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特許7580938制御装置、歩行補助装置、歩行補助システム、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】制御装置、歩行補助装置、歩行補助システム、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/08 20060101AFI20241105BHJP
   A61H 3/06 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
A61F9/08 305
A61H3/06 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020072723
(22)【出願日】2020-04-15
(65)【公開番号】P2021168773
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】川上 隆
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-143892(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0220392(US,A1)
【文献】特開2021-153814(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0007079(US,A1)
【文献】特開2019-005264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/08
A61H 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段によって撮像された画像における道路上の段差の途切れに関する情報を用いて、前記画像における歩行可能な領域を示す歩行ガイド線を設定する設定手段と、
前記画像における特定対象物の位置に関する位置情報を取得する取得手段と、
前記歩行ガイド線に前記位置情報が位置した場合に、報知手段に対して報知動作の実行を指示する制御手段とを有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
撮像手段によって撮像された画像における道路の曲がり角に関する情報を用いて、前記画像における歩行可能な領域を示す歩行ガイド線を設定する設定手段と、
前記画像における特定対象物の位置に関する位置情報を取得する取得手段と、
前記歩行ガイド線に前記位置情報が位置した場合に、報知手段に対して報知動作の実行を指示する制御手段とを有することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
撮像手段によって撮像された画像における道路上の障害物に関する情報を用いて、前記画像における歩行可能な領域を示す歩行ガイド線を設定する設定手段と、
前記画像における特定対象物の位置に関する位置情報を取得する取得手段と、
前記歩行ガイド線に前記位置情報が位置した場合に、報知手段に対して報知動作の実行を指示する制御手段とを有することを特徴とする制御装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記画像を解析することで前記道路上の段差の途切れに関する情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記画像を解析することで前記道路の曲がり角に関する情報を取得することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記画像を解析することで前記道路上の障害物に関する情報を取得することを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項7】
前記設定手段は、衛星からの信号に基づく位置情報を用いて前記道路上の段差の途切れに関する情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記道路の曲がり角に関する情報を取得することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項9】
前記設定手段は、前記道路上の障害物に関する情報を取得することを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項10】
前記設定手段は、前記途切れをつなぐように前記歩行ガイド線を設定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記設定手段は、前記曲がり角を回りこむように前記歩行ガイド線を設定することを特徴とする請求項2に制御装置。
【請求項12】
前記設定手段は、前記障害物に沿って第1の歩行ガイド線を設定すると共に、前記障害物を回り込むように第2の歩行ガイド線を設定することを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項13】
前記報知手段は、振動手段であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記特定対象物は、歩行補助用の杖であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
画像を撮像する撮像手段と、
請求項1乃至1の何れか一項に記載の制御装置とを有することを特徴とする歩行補助装置。
【請求項16】
請求項1に記載の歩行補助装置と、
前記歩行補助装置からの指示に基づいて報知動作を実行する報知手段を備える報知装置とを有することを特徴とする歩行補助システム。
【請求項17】
撮像手段によって撮像された画像における道路上の段差の途切れに関する情報を用いて、前記画像における歩行可能な領域を示す歩行ガイド線を設定するステップと、
前記画像における特定対象物の位置に関する位置情報を取得するステップと、
前記歩行ガイド線に前記位置情報が位置した場合に、報知手段に対して報知動作の実行を指示するステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項18】
撮像手段によって撮像された画像における道路の曲がり角に関する情報を用いて、前記画像における歩行可能な領域を示す歩行ガイド線を設定するステップと、
前記画像における特定対象物の位置に関する位置情報を取得するステップと、
前記歩行ガイド線に前記位置情報が位置した場合に、報知手段に対して報知動作の実行を指示するステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項19】
撮像手段によって撮像された画像における道路上の障害物に関する情報を用いて、前記画像における歩行可能な領域を示す歩行ガイド線を設定するステップと、
前記画像における特定対象物の位置に関する位置情報を取得するステップと、
前記歩行ガイド線に前記位置情報が位置した場合に、報知手段に対して報知動作の実行を指示するステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項20】
請求項1乃至1の何れか一項に記載の制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚障がい者の歩行を補助する制御装置、歩行補助装置、歩行補助システム、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、視覚障がい者は、白杖を自身の前方で左右に振り、障害物を検知しながら道を歩行する。また、視覚障がい者は、道に沿って歩くために、白杖で歩道と車道とを隔てる段差やブロック塀などを一定の間隔で叩く。しかしながら、実際の道では曲がり角や駐車場の入口などにおいて段差などが途切れる区間が多く、そのような場所では道に沿って歩行することが困難となる。
【0003】
視覚障がい者が道に沿って歩行することを補助する技術として、特許文献1には、通路に沿って設置した磁気テープの磁気を感知するセンサを白杖の下端部に設け、感知結果に応じて振動等をユーザに伝えるシステムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、誘導ラインに白色光を照射する照射部、および誘導ラインから反射した光を識別する識別部を白杖の先端に設け、識別した色に応じて振動や音をユーザに伝えるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-131556号公報
【文献】特開2005-342218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2のシステムは、磁気テープ、又は誘導ラインを検知する必要があるため、あらかじめ磁気テープ、又は誘導ラインを設置した通路でしか適切に動作することができない。
【0007】
また、特許文献1,2のシステムでは、白杖の先端にセンサを設置するため、障害物によりセンサが故障する恐れがある。
【0008】
本発明は、特別な目印を設置していない通路であっても歩行を補助可能な制御装置、歩行補助装置、歩行補助システム、制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面としての制御装置は、撮像手段によって撮像された画像における道路上の段差の途切れに関する情報を用いて、画像における歩行可能な領域を示す歩行ガイド線を設定する設定手段と、画像における特定対象物の位置に関する位置情報を取得する取得手段と、歩行ガイド線に位置情報が位置した場合に、報知手段に対して報知動作の実行を指示する制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の側面としての制御方法は、撮像手段によって撮像された画像における道路上の段差の途切れに関する情報を用いて、画像における歩行可能な領域を示す歩行ガイド線を設定するステップと、画像における特定対象物の位置に関する位置情報を取得するステップと、歩行ガイド線に位置情報が位置した場合に、報知手段に対して報知動作の実行を指示するステップとを有することを特徴とする。

【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特別な目印を設置していない通路であっても、歩行を補助可能な制御装置、歩行補助装置、歩行補助システム、制御方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る歩行補助システムの構成の概略を表すブロック図である。
図2】実施例1の撮像装置の処理を示すフローチャートである。
図3】画像の一例を示す図である。
図4】段差の途切れ区間を示す図である。
図5】歩行ガイド線の一例を示す図である。
図6】白杖を示す模式図である。
図7】白杖の位置の履歴を示す図である。
図8】実施例1の振動装置の処理を示すフローチャートである。
図9】実施例2の撮像装置の処理を示すフローチャートである。
図10】曲がり角を曲がるための歩行ガイド線の一例を示す図である。
図11】実施例3の撮像装置の処理を示すフローチャートである。
図12】障害物を避けるための歩行ガイド線の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1(a)は、本発明の実施形態に係る歩行補助システムの構成の概略を表すブロック図である。歩行補助システムは、撮像装置(歩行補助装置)100、および振動装置120を有する。
【0015】
撮像装置100は、制御部101、メモリ102、不揮発性メモリ103、撮像部(撮像手段)104、画像処理部105、通信I/F106、およびGPS(Global Positioning System)107を有する。各部は、内部バス110に接続され、内部バス110を介して互いにデータのやりとりを行うことができるように構成されている。
【0016】
メモリ102は、例えばRAM(Random Access Memory)などの半導体素子を利用した揮発性のメモリからなる。
【0017】
不揮発性メモリ103は、例えばハードディスク(HD)やROM(Read Only Memory)などで構成され、画像データ、音声データ、その他のデータ、および制御部101が動作するための各種プログラムなどを格納する。
【0018】
制御部101は、例えば不揮発性メモリ103に格納されるプログラムに従い、メモリ102をワークメモリとして用いて撮像装置100の各部を制御する。制御部101は、図1(b)に示されるように、設定手段101a、取得手段101b、および制御手段101cを有する。なお、本実施形態では、制御部101は、撮像装置100の内部に搭載されているが、撮像装置100とは異なる制御装置として構成されてもよい。
【0019】
撮像部104は、レンズ、およびレンズからの光を電気信号に変換する光学センサを有し、制御部101の制御に基づいて画像を撮像し、メモリ102に格納する。光学センサとして、CMOS(Complementary Metarl-Oxide-Semiconductor)イメージセンサや、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサなどを利用することができる。
【0020】
画像処理部105は、制御部101の制御に基づいて、メモリ102に格納された画像データに対してリサイズ処理、トリミング処理、エッジ検出処理、移動ベクトル算出処理、およびマトリックス演算処理などの各種画像処理を施す。画像処理部105は、特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成されてもよい。また、画像処理の種別によっては制御部101がプログラムに従って画像処理を施してもよい。
【0021】
通信I/F106は、外部機器やインターネットなどと通信して、ファイルやコマンドなどの各種データの送受信を行うためのインターフェースである。通信I/F106として、例えばBluetoothやWiFiなどを利用することができる。
【0022】
GPS107は、衛星から通知されるGPS信号を受信して解析し、撮像装置100の現在位置(緯度や経度)を推定する。現在位置の推定には、WPS(WiFi Positioning System)などを利用してもよい。
【0023】
振動装置120は、制御部121、メモリ122、不揮発性メモリ123、通信I/F124、および振動部125を有する。各部は、内部バス130に接続され、内部バス130を介して互いにデータのやりとりを行うことができるように構成されている。
【0024】
メモリ122は、例えばRAMからなる。
【0025】
不揮発性メモリ123は、例えばハードディスク(HD)やROMなどで構成され、各種データや、制御部121が動作するための各種プログラムなどを格納する。
【0026】
制御部121は、例えば不揮発性メモリ123に格納されるプログラムに従い、メモリ122をワークメモリとして用いて振動装置120の各部を制御する。
【0027】
通信I/F124は、外部機器やインターネットなどと通信して、ファイルやコマンドなどの各種データの送受信を行うためのインターフェースである。通信I/F124として、例えばBluetoothやWiFiなどを利用することができる。
【0028】
振動部125は、ハプティックデバイスなどの振動デバイスであり、制御部121からの制御に基づいて振動する。ユーザは振動部125から伝わる振動を利用して、正しい方向へ進んでいることを知ることができる。なお、本実施形態では、振動部125の振動を利用してユーザに対する報知動作を実行するが、ユーザに報知動作を実行可能であれば別の報知手段を用いてもよい。
【0029】
以下、本発明の各実施例の動作について説明する。
【実施例1】
【0030】
本実施例では、歩行補助用の杖である白杖が歩道の段差などが途切れている区間に設定された歩行のガイドとなる仮想的な線(歩行ガイド線)を横切る場合にユーザに報知することによって、歩行をガイドする構成について説明する。
【0031】
まず、図2を参照して、撮像装置100の処理について説明する。図2は、本実施例の撮像装置100の処理を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおける各処理は、制御部101が不揮発性メモリ103に格納されたプログラムをメモリ102に展開して実行することにより実現される。
【0032】
ステップS201では、制御部101は、撮像部104により撮像された画像を取得する。図3は、ステップS201で取得された画像の一例を示す図である。図3の画像には、道路301、段差302,303、白杖304が写っている。
【0033】
ステップS202では、制御部101(設定手段101a)は、ステップS201で取得した画像を解析することによって歩行の目印となる道路上の段差に関する情報を取得する。本実施例では、制御部101は、段差302,303に関する情報を取得する。画像を解析して歩道の段差などの物体に関する情報を取得する方法として、Deep Learningなどの機械学習を利用する方法や、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を利用する方法がある。なお、本実施例では、道路上の段差に関する情報を取得するが、後述するように歩行を補助するための所定の領域を設定可能な所定情報であればこれに限定されない。また、本実施例では、段差に関する情報は、制御部101が画像を解析することで取得されるが、人工衛星からの信号に基づく位置情報を用いて取得されてもよい。また、画像処理部105を利用して画像を解析してもよい。
【0034】
ステップS203では、制御部101(設定手段101a)は、ステップS202で取得した段差に関する情報を用いて、段差に途切れ区間があるか否かを判定する。途切れ区間とは例えば、図4の破線で示される段差302,303の間の区間401である。途切れ区間がある場合、ステップS204に進み、そうでない場合、本フローを終了する。
【0035】
ステップS204では、制御部101(設定手段101a)は、画像の解析結果に基づいて、画像における歩行を補助するための所定の領域を設定する。本実施例では、制御部101(設定手段101a)は、所定の領域の一例として、段差をつなぐように、歩行可能な領域を示す仮想的な線(歩行ガイド線)を設定する。図5は、歩行ガイド線の一例を示す図である。破線で示される歩行ガイド線501は、段差302,303の途切れている区間に段差302,303と平行に生成される。
【0036】
ステップS205では、制御部101(取得手段101b)は、ステップS201で取得した画像を解析することによって得られる画像における白杖(特定対象物)の位置に関する情報を取得する。図6は、白杖を示す模式図である。601,602,603はそれぞれ、白杖の握り、柄、石突を表している。604は、白杖の先端付近の20cm程度、赤色に塗装された塗装部を表している。本実施例では、制御部101は、塗装部504を検出することで白杖の位置に関する情報を取得する。画像から特定の色を持つ部分を検出する方法として、分割ブロックごとの色ヒストグラムを利用する方法や、ステップS202と同様に、Deep Learningなどの機械学習を利用する方法などがある。なお、本実施例では、画像を解析することで白杖の位置に関する情報を取得するが、白杖の中に位置特定用の発信機を設置し、発信される信号によって白杖の位置に関する情報を取得してもよい。
【0037】
ステップS206では、制御部101は、ステップS204で設定された所定の領域内に特定対象物の位置に関する位置情報が位置するかどうかを判断する。本実施例では、制御部101は、画像上で白杖が歩行ガイド線と交差したか(歩行ガイド線を横切ったか)否かを判定する。図7は、白杖の位置の履歴を示す図である。図7では、白丸が白杖の位置を表しており、(a)~(c)の順に白杖の位置が変化している。図7(a),(b)では、白杖は歩行ガイド線の右側に位置し、制御部101は白杖が歩行ガイド線と交差していないと判定する。図7(c)では、白杖は歩行ガイド線の右側から左側に移動している。そのため、制御部101は、図7(c)の時点で白杖が歩行ガイド線と交差したと判定する。白杖が歩行ガイド線と交差した場合、ステップS207に進み、そうでない場合、本フローを終了する。
【0038】
ステップS207では、制御部101(制御手段101c)は、報知手段にユーザに対する報知動作を実行するように指示を送信する。本実施例では、制御部101は、通信I/F106,124を介して振動部125に振動を行うように指示を送信する。
【0039】
次に、図8を参照して、振動装置120の処理について説明する。図8は、振動装置120の処理を示すフローチャートである。図8のフローチャートにおける各処理は、制御部121が不揮発性メモリ123に格納されたプログラムをメモリ122に展開して実行することにより実現される。
【0040】
ステップS801では、制御部121は、制御部101からの指示を受信したか否かを判定する。指示を受信した場合、ステップS802に進み、そうでない場合、本ステップの処理を繰り返す。
【0041】
ステップS802では、制御部121は、振動部125を振動させることで、白杖が歩行ガイド線と交差した旨をユーザに報知する。
【0042】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、段差が途切れている区間において、白杖が歩行ガイド線と交差した際に、白杖に取り付けた振動装置を振動させる。これにより、特別な目印を設置していない通路であっても、ユーザが道に沿って歩行することを補助することができる。
【実施例2】
【0043】
本実施例では、曲がり角を曲がる場合にユーザの歩行を補助する構成について説明する。
【0044】
図9は、本実施例の撮像装置100の処理を示すフローチャートである。図9のフローチャートにおける各処理は、制御部101が不揮発性メモリ103に格納されたプログラムをメモリ102に展開して実行することにより実現される。なお、図9のステップS201、ステップS205、ステップS207の処理はそれぞれ、図2のステップS201、ステップS205、ステップS207の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0045】
ステップS901では、制御部101は、GPS107より取得した撮像装置100の現在位置を、不揮発性メモリ103、又はメモリ102に格納されている地図データと照合することで、ユーザが曲がり角の近くにいるか否かを判定する。ユーザが曲がり角の近くにいる場合、ステップS902に進み、そうでない場合、ステップS905に進む。なお、本ステップにおいて、あらかじめ設定された経路情報を利用して、ユーザが曲がり角を曲がるか否かを合わせて判定してもよい。
【0046】
ステップS902では、制御部101(設定手段101a)は、ステップS201で取得した画像を解析することによって曲がり角があるか否かを判定する。曲がり角の有無を判定する方法として、実施例1と同様に、Deep Learningなどの機械学習を利用する方法がある。曲がり角がある場合、ステップS903に進み、そうでない場合、ステップS905に進む。なお、本実施例では、曲がり角の有無に関する情報は、制御部101が画像を解析することで取得されるが、人工衛星からの信号に基づく位置情報を用いて取得されてもよい。
【0047】
ステップS903では、制御部101(設定手段101a)は、画像の解析結果に基づいて、画像上に歩行を補助するための所定の領域を設定する。本実施例では、制御部101(設定手段101a)は、所定の領域の一例として、曲がり角を曲がるための歩行ガイド線を設定する。図10は、曲がり角を曲がるための歩行ガイド線の一例を示す図である。図10の画像には、道路1001、段差1002,1003が写っている。破線で示される歩行ガイド線1004は、段差1003に沿って歩いてきたユーザが曲がり角を曲がるための歩行ガイド線であり、段差1003が途切れる部分を始点として、曲がり角を回り込むように設定される。
【0048】
ステップS904では、制御部101は、ステップS204で設定された所定の領域内に特定対象物の位置に関する位置情報が位置するかどうかを判断する。本実施例では、制御部101は、画像上で白杖が歩行ガイド線と交差したか否かを判定する。ステップS904の処理はステップS206の処理と同様のものであるが、本ステップでは制御部101は白杖が歩行ガイド線の左側から右側へ移動した際に白杖が歩行ガイド線と交差したと判定する。これにより、ユーザが歩行ガイド線の内側を歩行することが可能となる。白杖が歩行ガイド線と交差した場合、ステップS207に進み、そうでない場合、本フローを終了する。なお、図10ではユーザが左に曲がる場合を示したが、右に曲がる場合、制御部101は白杖が歩行ガイド線の右側から左側に移動した際に交差したと判定すればよい。
【0049】
ステップS905では、制御部101は、図2のステップS202以降の処理を実施する。
【0050】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、曲がり角を曲がる場合にもユーザの歩行を補助することができる。
【実施例3】
【0051】
本実施例では、路上に障害物がある場合にユーザの歩行を補助する構成について説明する。
【0052】
図11は、本実施例の撮像装置100の処理を示すフローチャートである。図11のフローチャートにおける各処理は、制御部101が不揮発性メモリ103に格納されたプログラムをメモリ102に展開して実行することにより実現される。なお、図11のステップS201、ステップS205、ステップS207の処理はそれぞれ、図2のステップS201、ステップS205、ステップS207の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
ステップS1101では、制御部101(設定手段101a)は、ステップS201で取得した画像を解析することによって、路上に障害物があるか否かを判定する。障害物の有無を判定する方法として、実施例1と同様に、Deep Learningなどの機械学習を利用する方法がある。障害物がある場合、ステップS1102に進み、そうでない場合、ステップS1104に進む。なお、本実施例では、障害物の有無に関する情報は、制御部101が画像を解析することで取得されるが、人工衛星からの信号に基づく位置情報を用いて取得されてもよい。
【0054】
ステップS1102では、制御部101(設定手段101a)は、画像の解析結果に基づいて、画像上に歩行を補助するための所定の領域を設定する。本実施例では、制御部101(設定手段101a)は、所定の領域の一例として、障害物を避けるための歩行ガイド線を設定する。図12は、障害物を避けるための歩行ガイド線の一例を示す図である。図12の画像には、道路1201、障害物1202,1203が写っている。破線で示される内側の歩行ガイド線1204、および外側の歩行ガイド線1205は、障害物1202,1203を避けて歩行するための歩行ガイド線である。内側の歩行ガイド線1204は、障害物に沿うように設定される。外側の歩行ガイド線1205は、障害物を回り込むように設定される。
【0055】
ステップS1103では、制御部101は、ステップS204で設定された所定の領域内に特定対象物の位置に関する位置情報が位置するかどうかを判断する。本実施例では、制御部101は、画像上で白杖が歩行ガイド線と交差したか否かを判定する。ステップS1103の処理はステップS206の処理と同様のものであるが、本ステップでは内側の歩行ガイド線1204および外側の歩行ガイド線1205で制御部101が、白杖が歩行ガイド線と交差したと判定する方向が異なる。具体的には、制御部101は、白杖が内側の歩行ガイド線1204の右側から左側に移動した際に交差したと判定し、白杖が外側の歩行ガイド線1205の左側から右側に移動した際に交差したと判定する。すなわち、制御部101は、白杖が2つの歩行ガイド線の内側から外側に移動する際に交差したと判定する。これにより、ユーザが障害物に白杖をぶつけることなく、かつ、車道にはみ出しすぎないように歩行することが可能となる。白杖が歩行ガイド線と交差した場合、ステップS207に進み、そうでない場合、本フローを終了する。
【0056】
ステップS1104では、制御部101は、図9のステップS901以降の処理を実施する。
【0057】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、路上に障害物がある場合にもユーザの歩行を補助することができる。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
101 制御部(制御装置)
101a 設定手段
101b 取得手段
101c 制御手段
104 撮像部(撮像手段)
125 振動部(報知手段)
図1
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図3
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図5
図6
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図9
図10
図11
図12