(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】粉体コーティング塗布のための雲母顔料粒子
(51)【国際特許分類】
C09C 1/00 20060101AFI20241105BHJP
C09C 3/10 20060101ALI20241105BHJP
C09C 3/06 20060101ALI20241105BHJP
C09D 5/03 20060101ALI20241105BHJP
C09D 7/62 20180101ALI20241105BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
C09C1/00
C09C3/10
C09C3/06
C09D5/03
C09D7/62
C09D201/00
(21)【出願番号】P 2020017524
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2023-01-30
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・ファルジア
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ・ガードナー
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-252147(JP,A)
【文献】特開2004-309517(JP,A)
【文献】特開2013-072943(JP,A)
【文献】特開平05-186707(JP,A)
【文献】特表平05-500984(JP,A)
【文献】特開平06-025267(JP,A)
【文献】特表平08-508061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 1/00
C09C 3/10
C09C 3/06
C09D 5/03
C09D 7/62
C09D 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状顔料粒子を含む雲母含有顔料組成物を生成するための
方法であって、
非晶質ポリエステル樹脂、水溶性ポリマーを含むポリマー安定剤、及び雲母粒子を提供する工程と、
前記ポリエステル樹脂及びポリマー安定剤を、前記雲母粒子と一緒に水混和性有機溶媒中に溶解して、前記雲母粒子を含む第1の流体混合物を形成する工程と、
極性溶媒を、既定の速度で前記第1の流体混合物に添加し、それによって、沈殿顔料粒子を含む第2の流体混合物を形成する工程と、
前記沈殿顔料粒子を捕集する工程と、を含
み、
前記ポリマー安定剤が、ポリビニルアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリビニルクロライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)、ポリ(イソブチレン)、シス-1:4-ポリ(イソプレン)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン及びポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリメタクリレート、ヒプロメロースアセテートサクシネート、ヒプロメロースフタレート、ポリビニルカプロラクタム- ポリビニルアセテート- ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項2】
シリカを、前記第2の流体混合物に添加する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記極性溶媒溶液の前記第1の流体混合物への前記添加の前に、シリカを前記第1の流体混合物に添加する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリエステル樹脂、前記ポリマー安定剤、及び前記雲母粒子が、前記水混和性有機溶媒と接触するように配置される前に一緒に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記雲母粒子が、前記ポリエステル樹脂及びポリマー安定剤が前記水混和性有機溶媒と接触するように配置される前に、前記水混和性有機溶媒に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水混和性有機溶媒が、ジメチルアセトアミド、酢酸、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、エチレングリコール、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルリントリアミド、ピリジン、
及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリエステル樹脂が、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(1,2-プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(1,2-プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(1,2-プロピレンイタコネート)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリエステル樹脂が、約45℃~約75℃のガラス転移温度を有
し、「約」は参照量の10%以内の量を指す、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記雲母が、約5マイクロメートル~約200マイクロメートルの粒子径を有
し、「約」は参照量の10%以内の量を指す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の混合物が、約75℃~約95℃の温度に加熱され
、「約」は参照量の10%以内の量を指す、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記顔料粒子は、雲母フレークが中及び上に組み込まれたポリマー材料を含み、前記組成物の前記顔料粒子が、約0.93~約0.999の円形度、及び約1.3~約2.0
の幾何学的径分布を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記顔料粒子が、約0.95~約0.995の円形度を有
し、「約」は参照量の10%以内の量を指す、請求項
11に記載の
方法。
【請求項13】
前記顔料粒子の平均粒子径が、約50マイクロメートル~約250マイクロメートルであ
り、「約」は参照量の10%以内の量を指す、請求項
11に記載の
方法。
【請求項14】
前記雲母が、前記顔料粒子の約2重量%~約60重量%の量で前記粒子中に存在
し、「約」は参照量の10%以内の量を指す、請求項
11に記載の
方法。
【請求項15】
前記雲母の平均粒子径が、約5マイクロメートル~約150マイクロメートルであ
り、「約」は参照量の10%以内の量を指す、請求項
11に記載の
方法。
【請求項16】
前記組成物が、金属色を有する、請求項
11に記載の
方法。
【請求項17】
前記組成物が、約10GU~約70GUの範囲の光沢を有
し、「約」は参照量の10%以内の量を指す、請求項
11に記載の
方法。
【請求項18】
基材上に着色コーティングを形成する方法であって、
請求項
11に記載の
方法により生成する雲母含有顔料組成物を、静電粉体コーティングアプリケータを用いて、前記基材に塗布することと、
前記顔料組成物を前記基材上で硬化させることと、を含む、方法。
【請求項19】
前記コーティングが、トライボ又はコロナ帯電を介して、前記基材に静電転写される、
請求項
18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
粉体コーティングは、自動車、建築、及び家具産業を含む様々な用途で使用される。粉体コーティングは、液体溶媒を含まず、表面上に塗布及び硬化されたときに少量の揮発性有機化合物(volatile organic compound、VOC)又は有害空気汚染物質(hazardous air pollutant、HAP)のみを放出し、したがって、VOC放出を制限することが所望である場合に従来の溶媒浮遊コーティングに有利である。粉体コーティングに色を提供するために、顔料がコーティング材料に含まれ得る。
【0002】
粉体コーティングと共に使用される顔料の1つは、雲母、フレーク状の層状金属水和物ケイ酸塩/アルミノケイ酸塩鉱物であり、これを使用して、コーティングに真珠光沢効果を加えることができる。雲母は、粉体コーティング材料で雲母粒子を乾燥ブレンドすること、及び雲母粒子を粉体コーティングの粒子に結合することなどによって、様々な方法で粉体コーティングに組み込まれてきた。「blitz結合」と呼ばれるプロセスでは、雲母粒子は、粉体コーティングのより粗い粉体粒子に付着して、粉体の表面への塗布中に雲母顔料の分離を防止する。しかしながら、このようなコーティングの製造及び使用中に、より粗いblitz結合粉体粒子の粉砕は、組成物中の遊離した雲母粒子をもたらし得る。このようなblitz結合組成物中の遊離した雲母、並びに乾燥ブレンドされた粉体コーティングでは、コーティングされた表面に色変化を引き起こし得る。コーティングガンの静電荷が、そのようなフレークを横たわる代わりにその側に立たせることができ、また、雲母フレークを一緒に付着させ、それによって粉体コーティングガンを詰まらせることができるため、非結合雲母フレークはまた、トライボ又はコロナ粉体コーティングガンによる粉体コーティングの表面への塗布に干渉する。
【0003】
雲母が粉体コーティングに組み込まれている別の方法は、溶融押出によるものである。このプロセスでは、雲母をポリマーと混合し、溶融押出し、次いで、粉砕又は微粉砕して、顔料粉体コーティングを形成する。しかしながら、押出及び粉砕の力は、雲母顔料を損傷させ、最終組成物中に遊離したマイカ顔料を生成することができる。
【0004】
より小さいより球状の粒子を使用することにより、粒子径範囲、光沢、及び他の所望の特性を調整する能力を有する改良された雲母含有粉体コーティングを提供することが所望である。また、より少ないエネルギー及びより少ない工程を使用するよりエネルギー効率のよいプロセスによって調製された雲母含有粉体コーティングを提供することが所望である。「ボトムアップ」アプローチを用いて、雲母含有粉体コーティングの調製のためのプロセスを提供することが更に所望である。更に、金属(金及び銀)及び真珠光沢色などの劇的な、装飾着色粉体コーティングを提供することが所望である。
【発明の概要】
【0005】
上記の所望の特性は、実施形態において、バインダ樹脂及び金属酸化物雲母顔料を含むことができる、本粉体コーティングを用いて得ることができる。コーティングは、粒子の内部及び外側の両方に組み込まれた雲母フレークを有するポリマー材料から形成された球状の、雲母含有顔料粒子を含む。顔料粒子は、約0.93~約0.999の円形度、及び約1.3~約2.0の幾何学的径分布を有し得る。
【0006】
このような雲母含有顔料粒子を形成するために、まず、雲母粒子及び非晶質ポリエステル樹脂を、水溶性ポリマーなどのポリマー安定剤と組み合わせる。次いで、ポリエステル樹脂及びポリマー安定剤は、雲母粒子と一緒に水混和性有機溶媒に溶解され、雲母粒子を含む流体混合物を形成する。極性溶媒は、所定の速度でこの流体混合物に添加され、顔料粒子は、この混合物から沈殿する。次いで、沈殿顔料粒子を捕集する。
【0007】
顔料粒子は、基材上に着色コーティングを形成するために、粉体コーティングとして使用することができる。顔料粒子は、例えば、静電粉体コーティングアプリケータを用いて基材表面に塗布され、次いで、基材上に着色コーティングを形成するために表面上で硬化される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】粉体コーティング塗布のための雲母含有顔料組成物を生成するための本プロセスの実施形態の工程を示す図である。
【
図2】本顔料組成物の試料(バッチ1)のデジタル顕微鏡画像分析を示す棒グラフである。
【
図3】本顔料組成物の別の試料(バッチ2)のデジタル顕微鏡画像分析を示す棒グラフである。
【
図4】
図2で分析された試料(バッチ1)の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)画像(顕微鏡写真)である。
【
図5】
図4の画像よりも高い解像度で
図2で分析された試料の別の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図6】
図5の画像よりも高い解像度で
図2で分析された試料の更なる走査型電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
本明細書で使用される場合、以下の用語及びその変形は、このような用語が使用される文脈によって、異なる意味が明確に意図されない限り、以下に与えられる意味を有する。
【0010】
「約」及び「およそ」とは、このような使用状況が異なる意味を示さない限り、参照量の10%以内の量を指す。
【0011】
「アスペクト比」とは、画像分析及び顕微鏡で使用される無次元量を指して、その径とは独立した粒子の形状を数値的に説明する。試料中の粒子のアスペクト比(AR)は、以下の式によって定義される。
【0012】
【0013】
式中、dmaxは、試料における特定の粒子の最大直径であり、dminは、dmaxに直交する粒子の最小直径である。撮像を用いる測定では、アスペクト比は、粒子の画像の高さ(幅に直交する最小観測粒子寸法)に対する幅(最大観測粒子寸法)の比として表され得る。したがって、1のアスペクト比は、円又は正方形を表すことができ、一方、線は、0に近いアスペクト比を有する。
【0014】
「円形度」とは、粒子の中心断面の実際の外周によって分割される等価面積の円の円周を指す。粒子がより球状であれば、円形度は1に近づくが、粒子がより細長い又は粗い縁であれば、円形度はより小さくなる。
【0015】
「同時に」とは、別の動作若しくは工程と同じ時間中、又は他の動作若しくは工程の前若しくは後の既定の時間内のプロセスの特定の動作又は工程の実行を指し、既定の時間内の特定の動作又は工程の実行は、プロセスの最終結果に悪影響を及ぼさない。
【0016】
「光沢」とは、表面が鏡面(鏡のような)方向に光を反射する能力を指す。光沢は、光沢単位(gloss unit、GU)、すなわち、標準の比と比較して測定された試料片の反射対入射光の比で測定することができる。
【0017】
「GSD」とは、幾何標準偏差(geometric standard deviation、GSD)を指す。
【0018】
「雲母」とは、クロム、コバルト、鉄、チタンなどの遷移金属の酸化物で任意にコーティングされ得る層状金属水和物ケイ酸塩/アルミノケイ酸塩鉱物を指す。多くの雲母鉱物は、一般に、化学式X1Y2-3Z4O10(OH、F)2によって説明することができ、式中、
Xは、K、Na、Ca、H3O,NH4、又はあまり一般的ではないが、Ba、Rb、又はCsであり、
Yは、Al、Mg、又はFe、又はあまり一般的ではないが、Mn、Cr、Ti、Li、V、又はZnであり、
Zは、一般に、Si又はAlであるが、Fe3+又はTiも含み得る。
【0019】
本顔料組成物の目的のための「微粒子」とは、一般に、約1~約500マイクロメートル、例えば、約50~約300マイクロメートル、約70~約270マイクロメートル、又は約100~約220マイクロメートルの範囲の粒子径を有する粒子を指す。
【0020】
「有機溶媒」とは、主に1種以上の有機化合物を含む液体材料を指す。
【0021】
「粒子径」とは、所与の粒子と同じ体積又は表面積を有する球体の直径を指す。
【0022】
「粉体」とは、粉体材料の粒子が互いに対して移動し得るように、流動可能な多数の固まっていない固体粒子から主に構成される材料を指す。
【0023】
「樹脂」とは、非結晶性ポリマー材料、典型的には、室温で固体又は粘稠な液体であるものを指す。
【0024】
「球状」とは、概ね球形である、すなわち、約0.93~約0.999の円形度を有する中央断面を有する形状を指す。主に球状粒子からなる組成物は、不均一であり、卵形であるか又は他の形状を含む粒子を含むことが理解されるであろう。本組成物の球状粒子はまた、いくつかの場合によっては、それらの表面に雲母を有し、その結果、球体の曲率ではなくシート状構造を有するそのような粒子の表面の領域をもたらすことが理解されるであろう。
【0025】
「基材」とは、本粉体コーティング顔料が塗布される物品又は層を指す。
【0026】
「含む(comprise)」という用語、及び「含む(comprising」及び「含む(comprises)」などの用語の変形は、他の添加剤、成分、整数、又は工程を除外することを意図するものではない。本明細書で使用される「a」、「an」、及び「the」という用語、並びに類似の指示対象は、文脈における使用がそうでないことを指示しない限り、単数及び複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。2つの値の「間」として記載される範囲は、示された値を含む。
【0027】
マイクロ顔料粒子の概要及び調製プロセス
本粉体コーティングは、ポリマーマトリックス上及びポリマーマトリックス内に組み込まれた雲母フレークを有するポリマー材料からなる雲母含有顔料粒子から形成される。これらの粒子は、約0.93~約0.999、約0.95~約0.995、又は約0.96~約0.990の円形度、及び約1.3~約2.0の幾何学的径分布を有する。これらの粒子の平均粒子径は、約50マイクロメートル~約250マイクロメートル、約100マイクロメートル~約200マイクロメートル、又は約125マイクロメートル~約175マイクロメートルである。
【0028】
このような球状雲母含有顔料粒子は、非晶質ポリエステル樹脂、水溶性ポリマーを含むポリマー安定剤、及び水混和性有機溶媒を有する雲母粒子を組み合わせることによって作製することができる。ポリエステル樹脂、ポリマー安定剤、及び雲母粒子は、水混和性有機溶媒と接触するように配置される前に一緒に添加され得、又は代替的には、雲母粒子は、ポリエステル樹脂及びポリマー安定剤が水混和性有機溶媒と接触するように配置される前に水混和性有機溶媒に添加され得る。ポリエステル樹脂及びポリマー安定剤は、水混和性有機溶媒中に溶解され、組み合わせた反応物は、雲母粒子を含む第1の流体混合物を形成する。
【0029】
第2の流体混合物は、水溶液などの極性溶媒が、所定の速度で第1の流体混合物に添加されるときに作成される。第2の流体混合物は、約75℃~約95℃の温度に加熱することができる。球状顔料粒子は、第2の流体混合物から沈殿し、次いで、沈殿顔料粒子は、粉体コーティング塗布で使用するために捕集される。顔料粒子の沈殿を触媒するために、コロイドシリカは、第2の流体混合物に添加され得、又は代替的には、極性溶媒溶液を第1の流体混合物に添加する前に、第1の流体混合物に添加され得る。
【0030】
約5マイクロメートル~約100マイクロメートルの粒径を有する雲母は、このプロセスで使用することができ、顔料粒子の総重量に基づいて約2重量%~約60重量%の量で沈殿粒子中に存在し得る。ポリマー安定剤は、ポリビニルアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリビニルクロライド、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリビニルピロリドン)、ポリエチレンイミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)、ポリ(イソブチレン)、シス-1:4-ポリ(イソプレン)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン及びポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(polyethyleneglycol、PEG)、ポリメタクリレート、ヒプロメロースアセテートサクシネート、ヒプロメロースフタレート、ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、及びこれらの組み合わせのうちのいずれかであり得る。
【0031】
本プロセスで使用されるポリエステルは、約45℃~約75℃のガラス転移温度を有し得、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(1,2-プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(1,2-プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(1,2-プロピレンイタコネート)、及びこれらの組み合わせのうちのいずれかであり得る。水混和性有機溶媒は、ジメチルアセトアミド、酢酸、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、エチレングリコール、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルリントリアミド、ピリジン、水、及びこれらの組み合わせのうちのいずれかであり得る。
【0032】
雲母含有顔料粒子は、例えば、トライボ又はコロナ帯電を使用して、静電粉体コーティングアプリケータを用いて基材表面に粉体コーティングとして塗布することができる。次いで、塗布された粉体を、基材上に着色コーティングを形成するために表面上で硬化させる。
【0033】
雲母顔料の調製のための材料
本雲母含有顔料組成物を調製するためのプロセスは、
図1に概ね記載されている。このプロセスは、ポリエステル樹脂及びポリマー安定剤を、雲母フレークと一緒に水混和性有機溶媒中に溶解し、次いで、極性溶媒を貧溶媒として添加して、雲母の粒子を沈殿させることによる、第1の溶液の作成を含む。
【0034】
雲母
本雲母含有顔料組成物の光学特性は、主に天然又は人工的に合成された雲母のフレークによって提供される。雲母フレークは、真珠光沢顔料の特徴的な光沢を付与する雲母材料を提供するために、クロム、コバルト、鉄、チタン、及び同様の金属を含む遷移金属の酸化物などの高反射値を有する透明金属酸化物で、例えば、TiO2、Fe2O3、Cr2O3などの高い反射値を有する金属酸化物で処理することができる。金属酸化物コーティングを有する雲母フレークの色は、異なる厚さの金属酸化物材料を雲母フレークに塗布することによって調整することができる。例えば、約40nm~約60nmの厚さを有する金属酸化物層を有する雲母粒子は、銀着色光を反射し、約60nm~約80nmの層は、一般に、黄色/金色を反射し、約80nm~約100nmの層は、一般に、赤色を反射し、約100nm~約140nmの層は、一般に、青色を反射し、約120nm~約160nmの層は、一般に、緑色を反射する。実施形態では、粉体コーティングは、金属(金又は銀)又は真珠光沢色などの装飾的な色を表す。
【0035】
本雲母顔料で使用するための雲母粒子は、典型的には、約5マイクロメートル~約100マイクロメートルの径の範囲である。雲母粒子の径は、本組成物でコーティングされた表面の外観に影響を与え、より小さい雲母粒子は、より少ない反射性及びより不透明な仕上げを提供し、より大きな粒子は、より反射性及び透明な仕上げを提供する。約1~約25マイクロメートルの雲母粒子は、一般に、表面に「サチン」(光沢があり、比較的反射性が低い)仕上げを付与し、約10~約60マイクロメートルの粒子は、一般に、より反射性仕上げ(「光沢」を有する)を付与し、約20~約150マイクロメートルの粒子は、更により多くの反射仕上げ(「輝き」を有する)を付与することができる。
【0036】
雲母粒子はまた、本顔料組成物の最終雲母ポリマー複合体の機械的及び電気的特性に対する影響を有する。例えば、本雲母複合体の剛性及びヤング率などの特性は、雲母荷重(雲母濃度)の増加と共に増加する。一方、破断伸び及び引張強度は、雲母荷重と共に減少する。絶縁耐力及び表面抵抗もまた、雲母荷重の増加と共に増加し、本組成物を電気絶縁用途での使用により好適にする。
【0037】
様々な雲母含有顔料を、本組成物の雲母成分に使用することができる。本プロセスで使用することができる市販の真珠光沢及び金属雲母含有顔料の例としては、Merck&Company,Inc.(Kenilworth,NJ)から入手可能な以下のものが挙げられる:IRIODIN 300 Gold Pearl、IRIODIN 100 Silver Pearl、TIMIRON Bronze MP60(顔料の50%が、示されるサイズ未満の体積サイズを有する、22~37マイクロメートルのD50体積平均粒子径)、TIMIRON Copper MP-65(22~37マイクロメートルのD50径)、COLORONA Oriental Beige(3~10マイクロメートルのD50径)、COLORONA Aborigine Amber(18~25マイクロメートルのD50径)、COLORONA Passion Orange(18~25マイクロメートルのD50径)、COLORONA Bronze Fine(7~14のD50径)、COLORONA Bronze(18~25マイクロメートルのD50径)、COLORONA Bronze Sparkle(28~42マイクロメートルのD50径)、COLORONA Copper Fine(7~14マイクロメートルのD50径)、COLORONA Copper(18~25のD50径)、COLORONA Copper Sparkle(25~39マイクロメートルのD50径)、COLORONA Red Brown(18~25マイクロメートルのD50径)、COLORONA Russet(18~25マイクロメートルのD50径)、COLORONA Tibetan Ochre(18~25マイクロメートルのD50径)、COLORONA Sienna Fine(7~14マイクロメートルのD50径)、COLORONA Sienna(18~25マイクロメートルのD50径)、COLORONA Bordeaux(18~25マイクロメートルのD50径)、COLORONA Glitter Bordeaux、及びCOLORONA Chameleon(18~25マイクロメートルのD50径)。
【0038】
Merck&Company,Inc.から入手可能な他の好適な雲母顔料としては、TIMIRON Super Silk MP-1005(3~10マイクロメートルのD50径)、TIMIRON Super Sheen MP-1001(7~14マイクロメートルのD50径)、TIMIRON Super Silver Fine(9~13マイクロメートルのD50径)、TIMIRON Pearl Sheen MP-30(15~21マイクロメートルのD50径)、TIMIRON Satin MP-11171(11~20マイクロメートルのD50径)、TIMIRON Ultra Luster MP-111(18~25マイクロメートルのD50径)、TIMIRON Star Luster MP-111(18~25マイクロメートルのD50径)、TIMIRON Pearl Flake MP-10(22~37マイクロメートルのD50径)、TIMIRON Super Silver(D50径17~26マイクロメートル)、TIMIRON Sparkle MP-47(28~38マイクロメートルのD50径)、TIMIRON Arctic Silver(19~25マイクロメートルのD50径)、XIRONA Silver(15~22マイクロメートルのD50径)、及びRONASTAR Silver(25~45マイクロメートルのD50径)が挙げられる。明るい色では、Merck&Company,Inc.から入手可能な好適な雲母顔料としては、COLORONA Carmine Red(赤色の光沢効果を与える、10~60マイクロメートルのD50径)、COLORONA Magenta(ピンクスミレ色の光沢効果を与える、18~25マイクロメートルのD50径)、COLORONA Light Blue(水色の光沢効果を与える、18~25マイクロメートルのD50径)、COLORONA Dark Blue(濃青色の光沢効果を与える、D50径18~25マイクロメートル)、COLORONA Majestic Green(緑色の光沢色を与える、18~25マイクロメートルのD50径)、COLORONA Brilliant Green(金色がかった緑色の光沢色を与える、19~26マイクロメートルのD50径)、COLORONA Egyptian Emerald(暗緑色の光沢効果を与える、18~25マイクロメートルのD50径)、及びCOLORONA Patagonian Purple(紫色の光沢効果を与える、18~25マイクロメートルのD50径)が挙げられる。本プロセス及び組成物に使用することができる市販の雲母含有顔料の他の例としては、Diamond Venetian Gold(Black Diamond Powder Pigments,St.Augustine,FLから入手可能)及びSYMIC真珠光沢顔料が挙げられ、これらは合成雲母に基づくものであり、ECKART America Corporation(Louisville,KY)から入手可能である。
【0039】
ポリエステル
雲母含有顔料組成物を生成するための本プロセスで使用されるポリエステルは、分枝状又は直鎖状非晶質ポリエステル樹脂である。非晶性ポリエステル樹脂は、ジオールと二塩基酸とを任意の触媒の存在下で反応させることによって形成され得る。非晶質ポリエステルの調製に利用されるビニル二酸又はビニルジエステルを含む二酸又はジエステルの例としては、ジカルボン酸又はジエステル、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート、cis-1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ジメチルフタレート、無水フタル酸、ジエチルフタレート、ジメチルサクシネート、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、ジメチルドデシルサクシネート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。二塩基酸又はジエステルは、例えば、樹脂の約40~約60モル%、樹脂の約42~約52モル%、樹脂の約45~約50モル%の量で存在し得る。
【0040】
非晶質ポリエステルの生成に利用され得るジオールの例としては、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2-ジメチルプロパンジオール、2,2,3-トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)-ビスフェノールA、ビス(2-ヒドロキシプロピル)-ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2-ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。選択されるジオールの量は様々であってもよく、例えば、樹脂の約40~約60モル%、樹脂の約42~約55モル%、又は樹脂の約45~約53モル%の量で存在し得る。
【0041】
本プロセスで使用する非晶質ポリエステルの形成に利用され得る重縮合触媒としては、テトラアルキルチタネート、ジブチルスズオキシドなどのジアルキルスズオキシド、ジブチルスズジラウレートなどのテトラアルキルスズ、及び酸化ブチルスズ水酸化物などの酸化ジアルキルスズ水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、又はそれらの組み合わせが挙げられる。このような触媒は、例えば、ポリエステル樹脂を生成するために使用される出発二塩基酸又はジエステルに基づいて、約0.01モルパーセント~約5モルパーセントの量で利用され得る。
【0042】
本プロセスで使用され得る非晶質ポリエステル樹脂の例としては、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(1,2-プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(1,2-プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(1,2-プロピレンイタコネート)、及びこれらの組み合わせなどの、不飽和非晶質ポリエステル樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
アルカリスルホン化ポリエステル樹脂もまた、いくつかの実施形態において有用であり得、その例は、コポリ(エチレン-テレフタレート)-コポリ(エチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(プロピレン-テレフタレート)-コポリ(プロピレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(ジエチレン-テレフタレート)-コポリ(ジエチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(プロピレン-ジエチレン-テレフタレート)-コポリ(プロピレン-ジエチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(プロピレン-ブチレン-テレフタレート)-コポリ(プロピレン-ブチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(プロポキシル化ビスフェノール-A-フマレート)-コポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(エトキシル化ビスフェノール-A-フマレート)-コポリ(エトキシル化ビスフェノール-A-5-スルホ-イソフタレート)、及びコポリ(エトキシル化ビスフェノール-A-マレエート)-コポリ(エトキシル化ビスフェノール-A-5-スルホ-イソフタレート)の金属又はアルカリ塩などであり、アルカリ金属は、例えば、ナトリウム、リチウム、又はカリウムイオンである。
【0044】
本プロセスで使用される非晶質ポリエステルは、有利なことに、約40℃~約90℃、又は約45℃~約75℃のガラス転移温度を有し得る。ポリエステルはまた、約130℃で約10~約1,000,000Pa・s、又は約130℃で約20~約100,000Pa・sの溶融粘度を有し得る。非晶質ポリエステルの平均分子量はまた、ポリスチレン標準を用いるゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)で測定したところ、約2,000~約25,000であり得る。本プロセスでは、粉体又は粒子状形態のポリエステルが一般に使用されるが、液体ポリエステル樹脂も使用され得る。
【0045】
ポリマー安定剤
雲母含有顔料を生成するための本プロセスはまた、ポリマー安定剤として水溶性ポリマーを使用する。非限定的な例示的なポリマー安定剤としては、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ビニルクロライド)、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)、ポリ(イソブチレン)、シス-1:4-ポリ(イソプレン)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリソルベート80(Millipore Sigma/Merck KGaA,Darmstadt,Germanyから入手可能であるTWEEN80など)、ポリソルベート20(Millipore Sigma/Merck KGaA,Darmstadt,Germanyから入手可能であるTWEEN20など)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン及びポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリメタクリレート、ヒプロメロースアセテートサクシネート、ヒプロメロースフタレート、SOLUPLUS(BASF,Ludwigshafen,Germanyから入手可能である)などのポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
上記のポリマーは、ポリマーの骨格鎖に親水性基を含む。親水性基は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は両性であり得る。このような水溶性ポリマーは、合成(石油又は天然ガスから合成されたモノマーの重合によって生成される)、半合成(多糖類又はセルロースなどの天然有機材料の化学誘導体化によって製造される)、又は天然(キサンタンガム、ペクチン、デキストラン、カラギーナン、グアー、CMCナトリウム、ヒアルロン酸(hylaluronic acid、HA)、及びアルブミンなどの、微生物、植物、又は動物材料から誘導される材料)のいずれかであり得る。
【0047】
ポリマー安定剤は、典型的には、表面張力を低下させる界面活性剤、及び/又は表面電荷(静電相互作用又は電気立体障害)を提供することによって粒子を安定化させる、高分子電解質及びいくつかの無機塩などの分散剤である。高分子電解質の例としては、ポリ(メチルアクリレート)及びポリ(メチルメタクリレート)のアルカリ塩、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、並びに塩化アルミニウムが挙げられる。他の安定剤としては、メチルセルロース及びエチルセルロース、ポリ(ビニルアルコール)、ガム、アルジネート、カゼイン、ゼラチン、デンプンなどの水溶性の非ミセル形成ポリマー、タルク、シリケート、粘土、及びベントナイトなどのナノ粒子が挙げられる。
【0048】
水混和性有機溶媒
本プロセスで使用する水混和性有機溶媒は、当該技術分野において既知の溶媒から選択され得る。このような有機溶媒は、本プロセスの条件下で、既定の時間、液相を(例えば、極性相及び非極性相へ)分離することなく、水と均質な混合物を形成し得る。例えば、溶媒は、アルコール、ジメチルアセトアミド、酢酸、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、エチレングリコール、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルリントリアミド、ピリジン、水、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0049】
水混和性有機溶媒は、流体のままであるべきであり、好ましくは、プロセス妨害を回避するために、本プロセスの条件下で比較的低い粘度を有する。特定の水混和性有機溶媒及び本プロセスで使用されるこの成分の量も、溶媒の沈殿を回避するために選択されるべきである。本プロセスで使用されるポリマー(複数可)及び水混和性有機溶媒(複数可)の相溶性を評価するために、Flory-Huggins相互作用パラメータが使用され得る。
【0050】
貧溶媒
溶液から雲母顔料の沈殿を誘導するために、本プロセスで、貧溶媒として極性溶媒も使用される。脱イオン水は、例えば、任意にポリビニルアルコールなどの他の添加剤と共に使用され得る。このような添加剤は、添加剤の沈殿、又は液体混合物の粘度の望ましくない増大を回避するために選択されるべきである。例えば、約10,000~約100,000の分子量を有するポリビニルアルコールは、典型的には、約0.01重量%~約3重量%、又は約0.05重量%~約2重量%の量で添加剤として使用され得る。他の水溶液又は極性溶媒も使用され得る。
【0051】
雲母顔料の調製プロセス
図1に一般に示されるように、雲母粒子をポリエステル及びポリマー安定剤と組み合わせて、粉体コーティング塗布で使用するための雲母顔料を調製するための本プロセスにおいて第1の流体混合物を形成する。好ましくは、ポリエステルは、固体形態で添加され、例えば、粉体状又はペレット化され、雲母顔料粒子と組み合わせて、粉体又は遊離した粒子状混合物を形成する。あるいは、ポリエステル粒子は、まず、雲母顔料粒子と組み合わされる前に溶媒に溶解され得る。これらの成分は、例えば、水混和性有機溶媒とそれらを接触させる前に、水混和性有機溶媒の添加と同時に、様々な方法で組み合わせることができ、あるいは、雲母構成成分は、水混和性有機溶媒中で事前にスラリー化することができ、次いでポリエステル及びポリマー安定剤成分に添加することができる。流体混合物は、混合物中に雲母粒子が存在するため、液体懸濁液である。
【0052】
雲母粒子は、本雲母顔料中に、本プロセスによって生成される微粒子の総重量に基づいて、約2重量%~約60重量%、又は約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%の量で含まれ得る。このような顔料を生成するために、雲母は、第1の流体混合物中のポリエステルの総重量に基づいて、約2重量%~約60重量%、又は約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%の量で第1の流体混合物に添加されるべきである。この段階での雲母、ポリエステル、及び安定剤成分は、2~60部の雲母、50~90部のポリエステル、及び8~25部の安定剤の範囲の量(100部当たりの部数)で混合され得る。一実施形態では、例えば、雲母/ポリエステル/安定剤の比は、11:73:16の100部当たりの部数であり得る。
【0053】
雲母粒子、ポリエステル、高分子安定剤、及び水混和性有機溶媒は、ポリエステル及びポリマー安定剤成分が有機溶媒中に溶解して、周囲温度を超える温度がこのために必要とされる場合には、第1の流体混合物を形成する温度まで加熱されるべきである。流体混合物の成分は、組み合わされた後に加熱されてもよく、あるいは、第1の流体混合物の他の成分と組み合わされる前に、成分のうちの1種以上が、加熱され得る。第1の流体混合物は、例えば、約40℃~約90℃、又は約70℃~約80℃の温度に加熱することができる。
【0054】
第1の流体混合物の作成に続いて、極性溶媒(貧溶媒)が第1の流体混合物に添加されて、第2の流体混合物を形成する。貧溶媒は、好ましくは、計量された様式で、すなわち既定の時間にわたって制御された量で添加される。例えば、貧溶媒は、滴下様式で第1の流体混合物に添加され得る。貧溶媒は、第1の流体混合物に、例えば、0.5~20g/分、1~15g/分、又は3~10g/分の速度で、30~120分間、45~90分間、又は60~75分間の時間にわたって添加され得る。貧溶媒が、より速い速度で添加される場合、過飽和レベルはより高くなり、より小さい粒子が形成される一方で、より遅い速度で貧溶媒を添加すると、一般に、より大きな粒子をもたらす。均質混合はまた、核生成及び粒子成長速度に影響を与える第2の流体混合物の過飽和度にも影響を及ぼす。
【0055】
第2の流体混合物は、好ましくは、貧溶媒の添加中にかき混ぜられ、撹拌され、さもなければ混合される。一実施形態では、第1の混合物は、例えば、貧溶媒の添加前及び/又は添加中に、約75℃~約95℃、又は約80℃~約90℃の温度に加熱することができる。第2の流体混合物は、既定の時間、例えば、第1の流体混合物への貧溶媒添加の開始に続いて、約15分~約4時間、又は約30分間~約2時間、又は約45分~約1時間、そのような温度で維持され得る。このような加熱に続いて、沈殿を促進するために、第2の流体混合物は、冷却され得る。
【0056】
本プロセスの雲母顔料生成物の沈殿を促進するために、核形成剤もプロセス中の液体混合物に添加され得る。核形成剤は、貧溶媒の添加前、貧溶媒の添加後、又は貧溶媒と同時に添加され得る。このような核形成剤の例は、コロイドシリカであり、これは、貧溶媒の添加後又は添加と共に添加され得る。使用され得る他の核形成剤としては、チョーク、粘土、カオリン、タルク、及びシリケートなどの鉱物、並びにカドミウムレッド、コバルトイエロー等の顔料、次いで酸化クロム、二酸化チタン、酸化マグネシウム、カーボネート、スルフェート、カーボンブラック、カルボン酸の塩、ベンゾフェノン、並びにいくつかのポリマー、並びに他の有機液体が挙げられる。使用され得る他の核形成剤としては、二硫化モリブデン、硫化鉄、二酸化チタン、タルク、及びフェニルホスフィン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム窒化ホウ素、芳香族カルボン酸塩、安息香酸ナトリウム、タルク、及びいくつかの顔料着色剤が挙げられる。使用され得る新しい核形成剤としては、より速い加工速度を有するリン酸エステル塩及び超核形成剤が挙げられる。
【0057】
一実施形態では、水中のコロイドシリカが、第1の流体混合物に添加されて、第1の流体混合物への予備核化又は「予備種晶導入」を行う。別の実施形態では、核形成剤は、貧溶媒中に含まれ得る。例えば、最大約30重量%のコロイドシリカを含有する貧溶媒は、第2の流体混合物に添加され得る。核生成は、反応速度、及び微粒子径、及び分布に影響を及ぼす。
【0058】
第1の流体混合物への貧溶媒の添加後、本雲顔料を含む沈殿物が、第2の流体混合物中に形成される。この沈殿物の粒子は、遠心分離などによって、当該技術分野に既知の方法で第2の流体混合物から分離される。分離された粒子は、最終的な雲母顔料を調製するために、洗浄され、更に遠心分離することができ、及び/又は粒子は、雲母顔料を調製するために、凍結乾燥に供され得る。
【0059】
本プロセスによって生成されるものなどの雲母を含む球状粒子は、粉体コーティング用途への使用に関して以前は知られていなかった。本方法の溶媒/貧溶媒系は、このような粒子の特性をより良好に制御することができ、これは、現在の雲母含有粒子よりも小さく、より球状であり得る。最終生成物は、顔料へのポリマーの充填度の変化によって変更することができ、異なる色及び光沢の顔料粒子をもたらすことができる。
【0060】
粉体コーティング塗布のための雲母顔料
本雲母顔料は、一般に、ポリマー粒子の表面内及び表面上に組み込まれた雲母のフレークを含む。
図6に最もよく見られるように、金属酸化物でコーティングされた雲母の平坦な層状層は、概ね球状のポリマー材料の表面に付着する。粒子は、溶液中のポリマー材料の沈殿によって形成され、沈殿物が形成されると、雲母は沈殿粒子内に組み込まれ、並びにそのような粒子の表面に付着する。
【0061】
本雲母顔料の粒子の有利な特徴は、雲母などのシート状材料を組み込んでも、それらが概ね球状であることである。これは、例えば、球状粒子の捕集を示す、本雲母顔料組成物の試料のSEM顕微鏡写真である
図4~
図6に見ることができる。より高い球形度は、雲母含有顔料組成物に改善された流動特性を提供し、例えば静電粉体コーティングアプリケータによる組成物の塗布を促進する。
【0062】
本雲母顔料の粒子の球状性質は、それらの円形度によって測定され得る。これらの粒子は、例えば、約0.93~約0.999、約0.95~約0.995、又は約0.96~約0.990の円形度を有し得る。円形度は、例えば、Malvern Instruments Ltd.(Worcestershire,UK)から入手可能である、Sysmex FPIA-3000 Particle Characterization System、又はSysmex FPIA-2100 Flow Particle Image Analyzerを用いて、決定され得る。流動粒子画像分析では、粒子の希釈懸濁液から試料が採取され、次いで、この懸濁液は、測定セルを通過し、そこで粒子の画像が、ストロボ照明及びCCDカメラなどで取り込まれる。各粒子のデジタル画像は、グレースケールレベルの差(「閾値」)を使用して、背景画素から粒子画素を特定すること、及び個々の粒子の外周を追跡し、縁部定義によってそれらの面積を計算することなどによって、抽出及び定量化される。
【0063】
本雲母含有顔料組成物の粒子はまた、有利なことに、約1.3~約2.0の幾何学的標準偏差などの、狭い粒子径分布(幾何学的標準偏差)も有する。このような顔料粒子の径は、上記のような粒子画像分析器の使用などによる、写真法によって決定することができ、次いで、GSD(幾何学的標準偏差)は、このような径データに基づいて当該技術分野において既知の方法を使用して計算され得る。分布幅を表す1つの方法は、以下の式によって表され得るスパンとしてである。
【0064】
【0065】
パラメータDv0.9[又はDv(90)]は、試料中の材料の総体積の90%が含まれるまでの、径分布の点を意味する。
【0066】
狭い径分布は、静電アプリケータから基材上に顔料を均一に分散させ、基材表面上に顔料の薄層を作成するためにより良好である。本顔料粒子の狭い径分布の例は、例えば、本雲母含有顔料組成物の2つの試料の粒子の径を表示する
図2及び
図3に見ることができる。
【0067】
本雲母含有顔料組成物の粒子の平均粒子径はまた、上述の径データから計算することができる。本顔料を含む粒子の平均径は、顔料を形成するために使用される雲母粒子の径に部分的に応じて変化するが、例えば、約50マイクロメートル~約250マイクロメートル、約100マイクロメートル~約200マイクロメートル、又は約125マイクロメートル~約175マイクロメートルであり得る。平均粒子径は、D50、すなわち、粒子の半分がより大きく、半分がより小さい径であり得る、例えば、Beckman Coulter(Indianapolis,IN)製のMultisizer 3 Coulter Counterを使用して決定され得る。
【0068】
本プロセスによって生成される粒子のアスペクト比は、好ましくは約1の範囲である。好ましくは、粒子は、約0.93~約0.999、約0.95~約0.995、又は約0.96~約0.990のアスペクト比を有する。粒子のアスペクト比の平均はまた、好ましくは、約0.93~約0.999、約0.95~約0.995、又は約0.96~約0.990である。本発明の顔料粒子の最小径は、本プロセスで使用される雲母粒子の径によって制限され、粒子は一般に、使用されている雲母粒子のアスペクト比と同程度のみ小さくなり得る。本プロセスで使用される雲母粒子の直径は、一般に5~200μmであり、厚さは1μm未満の寸法を示し、したがって、アスペクト比は、いくつかの場合によっては最大200の値に達することができる。
【0069】
本顔料粒子は、基材表面に様々な光沢仕上げを付与することができる。光沢度は、当業者に既知であるように、例えば、20°、45°、60°、75°、又は85°の角度で測定することができる。本顔料は、例えば、約10GU~約70GU、約20GU~約60GU、又は約30~約50GUの範囲の光沢を有することができる。
【0070】
このような球状及び狭く分布した粒子を作製する能力は、材料の使用速度を低減することができ、塗布中により良好な材料の流れを提供し、基材上により一貫した粉体コーティング厚さを提供することができる。ポリエステルなどのエネルギー熱ポリマーをそれらの軟化点に使用する電流結合技術と比較して、電力生産コストも低減される。雲母含有粒子は、改善された機械的特性、並びに増加された寸法安定性、剛性、及び強度を有する。雲母強化プラスチックはまた、高熱寸法安定性、低減された反りを有し、離型化合物として使用される。雲母はまた、ガス透過を低減し、弾力性を改善する。
【0071】
雲母顔料の塗布
本雲母含有顔料組成物は、装飾コーティングとして、電化製品、自動車部品、消費者向け電子製品、家具、自転車、及び重機などの様々な物品及び表面に塗布することができる。上に議論されるように、雲母粒子は、様々な色及び反射率レベルを有することができ、したがって、本雲母顔料は、本雲母顔料が塗布される基材にそのような品質を付与する。塗布されたコーティングは、その光学特性(干渉色)による装飾的外観を提供し、並びにテクスチャ加工された外観を提供する。
【0072】
本雲母含有顔料組成物は、好ましくは静電塗布デバイスを用いて静電噴霧することによって基材に塗布される粉体コーティングである。このようなデバイスは、トライボ又はコロナ帯電を使用し得る。コロナ帯電の間、本顔料組成物を含む粉体の流れ内又はその付近に位置する電極において、高電圧電位が発生する。粉体粒子は負に帯電し、接地された基材に引き付けられる。あるいは、基材は、本雲母含有顔料組成物を含む粉体の荷電したクラウドに基材を通すことによって、流動床を使用して本顔料組成物でコーティングされ得る。
【0073】
本雲母含有顔料組成物は、コーティングの特定の用途に応じて、様々な厚さで塗布され得る。著しい摩耗及び裂け、又は苛酷な環境条件を経験することが予想される品目の用途では、コーティングは、より厚い厚さで塗布することができ、一方、装飾コーティングは、より薄くすることができる。装飾コーティングは、典型的には、例えば、厚さが1.5~3.5ミル(0.038mm~0.089mm)、又は2.5~3ミル(0.064mm~0.076mm)(1ミル=0.0254mm)などの0.025mm~0.10mmの厚さで塗布される。より保護する必要があるコーティングは、0.25mm~0.76mmなど、より厚くすることができる。
【0074】
本雲母含有顔料組成物の層を基材に塗布した後、塗布されたコーティング層を、例えば、約90℃~約180℃、又は約100℃~約130℃の温度で熱硬化される。
【実施例】
【0075】
実施例1:雲母含有顔料の調製
ブラックダイアモンド顔料から金色の雲母材料を得た。以下のプロセスで使用される雲母は、主にTiO2で作製され、一方、コア雲母自体は、主にシリカ及びマグネシウム、並びにSiO2であった。元素組成は以下のとおりであった。
【0076】
【0077】
2組のポリエステル微粒子を金雲母顔料で配合した。1つのバッチ(「バッチ1」)は、高分子量(50~55K)及び低分子量(18~20K)非晶質ポリエステル(1:1)の両方を使用し、一方、第2のバッチ(「バッチ2」)は、高分子量ポリエステルのみを含んだ。これらの実験で使用されたコロイダルシリカ(Si)は、Ludox(登録商標)AM(W.R.Grace and Company,Columbia,Marylandから入手可能)と称される、水中30重量%懸濁液であった。これらの実験のSiの荷重は、比較的高く、約10~20%であったが、最終生成物の洗浄及び乾燥後、検出されたSiの量は低かった。バッチ1では、シリカを、貧溶媒段階溶液の後に添加し、バッチ2について、いくつかのシリカを、有機相/ポリエステルと共に添加し、一方、残りの量を貧溶媒溶液と混合し、計量ポンプ(Fluid Metering,Inc.から入手可能)によって添加した。
【0078】
1Lの三つ口丸底フラスコに、65.7gのポリエステル樹脂を、10.4gのVenetian Gold Mica顔料及び13.8gのポリビニルアルコール(PVA、78K)と一緒にジメチルアセトアミド(DMAc、370.2g、水混和性高沸点溶媒)中に添加した。ポリマーの溶解を開始するために、約420rpmで混合を開始した。依然として周囲温度(23℃)の間、42.0gのコロイダルシリカ(30重量%溶液、12.6g Si)を添加して、抗溶媒添加を開始する前に、有機相を事前シード化するのを助けた。ポリマー溶液を90℃まで加熱し、脱イオン水中のPVA/Siの溶液(69.9gの30重量%コロイドSiを含む、貧溶媒として224.9gのDIW中4.06g 78K PVA)を、640RPMで撹拌しながら、計量ポンプを用いてフラスコに滴下で添加した。PVA水溶液を添加した約10分後、溶媒溶液は、透明な淡黄色から白色不透明になった。PVP/Si水溶液を約75分間添加し、加熱を30分以内に停止した。不透明溶液を放置して冷却し、370RPMで一晩撹拌した。翌日、溶液を1Lの遠心分離ボトルに移し、3000RPMで15分間遠心分離して、DMAc/DIW混合物を取り除いた。粒子をDIW中で再懸濁し、3000RPMで15分間それらを再度遠心分離する前に、約30秒間振盪することによって混合した。この洗浄/遠心分離手順を、粒子を濃縮し、それらを凍結乾燥ボトルに移す前に、もう1回繰り返した。粒子スラリーを急速に凍結させた後、凍結乾燥機中に置いて、瓶詰めされた粒子を、昇華によって氷を除去した高真空に供した。
【0079】
粒子を、熱重量分析、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)、及び誘導結合プラズマ(nductively coupled plasma、ICP)分析のために提出した。デジタル顕微鏡及びSEMもまた、粒子形状、表面構造、粒子径、及び粒子径分布を特徴付けるために使用した。
図2は、バッチ1の画像解析から収集されたサイズデータを示し、
図3は、バッチ2の画像解析から収集されたサイズデータを示す。
図4~
図6は、バッチバッチ1の粒子のSEM画像である。SEM画像は、球状粒子の表面上の金雲母顔料の存在を明確に示す。
【0080】
実施例2:雲母顔料の特性
実施例1で生成した雲母含有顔料組成物の特性を、以下の表1に列挙する。
【0081】
【0082】
実施例1で生成された粒子の径分布を
図2及び
図3に示す。
図2は、バッチ1のデジタル顕微鏡画像分析を示す棒グラフであるが、
図3は、バッチ2のデジタル顕微鏡画像分析を示す棒グラフである。
【0083】
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照してかなり詳細に説明されているが、他の実施形態も可能である。本方法に開示される工程は、例えば、限定することを意図するものではなく、各工程が必ずしも方法に必須であることを示すことを意図するものではなく、代わりに例示的な工程のみである。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示に含まれる好ましい実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0084】
本明細書の値範囲の列挙は、単に、範囲内に入る各別個の値を個別に参照するための省略法としての役割を果たすことを意図するものである。本明細書に別途記載のない限り、それぞれの個々の値は、本明細書において個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。