(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】融雪剤および基材のマトリクス
(51)【国際特許分類】
C09K 3/18 20060101AFI20241105BHJP
E01H 1/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
C09K3/18 ZBP
E01H1/00 A
(21)【出願番号】P 2019517378
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 US2017054246
(87)【国際公開番号】W WO2018064450
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-08-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-05
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519106758
【氏名又は名称】シェラー,ローレンス,シー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シェラー,ローレンス,シー
【合議体】
【審判長】門前 浩一
【審判官】長谷川 真一
【審判官】瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-313165(JP,A)
【文献】特開平7-102513(JP,A)
【文献】特表2015-504939(JP,A)
【文献】特開昭62-89785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/18, E01H1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の基材、および少なくとも1種の融雪剤を含む、即時的かつ持続的な作用を提供する除氷および牽引摩擦のマトリクスであって、
前記マトリクスは、湿潤、凍結、積雪、または滑り易い表面上への散布のためのマトリクスであり、
前記マトリクスは、3/8インチ未満のメッシュと、3/8~3/4インチのメッシュとを含み、
前記の除氷および牽引摩擦のマトリクスを提供するために前記の少なくとも1種の基材が少なくとも1種の融雪剤で含侵されており、前記基材がバーク、バークチップ、破砕済みバーク、破裂済みバーク、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、除氷および牽引摩擦のマトリクス。
【請求項2】
前記の少なくとも1種の融雪剤が有塩である、請求項1に記載のマトリクス。
【請求項3】
前記の少なくとも1種の融雪剤が無塩である、請求項1に記載のマトリクス。
【請求項4】
前記の少なくとも1種の有塩融雪剤が酢酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウム・マグネシウム・アセテート、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、ジカルボン酸塩、クエン酸塩、炭酸イオン、炭酸塩、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載のマトリクス。
【請求項5】
前記の少なくとも1種の無塩融雪剤が尿素、糖、浸漬水、アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項3に記載のマトリクス。
【請求項6】
前記の少なくとも1種の融雪剤が酢酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウム・マグネシウム・アセテート、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、ジカルボン酸塩、クエン酸塩、炭酸イオン、炭酸塩、尿素、糖、浸漬水、アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載のマトリクス。
【請求項7】
前記基材の融雪剤に対する重量比が1%~99%である、請求項1に記載のマトリクス。
【請求項8】
前記基材の融雪剤に対する重量比が20%~50%である、請求項1に記載のマトリクス。
【請求項9】
前記基材の融雪剤に対する重量比が99%~1%である、請求項1に記載のマトリクス。
【請求項10】
放射吸収材をさらに含む、請求項1に記載のマトリクス。
【請求項11】
前記放射吸収材が自然に発生するか、または合成して製造される、請求項10に記載のマトリクス。
【請求項12】
前記の自然に発生する放射吸収材がアナトー、ビートエキス、カラメル、カルミン、木炭、エルダーベリー果汁、リコピン、パプリカ、ベータカロテン、ターメリック、カロテノイド、クロロフィリン、アントシアニン、ベタニン、およびブドウ果皮エキスからなる群より選択される、請求項11に記載のマトリクス。
【請求項13】
前記の合成して製造される放射吸収材が、インジゴカルミン、アルラレッドAC、キノリンイエローWS、アントシアニン、ブリリアントブルーFCF、インジゴチン、ファストグリーンFCF、エリスロシン、タートラジン、サンセットイエローFCF、キノリンイエロー、カルモイシン、ポンソー4R、パテントブルーV、ベンタブラック、ナフトールグリーンB、およびグリーンSからなる群より選択される、請求項11に記載のマトリクス。
【請求項14】
少なくとも1種の基材、および少なくとも1種の融雪剤を含む、即時的かつ持続的な作用を提供する除氷および牽引摩擦のマトリクスであって、
前記マトリクスは、湿潤、凍結、積雪、または滑り易い表面上への散布のためのマトリクスであり、
前記マトリクスは、3/8インチ未満のメッシュと、3/8~3/4インチのメッシュとを含み、
前記の除氷および牽引摩擦のマトリクスを提供するために前記の少なくとも1種の融雪剤が前記の少なくとも1種の基材の外側表面に吸着され、前記基材がバーク、バークチップ、破砕済みバーク、破裂済みバーク、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、除氷および牽引摩擦のマトリクス。
【請求項15】
前記の少なくとも1種の融雪剤が有塩である、請求項14に記載のマトリクス。
【請求項16】
前記の少なくとも1種の融雪剤が無塩である、請求項14に記載のマトリクス。
【請求項17】
前記の少なくとも1種の有塩融雪剤が酢酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウム・マグネシウム・アセテート、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、ジカルボン酸塩、クエン酸塩、炭酸イオン、炭酸塩、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15に記載のマトリクス。
【請求項18】
前記の少なくとも1種の無塩融雪剤が尿素、糖、浸漬水、アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16に記載のマトリクス。
【請求項19】
前記の少なくとも1種の融雪剤が酢酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウム・マグネシウム・アセテート、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、ジカルボン酸塩、クエン酸塩、炭酸イオン、炭酸塩、尿素、糖、浸漬水、アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項14に記載のマトリクス。
【請求項20】
前記基材の融雪剤に対する重量比が1%~40%である、請求項14に記載のマトリクス。
【請求項21】
放射吸収材をさらに含む、請求項14に記載のマトリクス。
【請求項22】
前記放射吸収材が自然に発生するか、または合成して製造される、請求項21に記載のマトリクス。
【請求項23】
前記の自然に発生する放射吸収材がアナトー、ビートエキス、カラメル、カルミン、木炭、エルダーベリー果汁、リコピン、パプリカ、ベータカロテン、ターメリック、カロテノイド、クロロフィリン、アントシアニン、ベタニン、およびブドウ果皮エキスからなる群より選択される、請求項22に記載のマトリクス。
【請求項24】
前記の合成して製造される放射吸収材が、インジゴカルミン、アルラレッドAC、キノリンイエローWS、アントシアニン、ブリリアントブルーFCF、インジゴチン、ファストグリーンFCF、エリスロシン、タートラジン、サンセットイエローFCF、キノリンイエロー、カルモイシン、ポンソー4R、パテントブルーV、ベンタブラック、ナフトールグリーンB、およびグリーンSからなる群より選択される、請求項22に記載のマトリクス。
【請求項25】
表面の融雪、積雪防止、または除氷のための手法であって、効果的な量で即時的かつ持続的な作用を前記表面に提供する除氷および牽引摩擦
のマトリクスを適用することを含み、前記マトリクスが少なくとも1種の基材および少なくとも1種の融雪剤から構成されるマトリクスであって、
前記マトリクスは、湿潤、凍結、積雪、または滑り易い表面上への散布のためのマトリクスであり、
前記マトリクスは、3/8インチ未満のメッシュと、3/8~3/4インチのメッシュとを含み、
前記の少なくとも1種の基材が少なくとも1種の融雪剤で含侵され、前記の少なくとも1種の基材がバーク、バークチップ、破砕済みバーク、破裂済みバーク、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、手法。
【請求項26】
前記の少なくとも1種の融雪剤が酢酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウム・マグネシウム・アセテート、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、ジカルボン酸塩、クエン酸塩、炭酸イオン、炭酸塩、尿素、糖、浸漬水、アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項25に記載の手法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2016年9月29日出願の米国仮特許出願第62/401,625号、および2017年2月27日出願の米国仮特許出願第62/463,791号から優先権の利益を請求し、その開示内容がここに参考文献としてそのまま援用される。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、一般的に、除氷、融雪、および牽引摩擦の形成組成物のマトリクスならびにこれを作成および使用する手法に関する。さらに具体的には、本発明は、除氷、融雪、および/または牽引摩擦のマトリクスを形成する、融雪剤が含侵された基材を含む、非毒性、生分解性、融雪および牽引摩擦を高めた材料および調製品および組成物を生成することで、例えば、車道および通路の保守を対象とする。
【発明の背景】
【0003】
滑り易い、凍結、湿潤、および積雪表面は、特に寒冷気候で問題であり、スリップ・転倒事故による怪我の深刻な原因である。膨大な数の手法と無数の組成物は当該技術分野において既知であり、氷を溶かすおよび/または牽引摩擦を提供するために利用可能であるが、それぞれに制限がある。除氷剤および防氷剤は、固形降水が問題である表面に使用される。除氷とは、表面からの除去を目的として、すでに形成されている固形降水の上に除氷剤を適用することを意味する。除氷剤は凝固点を降下させることで溶かす。防氷とは、氷が存在する前に表面に防氷剤を適用することで、表面と接触する降水の凝固点を下げて、氷になることを防止することを意味する。一部の薬品は除氷剤兼防氷剤として有用である。
【0004】
カルシウム、ナトリウム、カリウムおよび塩化マグネシウムなどの無機塩、ならびに尿素などの無塩有機化合物のような、様々な組成物による薬品は、滑り易い通路または車道の除氷または融雪を目的として、多様な組み合わせおよび形態で使用される。これらの薬品は雪解け水で洗い流されるため、持続的ではない。砂、粘土、消し炭、および木炭のような研磨材も同様に、物理的な牽引摩擦を提供するために使用される可能性がある。これらの牽引摩擦剤は持続的である可能性があるが、日光が無い状況などで、氷を溶かす能力に制限がある。
【0005】
除氷剤、防氷剤、融雪剤、および牽引摩擦剤は、それぞれ著しい制限を有する。これらの薬品は排水時に流失し、新しい降水には再度適用する必要がある。また、溶けた領域が改めて再凍結する時、より平滑および/または滑り易い氷の層が形成されることが多い。作用中、これらの溶解された融雪剤は履き物に付いて家の中まで跡が付き、水分が蒸発すると、木材、カーペットなどの床材の上に堆積物が見苦しく残り、潜在的にこれを傷つけるなど、結果的に凝結または結晶化する可能性がある。塩は生物学的物質に対して腐食性でもあり得て、例えば、芝生および植物を傷つける可能性がある。砂、消し炭、スラグ、および木炭のような牽引摩擦剤は、室内nにおいて足跡がつけられる時に表面を傷つける可能性があり、また、一部は融雪剤の一部を吸収するのに十分なほど多孔性である一方で、これらは持続的に融雪剤を放出するのに必要な外側の水分(雪解け水)の吸収が一定ではない。化学薬品と牽引摩擦剤はいずれも重く、大量に運搬または輸送することが難しいことがある。流出しない、氷に浸透する間に分離しない、床を傷つけない、またはコンパニオンアニマルの肉球を傷つけない一方で、牽引摩擦特性と組み合わせて、例えば、水の凝固点/融点の降下、発熱溶解などの必要な発熱および/または吸熱特性を提供する単一の融雪および/または除氷製品に対するニーズがある。融雪および牽引摩擦のマトリクスの新しい組み合わせの開発は、即時的かつ持続的な融雪能力および牽引摩擦の両方を提供することになる。本発明はこれらのニーズを解決し、本明細書にすでに記載の欠点をそれぞれ克服するものである。
【発明の要旨】
【0006】
本発明は、即時的かつ持続的な融雪および牽引摩擦を提供する、環境に優しい除氷剤および/または融雪剤ならびに牽引摩擦の態様を形成する基材の組み合わせマトリクスを提供することで、既存の欠点および先行技術を克服するものである。表面の雪および/または氷の上に牽引摩擦および融雪作用を提供するマトリクスが、表面の氷または雪が溶ける時、および溶けた水が、湿潤表面上で、再凍結する時に持続することが説明される。この持続性は、同一の融雪作用を維持するのに必要な融雪剤の全体量を減少させてもよい。当該基材、研磨剤、または牽引摩擦剤は、損傷の原因とならずに、または動きに干渉せずに牽引摩擦を提供するように、基材が軽量で、吸収性があり、歩行者または車両の往来に適切なサイズ、形状、および質感である場合、バークチップなどの単一の組成物であってもよく、牽引摩擦剤の組み合わせもしくは配置を備えてもよく、または複合材料を備えてもよい。例えば、基材は固体でもよいが、室内の床面を損なうほどに硬くはなく、融雪および牽引摩擦のマトリクスの生成と組み合わせて、融雪剤で含侵、コーティング、および/または浸出されてもよい。使用時、マトリクスは、即時的かつ持続的に融雪作用および牽引摩擦を同時に提供するために、湿潤もしくは凍結表面、またはそうなる可能性がある表面に適用される。
【0007】
本発明の利点は、例えば、マトリクスの表面に吸着された融雪剤が即時に放出されかつ吸収された融雪剤がゆっくりと放出され、即時的かつ長期的な凝固点降下と融雪効果の両方を提供すること、マトリクスが堆積している表面に保持されているため融雪剤が無くても牽引摩擦が生成および維持されること、マトリクスが歩行者の足または車両の往来で破壊されてもよいこと、マトリクスが湿潤領域に広がりやすいこと、ならびに、マトリクスが環境に優しいまたは環境に有益な成分から構成されてもよいことを含む。
【0008】
本発明のもう1つの目的は、即時的かつ持続的な融雪および牽引摩擦の機能を提供するために、湿潤、凍結、積雪、または滑り易い表面上への散布のために、容易に保管されて扱われるマトリクスを提供することである。
【0009】
いくつかの実施形態において、本発明は、氷に覆われた表面に適用されると吸着した組成物を即時に放出してから吸収した組成物をゆっくりと放出することで、即時的かつ効果的な方式の牽引摩擦と融雪の機能だけでなく、持続的な牽引摩擦と融雪の機能も提供する、融雪剤を吸収および/または吸着する基材と組み合わせて除氷および/または防氷組成物を利用する。
【0010】
いくつかの実施形態において、本発明は、意図する用途に応じて、約1%~50%超の範囲を可能として、例えばバーク約10重量部と塩化カルシウム約2重量部などの、適切な基材の融雪剤に対する割合で、塩化カルシウムなどの融雪剤と組み合わせて、パインバークなどの基材から構成される、サイズ幅が約1/16インチ~4インチ以上、好ましくは直径、長さ、および/または幅が3/8~3/4インチの基材粒子を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、本発明は、バーク約2重量部と塩化カルシウム約1重量部の割合で、塩化カルシウムなどの融雪剤と組み合わせて、パインバークなどを含む基材から構成される、直径、長さ、および/または幅が約3/8インチ以下の基材粒子を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、本発明は、尿素などの無塩融雪剤と組み合わせて、パインバークなどの基材を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、本発明は、有塩融雪剤および無塩融雪剤と組み合わせて、パインバークなどの基材を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、それぞれ形状または着色剤などの外観指標および/または放射吸収材は、実用性および/または審美性の目的で使用されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、除氷および牽引摩擦のマトリクスは、少なくとも1種の基材、および少なくとも1種の融雪剤を含み、その基材はマトリクスを製造するために融雪剤で含侵される。
【0016】
いくつかの実施形態において、基材はバーク、バークチップ、破砕済みバーク、破裂済みバーク、ウッド、ウッドチップ、ゲル状微粒子、ビーズ、ゲル、生物由来微粒子、生物由来微粒子ペレット、紙微粒子、紙微粒子ペレット、ビートパルプくず、ビートパルプペレット、おがくずペレット、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0017】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種の融雪剤は塩か酸性塩である。
【0018】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種の融雪剤は酢酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウム・マグネシウム・アセテート、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、ジカルボン酸塩、クエン酸塩、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種の融雪剤は尿素、糖、浸漬水、アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記マトリクスはさらに放射吸収材を含む。
【0021】
広く、本発明は除氷および牽引摩擦のマトリクスを企図する。本明細書で実施および開示される時、本発明は新しく、効果的で、非腐食性の、環境に優しい製品を提供し、本発明はこれによって、上記で開示したとおりに有用であるが、これらの用途に限定されることを意図しない。
【発明の詳細な説明】
【0022】
本明細書に記載された本発明の実施形態は例示的な実施形態のみを提供し、開示内容の範囲、適用性または構成を網羅、限定することを意図しない。むしろ、例示的な実施形態の説明は、1つまたは複数の例示的な実施形態の実施を可能にする説明を当業者に提供する。添付の請求項に記載の本発明の趣旨および範囲から逸脱しない限り、成分の機能および配合において多様な変更が行われてもよいことは、当業者によって理解される。
【0023】
具体的な注記が無い限り、本明細書および請求項の語句は、所定の当業者にとって明瞭な通常かつ慣用の意味であることを意図する。従って、様々な実施形態が非常に広く採用されてもよく、適用可能であってもよい。
【0024】
本明細書で説明するものは、様々な機能を有する、融雪剤が含侵された基材を含む、融雪および牽引摩擦のマトリクスである。表面の牽引摩擦を生成するための除氷融雪剤と基材のマトリクスは、除氷融雪剤が含侵されることで、即時的かつ持続的な融雪作用と牽引摩擦の両方を生成するマトリクスを作り出す、基材から構成される。このように、環境と哺乳類に優しい融雪剤などで基材に含侵される、融雪および牽引摩擦のマトリクスが開示され、そこで、マトリクスが分布されると即時的かつ持続的に表面を除氷し、同時に表面に牽引摩擦を生成する。
【0025】
本明細書では、「基材」という用語は、何かの下にある、またはその上で一部のプロセスが発生する、物質または層を意味し、具体的には、何かが堆積または含侵される表面を提供する材料を意味する。本明細書では、基材という用語は類似の用語、および部分的に類似の用語を含む。
【0026】
本明細書では、「含侵」という用語は、例えば基材などを、物質、組成物、または薬品で、浸漬する、曝露する、吸収する、吸着する、または浸透させることを意味する。本明細書では、定義された含侵という用語は、当業者が含侵として、または浸出、浸漬、浸透、浸す、コーティング、吸着、外皮形成などのような少なくとも部分的に類似の用語によって、言及することになる類似の用語を含む。
【0027】
本明細書では、「マトリクス」という用語は、構築または製造される環境、材料、媒体、または構造を意味し、また、当業者がマトリクスとして言及することになる、類似の用語および部分的に類似の用語を含む。
【0028】
本発明は、散布された表面への即時的かつ持続的な融雪および牽引摩擦のために、除氷剤および/または融雪剤ならびに牽引摩擦を形成する基材の組み合わせマトリクスを提供する。表面の雪および/または氷の上に牽引摩擦および融雪作用を提供するマトリクスが、表面の氷または雪が溶ける時、および再凍結する時に持続することが説明される。本発明は、マトリクスの融雪剤の態様として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、またはこれらの組み合わせなどの塩を利用してもよい。本発明の持続性の態様は、同一の融雪作用を維持するのに必要な融雪剤の全体量を減少させてもよい。基材、または牽引摩擦剤は、損傷の原因とならずに、または動きに干渉せずに牽引摩擦を提供するように、基材が軽量で、多孔性で、歩行者または車両の往来に適切なサイズ、形状、および質感である場合、バークチップなどの単一の組成物から構成されてもよく、破砕済みバークおよび/または破裂済みバークと組み合わせたバークチップなどの組成物の組合せから構成されてもよく、またはペレットなどの複合材料を備えてもよい。例えば、基材は固体でもよいが、室内の床面または路面を損なうほどに硬くはなく、融雪および牽引摩擦のマトリクスと組み合わせて、融雪剤で含侵されてもよい。使用時、マトリクスは、即時的かつ持続的に融雪作用、長時間の凝固点降下、および牽引摩擦を同時に提供するために、湿潤もしくは凍結表面、またはそうなる可能性がある表面に適用される。
【0029】
融雪、蒸発、および/または再凍結の周期は、通常の歩行者の往来が、軽量マトリクス粒子の乾燥領域と湿潤領域間の移動を引き起こす可能性があるような、湿潤、乾燥、および湿潤/乾燥の組み合わせの表面領域を生成しやすく、そこでは増加した摩擦がこれらを適切な位置に保持する。このように、湿潤領域が再凍結する時も、水の中で浮力を持つマトリクス粒子が溶けた陥没部の中で、または凍結した水たまりの表面上に浮き続けているため、良好な牽引摩擦が維持される。このように、水が再凍結する時、牽引摩擦は維持される。処理済み領域は容易に目で識別でき、著しい降雪によって覆われない限り後日も識別可能であり、融雪剤唯一の組成物に関連して使用される、有塩融雪剤などの融雪剤の再適用および量に対するニーズを最小限に抑える。本発明は、このように、化学薬品が引き起こす腐食、審美性の損害、周囲の生きている生物学的材料(植物および草)の枯死を少なくとも最小限に抑えることにより、環境へ良好な影響を有する。
【0030】
使用時、マトリクスはスポンジのように周囲の水(雪解け水)と分散された融雪剤を再吸収し、処理済み表面は乾く。この作用は、表面に融雪剤が堆積することを制限し、マトリクスの融雪効果の継続を確保する。バークまたはゲルのような生物学的または合成の基材は生分解性であってもよく、都市の下水システム、排水もしくは灌漑システム、芝生、または植物に対して悪影響があると想定されないように、さらにマトリクスによる環境への影響を最小限に抑えてもよい。いくつかの実施形態において、消耗して洗い流されたマトリクスは自然と周囲の堆肥および肥料になる。表面で凍結したマトリクス粒子は、その後の降雪で覆われてもよい。追加のマトリクスは表面領域に追加されてもよく、および/または重なった雪の層の除去は牽引摩擦を維持する、付着したマトリクスを曝露し、曝露された、着色済みまたは未着色のマトリクス粒子は放射、即ち太陽エネルギーを吸収して、晴れた日の解氷を強化する。
【0031】
岩塩などの解氷粒子と比較すると、マトリクスはそこに含侵される解氷剤が少なくてもよく、流出する可能性がある、または室内に跡をつける可能性がある、溶けた水に溶解した融雪剤が少ないため、引き起こす損傷が少なくなる。従って、乾燥した堆積物は減少し、審美性および最小限に抑えられた損傷の両方の利点を床板および/または環境に提供する可能性がある。マトリクスは、室内に跡が付く時に床を傷つけず、洗うのではなく、拭き取るだけで除去できる程度に十分柔らかく製造されてもよい。
【0032】
吸熱もしくは発熱、もしくはこれらの組み合わせのいずれかの、解氷を誘発するような融雪剤もしくは除氷剤として有用な、有塩、酸性塩、もしくは無塩などの、いかなる既知または未開発の組成物も、即席のマトリクスを生成するために基材に含侵されてもよい。基材の原料および含侵される融雪剤の量の選択を通じて、マトリクスは一定のサイズと重量であるように、好ましくは、軽量で手でも機械でも容易に散布されるように、選択的に判断されてもよい。使用されたマトリクス粒子は、従来使用されていた砂などの牽引摩擦剤および岩塩などの融雪剤とは異なり、自然の分解および生物学的材料の施肥のためにその後洗い流されてもよい。融雪剤と連携した基材の使用は必要な融雪剤の量を最小限に抑え、それによって、生きている生物学的材料を損傷する危険性を最小限に抑える。
【0033】
当該マトリクスは、環境および/または哺乳類に優しいと考えられている何らかの凝固点降下剤と組み合わせて物理的分解が可能である、生分解性基材から構成されてもよい。好ましくは、本発明は、氷に覆われた表面に適用されると吸着した薬品を即時に放出してから続けて吸収した薬品を持続的に放出することで、即時的かつ効果的な方式の牽引摩擦と融雪の機能だけでなく、持続的な牽引摩擦と融雪の機能も提供する、薬品を吸収および/または吸着する基材と組み合わせて除氷および/または防氷剤を利用する。
【0034】
基材
基材粒子は、これらを構成する、所望の属性および/または材料に基づいて、サイズおよび配置に幅があってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、本発明はサイズ幅が約1/16インチ~4インチ以上、好ましくは直径、長さ、および/または幅が3/8~3/4インチの基材粒子を含む。いくつかの実施形態において、本発明は直径、長さ、および/または幅が約3/8インチ以下の基材粒子を含む。上述のマトリクスにおいて有用な破砕済みバーク粒子は直径、長さ、および幅が約3/8インチ未満であってもよく、一方で当該マトリクスを含むペレットが無数の選択された直径と長さで意図的に製造されてもよい。パインバークは、当該マトリクスで特に有用である可能性がある、柔らかく多孔性の基材の例であるが、いかなる種類のバークまたはウッドまたは複合材料も当該マトリクスに使用してもよい。1つの実施形態において、パインバークはバーク約10重量部と塩化カルシウム約2重量部の割合で、塩化カルシウムなどの有塩融雪剤と組み合わされる。もう1つの実施形態において、バーク約2重量部と塩化カルシウム約1重量部の割合で塩化カルシウム融雪剤と組み合わされた破砕済みバーク基材は、本発明のマトリクスの製造に使用されてもよい。
【0035】
ウッドチップ、バークチップ、おがくず、紙パルプ、ビートパルプ、およびその他の微粒子などからのペレット製造は、当該技術分野において既知である。ペレットを融雪剤で含侵し、その後最終製品ペレットに融雪剤を任意選択で吸着させるという目的のために、融雪剤をペレット加工プロセスに組み入れることは、本発明で想定されるマトリクスを製造する。
【0036】
基材は、あるいは、持続的な牽引摩擦を提供し、まだ吸収性があり、それによって本発明のマトリクスで有用である方法で、ゲル化、ペレット化、架橋結合などで結合した、紙パルプ、ビートパルプなどの吸収性の材料、または副生成物を含む合成微粒子から構成されてもよい。あるいは、融雪剤は合成物質の結合または架橋結合に含まれてもよい。このようなプロセスは当該技術分野において周知であるため、本明細書では説明されない。
【0037】
いくつかの実施形態において、基材は植物のための本質的な栄養および肥料価値を有してもよい。例えば、シュレッドまたはペレットなどのビートパルプは基材として使用されてもよい。これはタンパク質および有機物としての作用を含み、自然と植物用肥料が自然発生(非製造)する。この基材が融雪剤で含侵される時は、本明細書に記載のとおりに牽引摩擦および融雪を提供するのに使用されてもよい。使用後、消費されたマトリクスは、処理済み表面に隣接した芝生または植物の上に洗い流されるか、シャベルですくい取って置かれてもよく、そこで栄養のある肥料に分解する。
【0038】
本発明の基材は完全にまたは部分的に生分解性材料から構成されてもよく、多数の自然な、着色された、または漂白された外観様式で構成されてもよい。基材の製造はさらに、サイズおよび/または形状の混合物を含む、サイズおよび/または形状の選択または製造を含み、これはマトリクスの具体的な用途に合わせて調整されてもよい。例えば、基材にはバークチップ100(
図1a参照)もしくはペレット140(
図1c参照)などの1種類の微粒子、またはバークチップ100、ペレット140、破砕済みバーク110、ゲル120、およびビートパルプくず130(
図1b参照)などの2種類以上のサイズおよび/もしくは材料の組み合わせから構成されてもよい。
【0039】
また、当該技術分野において周知であることは、バークを破裂させ、次いで破裂済みバークで所望の形状を作るプロセスである。破裂済みバークおよび/またはバークチップは、審美性の外観指標などの基材の不連続の形状およびサイズを作り出すために、プレス、カット、スタンプなどを使用されてもよい。単独または1種以上の他の基材原料と組み合わせたいかなる基材原料も、基材の混合物を含んでもよく、融雪剤と組み合わせてマトリクスとして有用であってもよい。破裂済みバークの外観指標は、さらに着色剤などの少なくとも1種の放射吸収材を含んでもよい。いずれかの実施形態において、外観指標または外観指標と放射吸収材は、実用性および/または審美性の目的で使用されてもよい。
【0040】
1つの実施形態において、パインバークは低コスト、軽量、入手しやすさを理由にマトリクスに使用される。当該バークは、好ましくはウッドチップが含まれていないべきである。ウッドは、どのように加工されるかによって、吸収能力が低い、縦方向の裂片に基づいて牽引摩擦が劣る、裂片などを理由に取扱いが困難または危険であるなど、それ自体が有する好ましい特性がバークよりも少なくてもよい。加工が不利な特性を制限する方法で実施される場合、ウッドチップも同様にマトリクスとして使用されてよい。
【0041】
バークは機械的に細断された後、所望のサイズにふるい分けられる。小さなチップは表面積がより大きいため、より多くの塩を迅速に吸収および放出することができる。小さなチップは物理的により目立たず、これは見えにくいため審美的に望ましい可能性がある。大きなチップは物理的により目立つため、表面の厚い氷により良好な牽引摩擦を提供し、雪解け水で流出しにくくなる。
【0042】
いくつかの実施形態において、基材はバーク、バークチップ、破砕済みバーク、破裂済みバーク、ウッド、ウッドチップ、ゲル状微粒子、ビーズ、ゲル、生物由来微粒子、生物由来微粒子ペレット、紙微粒子、紙微粒子ペレット、ビートパルプくず、ビートパルプペレット、おがくずペレット、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0043】
融雪剤
例えば、有塩、無塩、有機酸塩、有機化合物、ポリオール、水溶性の炭酸塩または重炭酸塩、グリセロールなど、非常に多くの潜在的な融雪剤組成物が当該技術分野において既知である。本発明のいくつかの実施形態において、融雪剤は酢酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウム・マグネシウム・アセテート、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、酢酸カリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、ジカルボン酸塩、炭酸イオン、炭酸塩、クエン酸塩、尿素、糖、浸漬水、アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。
【0044】
基材の所定の重量に対する、本明細書で開示される、当該技術分野で既知の、またはまだ発見されていない、1種または複数の融雪剤組成物の重量は、広い範囲で変化の幅があってよく、また、効果的な牽引摩擦および除氷作用をなお得てもよい。このような判断と計算は面倒だとは考えられない。マトリクスに使用される1種または複数の融雪剤の量は所望の作用によって異なる。即ち、当該基材選択によって牽引摩擦の態様を著しく変えることなく、高い割合で基材に含侵された融雪剤は長時間の融雪作用のために使用されてもよく、高い割合で吸着された融雪剤は即時的な融雪作用のために使用されてもよい。
【0045】
多くの異なる塩が融雪剤として一般的に使用されており、また、当該マトリクスに使用でき、ナトリウム、カリウムまたはカルシウムの塩化物塩を含む。基材によって吸収され得る尿素、糖、またはその他の融雪剤も使用できる。重量比ベースで基材と比較した融雪剤の使用量は、所望の特性に応じて、約1%~99%、好ましくは10%~75%、さらに好ましくは約20%~50%の範囲であってもよい。基材の含侵に使用される融雪剤溶液の濃度は軽く浸透~完全に浸透~非常に浸透の範囲であってもよく、塩などの単一の融雪剤または塩と尿素の混合物などの2つ以上の融雪剤の組み合わせを含んでもよい。融雪剤の作用は、融雪剤が基材内に吸収される、および/または基材表面に吸着される、本発明のいかなるマトリクスとも原則的に同一で、何らかの表面に適用される時の吸着された融雪剤の基材からの即時的な放出、ならびに持続的かつ長期的な融雪作用を促進するための、以降の吸収された融雪剤の継続的な放出である。
【0046】
パーセントは、最終的な質量比ではなく、基材質量のパーセントとして融雪剤/添加塩の質量を表す。例えば、マトリクスは1%~99%、99%~1%、または好ましくは20%~50%の範囲である基材の融雪剤に対する重量比を含んでもよい。融雪剤は、20~40%などの基材重量の少ない一部を含んでもよい。融雪剤/基材の50%を超えると、おそらくバークは塩で浸出したバークではなく塩のバークに添加されるが、バークの軽量に基づいて、約90%の塩/マトリクスを製造することが可能である。このように、塩1%(バーク99%)によって本発明のマトリクスは融雪作用を提供することができる。いくつかの実施形態において、融雪剤の重量は基材重量の1%~99%の範囲であって、好ましくは基材内に吸収された融雪剤が20%~40%、好ましくは基材表面に吸着された融雪剤が1%~40%、および基材内に吸収された融雪剤と基材表面に吸着された融雪剤が1%~99%である。
【0047】
いくつかの実施形態において、水溶性の炭酸塩または重炭酸塩は使用されて、弱酸性条件下で基材内に二酸化炭素ガスを形成するさらなる利点を有してもよい。このガスは、雪解け水が再凍結する時に表面牽引摩擦の維持を促進する、雪解け水内のマトリクスに追加の浮力を提供する。
【0048】
いくつかの実施形態において、炭酸塩または重炭酸塩で処理済みの基材は、乾燥した酸または酸性塩でコーティングされてもよい。融雪プロセスから発生した液状水分への曝露は、次いで基材に拡散される酸を分解し、CO2生成を活発化させる。このような酸は、酒石酸、クエン酸、ピロリン酸水素ナトリウム、またはりん酸一カルシウムを含む、いかなる水溶性の有機酸もしくは無機酸または酸性塩も含んでもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、尿素、糖、浸漬水および/またはアルコールなどの無塩融雪剤は融雪剤単体として、または有塩融雪剤と組み合わせて、本発明のマトリクスに利用されてもよく、これらの薬品は「動物の足の安全」と呼ばれることがあるため、コンパニオンアニマルの周囲で使用するのに好適である可能性がある。
【0050】
ここで開示されたマトリクスの融雪剤は、本明細書で開示された、または当該技術分野において既知である融雪剤が単一、もしくは2つ以上の組み合わせで構成されてもよい。
【0051】
マトリクス
組み合わせ時に、基材を融雪剤で含侵することによって、マトリクスは製造される。融雪剤の割合だけでなく、基材のサイズと形状は、特定の用途に合わせて調整されてもよい。基材は、コーティング、浸漬、加圧処理など、そのための何らかの既知または未知の手法を通じて、融雪剤で含侵されてもよい。マトリクスの最終的な水分量は、最終製品において、0%~100%の範囲など、大きく差があってもよい。基材の種類と組み合わせる融雪剤の量と種類は、既知の事象に基づいて、過度な実験を必要とせずに、最適な最終製品、即ちマトリクス、水分量、形状、サイズ、1種または複数の融雪剤、1種または複数の基材などを決定するのに使用されてもよい。周囲温度、所望の融雪、環境への効果、分解能力などに基づいて、複数の組み合わせが可能である。例えば、塩化マグネシウムは、約-25°F超に効果的な融雪作用を提供することが知られており、放出する塩化物が約40%少ないため、人間、動物、植物にとって塩化ナトリウムよりも安全だと考えられている。ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびカリウムなどの有機塩は、自然に分解されてほとんど損傷を残さない、有機化合物である。もう1つの例において、融雪剤または融雪剤混合物の一部として塩化カルシウムを含むマトリクスにおいて、溶解の発熱性を最大化するために、乾燥させるなどして、マトリクスの水分量を完全に除去する利点があってもよい。代替塩を含む他の例において、1%~100%の範囲の水分量は融雪剤の効果を促進してもよい。
【0052】
水分量は水分計で測定されてもよい。水分計における指標尺度と基材尺度は多様であってもよいが、すべてはパーセントで水分量を示すものとする(%MC)。一般的に、木材の水分量は5~40%の範囲である。しかし、0~100の相対尺度は使用されてもよく、その場合は0が絶乾で100が浸透済みである。これは相対尺度である。
【0053】
マトリクスの乾燥に必要な金額は製造コストに関連する可能性がある一方で、オートクレーブなどの乾燥の種類は高い温度と圧力の組み合わせで塩の溶解度を高める可能性があり、これによって所定のわずかに高い水分量を含むマトリクスを製造する。粒子乾燥の複数の手法は、空気、コンベヤーなど、当該技術分野において周知であるため、この考察には含まれない。
【0054】
いくつかの実施形態において、基材は、マトリクスが雪または氷を溶かし、基材が牽引摩擦を生成するのに十分な量の融雪剤が供給される、基材の外側表面への吸着を通じて、即ち吸収をせずに、融雪剤と組み合わされてもよい。これによって、最小限の融雪剤が、融雪剤が直接接触するためにマトリクスがなお雪または氷にすぐに入りこむ一方で、マトリクスの製造コスト削減および何らかの潜在的な環境への悪影響の低減の両方に使用されてもよい。
【0055】
あるいは、マトリクス製品は未処理および/または装飾用のバークの外観を維持しながら、吸収された相当量の融雪剤を備えてもよい。いくつかの実施形態において、マトリクスはさらに着色剤などの放射吸収材を含んでもよい。
【0056】
放射吸収材
本発明のいくつかの実施形態は、基材および融雪剤と組み合わされてもよい着色剤などの放射吸収材をさらに含み、代替マトリクスの実施形態を提供する。マトリクスの太陽放射の吸収と潜在的な融雪能力、およびその次の所望の融雪を達成するのに必要な融雪剤の量の削減に加えて、放射吸収材を含む実施形態は、例えば、コントラストを生成して人の目で容易に発見できるようにすることによって、より視覚的に機能的であるか、または美しくてもよい。例えば、雪盲になるなど、滑り易い表面または湿潤表面が見にくいことは、歩行者と運転者にとって一般的である。雪盲(別名、紫外眼炎)は、紫外線を反射する雪が引き起こす一時的な眼障害の一種である。雪盲になる前でも、反射と影が相互に作用して、滑り易い、もしくは凍結している表面を見分けるか、区別することを難しくする。マトリクスへの着色は、本発明のマトリクスが表面にあることを歩行者または運転者に明示し、それによって歩行者または運転者は処理されている道を選択することができる。融雪剤で基材を処理することにより製造されたマトリクスは、自然な外観を有してもよく、また、事情を知らない者にとって未処理の基材に見えてもよい。製造時に着色剤を含むマトリクスは、使用時に処理済み基材であると明確かつ容易に識別される。
【0057】
着色剤は、いかなる染料、レーキ、顔料、またはマトリクスに色を加える、および/もしくは熱などの放射を吸収する物質を含んでもよい。これらは顆粒、液体、粉末、ゲル、ペースト、またはその他の特別な目的の形態など、多くの形態であってもよい。一般的な入手可能性だけでなく、人類、動物、および環境への安全性を理由に、食品用着色剤がマトリクス着色剤の選択肢として想定される。着色剤は、例えば、屋外の自然への曝露による褪色を補う、自然の色をまねる、自然の色むらを修正する、目新しさまたはブランディングを付与する、または消費者が一目で製品を識別できるようにするために、利用されてもよい。
【0058】
着色剤は自然に発生するか、または合成して製造されてもよい。自然に発生する着色剤は、例えば、アナトー、ビートエキス、カラメル、カルミン、エルダーベリー果汁、木炭、リコピン、パプリカ、ベータカロテン、ターメリック、カロテノイド、クロロフィリン、アントシアニン、ベタニン、およびブドウ果皮エキスなど、野菜、鉱物、または動物などの天然源に由来する。合成して製造される着色剤は、より濃くて均一な色を加えてもよく、また、様々な特定の色調をより容易に作るのに用いられてもよい。一般的な合成着色剤の一例には以下が含まれる。インジゴカルミン、アルラレッドAC、キノリンイエローWS、アントシアニン、ブリリアントブルーFCF、インジゴチン、ファストグリーンFCF、エリスロシン、タートラジン、サンセットイエローFCF、キノリンイエロー、カルモイシン、ポンソー4R、パテントブルーV、ベンタブラック、ナフトールグリーンB、およびグリーンS。これらの潜在的な着色剤の限定された一覧は、本発明を限定することを意図しない。一般的に、FDA(米国食品医薬品局)、EFSA(欧州食品安全機関)、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)などの適切な当局によって安全であると認証されている、または認証する必要がないとみなされる、いかなる着色剤も本発明における環境上安全な着色剤として利用されてよい。
【0059】
着色剤は機能剤もしくは非機能剤、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。機能性着色剤の例は、非機能性着色剤と融雪剤の組み合わせを含む薬品である。非機能性(着色以外)着色剤の例は、染料、塗料、染色剤、顔料などを含んでもよい。着色済み基材粒子の結果として生じる外側の質感は、透明、なめらか、均質、薄片状などであってもよい。
【0060】
マトリクスへの着色剤の添加は製造者、コーポレート・アイデンティティ、季節、チームの提携などの審美的なブランド統一感をさらに提供してもよい。カスタムオーダーの色、または自然/色の配合、または多色配合が利用可能になることが想定される。使用時に容易に識別できることに加えて、着色済みマトリクスは小売店の商品棚で消費者の目を引くことによって、営業とマーケティングの分野における付加価値と有用性を提供してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、単一の均一色がマトリクスの製造に使用されてもよい。いくつかの実施形態において、基材全体量の1%~99%の範囲で、一部が着色されてもよい。例えば、1つの実施形態において、35%の着色済みマトリクスは65%の未着色マトリクスと組み合わせて、これによって容易に識別可能な美しい混合物を作ってもよい。もう1つの実施形態において、混合物は65%の着色済みマトリクスと35%の未着色マトリクスから構成されてもよい。着色済みマトリクスの組み合わせは、2種類以上の着色済みマトリクスの組み合わせで各色が1%~99%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、複数の色は、均一または不均一な割合で、利用されてもよい。いくつかの実施形態において、異なるサイズの基材粒子は着色成分または天然成分のいずれかに使用されてもよい。多数の組み合わせ、標準化されたものおよび/またはカスタマイズされたものは、結果として生じるマトリクスの有用性を犠牲にしない潜在的な混合物であってもよい。
【0062】
製造目的のために、着色剤は融雪剤含侵の前、同時、または後に含侵によってマトリクスに組み込まれてもよく、その場合に着色剤はスプレー、浸漬などによって、基材全体に組み込まれるか、最終マトリクス製品の外側表面に吸着されてもよい。
【0063】
本発明のさらに審美性の態様は、視覚的に目立つマトリクス粒子を含んでもよい。例えば、目立つ色の組み合わせがあるまたは無い、製造されたマトリクスは、組織のロゴ、チャリティリボン、動物の形、専門性の証など、目立つ形状を備えてもよい。マトリクスの製造は、組み合わされる可能性がある、基材の原料と融雪剤の組み合わせを複数含むため、生分解性、処理済み道路の識別、牽引摩擦の生成、および効果的な融雪など、一定のマトリクスの態様が維持されることに留意することが重要である。いくつかの実施形態において、破裂済みバークまたは破砕済みバークは、選択形状を備える基材微粒子を製造するのに使用されてもよい。いくつかの実施形態において、単一の均一形状がマトリクスの製造に使用されてもよい。いくつかの実施形態において、基材全体量の1%~99%の範囲で、一部が特定の形状を備えてもよい。例えば、1つの実施形態において、35%の第1形状のマトリクスは65%の第2形状のマトリクスと組み合わせて、これによって容易に識別可能な美しい混合物を作ってもよい。もう1つの実施形態において、混合物は65%の第1形状のマトリクスと35%の第2形状のマトリクスから構成されてもよい。形状加工済みマトリクスの組み合わせは、2種類以上の異なる形状のマトリクスの組み合わせで各形状が1%~99%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、複数の形状は、均一または不均一な割合で、利用されてもよい。いくつかの実施形態において、異なるサイズの基材粒子は第1形状成分または第2形状成分のいずれかに使用されてもよい。多数の組み合わせ、標準化されたものおよび/またはカスタマイズされたものは、結果として生じるマトリクスの有用性を犠牲にしない潜在的な混合物であってもよい。
【0064】
例1:パインバークと塩化カルシウム
本発明は、パイン(松)の柔らかさを理由に、最初にパインバークで実施することにしたが、適切なサイズに細断、分断、または切断することができ、融雪剤を吸収できるいかなる材料も好適であってよい。このような材料は、使用される可能性がある適切な使用特性を有する、生物学的材料(ナッツシェル、殻など)および/または合成材料(紙(硬化紙、もしくは架橋結合されて分断された紙)、ビートパルプ、吸収性ビーズ、ゲルなど)を含んでもよい。
【0065】
調製:
融雪剤(塩化カルシウム)は、幅が3/8~3/4インチのバークチップ基材の表面全体に吸収および分布できるように、選択された濃度に適量の水で溶解された。調製済みの融雪剤溶液はバークチップ基材と混合された。融雪剤-基材の混合物は、約1分~48時間、好ましくは12時間、バークが可能なかぎり多くの液体を吸収するのに、即ち浸透するのに十分な時間、放置した。含侵された基材は次に周囲温度で48時間空気乾燥され、最終マトリクス製品になった。あるいは、乾燥はオーブン、乾燥装置などで成し遂げてもよい。
【0066】
3/8~3/4インチ(1.5kg)のパインバーク片は、すべてのバークが完全に濡れるまで、水750mlに溶解されたCaCl2(20%w/w)300gと混合された。この混合物は、時々混ぜながら室温で12時間放置し、その時にすべての液体がバークに吸収された。湿潤バークは薄く広げられ、周囲温度で48時間かけて乾燥された。一部のバークは温度170~200°Fのオーブンで約1~2時間かけて乾燥された。両方の種類の乾燥させたマトリクスは、指触乾燥で目に見える表面の塩がない状態になった。
【0067】
使用:
パインバークの中に20%(w/w)のCaCl2を含むマトリクスは、表面1m2あたりマトリクス500cm2の割合で、雪と氷に覆われた歩道に適用された。氷上の牽引摩擦の即時的な改善が確認され、マトリクスはすぐに氷の中に入りこんだ。
【0068】
マトリクスは、1日あたり約20人の歩行者の往来がある場所に十分に残った。車道が歩道と交差する地点は、凍結が特に問題になりうる。マトリクスはこれらの凍結したタイヤ痕にも残り、残っていなければ凍結していた表面に対して牽引摩擦を提供した。同様に、雪と氷が日中に溶けて夜間に再凍結する歩道の領域は、マトリクスがあった領域で牽引摩擦を保持した。
【0069】
マトリクスは処理済みの表面に軽い雪が積もるのを防いだ。重い雪はマトリクスを覆ったが、シャベルとスノーブロワーによって除雪することで、歩道に固着した密度が高い雪/氷の混合物の中に保持されたマトリクスが現れた。
【0070】
屋外用途試験中の温度は-15~45°Fの範囲であった。
【0071】
並列実験において、この同一の20%CaCl2/パインバークのマトリクスは、10°Fの冷凍庫内の氷シートの表面に適用された。30分で氷シートは90°の角度に傾き、実質すべてのマトリクスがシートに固着されて残った。同時に適用された未処理の基材は固着を見せなかった。
【0072】
マトリクスは、例えば、3/8インチ未満の小さいメッシュもしくは3/8~3/4インチの大きいメッシュなど、単一のサイズまたは基材粒子サイズの混合物から構成されてもよい。例えば、重量比50%のようにバークに対する融雪剤の含量が高い、小さいマトリクス粒子は、20%のように融雪剤含量が低い、大きいマトリクス粒子と混合されてもよい。この例示的な混合物が許容可能または積極的なレベルの即時的な牽引摩擦を提供することになる一方で、小さなマトリクス粒子は即時的な融雪作用を提供することになる。
【0073】
すべての実施形態において、重量比とは基材重量に対する溶液内に溶解された溶質の相対重量を指す。例えば、20~50gの塩は、100gのバーク基材に含侵される融雪剤溶液を作るために、水に溶解されてもよい。
【0074】
使用方法:
使用時、所望のマトリクスは、牽引摩擦および/または融雪が所望される、通路、歩道、玄関、廊下、私有車道、車道、大通り、入口および出口の通路のような表面上および表面全体に、適用、手で散布および/または機械的に散布されてもよい。マトリクスは凍結しているコンディションまたは降水を予想して、またはこれらに対応して、利用されてもよい。表面に接触すると、マトリクスは即時にその表面にある雪または氷を溶かし、牽引摩擦を生成する。マトリクスは、堆積する間に、および車両、歩行者の往来または機械がこれを破壊し、吹き飛ばされるか洗い流される間に、含侵された融雪剤を放出し続け、持続的な融雪効果を提供する。
【0075】
例2:バークと無塩融雪剤
本発明は、パインバークまたはその他の基材、および尿素などの無塩融雪剤で実施されてもよい。尿素を融雪剤として使用することは、当該技術分野において周知である。尿素は、幅が3/8~3/4インチのバークチップ基材の表面全体に吸収および分布できるように、選択された濃度になるまで適量の水に溶解、または適量の水と混合されてもよい。調製された融雪剤溶液はバークチップ基材と混合されてもよく、約1分~48時間、好ましくは12時間、バークが可能なかぎり多くの液体を吸収するのに、即ち浸透するのに十分な時間、放置してもよい。含侵された基材は次に周囲温度で、オーブン内で、またはその他の既知の乾燥方法もしくは乾燥装置で、約1分~数日、好ましくは約48時間乾燥させて、最終マトリクス製品にしてもよい。乾燥させたマトリクスは指触乾燥で、表面に融雪剤の明白な形跡がほぼまたはまったくない状態であるべきである。
【0076】
使用:
無塩融雪剤が含侵されたパインバークを含むマトリクスは、牽引摩擦の即時的な改善、氷への浸透、および処理済み表面への積雪の防止などの条件に関連した十分な融雪作用を効果的に提供する割合で、雪と氷の両方に覆われた表面に適用されてもよい。
【0077】
例3:バークならびに有塩および無塩融雪剤の組み合わせ
本発明は、基材ならびに有塩および無塩融雪剤の混合物で実施されてもよい。単体または他の融雪剤との組み合わせのいずれかで凝固点を降下させることができる、無数の有塩および無塩融雪剤は当該技術分野において既知である。混合物は、基材の表面全体に吸収および分布できるように、選択された濃度になるまで適量の水に溶解、または適量の水と混合することで調製されてもよい。調製された融雪剤溶液は基材と組み合わされてもよく、約1分~48時間、好ましくは12時間、基材が可能なかぎり多くの液体を吸収するのに、即ち浸透するのに十分な時間、放置してもよい。含侵された基材は次に周囲温度で、オーブン内で、またはその他の既知の乾燥方法もしくは乾燥装置で、約1分~数日、好ましくは約48時間乾燥させて、最終マトリクス製品にしてもよい。乾燥させたマトリクスは指触乾燥で、表面に融雪剤の明白な形跡がほぼまたはまったくない状態であるべきである。
【0078】
使用:
有塩および無塩融雪剤の混合物が含侵された基材を含むマトリクスは、牽引摩擦の即時的な改善、氷への浸透、および処理済み表面への積雪の防止などの条件に関連した十分な融雪作用を効果的に提供する割合で、雪と氷の両方に覆われた表面に適用されてもよい。
【0079】
例4:放射吸収材の添加
本発明は、着色剤などの放射吸収材を添加した基材および融雪剤で実施されてもよい。放射吸収材の任意選択の添加は、マトリクスの融雪効果を増加させるために環境熱のさらなる吸収を利用する。放射吸収材は、基材に吸収させる前に融雪剤に溶解されるか、融雪剤と混合されてもよく、結果として同時に吸収される。あるいは、放射吸収材は、融雪剤の有無に関係なく、融雪剤で含侵した後の基材の外側表面に吸着されてもよい。あるいは、放射吸収材は融雪剤と共に使用され、基材の外側表面に吸着されてもよい。放射吸収材を組み込んでいる乾燥マトリクスは指触乾燥で、色を示すなど、表面に放射吸収材の明白な形跡がある状態であるべきである。
【0080】
使用:
マトリクス放射吸収材の組み合わせは、牽引摩擦の即時的な改善、氷への浸透、処理済み表面への積雪の防止、およびマトリクスの明白な形跡などの条件に関連した十分な融雪作用を効果的に提供する割合で、雪と氷の両方に覆われた表面に適用されてもよい。
【0081】
例5:ペレットマトリクス
紙微粒子、破砕済みバーク、おがくず、およびビートパルプなどから製造されたペレットは、少なくとも1種の融雪剤を含む、ポリマーまたはゲルなどのバインダーを組み込み、ペレット加工プロセスにおいて融雪剤で含侵されたペレットを提供してもよい。ペレットは、スプレーなどの既知の手法を介して、融雪剤の外側の吸着された層を最終ペレット製品にさらに適用していてもよい。
【0082】
本発明のペレットの実施形態は有塩融雪剤、無塩融雪剤、および/もしくは放射吸収材(これらはそれぞれ含侵のためにバインダーに組み込まれるか、ペレットマトリクス製品の外側表面に吸着されてもよい)、またはこれらの組み合わせで実施されてもよい。最終的なマトリクスペレットは指触乾燥で、表面に融雪剤の明白な形跡がほぼまたはまったくない状態であるべきである。
【0083】
使用:
ペレットマトリクスは、牽引摩擦の即時的な改善、氷への浸透、および処理済み表面への積雪の防止などの条件に関連した十分な融雪作用を効果的に提供する割合で、雪と氷の両方に覆われた表面に適用されてもよい。標準的な使用方法でペレットマトリクスを散布すると、外側の融雪剤が即時に雪/氷を溶かし始める一方で、ペレットマトリクスは吸水と持続的な融雪剤放出を始めて、牽引摩擦を提供する。時間をかけて、ペレットマトリクスは、崩壊するなど、分解されて、周囲の環境に悪影響を与えずに洗い流される可能性がある、堆肥になる微粒子を残す。
【0084】
例6:破裂済みバーク
バークを裂き、次いで破裂済みバークで所望の形状を作るプロセスは当該技術分野において周知である。破裂済みバークは、基材の不連続の形状およびサイズを作り出すために、プレス、カット、またはスタンプなどされてもよい。1種または複数の融雪剤で含侵される不連続形状の基材は本発明のマトリクスを含む。不連続形状の基材への融雪剤含侵は、吸収、吸着、またはこの両方を含んでもよい。破裂済みバークマトリクスはさらに少なくとも1種の放射吸収材を含んでもよい。いずれかの実施形態において、外観指標または外観指標と放射吸収材の組み合わせは、実用性および/または審美性の目的で使用されてもよい。製造目的のために、着色剤は融雪剤含侵の前、同時、または後に含侵によって破裂済みバークのマトリクスに組み込まれてもよく、その場合に着色剤はスプレー、浸漬などによって、基材全体に組み込まれるか、最終マトリクス製品の外側表面に吸着されてもよい。
【0085】
前述の説明は、少なくとも1種の融雪剤、および少なくとも1つの種類および/またはサイズの基材を含む本発明のマトリクスを構成する、多くの潜在的な方法の一部に関連している。前述のマトリクスの無限の変形形態は、例えば、単純に1種または複数種の融雪剤を変更することによって、複数種の融雪剤を組み合わせることによって、基材を変更することによって、複数の基材の種類または粒子サイズを組み合わせることによって、可能であり、その結果、本発明の趣旨を妨害することになる。本発明は、単独で、またはその他の融雪剤もしくは牽引摩擦剤および/もしくは有用品と組み合わせて使用されてもよい。当業者は、開示されたマトリクス、本発明のマトリクスの製造方法、および使用方法が融雪剤および/または牽引摩擦剤の製造の確立された形態のひとつに容易に組み込まれること、ならびに当該技術分野において周知である同様のことを容易に認識する。本発明は明確性と理解の目的のために詳細に記述されている。当業者は、過度な実験をせずに、サイズ、構成材料、重量、使用方法などの要素に基づいて、本発明に多数の実施形態および/または調整を加え得る。特定の変更および修正は本発明の範囲内で実施される可能性があることが、理解されることになる。従って、すべてのこのような変更、変形形態、および修正は本発明の範囲内であることが意図される。