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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】SiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 37/00 20060101AFI20241105BHJP
   C04B 41/87 20060101ALI20241105BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241105BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
C04B37/00 Z
C04B41/87 G
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020046661
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021147257
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 幸加
(72)【発明者】
【氏名】野村 円香
(72)【発明者】
【氏名】樋口 直貴
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-225949(JP,A)
【文献】特開2019-055897(JP,A)
【文献】特開昭62-128974(JP,A)
【文献】特開2010-070797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/00
C04B 41/87
C01B 32/977
H01L 21/3065
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CVD-SiC層が、黒鉛からなる基材の表面を覆う第1のCVD-SiC層と、前記基材を複数個接合する第2のCVD-SiC層とからなるSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法であって、
組み合わせ面で第1のCVD-SiC層を有するSiC被覆黒鉛部材を複数組み合わせる組み合わせ工程と、
組み合わされた複数のSiC被覆黒鉛部材をさらに外側から第2のCVD-SiC層で覆う接合工程とを含み、
少なくとも一方のSiC被覆黒鉛部材における組み合わせ面は、前記組み合わせ面の一端側に周囲よりも高い凸部と、他端側に、他のSiC被覆黒鉛部材と組み合わされることにより、前記組み合わせ面の外部に開口する凹部とからなり、
前記第2のCVDSiC層は、
前記組み合わせ面の凸部の外側で複数の前記SiC被覆黒鉛部材を接合体の外表面に沿って接合する第一の接合部を有するとともに、
前記組み合わせ面の凹部の外側から凹部に貫入し前記SiC被覆黒鉛部材を対向する面同士接合する第二の接合部と、
を有し、
前記凸部の頂部は、同一平面上にあり、前記組み合わせ面の面積に対する前記凸部の頂部の面積の比の百分率は、5~60%であることを特徴とするSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法。
【請求項2】
前記組み合わせ面において、双方の黒鉛からなる基材の表面に第1のCVD-SiC層を有することを特徴とする請求項1に記載のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法。
【請求項3】
前記凸部の頂部の表面の第1のCVD-SiC層は研磨面であることを特徴とする請求項2に記載のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法。
【請求項4】
前記凸部の頂部は、同一平面上にあることを特徴とする請求項3に記載のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒鉛からなる基材の表面にCVD-SiC層を有する複合材を組み合わせたSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造において高品質の製品を供給することにより、半導体製品の歩留まりの向上及び安定的な操業を確保するため、シリコンウエハ等の熱処理工程において用いられるサセプタ、治具、炉部材等の半導体装置用部品には、黒鉛からなる基材の表面にCVD-SiC層がコーティングされた複合材が広く使用されている。黒鉛、SiCなどの素材は、シリコンに混入しても、シリコンをドープする作用がなく、導電率を変化させないので、得られるウエハの品質に与える影響が少ない点や、SiC、黒鉛とも高温で安定であり、消耗が少ない点で、半導体装置用部品として適しているからである。
【0003】
黒鉛は、加工しやすく、複雑な形状が容易に得られるが、酸素、水、水素などが接触することにより消耗しやすい欠点がある。一方、SiCは、表面に薄い酸化膜を形成しやすく、酸素、水、水素などによる消耗に強いという特徴を有しているが、硬くて加工しにくい欠点がある。これらの特徴、欠点をうまく生かしたものが、黒鉛からなる基材の表面にCVD-SiC層を形成した複合材である。このような複合材では、基材自体は非常に加工しやすいので容易に複雑な形状が得られ、さらに表面をCVD-SiC層で覆うので様々な雰囲気で使用可能な耐久性のある複合材となる。
【0004】
特許文献1には、長尺の円筒部の一端側を絞った形状の半導体拡散炉用チューブであって、炭化ケイ素又は黒鉛製の長尺の円筒の一端に、炭化ケイ素又は黒鉛製の絞り部が炭化ケイ素のCVD膜によって接合され、且つ少なくともチューブの全内周面がCVD膜で被覆されていることを特徴とする半導体製造装置用部品が記載されている。
このような半導体製造装置用部品によれば、高純度で緻密なSiC被膜で覆われた半導体製造装置用部品となり、またパーツ同士の組み合わせ部の間がCVD析出物で埋まり、且つ、接合されているのでパーツのガタつきがないことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭62-200722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の発明は、隙間をCVD-SiC層で埋めているので、あらかじめ充分な隙間を作り、隙間を完全に埋めるためには、充分な厚さのCVD-SiC層が必要である。しかし、CVD-SiC層を厚くすると寸法精度が悪くなるという問題がある。
一方、薄いCVD-SiC層にすると隙間を充分に埋められず、気密性が低下するトレードオフがあり、接合強度と寸法精度、気密性を同時に満足させるSiC被覆黒鉛材料の接合体を製造するのは、難しいという課題があった。
【0007】
本発明では、上記課題を鑑み、接合強度が高く、寸法精度に優れ、気密性の高いSiC被覆黒鉛材料の接合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法は、CVD-SiC層が、黒鉛からなる基材の表面を覆う第1のCVD-SiC層と、上記基材を複数個接合する第2のCVD-SiC層とからなるSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法であって、
上記接合体は、組み合わせ面で第1のCVD-SiC層を有するSiC被覆黒鉛部材を複数組み合わせる組み合わせ工程と、組み合わされた複数のSiC被覆黒鉛部材をさらに外側から第2のCVD-SiC層で覆う接合工程とを含み、少なくとも一方のSiC被覆黒鉛部材は、上記組み合わせ面の一端側に周囲よりも高い凸部と、他端側に、他のSiC被覆黒鉛部材と組み合わされることにより、外部に開口する凹部を有し、上記第2のCVD―SiC層は、上記組み合わせ面の凸部の外側で複数の上記SiC被覆黒鉛部材を接合体の外表面に沿って接合する第一の接合部を有するとともに、上記組み合わせ面の凹部の外側から凹部に貫入し上記SiC被覆黒鉛部材を対向する面同士接合する第二の接合部と、を有することを特徴とする。
なお、上記組み合わせ面とは、接合するSiC被覆黒鉛部材を組み合わせる際に、両者が接する面を含み、両者が対向する面をいい、凸部と凹部が含まれる。
【0009】
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法によれば、少なくとも一方のSiC被覆黒鉛部材は、上記組み合わせ面の一端側に周囲よりも高い凸部を有し、上記組み合わせ面の凸部の外側で複数のSiC被覆黒鉛部材を接合体の外表面に沿って接合する接合部(第2のCVD-SiC層)を有する。従って、組み合わせ面の凸部が接する部分は、隙間ができにくく、その外側を第2のCVD―SiC層が上記基材を接合体の外表面に沿って接合しているので、薄く気密性の高いCVD―SiC層が組み合わせ面の一端側に得られる。
また、他端側には、他のSiC被覆部材と組み合わされることにより、外部に開口する凹部の外側から凹部に貫入し、SiC被覆黒鉛部材を対向する面同士接合する第二の接合部(第2のCVD-SiC層)を有するので、接合部でしっかり接合することができ、強固な接合を得ることができる。
【0010】
すなわち、本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法によれば、薄いCVD―SiC層でありながら、一端側では気密性を保持し、他端側では接合強度を確保するように役割分担する第2のCVD―SiC層を、第1のCVD―SiC層を有するSiC被覆黒鉛部材の組み合わせたものに形成することができ、接合強度が高く、気密性を有するSiC被覆黒鉛部材の接合体を得ることができる。
【0011】
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法では、上記組み合わせ面において、双方の黒鉛からなる基材の表面に第1のCVD-SiC層を有することが望ましい。
【0012】
得られたSiC被覆黒鉛部材の接合体では、他端側のSiC被覆黒鉛部材に形成された凹部に第2のCVD-SiC層の被覆層が入り口側ほど厚く、内部ほど薄く形成される。従って、双方の黒鉛からなる基材の表面に第1のCVD-SiC層が形成されていないと、黒鉛が露出した部分が形成され易くなる。しかしながら、本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法においては、上記組み合わせ面において、双方の黒鉛からなる基材の表面に第1のCVD-SiC層を有すると、組み合わせる前に予め基材の周囲に第1のCVD-SiC層からなる被覆層が形成されているので、黒鉛が露出された部分を無くすことができ、凹部に貫入し、SiC被覆黒鉛部材を対向する面同士接合する第二の接合部(第2のCVD-SiC層)を形成することができる。
【0013】
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法では、上記凸部の頂部の表面の第1のCVD-SiC層は研磨面であることが望ましい。
基材にCVD-SiC層を形成すると、表面は粗面で、加工性が悪いため、凸部の頂部の表面のCVD-SiC層に研磨面を形成しないと、凸部を他の組み合わせ面に押し付けても、気密性の高い接合体を得ることは難しい。
しかし、本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法において、上記凸部の頂部の表面の第1のCVD-SiC層が研磨面であると、高精度で平坦な頂部を容易に得ることができ、凸部の頂部が接触する他のSiC被覆黒鉛部材と密着し易く、気密性の高いSiC被覆黒鉛部材を容易に得ることができる。
【0014】
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法では、上記凸部の頂部は、同一平面上にあることが望ましい。
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法において、上記凸部の頂部が、同一平面上にあると、組み合わせ面における頂部が一平面となる。従って、製膜後の加工が単に平面加工のみで対応でき、凸部が形成された部分は、単純な加工で高精度の隙間のない組み合わせ面となる。よって気密性の高いSiC被覆黒鉛部材を得ることができる。
【0015】
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法では、上記組み合わせ面において、対向する上記基材の上記凸部側の端部同士と他端側の端部同士の間隔差は40~100μmであることが望ましい。
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法において、上記組み合わせ面において、上記上記基材の凸部側の端部同士と他端側の端部同士の間隔差が40μm以上であると、上記凹部の内部まで貫入したCVD-SiC層が得られやすく、高強度の接合体が得られる。また、上記間隔差が100μm以下であると、上記凹部を薄いCVD-SiC層で塞ぎやすく、寸法精度の高いSiC被覆黒鉛部材の接合体を得ることができる。
【0016】
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法では、上記組み合わせ面の面積に対する上記凸部の頂部の面積の比の百分率は、5~60%であることが望ましい。
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法において、上記組み合わせ面の面積に対する上記凸部の頂部の面積の比の百分率が5%以上であると、形成される空洞が少なく、上記凸部の周辺に応力集中が起こりにくいので、一端側のCVD-SiC層に歪みを加わりにくくすることができる。また、上記組み合わせ面の面積に対する上記凸部の頂部の面積の比の百分率が、60%以下であると接合面を大きくとることができ、高強度の接合体を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法によれば、薄いCVD―SiC層でありながら、一端側では気密性を保持し、他端側では接合強度を確保するように役割分担する第2のCVD―SiC層を、第1のCVD―SiC層を有するSiC被覆黒鉛部材の組み合わせたものに形成することができ、接合強度が高く、気密性を有するSiC被覆黒鉛部材の接合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(a)は、SiC被覆黒鉛部材の接合体を製造するための基材の一例を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示した基材のA-A線断面図である。
図2図2は、第1のCVD-SiC層が形成されたSiC被覆黒鉛部材を模式的に示す断面図である。
図3図3は、第1のCVD-SiC層が形成されたSiC被覆黒鉛部材を2個組み合わせた様子を模式的に示す断面図である。
図4図4(a)は、第2のCVD-SiC層が形成されたSiC被覆黒鉛部材の接合体を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、図4(a)に示すSiC被覆黒鉛部材の接合体のB-B線断面図である。
図5図5(a)~(d)は、他の実施形態に係る本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法の各工程を模式的に示す断面図である。
図6図6(a)は、他の実施形態に係る本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示すSiC被覆黒鉛部材の接合体のC-C線断面図である。
図7図7(a)は、他の実施形態に係る本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示すSiC被覆黒鉛部材の接合体のD-D線断面図である。
図8図8(a)は、本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の断面を示す偏光顕微鏡写真であり、図8(b)は、図8(a)に示したSiC被覆黒鉛部材の接合体の構成を模式的に示す断面図である。
図9図9(a)~(d)は、それぞれ図1図7に示したSiC被覆黒鉛部材の組み合わせ以外のSiC被覆黒鉛部材の組み合わせ例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法について、各実施形態に分けて詳細に説明するが、本発明は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0020】
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法は、CVD-SiC層が、黒鉛からなる基材の表面を覆う第1のCVD-SiC層と、上記基材を複数個接合する第2のCVD-SiC層とからなるSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法であって、
組み合わせ面で第1のCVD-SiC層を有するSiC被覆黒鉛部材を複数組み合わせる組み合わせ工程と、組み合わされた複数のSiC被覆黒鉛部材をさらに外側から第2のCVD-SiC層で覆う接合工程とを含み、少なくとも一方のSiC被覆黒鉛部材は、上記組み合わせ面の一端側に周囲よりも高い凸部と、他端側に、他のSiC被覆黒鉛部材と組み合わされることにより、外部に開口する凹部を有し、上記第2のCVD―SiC層は、上記組み合わせ面の凸部の外側で複数の上記SiC被覆黒鉛部材を接合体の外表面に沿って接合する第一の接合部を有するとともに、上記組み合わせ面の凹部の外側から凹部に貫入し上記SiC被覆黒鉛部材を対向する面同士接合する第二の接合部と、を有することを特徴とする。
【0021】
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法は、組み合わせ面で第1のCVD-SiC層を有するSiC被覆黒鉛部材を複数組み合わせる組み合わせ工程と、組み合わされた複数のSiC被覆黒鉛部材をさらに外側から第2のCVD-SiC層で覆う接合工程とを含む。
【0022】
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法では、組み合わせ工程の前に、まず、基材である黒鉛部材の表面を覆うように第1のCVD-SiC層を形成する第1のCVD-SiC層形成工程を行う。
【0023】
上記基材を構成する黒鉛の種類は、特に限定されるものではないが、異方性の低い等方性黒鉛材が望ましい。このように異方性の低い等方性黒鉛材を基材として使用すると、方向による機械的特性等の偏りが少ないので、破損等が発生しにくく、長期間安定して使用することができる。
【0024】
上記等方性黒鉛材とは、等方的な構造、特性を有する黒鉛材であり、例えば、CIP(静水圧成形法)により製造することができる。具体的には、例えば、圧力容器内で等方性黒鉛材の原料粉をゴムバッグに詰め、水などで加圧することにより成形したのち、焼成、黒鉛化することにより製造することができる。
なお、上記等方性黒鉛材においては、原料粉の平均粒子径は、例えば10~50μmであり、等方性黒鉛材が細かな組織を有していることが特徴である。
【0025】
上記基材が黒鉛からなる場合、気孔率が5~20%であり、かさ密度が1.70~1.90g/cmである材料が望ましい。
上記基材の気孔率が5%以上であると、開気孔を含有しているため、開気孔の内部に第1のCVD-SiC層が含侵し易く、アンカー効果により、第1のCVD-SiC層が基材としっかり密着する。一方、上記基材の気孔率が20%以下であると、気孔の含有割合が高すぎないため、基材自体の機械的強度が大きい。
【0026】
また、上記基材のかさ密度が1.70g/cm以上であると、気孔を有していても、基材の機械的特性に優れる。また、上記基材のかさ密度が1.90g/cm以下であると、開気孔を適切な範囲で含んでおり、第1のCVD-SiC層が開気孔内部に充填され易く、第1のCVD-SiC層からなる被覆層が密着性に優れたものとなる。
【0027】
上記基材は、炭素繊維の骨材の隙間に炭素のマトリックスが充填され、強化されたC/C複合材であってもよい。骨材である炭素繊維の種類としては、特に限定されず、PAN系炭素繊維であっても、ピッチ系炭素繊維であってもよい。
なお、C/C複合材は、例えば、炭素繊維の基材に熱分解炭素を沈積する方法、炭素繊維の基材に樹脂を含浸したのち炭素化する方法等により得られる。C/C複合材は、高強度炭素繊維で補強されているので、高温でも破壊靭性があり、機械的強度を保つことができる。
【0028】
本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法では、基材の表面に略均一な厚さで第1のCVD-SiC層を形成するが、第1のCVD-SiC層が形成されたSiC被覆黒鉛部材の基本的な形状は、基材の形状と変わらない。従って、基材に関しても、SiC被覆黒鉛部材と対応する部分(凸部、凹部等)に関し、SiC被覆黒鉛部材を構成する部材と同じ名称とする。
【0029】
基材の形状は、特に限定されるものではないが、少なくとも一方の基材(以下、一の基材という)は、組み合わせ面の一端側に周囲よりも高い凸部と、凸部に比べて相対的に低い凹部を有する。
凸部の頂部は、平面であることが望ましい。凹部は、凸部に比べて一段低い平面で、凸部と凹部とが階段状になっていてもよく、凸部から少しずつ低くなるように傾斜面が形成されていてもよい。
上記基材と組み合わせる他の基材の組み合わせ面は、単なる平面で構成されていてもよく、上記した一の基材と同様の形状であってもよいが、必ずしも両者が同じ形状である必要はない。
【0030】
以下においては、図1(a)及び(b)に示す基材を例にとって本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法を説明するが、後で他の基材(SiC被覆黒鉛部材)についても、SiC被覆黒鉛部材の接合体を例にとって説明することとする。
【0031】
図1(a)は、SiC被覆黒鉛部材の接合体を製造するための基材の一例を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示した基材のA-A線断面図である。
この基材10は、中に流体を流通させるための貫通孔を有する管状のSiC被覆黒鉛部材の接合体を製造するための基材であり、中央に貫通孔となる溝部15が形成されており、溝部の両側に組み合わせ面を形成するための壁部12が形成されている。両側の壁部12は、凸部13と凹部14とから構成されており、凸部13の頂部13aは、平面状である。凸部13と凹部14とは階段状となっており、凸部13は、凹部14より一段高く形成されている。
以下のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法では、斜視図では、被覆の状態が分かりにくいので、上記したA-A線断面図のみに基づいて説明することとする。
【0032】
(第1のCVD-SiC層形成工程)
上記した形状の基材の表面に第1のCVD-SiC層を形成する。
CVD法により第1のCVD-SiC層を形成する方法としては、特に限定されず、熱CVD法、プラズマ有機CVD法、光CVD法、減圧CVD法、有機金属CVD法、CVI法(化学気相含浸法)等が挙げられる。
【0033】
CVI法を用いる場合には、基材である黒鉛を800~1400℃程度に加熱し、メチルトリクロロシラン等の有機シラン系ガスからなる原料ガスを基材の周囲に流通させるか、又は、基材に吹き付け、基材の表面や開気孔内に第1のCVD-SiC層を形成する。原料ガスは、アルゴン等の不活性ガスや水素が希釈されていてもよい。
開気孔内部に含浸されやすい条件を設定し、CVI法を用いると、基材の開孔にも第1のCVD-SiC層が侵入し、剥がれにくいCVD-SiC層を形成することができる。
【0034】
形成する第1のCVD-SiC層の厚さは、20~100μmが望ましい。
第1のCVD-SiC層は、黒鉛からなる基材の全面に形成されていてもよく、CVD装置の支持部に載置されることにより支持部と接触している底面10aを除く他の面に形成されていてもよい。
【0035】
図2は、第1のCVD-SiC層が形成されたSiC被覆黒鉛部材を模式的に示す断面図である。
図2に示すSiC被覆黒鉛部材20では、基材10の底面10aを含む全体にほぼ均一な厚さで第1のCVD-SiC層26が形成されている。すなわち、このSiC被覆黒鉛部材20においても、中央に貫通孔となる溝部25が形成されており、溝部25の両側に組み合わせ面を形成するための壁部22が形成されている。両側の壁部22は、一端側に周囲よりも高い凸部23と、他端側に、他のSiC被覆黒鉛部材と組み合わされることにより、外部に開口する凹部24を有する。
【0036】
本発明では、基材として黒鉛を使用しているので、第1のCVD-SiC層を形成する前に、容易に加工を行うことができ、任意の形状の基材を有するSiC被覆黒鉛部材を得ることができる。
本発明では、接合しようとする複数の他の基材に対しても、第1のCVD-SiC層を形成することにより第1のCVD-SiC層が形成された複数のSiC被覆黒鉛部材を製造する。
【0037】
(組み合わせ工程)
組み合わせ工程では、組み合わせ面で第1のCVD-SiC層を有するSiC被覆黒鉛部材を複数組み合わせる。
図3は、基材の表面に第1のCVD-SiC層が形成されたSiC被覆黒鉛部材を2個組み合わせた様子を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、組み合わせ面を構成する凸部23の頂部23a同士が互いに当接するように、2つのSiC被覆黒鉛部材20を組み合わせる。なお、組み合わせ面とは、凸部23と凹部24の両方をいう。凸部23及び凹部24が第2のCVD-SiC層を形成して、2つSiC被覆黒鉛部材を接合する際に、重要な役割を果たす。
【0038】
図3では、全く同じ形状、構成のSiC被覆黒鉛部材20(基材10)を2個組み合わせているが、前にも述べたように、他のSiC被覆黒鉛部材は、一のSiC被覆黒鉛部材の凸部と当接が可能な面を有し、両者を組み合わせることにより、外部に開口する凹部が形成されることとなるのであれば、その形状は異なっていてもよい。
また、SiC被覆黒鉛部材を複数組み合わせた後、第2のCVD-SiC層を形成することにより、接合される構造を有するものであれば、一のSiC被覆黒鉛部材を含む3個以上のSiC被覆黒鉛部材を組み合わせてもよい。
【0039】
(接合工程)
接合工程では、組み合わされた複数のSiC被覆黒鉛部材の周囲を、第2のCVD-SiC層で覆う。
【0040】
図4(a)は、基材の表面に第2のCVD-SiC層が形成されたSiC被覆黒鉛部材の接合体を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、図4(a)に示すSiC被覆黒鉛部材の接合体のB-B線断面図である。
【0041】
図4(a)及び(b)に示すように、SiC被覆黒鉛部材の接合体200では、第1のCVD-SiC層26を有する2個のSiC被覆黒鉛部材20が組み合わされ、組み合わされた2個のSiC被覆黒鉛部材20の外周表面及び内部の凹部を含む部分の全体が第2のCVD-SiC層28で被覆されることにより、SiC被覆黒鉛部材の接合体200が形成されている。
【0042】
すなわち、このSiC被覆黒鉛部材の接合体200では、第2のCVD-SiC層28は、組み合わせ面の凸部23の外側の2個のSiC被覆黒鉛部材20を接合体の外表面に沿って接合する第一の接合部28aを有するとともに、組み合わせ面の凹部24の外側から凹部24に貫入しSiC被覆黒鉛部材を対向する面同士接合する第二の接合部28bを有する。従って、接合強度が高く、気密性を有するSiC被覆黒鉛部材の接合体を得ることができる。
なお、図中、第一の接合部28aが形成されている領域を領域Aとして示しており、第二の接合部28bが形成されている領域を領域Bとして示している。
【0043】
第2のCVD-SiC層を形成する方法は、第1のCVD-SiC層を形成する方法と同様であり、基材である黒鉛を800~1400℃程度に加熱し、メチルトリクロロシラン等の有機シラン系ガスからなる原料ガスをSiC被覆黒鉛部材の周囲に流通させるか、又は、SiC被覆黒鉛部材に吹き付け、SiC被覆黒鉛部材の表面に第2のCVD-SiC層を形成する。
形成する第2のCVD-SiC層の厚さは、20~100μmが望ましい。
【0044】
図5(a)~(d)は、他の実施形態に係る本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の製造方法の各工程を模式的に示す断面図である。
図5(a)では、第1のCVD-SiC層36が形成された2個の同形状のSiC被覆黒鉛部材30を組み合わせることを意図しているが、第1のCVD-SiC層36の凸部33の頂部33aの表面は粗面となり易く、頂部33a同士を当接させても、隙間が形成され易く、第2のCVD-SiC層を形成しても組み合わせ部分の気密を保つことが難しい。
【0045】
そこで、図5(b)に示すように、頂部33aを研磨し、平坦面を有する平坦化頂部330aを形成する。その後、図5(c)に示すように、平坦化頂部330a同士が当接するように、2個のSiC被覆黒鉛部材30を組み合わせ、図5(d)に示すように、第2のCVD-SiC層38を形成する。このように、第2のCVD-SiC層38を形成することにより、SiC被覆黒鉛部材の接合体300を形成することができる。
【0046】
この実施形態においては、凹部34の内部全体に第2のCVD-SiC層38が形成されず、凹部34の入り口のみに第2のCVD-SiC層38が形成され、内部には、空洞39が形成されている。
しかしながら、凸部33の外側である領域Aには、第一の接合部38aが形成され、領域Bには、凹部34に貫入し、2個のSiC被覆黒鉛部材を接合する第二の接合部38bが形成されているので、2個のSiC被覆黒鉛部材が強固に接合されたSiC被覆黒鉛部材の接合体300となり、気密性にも優れる。
【0047】
図6(a)は、他の実施形態に係る本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示すSiC被覆黒鉛部材の接合体のC-C線断面図である。
【0048】
本実施の形態のSiC被覆黒鉛部材の接合体400において、基材41及び第1のCVD-SiC層46を有するSiC被覆黒鉛部材40は円筒形状であり、一端部となる凸部43は、中心軸側に形成されており、他端となる凹部44は外周側に形成されている。
また、凸部43の頂部は、CVD-SiC層の表面にできた突起を除去し、平坦面となるように研磨されている。
【0049】
このSiC被覆黒鉛部材の接合体400では、図6(b)に示すように、平坦化された頂部同士が当接するように、2個のSiC被覆黒鉛部材40が組み合わされ、円筒の内部及び外周部分に第2のCVD-SiC層48が形成されている。
この実施形態においては、凹部44の内部全体に第2のCVD-SiC層48が形成されず、凹部44の入り口のみに第2のCVD-SiC層48が形成され、内部には、空洞49が形成されている。
しかしながら、凸部43の外側である領域Aには、第一の接合部48aが形成されて、領域Bには、凹部44に貫入し、2個のSiC被覆黒鉛部材を接合する第二の接合部48bが形成されているので、2個のSiC被覆黒鉛部材40が強固に接合されたSiC被覆黒鉛部材の接合体400となる。
【0050】
図7(a)は、他の実施形態に係る本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示すSiC被覆黒鉛部材の接合体のD-D線断面図である。
【0051】
本実施の形態のSiC被覆黒鉛部材の接合体500では、下部がテーパー形状となっているパイプ状のSiC被覆黒鉛部材50と、SiC被覆黒鉛部材50のテーパー部と略嵌合するように傾斜面が形成されたフランジ状のSiC被覆黒鉛部材60とが組み合わされ、第2のCVD-SiC層が形成されることにより両者が接合されている。
SiC被覆黒鉛部材50は、基材51を第1のCVD-SiC層56が被覆しており、SiC被覆黒鉛部材60では、基材61を第1のCVD-SiC層66が被覆している。
【0052】
パイプ状のSiC被覆黒鉛部材50のテーパー部の中心軸側には、一端部となる凸部53が形成され、外周側には、他端となる凹部54が形成されている。
また、フランジ状のSiC被覆黒鉛部材60の傾斜面にも、中心軸側に、一端部となる凸部63が形成され、外周側には、他端となる凹部64が形成されている。これらの頂部は、共摺りなどの方法により平坦化されている。
【0053】
このような形態のSiC被覆黒鉛部材50及びSiC被覆黒鉛部材60の凸部53と凸部63とが当接するように組み合わされ、凸部53と凸部63との外側及び凹部54及び凹部64により形成される凹部の内部全体に第2のCVD-SiC層58が形成され、SiC被覆黒鉛部材50とSiC被覆黒鉛部材60とが接合され、SiC被覆黒鉛部材の接合体500が形成されている。
【0054】
図8(a)は、本発明のSiC被覆黒鉛部材の接合体の断面を示す偏光顕微鏡写真であり、図8(b)は、図8(a)に示したSiC被覆黒鉛部材の接合体の構成を模式的に示す断面図である。
図8(b)によれば、基材71の表面に第1のCVD-SiC層76が形成されたSiC被覆黒鉛部材70同士が組み合わせ面で組み合わされ、凹部74に第2のCVD-SiC層78が形成され、この第2のCVD-SiC層78により、2個のSiC被覆黒鉛部材70が接合されている。
SiC被覆黒鉛部材70に第2のCVD-SiC層78を形成する際、図面の右側(外側)から原料ガスが凹部74に供給されるが、通常、凹部74の奥になるほど原料ガスの濃度は薄くなっていくため、原料ガスの条件によっては、表層部分で第二の接合部78bを形成した後は、凹部74の中に接合部は形成されず、空洞となっている。しかし、第二の接合部78b及び写真には示していないが、凸部側に第一の接合部が形成されており、接合強度が高く、気密性を有するSiC被覆黒鉛部材の接合体となる。
【0055】
図9(a)~(d)は、SiC被覆黒鉛部材の接合体を製造する際のそれぞれ図1図7に示したSiC被覆黒鉛部材の組み合わせ以外のSiC被覆黒鉛部材の組み合わせ例を示した断面図である。
図9(a)~(d)において、d1は、SiC被覆黒鉛部材を組み合わせた際の凸部における基材同士の間隔を示しており、d2は、凹部における基材同士の間隔の最も長い距離を表している。d1が短いということは、挟まれる第1のCVD-SiC層の厚さが薄いことを意味する。また、(d2-d1)は、組み合わせ面において、凸部側の端部同士と他端側(凹部側)の端部同士の間隔差となる。
【0056】
図9(a)は、凸部と凹部が形成された同じ形状の基材81(SiC被覆黒鉛部材80)同士を組み合わせた組み合わせ例であり、この組み合わせ例では、d2の距離が大きく、大きな容量の凹部が形成されるので、凹部の内部に第2のCVD-SiC層を形成し易い。
【0057】
図9(b)は、凸部と凹部が形成された基材81(SiC被覆黒鉛部材80)と、組み合わせ面が平面からなる基材91(SiC被覆黒鉛部材90)とを組み合わせた組み合わせ例であり、d2は、図9(a)に示した組み合わせ例と比較してその距離は約半分になり、凹部を塞ぐ第2のCVD-SiC層は形成し易いが、凹部の入り口にのみ第2の第2のCVD-SiC層が形成され易い。また、組み合わせ面が平面であるである基材91は形状が単純であるので加工しやすい。
【0058】
図9(c)は、凸部を有する基材81(SiC被覆黒鉛部材80)と、少し形状が異なるもの凸部を有する基材101(SiC被覆黒鉛部材100)とを組み合わせてはいるものの、一方のSiC被覆黒鉛部材の凸部を他方のSiC被覆黒鉛部材の凸部が形成されていない低い方の面と組み合わせた組み合わせ例であり、凹部の容量が小さく、2個の部材の距離d2がより近いため、第2のCVD-SiC層を形成すると、容易に凹部に第二の接合部を形成することができるが、空洞が形成され易い。また、この組み合わせ例においては、互いに嵌め込まれる形状であるので、第2のCVD―SiC層を形成する際にセッティングのずれが生じにくく、製造時の取り扱いがしやすい。
【0059】
図9(d)は、凹部が凸部の頂部から次第に低くなる傾斜面を有する基材111(SiC被覆黒鉛部材110)と、組み合わせ面が平坦な面を有する基材91(SiC被覆黒鉛部材90)とを組み合わせた組み合わせ例であり、凹部の断面積が次第に小さくなる形状であるので、原料ガスが凹部の奥に侵入し易く、凹部の全体に第2のCVD-SiC層を形成し易い。
【符号の説明】
【0060】
10、31、41、51、61、71、81、91、101、111 基材
10a 底面
12、22 壁部
13、23、33、43、53、63 凸部
13a、23a、33a 頂部
14、24、34、44、54、64、74 凹部
15、25 溝部
20、30、40、50、60、70 SiC被覆黒鉛部材
80、90、100、110 SiC被覆黒鉛部材
26、36、46、56、66 第1のCVD-SiC層
28、38、48、58、78 第2のCVD-SiC層
28a、38a、48a、58a 第一の接合部
28b、38b、48b、58b、78b 第二の接合部
39、49 空洞
200、300、400、500、700 SiC被覆黒鉛部材の接合体
330a 平坦化頂部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9