(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】電力システム資産を監視及び/又は動作させるための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20241105BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241105BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241105BHJP
G01R 31/367 20190101ALI20241105BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20241105BHJP
G01R 31/385 20190101ALI20241105BHJP
G01R 31/392 20190101ALI20241105BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J7/00 Y
H01M10/48 A
G01R31/367
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/392
(21)【出願番号】P 2023526611
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2021080706
(87)【国際公開番号】W WO2022096616
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-05-01
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【氏名又は名称】山下 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペイェトリ,エラルド
(72)【発明者】
【氏名】オッテビル,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】フィルラ,マルシン
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/053131(WO,A1)
【文献】特表2020-533772(JP,A)
【文献】特開2016-092896(JP,A)
【文献】特表2019-512774(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0111599(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0039787(US,A1)
【文献】米国特許第09690312(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0032141(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J13/00
H02J3/00-5/00
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H01M10/42-10/48
G01R31/36-31/396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力システム資産(11;11a~c)を監視及び/又は動作させる方法であって、コンピューティングシステム(13)によって実施される、
少なくとも1つのデータ取得ユニット(12)から、前記電力システム資産(11;11a~c)の状態を示す測定値を受信するステップと、
前記受信測定値を処理して、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセット(71~73)の系列を確定するステップであって、前記第1のモデルパラメータ値の前記セット(71~73)の各々は、異なる時間又は時間間隔に対して確定される、処理して確定するステップと、
前記第1のモデルパラメータ値のセット(71~73)の系列を使用して、前記電力システム資産モデルとは異なるパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセット(79)を確定するステップであって、前記パラメータ発展モデルは、前記電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値(71~73)の発展を記述する、確定するステップと、
前記電力システム資産モデルの
少なくとも1つの前記第1のモデルパラメータ値のセット(71~73)及び前記パラメータ発展モデルの前記第2のモデルパラメータ値のセット(79
)に応じて出力を生成及び提供するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記パラメータ発展モデルは、前記電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値(71~73)の発展を、動作条件及び/又は周囲条件の関数として記述する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力を生成するステップは、前記パラメータ発展モデルを使用して劣化診断を実施することを含み、前記出力は、前記劣化診断の結果の関数として生成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記パラメータ発展モデルを使用して、前記電力システム資産モデルの前記1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値(71~73)の将来の発展の予報を生成するステップをさらに含む、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記予報は、前記予報された将来の発展に基づく残存耐用年数(RUL)、将来の電力システム資産状態、前記電力システム資産の将来の性能のうちの少なくとも1つを含む出力を生成するために使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記パラメータ発展モデルは、前記電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値(71~73)の発展を、周囲条件及び/又は動作条件の関数として記述し、前記方法は、前記パラメータ発展モデルを使用して、前記電力システム資産モデルの前記1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値(71~73)の将来の発展のいくつかの予報を生成するステップを含み、前記いくつかの予報は、複数の異なる将来の周囲条件及び/又は動作条件に対して確定される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記将来の周囲条件及び/若しくは動作条件の少なくともサブセットを指定するユーザ入力を受信するステップ、並びに/又は、前記将来の周囲条件及び/若しくは動作条件の少なくともサブセットを自動的に生成するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記電力システム資産モデルを使用して、第1の時間スケールで発生する事象の診断を実施するステップと、
前記パラメータ発展モデルを使用して、前記第1の時間スケールを超える第2の時間スケールで発生する
前記第1のモデルパラメータ値(71~73)の発展を識別するステップとを含む、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記電力システム資産モデルの前記第1のモデルパラメータ値の複数のセット(71~73)のうちの少なくとも1つは、測定値と組み合わせて使用されて、現在の電力システム資産状態が計算され、測定値と現在の電力システム資産状態から推定される可観測量との間の残差が計算され、前記残差に基づいて前記第1の時間スケールで発生する事象の診断が実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記出力は、
任意選択的に警報又は警告を含む、ヒューマンマシンインターフェース(18)HMIを介して出力される情報
と、
コントローラ、特にバッテリ管理システムBMS又はマイクログリッドコントローラ(41a~c)に出力される制御信号
と、
のうちの1つ又はいくつかを含む、
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記出力は、電力システム資産健全性情報を含む、
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記電力システム資産(11;11a~c)の周囲及び/又は動作条件を断続的に調整して、前記調整された周囲及び/又は動作条件の前記第2のモデルパラメータ値のセットを確定するステップをさらに含む、
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記電力システム資産は、充電式エネルギー貯蔵システムESS、特に電気化学的ESS、特に充電式バッテリエネルギー貯蔵システム(11;11a~c)BESSであるか、又はそれを含む、
請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ESSは、複数の電池又は複数の電池ストリングを含み、パラメータ発展モデルの前記第1のモデルパラメータ値のセット(71~73)及び前記第2のモデルパラメータ値のセット(79)は、前記複数の電池又は電池ストリングの各々に対して別個に確定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1のモデルパラメータ値のセット(71~73)を確定するステップは、離散時間線形微分方程式を解くステップを含み、及び/又は
前記第2のモデルパラメータ値のセット(79)を確定するステップは、機械学習、フィッティング、回帰分析、特に線形回帰のうちの少なくとも1つを
含む、
請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
コンピューティングシステムであって、
電力システム資産(11;11a~c)の状態を示す測定値を受信するように動作するインターフェース(17;31)と、
前記インターフェース(17;31)に結合されており、
前記受信測定値を処理して、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセット(71~73)の系列を確定することであって、前記第1のモデルパラメータ値の前記セット(71~73)の各々は、異なる時間又は時間間隔に対して確定される、処理して確定することと、
前記第1のモデルパラメータ値のセット(71~73)の系列を使用して、前記電力システム資産モデルとは異なるパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセット(79)を確定することであって、前記パラメータ発展モデルは、前記電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値(71~73)の発展を記述する、確定することと、
前記電力システム資産モデルの
少なくとも1つの前記第1のモデルパラメータ値のセット(71~73)及び前記パラメータ発展モデルの前記第2のモデルパラメータ値のセット(79
)に応じて出力を生成及び提供することとを行うように動作する少なくとも1つの集積回路(14)とを備える、コンピューティングシステム。
【請求項17】
システムであって、
バッテリエネルギー貯蔵システム(11;11a~c)BESSと、
前記BESSの状態を示す測定値を収集するように動作するデータ取得ユニット(12)と、
前記データ取得ユニット(12)に結合された、請求項16に記載のコンピューティングシステム(13)とを備える、システム。
【請求項18】
前記制御信号が、充電速度、放電速度、電力システム資産周囲温度、放電深度、保護システム、のうちの少なくとも1つを制御する、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のモデルパラメータ値のセット(71~73)は、
自己放電抵抗(Rb)、
充放電のヒステリシスをモデル化するための第1のRC要素(Rh、Ch)、
長時間過渡現象をモデル化するための第2のRC要素(Rp、Cp)、
短時間過渡現象をモデル化するための第3のRC要素(Rc、Cc)
のパラメータ値を含む、請求項1~請求項15、18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、電力システム資産を監視及び/又は動作させるための方法及びシステムに関する。本発明は、電力システム資産のモデルを使用する、電力システム資産を監視及び/又は動作させるための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
発電、送電、及び配電システムは、充電式エネルギー貯蔵システム、変圧器、発電機(分散型エネルギー資源(DER)など)などの複数の電力システム資産を含む。信頼性が高く安定したシステム動作を保証し、保守又は人間による検査のタスクをトリガし、及び/又は電力システム資産の動作点を確定するために、そのような電力システム資産の条件を監視することが重要である。
【0003】
電力システム資産を監視及び/又は動作させるための技法は、モデルベースであり得る。例示のために、電力システム資産のモデルはパラメータ化を有することができ、様々なパラメータのパラメータ値は、現場動作中にキャプチャされた測定値に基づいて確定することができる。
【0004】
国際公開第2015/160745号パンフレットは、電気エネルギー貯蔵システムの性能を予測する方法を開示しており、この方法は、電気エネルギー貯蔵システムの複数の動作パラメータに関係するデータ点の時系列を入力として受信するステップを含む。入力時系列は、電気エネルギー貯蔵システムの動態をシミュレートするモデルに提供される。電気エネルギー貯蔵システムの複数の性能指標を、電気エネルギー貯蔵システムのシミュレートされた動態に基づいて計算することができる。
【0005】
米国特許出願公開第2007/0194756号明細書は、バッテリを監視する方法を開示しており、この方法は、少なくとも1回の使用後の測定充電状態を確定するためにバッテリ上の開回路電圧を測定するステップと、少なくとも1回の使用前の充電状態及び少なくとも1回の使用中のバッテリの放電に基づいて算出充電状態を取得するステップと、算出充電状態と測定充電状態との間の差に少なくとも部分的に基づいてバッテリの状態を確定するステップとを含む。
【0006】
欧州特許出願公開第2 337 184号明細書は、コンバータの効率を高めることができるグリッド接続エネルギー貯蔵システム及びシステムを制御する方法を開示している。
【0007】
電力システム資産を監視するための従来のモデルベースの手法には、様々な欠点がある。例示のために、電力システム資産の状態は、電力システム資産モデルのパラメータ値が確定された後に経過した時間間隔において電力システム資産の状態が著しく低下すると、電力システム資産モデルによって適切に反映されなくなる可能性がある。パラメータ値を反復的に再確定することは、この問題を軽減することができるが、電力システム資産状態の発展の長期的な傾向を体系的に捉えることはできない。電力システム資産を監視するために従来のモデルベースの手法を使用する場合、特に膨大な数の可能な動作条件があることを考慮する場合、傾向分析は困難である。従来のモデルベースの手法は、例えば構成プロセスのために、人間の技師の多大な関与を必要とすることが多く、これにより、これらの手法はエラーを起こしやすくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
概要
電力システム資産を監視及び/又は動作させるための従来のモデルベースの技法の欠点の少なくとも一部を軽減する改善された方法及びシステムが当該技術分野で必要とされている。特に、当該技術分野では、傾向を体系的に識別することを可能にし、傾向分析を促進し、及び/又は人間の専門家の関与を低減する方法及びシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によれば、電力システム資産モデルのパラメータ値が確定される。これは、反復的に、例えば定期的に行われる。電力システム資産モデルのパラメータ値のうちの1つ、いくつか、又はすべての発展を確定するパラメータ発展モデルが確立される。これは、電力システム資産モデルのパラメータ値のうちの1つ、いくつか、又はすべてがどのように発展するかを定義するパラメータ発展モデルのパラメータの第2のモデルパラメータ値のセットを確定することを含むことができる。
【0010】
パラメータ発展モデルは、電力システム資産モデルとは別個のものである。パラメータ発展モデルを使用して、電力システム資産モデルのパラメータ値の時間発展の傾向を体系的に捉え、定量化することができる。
【0011】
電力システム資産モデルのパラメータ値の確定は、例えば測定値に基づいて、データ駆動手法を使用して実施することができる。測定値は、電力システム資産内又は電力システム資産上に取り付けられたセンサを含む、1つ又はいくつかのセンサによってキャプチャすることができる。
【0012】
電力システム資産モデルのパラメータ値のうちの1つ、いくつか、又はすべてがどのように発展するかを定義するパラメータ発展モデルのパラメータの第2のモデルパラメータ値のセットは、キャプチャされた測定値に直接的又は間接的に依存する。例示のために、パラメータ発展モデルは、第1のモデルパラメータ値のセットを入力として使用して訓練することができ、各セットは、測定値を使用して電力システム資産モデルについて確定され、各セットは、異なる時間又は時間間隔に関連付けられる。
【0013】
したがって、実施形態による方法及びシステムは、ハイブリッドデータ駆動・モデルベース電力システム資産監視システムを提供し、このシステムは、電力システム資産の実際の現在の状態に対する洞察をエンドユーザに提供し、その将来の状態を予測することができる。
【0014】
傾向分析において、複数の異なる動作シナリオ(例えば、複数の異なる仮想的な将来の制御措置)に対応することができる。例示のために、パラメータ発展モデルは、1つ又はいくつかの動作シナリオに対する電力システム資産モデルの将来の発展を予測するために使用することができる。
【0015】
動作シナリオを追跡するために、制御信号及び/又は制御パラメータを制御ユニットにおいて自動的に設定することができる。これは、温度制御、保護システム(例えば、回路遮断器状態)、充放電速度などを含むことができる。
【0016】
一実施形態による電力システム資産を監視及び/又は動作させる方法は、少なくとも1つのデータ取得ユニットから、電力システム資産の状態を示す測定値を受信するステップを含む。本方法は、受信測定値を処理して、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセットの系列を確定するステップであって、第1のモデルパラメータ値のセットの各々は、異なる時間又は時間間隔に対して確定される、処理して確定するステップを含む。本方法は、第1のモデルパラメータ値のセットの系列を使用して、電力システム資産モデルとは異なるパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを確定するステップであって、パラメータ発展モデルは、電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を記述する、確定するステップを含む。本方法は、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセット及びパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットのうちの少なくとも一方に応じて出力を生成及び提供するステップを含む。
【0017】
パラメータ発展モデルは、電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を、動作条件及び/又は周囲条件の関数として記述することができる。
【0018】
出力を生成することは、パラメータ発展モデルを使用して劣化診断を実施することを含むことができる。出力は、劣化診断の結果の関数として生成することができる。
【0019】
本方法は、パラメータ発展モデルを使用して、電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の将来の発展の予報を生成するステップをさらに含むことができる。
【0020】
予報は、予報された将来の発展に基づいて確定される残存耐用年数(RUL)、将来の電力システム資産状態、電力システム資産の将来の性能のうちの少なくとも1つを含むことができる出力を生成するために使用することができる。
【0021】
パラメータ発展モデルは、電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を、周囲条件及び/又は動作条件の関数として記述することができる。
【0022】
本方法は、電力システム資産の周囲及び/又は動作条件を断続的に調整して、調整された周囲及び/又は動作条件の第2のモデルパラメータ値のセットを確定するステップを含むことができる。
【0023】
周囲及び/又は動作条件を断続的に調整することは、ユーザ入力に応答して周囲及び/又は動作条件を調整することを含むことができる。
【0024】
周囲及び/又は動作条件を断続的に調整することは、周囲及び/又は動作条件を調整するためのコマンドを制御ユニットに発行することと、調整された周囲及び/又は動作条件に対して少なくとも2つ又は少なくとも3つの第1のモデルパラメータ値のセットが確定された後、周囲及び/又は動作条件をそれらの以前の値に戻すためのコマンドを制御ユニットに発行することとを含むことができる。
【0025】
周囲及び/又は動作条件を断続的に調整することは、温度制御を実施すること、少なくとも1つの保護システム(例えば、回路遮断器状態)を制御すること、少なくとも1つのスイッチ状態を制御すること、充電速度を制御すること、放電速度を制御することのうちの1つ又はいくつかを含むことができるが、これらに限定されない。
【0026】
第2のモデルパラメータ値のセットは、複数の周囲及び/又は動作条件の各々について、パラメータ発展モデル(線形若しくは非線形回帰モデル又は機械学習モデルの係数の形態をとることができる)のパラメータ化のためにそれぞれ確定することができる。これは、それぞれ、周囲及び/又は動作条件を特定の値に断続的に調整して、その周囲及び/又は動作条件に関連付けられる第2のモデルパラメータ値のセットを確定することを伴うことができる。パラメータ発展モデルのパラメータ化のためのパラメータ値がいくつかの異なる周囲及び/又は動作条件について確定されるまで、第2のモデルパラメータ値のセットの調整及び確定を繰り返すことができる。
【0027】
本方法は、パラメータ発展モデルを使用して、電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の将来の発展のいくつかの予報を生成するステップを含むことができ、いくつかの予報は、複数の異なる将来の周囲条件及び/又は動作条件に対して確定される。
【0028】
本方法は、将来の周囲条件及び/若しくは動作条件の少なくともサブセットを指定するユーザ入力を受信するステップ、並びに/又は、将来の周囲条件及び/若しくは動作条件の少なくともサブセットを自動的に生成するステップをさらに含むことができる。
【0029】
本方法は、電力システム資産モデルを使用して、第1の時間スケールで発生する事象の診断を実施するステップをさらに含むことができる。
【0030】
本方法は、パラメータ発展モデルを使用して、第1の時間スケールを超える第2の時間スケールで発生する傾向を識別するステップをさらに含むことができる。
【0031】
第1の時間スケールは、測定値が受信されるサンプリング間隔、又は第1のモデルパラメータ値のセットがそれぞれ確定される時間間隔と等しいか、それよりも小さいか、又はそれに類似していてもよい。
【0032】
電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値の複数のセットのうちの少なくとも1つは、測定値と組み合わせて使用されて、現在の電力システム資産状態が計算され、測定値と現在の電力システム資産状態から推定される可観測量との間の残差が計算され、残差に基づいて第1の時間スケールで発生する事象の診断が実施され得る。
【0033】
出力は、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を介して出力される情報及び/又はコントローラに出力される制御信号のうちの1つ又はいくつかを含むことができる。
【0034】
出力は、電力システム資産健全性情報を含むことができる。
出力は、警報又は警告を含むことができる。
【0035】
制御信号は、マイクログリッドコントローラに出力されてもよい。
パラメータ発展モデルの第1のモデルパラメータ値のセット及び第2のモデルパラメータ値のセットは、複数の電池又は電池ストリングの各々に対して別個に確定されてもよい。
【0036】
第1のモデルパラメータ値のセットを確定することは、離散時間線形微分方程式を解くことを含むことができる。
【0037】
第2のモデルパラメータ値のセットを確定することは、機械学習、フィッティング、又は回帰分析、特に線形回帰のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0038】
コンピューティングシステムは、エネルギー貯蔵システムの状態を示す測定値を受信するように動作するインターフェースと、インターフェースに結合された少なくとも1つの集積回路とを備える。少なくとも1つの集積回路は、受信測定値を処理して、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセットの系列を確定することであって、第1のモデルパラメータ値のセットの各々は、異なる時間又は時間間隔について確定される、第1のモデルパラメータ値のセットの系列を確定することと、第1のモデルパラメータ値のセットの系列を使用して、電力システム資産モデルとは異なるパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを確定することであって、パラメータ発展モデルは、電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を記述する、第2のモデルパラメータ値のセットを確定することと、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセット及びパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットのうちの少なくとも一方に応じて出力を生成し提供することとを行うように動作する。
【0039】
コンピューティングシステムは、一実施形態による方法を実施するように動作することができる。
【0040】
システムは、電力システム資産と、電力システム資産の状態を示す測定値を収集するように動作するデータ取得ユニットと、データ取得ユニットに結合された、実施形態によるコンピューティングシステムとを備える。
【0041】
電力システム資産は、これに限定されないが、変圧器、分散型エネルギー資源(DER)、充電式エネルギー貯蔵システムであってもよい。パラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを確定することにより、電力システム資産状態発展の長期的な傾向を体系的に確定することができる。第1のモデルパラメータ値のセットは、パラメータ発展モデルによって反映されるように、システム内のより長期の劣化を観測するために記憶及び評価することができる。
【0042】
一実施形態による充電式エネルギー貯蔵システム(ESS)を監視及び/又は動作させる方法は、少なくとも1つのデータ取得ユニットから、ESSの状態を示す測定値を受信するステップを含む。本方法は、受信測定値を処理して、ESSモデルの第1のモデルパラメータ値のセットの系列を確定するステップであって、第1のモデルパラメータ値のセットの各々は、異なる時間又は時間間隔に対して確定される、処理して確定するステップを含む。本方法は、第1のモデルパラメータ値のセットの系列を使用して、ESSモデルとは異なるパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを確定するステップであって、パラメータ発展モデルは、ESSモデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を記述する、確定するステップを含む。本方法は、ESSモデルの第1のモデルパラメータ値のセット及びパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットのうちの少なくとも一方に応じて出力を生成及び提供するステップを含む。
【0043】
パラメータ発展モデルは、ESSモデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を、動作条件及び/又は周囲条件の関数として記述することができる。
【0044】
出力を生成することは、パラメータ発展モデルを使用して劣化診断を実施することを含むことができる。出力は、劣化診断の結果の関数として生成することができる。
【0045】
本方法は、パラメータ発展モデルを使用して、ESSモデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の将来の発展の予報を生成するステップをさらに含むことができる。
【0046】
予報は、予報された将来の発展に基づいて確定される残存耐用年数(RUL)、将来のESS状態、ESSの将来の性能のうちの少なくとも1つを含むことができる出力を生成するために使用することができる。
【0047】
パラメータ発展モデルは、ESSモデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を、周囲条件及び/又は動作条件の関数として記述することができる。
【0048】
本方法は、ESSの周囲及び/又は動作条件を断続的に調整して、調整された周囲及び/又は動作条件の第2のモデルパラメータ値のセットを確定するステップを含むことができる。
【0049】
周囲及び/又は動作条件を断続的に調整することは、ユーザ入力に応答して周囲及び/又は動作条件を調整することを含むことができる。
【0050】
周囲及び/又は動作条件を断続的に調整することは、周囲及び/又は動作条件を調整するためのコマンドを制御ユニットに発行することと、調整された周囲及び/又は動作条件に対して少なくとも2つ又は少なくとも3つの第1のモデルパラメータ値のセットが確定された後、周囲及び/又は動作条件をそれらの以前の値に戻すためのコマンドを制御ユニットに発行することとを含むことができる。
【0051】
周囲及び/又は動作条件を断続的に調整することは、温度制御を実施すること(例えば、ESSが取り付けられたエンクロージャの温度を制御することを含む)、少なくとも1つの保護システム(例えば、回路遮断器状態)を制御すること、少なくとも1つのスイッチ状態を制御すること、充電速度を制御すること、放電速度を制御することのうちの1つ又はいくつかを含むことができるが、これらに限定されない。
【0052】
第2のモデルパラメータ値のセットは、複数の周囲及び/又は動作条件の各々について、パラメータ発展モデル(線形若しくは非線形回帰モデル又は機械学習モデルの係数の形態をとることができる)のパラメータ化のためにそれぞれ確定することができる。これは、それぞれ、周囲及び/又は動作条件を特定の値に断続的に調整して、その周囲及び/又は動作条件に関連付けられる第2のモデルパラメータ値のセットを確定することを伴うことができる。パラメータ発展モデルのパラメータ化のためのパラメータ値がいくつかの異なる周囲及び/又は動作条件について確定されるまで、第2のモデルパラメータ値のセットの調整及び確定を繰り返すことができる。
【0053】
本方法は、パラメータ発展モデルを使用して、ESSモデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の将来の発展のいくつかの予報を生成するステップを含むことができ、いくつかの予報は、複数の異なる将来の周囲条件及び/又は動作条件に対して確定される。
【0054】
本方法は、将来の周囲条件及び/若しくは動作条件の少なくともサブセットを指定するユーザ入力を受信するステップ、並びに/又は、将来の周囲条件及び/若しくは動作条件の少なくともサブセットを自動的に生成するステップをさらに含むことができる。
【0055】
本方法は、ESSモデルを使用して、第1の時間スケールで発生する事象の診断を実施するステップをさらに含むことができる。
【0056】
本方法は、パラメータ発展モデルを使用して、第1の時間スケールを超える第2の時間スケールで発生する傾向を識別するステップをさらに含むことができる。
【0057】
第1の時間スケールは、測定値が受信されるサンプリング間隔、又は第1のモデルパラメータ値のセットがそれぞれ確定される時間間隔と等しいか、それよりも小さいか、又はそれに類似していてもよい。
【0058】
ESSモデルの第1のモデルパラメータ値の複数のセットのうちの少なくとも1つは、測定値と組み合わせて使用されて、現在のESS状態が計算され、測定値と現在のESS状態から推定される可観測量との間の残差が計算され、残差に基づいて第1の時間スケールで発生する事象の診断が実施され得る。
【0059】
出力は、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を介して出力される情報及び/又はコントローラに出力される制御信号のうちの1つ又はいくつかを含むことができる。
【0060】
出力は、ESS健全性情報を含むことができる。
出力は、警報又は警告を含むことができる。
【0061】
制御信号は、バッテリ管理システム(BMS)又はマイクログリッドコントローラに出力されてもよい。
【0062】
制御信号は、充電速度、放電速度、ESS周囲温度、放電深度、保護システムのうちの少なくとも1つを制御することができる。
【0063】
ESSは、電気化学的ESS、特に充電式バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS)であってもよい。
【0064】
BESSは、複数の電池又は複数の電池ストリングを含むことができる。
電池は、リチウムイオン電池であってもよい。
【0065】
パラメータ発展モデルの第1のモデルパラメータ値のセット及び第2のモデルパラメータ値のセットは、複数の電池又は電池ストリングの各々に対して別個に確定されてもよい。
【0066】
第1のモデルパラメータ値のセットを確定することは、離散時間線形微分方程式を解くことを含むことができる。
【0067】
第2のモデルパラメータ値のセットを確定することは、機械学習、フィッティング、又は回帰分析、特に線形回帰のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0068】
第1のモデルパラメータ値のセットは、抵抗及び/又はキャパシタンス及び/又はインダクタンスを含んでもよい。
【0069】
第1のモデルパラメータ値のセットは、自己放電抵抗のパラメータ値を含んでもよい。
第1のモデルパラメータ値のセットは、充放電のヒステリシスをモデル化するための第1のRC要素のパラメータ値を含んでもよい。
【0070】
第1のモデルパラメータ値のセットは、長時間過渡現象をモデル化するための第2のRC要素のパラメータ値を含んでもよい。
【0071】
第1のモデルパラメータ値のセットは、短時間過渡現象をモデル化するための第3のRC要素のパラメータ値を含んでもよい。
【0072】
コンピューティングシステムは、エネルギー貯蔵システム(ESS)の状態を示す測定値を受信するように動作するインターフェースと、インターフェースに結合された少なくとも1つの集積回路とを備える。少なくとも1つの集積回路は、受信測定値を処理して、ESSモデルの第1のモデルパラメータ値のセットの系列を確定するように動作し、第1のモデルパラメータ値のセットの各々は、異なる時間又は時間間隔に対して確定される。少なくとも1つの集積回路は、第1のモデルパラメータ値のセットの系列を使用して、ESSモデルとは異なるパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを確定するように動作する。パラメータ発展モデルは、ESSモデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を記述する。少なくとも1つの集積回路は、ESSモデルの第1のモデルパラメータ値のセット及びパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットのうちの少なくとも一方に応じて出力を生成及び提供するように動作する。
【0073】
パラメータ発展モデルは、ESSモデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を、動作条件及び/又は周囲条件の関数として記述することができる。
【0074】
コンピューティングシステムは、出力を生成することが、パラメータ発展モデルを使用して劣化診断を実施することを含むことができるように動作することができる。コンピューティングシステムは、出力を、劣化診断の結果の関数として生成することができるように動作することができる。
【0075】
コンピューティングシステムは、パラメータ発展モデルを使用して、ESSモデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の将来の発展の予報を生成するように動作することができる。
【0076】
コンピューティングシステムは、予報を使用して、予報された将来の発展に基づいて確定される残存耐用年数(RUL)、将来のESS状態、ESSの将来の性能のうちの少なくとも1つを含むことができる出力を生成するように動作することができる。
【0077】
パラメータ発展モデルは、ESSモデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を、周囲条件及び/又は動作条件の関数として記述することができる。
【0078】
コンピューティングシステムは、ESSの周囲及び/又は動作条件を断続的に調整して、調整された周囲及び/又は動作条件の第2のモデルパラメータ値のセットを確定するように動作することができる。
【0079】
コンピューティングシステムは、周囲及び/又は動作条件を断続的に調整することが、ユーザ入力に応答して周囲及び/又は動作条件を調整することを含むことができるように動作することができる。
【0080】
コンピューティングシステムは、周囲及び/又は動作条件を断続的に調整することが、周囲及び/又は動作条件を調整するためのコマンドを制御ユニットに発行することと、調整された周囲及び/又は動作条件に対して少なくとも2つ又は少なくとも3つの第1のモデルパラメータ値のセットが確定された後、周囲及び/又は動作条件をそれらの以前の値に戻すためのコマンドを制御ユニットに発行することとを含むことができるように動作することができる。
【0081】
コンピューティングシステムは、周囲及び/又は動作条件を断続的に調整することが、これらに限定されるものではないが、温度制御を実施すること(例えば、ESSが取り付けられたエンクロージャの温度を制御することを含む)、少なくとも1つの保護システム(例えば、回路遮断器状態)を制御すること、少なくとも1つのスイッチ状態を制御すること、充電速度を制御すること、放電速度を制御することのうちの1つ又はいくつかを含むことができるように動作することができる。
【0082】
コンピューティングシステムは、複数の周囲及び/又は動作条件の各々について、パラメータ発展モデル(線形若しくは非線形回帰モデル又は機械学習モデルの係数の形態をとることができる)のパラメータ化のために第2のモデルパラメータ値のセットをそれぞれ確定するように動作することができる。これは、それぞれ、周囲及び/又は動作条件を特定の値に断続的に調整して、その周囲及び/又は動作条件に関連付けられる第2のモデルパラメータ値のセットを確定することを伴うことができる。パラメータ発展モデルのパラメータ化のためのパラメータ値がいくつかの異なる周囲及び/又は動作条件について確定されるまで、第2のモデルパラメータ値のセットの調整及び確定を繰り返すことができる。
【0083】
コンピューティングシステムは、パラメータ発展モデルを使用して、ESSモデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の将来の発展のいくつかの予報を生成するように動作することができ、いくつかの予報は、複数の異なる将来の周囲条件及び/又は動作条件に対して確定される。
【0084】
コンピューティングシステムは、将来の周囲条件及び/若しくは動作条件の少なくともサブセットを指定するユーザ入力を受信し、並びに/又は、将来の周囲条件及び/若しくは動作条件の少なくともサブセットを自動的に生成するように動作することができる。
【0085】
コンピューティングシステムは、ESSモデルを使用して、第1の時間スケールで発生する事象の診断を実施するように動作することができる。
【0086】
コンピューティングシステムは、パラメータ発展モデルを使用して、第1の時間スケールを超える第2の時間スケールで発生する傾向を識別するように動作することができる。
【0087】
第1の時間スケールは、測定値が受信されるサンプリング間隔、又は第1のモデルパラメータ値のセットがそれぞれ確定される時間間隔と等しいか、それよりも小さいか、又はそれに類似していてもよい。
【0088】
コンピューティングシステムは、ESSモデルの第1のモデルパラメータ値の複数のセットのうちの少なくとも1つは、測定値と組み合わせて使用して、現在のESS状態を計算し、測定値と現在のESS状態から推定される可観測量との間の残差を計算し、残差に基づいて第1の時間スケールで発生する事象の診断を実施するように動作することができる。
【0089】
コンピューティングシステムは、出力が、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を介して出力される情報及び/又はコントローラに出力される制御信号のうちの1つ又はいくつかを含むように動作することができる。
【0090】
コンピューティングシステムは、出力が、ESS健全性情報を含むように動作することができる。
【0091】
コンピューティングシステムは、出力が、警報又は警告を含むように動作することができる。
【0092】
コンピューティングシステムは、制御信号が、バッテリ管理システム(BMS)又はマイクログリッドコントローラに出力されるように動作することができる。
【0093】
コンピューティングシステムは、制御信号が、充電速度、放電速度、ESS周囲温度、放電深度、保護システムのうちの少なくとも1つを制御するように動作することができる。
【0094】
ESSは、電気化学的ESS、特に充電式バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS)であってもよい。
【0095】
BESSは、複数の電池又は複数の電池ストリングを含むことができる。
電池は、リチウムイオン電池であってもよい。
【0096】
コンピューティングシステムは、パラメータ発展モデルの第1のモデルパラメータ値のセット及び第2のモデルパラメータ値のセットが、複数の電池又は電池ストリングの各々に対して別個に確定され得るように動作することができる。
【0097】
コンピューティングシステムは、第1のモデルパラメータ値のセットを確定することが、離散時間線形微分方程式を解くことを含むように動作することができる。
【0098】
コンピューティングシステムは、第2のモデルパラメータ値のセットを確定することが、機械学習、フィッティング、又は回帰分析、特に線形回帰のうちの少なくとも1つを含み得るように動作することができる。
【0099】
コンピューティングシステムは、抵抗及び/又はキャパシタンス及び/又はインダクタンスを含む第1のモデルパラメータ値のセットを確定するように動作することができる。
【0100】
コンピューティングシステムは、自己放電抵抗のパラメータ値を含む第1のモデルパラメータ値のセットを確定するように動作することができる。
【0101】
コンピューティングシステムは、充放電のヒステリシスをモデル化するための第1のRC要素のパラメータ値を含む第1のモデルパラメータ値のセットを確定するように動作することができる。
【0102】
コンピューティングシステムは、長時間過渡現象をモデル化するための第2のRC要素のパラメータ値を含む第1のモデルパラメータ値のセットを確定するように動作することができる。
【0103】
コンピューティングシステムは、短時間過渡現象をモデル化するための第3のRC要素のパラメータ値を含む第1のモデルパラメータ値のセットを確定するように動作することができる。
【0104】
システムは、バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS)と、BESSの状態を示す測定値を収集するように動作するデータ取得ユニットと、データ取得ユニットに結合された、実施形態によるコンピューティングシステムとを備える。
【0105】
システムは、BESSが取り付けられるエンクロージャを備えることができる。
コンピューティングシステムは、エンクロージャ内に取り付けられてもよい。
【0106】
システムは、エンクロージャ内に取り付けられたバッテリ管理システムを備えることができる。
【0107】
動作及び/又は周囲条件に関する電力システム資産モデルのパラメータ値(複数可)の発展を記述するデータ駆動モデルが実装される場合、様々な動作シナリオ及び/又は周囲条件の性能及び残存耐用年数の両方への影響を査定することが可能である。
【0108】
電力システムの電力システム資産モデルをパラメータ発展モデルと組み合わせることによって、診断、故障予測、及び最適化を実施することができる。したがって、システム及び方法は、より高い正確度で迅速且つ容易に展開することができ、パラメータの誤った設定による人的エラーのリスクが制限され、システム保守が低減される。
【0109】
方法及びシステムは、充電式エネルギー貯蔵システム(特にBESS)、変圧器、エネルギー生成システム、又は発電、送電及び/又は配電システムの他の電力システム資産に関連付けて使用することができるが、これらに限定されない。
【0110】
図面の簡単な説明
本発明の主題は、添付の図面に例示される好ましい例示的な実施形態を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【
図2】一実施形態によるコンピューティングシステムの概略図である。
【
図4】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図5】一実施形態による方法及びコンピューティングシステムの動作を説明するためのグラフである。
【
図6】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図7】バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS)モデルの回路図である。
【
図8】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図9】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図10】測定値及び電力システム資産モデルに基づく第1の時間スケールでの事象の識別を示すグラフである。
【
図11】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図12】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図13】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図14】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図15】一実施形態によるシステムの概略図である。
【
図16】一実施形態によるシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0112】
実施形態の詳細な説明
本発明の例示的な実施形態は、図面を参照して説明され、図面において、同一又は類似の参照符号は同一又は類似の要素を示す。一部の実施形態は、バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS)の文脈で説明されるが、本発明はこれに限定されない。本発明の実施形態は、各々がリチウムイオンバッテリに基づくエネルギー貯蔵システムに適用可能であるが、本発明はこれに限定されず、他のタイプのBESS又は発電、送電及び/若しくは配電システムの他の電力システム資産に適用されてもよい。
【0113】
実施形態の特徴は、特に明記しない限り、互いに組み合わせることができる。
同一又は類似の参照番号は、図面において同一又は類似の要素を示すために使用される。
【0114】
図1は、システム10の概略表現である。システム10は、充電式バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS)11を備える。充電式BESSは、複数の並列電池ストリングを備えることができる。複数の並列電池ストリングの各々は、複数の電池を備えることができる。複数の並列電池は、変換器及び/又は変圧器を介して共通結合点に結合することができる。電池ストリングは各々、例えばリチウムイオン電池などの電池の少なくとも1つの直列接続を含んでもよい。ストリングの一部又は全部は、互いに並列に結合された電池のいくつかの直列接続を含むことができる。
【0115】
BESS11は、共通結合点においてグリッドに結合されてもよい。グリッドは、全国又は地域の電力網であってもよい。グリッドは、マイクログリッドなどの島嶼電力網であってもよい。
【0116】
本明細書で使用される場合、「バッテリ」という用語は、充電式バッテリを包含する。
BESS11は、周波数安定化、負荷レギュレーション、及び/又は電圧サポートを提供することなどのアンシラリーサービスをグリッドに提供するように動作することができる。そのようなアンシラリーサービスを提供するように動作するBESS11は、ピーク需要に対応するように寸法決めされることが多いが、それがその動作の大部分を通じて設計されるものよりもはるかに低い電力又は負荷で動作する。本明細書に詳細に記載された技法は、例えば契約上の義務に起因して一定の性能特性を提供することができなければならないか、又は最悪のシナリオに対応することができなければならないが、典型的には、それらが設計されている定格負荷よりもはるかに小さい負荷で動作されるようなBESSに特に適している。
【0117】
BESS11は、1つ以上の測定装置(例えば、センサ)を使用して、その動作状態(電圧、電流及び/又は温度など)を示す測定値を提供するように装備される。1つ以上の測定装置の出力は、データ取得ユニット12に接続されてもよい。
【0118】
データ取得ユニット12は、これに限定されることなく、アナログ-デジタル変換器、マージングユニット、ゲートウェイであってもよく、又はこれらを含んでもよい。データ取得ユニット12には、アナログ波形を離散信号に変換するプロセス、具体的には、変換を受ける信号のサンプリングレート及び長さを定義する第1の設定P1が与えられてもよい。第1の設定P1は、固定されていてもよく、又は、ユーザにより指定されてもよい。第1の設定P1は、複数の数値を含んでもよい。
【0119】
データ取得ユニット12は、コンピューティングシステム13に接続されている。コンピューティングシステム13は、データ処理ユニット14及び通信モジュール17を有する。データ処理ユニット14内には、データ記憶モジュール15と、ハイブリッドデータ駆動且つモデルベースのバッテリ監視システムモジュール16とが実装され、これについては下記により詳細に説明する。
【0120】
データ処理ユニット14はまた、警報、警告、若しくは他の出力の生成を引き起こすBESSの現在又は予報状態を比較するための閾値比較、並びに/又は制御信号を生成してBESS11及び/若しくはBESS11と動作可能に結合された装置(例えば、保護システム、温度制御システムなど)に出力するためのモジュールなどの追加のプロセス又はモジュールを実行してもよい。
【0121】
データ処理ユニット14は、設定P2を使用してもよく、設定P2に応じて動作してもよい。設定P2は、ユーザ入力を含んでもよく、又はユーザ入力からなってもよい。設定P2は、コンピューティングシステム13に供給されてもよい。設定P2は、後続のステップで使用するためにメモリに記憶されてもよい。コンピューティングシステム13は、読み出しアクセスメモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)などのメモリを備えることができる。
【0122】
コンピューティングシステム13は、条件監視の結果をユーザに提示することができる出力ユニット18を備えることができ、又はそれに接続することができる。出力ユニット18は、モニタ、プリンタ、又は本明細書でより詳細に説明する条件監視の結果を提示するための任意の有用な装置などの光学出力ユニットを備えることができる。ユーザインターフェースとして動作することができる出力ユニットの代わりに又はそれに加えて、条件監視は、通信モジュール17を介してBESS11又はそれに関連付けられる電力システムの装置に出力することができる制御信号の生成をトリガすることができる。
【0123】
データ取得ユニット12は、専用のデータ取得システムの形態をとってもよく、又は、データ取得機能を有する別の装置、例えば、バッテリ管理システム(BMS)若しくはマイクログリッドコントローラの一部分を形成してもよい。
【0124】
コンピューティングシステム13は、専用のコンピュータシステムの形態をとってもよく、又は、データ取得機能を有する別の装置、例えば、バッテリ管理システム(BMS)若しくはマイクログリッドコントローラの一部分を形成してもよい。
【0125】
図2は、コンピューティングシステム13の概略図である。コンピューティングシステム13は、測定値(BESS11の電圧、電流及び/又は温度など)を受信するように動作するインターフェース31を備える。コンピューティングシステム13は、1つ又はいくつかの集積回路(複数可)(IC(複数可))14を備える。
【0126】
IC(複数可)14は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ又はいくつかを含んでもよい。
【0127】
IC(複数可)14は、第1のパラメータ確定モジュール32を実行するように動作することができる。第1の確定モジュール32は、電力システム資産モデル(例えば、BESSモデル)のパラメータ値のセットを、インターフェース31において受信される測定値の関数として確定するように動作する。
【0128】
電力システム資産モデルのパラメータ化は固定されてもよい。例示のために、電力システム資産モデルは、2つ、3つ、4つ、又は4つを超えるパラメータを含んでもよい。パラメータは、電気回路モデルの特性(例えば、抵抗、キャパシタンスなど)、機械的特性、化学的特性(絶縁体油の気体濃度など)、又はそれらの組み合わせを示すことができる。電力システム資産モデルは事前定義することができ、確定モジュール32が、電力システム資産モデルのパラメータ値の一部又はすべてを確定する。
【0129】
測定値は、インターフェース31においてサンプリング時間に受信することができる。第1の確定モジュール32は、時系列的に測定された、及び/又は時系列サンプリング時間にインターフェース31において受信された測定値(例えば、電圧及び電流)を処理して第1のモデルパラメータ値の1つのセットにするように動作することができる。例示のために、第1の確定モジュール32は、時間離散微分方程式を解くことによって、電力システム資産モデルのパラメータの第1のモデルパラメータ値のセットを確定するように動作することができる。少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は4つ以上の連続サンプリング時間に関連付けられる測定値(例えば、電圧及び電流)を処理して、第1のモデルパラメータ値の1つのセットをそれぞれ確定することができる。
【0130】
第1の確定モジュール32は、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセットの確定を反復的に繰り返す。確定は、周期的に、又は非周期的に、例えば事象駆動方式で繰り返されてもよい。R≧2個の時系列サンプリング時間において受信された測定値(例えば、電圧及び電流)が、処理されて、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値の1つのセットにされてもよい。R個の時系列サンプリング時間において受信された測定値(例えば、電圧及び電流)が、処理されて、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値の別のセットにされてもよい。これは反復的に継続されてもよい。したがって、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のすべてのセットが、時間又は時間間隔に関連付けられる。
【0131】
第1のモデルパラメータ値の各セットは、電力システム資産モデルのn個のパラメータのパラメータ値の数n≧2を含むことができる。第1のモデルパラメータ値の各セットにおけるパラメータ値の数は、電力システム資産モデルのパラメータ化に依存する。パラメータ値のうちの1つ又はいくつかは、ユーザ入力によって定義されてもよく、その場合、これらのパラメータ値は、測定値に基づいて更新されてもよいが、そうされる必要はない。例示のために、公称バッテリキャパシタンス又はバッテリキャパシタンスの初期値は、ユーザから受信した入力によって指定されてもよい。パラメータ値の数は、電力システム資産モデルの複雑さに依存して、n≧3、n≧4、n≧5、又はそれを超えてもよい。
【0132】
異なるセット内のパラメータ値は同じパラメータに割り当てられるが、電力システム資産状態、その動作条件、及び/又はその周囲条件は変化し得るため、変化してもよい。コンピューティングシステム13は、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセットに含まれるパラメータ値のうちの1つ、いくつか、又はすべての発展を定量化するように動作する。
【0133】
IC(複数可)14は、第2の確定モジュール33を実行することができる。第2の確定モジュール33は、電力システム資産モデルとは異なるパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを確定することができる。パラメータ発展モデルは、ESSモデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を記述する。
【0134】
第2の確定モジュール33は、種々の技法を使用して第2のモデルパラメータ値のセットを確定することができる。例示のために、第2の確定モジュール33は、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセットの系列に含まれる1つ、いくつか、又はすべてのパラメータ値に対して回帰分析を実施してもよい。第2のモデルパラメータ値のセットは、第1のモデルパラメータ値の確定されたセットのいくつか又はすべてを入力として使用して、機械学習、フィッティング、又は回帰分析、特に線形回帰のうちの少なくとも1つによって確定することができる。
【0135】
第2のモデルパラメータ値のセット(線形回帰分析の係数、ニューラルネットワークの重みなどであってもよい)を確定することによって、電力システム資産のパラメータ値の時間発展を定量化することができる。
【0136】
IC(複数可)14は、出力生成モジュール34を実行することができる。出力生成モジュール34は、第1のモデルパラメータ値セットの系列及び第2のモデルパラメータ値のセットに基づいて出力を生成することができる。出力は、例えば残差が計算されるときは、測定値に基づいてもよい。
【0137】
出力は、以下のいずれか1つ又は任意の組み合わせを含んでもよい。
電力システム資産の現在及び/又は将来の状態に関する情報
電力システム資産の現在及び/又は将来の状態に対して確定される1つ又はいくつかの主要性能指標(KPI)
電力システム資産の過去、現在及び/又は将来の性能又は残存耐用年数(RUL)に関する情報
電力システム資産の過去の状態及び/又は現在の状態及び/又は将来の状態に基づいて生成される警報、警告、又は他の指標
電力システム資産の過去の状態及び/又は現在の状態及び/又は将来の状態に基づいて生成される制御信号。
【0138】
コンピューティングシステム13は、電力システム資産のエンクロージャにローカルに設けられてもよく、又はエンクロージャ内に統合されてもよい。コンピューティングシステム13は、複数の電力システム資産に関連付けることができる。パラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを確定するために、コンピューティングシステム13によってフリート学習を利用することができる。
【0139】
図3は、複数の電力システム資産11a~11c(この場合、複数のBESS、これに限定されない)と、電力システム資産11a~11cのうちの1つに各々関連付けられた複数のローカル制御システム41a~41cと、複数のローカル制御システム41a~41cと通信可能に結合されたコンピューティングシステム13とを備えるシステム40を示す。コンピューティングシステム13は、
資産11a~11cの各々についての電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセットの系列であって、第1のモデルパラメータ値のセットの各々が、異なる時間又は時間間隔(同じパラメータ化、すなわち同じ電力システム資産モデルが使用される場合であっても、資産11a~11cのうちの異なるものに対してパラメータ値が異なり得る)について確定される、第1のモデルパラメータ値のセットの系列、及び
パラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値の少なくとも1つのセット
を決定するように動作することができる。パラメータ発展モデルは、資産11a~11cの電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を記述する。
【0140】
図4は、一実施形態による方法50のフローチャートである。方法は、コンピューティングシステム13によって自動的に実施されてもよい。
【0141】
ステップ51において、測定値が受信される。測定値は、時系列サンプリング時間に受信することができる。測定値は時系列データを表す。
【0142】
ステップ52において、測定値が処理されて、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセットの系列にされる。第1のモデルパラメータ値のセットの各々が、異なる時間又は時間間隔に対して確定されてもよい。異なる時間間隔は重複してもよいが、一致しない。
【0143】
ステップ53において、パラメータ発展を確定するために、第1のモデルパラメータ値のセットが処理される。パラメータ発展は、パラメータ発展モデルによってモデル化することができる。パラメータ発展モデルは、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値に含まれるパラメータ値のうちの1つ、いくつか、又はすべての時間発展をモデル化することができる。パラメータ発展モデルのパラメータ化は固定されてもよく、第2のモデルパラメータ値のセットは、パラメータ発展モードの固定パラメータ化について確定されてもよい。代替的又は付加的に、パラメータ発展モデルのパラメータ化は、コンピューティングシステムによって(例えば、人工ニューラルネットワークの各層内の隠れ層及び/又はノードの数を変化させることなどによって、機械学習アーキテクチャの変化に対応する機械学習モデルを使用することによって)自動的に確定されてもよい。
【0144】
ステップ54において、第1のモデルパラメータ値セットの系列及び第2のモデルパラメータ値のセットに基づいて出力が生成される。出力はまた、例えば残差技法を使用することによる測定値に依存し得る。出力は、本明細書の他の箇所で説明される形態のいずれか1つをとることができる。
【0145】
図5は、一実施形態における測定値の処理を示す図である。時間軸に沿った各実線円は、それぞれのサンプリング時間における測定値を表す。1つ又はいくつかの時系列(例えば、連続)サンプリング時間に受信された測定値(例えば、バッテリ電圧及び電流)を処理して、パラメータ値の1つの第1のセットにすることができる。
【0146】
電力システム資産モデルは、それが、測定値に基づいて確定されるn≧2個の電力システム資産モデルパラメータを有するようにパラメータ化される。これらのn個の電力システム資産モデルパラメータのパラメータ値は、1つ又はR個の時系列サンプリング時間における測定値に基づいて確定される。
図5に示すように、2つ、3つ、又はそれを超える時系列サンプリング時間に受信された測定値61~63を処理して、測定値61~63のサンプリング時間によって定義された時間間隔に関連付けられたパラメータ値の1つの第1のセットにすることができる。パラメータ値の各第1のセットは、一般に、以下のように示される順序付きnタプルであってもよい。
【0147】
【0148】
ここで、jは、nタプルが関連付けられる時間又は時間間隔を示す。
電力システム資産モデルパラメータのパラメータ値の第1のセット71(p1,1,...,p1,n)は、ある時間間隔内で受信されるサンプリング時間における測定値61~63から確定される。電力システム資産モデルパラメータのパラメータ値の別のセット72(p2,1,...,p2,n)は、別の時間間隔内で受信されるサンプリング時間における測定値から確定される。電力システム資産モデルパラメータのパラメータ値のさらに別のセット72(pk+1,1,...,pk+1,n)は、さらに別の時間間隔内で受信されるサンプリング時間における測定値から確定される。
【0149】
図5は、パラメータ値の各セットがある時間間隔中に受信された測定値に対して確定されるシナリオを示しており、時間間隔は重複していないが、時間間隔は重複していてもよい。例示のために、測定値62は、第1のモデルパラメータ値のセット71を確定するため、及び別のセット72を確定するための両方のために処理されてもよい。
【0150】
第1のモデルパラメータ値のセット71~73のうちの2つ以上を処理して、パラメータ発展モデルの第2のパラメータ値のセット79を確定することができる。第2のモデルパラメータ値のセット79は、一般に、以下のように示される順序付きmタプルであってもよい。
【0151】
【0152】
数mは、n未満であってもよく、nに等しくてもよく、又はnより大きくてもよい。例示のために、パラメータ発展モデルが線形回帰に基づいており、n個すべての第1のモデルパラメータ値の時間発展がパラメータ発展モデルによって定量化される場合、m=nである。パラメータ発展モデルが線形回帰に基づいており、n個の第1のモデルパラメータ値のうちの1つのみ又はサブセットのみの時間発展がパラメータ発展モデルによって定量化される場合、m<nである。より複雑な技法が使用される場合(非線形回帰モデル、人工ニューラルネットワークのノード間の重みの数がnを超える機械学習など)、第2のモデルパラメータ値の数mは、各セット内の第1のモデルパラメータ値の数nを超える場合がある。
【0153】
図5に示すように、第2のモデルパラメータ値のセット79は、第1のモデルパラメータ値のすべての利用可能なセット71、72、73に基づいて確定される必要はない。第2のモデルパラメータ値のセット79は、第1のモデルパラメータ値の新しいセットが確定されると反復的に更新されてもよい。
【0154】
例示的な実施態様では、第2のモデルパラメータ値のセット79は、時間の線形又は非線形関数の係数を表すことができる。時間は、離散的な方法で、例えば、処理されてパラメータ値のそれぞれの第1のセット71にされる第1の測定値61の時間にラベル付けすることができる離散インデックスなどによって測定されてもよいことが理解される。
【0155】
第2のモデルパラメータ値のセット79を確定することは、目的関数が最小又は最大になるように関数Fiを確定することを含んでもよい。第2のモデルパラメータ値のセット79は、
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
又は
【0160】
【0161】
正則化の有無にかかわらず、式(3)~(6)の極値発見問題を解くための効率的な技法が知られている。第2のモデルパラメータ値のセット79は、式(3)~(6)を参照して説明したように、目的関数の最小値又は最大値を識別する繰り返し数値手法に基づいて確定することができる。
【0162】
パラメータ発展モデル、より具体的には、第2のモデルパラメータ値の確定されたセットは、様々な方法で使用することができる。第2のモデルパラメータ値のセットは、その後に第1のモデルパラメータ値71、72、73の新しいセットが確定される時間間隔よりも長い、特にはるかに長い期間にわたって発生する電力システム資産状態の変化を定量的に査定するために使用することができる。
【0163】
第2のモデルパラメータ値のセットは、それに限定されるものではないが、将来の電力システム資産状態、残存耐用年数(RUL)、将来の性能、将来の性能劣化、将来のKPI、将来のKPI劣化の予報を確定するために使用することができる。第2のモデルパラメータ値のセットは、(例えば、警報、警告、若しくは故障予測情報をユーザに提供することによって、又は制御信号を自動的に生成することによって)ユーザインターフェースを介してユーザに故障予測情報を提供するために、及び/又は性能劣化が発生する前に適切な対策を開始するために使用することができる。
【0164】
第2のモデルパラメータ値のセットは、1つだけでなく、様々な異なる動作及び/又は周囲条件に対して確定することができる。これにより、様々な異なる動作及び/又は周囲条件について故障予測情報を確定することが可能になる。様々な異なる動作及び/又は周囲条件に対して第2のモデルパラメータ値のセットを確定するために、コンピューティングシステム13は、(例えば、電力システム資産のエンクロージャ内の温度制御ユニットに、温度を一時的に増大又は低減させることによって)動作及び/又は周囲条件の断続的な変化をトリガし、動作及び/又は周囲条件がそのように調整されている間に第1のモデルパラメータ値の少なくとも2つのセットを確定し、それに基づいて、調整された動作及び/又は周囲条件に関連付けられる第2のモデルパラメータ値のセットを確定することができる。
【0165】
図6は、方法60のフローチャートである。方法60は、コンピューティングシステム80によって自動的に実施されてもよい。
【0166】
ステップ81において、第1の時間スケール上で発生する事象を識別するために、第1のモデルパラメータ値の1つ又はいくつかのセット(複数可)が使用される。第1の時間スケールは、サンプリング間隔、すなわち、連続する測定値の受信間の時間間隔に対応することができる。
【0167】
第1の時間スケール上で発生する事象を識別することは、第1のモデルパラメータ値の1つ又はいくつかのセット(複数可)に基づいて可観測量を計算することと、計算された可観測量を測定値と比較することとを含むことができる。偏差に対して閾値比較を実施することができる。電力システム資産モデルに基づく計算された可観測量と実際の測定値との間の偏差は、第1の時間スケール上で発生する突発事象を示す。そのような偏差は、警報、警告、ステータス情報、又は制御信号の出力などの即時の措置をトリガすることができる。
【0168】
ステップ82において、第2のモデルパラメータ値のセットは、第1の時間スケールを超える第2の時間スケールにわたる電力システム資産状態の予報(複数可)を確定するために使用される。第2の時間スケールは、第1のモデルパラメータ値の新しいセットが計算される時間間隔よりも長くてもよい。
【0169】
ステップ82は、さらなる処理を含むことができる。例示のために、RUL又は他のKPIが予測的に確定されてもよい。これは、任意選択的に、様々な動作及び/又は周囲条件に対して確定された第2のモデルパラメータ値のセットを使用して、様々な動作及び/又は周囲条件に対して行われてもよい。RULを強化するか、又は他のKPIの劣化を減速させる、示唆された制御措置は、(例えば、電力システム資産の所望の性能を満たしながら将来の性能劣化を緩和することに関して最適な動作及び/又は周囲条件を識別することによって)自動的に確定され得る。
【0170】
ステップ83において、出力が、第1の時間スケールにわたって識別された事象及び/又はより長い第2の時間スケールにわたって行われる予報(複数可)に基づいて生成されて提供される。
【0171】
さらなる例示のために、以下では充電式ESS、特にBESSを参照する。開示された技法は、他の電力システム資産にも同様に適用可能であることが理解されよう。
【0172】
図7は、BESSの例示的なモデル回路
図90である。回路90は、オーム抵抗R
series、及び、以下をモデル化する4つのRC要素から成る。
【0173】
バッテリ:エネルギーを貯蔵するバッテリの能力は、キャパシタCbとしてモデル化される。Rbはバッテリの自己放電抵抗を示す。
【0174】
ヒステリシス効果:ヒステリシスは、バッテリの同じ充電状態(SOC)についての充電及び放電中の開回路電圧(OCV)間の非線形差を導入するために、抵抗Rh及びキャパシタンスChを有するRC回路としてモデル化されている。
【0175】
長時間動的要素:Cp及びRpを含むRC要素は、バッテリの長時間過渡現象を導入する。
【0176】
短時間動的要素:Cs及びRsを含むRC要素は、バッテリの短時間過渡現象を導入する。
【0177】
キャパシタンスCbは、BESSのネームプレートデータ(kWh単位のバッテリ容量)から取得することができる。キャパシタンスCbは、Ch、Cp及びCsよりも大きい。他のモデル、特により少数のパラメータを有するより複雑でないモデルが使用されてもよい。
【0178】
図8は、方法100のフローチャートである。方法100は、BESSモデルのパラメータ値を確定するために自動的に実施することができる。
【0179】
ステップ101において、離散時間モデルの近似解を確定することができる。これは、線形微分方程式を解くことを含むことができる。例示のために、時間j=k、k-1、及びk-2について確定された測定電圧及び電流に応答して、θ1,...,6の値は、
【0180】
【0181】
となるように数値的に確定することができ、式中、Vmeas[j]は時間jにおける測定電圧を示し、Imeas[j]は測定電流を示す。
【0182】
ステップ102において、θ1,...,6が確定されると、そこからOCVを確定することができる。これは、これに限定されることなく、X.Tang他「Li-ion Battery Parameter Estimation for State of Charge」(American Control Conference,San Francisco,2011)の技法を使用して行われてもよい。
【0183】
ステップ103において、α1,...,6が確定される。ステップ102のOCVは、例えば、G.Aggoun他「SOC Estimation Based on OCV and Online Identification Parameters Of Lithium Ion Batteries with ADALINE」(8th International Conference on Modelling,Identification and Control,Algiers,2016)に従って、線形微分方程式の変数の1つとして使用される。例示のために、α1,...,6は、
【0184】
【0185】
となるように確定されてもよい。
α1,...,6から、BESSモデルの抵抗及び/又はキャパシタンスを確定することができる。例示のために、Rseries、Rp、Cp、Rs、及びCsを確定することができる。これに限定されることなく、X.Tang他「Li-ion Battery Parameter Estimation for State of Charge」(American Control Conference,San Francisco,2011)の技法が使用されてもよい。
【0186】
BESSモデルの第1のモデルパラメータ値の確定されたセットは、現在のバッテリ状態が推定されることを可能にする。これは、SOC又は健康状態(SOH)を確定することを含んでもよい。
【0187】
例えば、測定端子電圧を、パラメータ値が以前に確定されたBESSモデルへの入力と考えることができる。次いで、BESSモデルを使用して、バッテリの電流、開回路電圧、及び電圧降下を推定することができる。
【0188】
未知入力オブザーバを、既知の端子電圧及びパラメータに対してバッテリの電流を推定するために使用することができる。使用することができる例示的な技法は、D.C.Cambron他「A lithium-Ion Battery Current Estimation Technique Using an Unknown Input Observer」(IEEE,2017)に記載されている。
【0189】
図9は、現在のBESS状態の可観測量を確定するために使用することができる方法110のフローチャートである。方法110は、コンピューティングシステム13によって自動的に実施されてもよい。方法110は、
図6の方法のステップ81において可観測量を計算するために使用することができる。
【0190】
ステップ111において、BESSモデルの第1のモデルパラメータ値のセットが確定される。これは、
図8を参照して説明したように行うことができる。
【0191】
ステップ112において、未知入力オブザーバ手順が実施されて、既知の端子電圧及びBESSモデルパラメータにおけるバッテリ電流が推定される。他の可観測量が確定されてもよい。
【0192】
ステップ113において、推定バッテリ電流を含むバッテリ状態を推定することができる。バッテリ状態(バッテリ電流など)に含まれる、又はバッテリ状態から導出される可観測量を、測定値と比較して、突発事象を識別することができる。
【0193】
図10は、BESS状態から導出される、又はBESS状態に含まれる計算された可観測量が、突発事象を識別するためにどのように使用され得るかを示すグラフである。
図10は、測定バッテリ電流121を破線として示し、推定バッテリ電流122を実線として示す。推定バッテリ電流122は、
図4~
図9を参照して説明した技法に従って計算的に確定される。特定の状況では、測定バッテリ電流121と推定バッテリ電流122とは一致するが、わずかな偏差まで一致するが、ある時間間隔では、2つの量の間により顕著な偏差が存在する。そのような顕著な偏差は、突発事象を示し、コンピューティングシステム13による警告、警報、ステータス情報、又は制御信号の出力をトリガすることができる。
【0194】
図1~
図10を参照して説明した技法は、BESS又は他の電力システム資産の異なる長期的挙動を体系的に査定するために使用することができる。これは、様々な動作条件及び/又は周囲条件に対して行うことができる。1つの特定の動作条件及び周囲条件だけでなく、様々な動作条件及び/又は周囲条件についてのRUL又は他のKPIの予報に関する情報を提供することは、電力システム資産劣化を緩和する適した動作条件及び/又は周囲条件の選択に役立つ。
【0195】
種々の動作条件及び/又は周囲条件を様々な方法で調査することができる。ユーザインターフェースを介して入力された動作条件及び/又は周囲条件に関する情報を受信することができ、コンピューティングシステム130は、指定された動作条件及び/又は周囲条件の第2のモデルパラメータ値のセットを自動的に確定することができる。代替的又は付加的に、コンピューティングシステム130は、様々な動作条件及び/又は周囲条件の各々について第2のモデルパラメータ値のセットをそれぞれ確定することができ、様々な動作条件及び/又は周囲条件についてのKPI(RULなど)及び/又は示唆された制御措置に関する情報を出力することができる。これらの技法は、
図11及び
図12を参照してより詳細に説明される。
【0196】
図11は、方法130のフローチャートである。方法130は、コンピューティングシステム13によって自動的に実施されてもよい。
【0197】
ステップ131において、1つ又はいくつかの動作条件(複数可)及び/又は周囲条件(複数可)に関する情報が受信される。情報は、ユーザインターフェースを介して受信することができる。動作条件(複数可)に関する情報は、充電又は放電電流、放電深度、又はBESSの動作に関係する他の情報を指定することができる。周囲条件(複数可)に関する情報は、BESSが収容されているエンクロージャ内の周囲温度を指定することができる。
【0198】
ステップ132において、コンピューティングシステム13は、任意選択的に、制御信号を生成及び出力してもよい。制御信号(複数可)は、ステップ131において受信した情報に従って、動作条件及び/又は周囲条件を少なくとも断続的に調整するために生成することができる。ステップ131において指定された動作及び/又は周囲条件に対して第2のモデルパラメータ値のセットが確定されていない場合、又はステップ131において指定されたものと同様の動作及び/又は周囲条件に対して第2のモデルパラメータ値のセットが確定されていない場合にのみ、制御信号を選択的に生成することができる。
【0199】
ステップ131において指定された動作条件及び/又は周囲条件に従って、動作パラメータ(例えば、充電速度、放電速度、放電深度、保護システム状態)及び/又は周囲パラメータ(例えば、電力システム資産のエンクロージャ内の温度及び/又は空気湿度)を少なくとも断続的に調整するために、制御信号を生成することができる。
【0200】
動作条件及び/又は周囲条件は、ステップ131において受信した情報に従って調整されるが、測定値は、処理されて、2つの連続する時間又は時間間隔に関連付けられた電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値の少なくとも2つのセットにされてもよい。パラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のこれらの少なくとも2つのセットに基づいて、これらの調整された動作条件及び/又は周囲条件について確定することができる。
【0201】
いくつかの異なる動作条件(例えば、異なる充電及び/又は放電速度、異なる放電深度、異なる保護システム状態)及び/又は周囲条件(例えば、異なる温度)がステップ131において指定されると、ステップ132において制御信号を生成して、ステップ131において指定された異なる動作条件及び/又は周囲条件に従って電力システム資産の動作及び/又は周囲パラメータを連続して調整することができる。このように、ステップ131において指定された各動作条件及び/又は周囲条件について、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値の少なくとも2つのセット及びパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを確定することができる。
【0202】
ステップ133において、第2のモデルパラメータ値のセット(複数可)を使用して、それぞれ様々な動作及び/又は周囲条件の各々について、RUL又は他のKPIなど、電力システム資産モデルパラメータ値又はそれから導出される量の将来の発展の予報を計算することができる。
【0203】
ステップ134において、出力を生成することができる。出力は、それぞれ、ステップ131で指定された様々な動作及び/又は周囲条件の各々についての、RUL又は他のKPIなどの、電力システム資産モデルパラメータ値又はそれから導出される量の将来の発展に関する情報を含むことができる。
【0204】
コンピューティングシステム13は、予報を使用して、最も適した動作及び/又は周囲条件を識別することができる。例示のために、コンピューティングシステム13は、動作条件及び/又は周囲条件のうちのいずれがRULなどの1つ又はいくつかのKPIを最大化するかを確定するために、予報を自動的に処理することができる。コンピューティングシステムは、これらの動作条件及び/若しくは周囲条件に関する情報を生成して出力することができ、並びに/又は1つ若しくはいくつかのKPIを最大化する示唆された制御措置に関する情報を提供することができる。
【0205】
図12は、方法135のフローチャートである。方法135は、コンピューティングシステム13によって自動的に実施されてもよい。
【0206】
ステップ136において、電力システム資産の可能な動作及び/又は周囲条件を、コンピューティングシステムによって自動的に生成することができる。例示のために、コンピューティングシステムは、充電速度及び/又は放電速度、電力システム資産周囲温度などのセットを自動的に生成してもよい。
【0207】
ステップ132~134において、ステップ136において生成された動作及び/又は周囲条件の各々について、第2のモデルパラメータ値のセットを確定することができる。コンピューティングシステム13は、ステップ131において生成された可能な動作及び/又は周囲条件の各々についてパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを確定するように、電力システム資産の動作及び/又は周囲条件を断続的に変化させるための制御信号を生成及び出力することができる。ステップ134において、コンピューティングシステム13は、異なる動作及び/又は周囲条件に関連付けられる第2のモデルパラメータ値のセットを使用して、ステップ136において確定された周囲及び/又は動作条件の各々についてのRUL又は他のKPIに関する情報を出力するか、又は最も適した動作及び/又は周囲条件を自動的に識別することができる。例示のために、コンピューティングシステム13は、異なる動作及び/又は周囲条件に関連付けられる第2のモデルパラメータ値のセットを自動的に処理して、動作条件及び/又は周囲条件のうちのいずれが、RULなどの1つ又はいくつかのKPIを最大化するかを確定することができる。コンピューティングシステムは、これらの動作条件及び/若しくは周囲条件に関する情報を生成して出力することができ、並びに/又は1つ若しくはいくつかのKPIを最大化する示唆された制御措置に関する情報を提供することができる。
【0208】
図13は、方法140のフローチャートである。方法140は、コンピューティングシステム13によって自動的に実施されてもよい。方法140は、これに限定されることなく、BESSである電力システム資産に関連付けて説明される。
【0209】
ステップ141において、BESS動作状態を示す測定値が受信される。
ステップ142~147において、測定値が処理される。データ駆動手法とモデルベース手法とのハイブリッドを使用することができる。
【0210】
ステップ142において、パラメータ推定が実施される。BESSシステムから測定されたデータは、その後システム状態を確定するために使用され得るBESSモデルのパラメータ値を識別するために使用される。本明細書の他の箇所で説明されるように、BESSモデルのパラメータ値を確定することは、BESSの回路モデルの抵抗及びキャパシタンスの値を確定することを含むことができる。
【0211】
ステップ143において、パラメータ発展が確定される。外部要因(例えば、温度、時間、循環、負荷など)に対するBESSモデルのパラメータ値の発展を記述する数理モデルは、ステップ142において推定されたパラメータ、及び任意選択的に、データベースに格納された追加の履歴値に基づいて訓練することができる。BESSモデルのパラメータ値の発展を記述する数理モデルは、パラメータ発展モデルとも称される。
【0212】
ステップ144において、モデル評価を実施することができる。BESSモデル及びパラメータ発展モデルは、現在及び予測される将来の測定値に基づいて、バッテリパラメータ及びバッテリ状態(例えば、開路電圧及びバッテリ回路にわたって流れる電流を含む電圧降下)の現在及び将来の値を推定するために活用される。将来の測定値は、ユーザによって提供されるか、又はコンピューティングシステムによって自動的に生成される様々な動作シナリオに基づいて推定することができる。そのようなシナリオの例は、以前の動作傾向が将来まで続くと仮定すること、又は動作の変化(例えば、温度制御、回路遮断器状態、充放電速度など)を定義することを含む。ユーザが実行のための所望のシナリオを選択すると、システムは、計画されたシナリオを追跡するために必要な制御信号を制御ユニットに参照する。
【0213】
ステップ145において、記述的分析が実行される。記述的分析は、ステップ144において推定された現在及び将来の状態を利用する。ここで、予測SOH(残存容量の指標)及びオーム抵抗(電力フェージングの指標)を活用して、バッテリの残存耐用年数RULを推定することができる。RULは、(ユーザ又はコンピューティングシステム自体によって提供される)すべての動作シナリオについて推定される。BESS性能を示す他のKPI(例えば、SoC、効率など)も、現在及び将来の状態について計算される。ステップ145において、現在の入力についてのBESSモデルによって予測された出力を物理システムにおいて観測された測定値と比較する残差が計算される。
【0214】
ステップ145において、決定層手順が実行される。決定層において、ステップ142~145からの出力が、ユーザに出力され得る警報、警告、及び/又は示唆される措置を計算するために処理される。現在の入力についてBESSモデルによって予測された出力を物理システムにおいて観測された測定値と比較する残差は、モデルと現実のシステムとの間の任意の突発的な不一致(例えば、突発的な故障に起因する)を識別するために使用される。BESSシステムの数理モデルのパラメータの発展の傾向は、システム内の一般的な劣化(例えば、キャパシタ又は電力のフェージング)を確立するために使用される。劣化が大きすぎる場合、例えば閾値比較に基づいて、警報がユーザに対してフラグ立てされる。性能の決定層を使用して、主要性能指標(例えば効率)の最も可能性の高い値、及び、種々の動作シナリオの信頼限界を算出することができる。寿命推定のための決定層を使用して、種々の動作シナリオに関するBESSシステムの最も可能性の高い残存耐用年数及び信頼区間を算出することができる。ステップ146における決定層の出力は、ステップ147においてユーザインターフェースを介してエンドユーザに伝達される。
【0215】
図14は、一実施形態による方法の詳細な実現形態を示す。方法は、コンピューティングシステム13によって自動的に実施されてもよい。
【0216】
ステップ161において、BESS動作状態を示す測定値が測定及び取得される。関連する測定値の典型的な例は、電圧、電流及び温度を含む。
【0217】
ステップ162において、最小二乗などの従来の技法を使用してBESSモデルのパラメータの値を推定するために、ステップ161において記録された測定値が使用される。
【0218】
システム識別は、式(7)及び(8)並びに
図8を参照して説明したように、測定電圧及び電流を入力とすることによって実現される開始点である。リチウムイオンバッテリの離散時間モデルは、式(7)を参照して説明したように、線形差分方程式の形態で表現することができる。ベクトルθのパラメータがフィッティングされると、OCVが算出される。次に、OCVが第2のブロックの入力として使用され、ここでは、式(8)を参照して説明したように、これを線形差分方程式の変数の1つとして使用する。X.Tang他「Li-ion Battery Parameter Estimation for State of Charge,’’ in American Control Conference,San Francisco,2011 and G.Aggoun et al.,’’SOC Estimation Based on OCV and Online Identification Parameters Of Lithium Ion Batteries with ADALINE」(8th International Conference on Modelling,Identification and Control,Algiers,2016)に記載されているような技法を使用してもよい。
【0219】
データ点のウィンドウ(すなわち、各測定信号に対する複数のサンプル点のベクトル)及び/又はパラメータのフィッティングの周期性(すなわち、パラメータ推定が実施される頻度)は、設定P2を使用してユーザによって調節することができる。
【0220】
ステップ163において、ステップ161において記録された1つ以上の測定モデル入力が、現在のバッテリ状態を推定するために、ステップ162から出力される、フィッティングされたBESSモデルパラメータ値を有するモデルへの入力として使用される。例えば、測定端子電圧をモデルへの入力と考えてもよい。次いで、BESSモデルが、バッテリの電流、開回路電圧、及び電圧降下を推定する。
【0221】
例えば、
図9を参照して説明したように、未知入力オブザーバを、既知の端子電圧及びパラメータに対してバッテリの電流を推定するために使用することができる。D.C.Cambron他「A lithium-Ion Battery Current Estimation Technique Using an Unknown Input Observer」(IEEE,2017)の処理技法を使用することができる。
【0222】
ステップ164において、BESSモデルによって推定された1つ以上の測定出力が、対応する測定値と比較される。例えば、
図10を参照すると、モデル化された挙動と真の挙動との間の差を示す残差を取得するために、BESSから測定された電流を、BESSモデルによって推定された電流から減算することができる。
【0223】
ステップ165において、ステップ164において計算された残差が、突発的な故障を示す可能性があるシステム内の突発的な変化/事象を識別するために処理される。例示的な実施態様では、残差は、設定P2においてユーザによって設定された警報閾限界と比較することができる。残差が警報閾上限又は下限のいずれかを超える場合、警報がユーザに渡される(ステップ175)。残差を超える場合、根本原因分析を実施することができる。これは、エキスパートシステムの形態をとることができる(例えば、端子電圧が開回路電圧を超える場合、バッテリは過充電と考えることができる)。
【0224】
ステップ161~165は、第1のより短い時間スケール上で発生する事象の診断を実施するための手順を表すと考えることができる。このような事象は、突発事象とも称される。
【0225】
ステップ161において記録された測定値及びステップ162において推定されたパラメータは、ヒストリアン159に格納される。
【0226】
ステップ166において、動作条件及び/又は外部要因に関してパラメータがどのように発展するかについてのデータ駆動モデルが、ヒストリアン159からのデータを使用して訓練される。これは、パラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを決定することを含む。パラメータ発展モデルは、パラメータの識別中に活用されない他の測定値(例えば、温度)を考慮に入れることができる。入力パラメータに関するモデルパラメータの発展を推定するための様々な手法、例えばニューラルネットワーク、又は回帰を利用することができる。カレンダー及び周期的な経年劣化効果を含む数理モデルのパラメータは、履歴データを使用してフィッティングすることができる。
【0227】
ステップ162と同様に、データ点のウィンドウ(すなわち、各測定信号に対する複数のサンプル点のベクトル)及び/又はパラメータのフィッティングの周期性(すなわち、パラメータ推定が実施される頻度)は、設定P2を使用してユーザによって調節することができることが留意され得る。
【0228】
ステップ162及び166において算出されたBESSのパラメータの値及び傾向が、ステップ167への入力として使用される。ステップ167において、これらのパラメータは、第1の時間スケールよりも長い第2の時間スケールにわたって生じる低速に発展する変化を識別するために処理される。システム内の低速に発展する変化/事象は、劣化を示し得る。例示的な実施態様では、パラメータ発展モデルのパラメータ値(すなわち、第2のモデルパラメータ値のセットに含まれる1つ又はいくつかのパラメータ値)は、警報によって設定された警報閾限界と単に比較されてもよく、これはエンドユーザに渡される(ステップ175)。例えば、キャパシタフェージングを、エネルギーを貯蔵するためのバッテリの容量の減少によって識別することができ、オーム抵抗の増加は電力フェージングを示す。
【0229】
ステップ161~167は、劣化などの低速に発展する変化の診断を実施するための手順と考えることができる。
【0230】
ステップ168において、1つ以上の動作シナリオが定義される。デフォルトシナリオは、現在の動作傾向が将来も継続すると仮定することである。任意選択的に、ユーザは、温度制御設定、回路遮断器状態、充放電速度などの変更などの他の動作シナリオを定義してもよい。これらの動作シナリオは、設定P2の一部としてシステムに渡され、ステップ169に渡されるモデル入力(例えば、電圧動作プロファイル)に変換される。モデル入力は、モンテカルロシミュレーションの形式をとることもできる(すなわち、様々なパラメータを生成するために、動作シナリオの確率を複数回考慮し、シミュレートすることができる)。
【0231】
ステップ166において算出されたパラメータ発展モデルと共に、ステップ168においてモデル入力に変換された動作シナリオが、ステップ169に渡される。ステップ169において、BESSモデルの将来のパラメータ値が、パラメータ発展モデルを使用して動作シナリオについて予測される。
【0232】
ステップ170において、BESSシステムの将来の状態が、ステップ169において推定されたBESSモデルの将来のパラメータ値を使用して推定される。ステップ163について説明したモデル評価方法を使用して、推定を実施することができる。これらの値は、バッテリの将来の性能が推定されるステップ171に渡される。この評価は、電流及び電圧の推定された将来の値から計算することができる、充電状態、健康状態、効率などのような主要性能指標(KPI)を決定するという形態をとることができる。これらの将来のKPIは、ステップ172に渡され、各動作シナリオの最も可能性の高い将来のKPI値、及び、関連する分散が計算され得る。この情報は、エンドユーザに渡される(ステップ175)。
【0233】
ステップ161~172は、様々な動作シナリオについてBESSの将来の性能を予測するためのステップと考えることができる。
【0234】
ステップ173において、ステップ171において計算された将来のKPI、及びステップ169において算出されたBESSモデルのパラメータの関連付けられる将来の値が、RUL推定ステップ173への入力として使用される。予測SOH(残存容量の指標)及びオーム抵抗(電力フェージングの指標)を活用して、バッテリの残存耐用年数RULを推定することができる。RULは、すべての動作シナリオについて推定される。さらに、所与の動作シナリオに対する故障の可能性は、現行技術水準において知られている方法(例えば、ベイズ推定、専門知識など)を使用して算出することもできる。すべての動作シナリオについて推定されたRULが、各動作シナリオについての最も可能性の高い将来のRUL値、及び、関連付けられる確率が算出されるステップ174に渡される。この情報は、エンドユーザに渡される(ステップ175)。
【0235】
ステップ161~174は、様々な動作シナリオについてBESSのRULを予測するための手順と考えることができる。
【0236】
ステップ175において、種々のシナリオについて、BESSの以前及び現在の性能及び健全性に関する情報がユーザに提供され、バッテリRUL及び性能の予測も提供される。この意思決定支援情報を使用して、ユーザは、制御信号又は保守計画(ここでは図示せず)に変換することができる所望のシナリオを選択することができる。ユーザはまた、試験されるべき種々の動作シナリオを定義し、シナリオをステップ168にフィードバックすることができる。
【0237】
ユーザが動作シナリオを定義することを可能にする代わりに、又はそれに加えて、多目的最適化手法を実行して、ユーザ定義の目標(例えば、将来の可用性を最大化すること、効率を最大化することなど)を最大化する観点から最適な戦略を自動的に選択することができる。
【0238】
図13及び
図14を参照して説明したように、測定値の処理は、様々な層において実施することができる。これは、BESSモデルのパラメータ値が確定されるパラメータ推定層151、パラメータ発展モデルが訓練されるパラメータ発展モデル層152、将来のBESSモデルパラメータ値及び/又は将来のBESS状態が予測されるモデル評価層153、計算された可観測量と測定値との間の残差が確定され(ステップ164)、並びに/又は性能及び/若しくはRUL予測が実施される(ステップ173及び170)記述層154、様々な決定を行うことができ、第1の時間スケールにおいて発生する事象(例えば、故障に起因する突然の事象)及び第2のより長い時間スケールにわたって発生する傾向(例えば、劣化プロセス)を識別するための診断層156を含み得る決定層155を含むことができる。
【0239】
本方法は、電池レベル又は電池ストリングレベルから利用可能な電圧、電流及び温度測定値を有するBESSの充電式バッテリに使用することができる。開示された方法は、BESS内のすべての電池又はすべての電池ストリングに対して実施され得る。
【0240】
バッテリは、リチウムイオンバッテリ又は別のバッテリタイプであってもよい。
BESS内の複数の電池、ラック、バッテリからの結果は、システム内の他の要素の他の同様のモデルと組み合わせることができる。BESSの全体的な概要を提供するために、すべての要素の結果をユーザインターフェースにおいて組み合わせることができる。
【0241】
パラメータ及び残差をユーザインターフェースに送信する代わりに、又はそれに加えて、情報をクラウドインフラストラクチャに渡すことができ、装置のフリートにわたるパラメータ及び挙動を評価することが可能になる。
【0242】
実施形態による装置及びシステムは、任意のBESSに適用することができる。実施形態による装置及びシステムは、これに限定されることなく、例えば、1MW以上、例えば2MW以上、例えば5MW以上の電力を有するBESSに適用することができる。
【0243】
コンピューティングシステム13は、
図15に示すように、BESSに統合することができる。
【0244】
図15は、BESSシステム180を示す。BESSシステム180は、エンクロージャ181を備える。エンクロージャ181内には、少なくとも一つの充電式バッテリ11が設けられている。エンクロージャは、ラック、容器、又は他のエンクロージャであってもよい。
【0245】
BESSシステム180は、電力変換器182を備える。電力変換器182は、エンクロージャ181内に配置されてもよい。
【0246】
BESSシステム180は、制御システム183を備える。制御システム183は、バッテリ管理システム(BMS)であってもよく、又はそれを含んでもよい。制御システム183は、エンクロージャ181内に配置されてもよい。
【0247】
本発明によるコンピューティングシステム13は、制御システム183と統合又は結合されてもよい。コンピューティングシステム13は、エンクロージャ181内に配置されてもよい。
【0248】
図15に示すようなBESSシステム180では、短期事象及び長期劣化の予報、診断などの機能を、共通のハウジング又はエンクロージャに収容された1つ又はいくつかの充電式バッテリ11、関連付けられる変換器(複数可)182、及び制御システム183を有する単一のソリューションに統合することができる。
【0249】
方法及び装置は、充電式リチウムイオンバッテリなどの充電式エネルギー貯蔵システムに適用可能であるが、それらはこれらに限定されない。例示のために、開示された技法は、他の電力システム資産又は産業資産に適用することができる。
【0250】
図16は、資産191及びコンピューティングシステム13を含むシステム190を示す。コンピューティングシステム13は、少なくとも1つのデータ取得ユニット12から、資産191の状態を示す測定値を受信するように動作する。コンピューティングシステム13は、受信測定値を処理して、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセットの系列を確定するように動作する。第1のモデルパラメータ値のセットの各々が、異なる時間又は時間間隔に対して確定される。コンピューティングシステム13は、第1のモデルパラメータ値のセットの系列を使用して、電力システム資産モデルとは異なるパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットを確定するように動作する。パラメータ発展モデルは、電力システム資産モデルの1つ、いくつか、又はすべての第1のモデルパラメータ値の発展を記述する。コンピューティングシステム13は、電力システム資産モデルの第1のモデルパラメータ値のセット及びパラメータ発展モデルの第2のモデルパラメータ値のセットのうちの少なくとも一方に応じて出力を生成及び提供するように動作する。
【0251】
資産191は変圧器であってもよい。電力システム資産モデルは変圧器モデルであってもよい。第2のモデルパラメータ値のセットを確定することは、変圧器の絶縁、巻線、又はブッシングに関連する変圧器特性の変化率を確定することを含むことができる。例示のために、変圧器191は、絶縁流体(例えば、絶縁油)を有する絶縁システムを有することができる。第2のモデルパラメータ値のセットは、絶縁流体に溶解した気体(複数可)の濃度(複数可)の変化率を示すパラメータの値を含むことができる。
【0252】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に説明されてきたが、そのような説明は、実例又は例示であって限定ではないと考えられるべきである。開示された実施形態に対する変更は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から当業者によって理解され、請求された発明を実施することができる。特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という単語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特定の要素又はステップが別個の特許請求項に記載されているというだけの事実は、これらの要素又はステップの組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではなく、具体的には、実際の特許請求項の従属性に加えて、任意のさらなる意味のある特許請求項の組み合わせが開示されていると考えられるべきである。