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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】害虫捕獲器
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/10 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
A01M1/10 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024084440
(22)【出願日】2024-05-24
【審査請求日】2024-05-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516241636
【氏名又は名称】株式会社サワエ
(74)【代理人】
【識別番号】724008083
【氏名又は名称】沢江 隆一
(72)【発明者】
【氏名】澤江 隆一
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0072039(US,A1)
【文献】実開昭62-053685(JP,U)
【文献】特開2012-235738(JP,A)
【文献】登録実用新案第058142(JP,Z1)
【文献】実公昭13-019205(JP,Y1)
【文献】実公昭48-032467(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫を捕獲するための害虫捕獲器であって、
直線状に複数配置して、互いに連結部で接続された複数の捕獲部を備え、
前記捕獲部のそれぞれが、下容器部と、当該下容器部に着脱可能に嵌合する上蓋を含み、
前記下容器部は、嵌合受部と、害虫を捕獲するためのポケット部を有し、
前記上蓋は、前記下容器部の前記嵌合受部に嵌合するための嵌合部、前記嵌合部の周縁の内側に接続され前記上蓋の内側に延伸する底面部、及び前記底面部の一部に接続され上下に開閉可能に設けられた蓋部を有し、
前記蓋部と前記底面部との接続部に対向する位置であって、前記蓋部と前記底面部との間に、害虫を前記下容器部の前記ポケット部に誘引するための貫通孔が設けられており、
前記下容器部のそれぞれは、前記嵌合受部に前記上蓋が嵌合するための開口と当該開口の周縁に設けられた第1鍔状部を有し、
前記上蓋のそれぞれは、篏合部の周縁に設けられた第2鍔状部を有し、
前記捕獲部の前記連結部は、複数の前記下容器部を連結する下部連結部と、複数の前記上蓋を連結する上部連結部を含み、
前記下部連結部が、隣接した前記下容器部の前記第1鍔状部が互いに連結されて構成されており、
前記上部連結部が、隣接した前記上蓋の前記第2鍔状部が互いに連結されて構成されていることを特徴とする害虫捕獲器。
【請求項2】
前記蓋部は、前記底面部との接続部から、下側に傾斜して取り付けられており、
前記蓋部と前記底面部との前記接続部には、上に凸形状に湾曲したリブ部を有し、
前記接続部を支点として前記蓋部が上下に開閉した場合に、元の位置に戻るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の害虫捕獲器。
【請求項3】
前記リブ部は、上面側に、当該リブ部の強度を向上するための補強部を有することを特徴とする請求項2に記載の害虫捕獲器。
【請求項4】
前記嵌合受部と前記ポケット部との間に、前記ポケット部の延伸方向に交差する方向に延伸する段差部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の害虫捕獲器。
【請求項5】
前記連結部に、前記捕獲部を切り離すための分離構造を設けたことを特徴とする請求項1に記載の害虫捕獲器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫捕獲器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農業分野において、野菜、果物などの植物、あるいは、牛などの家畜を害虫から守るために、種々の害虫捕獲器が提案されている。一般的に、害虫駆除を行う際に、粘着テープ等を用いた害虫捕獲器が多く用いられている。特許文献1には、地面から立設された害虫捕獲部を有し、さらに地面と近接した位置に粘着剤下端がある粘着剤層を備えた害虫捕獲器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-80300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された害虫捕獲器の様に、粘着剤を利用した害虫捕獲器においては、害虫捕獲器をセットするときに、作業者に付着することがあり、取り扱いに注意が必要である。また、一度付着すると、粘着剤を剥がすのに苦労するなど、取り扱いが難しい。また、野菜や果物を植えた畑や牛舎内等に配置した場合、粘着剤が野菜、果物、或いは、牛などの家畜に付着し、商品としての価値を低下させたり、家畜にストレスを与えるなどの課題も生じている。
【0005】
また、害虫捕獲のために使用する粘着剤に、水分やホコリ等が付着することで、粘着性能が低下し、粘着力が低下することも知られている。
【0006】
解決しようとする課題は、粘着剤を利用しない方法で害虫を捕獲することができ、また、取り扱いが容易で、且つ捕獲能力が劣化しない害虫捕獲器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る害虫捕獲器は、害虫を捕獲するための害虫捕獲器であって、嵌合受部と、害虫を捕獲するためのポケット部を有する下容器部と、前記下容器部の前記嵌合受部に嵌合するための嵌合部を有し、当該嵌合部を前記嵌合受部に嵌合することにより着脱可能に前記下容器部に嵌合する上蓋とを備える。前記上蓋は、前記嵌合部の周縁の内側に接続され、前記上蓋の内側に延伸する底面部と、前記底面部の一部に接続され上下に開閉可能に設けられた蓋部を有し、前記蓋部と前記底面部との接続部に対向する位置であって、前記蓋部と前記底面部との間に、害虫を前記下容器部の前記ポケット部に誘引するための貫通孔が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る害虫捕獲器では、害虫を捕獲するためのポケット部を有する下容器部に、上蓋を着脱可能に嵌合し、蓋をするように構成されているので、簡単に、ポケット部に捕獲した害虫を処理することができる。また、上蓋は、嵌合部の周縁の内側に接続され、上蓋の内側に延伸する底面部と、底面部に接続され開閉可能に設けられた蓋部を有し、蓋部が延伸する方向において、蓋部と底面部との間に、害虫を下容器部のポケット部に誘引するための貫通孔が設けられている。これにより、粘着剤等を用いずに、害虫を蓋部から貫通孔に誘引し、貫通孔を介してポケット部に侵入した害虫を確実に捕獲することができる。
【0009】
また、本発明に係る害虫捕獲器において、前記蓋部は、前記底面部との接続部から、下側に傾斜して取り付けられており、前記蓋部と前記底面部との前記接続部には、上に凸形状に湾曲したリブ部を有し、前記接続部を支点として前記蓋部が上下に開閉した場合に、元の位置に戻るように構成されていることを特徴としてもよい。蓋部が下側に傾斜した構造を有することにより、寄ってきた虫などを誘導し、捕獲する事ができる。また、リブ部を設けることで、蓋部が元の位置から、上側に開くことをある程度制限することができるので、ポケット部に侵入し、捕獲された虫が、蓋部を開けて逃げるのを防止することができる。
【0010】
また、本発明に係る害虫捕獲器において、前記リブ部は、上面側に、当該リブ部の強度を向上するための補強部を有することを特徴としてもよい。
【0011】
また、本発明に係る害虫捕獲器において、前記嵌合受部と前記ポケット部との間に、前記ポケット部の延伸方向に交差する方向に延伸する段差部を設けたことを特徴としてもよい。嵌合受部とポケット部との間に段差部を設けることにより、上蓋の篏合部を嵌合受部に嵌合したときの嵌合強度を大きくすることができる。
【0012】
また、本発明に係る害虫捕獲器において、直線状に複数配置して、互いに連結部で接続された複数の捕獲部を有し、前記捕獲部のそれぞれが、前記下容器部と、前記下容器部に着脱可能に嵌合する前記上蓋を含み、前記連結部に、前記捕獲部を切り離すための分離構造を設けたことを特徴としてもよい。複数の捕獲部を直線状に配置し互いに連結部で接続されているので、一度に複数の捕獲部を有する害虫捕獲器を容易に設置することができる。また、連結部に、前記捕獲部を切り離すための分離構造を設けたので、任意の位置で捕獲部を切り離して使用することができる。
【0013】
また、本発明に係る害虫捕獲器において、前記下容器部のそれぞれは、前記嵌合受部に前記上蓋が嵌合するための開口と当該開口の周縁に設けられた第1鍔状部を有し、前記上蓋のそれぞれは、篏合部の周縁に設けられた第2鍔状部を有し、前記捕獲部の前記連結部は、複数の前記下容器部を連結する下部連結部と、複数の前記上蓋を連結する上部連結部を含むことができる。また、前記下部連結部が、隣接した前記下容器部の前記第1鍔状部が互いに連結されて構成されており、前記上部連結部が、隣接した前記上蓋の前記第2鍔状部が互いに連結されて構成されていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る害虫捕獲器では、害虫を捕獲するためのポケット部を有する下容器部に、上蓋を着脱可能に嵌合し、蓋をするように構成されているので、簡単に、ポケット部に捕獲した害虫を処理することができる。また、上蓋は、嵌合部の周縁の内側に接続され、上蓋の内側に延伸する底面部と、底面部に接続され開閉可能に設けられた蓋部を有し、蓋部が延伸する方向において、蓋部と底面部との間に、害虫を下容器部のポケット部に誘引するための貫通孔が設けられている。これにより、粘着剤等を用いずに、害虫を蓋部から貫通孔に誘引し、貫通孔を介してポケット部に侵入した害虫を確実に捕獲することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1の実施形態に係る害虫捕獲器の斜視図を概略的に示す図である。図1には、第1の実施形態に係る害虫捕獲器の上蓋と下容器部とが嵌合した状態を示している。
図2図2は、図1のII線―II線に沿って取られた断面図を概略的に示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る害虫捕獲器の上蓋、及び下容器部を説明するための図である。図3(a)は、上蓋の斜視図を概略的に示す図である。図3(b)は、上蓋が嵌合する下容器部の斜視図を概略的に示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る害虫捕獲器の下容器部の上面図を示す図である。
図5図5は、図4のV線―V線に沿って取られた断面図を概略的に示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る害虫捕獲器の上蓋の上面図を示す図である。
図7図7は、図6のVII線―VII線に沿って取られた断面図を概略的に示す。
図8図8は、第2の実施形態に係る害虫捕獲器の斜視図を概略的に示す図である。図8(a)は、第2の実施形態に係る害虫捕獲器の上蓋の斜視図を概略的に示す図である。図8(b)は、第2の実施形態に係る害虫捕獲器において、上蓋が嵌合する下容器部の斜視図を概略的に示す図である。
図9図9は、図8に示した害虫捕獲器の斜視図を概略的に示す図である。なお、図9には、図8に示した害虫捕獲器の上蓋が下容器部に嵌合した状態を示している。
図10図10は、第2の実施形態に係る害虫捕獲器の斜視図を概略的に示す図である。図10には、連結部内に捕獲部を分離するための分離構造が示されている。また、図10(a)は、第2の実施形態に係る害虫捕獲器の上蓋の斜視図を概略的に示す図である。図10(b)は、第2の実施形態に係る害虫捕獲器において、上蓋が嵌合する下容器部の斜視図を概略的に示す図である。
図11図11は、図10に示した害虫捕獲器の斜視図を概略的に示す図である。図11には、図10に示した害虫捕獲器の上蓋が下容器部に嵌合した状態を示している。
図12図12は、比較例として試作した害虫捕獲器の図である。図12(a)は本実施形態と比較するために試作した害虫捕獲器の斜視図を概略的に示す図である。図12(a)には、試作品に係る害虫捕獲器の上蓋と下容器部とが嵌合した状態を示している。また、図12(b)は、図12(a)のXII線―XII線に沿って取られた断面図を概略的に示す。
図13図13は、害虫捕獲器の使用方法の一例を説明するための図である。
図14図14は、害虫捕獲器の使用方法の一例を説明するための図である。
図15図15は、害虫捕獲器の使用方法の一例を説明するための図である。なお、図15は、理解を容易にするために、図14のXV線―XV線に沿って取られた断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
いくつかの実施形態に係る害虫捕獲器を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。説明中、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0017】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る害虫捕獲器1について、詳細に説明する。図1に、第1の実施形態に係る害虫捕獲器1の斜視図を概略的に示す。図2に、図1のII線―II線に沿って取られた害虫捕獲器1の断面図を概略的に示す。図1に示すように、害虫捕獲器1は、下容器部2と、下容器部2に着脱可能に嵌合する上蓋3とを有することができる。
【0018】
図1、及び図2を参照すると、下容器部2は、虫を捕獲するためのポケット部9を有することができる。ポケット部9は、例えば、下側に突出した凸形状を有することができる。また、ポケット部9の上部側には、上蓋3が嵌合するための嵌合受部4が設けられている。嵌合受部4は、上蓋3が嵌合するための開口6と、開口6の全周縁に設けられた第1鍔状部11が設けられている。図2に示したように、ポケット部9を断面視したときに、嵌合受部4と、ポケット部9との間には、ポケット部9の延伸方向に交差する方向に延伸する段差部7が設けられている。この段差部7を設けることにより、上蓋3を嵌合受部4に嵌合したときの嵌合強度を大きくすることができる。このため上蓋3を下容器部2に嵌合したときに、嵌合受部4が押圧されても、広がらないようにすることができるので、上蓋3を下容器部2に嵌合して、確実に蓋をすることができる。本実施形態では、嵌合受部4は、下容器部2の上部側の全周縁部に形成されている。また、段差部7は、ポケット部9の側壁10から外側に延伸するように設けられている。しかし、これに限定されず、ポケット部9の側壁10から内側に延伸するように設けてもよい。
【0019】
また、ポケット部9の下側の側壁10は、テーパ形状を有し、下側にいくほど互いに対向する側壁間の距離が徐々に小さくなるように形成されている。ポケット部9の側壁10が、テーパ形状を有することによって、例えば害虫捕獲器1を土壌に挿入して、使用する際に、挿入し易くなる。
【0020】
また、本実施形態では、虫をポケット部9に誘因し易くするために、ポケット内部に誘因物質を配置するようにしてもよい。例えば、誘因物質を霧状にしてポケット内部に噴霧し、ポケット内の内壁面に付着させることができる。その際に、誘因物質が、内壁面に付着しやすくなるようにするために、ポケット内壁面の全面又は一部に凹凸を設けたエンボス構造を設けることができる。
【0021】
また、害虫捕獲器1を吊り下げて使用する場合に、糸などを通して吊り下げるための係止穴32が、害虫捕獲器1の周縁部に形成されている。本実施形態では、係止穴32は、下容器部2の第1鍔状部11及び上蓋3の第1鍔状部11の互いに対応する位置に、貫通孔として形成されている。
【0022】
本実施形態では、ポケット部9、及び嵌合受部4は、矩形の形状を有することができるが、しかし、これに限定されず、円形、楕円、三角形、多角形などの形状を有するようにしてもよい。上記でも説明したように、ポケット部9と嵌合受部4とは、その横断面形状がほぼ相似形であるが、嵌合受部4の方が、ポケット部9よりも大きい形状を有し、ポケット部9と嵌合受部4との間には段差部7を有する。
【0023】
本実施形態において、嵌合受部4の開口6は、約25mm×25mm程度の矩形形状を有することができる。嵌合受部4の深さは、約2mm程度とすることができる。また、段差部7の幅は、1mm程度とすることができる。
【0024】
また、ポケット部9の深さは、約20mm程度とすることができる。嵌合受部4の開口6の大きさ、或いはポケット部9の深さは、捕獲する害虫の種類、大きさ等で適宜変更することができる。
【0025】
次に、図1、及び図2を参照すると、上蓋3は、下容器部2の嵌合受部4に嵌合する嵌合部21、嵌合部21の周縁の内側に接続され、上蓋3の内側に延伸する底面部22、及び底面部22に接続され開閉可能に設けられた蓋部25を有することができる。嵌合部21は、下側に突出した凸形状を有することができる。また、上蓋3を下容器部2の嵌合受部4に嵌合したときに、下容器部2の第1鍔状部11に対向して配置される第2鍔状部31を有することができる。本実施形態では、第2鍔状部31は、嵌合部21の周縁の外側に、全周縁にわたって形成されている。
【0026】
底面部22は、嵌合部21の周縁から内側に延伸すると共に、下側に傾斜した構造を有しており、寄ってきた虫などが、上蓋3の底面部22から蓋部25に誘導し、捕獲しやすい構造となっている。
【0027】
また、蓋部25は、虫等が侵入するための領域であり、底面部22の一部に、開閉可能、且つ一体に取り付けられている。蓋部25は、例えば、底面部22と接続された領域で上下に折れて開閉可能に形成されている。また、蓋部25は、底面部22と接続された領域から、下側に傾斜して取り付けられている。底面部22から連続して下側に傾斜した構造を有しているので、寄ってきた虫などが、上蓋3の底面部22から蓋部25に誘導し、蓋部25を介してポケット部9に捕獲しやすい構造となっている。蓋部25は、ある程度弾性を有する材料からなることができ、蓋部25が上下に開閉した場合、元の位置に戻るように形成することができる。
【0028】
蓋部25が延伸する方向において、蓋部25と底面部22との間には、開口が設けられており、貫通孔26を形成することができる。虫などが、蓋部25を押し下げて、貫通孔26から、下容器部2のポケット部9に侵入し、捕獲される。
【0029】
図2を参照すると、蓋部25と底面部22との接続部には、上に凸形状に湾曲したリブ部24を設けることができる。リブ部24を設けることで、蓋部25が元の位置から、上側に開くことをある程度制限することができるので、ポケット部9に侵入し、捕獲された虫が、蓋部25を開けて逃げるのを防止することができる。また、本実施形態では、さらに、リブ部24の一部に、厚みを大きくした補強部23を設け、蓋部25が元の位置から、上側に開くことをさらに抑制する構造を採用している。これにより、確実に虫等をポケット部9に捕獲することができる。また、リブ部24を設けることにより、虫の侵入により蓋部25が複数回開閉された場合でも、蓋部25と底面部22との接続部の強度の低下、或いは破損等の不具合が生じるのを防止することができる。本実施形態では、リブ部24を補強するための補強部23を、リブ部24の上面側に設けることができる。また、本実施形態では、補強部23をリブ部24の両端部側に設けている(図6参照)。しかし、これに限定されず、リブ部24の一部又は全体に補強部23を設ける様にしてもよい。
【0030】
また、ポケット部9の底面部には、水抜き穴8が形成されている。本実施形態では、図2に示したように、ポケット部9の底面部は、下側に傾斜した構造を有し、その先端部に水抜き穴8が形成されている。これにより、害虫捕獲器1を使用する際に、ポケット部9内に溜まった水等の液体を、効率よく水抜き穴8から排出することができる。
【0031】
また、害虫捕獲器1は、ポリスチレンなどのプラスチック樹脂から成ることができる。しかし、これに限定されず、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)などを用いることができる。また、生分解性プラスチック樹脂を用いることもできる。また、害虫捕獲器1は、鉄、アルミニウムなどの金属材料、或いは、段ボールなどの紙材料から成ることもできる。
【0032】
また、害虫捕獲器1をプラスチック材料から形成するときは、例えば、金型を使用したプレス成形により形成することができる。
【0033】
次に、害虫捕獲器1の下容器部2及び上蓋3について詳細に説明する。図3に害虫捕獲器1の上蓋3、及び下容器部2について、嵌合する前の状態を示す。なお、図3(a)は、上蓋3の斜視図を概略的に示す図である。図3(b)は、上蓋3が嵌合する下容器部2の斜視図を概略的に示す図である。図4に、害虫捕獲器1の下容器部2の上面図を示す。図5に、図4のV線―V線に沿って取られた断面図を概略的に示す。図6に、害虫捕獲器1の上蓋3の上面図を示す。また、図7に、図6のVII線―VII線に沿って取られた断面図を概略的に示す。
【0034】
図3に示すように、害虫捕獲器1は、上蓋3の嵌合部21を、下容器部2の嵌合受部4の開口6に挿入し、着脱可能に嵌合することができる。本実施形態では、上蓋3の嵌合部21の大きさを、嵌合する下容器部2の嵌合受部4の開口6の大きさよりも、僅かに大きくして嵌め合わせる様に設計されている。このとき上蓋3の嵌合部21を、下容器部2の嵌合受部4の開口6に挿入し、嵌合したときに、上蓋3の嵌合部21が内側に僅かに変形し、下容器部2の嵌合受部4の内側面に沿って嵌合される。さらに、上蓋3の嵌合部21は、その側面がテーパ形状を有している。上蓋3の嵌合部21を下容器部2の嵌合受部4の開口6に挿入して嵌合したときに、上蓋3の嵌合部21の側面が必ず下容器部2の嵌合受部4の側面に接すると共に、上蓋3の嵌合部21が下容器部2の嵌合受部4に押圧されて、上蓋3の嵌合部21の側面と下容器部2の嵌合受部4の側面とが面接触するように変形するように構成することができる。この結果、上蓋3を下容器部2に嵌合して、確実に蓋をすることができる。
【0035】
また、図4図5を参照すると、下容器部2の嵌合受部4の隅角部には、逃部5を設けることができる。逃部5は、上蓋3の嵌合部21を嵌合受部4に嵌合したときに、加工誤差等により、例えば上蓋3の嵌合部21の角部が僅かに丸みを有し、上蓋3の嵌合部21の角部が下容器部2の嵌合受部4に当たり、うまく嵌合できない場合がある。逃部5は、このように上蓋3の嵌合部21の角部が当たって、下容器部2の嵌合受部4に挿入できなくなるのを防止するものであり、下容器部2の嵌合受部4において、上蓋3の嵌合部21の角部の対応する箇所に、所謂マウスイヤー形状の空隙部を設けたものである。
【0036】
また、図6図7を参照すると、上記でも説明したが、上蓋3は、下容器部2の嵌合受部4に嵌合する嵌合部21、嵌合部21の周縁の内側に接続され、上蓋3の内側に延伸する底面部22、及び底面部22に接続され開閉可能に設けられた蓋部25を有することができる。底面部22は、嵌合部21の周縁から内側に延伸すると共に、下側に傾斜した構造を有しており、寄ってきた虫などが、上蓋3の底面部22から蓋部25に誘導し、捕獲しやすい構造となっている。また、蓋部25は、底面部22の一部に、開閉可能、且つ一体に取り付けられている。本実施形態では、嵌合部21は、下容器部2の嵌合受部4の形状に対応して、矩形状の形状を有し、矩形の各辺から4面の底面部22が内側に延伸している。内側に延伸した底面部22の一つの先端部に、上下に開閉可能に蓋部25が接続されている。蓋部25が接続された底面部22と隣接する底面部22と蓋部25との間にはスリット(切れ目)が設けられており、これにより、蓋部25が上下に開閉することができる。また、蓋部25が接続された底面部22と対向して配置された底面部22と蓋部25との間には、所定の開口を有する貫通孔26が設けられており、この貫通孔26を介して、虫などをポケット部9に捕獲することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る害虫捕獲器101について、詳細に説明する。図8に、第2の実施形態に係る害虫捕獲器101の斜視図を概略的に示す。なお、図8(a)には、本実施形態に係る害虫捕獲器101の上蓋103の斜視図を概略的に示しており、また、図8(b)には、害虫捕獲器101の上蓋103が嵌合する下容器部102の斜視図を概略的に示している。図9に、本実施形態に係る害虫捕獲器101の斜視図を概略的に示す。なお、図9には、本実施形態に係る害虫捕獲器101の上蓋103が下容器部102に嵌合した状態を示している。
【0038】
図8、及び図9に示したように、第2の実施形態に係る害虫捕獲器101は、複数の捕獲部120を直線状に所定の方向(図9に示した第1方向)に複数個連結して配置した構造を有することができる。捕獲部120は、第1の実施形態に係る害虫捕獲器1と略同一の構造を有し、下容器部102と、下容器部102に着脱可能に嵌合する上蓋103とを有することができる。また、下容器部102は、虫を捕獲するためのポケット部109を有することができる。ポケット部109は、例えば、下側に突出した凸形状を有することができる。また、ポケット部109の上部側には、上蓋103が嵌合するための嵌合受部104が設けられている。嵌合受部104は、上蓋103が嵌合するための開口106と、開口106の全周縁に設けられた第1鍔状部111が設けられている。また、ポケット部109を断面視したときに、嵌合受部104と、ポケット部109との間には、ポケット部109の延伸方向に交差する方向に延伸する段差部107が設けられている。この段差部107を設けることで、上蓋103を下容器部102に嵌合したときに、嵌合受部104が押圧されても、広がらないようにすることができる。このため、上蓋103を下容器部102に嵌合して、確実に蓋をすることができる。本実施形態では、第1の実施形態に係る害虫捕獲器1と同様に、嵌合受部104は、下容器部102の上部側の全周縁部に形成されている。また、段差部107は、ポケット部109の側壁110から外側に延伸するように設けられている。しかし、これに限定されず、ポケット部109の側壁110から内側に延伸するように設けてもよい。
【0039】
また、上蓋103は、下容器部102の嵌合受部104に嵌合する嵌合部121、嵌合部121の周縁の内側に接続され、上蓋103の内側に延伸する底面部122、及び底面部122に接続され開閉可能に設けられた蓋部125を有することができる。嵌合部121は、下側に突出した凸形状を有することができる。また、上蓋103を下容器部102の嵌合受部104に嵌合したときに、下容器部102の第1鍔状部111に対向して配置される第2鍔状部131を有することができる。本実施形態では、第1の実施形態に係る害虫捕獲器1と同様に、第2鍔状部131は、嵌合部121の周縁の外側に、全周縁にわたって形成されている。
【0040】
底面部122は、嵌合部121の周縁から内側に延伸すると共に、下側に傾斜した構造を有しており、寄ってきた虫などが、上蓋103の底面部122から蓋部125に誘導し、捕獲しやすい構造となっている。
【0041】
図8、及び図9を参照すると、複数の捕獲部120の間には、捕獲部120同士を接続するための連結部160が設けられている。さらに、連結部160は、捕獲部120を構成する下容器部102が複数個設けられている。下容器部102のそれぞれを連結するための下部連結部115が設けられており、下部連結部115により隣接する下容器部102同士が接続されている。同様に、連結部160は、捕獲部120を構成する上蓋103が複数個設けられている。上蓋103のそれぞれを連結するための上部連結部135が設けられており、上部連結部135により隣接する上蓋103同士が接続されている。
【0042】
複数の下容器部102と、対応する複数の上蓋103とを嵌合することで、下部連結部115と上部連結部135とが互いに対向して配置され、連結部160を構成することができる。
【0043】
本実施形態では、下容器部102の嵌合受部104には、上蓋103が嵌合するための開口106と、開口106の全周縁に設けられた第1鍔状部111が設けられている。また、上蓋103は、下容器部102の嵌合受部104に嵌合したときに、下容器部102の第1鍔状部111に対向して配置される第2鍔状部131を有することができる。本実施形態では、第2鍔状部131は、嵌合部121の周縁の外側に、全周縁にわたって形成されている。下容器部102のそれぞれの第1鍔状部111が接続されており、隣接する下容器部102の第1鍔状部111が接続されて、下部連結部115を構成することができる。同様に、上蓋103のそれぞれの第2鍔状部131が接続されており、隣接する上蓋103の第2鍔状部131が接続されて、上部連結部135を構成することができる。
【0044】
なお、個々の捕獲部120は、第1の実施形態に係る害虫捕獲器1と略同一の構造を有することができる。以下の説明では、説明が必要な場合以外は、個々の捕獲部120の構成については、詳細説明を省略する。
【0045】
また、本実施形態では、簡単のために、3つの捕獲部120(120a、120b、120c)を有する害虫捕獲器101について説明する。また、下容器部102は、3つの下容器部102(102a、102b、102c)を有することができる。また、上蓋103も下容器部102に対応して3つの上蓋103(103a、103b、103c)を有することができる。
なお、捕獲部120の個数は、3つに限定されず、2個以上の個数であればよく、いくつの捕獲部120を備えてもよい。
【0046】
図8及び図9を参照すると、本実施形態では、第1方向に並べられた第1捕獲部120a、第2捕獲部120b、及び第3捕獲部120cを有することができる。また、第1捕獲部120aと第2捕獲部120bとの間に配置され、第1捕獲部120aと第2捕獲部120bとを接続するための第1連結部160aを有することができる。また、第2捕獲部120bと第2捕獲部120cとの間に配置され、第2捕獲部120bと第3捕獲部120cとを接続するための第2連結部160bを有することができる。
【0047】
また、第1連結部160aは、下容器部102の第1下部連結部115と上蓋103の第1上部連結部135を含むことができる。第1下部連結部115は、第1下容器部102a、及び第2下容器部102bを互いに接続している。また、第1上部連結部135は、第1上蓋103a、及び第2上蓋103bを互いに接続している。
【0048】
また、第2連結部160bは、下容器部102の第2下部連結部115と上蓋103の第2上部連結部135を含むことができる。第2下部連結部115は、第2下容器部102b、及び第3下容器部102cを互いに接続している。また、第2上部連結部135は、第2上蓋103b、及び第3上蓋103cを互いに接続している。
【0049】
本実施形態において、下容器部102の開口106は、第1の実施形態に係る害虫捕獲器1と同様に、約25mm×25mm程度の矩形形状を有することができる。また、ポケット部109の深さは、約20mm程度とすることができる。また、下部連結部115の第1方向の長さlは、約30mm程度とすることができる。なお、下容器部102の開口106の大きさ、或いはポケット部109の深さは、捕獲する害虫の種類、大きさ等で適宜変更することができる。
【0050】
また、第1捕獲部120a、第2捕獲部120b、及び第3捕獲部120cは、略同様の構造を有することができる。
【0051】
下側に凸形状のポケット部109の側壁110は、テーパ形状を有することができ、下側にいくほど互いに対向する側壁間の距離が徐々に小さくなるように形成されている。ポケット部109の側壁110が、テーパ形状を有することによって、例えば害虫捕獲器101を土壌に挿入して、使用する際に、挿入し易くなる。また、開口106は、矩形の形状を有することができるが、しかし、これに限定されず、円形、楕円、三角形、多角形などの形状を有するようにしてもよい。
【0052】
また、上記でも説明したとおり、上蓋103は、下容器部102に着脱可能に嵌合して蓋をするための複数の嵌合部121を有することができる。嵌合部121のそれぞれは、下側に突出した凸形状を有することができる。また、嵌合部121は、下容器部102に嵌合するための嵌合部121、及び嵌合部121に接続された底面部122を有することができる。底面部122には、蓋部125が形成されている。蓋部125は、虫等が侵入するための貫通孔126を有することができる。
【0053】
また、複数の嵌合部121の間には、嵌合部121同士を接続するための上部連結部135が設けられており、上部連結部135により隣接する嵌合部121が接続されている。
【0054】
本実施形態では、捕獲部120に対応して、3つの嵌合部121(121a、121b、121c)を備えた上蓋103について説明する。なお、嵌合部121の個数は、3つに限定されず、捕獲部120の個数に対応して2個以上の個数であればよく、いくつの嵌合部121を備えてもよい。
【0055】
図8、及び図9を参照すると、下容器部102の第1嵌合受部104a、第2嵌合受部104b、及び第3嵌合受部104cに対応して、第1方向に順に並べられた第1嵌合部121a、第2嵌合部121b、及び第3嵌合部121cを有することができる。また、第1嵌合部121aと第2嵌合部121bとの間に配置され、第1嵌合部121aと第2嵌合部121bとを接続するための第1上部連結部135aを有することができる。また、第2嵌合部121bと第3嵌合部121cとの間に配置され、第2嵌合部121bと第3嵌合部121cとを接続するための第2上部連結部135bを有することができる。
【0056】
本実施形態において、嵌合部121は、下側に突出した側壁を有することができる。この側壁は、テーパ形状を有し、下側にいくほど互いに対向する側壁間の距離が徐々に小さくなるように形成されている。上蓋103を下容器部102に嵌合して蓋をするときに、嵌合部121の側壁が、下容器部102の嵌合受部104の側壁に面接触することで、蓋をすることができる。
【0057】
嵌合部121の大きさは、下容器部102の開口106の大きさに対応して、約25mm×25mm程度の矩形形状を有することができる。なお、上蓋103を下容器部102に確実に嵌合させるために、嵌合部121の大きさを、下容器部102の開口106の大きさよりも僅かに大きなサイズとすることができる。本実施形態では、嵌合部121の一辺の大きさを、下容器部102の開口106の大きさよりも、0.3mm程度大きなサイズとしている。また、 嵌合部121の深さは、約4mm程度とすることができる。また、上部連結部135の第1方向の長さlは、下部連結部115に対応して、約30mm程度とすることができる。なお、嵌合部121の大きさ、或いは貫通孔126の大きさは、捕獲する害虫の種類、大きさ等で適宜変更することができる。
【0058】
また、上蓋103の嵌合部121の形状は下容器部102の捕獲部の形状に合わせて、矩形、円形、楕円、三角形、多角形などの形状とすることができる。
【0059】
また、図8、及び図9を参照すると、複数の捕獲部120(本実施形態では、第1捕獲部120a、第2捕獲部120b、及び第3捕獲部120c)のそれぞれに含まれる下容器部102(下容器部102a、下容器部102b、及び下容器部102c)の嵌合受部104の開口106のそれぞれの全周縁に、第1鍔状部111が設けられている。複数の下容器部102は、それぞれの下容器部102の間に形成された第1鍔状部111によって連結されている。さらに、それぞれの嵌合受部104の開口106の側辺部に設けられた第1鍔状部111が、複数の下容器部102にわたって、第1方向に連続的に接続されている。これにより、互いに連結された複数の下容器部102の接続強度を大きくすることができる。また、嵌合受部104の開口106の側辺部に設けられた第1鍔状部111には、第1方向に並んで複数の第1側辺貫通孔170を形成することができる。この第1側辺貫通孔170を設けることで、複数の下容器部102の接続部の柔軟性(屈曲性)を向上することができる。これにより、直線状に連結された複数の下容器部102をリールに簡単に巻きつけることができるため、容易に運搬、或いは収納することができる。
【0060】
同様に、複数の捕獲部120(本実施形態では、第1捕獲部120a、第2捕獲部120b、及び第3捕獲部120c)のそれぞれに含まれる上蓋103(上蓋103a、上蓋103b、及び上蓋103c)の嵌合部121のそれぞれの全周縁に、第2鍔状部131が設けられている。複数の上蓋103は、それぞれの篏合部121の間に形成された第2鍔状部131によって連結されている。さらに、それぞれの嵌合部121の側辺部に設けられた第2鍔状部131が、複数の上蓋103にわたって、第1方向に連続的に接続されている。これにより、互いに連結された複数の上蓋103の接続強度を大きくすることができる。また、嵌合部121の側辺部に設けられた第2鍔状部131には、第1方向に並んで複数の第2側辺貫通孔171を形成することができる。この第2側辺貫通孔171を設けることで、複数の上蓋103の接続部の柔軟性(屈曲性)を向上することができる。これにより、直線状に連結された複数の上蓋103をリールに簡単に巻きつけることができるため、容易に運搬、或いは収納することができる。
【0061】
次に、本実施形態の害虫捕獲器101の変形例について、詳細に説明する。図10に、本実施形態に係る害虫捕獲器201の斜視図を概略的に示す。また、図10(a)に、本実施形態に係る害虫捕獲器201の上蓋103の斜視図を概略的に示す。図10(b)に、本実施形態に係る害虫捕獲器201において、上蓋103が嵌合する下容器部102の斜視図を概略的に示す。また、図11に、図10に示した害虫捕獲器201の上蓋103が下容器部102に嵌合した状態の害虫捕獲器201を概略的に示す。
【0062】
図10、及び図11を参照すると、下容器部102において、第1方向に並べられた複数の嵌合受部104の間には、それぞれ、第1方向と交差する方向に延伸する下分離構造140が設けられている。同様に、下容器部102に嵌合する上蓋103にも、下分離構造140に対応して、第1方向に並べられた複数の嵌合部121の間には、それぞれ、第1方向と交差する方向に延伸する上分離構造150が設けられている。なお、なお、本実施形態において、下容器部102に下分離構造140が設けられており、上蓋103に上分離構造150が設けられている以外は、害虫捕獲器101と同様の構造を有するので、特に説明が必要なとき以外は、説明を省略する。
【0063】
また、本実施形態では、分離構造は、凹形状の溝構造を有することができる。しかし、これに限定されず、孔構造、或いはミシン目構造などを用いることができる。
【0064】
本実施形態では、下容器部102において、第1ポケット部109a、第2ポケット部109b、及び第3ポケット部109cのそれぞれの間に、下分離構造140a、及び下分離構造140bを設けることができる。下分離構造140(140a、140b)は、凹形状の溝構造とすることができる。下分離構造140を設けることで、分離する箇所が視認し易くなるのでポケット部109同士を分離し易くすることができる。また、下分離構造140において屈曲し易くできるので、下容器部102をリール等に巻き付けて運搬等することができるので、取り扱いが容易となる。また、下分離構造140が延伸する方向の両端部には、下分離構造補強部141が設けられている。下分離構造補強部141を設けることで、下容器部102がねじれたり。変形することを防止できる。また、下分離構造140を設けた領域の強度が大きくなるので、折れ等の不具合を回避することができる。
【0065】
同様に、上蓋103において、第1嵌合部121a、第2嵌合部121b、及び第3嵌合部121cのそれぞれの間に、上分離構造150a、及び上分離構造150bを設けることができる。上分離構造150(150a、150b)は、凹形状の溝構造とすることができる。上分離構造150を設けることで、分離する箇所が視認し易くなるので嵌合部121同士を分離し易くすることができる。また、上分離構造150において屈曲し易くできるので、上蓋103をリール等に巻き付けて運搬等することができるので、取り扱いが容易となる。また、上分離構造150が延伸する方向の両端部には、上分離構造補強部151が設けられている。上分離構造補強部151を設けることで、上蓋103がねじれたり。変形することを防止できる。また、上分離構造150を設けた領域の強度が大きくなるので、折れ等の不具合を回避することができる。
【0066】
このように、下容器部102及び上蓋103に、それぞれ下分離構造140及び上分離構造150を設けることで、これらの分離構造を設けた領域で切断し分離することができる。これにより、使用場所、或いは使用用途に応じて、任意の長さ、任意の個数の捕獲部120を有する害虫捕獲器201を構成することができる。
【0067】
害虫捕獲器101では、下容器部102と、下容器部102に着脱可能に嵌合する上蓋103とを設け、捕獲部120が、直線状に第1の方向に所定の間隔で配置された複数の捕獲部120を有するように構成されている。これにより、容易に、複数の捕獲部120を一度に設置できるので、設置作業が簡略化できる。また、害虫捕獲器101を回収する際も、複数の捕獲部120を一度に回収することができる。また、所定の間隔で複数の捕獲部120を配置することにより、例えば、捕獲部120に捕獲できなかったとしても、隣接する複数の捕獲部120に捕獲されるので、効率よく、且つ確実に虫などを捕獲することが可能である。
【0068】
(比較例)
図12に、比較例として試作した害虫捕獲器301を示す。図12(a)は、害虫捕獲器301の斜視図を概略的に示す図である。また図12(b)は、図12aのXII-XII線に沿って取られた断面図を示す図である。
【0069】
図12を参照すると、害虫捕獲器301は、下容器部202と、下容器部202に着脱可能に嵌合する上蓋203とを有することができる。下容器部202は、虫を捕獲するためのポケット部209を有することができる。ポケット部209は、例えば、下側に突出した凸形状を有することができる。また、開口206の全周縁に設けられた第1鍔状部211を有することができる。ポケット部209の側面は、底面部から開口206まで延伸しており、第1実施形態の害虫捕獲器1の嵌合受部4は形成されていない。
【0070】
また、上蓋203は、下容器部202の開口206に嵌合する嵌合部221、嵌合部221の周縁の内側に接続され、上蓋203の内側に延伸する底面部222を有する。なお、上蓋203には、第1実施形態の害虫捕獲器1の底面部22に接続され開閉可能に設けられた蓋部25は設けられていない。また、上蓋203を下容器部202に嵌合したときに、下容器部202の第1鍔状部211に対向して配置される第2鍔状部231を有することができる。本実施形態では、第2鍔状部231は、嵌合部221の周縁の外側に、全周縁にわたって形成されている。また、底面部222には、開口が設けられており、開口を介して虫などが侵入しポケット部209に捕獲するための貫通孔226が形成されている。
【0071】
害虫捕獲器301と第1実施形態の害虫捕獲器1とを使用して、害虫の捕獲実験を行った。害虫捕獲器301において、上蓋203の貫通孔226を介して虫などをポケット部209に誘導し捕獲することができたが、しかし、害虫捕獲器301は、第1実施形態の害虫捕獲器1の底面部22に設けられた蓋部25を有しないので、いったんポケット部209に捕獲した虫が、貫通孔226から外部に逃げ出す場合があるため、捕獲割合が、害虫捕獲器1よりも小さかった。
【0072】
また、第1実施形態の害虫捕獲器1のように、ポケット部9の上部側に上蓋3が嵌合するための嵌合受部4が設けられていないので、上蓋203が外れやすく、一旦ポケット部209に捕獲した虫が動いただけで、上蓋203がはずれ、虫が逃げ出す場合もあった。
【0073】
一方、第1実施形態の害虫捕獲器1を用いた場合は、上蓋3の上部側に近づいたときに、蓋部25が下側に開き、虫をポケット部9に誘導し、ポケット部9に捕獲することができる。虫を捕獲した後、蓋部25に設けたリブ構造により、蓋部25が元に位置に戻るように構成されているので、一度捕獲された虫は、外部に逃げることができず、確実に虫を捕獲することができた。また、ポケット部9に設けた嵌合受部4に、上蓋3の嵌合部21を嵌合することで、上蓋3により下容器部2に確実に蓋をすることができ、外れにくい構造としているので、蓋が外れて虫が逃げ出すことも回避することができた。
【0074】
次に、本実施形態の害虫捕獲器(1、101、201)の使用方法について、詳細に説明する。なお、以下の説明では、簡単のために害虫捕獲器1の使用例について、説明するが、害虫捕獲器101、201でも同様に使用することができる。また、比較例で説明した害虫捕獲器301についても、同様に使用することができることは言うまでもない。
【0075】
図13に、害虫捕獲器1の使用方法の一例を説明するための図を示す。図13には、害虫捕獲器1を、例えば牛舎内に吊り下げて使用する場合を示している。害虫捕獲器1の周縁部には、糸などを通して吊り下げるための係止穴32が形成されている。
【0076】
また、本実施形態では、ポケット部9内に、虫を誘導するための誘因物質を配置して使用することができる。図13には、ポケット部9内に、虫を誘導するための誘因物質をスプレー等で噴霧して、ポケット部9の内壁面に付着させて使用することができる。誘因物質として、例えば、害虫特有のフェロモン物質などを用いることができる。
【0077】
本実施形態では、誘因物質が、内壁面に付着しやすくなるようにするために、ポケット部9内壁面の全面又は一部に凹凸を設けたエンボス構造を設けることができる(図示せず)。これにより、誘因物質を霧状にしてポケット部9内の噴霧したときに、容易に誘因物質を内壁面に付着させることができる。
【0078】
また、図14には、害虫捕獲器1の使用方法の別の例を示す。図15に、理解を容易にするために、図14のXV―XV線に沿って取られた断面図を概略的に示す。 図14、及び図15には、害虫捕獲器1を、例えば作物を植えた土壌に周囲に、埋め込んで使用する場合を示している。本実施形態では、ポケット部9の側壁10が、テーパ形状を有しており、これにより、例えば害虫捕獲器1を土壌に挿入して、使用する際に、挿入し易くなっている。
【0079】
害虫捕獲器1を用いて、害虫を捕獲した後は、捕獲した害虫を上蓋3を開けて除去することで、何度でも使用することができる。また、上蓋3をしたまま虫ごと廃棄するようにしてもよい。この場合、害虫捕獲器1を生分解性プラスチックを含む材料から構成することで、自然に土壌中に分解するようにすることができるので、プラスチックごみの問題も低減することができる。
【0080】
なお、第2の実施形態において、複数の捕獲部120を直線状に所定の方向(第1方向)に複数個連結して配置した構造について説明したが、これに限定されず、平面上に2次元的に配置して互いに連結した構造とすることもできる。
【0081】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【符号の説明】
【0082】
1 害虫捕獲器
2 下容器部
3 上蓋
4 嵌合受部
5 逃部
6 開口
7 段差部
8 水抜き穴
9 ポケット部
10側壁
11 第1鍔状部
21 嵌合部
22 底面部
23 補強部
24 リブ部
25 蓋部
26 貫通孔
31 第2鍔状部
32 係止穴
101 害虫捕獲器
102 下容器部
103 上蓋
104 嵌合受部
105 逃部
106 開口
107 段差部
108 水抜き穴
109 ポケット部
110 側壁
111 第1鍔状部
115 下部連結部
120 捕獲部
121 嵌合部
122 底面部
123 補強部
124 リブ部
125 蓋部
126 貫通孔
131 第2鍔状部
132 係止穴
135 上部連結部
140 下分離構造
141 下分離構造補強部
150 上分離構造
151 上分離構造補強部
160 連結部
170 第1側辺貫通孔
171 第2側辺貫通孔
201 害虫捕獲器
301 害虫捕獲器
202 下容器部
203 上蓋
206 開口
209 ポケット部
211 第1鍔状部
221 嵌合部
222 底面部
226 貫通孔
231 第2鍔状部





【要約】
【課題】粘着剤を利用しない方法で害虫を捕獲することができ、また、取り扱いが容易で、且つ捕獲能力が劣化しない害虫捕獲器を提供することである。
【解決手段】害虫を捕獲するための害虫捕獲器であって、嵌合受部と、害虫を捕獲するためのポケット部を有する下容器部と、下容器部の嵌合受部に嵌合するための嵌合部を有し、当該嵌合部を嵌合受部に嵌合することにより着脱可能に下容器部に嵌合する上蓋とを備える。上蓋は、嵌合部の周縁の内側に接続され、上蓋の内側に延伸する底面部と、底面部の一部に接続され上下に開閉可能に設けられた蓋部を有し、蓋部と底面部との接続部に対向する位置であって、蓋部と底面部との間に、害虫を下容器部のポケット部に誘引するための貫通孔が設けられている。
【選択図】図1
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