IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化学工業株式会社の特許一覧

特許7580951有機物質の製造方法、及び有機物質製造装置
<>
  • 特許-有機物質の製造方法、及び有機物質製造装置 図1
  • 特許-有機物質の製造方法、及び有機物質製造装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】有機物質の製造方法、及び有機物質製造装置
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/06 20060101AFI20241105BHJP
   C10J 3/00 20060101ALI20241105BHJP
   C10J 3/64 20060101ALI20241105BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20241105BHJP
   C12P 7/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
C12P7/06
C10J3/00 A
C10J3/64
C12M1/00 H
C12P7/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020108504
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2022006350
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】夏山 和都
(72)【発明者】
【氏名】濱地 心
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-525145(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017573(WO,A1)
【文献】特開2004-339264(JP,A)
【文献】特開2018-102170(JP,A)
【文献】特開2008-224123(JP,A)
【文献】特表2013-544946(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188727(WO,A1)
【文献】特開2019-167424(JP,A)
【文献】特開2020-015821(JP,A)
【文献】特表2009-536260(JP,A)
【文献】特開2014-152219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 7/06
C12M 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物をガス化装置においてガス化して合成ガスを生成する工程と、
前記合成ガスを、供給経路を介して有機物質生成部に供給し、前記有機物質生成部において微生物触媒に接触させて有機物質を生成する工程と、
前記供給経路を流れる前記合成ガスにおける一酸化炭素と水素の合計流量をガス量として検出する工程と、
前記検出されたガス量に応じて、前記ガス化装置に供給される前記廃棄物の量を変えることで、前記有機物質生成部に供給される前記合成ガスのガス量を制御する工程と
を備える有機物質製造方法。
【請求項2】
前記供給経路には、前記合成ガスを前記ガス化装置に戻す戻り経路が接続されており、
前記検出されたガス量が基準値より多ければ、前記供給経路に流れる前記合成ガスの一部を前記戻り経路を介して前記ガス化装置に戻すことで、前記有機物質生成部に供給される前記合成ガスのガス量を制御する、請求項に記載の有機物質製造方法。
【請求項3】
前記有機物質がエタノールを含む請求項1又は2に記載の有機物質製造方法。
【請求項4】
乾燥機で乾燥された廃棄物をガス化装置に供給する請求項1~のいずれか1項に記載の有機物質製造方法。
【請求項5】
前記乾燥機において前記廃棄物が、水分量が30質量%以下となるように乾燥される請求項4に記載の有機物質製造方法。
【請求項6】
廃棄物をガス化して合成ガスを生成するガス化装置と、
前記合成ガスを、微生物触媒に接触させて有機物質を生成する有機物質生成部と、
前記ガス化装置で生成した合成ガスを有機物質生成部に供給する供給経路と、
前記供給経路を流れる前記合成ガスにおける一酸化炭素と水素の合計流量をガス量として検出するガス量検出器と、
前記ガス化装置に廃棄物を供給する廃棄物供給手段とを備え、
前記廃棄物供給手段が、前記ガス量検出器で検出されたガス量に応じて、前記ガス化装置に供給される前記廃棄物の量を変えることで、前記有機物質生成部に供給される前記合成ガスのガス量を制御する、有機物質製造装置。
【請求項7】
前記供給経路に接続され、かつ前記供給経路に流れる前記合成ガスを前記ガス化装置に戻す戻り経路を備える請求項に記載の有機物質製造装置。
【請求項8】
前記検出されたガス量が基準値より多ければ、前記供給経路に流れる前記合成ガスの一部を前記戻り経路を介して前記ガス化装置に戻すことで、前記有機物質生成部に供給される前記合成ガスのガス量を制御する、請求項に記載の有機物質製造装置。
【請求項9】
前記有機物質がエタノールを含む請求項6~8のいずれか1項に記載の有機物質製造装置。
【請求項10】
廃棄物を乾燥させる乾燥機を備え、
前記廃棄物供給手段が、前記乾燥機で乾燥された廃棄物を前記ガス化装置に供給する請求項6~9のいずれか1項に記載の有機物質製造装置。
【請求項11】
前記乾燥機において前記廃棄物が、水分量が30質量%以下となるように乾燥される請求項10に記載の有機物質製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成ガスを原料として有機物質を製造する有機物質の製造方法、及び合成ガスを原料として有機物質を製造する有機物質製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物、一般廃棄物などの各種廃棄物は、特許文献1に記載されるように、ガス化炉において熱分解によりガスを生成した後、改質炉で生成されたガスを改質して合成ガスを得る技術が広く知られている。得られた合成ガスは、ボイラーなどにより熱回収された後、発電などに利用されることが多い。
特許文献1に記載されるガス化処理システムでは、ガス化炉として、流動層ガス化炉を使用するとともに、炉内に導入する二酸化炭素、酸素、及び水蒸気の導入量をそれぞれ制御するCO導入量制御手段、O量制御手段、及びHO導入量制御手段が設けられている。このような構成により、特許文献1では、二酸化炭素、酸素、及び水蒸気それぞれの導入量が独立に制御されることで、水蒸気量、酸素量の適正化、及び最適な流動化が可能となり、高効率でガス化が実現できると記載されている。
【0003】
また、近年、合成ガスが化学合成原料に利用されることも試みられており、例えば、合成ガスを微生物触媒が充填された反応器に供給して、反応器において、合成ガスがエタノールなどの有機物質に変換することが試みられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4662338号公報
【文献】特許2019-167424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで廃棄物は、各所からゴミ処分場などに集められ、一旦廃棄物ピットなどの貯留部に貯められた後にガス化炉などに投入される。この際、貯留部に貯められた廃棄物は、成分や水分量のバラつきが多く、クレーンなどにより混ぜ合わせた上でガス化炉に投入されることが一般的である。
【0006】
しかし、廃棄物は、クレーンなどにより混ぜ合わせを行っても、バラつきが依然多く、そのため、廃棄物を給塵機などにより等量ずつガス化炉に投入しても、単位時間当たりに得られる合成ガスの生成量にも、大きなバラつきが生じることがある。例えば、ゴミ処分場には、多種多様な廃棄物が受け入れられ、異なる種類の廃棄物がガス化炉に順次投入されることが一般的であり、この際、廃棄物の種類が変わると、単位時間当たりに得られる合成ガスの生成量が大きく変動することがある。
【0007】
合成ガスを例えば発電に利用する場合には、生成量にバラつきがあっても、電力量はその生成量に応じてバラつくものの、生成された合成ガスは概ね利用でき、効率的な発電を実現できる。一方で、合成ガスを原料として、微生物触媒によりエタノールなどの有機物質を生成する場合、合成ガスの生成量のバラつきにより、反応器への合成ガスの供給量が不足すると、微生物触媒が死滅するおそれがあり、安定的な有機物質の生成が困難になる。一方で、合成ガスの生成量のバラつきを考慮して、反応器における微生物触媒の量を抑制すると、十分な量の有機物質が製造できず、さらには、合成ガスの廃棄量が多くなることで、効率的な生産が難しくなる。
【0008】
また、特許文献1では、合成ガスを効率的に生成できることが示されるが、廃棄物のバラつきに基づく合成ガスの生成量のバラつきは十分に抑制できない。したがって、特許文献1の構成を、微生物触媒などの触媒により有機物質を生成する生産設備にそのまま適用しても、有機物質を効率的かつ安定的に生成することは難しい。
【0009】
そこで、本発明は、廃棄物由来の合成ガスから、微生物触媒などの触媒によりエタノールなどの有機物質を、効率的かつ安定的に生成することができる有機物質の製造方法、及び有機物質製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨は、以下の[1]~[13]の通りである。
[1]廃棄物をガス化装置においてガス化して合成ガスを生成する工程と、
前記合成ガスを、供給経路を介して有機物質生成部に供給し、前記有機物質生成部において触媒に接触させて有機物質を生成する工程と、
前記供給経路を流れる前記合成ガスのガス量を検出する工程と、
前記検出されたガス量に応じて、前記有機物質生成部に供給される前記合成ガスのガス量を制御する工程と
を備える有機物質製造方法。
[2]前記検出されたガス量に応じて、前記ガス化装置に供給される前記廃棄物の量を変えることで、前記有機物質生成部に供給される前記合成ガスのガス量を制御する、上記[1]に記載の有機物質製造方法。
[3]前記供給経路には、前記合成ガスを前記ガス化装置に戻す戻り経路が接続されており、
前記検出されたガス量が基準値より多ければ、前記供給経路に流れる前記合成ガスの一部を前記戻り経路を介して前記ガス化装置に戻すことで、前記有機物質生成部に供給される前記合成ガスのガス量を制御する、上記[1]又は[2]に記載の有機物質製造方法。
[4]前記触媒が微生物触媒である上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の有機物質製造方法。
[5]前記有機物質がエタノールを含む上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の有機物質製造方法。
[6]乾燥機で乾燥された廃棄物をガス化装置に供給する上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の有機物質製造方法。
[7]廃棄物をガス化して合成ガスを生成するガス化装置と、
前記合成ガスを、触媒に接触させて有機物質を生成する有機物質生成部と、
前記ガス化装置で生成した合成ガスを有機物質生成部に供給する供給経路と、
前記供給経路を流れる前記合成ガスのガス量を検出するガス量検出器とを備え、
前記ガス量検出器で検出されたガス量に応じて、前記有機物質生成部に供給される前記合成ガスのガス量を制御する、有機物質製造装置。
[8]前記ガス化装置に廃棄物を供給する廃棄物供給手段を備え、
前記廃棄物供給手段が、前記ガス量検出器で検出されたガス量に応じて、前記ガス化装置に供給される前記廃棄物の量を変えることで、前記有機物質生成部に供給される前記合成ガスのガス量を制御する、上記[7]に記載の有機物質製造装置。
[9]前記供給経路に接続され、かつ前記供給経路に流れる前記合成ガスを前記ガス化装置に戻す戻り経路を備える上記[7]又は[8]に記載の有機物質製造装置。
[10]前記検出されたガス量が基準値より多ければ、前記供給経路に流れる前記合成ガスの一部を前記戻り経路を介して前記ガス化装置に戻すことで、前記有機物質生成部に供給される前記合成ガスのガス量を制御する、上記[9]に記載の有機物質製造装置。
[11]前記触媒が微生物触媒である上記[7]~[10]のいずれか1項に記載の有機物質製造装置。
[12]前記有機物質がエタノールを含む上記[7]~[11]のいずれか1項に記載の有機物質製造装置。
[13]廃棄物を乾燥させる乾燥機と、
前記乾燥機で乾燥された廃棄物を前記ガス化装置に供給する廃棄物供給手段と
を備える上記[7]~[12]のいずれか1項に記載の有機物質製造装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、廃棄物由来の合成ガスから、微生物触媒などの触媒によりエタノールなどの有機物質を、効率的かつ安定的に生成することができる有機物質の製造方法、及び有機物質製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る有機物質製造装置の全体構成を示す模式図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る有機物質製造装置の全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
次に、本発明について図面を参照しつつ実施形態を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る有機物質製造装置を示す。以下、図1を参照しつつ、第1の実施形態に係る有機物質製造装置、及び有機物質の製造方法について詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、有機物質製造装置10は、ガス化装置14、有機物質生成部17、ガス量検出器20、及び供給経路25を備える。また、有機物質製造装置10は、貯留部11、乾燥機13、ガス化装置14に廃棄物を供給する廃棄物供給手段としての給塵機23、後段処理装置18などを備えるとよい。
【0015】
有機物質製造装置10では、ガス化装置14において廃棄物G0をガス化して合成ガスG1を生成する。生成された合成ガスG1は、供給経路25を介して有機物質生成部17に供給される。有機物質生成部17では、合成ガスG1を触媒に接触させて有機物質を生成する。また、供給経路25に流れる合成ガスG1のガス量がガス量検出器20によって検出され、その検出されたガス量に応じて、供給経路25に流され、次いで、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量が調整される。
本実施形態では、以上の構成により、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1の量が安定するので、微生物触媒によりエタノールなどの有機物質を効率的かつ安定的に生成することができる。
【0016】
以下、本実施形態に係る有機物質製造装置10を構成する各構成要素を説明することで、本実施形態に係る有機物質製造装置及び有機物質製造方法について説明する。
【0017】
(貯留部)
貯留部11は、廃棄物G0を受け入れて貯留する装置であり、例えば廃棄物ピットである。廃棄物G0としては、産業固形廃棄物などの産業廃棄物でもよいし、都市固形廃棄物(MSW)などの一般廃棄物でもよく、プラスチック廃棄物、生ゴミ、廃棄タイヤ、バイオマス廃棄物、食料廃棄物、建築資材、木材、木質チップ、繊維、紙類等の可燃性物質が挙げられる。これらのなかでは、都市固形廃棄物(MSW)が好ましい。廃棄物G0は、一般的に一定量の水分が含まれ、例えば都市固形廃棄物(MSW)などの一般廃棄物においては、20~60質量%程度の水分、より典型的には30~50質量%程度の水分が含まれる。
【0018】
貯留部11は、例えば貯留部11に隣接するように設けられたプラットフォーム12から廃棄物G0を受け入れる。プラットフォーム12には、例えばゴミ収集車が停車され、ゴミ収集車から廃棄物G0が貯留部11に投入されるとよいが、廃棄物G0の投入方法は特に限定されない。
【0019】
貯留部11の上方には、廃棄物供給手段としてのクレーン22が設けられる。クレーン22は、例えば水平方向及び鉛直方向に移動可能であり、かつ廃棄物G0を把持し、また把持した廃棄物G0を離すことも可能である。これにより、クレーン22は、貯留部11に貯留された廃棄物G0を乾燥機13に供給することができる。
また、クレーン22は、貯留部11に貯留された廃棄物G0を貯留部11において移動させ、あるいは、廃棄物G0の把持と、把持した廃棄物G0を離すことを繰り返すことで、貯留部11内部の廃棄物G0を混合させることも可能である。貯留部11において廃棄物G0を混合させることで、廃棄物G0の成分及び水分量のばらつきを抑えやすくなる。
なお、貯留部11における廃棄物G0の混合は、撹拌翼などのクレーン22以外の混合手段により行ってもよい。
【0020】
ただし、貯留部11に貯められた廃棄物G0を乾燥機13に供給する廃棄物供給手段としては、クレーン22が示されるが、クレーン22以外の装置が使用されてもよく、例えばベルトコンベヤ、給塵機、ホッパーなど電気や空気、窒素などのガス、また蒸気を動力とした搬送装置が使用されてもよい。もちろん、廃棄物G0を乾燥機13に供給する廃棄物供給手段は、クレーンとクレーン以外の搬送装置との組み合わせであってもよいし、クレーン以外の搬送装置の2以上の組み合わせてであってもよい。
【0021】
(乾燥機)
乾燥機13は、貯留部11より供給された廃棄物G0を乾燥する。乾燥機13の方式は、特に限定されないが、バッチ乾燥機でもよいし、移動式乾燥機でもよい。
移動式乾燥機は、投入口から排出口に向けて廃棄物G0を移動させつつ、廃棄物G0を連続的に乾燥させる装置である。なお、図1においては、乾燥機13として代表的に移動式乾燥機を示すが、特に限定されない。
移動式乾燥機としては、例えばロータリー式乾燥機、ベルトコンベヤ式乾燥機などが挙げられる。ロータリー式乾燥機は、円筒状の回転シェルを回転させることで、シェル内部に投入された廃棄物G0を、移動させながら乾燥する。また、ベルトコンベヤ式乾燥機は、ベルトコンベヤで搬送させながら乾燥機内部で廃棄物G0を乾燥する。
バッチ式乾燥機は、バッチごとに廃棄物G0を乾燥させる装置であり、投入された廃棄物G0を乾燥機内部で一定時間加熱し、その後、廃棄物G0を取り出すことで廃棄物G0を乾燥させる装置である。
【0022】
乾燥機13の乾燥方式は、特に限定されず、乾燥機内部に熱風を通風させることで廃棄物G0を乾燥させる直接乾燥方式でもよいし、廃棄物G0が接触する装置内面(例えば、ロータリー式乾燥機では回転シェルの内面)を加熱して伝熱により加熱する間接乾燥方式のいずれでもよいし、他の方式でもよい。間接乾燥方式では、装置内面が、装置内部に設けた伝熱管を通過する熱媒体により加熱されるとよい。熱媒体としては、スチームなどが挙げられるが、特に限定されない。
廃棄物G0を乾燥する際の乾燥機13内部の温度(乾燥温度)は、廃棄物G0の乾燥後の水分量が後述する所定の範囲内となるように設定すればよいが、例えば50~400℃、好ましくは100~300℃であり、また、上記乾燥温度にて例えば1~10分間、好ましくは2~8分間、廃棄物Gを乾燥するとよい。
【0023】
廃棄物G0、特に都市固形廃棄物(MSW)などの一般廃棄物は、一般的に水分のバラつきが多いので、乾燥機13により乾燥することで、水分のばらつきを抑制できる。水分のばらつきを抑制することで、ガス化装置14において単位時間当たりに生成される合成ガスG1の量や、合成ガスG1における一酸化炭素及び水素の含有率を安定させやすくなる。そのため、後述する有機物質生成部17において、より一層安定的かつ効率的に有機物質を生成しやすくなる。また、有機物質生成部17に供給される合成ガスG0のガス量の制御量が少なく済むのでより実用的になる。
【0024】
廃棄物G0は、乾燥機13において、水分量が例えば30質量%以下となるように乾燥するとよい。上記水分量を30質量%以下とすることで、乾燥後の廃棄物G0の水分量のバラつきを一定範囲内に抑えやすくなり、ガス化装置14において単位時間当たりに生成される合成ガスG1の量や、合成ガスG1における一酸化炭素及び水素の含有率をより安定させやすくなる。
また、乾燥機13において、廃棄物G0は、例えば水分量が5質量%以上となるように乾燥されることが好ましい。乾燥機13は、一般的に廃棄物G0の水分量を一定量以下にすることが難しいので、5質量%以上とすることで、廃棄物G0を効率的に乾燥できる。また、乾燥機13の乾燥能力を必要以上に高くする必要がなくなり、水分蒸発のためのエネルギー消費も抑えることができる。
これら観点から、上記水分量は、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下であり、また、10質量%以上がより好ましい。なお、廃棄物G0の水分量を上記範囲内にするには、廃棄物G0の種類を考慮したうえで、乾燥機の乾燥条件を適宜調整するとよい。
乾燥機で乾燥された廃棄物G0は、上記のとおりに水分量に調整された状態で、後述する給塵機23(廃棄物供給手段)によりガス化装置14に供給されるとよい。
【0025】
(給塵機)
給塵機23は、廃棄物G0をガス化装置14に供給する廃棄物供給手段である。給塵機23は、乾燥機13で乾燥された廃棄物G0をガス化装置14に供給する。給塵機23は、例えばホッパー23Aと、給塵スクリュー23Bを備え、ホッパー23Aに投入された廃棄物G0を、給塵スクリュー23Bを回転させることで移動させ、ガス化炉15に供給する。
本実施形態では、廃棄物G0をガス化装置14に供給する廃棄物供給手段(給塵機23)は、後述するとおり、ガス量検出器20による検出結果に応じて、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量を調整する。給塵機23は、例えば給塵スクリュー23Bの回転速度を適宜調整することで、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量を調整できる。
【0026】
なお、乾燥機13で乾燥された廃棄物G0をガス化装置14に供給する廃棄物供給手段は、給塵機23に限定されず、ベルトコンベヤ、クレーン、ホッパーなど電気や空気、窒素などのガス、また蒸気を動力とした給塵機以外の搬送装置が使用されてもよい。また、給塵機と給塵機以外の搬送装置との組み合わせであってもよいし、給塵機以外の搬送装置の2以上の組み合わせであってもよい。廃棄物供給手段は、給塵機23以外や、給塵機23と給塵機以外の組み合わせであっても、後述するガス量検出器20による検出結果に応じて、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量を調整するとよい。
【0027】
(ガス化装置)
ガス化装置14は、廃棄物をガス化して合成ガスを生成する。ガス化装置14は、ガス化炉15と改質炉16とを備える。
ガス化炉15としては、特に限定されないが、キルンガス化炉、固定床ガス化炉、流動床ガス化炉等、サーモセレクト方式、シャフト式、プラズマ式が挙げられる。ガス化炉15には、廃棄物以外にも、酸素又は空気、更には必要に応じて水蒸気が投入される。ガス化炉15は、廃棄物G0を例えば500~700℃で加熱することにより、熱分解し、適宜部分酸化してガス化する。熱分解ガスは、一酸化炭素、水素のみならず、気体状のタール、粉体のチャー等も含む。熱分解ガスは、改質炉16へ供給される。なお、ガス化炉15において不燃物として発生する固形物などは、適宜回収されるとよい。
【0028】
改質炉16では、ガス化炉15で得られた熱分解ガスが改質され合成ガスが得られる。改質炉16では、熱分解ガスにおける水素及び一酸化炭素の少なくともいずれかの含有率が増加し、合成ガスG1として排出される。改質炉16では、例えば、熱分解ガスに含まれるタール、チャーなどが、水素及び一酸化炭素などに改質される。
改質炉16内の合成ガスの温度は、特に限定されないが、例えば900℃以上、好ましくは900℃以上1300℃、より好ましくは1000℃以上1200℃以下であり、合成ガスは、これら温度で改質炉16(すなわち、ガス化装置14)の外部に排出されるとよい。改質炉16における温度を上記範囲内とすることで、一酸化炭素及び水素の含有率が高い合成ガスが得られやすくなる。
【0029】
改質炉16(すなわち、ガス化装置14)から排出される合成ガスG1は、一酸化炭素および水素を含む。また、上記合成ガスG1は、例えば一酸化炭素を0.1体積%以上80体積%以下、水素を0.1体積%以上80体積%以下含む。
合成ガスG1における一酸化炭素濃度は、好ましくは10体積%以上70体積%以下であり、より好ましくは20体積%以上55体積%以下である。また、合成ガスG1における水素濃度は、好ましくは10体積%以上70体積%以下であり、より好ましくは20体積%以上55体積%以下である。
合成ガスG1は、水素、一酸化炭素以外にも、二酸化炭素、窒素、酸素などを含んでもよい。合成ガスG1中の二酸化炭素濃度は、特に限定されないが、好ましくは0.1体積%以上40体積%以下、より好ましくは0.3体積%以上30体積%以下である。二酸化炭素濃度は、微生物触媒により、エタノール生成を行う場合に低くすることが特に好ましく、そのような観点から、より好ましくは0.5体積%以上25体積%以下である。
合成ガスG1中の窒素濃度は、通常40体積%以下であり、好ましくは1体積%以上20体積%以下である。
また、合成ガスG1中の酸素濃度は、通常5体積%以下であり、好ましくは1体積%以下である。また、酸素濃度は、低ければ低い方がよく、0体積%以上であればよい。ただし、一般的には不可避的に酸素が含有されることが多く、酸素濃度は実用的には0.01体積%以上である。
【0030】
合成ガスG1における一酸化炭素、二酸化炭素、水素、窒素及び酸素の濃度は、廃棄物の種類、乾燥後の廃棄物G0の水分量、ガス化炉15、改質炉16の温度、ガス化炉14に供給される供給ガスの酸素濃度等の燃焼条件を適宜変更することで、所定の範囲とすることができる。例えば、一酸化炭素や水素濃度を変更したい場合は、廃プラ等の炭化水素(炭素および水素)の比率が高い廃棄物に変更し、窒素濃度を低下させたい場合はガス化炉15において酸素濃度の高いガスを供給する方法等がある。
さらに、合成ガスG1は、一酸化炭素、二酸化炭素、水素および窒素の各成分の濃度調整を適宜行ってもよい。濃度調整は、これら成分の少なくとも1種を合成ガスG1に添加して行うとよい。
なお、上記した合成ガスG1における各物質の体積%は、ガス化装置14から排出される合成ガスG1における各物質の体積%を意味する。
【0031】
なお、以上の説明において、ガス化装置14は、ガス化炉15と改質炉16を備える態様を説明したが、ガス化装置14の構成は、これらに限定されず、ガス化炉と改質炉が一体となった装置であってもよいし、合成ガスG1を生成できる限りいかなる方式のガス化装置であってもよい。
【0032】
ガス化装置14で得られた合成ガスG1は、供給経路25を通って有機物質生成部17に送られる。供給経路25は、例えば配管などにより構成され、ガス化装置14と有機物質生成部17とを接続する。また、供給経路25には、通常は後段処理装置18が設けられ、合成ガスG1は、後段処理装置18で適宜処理されて、有機物質生成部17に供給されるとよい。後段処理装置18では、合成ガスG1に含まれる不純物の除去、合成ガスG1の冷却などが適宜行われ、合成ガスG1は、例えば40℃以下に冷却されて有機物質生成部17に供給されるとよい。後段処理装置18の詳細は後述する。
【0033】
(ガス量検出器)
供給経路25には、ガス量検出器20が設けられる。ガス量検出器20は、配管などで構成される供給経路25に流れる合成ガスG1のガス量を検出する。具体的には、合成ガスG1における一酸化炭素と水素の量を検出し、一酸化炭素と水素の合計量を合成ガスG1のガス量とすればよい。
ガス量検出器25としては、公知の検出器を組み合わせて使用してもよく、例えば流量計とガス成分分析計を組み合わせ使用すればよい。具体的には、流量計により、供給経路25に流れるガスの総量を測定し、かつガス成分分析器により、ガス中の一酸化炭素及び水素の割合を測定し、得られた測定値より一酸化炭素及び水素の量を検出できる。
流量計としては、例えば、差圧式流量計、超音波式流量計、コリオリ流量計、容積式流量計、面積式流量計、熱式流量計、タービン型流量計が挙げられ、ガス成分分析計としては、質量分析計、赤外線分析計、レーザー式分析計などが挙げられる。
【0034】
上記の通りガス量検出器20によって検出される合成ガスG1のガス量は、供給経路25に流される合成ガスG1の流量、より具体的には一酸化炭素と水素の合計流量であるとよい。検出される流量は、単位時間あたり(例えば、1秒~1時間間程度)に供給経路25に流れる合成ガスG1のガス量などであればよく、特に限定されないが、1回の検出値であってもよいし、複数の検出値の平均値であってもよい。また、複数の検出値の累積値などにより、単位時間あたりに供給経路25に流れる合成ガスG1の量を算出してもよい。
【0035】
本実施形態では、ガス量検出器20による検出結果に応じて、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量が変更される。具体的には、ガス量検出器20によって基準値より多いガス量が検出されれば、給塵機23などの廃棄物供給手段は、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量を少なくする。また、ガス量検出器20によって基準値よりも少ないガス量が検出されれば、給塵機23などの廃棄物供給手段は、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量を多くする。さらに、ガス量検出器20によって基準値と同じガス量が検出されれば、給塵機23などの廃棄物供給手段は、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量をそのまま維持するとよい。なお、廃棄物G0の供給量とは、単位時間(例えば、1分~1時間程度)当たりの廃棄物G0の供給量を意味する。
また、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量は、検出されたガス量の基準値との差により設定すればよい。したがって、検出されたガス量が基準値に比べて多ければ多いほど、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量を少なくするとよい。また、検出されたガス量が基準値に比べて少なければ少ないほど、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量を多くするとよい。
【0036】
以上のように、ガス化装置14では、廃棄物G0の供給量を変更することでその供給量に応じた合成ガスG1が生成される。これにより、ガス化装置14における合成ガスG1の生成量、すなわち、供給経路25に流され、その後、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量が制御される。
そして、ガス化装置14では、廃棄物G0の成分や水分量のバラつきにより、合成ガスG1の単位時間あたりの生成量にバラつきが生じることがあるが、本実施形態ではそのような生成量のバラつきが抑えられることで、有機物質生成部17には、バラつきの少ない一定の範囲内のガス量で継続的に合成ガスG1が供給される。
【0037】
上記した基準値は、後述する有機物質生成部17の処理能力に応じて予め設定しておくとよく、例えば、有機物生成部17の反応器に充填される微生物触媒の量に応じて予め設定しておくとよい。より具体的には、基準値は、微生物触媒が処理できる処理最大量に0.7~0.9程度の安全係数を掛けた値とすればよい。基準値は、一点の値であってもよいが、一定の範囲であってもよい。したがって、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量は、検出されるガス量が一定の範囲内である場合には一定のままとしてもよい。
【0038】
また、ガス量検出器20によって検出されたガス量は、不図示の制御部(図示しない)などに出力されるとよい。制御部は、入力されたガス量に関するデータに基づき、給塵機23の給塵スクリュー23Bの回転速度や、その他、廃棄物供給手段の設定を適宜調整することなどで、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量を調整するとよい。制御部は、公知の制御装置を使用でき、パーソナルコンピューターなどでもよいし、公知の制御回路などにより構成されてもよい。また、ガス化装置14への廃棄物G0の供給量は、ガス量検出器20によって検出されたガス量に基づき、手動で調整されてもよい。
【0039】
(有機物質生成部)
有機物質生成部17は、合成ガスを微生物触媒に接触させて有機物質を生成する。微生物触媒は好ましくはガス資化性微生物が使用される。有機物質生成部17は、水と微生物触媒を含む培養液が充填された発酵槽(反応器)を備える。発酵槽の内部には、合成ガスG1が供給され、発酵槽内部において合成ガスG1は有機物質に変換される。ガス資化性微生物は、好ましくはエタノール及びイソプロパノールの少なくともいずれか、より好ましくはエタノールを生成できるものである。したがって、有機物質生成部17で生成される有機物質は、好ましくはエタノール及びイソプロパノールのいずれかを含み、より好ましくはエタノールを含む。
【0040】
発酵槽は、連続発酵装置とすることが好ましく、撹拌型、エアリフト型、気泡塔型、ループ型、オープンボンド型、フォトバイオ型のいずれでもよい。
発酵槽には、合成ガスG1と培養液とが連続的に供給されてもよいが、合成ガスG1と培養液とを同時に供給する必要はなく、予め培養液を供給した発酵槽に合成ガスG1を供給してもよい。合成ガスG1は一般的にスパージャーなどを介して発酵槽に吹き込まれる。
微生物触媒を培養する際に用いる培地は、菌に応じた適切な組成であれば特に限定されないが、主成分の水と、この水に溶解または分散された栄養分(例えば、ビタミン、リン酸等)とを含有する液体である。
有機物質生成部17では、微生物触媒の微生物発酵により有機物質が生成され、有機物質含有液が得られる。
【0041】
発酵槽の温度は、好ましくは40℃以下に制御される。40℃以下に制御されることで発酵槽中の微生物触媒が死滅することなく、合成ガスが微生物触媒に接触することでエタノールなどの有機物質が効率良く生成される。
発酵槽の温度は、より好ましくは38℃以下であり、また、触媒活性を高めるために、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、さらに好ましくは30℃以上である。
【0042】
本実施形態においては、上記のとおり、有機物生成部17に供給される合成ガスG1のガス量が調整され、それにより、有機物質生成部17に対する合成ガスG1の単位時間当たりの供給量のバラつきが少なくなる。そのため、有機物質生成部17における微生物触媒の量を多くしても、合成ガスG1の供給不足が生じにくくなり、有機物質生成部17では微生物触媒の死滅が発生しにくくなる。そのため、有機物質生成部17では、エタノールなどの有機物質を安定的かつ効率的に生成できる。
【0043】
有機物質生成部17は、製造された有機物質を精製するための精製装置(図示せず)を有してもよい。例えば、微生物触媒を使用する場合には、上記のとおり、有機物質含有液が得られるが、有機物質含有液から少なくとも水を分離する分離装置(図示しない)を備えてもよい。分離装置としては、固液分離装置、蒸留装置、分離膜などが挙げられるが、固液分離装置と蒸留装置とを組み合わせて使用することが好ましい。以下、固液分離装置と蒸留装置を組み合わせて行う分離工程について具体的に説明する。
ただし、有機物質生成部17で製造された有機物質を精製する必要がない場合や、有機物質含有液から水を分離する必要がない場合などには、分離装置は省略されてもよい。
【0044】
有機物質生成部17において得られた有機物質含有液は、固液分離装置において、微生物を主とする固体成分と、有機物質を含む液体成分とに分離するとよい。有機物質生成部17において得られた有機物質含有液には、目的物である有機物質の他、培養槽中に含まれていた微生物やその死骸等が固体成分として含まれるので、これらを除去するために固液分離をするとよい。固液分離装置としては、フィルタ、遠心分離機、溶液沈殿法を利用した装置などがある。また、固液分離装置は、有機物質含有液から有機物質を含む液体成分を蒸発させ、固体成分と分離させる装置(例えば、加熱乾燥装置)であってもよい。この際、目的物である有機物質を含む液体成分の全てを蒸発させてもよいし、目的とする有機物質が優先的に蒸発するように液体成分を部分的に蒸発させてもよい。
【0045】
固液分離により分離された液体成分は、蒸留装置において、さらに目的物である有機物質を分離するための蒸留を行うとよい。蒸留による分離により、単純な操作で有機物質を大量に高純度に精製するができる。
蒸留を行う場合、蒸留塔などの公知の蒸留装置を使用すればよい。また、蒸留では、例えば、留出液に目的物である有機物質(例えば、エタノール)が高い純度で含まれる一方で、缶出液(すなわち、蒸留残渣)に水が主成分(例えば、70質量%以上、好ましくは90質量%以上)として含まれるように操作するとよい。このように操作することで、目的物である有機物質と、水とを概ね分離することができる。
【0046】
有機物質(例えばエタノールやイソプロパノール)の蒸留時における蒸留器内の温度は、特に限定されないが、100℃以下であることが好ましく、70~95℃程度であることがより好ましい。蒸留装置内の温度を前記範囲に設定することにより、必要な有機物質と水などのその他の成分との分離を確実に行うことができる。
有機物質の蒸留時における蒸留装置内の圧力は、常圧であってもよいが、好ましくは大気圧未満、より好ましくは60~150kPa(ゲージ圧)程度である。蒸留装置内の圧力を前記範囲に設定することにより、有機物質の分離効率を向上させ、有機物質の収率を向上させることができる。
なお、分離装置において分離された水は、再利用することが好ましく、例えば後述する後段処理装置18のガス冷却塔に供給され、ガス冷却塔において水噴霧に使用されるとよい。
【0047】
(後段処理装置)
後段処理装置18としては、熱交換器、ガス冷却塔、ろ過式集塵器、水スクラバ、油スクラバ、ガスチラーなどよりなる水分分離装置、低温分離方式(深冷方式)の分離装置、各種フィルタから構成される微粒子分離装置、脱硫装置(硫化物分離装置)、膜分離方式の分離装置、脱酸素装置、圧力スイング吸着方式の分離装置(PSA)、温度スイング吸着方式の分離装置(TSA)、圧力温度スイング吸着方式の分離装置(PTSA)、活性炭を用いた分離装置、脱酸素触媒、具体的には、銅触媒またはパラジウム触媒を用いた分離装置、シフト反応装置等の処理装置が挙げられる。これら処理装置は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
後段処理装置18は、上記の中では、少なくとも熱交換器、ガス冷却塔、ろ過式集塵器、及び水スクラバを前段側からこの順に備えることが好ましい。
なお、本明細書において、「前段」とは、廃棄物G0及び生成される合成ガスG1の供給流れに沿う前段を意味する。また、「後段」とは、廃棄物G0及び合成ガスG1の供給流れに沿う後段を意味する。廃棄物G0及び合成ガスG1の供給流れとは、廃棄物G0が貯留部11から乾燥機13に供給され、その後、ガス化装置14で合成ガスG1が生成され、合成ガスG1が有機物質生成部17に導入するまでの廃棄物G0及び合成ガスG1の一連の流れを意味する。
【0049】
なお、図1において、ガス量検出器20は、後段処理装置18の前段に設けられるが、ガス量検出器20は、後段処理装置18の前段に設けられる必要はなく、後段処理装置18の後段に設けられてもよい。したがって、上記の通り、後段処理装置18として、熱交換器、ガス冷却塔、ろ過式集塵器、及び水スクラバが前段側からこの順に設けられる場合には、ガス量検出器20は、熱交換器の前段に設けられてもよいし、水スクラバの後段に設けられてもよい。
【0050】
ガス量検出器20は、ガス量を検出するために一般的に合成ガスG1に接触するが、後段処理装置18の後段に設けられると、精製、冷却などの処理がされた合成ガスG1がガス量検出器20に接触するので、合成ガスG1によりガス量検出器20が劣化することを防止できる。
一方で、ガス量検出器20が後段処理装置18の前段に設けられると、ガス化装置14から供給経路25に流された直後の合成ガスG1のガス量を検出できる。そのため、廃棄物G0の成分変動などに基づく合成ガスG0の生成量の変動を直ぐに検出でき、より高い精度で供給経路25に流れる合成ガスG1の量を制御できる。
【0051】
また、後段処理装置18として、複数の処理装置が設けられる場合には、供給経路25においてガス量検出器20は2つの処理装置の間に配置されてもよい。このような配置により、ガス量検出器20は、その前段に処理装置があり、かつある程度前段側に配置されるので、合成ガスG1によるガス量検出器20の劣化を低減できるとともに、有機物生成部17に供給される合成ガスG1の供給量を高精度で制御しやすくなる。
例えば、上記のとおり、熱交換器、ガス冷却塔、ろ過式集塵器、及び水スクラバが前段側からこの順に設けられる場合には、ガス量検出器20は、例えばろ過式集塵器と水スクラバの間に配置されてもよい。また、例えば、後段処理装置18として、熱交換器、ガス冷却塔、ろ過式集塵器、及び水スクラバの他に、これらの後段に別の処理装置が設けられる場合には、ガス量検出器20は、水スクラバとその別の処理装置の間に配置されてもよい。
【0052】
次に、後段処理装置18として、熱交換器、ガス冷却塔、ろ過式集塵器、及び水スクラバが前段側からこの順に設けられる場合を例に、熱交換器、ガス冷却塔、ろ過式集塵器、及び水スクラバの構成についてより詳細に説明する。
【0053】
熱交換器は、熱媒体を使用して合成ガスG1を冷却する装置であり、合成ガスG1の熱エネルギーを熱媒体に移動させることで、合成ガスG1を冷却する。熱交換器としては好ましくはボイラーを使用する。ボイラーは、内部に熱媒体としての水を流通させ、流通させた水を、合成ガスG1の熱エネルギーにより加熱して、蒸気とする装置である。熱交換器としてボイラーを使用すると、その熱交換器で発生した蒸気により、他の装置を容易に加熱することなどが可能になり、合成ガスG1の熱エネルギーを容易に再利用できる。もちろん、熱交換器としては、ボイラー以外を使用してもよい。
【0054】
ガス化装置14内部において合成ガスG1の温度は高く、ガス化装置14より排出された合成ガスも、上記のとおり例えば900℃以上の高温になるが、合成ガスG1は、熱交換器により冷却されることで、後段のガス冷却塔に比較的低い温度で供給され、ガス冷却塔において過剰に冷却することを防止できる。
熱交換器は、例えば900℃以上の高温で供給された合成ガスG1を冷却して、例えば200℃以上300℃以下、好ましくは240℃以上280℃以下の温度まで冷却してガス冷却塔に供給するとよい。
【0055】
熱交換器から排出された合成ガスG1は、次に、ガス冷却塔を通過し、それにより、さらに冷却させられる。ガス冷却塔は、例えばその上部側から導入され、下降気流となるように内部を通過させられた合成ガスG1が、内部を通過する間に、冷却塔の内周面に設けられた水噴霧口より噴霧された水により冷却される。ガス冷却塔で冷却された合成ガスG1は、ガス冷却塔の下部側から排出されるとよい。
【0056】
ガス冷却塔に導入される合成ガスG1は、100℃より十分に高い温度である一方、水噴霧口より噴霧される水は100℃よりも低い。したがって、合成ガスG1は、その温度差により冷却され、また、水噴霧口より噴霧された水が気化する際の気化熱によっても冷却される。合成ガスG1には、気化された水の一部が水蒸気として混入されるとよい。なお、水噴霧口より噴霧される水は、噴霧されるときに一部又は全部がすでに気化していてもよい。
【0057】
ガス冷却塔において、合成ガスG1は好ましくは100℃以上200℃以下、より好ましくは120℃以上180℃以下、さらに好ましくは130℃以上170℃以下、よりさらに好ましくは140℃以上160℃以下の温度までガス冷却塔にて冷却して、これら温度まで冷却されてガス冷却塔の外部に排出されるとよい。
合成ガスを200℃以下まで冷却することで、後述するろ過式集塵器を損傷させたり、集塵性能を低下させたりすることなく、ろ過式集塵器にて合成ガスを精製できる。また、100℃以上とすることで、噴霧された水は、大部分が気化して、合成ガス中に混入されることになる。したがって、ガス冷却塔において、噴霧された水が大量に排水されないので、ガス冷却塔に大掛かりな排水設備を導入する必要がない。
【0058】
ろ過式集塵器は、いわゆるバグフィルタと呼ばれるものを使用でき、ガス冷却塔で冷却された合成ガスを通過させることで、タール、チャーなどの固形不純物を除去させる。固形不純物を除去することで、ろ過式集塵器の後段の各装置において固形不純物が詰まることを防止できる。
なお、本明細書において、「除去」とは、合成ガスから除去対象物質の少なくとも一部を除去することで、ガス中の対象物質の濃度を低減させることを意味し、除去対象物質を完全に除去することに限定されない。
【0059】
ろ過式集塵器を通過した合成ガスは、さらに水スクラバを通過させるとよい。水スクラバは、スクラバ内部を通過する合成ガスを水に接触させることで、合成ガスに含まれる不純物を除去する。水スクラバにおいては、硫化水素、塩化水素、青酸などの酸性ガス、アンモニアなどの塩基性ガス、NOx、SOxなどの酸化物などの水溶性不純物が除去される。また、BTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)、ナフタレン、1-ナフトール、2-ナフトール等の油性不純物なども適宜除去されてもよい。
【0060】
水スクラバは、合成ガスG1と水を接触させる構成を有する限り特に限定されないが、例えば、上部に設けられたノズルより噴霧された水(以下、便宜上「洗浄水」ともいう)が、水スクラバの内部を下部から上部に向けて通過する合成ガスG1に接触させる構成を有するとよい。
また、水スクラバは、合成ガスG1を洗浄水に接触させることで、合成ガスG1を冷却させるとよい。上記したように、合成ガスG1は、ガス冷却塔で冷却され、所定の温度まで冷却された状態で水スクラバに導入される一方で、水スクラバにおいて合成ガスに接触する洗浄水の温度は、100℃未満であり、好ましくは0℃以上40℃以下、より好ましくは5℃以上30℃以下である。
合成ガスG1は、水スクラバにおいて、上記温度の水と接触することで、水スクラバにおいて例えば100℃未満、好ましくは40℃以下の温度まで冷却される。また、水スクラバにおいて洗浄水と接触することで合成ガスG1は、例えば10℃以上の温度まで冷却されるとよく、好ましくは20℃以上の温度まで冷却され、より好ましくは30℃以上の温度まで冷却される。合成ガスG1は、30℃以上、40℃以下となることで、その温度のまま有機物質生成部17に供給されても、微生物触媒において有機物質の生産効率が低下すること、及び、微生物触媒を死滅させることがない。
さらに、合成ガスG1は、水スクラバを通過させることで、水スクラバにおいて合成ガスG1を洗浄かつ冷却しつつ、ガス冷却塔で合成ガスG1に混入された水を除去することもできる。
【0061】
ろ過式集塵器又は水スクラバから排出された合成ガスは、必要に応じて、さらに、熱交換器、ガス冷却塔、ろ過式集塵器、及び水スクラバ以外の上記した処理装置の1つ又は2つ以上の処理装置を通過させ、合成ガスを適宜精製、冷却などしてもよい。
なお、以上の説明では、ガス化装置14の後段に熱交換器、ガス冷却塔、ろ過式集塵器、及び水スクラバの全てが設けられる構成を説明したが、これらのうちの一部又は全部を省略してもよい。例えば水スクラバを省略しても、その後段に別の冷却装置を設けて合成ガスG1を冷却して40℃以下として有機物質生成部17に供給するとよい。また、熱交換器、ガス冷却塔、及びろ過式集塵器の少なくとも1つ以上を省略してもよいし、熱交換器、ガス冷却塔、ろ過式集塵器及び水スクラバ以外の処理装置のみによって合成ガスを精製、冷却などしてもよい。
【0062】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、ガス化装置14に供給される廃棄物G0の量を変えることで、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量を調整したが、本実施形態では、供給経路25に流される合成ガスG1の一部をガス化装置14に戻すことで有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量を調整する。
以下、図2を参照しつつ、第2の実施形態に係る有機物質製造装置、及び有機物質の製造方法について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略して相違点のみを説明する。また、同様の構成を有する構成要素については、同じ符号を付す。
【0063】
第2の実施形態に係る有機物質製造装置30は、供給経路25の中途に接続される戻り経路31を備える。戻り経路31は、さらにガス化装置14に接続される。戻り経路31は、配管などで構成される。戻り経路31は、バルブ32を介して供給経路25に接続されるとよい。バルブ32は、電磁バルブ、手動バルブなど公知のバルブを使用できる。バルブ32は、その開閉を切り替えることができる。また、バルブ32は、開放される際には、その開度も調整できる。戻り経路31は、以上の構成により、供給経路25に流れる合成ガスG0の一部をガス化装置14に戻して、供給経路25に流れる合成ガスG1の量、さらには、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量を減らすことができる。
【0064】
本実施形態では、ガス量検出器20によって検出されたガス量に応じて、バルブ32を調整し、それにより、供給経路25に流れる合成ガスG0の一部を戻り経路31を介してガス化装置14に戻すことで、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量を制御する。
具体的には、ガス量検出器20によって検出されたガス量が、基準値より多くなれば、バルブ32を開放する。これにより、検出されたガス量が基準値より多くなれば、供給経路25に流れる合成ガスG1の一部を戻り経路31を介してガス化装置14に戻すことになる。
また、検出されたガス量により、バルブ32の開度を調整すればよい。したがって、検出されたガス量と基準値との差が大きくなればなるほど、つまり、検出されたガス量が多ければ多いほど、開度を大きくすればよく、それにより、戻り経路31を介してガス化装置14に戻される合成ガスG1のガス量も多くなる。このような構成により、本実施形態でも、有機物質生成部17に供給されるガス量は、バラつきが抑えられ、有機物質生成部17においてエタノールなどの有機物質を安定的かつ効率的に生成できる。
【0065】
ガス量検出器20によって検出されたガス量は、不図示の制御部(図示しない)などに出力されるとよく、制御部は、入力されたガス量に関するデータに基づき、バルブ32の開閉及び開度を調整すればよい。また、バルブ32の開閉及び開度は、ガス量検出器20によって検出されたガス量に基づき、手動で調整されてもよい。
【0066】
戻り経路31を介してガス化装置14に戻された合成ガスG1は、例えば、ガス化炉15に供給される。ガス化炉15に戻された合成ガスG1は、例えばガス化炉15において少なくとも一部が燃焼され、ガス化炉15の温度を維持するために使用されるとよい。また、ガス化炉15において燃焼せずに合成ガスG1として、改質炉16に送出されてもよい。
なお、戻り経路31を介してガス化装置14に戻された合成ガスG1は、ガス化炉15に供給される必要はなく、改質炉16に供給されてもよいし、ガス化炉15と改質炉16の両方に供給されてもよい。改質炉16に戻された合成ガスG1は、概ね燃焼せずに合成ガスG1として、供給経路25に送出されてもよいが、一部が燃焼され、改質炉16の温度を維持するために使用されてもよい。
また、ガス化装置14としてガス化炉と改質炉が一体となった装置を使用する場合には、その一体となった装置に合成ガスG1を供給するとよい。
【0067】
また、本実施形態において、戻り経路31は、図2に示すとおり、ガス量検出器20の後段において、供給経路25に接続されることが好ましい。このような構成によれば、ガス量検出器20は、戻り経路31を介してガス化装置14に戻される前のガス量、すなわち、ガス化装置14で生成される合成ガスG1の総量を検出でき、その検出された総量に基づき、供給経路25において、その後段の流量を調整できる。そのため、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量をより正確かつ迅速に制御できる。
さらに、本実施形態では、戻り経路31は、図2に示すとおり、後段処理装置18の前段において、供給経路25に接続されることが好ましい。また、例えば、戻り経路31は、後段処理装置18として、上記のとおりガス冷却塔、ろ過式集塵器、及び水スクラバが少なくとも設けられる場合には、ガス冷却塔の前段において供給経路25に接続されればよい。このような構成によれば、合成ガスG1は、後段処理装置18(又はガス冷却塔、ろ過式集塵器、及び水スクラバ)にて処理されることなく、ガス化装置14に戻されるので、後段処理装置18の処理によるエネルギーロスを低減できる。
【0068】
ただし、上記の通り、ガス量検出器20は、後段処理装置18の前段に配置される必要はなく、後段処理装置18の後段に配置されてもよいし、後段処理装置18として2つ以上の処理装置が設けられる場合には2つの処理装置の間に配置されてもよい。その場合、それに合わせて、戻り経路31も、後段処理装置18の後段において、供給経路25に接続してもよいし、後段処理装置18として2つ以上の処理装置が設けられる場合には2つの処理装置の間において供給経路25に接続してもよい。
【0069】
また、本実施形態では、戻り経路31は、必ずしも、ガス量検出器20の後段において、供給経路25に接続する必要はなく、ガス量検出器20の前段において供給経路25に接続してもよい。したがって、例えば、戻り経路31は、後段処理装置18の前段において供給経路25に接続させるとともに、ガス量検出器20は、後段処理装置18の少なくとも1つの処理装置の後段に配置されてよい。また、例えば、供給経路25においては、前段側から順に、戻り経路31との接続部分、少なくとも1つの処理装置、ガス量検出器20がこの順に並べられてもよい。より具体的には、後段処理装置18として、上記のとおりガス冷却塔、ろ過式集塵器、及び水スクラバが少なくとも設けられる場合には、戻り経路31は、ガス冷却塔の前段において供給経路25に接続される一方で、ガス量検出器20は例えば水クスラバの後段に設けられてもよいし、ろ過式集塵器と水スクラバの間や、ガス冷却塔とろ過式集塵器の間などに配置されてもよい。
以上の各構成によれば、合成ガスG1は、後段処理装置18において、処理されず、又はできる限り少ない処理がなされたうえでガス化装置14に戻されるので、合成ガスG1の処理によるエネルギーロスを低減できる。一方で、ガス量検出器20は、各種の処理装置で処理された合成ガスG1の流量を検出できるので、合成ガスG1によるガス量検出器20の劣化を防止できる。
【0070】
もちろん、本発明において、戻り経路31は、供給経路25に接続される限りいかなる位置に接続されてよい。同様にガス量検出器20も供給経路25のいかなる位置に配置されてもよい。
【0071】
<その他の実施形態>
以上のように各実施形態を示して説明した有機物質製造装置、及び有機物質製造方法は、本発明の一例であり、本発明は、上記実施形態の構成に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な改良及び変更が可能であり、構成要素を適宜加えてもよい。
【0072】
例えば、以上の各実施形態では、ガス量検出器20で検出されたガス量に基づいて、ガス化装置14に供給される廃棄物G0の量を変え、又は戻り経路31を介して合成ガスの一部を戻すことで、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量を調整したが、これら以外の構成により、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量を調整してもよい。
【0073】
また、ガス化装置14に供給される廃棄物G0の供給量の変更と、合成ガスG1の一部をガス化装置14に戻すことの両方により、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量を制御してもよい。このような構成によれば、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量をさらに制御しやすくなる。
この場合にも、第1及び第2の実施形態と同様に制御すればよく、例えば、ガス量検出器20で検出されるガス量が基準値より多ければ、廃棄物G0の供給量を少なくし、さらに、合成ガスG1の一部をガス化装置14に戻すことにより制御すればよい。また、ガス量検出器20で検出されるガス量が基準値未満であれば、廃棄物G0の供給量を多くすることで制御すればよい。
【0074】
また、以上では、触媒として微生物触媒を使用する例を説明したが、触媒は微生物触媒に限らず、例えば金属触媒を使用してもよい。金属触媒を使用する場合も、有機物質生成部17は反応器を備え、反応器内部で合成ガスG1を金属触媒に接触させることで有機物質を生成するとよい。反応器内部の温度は、例えば100~400℃、好ましくは100~300℃に維持されるとよい。したがって、後段処理装置18では、合成ガスG1は、40℃以下まで冷却する必要はなく、後段処理装置18の組み合わせを適宜変更して、合成ガスG1を金属触媒の反応に適した状態(温度、及び不純物含有量)に調整すればよい。金属触媒を使用する場合も、上記の通り、有機物質生成部17に供給される合成ガスG1のガス量を制御することで、ガス量のバラつきを抑えて、安定的かつ効率的に有機物質を製造できる。
【0075】
金属触媒としては、水素化活性金属、又は水素化活性金属と助活性金属との集合物が挙げられる。水素化活性金属としては、例えば、混合ガスからエタノールを合成できる金属として知られているものであればよく、例えば、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、マンガン、レニウム等、周期表の第7族に属する元素、ルテニウム等、周期表の第8族に属する元素、コバルト、ロジウム等の周期表の第9族に属する元素、ニッケル、パラジウム等の周期表の第10族に属する元素等が挙げられる。
これらの水素化活性金属は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。水素化活性金属としては、CO転化率のさらなる向上、エタノールの選択率が向上する点から、ロジウム、マンガン及びリチウムを組み合わせたものや、ルテニウム、レニウム及びナトリウムを組み合わせたもの等、ロジウム又はルテニウムとアルカリ金属とその他の水素化活性金属とを組み合わせたものが好ましい。
助活性金属としては、例えば、チタン、マグネシウム、バナジウム等が挙げられる。水素化活性金属に加えて助活性金属が担持されていることで、CO転化率やエタノール選択率などをより高めることができる。
金属触媒としては、ロジウム系触媒が好ましい。ロジウム系触媒は、ロジウム系触媒以外の他の金属触媒を併用してもよい。他の金属触媒としては、銅単独又は銅と銅以外の遷移金属とが担体に担持された触媒が挙げられる。
【0076】
さらに、上記各実施形態では、乾燥機13が設けられ、乾燥機13で乾燥された廃棄物G0が、ガス化装置14に供給されたが、乾燥機13が省略されてもよい。この場合、貯留部11に貯留された廃棄物G0が、乾燥機13を経ずに上記した各種の廃棄物供給手段によりガス化装置14に供給されるとよい。
また、貯留部11が省略されてもよく、受け入れられた廃棄物G0は、貯留部11を経ずに乾燥機13やガス化装置14に供給されてもよい。
また、乾燥機13で乾燥された廃棄物G0は、貯留部11とは異なる貯留部に一旦貯留した後にガス化装置14に供給してもよい。
【符号の説明】
【0077】
10、30 有機物質製造装置
11 貯留部
12 プラットフォーム
13 乾燥機
14 ガス化装置
15 ガス化炉
16 改質炉
17 有機物質生成部
18 後段処理装置
20 ガス量検出器
22 クレーン
23 給塵機(廃棄物供給手段)
25 供給経路
31 戻り経路
32 バルブ
G0 廃棄物
G1 合成ガス
図1
図2