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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】休憩用シェルター
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20241105BHJP
   E04B 1/344 20060101ALI20241105BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
E04H1/12 306B
E04B1/344 D
E04B1/343 U
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019239955
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107666
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】394010171
【氏名又は名称】株式会社中村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100103399
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 清
(72)【発明者】
【氏名】岩満 恭大
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-352206(JP,A)
【文献】特開2006-319169(JP,A)
【文献】特表2014-507585(JP,A)
【文献】特開2017-023227(JP,A)
【文献】特開2003-120056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 1/343-1/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を空けて設置した2体の脚体と、前記脚体の側面部に近接して立設した2本の支柱と、前記2本の支柱の上端部に傾斜状に載置した屋根と、前記2本の支柱の下端部に側端面を当接して配置したベンチ体と、から構成される休憩用シェルターであって、
前記脚体は、中空長方形状を呈する筐体を形成して成る本体部の上面に天板部を配設したものであって、
前記支柱は、杆状を呈するものであって、その下端部寄り中間部を前記脚体の本体部の上端部に回動自在に軸支したものであって、
前記屋根は、板状を呈するものであって、その底面の傾斜方向中間部において前記2本の支柱の上端部に回動自在に軸支したものであって、
前記ベンチ体は、コンクリート製の長尺直方体形状を呈する本体の上面に座板を固定したものであって、
前記屋根の傾斜方向頂点部を下方に回動させ、前記屋根の底面を前記2本の支柱の側面に当接し、前記屋根を前記支柱に締結、保持させて、前記屋根を前記2本の支柱と一体化することができ、さらに、前記屋根を一体化させた前記2本の支柱を回動させ、前記2本の支柱を前記2体の脚体に固定、保持させて、前記2本の支柱、前記屋根及び前記ベンチ体を水平状態に保持することができることを特徴とする休憩用シェルター。
【請求項2】
前記支柱の下端部寄り中間部と前記脚体の本体部の上端部との間に支柱回転軸を配設して下部回動機構を構成すると共に、前記屋根の底面の傾斜方向中間部と前記2本の支柱の上端部との間に屋根回転軸を配設して上部回動機構を構成したことを特徴とする請求項1に記載の休憩用シェルター。
【請求項3】
前記下部回動機構及び前記上部回動機構には、制御ダンパーを配設してあることを特徴とする請求項2に記載の休憩用シェルター。
【請求項4】
前記支柱の下端部寄り中間部には、前記支柱回転軸の周囲側面に位置決め板の基端部を固定してあり、その位置決め板の先端部にはピン挿通孔を穿設してあると共に、前記脚体の本体部の内側面には、前記支柱回転軸の水平方向所定位置に起立時ネジ孔を、前記支柱回転軸の鉛直方向所定位置に倒伏時ネジ孔を形成してあって、
前記ピン挿通孔と前記起立時ネジ孔とを合致させ、前記ピン挿通孔を通してボルトを前記起立時ネジ孔に螺合することによって、前記支柱を起立させることができ、前記ピン挿通孔と前記倒伏時ネジ孔とを合致させ、前記ピン挿通孔を通してボルトを前記倒伏時ネジ孔に螺合することによって、前記支柱を倒伏させることができることを特徴とする請求項2又は3に記載の休憩用シェルター。
【請求項5】
前記屋根は、その頂点部において分離可能とした左右同型の2体の屋根分割体から構成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の休憩用シェルター。
【請求項6】
前記左右同型の2体の屋根分割体は、前記屋根の頂点部において、前記左右同型の2体の屋根分割体の上端部が当接すると共に、前記2体の屋根分割体の各上端部に固定保持片を配設してあり、各固定保持片を締結することによって、前記2体の屋根分割体が一体となって屋根を構成することを特徴とする請求項5に記載の休憩用シェルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川、湖、沼、海等の水辺、特には、河川敷に設置して好適な休憩用シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、公園、庭園、広場等においては、人々が風雨、陽射し等を避けて休憩することができる東屋、パーゴラ、シェルター等の簡易休憩施設が設置されているが、近年、このような簡易休憩施設を河川、湖、沼、海等の水辺を形成する地域にも設置する要望が高まってきた。
【0003】
しかし、河川、湖、沼、海等の水辺を形成する地域においては、豪雨、台風等によって河川、湖、沼、海が増水した時に、上記のような簡易休憩施設が雨水、増水の流れを阻害して、通常よりも被害を増大させたり、簡易休憩施設が破損、破壊等して、事後の処理が面倒になったりする。
【0004】
そこで、増水時における雨水、増水の流れを極力阻害しないように、河川、湖、沼、海等の水辺を形成する地域に設置する簡易休憩施設は、地面上1m以下の高さであること、増水時には容易に撤去できること、又は、容易に倒伏できる構造であること等の条件が要請されている。
【0005】
このような条件を満たす簡易休憩施設として、四隅部に4本の支柱を立設し、支柱の上端部に連結金具を介して屋根を配設し、増水時にあっては、屋根の連結状態を解除し、屋根を地面近くに下降させると共に、支柱を地面に倒伏させて、各構成部材を地面上1m以下の高さに位置させる構造が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-120056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された簡易休憩施設では、屋根を下降するために昇降装置を使用しなければならず、下降作業は面倒であると共に、時間がかかった。又、下降作業は熟練者が複数人で実施しなければならず、大きな屋根を水平状態で下降させるため、作業は労力がかかる共に、危険をも伴うものであった。
【0008】
さらに、屋根を下降させた後に、4本の支柱と基礎との連結状態を解除し、4本の支柱を順次に倒伏させなければならず、支柱の倒伏作業は面倒であり、時間がかかると共に、高い支柱を倒伏するため、作業は労力がかかる共に、危険をも伴うものであった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたものであって、屋根の下降作業に特別な装置を使用することなく、熟練者でなくとも容易かつ簡単に、それほど時間もかからず、安全に実施することができ、又、支柱の倒伏作業も容易かつ簡単に、それほど時間がかからず、安全に実施することができる、簡易休憩施設としての休憩用シェルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の休憩用シェルターは、所定間隔を空けて設置した2体の脚体と、前記脚体の側面部に近接して立設した2本の支柱と、前記2本の支柱の上端部に傾斜状に載置した屋根と、前記2本の支柱の下端部に側端面を当接して配置したベンチ体と、から構成され、
前記脚体は、中空長方形状を呈する筐体を形成して成る本体部の上面に天板部を配設したものであって、
前記支柱は、杆状を呈するものであって、その下端部寄り中間部を前記脚体の本体部の上端部に回動自在に軸支したものであって、
前記屋根は、板状を呈するものであって、その底面の傾斜方向中間部において前記2本の支柱の上端部に回動自在に軸支したものであって、
前記ベンチ体は、コンクリート製の長尺直方体形状を呈する本体の上面に座板を固定したものであって、
前記屋根の傾斜方向頂点部を下方に回動させ、前記屋根の底面を前記2本の支柱の側面に当接し、前記屋根を前記支柱に締結、保持させて、前記屋根を前記2本の支柱と一体化することができ、さらに、前記屋根を一体化させた前記2本の支柱を回動させ、前記2本の支柱を前記2体の脚体に固定、保持させて、前記2本の支柱、前記屋根及び前記ベンチ体を水平状態に保持することができることを特徴とする。
【0011】
前記支柱の下端部寄り中間部と前記脚体の本体部の上端部との間に支柱回転軸を配設して下部回動機構を構成すると共に、前記屋根の底面の傾斜方向中間部と前記2本の支柱の上端部との間に屋根回転軸を配設して上部回動機構を構成したことを特徴とする。
【0012】
前記下部回動機構及び前記上部回動機構には、制御ダンパーを配設してあることを特徴とする
【0013】
前記支柱の下端部寄り中間部には、前記支柱回転軸の周囲側面に位置決め板の基端部を固定してあり、その位置決め板の先端部にはピン挿通孔を穿設してあると共に、前記脚体の本体部の内側面には、前記支柱回転軸の水平方向所定位置に起立時ネジ孔を、前記支柱回転軸の鉛直方向所定位置に倒伏時ネジ孔を形成してあって、
前記ピン挿通孔と前記起立時ネジ孔とを合致させ、前記ピン挿通孔を通してボルトを前記起立時ネジ孔に螺合することによって、前記支柱を起立させることができ、前記ピン挿通孔と前記倒伏時ネジ孔とを合致させ、前記ピン挿通孔を通してボルトを前記倒伏時ネジ孔に螺合することによって、前記支柱を倒伏させることができることを特徴とする。
【0014】
前記屋根は、その頂点部において分離可能とした左右同型の2体の屋根分割体から構成されるようにしてもよい
【0015】
前記左右同型の2体の屋根分割体は、前記屋根の頂点部において、前記左右同型の2体の屋根分割体の上端部が当接すると共に、前記2体の屋根分割体の各上端部に固定保持片を配設してあり、各固定保持片を締結することによって、前記2体の屋根分割体が一体となって屋根を構成することを特徴とする
【発明の効果】
【0016】
本発明の休憩用シェルターによれば、屋根の下降作業に特別な装置を使用することなく、熟練者でなくとも容易かつ簡単に、時間もかからず、安全に実施することができ、支柱の倒伏作業も容易かつ簡単に、時間がかからず、安全に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の休憩用シェルターの一実施例の正面図である。
図2図1に示す休憩用シェルターの屋根の平面図である。
図3図1に示す休憩用シェルターのIII-III線断面図である。
図4図1に示す休憩用シェルターの基礎の平面図である。
図5図1に示す休憩用シェルターの脚体の(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面断面図である。
図6図1に示す休憩用シェルターの支柱の(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
図7図1に示す休憩用シェルターの屋根と支柱の連結部の(A)は平面図、(B)は正面断面図、(C)は側面断面図である。
図8図1に示す休憩用シェルターを回動させ、倒伏状態とする方法を示す説明図である。
図9】本発明の休憩用シェルターの他実施例の正面図である。
図10図9に示す休憩用シェルターを回動させ、倒伏状態とする方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の休憩用シェルターについて、以下、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の休憩用シェルターの一実施形態の正面図、図2は、その屋根の平面図、図3は、そのIII-III線断面図、図4は、その基礎の平面図である。
【0019】
本発明の一実施形態の休憩用シェルター100は、図1乃至図4に示すように、脚体1と、支柱2と、屋根3と、ベンチ体4と、から構成される。
【0020】
先ず、休憩用シェルター100を設置する土地を掘り起こして、図1及び図4に示すように、適宜面積の凹部を形成する。そして、その凹部に砕石5を敷き詰め、その上面にコンクリートを打設して、基礎6を形成する。
【0021】
脚体1は、図1及び図5に示すように、底板部11と、本体部12と、天板部13と、から構成されている。
【0022】
底板部11は、鉄板、ステンレス鋼板等から形成され、鉄板の場合には、メツキ等によって防錆処理がされている。
そして、図1及び図4に示すように、底板部11を前記基礎6の上面に載置し、アンカーボルトによって基礎6に固定することによって、脚体1を固設してある。
【0023】
本体部12は、鉄板、ステンレス鋼板等から中空長方形状を呈する筐体14を形成してあり、前記筐体14の底面を前記底板部11の上面に溶接等によって固着し、その正面には木材等から成る化粧板15を配設してある。
【0024】
天板部13は、木材等から成る化粧板であって、前記本体部12の筐体14の上面に配設してある。
【0025】
支柱2は、図1及び図6に示すように、鉄板、ステンレス鋼板等から成形された杆状を呈するものであって、その下端部内側面にはベンチ体装着板21を固着してあり、このベンチ体装着板21を介して前記ベンチ体4を固定してある。
【0026】
支柱2の下端部寄り中間部には、図1及び図6に示すように、支柱回転軸22を配設してある。
この支柱回転軸22の外側面にはT字形状を呈する位置決め板23の基端部を固定してあり、その位置決め板23の先端部にはピン挿通孔23aを穿設してある。
【0027】
支柱2の上端部には、図1及び図6に示すように、屋根支持体24を固設してあり、その屋根支持体24の基端部には屋根回転軸25を配設してある。
そして、連結部材26の下端部をこの屋根回転軸25に回動自在に軸支すると共に、その上端部を前記屋根3の中間部の適宜位置に固定してある。
【0028】
又、図1及び図6に示すように、屋根支持体24の先端部上側面は傾斜面24aとしてあり、その傾斜面24aの先端部には固定保持片27を配設してある。
そして、支柱2の起立時には、屋根支持体24の傾斜面24aに屋根3の下端面を当接させ、屋根3の下端面に配設した固定保持片37と前記固定保持片27をボルト、ナットで締着することによって、屋根3を適宜角度に傾斜支持できるようになっている。
【0029】
さらに、支柱2の上端部寄り中間部には、図6に示すように、固定保持片28を配設してある。
そして、屋根3を回動させ、支柱2に当接させた時には、屋根3の下端面に配設した取手部材82と前記固定保持片28をボルト、ナットで締着することによって、屋根3を支柱2に当接、固定できるようになっている。
【0030】
屋根3は、図1及び図2に示すように、アルミニウム等の軽金属によって成形されたものであって、左右同型の2体の屋根分割体3A,3Bから構成してあり、屋根3の頂点部において前記2体の屋根分割体3A,3Bの上端部は当接するようになっている。
【0031】
又、図1に示すように、2体の屋根分割体3A,3Bの各上端部には、各々固定保持片31,31を配設してある。
よって、2体の屋根分割体3A,3Bの各上端部を当接させ、各固定保持片31,31をボルト、ナットで締着することによって、図1及び図2に示すように、2体の屋根分割体3A,3Bは一体となり、屋根3を構成するようになっている。
【0032】
ベンチ体4は、図1及び図3に示すように、コンクリート製の長尺直方体形状を呈する本体41の上面に、木材等から成る座板42を固定してある。
【0033】
休憩用シェルター100は、さらに、脚体1と支柱2との間に、下部回動機構7を配設すると共に、支柱2と屋根3との間に、上部回動機構8を配設してある。
【0034】
下部回動機構7は、図1及び図5に示すように、前記支柱2に配設した前記支柱回転軸22と、T字形状を呈する位置決め板23と、連結杆71と、制御ダンパー72と、から構成されている。
【0035】
位置決め板23は、上述した如く、図1及び図6に示すように、その基端部を前記支柱2の下端部寄り中間部の外側面に固定してあり、その先端部にはピン挿通孔23aを穿設してある。
一方、脚体1の本体部12の筐体14の内側面には、前記支柱回転軸22の左方に起立時ネジ孔14aを、下方に倒伏時ネジ孔14bを形成してある。
【0036】
連結杆71は、図1及び図5に示すように、その基端部を前記支柱回転軸22の前端部に固定してあり、その先端部には制御ダンパー72のシリンダー72aの基端部を軸支してある。そして、制御ダンパー72のロッド72bの先端部は、前記脚体1の本体部12の筐体14の下端部に軸支してある。
【0037】
上部回動機構8は、図1及び図7に示すように、先端部上側面を傾斜面24aとした前記屋根支持体24と、前記屋根回転軸25と、前記連結部材26と、支持軸81と、取手部材82と、制御ダンパー83と、から構成してある。
【0038】
屋根支持体24は、上述した如く、図1及び図7に示すように、その下端面を前記支柱2の上端面に固着してあり、その先端部上端面を傾斜面24aとして、支柱2の起立時には、その傾斜面24aが屋根3の下端面に当接することによって、屋根3を所定角度傾斜支持するようになっている。
【0039】
連結部材26は、上述した如く、図1及び図7に示すように、その下端部を前記屋根回転軸25によって前記屋根支持体24に回動自在に支持してあり、その上端部は屋根3の適宜位置に固着してある。
【0040】
支持軸81は、前記屋根支持体24の先端部に突設してあると共に、取手部材82は、その基端部を屋根3の下端面の適宜位置に固着してある。
そして、前記取手部材82の左側先端部に制御ダンパー83のシリンダー83aの基端部を軸支し、そのロッド83bの先端部は、前記支持軸81の先端部に軸支してある。
【0041】
本発明の一実施形態の休憩用シェルター100の構成は以上のようであって、次に、倒伏作業を通して、その作用、効果を詳細に説明する。
【0042】
先ず、図8(A)に示すように、作業者Pは、脚立Sの踏板に上って、屋根3の頂点部に配設した固定保持片31,31の締結を解除すれば、一体になっていた屋根3を左右の屋根分割体3A,3Bに分離することができる。
【0043】
次に、図8(A)に示すように、作業者Pは、脚体1の上面に上がって、屋根分割体3A,3Bの各固定保持片37と支柱2の各固定保持片27とを締着していたボルトを離脱させ、屋根分割体3A,3Bの固定を解除する。
【0044】
次に、作業者Pは、取手部材82を把持して、屋根分割体3A,3Bを回動させて、屋根分割体3A,3Bの底面を支柱2の側面に当接させ、屋根3A,3Bの取手部材82と支柱2の各固定保持片28とをボルト、ナットによって締結して、屋根分割体3A,3Bを支柱2,2と一体化させる。
【0045】
次に、作業者Pは、支柱2の位置決め板23のピン挿通孔23aに挿通させ、脚体1の筐体14の起立時ネジ孔14aに螺合させておいたボルトを離脱させ、図8(B)に示すように、支柱2を外方に回動させる。
【0046】
そして、支柱2が水平状態となったら、位置決め板23のピン挿通孔23aと脚体1の筐体14の倒伏時ネジ孔14bとを合致させ、ピン挿通孔23aを通して、ボルトを倒伏時ネジ孔14bに螺合させる。
【0047】
このようにして、屋根3を屋根分割体3A,3Bに分離した上で、図8(B)に示すように、屋根分割体3A,3Bを折り畳み、支柱2,2に当接させて、水平状態に保持することができる。
【0048】
本発明の休憩用シェルター100は、支柱2の下端部にコンクリートから成るベンチ体4を固定したから、倒伏作業時において、ベンチ体4はウェイトとして機能し、作業者Pはそれほど労力を要することなく、支柱2を外方に回動させることができる。
【0049】
又、制御ダンパー72,83を配設したから、それらの緩衝作用によって、屋根分割体3A,3Bが急激に支柱2に近接することがないと共に、支柱2が急激に外方に回動することもなく、作業者Pに危害を及ぼすことはない。
【0050】
次に、本発明の休憩用シェルターの他実施形態について、図面を参照して説明するが、図6は、本発明の休憩用シェルターの他実施例の正面図である。
【0051】
本発明の他実施形態の休憩用シェルター200は、図9に示すように、脚体1と、支柱2と、屋根3′と、ベンチ体4と、から構成される。
【0052】
休憩用シェルター200を設置する場合にあっても、先ず、土地を掘り起こして、図9に示すように、適宜面積の凹部を形成する。そして、その凹部に砕石5を敷き詰め、その上面にコンクリートを打設して、基礎6を形成する。
【0053】
休憩用シェルター200において、脚体1、支柱2、ベンチ体4は、休憩用シェルター100の当該構成部材と同様に構成されている。
よって、以下において、休憩用シェルター100と同様の構成部材については、休憩用シェルター100と同一の符号を使用するものとする。
【0054】
屋根3′については、休憩用シェルター100の左右同型の屋根分割体3A,3Bの何れかと同様に構成されている。
【0055】
下部回動機構7、上部回動機構8についても、休憩用シェルター100の当該機構と同様に構成されている。
【0056】
要するに、休憩用シェルター100は、屋根3が切妻型形状であるのに対して、休憩用シェルター200は、屋根3′が片持型形状である点で相違するだけである。
【0057】
本発明の他実施形態の休憩用シェルター200の構成は以上のようであって、次に、倒伏作業を通して、その作用、効果を詳細に説明する。
【0058】
先ず、図10(A)に示すように、作業者Pは、脚体1の上面に上がって、屋根3′の固定保持片37と支柱2の固定保持片27とを締着していたボルトを離脱させ、屋根3′の固定を解除する。
【0059】
次に、作業者Pは、取手部材82を把持して、屋根3′を回動させて、図10(B)に示すように、屋根3′の底面を支柱2の側面に当接させ、屋根3′の取手部材82と支柱2の固定保持片28とをボルト、ナットによって締結して、図10(B)に示すように、屋根3′を支柱2,2と一体化させる。
【0060】
次に、作業者Pは、支柱2の位置決め板23のピン挿通孔23aに挿通させ、脚体1の筐体14の起立時ネジ孔14aに螺合させておいたボルトを離脱させ、一体となった屋根3′及び支柱2を外方に回動させる。
【0061】
そして、支柱2が水平状態となったら、位置決め板23のピン挿通孔23aと脚体1の筐体14の倒伏時ネジ孔14bとを合致させ、ピン挿通孔23aを通して、ボルトを倒伏時ネジ孔14bに螺合させる。
【0062】
このようにして、図10(C)に示すように、屋根3′を折り畳み、支柱2に当接させて、水平状態に保持することができる。
【0063】
休憩用シェルター200においても、支柱2の下端部にコンクリートから成るベンチ体4を固定したから、倒伏作業時において、ベンチ体4はウェイトとして機能し、作業者Pはそれほど労力を要することなく、支柱2を外方に回動させることができる。
【0064】
又、制御ダンパー72,83を配設したから、それらの緩衝作用によって、屋根3′が急激に支柱2に近接することがないと共に、支柱2が急激に外方に回動することもなく、作業者Pに危害を及ぼすことはない。
【0065】
以上説明したように、本発明の休憩用シェルターによれば、屋根を下降するために昇降装置を使用する必要はないから、下降作業は容易であり、時間を要しない。又、下降作業に熟練者が必要ではなく、1名又は2名の作業者であっても、無理なく、迅速に作業を実施することができる。
【0066】
又、屋根及び支柱を一体化した状態で回動させ、4本の支柱を順次、別個に倒伏させる必要はないから、支柱の倒伏作業も容易であり、時間を要しない。さらに、制御ダンパーを配設することによって、屋根及び支柱が急減に回動するのを防止したから、作業者に危害を及ぼすこともない。
【0067】
さらに、本発明の休憩用シェルターは、簡単な構成部材と簡単な回動機構とから構成されているから、製造、保守に係る費用も低額ですむ。
【0068】
尚、本発明の休憩用シェルターは、豪雨、台風等が通過した後には、特に熟練作業者によらなくとも、上記倒伏作業における手順と逆の手順によって、支柱を起立させ、屋根を設置すれば、簡易、迅速に休憩用シェルターを構成することができるから、極めて実用的である。
【符号の説明】
【0069】
100 休憩用シェルター
200 休憩用シェルター
1 脚体
2 支柱
23 位置決め板
23a ピン挿通孔
3 屋根
3A,3B 屋根分割体
3′屋根
4 ベンチ体
7 下部回動機構
72 制御ダンパー
8 上部回動機構
83 制御ダンパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10