(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】液体を分配するための補充可能な装置、ならびにそのような装置への補充を行うためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20241105BHJP
A45D 34/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
B65D83/00 G
A45D34/00 510Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020110455
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マリーン・ルアルデス
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508362(JP,A)
【文献】特開2013-023244(JP,A)
【文献】特開平10-323585(JP,A)
【文献】特開2002-274564(JP,A)
【文献】特開2000-211671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
A45D 34/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(F)を分配するための補充可能な装置(1)であって、
中に前記液体(F)を含んでいる容器(10)と、
前記容器(10)内に含まれている前記液体(F)を外に分配するための液体分配ヘッド(20)であって、前記容器(10)の上部に結合される、液体分配ヘッド(20)と、
それの内部空間(32)に前記容器(10)を収納する外殻(30)であって、前記容器(10)を前記内部空間(32)にそれを通して装填することができる底部開口(34)と、前記底部開口(34)を画定する環状側壁(36)と、上壁(38)とを備え、前記環状側壁(36)および前記上壁(38)が協働して前記内部空間(32)を画定し、前記上壁(38)がアパーチャ(38a)を含み、前記アパーチャ(38a)を通って前記液体分配ヘッド(20)が外に突き出ることができる、外殻(30)と、
互いに結合された前記容器(10)および前記液体分配ヘッド(20)を含む組立体(R)が、前記外殻(30)に固定されるように、前記アパーチャ(38a)を通って突き出ている前記液体分配ヘッド(20)の少なくとも下側部分と着脱可能に係合するロッキングリング(40)と
を備え、
前記液体分配ヘッド(20)から前記ロッキングリング(40)を係合解除する操作/前記液体分配ヘッド(20)と前記ロッキングリング(40)を係合させる操作により、前記容器(10)内の前記液体(F)が消費された前記組立体(R)を、前記容器(10)が前記液体(F)で満たされている別の組立体(R)と取り替えることによって補充可能となるように構成される、補充可能な装置(1)。
【請求項2】
前記液体分配ヘッド(20)は雄ねじ(24f)を含みかつ前記ロッキングリング(40)は雌ねじ(44)を含み、前記ロッキングリング(40)が、前記ロッキングリング(40)を前記液体分配ヘッド(20)にねじ込むことによって、前記液体分配ヘッド(20)と係合される、請求項1に記載の補充可能な装置(1)。
【請求項3】
前記補充可能な装置(1)が、前記容器(10)内の前記液体(F)を放出するように構成されたポンプユニット(50)をさらに備え、前記液体分配ヘッド(20)が、前記ポンプユニット(50)に流体的に結合されたノズルヘッド(22)と、前記ノズルヘッド(22)の移動を誘導するために前記ノズルヘッド(22)の少なくとも下側部分の周りに配置されたカラー(24)とを備え、前記カラー(24)が、前記容器(10)の上面(16)から突き出ている前記容器(10)のネック(14)に結合され、前記ロッキングリング(40)が前記カラー(24)と着脱可能に係合する、請求項1または2に記載の補充可能な装置(1)。
【請求項4】
前記外殻(30)の前記内部空間(32)の断面形状および前記容器(10)の断面形状が、互いにほぼ一致する、請求項1から3のいずれか一項に記載の補充可能な装置(1)。
【請求項5】
前記外殻(30)の前記内部空間(32)の断面形状と前記容器(10)の断面形状の両方が、非円形である、請求項1から4のいずれか一項に記載の補充可能な装置(1)。
【請求項6】
前記外殻(30)の前記内部空間(32)の断面形状と前記容器(10)の断面形状の両方が、ほぼ正方形である、請求項1から5のいずれか一項に記載の補充可能な装置(1)。
【請求項7】
前記ロッキングリング(40)の断面形状が、円形または実質的に円形である、請求項1から6のいずれか一項に記載の補充可能な装置(1)。
【請求項8】
少なくとも前記液体分配ヘッド(20)を囲むためのキャップ(60)をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の補充可能な装置(1)。
【請求項9】
前記キャップ(60)が、前記液体分配ヘッド(20)と前記ロッキングリング(40)の両方を囲むように構成される、請求項8に記載の補充可能な装置(1)。
【請求項10】
前記キャップ(60)が、締まりばめによって前記ロッキングリング(40)と係合するように構成される、請求項8または9に記載の補充可能な装置(1)。
【請求項11】
前記外殻(30)の前記底部開口(34)を閉じるための底板(70)をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の補充可能な装置(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の装置(1)への補充を行うためのシステムであって、
互いに結合された前記容器(10)および前記液体分配ヘッド(20)を各々が含む少なくとも2つの組立体(R)と、
前記容器(10)をそれの前記内部空間(32)に収納する前記外殻(30)と、
1つの組立体(R)が前記外殻(30)に固定されるように、前記外殻(30)の前記アパーチャ(38a)を通って突き出ている前記液体分配ヘッド(20)の少なくとも下側部分と着脱可能に係合する前記ロッキングリング(40)と
を備え、
前記システムが、前記液体分配ヘッド(20)から前記ロッキングリング(40)を係合解除する操作/前記液体分配ヘッド(20)と前記ロッキングリング(40)を係合させる前記操作により、前記容器(10)内の前記液体(F)が消費された前記組立体(R)を、前記容器(10)が前記液体(F)で満たされている別の組立体(R)と取り替えることによって、前記装置(1)への補充を可能にするように構成される、システム。
【請求項13】
前記液体分配ヘッド(20)は雄ねじ(24f)を含みかつ前記ロッキングリング(40)は雌ねじ(44)を含み、前記液体分配ヘッド(20)と前記ロッキングリング(40)との係合が、前記ロッキングリング(40)をねじって外すことによって解除され、前記ロッキングリング(40)を前記液体分配ヘッド(20)にねじ込むことによって、前記ロッキングリング(40)が前記液体分配ヘッド(20)と着脱可能に係合される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の装置(1)への補充を行うための方法であって、
前記液体分配ヘッド(20)と前記ロッキングリング(40)との係合を解除し、それによって前記容器(10)内の前記液体(F)が消費された前記組立体(R)を前記外殻(30)から分離するステップと、
前記分離した組立体(R)を前記外殻(30)の前記底部開口(34)から引き抜くステップと、
前記液体分配ヘッド(20)が前記外殻(30)の前記上壁(38)の前記アパーチャ(38a)を通って外に突き出るように、前記外殻(30)の前記底部開口(34)から、空になった前記外殻(30)に、前記容器(10)が前記液体(F)で満たされている別の組立体(R)を装填するステップと、
前記アパーチャ(38a)を通って突き出ている前記液体分配ヘッド(20)の少なくとも下側部分と前記ロッキングリング(40)を着脱可能に係合させ、それによって前記装填された組立体(R)を前記外殻(30)に固定するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
前記液体分配ヘッド(20)は雄ねじ(24f)を含みかつ前記ロッキングリング(40)は雌ねじ(44)を含み、前記液体分配ヘッド(20)と前記ロッキングリング(40)との係合が、前記ロッキングリング(40)をねじって外すことによって解除され、前記ロッキングリング(40)を前記液体分配ヘッド(20)にねじ込むことによって、前記ロッキングリング(40)が前記液体分配ヘッド(20)と着脱可能に係合される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、たとえば液体ファンデーション、液体ローション、乳液、液剤などを分配するための装置に関する。本発明は、そのような装置への補充を行うためのシステムおよび方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
液体ファンデーションなどの液体の適正な量を分配するための様々なタイプの装置が知られている。経済的な要因を考慮して、そのような装置は通常、液体内容物を補充することができるように構成される。一般的な補充システムまたは方法では、まず、液体を分配するためのポンプユニットが、液体を含むための容器から分離される。次いで、瓶または小袋に含まれた液体補充品が、それの上部開口から空の容器に注がれる。
【0003】
しかしながら、そのような一般的な補充システムまたは方法は、満足のいくものではない。使用者または操作者が容器に液体を補充するのに多くの時間および労力を必要とするからである。加えて、ポンプユニットは補充操作のために取り除かれるまたは取り外される必要があるので、それに付着している少量の液体が周囲の環境を汚す恐れがある。さらに、補充操作中に液体を誤ってこぼす可能性が常にある。
【0004】
本発明に多かれ少なかれ関連していると考えられる従来技術が、以下の文献に開示されている。
【0005】
特許文献1は、小瓶または瓶を挿入するために一端が開くポンプユニットホルダーを備える送出システムを開示している。このシステムでは、小瓶または瓶は、必要ならばポンプユニットから分離することができる。
【0006】
特許文献2は、容器(たとえば、アンバーガラス瓶)を収容するための内部空間を設けられた基体と、容器を所定の位置に固定するために基体に着脱可能に取り付けられる中間カバーとを備えるパッケージングを開示している。このパッケージングでは、ポンプおよび補充システムが、外部ケーシングに挿入され、そこに直接組み立てられる。
【0007】
特許文献3は、中空の外側本体と、内側の瓶とを備える容器を開示している。この容器では、瓶は、補充品を取り替えるためにポンプユニットをねじって外すことによって開けられる必要がある。
【0008】
特許文献4は、製品を含む貯蔵器と、ポンプユニットが取り付けられた外部ケーシングとを備えるパッケージングおよび分配組立体を開示している。この組立体では、ポンプユニットは、外部ケーシングに直接組み立てられる。
【0009】
特許文献5は、製品用の容器に合う開口端型カバーを備える分配デバイスを開示しており、これはポンプユニットを着脱可能に装着するための締付け手段を備えたネックを有する。このデバイスでは、容器を補充するためにポンプをねじって外す必要がある。
【0010】
これらの従来の補充システムおよび方法もまた、具体的には液体の補充を容易にかつ速くするための上述の要件を満たしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2016/0052662号明細書
【文献】独国特許出願公開第102011008840号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0218159号明細書
【文献】米国特許第6053363号明細書
【文献】欧州特許第0638367号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記に鑑みて、本発明の目的は、液体を分配するための新規の補充可能な装置、ならびにそのような装置への補充を行うための新規のシステムおよび方法を提供することである。具体的には、本発明の主目的は、使用者または操作者による液体の補充を容易に、かつ速くすることを可能にし、補充操作中に、液体で周囲の環境を汚すおよび/または液体をこぼす可能性がない、新規の補充可能な装置、ならびにそのような装置への補充を行うための新規のシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するために、本発明は、液体を分配するための補充可能な装置を提供する。本発明によれば、装置は、(i)中に液体を含む容器と、(ii)容器に含まれている液体を外に分配するための液体分配ヘッドであって、容器の上部に結合される、液体分配ヘッドと、(iii)それの内部空間に容器を収納する外殻であって、容器を内部空間にそれを通して装填することができる底部開口、底部開口を画定する環状側壁、および上壁を備え、環状側壁および上壁が協働して内部空間を画定し、上壁がアパーチャを含み、それを通って液体分配ヘッドが外に突き出ることができる、外殻と、(iv)互いに結合された容器および液体分配ヘッドを含む組立体が外殻に固定されるように、アパーチャを通って突き出ている液体分配ヘッドの少なくとも下側部分と着脱可能に係合するロッキングリングとを備える。本発明では、装置は、液体分配ヘッドからロッキングリングを係合解除する/液体分配ヘッドとロッキングリングを係合させる操作を通して、中の容器内の液体が消費された組立体を、中の容器が液体で満たされている別の組立体と取り替えることによって補充可能となるように構成される。
【0014】
本発明は、上述のように装置への補充を行うためのシステムをさらに提供する。本発明によれば、システムは、(i)各組立体が、互いに結合された容器および液体分配ヘッドを含む、少なくとも2つの組立体と、(ii)それの内部空間に容器を収納する外殻と、(iii)1つの組立体が外殻に固定されるように、外殻のアパーチャを通って突き出ている液体分配ヘッドの少なくとも下側部分と着脱可能に係合するロッキングリングとを備える。本発明では、システムは、液体分配ヘッドからロッキングリングを係合解除する/液体分配ヘッドとロッキングリングを係合させる操作を通して、中の容器内の液体が消費された組立体を、中の容器が液体で満たされている別の組立体と取り替えることによって装置への補充を可能にするように構成される。
【0015】
本発明はまたさらに、上述のように装置への補充を行うための方法を提供する。本発明によれば、方法は、(i)液体分配ヘッドとロッキングリングとの係合を解除し、それによって中の容器内の液体が消費された組立体を外殻から分離するステップと、(ii)分離した組立体を外殻の底部開口から引き抜くステップと、(iii)液体分配ヘッドが外殻の上壁のアパーチャを通って外に突き出るように、外殻の底部開口から空になった外殻に、中の容器が液体で満たされている別の組立体を装填するステップと、(iv)アパーチャを通って突き出ている液体分配ヘッドの少なくとも下側部分とロッキングリングを着脱可能に係合させ、それによって装填された組立体を外殻に固定するステップとを含む。
【0016】
本発明によれば、装置への補充を行うために必要とされることは、容器と、中の容器内の液体が消費された液体分配ヘッドとを含む空になった組立体を別の組立体、すなわち中の容器が液体で満たされている新しい組立体と単に交換することである。さらに、この操作は、(i)液体分配ヘッドとロッキングリングとの係合を解除することと、(ii)分離した組立体を外殻の底部開口から引き抜くことと、(iii)空になった外殻に新しい組立体を装填することと、(iv)ロッキングリングを液体分配ヘッドと着脱可能に係合させることとを含む簡単な手順によって行うことができる。すなわち、本発明によれば、補充操作は、ポンプユニットを取り外し、液体を注ぐなど、時間のかかる面倒な作業を必要としない。したがって、使用者または操作者が、補充中に液体で周囲の環境を汚す、または液体をこぼす可能性がなく、より容易かつ速やかに装置への補充を行うことが可能である。
【0017】
さらに、本発明によれば、外殻およびロッキングリングは繰り返して使用されるので、ごみの発生を最小限に抑えることができる。具体的には、高プレミアム製品の場合、外殻は一般的に高コストで製造され、したがって本発明によって実現されるコスト削減効果は顕著である。
【0018】
本発明の好ましい一態様によれば、装置のロッキングリングは、ロッキングリングを液体分配ヘッドにねじ込むことによって、液体分配ヘッドと係合されてもよい。これは、ロッキングリングと液体分配ヘッドとの係合/係合解除をより簡単かつより確実にすることができる。
【0019】
本発明の好ましい一態様によれば、補充可能な装置は、容器内の液体を放出するように構成されたポンプユニットをさらに備えてもよい。この態様では、液体分配ヘッドは、ポンプユニットに流体的に結合されるノズルヘッドと、ノズルヘッドの移動を誘導するようにノズルヘッドの少なくとも下側部分の周りに配置されるカラーとを備えてもよい。さらに、この態様では、カラーは、容器の上面から突き出ている容器のネックに結合されてもよく、ロッキングリングは、カラーと着脱可能に係合されてもよい。しかしながら、装置は、容器内の液体を、ポンプユニットなしで、たとえばそれを単に傾けることによって、外に分配できるように構成されてもよい。
【0020】
本発明の好ましい一態様によれば、外殻の内部空間の断面形状および容器の断面形状は、互いにほぼ一致してもよい。さらに、本発明の好ましい一態様によれば、外殻の内部空間の断面形状と容器の断面形状の両方は、非円形であってもよい。具体的には、本発明の好ましい一態様によれば、外殻の内部空間の断面形状と容器の断面形状の両方は、ほぼ正方形であってもよい。そのような非円形の、具体的には正方形の断面形状は、ねじ込むことによってロッキングリングを締めるとき、容器が外殻に対して回転するのを防ぎ、したがって容器がロッキングリングと一緒に回転するのを防ぐ。
【0021】
本発明の好ましい一態様によれば、ロッキングリングの断面形状は、円形または実質的に円形であってもよい。当然、ロッキングリングのこの円形断面形状は必須ではなく、円形状に加えて、楕円形状、三角形状、四角形状、五角形状、またはより多くの角を有する任意の他の多角形状が採用されてもよい。
【0022】
本発明の好ましい一態様によれば、装置は、液体分配ヘッドを囲むためのキャップをさらに備えてもよい。これに加えて、キャップは、液体分配ヘッドとロッキングリングの両方を囲むように構成されてもよい。この態様では、キャップは、好ましくは締まりばめによってロッキングリングと係合するように構成される。
【0023】
本発明の好ましい一態様によれば、装置は、外殻の底部開口を閉じるための底板をさらに備えてもよい。この態様では、底板は、好ましくは締まりばめによって外殻の底部開口に係合するように構成される。
【0024】
本発明の好ましい一態様によれば、上述のシステムおよび方法において、液体分配ヘッドとロッキングリングとの係合が、ロッキングリングをねじって外すことによって解除されてもよく、ロッキングリングは、ロッキングリングを液体分配ヘッドにねじ込むことによって液体分配ヘッドと着脱可能に係合されてもよい。これは、ロッキングリングと液体分配ヘッドの係合/係合解除をより簡単かつより確実にすることができる。具体的には、このように構成されるシステムが、それの容易な操作により「ライトバルブシステム」と呼ばれることがある。
【0025】
ここで、本発明の非限定的で代表的な実施形態について、添付の図面を参照して以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の例示的な一実施形態による液体分配装置の、組み立てた状態の外観斜視図である。
【
図2】
図1に示す液体分配装置の、分解した状態の外観斜視図である。
【
図3】容器が液体で満たされている状態の、
図1のX-X線に沿った装置の縦断面図である。
【
図4】
図1に示す装置を構成する、容器と、液体分配ヘッドと、ポンプユニットとを備える組立体の分解斜視図である。
【
図5】
図1に示す装置を構成し得る代替ロッキングリングの、部分破断図で示した斜視図である。
【
図6】装置への補充を行うための一連の手順を示す概略図である。
【
図7】装置への補充を行うための一連の手順を示す概略図である。
【
図8】装置への補充を行うための一連の手順を示す概略図である。
【
図9】装置への補充を行うための一連の手順を示す概略図である。
【
図10】装置への補充を行うための一連の手順を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、
図1~
図10を参照しながら、本発明のいくつかの例示的な実施形態について説明する。
【0028】
本明細書で使用する「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「上に」、「下に」などの高さ方向に関する用語は、液体分配ヘッドを上に容器を下にして水平面上に設置されている装置と関連付けられる。
【0029】
図1は、本発明の例示的な一実施形態である、液体ファンデーションなどの液体Fを分配するための補充可能な装置1を示す。
図1に加えて、分解した状態の装置1を示す
図2からもわかるように、補充可能な装置1は、それの中に液体Fを含んでいる容器10と、液体分配ヘッド20と、外殻30と、ロッキングリング40とを備える。
【0030】
この実施形態では、補充可能な装置1は、容器10内の液体Fを放出するように構成されたポンプユニット50(
図3および
図4参照)と、液体分配ヘッド20ならびにロッキングリング40を完全に囲むためのキャップ60と、外殻30の底部開口34(以下で詳細に説明する)を閉じるための底板70とをさらに備える。キャップ60は、明確にするために
図1では想像線を使用して示している。
【0031】
キャップ60および底板70、特に底板70は、必ずしも補充可能な装置1に含まれなくてもよい。さらに、代替実施形態では、ポンプユニット50がない装置1を構成することも可能である。この場合、装置1は、たとえば単に装置を傾けることによって、容器10内の液体Fを外に分配できるように構成される。
【0032】
図1のX-X線に沿った装置1の縦断面図である
図3からわかるように、容器10は、本体12と、本体12の上面16から一体的に延びるねじ山の付いたネック14とを備える。容器10(正確にはそれの本体12)は、非円形の断面形状、具体的には、ほぼ正方形の断面形状を有する。
【0033】
この実施形態では、容器10の断面の各側の長さおよび容器10の高さは、互いに実質的に等しく設定され、容器10(正確にはそれの本体12)は、実質的に立方体形状を有する。当然、容器10は、必要に応じて任意の他の断面形状および外部形状(輪郭)を有することができる。容器10は、ガラス、プラスチック、金属、および紙を含む様々な材料から形成することができるが、一般的には内容物を容易に識別できるように、透明または半透明のガラスが使用される。代替的に、適切に着色され(たとえば、中の内容物と同じ色)、完全または不完全に不透明である容器が使用されてもよい。
【0034】
同じく装置1の構成要素である液体分配ヘッド20は、容器10の上部に結合される。より具体的には、液体分配ヘッド20は、容器10の上面16から突き出ているネック14に、ねじ込むことによって結合される。液体分配ヘッド20は、容器10に含まれている液体Fを、上述のポンプユニット50の助けで外に分配するために使用される。この実施形態では、容器10、液体分配ヘッド20、およびポンプユニット50は合わせて、「補充品」として働く組立体Rを構成する。
【0035】
容器10と、液体分配ヘッド20と、ポンプユニット50とを備える組立体Rの分解斜視図である
図4を参照すると、液体分配ヘッド20は、ポンプユニット50に流体的に結合されるノズルヘッド22を備える。ポンプユニット50は、ポンプ本体52(たとえば、ばね式タイプ)と、吸引管54と、液体輸送ステム56とを備え、これらは一直線に配置され、互いに流体的に結合される。ノズルヘッド22は、たとえば締まりばめによって、液体輸送ステム56の上端部と流体的に結合される。ノズルヘッド22は、それの外周面からわずかに突き出ている噴出口突起部22bに設けられた分配口22aを有する。
【0036】
この実施形態では、液体輸送ステム56は、ポンプ本体52を操作するための要素であり、ノズルヘッド22と一緒に上下に動くことができる。さらに、ポンプ本体52は、後述のように、ノズルヘッド22と一緒に液体分配ヘッド20を構成するカラー24によって容器10に固定される。したがって、当業者には容易に理解されるように、ポンプユニット50は、
図3に示す組み立てた状態でノズルヘッド22を押し下げることによって容器10内の液体Fを放出することができる。ポンプユニット50など、液体を放出するためのポンプユニットの構成は、当業者によく知られており、既存のものをポンプユニット50として使用することができるので、ポンプユニット50について本明細書ではさらに詳細に説明しない。
【0037】
再び
図4を参照すると、上述のように、液体分配ヘッド20は、ノズルヘッド22の下側部分の周りに配置されるカラー24をさらに備える。カラー24は、たとえばねじ込むことによって、容器10のネック14に結合される。
図3からわかるように、カラー24は、環状外壁24aと、環状外壁24aよりも低い高さを持つ環状内壁24bとを備える。外壁24aおよび内壁24bは、壁24a、24bと一体に形成され得る水平円周フランジ24cによって互いに結合される。
【0038】
この実施形態では、外壁24aと内壁24bとの間に、ノズルヘッド22のスカート22cの少なくとも一部を収容するための狭い環状空間24dが形成される。その結果、カラー24は、ポンプ50を操作するとき、ノズルヘッド22の垂直移動を誘導する働きをすることができる。ポンプユニット50は、たとえば内壁24bを使用して、カラー24に固定される。より具体的には、液体輸送ステム56が押し下げられるとき、ポンプ本体52がカラー24に対して動かないように、ポンプ本体52の上側端部が、締まりばめによって、または接着によって内壁24bに接合される。
【0039】
同じく
図3からわかるように、水平円周フランジ24cの下側表面に、容器10のネック14の環状上面と接触している環状パッキング24eが、必要な気密および液密を獲得するために配置される。
【0040】
カラー24は、それの内面および外面にそれぞれ形成された外ねじ山24fおよび内ねじ山24gを有する。カラー24の内ねじ山24gは、容器10のネック14の外面に設けられた外ねじ山14aと係合する。一方、カラー24の外ねじ山24fは、後で詳細に説明するように、ロッキングリング40と係合する。
【0041】
同じく装置1の構成要素である外殻30は、それの内部空間32に容器10を収納する。
図3からわかるように、外殻30は、底部開口34を備え、底部開口34を通して容器10(正確には、容器10と、液体分配ヘッド20と、ポンプユニット50とを含む組立体R)は、外殻30の内部空間32に装填される。外殻30はまた、底部開口34を画定する環状側壁36と、上壁38とを備える。
【0042】
環状側壁36および上壁38は一体的に結合され、協働して外殻30の内部空間32を画定する。上壁38は、円形アパーチャ38aを含み、それを通って液体分配ヘッド20は外に突き出ることができる。したがって、
図2に示すように、外殻30の上壁38に形成された円形アパーチャ38aの直径D
1は、液体分配ヘッド20の最大直径D
2(すなわち、カラー24の外ねじ山24fの輪郭円の直径)よりもわずかに大きい。
【0043】
外殻30は、ガラス、プラスチック、および金属を含む様々な材料から形成することができるが、容器10の内容物を容易に識別できるように、透明または半透明のガラスが一般的に使用される。
【0044】
この実施形態では、外殻30の内部空間32の断面形状および容器10の断面形状は、互いにほぼ一致する。これに加えて、外殻30の内部空間32の断面形状と容器10の断面形状の両方が、非円形、具体的には角の丸い正方形である。
【0045】
同じく装置1の構成要素であるロッキングリング40は、円形断面形状を有し、液体分配ヘッド20の下側部分、具体的には外殻30のアパーチャ38aを通って突き出ているカラー24と、着脱可能に係合する。ロッキングリング40は、円形アパーチャ42を含み、それを通って液体分配ヘッド20のノズルヘッド22は、組み立てた状態で外に突き出ることができる。したがって、ロッキングリング40の円形アパーチャ42の直径D3は、同じく円形断面を有するノズルヘッド22の直径D4よりもわずかに大きい。実際に、円形アパーチャ42の直径D3は、ノズルヘッド22の噴出口突起部22bがそれを通過できるほどである。ロッキングリング40を使用すると、互いに結合された容器10および液体分配ヘッド20、ならびにポンプユニット50を含む組立体Rは、外殻30に固定することができる。ロッキングリング40はまた、液体Fを分配するためにポンプユニット50を操作するとき、カラー24と協働してノズルヘッド22の垂直移動を誘導する働きをする。
【0046】
この実施形態では、係合/係合解除を簡単かつ確実にするために、ロッキングリング40は、ロッキングリング40を液体分配ヘッド20にねじ込むことによって、液体分配ヘッド20と係合するように構成される。この便利なねじ係合を実現するために、
図3からわかるように、内ねじ山44が、ロッキングリング40の内周面に形成される。この内ねじ山44は、前に説明したようにカラーの外ねじ山24fと係合する。
【0047】
この実施形態では、ロッキングリング40の断面形状は円形である。しかしながら、ロッキングリング40は、いずれか他の断面形状を有してもよく、特に、使用者または操作者の指先で容易に回転させることができる断面形状を有してもよい。
図5は、ロッキングリングの代替形状を示す。図示のように、代替リング40'は、本体46と、本体46の下側端部から放射状に広がる円周フランジ48とを有する。この代替実施形態では、円周フランジ48の存在によりロッキングリング40'の剛性が高まり、したがって、締め付けすぎた場合に起こり得るリングの好ましくない変形を防ぐ。
【0048】
装置1の構成要素である場合があるキャップ60は、上記で説明したように、液体分配ヘッド20ならびにロッキングリング40を完全に囲むように構成される。さらにキャップ60は、たとえば締まりばめによって、ロッキングリング40と係合するように構成される。しかしながら、キャップ60の形状または構成はこれに限定されない。たとえばキャップ60は、ロッキングリング40の上側部分のみを囲むように構成されてもよい。
【0049】
外殻30の底部開口34を閉じるための、装置1のオプションの構成要素である場合がある底板70は、外殻30の底部開口34の形状および寸法に一致する環状リム72を有する。底板70は、好ましくは、好適なゴムまたはプラスチックなど、可撓性材料から構成される。したがって、底板70の環状リム72は、締まりばめで外殻30の底部開口34内に係合する。これは、容器10を底部側から見えないようにしている。
【0050】
上述の構成を有する結果として、装置1は、液体分配ヘッド20からロッキングリング40を係合解除する/液体分配ヘッド20とロッキングリング40を係合させる操作により、容器10内の液体Fが消費された組立体Rを別の組立体、すなわち容器(新しい容器)10が液体Fで満たされている新しい組立体R'と取り替えることによって補充可能である。続いて、これに関連して、本発明の一実施形態による装置1への補充を行うための1つの例示的なシステムについて、詳細に説明する。
【0051】
1つの例示的な補充システムは、互いに結合された容器10および液体分配ヘッド20を各々含む複数(少なくとも2つ)の組立体Rと、外殻30と、ロッキングリング40とから構成される。すでに説明したように、ロッキングリング40は、外殻30のアパーチャ38aを通って突き出ている液体分配ヘッド20のカラー24と着脱可能に係合し、1つの組立体Rが外殻30に固定されるようになる。すなわち、この補充システムは、リング40を係合解除する/係合させる操作により、容器10内の液体Fが消費された使用済み組立体Rを、別の組立体、すなわち容器(新しい容器)10が液体Fで満たされている新しい組立体R'と取り替えることによって、装置1への補充を可能にするように構成される。
【0052】
このシステムでは、液体分配ヘッド20とロッキングリング40との係合は、単にロッキングリング40をねじって外すことによって解除することができる。さらに、ロッキングリング40は、単にロッキングリング40を液体分配ヘッド20にねじ込むことによって、液体分配ヘッド20と着脱可能に係合される。したがって、このシステムは、「ライトバルブシステム」と呼ばれることがある。
【0053】
以下では、装置1への補充を行うための方法、すなわち装置1への補充を行うための一連の手順について、
図6から
図10を参照しながら説明する。
【0054】
装置1の内容物がノズルヘッド22の作用によって繰り返して外に吐き出され、容器10が空になるとき、装置1への補充を行う操作が使用者または操作者によって行われる。この実施形態では、この補充を行う操作は、主として以下のいくつかのステップからなる。
【0055】
まず、
図6に示すように、使用者は、底板70を外殻30から分離する(この前にキャップ60はすでに取り除かれている)。次いで、
図7に示すように、使用者は、ロッキングリング40をねじって外すことによって液体分配ヘッド20とロッキングリング40との係合を解除する。この操作によって、液体分配ヘッド20、したがって容器10内の液体Fが消費された組立体Rを、外殻30から分離することが可能になる。
【0056】
使用済み組立体Rが外殻30から分離した後、使用者は、
図8に示すように、分離した組立体Rを外殻30の底部開口34から引き抜く。
【0057】
次いで、
図9に示すように、使用者は、液体分配ヘッド20が外殻30の上壁38のアパーチャ38aを通って外に突き出るように、外殻30の底部開口34から空になった外殻30に、容器10が液体Fで満たされている新しい組立体R'を装填する。
【0058】
次いで、
図10に示すように、使用者は、アパーチャ38aを通って突き出ている液体分配ヘッド20(正確には、カラー24)とロッキングリング40をもう一度係合させ、それによって装填された組立体Rを外殻30に固定する。この状態で、組立体Rは、外殻30の上壁38から吊り下げられている。ここでは、この操作は、ロッキングリング40を液体分配ヘッド20のカラー24の周りに配置し、ロッキングリング40がそれ以上回転しなくなるまでロッキングリング40を完全に回転させることによって行われる。
【0059】
したがって、液体分配ヘッド20とロッキングリング40との係合は、ロッキングリング40をねじって外すことによって解除することができる。加えて、ロッキングリング40は、ロッキングリング40を液体分配ヘッド20にねじ込むことによって、液体分配ヘッド20と着脱可能に係合することができる。最後に、外殻30の底部開口34に底板70を再びはめることによって、組立体Rの取替え、すなわち装置1への補充が完了される。
【0060】
したがって、上記で説明した例示的な実施形態によれば、容器10内の液体Fが消費された空の組立体Rを、容器(新しい容器)10が液体Fで満たされている新しい組立体Rと単に交換することによって、装置1への補充を行うことができる。言い換えれば、補充操作は、ポンプユニット50を取り外し、液体を注ぎ出すなど、時間のかかる面倒な作業を必要としない。したがって、使用者が、補充操作中に液体で周囲の環境を汚す、または液体をこぼす可能性がなく、より容易かつ速やかに装置1への補充を行うことが可能である。
【0061】
それだけではなく、外殻30およびロッキングリング40は再利用されるので、ごみの発生を最小限に抑えることができる。さらに、装置1が高プレミアム製品として提供される場合、最も製造費がかかる外殻30を廃棄する必要がなく、したがって補充のコストを低く保つことができる。
【0062】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して詳細に上記で説明した。しかしながら、当然、本発明は、これらの実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明した実施形態に、様々な改変および変更が行われる場合があり、そのような改変および変更は、本発明の範囲に含まれると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0063】
1 補充可能な装置
10 容器
12 本体
14 ネック
14a 外ねじ山
16 上面
20 液体分配ヘッド
22 ノズルヘッド
22a 分配口
22b 噴出口突起部
22c スカート
24 カラー
24a 外壁
24b 内壁
24c 水平円周フランジ
24d 環状空間
24e 環状パッキング
24f 外ねじ山
24g 内ねじ山
30 外殻
32 内部空間
34 底部開口
36 環状側壁
38 上壁
38a 円形アパーチャ
40 ロッキングリング
42 円形アパーチャ
44 内ねじ山
46 本体
48 円周フランジ
50 ポンプユニット
52 ポンプ本体
54 吸引管
56 液体輸送ステム
60 キャップ
70 底板
72 環状リム