(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20241105BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20241105BHJP
G03G 15/043 20060101ALI20241105BHJP
H04N 1/036 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
B41J2/447 101B
B41J2/45
G03G15/043
H04N1/036
(21)【出願番号】P 2020120310
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和美
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-130713(JP,A)
【文献】特開2008-062541(JP,A)
【文献】特開平03-055271(JP,A)
【文献】特開2020-016745(JP,A)
【文献】特開2000-085178(JP,A)
【文献】特開2014-172257(JP,A)
【文献】米国特許第11199788(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
G03G 15/043
H04N 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
少なくとも第1の回転速度と、前記第1の回転速度より遅い第2の回転速度とで、回転軸の周りを回転する感光体と、
前記感光体の表面に光を照射して、前記表面に静電潜像を形成する露光ヘッドと、
前記感光体と前記露光ヘッドとの間に配置され、前記発光部から出射された光を前記感光体の表面に導くレンズと、を備え、
前記露光ヘッドは、前記回転軸に沿った第1方向に交差する第2方向に並んだ複数の発光部列を有し、
前記複数の発光部列のそれぞれは、前記第1方向に並ぶ複数の発光部を含み、
前記感光体が前記第1の回転速度で回転しているとき、前記複数の発光部列のうちの第1の数の発光部列の発光によって、前記感光体の表面の多重露光が行われ、
前記感光体が前記第2の回転速度で回転しているとき、前記複数の発光部列のうち、前記第1の数より少ない第2の数の発光部列の発光によって、前記感光体の表面の多重露光が行われ
、
前記複数の発光部列には、前記第2方向において、前記レンズまで第1の距離に配置された第1の発光部列と、前記第2方向において、前記レンズまで前記第1の距離より長い第2の距離に配置された第2の発光部列が含まれ、
前記感光体が前記第1の回転速度で回転しているとき、および、前記感光体が前記第2の回転速度で回転しているときの両方において、前記第1の発光部列は発光し、
前記感光体が前記第1の回転速度で回転しているときに前記第2の発光部列は発光し、他方、前記前記感光体が前記第2の回転速度で回転しているときには、前記第2の発光部列は発光しない、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記露光ヘッドは、それぞれが前記複数の発光部列を有する第1の半導体基板及び第2の半導体基板を有し、
前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板は、前記第2方向において間隔をあけて配置され、
前記第2方向において、前記第1の半導体基板と第2の半導体基板との間に、前記レンズの光軸が位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記露光ヘッドは、前記複数の発光部列を制御する回路が形成された半導体基板を有し、
前記複数の発光部のそれぞれは、前記半導体基板に順に積層された、第1の電極、発光層、および、第2の電極を有する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の電極は、前記発光部ごとに分離して形成された電極層であり、
前記第2の電極は、前記複数の発光部に渡って連続して形成された電極層の一部である、
ことを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の発光部列のうち、隣り合う2つの発光部列は、異なるタイミングで発光を開始し、
前記2つの発光部列の発光開始のタイミングの差が、次の式1で表される時間Tに収まる、
T=(W+d+Ws)÷Vdr (式1)
ただし、
Wは、前記発光部の前記第2方向におけるサイズであり、
dは、前記第2方向における前記隣り合う2つの発光部列の間隔であり、
Wsは、
前記感光体の表面の周方向における、1つの前記発光部から出射された光による照射領域の長さであり、
Vdrは、前記感光体の回転速度である、
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体が前記第1の回転速度で回転しているときに1つの前記発光部が連続して発光している発光時間の最大値は、前記感光体が前記第2の回転速度で回転しているときに1つの前記発光部が連続して発光している発光時間の最大値より短い
ことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体が前記第1の回転速度で回転しているときの前記発光部の単位時間あたりの発光量と、および、前記感光体が前記第2の回転速度で回転しているときの前記発光部の単位時間あたりの発光量とが等しい、
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像が形成されるシートの坪量を検出する検出部を備え、
前記検出部によって検出されたシートの坪量が所定未満の場合に、前記感光体は前記第1の回転速度で回転し、
前記検出部によって検出されたシートの坪量が所定以上の場合に、前記感光体は前記第2の回転速度で回転する
ことを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成方式を用いてシートに画像を形成する電子写真複写機、電子写真プリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置で画像を形成する場合、まず感光体の表面に画像データに応じた光を照射することにより感光体の表面に静電潜像を形成する。その後、現像装置によって感光体の表面の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成し、トナー像をシートに転写し、シートに転写されたトナー像を定着装置によって加熱してシートに定着させて画像を形成する。
【0003】
また画像が形成されるシートとして厚紙を用いる場合、普通紙などの坪量が相対的に小さいシートと比較してシートの熱容量が大きいため、トナー像をシートに定着させる際に必要となる熱量が多くなる。そこでシートの搬送速度を通常よりも低速とし、シートに担持されたトナー像を定着装置によって加熱する時間を長くすることにより、トナー像やシートにより多くの熱を付与し、厚紙に対してもトナー像を安定的に定着する構成が知られている。つまり、この構成の画像形成装置は、シートを通常の速度で搬送する通常モードと、通常モードよりも低速でシートを搬送する低速モードを有する。感光体の回転速度はシートの搬送速度に関わるため、低速モードを実行する場合、通常モードを実行する場合よりも感光体の回転速度は遅くなる。
【0004】
また特許文献1では、感光体に光を照射して静電潜像を形成する装置として、LEDや有機ELなどを用いた発光部と、この発光部から照射される光を感光体の表面に結像させるレンズを有する露光ヘッドを備える画像形成装置が記載されている。このように露光ヘッドを用いることで、レーザ光を回転多面鏡により偏向走査して静電潜像を形成するレーザ走査方式の構成と比較して、部品点数の削減を図ることができ、画像形成装置の小型化や製造コストの削減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
露光ヘッドが有するLEDや有機ELなどを用いた発光部の一つの光量は十分に高いとは言えない。従って、感光体の表面に静電潜像を形成するための光量を補うために、複数の発光部から感光体の表面の同一部分に光を照射する構成が考えられる。以下、このように複数の発光部から感光体の表面の同一部分に光を照射することを多重露光と称する。
【0007】
ここで上述した低速モードを実行して画像を形成する際に多重露光を行う場合、通常モードを実行して画像を形成する際に多重露光を行う場合と比較して、感光体の表面の同一部分に照射される光の光量が多くなる。これは低速モードを実行する場合、通常モードを実行する場合と比較して感光体の回転速度が遅いため、感光体の表面の同一部分に光が照射される時間が長くなるからである。感光体の表面の同一部分に照射される光の光量が多くなる場合、静電潜像を現像する際にトナーが載り過ぎてしまうおそれがある。
【0008】
これに対し、低速モードを実行する場合、通常モードを実行する場合と比較して、各々の発光部の光量を低くすることにより、トナーが載り過ぎることを抑制する構成が考えられる。しかし発光部の光量を可変にする構成では、発光部を駆動させるための回路の構成が複雑化し、コストアップや露光ヘッドの大型化を招来するおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、露光ヘッドによって多重露光を行う画像形成装置において、感光体の回転速度が遅いモードで画像を形成する場合でも、簡易な構成で、感光体にトナーが載り過ぎることを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、画像形成装置であって、少なくとも第1の回転速度と、前記第1の回転速度より遅い第2の回転速度とで、回転軸の周りを回転する感光体と、前記感光体の表面に光を照射して、前記表面に静電潜像を形成する露光ヘッドと、前記感光体と前記露光ヘッドとの間に配置され、前記発光部から出射された光を前記感光体の表面に導くレンズと、を備え、前記露光ヘッドは、前記回転軸に沿った第1方向に交差する第2方向に並んだ複数の発光部列を有し、前記複数の発光部列のそれぞれは、前記第1方向に並ぶ複数の発光部を含み、前記感光体が前記第1の回転速度で回転しているとき、前記複数の発光部列のうちの第1の数の発光部列の発光によって、前記感光体の表面の多重露光が行われ、前記感光体が前記第2の回転速度で回転しているとき、前記複数の発光部列のうち、前記第1の数より少ない第2の数の発光部列の発光によって、前記感光体の表面の多重露光が行われ、前記複数の発光部列には、前記第2方向において、前記レンズまで第1の距離に配置された第1の発光部列と、前記第2方向において、前記レンズまで前記第1の距離より長い第2の距離に配置された第2の発光部列が含まれ、前記感光体が前記第1の回転速度で回転しているとき、および、前記感光体が前記第2の回転速度で回転しているときの両方において、前記第1の発光部列は発光し、前記感光体が前記第1の回転速度で回転しているときに前記第2の発光部列は発光し、他方、前記前記感光体が前記第2の回転速度で回転しているときには、前記第2の発光部列は発光しない、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、露光ヘッドによって多重露光を行う画像形成装置において、感光体の回転速度が遅いモードで画像を形成する場合でも、簡易な構成で、感光体にトナーが載り過ぎることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】感光ドラムと露光ヘッドの斜視図と断面図である。
【
図3】露光ヘッドが備えるプリント基板の実装面を示す図である。
【
図7】発光部の電流・光量特性、順方向電圧と順方向電流との関係を示すグラフである。
【
図8】発光部の配置を説明するための模式図である。
【
図9】副走査方向に隣接する二つの発光部から出射された光の感光ドラム上の照射位置を説明するための模式図である。
【
図10】画像コントローラ部と露光ヘッドのシステム構成を示すブロック図である。
【
図11】発光素子アレイチップのシステム構成を示すブロック図である。
【
図13】画像データ格納部における主走査方向の動作を示すタイミングチャートである。
【
図14】画像データ格納部における副走査方向の動作を示すタイミングチャートである。
【
図15】アナログ部の構成を示すブロック図である。
【
図18】発光部と発光部から感光ドラムに照射された光を示す模式図である。
【
図19】発光部と発光部から感光ドラムに照射された光を示す模式図である。
【
図20】発光部と発光部から感光ドラムに照射された光を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<画像形成装置>
以下、本発明に係る画像形成装置Aの全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
画像形成装置Aは、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの4色のトナーをシートに画像を転写して画像を形成するフルカラー画像形成装置である。なお、以下の説明において、上記各色のトナーを使用する部材には添え字としてY、M、C、Kを付するものの、各部材の構成や動作は使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じであるため、区別を要する場合以外は添え字を適宜省略する。
【0015】
図1は、画像形成装置Aの断面概略図である。
図1に示す様に、画像形成装置Aは、画像を形成する画像形成部を有する。画像形成部は、感光体としての感光ドラム1(1Y、1M、1C、10K)、帯電装置2(2Y、2M、2C、2K)、露光ヘッド6(6Y、6M、6C、6K)、現像装置4(4Y、4M、4C、4K)、転写装置5(5Y、5M、5C、5K)を有する。
【0016】
また画像形成装置Aは、ユーザが操作することによって画像形成に関する各種の設定を行うタッチパネル方式の操作部300(検出部)を備える。ユーザは、操作部300を操作することで画像形成の枚数、画像が形成されるシートのサイズなどを指定することができる。またユーザは、操作部300を操作することで、シートカセット99a、99bに収納されているシートSの坪量(例えば厚紙や普通紙、シートの銘柄など)を入力することができる。なお、シートSの坪量は、操作部300から入力するのではなく、例えば搬送経路内に配置したセンサ38(検出部)で測定しても構わない。
【0017】
坪量を測定するセンサ38は、例えば透過型の光センサを用いることができる。透過型の光センサは、発光側のLED素子とフォトダイオードなどの受光素子の組み合わせで使用される。LED素子から出射されて受光素子へと向かう光を原稿が遮ることで、受光素子が受光する光量が減少する。受光素子は、その受光した光量を電圧値に変換し、その電圧量に対して所定の閾値を設定することで、スイッチとしての機能を果たす。
【0018】
一般的に、印刷などに使用される用紙は、坪量が大きくなると、紙厚も大きくなる。特に坪量の小さい薄紙の場合、LEDなどを発光させると、用紙を通して光が透過する。また、坪量の大きい厚紙の場合、LEDの透過光はほとんどない。そこで、この透過型のセンサと原稿の坪量の関係に注目して、LEDの発光量を一定にした状態で、センサの間を通過する原稿の先端、又は、後端の部分でのLED受光量を観測することで、搬送される原稿の坪量を予測する。この観測位置は、原稿の先端や後端には印刷されることが少ないことから、この部分を利用することで判定精度を上げる狙いがある。
【0019】
また操作部300に電気的に接続された
図10に示すCPU73(設定部)は、操作部300で入力されたシートSの坪量、又はセンサ38によって測定されたシートSの坪量に応じて、シートSを搬送する各種ローラの回転速度を制御し、画像形成時のシートSの搬送速度を設定する。例えばCPU73は、シートSの坪量が所定以上の厚紙に画像を形成する低速モードを実行する場合、シートSの坪量が所定未満の普通紙に画像を形成する通常モードを実行する場合よりもシートSの搬送速度を低速に設定して画像を形成する。また感光ドラム1の回転速度はシートSの搬送速度に関係するため、CPU73は、低速モード(第2モード)を実行する場合、通常モード(第1モード)を実行する場合よりも感光ドラム1の回転速度を低速に設定する。これにより坪量が大きいシートSに担持されたトナー像を定着装置94によって加熱する時間を長くしてトナー像やシートSにより多くの熱を付与し、熱容量が大きいシートSに対してもトナー像を安定的に定着することができる。なお、CPU73が、低速モードと通常モードを切り替えるタイミングは上記タイミングに限られるものではない。例えばCPU73は、通常よりも高画質の画像を形成する場合に低速モードを設定し、感光ドラム1の回転方向である副走査方向の解像度を通常モードより多くする構成としてもよい。
【0020】
次に、画像形成装置Aによる画像形成動作について説明する。画像を形成する場合、まずシートカセット99a又はシートカセット99bに収納されたシートSが、ピックアップローラ91a、91b、給送ローラ92a、92b、搬送ローラ93a~93cによってレジストローラ96に送られる。その後、シートSは、レジストローラ96によって所定のタイミングで搬送ベルト11に送り込まれる。
【0021】
一方、画像形成部においては、まず帯電装置2Yにより感光ドラム1Yの表面が帯電させられる。次に、画像読取部90によって読み取られた画像データ又は不図示の外部機器から送信された画像データに応じて露光ヘッド6Yが感光ドラム10Y表面に光を照射し、感光ドラム10Yの表面に静電潜像を形成する。その後、現像装置4Yにより感光ドラム1Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させ、感光ドラム1Yの表面にイエローのトナー像を形成する。感光ドラム1Yの表面に形成されたトナー像は、転写装置5Yに転写バイアスが印加されることで、搬送ベルト11によって搬送されているシートSに転写される。
【0022】
同様のプロセスにより、感光ドラム1M、1C、1Kにも、露光ヘッド6M、6C、6Kから光が照射されて静電潜像が形成され、現像装置4M、4C、4Kによってマゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして転写装置5M、5C、5Kに転写バイアスが印加されることで、これらのトナー像がシートS上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これによりシートSの表面には画像データに応じたフルカラーのトナー像が形成される。
【0023】
その後、トナー像を担持するシートSは、搬送ベルト97によって定着装置94に搬送され、定着装置94において加熱、加圧処理が施される。これによりシートS上のトナー像がシートSに定着される。その後、トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ98によって排出トレイ95に排出される。
【0024】
<露光ヘッド>
次に、露光ヘッド6の構成について説明する。
【0025】
図2(a)は、感光ドラム1と露光ヘッド6の斜視図である。
図2(b)は、感光ドラム1と露光ヘッド6の断面図である。
図3(a)、
図3(b)は、露光ヘッド6が備えるプリント基板22の一方側と他方側の実装面を示す図である。
図3(c)は、
図3(b)に示す領域Vの拡大図である。
【0026】
図2に示す様に、露光ヘッド6は、感光ドラム1の表面と対向する位置に、不図示の固定部材によって固定されている。露光ヘッド6は、光を出射する発光素子アレイチップ40と、発光素子アレイチップ40を実装するプリント基板22を有する。また発光素子アレイチップ40から出射された光を感光ドラム1上に結像(集光)させるロッドレンズアレイ23と、ロッドレンズアレイ23とプリント基板22が固定されるハウジング24を有する。
【0027】
またプリント基板22における発光素子アレイチップ40の実装面と反対側の面にはコネクタ21が実装されている。コネクタ21は、画像コントローラ部70(
図10)から送信される発光素子アレイチップ40の制御信号の伝送や電源ラインを接続するために設けられている。発光素子アレイチップ40は、コネクタ21を介して駆動される。
【0028】
図3に示す様に、プリント基板22には、20個の発光素子アレイチップ40が千鳥状に二列に配列されて実装されている。また各々の発光素子アレイチップ40内には、その長手方向(矢印X方向)に所定の解像度ピッチで748個の発光部50が配列されている。また各々の発光素子アレイチップ40内には、その短手方向(矢印Y方向)に所定のピッチで発光部50が配列されている。即ち、各々の発光素子アレイチップ40において、発光部50は矢印X方向と矢印Y方向に二次元配列されている。
【0029】
本実施形態において、発光素子アレイチップ40の上記解像度ピッチは1200dpi(約21.16μm)である。また各々の発光素子アレイチップ40が有する発光部50の長手方向の一端部から他端部までの距離は約15.8mmである。即ち露光ヘッド6は、矢印X方向に合計で14960個の発光部50を備えており、これにより約316mm(≒約15.8mm×20チップ)の長手方向の画像幅に対応した露光処理が可能となっている。
【0030】
発光素子アレイチップ40の長手方向において、隣接する発光素子アレイチップ40の発光部50の間隔L1は約21.16μmとなっている。つまり各々の発光素子アレイチップ40の境界部において発光部50の長手方向のピッチは1200dpiの解像度のピッチとなっている。また発光素子アレイチップ40の短手方向(矢印Y方向)において、二列に並んだ発光素子アレイチップ40の発光部50の間隔L2は約105μm(1200dpiで5画素分、2400dpiで10画素分)となっている。
【0031】
本実施形態において、発光素子アレイチップ40の長手方向である矢印X方向は、感光ドラム1の回転軸線方向であり、発光素子アレイチップ40の短手方向である矢印Y方向は、感光ドラム1の回転方向である。また矢印Z方向は、後述する層構造の発光部50の各層が重なる積層方向である。なお、発光素子アレイチップ40の長手方向は、感光ドラム1の回転軸線方向に対して±1°程度傾いていても構わない。また発光素子アレイチップ40の短手方向も感光ドラム1の回転方向に対して±1°程度傾いていても構わない。
【0032】
<ロッドレンズアレイ>
次に、ロッドレンズアレイ23の構成について説明する。
【0033】
図4(a)は、ロッドレンズアレイ23を感光ドラム1側から見た図である。
図4(b)は、ロッドレンズアレイ23の斜視概略図である。
図4(c)は、ロッドレンズアレイ23と発光素子アレイチップ40との位置関係を示す図である。
【0034】
図4に示す様に、ロッドレンズアレイ23は、矢印X方向に沿って二列に並べられた硝子製で円柱状のロッドレンズである複数のレンズ23a、23bの集合体である。なお、レンズ23a、23bの材質は硝子製に限らず、プラスチック製であってもよい。またレンズ23a、23bの形状は円柱状に限られず、例えば六角柱等の多角柱であってもよい。
【0035】
レンズ23aは、矢印Y方向における一列目の各々のレンズを指し、レンズ23bは、矢印Y方向における二列目の各々のレンズを指す。これらのレンズ23a、23bは、矢印X方向において隣り合うレンズ23aの両方に対して一つのレンズ23bが接触し、矢印X方向において隣り合うレンズ23bの両方に対して一つレンズ23aが接触する位置関係で交互に配置されている。
【0036】
レンズ23a、23bは、発光部50から出射された光が入射する入射面と、入射面から入射した光が出射する出射面を有する。
図4(b)に示す点線は、レンズ23a、23bの光軸Uを示す。ここで言うレンズ23a、23bの光軸U(ロッドレンズアレイ23の光軸とも言う)は、レンズ23a、23bの光出射面の中心とレンズ23a、23bの焦点とを結ぶ線を意味する。
【0037】
露光ヘッド6のハウジング24は、複数の発光部50とロッドレンズアレイ23が対向するように、これらの部材を保持する。これにより複数の発光部50から出射された光がロッドレンズアレイ23により感光ドラム1上に集光される。本実施形態では、矢印X方向、Y方向にそれぞれに並べられた複数の発光部50から出射された光は、同一の一つのレンズ23a又はレンズ23bを通過し得る。また一つの発光部50から出射された光であっても、その光は放射状に拡散するため、複数のレンズ23a、23bを通過し得る。つまり複数の発光部50から出射された光は、ロッドレンズアレイ23が有する複数のレンズ23a、23bのうちのいくつかを通過して感光ドラム1を露光する。
【0038】
また
図4(c)に示す様に、感光ドラム1側からロッドレンズアレイ23を見た場合、ロッドレンズアレイ23の一部は、発光素子アレイチップ40の一部と重なるように配置される。レンズ23aの各々の光軸Uを結ぶ仮想線LC1と、レンズ23bの各々の光軸Uを結ぶ仮想線LC2を二分するように引いた仮想線をロッドレンズアレイ23の副走査方向の中心線LC(中心軸線)と定義する。このとき、ロッドレンズアレイ23を感光ドラム1側から見た場合、矢印Y方向の一列目の発光素子アレイチップ40から中心線LCまでの距離と、二列目の発光素子アレイチップ40から中心線LCまでの距離が等しくなるように発光素子アレイチップ40は配置されている。
【0039】
<発光素子アレイチップ>
次に、発光素子アレイチップ40の構成について説明する。
【0040】
図5は、発光素子アレイチップ40の概略図である。
図6は、
図5に示すM-M断面で切断した断面図である。
図7(a)は、発光部50の電流・光量特性を示すグラフである。
図7(b)は、発光部50の両端にかかる順方向電圧VFと発光部50に流れる順方向電流IFとの関係を示すグラフである。
図8は、発光部50の配置を説明するための模式図である。
【0041】
図5に示す様に、発光素子アレイチップ40は、発光部50を制御するための回路部46を内蔵した発光基板42と、複数の発光部50が発光基板42上に規則的に配置された発光領域44と、ワイヤボンディング用パッド48を有する。発光素子アレイチップ40の外部と回路部46との信号の出入力や回路部46への電源供給は、ワイヤボンディング用パッド48を通じて行われる。なお、回路部46は、アナログ駆動回路、デジタル制御回路、又はその両方を含んだ回路を用いることができる。
【0042】
図6に示す様に、発光部50は、発光基板42と、発光基板42上に矢印X方向と矢印Y方向に一定の間隔(
図8に示す間隔d1、d2)で二次元配列された複数の下部電極54と、発光層56と、上部電極58から構成されている。
【0043】
下部電極54(複数の電極を有する第1電極層)は、発光基板42上に層状で、且つ、分離して形成された複数の電極であって、各画素に対応して設けられた電極である。つまり各々の下部電極54は、それぞれ一画素を形成するために設けられている。
【0044】
上部電極58(第2電極層)は、発光層56に対する下部電極54が配置された側と反対側の位置において、発光層56に積層されている。上部電極58は、発光層56の発光波長の光を透過させることが可能(透過可能)な電極である。
【0045】
回路部46(制御部)は、画像データに応じて生成された制御信号に基づいて選択された下部電極54の電位を制御し、選択された下部電極54と上部電極58との間に電位差を生じさせる。陽極である上部電極58と陰極である下部電極54との間に電位差が生じると、陰極から電子が発光層56に流れ込み、陽極から正孔が発光層56に流れ込む。発光層56において電子と正孔が再結合することによって発光層56が発光する。
【0046】
発光層56が発光することで上部電極58に向かう光は、上部電極58を透過して出射される。また発光層56から下部電極54に向かう光は、下部電極54より上部電極58に向けて反射され、その反射光も上部電極58を透過して出射される。このようにして発光部50は光を出射する。なお、発光層56から上部電極58に直接向かって出射される光と、下部電極54より反射されて上部電極58から出射される光との間で出射タイミングに時間差は生じるものの、発光部50の層の厚さは極めて薄いため、ほぼ同時とみなすことができる。
【0047】
なお、本実施形態において、発光基板42はシリコン基板である。上部電極58は、発光層56の発光波長に対して透明であることが好ましい。例えば酸化インジウム錫(ITO)などの透明電極を用いることにより開口率は実質的に100%となって、発光層56で発光された光は上部電極58を通ってそのまま出射される。また本実施形態において、上部電極58は各々の下部電極54に対して共通に設けられた陽極であるが、各々の下部電極54それぞれに対して個別に設ける構成としても、複数の下部電極54毎に一つの上部電極58を設ける構成としてもよい。
【0048】
また発光層56は、有機EL膜や無機EL層などが用いられる。発光層56として有機EL膜を用いる場合、発光層56は電子輸送層、正孔輸送層、電子注入層、正孔注入層、電子ブロック層、正孔ブロック層などの機能層を必要に応じて含む積層構造体であってもよい。また発光層56は矢印X方向に連続的に形成されていても、下部電極54と同等の大きさに分断されていてもよい。また各々の下部電極54を複数のグループに分割し、分割したグループ毎にそのグループに属する下部電極54の上部に一つの発光層56を積層させる構成としてもよい。
【0049】
なお、発光層56として有機EL層や無機EL層などの水分に弱い発光材料を用いる際は発光領域44への水分侵入を阻止するために封止しておくことが望ましい。封止方法としては、例えばシリコンの酸化物、シリコンの窒化物、アルミの酸化物などの薄膜の単体あるいは積層した封止膜を形成する。封止膜の形成方法としては段差などの構造の被覆性能に優れた方法が好ましく、例えば原子層堆積法(ALD法)などを用いることができる。なお、封止膜の材料、構成、形成方法などは一例であり、上述した例には限定されず、適宜好適なものを選択すればよい。
【0050】
また下部電極54は、発光層56の発光波長に対して反射率の高い金属を材料とするのが好ましい。例えばAg、Al、又はAgとAlの合金などが用いられる。また下部電極54は、回路部46の形成と共にSiプロセスを用いて形成され、回路部46の駆動部に直結される。このように下部電極54をSiプロセスによって形成することで、プロセスルールが0.2μm程度で高精度となるため、下部電極54を精度良く高密度に配置できる。さらに下部電極54を高密度に配置できるため、発光領域44の殆どを発光させることができ、発光領域44の利用効率を高めることができる。なお、各々の下部電極54の間には発光層56の有機材料が充填されており、各々の下部電極54は有機材料によって仕切られている。
【0051】
また
図7(a)に示す様に、発光部50に流れる順方向電流IFと発光光量Pは、略比例関係にある。このため、発光部50に流れる順方向電流IFを制御することにより、発光部50の光量を制御することができる。しかしながら、このような電流駆動回路は回路規模が大きくなり複雑化する傾向にある。そこで本実施形態では、発光部50の駆動回路として、発光部50の両端にかかる電圧を制御する回路としている。
図7(b)に示す様に、発光部50は閾値電圧Vthを有し、発光部50の両端にかかる順方向電圧VFが閾値電圧Vth以上になると発光部50に順方向電流IFが流れ始め、その後は順方向電流IFがほぼ線形的に流れる。
【0052】
また各々の発光部50の閾値電圧Vthにはばらつきがあるため、各々の発光部50で順方向電流IFが流れ始める電圧が若干異なる。そこで工場からの製品出荷前の段階において、発光素子アレイチップ40の発光部50を個別に順次発光させて、ロッドレンズアレイ23を介して集光した光が所定の光量になるように発光部50に流れる順方向電流IFが調整される。なお、露光ヘッド6は、工場からの製品出荷前の段階において、上述した光量調整だけでなく、発光素子アレイチップ40とロッドレンズアレイ23との間隔を調整するピント調整がなされる。
【0053】
図8に示す様に、発光部50は、発光領域44において、矢印X方向及び矢印Y方向に所定の間隔でマトリクス状に配置されている。本実施形態では、発光部50の矢印X方向の幅W1は20.90μmであり、矢印X方向に隣接する発光部50同士の間隔d1は0.26μmである。即ち、発光部50は、矢印X方向において21.16μm(1200dpi)ピッチに配列されている。また発光部50の矢印Y方向の幅W2も、幅W1と同様に20.90μmである。即ち、本実施形態の発光部50は、一辺を20.90μmとする正方形状をなしており、その面積は436.81μm
2の大きさとなる。これは一画素の面積447.7456μm
2に対して約97.6%を占める。有機発光材料はLEDに比較して光量が少ない。これに対して上記のように発光部50を正方形として隣接する発光部50との間の距離を小さくすることで、感光ドラム1の電位を変化させる程度の光量を得るための発光面積を確保することが可能となる。
【0054】
なお、一画素の占有面積に対し90%以上の発光部50の面積を確保することが望ましい。従って、1200dpiの出力解像度の画像形成装置Aに対しては発光部50の一辺の幅を約20.07μm以上で形成することが望ましい。また2400dpiの出力解像度の画像形成装置Aに対しては発光部50の一辺の幅を約10.04μm以上で形成することが望ましい。また本発明において発光部50の形状は正方形に限られず、画像形成装置Aの出力解像度に対応する露光領域サイズの光を出射して出力画像の画質が画像形成装置Aの設計仕様を満たすレベルであれば、四角形以上の多角形、円形、楕円形などでもよい。また矢印Y方向に隣接する発光部50同士の間隔d2、発光部50の矢印Y方向の列数は、露光ヘッド6の走査速度、露光処理に必要な光量、解像度などに基づいて決定される。
【0055】
図9は、矢印Y方向に隣接する二つの発光部50から出射された光の感光ドラム1上の照射位置を説明するための模式図である。
図9(a)に示す様に、Y方向に隣接して配置された二つの発光部50を同時に点灯させる場合、二つの発光部50から出射された光Hの感光ドラム1上での照射位置は、二つの発光部50の位置関係と同様に感光ドラム1の回転方向(矢印Y方向、副走査方向)にずれる。これに対して
図9(b)に示す様に、感光ドラム1の回転速度に応じて二つの発光部50の点灯タイミングを変化させる場合、二つの発光部50から出射された光Hの感光ドラム1上での照射位置を略同一にすることができる。このように矢印Y方向に配列された複数の発光部50から感光ドラム1上の略同一の位置に光を照射することを多重露光と称する。多重露光に用いられる矢印Y方向に配列された発光部50の数が多い程、多重露光を行った際の感光ドラム1上の一部分の受光量は大きくなる。本実施形態では、一つの発光部50につき約13mWの光量を得ることができるため、多重露光に用いられる発光部50の数がn個の場合、13n(mW)の光量を得ることができる。
【0056】
矢印Y方向に隣接する二つの発光部50から出射された光の感光ドラム1上での照射位置を一致させるためには、感光ドラム1の回転方向の下流側の発光部50の点灯タイミングを、上流側の発光部50の点灯タイミングに対して遅延量Tの時間分、遅延させる必要がある。ここで遅延量T(μs)は、感光ドラム1の回転速度をVdr(mm/s)とし、幅W2(μm)、間隔d2(μm)とする場合、次の式1で算出される。
【0057】
(式1)
T=((W2+d2)÷1000)÷Vdr
【0058】
また本実施形態では、各々の発光部50の発光時間の最大値Tw(μs)は、副走査方向の一ライン時間に等しくなるように発光信号が生成され、解像度である1200dpiと感光ドラム1の回転速度Vdr(mm/s)から次の式2で表される。
(式2)
Tw=(25.4÷1200)÷Vdr
【0059】
また矢印Y方向に配列された発光部50から出射された光の感光ドラム1上での照射位置が完全に重なることが理想的であるものの、制御上のばらつきにより、遅延量Tのタイミングを完全に実現することは難しい。そこで遅延量Tは、発光部50から出射された光の感光ドラム1上での照射領域の副走査方向の長さであるスポットサイズをWs(μm)とする場合、次の式3で算出される許容誤差量ΔT(μs)に収まるタイミングで制御されることが望ましい。
【0060】
(式3)
ΔT=(Ws÷1000)÷Vdr
【0061】
<露光ヘッドのシステム構成>
次に、露光ヘッド6と露光ヘッド6の制御を行う画像コントローラ部70の構成について説明する。画像コントローラ部70は、画像形成装置Aの本体側に設けられている。なお、以下では、一つの画像データ(単色)を処理する際に行う制御について説明するものの、画像形成動作を行う場合は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックに対応する四つの画像データについて同様の処理を並列処理するものとする。
【0062】
図10は、画像コントローラ部70と露光ヘッド6のシステム構成を示すブロック図である。
図10に示す様に、画像コントローラ部70は、画像データ生成部71、チップデータ変換部72、CPU73、同期信号生成部74を備える。画像コントローラ部70は、これらの部位により、画像データの処理や画像形成タイミングの処理、露光ヘッド6を制御するための制御信号の送信などを行う。
【0063】
画像データ生成部71には、画像読取部90により読み取られた原稿の画像データや外部機器からネットワークを介して転送された画像データが入力される。画像データ生成部71は、入力された画像データに対して、CPU73により指示された解像度でディザリング処理を行い、画像を出力するための画像データを生成する。
【0064】
同期信号生成部74は、画像データの一ライン毎の区切りを表すライン同期信号を生成する。CPU73は、予め設定された感光ドラム1の回転速度に対し、感光ドラム1表面が回転方向に1200dpiの画素サイズ移動する周期を一ライン周期として、同期信号生成部74に信号周期の時間間隔を指示する。例えば感光ドラム1が200mm/sで回転する場合、一ライン周期を105.8μsとして時間間隔を指示する。
【0065】
チップデータ変換部72は、同期信号生成部74で生成され、ライン同期信号線78を介して入力されたライン同期信号に同期して、一ライン分の画像データを各々の発光素子アレイチップ40に分割する。そしてチップデータ変換部72は、チップセレクト信号線75、クロック信号線76、画像データ信号線77を介して、クロック信号及び画像データの有効範囲を表すチップセレクト信号と共に一ライン分の画像データを各々の発光素子アレイチップ40へ送信する。
【0066】
露光ヘッド6が備えるヘッド情報格納部171は、通信信号線79を介してCPU73と接続されている。ヘッド情報格納部171は、ヘッド情報として、各々の発光素子アレイチップ40の発光量や実装位置情報を格納する。また発光素子アレイチップ40は、画像コントローラ部70から入力された上記の各信号の設定値に基づいて、発光部50を発光させる。また発光素子アレイチップ40は、チップセレクト信号線75を介して接続された他の発光素子アレイチップ40で使用されるチップセレクト信号を生成する。
【0067】
<発光素子アレイチップのシステム構成>
次に、発光素子アレイチップ40のシステム構成について説明する。
【0068】
図11は、発光素子アレイチップ40のシステム構成を示すブロック図である。
図11に示す様に、発光素子アレイチップ40の回路部46は、デジタル部80とアナログ部86から構成されている。アナログ部86は、後述する通り、デジタル部80で生成されたパルス信号に基づいて、発光部50を駆動させるための信号を生成する。
【0069】
デジタル部80は、通信IF部81、レジスタ部82、チップセレクト信号生成部83、画像データ格納部84、パルス信号生成部85を備える。デジタル部80は、これらの部位により、クロック信号に同期して通信信号により予め設定された設定値、チップセレクト信号、画像データ信号、ライン同期信号に基づいて、発光部50を発光させるためのパルス信号を生成し、アナログ部86へ送信する。
【0070】
チップセレクト信号生成部83は、入力されたチップセレクト信号を遅延させ、チップセレクト信号線75を介して接続された他の発光素子アレイチップ40で使用されるチップセレクト信号を生成する。
【0071】
レジスタ部82は、画像データ格納部84で使用される露光タイミング情報、パルス信号生成部85で生成されるパルス信号の幅情報及び位相情報(遅延情報)、アナログ部86で設定される駆動電流の設定情報などを格納する。通信IF部81は、CPU73から入力された通信信号に基づいて、レジスタ部82に対する設定値のライト及びリードを制御する。
【0072】
画像データ格納部84は、入力されたチップセレクト信号が有効な間の画像データを保持し、ライン同期信号に同期して画像データをパルス信号生成部85に出力する。パルス信号生成部85は、画像データ格納部84から入力された画像データに応じて、レジスタ部82で設定されたパルス信号の幅情報及び位相情報に基づいて、発光部50をONにするタイミングを制御するパルス信号が生成し、アナログ部86に出力する。
【0073】
<画像データ格納部>
次に、画像データ格納部84の動作について説明する。以下の説明において、チップセレクト信号cs、ライン同期信号lsyncを負論理信号とするものの、これらは正論理信号であってもよい。
【0074】
図12は、画像データ格納部84の回路構成図である。
図12に示す様に、クロックゲート回路30は、チップセレクト信号csの反転信号とクロック信号clkの論理積を出力とし、チップセレクト信号csが有効な時のみフリップフロップ回路31にクロック信号s_clkを出力する。フリップフロップ回路31は、画像データ格納部84へ入力された画像データ信号dataを大元の入力とし、発光素子アレイチップ40の長手方向に設けられた発光部50の数と同数の748個が直列接続されている。
【0075】
フリップフロップ回路31は、クロックゲート回路30から送られてきたクロック信号s_clkで動作する。フリップフロップ回路32は、フリップフロップ回路31の出力を入力とし、ライン同期信号lsyncで動作する。フリップフロップ回路32の出力は、画像データbuf_data_0_000~buf_data_0_747として、パルス信号生成部85とフリップフロップ回路33に出力される。フリップフロップ回路33は、フリップフロップ回路32の出力を入力とし、多重タイミング信号lshift_0で動作する。フリップフロップ回路33の出力は、画像データbuf_data_1_000~buf_data_1_747として、パルス信号生成部85に出力される。
【0076】
多重タイミング信号生成部34は、ライン同期信号lsync、クロック信号clk、多重タイミング設定信号lshift_startに基づいて、多重露光タイミング信号lshift_0を生成する。本実施形態では、多重タイミング設定信号lshift_startは、ライン同期信号lsyncをlshift_start設定値の分、サイクル遅延させてlshift_0を生成する。例えばlshift_start=1と設定する場合、多重タイミング信号lshift_0は、ライン同期信号lsyncがクロック信号clkで一サイクル分遅延した信号となる。
【0077】
図13は、画像データ格納部84における主走査方向の動作を示すタイミングチャートである。
図13に示す各記号の意味は、
図12に示す記号と同じ意味である。
図13に示す様に、cs=0をclkの立上りで捉えた時刻T0からT1の間、画像データはdata→dly_data_000→dly_data_001という具合に順にシフトしていく。cs=0は、クロック信号が主走査方向の発光部50の数と同数である748だけ入力される。これにより一ライン分の画像データがdly_data_000~dly_data_747に保持される。
【0078】
時刻T1以降は、cs=1であるため、シフト動作は行われずに保持される。時刻T2でlsync=0をclkの立上りで捉えると、dly_data_000→buf_data_0_000→dly_data_001→buf_data_0_001という具合に一ライン分の画像データが一斉にbuf_data_0_000~buf_data_0_747として、パルス信号生成部85に出力される。
【0079】
図14は、画像データ格納部84における副走査方向の動作を示すタイミングチャートである。
図14に示す各記号の意味は、
図12に示す記号と同じ意味である。以下では、
図14を用いて、
図12に示すフリップフロップ回路32の出力buf_data_0_000、フリップフロップ回路33の出力buf_data_1_000を代表して説明する。そして以下では説明を省略するものの、buf_data_0_001~buf_data_0_747、buf_data_1_001~buf_data_1_747の全てについても同様である。
【0080】
図14に示す様に、時刻T0でlsync=0がフリップフロップ回路32に入力されると、dly_data_000の値がbuf_data_0_000に出力される。時刻T1において、lshift_0=0がフリップフロップ回路33に入力されると、buf_data_0_000の値がbuf_data_1_000として、パルス信号生成部85に出力される。
【0081】
このように、lsync=0でbuf_data_0_000としてパルス信号生成部85に出力されたデータが、次のlshift_0=0のタイミングでbuf_data_1_000として再びパルス信号生成部85に出力される。buf_data_0_000を感光ドラム1上で先行して露光を行う発光部50に、buf_data_1_000を後行して露光を行う発光部50に接続することで多重露光が実現される。
【0082】
なお、ここでは副走査方向に隣接する二つの発光部50によって感光ドラム1を多重露光する構成について説明したものの、多重露光に用いられる発光部50の数は二つに限定されず、三つ以上としてもよい。即ち、多重露光に用いられる発光部50の数に合わせてフリップフロップ回路32、33の数を増やすことにより三つ以上の発光部50に対応するデータを保持することが可能となる。また多重露光に用いられる発光部50の数に合わせて、フリップフロップ回路に接続されるパルス信号生成部85を増やすことにより三つ以上の発光部50の各々の発光タイミングが制御可能となる。
【0083】
また本実施形態では、発光部50のデータを保持するための構成としてフリップフロップ回路を例示して説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、例えばRAMなどのメモリ回路を用いて発光部50のデータを保持する構成としてもよい。但し、本実施形態のようにフリップフロップ回路を発光部50に併走して配置する構成とするのが好ましい。これにより簡易で配線面積の少ない回路を形成することができる。
【0084】
<アナログ部>
次に、アナログ部86の構成について説明する。なお、以下の説明では、二つの発光部50を駆動させる二つの駆動部61について説明するものの、全ての発光部50は同様に駆動される。
【0085】
図15は、アナログ部86の構成を示すブロック図である。
図15に示す様に、アナログ部86は、発光部50を駆動させる駆動部61、DAC62(デジタルアナログ変換器)、駆動部選択部67を備える。
【0086】
DAC62は、レジスタ部82で設定されているデータに基づいて、駆動電流を決定するアナログ電圧を信号線63を介して駆動部61に供給する。パルス信号生成部85で生成されたパルス信号は、信号線66を介して、駆動部61に入力される。このように駆動部61には、駆動電流を決定するアナログ電圧とパルス信号が入力される。そして駆動部61は、これらの信号に基づいて、後述する駆動回路によって発光部50の駆動電流と発光時間を制御する。
【0087】
駆動部選択部67は、レジスタ部82に設定されているデータに基づいて、駆動部61を選択する駆動部セレクト信号を、信号線64、65を介して、二つの駆動部61に供給する。ここで駆動部セレクト信号は、選択された駆動部61に接続されている信号のみがHiとなるように生成される。例えば
図15に示す上側の駆動部61が選択される場合、信号線64のみにHiが供給され、信号線65にはLowが供給される。二つの駆動部61は、駆動部セレクト信号がHiになるタイミングで、DAC62から駆動電流を決定するアナログ電圧が設定される。このようにCPU73は、レジスタ部82を介して駆動部61を順次選択し、選択した駆動部61のアナログ電圧を設定することにより、一つのDAC62を用いて全ての駆動部61のアナログ電圧を設定する。
【0088】
次に、駆動部61の構成について説明する。
図16は、駆動部61の回路図である。
図16に示す様に、駆動部61は、MOSFET112~115、コンデンサ116、インバータ117を備える。
【0089】
MOSFET112は、ゲート電圧の値に応じて発光部50に駆動電流を供給し、ゲート電圧がLowレベルの場合、駆動電流がオフ(消灯)するように電流を制御する。MOSFET114のゲートには、信号線63が接続されている。MOSFET114は、信号線63を介して入力されるPWM信号がHiの場合、コンデンサ116に充電された電圧をMOSFET112に受け渡す。
【0090】
MOSFET115は、駆動部選択部67から信号線64を介して送信された駆動部セレクト信号がゲートに接続されている。MOSFET115は、入力された駆動部セレクト信号がHiの場合にオンし、DAC62から出力され、信号線63を介して伝送されたアナログ電圧をコンデンサ116に充電する。本実施形態では、DAC62は、画像形成前のタイミングでコンデンサ116にアナログ電圧を設定し、画像形成動作中はMOSFET115をオフ状態にして電圧レベルを保持し続ける。
【0091】
上記の動作により、MOSFET112は、設定されたアナログ電圧とPWM信号に応じて、駆動電流を発光部50に供給する。また発光部50の入力容量が大きく、オフ時の応答速度が遅い場合、MOSFET113によってオフ時の応答速度を速めることができる。MOSFET1103のゲートには、インバータ117によりPWM信号を論理反転させた信号が入力されている。PWM信号がLowの場合、MOSFET113のゲートはHiとなり、発光部50の入力容量に充電された電荷を強制的に放電する。
【0092】
<多重露光時の発光部の制御>
上述した通り、画像形成装置Aは、通常モードや低速モードを実行することによりシートSの搬送速度を変化させることができる。換言すれば、画像形成装置Aは、通常モードや低速モードの設定を切り替えることにより画像形成時の感光ドラム1の回転速度を変化させる。ここで低速モードを実行して画像を形成する際に多重露光を行う場合、通常モードを実行して画像を形成する際に多重露光を行う場合と比較して、感光ドラム1の表面の同一部分に光が当たる時間が長くなり、この同一部分に照射される光の光量が多くなる。このように感光ドラム1の表面の同一部分に照射される光の光量が多くなる場合、静電潜像を現像する際にトナーが載り過ぎてしまうおそれがある。そこで画像形成装置Aは、多重露光を行う際に発光部50を次の説明のように制御することで、感光ドラム1にトナーが載り過ぎることを抑制する。
【0093】
図17は、発光部50と感光ドラム1の模式図である。
図17に示す様に、以下の説明では、副走査方向に隣接する五つの発光部50a~50eにより多重露光を行う構成を例に挙げて多重露光時の発光部50の制御を説明する。なお、
図17に示す実線の感光ドラム1は設計で定められた理想位置に感光ドラム1が位置する状態を示し、二点鎖線の感光ドラム1は最大公差によって理想位置からずれた位置に感光ドラム1が位置する状態を示す。
【0094】
図18(a)は、通常モードにおいて多重露光を行う際の発光部50と発光部50から感光ドラム1に照射された光Hを示す模式図である。
図18(a)に示す様に、画像形成装置Aが通常モードで画像を形成する場合、露光ヘッド6により多重露光を行う際に、発光素子アレイチップ40の回路部46は、発光部50a~50eの全てを所定のタイミングで点灯させる。これにより感光ドラム1の表面の同一部分に発光部50a~50eから出射された光Ha~Heが照射される。
【0095】
図18(b)は、低速モードにおいて多重露光を行う際の発光部50と発光部50から感光ドラム1に照射された光Hを示す模式図である。
図18(b)に示す様に、画像形成装置Aが低速モードで画像を形成する場合、露光ヘッド6により多重露光を行う際に、発光素子アレイチップ40の回路部46は、発光部50a~50eのうち、発光部50a~50dを所定のタイミングで点灯させる。即ち、回路部46は、低速モードが設定されている場合、通常モードが設定されている場合に多重露光を行う発光部50a~50eのうち、発光部50eを消灯させて多重露光を行う。換言すれば、回路部46は、低速モードにおいて感光ドラム1の表面の同一部分に光を照射する発光部50の数が、通常モードにおいて感光ドラム1の表面の同一部分に光を照射する発光部50の数よりも少なくなるように下部電極54への電圧の印加を制御する。
【0096】
このように多重露光に用いられる発光部50を減らすことで、低速モードが設定されており、通常モードより感光ドラム1の表面の同一部分に発光部50の光が当たる時間が長い場合でも、この同一部分に照射される光の光量を低減させることができる。従って、低速モードで画像を形成し、多重露光を行う場合であっても、感光ドラム1にトナーが載り過ぎることを抑制することができる。
【0097】
また製造コストを削減するために、シートSの搬送速度(生産性)が異なる画像形成装置に対し、同じ露光ヘッド6を使い回すことも考えられる。本実施形態の露光ヘッド6では、露光処理を行う際に駆動させる発光部50が選択できるため、感光ドラム1の同一部分に照射される光量のレンジが広い。従って、シートSの搬送速度が異なる画像形成装置に露光ヘッド6を使い回した場合であっても、各々の画像形成装置で光量を調整することができるため、感光ドラム1にトナーが載り過ぎることを抑制することができる。
【0098】
また
図17、
図18に示す様に、多重露光時に複数の発光部50a~50eから出射された光Ha~Heの感光ドラム1上での照射位置は、制御上のばらつきにより若干のずれが生じる。この照射位置のずれは、公差の影響によって感光ドラム1が理想位置に対して発光部50から離れた位置に位置する場合に大きくなる。例えば
図17において、光Hcに着目すると、理想位置に位置する感光ドラム1上での照射位置と、公差の影響で理想位置からずれた位置に位置する感光ドラム1上での照射位置との間では、距離L3の分、照射位置がずれることになる。このように照射位置がずれる場合、多重露光で合成された光の感光ドラム1上での照射領域の副走査方向の長さであるスポットサイズWsが大きくなり、画像を構成するドットの鮮鋭性が悪化して画質が悪化する。
【0099】
これに対して本実施形態の構成のように、低速モードにおいて多重露光を行う際に、多重露光に用いられる発光部50を減らすことで、スポットサイズWsを小さくすることができる。即ち、
図18(a)に示すスポットサイズWs1と、
図18(b)に示すスポットサイズWs2を比較すると、多重露光で用いられる発光部50が少ない分、スポットサイズWs2の方が小さくなる。このように本実施形態の構成によれば、低速モードを実行する際にスポットサイズWsを小さくすることができるため、画像を構成するドットの鮮鋭性を良化させて、画質を向上させることができる。
【0100】
またロッドレンズアレイ23の副走査方向の中心線LC(中心)に近い発光部50から感光ドラム1へ光を照射する場合、中心線LCから遠い発光部50から光を照射する場合よりも感光ドラム1に到達する光の光量や光の形状等の光学特性が良いことが判明している。そこで低速モードにおいて多重露光を行う際、通常モードが設定されている場合に多重露光を行う発光部50a~50eのうち、ロッドレンズアレイ23の副走査方向の中心線LCから最も遠い発光部50eを消灯して多重露光を行う構成とするのが好ましい。これにより光学特性の良い発光部50a~50dによって多重露光を行うことができるため、画質の悪化を抑制することができる。
【0101】
なお、本実施形態では、通常モードを実行する際に五つの発光部50a~50eを用いて多重露光を行い、低速モードを実行する際に四つの発光部50a~50dを用いて多重露光を行う構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、多重露光で用いられる発光部50の数は露光処理に必要な光量に応じて適宜変更してもよい。例えば通常モードを実行する際に五つの発光部50を用いて多重露光を行い、低速モードを実行する際に三つの発光部50を用いて多重露光を行う構成としてもよい。この場合でも、低速モードを実行する際に消灯する発光部50は、上記同様の理由により、ロッドレンズアレイ23の副走査方向の中心線LCから最も遠い発光部50を少なくとも消灯する構成が好ましい。また露光処理で必要な光量が確保できるのであれば、通常モードを実行する際に複数の発光部50を用いて多重露光を行い、低速モードを実行する際に多重露光を行わない構成としてもよい。
【0102】
また画像形成装置Aは、CPU73の設定によりシートSの坪量や副走査方向の画素数に応じて感光ドラム1の回転速度を段階的に変更できる構成としてもよい。このような構成であっても、上記同様の理由により、感光ドラム1の回転速度が低速になるにつれてロッドレンズアレイ23の副走査方向の中心線LCから遠い発光部50から順次消灯する構成とするのが好ましい。即ち、本実施形態における低速モードを第一低速モードとし、第一低速モードより遅い第二低速モードを実行する際に三つの発光部50を用いて多重露光を行うという具合に感光ドラム1の回転速度が低速になるにつれて多重露光に用いられる発光部50の数を減らす構成を考える。ここでは第四低速モードまで設定が可能な構成とする。この場合、感光ドラム1の回転速度が低速になるにつれて、ロッドレンズアレイ23の副走査方向の中心線LCから遠い発光部50eから
図19(a)~
図19(e)に示す順に消灯する構成とするのが好ましい。
【0103】
また低速モードを実行する際に消灯する発光部50は、ロッドレンズアレイ23の副走査方向の中心線LCから最も遠い発光部50に限られず、他の発光部50を消灯する構成としてもよい。例えば低速モードを実行する際に消灯する発光部50として、副走査方向の端部に位置する発光部50を消灯する構成としてもよい。即ち
図20(a)、
図20(b)に示す様に、通常モードを実行する際に五つの発光部50a~50eを用いて多重露光を行い、低速モードを実行する際に発光部50aを消灯し、発光部50b~50eを用いて多重露光を行う構成としてもよい。
【0104】
また画像形成装置AがCPU73の設定によりシートSの坪量や副走査方向の画素数に応じて感光ドラム1の回転速度を段階的に変更できる構成では、通常モードにおいて多重露光に用いられる発光部50a~50eのうち、副走査方向の中心の発光部50cから遠い発光部50を順に消灯させる。即ち、感光ドラム1の回転速度が低速になるにつれて、発光部50cから遠い発光部50eから
図20(a)~
図20(e)に示す順に消灯する構成としてもよい。
【0105】
このように発光部50を消灯することで、次の効果を得ることができる。即ち、多重露光において複数の発光部50から照射される光が感光ドラム1上で合成される場合、合成された光の副走査方向の中心位置が最大光量となり、現像時に付着するトナーの量も最大となる。ここで画像を構成するドット毎にトナーの最大位置がずれる場合、各ドットの間隔が不均一となり画質が悪化する。これに対し、
図20(a)~
図20(e)に示す順番で発光部50a~50eを消灯することで、合成された光の副走査方向の中心位置Gのずれが小さくなる。このため、ドット毎にトナーの最大位置がずれることが抑制され、各ドットの間隔が不均一となることが抑制され、画質の悪化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0106】
1…感光ドラム(感光体)
6…露光ヘッド
23…ロッドレンズアレイ(レンズ)
42…発光基板(基板)
46…回路部(制御部)
50…発光部
54…下部電極(複数の電極を含む第1電極層)
56…発光層
58…上部電極(第2電極層)
73…CPU(設定部)
300…操作部(検出部)
A…画像形成装置