(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20241105BHJP
【FI】
G06N20/00 130
G06N20/00
(21)【出願番号】P 2020103338
(22)【出願日】2020-06-15
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】月川 剛徳
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/167556(WO,A1)
【文献】特開2007-285705(JP,A)
【文献】特開2012-038244(JP,A)
【文献】特開2015-166975(JP,A)
【文献】国際公開第2020/085379(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0147399(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付与対象へのアノテーションであって、作業者からの入力に基づく第1アノテーションを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記第1アノテーションと、比較対象とする第2アノテーションとを比較する比較手段と、
前記作業者のアノテーションの付与に係る作業時間を作業量で割ることで算出される単位作業時間が閾値以上となった場合に、前記比較手段による比較に基づいて、前記作業者の認識精度の低下を判定する判定手段と、
前記作業者の認識精度の低下が前記判定手段により判定された場合、警告を行う警告手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記比較手段による比較結果が前記第1アノテーションと、前記第2アノテーションとが一致しないとの結果である場合、前記作業者の認識精度が低下していると判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記付与対象へのアノテーションを推定する推定手段をさらに有し、
前記第2アノテーションは、前記推定手段により推定されたアノテーションであることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定手段は、機械学習された学習済モデルを利用して、前記付与対象へのアノテーションを推定することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2アノテーションは、前記推定手段による推定の確度が第1閾値以上であるアノテーションであることを特徴とする請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2アノテーションは、前記第1アノテーションに係る入力より前の前記作業者からの入力に基づく、前記付与対象へのアノテーションであることを請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記付与対象は、前記推定手段による推定の確度が第2閾値以下であり、
前記第2アノテーションは、前記第1アノテーションに係る入力より前の前記作業者からの入力に基づく、前記付与対象へのアノテーションであることを請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記警告手段は、情報を表示させるまたは音を出力させることで警告を行うことを特徴とする請求項1から
7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記警告手段は、認識精度が低下している可能性があることを示す情報または付与したアノテーションに誤りがある可能性を示す情報を表示させることを特徴とする請求項1から
8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記警告手段は、休憩を促す情報を表示させることを特徴とする請求項1から
9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記付与対象は、画像または文章であることを特徴とする請求項1から
10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記付与対象は、画像内のオブジェクトを含む領域であることを特徴とする請求項1から
11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記アノテーションは、前記付与対象に含まれるオブジェクトの名称であることを特徴とする請求項1から
12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記判定手段は、前記第1アノテーションと、前記第2アノテーションとが異なる領域に付与されているとの前記比較手段による比較結果である場合、前記作業者の認識精度が低下していると判定することを特徴とする請求項1から
13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
付与対象へのアノテーションであって、作業者からの入力に基づく第1アノテーションを取得し、
前記作業者のアノテーションの付与に係る作業時間を作業量で割ることで算出される単位作業時間が閾値以上となった場合に、取得された前記第1アノテーションと、比較対象とする第2アノテーションとの比較に基づいて、前記作業者の認識精度の低下を判定し、
前記作業者の認識精度の低下が判定された場合、警告を行うことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項16】
請求項1から
14のいずれか1項に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ある対象にアノテーションやタグ付けなどを行うことで分類することは一般に広く行われている。最近では、アノテーション付与やタグ付けを整理のための分類に用いるだけではなく、機械学習の教師データとして利用するということも増えている。
【0003】
しかし、アノテーションを付与する作業は単調になることが多く、単調な作業を繰り返し実施すると作業者の集中力が低下していき、ミスが発生しやすくなるという問題がある。
【0004】
作業者自身をモニタリングして集中力が低下しているどうかを推定する特許文献1に示される方法がある。この方法ではある特定の作業をしている作業者の生理学的パラメータを計測することで脳活動量や感情状態を取得する。また、作業者の集中度合いを判定し、脳活動量や感情状態と集中度合いのデータに基づいて、機械学習によって対応関係を特定する。そして、特定した対応関係を基に作業者が集中しているかどうかを推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に記載された方法では、集中度合いを判定するにあたり、脳波計などの実作業に直接関係のない装置が必要になってしまう。したがって、アノテーションの付与作業における作業者の集中力低下等に起因する認識精度の判定には、簡素化において改善の余地がある。
【0007】
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、アノテーションの付与作業における作業者の認識精度の判定を簡便に行い、認識精度低下に対する警告を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一手段として、本発明の情報処理装置は以下の構成を備える。
【0009】
すなわち、
付与対象へのアノテーションであって、作業者からの入力に基づく第1アノテーションを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記第1アノテーションと、比較対象とする第2アノテーションとを比較する比較手段と、
前記作業者のアノテーションの付与に係る作業時間を作業量で割ることで算出される単位作業時間が閾値以上となった場合に、前記比較手段による比較に基づいて、前記作業者の認識精度の低下を判定する判定手段と、
前記作業者の集中力の低下が前記判定手段により判定された場合、警告を行う警告手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アノテーションの付与作業における作業者の認識精度の判定を簡便に行い、認識精度低下に対する警告が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】情報処理装置が出力する画面例を示す図である。
【
図4】集中力判定用付与対象を判断する処理を表すフローチャートである。
【
図5】情報処理装置の全体処理を表すフローチャートである。
【
図6】付与データを受け付ける処理を表すフローチャートである。
【
図7】作業結果保管部で保管するデータ例を示す図である。
【
図8】集中力が低下しているかどうかを判断する処理を表すフローチャートである。
【
図9】実施形態2における情報処理装置の機能構成を示す図である。
【
図10】実施形態2における情報処理装置が出力する画面例を示す図である。
【
図11】実施形態2における集中力判定用付与対象を判断する処理を表すフローチャートである。
【
図12】実施形態2における情報処理装置の全体処理を表すフローチャートである。
【
図13】実施形態2における付与データを受け付ける処理を表すフローチャートである。
【
図14】実施形態2における作業結果保管部で保管するデータ例を示す図である。
【
図15】実施形態2における一度提示した付与対象を再度表示する時機を判断する処理を表すフローチャートである。
【
図16】実施形態2における集中力が低下しているかどうかを判断する処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0013】
<実施形態1>
図1は、本実施形態における情報処理装置100のハードウェア構成を示す図である。以下の実施形態で説明される情報処理装置100は、
図1に示すブロック図の構成を持つコンピュータ装置である。また、以降では、情報処理装置100を単一の装置として説明を行うが、これに限らない。すなわち、各実施形態における方法はそれぞれ単一のコンピュータ装置で実現してもよいし、必要に応じた複数のコンピュータ装置に各機能を分散して実現するようにしてもよい。複数のコンピュータ装置で構成される場合は、互いに通信可能なようにLocal Area Network(LAN)などで接続されている。
【0014】
図1において、101は情報処理装置100全体を制御するCentral Processing Unit(CPU)である。102は変更を必要としないプログラムやパラメータを格納するRead Only Memory(ROM)である。103は外部装置などから供給されるプログラムやデータを一時記憶するRandom Access Memory(RAM)である。
【0015】
104は情報処理装置100に設置されたハードディスクやメモリカードなどの外部記憶装置である。ただし、固定あるいは着脱可能な状態でも構わない。例えば、フレキシブルディスク(FD)やCompact Disk(CD)等の光ディスク、磁気や光カード、ICカード、メモリカードなども含む。105はユーザーの操作を受け、データを入力するポインティングデバイスやキーボード109などの入力デバイスとのインタフェースである。106は情報処理装置100の保持するデータや供給されたデータを表示するためのモニタ110とのディスプレイインターフェイスである。107はインターネット111などのネットワーク回線に接続するためのネットワークインタフェイスである。108は101~107の各ユニットを通信可能に接続するシステムバスである。
【0016】
本実施形態の情報処理装置100は、付与対象(例えば、画像や文章などのコンテンツ)に対してそれに含まれるオブジェクトの名称や意味合いなどのアノテーションを付与する装置である。また、情報処理装置100は、アノテーションの付与作業を実施する作業者の集中力の低下等に起因する認識精度の低下を作業実績に基づいて判定し、その結果に基づき認識精度の低下を検出した場合、作業者に警告・注意喚起を行う。
【0017】
本実施形態の情報処理装置100の機能構成について
図2を用いて説明する。以降に示す機能構成は、CPU101がROM102や外部記憶装置104に記憶されるプログラムを読み込み実行することにより情報の演算および加工、各ハードウェアの制御を行うことで実現される。なお、各機能構成をASICやFPGAなどのハードウェアにより実現してもよい。
【0018】
本実施形態における情報処理装置100は、作業者に対して提示する付与対象を処理する手段として、付与対象管理部201と付与対象提示部202を持つ。また、情報処理装置100は、作業者が付与対象に対して情報を付与する作業を処理する手段として、付与データ入力部203、作業結果保管部204を持つ。加えて、情報処理装置100は、付与対象に対して付与するべき付与データを事前に推定する手段として付与データ推定部205を持つ。さらに情報処理装置100は、付与対象の中から集中力の判定を行うのに適した付与対象を特定する集中力判定用付与対象判断部206を持つ。最後に、情報処理装置100は、作業者が集中しているかを判断し、集中していないと判断した場合に注意喚起し、警告する手段として、提示時機判断部207と集中力低下判断部208と警告表示部209を持つ。
【0019】
付与対象管理部201は、作業者が情報を付与する対象となる付与対象や、後述する集中力判定用付与対象を管理する。付与対象管理部201は単に付与対象を管理することに加え、作業するべき付与対象を格納する付与対象格納キューと、集中力判定用付与対象を管理する集中力判定用付与対象格納キューを持つ。なお付与対象は、具体的には画像、動画、文などの自然言語を構成する文字列、ファイルなどが挙げられる。以降では付与対象として画像を例に説明する。
【0020】
付与対象提示部202は、付与対象管理部201が管理している付与対象を作業者に提示する。付与データ入力部203は、付与対象提示部202で提示した付与対象に対して作業者が付与するアノテーションを含む付与データの入力を受け付ける。
図3に作業員に提示するユーザーインタフェースの例を示す。
【0021】
図3において、付与対象提示ウィンドウ300は、付与対象表示領域310、付与対象変更ボタン320、付与データ入力領域330を持つ。なお、付与対象提示部202は、付与対象表示領域310と付与対象変更ボタン320が該当し、付与データ入力部203は付与データ入力領域330が該当する。
【0022】
作業者が1つの付与対象について付与データを付与する付与作業は、付与対象表示領域310に表示された付与対象を確認し、その付与対象に付与するべきアノテーション情報を付与データ入力領域330に入力するものである。なお、入力が完了した場合は、付与対象変更ボタン320を使い、付与対象表示領域310に表示される付与対象を変更し、付与対象がなくなるまで繰り返す。
【0023】
作業結果保管部204は、付与対象提示部202で提示した付与対象と付与データ入力部203で入力された付与データを関連付けて保管する。また後述する付与データ推定部205が推定した結果である推定付与データについても、同様に付与対象と関連付けて保管する。
【0024】
付与データ推定部205は、付与対象管理部201で管理している付与対象に付与すべきと思われる付与データを事前に推定する。推定をするために、付与対象管理部201で管理している付与対象と同種類の付与対象と、その同種類の付与対象に付与するべき付与データの関係を機械学習することで、事前学習モデルを生成する。そして、情報処理装置100は、その事前学習モデルを用いて、付与対象管理部201で管理されているそれぞれの付与対象に対して、付与するべき付与データを推定する。推定された付与データは推定付与データとして、付与対象と関連付けて作業結果保管部204に保管される。
【0025】
なお、同種類の付与対象とは、例えば、作業者が画像中に写る車を見てその車の種類を付与データとして付与する場合は、付与対象管理部201で管理されている画像とは別の画像でかつ車が写る画像となる。また、推定付与データについては、事前学習モデルを使って推定した結果と、その確率によって構成される。推定付与データの例については
図7を用いて後述する。
【0026】
また、付与データ推定部205が用いる事前学習モデルは、情報処理装置100が機械学習を実行してもよいし、機械学習された学習済モデルを外部から取得してもよい。情報処理装置100が機械学習を実行する場合、情報処理装置100は、GPU(Graphical Processing Unit)をさらに有し、CPU101に加え、GPUを用いて機械学習を行ってもよい。GPUは、データをより多く並列処理することで効率的な演算を行うことができるので、ディープラーニングのよう複数回に渡り学習を行う場合に有効である。
【0027】
機械学習の具体的なアルゴリズムとしては、最近傍法、ナイーブベイズ法、決定木、サポートベクターマシンなどが挙げられる。また、ニューラルネットワークを利用して、学習するための特徴量、結合重み付け係数を自ら生成する深層学習(ディープラーニング)も挙げられる。適宜、上記アルゴリズムのうち利用できるものを用いて本実施形態に適用することができる。
【0028】
学習済モデルを作成する場合、入力データと出力データとの組合せを学習データ(教師データ)として複数個準備する。それらから機械学習によって知識を獲得し、獲得した知識に基づいて入力データに対する出力データを結果として出力する学習済みモデルを生成する。なお、学習済みモデルは、必要に応じて一定の処理後に更新しても良い。
【0029】
集中力判定用付与対象判断部206は、付与対象管理部201で管理されている付与対象が、集中力が低下しているかどうかを判定する際に利用できるものなのかどうかを判断する。集中力判定用付与対象判断部206により実行される判断処理の流れについては
図4に示すフローチャートを使って説明する。
【0030】
なお、
図4および以降で示すフローチャートにおける各ステップの処理は、CPU101がROM102や外部記憶装置104に記憶されるプログラムを読み込み実行することにより情報の演算や加工および各ハードウェアの制御を行うことで実現される。なお、
図4および以降に示すフローチャートにおける各ステップの処理の一部ないし全部を一つまたは複数のASICやFPGAなどのハードウェアにより実現する構成としてもよい。
【0031】
S401において、集中力判定用付与対象判断部206は、付与対象管理部201から付与対象を1つ取得する。
【0032】
S402において、集中力判定用付与対象判断部206は、作業結果保管部204からS401で取得した付与対象に対して推定された推定付与データを取得する。
【0033】
S403において、集中力判定用付与対象判断部206は、S402で取得した推定付与データに含まれる確度情報が第1閾値以上かどうかを判定する。判定の結果、第1閾値以上の場合はS404へ進み、第1閾値未満の場合は処理を終了する。
【0034】
なお第1閾値は、例えば、ユーザーが事前に設定したものを扱ってもいいし、付与対象管理部201で管理されている付与対象に対する推定付与データに含まれる確度情報の傾向をつかってもよい。確度情報の傾向とは、例えば、確率の平均から正の方向に標準偏差δの2倍を加えた値を第1閾値として用いるなどがある。また第1閾値を利用せずに、付与対象に対する推定付与データに含まれる確度情報が、付与対象全体の上位5%に含まれるかどうかで判定してもよい。
【0035】
S404において、集中力判定用付与対象判断部206は、付与対象に集中力判定用フラグを設定する。その後は処理を終了する。なお集中力判定用フラグは、付与対象管理部201でデータベースを利用して付与対象管理している場合は、データベースの列として設定しもよいし、付与対象がファイルであった場合はファイルのメタデータとして付与してもよい。
【0036】
S401からS404の処理は付与対象1つに対して行う処理であり、集中力判定用付与対象判断部206では、付与対象管理部201で管理されている付与対象すべてについて、この処理を実施する。
【0037】
このように、情報処理装置100は、推定した付与データの確度が高い対象を、作業者が集中力の確認を実施する際に用いることで精度高く集中力の判定を行うことができる。
【0038】
提示時機判断部207は、集中力判定用付与対象判断部206が判断した結果となる集中力判定用付与対象を作業者に提示するタイミングを判断する。
【0039】
集中力低下判断部208は、付与対象提示部202により表示された集中力判定用付与対象に対して作業者により付与された付与データを利用して集中力が低下しているかどうかを判定する。詳細は
図8を用いて後述する。
【0040】
警告表示部209は、集中力低下判断部208によって集中力が低下していると判断された場合に、作業者に対して注意喚起や警告を行う。
【0041】
次に、本実施形態における情報処理装置100の全体の処理の流れについて
図5を用いて説明する。
【0042】
S501において、情報処理装置100は、付与対象管理部201で管理されている付与対象の中から作業者が作業する付与対象を付与対象格納キューに格納する。付与対象格納キューは作業者ごとに個別に作成しても良いし、全体で1つのキューを複数人の作業者で共有してもよい。
【0043】
S502において、情報処理装置100は、付与対象管理部201で管理されている付与対象の中から集中力判定用フラグを持つ付与対象を集中力判定用付与対象格納キューに格納する。
【0044】
S503において、情報処理装置100は、集中力判定用付与対象提示後の経過時間を取得するために、集中力判定用付与対象提示間隔タイマーを開始する。
【0045】
S504において、情報処理装置100は、S501で付与対象を格納した付与対象格納キューに付与対象が存在するかを確認する。存在していた場合はS505へ、存在していない場合は処理を終了する。
【0046】
S505において、情報処理装置100は、提示時機判断部207で集中力判定付与対象を提示する時機かどうかを判定する。具体的には集中力判定用付与対象提示間隔タイマーの時間が一定時間以上経過しているかどうかで判定する。すなわち、情報処理装置100は、所定の期間ごとに定期的に集中力低下を判断するとともに、前回の判定から一定時間は判定を実施しないようにする。なお、一定時間は10分など固定の時間を用いてもよいし、10分などの固定の時間に一定のランダムな振れ幅(―2分~+2分)を持たせた時間を用いてもよい。まだ提示する時機ではないと判断した場合はS506へ、提示する時機だと判断した場合はS507へ処理を進める。このように、情報処理装置100は、定期的に集中力が低下したかの判定処理を実施することで、集中力が低下した状態で作業が継続されることや集中力の低下に基づくアノテーションの付与作業のミスを未然に防ぐことが可能となる。
【0047】
S506において、情報処理装置100は、付与対象提示部202で付与対象を提示して、作業者が入力した付与データを受け付ける。詳細な処理の流れは
図6を使って後述する。その後S504へ進む。
【0048】
S507において、情報処理装置100は、付与対象提示部202で集中力判定用付与対象を提示して、作業者が入力した付与データを受け付ける。なおS506の処理とS507の処理は基本的には同じで、作業者に提示する付与対象が異なっている。具体的にはS506では通常の付与対象が提示され、S507では集中力判定用付与対象が提示される。また、作業者にとっては通常の付与対象と、集中力判定用付与対象は同じものとして扱うことができる。詳細は処理の流れはS506と合わせて
図6を使って後述する。
【0049】
S508において、情報処理装置100は、S503で開始した集中力判定用付与対象提示間隔タイマーをリセットする。
【0050】
S509において、情報処理装置100は、S507で提示した付与対象に対して作業者が付与した付与データと、その付与対象の推定付与データを使って作業者の集中力が低下しているかどうかを集中力低下判断部208で判定する。判定処理の詳細は
図8を使って後述する。判定の結果、集中力が低下していない場合はS504へ進み、低下している場合はS510へ進む。
【0051】
S510において、情報処理装置100は、作業者に対して付与対象提示部202を使って集中力が低下している旨を注意喚起し警告する。情報処理装置100は、モニタ110にメッセージにより、注意喚起や警告を表示してもよいし、音を出力することで注意喚起や警告を行ってもよい。情報処理装置100は、注意喚起や警告として、集中力が低下している可能性があることを示す情報を作業者に提示してもよい。また、情報処理装置100は、注意喚起や警告として、作業者の認識精度が低下している可能性があることを示す情報を提示してもよい。また、情報処理装置100は、注意喚起や警告として、作業者の目の疲れが生じていないかを警告する情報を提示してもよい。また、情報処理装置100は、注意喚起や警告として、休憩を促す情報を作業者に提示してもよい。また、情報処理装置100は、注意喚起や警告として、付与したアノテーションに誤りがある可能性を示す情報を作業者に提示してもよい。また、情報処理装置100は、例示した上記の注意喚起や警告を複数組み合わせて行ってもよい。
【0052】
次に、付与対象を提示し、作業者の入力した付与データを受け付ける処理の流れについて
図6を使って説明する。
【0053】
S601において、情報処理装置100は、付与対象管理部201から付与対象を取得し、付与対象提示部202を使って作業者に付与対象を表示することで作業者に提示する。なお、情報処理装置100は、付与対象管理部201から付与対象を取得する際は、通常の付与対象を取得する場合は付与対象格納キューから、集中力判定用付与対象を取得する場合は集中力判定用付与対象格納キューから付与対象を取得する。
【0054】
S602において、情報処理装置100は、作業者が付与データの入力を完了したかどうかを判定する。入力が完了している場合はS603へ処理を進め、入力が完了していない場合は完了するまで判定を続ける。
【0055】
S603において、情報処理装置100は、作業者が入力した付与データを、付与データ入力部203を使って取得する。なお、付与データは、付与対象に含まれるオブジェクトの名称や意味合いを示すアノテーション情報を含むデータである。
【0056】
S604において、S601で提示した付与対象と、S603で取得した付与データを、関連付けて作業結果として、作業結果保管部204に格納する。なお、作業結果データの例は
図7を使って説明する。
【0057】
推定付与データおよび作業結果データの例について、
図7を使って説明する。
【0058】
図7(a)、
図7(b)、
図7(c)に作業結果保管部204に存在するデータベースのテーブル例を示す。
【0059】
図7(a)に示した付与対象格納テーブル710は、3つの列から構成される。また1つの付与対象は付与対象格納テーブル710の1行で表される。列711は付与対象である画像を識別するIDを格納する列である。列712は画像のファイルパスを格納する列である。列713は付与対象が集中力判定用なのかどうかを表す集中力判定用フラグを格納する列である。
【0060】
図7(b)に示した推定付与データ格納テーブル720は、4つの列から構成される。また1つの推定付与データは推定付与データ格納テーブル720の1行で表される。列721は推定結果を識別するIDを格納する列である。列722は推定結果のアノテーション情報を格納する列である。列723は推定結果の確度情報を格納する列である。列724は推定した対象である画像のIDを格納する列である。
【0061】
図7(c)に示した付与データ格納テーブル730は3つの列から構成される。また1つの付与データは付与データ格納テーブル730の1行で表される。列731は付与データを識別するIDを格納する列である。列732は付与結果を格納する列である。列733は付与した対象である画像のイメージIDを格納する列である。
【0062】
次に集中力低下判断部208で実施する集中力が低下しているかどうかの判定処理について
図8を使って説明する。
【0063】
S801において、情報処理装置100は、集中力低下判断部208で集中力判定に用いる付与対象に対する推定付与データを取得する。
【0064】
S802において、情報処理装置100は、付与対象に対する付与データであって、作業者が入力したアノテーションを含む付与データを集中力低下判断部208で取得する。すなわち、情報処理装置100は、付与対象に作業者の入力により付与されたアノテーションを取得する。集中力判定において、推定付与データが示すアノテーションが作業者により入力されたアノテーションとの比較対象となる。
【0065】
S803において、情報処理装置100は、S801で取得した推定付与データとS802で取得した付与データを比較し、一致しているかを集中力低下判断部208で判定する。一致している場合は処理を終了する。一致していない場合はS804へ進む。
【0066】
S804において、情報処理装置100は、集中力低下判断部208で作業者の集中力が低下していると判定する。なお、本実施形態では、付与対象の中から集中力判定用付与対象を判断する際に、推定付与データに含まれる確度情報が第1閾値以上であるものとしている。この第1閾値を非常に高い値に設定しておくことで、推定付与データが正解と等しいとすることができる。これは推定付与データの確度情報の値が非常に高いことが、付与データを識別する特徴が際立っていることを意味し、作業者にとっても判断しやすい状況になっていると考えることができるためである。
【0067】
これにより、推定付与データとは異なる付与データを作業者が付けていた場合、判断しやすい状況において作業者が間違えたことを意味することとなり、これを集中力が低下していると判断する。また正解だと考えられるデータとして、推定付与データを使わずに、別の作業者もしくは作業結果を検証する検証者が同一の付与対象に対して事前に付与した付与データとS802で取得した付与データが一致しているかを判定してもよい。
【0068】
これにより作業者は、通常通り付与対象に対して付与データを付与するという作業を行いながら、集中力が低下しているかどうかが警告されることとなる。警告にしたがって休憩などを取ることで、集中力が低下してきたときに無理に作業を行ってミスを発生させることを防ぐことが可能となる。
【0069】
なお、S803において、推定付与データの付与データが示すアノテーションと作業者により入力されたアノテーションとの比較結果が、一致しない場合を集中力が低下していると判定する構成としたがこれに限られない。例えば、推定付与データの付与データが示すアノテーションと作業者により入力されたアノテーションとの比較結果が類義語である場合や、上位概念と下位概念を示す場合は、集中力が低下していないと判定する構成としてもよい。
【0070】
<実施形態2>
実施形態2の情報処理装置100の機能構成を
図9に示す。なお、
図2に示した構成と同じものについては
図2で使用していたものと同じ番号が記載している。なお、実施形態2の情報処理装置100のハードウェア構成は、実施形態1と同様である。
【0071】
図2において、作業時間計測手段901は、付与対象提示部202で作業者に対して付与対象を提示してから、付与データ入力部203で入力を受け取るまでの時間を作業時間として計測する。
【0072】
実施形態2における作業員に提示するユーザーインタフェースの例を
図10に示す。
図10(a)の付与対象提示ウィンドウ300、付与対象表示領域310、付与対象変更ボタン320、付与データ入力領域330は
図3に示すものと同様である。
【0073】
図10では、付与対象内の複数の領域に対して、それぞれ付与データを付与する例を示している。実施形態2においては実施形態1と同様に付与対象として画像を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、付与対象が文を構成する文字列であってもよい。また、付与対象が文を構成する文字列の場合、文中の特定の単語を指定してアノテーションをつけてもよい。
【0074】
図10において、付与対象内の領域を指定するためにはカーソル1001を使う。マウスなどのポインティングデバイスをクリックし、ドラッグすること矩形の位置範囲を指定することで領域を指定する。なお、ポインティングデバイスを使ってクリックしたりドラッグしたりすることで領域を指定する方法は一例である。他の例として、タッチパネル上で指や電子ペンを使ってタップしたりドラッグしたりするなど、UI上で領域を指定する公知の技術を利用してもよい。
【0075】
図10(a)に示す領域1011は付与データ推定部205で推定した領域を表している。
図10の例では領域が推定領域であることを、領域の境界線を点線で表示することで示している。なお、境界線を点線にする以外にも境界線の色を変えたり、領域内の色を変えたりする方法で推定領域であることを示してもよい。また推定領域である領域1011を選択した状態を
図10(b)に示す。
図10(b)の例では領域が選択されていることを、領域の境界線を太線で表示することで示す。領域1031は推定領域であり、かつ選択されている状態なため、太点線で表示される。作業者は領域1031を選択するとその領域の大きさを自由に変更することが可能である。変更する際はハンドル1032を利用する。
図10の例ではハンドルは領域の境界線の四隅および各辺の中点に配置しているが、ハンドルの配置は一例でありその他の位置に配置してもよい。
【0076】
図10(a)に示す領域1012は作業者がカーソル1001を使って新たに生成した領域である。領域1012を選択した状態を
図10(c)に示す。
図10(c)においても、上述の推定領域と同様に、境界線を太線で表示することで選択されていることを示している。また
図10(c)においても
図10(b)と同様に選択された領域の大きさを自由に変更することが可能である。変更する際はハンドル1042を利用する。ハンドルの配置は上述の推定領域と同様である。
【0077】
加えて、推定領域か新たに作成した領域かに関わらず、領域を選択した状態で、作業者が付与データ入力領域330に付与データを入力することで、領域に対して付与データを付与することが可能となる。
図10(b)に示した例では、付与データ入力領域330にデータを入力すると推定領域を選択した領域1031に対して付与したことになる。また、
図10(c)に示した例では、付与データ入力領域330にデータを入力すると新たに作成した領域を選択した領域1041に対して付与したことになる。
【0078】
また、推定付与データとしては領域だけでなくアノテーション情報も推定アノテーション情報表示領域1020に表示する。すなわち、情報処理装置100は、画像内に存在するオブジェクトの領域を1または複数推定するとともに、推定した各領域に存在するオブジェクトの付与データを推定する。また、情報処理装置100は、検出したオブジェクトが占める領域を推定領域として表示させるとともに、検出したオブジェクトの推定した付与データを推定アノテーション情報として表示させる。
【0079】
ここで表示したアノテーション情報は、作業者にとっては参考情報になるが、あくまでも事前学習モデルが推定した結果であり、必ずしも正しいわけではない。そのため、作業者は推定アノテーション情報表示領域1020に表示されたアノテーションが正しいかを確認した後、正しければ表示されているものを、誤っていれば正しいアノテーションを付与データ入力領域330に入力する。なお、確度情報を併せて表示させてもよい。
【0080】
また、
図10では推定アノテーション情報表示領域1020と付与データ入力領域330を分けた例を示しているが、まとめて1つにしてもよい。具体的には付与データ入力領域330に、推定付与データに含まれるアノテーション情報を入力した状態で表示する方法などがある。
【0081】
次に実施形態2における、集中力判定用付与対象判断部206で行う付与対象の中から集中力判定用付与対象を判断する処理について
図11を使って説明する。
【0082】
S1101において、集中力判定用付与対象判断部206は、付与対象管理部201から付与対象を1つ取得する。
【0083】
S1102において、集中力判定用付与対象判断部206は、作業結果保管部204から、S1101で取得した付与対象に対して推定された推定付与データをすべて取得する。なお
図10に示したように付与対象内の領域に対して付与データを付与する必要がある場合は、推定付与データも付与対象内の領域と付与データの組の情報になる。そのため付与データ推定部205においても付与データを付与する領域と、その領域に対する付与データの推定が行われる。結果として付与対象には複数の推定付与データが存在する可能性があることとなる。S1102では、推定付与データが複数存在した場合はすべて取得する。
【0084】
S1103において、集中力判定用付与対象判断部206は、S1102で取得した1または複数の推定付与データのうち、推定付与データに含まれる確度が1つでも第2閾値以下になっているかどうかを判定する。判定の結果、推定付与データに含まれる確度が第2閾値以下となる推定付与データが存在する場合はS1104へ進み、推定付与データに含まれる確度がすべて第2閾値より大きい場合は処理を終了する。なお第2閾値は、例えば、ユーザーが事前に設定したものを扱ってもいいし、付与対象管理部201で管理されている付与対象に対する推定付与データに含まれる確率の傾向をつかってもよい。確率の傾向とは、例えば、確率の平均を用いるなどがある。
【0085】
このように、情報処理装置100は、推定されたアノテーションの確度が低いもの、すなわち、作業者により確認や修正が必要な可能性が高い付与対象を用いて集中力が低下しているか否かを判定する。これにより、作業者の集中力が低い場合には、推定されたアノテーションを修正することなく承認してしまう可能性が高いため、精度よく集中力の低下を検出することが可能となる。
【0086】
S1104において、集中力判定用付与対象判断部206は、付与対象に集中力判定用フラグを設定して処理を終了する。なお集中力判定用フラグは、付与対象管理部201でデータベースを利用して付与対象管理している場合は、データベースの列として設定しもよいし、付与対象がファイルであった場合はファイルのメタデータとして付与してもよい。
【0087】
S1101からS1104の処理は付与対象1つに対して行う処理であり、集中力判定用付与対象判断部206では、付与対象管理部201で管理されている付与対象すべてについて、この処理を実施する。
【0088】
次に、実施形態2の情報処理装置100の全体の処理の流れについて
図12を用いて説明する。
【0089】
S1201において、情報処理装置100は、付与対象管理部201で管理されている付与対象の中から作業者が作業する付与対象を付与対象格納キューに格納する。付与対象格納キューは作業者ごとに個別に作成しても良いし、全体で1つのキューを複数人の作業者で共有してもよい。なお、実施形態2においては、情報処理装置100は、処理開始時には集中力判定用付与対象格納キューに付与対象は格納しない。これは実施形態2において、集中力判定用フラグがあり、かつ作業者に1回以上提示されたことがある付与対象を集中力判定用付与対象と判断するためである。集中力判定用付与対象格納キューに付与対象を格納する処理の詳細は
図13を用いて後述する。
【0090】
S1202において、情報処理装置100は、集中力判定用付与対象提示後の経過時間を取得するために、集中力判定用付与対象提示間隔タイマーを開始する。本タイマーは、集中力の低下の判定処理を所定の期間の経過後でなければ再度実施しないためのタイマーである。
【0091】
S1203において、情報処理装置100は、付与対象管理部201で管理されている付与対象格納キューに付与対象が存在するかを確認する。存在していた場合はS1204へ、存在していない場合は処理を終了する。
【0092】
S1204において、情報処理装置100は、付与対象を提示して、作業者が入力した付与データを受け付ける。詳細な処理の流れは
図13を使って後述する。
【0093】
S1205において、情報処理装置100は、提示時機判断部207で集中力判定付与対象を提示する時機かどうかを判定する。詳細は
図15を用いて後述する。判定の結果、提示する時機であると判断した場合はS1206へ、提示する時機ではないと判断した場合はS1203へ処理を進める。
【0094】
S1206において、情報処理装置100は、付与対象管理部201で管理している集中力判定用付与対象格納キューに集中力判定用付与対象があるかどうかを確認する。確認の結果、ある場合はS1207へ、ない場合はS1203へ処理を進める。
【0095】
S1207において、S1202で開始した集中力判定用付与対象提示間隔タイマーをリセットする。
【0096】
S1208において、情報処理装置100は、集中力判定用付与対象を提示して、作業者が入力した付与データを受け付ける。なおS1204の処理とS1208の処理は基本的には同じで、作業者に提示する付与対象が異なっている。具体的にはS1204では通常の付与対象が提示され、S1208では集中力判定用付与対象が提示される。また、作業者にとっては通常の付与対象と、集中力判定用付与対象は同じものとして扱うことができる。詳細は処理の流れはS1204と合わせて
図13を使って後述する。
【0097】
S1209において、情報処理装置100は、S1208で付与された付与データと、同じ付与対象に対して過去付与された付与データを比較する。比較処理については
図16を用いて後述する。
【0098】
S1210において、情報処理装置100は、S1209の比較の結果、両者に違いがあった場合はS1211へ、同じであった場合はS1203へ処理を進める。
【0099】
S1211において、情報処理装置100は、作業者に対して付与対象提示部202を使って集中力が低下している旨を注意喚起し警告する。なお、S1211における警告の態様は、S510で説明した態様と同様である。
【0100】
次に、付与対象を提示して作業者の入力した付与データを受け付ける処理の流れについて
図13を使って説明する。
【0101】
S1301において、情報処理装置100は、付与対象管理部201から付与対象を取得し、付与対象提示部202で作業者に付与対象を表示する。なお、付与対象管理部201から付与対象を取得する際は、通常の付与対象を取得する場合は付与対象格納キューから、集中力判定用付与対象を取得する場合は集中力判定用付与対象格納キューから付与対象を取得する。
【0102】
S1302において、情報処理装置100は、S1301で取得した付与対象に対して、付与データ推定部205で推定した推定付与データを、作業結果保管部204から取得する。なお付与対象に対して複数の推定付与データが存在していた場合は、すべて取得する。すなわち、付与対象が画像である場合は、当該画像に対して複数の推定領域があれば、これらに関する複数の推定付与データをすべて取得する。
【0103】
S1303において、情報処理装置100は、S1301で取得した付与対象を付与対象提示部202で作業者に対して表示するのと同時に、
図10で示したようにS1302で取得した推定付与データも付与対象提示部202で表示する。
【0104】
S1304において、情報処理装置100は、作業者の作業時間を計測するために作業時間計測手段901を使って、作業時間タイマーを開始する。
【0105】
S1305において、情報処理装置100は、作業者が付与データの入力を完了したかどうかを判定する。入力が完了している場合はS1306へ処理を進め、入力が完了していない場合は完了するまで判定を続ける。
【0106】
S1306において、情報処理装置100は、S1304で開始した作業時間タイマーを停止する。
【0107】
S1307において、情報処理装置100は、作業者が入力した付与データを、付与データ入力部203を使って取得する。
【0108】
S1308において、情報処理装置100は、S1301で提示した付与対象と、S1307で取得した付与データと、S1306でタイマーを停止したことで得られる経過時間を関連付けて作業結果として、作業結果保管部204に格納する。なお、作業結果データの例は
図14を使って説明する。
【0109】
S1309において、情報処理装置100は、S1301で提示した付与対象に集中力判定用フラグが設定されているかどうかを判定する。集中力判定用フラグが設定されていた場合はS1310へ、設定されていない場合は処理を終了する。
【0110】
S1310において、情報処理装置100は、S1301で提示した付与対象を付与対象管理部201で集中力判定用付与対象格納キューに格納する。
【0111】
推定付与データおよび作業結果データの例について、
図14を使って説明する。
【0112】
【0113】
図14(a)に示した付与対象格納テーブル1410は、3つの列から構成される。また1つの付与対象は付与対象格納テーブル1410の1行で表される。列1411は付与対象である画像を識別するIDを格納する列である。列1412は画像のファイルパスを格納する列である。列1413は付与対象が集中力判定用なのかどうかを表す集中力判定用フラグを格納する列である。
【0114】
図14(b)に示した推定付与データ格納テーブル1420は、5つの列から構成される。また1つの推定付与データは推定付与データ格納テーブル1420の1行で表される。列1421は推定結果を識別するIDを格納する列である。列1422は推定結果を格納する列である。列1423は推定結果の確度情報を格納する列である。列1424は推定した対象である画像のIDを格納する列である。列1425は推定した対象である画像内に含まれる領域のIDを格納する列である。なお領域は後述する領域テーブル1440で管理されている。
【0115】
図14(c)に示した付与データ格納テーブル1430は6つの列から構成される。また1つの付与データは付与データ格納テーブル1430の1行で表される。列1431は付与データを識別するIDを格納する列である。列1432は付与結果を格納する列である。列1433は付与データの付与作業を開始した日時を格納する列である。列1434は付与データの付与する際の作業を終了した日時を格納する列である。列1435は推定した対象である画像のIDを格納する列である。列1436は付与した対象である画像内に含まれる領域のIDを格納する列である。なお領域は後述する領域テーブル1440で管理されている。
【0116】
図14(d)に示した領域テーブル1440は、5つの列から構成される。また付与対象内の1つの領域は領域テーブル1440の1行で表される。列1441は領域を識別するIDを格納する列である。列1442は領域の左上の点を起点とし、その起点のX座標の値を格納する列である。列1443は領域の左上の点を起点とし、その起点のY座標の値を格納する列である。列1444は領域の幅の値を格納する列である。列1445は領域の高さの値を格納する列である。
【0117】
次に、実施形態2における集中力判定用付与対象を提示する時機を提示時機判断部207で判断する処理の流れについて
図15を用いて説明する。
【0118】
S1501において、情報処理装置100は、前回集中力判定用付与対象を表示してから第3閾値以上の時間が経過しているかどうかを判定する。第3閾値以上の時間が経過していた場合はS1502へ、第3閾値未満の場合は処理を終了する。なお、第3閾値は連続して集中力判定用付与対象を作業者に提示しないようにするために設定するものである。頻繁に集中力判定用付与対象を表示したい場合は0にして、事実上この判断を実施しないようにしても構わない。
【0119】
S1502において、情報処理装置100は、作業者が作業した結果として、直近の付与データを取得する。
図14に示したデータの例を使って説明する。情報処理装置100は、付与データ格納テーブル1430の中から、列1435のIDと作業者が作業した付与対象のIDが同じ、かつ列1433の開始日時、列1434の終了日時が等しく、かつ列1433の開始日時が最新の行を取得する。
図14(c)に示した付与データ格納テーブル1430の例では、列1431のIDであるJとJ+1の2つがこれに該当するものである。
【0120】
S1503において、情報処理装置100は、S1502において取得した付与データの列1434の終了日時から列1433の開始日時を引き算することで作業時間を算出する。
図14に示した付与データ格納テーブル1430の例では、2019年12月17日11時25分20秒から2019年12月17日11時23分52秒を引いた88秒となる。
【0121】
S1504において、情報処理装置100は、作業結果であるS1502において取得した付与データから作業項目を抽出する。作業項目とは、例えば、ラベル付けや領域の指定などが該当する。
図14の例で説明すると、抽出した1または複数の行の中で列1432に1つでも値があれば、作業項目としてラベル付けを抽出する。次に、抽出した1または複数の行の中で列1436に1つでも値があれば、作業項目として領域指定を抽出する。なお、本実施形態ではラベル付けと領域指定の例を示したが、作業項目はこれに限定されない。例えば、付与対象が動画であった場合は、動画の区間指定が作業項目となったり、文字列であれば文節ごとの区切れ目の指定が作業項目になったりする。
【0122】
S1505において、情報処理装置100は、付与対象に対して付与データを付与した数とS1504で抽出した作業項目に応じた重みを組み合わせて作業量を算出する。
図14に示したデータの例を使って説明する。まず付与データの数としてはS1502で取得した付与データから2つとなる。その後、S1504で抽出した作業項目に応じた重みを掛け合わせる。具体的には、ラベル付けの重みが1、領域選択の重みが3であった場合、付与データを生成するのに必要な作業量は、付与データ1つ当たりラベル付けの1と領域選択の3を加えた4となる。ここの説明では付与データは2つあるので、4×2で8が作業量となる。
【0123】
S1506において、情報処理装置100は、S1503で算出した作業時間を、S1505で算出した作業量で割り、単位作業時間を算出する。
図14の例では、作業時間が88秒で作業量が8なので、単位作業時間は11秒となる。
【0124】
S1507において、情報処理装置100は、S1506で算出した単位作業時間が第4閾値以上かどうかを判定する。また第4閾値はシステム全体で1つに設定しても良いし、作業者ごとに事前に設定してもよい。また各作業において単位作業時間を算出し、その平均や中央値を使ってもよい。第4閾値以上の場合はS1508へ処理を進め、第4閾値未満の場合は処理を終了する。
【0125】
S1508において、情報処理装置100は、S1507で単位作業時間が第4閾値以上であると判定されたため、作業者が通常よりも作業に集中できていない可能性があると判断し、集中力判定用付与対象を提示する時機であると判定する。すなわち、情報処理装置100は、作業者のアノテーションの付与に係る作業時間に基づき作業効率を判定し、作業効率が低下している場合に、集中力が低下しているかの判定を実施する。このようにすることで、集中力が低下し始めた場合に必要に応じて警告を行うことでアノテーションの付与のミスを未然に防ぐことが可能となる。
【0126】
次に実施形態2における集中力が低下しているかどうかを判定する処理の流れについて
図16を用いて説明する。
【0127】
S1601において、情報処理装置100は、付与対象に対して付与された第1付与データ群を作業結果保管部204から取得する。第1付与データは作業者が直近に付与したデータであり、集中力判定用付与対象として提示された付与対象に対して付与した付与データとなる。
【0128】
図14に示したデータの例を使って説明する。説明のため、現在時刻は2019年12月16日15時36分12秒という前提で、
図14(c)に示す付与データ格納テーブル1430の最新のデータはIDがI+1のデータまでしかないものとする。この前提のもと、付与データ格納テーブル1430の中から、列1435のIDと作業者が作業した付与対象のIDが同じ、かつ列1433の開始日時、列1434の終了日時が等しく、かつ列1433の開始日時が最新の行を取得する。
図14に示した付与データ格納テーブル1430の例では、列1431のIDがIとI+1の2つがこれに該当するものである。
【0129】
S1602において、情報処理装置100は、付与対象に対して付与された第2付与データ群を作業結果保管部204から取得する。第2付与データは作業者が以前に付与したデータであり、通常の付与対象として提示された付与対象に対して付与した付与データとなる。
図14に示したデータの例を使って説明する。説明のため、S1601と同様、時刻は2019年12月16日15時36分12秒という前提で説明する。また
図14(c)に示す付与データ格納テーブル1430にはIDがI+1のデータまでで、イメージID1に対して付与された付与データは、IDが1,2、I,I+1の4つしかないものとする。
【0130】
付与データ格納テーブル1430の中から、列1435のIDと作業者が作業した付与対象のIDが同じ、かつ列1433の開始日時、列1434の終了日時が等しく、かつ列1433の開始日時が最新の行を取得する。
図14に示した付与データ格納テーブル1430の例では、列1431のIDが1と2の2つがこれに該当するものである。
【0131】
S1603において、情報処理装置100は、S1601で取得した第1付与データ群に含まれる付与データの数と、S1602で取得した第2付与データ群に含まれる付与データの数が同じかどうかを判定する。同じであった場合はS1604へ、異なった場合はS1610へ処理を進める。
図14の例では、第1付与データ群の数が2つで、第2付与データ群の数が2つなので同じとなる。
【0132】
S1604において、情報処理装置100は、S1601で取得した第1付与データ群に含まれる付与データを判定キューに格納する。
【0133】
S1605において、情報処理装置100は、判定キューに付与データが存在するかどうかを判定する。存在していた場合はS1606へ処理を進め、存在していない場合は処理を終了する。
【0134】
S1606において、情報処理装置100は、判定キューから付与データを第1判定対象付与データとして取得する。
【0135】
S1607において、情報処理装置100は、S1606で取得した第1判定対象付与データに含まれる領域情報と、類似した領域情報を持つ付与データが第2付与データ群の中に存在しているかどうかを判定する。存在していた場合はS1607へ、存在していない場合はS1610へ処理を進める。ここで類似した領域とは、領域を定める領域左上の点である起点のX座標とY座標、幅、高さの4つ情報が、ある一定値の幅の範囲内に含まれているかどうかで判断する。
【0136】
図14に示したデータの例を使って説明する。上述の説明で付与データ格納テーブル1430のIDが1と2の付与データを第1付与データ群、IDがIとI+1のデータを第2付与データ群となっていた。第1付与データ群の中からIDが1の付与データを第1判定対象付与データとすると、IDが1の付与データは領域IDがLなので、領域テーブル1440のIDがLの領域データを参照する。するとIDがLの領域データでは起点のX座標が8、起点のY座標が14、幅が489、高さが294となっている。次にこの4つの値に対して、それぞれ第2付与データ群に含まれる付与データと比較する。まず第2付与データ群に含まれるIDがIの付与データは領域IDがMなので領域Mを確認する。すると、領域Mの起点のX座標が12、起点のY座標が15、幅が492、高さが297となっている。類似の条件として起点のX座標、起点のY座標、幅、高さの4つの値に対して、許容幅を±10以内であると設定すると、IDがLの領域とIDがMの領域は類似しているといえる。上述の説明では許容幅を±10としたがこれに限定されるものではない。
【0137】
このように、情報処理装置100は、比較対象とする過去に入力されたアノテーションと、作業者により直近に入力されたアノテーションとが異なる領域に付与されているとの比較結果である場合、作業者の集中力が低下していると判定することができる。
【0138】
S1608において、情報処理装置100は、S1607において類似領域を持つと判定された付与データを第2判定対象付与データとして取得する。
図14に示したデータの例では、上述の説明で類似領域であると判定されたIDがMの領域を持つIDがIの付与データが第2判定対象付与データとなる。
【0139】
S1609において、情報処理装置100は、第1判定対象付与データの持つラベルと第2判定対象付与データの持つラベルが同じかどうかを判定する。同じ場合はS1605へ、異なる場合はS1610へ処理を進める。なお、上述の例の説明では第1判定対象付与データのラベルが普通車で、第2判定対象付与データのラベルが普通車なので、一致していると判定される。
【0140】
なお、S1609において、過去に入力されたアノテーションと直近に入力されたアノテーションとの比較結果が、一致しない場合を付与データが異なり、集中力が低下していると判定する構成としたがこれに限られない。例えば、過去に入力されたアノテーションと直近に入力されたアノテーションとの比較結果が類義語である場合や、上位概念と下位概念を示す場合は、付与データは一致し、集中力が低下していないと判定する構成としてもよい。
【0141】
S1610において、情報処理装置100は、付与データが異なると判断する。
【0142】
これにより、作業者が同一の付与対象に対して複数回付与した付与データがそれぞれ異なるかどうかがわかる。本来であれば、複数回実施しても同じ付与データになる必要があるが、これが異なっていた場合は作業者が通常の判断ができなかったものと考えることができる。これにより作業者の集中力が低下していると判断する。そして集中力が低下していることを警告し、その警告にしたがって休憩を作業者に取らせることで、集中力が低下してきたときに無理に作業を行ってミスを発生させることを防ぐことが可能となる。
【0143】
以上説明した各実施形態によれば、作業者が付与対象に対して情報を付与する作業を実施するにあたり、作業者が実施した作業結果を基に、作業者の認識精度が低下しているかどうかを判断し、認識精度が低下している場合には、警告を出すことが可能となる。これにより警告を受けた作業者は、作業を中断して休憩を取ったのち、再度集中した状態で作業を実施することが可能となり、作業ミスを防止することが可能となる。また、作業者が認識精度低下しているかどうかを判定するのに実際の作業と関係が希薄な装置を使う必要がないため、コストの増加も大幅に抑制することが可能となる。
【0144】
<その他の実施形態>
上述の実施形態1と実施形態2とを適宜組み合わせてもよい。例えば、所定回数ごとに集中力低下を判定する処理を実施形態1の方法と実施形態2とで切り替えてもよい。または、ランダムに集中力低下を判定する処理を実施形態1の方法と実施形態2とで切り替えてもよい。
【0145】
また、上述の実施形態では、情報処理装置100は、集中力の低下を判定する構成を説明したが、これに限られない。例えば、S804における判定は、作業者の認識精度の低下を判定する構成としてよい。すなわち、上述の実施形態は、集中力の低下のみならず、例えば、作業者の目の疲れなどによる視力の低下に起因する認識精度の低下を検出し、それに対する警告・注意喚起を行う構成とすることができる。
【0146】
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0147】
300 付与対象提示ウィンドウ
310 付与対象表示領域
320 付与対象変更ボタン
330 付与データ入力領域