(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】電気的に絶縁されたピンリフター
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019145438
(22)【出願日】2019-08-07
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】10 2018 006 903.7
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル・ドゥア
(72)【発明者】
【氏名】リコ・ローナー
(72)【発明者】
【氏名】アードリアン・エッシェンモーザー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・アポローニ
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-273685(JP,A)
【文献】特開2018-006374(JP,A)
【文献】特開平07-074231(JP,A)
【文献】特開平10-237653(JP,A)
【文献】特表2012-521652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフティング真空プロセスチャンバ(4)によって提供されうるプロセス雰囲気領域(P)内で、処理されるべき基板(1)、特にウェハ、を、移動及び位置決めをするように設計されたピンリフティング装置(10、40、50、60)、特にピンリフター、であり、
・前記基板(1)に接触し且つ支持するように設計された支持ピン(7、59)、を収容するように設計された結合部(32、58、68)、を有する結合部分(31)、及び、
・前記結合部(32、58、68)が、
嵌合状態で存在される前記支持ピン(7、59)を、その意図された効果について実質的に作用のない状態である、降下された通常位置から、制御された方法で、
前記嵌合状態にある前記支持ピン(7、59)が、前記基板(1)を収容し及び/又は提供するという意図された効果をもたらす、伸長された支持位置へ、且つ
再び元に戻す
という調整が可能であり、且つ
前記結合部(32、58、68)と調整要素(14、44、54)によって相互作用、特に、前記調整要素(14、44、54)が調整軸(A)に沿って直線的に移動可能であること、をするように設計された駆動ユニット(12)
を有する駆動部分(11)、
を有する上記ピンリフティング装置であって、
前記駆動部分(11)と前記結合部分(31)との間に、前記駆動部分(11)と前記結合部分(31)との間の完全な電気的絶縁を提供する絶縁構成要素(20)が配置され、
前記絶縁構成要素(20)が、
・前記駆動部分(11)及び前記結合部分(31)に強固に接続された固定要素(22、42、52、62)、及び
・前記駆動部分(11)及び前記結合部分(31)に相対的に移動可能である結合要素(21、41、51、61)、
を含んでいることによって特徴付けられ、
前記絶縁構成要素(20)は、特定された空間的寸法の外側円筒形状を有する外壁を有し、
前記駆動部分(11)の外壁と前記結合部分(31)の外壁とは、これらの部分がそれぞれ前記絶縁構成要素(20)へ接続されている少なくともそれぞれの接触領域において、1つの対応する円筒形状と空間的寸法を有する、
上記ピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【請求項2】
・前記駆動部分(11)及び前記結合部分(31)は、それぞれ前記絶縁構成要素(20)に接続され、
・前記駆動部分(11)は、前記絶縁構成要素(20)によって、前記結合部分(31)に対して固定位置にあり、
・前記駆動部分(11)及び前記結合部分(31)は、前記絶縁構成要素(20)によって提供された物理的分離により、非接触な様式で存在し、且つ
・前記駆動部分(11)と前記結合部分(31)との間の通電経路が、前記絶縁構成要素(20)によって遮断されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【請求項3】
前記固定要素(22、42、52、62)及び前記結合要素(21、41、51、61)が、電気的非伝導性材料、特に、ポリマー含有の又はセラミックの材料、特に、ポリエーテルケトン(PEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、から製造される、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【請求項4】
前記結合要素(21、41、51、61)が、
・前記調整要素(14、44、54)と前記結合部(32、58、68)との相互作用、又は
・前記駆動ユニット(12)と前記調整要素(14、44、54)との間接的又は直接的な結合、
を提供する、
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【請求項5】
前記結合要素(21、41、51、61)は、前記結合部分(31)によって画定された内容積部(V
i)内において、前記駆動ユニット(12)によって、前記調整軸(A)に沿って移動可能である、
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【請求項6】
前記結合要素(21、41、51、61)は、
降下された通常位置において、前記固定要素(22、42、52、62)と接触し、そして、
前記固定要素(22、42、52、62)に対する伸長された支持位置において、非接触である、
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【請求項7】
前記結合要素は、結合スリーブ(21、51、61)として形成されており、
前記調整要素(14、54)は、前記結合スリーブ内に少なくとも部分的に収容され、そして、
前記結合スリーブ(21、51、61)は、前記結合部(32、58、68)の結合凹部内に少なくとも部分的に延在し、且つ前記結合凹部に接続されている、
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【請求項8】
前記調整要素は、前記駆動ユニットのねじ付きスピンドル(13、53)へ結合され、且つ前記ねじ付きスピンドル(13、53)に沿って、直線的に移動させられうるスライド部(14、54)として設計され、
前記ねじ付きスピンドル(13、53)は、前記結合部分(31)の内容積部(V
i)内に、特に前記調整軸(A)と同軸的に、延在している、
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【請求項9】
前記調整要素は、ねじ付きスピンドル(13、53)又はプッシュロッド(44)として設計されており、
前記調整要素(13、44、53)は、前記結合要素(21、41、51、61)によって、間接的又は直接的に、前記結合部(32、58、68)へ結合される、
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【請求項10】
前記結合要素(21、41、51、61)、特に結合スリーブ、は、前記結合部分の前記内容積部内に延在している前記ねじ付きスピンドル(13、53)の部分を、凹部(21’)によって収容されうるように寸法決めされる凹部(21’)を有している、
ことを特徴とする、請求
項8に記載のピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【請求項11】
前記駆動ユニット(12)は、
・前記ねじ付きスピンドル(13、53)へ結合され、且つ、動作中に、前記ねじ付きスピンドル(13、53)の回転を、特に前記調整軸(A)の周りで、与える制御可能な電気モータ、又は
・特にプッシュロッド(44)の形態における、前記調整要素へ結合される空気圧駆動シリンダ、
を含んでいる、
ことを特徴とする、請求
項8に記載のピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【請求項12】
前記ねじ付きスピンドル(13、53)の回転中に、
前記スライド部(14、54)、前記結合要素(21、41、51、61)、及び前記結合部(32、58、68)、の直線運動が、前記結合部分(31)の領域において、特に前記結合部分の前記内容積部内において、前記ねじ付きスピンドル(13、53)とスライド部(14、54)との相互作用によって行われる、
ことを特徴とする、請求項8に記載のピンリフティング装置(10、40、50、60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持ピンを用いてプロセスチャンバ内における基板の移動及び位置決めのための電気的に絶縁されたピンリフティング装置に関する。
【0002】
ピンリフターとしても知られているピンリフティング装置は、通常は、プロセスチャンバ内で処理されるべき基板の収容及び所定の位置決めのために設計及び提供されている。これらは、特に、汚染粒子の存在しない保護された雰囲気中で行われなければならないIC、半導体、フラットパネル、又は基板の製造分野における真空チャンバシステムに用いられる。
【0003】
このような真空チャンバシステムは、特に、処理又は製造されるべき半導体素子又は基板を受け入れるために設けられ、半導体素子又は他の基板を出し入れするための少なくとも1つの真空チャンバ開口部を有する、少なくとも1つの真空状態になしうる真空チャンバを備えている。例えば、半導体ウェハ又は液晶基板の製造工場において、高感度半導体又は液晶素子は、いくつかのプロセス真空チャンバを順次通過し、このプロセス真空チャンバ内に配置された部品がそれぞれ処理装置によって処理される。
【0004】
そのようなプロセスチャンバはしばしば、少なくとも1つの搬送弁を有し、この搬送弁の断面は、基板及びロボットに適合され、基板はこの断面を通して真空チャンバ内に導入され、必要ならば意図された処理の後に除去されうる。あるいは、例えば、処理された基板がチャンバから取り出されるような第2の搬送弁を設けてもよい。
【0005】
基板(例えばウェハ)は、例えば、適切に設計され制御されたロボットアームによって案内される。このことは、搬送弁によって提供されたプロセスチャンバ内の開口部を通して実行されうる。次に、このプロセスチャンバは、ロボットアームで基板を把持すること、この基板をプロセスチャンバ内に収納すること、及びこの基板をこのチャンバ内に所定の方法で正確に配置することによって装填される。プロセスチャンバは適切に空にされる。
【0006】
基板の収納及びチャンバ内での基板の正確な位置決めのために、基板の相対的に高い精度と移動度とが保証されなければならない。この目的のために、ピンリフティングシステムが使用され、それは、基板、ひいては上記基板全体にわたる(基板の自重による)荷重分布、に対する複数の支持点を提供する。
【0007】
例えば、基板は、ロボットによってリフティング装置の複数の支持ピンの上方に位置決めされ、正確に配置されるように上記支持ピン上に置かれる。ロボットが離れた後、搬送機、例えば潜在的なプレート又はチャック(処理工程中に基板を強固に固定するための装置(クランプ手段))上のピンを下げることによって基板は正確に配置され、そして一般的に基板を搬送するロボットアームは、例えば基板の正確な配置と同時に、チャンバから外に移動される。ピンは、基板を正確に配置した後にさらに下げられ、基板から分離されうる(即ち、ピンと基板との間に接触はない)。あるいは、支持ピンは、基板と接触したままでもよい。ロボットアームを取り外し、チャンバを閉じた(且つ処理用ガスの導入又は排気の)後に、処理工程が実行される。
【0008】
基板への小さな力の影響は、プロセス工程がチャンバ内で実行された後及びその後に基板がリフティングされるときでさえも、例えば基板が搬送機に付着する可能性があるので特に重要である。もし基板が搬送機から余りにも速く押し出されると、少なくとも或る接触点で接着力が克服され又は解消されえないので、基板は破損される可能性がある。さらに、たとえ支持ピンと基板との間に接触が確立されたとしても、基板への何らかの衝撃が、望ましくない応力(又は破損)をもたらしうる。
【0009】
同時に、処理されるべき基板の可能な限り穏やかで慎重な処理に加えて、可能な限り最短の処理時間も可能にされるべきである。これは、基板が可能な限り迅速にチャンバ内において規定された状態、-装填及び取り外し位置並びに処理位置-に為されうることを意味する。
【0010】
半導体ウェハの処理中の望ましくない衝撃を回避するために、例えば、米国特許第6,481,723 B1号明細書は、ピンリフターにおける硬質の運動停止部の代わりに特別な停止装置の使用を提案している。ここで、硬質プラスチック停止部は、より柔軟に設計された停止部と硬質の停止部との組み合わせによって置き換えられるべきであり、接触部は、運動を制限する柔軟な停止部で先ず作られ、次いで硬質の停止部が適切な減衰方法で柔軟な停止部分と接触する。
【0011】
米国特許第6,646,857 B2号明細書は、記録された発生力によるリフティング運動の調節を提案している。支持ピンでのリフティング力が制御されかつ投与された仕方においてウェハに常に加えられるように、支持ピンは、受け取った力の信号の関数として動かされうる。
【0012】
各処理サイクルで、上記支持ピンは、ピックアップされるべき基板と接触させられ、そして基板から解放される。これは当然に、対応する機械的応力をピンにもたらす。処理サイクルは比較的余裕がないことが多く、比較的短い処理時間を必要とする。比較的短い時間での多数回の繰り返しは、このプロセス実装の結果でありうる。通常は、支持ピンは摩耗材料と見なされるので、定期的な交換が必要であり、即ち、普通は一定数のサイクル又は一定の動作時間後に交換されなければならない。
【0013】
特に、メカトロニックピンリフターを空気圧ピンリフターと共に使用する場合に、望ましくない電位差又は望ましくない電位均等化が、ピンリフターをチャック又はプロセスチャンバに結合することによって生じる可能性がある。これは、例えば、リフターの電気駆動又はリフターへの供給線によって引き起こされうる。さらに、そのような構成は、チャックでの電位、例えばプラズマを提供するための高電圧が、ピンリフターの駆動において干渉を引き起こすという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、上記の不利益を軽減又は回避する改良されたピンリフティング装置を提供することが、本発明の目的である。
【0015】
特に、プロセスチャンバにおける処理プロセスのための柔軟な使用を可能にする改良されたピンリフティング装置を提供することが、本発明の目的である。ここで、処理プロセスへの影響が、ピンリフティング装置によって減らされるか又は回避される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的は、独立請求項の特徴的な機能の実現によって解決される。本発明を更に代替的又は有利な仕方で発展させた特徴は、従属請求項に見出されうる。
【0017】
本発明は、ピンリフティング装置、特にピンリフターであり、それは、処理されるべき基板、特に(半導体)ウェハを、真空プロセスチャンバによって提供されうるプロセス雰囲気領域内において、移動させ且つ位置決めするように設計されている。上記ピンリフティング装置は、上記基板と接触して支持するように適合された支持ピンを受け取るように適合された結合部を有する結合部分を含んでいる。さらに、駆動部分が設けられ、それは駆動ユニットを有し、上記駆動ユニットは、上記結合部が、降下された通常位置 [この通常位置では、嵌合状態(上記支持ピンは上記結合部に設けられている)にあり、それに対して意図された効果(例えば、ワークピース又は基板を動かすこと、支持すること、及び位置決めすること)に関して本質的に無作用状態(上記基板と接触しない)にある上記支持ピンは、制御された様式で調整可能である] から、伸長された支持位置 [この支持位置では、嵌合状態にある上記支持ピンは、上記基板を受け取り及び/又は提供するという意図された効果を与える] へ動かされ、そして再び元に戻すように調整可能であるような仕方で、設計され且つその調整要素によって上記結合部と間接的又は直接的に相互作用する。特にここで、前記調整要素は、調整軸に沿って直線的に移動可能である。
【0018】
嵌合状態は、上記支持ピンが受け取られた目標位置に上記結合部によって保持されている状態として理解されるべきである。非嵌合的な受け取り状態は、受け取られるべき支持ピンが上記結合部内の保持目標位置にない上記結合部の状態をいう。
【0019】
上記支持ピンの意図された効果は、本質的に、ワークピース又は基板のピックアップ、接触、移動、運搬、及び/又は位置決めなどである。これに関連して、上記支持ピンの無動作状態は、上記ピンが接触されるべき基板と非接触であり(まだ接触していない、又はもはや接触していない)、且つ特に一時的に、意図された目的を提供しない(例えば降下された待機位置にある)ところの状態として理解されるべきである。これは、処理工程が、上記基板上で実行されている間の特別の場合である。しかし、意図された効果を提供することは、上記支持ピンと上記基板との間に接触があることを専ら意味するものではない。むしろ、上記ピンはこの状態において伸長された状態で存在し、ウェハの収容(上記ウェハの上記ピン上への配置)のために準備され維持されうる。接触の結果として生じる過程又は動き(上記ウェハの搬送)もまた、意図された効果を提供するものとして理解されるべきである。
【0020】
上記装置はまた、プロセス雰囲気領域を外部雰囲気領域から分離するための分離装置を有してもよい。ここで、上記駆動ユニットは、外部雰囲気領域と、少なくとも部分的に、特に完全に、関連しており、そして上記結合部は、特に少なくとも部分的に、上記プロセス雰囲気領域と関連する。上記ピンリフティング装置の分離装置は、例えば、ベローズによって形成されることができ、上記ピンリフターのハウジングの内側に設けられうる。
【0021】
上記ピンリフティング装置はまた、上記駆動部分と上記結合部分との間に配置され且つ上記駆動部分と上記結合部分との間に完全な電気的絶縁を提供する絶縁構成要素を有する。ここで、上記結合部の正常位置から支持位置までの及びその逆の調整可能性は、上記駆動ユニットによって維持される。
【0022】
特に、上記調整要素及び上記結合部は、上記絶縁構成要素の配置によって電気的に絶縁されている、即ち、それらは非導電性絶縁によって電気的に絶縁されている。
【0023】
そのような電気的絶縁は、電子部品、特にこの場合のメカトロニクス駆動ユニット、をプロセスチャンバから論理的に(電気信号伝送の意味において)分離することを可能にする。
【0024】
有利には、上記ピンリフターは勿論、例えばプロセスチャンバのチャックは、電位又は異なる電位に設定されうる。これは、(プロセスの外部の)別の外部システムによる処理装置(例えばプラズマ発生器)への影響又は妨害をほとんど回避する。異なる信号源からの電気信号のクロストーク又は重畳の危険性は、低減又は排除されうる。真空チャンバ内の処理工程は、より安定し、そして所望のプロセスパラメータに関して、より頑強で再現性がよくなる。結果として、全体としてより低い不良率を有し且つ一貫して高品質で製造されうるところの製品が得られる。
【0025】
逆にまた有利には、上記装置部分の絶縁は、上記駆動部の電子機器との干渉を低減又は防止しうる。ウェハをリフティングることは、このようにして、より確実にかつ均一に提供される。比較的大きな基板をリフティングするために、本発明による多数のピンリフティング装置が通常使用される。これらは、可能な限り一様に基板を上下させるべきである。これらの装置の個々の駆動部に影響を与えることを回避することによって、上記ピンリフターの均一で同期された動きが、確実に提供されることができ、それは次に上記基板の所望の動きを確実に可能にする。
【0026】
処理プロセスに直接に接続されていない、即ち、真空容積部と接触していないシステム構成要素の保護は、上記駆動部を超えて接続された電子機器、例えば制御エレクトロニクス、にまで及ぶ。
【0027】
さらに、いわゆるコモンモード干渉は、与えられた電位分離によって信号入力から遠ざけ続けられうる。
【0028】
1実施形態において、上記駆動部分及び上記結合部分はそれぞれ、上記絶縁構成要素に接続されることができ、且つ上記駆動部分は上記絶縁構成要素によって上記結合部に対して固定位置に存在しうる。さらに、上記駆動部分と上記結合部分は、上記絶縁構成要素によって物理的に分離されているため、非接触で存在することができる。この場合、駆動部分と結合部分はお互いに接触しない。このようにして、上記駆動部分と上記結合部分との間の通電経路は、上記絶縁構成要素によって遮断されうる。
【0029】
特に、上記絶縁構成要素は、上記駆動部分及び上記結合部分へ強固に接続された(電気絶縁性の、非導電性の)固定要素と、上記駆動部分及び上記結合部分に対して移動可能である(電気絶縁性の、非導電性の)結合要素とを含みうる。これは、電気的絶縁がまた、上記駆動ユニットと共に動く本装置の部分に対して、又はそれに結合された要素(例えば支持ピン)に対して提供されうることを意味している。これは、上記駆動ユニットと収容されるべき基板との間の電位の均一化を妨げる。
【0030】
結合部と駆動部とを分離することによって、上記結合部分は、例えば、チャックを用いて共通電位に接続されうる。上記結合部分は、例えばプロセスチャンバ又はチャックにフランジ付けされうる。結果として、挿入された支持ピンはまた、電気伝導性材料(例えば金属材料)を有しうるか、又はそのような材料で作れられうる。上記ピンの電気的伝導性にもかかわらず、(ピンリフターの駆動による)望ましくない電位均等化はこのようにして回避される。
【0031】
上記固定要素及び上記結合要素の両方は、電気的非伝導性材料、特に、ポリマーの又はセラミックの材料、特にポリエーテルケトン(PEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作られうる。
【0032】
上記結合要素は、特に上記調整要素の上記結合部との相互作用を提供する。この目的のために、上記結合要素は、上記結合部と上記調整要素との間の中間部品として配設され、これらの構成要素間の通電経路を妨げうる。
【0033】
特に、上記結合要素は、上記駆動ユニットの上記調整要素との代替の直接的又は間接的な結合を提供する。上記結合要素は、ここでは、例えば、上記モータ(駆動ユニット)と上記調整要素との間のベアリング又はクランプ装置として配設されうる。
【0034】
代わりに、上記結合要素は、上記調整要素によって具体化されうる。
【0035】
1実施形態において、上記結合要素は、上記結合部分によって画定された内容積部内で上記駆動ユニットによって上記調整軸に沿って移動させられうる。次に、上記結合要素は、上記上部結合部分の領域内に主として移動させられうる。
【0036】
本発明による1実施形態によれば、上記結合要素は、降下された通常位置において上記固定要素に接触することができ、そして伸長された支持位置において上記固定要素に対して非接触で存在しうる。上記駆動部の上記調整要素が格納された(降下された)状態にある場合に、これは通常位置に対応しうる。
【0037】
特に、上記結合要素は、結合スリーブとして形成されうる。ここで、上記調整要素は、上記結合スリーブ内に少なくとも部分的に収容され、そして上記結合スリーブは、上記結合部の結合凹部内に少なくとも部分的に延在し、そして上記結合凹部へ接続される。その上に、例えば、ねじ山又は代替の接続要素がその上に形成されうる上記調整要素又はその自由端は、上記結合スリーブ内に少なくとも部分的に突出し、且つそれへ接続されうる。上記結合スリーブは、好ましくは上記調整要素の接続要素に対応する対応物、例えば内部ねじ山を有する。上記結合スリーブは、同様にして上記結合凹部に接続されうる。雄ねじと雌ねじとのねじ接続に加えて、例えば、締め付け、接着、又ははんだ付けが代替案として考えられる。
【0038】
1実施形態において、上記調整要素は、スライド部として設計されることができ、それは、上記駆動ユニットのねじ付きスピンドルへ接続されることができ、且つ上記ねじ付きスピンドルに沿って直線的に移動可能である。ここで、上記ねじ付きスピンドルは、上記結合部分の内容積部内に、且つ特に上記調整軸と同軸的に延在する。
【0039】
1実施形態において、上記調整要素は、ねじ付きスピンドル又はプッシュロッドとして設計されうる。ここで、上記調整要素は、上記結合要素を介して間接的に又は直接的に上記結合部と結合されうる。この場合、電気絶縁は、上記駆動ユニットへの絶縁ベアリング又は締め付けによって達成されうる。
【0040】
上記結合要素が上記調整要素によって形成される別の実施形態において、これは、上記ねじ付きスピンドルによって具現化されることができ、上記スピンドルは上記結合部と直接的に相互作用しうる。スライド部は、ここでは省略されうる。上記ねじ付きスピンドルは、電気絶縁要素として設計される。
【0041】
特に、上記結合要素、特に上記結合スリーブは、凹部を有することができ、その凹部は、上記結合部分の容積部内に延在する上記ねじ付きスピンドルの部分が上記凹部によって(可変に)収容されうるように寸法決めされている。降下された通常位置において、上記ねじ付きスピンドルは、本質的に上記凹部を満たすことができ、伸長された支持位置において、それは上記凹部を部分的にしか満たすことができない。
【0042】
上記駆動ユニットはまた、制御可能な電気モータを有することができ、このモータは、上記ねじ付きスピンドルに結合され、動作中、上記ねじ付きスピンドルの回転を特に調整軸の周りで提供する。上記ピンリフティング装置は、このようにして、メカトロニクス‐ピンリフティング装置として実現されうる。
【0043】
上記ねじ付きスピンドルが電気モータによって回転させられるとき、上記スライド部、上記結合要素、及び上記結合部の直線運動は、上記結合部分の領域内において、特に上記結合部分の内容積部内において、上記ねじ付きスピンドルとスライド部の相互作用によって起こりうる。
【0044】
可動部分の数と動かされるべき質量は、スライド部を備えた実施形態によって比較的少なく保たれうる。このことは、上記ピンリフターを比較的迅速かつ効率的に作動させることを可能にし、即ち、ウェハは同時に迅速かつ正確に上昇又は下降させられうる。
【0045】
上記スライド部は、好ましくは、上記ねじ付きスピンドルのねじに対応する雌ねじを有する。上記スライド部はまた、例えば上記ピンリフターが線形ガイド(例えば溝)によって回転不能に取り付けられ、ひいては並進運動の自由度のみを有するような仕方で、上記ピンリフターに取り付けられうる。上記スライド部の自由度を制限することによって、上記スライド部は、上記スピンドルを回転させることによって、直線的に動かされ且つ高精度に位置決めされうる。そのような変換はまた、上記駆動部の方向に上記調整軸に平行に作用する比較的大きな力、例えば処理されるべき基板の自重による力、を吸収し打ち消しうる。
【0046】
1実施形態において、上記調整要素(例えば、上記ねじ付きスピンドル)は上記駆動ユニットへ絶縁的な仕方で接続されることができ、上記絶縁構成要素の上記固定要素はまた、上記駆動部分と上記結合部分とを接続するために設けられることもできる。上記電気絶縁接続は、上記絶縁構成要素の上記結合要素を具体化することができる。
【0047】
上記ねじ付きスピンドル自体は、代替的又は付加的に非導電性材料で作ることができ、ひいては上記絶縁構成要素の電気絶縁結合要素として機能しうる。
【0048】
1実施形態において、上記駆動ユニットは、上記調整要素に結合された空気圧駆動シリンダを有しうる。上記空気圧駆動シリンダは、上記調整要素の直線運動を生じさせることができ、好ましくは推力要素、例えばスラストロッドへ接続されうる。
【0049】
1実施形態において、絶縁構成要素は、特定の空間的寸法の外側円柱形状を有する外壁を有しうる。ここで、上記駆動部分及び上記結合部分の外壁は、これらの部分がそれぞれ上記絶縁構成要素へ接続されているところのそれぞれの接触領域において、少なくとも対応する円柱形状及び空間寸法を有する。上記個々の構成要素の外形及び寸法を適合させることによって、上記ピンリフティング装置の均一な外観が提供されうる。そのような方針は、統合要件に関して特に有利である。
【0050】
本発明による装置は、以下に、図面に概略的に示された具体的な実施形態の例によってさらに詳細に説明され、本発明のさらなる利点もまた議論される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明によるピンリフティング装置を有する真空ウェハ処理装置の1実施形態の概略図である。
【
図2a】本発明によるピンリフティング装置の1実施形態における1の状態を示す図である。
【
図2b】本発明によるピンリフティング装置の1実施形態における
図2aと異なる状態を示す図である。
【
図3a】本発明によるピンリフティング装置の別の実施形態における1の状態を示す図である。
【
図3b】本発明によるピンリフティング装置の別の実施形態における
図3aと異なる状態を示す図である。
【
図4a】本発明によるピンリフティング装置の別の実施形態における1の視点からの図である。
【
図4b】本発明によるピンリフティング装置の別の実施形態における
図4aと異なる視点からの図である。
【
図5】本発明によるピンリフティング装置の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、真空条件下での半導体ウェハ1を処理するためのプロセス設定を概略的に示す。ウェハ1は、第1真空搬送弁5aを通る第1ロボットアーム2によって真空チャンバ4(プロセス雰囲気領域P)に挿入され、本発明によるピンリフティング装置の支持ピン7(ここでは3つのピンが示されている)によって定位置に置かれる。次にウェハ1はピン7によってリフティングされ、且つロボットアーム2は引き離される。ウェハ1は、一般的に、ロボットアーム又はロボットアーム2、3上に設けられた支持体上に載っているか、又は特定の支持装置によって保持されている。ウェハ1がピン7によってリフティングされた後、ロボットアームはチャンバ4の外へ案内され、搬送弁5aが閉じられピン7が下げられる。これは、それぞれのピン7に結合されているピンリフティング装置の駆動部6によって行われる。ウェハ1は、それによって図示されている4つの支持要素8上に置かれる。
【0053】
この状態において、ウェハ1の計画された処理(例えばコーティング)は、真空条件下で、かつ特に規定された雰囲気中で(即ち、特定のプロセスガスを用い規定の圧力で)行われる。チャンバ4は真空ポンプと、好ましくはチャンバ圧力を制御するための真空制御弁(図示せず)とに結合されている。
【0054】
処理後、ウェハ1は、ピンリフティング装置によって再び取り出し位置へリフティングされる。続いて、第2ロボットアーム3を用いて、ウェハ1は第2搬送弁5bを通して取り出される。代わりに、このプロセスは、ただ1つのロボットアームを用いて、単一の搬送弁を介して装填及び取り外しが行われるように設計されうる。
【0055】
図2aは、本発明によるピンリフティング装置10の実施形態を示す。ピンリフティング装置10は、電気モータとして設計された駆動ユニット12を有し、それはこの装置10の下部駆動部分11に割り当てられている。モータ12は、ねじ付きスピンドル13へ結合されている。ねじ付きロッド13は、モータ12を適切に制御することによって回転させられうる。
【0056】
さらに、調整要素14が設けられ、この図示された実施形態における調整要素14は、スライド部14として構成され、ねじ付きロッド13と相互作用し、ロッド13の回転によって中央調整軸Aに沿って直線的に動かされうる。スライド部14は、ねじ付きロッド13のねじに対応する内側ねじを有している。さらに、スライド部14は、ピンリフティング装置10自体に対して回転することができず、調整軸Aに平行な移動方向にのみ移動しうるように取り付けられている。
【0057】
スライド部14はさらに、絶縁構成要素20の第1部分21に結合され、この絶縁構成要素20は、駆動ユニット12に相対的に移動可能である。この結合要素21は、スライド部によって直線的に移動され且つ位置決めされうる。絶縁構成要素20はまた、駆動部分11に固定された第2部分22(固定要素22)を有する。結合要素21と固定要素22の両方は、それらが電気伝導性を持たないように製造される。特に、結合要素21及び/又は固定要素22は、電気的非伝導性材料(例えばプラスチック)で作られるか、又は非伝導性材料で被覆される。
【0058】
固定要素22は、ピンリフティング装置の上側結合部分31のハウジングに強固に接続されている。結合部分31の内容積部Viは、ハウジングによって画定される。結合部分31は可動結合部32を有し、可動結合部32は第1端部において支持ピン(図示されず)を収容するように設計されている。図示された例において、この結合部は本質的に軸Aに沿って延在している。結合部32は絶縁構成要素20の結合要素21に(第1端部と反対側のその下部において)接続されている。この目的のために、上記結合部32は、結合要素21が受け取られ固定(例えば、接着剤又はネジ接続によって)されるところの内側凹部を有している。
【0059】
スライド部14、結合要素21、及び結合部32の間の接続によって、モータ12によって制御可能である結合部32の可動性、ひいては結合部32に収容された支持ピンの可動性が提供されうる。絶縁構成要素20の結合要素21はまた、支持ピンと駆動部12との間の電気的絶縁を与える。
【0060】
図2aは、降下された通常位置にあるピンリフティング装置10の上記結合部32を示しており、そこでは、任意選択的に設けられた支持ピンは、その意図された効果に関して本質的に無効な状態で存在するであろう。ピンリフター10が真空処理プロセスで提供される場合、支持ピンは、一般的には処理されるべき基板とは接触しない。
【0061】
図2bは、伸長された支持位置にあるピンリフティング装置10の可動結合部32を示しており、そこでは、結合されたピンが、基板を、受け取り、移動させ、及び/又は提供するという意図された効果を与える。
【0062】
伸長された支持位置に到達するために、モータ12は適切に作動させられうる。この目的のために、例えば、モータの運転時間又はねじ付きロッド13のために実行されるべき回転数が、スライド部14の所望の位置を設定するために記憶されうる。
【0063】
特に、エンコーダが、モータ軸の動きを監視可能かつ制御可能にするために駆動ユニット12に結合される。
【0064】
ピンリフター10の可動部分、即ち、上記スライド部14、上記結合要素21、及び上記結合部32は、主として上記結合部分31の領域内で動かされる。スライド部14及び結合要素21は、少なくとも本質的に内容積部Vi内で動く。結合要素21は、図示された実施形態ではスリーブ形状であり、結合要素21の形状によって画定された凹部21’を提供する。この凹部21’は、結合要素21内へのねじ付きロッド13の可変的な伸長、ひいては、ねじ付きロッド13に相対的な結合要素21の並進可動性を可能にする。
【0065】
絶縁構成要素20の2つの要素21、22は、このようにして駆動部分11と駆動ユニット12とそれらに対して固定位置に配置されている結合部分31のハウジングとの間に電気絶縁を提供する。第二に、駆動部分11及び結合部分31の可動部、即ち、結合部32とスライド部14との間にも恒久的な電気絶縁が設けられる。
【0066】
駆動部分11の個々の構成要素と結合部分31のそれぞれの構成要素との間の電気伝導性の接触は、絶縁構成要素20によってピンリフターの状態とは無関係に防止される。
【0067】
降下された通常位置において、結合要素21と固定要素22とは、好ましくは接触している。
【0068】
図3a及び
図3bは、本発明によるピンリフター40の、下げられ状態及び伸長された状態における別の実施形態を示す。ピンリフター40は、駆動ユニット12を有する駆動部分11と、可動結合部32を有する結合部分31とを有している。
【0069】
このリフター40の調整要素44は、ここではプッシュロッド44として設計され、駆動ユニット12と結合されている。
【0070】
絶縁構成要素はまた、2つの部分で作られている。固定要素42は、駆動部分11を結合部分31へ接続する。結合要素41は、プッシュロッド44へ直接接続され、且つこのロッド44を動かすことによって軸Aに沿って調整されうる。結合部32は次にまた、結合要素41へ接続される。このようにして、結合要素41は、結合部32と接続ロッド44との間の絶縁を形成し、このようにして、支持ピンの動きを提供する下側部分から、おそらくはプロセスチャンバ又はチャックに接続された上側部分の完全な電気的絶縁を可能にする。
【0071】
プッシュロッド44は、駆動ユニット12によって直線的に動かされうる。駆動ユニット12は、この目的のために電気モータとして設計されることができ、適合歯車及び/又は当業者に知られている運動変換ユニット(それは、例えば回転運動を直線運動に変換することを可能にする)を有しうる。代わりに、駆動ユニット12は、それを通ってプッシュロッドが直線的に動かされうる空気圧式リフティングシリンダを有しうる。
【0072】
図4aは、本発明によるピンリフティング装置50の別の実施形態を示す。支持ピン59は、結合部58に固定されている。支持ピン59は、好ましくは、金属材料、ポリマーベース材料、又はセラミック材料を有する。特に、このピン59は、全面的にそのような材料でできている。結合部58内の係止装置は、例えば、磁気的に又はクランプ装置によって実装されうる。
【0073】
結合部58は、スライド部54によってz方向に動かされうる。スライド部54は、この目的のためにねじ付きスピンドル53に結合され、ねじ付きスピンドル53は、モータ12によって駆動されうる。
【0074】
本発明によるモータ12と結合部58との間の絶縁は、第1の変形形態において、第1の絶縁要素52(それは、上部ハウジングと下部ハウジングとを電気的に分離する)と、第2の絶縁要素(それはスライド部54によって具体化されうる)とによって実現される。ピン持上げ装置50のこの変形形態において、ねじ付きスピンドル53は、このスピンドル53と結合部58との間に、例え相対的移動があっても、これらの間に(電気伝導性の)接触が生じないように正確かつ堅固に、設計されかつ取り付けられている。代わりに、スピンドル53は、非導電性材料で作られているか又は非導電性材料で被覆されている。このようにして、完全な電気的絶縁は、この装置50のあらゆる状態において上部と下部部分との間で提供される。
【0075】
第2の変形形態において、ねじ付きスピンドル53とこのスピンドル53上に配置されたスライド部54の両方が、電気伝導的に(例えば金属的に)製造されうる。第2の絶縁要素は、中間スリーブ51の形態において形成される(小さな許容誤差表示の故に、このスリーブは参照番号51で数回参照される)。この中間スリーブ51は、ねじ付きスピンドル53の上側部分を(図示された下降位置において)囲み、このスピンドル53とこのスライド部54の両方をこの結合部58から物理的に分離する。
【0076】
第3の変形形態において、ねじ付きスピンドル53、スライド部54、及び結合部58のどれもが、互いに電気伝導的な仕方において且つ相互に直接接触するように形成されうる。これは、ピン59からスピンドル53への電気伝導性を確保する。絶縁構成要素の第2の絶縁要素は、スピンドル53のモータへの結合部又はベアリングとして設計される。したがって、ねじ付きスピンドル53は、モータ12に電気的に非伝導的に接続され、そのモータから電気的に絶縁されている。この結果及び第1の絶縁要素52(固定要素)による分離の結果として、本発明による電気的絶縁が提供されうる。図示された降下された位置において、スライド部54は、駆動部分と物理的に接触することなく第1の絶縁要素52と接触しうる。
【0077】
ピンリフター50はまた、結合部分の内側にベローズ55を有している。ベローズ55は、支持ピン59が存在し処理プロセスが通常そこで行われるところのプロセス雰囲気領域と、駆動部12及び別の周辺構成要素がそこに存在するところの外部雰囲気領域との大気分離が例えば行われるように、配置され且つ成形されている。ベローズ55は、ピン59が延伸するときに圧縮され、大気の分離が維持される。
【0078】
図4bは、ピンリフター50の外観図を示す。ピン59は、リフター50のハウジングの頂部から突出している。絶縁構成要素の固定要素52は、下側駆動部分11を上側結合部分31又はそれぞれのハウジング及び並進移動不可能な部分から電気的に絶縁している。
【0079】
図5は、本発明によるピンリフター60の別の実施形態を示す。このピンリフティング装置60は、
図4aによる上述された装置の第2の変形形態と類似している。
【0080】
電気絶縁性固定要素62は、電気絶縁性結合要素61と一緒に、絶縁構成要素の形において結合部68と駆動部12との間の電気的絶縁を提供する。この結合要素61は、今度は中間スリーブ61の形において形成される(このスリーブは、参照符号61で数回参照される)。中間スリーブ61は、ねじ付きスピンドルの上側部分を囲み(図示された降下された位置において)、且つ物理的かつ電気的にこのスピンドルとスライド部の両方を結合部68から分離する。
【0081】
示された図は、可能な実施形態の例を単に概略的に表しているに過ぎないことを理解されたい。様々なアプローチが、相互に組み合わされることが可能であり、勿論、従来技術による真空プロセスチャンバ内での基板の移動のための装置、特にピンリフターとも組み合わされうる。