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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】半自動ケーブル撚り装置および搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/02 20060101AFI20241105BHJP
【FI】
H01B13/02 Z
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020118491
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2021015794
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】201910629607.9
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】506058451
【氏名又は名称】コマックス ホルディング アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】KOMAX HOLDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル セン
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-220070(JP,A)
【文献】特開2018-120844(JP,A)
【文献】特開平10-340644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半自動ケーブル撚り装置(10)であって、
把持部回転器具(110)および把持部スライド(120)を含、前記把持部回転器具(110)は並んで配置された複数の回転可能に支持されたケーブル把持部(111、112、113、114)を有し、前記把持部スライド(120)は前記複数の回転可能に支持されたケーブル把持部(111、112、113、114)のうち対応するケーブル把持部それぞれが対応して並んで配置された複数の非回転式ケーブル把持部(121、122、123、124)を有するとともに、把持ケーブル延伸軸(A)に沿って処理開始位置まで移動可能である、処理ユニット(100)と
取扱ユニットスライド(220)を含、前記取扱ユニットスライド(220)は並んで配置された複数の取扱ユニットケーブル把持部(221、222、223、224)を有するとともに、前記把持ケーブル延伸軸(A)に平行な軸に沿って移動可能である、取扱ユニット(200)と、を有し
前記取扱ユニットケーブル把持部(221、222、223、224)のそれぞれは、前記取扱ユニットスライド(220)が取扱位置(H)にあるとき、ケーブル束(301、302、303、304)の第1の端部(311、312、313、314)が手動で取り付けられるように構成されており、前記取扱位置(H)は、前記把持部回転器具(110)を操作する操作者が移動することなく前記取扱ユニットスライド(220)をも操作することができる位置であり
前記取扱ユニット(200)は、前記処理ユニット(100)の前記把持部スライド(120)が前記処理開始位置(P)にあるとき、前記ケーブル束の前記第1の端部(311、312、313、314)を前記取扱ユニットケーブル把持部(221、222、223、224)から前記処理ユニット(100)の前記回転ケーブル把持部(121、122、123、124)へ搬送するように構成されている、半自動ケーブル撚り装置(10)。
【請求項2】
前記処理ユニット(100)の前記複数の回転可能に支持されたケーブル把持部(111、112、113、114)のそれぞれは、前記取扱ユニットスライド(220)が前記取扱位置(H)から離れているとき、前記ケーブル束(301、302、303、304)の第2の端部(323、324)が手動で取り付けられるように構成されている、請求項1に記載の半自動ケーブル撚り装置(10)。
【請求項3】
前記取扱ユニット(200)は、前記ケーブル束(301、302、303、304)を支持するため前記取扱ユニットスライド(220)の下に配置された取扱槽(290)をさらに有する、請求項1または2に記載の半自動ケーブル撚り装置(10)。
【請求項4】
前記取扱ユニット(200)は、前記第1の端部(311、312、313、314)が前記取扱ユニットに手動で挿入されたとき、前記取扱ユニットケーブル把持部(221、222、223、224)の対応するケーブル把持部を作動させるための信号をそれぞれが発するように構成された複数の光バリア(251、252、253、254)をさらに有する、請求項1から3の何れか1項に記載の半自動ケーブル撚り装置(10)。
【請求項5】
前記取扱ユニット(200)は、前記取扱ユニットケーブル把持部(221、222、223、224)の対応するケーブル把持部を作動させるようにそれぞれが構成された複数の押しボタン(241)をさらに有する、請求項1から4の何れか1項に記載の半自動ケーブル撚り装置(10)。
【請求項6】
前記取扱ユニットケーブル把持部(221、222、223、224)の1つ以上は、ケーブル制限ストッパ(231、232、233、234)を有する、請求項1から5の何れか1項に記載の半自動ケーブル撚り装置(10)。
【請求項7】
前記把持部スライド(120)は線形ガイド上に取り付けられ、少なくとも前記処理開始位置(P)は、異なる長さのケーブル束(301、302、303、304)に適応可能である、請求項1から6の何れか1項に記載の半自動ケーブル撚り装置(10)。
【請求項8】
前記回転ケーブル把持部(121、122、123、124)のそれぞれ、撚動作中に長さ補正を行うための弾性部材を介して前記把持部スライド(120)から吊り下げられている、請求項1から7の何れか1項に記載の半自動ケーブル撚り装置(10)。
【請求項9】
前記弾性部材は、補正空気シリンダに取り付けられたガイドロッドを有する、請求項8に記載の半自動ケーブル撚り装置(10)。
【請求項10】
前記処理ユニット(100)は、前記取扱ユニットケーブル把持部(221、222、223、224)の1つ以上を対応する回転ケーブル把持部(121、122、123、124)の位置決めレベルまで持ち上げるように構成された持ち上げ空気シリンダ(150)をさらに有する、請求項1から9の何れか1項に記載の半自動ケーブル撚り装置(10)。
【請求項11】
半自動ケーブル撚り装置(10)で処理された複数のケーブル束の搬送方法であって、前記ケーブル撚り装置(10)は、
把持部回転器具(110)および把持部スライド(120)を含、前記把持部回転器具(110)は並んで配置された複数の回転可能に支持されたケーブル把持部(111、112、113、114)を有し、前記把持部スライド(120)は前記複数の回転可能に支持されたケーブル把持部(111、112、113、114)のうち対応するケーブル把持部それぞれが対応して並んで配置された複数の非回転式ケーブル把持部(121、122、123、124)を有するとともに、処理開始位置(P)処理終了位置(E)の間把持ケーブル延伸軸(A)に沿って移動可能である、処理ユニット(100)と
取扱ユニットスライド(220)を含、前記取扱ユニットスライド(220)は並んで配置された複数の取扱ユニットケーブル把持部(221、222、223、224)を有するとともに、前記把持ケーブル延伸軸(A)に平行な軸に沿って移動可能である、取扱ユニット(200)と、を有し
前記搬送方法は、
前記取扱ユニットスライド(220)を前記把持部回転器具(110)の取扱位置(H)へ移動させることであって、前記把持部回転器具(110)を操作する操作者が移動することなく前記取扱ユニットスライド(220)をも操作することができる位置へ移動させることと
前記取扱ユニットケーブル把持部(221、222、223、224)のそれぞれにケーブル束(301、302、303、304)の第1の端部(311、312、313、314)を手動で取り付けること
前記取扱ユニットスライド(20)を前記処理開始位置(P)に対応する位置へ移動させること
前記ケーブル束(301、302、303、304)の前記第1の端部を前記取扱ユニットケーブル把持部(221、222、223、224)から前記回転ケーブル把持部(121、122、123、124)へ搬送することと、この順に含む、搬送方法。
【請求項12】
前記取扱ユニットスライド(20)が前記取扱位置(H)から離れているとき、前記複数の回転可能に支持されたケーブル把持部(111、112、113、114)に前記ケーブル束(301、302、303、304)の第2の端部(323、324)を手動で取り付けることをさらに含む、請求項11に記載の搬送方法。
【請求項13】
対応する回転ケーブル把持部(121、122、123、124)の位置決めレベルまで前記複数の取扱ユニットケーブル把持部(221、222、223、224)を持ち上げることをさらに含む、請求項10または11に記載の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、このような半自動ケーブル撚り装置において処理される複数のケーブル束の半自動ケーブル撚り装置および搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半自動ケーブル撚り装置では、一対のケーブルのようなケーブル束が操作者によって装置の撚り器具に手動で挿入される。ケーブル束は通常、2つの単一のケーブルを含み、これらのケーブルは、それらの先端部において絶縁体から剥がされる。先端部はまた、先端部に圧着端子および/またはハトメを備えてもよい。先端部は、実際の撚り処理を実行する撚り装置の一部に配置される。夫々のケーブル束の他の端部、例えば、後端部は、典型的には例えば好適なケーブル把持部の手段によって、回転して静止して保持される。したがって、撚り操作では、ケーブル束が典型的には把持されたケーブルの軸、またはケーブル延伸軸に沿って延長する。延長されたケーブル束は、ケーブル延長経路を形成する。
【0003】
ケーブル束が撚られるのに先立ち、その全長に延長されると、操作者はケーブル束の先端部を撚り器具に挿入すると共に、後端部を回転しないケーブル把持部に挿入することに関与する。
【0004】
撚り処理の間、一方の単一ケーブルが他方の周りに回転される、すなわち、撚り合わせ処理が実行されるので、ケーブル束の長さは減少する。この長さの減少は、撚り器具によって補正される。長さ減少補正の一例は、先端部または後端部の一方を他方に向ってケーブル延伸軸の方向に移動させることを含む。この長さ補正の移動は、典型的には、ばね、または空気シリンダの引込み力に対して作用するグリッパ把持部によって行われる。従来の撚り装置は例えば、独国特許出願公開第202009004914号明細書に開示されている。
【0005】
異なる長さを有するケーブル束を処理しようにするために、一端の撚られていない、または回転していないケーブル把持部と撚り器具との間の距離は調整可能である。国際公開第2013/104187号は、モータ手段によって動かすことができるスライド上に配置された把持部を有する撚り装置を開示している。この撚り装置は2つの平行なケーブル延伸経路を有しており、すなわち、2つのケーブル束を同時に処理することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
処理されるケーブル束がある長さを超える場合、半自動ケーブル処理装置を操作または取り扱う操作者は、位置、すなわちケーブル束の先端部が撚り器具に挿入される位置と、後端部が回転しないケーブル把持部に挿入される位置との間を物理的に移動しなければならない。また、上述の国際公開第2013/104187号に記載されているように、2つのケーブル束を同時に処理する方法では、操作者は移動しなければならない。さらに、モータによって移動可能なスライド上に把持部を配置することは、スライドが挿入操作の操作者へ移動するような構成である場合、操作者の移動を減少させるのに役立つが、スライドが移動している間は撚り操作を行うことができない。
【0007】
したがって、半自動ケーブル処理装置の取扱いおよび/または出力を改善することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によると、半自動ケーブル撚り装置が提供される。この装置は、処理ユニットと取扱ユニットとを含む。処理ユニットは、把持部回転器具および把持部スライドを含む。把持部回転器具は、並んで配置され支持されたケーブルの回転する複数の把持部を有する。把持部スライドは、並んで配置された回転しない複数のケーブル把持部を有する。各回転しないケーブル把持部は、支持されたケーブルの回転する複数の把持部の夫々の対応する1つ(対応物)に夫々対応する。把持部スライドは、把持ケーブル延伸軸に沿って処理開始位置まで移動可能である。取扱ユニットは、取扱ユニットスライドを含む。取扱ユニットスライドは、複数の取扱ユニットケーブル把持部を有する。取扱ユニットケーブル把持部は並んで配置されている。取扱ユニットスライドは、把持ケーブル延伸軸に実質的に平行な軸に沿って移動可能である。取扱ユニットケーブル把持部の各々は取扱ユニットスライドが取扱位置に配置されたとき、ケーブル束の第1の端部が手動で取り付けられるように構成されている。取扱位置は、把持部回転器具の手の届く範囲の位置である。取扱ユニットは処理ユニットの把持部スライドが処理開始位置にあるとき、取扱ユニットケーブル把持部から処理ユニットの回転しないケーブル把持部へケーブル束の第1の端部を搬送するように構成されている。
【0009】
一態様によれば、半自動ケーブル撚り装置で処理された複数のケーブル束の搬送方法が提供され、ケーブル撚り装置は、本明細書に記載されるような処理ユニットと取扱ユニットとを備える。搬送方法は、記載順に、取扱ユニットスライドを把持部回転器具の手の届く範囲の取扱位置へ移動すること、取扱ユニットケーブル把持部の各々をケーブル束の第1の端部に手動で取り付けること、取扱ユニットスライドを処理開始位置に対応する位置へ移動すること、ケーブル束の第1の端部を取扱ユニットケーブル把持部から回転しないケーブル把持部へ搬送すること、を含む。
【0010】
側面において、ケーブル撚り装置は予め組み立てられた複数のケーブル束を撚るように構成されており、各ケーブル束は複数の単一のケーブルを含み、通常、2つの単一のケーブルであるが、これらに限定されない。
【0011】
手の届くとは、本明細書で使用される場合、2つ(またはそれ以上)の構成要素が半自動ケーブル撚り装置を操作する操作者によって、操作者がその体を位置間で積極的に動かすことを必要とせずに、到達または取り扱われ得る位置をいう。積極的に移動することは、例えば、位置の間を歩くことを含む。換言すれば、2つ(またはそれ以上)の要素は、操作者が1つの要素から他の要素へ歩く必要がない場合、またはコンベアなどの個人輸送の他の手段を使用する必要がない場合、手の届く範囲内にある。ここでの定義はこれが平均的な操作者に当てはまるようなものであるが、ケーブルの長さが数メートルを超えると、把持部回転器具および処理開始位置にある把持部スライドは並外れた巨大な操作者であっても手の届かないものであると仮定することができる。
【0012】
例えば、取扱ユニットスライドの取扱位置は本明細書で使用されるように、把持部回転器具の手の届くところにあり、これは、操作者が支持されたケーブルの回転する把持部および取扱ユニットケーブル把持部を、操作者が位置の間を歩くことを必要とすることなく、操作または取扱いをすることができることを意味する。
【0013】
取扱ユニットスライドは処理ユニットから独立して移動可能であり、取扱ユニットケーブル把持部から回転しないケーブル把持部への第1の端部の自動搬送のため、取扱ユニットケーブル把持部にケーブルの第1の端部を取り付ける場合、操作者は位置間を移動する必要がない。同時に、取扱ユニットケーブル把持部にケーブルの第1の端部を取り付けることは、別のケーブル束の撚り操作が依然として起きているときに行われ、それによって装置の出力が上昇する。
【0014】
さらなる態様、特徴および利点は、従属請求項および実施形態から明らかである。
【0015】
実施形態において、処理ユニットの支持されたケーブルの回転する把持部の各々は取扱ユニットスライドが取扱位置から離れているとき、ケーブル束の第2の端部が手動で取り付けられるように構成されている。
【0016】
取扱ユニットスライドが取扱位置から離れていることは、取扱ユニットスライドが、例えば処理開始位置において、把持部回転器具の手の届くところにないことを意味する。例えば、取扱ユニットスライドは、処理ユニットへのケーブル束の搬送のための処理開始位置にある。
【0017】
さらなる実施形態では、取扱ユニットは取扱槽をさらに含む。取扱槽は取扱ユニットスライドの下に、すなわち、例えば、処理されたケーブル束等が装置を通って供給されるときに落下する方向に配置される。取扱槽は、ケーブル束を支えるように構成されている。
【0018】
なお、さらなる実施形態において、取扱ユニットは、複数の光バリアをさらに含む。光バリアの各々は第1の端部が取扱ユニットに手動で挿入されたとき、取扱ユニットケーブル把持部のうちの対応する1つを作動させるための信号を発するように構成される。例えば、典型的には取扱ユニットケーブル把持部の夫々に、1つまたは複数の取扱ユニットケーブル把持部に光バリア、すなわち対応する光バリアが割り当てられている。第1の端部が夫々の取扱ユニットケーブル把持部に手動で挿入されると、光バリアは信号を発し、そうすると、コントローラは取扱ユニットケーブル把持部が操作されるよう制御し、例えば閉じるように制御する。
【0019】
光バリアを供給することは、例えば、出力をさらに上げるために、取扱ユニット内のケーブル把持部の操作または取扱いを楽にするのに役立つことができる。
【0020】
さらに別の実施形態では、取扱ユニットは複数の押しボタンをさらに含む。各押しボタンは、取扱ユニットケーブル把持部のうちの対応する1つを作動させるように構成されている。例えば、1つ以上の取扱ユニットケーブル把持部、典型的には各取扱ユニットケーブル把持部は、押しボタン、すなわち対応する押しボタンが割り当てられる。押しボタンが押されると、典型的には手動で押されると、押しボタンは信号を発し、そうすると例えばコントローラが、操作される取扱ユニットケーブル把持部を例えば開く制御を行う。
【0021】
押しボタンを備えることは、取扱ユニット内のケーブル把持部の操作または取扱いを楽にするのに役立つことができる。特に、光バリアに関連して、押しボタンは、光バリアによって偶然閉じられたケーブル把持部を開くために使用されてもよい。
【0022】
さらに別の実施形態では、取扱ユニットケーブル把持部の1つ以上がケーブル制限ストッパを備える。典型的には、取扱ユニットケーブル把持部の各々がケーブル制限ストッパを備える。ケーブル制限ストッパは、操作者がユニット内にケーブル端部を正しく位置決めするのに役立つことができる。
【0023】
さらに別の実施形態では、把持部スライドは線形ガイド上に取り付けられる。少なくとも処理開始位置は、異なる長さのケーブル束に適応可能である。言い換えれば、線形ガイドは、異なる長さのケーブル束が装置によって処理されるように、処理開始位置を適応させることができる。例えば、プログラミングによって、または手動適応によって、処理ユニットの把持部スライドは、処理されるケーブルの長さに応じて、適切な処理開始位置に移動されてもよい。
【0024】
さらなる実施形態では1つ以上の回転しないケーブル把持部、典型的には各回転しないケーブル把持部は対応する弾性部材を介して把持部スライドから吊り下げられる。これにより、処理動作中、すなわち撚りの間、ケーブル束の長さが短くなると、長さ補正が達成される。撚りの間、長さの減少による力は、弾性部材によって提供される収縮力の反対方向に作用する。
【0025】
この接続において、弾性部材は、補正用空気シリンダに取り付けられたガイドロッドを備えることができる。補正用空気シリンダは、その空気構造を介して収縮力を提供する。
【0026】
さらに別の実施形態では、処理ユニットは吊り上げ空気シリンダをさらに備える。吊り上げ空気シリンダは、1つ以上の取扱ユニットケーブル把持部、典型的には各取扱ユニットケーブル把持部を、対応する回転しないケーブル把持部の位置決めレベルに持ち上げるように構成される。この操作は、典型的には取扱ユニットのケーブル把持部から処理ユニットの回転しないケーブル把持部へのケーブル束の第1の端部の搬送処理において行われる。
【0027】
本開示の実施形態は、図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態による半自動ケーブル撚り装置の斜視図である。
図2図1の半自動ケーブル撚り装置の詳細を示す斜視図である。
図3図1の半自動ケーブル撚り装置の取扱ユニットの斜視底面図である。
図4図1の半自動ケーブル撚り装置の処理ユニットの把持部スライドの斜視図である。
図5図1と同様の半自動ケーブル撚り装置の斜視図であり、一実施形態による搬送方法の状態を説明するための図である。
図6図5の半自動ケーブル撚り装置における把持部スライドの斜視図であり、本実施形態による搬送方法の状態を説明するための図である。
図7図5の半自動ケーブル撚り装置の斜視図であり、本実施形態による搬送方法の状態を説明するための図である。
図8図5の半自動ケーブル撚り装置における把持部スライドの斜視図であり、本実施形態による搬送方法の状態を説明するための図である。
図9図5の半自動ケーブル撚り装置における把持部スライドの斜視図であり、本実施形態による搬送方法の状態を説明するための図である。
図10図5の半自動ケーブル撚り装置の斜視図であり、本実施形態による搬送方法の状態を説明するための図である。
図11図5の半自動ケーブル撚り装置の斜視図であり、本実施形態による搬送方法の状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、一実施形態による半自動ケーブル撚り装置10の斜視図である。ケーブル撚り装置10は処理ユニット100と取扱ユニット200とを含み、双方ともより詳細に後述する。
【0030】
処理ユニット100は、把持部回転器具110と把持部スライド120とを有する。把持部回転器具110は、支持されたケーブルの回転する複数の把持部111、112、113、114を有する。支持されたケーブルの回転する把持部111、112、113、114は、並んで配置される。把持部スライド120は、回転しない複数のケーブル把持部121、122、123、124を有する。回転しないケーブル把持部121、122、123、124は、並んで配置される。各回転しないケーブル把持部121、122、123、124は、より詳細に後述するように、ケーブル束の撚り操作を行うための支持されたケーブルの回転する複数の把持部111、112、113、114内に対応物を有する。
【0031】
支持されたケーブルの回転する把持部の1つ、例えば支持されたケーブルの回転する把持部111、および回転しないケーブル把持部121、122、123、124の対応物によってケーブル束が把持されると、ケーブル束は把持されたケーブル延伸軸Aに沿って延長する。把持部スライドは、把持されたケーブル延伸軸Aに実質的に沿って、または把持されたケーブル延伸軸Aに実質的に平行な軸に沿って移動可能であるように支持される。
【0032】
取扱ユニット200は、取扱ユニットスライド220を有する。取扱ユニットスライド220は、複数の取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224を有する。取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224は、並んで配置される。取扱ユニットスライド220は、把持ケーブル延伸軸Aと実質的に平行な軸に沿って移動可能であるように支持される。
【0033】
取扱ニットケーブル把持部221、222、223、224の各々は、例えば操作者によって、ケーブル束301、302、303、304の第1の端部311、312、313、314が手動で取り付けられ、これについては以下でより詳細に説明する。取り付けは、さらに後述するように、取扱ユニットスライド220が取扱位置Hにあるときに行われ得る。
【0034】
取扱ユニット200は以下でさらに説明するように、把持部スライドが処理開始位置Pにあるとき、取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224から処理ユニットの回転しないケーブル把持部121、122、123、124へ第1の端部311、312、313、314を搬送するように構成される。
【0035】
図1において、取扱槽290は、取扱ユニットスライド220の下方に配置されている。さらに、トレイ槽190は、把持部スライド120の下に配置されている。処理の準備中、取扱槽290は細長いケーブル束を支持し、一方、トレイ槽190は、処理が終了した後、直ぐに撚りケーブル束を受け取る。
【0036】
図2は、図1の半自動ケーブル撚り装置10の詳細を示す斜視図である。支持されたケーブルの回転する把持部111、112、113、114の各々は、複数のケーブル束301、302、303、304のうちの1つの端部を保持する。ケーブル束301、302、303、304は、把持されたケーブル延伸軸Aに沿って延長する。
【0037】
図2の取扱ユニット200はケーブル束が取り付けられていない、または存在していない状態で示されている。取扱ユニットは、複数の取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224および把持部操作パネルが取り付けられた取扱ユニットスライド220を備える。パネルは取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224のうちの対応する1つを、例えば、把持部を閉じた状態から把持部を開いた状態に操作するように各々構成された押しボタン241、242、243、244を備える。
【0038】
この実施形態では図2に示すように、各取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224はケーブル制限ストッパ231、232、233、234を備える。操作者は一定のケーブル品質、例えば、製造された撚りケーブル束の一定の長さ、およびケーブル束の正しい位置決めのため、ケーブル束の第1の端部を、取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224に、夫々のケーブル制限ストッパ231、232、233、234まで挿入することができる。
【0039】
ケーブル束301、302、303、304の第1の端部、例えば単一のケーブル対は、図2の上側から取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224に挿入することができる。把持部221、222、223、224は、第1の端部を把持し、その後閉じられると、取扱ユニットスライド220は把持されたケーブル延伸軸Aに実質的に平行な線形ガイドレール269上を走る。例えば、これに限定されないが、線形ガイドレール269上の取扱ユニットスライド220の移動は線形ガイドレール269の下方に位置するベルト駆動を介して行われる。
【0040】
図3は、取扱ユニット200が取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224からケーブル束を搬送する準備ができている位置における、取扱ユニット200の斜視底面図を示す。図3において、ガイド要素268-1、268-2は、線形ガイドレール269を介して案内されるように配置される。
【0041】
図3において、各取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224は、制御ユニット(図示せず)に接続された対応する光バリア251、252、253、254を備える。ケーブル束301、302、303、304のケーブル端が取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224の何れかに挿入されると、対応する光バリア251、252、253、254が起動される。制御ユニットに起動信号が発せられるとすぐに、制御ユニットは、対応するケーブル把持部221、222、223、224を閉じ、それによってケーブル束端部を把持するように制御する。光バリアが誤って起動された場合、操作者は対応する押しボタン241、242、243、244(図2参照)を押すとすぐに、押しボタン信号が制御ユニットに発せられる。制御ユニットは順番に、対応するケーブル把持部221、222、223、224を開くように制御する。
【0042】
光バリア251、252、253、254は省略することができることに注意されたい。この場合、例えば、押しボタン241、242、243、244は、対応するケーブル把持部221、222、223、224を交互に開閉するように切り換えるように使用することができる。
【0043】
図3に示す実施形態では、ケーブル把持部221、222、223、224は通常、2つの線形ガイドレール261、262上で移動し、ラック266およびピニオン267駆動によって駆動され得るプレート上に、把持されたケーブル延伸軸Aに実質的に直交し、かつ把持されたケーブル延伸軸Aと実質的に同じ平面内にある方向に、以下にさらに詳述するように、搬送プロセスにおける回転しないケーブル把持部121、122、123、124との調整のために取り付けられる。
【0044】
加えて、プレートは垂直方向、すなわち、プレートに跨った平面に対して実質的に直交して移動することができる。2つの旋回ヒンジ263、264は、プレートの垂直、または上方へのピボット運動を可能にする。搬送プロセスにおいてプレートを持ち上げることは、取扱器具200のアクチュエータ、例えば空気アクチュエータを介して、または外部に設けられた器具を介して行うことができる。持ち上げ処理は、以下でさらに詳細に説明される。
【0045】
図4は、処理部100の把持部スライド120の斜視図を示す。把持部スライド120は線形ガイドレール161、162上に支持され、把持されたケーブル延伸軸Aに沿って移動可能である。本実施形態では図4の線形ガイドレール161が図2の線形ガイドレール269と同じであるので、取扱ユニットスライド220と、その片側の把持部スライド120との両方を案内することに注意されたい。しかしながら、線形ガイドレール161、269の共通使用に対する制限は意図されておらず、一方に把持部スライド120、他方に取扱ユニットスライド220に対する明確な線形ガイドレールを設けてもよい。
【0046】
ベルト駆動166は把持部スライド120を駆動するように構成され、把持部スライド120の位置が線形ガイド161、162上の任意の位置となるように調整するように構成されている。位置を調整することは、装置10の寸法によって与えられる制限、特に線形ガイド161、162の長さによって課される制限内で異なる長さのケーブル束を処理することができるように実行される。把持部スライド120上に配置されたケーブル把持部121、122、123、124は、回転しない構成のものである。図4に示す実施形態ではケーブル把持部121、122、123、124の各々は固定把持部クリップと、対応する可動把持部ジャの移動を介して各ケーブル把持部121、122、123、124を選択的に開閉するための空気の作用によって移動可能な把持部クリップ(どちらも明確に示されていない)とを備える。
【0047】
図4に1本の長さ補正空気シリンダ167が示されている長さ補正空気シリンダは、撚り処理中の長さ補正のために設けられている。ケーブル把持部121、122、123、124のうちの対応する1つに夫々割り当てられたガイド杆131、132、133、134は、対応する空気シリンダ167のピストン杆に夫々各取り付けられている。長さ補正空気シリンダ167は、撚り処理中のケーブル束301、302、303、304の長さ減少を補償することを可能にする。すなわち、長さ補正空気シリンダ167は夫々、ケーブル把持部121、122、123、124に収縮力を課すと同時に、ケーブル把持部121、122、123、124が夫々のガイド杆131、132、133、134に沿って移動することを可能にするように作用する。このようにして、ケーブル束301、302、303、304はケーブル延伸軸Aに沿って張力を保持される。長さ補正空気シリンダ167を使用することによって、例えば、制御弁または調節弁を介して、収縮力を調節することができる。
【0048】
持ち上げ空気シリンダ150は、回転しないケーブル把持部121、122、123、124の下方に設けられている。持ち上げ空気シリンダ150は搬送プロセスにおいて回転しないケーブル把持部121、122、123、124の下方に位置する場合に、取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224を持ち上げるように制御できるように配置され、構成されている。以下、対応する搬送処理について説明する。
【0049】
図5図11は夫々、図1と同様の半自動ケーブル撚り装置10の斜視図、または把持部スライド120および/または取扱ユニットスライド220の詳細を示し、実施形態による移送方法における状態を夫々説明する。ケーブル撚り装置10は本質的に上述した図1図4を参照して説明した実施形態のように構成されており、簡略化のため、ここでは説明を繰り返さない。
【0050】
この方法では、以下でさらに詳述するように、撚り処理中に把持部回転器具110に対して手動操作を行わなければならないので、操作者は把持部回転器具110の手の届く範囲の位置にいるものと仮定される。図5において、取扱ユニットスライド220は取扱位置Hの範囲に示されている。取扱位置において、取扱ユニットスライド220は、操作者の手の届くところにある。
【0051】
手の届くとは、操作者が自分の身体を積極的に動かすことを必要とせずに、操作者が夫々の要素を取り扱うことができる位置である。図5において、操作者は(静止)把持部回転器具110と、図5に示す段階で取扱位置Hにある取扱ユニットスライド220との双方を取り扱うことができるように、位置を変更する必要はない。取扱位置は図示するように、操作者による手動操作または取扱いが可能なある許容範囲を指してもよいということに留意されたい。
【0052】
取扱ユニットスライド220の取扱位置は把持部回転器具110の手の届くところにあり、これは、操作者が位置の間を歩くことを必要とせずに、支持されたケーブルの回転する把持部111、112、113、114および取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224を操作または取り扱うことができることを意味する。言い換えれば、操作者は複数回の撚り操作、例えば、10回を超えるまたは100回を超える撚り操作のために、装置10を取り扱う、または操作するとき、1つの場所に留まることができる。
【0053】
図5に初期位置または初期状態を示す。操作者が取扱ユニット200に別の1つまたは複数のケーブル束を取り付け始めるとき、1つまたは複数の撚りプロセスが依然として処理ユニット100によって実行されてもよい。初期状態では、取扱ユニットスライド220は取扱位置にあるので、操作者はその上で操作を実行することができ、例えば、1つ以上のケーブル束301、302、303、304を1つ以上の取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224に夫々挿入することができる。ケーブルの長さなどの用途または外部の状況に応じて、ケーブル把持部の一部のみが使用されることが考えられる。コントローラは、実際の撚り工程で使用されるケーブル把持部の数に注意を払うことができる。以下では4つのケーブル束301、302、303、304が同時に取り扱われると仮定するが、これに限定されるものではない。
【0054】
図6は、実施形態による搬送方法における次の状態を説明するための、図5の半自動ケーブル撚り装置10における把持部スライド220の斜視図を示す。ケーブル束301、302、303、304のケーブル端部311、312、313、314は、それぞれの制限停止231、232、233、234までケーブル把持部221、222、223、224に挿入され、ケーブル把持部221、222、223、224は閉じられる。把持部スライド220は、線形ガイドに沿って、搬送位置T、または搬送位置まで移動される。
【0055】
図7の斜視図では把持部スライド220が搬送位置Tに示されている。搬送位置はそれぞれの線形ガイド上の把持部スライド120の位置に依存している。把持部スライド120は、この段階では撚り処理の前のケーブル束の長さに依存する位置に配置される。
【0056】
把持部スライド220の移動によって、ケーブル束301、302、303、304は把持されたケーブル延伸軸Aに平行な方向に引き出され、それらは取扱槽290によって支持される。
【0057】
図7において、処理ユニット100は、依然として、撚られたケーブル束301、302、303、304が取り付けられている。撚りケーブル束301、302、303、304は、トレイ槽190内に排出される。この処理では支持されたケーブルの回転する把持部111、112、113、114はそれぞれの挿入開口面が下向きとなるように回転される。把持部スライド120は支持されたケーブルの回転する把持部111、112、113、114の方向に移動し、これにより、撚りケーブル束301、302、303、304上の張力が緩和される。そして、処理ユニット100の全てのケーブル把持部111、112、113、114、121、122、123、124が開放され、撚りユニットケーブル束がトレイ槽190内に落ちる。
【0058】
図8および図9は、夫々、搬送プロセスにおけるその後の段階における把持部スライド120および取扱ユニットスライド220の斜視図を示す。図8において、取扱ユニットスライド220は搬送位置Tに位置している。取扱ユニットスライド220のプレートは2つの線形ガイドレール261、262上を移動して案内され、ラック266およびピニオン267駆動によって駆動され、取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224は、夫々が対応する把持部スライド120の回転しないケーブル把持部121、122、123、124の下に位置するようになっている。
【0059】
図9において、持ち上げ空気シリンダ150は、取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224を運ぶプレートを持ち上げるように制御される。取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224は、把持されたケーブル束301、302、303、304が取扱ユニットケーブル把持部221、222、223、224から把持部スライド120の回転しないケーブル把持部121、122、123、124に自動的に搬送されるように、旋回ヒンジ263、264を介して回転または旋回される。
【0060】
図8および図9の自動搬送プロセスの間、操作者は、既に引き出されたケーブル束301、302、303、304の後端を支持されたケーブルの回転する把持部111、112、113、114に挿入し始めることができる。支持されたケーブルの回転する把持部111、112、113、114は、夫々の挿入開口面が上向きとなるように回される。
【0061】
図10は、全ての後方ケーブル端部が支持されたケーブルの回転する把持部111、112、113、114に挿入されたときの段階の斜視図を示す。把持部スライド120は、ケーブル束301、302、303、304が、把持されたケーブル延伸軸に沿って実質的に機械的な張力なしで緩く垂れ下がる位置Eにある。把持部スライド120は図11に示すように、処理開始位置Pに移動する。この段階で、ケーブル束301、302、303、304は引っ張られており、撚り処理が開始する。その間、取扱ユニットスライド220は操作者がその後ケーブル束端部挿入処理を開始できるように、取扱位置Hに移動される。
【0062】
本明細書で説明される実施形態、特徴、態様、および利点は例示的なものであり、当業者は、本発明から逸脱することなく、様々な特徴が省略または追加され得ることを認識するであろうことに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11