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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】付加製造無線周波数フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/20 20060101AFI20241105BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241105BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20241105BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
H01P1/20
B33Y10/00
B33Y80/00
H01P11/00 200
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020083867
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021005863
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】16/422,939
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ダブリュー.アストン
(72)【発明者】
【氏名】ニコール エム.ヘイスティングス
(72)【発明者】
【氏名】ニコール ダイアン シェーンボルン
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/048833(WO,A1)
【文献】特開2004-048486(JP,A)
【文献】実開昭56-172248(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/20
B33Y 10/00
B33Y 80/00
H01P 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側及び外側を有する長状の中空本体部と、
前記本体部の内側におけるアイリス構造体と、
記本体部の外側における補強構造体と、を含
前記アイリス構造体は、前記中空本体部の内側から内方に突出する隔壁を含んでおり、
前記補強構造体は、前記中空本体部の外側から外方に突出する複数の水平リブを含んでおり、
前記隔壁と前記水平リブの少なくとも一つは、前記中空本体部の長軸に垂直に延びる共通の平面に配置されている、無線周波数フィルタ装置。
【請求項2】
前記本体部、前記アイリス構造体、及び前記補強構造体は、単一のユニットとして付加製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記本体部は、前記長軸に垂直な矩形断面形状を有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記補強構造体は、斜めリブ及び前記水平リブによって形成される格子を含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記本体部は、4つのコーナー部を有し、各水平リブは、2つの隣接するコーナー部間に延在し、各斜めリブは、2つの隣接するコーナー部間に延在し、
各水平リブは、テーパ状であって、中央部において高さが最大になり、
各斜めリブは、テーパ状であって、中央部において高さが最大になる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記本体部の内側にキャリブレーション構造体をさらに含み、前記キャリブレーション構造体は、ボスを含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
無線周波数フィルタを製造するための方法であって、
無線周波数信号を受信するよう構成された長状の中空本体部をプリントすることを含み、前記中空本体部は、内側及び外側を有しており、
前記中空本体部の内側は、内方に突出する隔壁を含むアイリス構造体を備えており、
前記中空本体部の外側は、外方に突出する複数の水平リブを含む補強構造体を備えており、
前記隔壁と前記水平リブの少なくとも一つは、前記中空本体部の長軸に垂直に延びる共通の平面に配置されている、方法。
【請求項8】
プリントを実行することは、前記水平リブに加えて複数の斜めリブを含むように、前記補強構造体をプリントすることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記プリント工程は、材料の複数の層を堆積させることを含み、前記材料は、(a)焼結金属、又は(b)ポリマーのうちの少なくとも一方を含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
プリントを実行することは、平面壁を含むように前記中空本体部をプリントすることを含み、前記複数の層における各層は、前記平面壁と少なくとも45度の角度を形成する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
導電性材料で前記中空本体部の内側をコーティングすることをさらに含む、請求項7~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記中空本体部における互いに反対側の端部にエンドキャップ構造体をプリントすることと、
前記エンドキャップ構造体の閉塞部分を除去して、前記中空本体部の一次キャビティを露出させることと、をさらに含む、請求項7~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
内側及び外側を有するように付加製造により形成された長状の中空本体部と、前記本体部の内側におけるアイリス構造体と、前記本体部の外側における補強構造体と、を含み、
前記アイリス構造体は、前記中空本体部の内側から内方に突出する隔壁を含んでおり、
前記補強構造体は、前記中空本体部の外側から外方に突出する複数の水平リブを含んでおり、
前記隔壁と前記水平リブの少なくとも一つは、前記中空本体部の長軸に垂直に延びる共通の平面に配置されている、無線周波数フィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子信号をフィルタリングするためのシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示の実施例は、無線周波数導波管フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
電子フィルタは、電子工学の重要な要素である。無線通信技術においては、信号の選択、及び/又は無線信号におけるノイズの低減にフィルタが使用される。通常、無線周波数(RF)フィルタは、1つの共振器又は結合された複数の共振器で構成される。導波管フィルタは、マイクロ波周波数帯域に特に有用であり、多くの場合、結合された一連の共振器を形成する内部構造体を有する中空金属管で構成される。一般的な結合構造タイプは、開口(apertures)、アイリス(irises)、及び支柱を含む。このようなフィルタの内部寸法・形状は、品質ファクタが高く、且つ効果的な選択性を有するフィルタを作製するために、高い精度にて形成する必要がある。典型的な寸法公差は、例えば、1000分の1インチ以下のオーダーである。このようなフィルタは、従来、複数の個別に機械加工された部品を手作業で組み立てることにより製造されているが、このような処理は、時間がかかるうえに高価である。
【0003】
付加製造(AM)は、比較的低コストで迅速に生産を行う方法として、様々な産業において急速に人気を集めている。AMは、3Dプリンティングとしても知られており、これを用いて付加的にオブジェクトを造形することによって、3Dモデルから固体オブジェクトを作製することができる。AMでは、通常、原材料を敷設した後、当該原材料を選択的に一体化又は溶融して所望のオブジェクトを作製する。原材料は、通常、層状に敷設されるが、個々の層の厚みは、採用される特定の技術によって異なりうる。
【0004】
大抵の場合、原材料は、顆粒又は粉末の形態であって、層状に敷設された後に、熱源によって選択的に溶融される。多くの場合、材料床の上面が溶融され、成長中のワークピースが材料床内へと僅かに下降される。その後、新たな原材料層が材料床上に敷設され、次の層が既設層上に融着される。顆粒状の原材料は、例えば、熱可塑性ポリマー、金属粉末、金属合金粉末、又はセラミック粉末を含み、これらは、走査レーザや走査電子ビームなどのコンピュータ制御熱源を使用して溶融される。例示的な方法としては、選択的レーザ溶融法(SLM)、直接金属レーザ焼結法(DMLS)、選択的レーザ焼結法(SLS)、溶融積層法(FDM)、及び電子ビーム溶融法(EBM)などが挙げられる。
【0005】
機械加工や他の除去製造法(subtractive manufacturing)に用いられる従来の部品設計をAMに用いることは、非効率的な場合があり、不可能な場合さえある。採用される処理及び材料によっては、補強されていない部分が崩れたり、細かい部分の精度が不十分となったり、反りや亀裂が生じたりする場合がある。したがって、従来の部品の機能を維持しつつAM法を効率的に使用することができる新たな設計が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、無線周波数(RF)フィルタに関連するシステム、装置、及び方法を提供する。いくつかの実施例において、RFフィルタ装置は、内側及び外側を有する長状の中空本体部を含みうる。この装置は、前記本体部の内側におけるアイリス構造体と、前記本体部の外側における補強構造体と、をさらに含みうる。前記補強構造体は、前記アイリス構造体と整合している。いくつかの実施例において、前記長状の中空本体部は付加製造されうる。
【0007】
いくつかの実施例において、RFフィルタを製造するための方法は、無線周波数信号を受信するよう構成された長状の中空本体部をプリントすることを含みうる。前記中空本体部は、外側格子アレイに支持された外周側面部を有しうる。
【0008】
特徴、機能、及び利点は、本開示の様々な実施形態において個別に達成可能であり、また、他の実施形態との組み合わせも可能である。その詳細については、以下の説明と図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】プリントされたままの状態の、本開示の態様による付加製造RFフィルタを示す等角図である。
図2】後処理が完了した後の、図1のRFフィルタを示す等角図である。
図3図2のRFフィルタを示す、線4-4に沿った等角断面図である。
図4図1のRFフィルタの上端を示す、線4-4に沿った断面図である。
図5】第1造形配向でプリントされた、図1のRFフィルタを示す等角図である。
図6】第2造形配向でプリントされた、図1のRFフィルタを示す等角図である。
図7図1のRFフィルタを示す、線7-7に沿った等角断面図である。
図8図1のRFフィルタを示す、線8-8に沿った等角断面図である。
図9】キャリブレーション部材をさらに含む、図1のRFフィルタを示す等角図である。
図10】本開示による例示的な付加製造方法の工程を示すフローチャートである。
図11】本明細書に記載の例示的な付加製造装置を示す概略図である。
図12】本開示による例示的なRFフィルタの付加製造方法の工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、無線周波数(RF)フィルタの様々な態様及び例、並びに関連する方法を説明するとともに、関連図面に示す。別段の記載がない限り、本開示によるRFフィルタ及び/又はその様々なコンポーネントは、必須ではないが、本明細書において説明、図示、及び/又は援用した構造、コンポーネント、機能、及び/又は変形例の少なくとも1つを含みうる。また、特に排除する旨の記載が無い限り、本開示に関連させて本明細書に記載、図示、及び/又は援用がなされた処理ステップ、構造、コンポーネント、機能、及び/又は変形例を、他の同様の装置及び方法に含めることができ、これには本開示の実施例の間で互換可能なものも含まれる。以下の様々な実施例の説明は、単に例示的な性質のものであり、本開示やその適用例又は用途をなんら限定することを意図するものではない。また、実施例によってもたらされる利点を以下に説明しているが、これらは、例示的な性質のものであり、全ての実施例が同じ利点や同じ程度の利点をもたらすとは限らない。
【0011】
この詳細な説明は、(1)概要、(2)実施例、コンポーネント、及び代替例、(3)例示的な組み合わせ及び追加的な実施例、(4)効果、特徴、及び利点、並びに(5)結語、に続く以下のセクションを含む。実施例、コンポーネント、及び代替例のセクションは、さらにA~Cのサブセクションに分かれており、これらの各々には対応する符号を付している。
<概要>
【0012】
概して、本開示の無線周波数(RF)フィルタは、付加製造構造体と導電性材料とを含みうる。RFフィルタは、フィルタ装置、及び/又はフィルタコンポーネントと称される場合もある。RFフィルタは、無線周波数帯域で信号を受信し、一部の周波数を伝達又は透過させるよう構成することができる。
【0013】
本開示によるRFフィルタは、補強構造体を有する本体部を含む。本体部は、管状、長状、及び/又は中空であってもよい。補強構造体は、本体部の外側に設けられており、当該本体部の一部又は全てを周囲から囲んでいるといえる。本体部は、RF信号をフィルタリングするためのチャネルを形成するよう構成することができ、所望のフィルタリングに適した断面形状を有しうる。
【0014】
RFフィルタは、内部構造体をさらに含みうる。この内部構造体の形状は、無線周波数電磁波のフィルタリングを容易にするよう構成されている。内部構造体は、本体部の内面又は内側に形成することができる。内部構造体の例としては、限定するものではないが、セプタム(septum)、アイリス、ダイポール、同調ねじ、ポストフィルタ(post filter)、及び/又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0015】
RFフィルタは、レーザ焼結金属などの導電性材料を含む。具体的には、本体部の内面又は内側は、導電性材料で形成される。いくつかの実施例において、当該フィルタは、アルミニウム、銅、チタン、及び/又はこれらの合金を含みうる。当該フィルタは、複数の材料を含んでいてもよいし、単一の材料で形成してもよい。RFフィルタの材料又は材料の組み合わせを選択する際には、導電性、弾性、密度、温度敏感性、並びに他の要素が、考慮される。適切、或いは望ましい材料は、当該フィルタの用途、及び選択される付加製造法によって異なる。
【0016】
RFフィルタは、プリント軸によって規定される製造配向を有し、当該プリント軸は、本体部の長軸に対して垂直であってもよい。当該フィルタは、複数の層を含み、各層は、プリント軸に対して略垂直である。各層は、厚みが小さく且つ平らであり、隣接する層に対して融着されるか、或いは他の方法で結合している。1つの層から隣接する層への変化は、制限されうる。すなわち、RFフィルタの寸法は、プリント軸に沿って徐々に変化しうる。
【0017】
当該フィルタは、急激なオーバーハング部(overhang)を含まない。ここで、急激なオーバーハング部とは、プリント軸に対して約45度を超える角度、又は約50度を超える角度を形成する、任意の下向き面ということができる。これにより、RFフィルタの全ての部分を、二次的な支持体を必要とせずにプリントすることができる。二次的な支持体は、付加製造の技術分野における当業者には、部品設計に含まれない支持構造体として理解されうる。このような支持構造体は、オーバーハング部や下向き縁部(local minima)などの非自立型部材のプリントを容易にするために製造工程において供給されるものであり、プリントが終了すると撤去されるよう構成されている。二次的な支持体はまた、航空機や衛星などの飛行用途向けに付加製造される部品に対する非飛行材料ともいえる。
【0018】
再度RFフィルタについて言及すると、本体部の外側の補強構造体は、格子を含みうる。当該格子は、斜め、水平、及び/又は垂直なリブによって形成することができる。当該格子は、複数のダイヤモンド形状、及び/又は三角形状の開口部を形成しているともいえる。格子状補強構造体は、複数の第1平行直線構造部と、前記第1構造部に交差する複数の第2平行直線構造部とを有するということもできる。
【0019】
補強構造体は、本体部の構造的強度を向上させるよう構成することができる。これにより、RFフィルタを、構造強度に余裕のあるもの、及び/又は選択された剛性要件を満たすものとすることができる。このような強度の向上により、本体部の1つ以上の壁の厚みを小さくして、材料の重量、及び製造時間を減らすことができる。
【0020】
補強構造体は、RFフィルタの付加製造において、本体部の矩形状、円形状、又は任意の所望形状を維持するよう構成することができる。補強構造体はまた、フィルタの安定形状を実現するとともに、製造プロセスにおける反り及び/又は熱変形を抑制することができる。これにより、製造されたフィルタを、コンピュータ支援設計(CAD)の公称仕様に対して、形状偏差が少ないものとすることができる。
【0021】
補強構造体は、当該補強構造体の全重量を制限しつつ、本体部の選択領域において目的とする補強を行うことが可能な形状及び/又は配置に設定することができる。選択領域は、熱変形が生じやすい領域や、本体部の形状では補強できない領域を含みうる。例えば、平面壁における格子リブは、テーパ状であり、本体部のコーナー部から遠ざかるにつれて高さが増大する。補強構造体はまた、RFフィルタの内部構造体と整合するように、及び/又は当該内部構造体を考慮した位置に配置される。これにより、補強構造体は、内部構造体の形状の固有の補剛特性による利益を得るよう構成することができる。例えば、格子の1つ以上の水平リブを、フィルタのアイリス構造体と整合させてもよい。
【0022】
RFフィルタは、さらに、本体部の両端にエンドキャップを含みうる。当該エンドキャップは、付加製造の工程において、フィルタのRFチャネル、又は中央開口を塞ぐ閉塞構造体を含みうる。プリントを実行した後、RFフィルタから閉塞構造体を機械的に除去することにより、RFチャネルに開口部を形成して、正確なインターフェース面を形成することができる。エンドキャップは、さらに、他の構造体に接続するために、プリンティング及び/又は機械加工によって構成することができる。例えば、エンドキャップは、アンテナにフィルタを機能接続できるように、アンテナへの取り付けに適した形状を有しうる。いくつかの実施例において、RFフィルタは、既存のフィルタ設計と同等の機能を有するよう設計することができるとともに、既存のフィルタ設計の場合と略同様の電気システムに接続するよう構成することができる。
【0023】
RFフィルタは、一部又は全体を、一体化することができる。すなわち、フィルタの本体部、内部構造体、補強構造体、エンドキャップ、及び/又は任意の他の部分を、1つの構造体で構成することができる。RFフィルタは、個別の部品を組み付けずに、1つのプロセスで付加製造することができる。また、RFフィルタは、製造後の除去を必要とする二次的な支持体を用いずに、製造することもできる。
【0024】
RFフィルタは、一体構造とすることにより、より高い信頼性を有することができる。また、部品の接続又は相互作用に関連する不良状態を排除することができる。例えば、当該フィルタは、振動によって緩むボルト、負荷がかかると移動してしまうシム、又は輸送中にチューニングが変わってしまう同調ねじを含まない。一般的に、部品数がより少ないフィルタの方が、動作上の問題の可能性が低減される。
【0025】
RFフィルタの幾何学形状は、再現可能となるように設定することができる。すなわち、フィルタの幾何学形状は、当該フィルタの複製が複数個製造された場合に、各複製の寸法が元の設計の望ましい許容差内に収まる形状にすることができる。いくつかの実施例において、望ましい許容差は、1ミル(1000分の1インチ)、10ミル、又は任意の適切な大きさであってよい。製造される複製は、形状も忠実なものとすることができる。例えば、平面状に設計された壁は、反りのないように一貫してプリントされる。
<実施例、コンポーネント、及び代替例>
【0026】
以下のセクションでは、例示的な無線周波数(RF)フィルタ、並びに関連するシステム及び/又は方法の、選択された態様を説明する。これらのセクションにおける実施例は、説明を目的とするものであり、本開示の全体の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。各セクションは、1つ以上の異なる実施例、及び/又は背景的或いは関連する情報、機能、及び/又は構造を含みうる。
<A.例示的なRFフィルタ>
【0027】
図1~7に示すように、本セクションは、例示的なRFフィルタ100について説明する。フィルタ100は、上述した付加製造フィルタの一例である。図1には、付加製造後であって、且つ、機械仕上げの前のフィルタが示されている。同図において、プリントされたままの状態のフィルタは、フィルタ100の付加製造ブランク102とも呼ばれる。図2には、機械加工後の完成したフィルタ100が示されている。
【0028】
図1及び2に示すように、フィルタ100は、中空の矩形本体部110を含む。当該本体部は、長状本体部、矩形管、及び/又は導波管構造体とも称されうる。本体部110は、長軸112と、当該長軸に垂直な矩形の断面形状を有する。当該本体部は、軸112に沿った長さ114、並びに、当該軸に垂直な幅116及び奥行き118を有する。
【0029】
本体部110は、4つの平面壁120を含み、隣接する壁の各対は、コーナー部122で結合している。各壁は、外面と内面とを有する。複数の壁120の外面は、合わせて、本体部110の外側126を形成しており、これらの壁の内面は、合わせて、当該本体部の内側128を形成している。外側126及び内側128の断面形状は、両方とも矩形である。本体部110は、当該本体部の内側128によって画定される、矩形の一次キャビティ140を有しうる。
【0030】
いくつかの実施例において、本体部110は、円形の断面形状、又は任意の他の効果的な断面形状を有しうる。当該本体部は、1つの曲面壁、又は任意の効果的な数の平面壁又は曲面壁を含みうる。本体部110の内側128の断面形状は、フィルタ100の所望の電磁特性に従って選択することができる。本体部110の外側126の断面形状は、本体部の内側断面形状に基づいて、当該本体部に対して効果的な構造を提供するように選択することができる。内側断面形状に外側断面形状を一致させることにより、本体部の壁の厚みを最小限に抑えることができる。
【0031】
本体部110は、第1及び第2の互いに反対側に配置された端部130を有する。フィルタ100は、各端部130において、本体部110のエンドキャップ132を含む。エンドキャップ132もまた、矩形であるが、本体部110よりも幅及び奥行きが大きい。図1に示すように、ブランク102のエンドキャップ132は、小さな粉末穴134以外は閉塞している。粉末穴は、付加製造において、本体部110内に蓄積された余分な粉末又は他の材料を除去できるよう構成される。
【0032】
エンドキャップ132は、プリンティングや冷却などの処理を含む製造処理において、端部130を構造的に補強することができる。このような補強により、一次キャビティ140の矩形断面形状、及び壁120の平面形状を維持することができる。粉末穴134は、このような補強を妨げないよう十分に小さく、且つ、余分な製造材料を効果的に除去できるような寸法に設定される。
【0033】
エンドキャップ132はまた、フィルタ100のインターフェース、及び/又は取付構造体として機能しうる。例えば、エンドキャップ132のうちの一方は、アンテナに取り付けられる。正確なインターフェースを形成するために、ブランク102の各エンドキャップの端面を機械加工して、完成したフィルタ100にインターフェース面136を形成することができる。ファスナ穴、及び/又は他の接続部材もまた、機械加工によりエンドキャップ132に形成されてもよい。インターフェース、及び/又は取り付けのためのエンドキャップ132を用意することは、ブランク102に必要な機械加工、及び/又は仕上げのみを行うことであってもよい。
【0034】
図2に示すように、一次キャビティ140は、エンドキャップ132内に延びているため、インターフェース面136を機械加工することにより、インターフェース開口部138も形成される。詳細については、以下に示す図4の説明を参照されたい。上述したように一次キャビティを配置することにより、エンドキャップ132が、プリンティング及び冷却の処理において補強部材として機能した上で、機械加工後に追加の機械加工を行うことなく、当該エンドキャップに対して本体部110を貫通する連続孔を形成することができる。
【0035】
フィルタ100は、本体部110の外側126に補強構造体142をさらに含む。本実施例において、補強構造体142は、斜めリブ144及び水平リブ146の格子である。当該格子は、メッシュ、グリッド、及び/又はトラスとも称される。リブ144及び146はまた、壁120から突出する補強材(stiffeners)、ブレース(braces)、及び/又は、直線状突出部とも称されうる。
【0036】
斜めリブ144及び水平リブ146の各々は、2つの隣接するコーナー部122間で、本体部110の壁120を横切って延びている。各リブは、対応する壁に対して平行に延びるとともに、当該壁に対して垂直に突出している。各斜めリブは、他の1つの斜めリブのみと交差している。水平リブ146及び斜めリブ144は、コーナー部122で結合し、4つの斜めリブと2つの水平リブとからなる複数の結合部を形成する。各斜めリブはまた、2つの隣接する水平リブ間に延在するということもできる。
【0037】
水平リブ146は、本体部110の長さ方向に沿って離間しており、各壁120に複数のボックスを形成するということができる。各ボックスは、2つの交差する斜めリブ144を含む。水平リブ146は、図3に示し、且つ以下で説明する、フィルタ100の内部構造体に合わせて離間している。本体部110の各端部130の近くにおいては、格子のパターンが異なる。当該端部の領域は、ハーフボックスを含み、当該ハーフボックスにおいて、2つの斜めリブ144が、壁120の中心で合流するとともに、隣接するエンドキャップ132に接続している。
【0038】
図3は、フィルタ100の切欠図であって、複数のアイリス148を含む内部構造体を示している。各アイリスは、本体部110の内側128から一次キャビティ140内に延びる一対の隔壁150により形成されている。アイリスは、一次キャビティ140を複数の共振キャビティに分割するということができる。補強構造体142の各水平リブ146は、複数のアイリス148のうちの1つと整合している。結果として、格子の各ボックスは、共振キャビティと整合している。格子の構成要素とアイリス148とを整合させることにより、補強構造体142は、アイリスの固有の補剛特性による利点及び/又は利益を得ることができる。
【0039】
アイリスの寸法、及びアイリス間の間隔は、RFフィルタ100の所望の機能特性に従って選択することができる。水平リブ146の間隔は、アイリス148と一致するように選択することができる。斜めリブ144は、水平リブの位置に従って配置することができる。例えば、フィルタの長軸112に対する斜めリブの角度は、隣接するコーナー部122間の距離、及び隣接する水平リブ146間の間隔によって決定される。
【0040】
補強構造体142は、本体部110及びアイリス148の形状に従って構成することができる。本実施例においては、本体部110は、コーナー部122と、当該コーナー部間に延在するリブ144、146とを含む。他の実施例においては、本体部110は、円筒状であってもよく、水平リブ146は、当該本体部を完全に囲んでいてもよい。いくつかの実施例においては、格子は垂直リブを含んでもよいし、斜めリブは、複数の水平リブ及び/又は他の斜めリブと交差していてもよい。また、任意の効果的なパターンが形成されていてもよい。補強構造体に、三角形状、ダイヤモンド形状、及び/又は他のトラスパターンを含めることにより、より効果的な補強を行うことができる。
【0041】
図4は、図1の線4-4に沿った、フィルタ100の付加製造ブランク102を示す部分断面図である。水平リブ146とアイリス148との整合がより明確に示されている。例えば、2つの水平リブ146Aが、線AAに沿って、アイリス148Aと整合している様子が図示されている。線AAは、長軸112(図1を参照)に垂直な面にある。図示の水平リブ146Aに加えて、他の2つの壁120の各々における水平リブが同じ平面上で整合している。同様に、水平リブ146は、各アイリス148と整合している。すなわち、フィルタの長軸に垂直な面において、4つの水平リブ146が各壁120に1つずつ配置されており、これらの水平リブが、各アイリス148と整合している。
【0042】
一次キャビティ140は、壁120間に規定される幅160を有し、当該幅は、本体部110の長さ方向に沿って一定である。各アイリス148の隔壁150は、壁120から一次キャビティ140内に延在しており、当該キャビティを部分的に遮っている。各アイリスは、隔壁150間に幅161の開口部を有する。開口幅161は、アイリス間で異なりうる。一次キャビティ140及びアイリス148の寸法は、フィルタ100の設計された電磁特性に従って設定することができる。
【0043】
各壁120は、厚み162を有する。本実施例においては、4つの壁の全てが同じ厚みを有する。これらの壁120は、異なる厚みや変化する厚みを有していてもよいが、本体部110全体にわたって壁の厚みが一定であれば、一貫した精度の高い製造を行うことができる。補強構造体142は、壁の厚み162を最小限に抑えて本体部110を補強することができる。
【0044】
各リブ144、146は、同様に厚さ163を有する。本実施例において、斜めリブ144及び水平リブ146を含む全てのリブの厚みは同じであり、これらリブの全体に亘って一貫している。しかしながら、以下の図6及び7を参照してさらに説明するように、対応する壁に対する各リブの高さ又は突出度は変化している。
【0045】
図示例においては、フィルタ100の全長は、約9インチである。壁の厚み162は、約1000分の30インチ(30ミル)であり、リブの厚み163もまた、約30ミルである。より長いフィルタについても同様の壁厚及びリブ厚が適切な場合があるが、フィルタの幅及び/又は奥行きに従って厚みを異ならせることも可能である。フィルタの製造に利用される付加製造技術によっては、部材の厚みが、プリント解像度や同様の特性によって制限される場合がある。
【0046】
図4においては、本体部110の端部130のうちの一方、及びエンドキャップのうちの一方のみが示されている。他方の端部130及びエンドキャップ132は、図示の端部及びエンドキャップと一致すると理解してよい。いくつかの実施例において、粉末穴134は、エンドキャップの一方から省いてもよい。上述したように、一次キャビティ140は、エンドキャップ132内に延在している。当該エンドキャップはまた、中空であって、遠位閉塞構造体152を有するということもできる。閉塞構造体152は、一次キャビティ140を遮る平らな広がり部分を含むとともに、厚み164を有する。本実施例において、当該閉塞構造体の厚みは、30ミルである。
【0047】
粉末穴134は、閉塞構造体152を貫通して、一次キャビティ140と付加製造ブランク102の外側との間の流体連通を確立する。本実施例において、粉末穴は、幅165を有する方形である。幅165は、一次キャビティの幅160よりも小さく、当該一次キャビティ幅の半分未満、又は1/4未満であってもよい。いくつかの実施例において、粉末穴は、粉末抽出ツールと接続するような形状を有していてもよいし、任意の効果的な形状を有していてもよい。以下の図5を参照して説明するように、方形状であれば、粉末穴134の正確なプリンティングが容易になる。
【0048】
フィルタ100を完成させるためにブランク102が機械加工された後、閉塞構造体152及び粉末穴134が除去される。閉塞構造体を除去するために、線MMに沿ってブランクを機械加工してもよい。本実施例においては、約50ミルの材料が除去される。エンドキャップ132の構造により、線MMに沿って機械加工を施すと、フィルタを貫通する連続チャネルが開通するとともに、滑らかなインターフェース面が形成される。機械加工が完了すると、エンドキャップ132は、本体部110の内側128及び一次キャビティ140の連続的な延長部を形成することができる。
【0049】
図5は、プリント直後の付加製造ブランク102を示す等角図である。フィルタ100のブランク102は、直接金属レーザ焼結法(DMLS)、或いは任意の効果的な付加製造プロセスによって製造することができる。本実施例において、フィルタは、焼結アルミニウム合金、具体的にはAlSi10MgタイプIIを含む。このような合金は、軽量であるとともに、良好な強度、硬度、及び高い負荷耐性をもたらすことができる。いくつかの実施例において、ブランク102は、ポリマーなどの非導電性及び/又は非金属性の材料でプリントすることができる。いくつかの実施例において、導電性金属を用いためっき処理などの後処理方法を用いて、フィルタ100に所望の電磁特性を持たせることができる。
【0050】
フィルタ100のブランク102は、一体構造である。すなわち、ブランクは、本体部110、補強構造体142、及びアイリス148(図3を参照)を含む単一部材である。単一部材であるブランクは、フィルタ100の組み立て工程を削減及び/又は排除することができ、また、フィルタの信頼性を高めたり、フィルタの不良状態を抑制したりすることができる。
【0051】
図5に示すように、ブランク102は、犠牲一次支持体156によって造形プレート154に支持されている。当該ブランクは、造形軸158によって規定された、第1造形配向と呼ばれる配向に支持される。当該造形軸は、ブランク102をプリントするために使用される付加製造装置の垂直方向又はプリント方向と整合していてもよい。
【0052】
造形軸158は、フィルタの長軸112に垂直であって、本体部110のコーナー部122を貫通している。すなわち、造形配向においては、本体部110の長さ方向は、造形プレート154と平行である。複数のコーナー部122のうちの1つは、造形プレートに最も近く配置されており、反対側のコーナー部は、垂直方向上方に配置されている。この反対側のコーナー部は、造形プレートに最も近く配置されたコーナー部の真上に配置されていてもよいし、垂直方向のアライメントから外れていてもよい。本体部110は、各壁120が造形プレート154の水平面に対して少なくとも45度の角度をなすように、配向される。このような角度により、二次的な支持体を必要とせずにプリントを行うことができ、造形プレート154を向く壁の補強構造体142のプリント解像度を維持することができ、表面粗さを許容範囲内に保つことができる。
【0053】
一次支持体156は、造形プレート154に最も近く配置されたコーナー部122、及び各エンドキャップ132の対応するコーナー部の下側に配置される。当該一次支持体は、コーナー部でのみブランク102に接触してもよいし、隣接する壁120と限定的に接触してもよい。一次支持体156は、プリント後に容易に取り外せるよう構成されている。一次支持体の取り外しにより、本体部110の外側126の表面が限定的に粗くなるが、この表面粗さはフィルタ性能に影響を及ぼさない。
【0054】
図5には示していないが、図3及び4に示すアイリス148もまた、二次的な支持体無しにプリントを行えるように配向されている。造形配向において、各アイリスの隔壁150は、造形プレート154に垂直な面に延びている。隔壁の縁はいずれも、造形プレートに対して45度未満の角度をなしていない。図4に示すように、このような配向により、斜面化(chamfering)を行ったり他の追加材料を用いたりすることなく、本体部110の内側128に対して垂直に隔壁150を延在させることができる。また、このような配向により、表面粗さが、フィルタ性能に影響を及ぼすレベルに到達するのを防止することができる。
【0055】
再び図5を参照すると、上述したように、粉末穴134は方形状である。当該粉末穴は、当該穴の各辺が、造形プレート154の水平面に対して約45度の角度を形成するように、エンドキャップ132に対して整合している。したがって、粉末穴134を変形させることなく正確にプリントすることができ、粉末を除去するために、付加製造ブランク102の内部に効果的にアクセスすることが可能になる。
【0056】
図6において、ブランク102は、第2造形配向と呼ばれる配向で、犠牲一次支持体156によって造形プレート154に支持されている。造形配向は、造形軸159によって規定される。当該造形軸は、ブランク102をプリントするために使用される付加製造装置の垂直方向又はプリント方向と整合していてもよい。
【0057】
造形軸159は、フィルタの長軸112、及び造形プレート154と約45度の角度をなす。すなわち、造形軸159によって規定される配向において、本体部110の長さ方向は、造形プレート154に対して傾斜している。複数のコーナー部122のうちの1つは、造形プレートに最も近く配置されており、反対側のコーナー部は、垂直方向上方に配置されている。
【0058】
造形軸158によって規定された配向と同様に、本体部110は、二次的な支持体を必要とせずにフィルタの壁及びアイリスをプリントできるように、配向される。図6に示す造形配向は、一次支持体156に対する追加の材料を必要とする場合もあるが、造形プレート154においてブランク102が占有する表面積がより小さいため、特定の一式の付加製造装置を使用して、より多くのブランクを同時にプリントすることができる。図示された配向はまた、各プリント層の全体の表面積を減らすことができるため、プリント中に生じる残留応力を最小限に抑えることができる。
【0059】
いくつかの実施例においては、他の造形配向が適切な場合がある。例えば、本体部110が円筒形状の場合、円形状の変形を避けるために、当該本体部の長軸が造形軸と整合した状態でプリントを行うのが最も効果的であろう。ただし、このように配向を変更すると、フィルタの他の部材に影響を及ぼす場合があり、さらなる変更を必要とする場合がある。例えば、上述したような配向でプリントされた円筒形状のフィルタは、斜面化構造体によって各アイリスをサポートしなければならない場合がある。
【0060】
図7及び8は、付加製造ブランク102を示す切欠図である。図7は、図1の線7-7で示すように、アイリスと、これに対応する4つの水平リブ146とを切断した図であり、図8は、図1の線8-8で示すように、互いに反対側の一対の斜めリブ144を切断した図である。これらの図には、テーパ状又はアーチ状のリブ144、146が示されている。
【0061】
図7に示すように、各水平リブ146の高さは変化し、最大リブ高さ166は、対応する壁120の中央に近いところにある。高さ166は、壁120からの突出の程度、厚み、及び/又は長さとも呼ばれうる。各水平リブの高さは、コーナー部122におけるゼロの高さから、壁の中央に近接する最大高さ166までテーパ状に変化する。各水平リブ146の最大高さ166は同じであるが、テーパの傾斜度及び全体的なアーチ形状は、本体部110の幅116、及び当該本体部の奥行き118に沿って延びる水平リブ間でそれぞれ異なる。
【0062】
図8に示すように、各斜めリブ144の高さも同様に変化し、最大リブ高さ167は、対応する壁120の中央、及び他の斜めリブとの交点に近いところにある。高さ167もまた、壁120からの突出の程度、厚み、及び/又は長さとも呼ばれうる。各垂直リブの高さは、コーナー部122におけるゼロの高さから、壁の中央に近接する最大高さ167までテーパ状に変化する。
【0063】
本実施例において、最大水平リブ高さ166、及び最大斜めリブ高さ167は、両方とも約80ミルである。いくつかの実施例において、水平リブ146、及び斜めリブ144の最大高さやテーパ形状(taper profiles)は異なりうる。また、リブ高さは、本体部110の長さ方向において変化しうる。最大リブ高さ166、167は、50ミルと100ミルとの間であってもよいし、壁の厚み162(図4を参照)、水平リブの間隔、又は本体部の幅116などのフィルタの他の寸法に従って設定されてもよい。
【0064】
このような水平リブ146及び斜めリブ144のテーパ形状及びアーチ形状により、全体的な材料の量及び重量を制限しつつ、本体部110における所望の適切な領域を補強することができる。コーナー部122により、本体部110に対して固有の形状的補強がもたらされるが、壁120の強度は、中央に沿って最も弱くなる。したがって、リブの最大高さ166、167を位置決めすることにより、必要な部分を補強することができ、また、コーナー部122におけるリブの高さをゼロに設定することにより、材料の無駄を省くことができる。さらに、コーナー部122に近接する部分においてリブの高さを低減することにより、一次支持体の取付位置を明確にすることができるため、プリントを実行した後に一次支持体を容易に撤去することができる。
【0065】
図9は、インターフェース開口部138、及び一次キャビティ140を示す等角図であり、同図において、フィルタ100は、任意のキャリブレーション部材170をさらに含む。図示例において、キャリブレーション部材170は、本体部110の内側128から延びる単一のボスである。キャリブレーション部材170はまた、複数の壁120のうちの1つから一次キャビティ140内に延びて、当該キャビティを部分的に遮るものとして説明することもできる。いくつかの例において、キャリブレーション部材は、壁120から一次キャビティ140内に延びる任意の効果的な数及び/又はパターンの追加的なボス及び/又は他の構造体を、さらに含みうる。
【0066】
キャリブレーション部材170のボスは、それぞれの壁120の表面に対して垂直に、且つ、アイリス148の隔壁150に平行な面に、延在する。隔壁150と同様に、キャリブレーション部材170の各ボス又は他の構造体は、第1又は第2の造形配向において、造形プレートと少なくとも45度の角度を形成するため、二次的な支持体や大きな斜面化を行うことなくプリントを行うことができる。
【0067】
キャリブレーション部材170はまた、一体型のチューニング部材、調整部材、及び/又は精密フィルタリング部材とも呼ばれうる。キャリブレーション部材は、同調ねじにより可能な調整と同様に、フィルタ100のフィルタリング機能の微調整を行えるよう構成することができる。キャリブレーション部材170の寸法、形状、及びジオメトリ(geometry)は、フィルタ100に対する所望の調整に従って選択することができる。例えば、図9に示すボスは、低大気圧環境で動作できるようフィルタ100を構成するために選択されたジオメトリを有する。
【0068】
キャリブレーション部材170は、壁120及び本体部110と一体構造であり、付加製造ブランク102の一部としてプリントされる。いくつかの実施例において、当該部材は、フィルタ100のRF特性に対して効果を正確に発揮するために、機械加工、又は後処理される。いくつかの実施例において、当該部材は、後処理無しで所望の調整を行えるような形状が選択されてもよい。
<B.例示的な付加製造方法>
【0069】
本セクションは、ワークピースの例示的な付加製造方法の工程を説明する。図10を参照されたい。以下に説明する方法の工程では、図11に示した例示的な付加製造装置の態様を用いることができる。必要な場合には、各工程を行う際に使用可能なコンポーネント及びシステムについて言及する。ただし、このような言及は、例示のためのものであり、当該方法の特定の工程を実行可能な方法を限定することを意図したものではない。
【0070】
図10は、例示的な方法で行われる工程を例示したフローチャートであり、方法の完全なプロセス又は全ての工程を必ずしも示すものではない。方法300の様々な工程を以下に説明し、また、図10に示しているが、これらの工程の必ずしも全てを行う必要はなく、また、場合によっては、これらの工程を同時に行ったり、ここに示した順序とは異なる順序で行ったりしてもよい。
【0071】
工程310において、順序付けされた複数の層を表すデジタル情報が受信される。デジタル情報は、例えば、図11に示す付加製造装置410のコンピュータ制御装置412によって受信される。付加製造装置は、プリンタ又はファブリケータ(fabricator)と称される場合もある。コンピュータ制御装置412は、デジタルデザイン情報を受信するとともにプリンタ410の機能を制御するよう構成された任意のデータ処理システムを含みうる。図11に示した例示的なコンピュータ制御装置は、プリンタ機能を制御するためのプロセッサ414、及び、受信データを保存するためのメモリ416を含む。
【0072】
受信情報は、例えば、三次元オブジェクトの層を構成する複数の二次元パターンに関する幾何学的データ、及び/又は設計の詳細を含み、三次元オブジェクトは、製造されるワークピース428である。層は、断面又はスライスと称される場合もある。複数の層は、番号付け又は整理がなされて、第1層から最終層まで、順序付けられる。
【0073】
方法300の工程312は、プリンタ410の造形環境420内に位置する造形プラットフォーム418上に原材料を堆積させることを含む。造形プラットフォームは、製造軸422に沿って、コンピュータ制御装置412によって移動可能な支持台を含みうる。造形プラットフォームは、製造軸422に垂直な平坦面を有しうる。
【0074】
原材料は、付加製造に適した任意の材料であってよく、典型的には液体又は粉末であり、限定するものではないが、フォトポリマー樹脂、熱可塑性樹脂、プラスター、セラミック、及び金属を含みうる。当該材料は、ホッパー、タンク、又は粉末床などの原材料源424から供給することができる。例えば、コンピュータ制御装置412によって駆動されるブラシアームによって、アルミニウム粉末を、粉末床から造形プラットフォーム418上に供給することができる。
【0075】
原材料は、造形プラットフォーム418上に均等に広げてもよいし、選択されたパターンに堆積させてもよい。堆積は、コンピュータ制御装置412による制御下で行うことができる。いくつかの実施例において、造形プラットフォーム418は、原材料内に沈められており、材料の堆積は、重力又は流体圧によって実現される。いくつかの実施例においては、原材料源424に接続されたプリントヘッド426によって、順序付けされた複数層のうちの第1層に対応するパターンに原材料を堆積させる。
【0076】
工程314において、原材料を変化させて第1層を作製する。すなわち、順序付けされた複数層のうちの第1層を示す設計情報に従って、且つ、コンピュータ制御装置412によって指示されたように、堆積材料に物理的変化が引き起こされ、造形プラットフォーム上に物理的オブジェクトとしての第1層が形成される。
【0077】
材料は、コンピュータ制御装置412による制御下で、プリンタ410のプリントヘッド426による作用を受けることができる。例えば、プリントヘッドは、露光によってフォトポリマーを硬化させるか、或いは熱に曝露することによって金属粉末を焼結させるレーザを含みうる。プリントヘッドは、コンピュータ制御装置412によって誘導されて、第1層用の受信デジタル情報に記述された経路、及び/又は、受信デジタル情報に基づいてプロセッサ414が計算した経路をたどることができる。
【0078】
工程316は、造形プラットフォームを位置変更することを含む。いくつかの実施例において、造形プラットフォーム418は、プリントヘッド426から所定距離離れた位置で開始しうる。当該所定距離は、プリントヘッドによって実行される処理に応じて決定することができる。1つの層を作製した後、コンピュータ制御装置412によって、製造軸422に沿ってその層の厚み分だけプリントヘッド426から離れるように、造形プラットフォームを位置変更することができる。すなわち、作製された層の上面がプリントヘッド426から所定距離に位置するように、造形プラットフォームを移動させることができる。
【0079】
いくつかの実施例において、造形プラットフォーム418は、原材料分配コンポーネントなどのプリンタ410の他の要素と整合した位置で、開始してもよい。1つの層を作製した後、作製された層の上面がプリンタ410の当該他の要素と整合するように、コンピュータ制御装置412によって、製造軸422に沿って造形プラットフォームを位置変更することができる。いくつかの実施例において、工程316において、造形プラットフォーム418に代えて又は加えて、プリントヘッド426を位置変更してもよい。いくつかの実施例において、工程316をとばしてもよい。
【0080】
工程318において、方法300における、前の工程で作製された層上に、原材料が堆積される。工程312について述べたように、原材料は、任意の適切な材料であってよく、任意の適切な方法で堆積させることができる。工程320において、工程314について前述したように、原材料を変更して次の層を作製する。
【0081】
最終層が作製されるまで、工程316から320を繰り返すことにより、受信デジタル情報の複数層における各層が作製される。結果として、作製された第1層から最終層が、受信デジタル情報に示されたとおりのワークピース428を形成する。ワークピースは、プリンタから外されて、所望の後処理が施される。例えば、ワークピースが、造形プラットフォームの造形プレートから機械的に取り外された後、細部又は滑らかな表面が、さらに機械加工又はその他の方法で仕上げられる。
<C.例示的な方法>
【0082】
本セクションは、RFフィルタの例示的な付加製造方法500の工程を説明する。図12を参照されたい。以下に説明する方法の工程では、上述したフィルタ、付加製造方法、又は付加製造装置の態様を用いることができる。必要な場合には、各工程を行う際に使用可能なコンポーネント及びシステムについて言及する。ただし、このような言及は、例示のためのものであり、当該方法の特定の工程を実行可能な方法を限定することを意図したものではない。
【0083】
図12は、例示的な方法で行われる工程を例示したフローチャートであり、方法の完全なプロセス又は全ての工程を必ずしも示すものではない。方法500の様々な工程を以下に説明し、また、図12に示しているが、これらの工程の必ずしも全てを行う必要はなく、また、場合によっては、これらの工程を同時に行ったり、ここに示した順序とは異なる順序で行ったりしてもよい。
【0084】
上記方法は、工程510において、外側格子を有する長状の中空本体部をプリントすることを含む。当該本体部は、中央開口を有する管を含むとともに、RF信号を受信するよう構成することができる。当該本体部の内側の形状及び材料などの特性は、インピーダンスや導電性などの、本体部の所望の電磁特性に従って構成することができる。当該格子は、本体部の外面から突出するリブやブレースなどの複数の直線構造体を含みうる。当該格子は、本体部を強化、補強、及び/又は支持するよう構成することができる。
【0085】
工程512は、本体部の内側にアイリス構造体をプリントすることを含む。当該アイリス構造体は、本体部の中央開口内に延びる1つ以上の突出部を含みうる。当該突出部は、本体部の長軸、及びプリント軸に対して垂直に延びていてもよい。いくつかの実施例において、工程512は、本体部の内側に沿って離間する複数のアイリス構造体をプリントすることを含みうる。
【0086】
当該アイリスは、所望のフィルタリング特性に従って選択された間隔及び開口寸法を有しうる。例えば、アイリスは、選択された周波数帯域を通過させるように選択することができる。プリントされるアイリスは、本体部の外側格子と整合させてもよい。例えば、各アイリスは、格子の1つ以上の水平リブと同一平面上にあってもよい。いくつかの実施例においては、所望のフィルタリング特性に従って、支柱などの追加の構造体又は代替の構造体を、本体部の内側にプリントしてもよい。
【0087】
工程514は、本体部の両端に、粉末抽出穴を有するエンドキャップをプリントすることを含む。当該エンドキャップは、本体部の中央開口を遮るもの、及び/又は塞ぐものということもできる。当該エンドキャップは、RF通信システムの他のコンポーネントを取り付けられるように、及び/又はこれらと接続するように構成することができる。当該エンドキャップはまた、プリント中、及び/又は方法500における後続の工程において、本体部の両端を支持及び/又は補強するよう構成することができる。
【0088】
工程510~514におけるプリントは、上記方法300などの付加製造方法に従って実行してもよい。具体的には、プリントは、アルミニウム合金粉末の直接金属レーザ焼結法(DMLS)によって行うことができる。本体部、外側格子、アイリス、及びエンドキャップは、単一の一体構造体としてプリントされてもよい。
【0089】
長状の中空本体部は、長軸を有していてもよく、当該長軸に対して平行に中央開口が延びていてもよい。当該本体部をプリントする際の配向は、長軸が、垂直方向に対して、或いは付加製造方法の製造軸に対して垂直になるように、決定してもよい。いくつかの実施例において、当該本体部は4つの壁と、矩形の断面形状を有しうる。このような実施例において、当該本体部は、各壁がプリント軸と斜角を形成するようにプリントされてもよい。これらの壁は、プリント軸と45度以下の角度をなすように配向されてもよい。工程510~514は、二次的な支持体を使用せずに実行することができる。
【0090】
エンドキャップの粉末抽出穴は、処理後に、余分な材料を除去できるよう構成することができる。例えば、DMLSプリンティングの後に、本体部からアルミニウム合金粉末を吸引して取り出すことができる。粉末抽出穴の寸法は、選択された付加製造方法によって異なりうる抽出用装置に従って設定することができる。
【0091】
工程516において、上記方法は、本体部の応力を緩和することを含む。応力の緩和は、本体部の材料の変態温度よりも低い所定温度まで当該本体部を加熱した後、当該本体部を設定速度で冷却することを含みうる。この冷却は、空気冷却(air quenching)により実行することができる。工程516は、工程510~514のプリント処理において本体部の材料に生じる応力を緩和する際に有効な任意の適切な熱処理、及び/又は任意の処理を含みうる。応力の緩和は、造形プレート、又は付加製造装置の支持構造体から本体部を取り外す前に実行することができる。
【0092】
工程516は、上記に加えて、或いは上記に代えて、選択された材料、及び工程510~514で用いられる付加製造処理に適した仕上げ処理を含みうる。例えば、ポリマーなどの材料の溶融積層法(FDM)が用いられる場合、工程516は、ポリマーの冷却、及び/又は硬化を含みうる。
【0093】
工程518は、各エンドキャップの閉塞部分を除去することを含む。工程514でプリントされたエンドキャップは、本体部の中央開口と整合する中央開口又は中央キャビティと、当該中央開口を塞ぐ閉塞部分とを含みうる。本体部の中央開口は、各エンドキャップ内に延在していてもよい。各エンドキャップの閉塞部分は、厚みを有する略平面状の層であってもよい。各エンドキャップから、閉塞部分の厚みよりも厚い材料層を、機械的に除去してもよい。工程518により、各エンドキャップの中央開口を開放することができるため、本体部を介した無線周波数のアクセスが可能になる。また、工程518により、他の構造体への接続のための滑らかで正確なインターフェース面を形成することができる。
【0094】
いくつかの例において、方法500は、追加の後処理工程をさらに含みうる。例えば、この方法は、一方又は両方のエンドキャップに、ファスナ穴などの接続要素を機械加工により形成することを含みうる。他の例として、方法500は、ケミカルミーリングなどの平滑化処理を用いて、本体部の内側の形状を整えることを含みうる。
【0095】
他の例として、方法500は、本体部の内側、及びアイリスを導電性材料でコーティングすることを含みうる。コーティングは、電気めっき、及び/又は浸漬などの方法を用いて実行することができる。このようなコーティングにより、軽量、安価、及び/又は付加製造に適した材料で、本体部を付加製造することができる。例えば、本体部は、アルミニウム合金でプリントされる。その後、高伝導性ストライク(high conductivity strike)や高導電性の表皮効果(skin effects)などの所望の電磁特性を有する材料で本体部の内側をコーティングしてもよいが、そのような材料は、重く、高価であったり、付加製造には不向きであったりする場合がある。例えば、ニッケル、銅、銀、及び/又はこれらの合金で本体部の内側をコーティングしてもよい。
【0096】
上述したコーティングにおいては、非導電性材料で本体部をプリントすることも可能である。例えば、FDMを用いることにより、安価で軽量なポリマーで本体部をプリントしてもよい。その後、銅などの導電性材料で本体部の内側、及びアイリスをコーティングすることにより、所望の電磁特性を持たせることができる。
<例示的な組み合わせ及び追加的な実施例>
【0097】
このセクションでは、無線周波数フィルタの追加的な態様及び特徴を、限定を意図することなく、一連の付記として提示する。これらの付記の一部又は全てには、明確化及び効率化のために、英数字を付している。これらの付記の各々は、任意の適切なやり方で、1つ以上の他の付記、及び/又は本出願の開示の任意の部分と組み合わせることができる。以下の付記のいくつかは、他の付記に明示的に言及してさらなる限定を加えているが、これは適切な組み合わせのいくつかの例を提示しているにすぎず、限定するものではない。
【0098】
A0.内側及び外側を有する長状の中空本体部と、前記本体部の内側におけるアイリス構造体と、前記アイリス構造体と整合する前記本体部の外側における補強構造体と、を含む、無線周波数フィルタ装置。
【0099】
A1.前記本体部、前記アイリス構造体、及び前記補強構造体は、単一のユニットとして付加製造される、A0に記載の装置。
【0100】
A2.前記本体部は、長軸と、前記長軸に垂直な矩形断面形状とを有する、A0又はA1に記載の装置。
【0101】
A3.前記本体部は、長軸と、前記長軸に垂直な円形断面形状とを有する、A0~A2のいずれかに記載の装置。
【0102】
A4.前記補強構造体は、斜めリブ及び水平リブによって形成される格子を含み、前記水平リブの1つ以上は、前記本体部の内側における前記アイリス構造体と整合している、A0~A3のいずれかに記載の装置。
【0103】
A5.前記本体部は、4つのコーナー部を有し、各水平リブは、2つの隣接するコーナー部間に延在する、A4に記載の装置。
【0104】
A6.各水平リブは、テーパ状であって、中央部において高さが最大になる、A5に記載の装置。
【0105】
A7.前記本体部は、4つのコーナー部を有し、各斜めリブは、2つの隣接するコーナー部間に延在する、A4~A6のいずれかに記載の装置。
【0106】
A8.各斜めリブは、テーパ状であって、中央部において高さが最大になる、A7に記載の装置。
【0107】
A9.各斜めリブは、隣接するコーナー部間で1つの他の斜めリブと交差する、A7又はA8に記載の装置。
【0108】
A10.各斜めリブは、隣接するコーナー部間で複数の斜めリブと交差する、A7又はA8に記載の装置。
【0109】
A11.各斜めリブは、水平リブと斜角をなす、A7~A10のいずれかに記載の装置。
【0110】
A12.各斜めリブは、隣接する水平リブ間に延在する、A7~A11のいずれかに記載の装置。
【0111】
A13.前記本体部の内側にキャリブレーション構造体をさらに含む、A0~A12のいずれかに記載の装置。
【0112】
A14.前記キャリブレーション構造体は、1つ以上のボスを含む、A13に記載の装置。
【0113】
B0.無線周波数フィルタを製造するための方法であって、無線周波数信号を受信するよう構成された長状の中空本体部をプリントすることを含み、前記中空本体部は、外側格子アレイで補強された外周側面部を有する、方法。
【0114】
B1.前記中空本体部の内側に、前記外側格子アレイの一部と整合するアイリス構造体をプリントすることをさらに含む、B0に記載の方法。
【0115】
B2.前記外側格子アレイは、前記中空本体部の内側における前記アイリス構造体と整合する水平リブを含む、B1に記載の方法。
【0116】
B3.前記プリント工程は、材料の複数の層を堆積させることを含む、B0~B2のいずれかに記載の方法。
【0117】
B4.前記本体部は、長軸を有しており、前記材料の各層は、前記長軸に平行である、B3に記載の方法。
【0118】
B5.前記本体部は、平面壁を含み、前記材料の各層は、前記平面壁と少なくとも45度の角度を形成する、B3又はB4に記載の方法。
【0119】
B6.前記材料は、焼結金属合金を含む、B3~B5のいずれかに記載の方法。
【0120】
B7.前記材料は、ポリマーを含む、B3~B6のいずれかに記載の方法。
【0121】
B8.導電性材料で前記中空本体部の内側をコーティングすることをさらに含む、B3~B7のいずれかに記載の方法。
【0122】
B9.前記中空本体部の内側をコーティングすることは、前記内側に金属メッキを施すことを含む、B8に記載の方法。
【0123】
B10.前記プリント工程は、二次的な支持体を使用せずに実行される、B0~B9のいずれかに記載の方法。
【0124】
B11.前記中空本体部における互いに反対側の端部にエンドキャップ構造体をプリントすることをさらに含む、B0~B10のいずれかに記載の方法。
【0125】
B12.エンドキャップ構造体に粉末抽出穴を形成することをさらに含み、前記中空本体部は、内径を有し、前記粉末抽出穴は、前記中空本体部の内径よりも小さい内径を有する、B11に記載の方法。
【0126】
B13.前記エンドキャップ構造体の閉塞部分を除去して、前記中空本体部を介した無線周波数アクセスを可能にすることをさらに含む、B11又はB12に記載の方法。
【0127】
B14.前記エンドキャップ構造体の前記閉塞部分を除去する前に、前記中空本体部に応力緩和処理を施すことをさらに含む、B13に記載の方法。
【0128】
B15.造形プレートから前記本体部を取り外す前に、前記本体部に応力緩和処理を施すことをさらに含む、B13に記載の方法。
【0129】
B16.無線周波数アクセスを可能にすることは、前記中空本体部の一次キャビティを露出させることを含む、B13に記載の方法。
【0130】
C0.内側及び外側を有するように付加製造により形成された長状の中空本体部と、前記本体部の内側におけるアイリス構造体と、前記アイリス構造体と整合する前記本体部の外側における補強構造体と、を含む、無線周波数フィルタ装置。
<効果、特徴、及び利点>
【0131】
本明細書に記載した無線周波数(RF)フィルタの様々な実施例は、フィルタ設計の既知の方策と比較して利点を有する。例えば、本明細書に記載の例示的な実施例は、手作業による組み付けを行わないRFフィルタの製造を可能にする。
【0132】
また、特に、本明細書に記載の例示的な実施例によれば、最低限の簡単な機械加工で、且つ、手作業による仕上げを必要とせずに、製造を行うことが可能である。
【0133】
また、特に、本明細書に記載の例示的な実施例によれば、設計通りの仕様からの誤差を最小限に抑えつつ、幾何学的に高精度のRFフィルタを繰り返し付加製造することができる。
【0134】
また、特に、本明細書に記載の例示的な実施例によれば、材料量を減らすことにより、重量、コスト、及びプリント時間を減らすことができる。
【0135】
既知のシステム及び装置には、特に付加製造プロセスにおいて二次的な支持部材を必要とせずに、このような機能を実現できるものは無い。なお、本明細書に記載した全ての実施例が、同じ利点又は同程度の利点をもたらすとは限らない。
<結語>
【0136】
上述の開示は、独自の有用性を有する複数の個別の実施例を包含しうる。これらの各々を、その好ましい形態で開示しているが、多くの変形例が可能であり、したがって、本明細書に開示及び図示した特定の実施形態を、限定的な意味で考慮すべきではない。本開示においてセクションごとの見出しが用いられている場合、そのような見出しは、単に体系化のみを目的としたものである。本開示の要旨は、本明細書に開示された様々な要素、特徴、機能、及び/又は特性の、全ての新規且つ非自明の組み合わせ及びサブコンビネーションを含む。以下の特許請求の範囲は、新規且つ非自明とみなされる、いくつかの組み合わせ及びサブコンビネーションを特に示している。特徴、機能、要素、及び/又は特性の、その他の組み合わせ及びサブコンビネーションは、本願又は関連出願に基づく優先権を主張する出願の特許請求の範囲に記載されうる。そのような特許請求の範囲は、元の特許請求の範囲よりも広いもの、狭いもの、均等のもの、又は異なるもの、のいずれであろうとも、本開示の構成要件に含まれるものとみなされる。
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図12