セルスタック100の熱が冷却部材200に排出されることができるので、電池セル110の温度を一定の範囲に維持することができる。
【0047】
パックケース400内に、電池セルスタック100、変形部材300、及び冷却部材200を収容した後、トッププレート410でパックケース400の開放上面を覆って密封することで、電池パックを組み立てることができる。
【0048】
しかし、
図1に示すものとは違い、パックケース400は、電極端子が突出した方向にエンドプレートが組み立てられるモノフレーム、またはU形フレームの形態を有することができ、パックケースの形態によって電池パックの密封方法が変わることができる。
【0049】
冷却部材200はケースの内部に冷媒が流動する構成を有することができ、冷却部材200には前記冷媒の流出入のための流入部及び排出部が形成されることができ、パックケース400の外部から冷媒が供給され、パックケース400の外部に冷媒が排出されることができる。
【0050】
電池セルは金属層及び樹脂層を含むラミネートシートからなるパウチ型電池ケースに電極組立体が収容されたパウチ型電池セルであり得るか、または金属の角形缶または円筒形缶に電極組立体が収納された角型電池セルまたは円筒型電池セルであり得る。
【0051】
また、
図1は正極リード111及び負極リード112が互いに反対方向に突出した両方向パウチ型電池セルを示しているが、これとは違い、正極リード111及び負極リード112が同一方向に突出した単方向パウチ型電池セルを適用することができるというのは言うまでもない。
【0052】
図2は第1実施例による電池パックの一部の斜視図であり、
図3は
図2のA-A’についての断面図である。
【0053】
図2及び
図3を参照すると、
図1からパックケースが省略された状態を示している。
【0054】
第1変形部材310及び第2変形部材320は板状の形態を有する。
【0055】
第1変形部材310のy方向の長さ及びz方向の長さはこれらに対応する電池セル110のy方向の長さ及びz方向の長さより長いか同じ長さを有するように形成されることができる。よって、電池セル110と第1変形部材310との間の接触面を最大にして早い熱交換をなすことができる。
【0056】
電池セルスタックが上部に配置される第2変形部材320のx方向の長さ及びz方向の長さは電池セル110と第2変形部材320とが密着した構造体のx方向の長さ及びz方向の長さより長いか同じ長さを有するように形成されることができる。よって、第2変形部材320は、電池セル110及び第1変形部材310と冷却部材200との間の熱交換が起こる面積を広く確保している。
【0057】
一具体例で、電池セルの発熱による熱暴走現象が発生し得る温度を約150℃とするとき、電池セルの温度が150℃未満の状態を安全温度範囲と言い、150℃以上の状態を危険温度範囲と言える。安全温度範囲で第1変形部材310及び第2変形部材320は平板形になり、電池セルとの接触面積が最大になる状態を維持するので、電池セルが円滑に冷却されることで過熱を防止することができる。
【0058】
図4は変形部材の変形の前後の状態を示す垂直断面図である。
【0059】
図4は変形部材のうちの第1変形部材310の垂直断面図であり、以下で説明する第1変形部材についての説明は第2変形部材にも同様に適用することができる。
【0060】
第1変形部材310は内部に冷媒313を含み、冷媒313を除いた残りの部分が空間である真空状態に構成されることができる。前記真空状態の空間で冷媒313は電池セルの温度によって蒸発及び凝縮することができる。具体的には、電池セルの熱によって冷媒が蒸発し、冷却部材200によって冷媒が凝縮する相転移が起こる。このような冷媒の相転移によって複数の電池セル110の熱が第1変形部材310及び第2変形部材320を介して冷却部材200に伝達されることができる。
【0061】
図4で、冷媒がある第1変形部材310の下部は第2変形部材320と接触し、第2変形部材320は冷却部材と接触するように配置されるので、第2変形部材320の温度は第1変形部材310の温度より低い状態になる。
【0062】
したがって、第1変形部材310の内部において、第2変形部材と接触して相対的に温度が低い下部で冷媒が凝縮し、相対的に温度が高い上部で蒸発が起こる過程が循環することができる。
【0063】
例えば、前記第1変形部材及び第2変形部材はヒートパイプからなることができ、公知のヒートパイプはその種類に関係なく本発明の変形部材に適用可能である。
【0064】
一具体例で、第1変形部材310は形態変形の可能な素材からなるので、電池セルの温度が150℃以上になって危険温度範囲になれば、第1変形部材310は、
図4に示すように、体積が膨張するように変形されることができる。
【0065】
すなわち、電池セルの温度が冷媒313の沸点以上になれば、第1変形部材310は体積が膨張するように変形され、冷媒313の全部が気体に相転移すれば、複数の電池セルから前記冷却部材への熱伝逹を遮断することができる。
【0066】
このように、第1変形部材310が体積膨張すれば、断熱膨張によってすべての冷媒が気体に相転移した状態になって熱伝導度が急激に減少することで、電池セル間の熱交換、及び電池セルと冷却部材との間の熱交換を遮断することができる。
【0067】
また、第1変形部材310の体積膨張によって、電池セルと接触する面積が減少することになるので、電池セル間の熱交換が一層低下することができる。
【0068】
変形部材の体積膨張方法としては、特定の温度以上になればトリガーされて自ら形態が変形される素材からなるケースを使うことができる。もしくは、圧力によって膨張及び収縮可能な素材からなる変形部材にシリンダーのような押圧手段を連結して圧力を印加することによって体積を膨張させる方法などを使うことができる。
【0069】
一具体例で、変形部材のケースは形状記憶合金からなることができ、変形部材の内部に電池セルの温度によって蒸発及び凝縮するように相転移する冷媒を含むことができる。
【0070】
ケースは、電池セルまたは冷却部材と対面する広い長方形の第1面311及び第2面312を含み、形状記憶合金の変形温度より低い温度では第1面311及び第2面312が平面形態を有するが、変形温度より高い温度では第1面311及び第2面312が曲面形態に変形される。
【0071】
このように、第1面311及び第2面312が曲面形態に膨張変形されることにより、変形部材の内部の冷媒が全部蒸発して気体状態としてだけ存在すれば、複数の電池セル間の熱伝逹、及び複数の電池セルから冷却部材への熱伝逹を遮断することができる。
【0072】
冷媒313は膨張変形に必要な温度を考慮して選択することができ、例えば、メタノール、エタノール及び水からなる群から選択することができる。
【0073】
第1変形部材310も上下方向を基準に第2変形部材320と同じ方式で相転移することができる。
【0074】
図5は第2実施例による電池パックの一部の斜視図である。
【0075】
図5を参照すると、本発明による電池パックからパックケース及び冷却部材が省略された状態を示している。
【0076】
電池セル110の下部には第2変形部材320が配置され、電池セル110の間には第1変形部材310または断熱材330が配置される。
【0077】
すなわち、一の電池セル110と他の一の電池セル110との間には第1変形部材310及び断熱材330のうちのいずれか一つが配置され、すべての電池セルは少なくとも一側外面で第1変形部材310と接触している。
【0078】
したがって、断熱材330を介して隣り合う電池セル間の熱交換を遮断することができ、変形部材を介して電池セルの熱を外部に排出することができる。
【0079】
一方、本発明による第1変形部材及び第2変形部材は、電池セルの温度上昇の際に体積が膨張する素材からなるので、変形部材の体積増加の際、電池セルを含む電池セルスタックの外形が大きくなることができる。しかし、電池セルスタックの体積は電池パック内に備えられた一定の空間を超えないことが好ましいので、断熱材330として弾性素材からなる断熱材を配置することで、変形部材の体積増加を緩衝することができる。
【0080】
その他に、
図5に示す第1変形部材及び第2変形部材は
図2~
図4の説明で開示した第1変形部材及び第2変形部材についての説明を同様に適用することができる。
【0081】
本発明による電池パックをエネルギー源として含むデバイスを提供することができる。前記デバイスは、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、エネルギー貯蔵システム(ESS)、電気カート及び電気二輪車などが相当することができる。
【0082】
このように、本発明による電池パックを高容量及び高出力の必要なデバイスに適用しても、電池セルの急激な温度上昇を防止し、電池セル間の熱伝導を遮断することができるので、安全性が向上した電池パックを提供することができる。
【0083】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形をなすことが可能であろう。
【符号の説明】
【0084】
100 電池セルスタック
110 電池セル
111 正極リード
112 負極リード
200 冷却部材
300 変形部材
310 第1変形部材
320 第2変形部材
311 第1面
312 第2面
313 冷媒
330 断熱材
400 パックケース
410 トッププレート